【サポート優先】アカリのヒロアス紀行・機械編
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)
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ヒーローズアース、そこには「知られざる文明」というものがある。海洋都市、宇宙基地、地下世界……SF小説に幾度となく描かれた世界が地球のそこかしこに実在する、それが英雄の世界のもう一つの顔だ。
その世界はアースクライシスで侵略を受け、戦場となることで地上の人々の前にその姿を露にした。結果としてどの文明も深く傷ついたが、戦乱を乗り越えた世界は共に手を取り合い復興への道を歩み始めた。皮肉にも悪が起こした大戦が文明同士の絆を深く繋いだのだ。
それから二年、今知られざる文明はどうなっているのか……
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「つーわけで、戦争終結から二年したんで改めて知られざる文明について勉強してみたっす」
そう言うのはミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディの一人、アカリ・ゴールド。ヒーローズアース出身でありアースクライシスを機にミルケンのボディとなった彼女だが、その時までは一般人であったこともあり知られざる文明に詳しいとは言えなかった。
知られざる文明との交流促進のための予知を積極的に行い、付け焼刃ながら知識を増やしたアカリ。そして各世界の今が分かったなら次はそれを脅かす相手について知らねばならない。
「ヒーローズアースは猟書家が侵攻してる世界なんすけど、知られざる文明にも各世界毎に猟書家が来てるっす」
倒された者もいるが、そういう所には後任が次々と発生している。ある種どの世界でも変わらない話だ。
「今回行ってもらうのはラグランジュポイントっす。ここの担当は『デストロイ・プライム』ってやつで元は小さな機械の塊だけど周囲の機械を吸収してでかくなるやつっす」
最終的には多頭竜の姿を取ることが多いが、その体は食った機械をそのまま使えるという。ラグランジュポイントなど最高の餌場と言えるだろう。
「今回こいつが漂着するところでは最近『ステルスUFO』と『武装ドローン』の二つの新兵器が開発されて、それを食いにくるみたいっすね。新メニュー発売を聞きつけて飛んできたみたいっす。桃姫先輩もよくやってるっす」
そう考えると途端に猟書家が俗っぽく見えてくるのが不思議である。とはいえ恐るべき侵略者であるのは変わりない所だ。
「それと、猟書家接近の影響か一部の機械がオブリビオン化して現地から脱走を図ってるっす。こいつらはデストロイ・プライムの所へ行って自ら喰われて合体するつもりみたいっすね。要するにデリバリーっす。やっぱり雨の日とか桃姫先輩がよく使ってるっす」
なぜか俗な例えにしたがるアカリ。そしてカロリーを消費しろ桃姫。
「なんで、こいつを現地の人たちと一緒に撃退して欲しいっす。現地の人たちも新兵器を絶賛練習中で、特に扱いのうまい暫定チャンピオンのアームドヒーローを始めとする利用者たちが敵の逃亡を阻止したり、デストロイ・プライムの材料になってるラグランジュポイントの兵器の止め方を教えてくれたりするっす。協力してみてくださいっす」
彼らは自ら戦う力を求め新兵器を開発したらしい。実戦とあれば士気も上がるだろう。
「せっかく勉強したんだし、知られざる文明の発展や交流を邪魔されたくないっす。ヒーローズアース全体のためにも、皆さんどうかよろしくお願いしますっす!」
最後に体育会系らしく大声で言うと、アカリは地下迷宮へ猟兵たちを送り出した。
鳴声海矢
鳴声海矢です。個人的ヒーローズアース強化月間第二部。
『注意!』
今回はサポート優先シナリオとして、基本的にプレイングを各章少数しか募集していません。
なるべく早い完結を目標に、サポートフル活用、文字数少な目で執筆の予定です。
プレイングを頂いてもリプレイは非常に短くなります。送る場合はご了承の上でお願いします。
『プレイングボーナス(全章共通)……アームドヒーローのヒーローチームと共闘する、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)』
第一章では『オブリビオンソルジャー』との集団戦。敵は交戦よりも逃げ出してボスとの合流を優先的に目指します。ラグランジュポイントの複雑な基地内をちょこまか逃げ回るので、地理に明るいアームドヒーローの助けを借りて追うといいでしょう。
第二章では『デストロイ・プライム』とのボス戦です。第一章で逃げ切った敵がいるとその分強化されています。その体はこの基地近辺の機械によってできているので、やはり現地民に対処法を聞くとよいでしょう。
