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その野望はいまだ熟せず

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●地下迷宮のどこか
 その少女は自分の才能を信じていた。今は無限の迷宮に閉じこめられながらも、いずれ自分は、外の世界にたどり着けるのだと。
 『アルダワ』のダンジョンに蔓延る無数の災魔たち。それらが織りなすのはいびつながらもどこかで「帳尻のあった」循環する生命の箱庭である。その一端を紐解き……否、すべてを掌握し、我がものとして操る。レニオール、魔操術師と呼ばれる少女が目指すのはそんな魔法を極めることだ。
 研究が成った時、迷宮のあらゆる生き物は彼女に従い、地上世界もまた彼女にひれ伏すのだ。

●グリモアベース
「迷宮の奥から地上を目指して逆侵攻を仕掛けようとするオブリビオン。最近の『アルダワ魔法学園』では珍しくもない事件のようですね」
 グリモアベースにて。ゾシエ・バシュカ(蛇の魔女・f07825)は淡々と、猟兵たちの前で予知した内容を語りだす。
「今回みなさんに対処していただくオブリビオンの名前は、魔操術師レニオール。彼女(女の子です)は、地下迷宮に棲む生命体を操る魔法を研究していて、いずれはその魔法を使って外の世界を征服しようとする野望を抱いています」
 とはいえ、今はまだ侵攻の準備を進めている段階のようです、とゾシエ。
「というのは、ダンジョンの生き物を率いて上がってこようとする場合、先立つものが必要なので。つまり食べ物のことですが」
 生き物たちを、飢え死にさせずに連れていくにはどうすればよいか? レニオールは実際天才なので、ある方法を考えついた。それが……、
「クレイゴーレム、いますよね。自分で動ける泥人形みたいな魔法生物。それに食べ物になる植物を生やして、戦闘にも使える配下兼移動食糧庫にする、というのが彼女のアイデアだったんです。これがいい考えなのかどうかは、わたしにはなんともいえません」
 ともあれ、思いついたらやってみる性分だったのだろう。レニオールは自身の支配下にある迷宮の中心部、魔術工房でクレイゴーレムを増産し、それに搭載するべく食用植物の品種改良を進めているという。
「わたしが転移させると、みなさんは工房に出ます。イメージ的には広いトンネルのような空間で、果実をつけた木が整然と並んでいます。壁には蒸気の通る管がいくつも這っていて、温室の植物園になっているんですね。けっこう蒸し暑いです。魔法で照明が灯されているので、明かりの心配はいりません。そこではクレイゴーレムたちが植物のお世話をしていて、侵入者を見ると襲い掛かってくるので、撃退してください」
 工房の異常を感じとれば、レニオールもすぐに現れるだろう。彼女を撃破できれば目的は達成だ。ところで、とゾシエは続ける。
「その食用植物というのはイチゴです。戦闘が終わって、まだ無事だったらイチゴ狩りとしゃれこんでもいいかもしれません。お土産にするのもいいですし、レニオールも工房の近くで生活しているわけですし、台所を拝借するくらいのことはできるでしょう。ちょっとした役得とでも思っていただければ」
 そこまで言ってから、ゾシエはわずかに首をかしげて、
「でも、なんでイチゴなんでしょうね? 好きだったんでしょうか?」
 その疑問に答えを出せる者は、その場にはいなかった。


kurosato
 kurosatoです。今回は『アルダワ魔法学園』が舞台のシナリオとなります。
 第1章は集団戦、第2章はボス戦ときて、第3章では戦闘後の「お楽しみ」があります。どの章からでも参加歓迎です。
 第3章には危険は特にないので、ゆったりと楽しんでいただければと。もし相手がほしい場合はゾシエを呼ぶこともできますので、お気軽にお声がけください。

●プレイングについて
 各章で描写できるのは10数人程度と思われます。できるだけがんばりますが、単純にキャパシティの問題なのでもし溢れたらご容赦ください。
 プレイングでは、あなたのキャラクターがどんな風に活躍(行動)したいかを教えてください。一緒に楽しいリプレイを作れたら嬉しいです。
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第1章 集団戦 『クレイゴーレム』

POW   :    上官を呼ぶ
自身の身長の2倍の【クレイゴーレム】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    仲間を呼ぶ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【クレイゴーレム】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    配下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【クレイゴーレム】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 グリモアの力で転移した猟兵たちを出迎えたのは、大きく実った苺の甘酸っぱくも瑞々しい香りだった。
 トンネル状のアーチを描く天井は高く、魔法の明かりが燦々と光を投げかけている。壁面に這わされた管には蒸気が循環し、放たれる熱気が工房内の温度を常に高く保つ仕組みだ。湿気の多さと合わさり、蒸し暑さを感じる。床面には段になったイチゴ棚が列をなしており、葉と蔓、そして真っ赤な果実が威勢よく伸び出していた。棚と棚の間は広めの通路になっており……如雨露を持って水やりをしていたクレイゴーレムの単眼と目が合った。
 ぎこちない瞬間だった。ゆったりとした動きで工房を歩き回り、植物の世話をする姿は意思を持たない巨体に似合わず「かいがいしい」と形容するべきだったが、その土人形たちは工房の守り手でもあったのである。猟兵とクレイゴーレムは見つめ合い、間違うことなく互いを敵であると認識した。ゴーレムの瞳が、赤く発光する。ゴーレムたちは連鎖的に汽笛のようなけたたましい音を発し、それはおそらく威嚇のための咆哮だった。
 ブリキの如雨露がからんからんと軽い音を立てて地面に放られ、のそり、と足が踏み出される。巨拳を振り上げ、どこか緩慢に、しかし数の利を生かすべく整然と、クレイゴーレムたちが猟兵を取り囲もうと動き出した。その足元をさらに小型のゴーレムが走り、わらわらと抜け出してくる。
ジルバ・アイト
苺って少し圧力が加わるとすぐ痛むから移動用の食糧には向いていないような…
品種改良して丈夫にしてあるのかな
まあどうでもいいか

