【サポート優先】冬の空、熱く滾れよその魂
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●成長過ぎたるは大問題
「ヤバいな……この寒さ、最高に燃えてきやがるシチュエーションじゃねぇか……!」
季節の移ろいをまったり楽しんで過ごすはずが。降り積もる雪に肌を刺す寒さ。滾る魂は大自然にすら打ち勝とうと成長を始めてしまう。
「クソッ、あいつらは……俺を『倒してくれる』あいつらは、どこだ……!」
●カクリヨファンタズム・9thラウンド
「ふとしたきっかけで成長を始めてしまうのが、竜神親分こと碎輝さんの玉に瑕なところですね。そういうわけで、碎輝さんを倒しに行ってくれる方を募集してまーす」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は両手をぶんぶん振ってアピールしながら今回の依頼の概要を伝える。と言っても、冒頭で言った内容がほぼ全てであるが。
「碎輝さんには、以前の戦争の時にお世話になった方も多いはずです。無限に成長を続けてしまうために封印されていた碎輝さんですが、私達が碎輝さんを倒すことでその成長をしばらく止めておくことができます。……逆に言えば、今回みたいに『その時が来たら倒しに行かなくちゃいけない』ということになるわけですが、そこは戦争の時のお礼もありますし、何より碎輝さんと戦うことで皆さんのレベルアップが図れるわけですから、力試しのお手合わせ感覚でぶつかっていくのもよいのではないでしょうか! なお、碎輝さんは相手となる敵がカッコよかったり正々堂々としていたりすると成長度合いが少し緩やかになるようなので、戦う前にカッコいい必殺技やシチュエーション談義などをして、皆さんのカッコいいアピールをしておきましょう! 冬に打ち勝つ炎の必殺技とか、逆に冬ならではの氷の必殺技とか、碎輝さんと話していればとにかく色々思いつけそうな気がしますよー。それでは今回もよろしくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
私は黙ってこたつ生活です。やっぱ寒いっすよ。
●フラグメント詳細
第1章:日常『終わらない冬の空』
冬にまで熱血ヒーロー反応を起こしてしまう碎輝のために、戦って倒してあげましょう、の序章です。
場所は冬の河原ですかね。雪が少し積もっているようです。寒いけど碎輝は燃えてんなーってことで熱いカッコよさ談義で皆さんもぽっかぽかになりましょう。必殺技の練習に体を動かすとか、いいと思いますよ。
第2章:ボス戦『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
説明不要、倒すべし。
倒せば小学生形態となってしばらく成長しなくなります……案外猟書家よりやべーやつかもしれませんね彼は。
第1章 日常
『終わらない冬の空』
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POW : 火を起こし暖をとる。
SPD : 走って身体を温める。
WIZ : 暖かそうな場所を探す。
イラスト:雨月ユキ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マホルニア・ストブルフ(サポート)
◇口調
男性的【私、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?】~よ、構わん、等
協力者には丁寧に接するよ。
◇行動方針:問題の解決
一般人がいれば保護が優先。
多少の負傷は問題なく行動。
◇戦闘・技能
知覚端子を張り巡らせて情報収集しながらサポートしようか。
電子媒体はハッキング、戦闘はグラップル、切断、射撃系がメインだな。使える技能は使っていこう。
武器はレヴィアスクかアサルトライフル。移動や捕縛でグレイプニルを使うこともあるな。張り巡らせて、多少の高度なら足場などに転用などか。
UCはハッキング・呪詛を組み合わせて実現させる。詠唱は長いから、有っても無くても構わんよ。後はよろしく頼む。
眞嶌・未来(サポート)
バーチャルキャラクターのシンフォニア×聖者、外見は十代前半くらいの女です。
ものすごくリアルなラブドールですけれどね!
基本的にサポートなので、守られながら知っている歌を歌って支援します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ラハミーム・シャビィット(サポート)
シャーマンズゴーストのUDCメカニック×戦場傭兵、25歳の男です。
口調は、掴みどころの無い変わり者(ボク、キミ、デス、マス、デショウ、デスカ?)