ヒーローチームは新兵器の競技者集団で、暫定チャンピオンのアームドヒーローが主に先頭に立って手伝ってくれます。以下詳細。
セレス・ダイアリー 強化人間のアームドヒーロー×電脳魔術士(14歳、女) 最近開発された新兵器の操作に長ける少女。地上との交流にも興味津々で、UFOに乗ってドローンを携え地球に乗り付けてやろうと考えている。反射的な思考力が高いが、テンションに任せて行動する癖がある。苗字が一般名詞なのは侵略者の奴隷の子孫だから。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『オブリビオンソルジャー』
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POW : バトル・アクション
【準備しておいた集団での連携攻撃作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : デンジャラス・スローイング
【仲間達に全力で投げてもらう】事で【特攻モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : サポート・リクエスト
戦闘力のない【情報伝達用撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【後方部隊から届く援助物資】によって武器や防具がパワーアップする。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ああ、新メニューは気になりますよねぇ。
とは言え、何とかしませんと。
まずは『スナーク所属』を名乗りセレスさんに接触、協力を要請しましょう。
そして『FMS』のバリアで守りを固め、『FAS』で飛行すると共に、【酷郭】を発動、戦場全体に『律』を流し込み『裁域』を形成しますねぇ。
『律』への抵抗の差から『範囲内の相手の位置』は掴めますし、交戦の際は『敵方の中間の大気』を『爆破』することで連携を妨害しつつ叩くことも、『逃走経路側』を『爆破』し逃走を防ぐことも可能ですぅ。
後は、『裁域』では判断し辛い『地理情報』や『道の繋がり』等をセレスさんに教授して頂き、確実に追い詰めて参りましょう。
ラグランジュポイントに迫る猟書家『デストロイ・プライム』。その襲撃理由はつい最近開発された新兵器を喰らい自らの体に取り込むことなのだが、予知したグリモア猟兵はなぜかそれを妙に俗な言葉で例えた。とはいえ往々にして卑近な例えの方が物事は分かりやすいもので。
「ああ、新メニューは気になりますよねぇ。とは言え、何とかしませんと」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその例えに頷きつつ、ラグランジュポイントへと赴いた。
現地ではまだまだブームは始まったばかりということか、急ごしらえで作られた作業場で多くの住人たちがドローン改造に励んでいた。
「あ、考案者の人! いらっしゃーい!」
真っ先に声をかけてくる強化人間の少女。競技としての武装ドローン操作の暫定チャンピオンセレス・ダイアリーだ。るこるは簡単にあいさつした後、今回訪れた目的を告げる。
「強大なオブリビオンが襲撃してくるので、『スナークの猟兵』として対処に来ました。その前兆としてこのあたりの機械がオブリビオン化して逃げ出すそうなので、案内をお願いに」
猟兵結社としてのスナークを名乗り、敵のスナークの流布に対する対抗策も忘れない。セレスの方は今一つピンと来ないのか分かったような分からないような顔をしていたが、続けて鳴り響く警報が否応なしに彼女を現実へ引き戻した。
『防衛システムに異常! 迎撃用ミサイルが何者かにハッキングされました!』
そして鳴り響くアナウンス。モニター室に案内して貰えば、そこに映るのはいかにも雑魚戦闘員といった者たちがミサイルや砲台を背中に担いで走っている。
「え、えー!? なにあれ!?」
「あれがそうですねぇ。逃げ出して強力なオブリビオンの所へ行こうとしているので、案内をお願いしますぅ」
セレスと共にモニターで映った場所へ行けば、そこにはまさに脱走を図る『オブリビオンソルジャー』の軍団が。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
【豊乳女神の加護・酷郭】を発動し周囲の空間を把握、爆破をかけて広域殲滅を試みるるこる。一部のオブリビオンソルジャーはそれで簡単に吹き飛ばされていくが、倒れる仲間に構わず残りのオブリビオンソルジャーは逃げていく。
空中から連携を断とうと二体の相手の間を爆発してみたが、二体は分かれて転がりそのまま逃げ、また反撃に備えバリアを張って見れば、相手はそれを隙とばかりに攻撃など一切せず一目散に逃走する。どうやら敵側にまともに交戦する気はなく、一体でも多く逃げられればそれでいいらしい。