戦闘:
【エレメンタル・ファンタジア】を発動し、氷柱の突風を巻き起こす
また【2回攻撃】を使用

配下の小型クレイゴーレムは一撃で消滅するようだから、まず一回目の攻撃で配下を一掃し、二回目の攻撃で本体を攻撃する
なるべく敵の手足を狙って氷柱を突き刺し、動きを封じる
また、味方や栽培されている苺を巻き込まないように注意する

「あんたらは仕事をしてるだけなんだろうが、あんたらを倒すのが俺達の仕事なんでな。悪いな」

回避には【見切り】を使用し、怪我をしたら【生命力吸収】で回復

仲間との共闘歓迎


緋月・透乃
クレイゴーレムに食べ物はやすのは結構いい考えな気がするね。
でも戦闘で食べ物がだめになるかもしれないから、食べ物はやすのと戦闘の担当は別のほうがいいのかも?
それはそうと、今回の件ってオブリビオンを倒すって名目で略奪してこいってことだよね!?胸を張って賊のようなことができるとは、レニオールに感謝しないとね!
ばっちり倒して沢山イチゴを食べたいね!

イチゴをできるだけ残すためには戦闘時間そのものを短くすると良いかな。
【色々食べよう!】を攻撃力重視で発動させて、近い敵へ捨て身の一撃、倒したらすぐ次の敵、といった感じで1体ずつ倒していきたいね。
近くに木がある時だけは、木から離れて敵を誘導してから攻撃するよ。



「クレイゴーレムに食べ物生やすのは結構いい考えな気がするね」
「イチゴって少し圧力が加わるとすぐ痛むから移動用の食糧には向いていないような……」
 緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)とジルバ・アイト(落トシ者・f03128)はレニオールのアイデアの是非について意見を交わしていた。
「そっかー、戦闘の担当は別の方がいいのかも?」
「それか、品種改良で丈夫にするのかも。まあどうでもいいか」
 まあどうでもよかった。ジルバは向かってくる敵に相対する。エレメンタルロッドを手に『エレメンタル・ファンタジア』を詠唱、氷柱の突風が吹きつけ、小型ゴーレムをなぎ払っていく。
「あんたらは仕事をしてるだけなんだろうが、あんたらを倒すのが俺達の仕事なんでな。悪いな」
 飄々と告げ、『エレメンタル・ファンタジア』の制御に意識を集中する。小型ゴーレムの耐久力は大したことがない。魔力を帯びた氷柱が次々と突き刺さり、砕く。ジルバの見立てでは、小型ゴーレムは数体ずつのグループでクレイゴーレムに指揮されているようだった。ゆえに、もう一撃。冷気の突風が翻り、本体を直接叩く。二撃目の狙いは仕留めることではなく、手足に氷柱を突き刺し動きを止めること。クレイゴーレムはぐらりと体勢を崩し、イチゴ棚の一角をなぎ倒して転倒した。
「あ」
 後のために、イチゴを巻き込まないように注意しようと思っていたのだが……とはいえ、今のは偶発的な事故である。
「あーあ、もったいない」
 透乃が飛び出し、倒れたゴーレムに重戦斧【緋月】を叩きつける。泥人形の体躯に大きな裂け目を穿ち、引っこ抜いてもう一度振り下ろすと、完全に胴が真っ二つになった。目の光が消え、沈黙する。まずは一体。
 崩れた棚のイチゴが艶やかにきらめき、透乃の目を惹いた。大粒のそれをむしり取り、あーん、と一口。――美味い! 甘い果汁が口の中ではじけ、酸味の余韻を残して身体に染みとおっていくかのようだった。透乃の口元が思わずほころぶ。豊かな風味と滋養が活力を与え、彼女の豊満な身体を弾ませる。透乃のユーベルコード『色々食べよう!』は、ものを食べることで自身の戦闘力を強化できるのだ!
 手近にいたクレイゴーレムに、遠心力の乗った戦斧が叩きつけ、今度は一撃で屠る。反動で跳び、次の得物に狙いを定める。
 今回の件ってオブリビオンを倒すって名目で略奪してこいってことだよね!? ばっちり倒して、沢山イチゴを食べたいね!
 透乃のなかではそういうことだったし、実際、間違ってはいない。機会をくれたレニオールに感謝しつつ、ハイテンションに跳ねまわる透乃の斧は(ときおり栄養補給をはさみつつ)着実にゴーレムの群れを切り崩していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
アッハッハ!レニオールとやら、なかなか面白い戦術を考えたものだなぁ。
悪くない、むしろイイ…孤高の魔女同士これはぜひ会ってみたいものだ…魔力に溢れる可愛い女の子なら、血も飲んでみたいしなぁ?