人と少しずれた感性を持っていて、面白そうならどんな事にも首を突っ込む、明るく優しい変わり者です。
戦闘時にはクランケヴァッフェや銃火器の扱いは勿論、近接格闘術のクラヴ・マガなどでド派手に暴れ回ります。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●成長と衰退を繰り返す者
グリモア猟兵に導かれた通りに河原の新雪をマホルニア・ストブルフ(構造色の青・f29723)、眞嶌・未来(センテニアル・ラブドール・f25524)、ラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)の三人が進んでいくと――。
「……お、来たか。待ってたぜ、猟兵」
竜神親分こと碎輝が仁王立ちで待ち構えていた。
服装は彼の戦争の時と変わっておらず見るからに寒そうなのだが、寒さへの反抗心が熱を生みだし、成長してしまうほどに滾りを覚えているらしい。
「さっさと始めてしまいたいところデスガ……こう寒くちゃこっちの体が動かないデスヨ」
「だな。少しは準備運動ってモンが必要だろ?」
「もちろんだ。俺だって『万全のお前達』と戦いたいからな」
碎輝は深く頷きラハミームとマホルニアの進言に同意する。
「ついでに、お前達の『カッコよさ』を見せてくれ。そうすりゃ俺の成長も少しは遅くなるだろう」
「カッコよさ……。女の武器❤ はたくさんあるけど、そういうのとは違うよね。何しよ……髪でも振り回せばいいのかな?」
未来は左右に一房ずつある髪束を掴むと、首を動かしぶんぶん振り回す。首の動きに合わせて遠心力で房は鞭のようにしなり、ちょっとした攻撃っぽくなった。
「それで縦回転も加えレバ、結構様になっていると思いマスネ」
「え、縦……どゆこと?」
「お、何か新しい技でも生まれそうか?」
ラハミームの助言に碎輝は興味津々だ。未来は二人がどんな想像をしているかよくわかっておらず、とりあえずその場でくるくる回ってみた。ツインの髪は靡きながら、遠心力で水平に持ち上がる。
それもまた一つの技だろうが、さらにカッコよさを求めるためには――。
「あー……そのスピンを、浮くか何かして体を横に倒しながらすれば、縦回転……いや、理屈はそうだが」
マホルニアが両手で動きを示しながら解説する。水平方向の遠心力を垂直に傾けるには、体そのものを水平まで倒さなければならず。
「え……ジャンプして体を倒しながらスピンするの? きつくない?」
未来は試しにジャンプしてみるが、スピンしながら体を倒すという動作はそもそもが地面に身を投げ出すような動作のため、恐怖と防衛本能が働いてうまくいかない。
「雪の上に向かってやってみたらどうデスカ? 雪がクッションになってくれると思いマスシ」
「何その激突前提……でも、まあ……」
碎輝のこともあるので、一応は物の試しに、と未来はまだ踏み固められていない真っ新な雪原に向かって走ると、
「とやっ」
跳んだ、回った、そしてもう受け身を取る気すらなさそうな程に体を投げ出した未来のツインテールはひゅうんと風を切って回り――そのまま雪の中へどぼん。
散らかった雪に混じって未来の髪が一筋、雪を斬り裂いた。
「ひぅぁ! 冷た……」
起き上がった未来は慌てて体に付いた雪を払う。カッコいい技の成否を気にする暇があるなら体温の維持に努めたい。未来の率直な気持ちだった。
「でも、なかなか様になってたぜ。髪が長けりゃ、ああいう戦い方もあるんだな……」
新たな知見を得て碎輝は深く感じ入る。カッコよさのストライクゾーンはどうやら広いらしい。
「次はボクが行きマスヨ」
ラハミームが手にした邪神喰らいの骨鞭は、ラハミームが最初に造り上げたクランケヴァッフェだった。手慣れた風に手元でひゅっひゅとしならせて雪を切り崩し、ブロック状にした雪塊の端を叩いて跳ね上げる。
それはまだ準備に過ぎない。宙に浮いた雪塊は回転する勢いで少しずつ形を崩していくが、それが宙の頂点に到達する前にラハミームはじゃらりと揃えた銃火器類に手を伸ばしていた。