それでも爆破が当たればそのオブリビオンソルジャーは倒れるが、相手が逃げの一手ということと基地の通路ではない場所を選んで逃げたことで一体を見失ってしまった。
「あー! 何であそこ知ってるのあいつ!」
そこでセレスは一点を見て声を上げる。そのまま武装ドローンに両手で捕まり、なんと天井板を外して外へと飛び出した。
「こっちだよ、ついてきて! 砲撃パック換装!」
大威力砲をドローンに取り付け、それを後方に放射して推進力にし高速移動していくセレス。るこるも飛行してそれについていくと、消えた一角から大分離れた場所の外装を外してオブリビオンソルジャーが這い出てくるのが見えた。飛んでの直線移動で矢っと追いつけたところを見ると、かなりの近道だったのだろう。
「うりゃー!」
顔を出したところをセレスが砲撃、吹き飛んだオブリビオンソルジャーをるこるが爆破して仕留める。
「流石チャンピオンさんですねぇ。他にも分かりにくくつながっている道があれば教えて欲しいのですがぁ」
「あ、いっぱいあるよ! ついてきて!」
そのまままたドローンに掴まって移動していくセレス。デリバリー配達員追撃作戦はこうして始まったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
グリュック・ケー(サポート)
「よう、プリン食べる?」
ノリのいい兄ちゃん。旅が好きでふらふら出歩いている割には呼べば現れる。ひとりも好きだが大勢も好き。楽しそうなことには顔を突っ込みたがる。汚れ役も引き受けられる基本的にいい人。
プリンと睡眠が大好きで常にプリンを持ち歩き、少しでも時間が空けば夢の中へ。寝起きはいいほうだが寝つきがかなり良い。
普段から顔を隠しているが、「見せて」と言われれば普通に見せる。
好戦的というわけではないが、必要であれば躊躇わない。
ユーベルコードも普通に使う。正面から戦うよりかは罠をかけるほうが好き。
ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』
・雑な扱いでもいいのでどんどん採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならばそれを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回っても構わないよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、ね。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。
あとはお任せ。好きに使ってね。
七星・彩華(サポート)
羅刹の妖剣士×宿星武侠の女です。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
普段の口調は「我が道を行く姐さん(私、お前、呼び捨て、言い捨て)」「仲間にはフレンドリーな姐さん(私、お前、呼び捨て、言い捨て)」
自身が支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂、頭脳派で行動に穴があるようで抜け目が無い。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と娘がいる。
ユーベルコードは指定した物を使用、怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはお任せ。よろしくお願いします!
メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。
その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
オブリビオンソルジャーの最初の一団は全滅した。だが、それを危機と見たか周辺一帯から一斉に残るオブリビオンソルジャーが飛び出し、集団で逃亡を図り始めた。
「どこにあんな隠れてたんだあいつらー!」
その様子を見てセレスは声を上げるが、相手が大量に出てきたとなればこちらも数で対抗するところ。
「行くよ皆、一人も逃がさずとっつかまえろー!」
「おー!」
セレスの指揮にその場にいた全員がドローンを携え動き出す。どうやら各人多方面に散って各々オブリビオンソルジャーを仕留めていくつもりらしい。
そしてその散開にはもちろん猟兵も加わっている。
「呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!」
真っ先に追うのは七星・彩華(鮮血狂い咲く呪詛の華・f32940)。基地から飛び出し外部を走っていく者たちの方へ猛追をかける。