・行動
「さて、まずはゴーレムの耐久性をチェックしてやる」
UC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』の力で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『高速詠唱』を用い連射して『範囲攻撃』を行う。
「外はまぁまぁだな、じゃあナカはどうだ?」
射出した魔剣は命中したら敵をそのまま『串刺し』にして『生命力を吸収』しつつ『属性攻撃』の魔力で刀身を発火させ『傷口を抉る』
「アーハッハッハ!脆い、脆い、脆いぞぉ!」

※アドリブ歓迎



 イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)は、レニオールの発想に感嘆していた。奇天烈な考えだったが、悪くない。むしろイイ! 孤高の魔女同士、ぜひ会ってみたいものだ――魔力に溢れる可愛い女の子なら、血も飲んでみたい!
 まだ見ぬレニオールに想いをはせ、期待(はっきりと「欲望」と呼んだほうがふさわしいかもしれない)をたぎらせ舌なめずりするイデアール。ともすれば鼻歌でも歌い出しかねないほどの調子だ。その瞳には剣呑な、獲物を狙う肉食獣の光が宿っていた。
「さて、まずはゴーレムの耐久性をチェックしてやる」
 魔力よ、我に仇なす尽くを串刺しにしてしまえ――詠唱し、イデアールは全力を込めた魔法を解き放つ。天井を覆うようにいくつもの魔法陣が宙に描かれ、その口を開く。魔法の剣が勢いよく射出され、ゴーレムの身体を貫かんと飛翔する。ある者は拳で剣を打ち払い、ある者は運よく硬質な外装に守られ難を逃れた。
「外はまぁまぁだな」
 イデアールは嗤う。悪くない。これだけで倒せるのでは失望だ。だが、少なからずのゴーレムには魔剣が突き刺さっている。
「じゃあナカはどうだ?」
 暴虐の魔女が杖を振りかざすと、ゴーレムを串刺しにした魔剣の刀身から炎が上がる。内側から爆発し、泥人形を破砕する。
「アーハッハッハ! 脆い、脆い、脆いぞぉ!」
 哄笑。失望させられたくはないが、蹂躙するのはこれはこれで、悪くない。

成功 🔵​🔵​🔴​


 猟兵たちの怒涛の攻撃により、クレイゴーレムは順調にその数を減らしていく。しかし、危機にただ押し負けるだけのゴーレムではない。
 クレイゴーレムはそれぞれ、手近な仲間や配下とフォーメーションを組み、攻撃に対応しはじめる。それでもなお個々の力では猟兵にかなわず、徐々に陣形を崩され、各個撃破されるのだが……。
 このゴーレムを造った人物は少々頭のネジがどこかへ行っているので、このような状況にも奥の手を仕込んでいたのだ。
 残されたクレイゴーレムは一か所に寄り集まると手をつなぎあい、否、腕が同化し、肩、身体と混ざりあっていき……泥人形二体分のより巨大で強大な個体へと生まれ変わった。それで足りなければ三体分に。
 もはや、目の前のゴーレムは十把一絡げになぎ倒せる相手ではない。猟兵たちも戦術の変更を余儀なくされるだろう。
セルヴィ・アウレアム
「デカブツ相手なら足で勝負や!」と、リュックや学園服等の不要なものや自身の義装、はては戦闘に使用しない片腕パーツ等を外し、できるだけ軽量化。
その上でクレイゴーレムの合体を誘い、大きくなったゴーレムの足元を駆け巡り、大振りな攻撃を誘発する。
そして、ゴーレムのバランスが不安定になった瞬間、【額】の刻印めがけて【SPD】を活かした攻撃を放ちます。



 合体し巨大化したゴーレムを見やり、セルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)は、口角を吊り上げた。
「デカブツ相手なら足で勝負や!」
 駆けだす。邪魔なものは捨てる。リュックに、制服。儀装。片手にダガーをしっかりと握りしめ、果ては戦いに使わないもう片腕パーツをも外し、捨て去る。身軽になればなるほど、セルヴィの速度は昇りつめていく。
 クレイゴーレムが振り上げ、打ち下ろす拳。彼女にしてみれば「うすのろ」だ。挑発するように紙一重で躱してみせる。ほれ見たか、「惜しかった」で。
 もう一撃を片足のみの跳躍で避ける。さらにバックステップ。クレイゴーレムの間合い、ぎりぎりまで。泥人形は腕を振りかぶり、倒れ込み押しつぶすかのように巨拳を放った。セルヴィは一歩だけ下がる。ゴーレムはわずかに手が届くよりも外へと攻撃を届かせようと身をよじる。今!
 空振りとなった拳が地面に突き刺さった。セルヴィはその腕を駆け上がり、ゴーレムの頭部へと躍りかかる。赤く光る単眼にダガーを突き立てると、ゴーレムは汽笛のような音を上げた。悲鳴だ。セルヴィは快哉を叫ぶ。ゴーレムはぐらりと倒れ、土くれの塊に戻った。もはや、動くクレイゴーレムも大した数は残っていない。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューゴ・シュクロフト
「包囲殲滅には、一点突破で打倒すると相場が決まってんだよ!」
宇宙バイクの全開駆動音と共に言い放ち、颯爽と登場…と共に、【ゴッドスピードライド】で突撃!
バイク前方にルーンソードを構え、【属性攻撃1】で風属性を発動。小さいゴーレムたちを風で吹き飛ばしつつ、大きいゴーレムに迫る。
大きいゴーレムに対しては額に突撃し、風穴を開けて豪快に印を消す!

