過去に咽ぶは、エースの出奔
●暗躍暗夜
「『セラフィム・オリジン』と『ヌル・ラーズグリーズ』が手に入らなかったのは痛かったな。あれは誤算だった」
甘やかな声。
どこにでもいる声の主は歯噛みした。珍しいことであった。ここまで感情を顕にすることはこれまでなかった。
本来であれば黒幕たる存在の手には、『セラフィム・オリジン』と『ヌル・ラーズグリーズ』という器と頭脳があるはずだった。
けれど、それらは全て猟兵達と、彼等が紡いだ己の描いた絵図とは異なる未来に寄って阻まれた。
「『ツェーン』……やはり始末しておくべきだったな」
そう、全ては『ツェーン』が今も生きていることと、そしてキャバリアに乗っていないことが『今』を作り上げている。
黒幕たる声の主が描く絵図に立ち塞がるのは、猟兵を除いては『フュンフ・ラーズグリーズ』だけのはずだったのだ。
「だが、『フュンフ・ラーズグリーズ』は最早障害になり得ないだろう」
予想外の要因によって絵図がズレてはいるが、最大の障害たる『フュンフ・ラーズグリーズ』は排除できたのだ。
「ならば、別のルートを取るとしよう。『過去』よりの贈物だ。楽しむといい、『フュンフ・ラーズグリーズ』。君がいるだけで君の大切なものは傷ついていく。『彼等』の憎しみは君という人間に向けられている。末代まで祟るとはこういうことを言うんだよ――」
●地下帝国軍
小国家『フルーⅦ』にほど近い小国家『八咫神国』は既に国家としての体裁を取り繕うことはできていなかった。
人々は国家を去り、プラントは別の小国家『シーヴァスリー』によって簒奪された。
荒廃した小国家はかつての栄華は何処にもない。
あるのは滅びた土地ばかりであった。
その『八咫神国』の地下より彼等――『バンブーク第二帝国』は現れた。
「我等を地下に追いやった『フュンフ・エイル』は最早、『此処』に存在しない。人間どもなど恐れるに足りない。あの化け物の如き存在の守り無くば、人の国など!」
彼等は『古代魔法帝国の後継者』を名乗る。
その瞳に在ったのは激しい怒りであった。そう、己たちを地下に放逐した『エース』、『憂国学徒兵』の『フュンフ・エイル』に対する怒りである。
嘗て『バンブーク第二帝国』が攻め入らんとしていた『八咫神国』は『憂国学徒兵』たちによって救われ、この窮地を脱した。
しかし、その『八咫神国』は既に滅びている。
そして、『憂国学徒兵』もまた存在していない。彼等が恐れ、怒りに瞳を染める理由は『フュンフ・エイル』というおぞましき敵の存在と、その血脈が未だこの世界に残っていることだけである。
「『フュンフ・エイル』の血脈を絶やせ。何処までもおかけても、彼の化け物の血脈を根絶やしにしなければならない。我等が滅びることなど二度もあってはならぬこと!」
その言葉とともに巨大なキャバリアが唸りを上げて出現する。
それは通常のキャバリアの三倍もの巨大さであり、まさに要塞と呼ぶに相応しい威容であった。
彼等は巨人の如く体躯を持っていた。
人と同じ姿でありながら、その三倍にも至る巨躯。それこそが『バンブーク第二帝国』――地下よりの来襲者であり、かつて『憂国学徒兵』たる『フュンフ・エイル』たちによって滅ぼされた地底帝国なのである。
「我等が宿願にして我等が盟友の宿敵。『フュンフ・エイル』の血族に死を――!」
●エース無き痕
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア――その『地底(アンダーグラウンド)』よりの来訪者、『バンブーク第二帝国』が、嘗ての小国家『八咫神国』の地下より現れ、小国家『フルーⅦ』へと迫らんとしています」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは、クロムキャバリアにこれまで起こった事件のどれよりも異質なものであることを悟る。
そもそも『謎の地底帝国軍』――『バンブーク第二帝国』という存在からして、これまでのクロムキャバリアの小国家と趣が異なる。
それ以前に『地底』に地上とは異なる文化様式の帝国が存在していることすら、示唆されていなかったからだ。
「ですが、事実なのです。そして、それ以上に厄介なのが『バンブーク第二帝国』の擁するキャバリアの全てがオブリビオンマシンであり、同時に生身を汚染する『有毒装甲』を身にまとっているのです」
これはキャバリアであれば無効化できるが、生身の猟兵には無効化できない。
けれど、ナイアルテは何も心配することはないと告げる。
「『フルーⅦ』に安置されていた誰にも扱えなかった秘蔵の『スーパーロボット』を『アジン』代表が貸し出してくれるそうなのです」
それはかつて『熾盛』と呼ばれたキャバリアに搭載されていた膨大な戦闘データを集約したコア、『ファフニール』と謎のエネルギー出力機である『ヴァルキリー』を分割して搭載したキャバリアなのだが、分割して尚、出力が高すぎて誰にも扱えなかった『スーパーロボット』なのである。
「生身の方は、この『スーパーロボット』――その名も『レーギャルン』を駆り、『バンブーク第二帝国』の『有毒装甲』に覆われたオブリビオンマシンを打倒して頂きたいのです」
勿論、生身を汚染する『有毒装甲』に対抗する手段があるのならば、生身単身でも戦うことはできるだろうが、敵は巨大なオブリビオンマシンを有している。
「さらに、『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンは通常のキャバリアの三倍。もとより、この地底帝国の人々は皆、巨人なのです。ゆえに、この巨大オブリビオンマシンは通常では考えられない怪兵器を装備しています」
それは巨大な火炎放射器である。
地底より現れ、地上の小国家を炎に沈めようとしているのだ。
「『フルーⅦ』は地中からの攻撃を想定していません。殆どの小国家がそうでしょう。地底から大量に現れるオブリビオンマシンに対する防衛戦力は機体できません。みなさんだけで戦わねばならないのです」
ナイアルテの表情は暗いものであった。
この戦いがどれだけの戦力差で行わねばならないのか、そして同時に猟兵にしかできぬ戦いであることを知っているからである。
「現場には『グリプ5』から派遣されている『ツェーン』さんもいらっしゃいます。機体のことを聞くのも良いでしょう。それに……」
彼女は伝えるべきか迷ったようであるが、猟兵たちに向き直る。
「どうやら『グリプ5』から『フュンフ・ラーズグリーズ』さんが出奔しているようなのです。彼は生身で国を離れている様子。今回のオブリビオンマシンの動きは『フルーⅦ』だけではなく、彼もまた標的にしているような気配があります」
猟兵たちは頷き転移していくだろう。
オブリビオンマシンの影にある存在。それが張り巡らす罠は確実にクロムキャバリアに広がっている。
けれど、この策動を打破できるのは猟兵達しかいないのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリアにおいて『地底(アンダーグラウンド)』より来たる地底帝国軍『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンの軍勢から小国家『フルーⅦ』を救うシナリオになります。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
またこのシナリオに限り、『フルーⅦ』が所有していた『スーパーロボット』、『レーギャルン』のナンバー機を借り受けることになります。
●第一章
集団戦です。
地底帝国『バンブーク第二帝国』の量産マシン軍団が地底より大量に現れ、『フルーⅦ』へと攻撃を開始します。
地底より来襲する敵に『フルーⅦ』は防衛する術を持ちません。
またこの戦いの現場には、『グリプ5』から出奔した『フュンフ・ラーズグリーズ』も居合わせていますが、生身です。
彼を戦いから遠ざけるか、オブリビオンマシンから守ることも必要になります。
●第二章
ボス戦です。
『バンブーク第二帝国』の誇る『巨大オブリビオンマシン』との決戦です。
このオブリビオンマシンは一つの作戦指令『滅却作戦』を受けており、通常のユーベルコードに加え、火炎放射器による強烈な炎の壁を生み出します。
これに対する対処方法を考える必要があり、また『有毒装甲』に覆われているため、キャバリアに搭乗するか、対抗手段を保たぬ猟兵は不利です。
●第三章
ボス戦です。
巨大マシンを送り出した『バンブーク第二帝国』の幹部が乗るオブリビオンマシンです。
ここで倒さなければならず、前章同様に『有毒装甲』を覆われているため、同じく対抗手段を用意しなければなりません。
それでは、戦乱続く世界、クロムキャバリアにおいて復活した『バンブーク第二帝国』の猛威を防ぎ、小国家を守る皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『パンジャンキャバリア』
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POW : パンジャンボマー
自身が戦闘不能となる事で、【転がった先にいる適当な】敵1体に大ダメージを与える。【皮肉】を語ると更にダメージ増。
SPD : パンジャンスカイ
全身を【勇ましいバグパイプの音色】で覆い、自身の【自爆力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : パンジャンファランクス
【何時自爆し、何時暴走するか分からない】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【追加のパンジャンキャバリア】の協力があれば威力が倍増する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『フュンフ・ラーズグリーズ』は一人、クロムキャバリアの荒野を往く。
その顔にあったのは憔悴だけであった。
己の存在を憎む者がいる。その憎む者は己の大切なものを尽く傷つけるのだと知った。
姉である『アイン』と『ツヴァイ』。
彼女たちはどちらも重症を負っている。『アイン』は片腕を失い、『ツヴァイ』は未だ目覚めぬ重体である。
母である『ヌル』でさえ己を憎む者は手に掛けようとした。
そうなれば、自身の弟妹たちも例外ではない。
「どこか、どこか遠くに離れなければ……僕の周りに累が及ばぬように」
けれど、何処にあるのだろう。
宛はない。けれど遠くに離れなければならない。思いついたわけではないけれど、彼の足は『八咫神国』の跡地へと向かっていた。
すでに滅びた小国家である。
あそこならば誰もいないだろうと思ったのだ。
機体を失い、大切なものも守れない。
その事実に打ちひしがれた『フュンフ・ラーズグリーズ』の心は折れずとも、ひどく傷ついていた。
誰も傷ついて欲しくないから戦ってきたというのに、自分が戦えば戦うほどに周囲の大切なものに傷がつく。
「僕は……『フュンフ・エイル』にはなれない。違うんだ。僕は、『エース』じゃあ、ない……――ッ!?」
そんな彼の前に出現するのは奇妙な円形の、タイヤの形をした巨大な兵器であった。
それは『パンジャンキャバリア』。
無人量産型キャバリアであり、自走し、自爆することによって破壊を齎すオブリビオンマシンである。
「――ッ、地中から出てきた?! なんで、もぐらじゃあるまいし! あれは!」
そう、此処は『フルーⅦ』にほど近い場所である。
目的は『フルーⅦ』だということは明白であった。
けれど、今の『フュンフ・ラーズグリーズ』に戦う力はない。彼にはキャバリアがない。力がない。
戦うことができるのは力を持つものだけだというのならば、今の彼は無力そのものであった。
「キャバリアさえあれば――!」
『パンジャンキャバリア』の上げるけたたましい駆動音にかき消される――。
村崎・ゆかり
黒鴉を飛ばし、フュンフを見つけ次第合流して、安全な場所へ下がるよう伝える。アヤメを付けておきましょう。今は後方へ。
力なんて言ってもね。それは何もキャバリアだけじゃないの。
支えてくれる人がいれば、あなたもまた誰かを守って戦えるようになれる。
アインたちだって、あなたが蕎麦にいてくれる方が嬉しいと思うわ。
「結界術」「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「呪詛」「竜脈使い」「道術」「仙術」で烈焔陣を戦場全域に展開。
範囲内の地表から呪詛の籠もった炎を吹き上げ、敵機体群を焼き払う。
自爆目的の機体なら、この炎でそこに誘爆してもらうわ。
地下世界から来たのなら、こういうのに多少の耐性はあるかしらね?
荒野に黒鴉が飛ぶ。
その眼下に往くのはドラムのような形をした奇妙なキャバリアであった。
『パンジャンキャバリア』――それは、自走する無人量産型キャバリアでありオブリビオンマシンである。
彼等は大地を疾駆し、その巨体でもって小国家『フルーⅦ』に迫る。
地中より飛び出した『パンジャンキャバリア』を前に『フルーⅦ』の防衛が間に合うはずもない。
「地中から……!? なんでこんなところからキャバリアが!」
『グリプ5』から出奔していた『フュンフ・ラーズグリーズ』が、その疾駆する姿を呆然と見る。今の彼にはキャバリアがない。
ゆえに『パンジャンキャバリア』に対抗する術がないのだ。
「あの先にあるのは『フルーⅦ』……! 敵だっていうのか、あれが!?」
自走する『パンジャンキャバリア』は次々と『フルーⅦ』の領土を守る壁面へとぶつかり、自爆で持って防壁を破壊していく。
為す術もないものであり、防壁が完全に崩れるのは時間の問題でもあった。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。汚濁に染まりし三昧真火よ。天帝の赦しを持って封印より解き放たれ、地上を劫火の海と為せ。疾!」
敵が地中より出るというのならば、その言葉と共に吹き上がる無数の火柱は躱しようのない攻撃であったことだろう。
怨念に満ちた呪詛の炎は、烈焔陣(レツエンジン)。
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)の放ったユーベルコードの一撃であった。
『パンジャンキャバリア』たちが次々と火柱にふきとばされ爆散していく。
それは自爆用のオブリビオンマシンであるがゆえに、炎の誘爆により連鎖的に次々と爆発していく。
「黒鴉……まだ『フュンフ』は見つからないの? アヤメ、悪いけど彼を見つけた後方に下がるように伝えてあげて」
ゆかりは『フルーⅦ』に迫る『パンジャンキャバリア』たちを火柱でもって迎撃する。
彼女に従う式神にそう告げて、『フュンフ・ラーズグリーズ』の保護に向かわせる。
彼等の猛攻は、まるで怨敵に対するそれであった。
これが地底帝国である『バンブーク第二帝国』の力であるというように、周囲の地中から次々と『パンジャンキャバリア』たちが飛び出していくる。
「クロムキャバリアにも地下世界がある……『地底(アンダーグラウンド)』……空も地下も塗れているってわけ、敵に!」
ゆかりは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
物言わぬ無人量産型オブリビオンマシンは、そんなゆかりの言葉をあざ笑うかのように爆発を物ともせずに防壁へと自爆攻撃を仕掛けるのだ。
「何を迷っているのか。力なんて言っても、それは何もキャバリアに限ったものじゃない」
ゆかりは黒鴉の式神が『フュンフ・ラーズグリーズ』を見つめるのを感じる。
いた、と想う。
彼が何を思って出奔したのか。
それはゆかりにはわからないことであった。
けれど、彼には支えてくれる人がいる。彼が誰かを守るために戦ったように、彼自身を守ってくれる者がいることを『フュンフ・ラーズグリーズ』は知るべきであったのだ。
「『アイン』たちだって、あなたが傍に居てくれる方が嬉しいはずでしょう!」
ゆかりの言葉は届かない。
爆風吹き荒れる戦場にありながら、ゆかりは彼の無事を確認し、さらなるユーベルコードで持って『パンジャンキャバリア』たちを打倒していく。
人は一人では生きられない。
ならばこそ、『フュンフ・ラーズグリーズ』は己以外の者が傷つくことをこそ恐れたのだ。
けれど、他者の存在を恐れだけではなく力に変えることができるのもまた人である。
その意味を探すというのならば、ゆかりは己の力を持ってその道行きを守るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
『フュンフ』さん、勘違いしてる……。
『エース』は、なんでもできる人のことじゃない。
『エース』にだって、できないことはあるし、悩みもする。守れない者だってある。
だけどその気持ちに負けずに、周りの人たちのために、
それでも『守るために』戦う人のことを『エース』っていうんだよ。
守りたいと思うあなたのその気持ちこそが『エース』の証なんだよ。
『フュンフ』さんのキャバリアは【モーター・プリパラタ】の名にかけて必ず直す。
機体のデータはあるから、パーツだって作れるからね。
(ハンガーにないパーツは【偽装錬金】で作っちゃいます)
『ツェーン』さん、『ファフニール』とか『ヴァルキリー』あるんだよね。
なら『フュンフ』さんが帰ってきたときのために『熾盛』直そう!
そういうことなんで『希』ちゃん。防衛線の維持は任せたよ。
【ネルトリンゲン】から【M.P.M.S】での弾幕と、前線での補給、お願いするね。
拠点になって、みんなをサポートしてもらえるかな。
だいじょぶ。『フュンフ』さんは必ず帰ってくる。
だって『エース』だもん!
