8
潔斎行路往くは牽連四将

#封神武侠界 #ACE戦記 #ACE戦記外典 #梟門の都 #鴉鷺の都

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#封神武侠界
#ACE戦記
#ACE戦記外典
#梟門の都
#鴉鷺の都


0




●人界
 蓮の華より生まれた時、己が一蓮托生の末に生まれたものであることを知る。
 懐かしさだけが胸の内側に溢れていた。
『天峰三師』――それが己の兄であり、同じ蓮の花より生まれ出た片割れであると理解したたのだ。
 手はめ込まれた鉄環の如き宝貝の名は『乾坤一擲』。
 片足に備わった『風火大車輪』は片割れである。其の意味を彼女、『牽連四将』は知っている。
「兄さん、きっと私達が生まれた意味は『存在』の意味を問うものなのだわ」
『牽連四将』は、兄である『天峰三師』と別れた時、そう告げた。
 彼は自分の言葉を理解していなかったようである。
 自分たちが何のために生まれ、何をしなければならないのか。それを彼は理解できていなかった。
 兄らしいとも思ったのだ。

 あの生真面目さを懐かしいと思う。
 生まればかりであるのだけれど、それでも彼の実直さはいつだって未来を善きものにしてきたはずであろうから。
「だから、兄さん。私は『此処』に居るわ。必ず生まれる『存在』を私が護る」
 彼女は人界の都『梟門の都』に座す。
 嘗て『祝恩大星』と呼ばれた伝説の英雄を模して作られた人型宝貝『宝貝太子』が二度現れた都である。
『牽連四将』は都の様子を見つめていた。

 この都は彼女が訪れるまで幾度かの争乱に見舞われていた。
 アヘン撒き散らす蜂の群れに襲われ、人の頃を惑わす寵姫が暗躍し、暴力装置と成り果てた武将が荒れ狂う。
 さらには邪仙によって操られた武侠が暴れまわり、彼等に寄って起動した者の心の在り方によって善にも悪にもなり得る『宝貝太子』が邪悪なる存在として都の平穏を破壊しようとした。
「けれど、そのどれもが一廉の人物たちに寄って未然に防がれた……と。此処でお待ちしていたのならば、お会いできるでしょうか」
 彼女は思う。

 この都を救った者たち、その『存在』がいかなるものであるのかを。
 彼等が現れる時、再びこの都に争乱が訪れるのかもしれない。だからこそ、彼女は己の宝貝『風火大車輪』でもってふわりと空へと飛ぶ。
「ありがとう、店主さん。美味しいお茶だったわ。お代はそこに」
 そう言って『牽連四将』は『梟門の都』から飛び立ち、都の外れにある荒野に降り立つのだ。
 ここならばもしも仮に自分を狙う者たちが来襲するのだとしても、累が及ぶことはないだろう。
「これが定めだというのなら、運命に打ち勝ちましょう――」

●救援
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件は封神武侠界……人界において若き英傑がオブリビオンの大軍勢に寄って襲撃されるという予知を再び私は見たのです」
 ナイアルテは困惑している様子であった。
 類似した予知を連続して見るのは、いかなる理由があるからか。

「今回、襲撃される若き英傑は『牽連四将』と呼ばれる蓮より生まれた、生まれながらにして宝貝を二つ持つ少女なのです」
 彼女は人界の都、『梟門の都』の荒野に野営をして修行をしているようなのだが……。
 いや、お茶会をしているのだ。
 修行とは名ばかりのものであるように思えてならない。けれど、『牽連四将』にとってそれは修行に等しいものなのだろう。
 様々なお茶、薬湯などを身に収め、それにより生まれたばかりの体を宝貝に順応させていっているようなのだ。

「『牽連四将』さんは、類まれなる才能をもってユーベルコードを体得した強者ですが、オブリビオンの大軍勢には多勢に無勢。やはり彼等に抹殺されてしまう予知の内容なのです」
 となれば、猟兵たちは頷く。
 修行とは名ばかりの茶会であるが、それが『牽連四将』の体を形作るものとなるのならば、共に参加して交流を図るべきであろう。
 迫るオブリビオンの大軍勢と戦う上でも、交流し意思疎通を図ることができれば、戦いやすくなるというものである。

「お茶会でお茶を飲む以外にも、背後にある『梟門の都』を護る手立てや罠、そういったものを用意することも必要でしょう」
 ナイアルテは頭を下げ猟兵たちを見送る。
 封神武侠界の人界。幾人かの猟兵にとっては、見知った都である。ならばこそ、再びそこをオブリビオンによる争乱の標的にさせるわけにはいかない。
 それに若き英傑を喪うことは封神武侠界においては大きな損失となるだろう。ならばこそ、彼女を救うことこそ世界を救うために必要なことである。
 猟兵たちは、今再び若き英傑を救うために次々と転移していくのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 封神武侠界において若き英傑『牽連四将』を襲うオブリビオンの大軍勢を退け、守るシナリオになります。

●第一章
 日常です。
 襲撃が予知された若き英傑『牽連四将』が修行という名のお茶会を『梟門の都』の郊外にある荒野にて野営をしながらお茶や薬湯を飲んでいます。
 彼女にとって、これが己の体を宝貝に順応させるための修行のようです。
 彼女と交流し、オブリビオン襲撃の事情を伝えて協力体制を組みましょう。
 襲撃の時間まで共にお茶をのんびり飲むのもよいですし、罠や『梟門の都』にオブリビオンの軍勢が向かわぬように罠や、戦術を組み上げても良いでしょう。

『牽連四将』は年若い少女です。
 蓮の花より生まれ、生まれながらにして二つの宝貝を持つ存在です。
 一つは『乾坤一擲』。もう一つは片足だけ存在する『風火大車輪』です。これにより、空中機動と遠距離からの打撃を放つことができます。
 性格はおっとりとしたのんびりやさんです。

●第二章
 集団戦です。
 襲い来るオブリビオン『刻印玄蜂』たちとの戦いになります。
 数が多く、またその体の中に阿片を有しており、一匹でも『梟門の都』に逃がしてしまえば、都は大混乱に陥ることでしょう。

●第三章
 集団戦です。
 さらに第二波である『濁業仙人』たちとの戦いになります。
 第二章で戦ったオブリビオンよりも質が上がっています。彼等の力は個としても十分に強敵であると言えるでしょう。

 それでは、封神武侠界において若き英傑を抹殺せんとするオブリビオンたちの目論見を打破する皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
273




第1章 日常 『ティータイムinチャイナ』

POW   :    スパイシーな香りの漢方茶

SPD   :    ダイエットに効果のありそうな薬草茶

WIZ   :    心安らぐ香りの花茶

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『牽連四将』は静かに荒野に座す。
 体を動かすことは嫌いではなかったけれど、己の体は未だ出来上がっているわけではない。
 双子の兄である『天峰三師』の肉体は、すでに完成されたものであった。彼に必要であったのは迷いなき道筋と信念。別れたときの兄は、自身の道行きに迷い、そして戸惑ってもいた。
 自分が何を成さしめなければならないのか。
 わかっているのにどうしても、それに急かされていたのだ。
「兄さんは元気かしら。私も早くこの宝貝に体が慣れなければ……」
 荒野にこうして陣取って、薬湯やお茶を飲み続けて数日。
 兄ではないが、自分にも焦る気持ちが出てくるというものである。飲み干し、息を吐き出す。こうも一人で茶会をするのも飽きてきた頃である。

 旅の人でも通りかからないものかしらと彼女は思いながらも、やはりのんびりやな性格のせいか腰が重たい。
「でもでも、仕方ないわ。お茶を飲まなければ宝貝に体がなじまないし……」
 ああ、自分も体を鍛える方向で修行できたら良かったのにと『牽連四将』はぼやく。
 けれど、ぼやいても仕方ない。
 せめて、代わり映えのある茶会が開けたのならば、どんなにいいか。
 ないものねだりをしながら、今日も彼女は茶を飲み干すのであった――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

男女双子だと、ほうっておけないんですよねー。私がそうでしたからー。

というわけで、通りかかってこんにちはー、とご挨拶を。
お茶会ですかー。いいものですねー。この世界のお茶も菓子も好きですよー。
そういって、同じように楽しみましょう。

馴染ませるのも大切ですからねー。『私たち』も最初、そうしてましたからねー…。
ええ、思うままに動かすの、大変ですよね。

そのあとに、ここにオブリビオンが来ることを話しましょう。
ふふ、私も、これでも猟兵ですからねー。一緒に戦えると嬉しいですー。



 封神武侠界、その人界に在る都、『梟門の都』は度重なるオブリビオンによる悪事にさらされ、平穏を脅かされてきた。
 その都度猟兵たちが駆けつけ、オブリビオンを打倒してきたのだ。
 守られた平穏は時折儚いものに思えるかも知れない。
 けれど、守られた生命があるのだ。それを若き英傑『牽連四将』は喜ぶ。
 彼女は生まれて僅かしか経たぬ存在であれど、手にした宝貝『乾坤一擲』と片割れの『風火大車輪』を扱う肉体を備えていた。

「それにしたってお茶を飲み続ける修行なんて、果たして修行だと言えるのかしら」
『梟門の都』の郊外、荒野に野営をしながら彼女はひたすらにお茶を飲み続ける。
 正直飽きてきたというのが本音である。
 一人でお茶を飲むというのは、存外しんどいものであるのかもしれない。それが双子として生を受けた彼女であればなおさらのことだ。
 常に誰かといることが当然であったからこそ、彼女にとってこの修業は辛いものであった。
「挫けそうだわ……」

 そんなふうにしている『牽連四将』を見かねた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は通りがかった旅の者として彼女に接触を試みる。
 彼等は四人で一人の複合型悪霊である。
 その一柱である『疾き者』は彼女のことを放ってはおけなかった。
 男女の双子であるという『牽連四将』と『天峰三師』。
 己がそうだったように、『疾き者』は放ってはおけないのだ。。
「こんにちはー」
 拱手でもって『牽連四将』は『疾き者』を出迎える。
「あら、こんにちは。旅の御方? どうかしら、お茶でも一杯飲んでいかれない?」
「お茶会ですかー。いいものですねー」
 この世界のお茶も菓子も『疾き者』は好ましく思うものであった。