まずは右手にUDC正式採用拳銃で一発撃ち放ち雪塊のど真ん中を抜くと、それを上に放り投げながら左手の対UDC用ショットガンで続け様砕ける雪塊へ散弾を撃ち込み、それもまた上に放ってUDC討伐用試作超電磁狙撃銃【明けの明星】を穴だらけの雪塊向けて発射、ボンと破裂して金平糖みたいな雪の欠片が散った空に、最後に担いだAT-5を撃ち上げて大穴を開けた。
AT-5を降ろしたら、左、右と順に落ちてくる拳銃とショットガンをキャッチし、曲芸的四連速射が完結する。
「雪相手ではちょっと迫力に欠けマスガ……」
「そんなことないぜ! すげー早業だ! それを息もつかせぬ戦いの中でやってのけるのが、お前達猟兵だもんな……」
碎輝は目を爛々とさせながらしみじみと猟兵の凄さを語る。見る目を持つ者はその価値が即座にわかるのだ。
「最後は私か。まあ、速さの点では二番煎じになるが――」
マホルニアは弓形の両刃剣、レヴィアスクを二つの刃に分割して双剣とすると、体勢を低く保って俊足を飛ばし雪原へと斬り込んだ。左右の刃でV字を描くように雪塊を抉って刃面で頭上に高く放り投げた後は自らも飛び上がり後方宙返り。その間に逆立ち状態で辿り着いた雪塊へ雷の交差する斬撃を加えて、細かいブロック状にした雪の一つ一つへ向けて刃を反転、二丁拳銃の狙撃で全てを撃ち抜き着地した。
弾丸の熱で溶かされた雪は微細な水蒸気となり、靄の雰囲気を作った後に霧散する。マホルニアは双剣をまた弓形に戻すと、地へ向けて薙いで露を払った。
「……確かに、雪相手じゃあこの程度が限界……」
「陸の上でさえ強いのに、空まで飛んじまったら無敵じゃねぇか! 期待通り――いや、俺のちっぽけな期待なんか軽く越えて、お前達は何処までも飛んで行っちまう! さすがだぜ! 猟兵ってのはよ!」
マホルニアが見せたカッコよさに胸を打たれた碎輝は熱弁を始める。まるでそこらの妖怪達みたいな熱狂っぷり。それが幽世を統べる親分勢の一人というのだから、世界と言うのは真に不思議なものだ。
「……そのくらいにしておいたほうがいいのではないデショウカ。過熱は『成長』の元なのデハ?」
「っと、そうだな……よし! それじゃあ、本題に入るぜ! 猟兵達! 全力の全力を俺にぶつけて、俺を打ち負かしてくれ!」
言った傍から、碎輝の体にはぱちりと成長電流が走り始めていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
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POW : 成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD : 黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。
イラスト:108
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●成長に果ては無い
俺を超えていけ――碎輝は猟兵と出会う度にそんなことを口にする。
己もまた強者との戦いを待ち望みながら、親分勢の一角としての役目も果たす。それが碎輝という男であり、猟兵達が無限に尊敬の念を抱くことのできる親分だった。
緋神・美麗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
技能を駆使して命中と威力を底上げした一撃必殺UCを選択して使用しボスに向かって全力攻撃する
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。
服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」
《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。
《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!
