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破戒僧は風の旅人を喰らう

#シルバーレイン #【Q】 #ナンバード化オブリビオン

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#【Q】
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#ナンバード化オブリビオン


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●真に邪悪は人間道
「ふむ、数が減ったか。また奴らを喰らわねばならぬのは業腹だが、この力を持ったからには背に腹は変えられぬと言うもの」
 ボロボロの修行服を纏った僧の様な男が佇んでいる。
「嗚呼無情也。罪と不幸を撒き散らす人間は滅ぶべし、されどその為の力を振るう為に人間を喰らわねばならぬとは」
 男の胸の刻印が妖しく光る。
「ふむ……この程度が精々か」
 男の周囲には学生服姿で、刀と猟銃を手にしたゾンビが複数体現れていた。

●風の向くまま
「〜〜♪♪」
 美味しそうにクレープを頬張りながら、楽しそうに鼻歌を歌い、ローラースケートを走らせる。その女はとかく、賑やかだった。
「んーっと……しらす丼しらす丼、忘れちゃいけないしらす丼〜〜♪♪」
 そう、彼女は全力で鎌倉観光を楽しんでいた。

●古都鎌倉にて
 猟兵達の集まる中、いつものように不機嫌さを隠すこともなく冴神・駿介(ゴーストハンター・f35755)は事件の概要を告げた。
「ナンバード……聞いた事がある奴もいるだろう。そうでないなら、能力者を殺さないとじきに消滅しちまうゴーストとだけ覚えときゃいい」
 それがオブリビオンとなって現れたらしい。
「場所は鎌倉、狙われている能力者は……観光をしている。だからまあ、観光客や地元民を装って、一緒に観光してやりゃあいい。そのうちオブリビオンが手を出して来るはずだ。
 対象は在野の能力者の女性、ジョブはシルフィード×月のエアライダーって所だ。詠唱兵器はエアシューズ、戦いの際に使用するアビリティは……」
 駿介は盛大な溜息の後、面倒そうな顔をし、続けた。
「ゴッドウィンドアタック、破壊力に満ちた荒れ狂う暴風を纏い、近くの対象1体に捨て身の突撃をする……名前の通り神風特攻のような技だ。
 当たっている間はいいが……防御される、若しくは外せば自身の纏った暴風に呑まれ瀕死に追い込まれる。いいか、戦わせるな、絶対に戦わせるな。振りじゃねぇぞ」
 瀕死の能力者などナンバードの格好の餌食だ。
「ああ、あとは……ナンバードの胸の数字のカウントが0になれば消滅するという特性は引き継がれているらしい。つまりだ……奴らは内心消滅の危機に怯え、常に余裕が無く、焦っている。わかるな、上手く使え」
 駿介はそこまで言うとテレポートの準備を開始した。


神夜将比古
 旅行行きたい。
 神夜将比古です。

 今回は鎌倉で観光を楽しんでいる野良能力者をナンバードの脅威から守って頂きます。
 能力者の能力はオープニングの通りです。

●第一章:日常シナリオ
 ぶっちゃけ野良の能力者なので、銀誓館?猟兵?何それおいしいの?状態です。
 普通に一緒に観光を楽しみ、仲良くなって信頼を得つつ、オブリビオンの襲撃に備えてください。

●第二章:集団戦シナリオ
 なんか刀と猟銃を持った学生服姿のいかちぃゾンビがわらわらと出てきます。蹴散らして下さい。一章で適切な準備が出来ている場合は全員にプレイングボーナスが付きます。

●第三章:ボス戦シナリオ
 能力者の安全を確保した上で、ナンバード化オブリビオンとの決戦に突入します。
 数字の刻印によって通常よりも強大な状態になっていますが、0になると消滅する為、「常に余裕がなく、焦って」います。それを利用すれば容易く罠にはめることができるでしょうし、ちょっとした嘘やトリックにも簡単に引っかかります。(プレイングボーナスが入ります)