「しかし、どうしてこのような場所で貴方はお茶を飲んでおられるのですー?」
『疾き者』の疑問は尤もなものであったことだろう。
 お茶を荒野で飲み続ける理由など、そうあるものではない。
 その言葉に『牽連四将』は苦笑いするように微笑んでお茶の用意を始める。
「本当にそうよね。朝から晩までお茶を飲んで体をなじませるのが私の修行なの。変よね」
 本当にそう思っているように『牽連四将』は『疾き者』にお茶を手渡す。
 香りからして薬湯のようであった。
 独特な香りは好みがわかれるかもしれない。

「なじませるのも大切ですからねー。『私たち』も最初、そうしてましたからねー……」
 思うままに動かすということは大変なのだ。
 一つの器に4つの魂。
 それがどれだけのことを意味するのかを知るのは彼等だけであろう。だからこそ、今の『牽連四将』の状態は魂が器に定着していない状態なのかも知れない。
 兄である『天峰三師』は魂が定着していたが、肉体が完成されていなかった。
 だからこそ、仙界の大瀑布でもって肉体を鍛える修行をしていたのだろう。

 逆に『牽連四将』は肉体こそ出来上がっていても、魂が馴染んでいない。
 この世界の飲み物に、水に親しむことが必要であったのかもしれない。
「そうなのね。旅の御方も大変だったのね」
「ええ、思うままに動かすの、大変ですよね」
『疾き者』はしみじみと思い出す。
 自分たちの経験が彼女の糧になるかはわからない。けれど、先達として伝えることはできるだろう。

「この後、ここにオブリビオンが現れます。無論、標的は貴方」
「あらー……やはり、そうなのね。やっぱり此処に陣取っていてよかったわ。街の中だとオブリビオンの被害が出てしまうものね」
『牽連四将』は街を巻き込まぬために、この荒野に野営していたのだ。
 それを知って、『疾き者』は頷く。
「でも、あなた方を巻き込んでしまうわ」
「ふふ、私も、これでも猟兵ですからねー。一緒に戦えると嬉しいですー」
『疾き者』の言葉に『牽連四将』は拱手でもって礼を伝える。
 心強い味方を得て、彼女はこざっぱりとした笑顔で持って言うのだ。

「こちらこそ! 共に人々を守るために戦いましょうね――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
先日お会いした天峰三師様の妹様ですか…。
若き英傑…。。
うん。この二人をわざわざ狙うオブビリオンの目的とはいったい何なんでしょうか…。

未熟…というのは私もです。
とくに精神性は…少しは成長してたらいいなぁ。

判定:WIZ
はじめまして、牽連四将様。私は董・白。
崑崙が竜吉公主様の一派の弟子の一人。今は各地を回っり修行を行っています。
お茶ですか…。
美味しい茶は清らかなお水で作ったお湯が重要だと思います。(こっそり宝貝「霧露乾坤網」を使用し清らかな水を確保)
ふふふ、ちょっと贅沢な水かも知れませんね。

さて、この地に向かうオブビリオンの討伐を目的としてやって参りました。
協力してあの愚か者たちの討伐。どうですか?



『梟門の都』の郊外に位置する荒野に在りて、野営を行っている若き英傑。
 その名を『牽連四将』と言う。
 猟兵たちはグリモア猟兵の予知にしたがってオブリビオンの大軍勢の襲来を彼女に知らせるべく降り立つ。
「先日お会いした『天峰三師』様の妹様ですか……」
 董・白(尸解仙・f33242)は先日、封神武侠界の仙界において知り合った若き英傑のことを思い出す。
 彼には双子の妹がいるとは聞き及んでいたが、こんなにも早く巡り合う機会が訪れるとは思ってもいなかったのかもしれない。

 一蓮托生。
 一つの蓮の花より宝貝を手にして生まれてきた若き英傑たち。
 彼等を何故オブリビオンが狙うのか。
 その目的は未だ知れず。けれど、白はその目的がなんであれ、彼等の生命が散らせてはならぬものであると知っている。
「はじめまして、『牽連四将』様。私は董・白。崑崙が竜吉公主様の一派の弟子の一人。今は各地を回り修行を行っています」
 そんな彼女に拱手でもって立ち上がる『牽連四将』。
 見た目は年若い少女の姿をしている。
 けれど、彼女は生まれてそう時間の経っていない存在だ。

「ええ、こんにちは。私の名前を知っているのね。どうぞ、お茶でもいかがかしら」
 そう言って彼女は野営で沸かしているお湯を示す。
 彼女の修行とはこのお茶を次々と飲み干していくこと。
 一見すると修行とは思えないことであるが、彼女にとってはこれが最も必要なことなのだ。
 この世界の飲み物を飲み、一刻も早く己の体を順応させなければならない。
 そのために多くのお茶を飲まなければならないのだ。

「お茶ですか……」
「ええ、そうなの。おかしな修行よね。でも、ただ飲むだけっていうのはとても心が寂しいものだわ。だから、誰か通りがかってくれないかしらってずっと思っていたのよ」
『牽連四将』は微笑んで、花茶を示す。
 お湯で持って花が開くまでゆっくりと待つお茶。急がなければならない理由はあれど、しかして心の余裕を喪うこともまたこれ遠回りである。

 ならばこそ、白は頷き告げるのだ。
「美味しいお茶は清らかなお水で作ったお湯が重要だと思います」
 こっそり、宝貝「霧露乾坤網」(パオペエムロケンコンモウ)で得た水を白は差し出す。
 この水で沸かしたお茶であれば、さらに美味しく飲めるだろう。
 同じく未熟、精神性は特に自分でも未熟であると思えるがゆえに、彼女もまた心の余裕を持つことが大切であると知る。
「ありがたいわ、そうだ。せっかくだし、そのお水でお茶をしましょう。そうしましょう」
 これまで一人でお茶を飲んでいる日々ばかりであったのだろう。
 白を誘って『牽連四将』はお茶会を続ける。

 お茶はどれだけあってもいい。
「ふふふ、ちょっと贅沢な水かもしれませんね」
 そんな白は、お茶を飲みながら『牽連四将』と交流を持つ。
 己たちがやってきた理由。
 それは言うまでもなくオブリビオンの大軍勢が迫っていることを知らせるためだ。
「協力してあの愚か者たちの討伐。どうですか?」
「ええ、もちろん。オブリビオンが梟門の都に入れば、それだけで人々が虐げられるのでしょう? 断る理由なんて無いわ」
 そういって、『牽連四将』は微笑む。
 彼女は若い英傑である。
 けれど、誰かを護ることに対してためらうことがない人物であると白は知るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
おぉ、ここが封神武侠界という異世界ですか。
まさかこうして異世界に足を運ぶ時が来るとは
夢にも思っていませんでした……。
ちょっと写真を撮っていきましょう。
(お上りさん状態)

「お初にお目にかかります、山吹慧といいます。
邪妖の類の襲撃の話を聞いて、こちらに伺いました。
僕もお手伝いさせていただこうかと」
と牽連四将さんに拱手で挨拶します。

「これはつまらない物ですが」
とシルバーレインで買ってきた洋菓子のカシオリを提供。
異世界は初めてなので、茶飲み話として
この世界や宝貝、彼女達兄弟について
色々聞いてみましょう。
「僕にも妹がいるのですが、仲が良いとは
言えなくて……」

アドリブ等歓迎です。



 猟兵とは他世界をまたぐ存在である。
 その瞳が見るのは己が生まれた世界ではない世界。
 似て非なる世界の理は、知的好奇心を満たすことだろう。封神武侠界と呼ばれる世界もまた数多ある世界の一つである。
「おぉ、ここが封神武侠界という異世界ですか」
 まさかこうして異世界に足を運ぶ時が来るとは夢にも思っていなかった、山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)は思わず人界の荒野にて写真を撮るという完全なお上りさん状態であった。

 それも無理なからぬことであろう。
 此処は慧の知る世界とは辿ってきた歴史も、理も違うのだ。
 人界と仙界に分かたれた世界。
 己がいた世界シルバーレインとは異なる歴史を紡いでいる。ならばこそ、自身の常識は通用しないだろう。
 荒野に野営しているという今回の救出対象である若き英傑『牽連四将』はすぐに見つかった。
『梟門の都』の郊外、その荒野に在る彼女は今や猟兵たちの訪れに寄って茶会へと変わっていた。

「お初にお目にかかります、山吹慧といいます」
 拱手でもって慧は礼を失することはなかった。
 この世界にあって最も大切なことであり、初歩的なことである礼節。それは拱手でもって一定の礼儀として受け入れられる。
 同じく『牽連四将』と呼ばれる若き英傑も拱手で応えるのだ。
「私の名前は『牽連四将』。ご丁寧にどうも。あなたももしかして、オブリビオンの襲来を知らせにきてくれたのかしら」
 彼女はすでに他の猟兵から聞き及んでいる事実と照らし合わせて、彼女にとっては風変わりな風体をしている慧もまた猟兵であると判断したのだろう。

「ええ、僕もお手伝いさせていただこうかと。それとこれはつまらないものですが」
 そう言って差し出したのはシルバーレイン世界で購入してきた洋菓子の菓子折りである。
 見たこともない包装紙に『牽連四将』は目をパチクリさせている。
 それもそうだろう。
 この世界にあって洋菓子とは見慣れぬものである。
 しかし、慧にとってもこの封神武侠界は初めての世界でもある。それに茶飲み話に、こうした茶菓子というのはある意味で必須である。

「あらまあ、本当にどうしたことかしら。こんなことって」
 目にした茶菓子に『牽連四将』は少女らしくはしゃいでいる。
 これまで己の体に宝貝をなじませるために茶を飲み続けるという修行をしていた彼女にとって、修行に関係しないとは言え、茶菓子が提供されるのはありがたいことであったのだろう。
「へえ、あなたが来た世界は銀の雨が降るのね。不思議ね」
「ええ、貴方のご兄弟や宝貝についても教えてほしいです。僕にも妹がいるのですが、仲が良いとは言えなくて……」
 慧もついつい話し込んでしまう。