《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。
◆ボス
ぼす。ビビに倒せるかな。心配。
一緒に行ける人がいたら、ビビ連携とるよ。囮もやる。
難しい事苦手なの。作戦、教えてくださいな。
空中を飛び急降下落下。怪力載せた鹿の足で着地、地面を割る、など。
●成長を凌駕せよ
「まずはこいつだ! うおおぉぉぉ!!」
高まる気合に迸る成長電流。白銀の世界で碎輝は黄金の竜となる。ばさりと空を一つ煽いだ翼竜は緋神・美麗(白翼極光砲・f01866)、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)、ヴィヴィ・ジーヴ(いつも誰かのお手伝い・f22502)の三人の頭上を飛び抜け宙を返り、赤紫の電流を辺りに撒き散らした。初めは雪原を撫でるかのようなごく弱い電流だが、碎輝を捕まえなければやがて雷に匹敵する大電流へと成長を遂げてしまうだろう。
「ビビ、速いの、苦手……」
「うーん、地上には降りてこないかな?」
飛翔しているというだけで手段が縛られていく。ヴィヴィも透乃も当たれば強力な一撃を持つが、それだけでは碎輝に対抗し得ない。
「だったら私がやるしかないようね……!」
待つわけにはいかない。事態は刻一刻と悪化しているのだ。一秒でも早く碎輝を墜とす――念動力を作用させて跳び上がることで疑似的に飛翔の力を得た美麗が、金色の巨体を迎え撃つ。
『この俺を止められるか!?』
「できるできないの話じゃない……『やってみせる』、それだけよ!」
『やはり俺の目に狂いはねぇ! 最高だぜ、猟兵!』
碎輝は大口を開けて電流の咆哮を溜めていた。赤紫に輝く口内のエネルギーを爆発させながら突進して撃ち落とす算段――食らうわけにはいかない。美麗が指先に溜め込むのもまた電流であるが、碎輝のものよりはやや青みを混ぜ込んだ紫電だった。
カッ、と光が広がってからは一瞬。吐き出された高圧電流が幽世の空に夢幻の夕焼けを作り出す。一筋と表現するには巨大すぎる流星が輝いた空に美麗は――。
「ぎりっ……ぎり!」
思考と感覚を最大限活用し、碎輝の咆哮のタイミングを逃さなかった美麗は流星を飛び越えていた。直下に見る赤紫光は足先に触れただけでも体全てを持っていかれそうな迫力を帯び、美麗は頬に冷や汗が伝う感覚を覚える。
しかし碎輝の上空は取った。交差する両者。接触の時間は刹那に等しく、それを逃せば次は無い。
この手に全てがかかっている――震えを力に変えてこそ猟兵だ。垂直に立ち上がってきた翼へ美麗はありったけの力で腕を、指を伸ばしていた。骨格を鷲掴みにし、紫電に籠めたるは機械がショートするかのような電撃爆発。バチンと弾けた翼は碎輝の意思とは無関係に力を失い、空より金色が落ちていく。
『うぉお!?』
「あっ……ドーン、できそう」
仲間が作ってくれたチャンスだ。無駄にはしない、とヴィヴィは目をしっかり見張って落ちる碎輝を睨みながら鹿足に力を蓄える。同時に、満腹感を蓄えていた透乃は重戦斧【緋月】の封印に触れて、
「曇りなき、刃の空に、緋い月」
扇子でも扱うかのように軽々と、満月を描くように両手で回しながら、その刃面に妖しく緋い三日月を光らせる。封印の解かれた重戦斧を以って――全てをこの一撃に。
地を駆ける緋き閃光があった。白雪の煙が舞うより速く、秘密の翼で追う狐が在った。互いに不干渉でありながら連動した動きを見せる透乃とヴィヴィ。落下する金色の巨星が地を揺るがすその前に。地を征く透乃は跳び、翼を根こそぎ刈りにいく。
弧月、一閃。
『ぐああぁぁ!!』
碎輝の片翼がぶつと千切れてくるくると宙を舞っていた。落ちた体はずどんと白雪の幕を立ち昇らせながら大回転。振動は地上にいれば身が竦んでしまうほどであったが、追いかけるヴィヴィは無縁の宙にいる。