小国家『フルーⅦ』に在りて、『ツェーン』は想う。
『フュンフ・ラーズグリーズ』は、たしかに『エース』であった。かつての己と同じであった。
キャバリアの操縦において戦乱だけの世界を生きる。
それは正しいことであっただろう。強くなければ人は生きていけない。
だからこそ、『エース』は弱き者たちを守るために力を振るう。そうすることで国家は成り立っていくのだと信じていた。
「『フュンフ』は、きっと全部自分で出来るから、全部自分のせいだって思ったんだね」
『ツェーン』がそうであったように。
彼女は『フルーⅦ』に安置されていたキャバリアにして『スーパーロボット』、『レーギャルン』を整備していた。出力の高さゆえに誰も扱うことのできなかった強力な機体。
「『フュンフ』さん、勘違いしてる……『エース』はなんでも出来る人のことじゃない」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、『フルーⅦ』の防壁に体当たり自爆を敢行する『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンをみやりつぶやく。
理緒は、『ツェーン』の整備の手伝いにやってきていた。彼女の乗艦である『ネルトリンゲン』はすぐにでも飛び立つ準備が出来ている。
「『ツェーン』さん、『ファフニール』と『ヴァルキリー』あるんだよね。なら、『フュンフ』さんが帰ってきた時のために『熾盛』直そう!」
先の戦いでオーバーフレームとアンダーフレームに甚大なダメージを追った『熾盛』の修復は未だ為されていない。
パーツが足りないこともある。
そして、同時に理緒は知るのだ。彼女がこれまで見てきたデータは、本来の『熾盛』ではあるが、膨大な戦闘データを内包したコア『ファフニール』と、規格外の出力を誇る炉である『ヴァルキリー』を搭載していたものではなかったのだ。
「今は、『レーギャルン』の方を出せるようにしないと!」
『ツェーン』の言葉に理緒は頷く。
AIである『希』に『ネルトリンゲン』の制御と防衛線の維持を任せる。『ネルトリンゲン』から弾幕が張られ、迫る『パンジャンキャバリア』たちを防壁にとりつかせる前に破壊するのだ。
しかし、地中より飛び出す『パンジャンキャバリア』は低空飛行を続ける『ネルトリンゲン』にとっても予測し難い攻撃ばかりであった。
自爆する前提である無人量産型であるがゆえに、特攻そのものである。
爆風の中から次々と防壁を破壊せんと『パンジャンキャバリア』たちが地中より疾駆してくるのだ。
「『エース』にだってできないことはあるし、悩みもする。守れない者だってある」
同じ人間だからだ。
神様でもなければ、万能でもない。
なんでもができるわけない。けれど、この戦乱の世界クロムキャバリアにおいて『フュンフ・エイル』の名前は重すぎる。
誰もが絶対的な『エース』として彼を見ただろう。
同じ名前を持つ『フュンフ・ラーズグリーズ』にも面影を追うだろう。だが、『フュンフ・ラーズグリーズ』が出奔したのは、その重責に負けたからではないことを理緒は知っている。
彼は自分以外の誰かが傷つくことを厭うのだ。
「だけど、その気持に負けずに、周りの人たちのために、それでも『守る為に』に戦う人の事を『エース』って言うんだよ」
理緒はモーター・プリパラタの名に掛けて、『レーギャルン』の機体整備を『ツェーン』と共に終わらせていく。
時間は足りないかもしれない。
けれど、それでも理緒の瞳はユーベルコードに輝く。
到底無理だと、不可能だというのならば、それを否定する。
猟兵は超克する。あらゆる不可能を、絶対を乗り越えていく。それは猟兵に限ったばかりではない。
「護りたいと想う、その気持こそが『エース』の証なんだよ」
だから、『フュンフ』に再び立ち上がってほしい。
力がないというのならば、理緒は『熾盛』を必ず復元するだろう。
「理緒さん、こっちは終わったよ!」
「了解! こっちも今終わった所! 猟兵の人が来たら『レーギャルン』を出してね! わたしは、『ネルトリンゲン』を拠点にするから!」
理緒は未だ防衛線を維持している『ネルトリンゲン』の奮戦を見やる。
『バンブーク第二帝国』の猛攻は凄まじいものであった。
爆風が吹き荒れ、徐々に防壁に亀裂が走っていく。完全な防衛は難しいかもしれない。
けれど、理緒はそれをこそ超克――オーバーロードしなければならない道であると知る。
「だいじょうぶ。『フュンフ』さんは必ず帰ってくる」
どうしてそういえるのかと『ツェーン』は言わずともわかっていたことだろう。
なぜなら、彼女もまた同じ気持ちであったからだ。
どれだけ心がくじけたとしても。
それでも、人は負けない。彼の中にあるのは優しさだ。強さがなければ生きていくことができないというのならば、優しさなくば生きる資格すらない。
ゆえに理緒は力強く頷くのだ。
「だって『エース』だもん!」
誰かが信じる者がいる。期待と重責を飲み込んで、それでもなおと足掻き、生きることを諦めぬ生命が在る限り、その生命の煌きは輝くのだと理緒は、示したのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『エースは誰かを護るだけの存在じゃない!支え合い、助け合うことができるのもエースだと思うぜ!』
叫び、戦闘に躍り出る
『エースってのは誰かを想い、助け合うことだってできる。一人で背負おうとするのはエースとは言えないなぁ』
【オーラ防御】で守りを固めつつ、電磁機関砲で【制圧射撃】。距離を取りつつ闘い、ユーベルコード【獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』】で焼き尽くすぜ。
『誰かを頼ることを覚えやがれ、フュンフ!!』
『バンブーク第二帝国』の猛攻は続く。
自走する無人量産型キャバリアであるオブリビオンマシン『パンジャンキャバリア』は、防壁に激突する度に自爆し破壊されていく。
けれど、その物量は凄まじいものであった。
地中より飛び出し、息吐く暇も与えずに吹き荒れる爆風。
小国家『フルーⅦ』は地下帝国である『バンブーク第二帝国』の猛威の前に防衛手段すらなく一方的に破壊を受け入れるしかなかった。
いや、答えは否である。
「我が国に残る『スーパーロボット』……出力の高さ故に誰も扱えなかった『レーギャルン』を出せばあるいは……!」
かつての『エース』、『アジン』ですら扱うことのできなかった機体である。
だが、猟兵ならば扱うことができるやもしれない。その可能性に一縷の望みを掛けて、『ツェーン』が整備を終えた。
「いつでも出せますよ!」
その言葉を聞き、『アジン』はか細い未来を見やる。『エース』たる存在を失っても尚、人は生きることをやめない。
ならば、その燈火を守るのもまた世界を守ることであると『スターインパルス』を駆るガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は戦場を往く。
「自爆用の機体……特攻だっていうのかよ!」
『パンジャンキャバリア』たちは敵を撃滅するより早く、防壁を破壊しようとしている。防壁を破壊され、市街地に彼等が飛び込めば、それだけで何十、何百という人々の生命が爆風に晒されることだろう。
それをさせぬために地中より迫る『パンジャンキャバリア』をガイは電磁機関砲でもって撃ち落とすのだ。
自爆用の爆薬に誘爆した機体が見せる爆風は凄まじい。
されど、敵はその爆風すら恐れずに迫るのだ。
「『エース』は誰かを守るだけの存在じゃない。支え合い、助け合おうことができるのも『エース』だ」
ガイの思う『エース』とはそういう存在であった。
確かに『エース』は絶対的な力でもって人々を守るだろう。その存在が意味するところを知ればこそ、そう思うのも無理なからぬことであった。
己の存在が、自身の大切に思う者たちを傷つける要因になるからこそ、『フュンフ』は出奔したのだろう。
わからないでもない。
敵の目は己に向いている。
その度に誰かが傷つくことが耐えられないのかも知れない。
ガイは荒野の何処かに居る『フュンフ』に叫ぶ。
「『エース』ってのは誰かを想い、助け合うことだってできる。一人で背負おうとするのは『エース』とは言えないなぁ」
吹き荒れる爆風をオーラ防御で守り、ガイは防衛線を保つのだ。
距離を取っていても、爆風は機体の装甲をなめるようにして吹き上がる。
その爆風の奥で『スターインパルス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「我が刀に封じられし、獄炎竜の魂よ!!荒ぶる紅蓮の炎となりて、すべてを灰燼と化せ!!」
獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』(ゴク・グレンカイホウ・ヴリトラ・ファンタズム)は、ヴァジュラに封ぜられた、炎龍の魂たる獄炎を荒れ狂わせる。
それは9つの首を持つ竜を模した獄炎が『パンジャンキャバリア』の齎す爆風すら飲み込んで戦場を駆け抜けていく。
明滅する爆発が巻き起こり、『パンジャンキャバリア』たちが尽く破壊されていく。
全てを焼き尽くすかのような炎は『フルーⅦ』に迫る『バンブーク第二帝国』の尖兵をも飲み込んでいく。
「誰かを頼ることも覚えやがれ、『フュンフ』!!」
ガイの言葉が荒野に木霊する。
誰も彼もが一人では生きていけない。
一人では生きていけない弱い生き物が人間である。確かに殺されてしまうこともあるかもしれない。
けれど、人は負けるようにはできていないのだ。
どれだけ、クロムキャバリアに潜む影が人の心をそそのかし、たぶらかし、利用するのだとしても。
それでも人は負けないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
フルーVII?どこかで聞き覚えが…
あーっ!前回わたくしが赴いた平和祈念式典の参加国ではありませんか!
確か軍縮のためにキャバリアを廃棄してしまったんですわよね
そりゃ対応出来るわけがありませんわ
ってなんですあの珍妙な車輪は!
とにかく迎え撃ちますわよ
ガンフューラーのヴリちゃんならこの程度の数なんとも…どんどん増えてますわね!?
なんですヴリちゃん?相手は地上を転がってくるだけだから地形を吹っ飛ばしてしまえばよいと?
なるほど!ヴリちゃんは賢いですわね!
では二連装ビームキャノンでブレイクブラスト!
地形を破壊して立ち往生させてやりますわ
後は勝手に後続パンジャンの玉突き事故連発で誘爆してしまえばいいのですわ!
地底帝国『バンブーク第二帝国』が地中より繰り出すオブリビオンマシン『パンジャンキャバリア』は奇異なる姿であった。
もとより人が乗ることなど考慮されていないドラム型の機体は、自爆するためだけに存在する特攻兵器であった。
小国家『フルーⅦ』に防衛する戦力はない。
あるのは市街地を守る防壁だけである。
しかし、爆薬でもって防壁に体当たりを敢行する『パンジャンキャバリア』は地中より飛び出し、次々と猟兵達によって撃ち落とされていく。
「ってなんですあの珍妙な車輪は!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は己が駆るヴリトラ・ガンフューラーが『フルーⅦ』の大地を疾駆する。
そう、彼女は『フルーⅦ』の状況を良く知る猟兵であった。
以前出向いた平和式典に置いて、二つの国が大規模なキャバリアの廃棄を行った。
それは和平条約を結ぶための式典であったが、オブリビオンマシンの策動により多くの戦力を失っている。
軍縮のためにキャバリアを廃棄してしまったことが、『バンブーク第二帝国』の襲来を決定的なことにしてしまったのは皮肉でしかない。
「かの国に対応できるわけがありませんわ」
メサイアは『ヴリトラ』の射撃戦能力強化仕様であるガンフューラーの重武装を轟かせる。
砲撃の一撃は『パンジャンキャバリア』を打ち抜き、その機体に搭載された爆薬に誘爆して大規模な爆発を引き起こしていく。
一撃を加えれば連鎖的に敵が破壊されるのは良いことであったが、なにせ数が多い上に地中から飛び出してくるために予測がつかない。
「この程度の数なんとも……どんどん増えてますわね!?」
メサイアはうめいた。
あまりにも数が多いのだ。『地底(アンダーグラウンド)』にありし『バンブーク第二帝国』がこれまで溜め込んできた戦力の全てを投入してきたかのような圧倒的な攻勢を前に、じりじりと押し返されそうになっている。
「――」
サイキックキャバリアである『ヴリトラ』の声をメサイアは聞いたことだろう。
そう、『パンジャンキャバリア』はたしかに脅威である。
けれど、地中から飛び出すとは言え、防壁に体当たりを敢行するためには地上を疾駆しなければならない。
ならば、地形を吹き飛ばしてしまえば良いと告げられたのだ。
「なるほど! ヴリちゃんは賢いですわね! では二連装ビームキャノンで立ち往生させてやりますわ」
『ヴリトラ』の背に負った二連装ビームキャノン、ブレイクブラストが砲口を『パンジャンキャバリア』ではなく、その大地へと向ける。
そのビームキャノンの砲撃は地形を破壊し、『パンジャンキャバリア』たちが疾駆する大地、その路面をずたずたに引き裂いてしまうのだ。
「こうなれば、どれだけ速かろうと当たり前のようには走ることはできませんわ!」
メサイアは『ヴリトラ』の中で微笑む。
しかし、『パンジャンキャバリア』は止まることはできない。
どれだけ路面が荒れていようとも自走する無人量産型オブリビオンマシンは、止まることはできず、荒れた大地に乗り上げ後続の『パンジャンキャバリア』たちが玉突き事故のように次々と衝撃で爆発し、さらに連鎖するように爆発を引き起こしてしまう。
まさに花火そのものである。
「たまやーですわ!」
メサイアの声が響く。
どれだけ圧倒的な物量があろうとも、所詮無人量産型である。元が特攻兵器でるがために、誘爆への対策を講じていないことが、猟兵たちの幸いとなった。
そこへ『ヴリトラ』の放つ二連装ビームキャノンが浴びせかけられ、さらに『バンブーク第二帝国』の尖兵は、尽く破壊されるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「謎の地底帝国。第三の敵に対して人類が手を取り合って協力して立ち向かう…だったらいいのにねぇ。」
結局は戦争なのよねぇ
まずはフュンフくんを守るのが先決ね。
彼が何思ってここにいるのか…まあ他人のボク達が踏み入る部分じゃないか。
【行動】
レスヴァントのアマテラスで『索敵』してフュンフくんの位置を確認。
この位置危ないかも。
ARICAを搭載したパールバーティを向かわせる。
ボクも…レスヴァントで某珍兵器モドキのキャバリアを殲滅だね。
『高機動攻撃』で戦場のキャバリアを縦横無尽に殲滅だよ。
『操縦』テクニックで敵の攻撃を回避。
殲禍炎剣対策に地上すれすれを飛びつつアストライアの『制圧射撃』で敵機を撃破する。
「謎の地底帝国。第三の敵に対して人類が手を取り合って強力して立ち向かう……だったらいいのにねぇ」
そうつぶやいたのは、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)であった。
自身のキャバリア『レスヴァント』を駆り、小国家『フルーⅦ』の救援に向かう彼女は、そう夢想する。
平和こそが、この戦乱の世界に求められるものであったのならば、人の和こそが必要なのである。
人種、国、あらゆるものを一つに結束できるのならば平和は遠からずやってくるだろう。けれど、それがやはり理想でしか無い、絵空事であることをユーリーは理解していた。
「結局は戦争なのよねぇ」
どれだけ第三者という共通の敵が現れようとも人類は一つにはならない。
第三の敵を打倒した後、如何にして隣立つ者よりも先んじるかを考えてしまう。けれど、ユーリーは今はそれを頭の片隅に追いやるのだ。
「まずは――」
『グリプ5』を出奔した『フュンフ・ラーズグリーズ』の保護が先決であるとユーリーは判断していた。
彼が何を思って出奔したのか、ユーリーは知らないわけではない。
自分以外の誰かに累が及ぶことを恐れるのも理解できる。
けれど、ユーリーは自身が踏み込むべきではないと思っている。どこまで行っても他人であるからこそ、踏み込んではならないと思っているのだ。
『レスヴァント』のモニターにドローンである『アマテラス』からの情報が入る。
それは探索していた『フュンフ・ラーズグリーズ』の所在を知らせるものであった。『フルーⅦ』を襲っているオブリビオンマシンは特攻兵器である。
自爆が前提であるがために、どれだけ撃破されようとも『バンブーク第二帝国』には問題ないのだ。
その爆発の及ぶ範囲に『フュンフ・ラーズグリーズ』は生身単身で存在しているのだ。未だ健在であることがドローンから送られてくる映像で分かるが……。
「その位置は危ないかも。『パールバーティ』!」
無人機であるAI制御されたキャバリアを向かわせる。
間に合うだろうが、それでも『パンジャンキャバリア』の猛攻を防がねば彼が戻る場所もまた喪うだろう。
だからこそ、ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。
「高機動攻撃(コンバットアサルト)を仕掛ける――『レスヴァント』!!」
機体に掛かる加速度Gがユーリーの体に重くのしかかる。
マッハ5以上に加速する『レスヴァント』の速度は凄まじいものであった。
『レスヴァント』は僅かな時間であれば、暴走衛生『殲禍炎剣』に感知されない特殊粒子を撒き散らし、空を飛ぶことができる。
それはこのクロムキャバリアにおいては、規格外な性能であったことだろう。
あふれる特殊粒子がまるで機体の軌跡を示すように空に模様のように刻まれていく。
「特殊粒子は感知されないだけじゃくて、こういう使い方もある!」
ユーリーの操縦により凄まじい速度のままに『パンジャンキャバリア』たちをアサルトライフルの射撃でもって撃ち貫き、さらに空中に残る特殊粒子を足場にして直角に軌道を変えて、キャバリアソードの一撃を加える。
残った特殊粒子は足場にすることも可能であるがために爆風を防ぐ盾にもすることができただろう。
「止められるものか、ボクを」
無人量産型オブリビオンマシンは特攻するだけの存在である。
どれだけ捨て身の攻撃を放つのだとしても、プログラムされただけの挙動がユーリーの卓越したキャバリア操縦技術を捉えることができるわけなどない。
アサルトライフルから放たれる弾丸が『パンジャンキャバリア』たちを寄せ付けず、『フルーⅦ』の防壁を破壊せんとする爆風の波を防ぎ切る。
『パールバーティ』を向かわせた『フュンフ・ラーズグリーズ』は無事だろうか。
ユーリーは、僅かに気がかりを覚えながらも、それでも己の為すべきことを為すために戦場を飛ぶ。
その特殊粒子の輝きは、空に刻まれる。
どれだけオブリビオンマシンの背後で糸引く存在がいようとも、その思惑、絵図の通りにはさせぬと煌めくユーベルコードの輝きは、ユーリーという『エース』の存在を示すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
亞東・霧亥
既に滅びた小国の血脈、御先祖が偉大過ぎて困ってんのか。
ふん、何処にでも似た様な話は転がってるもんだな。
キャバリアに乗るのは初めてだが、何とかなるだろ。
まず『残像』に突進させる。
通過して切り返す前に近付き片輪を『解体』する。
その場で回転してろ。
【UC】
どんなボンクラでも死なれちゃ困るなら仕方無い。
冥い気持ちになるかもしれないが、とっくに気持ちはドン底みたいだし問題無い。
「底より下は存在しないし、生き地獄でも死ぬよりマシだ。死んだら何も、足掻く事も出来ないからな。」
オブリビオンマシンによる策動によって滅びた小国家『八咫神国』、その地下より出るのは『地底(アンダーグラウンド)』より現れし『バンブーク第二帝国』。
彼等は地上とは異なる文化を持つ巨人である。
人の三倍はある巨躯。
彼等が手繰るキャバリアは、彼等の体躯と同様に通常のキャバリアよりも巨大であった。その尖兵とも言うべき無人量産型オブリビオンマシン『パンジャンキャバリア』は、そのドラムのような機体でもって地中より飛び出し、小国家『フルーⅦ』の防壁へと体当たりを敢行する。
激突した瞬間に爆風が荒ぶ。
防壁は砕け、ひび割れていく。市街地を守るのは防壁しかない。すでに『フルーⅦ』は『グリプ5』との和平条約を結ぶために平和式典において多くのキャバリアを廃棄している。
軍縮したせいで、今の状況があるのならば、それは皮肉であった。
平和を求めるがゆえに、今まさに国が脅かされている。それがオブリビオンマシンの背後で糸引く者の術策であった。
「既に滅びた小国の血脈、ご先祖が偉大すぎて困ってんのか」
亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)は『フルーⅦ』より借り受けた秘匿されし『スーパーロボット』のナンバー機体『レーギャルン』の一機を駆り、迫る『バンブーク第二帝国』の『パンジャンキャバリア』を迎え撃つ。
「ふん、何処にでも似たような話は転がってるもんだな」
それが人の営みの紡ぐ歴史であるというのならば、繰り返されるものである。
キャバリアに騎乗するのは、初めてであったが出力が高すぎるというのも理解できる。
通常のキャバリアでは考えられないほどの出力。
機体の制御を誤った瞬間に機体自体が分解してしまう。かつて在った機体の炉を分割したものが搭載されていると言われているが、それでもなおこの出力。
霧亥は『レーギャルン』を駆り、残像を残すほどの『レーギャルン』の機動をもって『パンジャンキャバリア』を一刀のもとに片側の車輪を切断する。
特攻兵器であるがゆえに、その機体は片輪を失った瞬間に爆破するだろう。
けれど、その爆風に煽られることはない。
「――あれか。例の『フュンフ・ラーズグリーズ』とやらは」
どんなボンクラでも死なれちゃ困ると、霧亥は己のユーベルコード、悪意に満ちた冥い糸で『フュンフ・ラーズグリーズ』とつながる。
それはユーベルコードの糸である。
繋がれた両者は同時に死なない限り死ぬことのない力である。
ゆえに、この場に出奔してきた『フュンフ・ラーズグリーズ』が死ぬことはないだろう。
いや、死なない。
己が死ぬことなどイメージですらないかもしれない。
その悪意に満ちた冥い糸とつながる『フュンフ・ラーズグリーズ』とモニター越しに視線がかち合う。
その瞳にあったのは絶望ではなかった。
悪意を真正面から受け止めて尚、奥に輝くものがある。失意に沈んでもなお、その奥にあるものを霧亥はなんとするだろうか。
「――失望も、失意も、絶望も、何もかも底にはない。わかっているんだよ、そんなことは」
その言葉を霧亥は『レーギャルン』から見下ろす。
負けん気の強い瞳だと思ったかも知れない。
悪意に満ちた冥い糸より流れる気持ちを受けて尚、瞳にあるのは負けん気であった。ならば、その失意の底にあるかのような振る舞いはやめろというように告げるのだ。
「底より下は存在しないし、生き地獄でも死ぬよりはマシだ。死んだら何も、足掻くことも出来ないからな」
生きてこそ生命である。
どんなに泥臭くとも生きて、生きて、次につなぐからこそ、人の連綿たる歴史は紡がれてきたのだ。
ならばこそ、その瞳の奥に輝く真価を問うのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ハンバーグ第二帝国が火炎放射器によるハンバーグ量産計画を企んでいるだとっ」(くわっ
これはハンバーグ第二帝国とやらを我が打倒し、至高のハンバーグを我のものにするしかあるまい!