 お茶と茶菓子があれば仕方のないことだ。
 彼もまた兄弟がいる。双子ではないのかもしれないが、それでも共通の話題となるだろう。『牽連四将』は微笑んで離してくれる。
「それでも血を分けた兄妹だもの。いつかわかるときがくるわ。血は水よりも濃し、というじゃない?」
 手にした宝貝『乾坤一擲』と片足にのみ存在する『風火大車輪』を示す。
 彼女の双子の兄であり、同じ蓮の花より生まれた『天峰三師』のことを彼女は話す。

 己とは違って生真面目であること。
 自分たちが生まれた役割がなんであるのかを未だ知らず。けれど、為すべきことを成さねばならないという思いだけがこの体を突き動かすのだと、彼女はお茶を飲みながら離し続ける。
「生まれた時は同じなのに、兄さんだって私は思ったのよ。それって、あなたの妹さんも同じじゃないかしら。どこまで言っても、どんな姿になってもあなたはお兄さんなのだから」
 だから、いつか妹とも笑って過ごす日が来るはずだと『牽連四将』は微笑み、慧はゆるやかな茶会を楽しむのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「お茶会だと?
この軟弱者めっ!
修行なら肉を食え、肉をっ!」

身体を動かして肉を食う!
それこそが強くなるための秘訣!
最強の美少女魔術師たる我は、そうやって修行してきたのだ!

「とはいえ、お茶が好きというなら無理強いはできぬか……
ならば我が弟子ルクスよ!
お茶の代わりになりそうな……
牛肉エキスたっぷりのシチューを持てい!」

ふっ、これならば肉に含まれている栄養分、ニクミンをたっぷりと取得できるであろう。我、頭いい。(注:そんな栄養素ありません)

「さて、シチュー(命名)よ。
これでお前もその鉄環の宝貝で材料を下ごしらえしてシチューを作れるようになったはず!
さあ、我に至高の一皿を出すがよい!」


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

お茶会が修行ですか?
これならわたしでもできそうですね。

し、知りませんでした。あれが修行だったなんて!
って、そんなわけないですね。

また思考がお肉モードになって、適当理論を組み立てていますね。
こうなると、止まらないですけど……え? ビーフシチューですか?

さっそく【師匠の専属料理人】を発動して、調理をはじめますが、
さすがにお茶の席にデミグラシチューは重いですよね。

軽めに、クレアトスパ(牛肉のスープ)くらいにしておくのがいいでしょうか。

と、さくっと作って師匠にお料理をだしたら、四将さんにこそっと耳打ち。

なにかお肉入っていたらだいじょうぶですから、
至高とか気にしなくてだいじょぶですよ!



 若き英傑『牽連四将』は今日も茶を嗜む。
 いや、嗜むというにはあまりにも量をこなさなければならない。
 兄である『天峰三師』と違い、彼女の肉体は仕上がった状態であった。けれど、手にした宝貝が未だ体に馴染んでいないのだ。
 水を得れば、それが体に染み込んでいくように。
 この封神武侠界の世界のお茶を大量に飲むことによって、宝貝は己という存在になじませるのだ。
 これが彼女の修行である。
「一見すると修行に思えないところが難点。傍から見ていたらただお茶を飲んでいるだけなのだもの」
『牽連四将』は様々なお茶を飲んできたが、それも限界に近づいていた。

 そこに猟兵たちが現れれば話は別である。
「お茶会だと? この軟弱者めっ! 修行なら肉を喰らえ、肉をっ!」
 フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)の怒号がけたたましく荒野に響き渡る。
 ここが荒野でよかったと、彼女の弟子であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は思った。
 お茶会が修行であるというのなら、自分にもできそうだとルクスは思っていた。
 というか、こんな時でもお肉のことが頭から離れないのだな、と彼女は己の師匠を見やる。

「体を動かして肉を食う! それこそが強くなるための秘訣! 最強の美少女魔術師たる我は、そうやって修行してきたのだ!」
「し、知りませんでした。あれが修行だったなんて!」
「そうなの? でも残念ながら私はお茶ばっかりなの。ごめんなさいね」
「――って、そんなわけないですね……すいません、師匠の思考がお肉モードになってて、適当理論を組み立てているだけなんです」
 ルクスはフィアのとんでも理論に合いの手のようなツッコミを入れる。
『牽連四将』は二人の様子に笑いながらお茶を飲んでいる。
 これまた茶会の一つの姿であると言われれば、そのとおりなのかもしれない。いや、ないな。それはない。

「とは言え、お茶が好きというなら無理強いはできぬか……ならば我が弟子ルクスよ! お茶の代わりになりそうな……」
 フィアは考える。
 自分も食べれて、肉を飲むように採れる料理を。
 彼女の肉色の脳細胞がフル回転する。こういう時にフル回転しなくてもいいのではないかと思わないでもなかったが、そこはそこである。彼女にとって肉こそが至高。肉ゆえに世界は回るのだ。
「そういうものがあるのかしら?」
『牽連四将』はそんなフィアの様子をおかしそうに見ている。
 一人でお茶を飲み続けるのは、わりと大変なのだ。だからこそ、こうして人が集まってくれたことが嬉しくてたまらないのだろう。

「ルクスよ、牛肉エキスたっぷりのシチューを持てい!」
 カッ!
 閃いた。そんな師匠のフィアの言葉にルクスは、えぇ……って思わないでもなったが、そこは師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)たる本領の発揮である。
 とは言え、お茶の席にデミグラスシチューは重い。重たすぎる。
 なので、軽めに牛肉のスープ。即ち、彼女の世界で言う所のクレアトスパくらいにしておくのがよいだろうと判断してさくっと作り上げる。
 こういう時のルクスの仕事の出来具合は凄まじいものがある。

 ここが荒野であろうとなかろうと関係ない。
 そこに食材が在って、師匠がいるのならば彼女に不可能なことはないのだ。
「さ、出来ましたよ、師匠」
「ふっ、これならば肉に含まれている栄養分、ニクミンをたっぷり習得できるであろう。我、頭いい」
 フィアは大変ご満悦である。
 そんな栄養素があるのかどうかはわからない。あるのかもしれないし、ないのかもしれない。
 けれど、どちらにせよ、お茶だけを飲んでいた『牽連四将』にとってはありがたいものであったかもしれない。
 そんな彼女にルクスがそっと耳打ちする。
「何かお肉が入っていたら大丈夫ですから、師匠の言うことは気にしなくて大丈夫ですよ」

 ああ、なるほどね、と『牽連四将』は微笑む。
 多分、察するにこの二人は万事こんな感じなのだろう。凸凹コンビというか、案外良いコンビなのだろう。
「さて、シチューよ」
 え、それ私の名前? と『牽連四将』は目を丸くする。
「これでお前もその鉄環の宝貝で材料を下ごしらえしてシチューを作れるようになったはず! さあ、至高の一皿を出すがよい!」
 ばーん!

 そんなフィアの言葉に『牽連四将』は、ルクスに耳打ちされたことはこれかぁ、と笑う。
 気にしなくていいと言われたけれど、そう言われたのならばやってやれないことはないのだ。
「お肉のお茶煮込みなんてどうかしら。お肉がホロホロと崩れるように食べられるものだけれど」
 なんて、彼女もノリ良くおしゃべりを開始する。
 そんな料理が振る舞われるのかはともかく。
 三人の姦しいお茶会は楽しげに。オブリビオンの襲撃を忘れるほどであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(【不思議な追跡者】で出した鳥にオブリビオン出現に対して周囲を警戒させておく)
お茶を飲む修業…ふーむ…薬湯やお茶でゆっくりと体質を改善して馴染ませてるという事かな…修業という事なら口出ししない方が良さそうだな

…やあ…通りすがりの…魔女だよ…
お暇そうだしお話どうかな…丁度梟門の都で色々と面白い本を買ってね…
例えばこっちは方々の民話を集めた民話集…
…これはややマイナーだけど有能な兵法家の書いた兵法書…
…これは詩集だね…(圧縮格納術式【アバドン】からその他様々雑多な本を出していく)
何か気に入った物があったら貸すよ…暇つぶしになるからね…
……なんにせよ……そろそろ来るオブリビオンを倒してから…だけど…



 猟兵たちが『梟門の都』の郊外、荒野にて野営をしている若き英傑『牽連四将』の元に訪れるようになってからというものの、彼女のお茶を飲むペースは目に見えて早くなっていた。
 これまでは一人でぼんやりとお茶を飲むばかりであったがために、どうにも進まないものであった。
 けれど、誰かと茶会をして談笑しながら飲むお茶は美味であり、これまで気乗りしない修行であったお茶をただ飲み続けるという行為は、『牽連四将』の中で楽しみに昇華されつつあったのだ。

 そんな彼女の姿を、不思議な追跡者(リドル・チェイサー)たる鳥が見やる。
 それはユーベルコードで召喚されたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の手繰る動物であった。
 極めて発見されにくく、術者であるメンカルと五感を共感した鳥は、オブリビオン出現に対して周囲を警戒しているのだ。
「お茶を飲む修行……ふーむ……薬湯やお茶でゆっくりと体質を改善してなじませてるということかな……修行ということなら口出ししないほうが良さそうだな」
 メンカルは召喚した鳥より伝わる情報を見て、そう判断する。
 この封神武侠界において、仙人たちが行う修行とは時として摩訶不思議なものばかりである。

 けれど、世界が違えば理も違うもの。
 ならばこそ、メンカルは彼等なりの理屈があっての行動であると理解を示すのだ。
「あら、そちらの御方はお客様?」
『牽連四将』がこちらに気がついたのだろう。
 野営の焚き火の側から声を掛けてくる。彼女の微笑みは柔らかいものであり、ワウかな時間に猟兵たちがたくさん訪れてくれたことに感謝している様子であった。
「……やあ……通りすがりの魔女だよ……」
 そう名乗るメンカルの手には一冊の本があった。
 お茶に読書はつきものである。ならばこそ、彼女は『梟門の都』で色々と面白い本を買ってきたのだ。