回転に巻き込まれて下敷きになった尾が雪に塗れながらヴィヴィの目指す空中に持ち上がってきた。ヴィヴィはむっと口を引き結んで加速すると尾の先をキャッチし、碎輝が転げるのを逆に引き摺るまでに怪力で無理矢理引っ張ると、そのまま頭上まで巨体を持ち上げ、
「ドーンっ!」
ぎゅるん、と金色靡く軌跡は偃月の軌道で上昇から一気に地上へめり込む。天地の反転は知覚するまでに過ぎ去った。残るは雪原の下で固く凍った大地へ背を強か打ち付ける激痛のみ。容赦というものを知らない――それはお互い様。
『ぐがぁ……こ、の……感覚……お前達猟兵相手じゃなきゃあ、味わえ、ない……感覚だ……』
窮地。しかし碎輝は強くなる。乗り越えるべき壁は一層せり上がり、猟兵達の前に立ち塞がる――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
シャイニー・デュール(サポート)
『拙者は剣士でござります故!』
ウォーマシンの剣豪×クロムキャバリアです
真面目な性格ですが勘違いや空回りも多く、かつ自分がズレているという自覚もありません
正々堂々とした戦い方を好みますが、それに拘泥して戦況を悪化させたりはしません
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
公序良俗に反する行為は(そういう依頼でない限り)しません
サムライというものに憧れていますが、正しい知識はありません
銃を使うことを嫌っているわけではなく、必要に応じて刀と内蔵兵器を使い分けます
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
月影・左京(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK!
「はわっ!?……大丈夫。私も手伝うから♪」
一人称:私
口調:女性的でラフ(〜よね、なの?、あら〜等)
口癖:はわっ!?
性格:おっとりのんびり。「わぁ!頼りにな……る、の?(笑)」な印象
基本戦法:【忍び足】で敵の死角に入りメイスによる【気絶攻撃】を【2回攻撃】。【鎧砕き】も狙う。
敵の攻撃は【聞き耳】を立てて【第六感】も使い、【見切り】ます。
※不意打ちを受けた時など、「はわーっ!?」と叫ぶ傾向あり。
指定したUCを何でも使用。
但し負傷した猟兵がいれば戦況次第で攻撃より【祈り】の力と【医術】及び【救助活動】で治療。
後はお任せします。よろしくお願いします。
●成長とは、戦うことと食べること
竜が人の姿に戻る。それが必ずしも弱体化を意味しないのが碎輝という男だ。背を抉るように削がれた痛恨の姿だが、激しく飛び散る成長電流の猛りは増すばかり。
「俺の、ことは……知ってるよな……? 一撃で……仕留めなかった、ら……どう、なるかを……!」
「勿論です。越えるべきものはより高く在るべき――竜神の名を冠する貴方を軽んじているわけではありません。これは言うなれば、あらゆる困難を乗り越えてきた私達の自負」
レイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は語る。本気を問えば際限なく、世界の果てさえ過ぎてしまう碎輝だが、数多の戦争を乗り越えた経験はその力に匹敵する。
「剣士たるもの、弱きを挫いて満足するわけには参りませぬ! 今一度、強者たる碎輝殿とお手合わせ致したく――!」
戦いとは時に貪欲に勝利を追い求める必要があるが、シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)の真っ直ぐな瞳はそれを良しとしない。剣士としての矜持がシャイニーをこの場に立たせていた。
「大丈夫、皆がいるんだもの……後で、治療してあげるわね!」
真剣か模擬か、と問われれば碎輝との戦いは紛う事無き真剣勝負。しかし雌雄が決した後は互いに手を取り、健闘を称え合う仲間であろう。成長した碎輝を前にする月影・左京(夫婦ゲーマーのはわっ担当・f06388)は仲間を信頼しつつ、碎輝への慈愛も忘れない。