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『今日は観光日和』

POW   :    ご当地グルメを満喫する

SPD   :    街中や自然の中を散策する

WIZ   :    神社仏閣を巡ってみる

イラスト:乙川

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イサリビ・ホムラ
自分、胡乱ゆう言葉がぴったりですからなぁ
まぁ見繕った現代服でも着て声かけるとしましょ

はは、お嬢ちゃん。えらいご機嫌な鼻歌ですなぁ。そんなにしらす丼が楽しみなら、ひとつ美味しいお店を案内しましょか?
鎌倉にはちょいと詳しいですよって

食べるだけなら、その後の観光もかねて小町通りでもええんですけど、江ノ島ついでに新鮮なもんなら漁港に近づくんもおつなもんです
天気もええし潮風も気持ち良さそうですなぁ。腹ごなしに海岸沿い通ってみるとしましょか

……この時期の海岸ならいざ戦いになっても大きな邪魔はいりませんやろ
襲ってきた時はお嬢ちゃんを背中に回して、逃す時は大通りにさえ出してまえばええかな

アドリブ絡み歓迎ですわ


穂村・耶子
【POW】判定

鎌倉観光だったら、銀誓館学園卒業生のボクにお任せだね!
事前にネットで『美味しいスイーツ』と『しらす丼』が食べられるお店をチェック
ガイドブック要らずなんて、いい時代になったよね、ホント♪

後は、道に迷ってるふりをして、自分が調べたお店の場所を彼女に聞いてみようか
もし知らなくても、上手く目的のお店に誘導して、一緒にランチをしないか誘ってみる
「いやぁ、見つかって良かったよ。よかったら、ご一緒してもらえるかな?

勿論、ボクの奢りだよ
こういう時、サッとお金を出せる人がカッコいいんだよね、きっと
紫芋アイス、バームクーヘン、手作りスコーン……今の鎌倉のトレンドスイーツは、こんな感じかな?


泰山・敏郎
●行動方針(連携歓迎・アドリブは実際のラップ描写以外は歓迎)
- コンタクト:保護対象のルートに先回りして路上フリースタイル。気を引いたところで飯に連れて行く
- アクション:予知で示された敵の出現ポイントからなるべく遠ざける。なんなら食休みでしばらく足止めを狙う。俺も食う。

●心境など
よう。借りを返しに来たぜ、冴神。

ともあれ縁あって知ったんだ、この件、噛ませてもらう。
元気そうだからな、俺の曲も上手く刺さるだろ。
そんでまあ、量食いそうだからそっち方面の食べ歩きに連れて行く。

きっちり接敵ポイントから遠ざけて、な。
食休みの間にこっちで面倒事は畳む算段だ。

もしラップが刺さらなかったら?
泣くが。全力で。



「お姉さん、観光かな?」
 対象らしき女性を見つけ、穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)は声をかける。
 歳の頃は大体同じくらいだろうか、その声に気付き、彼女は視線を向け、クレープの残りを片付けると言葉を返した。
「うん。綺麗な海、古き良き街並み、美味しいグルメ。一度回ってみたかったんだ、鎌倉」
 青春時代を過ごした街を良く言われれば、耶子としても悪い気はしない。自然と雰囲気が綻ぶ。
「少し前までこの辺りの学校へ通っていたんだ、行きたい所は?鎌倉観光だったらボクにお任せだよ!」
「んー……そうだね、江ノ島、あとしらす丼!」
「オッケー、えっと……」
 耶子はタブレットを取り出し、事前にいくつか調べて置いたページを開く。
「ああ、そこなら間違いないわ。案内しましょか?」
 その画面を覗き、声をかけるのはイサリビ・ホムラ(燻る漁火・f34679)。猟兵は世界の加護により、どんな外見でも住民に違和感を与えないと言えど、直接接するのであればと現代服に身を包んではいるが、どことなく胡散臭い。
「ああ、怪しい者ちゃうって。えらいご機嫌な鼻歌が聞こえてな。どやろ、鎌倉にはちょいと詳しいですよって、連れてって損はないと思いますで」
 耶子とイサリビの視線が合う。
「んー、ボクも前もってネットで調べただけだし、道も詳しくないんだよね。案内して貰おうか?」
「そうだね。なんかこのお兄さん、鎌倉って雰囲気するし。なんか詳しそう」
 耶子が促すと、女性も肯定の意を示した。
 イサリビの案内で、目的地へと向かいつつ、途中で食べ歩き出来る物を買い食いする。紫芋アイス、バームクーヘン、手作りスコーン……ちなみに耶子の奢りの提案は、
「こういうのは、自分でお金を出して体験するから思い出に残るの。私に観光、させて?」
 と丁重に断られてしまったが、道中は終始和やかな雰囲気で進んだ。