やはりハンバーグは高火力で表面はこんがり、中はジューシーに仕上げねばな!
「む、地下から現れてきているのは……
ハンバーグ焼き器だな!」
ふん。鉄板ほどではないが、あのハンバーグ焼き器もかなりの火力(注:爆薬です)をもっているようだ。
だが……我が求めるのは究極のハンバーグ焼き器!
このような中途半端な試作品は不要!
我の【隕石召喚】で塵と化せ!
「さあ、ハンバーグ第二帝国よ!
早く究極のハンバーグ焼き器を出してくるのだ!」
空耳。
フレーズの誤った認識、置き換えなどによって新たなる言葉を生み出してしまうもの。
地底帝国である『バンブーク第二帝国』もそうであったのだろう。
フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)の瞳がカッと見開かれる。
そこにあったのは食欲の二文字だけであった。
「ハンバーグ第二帝国が火炎放射器によるハンバーグ量産計画を企んでいるだとっ」
瞳孔開きっぱなしである。
正直、此処まで来るといっそ天晴であったことだろう。
度を越した食欲は、ついに謎の計画まで見通すのだ。いや、そんな計画は何一つないのだが、フィアにとっては関係ないことであった。
彼女の頭の中にはハンバーグしかない。
肉をたたき、こね、焼いた肉汁溢れる料理である。大抵の肉は焼けばなんとかなるものである。
それはこれまでの彼女の食生活で知り得たことだ。
ドラゴンだってゲテモノだってなんだって食べてきたのだ。
「これはハンバーグ第二帝国とやらを我が打倒し、至高のハンバーグを我のものにするしかあるまい!」
一人『フルーⅦ』の防壁の上に立つフィアは見下ろす。
地中より飛び出す敵オブリビオンマシン『パンジャンキャバリア』は防壁へと自爆攻撃を繰り出すことによって市街地へと飛び込もうとしている。
「む、地下から現れてきているのは……ハンバーグ焼き器だな!」
いや違う。
けれど、その爆風をみやりフィアは頷く。
鉄板ほどではないが、特攻兵器である『パンジャンキャバリア』はかなりの火力を持っていることが伺える。
だが、フィアはそんな火力では満足しないのだ。
「やはりハンバーグは高火力で表面はこんがり、中はジューシーに仕上げねばな!」
火力。
そう、全ては火力のために。フィアが求めるのは究極のハンバーグ焼き器である。
『パンジャンキャバリア』のような中途半端な試作品など不要であるのだ。
ゆえに彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「天空より来たれ、全てを破壊する一撃よ」
天空より召喚された巨大隕石。
それは彼女の魔力に寄って凄まじい速度で持って天より降り注ぐ絶命の一撃である。
魔力と落下速度、召喚された隕石の質量が掛け合わさり、さらにハンバーグを求めるフィアの食欲もまた重ねられていく。
凄まじき隕石は『パンジャンキャバリア』たちを塵へと返すように降り注ぐ。
「さあ、ハンバーグ第二帝国よ! 早く究極のハンバーグ焼き器を出してくるのだ!」
腹の虫が最早限界である。
フィアは気がついていない。
確かに高火力な機械はあるだろう。けれど、肝心要のハンバーグ事態が存在していない。
ここは他の世界のようにオブリビオンマシンしかいないのだ。
どう考えても彼女が叩いてひき肉にしてこねて整形して食べるハンバーグなど存在していないのだ。
だが、フィアの高笑いは『フルーⅦ』の防壁の上に響き渡る。
迫る『パンジャンキャバリア』など物ともしない隕石の一撃は、凄まじい勢いで地中より飛び出す彼等を滅ぼし尽くすだろう。
その後に待ち受ける空腹などフィアは物ともせず、そして、また腹の虫が暴れまわるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
何故、出奔を…
未だ正体定かなならぬ影に名指しされた事が影響しているのでしょうか
『レーギャルン』を借用します
同時にロシナンテⅣをUCにて遠隔操縦
Ⅳの優れたセンサー系活かした●情報収集能力で『フュンフ』様捜索
さて、先ずは地下帝国の脅威を除かねばなりませんね
レーギャルンをハッキング、出力限界突破
暴走寸前炉心を制御しつつ固定射撃武装で胡乱な敵機の一群を●蹂躙
生き残りは装甲と馬力活かした徒手空拳で撃破
『フュンフ』様を見つければⅣで確保
合流し『レーギャルン』と機体を交換
この戦場は生身では生存困難となります
逃げるか、戦うか…選択の為にもまず、生き延びねばなりません
脚としてご活用ください
Ⅳと共に前線へ舞い戻り
『フルーⅦ』が作り出したキャバリアにして『スーパーロボット』である『レーギャルン』はその出力の高さゆえに誰にも扱うことのできなかった機体である。
その『レーギャルン』に搭載されていたのは、かつての『熾盛』の中にあった膨大な戦闘データの集積たるコア『ファフニール』と規格外の出力を誇る炉である『ヴァルキリー』を分割したものである。
一番機から九番機までに分割されたコアと炉は、それでもなお誰も扱うことができなかったのだ。
『フルーⅦ』のエースであった『アジン』ですら扱えず、未完の傑作機として安置されていた。
その『レーギャルン』をトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は借り受け、防壁の外へと飛び出す。
迫るオブリビオンマシン『パンジャンキャバリア』は自爆攻撃に寄って防壁を破壊せんと迫っている。
「自身の駆る機体の方が強いなどウォーマシンの名折れ。少し無理をすべき時ですね……しかし、この『レーギャルン』……出力が高すぎますね」
この機体を駆ることができるのが猟兵しかいなかったというのもうなずける話である。
彼は鋼の双機影(スティールツインシルエット)たる『ロシナンテⅣ』を遠隔操作しながら、共に地下帝国である『バンブーク第二帝国』の脅威を除かんと戦場へと向かうのだ。
『ロシナンテⅣ』の優れたセンサーを活かし、保護対象である『フュンフ・ラーズグリーズ』を捜索する。
彼の所在はすぐに知れた。他の猟兵達が彼を護るように展開していたことが幸いであった。
「何故、出奔を……未だ正体定かならぬ影に名指しされたことが影響しているのでしょうか」
トリテレイアには理解できるようであり、理解できぬものであったかもしれない。
人の心は変わりゆくものである。
どんなに強靭な精神も時を経ることによって摩耗していく。
ゆえに『フュンフ・ラーズグリーズ』の心もまた、彼の周囲に在るものが傷つくことによって擦り切れていったのかもしれない。
それを仕方のないことであると受け入れることもあるかもしれない。それを諦観と呼ぶのであれば、トリテレイアは、それもまた人の生きる道であると知る。
「ですが!」
『エース』は折れて尚、立ち上がる力を持つ者である。『フュンフ・ラーズグリーズ』の出自が如何とするものではなく。彼自身の活きる力を信じるからこそ、トリテレイアは己の駆る『レーギャルン』の出力の限界を突破し、暴走寸前の炉心を制御しながら放たれる射撃で持って『パンジャンキャバリア』たちを撃ち抜いていく。
「生きることをやめぬのであればこそ、人の道」
トリテレイアは敵陣を突破し、『レーギャルン』でもって『フュンフ・ラーズグリーズ』の前に降り立つ。
彼の瞳を見た。
どれだけ悪意に翻弄されてもなお、その瞳に宿る光を見たのだ。
人は負けない。死んでしまうかも知れないけれど、殺されてしまうかもしれないけれど、負けるようには出来ていないのだ。
トリテレイアはそれを知るからこそ、『レーギャルン』のコクピットから降り、『ロシナンテⅣ』へと乗り換える。
「この戦場は生身では生存困難となります。逃げるか、戦うか……選択のためにもまず、生き延びねばなりません」
そのためにトリテレイアは『レーギャルン』を借り受けたのだ。
彼では扱うことができないだろう。
けれど、それでも脚として活用し、『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンを覆う『有毒装甲』を防ぐ盾として使うことは出来るだろう。
「僕は――」
その言葉をトリテレイアは遮る。
その答えを出すのも、聞くのもまだ速すぎる。懊悩は人を苦しめるが、時に成長を促すものである。
ゆえにトリテレイアは『ロシナンテⅣ』と共に戦場へと舞い戻る。
戦う意味を見出すことができたのならば、そのときこそ、トリテレイアは答えを聞くべきであっただろうから――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『Fortress』
|
POW : 要塞からの火力支援
【背部に背負った多連装ミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同じく背部に背負った主砲】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 要塞への接近阻止
【足の間】から【重機関銃の乱射】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 要塞による掃討
【両腕のグレネードランチャー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠フォルティナ・シエロ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『フルーⅦ』に迫っていたオブリビオンマシン、『パンジャンキャバリア』たちは尽くが破壊された。
だが、それで戦いが終わるわけではない。
地鳴りがする。
地底(アンダーグラウンド)の底より響く音は、キャバリアの、オブリビオンマシンの駆動音であった。
大地を割り、出現するのは通常キャバリアの三倍はあろうかという巨躯。
それは人型をしていなかった。
謂わば城塞そのものが地底より浮かび上がったかのような威容。
『Fortress』――それはあまりにも巨大なオブリビオンマシンであった。もとより『バンブーク第二帝国』は巨人の如き体躯を持つ人々の国家である。
彼等が扱うキャバリアもまた、それ相応の巨大さを誇る。
「我等が怨敵『フュンフ・エイル』! その血脈を焼却する。我等が積年の恨み、ここではらさせていただく!」
『Fortress』の中にある地底帝国のパイロットが咆哮する。
彼等は今を生きる者である。
されど、その胸に宿る怨念は過去のもの。自身たちの国を嘗て滅ぼし、数多の同胞を苦しめ、いじめ抜いた悪魔の機体『熾盛』を駆る『フュンフ・エイル』の名は許しがたく。
そして、その末裔が生きる地上こそ、怒りの炎によって焼滅すべきであると憎悪にかられているのである。
「我等の怒りの炎が全てを焼き尽くしてくれる!」
凄まじい炎が『Fortress』の周囲に展開される。
それは巨大な火炎放射器による炎の壁。猟兵たちは、その炎の壁を踏み越えて、あの巨躯なるオブリビオンマシンに迫らねばならない。
さらには、その機体装甲は全てが『有毒装甲』である。
生身単身では身を侵す毒によって不利となるが、キャバリアによってそれは防ぐことができるだろう。
『フュンフ・ラーズグリーズ』は猟兵の残したキャバリア『レーギャルン』の中で思う。
何を、と問われれば応えることは難しかっただろう。
家族のこと、国のこと、猟兵たちのこと。
そして、己の名と同じ存在のこと。
この『レーギャルン』は嘗ての十全たる『熾盛』の機能を分割した機体である。それでも猟兵以外に扱える者はいなかった。
『エース』でも扱えなかったのだ。
「機体を立たせるだけで精一杯だなんて……なんて、出力!」
こみ上げてくる怒りは、『バンブーク第二帝国』のパイロットとは異なる怒りであった。
他者に向ける怒りではなく、己に対する怒り。
その二つの怒りの間で猟兵たちは、荒れ狂う怒りの権化たるオブリビオンマシン『Fortress』の放つ毒と炎、そして要塞の如き力を打倒しなければならない――。
菫宮・理緒
すごいのがでてきたけど、『フュンフ』さんが帰ってくるまで『フルーⅦ』には近づけさせないよ。
わたしも『レーギャルン』を借りてでよう。
なるべくそばでサポートしたいからね!
『ツェーン』さん、ちょっといってくるね。
帰ってきたら『熾盛』直して、パワーアップさせちゃおう!
炎は【mist sprayer】を高圧放水モードで叩きつけて、みんなの突撃する突破口を開いていくよ。
そしてそっちよりもやっかいな『有毒装甲』は、
【ストラクチュアル・イロージョン】で、毒成分を中和していくよ。
毒の一分子だって『フルーⅦ』には届かせないからね。
あなたたちの恨みも怒りも、
罪ない人たちを巻き込む言い訳にはならないんだから!