 半分は自分の趣味であったのかもしれない。
 けれど、半分はお茶のお供に他愛のない話をするのもいいだろうと、そのネタとしてももってきたのだ。
「私は本を読んだことがないのだけれど、わかるかしら?」
「……簡単なものばかりだよ。例えば、こっちは民話集……これはややマイナーだけど、有能な兵法家の描いた兵法書。これは詩集だね」
 そういってメンカルは圧縮格納術式『アバドン』から様々雑多な本を出していくのだ。
 あまりにもあれやこれやと積み上げていくものだから、本の内容以前に不思議な術を手繰る魔女としての興味が『牽連四将』には湧き上がってくる。

「……何か気に入ったものがあったら貸すよ……暇つぶしになるからね」
「すごいわ、あなた! 魔女とおっしゃっていたけれど、他の方もそんなことができるのかしら? それって底抜けの宝貝なのかしら? すごいわ」
 目をキラキラさせながら『牽連四将』がメンカルの手を取る。
 宝貝などがある世界だからこそ、彼女の術式は奇異に写ったのかも知れない。
 ならばこそ、メンカル自身に興味が湧くのも仕方のないことだ。

「……なんにせよ……そろそろ来るオブリビオンを倒してから……だけど……」
 メンカルは己の召喚した鳥が黒雲の如きオブリビオンの大軍勢を捉えたのを察知する。
 あまりにも膨大な数。
 それは黒雲となって群れ為すオブリビオンの姿であった。
「こっちで先に見つけられたことは大きい……先制を掛けられる心配がないってこと」
 メンカルは己のユーベルコードで生み出した鳥から送られてくる情報をみやり、立ち上がる。
 あのオブリビオンは体内に阿片を有している。一匹でも都に入られれば、それだけで壊滅的なダメージを追うだろう。
 ならばこそ、メンカルは本を閉じ『牽連四将』を促すのだ。
 これより行われる戦い、その幕開けである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(また既視感が…いえ、それは置いておきましょう)
機械馬から降り、拱手で挨拶

『牽連四将』様ですね?
私は騎士、トリテレイア
どうぞよろしくお願い致します

先程『梟門の都』の荒野を馬で駆け、地理を調べておりました
『牽連四将』様のお力や移動範囲等も鑑み、迎撃態勢や都の防衛に関しての段取りをする事ができれば、と

(機械染みた正確な概略図を指で地面に書き)

ふむ、では敵が狙いを都への侵入に変えた動きを察知した際の符丁を決めておきましょう
こちらを

発煙筒…という煙を出す道具です
実演いたしますね

さて、この立ち昇る煙を目印に敵が真っ直ぐ此方に来れば良いのですが
迎撃の準備に参りましょう

ああ、茶会の片付けもお手伝いいたします



 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は己の電脳が覚える既視感に立ち止まる。
 封神武侠界、その人界において一人の仙人……生まれて間もない『牽連四将』の姿を捉えた時、彼はその既視感を覚えた。
 荒野を走ってきた機械馬より降りて拱手でもってトリテレイアは礼儀を尽くす。
「『牽連四将』様ですね? 私は騎士、トリテレイア。どうぞよろしくお願いいたします」
 とはいえ、それはおいておくべき事柄である。
 トリテレイアは『牽連四将』と接触することを第一とする。彼が感じる既視感の正体を探ることは、まだ後でもよいと判断したのだ。

「これはご丁寧に。そうです、私が『牽連四将』。機械じかけの騎士様。先程までは一人で寂しいと思っていましたけれど、みなさんがやってきてくださって心強いと思っているところでした」
 彼女はお茶を飲みながら微笑んでいる。
 これより訪れるオブリビオンの大軍勢の襲撃をすでに猟兵から聞き及んでいるからであろう。
 そこに気負った様子がないことをトリテレイアは感じる。

「先程、『梟門の都』の荒野を馬で掛け、地理を調べておりました。『牽連四将』様のお力や移動範囲も鑑み、迎撃体制や、都の防衛に関して段取りをすることができれば、と」
 そういってトリテレイアが広げた概略図を指で地面に描いていく。
 それは機械仕掛けであるがゆえに為せる正確さであり、地理を詳しく書き記したものである。
 ここに簡略的であるが軍議を行うことを可能としたのだ。
「あら、そうなのですね。お心遣いいたみいります。お茶でも……と、失礼したわ。貴方には必要のないことだったのね」
『牽連四将』はトリテレイアが機械じかけのであることを忘れていたようであった。
 彼女にとってトリテレイアの立ち振舞は生者のそれであったからか、トリテレイアを騎士として扱っても、ウォーマシンとは扱っていないようであった。

「そうですね。敵の数は膨大。されど、敵が都に侵入すれば無辜の民が犠牲になる。かといって、こちらは寡兵。とは言え、皆さんの力量は私を軽く凌ぐのであれば……」
 彼女の心配事は己の生命ではなかったようである。
 都に住まう人々に累が及ぶことをこそ、彼女は憂いていた。
 ならば、とトリテレイアは一本の筒を手渡す。もう一歩を自分の手に握り、『牽連四将』に伝えるのだ。
「ふう、敵が狙いを都の侵入に変えた動きを察知した際の符丁を決めておきましょう。こちらを」
 示した発煙筒から煙がまっすぐ立ち上っていく。
 それは遠目から見てもわかる白煙であり、これをもって敵が都に侵入したことを知らせるのだ。

「これを使うことがないことを祈るわ。でも、これって……」
「ええ、目立つがゆえに、敵の注目を集めるものでもあります。そうなることを祈るばかりであります。さあ、迎撃の準備に参りましょう」
 トリテレイアは発煙筒を備え、『牽連四将』の手を取る。
 彼女の修行は一時中断である。
 すでにオブリビオンの大軍勢が迫っているのだ。ならばこそ、茶会は終わりである。
 トリテレイアは片付けをはじめ、迎撃の体勢を整える。
 これより行われるはただの戦いばかりではない。

 標的である『牽連四将』を護り、背後の『梟門の都』も護る。
 護る物が二つあるということは、力の割き方にも気を配らねばならない。『牽連四将』が生命を落とせば、そもそも転移した意味はなく。
 けれど、無辜の民の生命が失われることもあってはならない。
 トリテレイアは己の騎士としての本懐を遂げるため、その煌めくアイセンサーでもってオブリビオンの大軍勢をねめつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『刻印玄蜂』

POW   :    呪詛侵蝕針
【巨大な毒針】が命中した部位に【対象を融かす呪詛】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    融解驟雨
自身からレベルm半径内の無機物を【強毒針の雨】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    刻印転化
自身の【体が闇】になり、【敵の攻撃を透過する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あれが『刻印玄蜂』……体内に阿片を有した巨大蜂」
『牽連四将』が見つめる先にあるのは、黒雲の如き膨大な数の群れとなって『梟門の都』、そして己を目指すオブリビオンの姿であった。
 あまりにも膨大な軍勢。
 確かに『牽連四将』はユーベルコードを体得した強者である。
 されど、これだけの数を相手取ることは難しいだろう。さらには背後に護るべき都があるのであれば、彼女一人では奮戦虚しく生命を落としてしまう。

 けれど、彼女の隣には頼もしき猟兵たちの姿がある。
「ヴヴヴヴヴヴ……!」
『刻印玄蜂』たちの羽音が周囲に響き渡っていく。
 それは恐ろしさを助長させるものであったが、『牽連四将』の中に恐怖はなかった。
 手にした宝貝『乾坤一擲』と片割れの『風火大車輪』でもって空へと舞い上がる。
 為すべきことを為す。
 それを彼女はもう知っている。
『存在』を護ること。
 その『存在』が持つ『意義』を持って彼女は己の生まれた理由を全うするのだ。

「各方、駆けつけてくださったこと、感謝いたします。これより戦う理由は唯一。無辜の民の命を守るため。それがきっと私の生まれた理由を確かなものにしてくれます」
 だから、助けてください、と『牽連四将』は拱手でもって頭を深々と下げる。
 かつて在りし英雄をもした宝貝太子『祝恩大星』がそうであったように。
 人の心の善を以て、悪意と相対する。
 その『存在』が近く生まれる。ならばこそ、猟兵たちは『牽連四将』と『梟門の都』の民を救わねばならない――。
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:灰遠雷

ええ、もちろんですよー。そのためにここに来たんですからー。
あ、四天霊障による結界、あなたと私にかけておきますねー。雨とか嫌ですからねー。

それにしても、わりと固まっていてくれて助かりますねー。
ええ、視界によく入る。

【四天境地・雷】。この矢からは逃げられず、ただ打ち落とされるのみ。
『牽連四将』殿には害はありませんしねー?好きに動いてくださいなー。

ふふ、『私たち』もまた、今を生きる者たちを助く悪霊なれば。
全力で参りましょうぞ。



『助けてくれ』と呼ぶ声が聞こえる。
 それは悪霊である馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の身にしみる言葉であったことだろう。
 かつて失った故郷がある。
 失ったものは戻らない。生命が戻らぬのと同じように同じものは何一つ戻ってはこないのだ。
 だからこそ、今を守らねばならぬと身に宿した恨みが噴出するのを『疾き者』は感じたかも知れない。

 けれど、彼の前で拱手で持って乞う者は告げた。
『牽連四将』が願うのは己の生命を救うことではなく、無辜の民の生命である。
 なればこそ『疾き者』は頷くのだ。
「ええ、もちろんですよー。そのためにここに来たんですからー」
 彼の周囲に渦巻く四天霊障、四人の無念が集合した力があふれるようにして、『牽連四将』と『疾き者』を包み込む。
「これは?」
「結界と言えばよいでしょうかー。強毒性の雨などいやですからねー」
 それは『刻印玄蜂』の放つユーベルコード、強毒の針の雨に対抗する術であった。目の前に迫る黒雲は、よく見れば一つ一つが巨大な蜂である。