だが、宣言通り彼女の能力は呪詛を主体としたもの。猟書家の力の影響で動きだしただけの意思も命もない暴走機械とは相性が悪そうにも見える。いかにしてとらえるつもりか。
「常闇の呪詛を髄まで味わいな!!」
彩華は【固有結界・亡者達の呪詛】を前方の戦場に作りだし、オブリビオンソルジャーたちをその中へと入りこませた。組成が何だろうと迷宮は迷宮、例え機械でもその中に入れば道を探して突破せざるを得ない。さらにはオブリビオンソルジャーを追い、ドローンたちも迷宮へと飛び込んでいく。
迷宮の中でオブリビオンソルジャーたちはドローンに襲われ、次々と倒されていく。だが幾人かはドローンの追跡を振り切り、ついに出口までたどり着いた。
「はい、お疲れさん」
そしてその一つしかない出口に待ち構えるのは、当然その場所を知る彩華。相手を逃さないことが今回の戦いの肝。迷宮に捕らわれた時点でオブリビオンソルジャーたちの負けは決まっていたのだ。出てきたオブリビオンソルジャーを、彩華は呪詛刀で乱雑に切り捨てる。
「例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない」
それに対抗するように迷宮に入らなかった敵を追うのはノエル・フィッシャー(イケメン王子様・f19578)。とても凛々しく気高い言葉だが、敵側視点で意訳すれば『お前ら一匹も逃がさんからな』。
その宣言通りにノエルは白き一角獣に跨り堂々とオブリビオンソルジャーを追い立てていく。
「ボクが先陣を切ろう――キミの道はボクが切り拓くから」
【我が王道に轍無し】とばかりに先陣切って敵を追うノエル。その後ろにはまるで王子に従う兵の如く多数のドローンが追従していく。
オブリビオンソルジャーはなおも逃げるが、馬型の四足と機械の二足では速さが違う。馬上から『魁一番槍』の突きが逃げるオブリビオンソルジャーを容赦なく捉えた。
「続けぇぇぇぇ!!」
後続からハイテンションで叫ぶドローン操縦者たち。別にそこまで捜査範囲が狭いわけでもないのに走ってついて来ているのは気分の問題だろうか。ついでに言えばドローン自体もアーマー重視の騎兵じみたものがやたら多い。
まさに先駆けた王子に続く兵たちのように、ドローン兵たちは次々と敵を討ち取っては戦場に王子の旗を立てんばかりの活躍を見せていった。
その姿を見るノエルの目に宿る感情は一体何か、凛々しき王子様は決してそれを言葉にはしなかった。
「一緒に頑張りましょうね」
一方室内を逃げるオブリビオンソルジャーを追いながら言うのはメイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)。ちなみに話しかけている相手はドローンである。対人恐怖症の気がある彼女としては、多少なりとも対面を避けられるこの同行者は有り難いことこの上なかった。
メイリンが行うのはドローンによるサーチと案内から室内の狭い通路を進み、近道や裏道を通って逃げるオブリビオンソルジャーの追撃だ。何しろオブリビオンソルジャーたちは元はここの機械が変異したもの、言ってみれば地元民である。掟破りの地元走りとばかりに無茶なルートを平然と選定する相手を、同じ知識を持つドローンの案内で追いかけていく。
「え、ここ通れるんですか……うわ、こんな所に出た!?」
壁の後ろ、天井裏、通気ダクトなど普通通路にしないようなところを縫って進んでいくメイリン。そんな彼女を言葉ではなく動作で導いていくドローンについていってみれば、どうやら頭の上の板を外せと指示している。
「え、ここに……うわあっ!?」
指示通りにそうして顔を出してみれば、そこには這って進んでいたオブリビオンソルジャーの顔が数センチの距離に。表情のないマスクだがそんなものが目の前にいきなり現れたのだから驚くなという方が無理な話で。
「び、びっくりさせないでください!」
誤魔化すようにドラゴンランスを下から突き上げれば、それが当たった顔面に【ドラゴニック・エンド】がぶちかまされる。狭い通路で思い切り吹っ飛んだ相手は、あちこちにぶつかりながら転がっていき消滅した。
「おー、頑張るねぇ。あ、プリンたべる?」
「あ、食べる食べるー」
そしてそんな仲間たちの戦い上空から見守りつつセレスにプリンを渡すのはグリュック・ケー(なんか黒い・f32968)。
まずは敵を追わず、ステルスUFOに乗って上空から戦場全体を把握。敵の同行を広い視点で観察していた。
多くの敵は仲間たちによって仕留められて行くが、運良くのその全てを掻い潜って逃げていく敵がごくわずかにいる。
「そんじゃあっちだ」
「了解!」
気づかれぬままその敵へと近づき、上空へ忍び寄るステルスUFO。そして下部の装甲だけが開き、そこからゆらりとグリュックが飛び降りた。