『バンブーク第二帝国』は巨人の国である。
地底(アンダーグラウンド)に存在する魔法帝国の継承者を自称する彼等の瞳にあるのは怒りだけであった。
かつて『熾盛』を駆る悪魔の如き存在『フュンフ・エイル』に地上進出を阻まれ、地下へと追いやられた恨みは世代を重ねても薄まることはなかった。
そこにあったのは、怒り。
「我等を地底に追いやる者全てを燃やし尽くす。これこそが我等に命ぜられた『滅却作戦』!」
巨大なオブリビオンマシン『Fortress』より放たれる火炎放射器の炎が壁のようにそそり立ち、敵の接近を許さない。
よしんば炎の壁を踏破したとしても、機銃の掃射は弾幕となって寄せ付けないだろう。
「すごいのが出てきたけど、『フュンフ』さんが帰ってくるまで『フルーⅦ』には近づけさせないよ」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は借り受けたスーパーロボットである『レーギャルン』を駆り、戦場へと飛び出す。
『フュンフ・ラーズグリーズ』は他の猟兵に寄って『レーギャルン』に搭乗している。
それはオブリビオンマシンの身に纏う『有毒装甲』の汚染を避けるためであったが、猟兵でなくば扱うことのできない出力の機体を彼もまた扱えずに立ち往生していた。
「『ツェーン』さん、ちょっといってくるね」
帰ってきたら『熾盛』を直さなければならないと、理緒は言う。
その言葉に『ツェーン』は頷く。
「でも、こっちはまだ『熾盛』持ってきてないんです! 今は!」
そう、今は『フルーⅦ』を救うことが先決である。理緒は『レーギャルン』に装備させた高圧散水機でもって火炎放射器により生まれた炎の壁を霧消させる。
ただの散水機であれば炎の壁は突破できなかっただろう。
けれど、彼女の駆る『レーギャルン』の圧倒的な出力により、高圧にまで達した水は、炎の壁を割るのだ。
「我らの炎を消し去るか! だがな!」
『Fortress』に備えられた機銃は無数。
その弾丸は雨のように『レーギャルン』に迫るだろう。けれど、理緒にとって、もっとも厄介であったのは、その装甲――『有毒装甲』である。
生身の人間を侵す有毒な粒子を振り撒くそれを放置してはならない。
『レーギャルン』のアイセンサーが煌き、理緒の瞳と共にユーベルコードに輝く。
彼女の駆る『レーギャルン』かrあ発せられるのはウィルス。
あらゆる内部構造へと侵食するウィルスは、『有毒装甲』の内部にまで居たり、その有毒な成分を中和していくのだ。
それがストラクチュアル・イロージョン。
「どれだけ有毒な粒子を撒き散らすのだとしても、そんな時間は与えないよ。一分子だって『フルーⅦ』には届かせないからね」
その言葉に応えるように『レーギャルン』の炉が燃える。
圧倒的な出力は機体制御の難しさを物語る。けれど、理緒は類稀なる電脳魔術を手繰り、一気に機銃の掃射を交わし、弾幕をかいくぐっていく。
凄まじい戦術機動。
理緒は己が思い描く機動を完璧に再現できていることに驚愕するだろう。
猟兵でなければ扱えない『レーギャルン』。
その力は圧倒的である。これが分割されたコアと炉でもって動いているということが、本来の『熾盛』の伝説的な強さを裏付けるものであった。
「我らの怒りを阻むか! 我らは百年、地底で待ったのだ! それを!」
『Fortress』のパイロットが咆哮する。
それは誰の怒りなのか。
かつて在りし者たちの怒りを受け継いだ憤怒の炎。それが今を生きるものたちに向けられる。
人の歴史は繰り返す。
ならばこそ、理緒は『Fortress』より放たれる弾丸をかいくぐって迫る。
「あなたたちの恨みも怒りも、罪ない人達を巻き込む言い訳には――」
『レーギャルン』の炉心が燃える。
その圧倒的な速度で持って迫る握りしめた拳の一撃が『Fortress』に叩き込まれ、要塞の如き機体を大地に叩きつける。
「――ならないんだから!」
そう、どれだけの怒りも恨みも。
どこかで断ち切らねばならない。
続く憎悪は、いつだって滅びに直結するのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
【心境】
「過去の亡霊か…こんな奴らばかりだから世界から戦争が無くならないんだよ全く…。」
フュンフくんも無事ね。よかった。
【行動】
さて、これまた厄介な。
毒はレスヴァントを『操縦』してるからしばらく大丈夫として、炎の壁…か。
接近戦は止めておいた方がいいわね。
よし、最大出力でぶち抜く(超脳筋)
背面武装をソニックウイングからダークマンティスに換装っと。
重機関銃の弾幕を『瞬間思考力』で『見切り』『操縦』テクニックで回避しつつ『エネルギー充填』開始。
エネルギー120%『限界突破』を確認。
ダークマンティスによるレーザー射撃…ウルティメイトキャノン発射!!
炎の壁ごと…ぶち抜けぇぇぇぇッ!!
「あれが地底帝国……! でもっ!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』は見た。
己の中に流れている血脈、その血を恨む者の存在を。
けれど、同時に理解するのだ。あれはきっと己でもあるのだと。誰かを救うことは誰かの手を取らぬということである。
己の敵にも己と同じように大切な存在が在ることを知る。
だからこそ、彼は『レーギャルン』を立たせることで精一杯であった。抱えるものは多く。されど、相対する敵にもまた同様であるとしったからかこそ、彼の引き金に掛けた指は重く。
「怨念返しというやつだ、これは! 我等を百年前に地底(アンダーグラウンド)に放逐したのが『フュンフ・エイル』! ならば、これは正当なる復讐。我等の復讐が果たされぬ限り、我等は地上の光の元を生きることも敵わぬ!」
誰かの憎悪が継火されて紡がれてきた。
その怨嗟の如き炎が壁と成ってオブリビオンマシン『Fortress』を囲う。
さらには接近を拒むように機銃の掃射が嵐のように吹き荒れている。接近することが難しいとユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は感じるだろう。
「過去の亡霊か……こんな奴等ばかりだから世界から戦争がなくならないんだよ全く……」
ユーリーは他の猟兵が運んだ『レーギャルン』に搭乗した『フュンフ・ラーズグリーズ』の安否を確認し、息を吐き出す。
とりあえずは敵オブリビオンマシンの身に纏った『有毒装甲』より放たれる毒によって生身である『フュンフ・ラーズグリーズ』が脅かされる可能性はなくなった。
それを今は喜び、そして僅かな時間すらも無駄にはしないとユーリーは『レスヴァント』を駆り、戦場を舞う。
「我等の恨み、その炎の壁を越えられるものかよ!」
炎の壁と弾丸。
それらに寄って『Fortress』はまさに難攻不落の要塞と化していた。
攻めあぐねるというのはこういうことを言うのだろう。
だが、ユーリーは笑う。
「なら、最大出力でぶちぬく」
それは超が頭につくほどの脳筋的至高であった。
「ウルティメイトキャノンモードへ移行。エネルギーライン、全段直結。チャンバー内、正常加圧中…ライフリング回転開始…発射準備完了!!」
『レスヴァント』の背面に背負った『ダークマンティス』の砲身が水平に掲げられる。
それはユーベルコードにして、物質化するほどの膨大な質量の電力を撃ち放つウルティメイトキャノンの一撃であった。
「高エネルギー反応だと……! 我が『Fortress』の炎の壁すら抜くつもりか! させぬよ!」
『Fortress』が城塞の如き巨大な機体を『レスヴァント』へと向ける。
けれど、もう遅い。
ユーリーのユーベルコードは一瞬で膨大な電力を物質化するほどの塊へと引き上げる。
その砲身を向けた瞬間に、すでにこの強烈な一撃が放たれることは決定していたのだ。
「エネルギーは120%限界突破! 炎の壁ごと……」
ユーリーの瞳に映るモニター。
そこにあるのは巨大な巨躯。通常のキャバリアの三倍を誇る威容。
『Fortress』は『バンブーク第二帝国』に住まう巨人たいちの体躯を得て、さらなる巨大さをもって『レスヴァント』を押しつぶさんと迫るのだ。
ダークマンティスの長大な砲身に迫る『Fortress』の圧倒的な質量。
「ぶち抜けぇぇぇぇッ!!」
ユーリーは躊躇わなかった。
どれだけの恨み辛みが重なるのだとしても。それでも、それを捨てきれぬ勇気を保たぬものに彼女は負けるわけにはいかなかったのだ。
戦いだけが続く世界。
それがクロムキャバリアである。
けれど、戦いではなく平和を求める者たちがいる。誰も死なせたくないと、傷ついてほしくないと願って出奔した者だっている。
ならばこそ、重荷電粒子ビームの一撃を持ってユーリーは、それに応えるのだ。
放たれるビームは極大の光。
炎の壁をもってしても防げる道理など何処にもない。
あるのは圧倒的な破壊の力。かつてそうだったように強大な力を誇ったとしても、さらなる強大な力がそれをなぎ倒す。
「怒りを覚えるとは言わないけど、その怒りをコントロールできるようになれ――!」
その叫びとともに『Fortress』の装甲が消失し、要塞の如きユニットの一部を爆散させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
お怒りは結構ですけれど殲滅作戦なんてまともな国のする事じゃありませんわ
今度はでっけぇのが出て来ましたわ!
しかも火炎放射器を持ってますわ!アツゥイですわ!ヴリちゃんが焼きヴリちゃんにされてしまいますわ!近寄れませんわ!
どうしましょう…なんですヴリちゃん?
滅亡の光?まぁ確かにそれなら威力も射程も十分ですけれど…
ではヴリちゃん!チャージを開始するのですわ!
万が一お国ごと吹っ飛ばしたら国際問題になってしまいますのでチャージは3割位に留めますのよ
その間わたくしは二連装ビームキャノンで両腕のグレネードを狙い撃って攻撃を封じますわ
チャージが終わりましたらすぐ発射ですわ!
キャバリアっぽい部分は避けるのでしてよ
極大なるビームの一撃がオブリビオンマシン『Fortress』のユニットの一部を貫き爆散させる。
けれど未だ巨躯を誇るオブリビオンマシンは、そのパイロットの怒りを増幅させるように唸りを上げる。もとより『バンブーク第二帝国』のパイロットは巨人のごとく人間の三倍の体を持つ。
ただ一人あるだけでキャバリアと同じ人間が地底(アンダーグラウンド)に存在していることは恐るべき事実であったことだろう。
「我等の怒りを! 地上に住まう『フュンフ・エイル』の末裔全てに味合わせなければならぬ!」
そうすることでしか、己たちの怒りは濯げないのだというように『Fortress』のパイロットは怒りに飲み込まれたまま、両腕に装備されたグレネードランチャーを放ち、爆炎と共に火炎放射器が生み出す炎の壁の中に鎮座する。
「お怒りは結構ですけれど、殲滅作戦なんてまともな国のすることじゃありませんわ」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は怒りのままに敵を滅ぼす行いこそを愚行だと言う。
『ヴリトラ』と共に戦場を往く彼女の目の前に現れた通常の三倍以上はあろうかというオブリビオンマシン『Fortress』の威容。
メサイアにとっても予想外の大きさであったことだろう。
さらに炎の壁と『有毒装甲』が生身の人間たちの脅威になることは言うまでもない。
「今度はでっけぇのが出てきましたわ! しかも火炎放射器を持っていますわ! アツゥイですわ! ヴリちゃんが焼きヴリちゃんにされてしまいますわ! 近寄れませんわ!」
彼女の言葉通り接近することは難しい。
されど、猟兵達はこれまでも何度だって難敵を打倒してきた。ゆえにサイキックキャバリアである『ヴリトラ』の出した答えは単純にして明快であった。
炎の壁が接近を許さないというのであれば、背に負った極大荷電粒子砲の一撃で炎の壁ごとぶち抜けばいいのだと言う。
しかし、それはあまりにも乱暴な行いであった。
確かに極大荷電粒子砲の一撃ならば威力も射程も十分であろう。けれど、万が一がある。
『フルーⅦ』ごと吹き飛ばしてしまったのならば、国際問題どころではない大問題と成ってメサイアに降りかかるだろう。
ゆえに彼女はチャージを三割に抑えるのだ。
「ヴリちゃん!」
その叫びに『ヴリトラ』のアイセンサーが煌めく。
ユーベルコードの輝き。
それは滅亡の光(ジェノサイドバスター・エクシード)と同じであった。あらゆる障害を、敵を打ち砕く破滅の光。
「ジェノサイドバスター……その威力を味わっていただきますわ!」
「ぬかせ! 我等が怒りが、その程度の光に負けるものか!」
『Fortress』より放たれるグレネードをメサイアは交わしながら、二連装ビームキャノンでもって、両腕に備えられたグレネードランチャーを狙い撃ち、爆風の中に沈ませる。
少しでもチャージ時間の隙をなくすためだ。
三割。
それは確かに通常よりも威力を抑えた一撃であったし、キャバリアの部分をうち貫かぬように加減をしたものであった。
「――発射!」
メサイアは照準をずらす。
如何にオブリビオンマシンであり、乗っているのが地底帝国のパイロットであろうとも、生命を奪うには値しない。
ゆえにメサイアは要塞の如きユニットを狙い撃つ。
放たれた荷電粒子ビームは三割ほどのチャージであったが、その滅びの光と称される一撃は『Fortress』のユニットを半壊に追い込むほどであった。
「馬鹿な――我等の装甲を貫く……! これほどの出力を……!」
「これでまだ加減しておりますわ。怒りに呑まれたまま、使う力など、他者を傷つけるだけだと知りなさい!」
メサイアの放つユーベルコードの輝きは、戦場を極光の如き一撃でもって塗りつぶす。
怒りが全てを凌駕することはない。
そして、憎悪もまたそうである。メサイアは、それを知らしめるように荷電粒子ビームが染め上げる戦場にありて、『ヴリトラ』の咆哮を轟かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『過去の恨みだろうとなぁ、今を生きる人々にぶつけるな!!』
【オーラ防御】のオーラをまとい、電磁機関砲の【制圧射撃】を脚部に向けて放ち、牽制。ブレードでの【なぎ払い】と【鎧砕き】を叩き込んだあとユーベルコード【突撃機甲戦術『天嵐・改』】のリミッターを外した連続攻撃を叩き込むぜ
巨大なオブリビオンマシン『Fortress』の要塞の如きユニットが半壊に追いやられる。
二度の荷電粒子ビームの砲撃は確実に『Fortress』を追い込んでいた。
しかし、それでもなお『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンは、巨人のパイロットの怒りを増幅させ、歪ませていく。
彼等の怒りは正しいものであったのかもしれない。
己達が地底(アンダーグラウンド)へと追いやられたのは、地上に存在した悪魔の如き存在、『熾盛』と『フュンフ・エイル』によってであったからだ。
「忌々しい! 我等の怒りを阻むかよ!」
機体の随所に設けられた重機関銃の乱射がハリネズミのように放たれる。
さらに火炎放射器より放たれる炎が壁と成って接近を阻むだろう。
それをガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は『スターインパルス』に搭載されたオーラを纏い電磁機関砲から弾丸を放つ。
如何に電磁加速を得た弾丸と言えど、炎の壁を前に溶けて落ちる。
「この距離じゃ届かないか」
ガイは敵の一斉射を躱しながら戦場を疾駆する。
敵の要塞のようなユニットは他の猟兵たちの攻撃に寄って半壊に追い込まれている。
けれど、未だ城塞そのものと呼ばれたオブリビオンマシンは、通常の三倍もの巨躯と炎の壁でもって寄せ付けないのだ。
「無駄だ。我等の憎悪の炎は、我等を地底においやった『フュンフ・エイル』の血族を燃やし尽くすまで消えぬ!」
過去より堆積した恨み。
それが『バンブーク第二帝国』のパイロットを突き動かすものであった。
強い感情はオブリビオンマシンによって捻じ曲げられ、歪み果てる。
けれど、ねじ曲がった感情は力と成ってマシンに流れ込む。機関銃による乱射もまた、その発露であるのだろう。
「過去の恨みだろうとなぁ、今を生きる人々にぶつけるな!!」
ガイは叫ぶだろう。
どれだけ正当な恨みであろとうも、それを過去ではない今にぶつけることは己がその連鎖を担うことである。
自分たちの復讐が終われば、その復讐の的となった者たちが彼等自身を焼く炎となる。
因果応報と言えば、それまでである。
けれど、その因果を断ち切らねばならぬとガイは『スターインパルス』のブレードを抜き祓う。
「システム・ヴァジュラ…起動!!全力全開!とっておきの戦術パターンだ。くらっていきな!!」
リミッターを解除した『スターインパルス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
因果を断ち切るために振るう刃は、ユーベルコードの輝きを受けて炎の壁を切り裂く。
乱射される弾丸が機体装甲を削る。オーラの防御すら抜けてくる強力な攻撃は機体を痛めつけるだろう。
けれど、ガイは『スターインパルス』と共に飛ぶ。
搭載された武装の全てを解き放ちながら、突撃機甲戦術『天嵐・改』(トツゲキキコウセンジュツ・テンランアラタメ)を敢行するのだ。
「衝動的に怒りに身を任せるから、自分を焼く炎が自分の大切なものに飛び火することに気が付かない」
ガイは裂帛の気合と共に巨大なオブリビオンマシンへとブレードの一撃を叩き込む。
その一撃は『Fortress』の装甲を切り裂き、『有毒装甲』から毒の粒子を撒き散らす。
それでも燃え盛るようなユーベルコードの輝きは終わらない。
放つ剣閃の一撃は『Fortress』のユニットを切り離すように刻み込む。
復讐に塗れたというのならば、それを濯ぐのが炎である。ガイは己の駆る『スターインパルス』と共に、その憎悪をこそ切り裂かんと力を振るうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
亞東・霧亥
馬鹿の一つ覚えと言われようが、この『残像』は的を絞らせず、奴の懐に入る隙を生む。
撃ち出されるグレネードも、元がデカいから見やすくて『解体』しやすい。
【UC】
一度剣戟を始めたが最後、その両腕か兵器を斬り落とすまで剣戟は続く。
迂闊に引けば、腕だけでは済まないぞ。
「フュンフが戻ってくるまでは、ここで釘付けになってもらうぜ。」
半壊した『Fortress』――巨躯を誇るオブリビオンマシンが傾ぐ。
炎の壁は未だ健在であり、猟兵の接近を拒むようでもあった。オブリビオンマシンは人の心を歪める。
『バンブーク第二帝国』のパイロットの心にあるのは憎悪だけであった。
地上にありし存在全てが憎たらしいと思うだろう。同時に自身たちを地底(アンダーグラウンド)においやった元凶である『フュンフ・エイル』を心底憎む。
けれど、それは今を生きる『フュンフ・ラーズグリーズ』ではない。
その復讐に意味はない。
けれど、そんなことは彼等には関係ない。
嘗て地上に進出しようとして、その尽くを『フュンフ・エイル』の駆る『熾盛』は阻んできた。
「ゆえに我等は滅ぼすのだ。我等の道行きを阻むのは『フュンフ・エイル』の血族のみ! 燃やし尽くし、滅却すれば地上は我等のものだ!」
巨人の如き体躯。
それだけの体格差をもって、巨大オブリビオンマシンは炎の壁とともに両腕に装備されたグレネードランチャーを撃ち放ち、爆炎の中で咆哮するのだ。
「しばらく俺に付き合え」
『フルーⅦ』より借り受けたキャバリア『レーギャルン』を駆り、亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)は戦場を疾駆する。
炎の壁が迫る。
それを居合抜きのようにビームブレードの一撃で切り裂く。
放たれるグレネードランチャーを残像を生み出す程の速度でもって的をしぼらせない。
「馬鹿の一つ覚えと言われようが」
圧倒的な出力を誇る『レーギャルン』だからこそ、その動きに追従する。
コアである『ファフニール』に収められた戦闘データは膨大である。霧亥は、己の動きをトレースするような『レーギャルン』の挙動に違和感を覚えたかもしれない。
まるで最初からそうであったかのように機体が動く。
モーションデータでもなければ、後付でもない。
最初から己の動きを知っていたかのように『レーギャルン』は動いている。
まるでこれ以上の戦術機動をコアである『ファフニール』が知っていたかのような。
「その動き! その機動! お前もあの悪魔の残したものか!」
『Fortress』のパイロットが咆哮する。
悪夢の再来の如き『レーギャルン』の動きに恐れ以上に憎しみを膨れ上がらせる。グレネードランチャーから放たれる一撃が爆炎を上げ『レーギャルン』の装甲を融解させていく。
「機動が出来ても、機体装甲が保たないか――だが、元がでかいから見やすくて『解体』しやすい」
『レーギャルン』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
剣戟無尽・不動劒(ケンゲキムジン・フドウケン)。
それは至近より居合抜きを放ち、剣戟を重ねることにより『Fortress』の動きを封じる斬撃である。
一度剣戟を始めたが最後、その両腕かあ兵器を切り落とすまで剣戟は続く。
止まらぬ剣戟は、通常のキャバリアであれば機体のほうが保たないであろう。けれど、此処にあるのは『レーギャルン』である。
猟兵を置いてはこれまで高すぎる出力ゆえに誰も扱うことの出来なかった機体である。
「迂闊に引けば、腕だけでは済まないぞ」
霧亥は『レーギャルン』が己のユーベルコードの出力に耐えることを理解していただろう。
それだけのポテンシャルを持ち、同時にそれを最初から想定していたかのような動きを見せている。
無数に放たれた剣戟が鳴り止まず。
『Fortress』は、その巨体が滅びるまで、その場に押し止められ続けるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
これはまた大物が出てきたわね。
それにしても身長3メートルの巨人か。グリードオーシャンの巨人種族がそうじゃなかったっけ? 何か関係があるのかしら?