「土人形じゃあ、俺の事は止められねえぜ…―――あっ!イチゴの事を忘れてた…」



 鋼鉄の馬のいななきのごとく。エンジン音が轟いた。リューゴ・シュクロフト(人間のスターライダー・f13427)の駆る宇宙バイクが躍り出た。『ゴッドスピードライド』、バイクと乗り手は一心同体となり、神速の突撃で巨大クレイゴーレムに迫る。
 足元に追い縋ろうとする小さなゴーレムでは、リューゴの突撃を阻むことはできない。馬上騎士のように掲げたルーンソードは風の属性を纏い、渦巻く壁となってゴーレムを弾き飛ばす。アクセルをさらに開ける。全開の疾走。薙ぎ払わんと振るわれた巨大ゴーレムの手のひらを、バイクはウィリーとともに地面から跳び上がって避ける。宙を舞い、リューゴは刹那、重力からさえ解き放たれる。
「土人形じゃあ、俺のことは止められねえぜ……!」
 速度と重さの乗った剣の一撃が、巨大ゴーレムの額に深々と突き立てられる。かりそめの生命をえぐり取り、支えるものなき巨体が崩れ落ちていく。
 何列かのイチゴ棚を巻き込んで。リューゴもまた着地する。スピードを殺しきれず土埃をあげながら、イチゴ棚に突っ込んでしまう。
「うおお! イチゴのこと忘れてた!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔操術師レニオール』

POW   :    コール・ザ・バウンデン・ソウル
【ダンジョンで息絶えた冒険者】の霊を召喚する。これは【噛みつき】や【羽交い絞め】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    アンロック・ザ・ダンジョン・モンスター
【開いた魔導書のページ】を向けた対象に、【ページから飛び出るモンスターの体の一部】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ブラッド・アンド・アシッド
戦闘用の、自身と同じ強さの【吸血コウモリ】と【強酸スライム】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 クレイゴーレムを始末し終えた猟兵たちは一仕事終えたとばかりに額の汗をぬぐった。工房内は潰れたイチゴの果汁の匂いで満ちて(実際いくらかはだめにしたが、まだまだあるので安心してほしい)、倒れたクレイゴーレムやその破片が点々と転がっている。もはや主なきブリキの如雨露が無造作に転がっている様には哀愁のようなものが感じられなくもなかった。
 その時、工房の奥の小さな扉がギィと軋んで開いた。
「なんなの騒がしい。……えっなにコレ!」
 現れたのは赤と緑のリボンで黒髪を結った頭。均整のとれた顔に驚きの表情が浮かび、瞳が見開かれる。その目が猟兵たちをとらえた。
「猟兵!? うそでしょう、まだなにもしてないのにやってくるわけ?」
 魔操術師レニオール。この工房の主にして野望を抱く魔法研究家。彼女はガーネットの色の瞳に怒りを燃やして猟兵たちに相対する。手の中の魔導書を開いてページを繰る。
「もう台無し。あなたたち、無事に帰れると思わないことね」
 レニオールが呪文を唱えると、魔導書の上に輝く魔法陣が浮かび、無数の吸血蝙蝠が羽ばたき出でる。さらに手をかざすと、地面に描き出された魔法陣からは強酸のスライムが。
「ここは放棄かな、居心地よかったのに。あなたたちのデータもとって次に生かすわ」
 不機嫌に言い放つ彼女の言葉から、猟兵はあることに思い至る。つまり、レニオールはイチゴへの被害は気にせずに攻撃を繰り出してくるであろうということだった。
箒星・仄々
心情
世界征服を企む魔操術師さんはお仕置きです
苺の為にも頑張りますよ~

手段
出来るだけ苺に攻撃が及ばぬ様立ち回ります


魔法の迷彩で姿を隠し素早く静かにすり抜け
レニオールさんの側に
:迷彩&目立たない&忍び足&見切り&早業

姿を現すと同時にUCで攻撃力強化
残像分身し風纏うKナーゲルを一閃
:残像&早業&先制攻撃&フェイント&見切り&属性攻撃&串刺し&破魔

これで蝙蝠さんスライムさんは消えますよね?

敵攻撃は残像&早業&見切りで回避


Kリートを奏で歌い
未来へ進む者たちを称える歌で仲間を鼓舞しつつ
聖なる調べで霊やモンスターを弱体化させます
:歌唱&演奏&&鼓舞&祈り&優しさ&勇気&手をつなぐ&破魔


セルヴィ・アウレアム
「無事に帰れるとは思わないこと?そん言葉、アンタにそっくりそのままお返ししたるわ。」
「その体、ウチの『とっておき』で穴だらけにしてくれたる!」

・行動【POW:マギアガトリングによる攻撃】
自身の右腕部をレオニール向けて構え、『内蔵ミニガトリングガン』を展開、空転させる。
レオニールが防御態勢を取った瞬間、矛先を【吸血コウモリ】や【強酸スライム】【コール・ザ・バウンデン・ソウル】で召喚された霊達に向けて『援護射撃2』による補正を入れ一掃する。