 あまりにも数が膨大であるがゆえに、黒い雲のように見えてしまうのだ。
『疾き者』はそれだけの数を目の前にしても怯むことはなかった。逆にひとかたまりんになってくれていて助かるとさえ思ったのだ。
 そう、彼の視界に収まるもの全てが敵であるというのならば、彼の瞳に輝くユーベルコードが狙いを過つことはない。
「悪霊からは逃げられない。そして、この矢からは逃げられず、ただ撃ち落とされるのみ」
 輝くユーベルコードは、四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)。
『疾き者』が携えた強弓が黒く染まっていく。
 呪詛によって染まった弓から放たれるは、分裂する雷の矢である。

 それらは全て、彼が視認する全てに襲いかかるの。
「即ち、黒雲が敵であると私が認識する以上……この空に飛ぶ黒雲全てが射抜かれる定め」
 放たれた雷の矢が次々と『刻印玄蜂』を貫いて叩き落としていく。
「お見事だわ。私も負けてはいられない」
「ええ、好きに動いてくださいなー」
 背後は任せろというように『疾き者』の構えた弓から放たれる雷矢が宝貝『風火大車輪』でもって空を舞い、手にした鉄環『乾坤一擲』を放つ『牽連四将』を援護するのだ。
 彼女の動きは猟兵達と共に過ごした茶会によって、漸くにして体に宝貝が馴染み始めていた。
 空を舞うようにして飛ぶ姿はどこか楽しげで。
 けれど、彼女の放つ鉄環の一撃は『刻印玄蜂』たちを次々となぎ倒していくのだ。

「ふふ、『私たち』もまた、今を生きる者たちを助く悪霊なれば」
 そう、過去の化身たるオブリビオンに今を脅かされていい理由など何処にもない。
 そして、無辜の民をこそ救わねばならぬと己の手にした力を発揮しようとする『牽連四将』の持つ善意の心をこそ守らなければならない。
 これほどまでに正しき戦いが何処にあるだろうか。
『疾き者』は己の中にある呪詛、怨念が正しく敵に向かうことを自覚しただろう。

 呪詛と怨念ばかりであったとしても、その生前の経験は今に活かされている。
「全力で参りましょうぞ」
 つがえた雷の矢が煌めく。
 それは黒雲を切り裂く雷鳴のようにほとばしり、オブリビオンの大軍勢、その第一波を散り散りに切り裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
むぅ、これは中々の数ですね……。
シルバーレインでの戦争を思い出しますが……、
彼女は死なせませんし、都も守りましょう。
やる事はいつもと同じですね。

敵の毒針の雨は【オーラ防御】を展開した上で、
【衝撃波】の【乱れ撃ち】で吹き飛ばして凌ぎましょう。
そして【宿星天剣戟】で飛翔して、敵陣を
攪乱するように動きながら攻撃していきます。
必要であれば牽連四将さんを援護し、更に連携して
攻めていきます。

一人では無理でも友と仲間がいればなんとかなる。
これもいつもと同じですね。
異世界でも何も変わりません。
……ちょっと昔を思い出しました、フフフ。



 黒雲の如く空を埋め尽くすオブリビオンの大軍勢。
『黒雲玄蜂』の群れであり、その体から放たれる強毒性の針の雨は触れれば、その針から穿たれた毒によって対象を操る力を擁している。
「むぅ、これは中々の数ですね……」
 山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)は、その膨大な数のオブリビオンを前にして、己の出身世界であるシルバーレインにおいて勃発した戦争を思い出していた。
 この大軍勢は、それに匹敵する敵の数である。
 しかも、これは第一波に過ぎないのだ。
 さらに控える第二波のオブリビオンたちを合わせれば、たしかに如何にユーベルコードを体得した強者であろうとも敵うべくもなくすり潰されてしまうことであろう。

「ですが、彼女は死なせませんし、都も護りましょう」
 背にあるのは『梟門の都』である。
 無辜の民を傷つけさせるわけにはいかず、そして若き英傑『牽連四将』もまた守らねばならない。
 けれど、慧にとってはいつものことであった。
 護るために戦うことこそがシルバーレイン世界の能力者の目的であった。
 抗うことすら赦されず、超常を知覚できないままに死んでいく人々を救う。そのために己たちの力があるのだと彼等は知っている。

 放たれる雨のような針の一撃をオーラ防御を展開した上で乱れ打たれる衝撃波でもって吹き飛ばしていく。
「どれだけユーベルコードであろうとも、触れなければ、こちらを操る力を発揮できないでしょう!」
 慧の瞳がユーベルコードに輝く。
 宿す星の力。
 それが、手にした宿星剣により宿星天剣戟の連撃を解き放つ。
 飛翔する体は軽やかに。
 そして、共に飛ぶは『牽連四将』である。片割れの宝貝『風火大車輪』でもって飛ぶ彼女の微笑みが見える。

 戦いのさなかにあって微笑むのは、彼女と慧が正しき側に立って戦うことが誇らしいからにほかならないからだ。
「共に行きましょう」
 放たれる宝貝『乾坤一擲』の鉄環の一撃が『刻印玄蜂』の群れを穿ち、道をひらく。
 慧は拓かれた道を一直線に飛翔し、手にした宿星剣の献饌で持って蹴散らしていくのだ。
「一人でも無理でも友と仲間がいればなんとかなる。これはいつもと同じですね」
 そう、異世界であっても何も変わることのない真理である。

「お上手! 敵はまだまだいるわ。貴方の背中は私が。私の背中は貴方が」
「ええ……ちょっと昔を思い出しました、フフフ」
 微笑みが漏れ出る。
 どうしたって思い出すのだ。
 あの死と隣り合わせの青春を。今の彼は運命の糸症候群によって全盛期の姿を取り戻している。
 けれど、実年齢はそうではない。
 だからこそ、懐かしくも思えるのだ。

 確かに辛いこともあった。
 彼の周囲には友と仲間がいた。それが齎す力を今も信じている。少しも疑うことなんてない。
 煌めくユーベルコードが慧の体を飛翔させ、黒雲を切り裂くようにして『刻印玄蜂』の群れをかき乱しては切り裂いていく。
『牽連四将』との連携によって『刻印玄蜂』の群れは分断されていく。
 敵の目的はあくまで若き英傑の抹殺である。
 彼女を追うオブリビオンの悉くを慧は宿命宿した星の剣の剣閃でもって切り裂き、黒雲の如き群れを霧消させていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
ん……前見たことあるなあれ……確か毒持ってて刺さされると拙い的な奴…
都を守るためにもここで一掃しないといけないね……
…(牽連四将に)それじゃあ今からあいつらの動きを封じるから…
そこを一掃しようか…

…重奏強化術式【エコー】で術式を強化…効果範囲を広げた【星を墜とす大地の手】を発動…
…視界内の飛んでいる刻印玄蜂共を地上に縛り付けてしまおう…
…身体を闇に変えようともこの疑似重力術式からは逃れられないよ…
…あとは牽連四将に透過されないよう炎で虫を焼いて貰うとするか…
…ついでに私からも火炎術式を放って燃やすのを手伝うとしよう…



 オブリビオン『刻印玄蜂』――それは体内に阿片を溜め込み、針によって注入する恐るべき存在である。
 都に一匹でも入り込めば、そこから阿片が蔓延し、人々は阿片を求めて廃人へと変わっていくだろう。さらに阿片を求める人々を操り、都の荒廃へと導くものである。
 ゆえに『刻印玄蜂』は一匹も残してはならない。
 空を舞う『風火大車輪』の噴出する炎と共に若き英傑『牽連四将』は黒雲の如き大軍を穿ち続ける。
「数が多すぎる……みなさんが来てくれていなかったら、どうなっていたか」
 自分の生命がなかったことはもとより、『梟門の都』もまた滅びていたことだろう。
 猟兵という一騎当千の存在が集まってくれたからこそ、今をつなぐことができるのだ。

「ん……前見たことあるなあれ……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は黒雲の如き大軍勢を形成する『刻印玄蜂』の姿を見て、かつての戦いを思い出す。
 寵姫が手繰り、己の奉じる愛を持って狂える武将を守らんとした存在。
 その戦いもまた『梟門の都』が舞台であった。
 あのときも都の中に溢れた『刻印玄蜂』は厄介な性質を持っていたことを思い出したのだ。
「都を護るためにもここで一掃しないと行けないね……」
 メンカルは宝貝『風火大車輪』でもって空を飛ぶ『牽連四将』を見やる。
 連携は必須である。
 ならばこそ、メンカルの術式が幾重にも展開していく。

 重奏強化術式『エコー』が彼女の術式を強化していく。
 効果範囲を広げる術式が標的とするのは、空にあるおのを天から地に引きずり下ろす疑似重力術式。
「重き力よ、掴め、落とせ。汝は重圧、汝は天墜、魔女が望むは底より出でし昏き腕」
 詠唱とともに輝くはメンカルの瞳である。
 ユーベルコードの輝きを湛えた瞳が見やるのは、空を飛ぶ者全て。
 ゆえに彼女は『牽連四将』にアイコンタクトで示していたのだ。己が何をするのかを。
 星を墜とす大地の手(スターライト・フォール)が術式より飛び、『刻印玄蜂』の尽くを掴み、大地に引きずり下ろす。
 そこへ飛び込んでいくのは『牽連四将』が放った宝貝『乾坤一擲』の鉄環。
 大地に失墜した『刻印玄蜂』を穿つことなど容易いことである。
 どれだけ体を闇に同化させたのだとしても、空を飛ばぬ以上ただの的に過ぎないのだ。

「後は……」
 メンカルの火炎術式が放たれ、『刻印玄蜂』たちを焼き払っていく。
「素晴らしいお力ね! 此処で一掃いたしましょう!」
『牽連四将』も己の片割れたる宝貝『風火大車輪』より噴出する炎でもって『刻印玄蜂』たちを焼き払う。
 燃え尽きて奇妙な鳴き声と共に『刻印玄蜂』たちは霧消していく。
 オブリビオンの大軍勢は未だ数を誇っている。
 けれど、メンカルのユーベルコードは空を飛ぶ者尽くを大地に引きずり倒し、その炎で持って焼き尽くしていくだろう。

「これで体内にある阿片も燃え尽きる……まだ数は多いけれど……」
 メンカルは空を見やる。
 黒雲は穿たれ散り散りに成っている。群れを形成して再び『牽連四将』を襲うだろう。
 けれど、此処には自分たちだけではない。
 他の猟兵達だっているのだ。恐れることはない。真に恐れるべきは無辜の民の生命が脅かされることだ。
 ならばこそ、二人は己たちの炎でもって、その脅威を霧消させ続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

いえ、師匠、わたしまだ何も言ってませんが!?