まあ、今はオブリビオンマシンを潰すだけ。
「結界術」「高速詠唱」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」で紅水陣。
炎の壁とかそんなものは関係無い。戦場全部を強酸で溶かし尽くす。
有毒装甲の毒素も溶かせたらいいけどね。念のため、「オーラ防御」に「環境耐性」と「呪詛耐性」を重ねて。
オブリビオンマシンに乗っている以上、その怒りがどこまで本物かは知らない。だけど、他者を否む者は己もまた否定されるのが世の道理。
地底で百年暮らしてきたなら、その発展に力を尽くしなさい。
「これはまた大物が出てきたわね」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、その巨躯を誇るオブリビオンマシン『Fortress』の威容を見上げる。
彼女は生身単身である。
ゆえに『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンが持つ『有毒装甲』を防ぐためには、己のもつオーラのちからと環境に対する耐性と呪詛に抗する力を使うしかない。
重ねる力は、張り巡らされ撒き散らされる『有毒装甲』の毒素から身を守る。
視界が煙る。
それは爆炎を上げる『Fortress』の要塞のごとくユニットから上がっている。
これまで猟兵達による攻撃に寄って通常の機体の三倍以上もある巨大なユニットは半壊に追い込まれている。
されど、全身が武装に包まれた機体から放たれる攻撃はハリネズミのように猟兵たちを寄せ付けない。
「そこに火炎放射器による炎の壁ってわけね。けれど……」
ゆかりは『バンブーク第二帝国』のパイロットが巨人の如き体躯を持っていることに疑問を感じる。
人の三倍はあろうかという巨躯。
それはまるで他世界の巨人種族と同じであるように思えたのだ。
他世界を知る猟兵であるからこそ、関連性を疑ってしまう。けれど、ゆかりは頭を振る。
毒素に煙る視界の中で煌々と爆炎を上げる『Fortress』は此処で倒さなければならない。
「まあ、今はオブリビオンマシンを潰すだけ。炎の壁だろうとなんだろうと」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
どれだけ巨躯であろうと、どれだけ炎の壁で己たちを寄せ付けぬのだとしても、ゆかりには関係なかった。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
彼女の手繰るユーベルコードは、紅水陣(コウスイジン)。
真っ赤な血のような、全てを蝕む強酸性の雨が降り注ぐ。それは戦場のあらゆるものを腐食させる赤い靄の中に閉じ込めるものである。
「強酸性の雨……! 計器の故障ではあるまいな!」
『Fortress』のパイロットが呻く。
それもそのはずであろう。彼の機体は『有毒装甲』に覆われている。その装甲をすらも腐食させる赤い靄に、何かの間違いではないかと思ったのだろう。
「だが、この程度で、我等の復讐の炎が消されるものかよ!」
咆哮と共にグレネードランチャーが放たれる。
しかし、赤い靄の中になって、即座に腐食したグレネードは大地に落ちるばかりである。
「オブリビオンマシンに乗っている以上、その怒りがどこまで本物化は知らない」
ゆかりは腐食の雨の中で佇む。
彼等の言葉は確かに真実なのだろう。嘗て『フュンフ・エイル』は悪魔の如き存在で彼等に恐れられていた。
憎悪と恐怖がないまぜに成った感情のままに力を振るう。
復讐のためにと。
「だけど、他者を否む者は己もまた否定されるのが世の道理」
地底(アンダーグラウンド)に追いやられても尚、百年の時をこえてきたのだ。ならば、その力は復讐ではなく別のことに使えばよかったのだ。
たとえば、地底都市の発展に。
間違っても復讐を遂げるために使うべきではなかったとゆかりは『Fortress』の腐食していく装甲を見やる。
地上に在りし者全てに憎しみを向ける。
それがオブリビオンマシンによって歪み果てた結果であるというのならば、そこにまだ希望は見えるだろうか。
ゆかりは、未だ見えぬ未来を見やり、強酸性の雨に憎悪の炎を鎮火させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
正規の手続きを経たならば、
どこに戦争吹っ掛けても良いとは思いますけれどもね。
こういうのは八つ当たりと言うんです。
対熱処理(環境耐性/火炎耐性)もNBC防御(毒耐性)もありますが、
無駄に熱を溜める事もありませんので接近せず狙撃しましょう。
本物の要塞も余裕で貫通する戦域兵器のインクリーザーです。
ちょっと大きいキャバリアなど豆腐も同然です。
索敵/スナイパー/エネルギー充填/鎧無視攻撃/貫通攻撃/串刺し。
威力あり過ぎますので、乗員の安否は不問で。
エイストラに低速のグレネードは無意味ですよ。
オーラ防御(と称するガーディアン装甲の防御衝撃波)に叩かれて
途中で起爆してしまいますので、直撃範囲には入れません。
争いばかりの世界、クロムキャバリアにおいて宣戦布告は如何なる意味を持つであろうか。
少なくとも、ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)にとっては、その正規の手続きを経たのならば、どこに戦争をふっかけても良いとは思っていたことだろう。
けれど、憎悪の炎を撒き散らすオブリビオンマシン『Fortress』を駆る『バンブーク第二帝国』のパイロットの言葉を聞き、ノエルは頭を振る。
「我等の憎悪の炎は消えぬ。我等を地底(アンダーグラウンド)に追いやった存在の血脈が途絶えるその時まで! 我等は地上の全てを滅却するのだ!」
己の身を焦がすばかりの恨み辛み。
それをぶつけるべき相手を探し求めるように両腕に装備されたグレネードランチャーが爆煙を膨れあげさせ、火炎放射器から放たれる炎が壁のように猟兵たちの接近を阻むのだ。
「こういうのは八つ当たりと言うんです」
耐熱処理を施されたNBC防御も完璧なキャバリア『エイストラ』を駆り、ノエルは接近出来ないこともないが、無駄に熱を機体に留めることもないと長距離の射撃を試みるのだ。
対するオブリビオンマシンは要塞の如き機体である。
通常のキャバリアの三倍を誇る巨躯。
それは『バンブーク第二帝国』の人々が人間の三倍の体躯を持つが故である。圧倒的な巨躯である『Fortress』は、その機体を覆う装甲全てが『有毒装甲』だ。
毒の粒子を撒き散らし、生命を死に追いやる。
この機体が『フルーⅦ』の市街地へと侵攻すればどうなるかなど言うまでもない。
「本物の要塞も余裕で貫通する戦域兵器『インクリーザー』です」
構えるプラズマライフル。
その銃口の先にあるのは無論、『Fortress』である。どれだけ巨躯を誇るのだとしても、ノエルにとって、それはただ大きいキャバリアにほかならない。
豆腐同然に仕留めてみせると『エイストラ』に射撃体勢を取る。
威力があるのは良いことであるが、パイロットの安否は不問であった。
「威力がありすぎますので」
しかし、射撃体勢を取った『エイストラ』に襲い来るのはグレネードであった。
「させるかよ! 長距離狙撃の機体が!」
『Fortress』のパイロットは『エイストラ』の狙いに気がついたのだろう。炎の壁を貫くほどの砲撃が可能なキャバリアが地上にあるのはすでにわかっていた。
「こちらの射撃に気がついた。ですが」
ノエルは即座に射撃ポイントを捨てる。
グレネードが落ち、『エイストラ』がいた地点を炎が埋め尽くしていく。低速のグレネードで此方を捉えることはできはしない。
けれど、炎で揺らめく視界は厄介であった。
「Eバンク・リリース」
構わずノエルの瞳がユーベルコードに輝く。
プラズマライフルを構える。どれだけ炎で揺らめく視界があれど、彼女には関係ない。そんなもの誤差に他ならない。
グレネードが再び放たれても、ノエルは微動だにしなかった。
「誤差修正……インクリーズ」
引き金を引く。
躊躇いはなかった。増強粒子ビームの一閃が『Fortress』の機体を貫く。
その城塞の如きユニットを貫き、ミサイルコンテナに誘爆した機体が爆発の中に飲み込まれていく。
それは凄まじい爆風となって『エイストラ』を襲う。
「無駄です」
けれど、彼女の機体に施されたガーディアン装甲の防御衝撃波は、爆風すらも退け、己の機体の健在を知らしめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
過去に由来する怨嗟の炎、その身を焼く苦しみは当事者でなくば理解出来ないでしょう
ですが、地獄を増やす事など看過出来ぬのです!
ロシナンテⅣの背部コンテナから出す手榴弾を投擲
爆風で炎に穴をあけ推力移動スラスター全開で突入
降り注ぐミサイルをサブアームのライフル二丁の乱れ撃ちと剣で斬り捨て
主砲の仰角の下どころか巨大鉄騎の懐へ肉薄
『有毒装甲』……キャバリアで防げる程度なら、ウォーマシンに効く道理もなし!
先ずは鉄拳制裁で頭を冷やして頂きます
Ⅳから飛び降り、電脳禁忌剣で強化した己で敵機をアッパー
一キロ上空へ吹き飛ばして地に墜とし
非力なる者への害意防ぐ盾となり、怨嗟断つ剣となる
それが戦士の、騎士の務めなのです
「我等の怒りを理解しない者どもに語る言葉などなし! 我等が追いやられた地底(アンダーグラウンド)での屈辱の日々を理解されてなどたまるものか!」
その咆哮はオブリビオンマシン『Fortress』のパイロットのものであった。
猟兵たちの攻撃に寄って機体は城塞の如きユニットを半壊に追い込まれている。されど、そのユニットに配されたミサイルコンテナが展開し、数多のミサイルが噴出刷るようにして放たれる。
膨大な火力に加えて、毒素を放つ『有毒装甲』。そして、火炎放射器から吹き荒れる炎の壁。
それら全てが猟兵の接近を拒む。
彼等『バンブーク第二帝国』は理解されることを拒んでいる。
理解が己たちの憎悪を消すものではないと知っているからだ。この憎悪を消すことができるのは、復讐の後に来る虚無だけであろう。
それ以外の何物も受付はしないのだ。
「ゆえに滅びよ、地上にありし全ての者どもらよ!」
降り注ぐミサイルの中を疾駆する機体が在った。
騎士の如き外観。『ロシナンテⅣ』。その機体を駆るトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、その憎悪の源を知るだろう。
過去に由来するものであると知るだろう。
怨嗟の炎が身を焦がすのを知るだろう。
サブアームに懸架されたライフルが降り注ぐミサイルの雨を撃ち落とし、爆風の中を『ロシナンテⅣ』が往く。
「その身を焼く苦しみは当事者でなくば理解出来ないでしょう」
それは真理であった。
人と人が存在するがゆえに起こる争い。その代行者たる己達ウォーマシンであればこそ、その真理を理解する。
争いは続く。
終わらない争いの落とし所を探ることは難しいものである。
だからこそ、トリテレイアはウォーマシンとして叫ぶのだ。
「ですが、地獄を増やすことなど看過出来ぬのです!」
サブアームが背部コンテナから主榴弾を炎の壁に投擲し、爆風で持って火炎放射器の炎を吹き飛ばし、推力を全開にした『ロシナンテⅣ』が切り開かれた道へと突っ込むのだ。
「爆風で炎をこじ開けるかよ! だが!」
せまる『ロシナンテⅣ』の機体と組み合う『Fortress』のキャバリアコア。巨人の如きパイロットが乗るキャバリアは通常のキャバリアの三倍。
謂わば巨人と子供の戦いであったのだ。
だが、トリテレイアは『ロシナンテⅣ』のコクピットから飛び出す。
生身単身。否。トリテレイアはウォーマシンである。
「『有毒装甲』……キャバリアで防げる程度なら、ウォーマシンに効く道理などなし!」
トリテレイアは己の手にした電脳禁忌剣で強化された己の拳でもって下からかちあげるようにして『Fortress』のキャバリアコアを叩き上げる。
その衝撃で『Fortress』の体が浮かび、大地に叩きつけられる。
ひしゃげる要塞の如きユニット。
さらにトリテレイアは、飛び込みコアユニットへと拳を叩きつけるのだ。
それは機械騎士の蛮力(マシンナイツ・ランページ)とでも言うべきであろうか。
彼我のサイズ差などものともしない活殺自在たる拳の一撃で持って『Fortress』のコアユニットへと拳を叩きつける。
それはどれだけ機体に守られていようとも、中のパイロットに響く凄まじき衝撃であった。
「ぐおおお!? 馬鹿なっ、この『Fortress』が圧される!?」
「非力なる者への害意防ぐ盾となり、怨嗟断つ剣となる。それが――」
トリテレイアのアイセンサーがユーベルコードに輝く。
その力が示すのは、己の在り方である。炉心に燃えるは騎士道精神。ゆえに、憎悪に身を任せ、オブリビオンマシンによって心を歪めさせられた者たちの悪意をこそ切り裂く刃となる。
それこそが。
「それが戦士の、騎士の努めなのです――」
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!!(どノーマルなお約束
ちょっとツヴァイさんのほっぺに猫のひげ描いていたら遅くなりました!!(ちゃんとお見舞いしてきました
かもんっ!『ファントムシリカ』!!
よーし、シリカ突っ込みまぎにゃああああ!?
待ってシリカ話聞いて!?
敵の攻撃パターンは多連装ミサイルでこちらの足を止めてからの主砲です
なのでセラフィナイトスピアの斥力フィールドで
ミサイルを防ぎつつ動き回りつつ
相手の懐に潜り込めば敵の攻撃を削ぐことができます!
ということでいっきまーす!
「手数こそ正義!参ります!」
【疾風怒濤】の手数重視で一気に攻めますよー!