背景は宇宙空間、黒一色の彼の体はやはりそれに紛れ視認しにくい。その状態でダガーを抜き、落下の勢いのままグリュックはそれを振り抜いた。
【シーブズ・ギャンビット】の鋭い一撃が音もなくオブリビオンソルジャーを寸断する。背中に背負った兵器と切り離され、そのまま倒れると同時に消滅した。
「すっごい! それじゃ次行くから戻ってきて!」
セレスの声と共に彼女のドローンが降りてくると、グリュックは両手でそれに捕まる。
「この移動方なんとかならない? 結構後ろ煩いんだけど」
「縦移動弱いんだよねーこれ。横にめっちゃ早くなるパックはあるんだけど」
人を捕まらせての上下メインの移動にはランチャーを後方射出するしかないらしいドローンの弱点をぼやきつつ、その状態でも眠れそうになってしまうのがグリュックの凄い所だ。
こうしてそれぞれの方法で掃討されて行った結果、猟兵と操縦者たちは見事全てのオブリビオンソルジャーを逃さず殲滅することに成功した。
「やったー! で、スコア一番誰?」
「いや数えてないよそんなの」
「僕の活躍は彼らあってのものだからね」
「えっと、私は、一体ずつ倒してたので……」
「俺も。つーか一緒に動いてたじゃん」
あるいはこれこそが新競技スコアアタックの起源となるのかもしれない。
だが、そのためにはこの先にいる一体で全スコアを塗り替える大物の処遇を考えねばならない……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『デストロイ・プライム』
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POW : グラウンド・ゼロ
単純で重い【足や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ジェノサイド・ブラスト
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【全身のビーム砲】から【破壊光線の雨】を放つ。
WIZ : トリニティ・バースト
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【悪】属性の【破壊光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。
イラスト:aQご飯
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ミネルバ・アレキサンドリア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雪代・桜花(サポート)
桜の精の仙人×パーラーメイド、17歳の女です。
普段の口調は女性的(私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)
サクラミラージュの山奥で生じた桜の精で、普段は『帝都桜學府』に通いながら色んなアルバイトをしている猟兵です。
UCによる技能強化で他参加者の文字通りのサポート役(戦闘支援の他、一般人相手の情報収集や敵地の偵察、給仕など)が理想です。
UCの『オールワークス!』で状況や目的に応じた手持ちの防具に着替え、その初期技能を上昇させ【情報収集】や【破魔】などでサポートします。あるいは軽機関銃と素の【援護射撃】や【制圧射撃】で戦闘をサポート。
その他、桜の精として影朧の転生やUCによる回復も可能。
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
リーズ・リヴィエール(サポート)
時計ウサギの力持ち×ゴッドハンド、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「女性的(私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
オブリビオンソルジャーたちが目指していた先、そこには機械を組み合わせて作ったような巨大な三頭竜が待ち受けていた。
「全く……遅いぞ、俺は腹が減った!」
まるで宅配ピザの遅延に苛立つように男声を上げる真ん中の首。
「ワレワレニヘルハラ、ナイ。クッタキカイ、ソノママカラダニナル」
「物の例えだ! 突っ込むな!」
合成音声で冷静に言う右の首に真ん中が言い返す。それを静観していた左の首が、遠くを見るように高く持ち上げられた。
「馬鹿はそのくらいにしましょう。どうやら配達はキャンセルのようです」
落ち着いた女の声で言うその首が見据える先、そこからは大量の小さな機械を引き連れた一団がやってきた。
「まぁ……どうされましたか? このような場所に」
戦闘でのんびり聞くのは雪代・桜花(桜仙・f23148)。それに対しては真ん中の首が答える。