スープと言っても大人の蜂は食用にはちょっと……なんというか見た目がR18に……。

あぁっ、四将さんも、真に受けないでください!?

って、うわぁ……。
蜂もいちおう肉のカテゴリに入るとは思いますが、師匠、ほんとにいいんですか?
よければやってみますけど……すり潰してお団子スープみたいにしてみます?

それにしても師匠、最近食欲増してないですか?
ちょっと丸くなってきたような……(言いつつ防御体勢)

あ、師匠とかわたしは、逃亡生活で動物性タンパク質に飢えてますから、こういうの慣れてますけど、
四将さんは食べなくてもおっけーですから!

無理しないでくださいね。


フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ふむ、蜂か……
ルクスよ。佃煮にするのとスープにするの、どっちがよいと思う?」

そうか、やはりスープにするのが良いか。

「というわけでシチューよ。お前の出番だ!
修行の成果として、その乾坤一擲によるすり潰しの下ごしらえと、風火大車輪による煮込みの技を披露するがよい!」

我は【ミゼリコルディア・スパーダ】によって材料となる蜂を狩ってくるとしようか。

「ぬ?
蜂の身体が闇に溶けて魔剣を避けるだと?
おのれ、小癪な!」

こうなったら回避できないくらい大量の魔剣を召喚して、全方位から攻撃してくれるわ!
これなら透過したところで避けきれまい!

「さあ、シチューよ、この素材で極上のスープを作るのだ!」



「ふむ、蜂か……」
 黒雲の如き大軍勢でもって迫るオブリビオン『刻印玄蜂』の群れをみやり、フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)は何やら考えているようであった。
 どうせ食欲に関連するものであったし、まあ予想はできたことであった。
 しかしながら、彼女の願いはきっと叶わないだろう。
「ルクスよ。佃煮にするのとスープにするの、どっちが良いと思う?」
 ほらねー。
 やっぱりって誰もが思ったかも知れない。ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)もそう思ったであろう。

 しかし、ルクスが何かを言う前にフィアの心はすでに決まっているようであった。
「そうか、やはりスープにするのが良いか」
「いえ、師匠、わたしまだ何も言ってませんが!?」
 ルクスが何かを発する前にすでにフィアの提案は決定事項のようなものであった。
 流石にそれはどうなのかと思わないでもなかった。
 だって、スープにすると言っても大きな蜂である。
 ちょっと見た目が、ね。
 こう、ほら。あれである。G指定といいますか。ちょっとこう、見た目が悪すぎる。そういう文化があることはわかっていても、どうにも生理的に受け付けないところがあるのである。

 悪食と言っても流石に限度があるのではないだろうか。
 なにせ、あの『刻印玄蜂』の体内には阿片が溜め込まれている。ユーベルコードで除去しなければ、流石に食べることはできないであろう。
 しかし、フィアはそんなの関係ねぇ! とばかりに檄を飛ばすのだ。
「というわけで、シチューよ。お前の出番だ。修行の成果として、その『乾坤一擲』によるすりつぶしの下ごしらえと、『風火大車輪』による煮込みの技を拾うするが良い!」
「え、私?」
 若き英傑『牽連四将』は戸惑っていた。
 まあ、そうだよねってルクスは思った。けれど、『牽連四将』はよくわからんけど、とりあえず『乾坤一擲』で敵を穿てばいいのだろうと、鉄環を飛ばしフィアの指示通りに『刻印玄蜂』たちを穿っている。

「あぁっ、『牽連四将』さんも真に受けないでください!?」
 ルクスの悲鳴が聞こえる。
 そんな彼女を他所にフィアのユーベルコードが飛ぶ。
 ミゼルコルディア・スパーダによって召喚された魔法剣が次々と『刻印玄蜂』たちを切り刻み、材料として調達してくるのだ。
 ぶっぱ癖の付いているフィアにしては中々に器用なことをしているではないか。
 しかし、『刻印玄蜂』たちもただでやられているわけではない。

「ぬ? 蜂の体が闇に溶けて魔剣を避けるだと?おのれ、小癪な!」
 あ、感心したのはここまでであった。
 フィアは己のユーベルコードが闇に同化した『刻印玄蜂』が躱すのを見て、ぷっつんしていた。
 生意気にも己の魔剣が躱されたのだ。ならばと膨大な魔力を投じて召喚せしめた大量の魔剣でもって『刻印玄蜂』たちを包囲し、全方位からの攻撃で持って飽和攻撃を仕掛けるのだ。
 どれだけ透過したところで、回避の力を上げたのだとしても全方位から一斉に襲いかかる魔剣を交わすことはできないのだ。

「って、うわぁ……」
 ルクスはもう感心していいやら、呆れていいやらわからん状態であった。
 蜂もまあタンパク源として考えるのならば、肉カテゴライズされてもいいのかもしれない。
 けれど、師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)としては阿片入というのはいただけない。
 ならばこそ、彼女はすり潰された『刻印玄蜂』の体内から阿片を除去することにこそ注力するのだ。
「それにしても師匠、最近食欲マシてないですか? ちょっと丸くなってきたような……」
 魔剣がものすごい音を立ててルクスの防御オーラに弾かれる。

「何か言ったか、ルクスよ?」
「いいえー」
 そんな二人のやり取りをみやり『牽連四将』は青筋を立てている。
 流石にお茶ばっかり飲んでいたから、別の食べ物食べいなって思わないでもなかったが、流石にこれはない。ない。
 ない。
 大事なことなので三回繰り返した。
「さあ、シチューよ。この素材で極上のスープを作るのだ!」

 そんなフィアの言葉を受けながらルクスは『牽連四将』に苦笑いしながら告げる。
「あ、師匠とわたしは逃亡生活で動物性タンパク質に飢えてますから、こういうの慣れてますけど、四将さんは食べなくてもっけーですから!」
 ホント無理しないでください! とルクスの言葉に『牽連四将』はコクコク頷くことしかできなかった。
 わりとまじで本気の目であった。
 いやすぎるのだろう。それでもフィアは次々と黒雲の如きオブリビオンを切り刻み、どさどさ持ってくる。

 呆れ果てるような食欲であるが、ルクスは文句一つ言わずに阿片を除去し、貴重なタンパク質を手に入れるために、その瞳をユーベルコードに輝かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
淑女を護り、無辜の民を守護するは騎士の務め
貴女を狙い、都に迫る脅威…見事、退けて御覧に入れましょう『牽連四将』様

機械馬に騎乗し空往く英傑に追従
己に向け放たれる針は剣の武器受けで打ち払い、英傑を狙う針は頭部と肩部格納銃器での●武器落としスナイパー射撃で撃ち落とし
左手にて構える連射モードのUCの乱れ撃ちで蜂の数を只管減らして参りましょう
両の腕が塞がろうと、第三の腕としてワイヤーアンカーを●操縦
クロスボウ型銃器を素早くリロード

敵わぬとみて都に向かう個体群が出たようですね
私にお任せを、『牽連四将』様
暫し周囲の蜂の掃討を願います

UCのチャージ開始
弾速と威力を高めた弾体が纏う衝撃波で一息に遠方の敵群を殲滅



 猟兵たちの攻撃によってオブリビオンの大軍勢である『刻印玄蜂』たちの黒雲の如き群れは散り散りに散開させられた。
 それらを猟兵たちは各々のユーベルコードでもって叩き落とし、撃滅していくのだ。
 しかし、それでも未だ数を誇る敵の群れを全て霧消させるには遠い。 
 さらにはこの後に控える第二波も打倒しなければならない。
 わかっていたことであるが、猟兵と若き英傑『牽連四将』は消耗戦を強いられている。
「淑女を護り、無辜の民を守護するは騎士の努め」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は己の炉心に燃える騎士道精神を持って機械馬に騎乗し、空を往く『牽連四将』に追従する。

 襲い来る『刻印玄蜂』の放つ巨大な針を剣で受け止め、打ち払いながら『牽連四将』を狙う針を格納銃器でもって撃ち落としていく。
「ありがとう、騎士トリテレイア。敵の数も減っては来ていますが……」
「ええ、皆様と貴女の尽力あってのこと」
『牽連四将』とトリテレイアは次々と『刻印玄蜂』たちを叩き落としていく。
 時に宝貝『乾坤一擲』の鉄環によって穿たれ、時にコアユニット直結供給式対人・対艦兼用電磁投射砲(ダイレクトコネクトレールガン)によって乱れ打たれる弾丸で霧消させられていく。

 これだけの大軍を前にしても二人は一歩も退くこと無く、敵を無償させ続けるのだ。
 両手が塞がろうともウォーマシンたるトリテレイアに死角はない。
 ワイヤーアンカーを使っての第三の腕として携えたクロスボウ型銃器をリロードし、体の各部に備えられた銃器の乱れ打ちによって『刻印玄蜂』は消滅させられていく。
 この巨大蜂は一匹でも都に侵入すれば、体内に蓄えた阿片でもって人を操り、廃人へと変えていく。
 そこから数を増やし、気がついたときにはどうしようもない状況にまで発展させてしまうからだ。
「む……敵わぬと見て、都に向かおう個体群が出たようですね」
「ええ、発煙筒は効果があったみたいだけど……距離が……!」