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!!」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、いつものドノーマルなお約束の前口上を告げる。
『フルーⅦ』を襲った地底帝国、『バンブーク第二帝国』の猛威は炎と『有毒装甲』が放つ毒の粒子によって憎悪の炎を吹き上がらせていた。
かつて在りし伝説的な機体『熾盛』によって地底(アンダーグラウンド)へと追いやられた『バンブーク第二帝国』の人々は、巨人の如き体躯を持っていた。
地上へと進出しようとする度に彼等は『熾盛』を駆る『フュンフ・エイル』によって退けられてきた。
彼の強さは悪魔ともいえるほどに圧倒的であった。
彼等を徹底的にいじめ抜くような強さであり、過去において地上への進出を諦めざるを得なかった。謂わば、屈辱の象徴であり、復讐する対象そのものであった。
「『フュンフ・エイル』亡き後だというのに、地上に在りし傲慢なる者どもは、我等を阻むかよ!」
オブリビオンマシン『Fortress』より放たれるミサイルの雨が降り注ぐ。
それを見やり、サージェは指を打ち鳴らす。
「かもんっ!『ファントムシリカ』!!」
白と紫を基調としたサイキックキャバリアが虚空より現出し、サージェはコクピットに収まる。
「ちょっと『ツヴァイ』さんのほっぺに猫のひげを書いてたら遅くなりました!!」
お見舞いをしてきたのだが、サージェの茶目っ気というか悪戯心がうずいたのかも知れない。後で絶対怒られるヤツである。
サージェは『ファントムシリカ』のスラスターを吹かせる。
せまるミサイルの雨に吶喊しそうな勢いであった。
「よーし、シリカ突っ込みまぎにゃああああ?!」
いつものお決まりのパターンである。
ミサイルの雨を突っ切って最速にして最短で要塞の如き巨大なオブリビオンマシンへと肉薄しようとしていたのだ。
脳筋というべきか、単調というべきか。
そんな彼女をたしなめるために『シリカ』の爪が今日も唸りを上げる。
またにゅっと爪が伸びる。一撃ではサージェが止まらぬことを知っているのだ。これまでもそうであった。
機体は壊れてなんぼみたいなところがあるのだ、サージェは。
「待ってシリカ話聞いて!?」
サージェはしっかり説明する暇もなくミサイルの前を躱しながら進む。自分のプランはこうだ。
まずはミサイルで足を止めてくる。
そんでもってこちらの足が止まった瞬間を図ったように主砲でもって一撃を見舞う。謂わば、ミサイルは牽制でしかないのだ。
ならば、そのミサイルを――。
「って説明している暇なんてないですよね、わかりますー!」
サージェは『ファントムシリカ』を駆りながら、ミサイルの雨をセラフィナイトスピアが生み出す斥力フィールドで弾き飛ばしながら炎の壁を貫く。
「斥力フィールド! 牽制だと見きったか、だが!」
『Fortress』のパイロットが叫ぶ。
本命は主砲である。炎の壁を抜けてきた『ファントムシリカ』に照準はあっている。ならば、サージェは躱すことなどできないだろう。
けれど、猟兵は窮地に陥ってからが本領である。
どれだけの戦力差、その規格外たる要塞の如きユニットを半壊に至らしめられても尚、『Fortress』は火力を減ずることなく打ち込んでくる。
「手数こそ正義! 参ります!」
ミサイルの牽制は確かに『ファントムシリカ』の突き進むルートを限定しただろう。けれど、主砲が打ち込まれるより早く肉薄すればいい。
サージェにとって、速度こそが誇るべきものであった。
そう、それは疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如く。
「そにっくぶろー!!」
手にしたセラフィナイトスピアが振るわれる。
その猛烈なる斬撃の連続は主砲をかち上げ、砲身すら切り裂いてく。一撃で破壊できないのならば、破壊できるまで叩き込む。
それがサージェの流儀とでも言うべきであろうか。
「どれだけ火力を誇ったとしても、手数の前に圧倒されるのなら!」
サージェの瞳がユーベルコードに輝き続ける。
どれだけ敵が己を圧倒する火力を持っていたとしても、こちらはそれを上回る連続攻撃でもって制するのだ。
放たれる斬撃は火花をちらしながら、『Fortress』の要塞ユニットの全てを切り裂き、コアユニットキャバリア以外の全てを破壊するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ふははは!
出てきたな、ハンバーグ第二帝国のハンバーグ焼き器よ!」
我には分かる!
その周囲に展開されし火炎放射器の炎は、ハンバーグをカリッとジューシーに焼くのに最適であると!(くわっ
「まあ、このままだと我もこんがりと焼かれてしまうので、【極寒地獄】で一時的に炎を抑えるがな!」
両腕から、肉をミンチにする機械(注:グレネードランチャーのこと)を飛ばしてきても、我の氷の壁を破壊することはできぬのだ!
「……って、なんか異臭がするような?」
不死身の我でも、有毒装甲の毒を受けてはただでは済まぬ。
慌てて自身の周りに氷壁を展開し、毒が入ってこないように密閉しよう。
きゃばりあ?
なんであったか、それ?
猟兵たちの攻撃に寄ってオブリビオンマシン『Fortress』の要塞の如きユニットの尽くが破壊された。
「ぐぅぅ……! 我等の憎悪の炎は未だ消えず……! やらせてなるものかよ!」
コアユニットたる巨大なキャバリアだけになってもなお、その身に装備した重機関銃の乱射は止まらず、手にした火炎放射器による炎の壁は健在であった。
何より、その期待装甲に配された『有毒装甲』が生身単身の存在への切り札として残されているのだ。
誰をも寄せ付けぬ憎悪の炎。
それが地底帝国『バンブーク第二帝国』のパイロットが倒れぬ意志となって発露している。
オブリビオンマシンによって歪められた憎悪は、あらゆる地上に存在する者を炎によって焼き尽くさんと荒れ狂うのだ。
もとより巨人の如き威容を誇る『バンブーク第二帝国』の住人である。
彼等が駆るキャバリアもまた通常の三倍の巨大さなのだ。その威容を前にしても尚、フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)は笑う。
「フハハハ! 出てきたな、ハンバーグ第二帝国のハンバーグ焼き器よ!」
違う。
色々違う。
だが、フィアは構うことはなかった。
なんか息苦しいなーというか異臭がするなーって思ったので、フィアは周りに氷壁を展開し、『有毒装甲』の放つ毒粒子を遮断しながら高笑いしていた。
如何に不死身であったとしても、毒を受けてはただではすまぬ。言ってみれば、ノロウィルス的なあれである。
生命の危険を感じるほどの辛さであるが、真綿で首を絞めるような圧倒的な吐き気が襲い続けるあれである。
そんな状態になってはかなわんとフィアは氷壁で持って毒を遮断しつつ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「我が魔力により、この世界に顕現せよ、極寒の地獄よ」
極寒地獄(コキュートス)は『Fortress』のパイロットの憎悪の炎となった火炎放射器の炎すら凍りつかせていく。
そう、フィアにはわかっているのだ。
あの火炎放射器の炎は、ハンバーグをカリッとジューシーに焼くのに最適であると。
けれど、このままでは己もカリッとこんがりに焼かれてしまうので一時的に炎を抑えようとしているのだ。
「ふざけたことを!」
放たれるグレネードランチャーをフィアは見やる。
「む、あれはきっと肉をミンチにする機械。ふっ、だがな!」
氷壁に覆われたフィアを砕くには値しない。
そう、どこまでいってもフィアの目的は食欲である。きゃばりあ? なにそれ美味しいの? となるのがフィアらしさであり、彼女の強さの根源であったことだろう。
それでいいのかなって思わないこともないでもなかったが、それを否定したところでフィア自身の強さが陰ることはない。
氷壁に囚われた『Fortress』のコアキャバリアが徐々に凍りついていく。
「異邦の肉焼き器よ。お前が至高の鉄板に届かぬ憤怒、やるせなさはわかる。だがな、競うのではなく、己の強みを、良さを活かすことこそ肝要であるとしれ!」
フィアは告げる。
確かに鉄板Vはとてもよい鉄板であった。いやぜんぜん違うけど。
あの火力はどんな肉だって火を通し、旨味を逃さなかった。いやだから違うけど。
至高のBBQ。また味わいたい。いや、えっと。
フィアはうっとりしていた。
残念ながらまったく違う話をしているのだが、不思議と噛み合う。いや鉄板って何? と『Fortress』のパイロットは思っただろう。
ある意味で毒気を抜かれたともいえる。
戦いの場にあって食すことをばかり考えるフィア。その姿は、オブリビオンマシンによって憎悪の心を歪められたパイロットの戦意をくじくには十分すぎるものであった。
氷獄に囚われた『Fortress』のコアキャバリアが砕かれ、霧消していく。
それを見やりフィアは火炎放射器までも霧消したことに叫ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『デモンエクスマキナ』
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POW : デモンストライク
単純で重い【背部アーム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 腹装高濃度圧縮エネルギー集束砲『アストロス』
【腹部の砲門から集束エネルギー砲】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 腹装高濃度圧縮エネルギー拡散砲『ドラギュロス』
【腹部の砲門から拡散エネルギー砲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠カスミ・アナスタシア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
巨大な要塞の如き『Fortress』は崩れて霧消していく。
それは憎悪の深さを知らせるものであり、同時にオブリビオンマシンによって増幅させられ歪められたものであることを猟兵たちは知るだろう。
確かに過去の遺恨は未だ残っている。
『バンブーク第二帝国』は嘗ての『憂国学徒兵』たちと争い、敗北し地底(アンダーグラウンド)へと追いやられた。
敗北は屈辱に。
屈辱は憎悪に。
そして、地上への飽くなき希求は、いつしか嫉妬に変わる。
それをオブリビオンマシンは歪めたのだ。この絵図の背後にある影が手繰るにはあまりにも簡単なことだったのだ。
「人は自分にないものを持つものを羨み、妬み、恨むものだよ。自分に何があるのかを知らぬがゆえに、他者ばかりを見てしまう。そして、己が何者かであることに堕すんだ」
甘やかな声、何処にでも居て、何処にもいないような声の主が嗤う。
人の営みの全てを嗤うようであった。
「自分の手に何かあると思いながら、自分が何者かであることに固執する虚。そして、他者を妬み、自身ではその虚を埋めずに他者にこそ、その虚を埋めることを願う。そんな醜いのが人というものだ。だから争いが起きる。そうした負の集積が私なんだ」
絵図を描く影は嗤う。
全ての人々が平和を望む裏で、他者より優れたるを求める性質を嗤う。
その言葉を裏付けるように地底より大地を割って現れるのは、巨大なるオブリビオンマシン。
破壊の権化。
黒き機体は、咆哮をし、歪みに歪められた憎悪をもって地上の全てを破壊せんとする。
「破壊する。破壊する。全て、破壊する。地上に在るもの全てを一掃する。我等の道に立ち塞がる『フュンフ・エイル』の全てを滅ぼし、我等の礎を築くのだ――!」
『バンブーク第二帝国』の巨人、黒き巨大なオブリビオンマシン『デモネクスマキナ』は、そのパイロットの宿した憎悪の炎を燃え上がらせ、ただ殺戮と破壊のみを行なう化身となって『フルーⅦ』へとせまる。
その身を覆う『有毒装甲』が歪み果てた怨嗟を響かせる。
「我等が主のために。破壊を。殺戮を」
「征きたまえ、破壊と殺戮の化身。君はそのために生まれたきたのだから。かつての『フュンフ・エイル』のように。あらゆる障害を破壊と殺戮で持って塗りつぶすがいいさ」
それが自身のためになるのだと嗤う存在は、その巨大な『デモネクスマキナ』の咆哮を心地よく聞き、また闇の中に姿を消すのであった――。
ユーリー・ザルティア
【心境】
「我らが有る痔…もとい主?」
それがバンブークっていう国の王様?
それともこの騒動の黒幕?
とりあえず、考えるのは後かッ
【行動】
やむえん…禁断の兵器を使う。
『ゼロ・ジェネシス』発動。
散布された毒もキャバリアの有毒装甲も無効化する。
攻撃を『見切り』レスヴァントを『操縦』して回避しつつ、アストライアの『制圧射撃』を収束エネルギー砲周辺へ『カウンター』射撃する。
感謝するよ。通常のキャバリアよりでかいってことは、攻撃も当てやすいってことだから。
しかし、有毒装甲…毒なんて使って…
地底の国のくせに背水すぎるわよ。
いや、…いくら恨み憎しみに染まってるとはいえ、少し不自然か。
これもオブビリオンのせいか…。
オブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』の腹部に備えられた砲門に集約されていくエネルギーの輝き。
それは破滅の光であり、あらゆるものに破壊を齎す力であった。
「我等が主のために。破壊と殺戮を」
巨大な『デモンエクスマキナ』はその光を持って地上に破壊を齎す。放たれた光条が『フルーⅦ』の防壁を一瞬にして破壊する。
砕け、溶解し、破壊の化身は咆哮する。
まるで、地上に在りし者全てを憎み、その生命を破壊することこそが喜びであるというように湛えられた光を解き放つのだ。
『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンは全て巨大である。
彼等が巨人の如き体躯を持っているからでもあるのだろう。通常のキャバリアの三倍はあろうかという巨躯であり、その出力も段違いである。
「我等が主……それがバンブークっていう国の王様?」
それとも、この騒動の黒幕であるのかとユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は訝しむ。
これまで『グリプ5』に関連したクロムキャバリアの事件の影に必ず潜んでいた未だ正体定かならざる敵。
それが糸を引くのならば、『デモンエクスマキナ』を駆るパイロットの言うところの主とは、その影を指すのかとユーリーは考えたのだ。
けれど、ユーリーは頭を振る。
考えるのは後でいい。
「しかし、『有毒装甲』……毒なんて使って……」
ユーリーは『バンブーク第二帝国』が繰り出す巨大オブリビオンマシンの全てに『有毒装甲』が使われていることに憤慨する。
地底の国であるというのに毒素を使った機体を使うなど背水の陣がすぎる。これが彼等の憎しみありきであるというのならば考えられないことでもなかった。
けれど、それ以上にユーリーは不自然だと思ったことだろう。
どれだけ憎しみに塗れていたとしても、己達が侵略し、地上に進出したいのであれば、毒素に染まった土地は使えない。
彼等の戦い方はあまりにも破滅的すぎるのだ。
「これもオブリビオンマシンのせいか……どれだけ恨み憎しみに染まっているとはいえ……やむをえん」
ユーリーの駆るキャバリア『レスヴァント』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
散布された毒素。
それらをナノマシンを含んだ虹色の雨によって浄化するのだ。
「禁忌の兵器も使い方次第……ゼロ・ジェネシス!」
散布された毒も、『デモンエクスマキナ』が持つ『『有毒装甲』さえも無効化していく。
同時に『レスヴァント』より溢れるナノマシンは味方には全ての状態異常を癒やす医療用のナノマシンとなって。
敵であるオブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』には全てを塵に還す攻性ナノマシンとして装甲を蝕ませるのだ。
「我等の兵器を無害化させるのだとしても。我等は破壊と殺戮を齎す。それが我等の命」
『デモンエクスマキナ』がその黒き巨躯を持って『レスヴァント』にせまる。
放たれる収束ビームの一撃を躱し、飛ぶ。
虹色のナノマシンを散布しながら、黒き巨人へと飛ぶ『レスヴァント』の姿は、暗き憎悪の炎を前にしても消えることのない輝きであったことだろう。
「感謝するよ。通常のキャバリアよりでかいってことは、攻撃も当てやすいってことだから」
ビームの衝撃波が『レスヴァント』の機体を傾がせる。
巨大化しているせいで威力も出力も段違いである。けれど、それでもユーリーは飛ぶ。
彼女の瞳に憎しみはない。
どれだけ争いの中にあるのだとしても、その恨み辛みだけで戦うことの危うさをしるからこそ、彼女の駆る『レスヴァント』は虹色の輝きとともに戦場に撒き散らされた毒素を浄化し、その道筋を刻むのだ。
「兵器だってそうだよ。ボクだってそうだ。使い方次第で、どんな道だって切り開ける……まずは、その憎しみに満ちた心から洗い流してやる!」
放たれたアサルトライフルの射撃が胸元の砲門へと殺到し、『デモンエクスマキナ』を傾がせる。
虹色の雨が降り注ぐ中、『レスヴァント』は戦場を駆け抜ける。
戦うだけではない。地上に残留するやもしれない毒素をユーリーは浄化するのだ。この影響が『フルーⅦ』に残ってはならない。
虹色の軌跡を描く白いキャバリアは、憎悪の炎を打ち消す雨として戦場は飛ぶのであった――。
大成功
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ガイ・レックウ
【POW】で判定
『確かに人は醜いかもしれねぇ。だがな、そんな影すら照らす光もある。誰かを思う心の光が!!』
『いくら闇に閉ざされようとそれでも立ち上がるのが人々なんだよ』
【戦闘知識】で相手を【見切り】、【オーラ防御】のオーラをまとって突撃。
電磁機関砲の【制圧射撃】で牽制しながら距離をつめる。
ブレードでの【鎧砕き】で関節を狙い、連続して攻め立てるぜ!
『例えどれだけ恨みがあろうが、手を取りあう未来はあるはずなんだ!それをあきらめんじゃねぇ!!』
叫びながら機体の【リミッター解除】を行い、ユーベルコード【極限竜闘技『マキシマムドラグバースト』】と肩部ハイペリオンランチャー、電磁機関砲の一斉射撃を叩き込んでやるぜ!!