「…なんてな。ウチの仕事は周りの掃除や。アンタの相手は他の猟兵がやってくれるやろ。」

共闘・アドリブ歓迎



「『無事に帰れるとは思わないこと』? そん言葉、アンタにそっくりそのままお返ししたるわ」
 セルヴィが不敵に言い放つと歯車と滑車がきしみをあげ、ぱかりと開いた機械仕掛けの腕の中からは内蔵ミニガトリングガンが顔を出した。居並んだ黒鉄の銃口が準備運動とばかりに空転する。
「その体、ウチの『とっておき』で穴だらけにしてくれたる!」
「! 蝙蝠!」
 変形した右腕をレニオールに向けて突きつけると、オブリビオンの少女はそうはさせじと吸血蝙蝠をセルヴィへと突撃させる。砲が火を噴く前に、羽ばたきの群れが射線を塞いでしまう。が。
「……なんてな」
 火砲の狙いは少女から逸れ、上に向けられる。火薬が連続で炸裂し、弾丸は横殴りの雨のように蝙蝠の群れに降り注いだ。
「ウチの仕事は周りの掃除や」
 セルヴィの狙いははじめから、敵の注意を引き、召喚された敵の使い魔を撃ち落とすこと。守りにヒビを入れ、味方の攻撃を通しやすくするための援護射撃だ。吸血蝙蝠に取り囲まれ、セルヴィも少なからずの傷を負うが、攻撃の手は休めない。
「アンタの相手は……おっと」
 言わんとこ。せっかく隠れとるんやし。でもはよしてな。けっこう痛いんやわコレ。
 
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は魔法の迷彩で姿を隠し、レニオールのもとへと接近しようとしていた。魔法といっても制服に付与されたささやかなものだったが、ケットシーの小さな体格や彼本来の隠密の技量・しなやかな足運びと組みわされば、決定的な後押しになりえた。特に、敵の注意が他に逸らされているならばなおのこと。
 絶え間ない銃撃の音と蝙蝠の甲高い鳴き声、敵のいらだった声を聞きながら、仄々自身は足音を立てずに忍び寄る。あと数歩。
 しかし、レニオールの足元で揺蕩う強酸のスライムが不意にその鎌首(?)をもたげた。通常の生物とは異なる特殊な知覚力が、仄々の気配をとらえたのだ。粘体とは思えない速度で身体を波打たせ、飛び掛かってくる。
 スライムの攻撃を見切り避けた仄々だったが、地面に跳ねた飛沫が降りかかるが――『トリニティ・エンハンス』! 仄々の身体を炎・水・風の属性の魔力が取り巻き、飛沫から守る防御となる。気づかないうちに接近を許していたことを悟り、レニオールに驚愕の表情が浮かぶ。
「いつの間に! スライム、やって!」
「世界征服をたくらむ魔操術師さんはお仕置きです」
 スライムを飛び越え、愛刀カッツェンナーゲルを振り抜く。鋭い細剣はレニオールの脚を浅く傷つけた。致命的な一撃とは言えないが、蝙蝠とスライムは煙を上げて蒸発する。召喚者が手傷を負うと解除されてしまうのが、レニオールのユーベルコード『ブラッド・アンド・アシッド』の弱点だった。
 邪魔者がいなくなり、セルヴィが意気揚々とガトリングガンをレニオール本体へと向ける。魔操術師は火線を避けてイチゴ棚の影に隠れ、次なる魔法を繰り出した。
 温室内に立ちこめた煙が渦巻き形を成し、いくつものおぼろげな人型が現れる。それはアルダワの迷宮で息絶えた数多の冒険者たちを象った霊。一度ゆらり、と身を震わせると、猟兵たちへと躍りかかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
おお、これは…可愛いじゃないか!
そのちょっとおしゃまで勝気な雰囲気!堪らんなぁ!

・行動
「イチゴなどもはやどうでも良い…私は!お前を食う!」
UC【魔導覚醒】を『高速詠唱』で行使。
本気モードになり、魔導防壁を纏いながら空を縦横無尽に飛翔し、両手から次々と『属性攻撃』で属性魔法【風の刃、聖なる光線、闇の球体、炎弾、氷の槍、足元から隆起する石の棘】を『全力魔法』で順に放ち、『範囲攻撃』と成して敵を蹂躙。
「邪魔なんだよ、使い魔はぁ!」
雑魚を片付けたら大鎌でレニオールを『串刺し』にして縫い止め、噛み付いて『吸血』し『生命力を吸収』する事で失った寿命を取り戻す、あとオッパイ揉む。
「ウェヘヘへ」

※アドリブ歓迎



 イデアールは上機嫌だった。ついに巡り会ったレニオールが期待していたようにかわいかったからだ。見た目もそうだが、ちょっとおしゃまで勝気な性格もたいそう気に入った。
「堪らんなぁ! 私は! お前を食う!」
 高らかに宣言し、高速詠唱。『魔導覚醒』――寿命さえも削る、イデアールの「本気モード」だ。群がる亡霊の爪牙を身体を包み込む防壁が押し留め、飛び立つ勢いで振り払う。
 眼下に向け、思うさま攻撃魔法を放つ。風の刃、聖なる光線、火炎弾、氷槍、闇の球体、はては地面から石の棘が生えて亡霊たちを串刺しにしていく。
 当然、イチゴ棚にも相応の被害が出て他の猟兵たちから抗議の声が上がるが、知ったこっちゃない。もはやどうでもいい。私が味わいたいのは……。
 見つけた。目と目が合う。高速で飛翔し、まっすぐにレニオールに体当たりする。背後のイチゴ棚ごとなぎ倒し、地面に大鎌の刃を突き立てて、魔操術師の身体を組み敷く。と、武器を持たぬ左手のひらの下には少女のやわらかなふくらみの感触。
 これは偶然ではなかった。イデアールはたしかな意志にもとづき、戦闘中に、敵に、狼藉を働いているのである。指に力をこめて弾力を堪能する。
「ウェヘヘヘ」
 下卑た笑いを浮かべ、少女の首筋へと口を近づける。ダンピールの牙が覗く。
「……このッ!」
 レニオールがイデアールの頭に開いた魔導書を叩きつけると、そのページからリザードマンの頭部が飛び出し、イデアールを弾き飛ばす。衝撃で目の前に星が散る。立ち直るまでの間に、すでにレニオールは拘束から抜け出していた。
 つれないなぁ、と呟きながらも、イデアールの表情はどこか満足げだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​