『俺は謳う、お前たちに向けて。未来へ征く、戦友たちのために。肉は裂け骨は折れようと、その絆――絶たれることなし』
 道中の公園、路上フリースタイルを豪快にかますのは、泰山・敏郎(錆びた冠・f35267)。彼の魂を込めた曲に、女性も足を止める。敏郎の曲が終わると同時に、彼女は楽しそうに拍手をする。
「お兄さん、凄い!なんかこう、上手く言えないけどすっごく熱くなった。ねぇ、この後暇?これからみんなでご飯なの。お兄さんも一緒にどう?お話聞かせて」
 彼女は敏郎へ近寄って手をとり、ぶんぶんしている。敏郎の曲は彼女の心に深く刺さったようだ。
 上手く事が運んでいる事を実感しつつ、敏郎はやれやれと言った風を装いながら
「アンタ達も構わないか?」
 と、耶子とイサリビへと尋ねる。
「もちろん!」
「まあ、食事は大勢のが楽しい言いますからな、自分もええですよ」
 こうして、猟兵達はスムーズに対象との合流を果たした。

 江ノ島の食事処、しらす丼の乗るテーブルを囲みながら、和やかな雰囲気で食事は進んでいた。
 数刻後、周囲の空気が澱む。3人は視線を合わせた。
「すまん、電話だ。少しばかり対応してくる」
 まずは敏郎が席を立ち、
「あー……ボクちょっとお花を摘みに」
 次に耶子が席を立った。
 イサリビが暫し場を繋いだ後、
「あの2人、ちょっと遅いなぁ。自分ちょっと見てきますわ。お嬢ちゃんはここで待っとって。皆していなくなったら食い逃げ思われるさかい」
 と釘を刺し、席を立った。

「おそーい」
「すまんすまん、せやかてみんなで一斉にってのはいくらなんでもあやしいし、お嬢ちゃんもそれわかってずらしたんやろ?
 ともあれ、上手くやってきたから暫くは大丈夫や」
「そうか、そいつは安心だな。
 それじゃあ、面倒事はさっさと畳んじまおう」
 敏郎が外を指し、耶子とイサリビが頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『キラーゾンビ』

POW   :    サーティスリーデス
【殺戮への欲望を解放した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    猟銃乱射事件
レベル分の1秒で【なぜか弾の尽きない猟銃】を発射できる。
WIZ   :    殺戮衝動
【殺戮への欲望】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。

イラスト:小日向 マキナ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が店を出ると、空気の質量が増す。
 特殊空間……地面には乾いた血が広がり、すえた匂いのするそこには、血に塗れた学生服を纏い、刀と猟銃を手にしたゾンビがわらわらと蠢いていた。
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 第二章です。こんな塩梅になりました。能力者の女性を戦闘からは遠ざけているのでプレイングボーナスが入ります。
 二章からでもグリモア猟兵が近場にテレポートしますので、気にせずご参加下さい。
 それでは、皆様のプレイング、お待ちしています。
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イサリビ・ホムラ
アドリブ絡み歓迎ですわ