『牽連四将』が見やる先にあるのは、一つの黒雲の如き群れが『梟門の都』へと向かう姿であった。
 ここからでは距離がある。
 一度飛べば、たしかに追いつけるかもしれない。機械馬で駆け抜けても間に合うかもしれない。
 けれど、ここで自分たちが持ち場を離れた瞬間に数を誇る『刻印玄蜂』たちは、そこに付け込んでくるだろう。
 そうなれば、そこから戦線が瓦解するかのうせいがあったのだ。

「私におまかせを、『牽連四将』様。暫し、周囲の蜂の掃討を願います」
「どうするおつもり……!?」
「こうするのです……!」
 トリテレイアの構えたクロスボウ型銃器にケーブルが装着されエネルギーが炉心よりチャージされていく。
 そう、トリテレイアは全てを護るつもりなのだ。
『牽連四将』を護り、都に迫る脅威を退ける。
 それは言葉にすれば簡単なことであったのかもしれない。けれど、容易くはないことである。

「騎士の体裁は形だけは整えましたが……やはりこうした武装は気が進みません……ですが!」
 これで守られる生命があるのならば、己の体裁など無用の長物にほかならない。
 チャージされた電磁加速による砲撃のごとき一撃が、弾丸に纏った衝撃波と共に『刻印玄蜂』の群れを一撃の元に無償させるのだ。
 そう、誰も失わせはしない。
 どれだけオブリビオンが狡猾にこちらの裏をかくのだとしても、失われていい生命など何一つないのだ。
 トリテレイアは己の騎士としての矜持と共にオブリビオンの大軍勢を前に一歩も退くこと無く、何一つ失わせないと疾駆するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
また…数ですか。
確かに戦いは数ともいいますが…。
寡兵でも大軍に勝つ手段なんて幾らでもございます。

『おびき寄せ』の道術を込めた霊符をあらかじめ周囲に配置しておきました。
これで敵はあの霊符を牽連四将さまと誤認し集まってきています。
我が策果たせり…。
回避率を幾ら高めても…戦場に逃げまなく雷が落ちれば、関係ございませんね。
我が師の餞別…雷公鞭。久しぶりに貴方の全力を魅せてください!!
宝貝「雷公天絶陣」でございます。
『破魔』の雷の『属性攻撃』による『範囲攻撃』です。

感電したら、ますます回避できませんね。
では止めをさしましょうか。牽連四将さま。



「また……数ですか」
 董・白(尸解仙・f33242)は空を見やる。
 黒雲の如き群れたる『刻印玄蜂』たち。あのオブリビオンは体内に阿片を内包している。
 その巨大な針より放たれる一撃によって阿片を体内に打ち込まれれば、たちまちに人々は隷属し、廃人へと成り代わるであろう。
 そうなっては都は阿片が蔓延し、荒廃するだろう。
 人の生活の基盤を脅かし、営みをも破壊する。それは決して許してはならぬものであった。
「確かに戦いは一人もいいますが……寡兵でも大軍に勝つ手段なんていくらでもございます」

 白が撒き散らしたのはおびき寄せの道術を込めた霊符。 
 それを予め周囲に配置し、幻影を見せるのだ。
「あの霊符は『牽連四将』さまの幻影を見せるもの。敵の標的があの方であるというのならば、『刻印玄蜂』たちはあの霊符をこそ、己の標的と誤認して集まってきます」
 まさにそのとおりであった。
 本物の『牽連四将』は都に迫らんとしている『刻印玄蜂』を押し留めようと前線の後方でもって今も戦い続けている。
 こんな前方には存在しないのだ。

 ここを受け持った白の策であった。
「我が策果たせり……」
 霊符めがけて攻撃を仕掛ける『刻印玄蜂』を白は見下ろす。
 どれだけ闇に同化し、攻撃を躱す力をましているのだとしても、白の手にした宝貝、雷公鞭から逃げられるわけがない。
 そう、どれだけ回避率を高めたのだとしても戦場に隈なく注ぎ落とされる雷より逃げられるすべはない。

「我が師の餞別、雷公鞭。久しぶりに貴方の全力を魅せてください!!」
 ユーベルコードに輝く白の瞳。
 展開されるは黒雲穿つ雷撃の力。
 宝貝「雷公天絶陣」の力が戦場にほとばしり、破魔の力を宿した雷が『刻印玄蜂』たちを見事に捉えて穿つのだ。
 雷鳴が荒野に轟き、その力が発露する。
 明滅する光はどれだけ闇を濃くするのだとしても、『刻印玄蜂』たちの体を捉えて感電させ、大地に失墜させるのだ。

「では止めを刺しましょうか――」
「ええ、後はおまかせを」
 白が見上げる先にあったのは宝貝『風火大車輪』の片割れから炎を噴出させて空を往く『牽連四将』の姿があった。
 腕に備えられた宝貝『乾坤一擲』の鉄環が放たれ、弾丸のように次々と雷に撃たれて感電した『刻印玄蜂』たちを仕留めていくのだ。

「都に向かった『刻印玄蜂』たちは掃討いたしました。残るは、第二波でございますね」
『牽連四将』の言葉に白は黒雲の如き大軍勢が来た荒野の地平線を見やる。
 そこにあったのは、オブリビオン『濁業仙人』の姿であった。
 最初は数人であった影が、徐々に分裂していく。
 やがて、その分裂した影は地平線を埋め尽くすほどの数へと変わっていくのだ。

 あれなるは邪仙。
 人の悪意を持って己の体に濁りきった業を宿した存在である。
 その怪しく煌めき、濁った瞳の光は若き英傑を睨めつけ、その存在を抹消せんと飛来する。
「あれなるが愚か者たち。『牽連四将』様、あれらこそが此度の襲撃の最後の軍勢。恐れるに足りません」
 白はあれだけの数を前にしても恐れはしなかった。
 例えこちらの数がどれだけ少なかろうとも。
 人の業をもって人の世に仇為す邪仙がいるのならば、己の責務は決まっているのだ。
「竜吉公主が弟子の一人、尸解仙、董・白。参ります――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『濁業仙人』

POW   :    業雷衝
自身の【理性】を代償に、【業(カルマ)】を籠めた一撃を放つ。自分にとって理性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    業濁瘴
【漆黒の瘴気】を解放し、戦場の敵全員の【生命力】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    呪仙痕
攻撃が命中した対象に【激痛を与える呪詛の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【刻印の拡大】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地平線を埋め尽くすは、邪仙の影。
 オブリビオン『濁業仙人』たちは、己の存在を分裂させ、地平線を埋め尽くすほどの軍勢へと変貌せしめた。
「ひゃっひゃっひゃ。これこそが我らが力。人の悪意の写し身。正しさだけでは世界は生まれない。どんな清流も汚濁に染まれば、これ即ち混沌そのものなり」
 彼等の口から溢れる言葉は同じものであった。
 狙うは若き英傑『牽連四将』のみ。

「『天峰三師』と『牽連四将』。どちらが欠けても、『存在』は生まれはせぬ。ならばこそ、ここで片割れを葬り去ることができれば、我らの勝ちよ」
 彼等は嘗て『梟門の都』と『鴉鷺の都』の対立を煽り、嘗ての英雄を模した宝貝太子、『祝恩大星』をオブリビオン化し『堕讐凶星』として悪意を注ぎ込んで世界を滅ぼそうとした。
 けれど、それはすでに猟兵によって阻止されているのだ。
 彼等が望むはやはり混沌たる世界の破滅そのもの。

 彼等の背後で糸引く存在がいるのだとしても。猟兵たちは若き英傑を守らねばならない。
「『此処』にはすでに『祝恩大星』は在らず。なればこそ、再び生まれ出る『存在』を我らと人の悪意でもって染め上げよう」
『濁業仙人』たちは悪意迸る瞳で猟兵たちを見据え、『牽連四将』を狙うのであった――。
馬県・義透
ちょいとあなたに任せますー。

人格交代
『疾き者』→『静かなる者』
冷静沈着な霊力使いの武士
一人称:私
武器:白雪林

ええ、任されました。業の強い相手には、私でしょうし。

牽連四将殿。今より少し寒くなりますが、勘弁を。
【四悪霊・水】、ここは破魔氷原…つまり、敵は絶対に適応できない場所。
我らは適応しますしね…つまり、その攻撃は当たらないのですよ。
まあ、私は悪霊なので、簡単には呪われませんが。

私は白雪林で射かけていきますので、牽連四将殿はご自身の考えで動いてください。大丈夫、あなたならできます。
ええ、四天霊障による結界は、まだ続いてますよ。四悪霊を甘くみるなかれ。

裏で操る者も…いずれ必ず。



 人の業が悪意に塗れたものであるというのならば、それは確かに正しいことであったのだろう。
 されど、どれだけ人の業が汚泥によって濁ったものであったのだとしても、それを濯ぐことができるのが人の意志である。
 それを知る悪霊である馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は地平線を埋め尽くすほどの大軍勢となった邪仙『濁業仙人』たちの群れを見やる。
 分身して数を増やしたのだろう。
 それは確かに人の悪意の総意であったのかもしれない。
「ちょっとあなたに任せますー」
『疾き者』は、己の中に内包されたもうひとりの存在『静かなる者』と代わり、その意識を表に現出させるのだ。

「ええ、任されました。業の強い相手には、私でしょうし」
『静かなる者』は頷く。
「不思議ね、貴方の中にはまだ魂が内包されている。混ざり合っている。分かたれていることがないというのは、とても強い何かで結びついているのね。それもまた業だというのは、違うと思うのだけれど」
『牽連四将』は彼等の在り方を見てつぶやく。
 それが正しいのかどうかはわからない。けれど、自分たちもそうであったのかもしれないという思いが彼女にはあったのだろう。

 一蓮托生より生まれた存在。
 それが若き英傑『天峰三師』と『牽連四将』である。元は一つのものであったのかもしれない。
 けれど、今は分かたれているのだ。
「『牽連四将』殿。今より少し寒くなりますが、勘弁を」
『静かなる者』は拱手でもって『牽連四将』に告げる。彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、四悪霊・水(シアクリョウ・ミズ)。
 召喚した水で出来た鳥から凍らえた羽が戦場に降り注ぐ。
 此処は荒野ではない。もはや氷原そのものである。