 レニオールはいらだちもあらわに魔導書のページを繰ると、『コール・ザ・バウンデン・ソウル』の魔法を重ねて唱え、冒険者の霊をさらに増やす。亡霊のとる風貌は多彩だが、姿を借りた相手の能力を模倣することもなく、追い縋って攻撃するという単純な攻撃を行なうにすぎず、そのことを見切れば攻撃をいなすことは猟兵たちにとって難しいことではなかった。問題はやはり数だ。
「圧し潰してやりなさい!」
 魔操術師の号令とともに、亡霊たちが波濤となって押し寄せる。愚直にまっすぐに。イチゴ棚もおかまいなしに。
空澄・万朶
「すみませんねぇお嬢さん。リスクマネジメントっていうのは何か起こる前に対応しないといけないものでね。だから地上進行を開始する前に貴女の野望を打ち砕かなければならないんですよ」

戦闘:
まず虚空に漆黒の槍の姿へと変身してもらい、吸血蝙蝠と強酸スライムを通常攻撃し、レニオールへの道を切り開いていく
ダンジョンで息絶えた冒険者の霊を召喚してきたら、羽交い締めされないように翼を使って(【空中戦】使用)距離を取りながら【フェイント】を混ぜつつ攻撃
レニオールへは【ドラゴニアン・チェイン】を使用し、動きを封じる

仲間との共闘歓迎

「ところでイチゴへの被害を気にしてないみたいだけど、いいのかい?そもそもなんでイチゴ?」


緋月・透乃
いちご美味しかったねー。
もっと沢山食べたいし、ささっとレニオールも倒しちゃおう!
天才らしく知的に攻めてきたりするのか?そのへんも楽しみだね。

レニオールは遠慮するきなさそうだし、できるだけいちごに被害をださないためにささっと済ませたいけれど、なんか色々呼び出しているね。
まずは呼び出されたスライムや蝙蝠にスプーンで殴りかかって引き付けるよ。その間に他の味方がレニオール殴って蝙蝠とスライムが消えると助かるねー。
邪魔がいなくなったら重戦斧に持ちかけてレニオールに罷迅滅追昇を叩き込みにいくよ!
呼び出された霊は重戦斧でささっと倒せばいいね。


甚五郎・クヌギ
空飛ぶコウモリ相手なら、我輩のジャンプ力と身のこなしの見せどころ
長いなぎなたで距離を稼ぎ、スライムの酸にかからぬよう立ち回ろう

…いかん、イチゴの危機である!
これ以上戦闘で荒らされそうなら無事なイチゴ棚へと走っていくぞ
戦闘の余波で倒されてしまうのならば……守ればよい!!
たとえ育てた者が悪でも、実ったイチゴに罪は無いのだ
【無敵城塞】として、このイチゴ棚を我輩は死守する
どんな攻撃もなぎなたを回転させた盾の構えで受け流してやろう
だから皆は思う存分に攻撃し、あの術師の娘を倒すのであるぞ!

※アドリブ、連携は歓迎です



 空澄・万朶(忘レ者・f02615)が漆黒の羽毛に覆われたドラゴン・虚空に声をかけると、その竜は一鳴きして応え、槍の姿へと変わった。先ほどの攻防で、冒険者の霊を攻略するヒントは得られていた。すなわち、精霊銃や種々のガジェットを構えた霊も実際には射撃攻撃を行なうわけではないということ。ならば、と万朶は自らの翼を広げ、飛び立つ。やつらの手が届かなければいいのだ。
 翼が風を孕み、天井近くまで上昇すると、レニオールの姿がよく見えた。
 すみませんねぇお嬢さん、と心のなかでごちる。彼女は「なにもしてないのに」猟兵がやってきたことに文句を言っていたが、リスクマネジメントは事態が起こる前に始まっているものなのだ。だから、ここでその野望は打ち砕かれなければならない。万朶は手に中の槍を握りなおす。急降下して――。
 だが、敵のほうが早かった。魔導書の開かれたページが光ると、再び召喚された吸血蝙蝠が群れをなして空の竜人に殺到した。槍で叩き落とすが、キリがない。たまらず地上へと降下する。
 万朶を守るため、身の丈ほどもある巨大スプーンを構えた透乃と薙刀を振り回す甚五郎・クヌギ(左ノ功刀・f03975)が割って入る。蝙蝠の金切り声がいくつもあがり、状況は膠着した。地上には亡霊たちとスライム、上空には蝙蝠が旋回して狙っている。
 なるほどねー、と透乃はうなる。レニオールのユーベルコードは組み合わさることで敵を寄せ付けない構えとなっていた。
「なんかいろいろ呼び出してると思ったら」
「いかんな……」
 冒険者の霊を薙刀のリーチで牽制しつつ、クヌギもまた、危機感をあらわにする。
「イチゴの危機である。これ以上は看過できん!」
「そっち?」
 ややずっこけた調子で、万朶。レニオール自身がイチゴへの被害を気にしないのもあり、たしかに「役得」は着々と目減りしつつあった。
 もっとたくさん食べたいし、ささっとレニオールも倒しちゃいたいね、と透乃も同意を示す。すでに味見済みの彼女はここのイチゴがとても美味しかったことを身をもって知っており、その言葉は重かった。
「守りは吾輩が引き受けよう」
 クヌギが決意を込めて言う。身を挺してでも無事なイチゴ棚を必ずや守りぬく覚悟だ。
「みなは思う存分に攻撃し、あの術師の娘を倒すのであるぞ!」
 そう言うと、クヌギはイチゴ棚に走っていく。薙刀を旋回させる盾の構えで冒険者の霊たちを押し留め、背後のイチゴを死守する。たとえ育てた者がいかな悪の野望を抱こうとも、実ったイチゴに罪はないのだ。
 クヌギは敵の前に巌のごとく立ち、気合の声を放った。