鎌倉って雰囲気?なんや気になるわぁ
あとであの子に聞くためにも、まずは死んどるか生きとるかよーわからん連中を倒さんとなぁ

自分、物騒なんは苦手なんですよって
長い間飾られてたうちに勘も鈍ってもうたし…ひとつ同行しとる皆さんに期待させてもらいましょ

あはは、速く動くんはまだしも、のんびり亀さんペースなら自信ありますわぁ
何時間でも太刀構えたまま待てますよって。相手が同士討ちしとる間『小休止』させてもらいましょ
敵が間合いに入るか大きな隙が見えたら動きますわ
武器もっとる両腕と頭さえ潰してまえば生きとっても無力やろか?
切るやのうて潰す感覚で一撃を見舞っていきますなぁ
……うへぇ、エグいわぁ〜


泰山・敏郎
●行動方針(連携歓迎・ラップ描写除きアドリブ歓迎)
- 基本:UCで多数を引き受けつつ支援タイプの立ち回りしてる猟兵をカバー
- 技能:気合い・継戦能力・義侠心
- 付記事項:保護対象の能力者が万が一出てきた時にはそちらの保護最優先

●心境など
さて、まあ大体思惑通り、と。
サクッと畳んで本命引きずり出すとするか。

……もし違ったならその方がいいんだが、こいつら、本命に喰われた犠牲者か?
もしそうなら尚の事、きちんと送ってやる必要がある。

俺の言霊は魂に火を灯す。
ほんの微かでも、当人すら分からないレベルでも。
そこに灯りがあるなら、必ずそれは燃え上がる。
"ラッパーは影、言葉は光"だ。

とにかく、手早く済ませるぞ。


穂村・耶子
うわぁ……随分と湧いて出たね
こういうのは、一体ずつ斬っても埒が明かないかも

距離を詰めようにも相手の持っている銃が邪魔だし、だったらこっちも遠距離から攻撃しよう
UCで雷を纏った狐火を呼び出して、物陰から攻撃しようかな
相手がどれだけ強くなっても、狐火のスピードは光速だからね
避けようと思っても、身体の動きが追い付かないんじゃない?
最悪、撹乱と時間稼ぎさえできれば、後は勝手に敵が眠ってくれるみたいだし

敵が昏睡状態になったら、全ての狐火を合体
稲妻を纏った巨大九尾狐の形をした炎で、全部焼き払っちゃおう
「これぞ、お稲荷様の奇跡なり……なんてね。悪いゾンビは消毒するに限るんだよ


ディーン・ランバート
■心情
 オブリビオンと言ったか。
 過去からの脅威が未来を潰そうとするのを、猟兵として覚醒したからには黙ってはいられぬのでな。
 この力をさっさと体に馴染ませて使うだけだ。

■攻撃指針
 前に立ちながらも、できる限り戦場を把握できるように努め、他の猟兵と連携を取るように動く。
 日本刀を使用し攻撃。
 まとまった敵にはUCを使う。

(アドリブ連携大歓迎です)