黒き巨人の如きオブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』が咆哮する。
背部に背負われたデモンアームが唸りを上げる。
それは攻防一体の武装にして、巨大な質量兵器であった。そのサイズは通常のキャバリアの三倍。
地底帝国である『バンブーク第二帝国』に住まう者たちは皆、巨人と同じ特性をもつ種族であった。
人間よりも巨大であり、キャバリアと同サイズの人々が地底(アンダーグラウンド)では暮らしている。
彼等がつのらせた憎悪は、かつて地上に進出しようとして幾度となく阻まれ、悪魔のごとき存在として在った『フュンフ・エイル』とキャバリア『熾盛』にこそ向けられている。
「破壊と殺戮を。全ての地上の者に我等の屈辱を味あわせなければならない」
『デモンエクスマキナ』のパイロットの憎悪はオブリビオンマシンによって捻じ曲げられている。
すでに『フュンフ・エイル』はクロムキャバリアには居ない。
だというのに、彼が残した地上の全てを憎むのだ。どれだけ破壊と殺戮を繰り返したとしても、己たちの復讐すべき者はいないのだ。
残るのは虚無だけである。
「確かに人は醜いのかもしれねぇ。だがな、そんな影すら照らす光もある。誰かを思う心の光が!!」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は『スターインパルス』と共に戦場を疾駆する。
巨大な『デモンエクスマキナ』の振るう背部デモンアームの一撃は大地を砕き、それだけで生み出される衝撃波が機体を痛めつけるだろう。
どれだけ敵の動きを見切っても、直撃こそしないまでも襲い来る衝撃波が機体を傾がせるのだ。
「我等の憎悪に執着など無い。あるのは破壊と殺戮のみ。我等の道には虚無だけが残る。地上がほしいのではない。我等が欲するは、我等の憎悪の行き着く先のみ」
振るわれる一撃を『スターインパルス』はオーラで受け止める。
電磁機関砲の制圧射撃などあれだけの巨躯には意味をなさなかった。
距離を詰めても、デモンアームの一撃が振るわれ、機体がふきとばされる。
「いくら闇に閉ざされようと、それでも立ち上がるのが人々なんだよ」
『スターインパルス』のアイセンサーが煌めく。
その光はどれだけ絶望の未来が待っていようとも屈することのない輝きであった。
超克へと至る道は拓かれている。
『バンブーク第二帝国』が抱く憎悪は膨れ上がったものである。
いびつに、そして捻じ曲げられた感情である。
オブリビオンマシンが導く未来にあるのはやはり闇だけである。ならば、それを切り裂き光を齎すことができるのは猟兵しかいないのだ。
受け止めたデモンアームの一撃にブレードが軋む。
刀身に罅が走り、限界を伝える。けれど、ガイは己の限界こそ越えねばならぬと機体のリミッターを解除する。
その瞳に輝くのユーベルコード。
「例えどれだけ恨みがあろうが、手を取り合う未来はあるはずなんだ! それを諦めんじゃねぇ!!」
人と人とがあるから争いが起こる。
当然の帰結であろう。けれど、同時に争いではなく、手を取り合うことで紡ぐことができるのまた歴史の知らしめるところである。
ゆえに『スターインパルス』はオーバーロードに至るのだ。
「魂の昂りよ!!竜の咆哮とともに全てを破壊し、すべてを消し飛ばせ!!」
ブレードを捨てる。
デモンアームの一撃を組んだ拳とが激突し凄まじい光の中に『デモンエクスマキナ』と『スターインパルス』が飲み込まれていく。
機体がどうなろうと構わない。
放たれるランチャーと電磁機関砲の一斉射撃が『デモンエクスマキナ』を押し返す。組んだ拳に亀裂が走るが関係など無い。
己は決めたのだ。
超克すると。
そこにあるのは勝利への道筋でもなければ、生への渇望でもなかった。
そこにあったのは、人々が手を取り合う未来へと伸ばす手でしかなかったのだ。
「どれだけオブリビオンマシンが見せる未来が暗いものであったとしても」
人は進むことができる。
生きるだけが生命の意味ではない。
人という生命が何故、負けないように出来ているのかをオブリビオンマシンは知らない。
ガイの咆哮と共に放たれる巨大破壊光線の一撃が『デモンエクスマキナ』の巨躯に打ち込まれ、そのデモンアームに亀裂を走らせる。
極光の如きオーバーロードが齎す力は凄まじい。
巨躯たる『デモンエクスマキナ』がふきとばされ、その巨体が『フルーⅦ』の防壁に叩きつけられる。
「人が伸ばす未来はいつだって光り輝いているものだ。それを忘れないから、人はいつだって足掻き、もがき、それでもなお誰かのために戦えるのだろうが!!」
『スターインパルス』の組んだ腕が砕ける。
オーバーロードされたユーベルコードの出力に機体が耐えられなかったのだろう。
されど、ガイは示したのだ。
超克の道の先にあるのが、人の望む明るい未来であることを――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
突然現れて好き勝手仰ってくれますわね!
なんですヴリちゃん?
敗残者の負け惜しむ声はいつ聴いても心地良いものだ?ならば我が汝に残された全てを微塵に至るまで奪い尽してやろう?
まぁ!そんな悪者みたいな事を言ってはいけませんわ!
全部オブリビオンマシンが悪いのですわ!
あの機体…下手に間合いを開ける方が危険と見ましたわ
有毒装甲はヴリちゃんに乗っていれば効きませんし懐に入り込んでしまった方が有利そうですわね
ヴリちゃんもお望みなのでステゴロで勝負ですわ
ガンフューラーユニットパージ!
ラースオブザパワー!
背部アームに噛み付いてどっかんばったん叩き付けますわ!キャバリアプロレスですわ!がるるる!
おくたばりあそばせ!
「我等が手を取り合う? そんなことがあってなるのものか。我等の憎悪は我等しか理解できない。我等の憎悪は地上を三度焼いても飽きたらぬ」
『デモンエクスマキナ』のパイロットである『バンブーク第二帝国』の巨人は呻く。
機体を防壁に叩きつけられてはいるが、未だ機体は健在である。
ひび割れたデモンアームは質量兵器としての役割を終えてはいない。
まだ破壊できる。まだ殺戮できる。
背に負った防壁がひび割れている。ここから『フルーⅦ』に侵攻すれば、多くの地上の人々を殺戮の惨禍へと引き込むことができるだろう。
これまで地底(アンダーグラウンド)にて彼等は辛酸を嘗めてきた。
かの忌まわしき『フュンフ・エイル』とキャバリア『熾盛』によってもたらされたそれを地上の人間たちに味あわせたいと思っていたのだ。
「殺戮。破壊。殺戮。破壊。それこそが我等の望み!」
防壁に手をかけた『デモンエクスマキナ』のデモンアームが振るい挙げられた瞬間、放たれた二連装ビームキャノンの一撃が弾き飛ばす。
「突然現れて好き勝手おっしゃってくれますわね!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)の駆るサイキックキャバリア『ヴリトラ』から放たれたビームの光条がデモンアームを弾き飛ばす。
その攻撃に『デモンエクスマキナ』が向き直る。
未だ己たちの道を阻む存在、猟兵を睨めつけるように『デモンエクスマキナ』の咆哮が轟く。
しかし『ヴリトラ』はメサイアにだけ響く声で笑う。
『敗残者の負け惜しむ声はいつ聞いても心地よいものだ』
そう、『ヴリトラ』にとって『デモンエクスマキナ』の咆哮は負け惜しみにしか聞こえないのだ。
精一杯の虚勢を張ることでしか、その破壊と殺戮の化身たる体を保つことができないのだと笑う。
『ならば我が汝に残された全てを微塵に至るまで奪い尽くしてやろう』
『ヴリトラ』が唸るように出力を上げていくのをメサイアは感じたことだろう。
むしろ、こちらが悪役のようにすら彼女は感じ、『ヴリトラ』を叱責するのだ。
「まぁ! そんな悪者みたいなことを言ってはいけませんわ!」
そう叱責する彼女はこれもみんなオブリビオンマシンが悪いのだと言うように『ヴリトラ』と共に戦場を疾駆する。
デモンアームの巨大さは言うまでもない。
それ以前に『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンは皆、通常の三倍の巨体を誇る。あのデモンアームがひび割れていたとしても、質量兵器としての役割は果たすことだろう。
『有毒装甲』はすでに他の猟兵に寄って除去されている。
「なら、『ヴリ』ちゃんもお望みなので、ステゴロで勝負ですわ。ガンフューラーユニット――パージ!」
機体に備えられた砲戦ユニットが排除される。
その重さを失った機体に『ヴリトラ』が咆哮する。
「全力全開ですわ!」
メサイアの言葉に応えるように『ヴリトラ』の機体は憤怒の剛力(ラースオブザパワー)に燃えたぎるようにして出力を上げていく。
どれだけ巨躯を誇るのだとしても、『ヴリトラ』の持つ顎は一度組み付けば離すことはない。
振るわれるデモンアームの一撃を『ヴリトラ』は己の顎で受け止め、牙を突き立てるのだ。
「獣風情が我等の破壊と殺戮を妨げるなど!」
『デモンエクスマキナ』がデモンアームに組み付いた『ヴリトラ』を排除せんと持ち上げようとして、異変に気がついただろう。
『ヴリトラ』を払おうとした腕が、いや、自身が逆に持ち上げられていると。
目の前の機体は己の機体の三分の一しかない。
だというのに『ヴリトラ』はまるで悠々とした有り様で『デモンエクスマキナ』を顎でもって持ち上げ、大地に叩きつけるのだ。
「キャバリアプロレスですわ! がるるる!」
メサイアは『ヴリトラ』の様相に当てられるのか、荒れ狂う暴竜のごとき力でもって『デモンエクスマキナ』を何度も何度も大地に叩きつける。
その顎は決して離れることはなく、したたかに打ち据える敵がひしゃげるまで続く。
叩きつける衝撃が大地を揺るがし、その憤怒を知らしめる。
此処にあるのはあらゆる災厄を滅ぼす暴竜の顎のみ。
したたかに打ち据えた『デモンエクスマキナ』を空中に放り投げ、『ヴリトラ』が咆哮する。
それは勝利の雄叫びではなく、敗残者の嘆きを一蹴する哄笑であったのかもしれない。
「おくたばりあそばせ!」
メサイアの言葉とともに『デモンエクスマキナ』が大地に失墜する。
何処まで言っても憎しみは尽きねど。
されど、それが未来に立ち塞がるものではあってはならないと、憎しみ煽る者に対して『ヴリトラ』の咆哮は轟くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
また一体出てきたか。
全てのものへの憎悪に塗り潰された心、ここで止める。
引き続き、「環境耐性」「呪詛耐性」を重ねた「オーラ防御」で毒煙から身を守るわ。
地より現れしものは地の底へ。
「全力魔法」地の「属性攻撃」「竜脈使い」「地形の利用」で地烈陣。重視するのは攻撃力。
大地を砕いて、下半身の機能くらいは壊したい。
荒野に現れてくれてよかったわ。十絶陣は街中ではとても使えないから。
「式神使い」で機甲式『GPD-331迦利』召喚。鋭角に『オーラ防御』を集中させて突っ込んで!
この先、地底帝国が小国同士の小競り合いに干渉してくるのかしら? だったら面倒。その芽をまずは摘んで、地上侵攻は難しいって教え込まなきゃ。
オブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』の機体装甲はひしゃげる。
だが、その機体を覆う『有毒装甲』は、その毒素事態を他の猟兵のユーベルコードに寄って浄化された。僅かな時間であったとしても、それは確実に猟兵たちの助けになっていることであろう。
「我等の破壊を邪魔立てするか」
『デモンエクスマキナ』のパイロットである『バンブーク第二帝国』の巨人は巨大なオブリビオンマシンの中で呻く。
彼等の憎悪は育まれたものである。
かつて地上に進出しようとして、そのどれもが阻まれた。
キャバリア『熾盛』と『フュンフ・エイル』という存在に寄って。あの悪魔の如き存在は己たちの全てを打倒し、再び地底(アンダーグラウンド)に追いやったのだ。
あの屈辱、あの恨み、忘れることなどできようはずもない。
鬱屈とした思いは地底の中で育まれ、オブリビオンマシンによって歪められたのだ。
「また一体出てきたか。全てのものへの憎悪に塗りつぶされた心――」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は装甲をひしゃげさせながらも立ち上がる巨大なオブリビオンマシンの姿を見やる。
通常のキャバリアであっても人の三倍はある巨躯である。
さらにその三倍もの巨大さを誇る『デモンエクスマキナ』は、その背面のデモンアームでもって凄まじい質量兵器となって彼等の敵を叩き潰すだろう。
「ここで止める」
ゆかりの瞳に輝くのユーベルコード。
他の猟兵のユーベルコードに寄って、この大地に滲み出た毒素は浄化されている。
その対処に己の意識を持っていかれないことは、彼女にとって幸いであったことだろう。
「地より現れしものは地の底へ」
己の全力で持って龍脈より力を得る。
此処は地底より這い出した『デモンエクスマキナ』によって砕かれた大地がある。
ならばこそ、彼女のユーベルコードはこの不安定な大地を利用した力。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
地烈陣(チレツジン)。
それは彼女のユーベルコードであり、戦場全域を地震で砕き、地表の崩落に『デモンエクスマキナ』を巻き込むのだ。
「大地が割れる……! この我等の前に破壊を!」
砕けた大地が『デモンエクスマキナ』の巨躯を飲み込まんとする。それをデモンアームが砕き、大地にうまることを阻もうとしている。
けれど、ゆかりはそのあがきこそが計算のうちであった。
このユーベルコードは町中では使えない。荒野に現れてくれてよかったとさえ思えたのだ。
「そうやってあがいているから、注意力が散漫になる――」
ゆかりの手のひらが示すのは、飛翔する逆三角形の機甲式『GPD-331迦利』の姿であった。
鋭角にオーラを重ねた『迦利』が凄まじい速度で持って吶喊する。
その一撃は『デモンエクスマキナ』のデモンアームの片腕をもぎ取るほどの一撃であり、大地に飲み込まれんとしいた機体を大きく傾がせるのだ。
「この先、地底帝国が小国家同士の小競り合いに干渉してくるっていうのなら」
それは面倒なことである。
特に『グリプ5』周辺の国家の情勢は今不安定である。滅ぶ小国家がいくつか出てきている。益々新興国の『シーヴァスリー』が力をつける図式に成っているのだ。
「その芽はまずは摘んで見せる」
地底帝国の尖兵であろうオブリビオンマシンを駆る彼等を打倒し、地底帝国である『バンブーク第二帝国』に地上への進出は難しいと教え込まなければと思うのだ。
しかし、彼等の憎悪は未だ尽きない。
ゆかりは、突撃に寄ってもぎ取ったデモンアームが地響きを立てて大地に突き刺さるのを見やり、その執念の色濃さを知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
亞東・霧亥
このレーギャルンは、過去に俺と似た様な能力の奴が居たと言いたいのか?
とても不愉快だ。
コイツの中に存在しない唯一無二を教えてやらんとな。
【UC】
過去の激闘から帝竜ヴァルギリオスに変身する。
ヴァルギリオスは8属性を無効化するバリアを展開し、それぞれが強力な噛み付きやブレスなどの攻撃手段を有する。
レーギャルンがこの変化に付いて来れるなら、8首の機竜にでもなるのだろうか?
その様な力があれば称賛に値するが、フュンフの一族とは意外と猟兵に近い存在だったのかもしれないな。
亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)は一つ気がついたことがある。
彼が小国家『フルーⅦ』から借り受けたキャバリア『レーギャルン』。それはこれまで誰も扱えないがゆえに放置されていた機体である。
しかし、猟兵しか扱えぬ機体であれど、その機体に配された膨大な戦闘データを分割したコアと規格外の出力を誇る炉。
彼にとって気がかりであったのは、分割されたデータのコアである『ファフニール』である。
「この『レーギャルン』は、過去に俺と似たような能力の奴が居たと言いたいのか?」
これまでの戦闘で『レーギャルン』は己の動きに追従するどころか、先読みしたかのような反応を見せていた。
それは不可解なことであったし……。
「とても不愉快だ」
彼にとって、己の底を見られたと思うようなことであったことだろう。
同時にそれは正しくないとさえ彼は思った。
己という存在が何処かに存在しているというのは、己の自負を傷つけるものであったことだろう。
「コイツの中に存在しない唯一無二を教えてやらんとな」
膨大な戦闘データの集積たるコア『ファフニール』が分割されて尚、『エース』にすら扱えぬデータを有しているというのであれば、霧亥はそれをこそ否定しなければならない。
オブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』の背部に存在していたデモンアームは片腕が欠損している。
猟兵の一撃に寄って破壊されたのだ。ひび割れた地表よりもがくようにして這い出した『デモンエクスマキナ』は己の力を発露させるにはうってつけの相手であった。
なにせ通常のキャバリアの三倍はある巨体である。
「我等の破壊を、殺戮を!」
吠えたける『バンブーク第二帝国』のパイロットを尻目に屍山血河(シザンケツガ)を越えてきた霧亥の瞳が輝く。
己が対峙してきた強敵を時を遡る力によって変じるのだ。
けれど、彼の力に『レーギャルン』が応えることはなかった。そう、霧亥が変身したのは巨大な帝竜『ヴァルギリオス』の姿であった。
その威容、その巨躯、その力。
オブリビオンの力を『レーギャルン』は抱えない。
コクピットの中から弾けるようにして『ヴァルギリオス』へと変貌した霧亥の咆哮が轟く。
「なるほどな。この変化に付いてはこれない……オブリビオンではなく、猟兵としての力にしか反応しないというわけか」
霧亥は考える。
どうやら『フュンフ』と呼ばれる少年は意外と猟兵に近い存在ではないかと考えていたが、それは違うようである。
ユーベルコードに親しい力は使えたのだとしても、彼等は猟兵ではない。
ならばこそ、『レーギャルン』――その分割されていないコアと炉を有していた機体『熾盛』を操っていた『フュンフ・エイル』とは如何なる存在であったのか。
答えはでない。
けれど、霧亥の思考は『デモンエクスマキナ』の咆哮によってかき消される。
「そうだったな。お前がまだ居たのだった。だが、無駄だ」
『ヴァルギリオス』に変貌した彼にとって、どれだけ巨大なオブリビオンマシンであったとしても、些細な問題である。
8つの属性を無効化するバリアを展開し、その八首の竜の顎が『デモンエクスマキナ』を引き裂きながら、凄まじきブレスでもって吹き飛ばしていく。
「これが唯一無二というやつだ。覚えておくのだな」
霧亥は己の変貌の後に大地に座す『レーギャルン』を見やる。
己という存在の器足り得ぬものであったが、その特異性は確かにこの戦いにおいて確かな助けと成ったのだ。
八首の帝竜は、そんな残骸を尻目に強烈なるブレスで持って憎悪の炎すらも吹き消すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「かつて空腹學徒兵たちに敗北したハンバーグ第二帝国……
お前達の過ちは、自分たちが持つハンバーグという宝を忘れ、地上にあるフルーツ(注:小国家フルーⅦのことらしい)を求めたこと……」
ん?
ハンバーグにフルーツのトッピングもありではないか?
ならば、我がハンバーグ第二帝国を簒奪した暁には、フルーツトッピングのハンバーグが食べ放題ということ!
「そういうことなら、早くハンバーグを寄越すのだ!」
【極寒地獄】による守りを維持したまま敵を氷漬けにしてくれよう!