 透乃は重戦斧【緋月】を構えた。実際のところ、上空からの攻撃というアイデアそのものは悪くなかったのだ。蝙蝠が対空迎撃を行なうならば、地上に引きつけてしまえばよい。
 透乃にとって、戦いは楽しみでもあった。血沸き肉躍る、とでも言えばいいか。そういう性根だ。斧の重さを確かめるように肩に担ぐと、気勢をあげて亡霊に叩きつけた。実体と非実体の中間のような手ごたえを残して、亡霊が煙に帰る。遠心力と戦斧の重さに導かれるようにステップを踏んで、さらにもう一体を屠る。慈悲も遠慮も無用の相手。荒々しい攻撃は振るわれるたびに鋭さを増していく。
 亡者の波が押し返されはじめたのを察して、スライムが足元を狙うが、それも躱す。レニオールの舌打ちが聞こえた。
「蝙蝠! あいつを!」
 レニオールの命令に従い、上空の蝙蝠が透乃のもとへと降りてくる。小回りの利かない武器でこの群れを相手に無傷でいることはできないが……。透乃は笑む。作戦通り。
 万朶は再び、翼を広げて上昇した。迎撃の蝙蝠は数少ない。レニオールに向けて槍の穂先を向けると、竜のオーラが迸った。『ブラッド・アンド・アシッド』の起動中、本体は無防備だ。オーラが炸裂し、魔操術師を吹き飛ばす。同時に、蝙蝠とスライムが消え失せた。
 地面を転がったレニオールは、立ち上がろうとして果たせない。その脚にはオーラの鎖が絡みついており、万朶の槍とつながっていた。翼のはためきとともに逆さ吊りになる。
「な、あ、魔導書が!」
 レニオールの手からは魔導書がこぼれ、万朶は振り子のように勢いをつけて、その身体を放ってみせた。
 透乃が待っていた。レニオールが地面に落ちきる前に渾身のショルダータックルをかまし、そのまま戦斧を斬り上げる。
「くたばれ、消え去れ、あの世の果てまで飛んでいけー! 『罷迅滅追昇』!!」
 斧の重撃がレニオールの細い腰に深々と突き刺さり、跳ね飛ばし、向こう側の壁まで叩きつけた。壁の蒸気パイプが破裂し、白く熱い蒸気が濛々と噴き出す。
 半ば身体を断ち切られたレニオールは、
「……ふふ、やるじゃない……だけど、いずれ第二第三の私が……」
 うわ言を呟き、オブリビオンの生命はついに再び掻き消えた。レニオールの身体と取り残された魔導書は見る間に渇ききり、おがくずのように崩れ去っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『迷宮イチゴ狩り』

POW   :    いちごを食べます

SPD   :    いちごをお土産などにして持って帰ります

WIZ   :    いちごでスイーツを作ったりします

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 野望を抱いたオブリビオンは滅した。残ったのは様々な残骸と、守られたイチゴ棚。十分な量の収穫は確保できるだろう。戦いのあとのお楽しみの時間だ。大きく芳醇なイチゴの果実を見やり、猟兵たちは思わず唾を飲み込む。
箒星・仄々
心情
レオニールさんの供養?の為にも
いちご狩りを楽しんじゃいましょう

手段
小粒でみずみずしい赤の苺をもいでパクリ

甘いです!
もぎたてがいい感じですよ~

パクパク沢山食べちゃいます

イチゴ栽培が上手なクレイゴーレムさんを創っちゃうなんて
レオニールさんは凄い方だったんですね
世界征服じゃなくて
素敵な苺農園を目指せばよかったですのに


一息を兼ねて
レオニールさんやゴーレムさんへ楽し気な曲を捧げます

素敵な贈り物をありがとうございます!
これからも
この素晴らしい世界を慈しみ
素敵な日常を楽しみながら
未来へ歩んでいきますね~

骸の海でどうぞ静けく安けく


歌を捧げ終わったら
今度はお土産用と
ジャム作り用の苺を収穫ですよ♪


緋月・透乃
よしよし、まだまだ食べられそうないちごはいっぱい残っているね。いっぱい採っていっぱい食べよう!