●亡者共の舞踏会
『まだ消えちゃいない、まだ諦めちゃいけない。今からお前に問う、それが本当の望みだったのか!』
 敏郎の魂の叫びがゾンビ達へとぶつかる。
 生まれ落ちたスラム、周りは易々と楽な道を選んで行った。だが、敏郎は耐えた。血と汗と泥を食み、飢えを耐え抜いた。皆に倣うのはただただ悔しく、流されるのは己自身が許さなかった。その末にあった魂を賭けるラップ、手にした力ユーベルコード。
 "ラッパーは影、言葉は光"
 対象の内にある闇を焼き払い、その内より湧き上がる炎を呼び覚ます言霊は、敏郎のような強靭な魂を持つ者には、光をもたらし、灯りを灯す力となったろう。
 では、対象の魂が殺戮衝動のみ、つまりは闇一色であったとしたなら……死の舞踏(ダンスマカブル)、そいつを燃料に燃え尽きるまで踊るだけだ。
 魂と共に繰り広げるフリースタイル、敏郎の魂に刺激され殺戮の衝動を燃え上がらせたそれらは、その身を内から湧き上がる炎で燃やしながらも敏郎へと殺到する……が、攻撃の手は吸血コウモリの群れにより和らげられる。
「まったく、話を聞いて来てみれば。気持ちはわかるが無茶をする」
 コウモリの主、ディーン・ランバート(紅炎銀月・f35262)は、元銀誓館の能力者である貴種ヴァンパイアだ。猟兵の力は未だ体に馴染まないが、歴戦の勝負勘と、自身の眷属の扱いによって、猟兵としての風格は他に劣る事は無かった。
 そしてディーンという男は、世界を股にかけるバンドのボーカル……敏郎と同じく、己の魂の叫びを曲に乗せて、聴く存在の心を揺さぶろうとする者だった。
 ラッパーとボーカル、手法の違いはあれど、その魂は常に熱を帯びていた。
「貴殿の魂は私が聴いた、その言霊は、確かに私の魂へと更なる熱を灯した。今から私の望みを見せよう、オブリビオン……奴らが未来を潰すのを黙って見てなどいられるものか」
 コウモリをそのままゾンビへとけしかけると、ディーンは日本刀を構えた。
「いい感じの世界が出来上がってる……いやいや、僕も負けてはいられないかな。勝負は一瞬……秘術・神雷焔狐!」
 2人の様子を眺め、耶子も80弱もの数の狐火を放つ。光速で動く狐火は、殺戮への欲望を解放し自身を超強化した代わりに、理性を失い、速く動く物を無差別攻撃するようになったゾンビ達の格好の的だった。
 狐火のスピードにはゾンビの体の動きではおいつけまい……この点に関しては当てが外れたが、しかし、耶子の目論見は概ね成功していた。光速で動く狐火は、ゾンビ達の動きを撹乱し、動きを惹きつけ時間を稼いだ。
 魂でぶつかる敏郎、コウモリを放ち刃を振るうディーン、狐火で敵を撹乱する耶子。
 その後ろでイサリビは泰然自若という風に構えていた。
 元々物騒な事は苦手なのだ。同行している者に期待し、自分は太刀を構えたまま待ちを決め込み、隙が見えれば重たい一撃を叩き込もうという算段だったが……そうしていると見えてくる事もある。
「熱くなっとるとこ非常に申し訳ないんやけど、今は体張る時ちゃうやろ。まだ引きずり出しとらんで、本命。小休止、小休止。ほら、一旦止まって見てみぃ」
 イサリビの言に促され、敏郎とディーンも動きを止め、耶子も揃ってゾンビ達を観察する。
 そこにあるのは地獄だった。熱き魂に己が内にある殺戮への欲望を呼び起こされ、それを解放し、増強、肥大化させた末の暴走。尽きぬ銃弾をばら撒きつつ、ゾンビ同士で切った張ったを繰り返し、破滅の道へと進むだけ。
「ほら、みぃんな昂って同士討ち。別に自分らが手を下すまでもあらしまへん。のんびり亀さんペース、あとはじーっと眺めてましょ」

 ゾンビ達が倒れ、その身体が積み上がって行くのにそう時間はかからなかった。その様子を見て、耶子は全ての狐火を合体。稲妻を纏った巨大九尾狐の形をした炎で積み上がるゾンビを焼き払った。
「これぞ、お稲荷様の奇跡なり……なんてね。悪いゾンビは消毒するに限るんだよ」

 しかして、ゾンビの群れは猟兵達の手により消滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『螺旋の怪・『黒籠手』のムサシ』