「頼も、しい……じゃないか……なら、俺は! この一撃、で……決着を、つける……!」
勝利、あるいは敗北。引き分けなど望まない。碎輝は成長電流の中に己が力の一端である槍を呼び出すと、自身が変化した竜にも似た雷電を呼び起こして宙へと解き放った。
雷鳴の咆哮を轟かせ、雷電は低空を飛翔して三人の元へ突っ込んでくる。如何様にも操れる雷電を真っ向から仕掛けてくるのは如何にも碎輝らしい。
対し猟兵。レインとシャイニーが前進、左京は退いて次に備える。
「雷にどれほど耐えられるのか――勝負といきましょう」
「拙者の剣は、雷をも斬ってみせまする――!」
レインが両掌の間に電流を走らせて、シャイニーは静かに居合いの構えを取った。雷電の形作る鋭き両腕が地表の雪を溶かしながら向かってくるところへ、その両掌とその剣が振り出される。両者ほぼ同時の激突。形ある雷電は相応の質量を以って、二人纏めて押し込んでいく。
「はわっ!? だ、大丈夫!?」
「何の、此れしき……!」
「後ろには、通しませんので……ご安心を……!」
無銘の刀が灼けて輝き、両掌からは火花が散った。自らが望んだ力の前にあっけなく倒れては世界を託された者として示しが付かない。退いた左京の眼前であったが、レインとシャイニーは際どく持ちこたえる。
雷電の突進力は増す一方でしかなく、長期戦は圧倒的に猟兵が不利。押し返し、押し切るならこの一瞬――レインとシャイニーはちらと目配せしたのみでその時を計り、同時にぐんと地を踏む足に力を籠めた。
拮抗から僅かでも針が振れれば、その瞬間に勝機を掴む。雷電に両掌を押し込んでいたレインが一端に掴みかかってこじ開けんとすれば、シャイニーが刃を食い込ませて雷電を断たんとした。
一つの決着が果たされる。レインとシャイニーが共に踏み出した一歩は、彼女達が無限の成長を乗り越えたことを意味していた。雷電に走ったノイズが全体像を揺らがせると、途端に雷電は宙へと弾け飛んで掻き消える。
「打ち……破るか! だが、さらに――!?」
碎輝の言葉は不意に背を打った衝撃に阻まれた。迫り来るレインとシャイニーから間を取ろうと後方へ跳んだ――そこには光の壁があった。
いつの間に、と思考する間に戦場は聖なる光に支配されていた。そこはもう碎輝の領域ではなく、左京の下に作り出された迷宮の中。包む光は穏やかながらも、碎輝を逃げ場のない袋小路へ落としていた。
「標的視認――剣士とて、剣の道ばかりでは伸び代が限られます故!」
尤もな理屈に見えて、シャイニーが放つ両目のレーザーガンは無慈悲に光の迷宮を走り抜ける。碎輝が二点の輝きを見た時にはもうレーザーが腹を突き抜けていて、体が岩のように動かなくなっていくのを感じていた。
「そう……無限の成長は貴方だけの特権ではありません」
がく、と膝を折る碎輝を吊り上げるようにレインはその左腕を掴むと、全身に迸らせた電流を一気に流し込んだ。成長電流へ逆流的に流し込まれたレインの電流は碎輝の残す力を悉く食らい尽くす。
「がああぁぁっ!!」
ショックで飛び出した絶叫に一度体が跳ねると、碎輝はそれきり意識を失って動かなくなり――。
「『こうなる』のも、もう慣れちまったなぁ」
左京の祈りを浴びながら、「小さな」碎輝は呟きを漏らす。倒されたことで「小学生形態」となった碎輝はしばらくの間成長が止まり、それだけ世界の破滅が延びる。
つまりそれを延々と繰り返していけば、碎輝を封印することなく世界を維持し続けることが可能なのだ。
「……はい、これでもう大丈夫」
「ありがとな。さぁて……腹が減ったな! 何か美味いモンでも食いに行くか!」
それは、猟兵達の未来に待ち受ける次なる戦の為に――碎輝は姿形を変えても、やはり親分肌なのであった。
成功
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