どうやら、向こうも腹からビームが出るくらい腹を減らしている様子。
我も腹から空腹の音が鳴り止まぬが……
奴と我、どちらが先に空腹で倒れるか、我慢比べだ!
フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)の耳は最早何を聞いても食欲と直結する言葉に聞こえるようになってしまったのかもしれない。
空耳という概念を超越した空腹は、フィアの食欲を刺激する言葉しか聞き入れないようになっていた。腹の虫は今日もご機嫌斜めである。
「かつて空腹学徒兵たちに敗北したハンバーグ第二帝国……お前達の誤ちは、自分たちが持つハンバーグという宝を忘れ、地上にあるフルーツを求めたこと……」
良い顔で良い感じのことを言っている雰囲気を出しているが、全部腹ペコ翻訳である。
どうなってるんだろうと思わないでもない。
きっと『憂国学徒兵』と『バンブーク第二帝国』のことを言っているのだろうがフルーツ? なんでフルーツ?
あっ。
『フルーⅦ』のことを言っていらっしゃる?
正直な所、オブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』のパイロットはフィアの言葉を一欠片も理解していなかったことだろう。
まじでわからん。
困惑を塗りつぶしていくのは破壊と殺戮への飽くなき希求だでけであった。
「わけのわからぬことを!」
彼の中にあるのは地上に在りし全てを破壊せよという憎しみだけであった。
「我等の憎しみを斯様な言葉で弄するか!」
「ん? 肉染み……?」
違う。そうじゃないと誰もが思ったかも知れないが、空腹にさいなまれるフィアにとってはまるで関係など無い。
「ん? ハンバーグにフルーツのトッピングもありではないか?」
どこに思考が着地したのかまるでわからない。
けれど、そのフィアの態度に『デモンエクスマキナ』のパイロットは苛立つように腹部に備えられたビーム拡散砲でもってフィアを抹殺せんと光条を解き放つのだ。
「消えろ! 我等の憎しみを解さぬものよ!」
「いや、わかっているのだが? 肉染み。うむ、やはりハンバーグ!」
噛み合わない。
何処までも噛み合わない。悲しいね。
「ならば、我がハンバーグ第二帝国を簒奪した暁には、フルーツトッピングのハンバーグが食べ放題ということ! 早くハンバーグをよこすのだ!」
拡散ビームを極寒地獄(コキュートス)によって展開した氷壁で防ぎながら、フィアは極大なる魔力でもって己の身を守りながら『デモンエクスマキナ』を氷壁によって囲っていく。
彼女のユーベルコードは守りと同時に敵を蝕む氷獄の力である。
「わかるぞ。お前も空腹なのであろう。腹からビームが出るくらい腹を減らしているのだろう。我も腹から空腹の音が鳴り止まぬ……」
わかってるって、と言わんばかりにフィアは大仰にうなずいている。
絶対そうじゃないぞ。
けれど、氷獄の壁は『デモンエクスマキナ』を囲い込む。
どれだけその巨大な機体でもって氷壁を砕こうとしても、次から次に壁が迫ってくるのだ。
「貴様と我、どちらが先に空腹で倒れるか、我慢比べだ!」
フィアの敗北が決定した瞬間でもあった。
彼女の魔力は腹具合と直結している。魔力を使えば使うほどにお腹が減る。空腹度合いが勝敗を分けるというのならば、フィアは己の攻勢でもって敗北へと足を踏み出していたのだ。
けれど、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
それは飽くなき食欲への希求あればこそ。必ずハンバーグを食べるという思いに駆られたフィアは限界を越えて己の氷獄の力を発露し、巨大なる『デモンエクスマキナ』の腹部より放たれる拡散ビーム砲の砲口をついには氷結に寄って閉ざすのだ。
「これが我の底力よ――!」
ぐぅと腹の虫が不機嫌に鳴り響く――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【ストラクチュアル・イロージョン】維持しておかないと、かな。
わたしの操縦技術は、『エース』のみんなには遠く及ばないけど、
気持ちでは負けてないんだから!
【フレーム・アドバンス】を使って『デモンエクスマキナ』の動きを制限すれば、
わたしにだって足止めくらいはできるはず!
それに、相手がビーム兵器なら【mist sprayer】で霧を作れば、
威力は落ちるはずだから、そのまま突っ込ませてもらうよ!
スピードと器用さをめいっぱい生かして、【Hydraulic Winch】で相手を拘束。
【Magne Truncheon】を装甲の隙間に突きたてて、内部を電気的に壊していこう。
『フルーⅦ』へは絶対に行かせないよ!
『バンブーク第二帝国』のオブリビオンマシンが身にまとうのは『有毒装甲』である。
その『有毒装甲』が放つ毒素は生身単身の者を蝕むものであった。
他の猟兵のユーベルコードに寄って一時は無力化されていた毒素であったが、追い込まれたことに寄って『デモンエクスマキナ』の放つ毒素は勢いを増している。
「破壊と殺戮。我等が求めるのは地上を満たすそれだけだ! 我等が屈辱、我等がぞうを! 思い知らせなければならない!」
地底(アンダーグラウンド)に追いやられた過去を持つ彼等にとって、地上とは羨望と同時に憎しみの対象でもあったのだ。
彼等は止まらない。
どれだけ地上に溢れる生命が己達と変わらぬ生命であったとしても、一度灯ってしまった憎悪の炎は簡単にはかき消えぬ。
それが『有毒装甲』の放つ毒素となって噴出するのだ。
「それはさせない!」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は『レーギャルン』より放たれるユーベルコードの力を振り絞って毒素を無効化していく。
彼女の操作技術は確かに『エース』と呼ばれる者たちには及ばないものであっただろう。
けれど、気持ちの上でまけることはない。
彼女は人々を救わんとしている。どれだけ『バンブーク第二帝国』のパイロットが憎しみにかられているのだとしても、それはオブリビオンマシンによって増幅され、歪められたものであると知る体。
「歪められた憎悪に操られるなんてあっていいわけがないよー!」
『レーギャルン』のツインアイがユーベルコードに輝く。
瞬間、『デモンエクスマキナ』のパイロットは己にせまるキャバリア『レーギャルン』の姿が消えたと思ったことだろう。
事実、モニターに映る視界から『レーギャルン』の姿がかき消えたのだ。
「何を――がっ!?」
瞬間、背後より放たれる一撃が『デモンエクスマキナ』の背面をしたたかに打ち据え、大地に倒れ込ませる。
何が起こったのかわからなかった。
まるで瞬間移動である。
「わたしが速くなった? 違う。あなたが遅くなったんだよ」
理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
それは自身の持つコンピュータにキャプチャした現実という画像から『デモンエクスマキナ』をトリミングして同期プログラムによって、電脳空間と現実を同期させることに寄って『デモンエクスマキナ』の動きを鈍らせたのだ。
それがフレーム・アドバンス。
敵の動きが鈍れば、相対的に自身の動きは早くなる。
「小賢しい! 姿が見えぬというのならば!」
腹部ビーム咆哮が煌き、拡散ビームの一撃が戦場を覆う。敵が速すぎるというのならば、躱しようのない全域への攻撃を『デモンエクスマキナ』は敢行したのだ。
そのビームを理緒は見た。
「ビームだっていうのなら、拡散ビームは霧で減衰させれば!」
『レーギャルン』の手にした高圧散水機より放たれる霧が機体を多い、拡散んされたビームを減衰させていく。
威力がおちるのならば、機体装甲で十分に防げるはずだ。
「『レーギャルン』! いくよー!」
理緒の言葉に応えるように『レーギャルン』が戦場を掛ける。
拡散ビームが装甲を焦がしても気にも止めなかった。圧倒的な出力で持って走る『レーギャルン』の機体は矢のように戦場を疾駆する。
背より放たれるワイヤーアンカーが巨大な『デモンエクスマキナ』を捕らえ、その動きを拘束する。
「この程度で、我等の憎悪を! 捉えられると!」
ワイヤーを振り切ろうと身を捩る『デモンエクスマキナ』に『レーギャルン』がせまる。
手にしていたのは電磁棍棒であった。
「その憎しみの理由が『今』にはないことを知りながら、徒に人を傷つけるだけだっていうのなら!」
振るわれた一撃が電流となって『デモンエクスマキナ』の回路に走り抜ける。
高圧電流は回路を焼き切るであろう。
理緒は、彼等の憎悪が取り留めのないものであることを知っている。
オブリビオンマシンによって歪められたそれは、いつだって無関係な人々を傷つけるのだ。
「『フルーⅦ』へは絶対に行かせないよ!」
ならばこそ、理緒の瞳は憎悪の炎にさえ負けぬ意志に輝くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
『フュンフ』様、聞こえておりますか
かの機体の搭乗者の声が
彼もまた、己の国や己自身の過去に苦しんでいるのやもしれません
何人たりとも、己のルーツからは逃れられません
…かく言う私もそうでした
ですが、その向き合い方は己自身で決められます
そして!
搭乗したロシナンテⅣを前に
背部アームの一撃を推力移動活かした跳躍で躱し、アームに飛び乗り前へ
護るべきモノの為に
私は騎士として、その向き合い方を歪めるモノと戦います
振り払いを宙返りで躱し空中でUC
Ⅳの上半身を質量弾として敵機に射出、爆発で体勢を崩し
核となる怨嗟あろうとも、悪意の思惑の道具で無し
搭乗者は生かして返して頂きます!
予備フレームと結合したⅣの剣を振り下ろし
放たれた電磁棍棒より流れ込む高圧電流がオブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』の回路を焼き切る。
一時的に行動を不能にしてもなお『デモンエクスマキナ』は殺戮と破壊の化身のごとく咆哮を轟かせるのだ。
「我等の憎悪を! 行き場のない怒りを! 受け止めてもらおうというのだ! 地上に!」
それはあまりにも歪み果てた感情であったことだろう。
『バンブーク第二帝国』のパイロットたちは皆そうである。
己たちを地底(アンダーグラウンド)に追いやったのは、『今』を生きる人々ではないことはわかっている。
けれど、やり場のない怒りは澱のように心に積もっていく。
その澱に一度憎悪の炎が灯れば、それはどうしようもなく消えぬ炎となってあらゆるものを傷つける。
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はその在り方を否定はしないだろう。
彼は知っているからだ。
ウォーマシンたる己の宿命にして命題を。
ゆえに告げる。
「『フュンフ』様、聞こえておりますか」
己の国を出奔した青年へと言葉を届ける。彼は誰にも傷ついてほしくないと。己の傍にあるがゆえに争いに巻き込まれるものをこそ厭う。
「かの機体の搭乗者の声が」
あれは鏡合わせであることを告げる。同じなのだと。己の身を焦がす憎しみの炎に焼かれるがゆえに、己の痛みを他者に理解してほしいと嘆く。
そして、その傷跡は他者に飛び火することを知らないのだ。
「彼もまた、己の国や己自身の過去に苦しんでいるのやもしれません」
何人たりとも、己のルーツから逃れることはできない。
トリテレイア自身もそうであったのだ。命題と宿命が機体にあるからこそ、彼は逃げなかったのだ。
懊悩はしても、目を背けることはしなかったからこそ、『今』がある。
「僕は、僕以外の誰にも傷ついてほしくない。ただそれだけのことさえも、敵は許してくれないのなら、僕だけでなんとかするしかないじゃないですか!」
『レーギャルン』の中で『フュンフ・ラーズグリーズ』は慟哭する。
キャバリア『レーギャルン』は動かない。
彼の心には未だ迷いがある。敵の憎悪に巻き込まれる他者を思うばかりに、彼の手はかじかむように動かないのだ。
「それが誤ちだとは申しません。ですが、過去も、己の出自も、その全てに如何にして向き合うかは己自身で決められます。そして!」
トリテレイアは『ロシナンテⅣ』と共に戦場を駆ける。
高圧電流の一撃から復旧した『デモンエクスマキナ』が咆哮と共に残されたデモンアームの腕と共に襲いかかる。
それをスラスターを吹かせることに寄って跳躍し、デモンアームを蹴ってさらに高く飛び上がる。
通常のキャバリアの三倍を誇る巨躯を越えた『ロシナンテⅣ』のアイセンサーが煌めく。
「核となる怨嗟あろうとも、悪意の思惑の道具で無し」
放たれるは分離射出されたオーバーフレーム。
それは己のオーバーフレームを質量弾として放つ一撃であった。
デモンアームが防御に周り、その爆風で持って最後の背部アームが大地に落ちる。
アンダーフレームだけになった機体へ、即座に予備のフレームが合体し、『ロシナンテⅣ』は完全なる姿へと変わる。
量産機ならではの戦い方であり、トリテレイアはこの絵図を描いた者の思惑をも越えていく。
死は互いの憎悪をこそ呼び込む。
膨れ上がる憎悪ほど悪意によってコントロールされやすいものはない。聞こえの良い言葉、耳障りの良い言葉でもって、『バンブーク第二帝国』の人々はさらに地上に対する憎悪を募らせるだろう。
「搭乗者は生かして返していただきます!」
憎しみの連鎖を断ち切るのはいつだって、その憎悪を宿す者たちである。ならばこそ、トリテレイアは振るう剣でもって破壊と殺戮の化身である『デモンエクスマキナ』より『バンブーク第二帝国』のパイロットを切り離すべく剣の一閃を振るうのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・カンナビス
主のために。なるほど。
そういう事でしたら悪くもありませんが、
あなたも面倒な主を持ったものですね。
ま、何でもいです。私の依頼人も破壊を求めています。
私の収入のために壊れてください。
大きく重い図体はパワーウェイトレシオを低下させ、
せっかくの高出力も無駄に食われてしまいます。
さらに末節の重さも足を引っ張ります。
そもそもの設計思想が間違っていますね。
小型・軽量・高出力こそが高性能を生むのです。
大きくて鈍い的に、多少の装甲厚では止まらぬ私の火力。
結果は見えていますが――試してみましょうね。
先制攻撃/指定UC。
索敵/見切り/操縦/軽業/ダッシュ/ジャンプ/推力移動/
鎧無視攻撃/貫通攻撃/プラズマライフル。
戦う理由は如何なるものであったことだろうか。
戦乱が渦巻く世界であるクロムキャバリアにおいて、それは生存をかけたものが多かったであろう。
地底帝国『バンブーク第二帝国』においては地底(アンダーグラウンド)より地上に進出するためである。
劣悪な環境からより良い環境に移り住むために。
それは生命として至極まっとうなことであった。
「我等が主のために……! 阻むもの全てを破壊する……! 地上の光を我等に!」
猟兵たちの攻撃に寄ってオブリビオンマシン『デモンエクスマキナ』の背部アームは大地に落ちた。
その機体は巨大であり、通常のキャバリアの三倍を誇る威容を持っていた。
けれど、ノエル・カンナビス(キャバリア傭兵・f33081)は恐れるに足りないと一蹴する。
「主のために。なるほど。そういうことでしたら悪くもありませんが、あなたも面倒な主を持ったものですね」
ノエルにとって、それは依頼主から依頼を受けて戦場に赴くのと同じであった。
だから悪くはないと頷く。
どちらにしてもノエルのやるべきことは変わらない。
「ま、何でもいいです。私の依頼人も破壊を求めています」
オブリビオンマシンの破壊。
それはクロムキャバリアに生きる人々の生命を脅かすものである。世界事態を破壊に導くものであるがゆえに、ノエルは其れ自体はどうでもいいと一蹴しながらも告げるのだ。
「私の収入のために壊れてください」
己は猟兵である前に傭兵である。
破壊することがイリアであるのならば、それを完遂することが己の存在証明である。
「破壊と殺戮の化身を前にして――!」
『デモンエクスマキナ』の腹部に備えられたビーム砲口に湛えられた光が収束していく。
放たれるビームの一撃は極大であり、地上の全てを破壊するということもあながち間違いではない威力であった。
けれど、ノエルの瞳は冷静であった。
どれだけ巨大化していようとも大きく重い図体はパワーウェイトレシオを低下させ、高出力も機体の制御に食われてしまう。
更に機体設計から見て取れるように末節の重さも足を引っ張っているとノエルは分析していた。
「そもそも間違っていますね。小型、軽量、高出力こそが高性能を生むのです」
己の駆る『エイストラ』と共にノエルは戦場を駆ける。
放たれる極大の光条を躱す。それは彼我の呼吸をずらすかのようなフォックストロット。
ユーベルコードに煌めくノエルの瞳には見えている。
まるで社交ダンスを踊るかのように己の挙動と相手の挙動を合わせる。
紙一重ではない。
コントロールされた挙動はどうあがいたとしてもリードされる初心者のようにビームの光条を『エイストラ』の機体を捉えることはなかった。
「大きくて鈍い的に、多少の装甲厚では止まらぬ私の火力。結果は見えていますが――」
放つプラズマライフルの一撃はまたたく間にビームの光条とすれ違う。
カウンターの一撃。
『デモンエクスマキナ』には躱す暇すらないだろう。勝負は一瞬。
撃ち抜かれた『デモンエクスマキナ』の頭部が溶解して崩れ落ちる。
オブリビオンマシンがどれだけ巨躯を誇るのだとしても、ノエルの『エイストラ』が放つプラズマライフルの一撃は狙い過たずに破壊を齎す。
「――試す必要もありませんでしたね」
ノエルは見やる。
鎮座した巨大なオブリビオンマシンは最早動くことはない。
彼等の憎悪の理由は知らずとも、破壊は齎すことができるのだ。今回は己の依頼主と彼等の主の思惑が交錯しただけ。
ただそれだけのことであるのだというようにノエルは『エイストラ』と共に戦域を離脱する。
彼女が往くは戦場。
そこに憎悪が渦巻くのだとしても、囚われる理由など在りはしないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