POW   :    懺悔の鉄拳
【憤怒の念を込めた剛腕の正拳突き】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    羅漢の殺陣
自身に【怒りと激情に満ちた仁王の覇気】をまとい、高速移動と【剛拳から放つ圧縮された空圧弾】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    怨恨の呪念経
【対象の罪を白日に晒す、禁断の読経】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生誕から今に至るまでの罪】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

イラスト:かげよし

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠高坂・茜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふむ、そこいらに湧く殺意の化身の地縛霊であれば、この程度が関の山よな」
 現れたのは、胸元に2の数字の刻印を持つ、ボロボロの修行服を纏った僧の様な男……所謂破戒僧というやつだろうか。
「生命体の埒外にあるもの、猟兵。貴殿らに問おう。人間とは、罪と不幸を撒き散らす存在だ。真に邪悪なる者、故に滅ぼさねばならない。何故守ろうとする、その様な価値など無いというのに。……この胸元の数字が拙僧に残された時間。どうか鉾を収め、能力者を殺させてはくれまいか」
 そう問いかける様は、一見理性的に見える。しかし、この男も失われた過去の化身。オブリビオン……明確なる世界の敵なのだ。
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 第三章です。演出上問いかけをさせはしましたが、相手はオブリビオンなので話の内容的にも到底相入れることは無いと思います。
 マスターコメントでも触れた通り、ナンバード型オブリビオンは常に余裕がなく、焦っているので、それを利用すれば容易く罠にはめることができるでしょうし、ちょっとした嘘やトリックにも簡単に引っかかります。(プレイングボーナスが入ります)
 三章からでもグリモア猟兵が近場にテレポートしますので、気にせずご参加下さい。
 それでは、皆様のプレイング、お待ちしています。
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泰山・敏郎
●行動
- アクション:相手の感情を逆撫でした上でヘイトをこちらに向け、UCの効果で掴んで思い切り地面に叩きつける

●心境など
……呆れて話にならねえな。

食えるヤツだけ選んで喰って、残りの時間を過ごす?
そんなのは家畜未満だ。畜生が人間みたいな講釈垂れるんじゃねえよ。
"お前は人のなり損ない"だ。せめて人になってから物を言え。

せめて最後に根性見せてみろ。
ほら、俺はここに居るぞ?
【強いヤツを喰ったなら、お前の命も伸びるかもな】?


ディーン・ランバート
■心情
 猟兵に覚醒したと言えど、元は私も能力者故な、人間を殲滅するなどという輩を見逃す選択肢など無い。
 そも、大義名分と見せかけながら、貴様の本音は生い先短い自身を生きながらえさせる為に未来ある若者の命を奪おうとしているのだろう?
 それを老害と呼ぶのだよ。

■行動指針
 UCを発動し他の猟兵と連携を取りながら前衛で戦う。
 日本刀「雪華」でムサシの攻撃を受け流しつつ、時間稼ぎをする様に見せながら戦闘。焦りが見え、大きな隙があれば、すかさずそこへ切り込む。
 戦況によりガンナイフ、インカムも駆使して戦闘を行う。

(絡み、連携、アドリブ大歓迎です)


イサリビ・ホムラ
アドリブ絡み歓迎ですわ

ちょっ、えっ…思わず二度見してまいましたわぁ
ムッキムキですやん。自分が戦えるような相手やあらへんですよ?
時間稼ぎのひとつでも出来れば御の字ですかなぁ

人間が罪と不幸をねぇ…あんさんはそうやないゆうんでしょうか
具体的にどないな得が自分にあるんか、そこがわからんとなんとも言いようがありませんなぁ

なーんて、ちょこっとのってみるふりを
いざ戦闘になったら自分で仕掛けるより防ぐことを念頭に置いて…錬成ヤドリガミで空気弾を相殺できそうならやってみますわ

刻一刻、拍車をかけて自分の命が消えてく
考えるだけでゾッとしますなぁ
自分の性格悪いんは承知です、飽和状態の攻防に焦りが見えれば突きましょか


天城・潤
記憶をたどる為に訪れたかった場所でこれですか…無粋な
あなたの如き慮外者は許容できません
滅んで頂きます

生命体の埒外にあるもの?あぁ確かに猟兵とはそういう
ものですね
ですが僕たちは、あなたのような者に対するカウンター
としての存在ですから
つまり…
「存在してはいけないのは、あなたの方です」
話は聞くがはっきり言い放つ