「メシを食いに来たんだよ。この『スナーク』ボディは特に腹が減るんでなぁ」
何かを言われればそれを『スナーク』で返す。猟書家が恐怖の象徴とせんとする言葉を己の体として返す真ん中の首。
「言いたいことは色々ありますが……喋れたんですねあなた。しかもかなりフランクな方!」
リーズ・リヴィエール(時計ウサギの力持ち・f24468)が意外と答えてくれる相手に驚き気味に言う。
「ワレワレノトクセイ、タベタモノデキマル」
「ネタバレすんなっての! まあそういうことだ」
「時にミストレス・バンダースナッチ様の忠実な僕。時に奇声を上げるだけの邪竜。時に意思なき機械。あるいは別の私と出会った方もおられましょう。だがいずれにせよ、我らは猟書家デストロイ・プライム。スナークの名の下、この基地全てを平らげさせていただきます」
場を纏める役を担っていると思しき女の声と共に、三つの首が咆哮を上げた。
それと同時に放たれる無数の破壊光線。それを見たセレスは驚きの表情になる。
「あれひょっとして、外にあった迎撃ビームじゃない? あの豚みたいな連中から分捕って置いといた奴!」
この基地の元の持ち主である侵略宇宙人の使っていた兵器、それはそのままこの地の防衛設備として住人に使われていたが、言通りにそれを喰らい自らの体にしてしまっているのだろう。
「お姉ちゃんに任せておいてね♪」
その射撃に、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は慌てることなくひょいひょいと避けていく。続けて破壊光線を連射するデストロイ・プライムだが、それは今一つ狙い定まらず、スピネルを捕らえるには至らなかった。
「あーもう、あんなボロビーム食べて、腹壊しても知らないんだからね!」
ドローンを飛ばし射撃をかけながら言うセレス。その言葉を、桜花は聞き洩らさなかった。
「ボロ……なのですか?」
「だって4,50年前の奴だし。メインの迎撃兵器はあのへんなロボットに持って彼層になったミサイルの方だよ」
侵略者の時代に使われたものをそのまま設置し続けていたのだろう。デストロイ・プライム自身が言ったようにその特性がそのままなら、そこに対処法がある。
「たしか……こう?」
そう考えた桜花は【山で見た動物達】の一つ、大きな角を持った牡鹿となってデストロイ・プライムへと駆け出した。その周囲には装甲重視のドローンが着き、彼女の突進を守る。
「ニクダ、クウカ?」
「食えねえよ! 迎撃しろ!」
さらにビームを雨あられと撃ち突進を止めようとするデストロイ・プライム。だがその射撃は、一気にその速度を落とすこととなった。
「お肉は嫌いですか? それじゃ、お茶はいかがです?」
悠々とデストロイ・プライムに近づき紅茶を差し出すリーズ。リーズ自身がそれを一口すすると、さらにビームの連射速度は落ちる。
「給仕は相手の好みに合わせて行ってくださいませ……!」
機械竜に【紅茶の時間】は不要と唸る左の首だが、楽しみようもないそれはデストロイ・プライムの速度を五分の一に落とす。ちなみに桜花にはドローンがカップを差し出し、鹿の舌を伸ばして一舐め、速度低下を防いでいる。
そのまま一気にデストロイ・プライムの体を駆けあがり、その角でビームの砲塔をへし折っていく桜花。
「グアアアアアアアア!!」
ここと直結しているのか、右の首が悲鳴を上げる。だが、その大きく開けられた口を狙う者が。
「さて、ここですね」
認識阻害魔法での回避からステルスUFOへ撤退、その上に乗って機を窺っていたスピネル。その引き絞る弓矢が、大口を正確に狙っていた。
そのまま音もなく放たれる矢。聖樹から作られた弓から放たれた【反逆の狙撃手】は、機械の塊である竜の首、その口内を容易く射抜いた。
「ギャアアアアアア!!」
食えないものを無理矢理食わされたその首は、機械音ともとれる悲鳴を上げ垂れさがるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
子犬丸・陽菜(サポート)
ダンピールの咎人殺し×聖者、14歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、リーダーには「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
宝珠による臓物を掻き回しを多用し、知られざる枷を使います。怪我は厭わず積極的に行動、臓器の負傷でユーベルコードの威力が上がるので負傷は状況によりわざと受けたりもします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
潜在的なマゾヒストなのでユーベルコードの苦痛になにか感じる場面もあるかも?
負傷重症描写歓迎、内臓が出るくらいやっていただいてください!