できるだけたくさんいちごを採ってそれを持ってつまみながら、レニオールがでてきた扉の先にも行ってみよう。
どうせもう主もいないのだから、徹底的に漁ってしまおうってことだね!
いちごやゴーレムの開発記録みたいな、いちごつまみながら読むのに丁度いいものはないかなー?
魔法はさっぱりだからそういうのはなしでね。


祝・刻矩
いちご!ストロベリー!ふむふむ、大好きじゃ!
ところでここは食べ放題かのう?
ほかの猟兵が頑張ってくれた直後に食い気味にきて「なにあの人前のときいたっけ…?」な顔されても強い心を持ってここにおるんじゃ!うむ!

フルーツはそのまま食べるのが一番じゃ!
練乳もいらぬ
あ、スイーツ作り班が味見して欲しいというのなら、喜んでじゃ!
そこはそれ、それはそこ

食べるぞう!
(ヘタの方から食べる。すると先に行くにつれ甘くなるのだ!こないだテレビでやってた)
うむうむ、甘くてうまい
これから熟すのも甘くなれ〜じゃ!



「イチゴ! ストロベリー! ふむふむ、大好きじゃ! ところでここは食べ放題かのう?」
 ピンク色の耳と尻尾を機嫌よさげに動かしながら、祝・刻矩(風の如く、舞う如く・f14803)は微笑みとともにイチゴ棚に歩み寄り、大きく艶やかな果実をひとつもぎり取った。
 ゴーレムとレニオールとの戦いを乗り越えたばかりの猟兵たちからは「あの人さっきまでいたっけ?」といういぶかしげな視線が飛ばなくもなかったが、刻矩には強い心があったのでぜんぜん平気だった。
「おう、見事に生っておるのう。どれどれ……」
 フルーツはそのまま食べるのが一番、というのが刻矩の持論だった。もぎたてをその場でいただけるというならばなおのこと。ヘタをとり、香りを吸い込んでしばし酔いしれたあと、かぶりつく。
「うむうむ、甘くてうまい……。もうひとつじゃ」
 刻矩の笑みは満面に広がる。自由気ままが信条の彼だったが、美味しいものを食べているときは、とみに満ち足りたような気持ちになる。
「もぎたてがいい感じですよ~」
 小ぶりで瑞々しい果実を選んだ灰々が、その美味に驚く。止まらない、というように果実をもいではパクパクと食べていく。
「ヘタのほうから食べると、先にいくにつれて甘くなっていくぞ。試してみよ」
「お~……本当ですね!」
 刻矩のアドバイスに、灰々は目を輝かせる。この素敵な「贈り物」をくれたレニオールに対し、驚嘆の念さえ覚えた。
 ひとしきりイチゴを堪能した灰々は、蒸気機関式の竪琴『カッツェンリート』を広げた。供養、というのも変な話ではあるが、一曲歌を捧げたい気分だった。レニオールと、彼女の創り出したイチゴ栽培の得意なゴーレムたちに。軽快で楽しげなメロディを奏で、歌声を乗せて。
 この素晴らしい世界への慈しみを。素敵な日常を楽しみ、未来へと歩んでいく意志を。
「骸の海で、どうぞ静けく安けく」
 彼女が言い残したように、いずれまたこの迷宮に「レニオール」が現れることもあるかもしれない。だけど、そう願い祈ったとしても誰にとがめられようか?
 歌い終え、一息ついた灰々は、再びイチゴ狩りに戻る。今度はお土産とジャムづくり用の収穫だ。
「刻矩さん、ジャムの味見しますか?」
「おお、是非に!」

 いっぱい採っていっぱい食べよう!とカゴいっぱいにもいだイチゴを詰めこんで、透乃はにこにこしていた。スキップするような軽やかな足取りで、レニオールが出てきた扉の前に立ち、開ける。家探しの時間だ。彼女は当初から、「賊のようなことができる」と乗り気だったのだ。どうせもう、主だっていなくなったのだし。
 扉の奥は、ごく小規模な魔術工房・研究室といった様相だった。一人で準備を進めていたのだから、手狭なほうが便利だということか。その分、なにかと散らかってはいたが。
 大きな机(鳥籠がおいてあり、その中で蝙蝠が羽ばたき、体当たりを繰り返していた。主がいなくなったのをどうやってか察し、逃げようとしているのかもしれない)が鎮座する一室で、透乃は戦利品を広げる。
 甘酸っぱいイチゴを頬張りながら広げた紙ばさみには、迷宮のモンスターのスケッチが描かれ、寸評が書き込まれていた。「有用」「酸が強烈」「連れて行ったら私が死ぬ」……。
「うーん、おいしい! もう一個!」
 もう一個、と言いつつ、別に加減するつもりもない。扉の向こうからは歌声が聞こえてきた。合わせてハミングし、もう一つ見つけてきた革表紙の書物を広げる。こちらはイチゴやゴーレムの開発記録のようだった。試行錯誤の後が伺えた、が。
「ふむふむ……さっぱりわかんないや」
 魔法についてはまるで知識のない透乃には読み解けない。でもまあ、持って帰ろうかな。
 気づけばイチゴを食べきっていた。口の中に残る風味に名残惜しさを感じる。
 透乃はカゴと戦利品を抱えて戻ることにした。まだまだ、イチゴは残っているから。食べられるのを待っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月24日


挿絵イラスト