UC黒影剣で姿を隠し、機動力を生かして幾度でも攻撃を
二の刃を入れられるならすかさず【黒蒼刃】でも傷を。幾度でも
「命は尊いものです。既に尽きたモノが奪うなんて…勿体ない!」

僕は最後に来ただけに過ぎません。能力者の学園の事も
おぼろ。だけど…そこへ行くべき人を助けられたなら…
嬉しい、ですね(にこり)


穂村・耶子
ナンバード……あの頃のボクだったら、怖くて逃げだしていたかもね
でも、ボクだっていつまでも子どもじゃないんだ
敵に背中を見せるようなことはしないけど……ここは、ちょっと【フェイント】かましてみよう

「うわわ!ナンバードだ!こっちくるなぁ!!
わざと慌てたふりをして『モラストラップ』を投げる
相手の空圧弾発射に合わせてUC発動
瞬間移動で攻撃を避け、一気に相手の間合いに踏み込んでからの4連斬!

ボクの攻撃は『過程を吹き飛ばして結果だけを与える』から、防御や回避も無駄だよ
『ボクに刀を振らせない』ようにすれば防げるけど、さすがに初見でそこまで見破れる人はいないでしょ?
「ほらほら、早く避けないと数字が減っちゃうよ



 曖昧な記憶のピースを繋ぐ為、天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)は鎌倉の地を踏んでいた。
 訪れた江ノ島神社、参道を歩くと、何処か懐かしいような感覚が身体を包む。眼前には先程まで見えなかった5人の人影、僧らしき大男が他の人影へと問いを放つ場面だった。

「そも、大義名分を見せかけながら、貴様の本音は生い先短い自身を生きながらえさせる為に未来ある若者の命を奪おうとしているのだろう?
 それは老害と呼ぶのだよ」
 ディーン・ランバートと言う男は、猟兵である前に能力者であった。己が護ってきた人間を殲滅するなどという輩を見逃す選択肢など、あるはずも無かった。
「いいや、そいつは違うな。食えるヤツだけ選んで喰って、残りの時間を過ごす?
そんなのは家畜未満だ」
 敏郎が嘆息し、僧をしっかりと見据える。
「……呆れて話にならねえよ。畜生が人間みたいな講釈垂れるんじゃねえ。
"お前は人のなり損ない"だ。せめて人になってから物を言え」
 敏郎の挑発に、僧は嘆息を返す。
「成る程、貴殿らはあくまでも拙僧に抗うと」
 僧の視線は耶子へと流れる。
「うわわ!ナンバードだ!こっちくるなぁ!!」
 慌てた様子でモラストラップを投げつける耶子。
 ……捨て置く。
 視線を移す。
「人間が罪と不幸をねぇ…あんさんはそうやないゆうんでしょうか。具体的にどないな得が自分にあるんか、そこがわからんとなんとも言いようがありませんな」
 イサリビは考え込むようにしながら僧の言葉に応じた。
「いいや、拙僧は罪深き人間に対する不幸よ」
 ……この男はやりようによっては引き込める。
「状況は掴めました。記憶をたどる為に訪れたかった場所でこれですか…無粋な。
 存在してはならないのは人間ではない、あなただ」
 猟兵とは、過去の化身に対するカウンターとしての存在……黒蒼刃を抜き放つと、潤ははっきりと敵対の意志を示した。
「ふむ、3人か……良かろう。お相手仕る」
 怒りと激情に満ちた仁王の覇気を纏い、僧はそう言い放った。