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
奇しくも予知したグリモア猟兵と同じく、基地からの機械吸収を『食事』と称したデストロイ・プライム。普通の体であれば食べたものは腹に行く。だが、あくまで比喩表現としてそれを用いた彼はそうではない。
「は、これで取り分が増えたぜ畜生が!」
「どうせ食べればまた生えます」
彼が機械を食えば、それはすぐさまその体となり、力となる。三本の首のうちの一つを破壊されたデストロイ・プライムは、それを補填するべくラグランジュポイントの機会を狙う。
「食いしん坊さんだね! でも、あたしもお腹にはちょっと自信ありだよ!」
そう言って自分の腹を突き出し見せる子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)。だがそれは筋肉で割れているわけでもなく、年相応な少女の柔らかそうな腹だ。
「なるほど、お前もそういう力があるってか?」
「構いません。普通ならこれは食べられない」
左の口が大きく開き、そこから黒い光線が放たれた。先に撃たれたものとは違い発射速度は遅いが太く激しい破壊光線。それは陽菜の全身を包み、その体を蝕んでいく。
「あぎゃっ!?」
思わず悲鳴を上げる陽菜。会部からの破壊だけではない。心を暗く染め体を侵す邪悪な波動。そのビームの効果に、セレスがまたも声を上げた。
「え、何それ!? もしかしてダーク洗脳キャノン!?」
「勝手に名前を付けないでください。トリニティ・バーストです」
「……どゆこと?」
「あー……ヤバすぎるけど破壊するのももったいないって封印してた昔の兵器。単純な破壊に加えて洗脳とと肉体汚染ができる巨大ビーム。ほんとは基地とか戦艦に振りまくように当てて中の人間を殺したり操ったりするための兵器だよ」
聞くだに非人道的な兵器、これも侵略者たちの置き土産の一つだろう。
「なるほど、それを食べて自分のものにしちゃったと。一つ聞くけどさ、そのダーク洗脳キャノン壊しちゃっていい?」
「え、えー……あたしは返事できないけど、まああいつのせいにしちゃえば怒られないんじゃない?」
猟書家に奪われ、基地破壊のために用いられてしまったのだ。壊したところでだれを攻めるわけにもいかないだろう。言葉を濁しながらもそうセレスが答えたことで、陽菜は傷ついた腹を差し出す。
「あたしの、苦痛の一端……感じてみますか? ん、ぐ、んぐぅっ!!」
その腹に巨大な丸型がぼこんと浮かんだ。それは激しく回転し、見るからに中にあるものを無茶な形でかき回す。
「え、ちょ、ちょ、何やってるの!?」
「い、いいから……それよりも、ドローンで攻撃してくんない? あたしのお腹……!」
陽菜からの頼みにセレスは顔を青くする。だが、その前でデストロイ・プライムもまた体をのたうたせていた。
「トリニティ・バーストに異常……う、動かない……!?」
左の首がうねり、切れ切れに声を出す。それはまるで陽菜の腹と連動しているかのようで。
「こ、こういうこと……早く……!」
「わ、わかった……後で文句言わないでよ。ウィングパック換装、全速力で突っ込め!」
流石にビームや斬撃を当てるのはためらったか、セレスは高速移動用装備を取り付けたドローンを陽菜の腹に思い切り体当たりさせた。ぶちぶちと嫌な音が聞こえ、陽菜が大口を開けて赤いものの混じった吐瀉物を吐き出す。
「ああああああああ!!」
それと共にデストロイ・プライムの左の首が絶叫と共にあらぬ方向に黒い光線を吐き出し、その根元がぐしゃりと潰れ落ちた。
【知られざる枷】で相手の内容物に自分と同じダメージを与えた陽菜。それは首の根元に仕込まれていた兵器を寸断し、首諸共破壊したのであった。
「えーと、救護班……いる?」
「もうちょっと、このままで……えへへ……」
そう言って喜悦すら滲ませて笑う陽菜に、セレスは何もできずにいるのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どうやら、ご登場の様ですねぇ。
始めましょう。
【炳輦】を発動し飛行、『防護結界』の内部にセレスさんに共に入って頂き、『FMS』のバリアを重ね守りを固めますねぇ。
機動は回避を重視しつつ、それでも『足や尻尾』が当たりかけたら『瞬間移動』で回避しましょう。
そして、セレスさんに『止め方や弱点』を尋ね、その部位を重点的に狙い『時空切断の嵐』を放射し集中、プライムさんの硬い装甲もこの方法であれば問題無く[切断]可能ですぅ。
後は、装甲の剥げた部位に『FRS』『FSS』の[砲撃]や『FDS』の[爆撃]、セレスさんや他の皆さんの『新兵器の攻撃』等も併せて集中砲火、確実に叩いて参りますねぇ。
「やってくれたじゃねえか、お陰で俺が独り占めだぜ! 太っちまったらどうしてくれんだ!」
二本の首を破壊され、ついに一番よく喋る真ん中の首だけが残ったデストロイ・プライム。もちろんこの人格も破壊された首も、吸収した機械の影響で作られた疑似的なものに過ぎない。そしてそのベースとなっているのは、ラグランジュポイントの宇宙基地であるこの場所の機械たちだ。
「どうやら、ご登場の様ですねぇ。始めましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は相手の弁は気にすることなく、セレスの周囲に円盤『FMS』を展開して守りを固める。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
そこから【豊乳女神の加護・炳輦】の防御結界でさらにセレスを包み、さらに彼女の保護を固めた。
そのままともに浮遊してデストロイ・プライムに迫るが、近づくほどにその巨体の圧巻さが見る者を威圧する。
「大きいことはいいことだ! たくさん食ってでかくなれってパパやママに言われただろ!?」
そのまま巨体を揺らし、尻尾を振り回してるこるを打ち据えようとする。るこるはとっさに瞬間移動でそれを躱すが、外れた尻尾が基地に叩きつけられその場所を破壊した。
「うわー……ありゃさっさと仕留めなきゃ壊されちゃうよ」
基地周辺にも重力や生命維持の装置はあるが、それを超えて放り出されてしまえば命はない。セレスの言通り急ぎ仕留めるべく、るこるは時空切断をデストロイ・プライムに向けて放つ。
「ぐおぉぉっ!?」
基地の資材でできているその体は容易く切り裂かれ、剥がれ落ちる。その下には様々な機械が内臓のようにぐちゃぐちゃに敷き詰められていた。
「あれのどこが弱点か、わかりますかぁ?」
「いや、あれって食べたもの全部詰まってる感じだし、一個壊せてもとめられるか……」
吸収した兵器が核となっていた左右の首と違い、中央の首は本体直結で一つの機械からは出来ていないのだろう。
「ち、勘弁してくれ、ダイエットならまず自分からしたらどうだ!」
そう言いながら壊された基地の破片を喰らうと、その資材で見る間に装甲が塞がっていく。だがその様子を見たセレスは、何かを思いついたようにドローンを飛ばした。
「ソード換装! これでもくらえー!」
巨大なビームソードを構えさせ、それをデストロイ・プライムに飛ばすセレス。だがまるで鳥が魚を飲み込むように、それを一口でデストロイ・プライムは飲み込んだ。
「お、こいつは小さいが味が濃いな。これこれ、こいつを食いに来たんだよ!」
満足そうにデストロイ・プライムが言うが、武器を失ったはずのセレスはまるで勝ちを確信した表情だ。
「胸装甲の少し下! そこを削り取っちゃって!」
セレスの指示にるこるがそこを切断する。やはり何が詰まっているかもわからない機械の束が露になるが、その奥から僅かな光が漏れていた。
「弱点分からないなら作ってやる! あそこが弱点、吸収しきれてない!」
食べたばかりで体になりきっていないドローン部分が弱点、その指示に、るこるはそこに切断と兵装の全火力を一気に叩き込んだ。
「皆さんもどうぞぉ」
「チャンピオン機撃墜のチャンスだぞー!」
るこるとセレスの指示に従い、ドローン操者たちも一斉にそこに攻撃をかけていく。さらには上空にはステルスUFOが乗り付け、回収できた元オブリビオンソルジャーの兵器を次々撃ちかけていく。
「忘れたころに持ってきやがって……!」
悪態をつくデストロイ・プライム。だがその大口の前には、ドローン軍団の先頭に立つように浮遊砲台『FRS』の群れが。
「こちらのお味はいかがでしょうかぁ」
その一斉砲撃によって、竜の顔は吹き飛んだ。もし食えたとしたらドローンたちなど比較にならない美味だったろうが、食う口がなくなってはもうどうしようもない。
「後は胴体! とどめよろしく!」
「お任せをぉ」
外装を補填することもできなくなり剥き出しになった内部機構を、強烈な斬撃が両断した。
ゆっくりと分かれ、倒れていくデストロイ・プライム。その体は崩れるように砕け、無数のジャンクとなってその場に散らばった。
セレスは防御結界から出てその残骸に駆け寄り、ひっくり返し何かを探し回る。
「うわー、ソードパックは完全に壊れちゃってる。本体も……これはしばらく動かせないなー」
ドローンを拾い上げそう言うセレス。猟書家の腹の中に閉じ込められた上総攻撃に巻き込まれたのだ。原型が残っているだけでも僥倖というものだろう。
「ま、いーか。多分直せるし。ところでさ……あの勝手に動く砲台、ちょっと見せてくれない?」
FRSに興味を持ったのかそう要求してくるセレス。元々このドローンの着想自体がるこるの浮遊兵装を参考に作られたものなので、暫定チャンピオンのセレスも彼女こそが真チャンピオンだとでも思っているのかもしれない。
さらに他の競技者たちも逞しくデストロイ・プライムの残骸を漁っている。どうやら宇宙基地とそこの機械を喰らい自らの体にしようとした猟書家は、経験と実戦という形でラグランジュポイントの糧とされてしまったようだ。
大成功
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