 闇が2つ、地を蹴ったのは同時だった。潤が黒蒼刃を振り抜き、ディーンの手にする雪華とEklipseが二本の軌跡を描いた。
「殺気よ」
 僧は左右の腕で、潤とディーンの斬撃をいなして見せた。視聴嗅覚での感知を阻まれながらも殺気のみで対応してみせる……が、
「ガラ空きだ」
 敏郎が僧の懐へと飛び込み、その足首を握った。
 五感の半分以上を封じられ、第六感のみで敵を探知する、容易にできる芸当ではない。故に隙が出来るのも道理だった。
「喧嘩だ、とことんまでやってやるよ」
 敏郎はその片腕で僧の巨体を持ち上げると、小気味よく地面へと叩きつけた。
「ほら、俺はここに居るぞ?強いヤツを喰ったなら、お前の命も伸びるかもな?」
 土埃舞う中でのラッパーの堂に入った挑発。
「吠えるな若造、拙僧の時間も少ない。猟兵でも時間を長らえられるか……貴様で試してみるのもよかっ……はっ……」
 過去の化身が血を吐く。およそ100本にも及ぶ太刀……イサリビの複製した自身の本体が、その身を深々と貫いていた。
「あんまり隙だらけやったんで思わず貫いてもうたわ。いやー、すまんすまん。……自分、性格悪いんよ」
 そう述べ不敵に笑むこのヤドリガミの男は、全てが思惑通りに進んでいると確信した。
 相手の話に乗る素振りを見せ、その敵愾心から己を外す。少しばかりの演技で、この焦りに満ちたオブリビオンは、全て己の都合のいいように飲み込んでいく。後は真正面から戦う仲間を見据え、隙を見出すだけだった。
 それを皮切りに猟兵達の連撃が始まる。
 日輪喰らうが如き軌跡と雪華舞う如き剣閃の共演、如何なる時も護る為託された一振りの刃、1人の男の体を張った生き様より繰り出される力強さ。
 そして、意識外よりの攻撃はイサリビの物だけではなかった。
「僕だっていつまでも子どもじゃないんだ」
 あの頃であれば、怖くて逃げだしていたかもしれない。けれども、積み上げた死と隣り合わせの青春、尊敬し理想とする先輩達の薫陶。それら全てが今の耶子を形作っていた。
「一つ……」ザンッ!「二つ……」ザンッ!「三つ……」ザンッ!「そして、これが止めの四つ目だよ!」ザンッ!
 短距離の空間跳躍で間合いへと踏み込み、過程を吹き飛ばし結果のみを与える4連の斬撃が放たれる。
 怯えて使い物にならない……そう断じ、捨て置いた女の神速の刃を以て、瞬く間に過去の化身の残りの時間は刈り取られた。
 
 「あ、戻ってきた。遅い遅い、追加でいっぱい頼んじゃった。待たせた分は奢りだからね?」
 3人が店へと戻るとテーブルに狭しと並んだ料理と少しばかりむくれた彼女が出迎える。
 敏郎はやれやれと肩を竦め、イサリビはこれは高くついたとおどけて見せ、耶子は3人の様子を見て笑った。

 遠巻きに、男が2人。
「さて、ひと段落は着いたが、彼女には自分の現状を把握してもらう必要があるな」
 長身の吸血鬼がそう述べる。
「銀誓館、ですか」
 傍らの男がそう相槌を入れる。
「ああ、こと異能に関しては、この世界で任せられる規模の大きな組織はそうなかろう」
 4人に近づいていくディーンの背を眺め、潤は独りごちる。
「僕は最後に来ただけに過ぎません。能力者の学園の事もおぼろ。けれども……そこへ行くべき人を助けられたなら……嬉しいですね」

 かくして、元能力者の手配で彼女が銀誓館の大学部へと向かうことになるのは、この後の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月15日


挿絵イラスト