「水よ、凍てつけ……」
『静かなる者』の言葉とともに広がる氷原は、オブリビオンを蝕む破魔の力を宿した氷原。ゆえに、オブリビオンは絶対に適応することはできない。
「ひょっ!? これは宝貝……ではないな! 呪いの力! それを持って濁業に塗れた我らと相対するか猟兵!」
 邪仙である『濁業仙人』達の体が氷原によって蝕まれていく。
 それはオブリビオンに対する呪いそのものであったことだろう。故郷を失い、生命すらも奪われた。
 彼等四柱はオブリビオンに対する呪詛のみにおいてまとまり、オブリビオンを滅することでもって猟兵と成る悪霊である。

「ええ、そのとおり。四天霊障による結界は、まだ続いていますよ。四悪霊を甘く見るなかれ」
 白い雪のような弓を引き絞る『静かなる者』が矢を放ち、呪いの氷原において身を蝕まれた『濁業仙人』たちを撃ち落としていく。
「お見事ね、『静かなる』お人。私も負けてはいられないわ」
「大丈夫、あなたならできます。ご自身の考えで動いてください。それがきっと幸いとなるはずでしょうから」
『静かなる者』は『牽連四将』に告げる。
 確かに彼女や彼女の兄をオブリビオンは狙うのだろう。

 けれど、それは決して成さしめることのない企みである。
 何故ならば、己達がいるからだ。オブリビオンに対を成す存在、猟兵が在る限りオブリビオンの企みは叶うことはない。
「そのために我らは在り。裏で操る者も……いずれ必ず」
 その瞳に宿る呪詛は未だ潰えず。
 世界の悲鳴を聞き届け、今に仇為す過去を一掃する力は、『濁業仙人』達の淀んだ悪意すらも撃ち抜くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……ほーん……
つまり両方守れば勝ちなんだよね…狙いを喋ってくれるとはありがたい…

…今回は以前と違う手で行くか…
…牽連四将、フォローは任せて欲しい…思いっきりやっちゃえ……
…【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…500を超える氷の魔剣を周囲に生成して発射待機状態に…
…牽連四将や私に対する攻撃の盾になるように氷の魔剣を飛ばしてフォローをして行くとしようか…
…「命中」した対象にしか刻印は付与出来ない…だから何かに阻まれればそのUCは機能しない……
…さらに仙人達の回避・防御を邪魔するかの如くに魔剣を発射…牽連四将に思いっきり暴れて貰うとしよう…
…剣の数が少なくなったら再発動して魔剣を補充するよ…



「一蓮托生寄る生まれし英傑……その片割れたる『牽連四将』、その生命を我らが悪意の前に散るがいい。お前の存在は、『此処』に在りて我らに不要なり」
 オブリビオン『濁業仙人』は、若き英傑『牽連四将』に告げる。
 彼等の目的は若き英傑の抹殺である。
 蓮より生まれし双子の英傑。
 生まれたばかりの存在でありながら2つの宝貝を持つ存在である彼等は確かに特別な存在であったのかも知れないが、オブリビオンが大軍勢を差し向けるほどの存在であるのかと問われれば、否であった。

「汝らは『存在』を守護する存在。その『意義』を我らの悪意で染めねばならぬ。ならばこそ、沈め、『牽連四将』!」
『濁業仙人』たちの悪意に塗れた瞳がユーベルコードに輝き、刻印を解き放つ。
 それは痛みを増大させる刻印である。
 しかし、その刻印を防ぐは空より降りたる静謐の魔剣(ステイシス・レイン)であった。
「何奴……! この魔剣は……!」
「……ほーん……つまり両方守れば勝ちなんだよね……狙いを喋ってくれるとはありがたい……」
 魔剣の主であるメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はその瞳をユーベルコードに輝かせる。

 これまでオブリビオンの目的は猟兵にとって世界の破滅を願うものばかりであった。
 今回もそうなのであろう。
 何故、双子の存在である『天峰三師』と『牽連四将』をオブリビオンが狙うのかはわからなかった。けれど、その片割れどちらかが欠けてもオブリビオンにとって都合のよう展開に成るというのならば、両方を護ることこそが、こちらの勝利条件なのだ。
「なら、以前と違う手で行くか……」
「メンカル殿! 此処は……!」
『牽連四将』にメンカルは頷く。
 敵のユーベルコードはすでに知っている。痛みを拡大させる刻印。確かに恐るべきユーベルコードであろう。けれど、その対策はすでに売ってある。
 五百を越える魔剣がメンカルの周囲にはすでに発射待機状態で浮かんでいるのだ。

「……『牽連四将』、フォローは任せて欲しい……思いっきりやっちゃえ……」
 メンカルの言葉に『牽連四将』は頷き、宝貝『風火大車輪』から炎を噴出させて『濁業仙人』の軍勢へと飛び込んでいく。
「ひょっ! 我らの間合いに飛び込んでくるかよ! 好都合! 我らが仙術を喰らえい!」
 周囲から無数に放たれる刻印。
 けれど、その刻印と『牽連四将』の間に割って入る物があった。

「そのユーベルコードは『命中』しなければ刻印を付与できない……だから、何かに阻まれれば機能しない……」
 メンカルの手繰る魔剣が刻印を防ぐようにして飛び、『牽連四将』を護るのだ。
 まるで盾である。
 どこから打ち込まれたとしても、即座に魔剣は飛び刻印を防ぐのだ。
 火花をちらしながら魔剣の壁が拓かれた瞬間、放たれるのは宝貝『乾坤一擲』の鉄環の一撃である。
 それは確かに大軍を相手にするには向かぬ宝貝であっただろう。
 けれど、こと一体に打ち込まれる一撃は凄まじい威力を持つ。鉄環の一撃は邪仙を打ち砕き、勢い止まらぬままに次々と邪仙たちを無床させていくのだ。

「ぬぅっ! 忌々しい……! なれば術者を……! ぐわっ!?」
 隊列が乱れた『濁業仙人』たちをメンカルが見逃すはずがない。
 即座に魔剣を放ち、『乾坤一擲』の一撃に目を奪われた彼等を貫くのだ。
 メンカルは己がサポートをし、『牽連四将』が思いっきり暴れられる状況を作り出すのだ。
 彼女が一気呵成に敵を穿つ攻勢こそが、彼女を護る一手となる。
 メンカルにとって、『濁業仙人』たちの背後で糸引く存在がいかなる者であるかは知らない。
 この戦いに、そして、彼女たちの存在にどれだけの意味があるのかもわからない。

 けれど、たった一つわかっていることがある。
 彼女たちを喪うということは、この世界のより善き未来の一つが失われることであると。
 ならばこそ、メンカルはか細い希望の光であっても守り抜くのだ。
「停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣」
 メンカルの詠唱と共に魔剣が補充され、戦列の如く戦場に居並ぶ。
 そこを『牽連四将』は飛び、メンカルのサポートを得て縦横無尽に『濁業仙人』を蹂躙するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
オブリビオンが歪められた存在であるならば、
悪意に満ちた彼もかつては清廉な仙人だったのでしょうか?
……などと考えても詮無いだけですね。
早々に骸の海とやらに帰っていただきましょう。
銀誓館の生徒はこれまで何度も悪意に打ち勝ってきたのですから。

あえて正面から攻めていきますので、
牽連四将さんに援護をお願いしましょう。
敵陣に斬り込んだら【功夫】による接近戦を仕掛け、
敵が密集している箇所には【グラップル】で捕まえた敵を
ブン投げてやります。
理性を失った敵の攻撃など【集中力】でよく見れば回避できるはず。
反撃とばかりに【リミッター解除】した【震脚】で纏めて
吹き飛ばしましょう。



 天を穿つは雷。
 それは邪仙『濁業仙人』たちの手より放たれしものであった。
 彼等の瞳はユーベルコードに輝き、その悪意こそがオブリビオンとしての存在を示すものであったのかもしれない。
 どれだけ高潔な魂も、骸の海にて過去に歪めばオブリビオンへと変わる。
 汚濁に塗れるように。
 それはどうしようもないことであったのかもしれない。
 本来であれば、彼等もまたかつては清廉な仙人であったのかもしれないと、山吹・慧(人間の宿星武侠・f35371)は思ったことだろう。

「とは言え、それは詮無きこと。早々に骸の海とやらに還って頂きましょう」
 これまでも慧たちシルバーレイン世界の能力者たちは悪意と対決してきたのだ。
 その都度、打ち勝ち、自分たちが護るべき者たちを守ってきた。
 だからこそ、今回もそうなのだ。例えどれだけの大軍勢が相手であったとしても慧は一歩も退くことはしないだろう。
「慧殿、背中はおまかせを」
 若き英傑『牽連四将』が片割れの宝貝『風火大車輪』でもって空を舞い、慧の背後に付く。
 これだけの大軍勢である。
 背後を取られてはお模様に戦うことはできない。

「ありがとうございます。ですが、あえて正面から攻めて行きます」
 踏み込む。
 それは一歩も引かぬという慧の意志の現れであった。
「ひょっひょっ! 若い、青い! バカ正直に正面から来るなど!」
『濁業仙人』たちが群がるように慧へとその業雷衝を解き放つ。
 すでに彼等には理性などない。あるのは悪意だけである。ただ己たちの為した修行の全てを人の営みを傷つけるためだけに使う彼等にとって、その一撃は凄まじく重たいものであったことだろう。
 だが、慧は正面から踏み込み、『濁業仙人』の一人の体に掴みかかる。

「爆ぜてください」
 敵に着衣あるというのならば、慧の手繰る体術はそれこそ得手とするものであったことだろう。
 指に巻き込む衣の感触を感じながら、慧は『濁業仙人』の一人を投げ放つ。
 本来であれば、それはただの投げ技であったことだろう。
 けれど、彼の瞳に輝くユーベルコードがそれを異なるものへと昇華させるのだ。
 空間ごと吹き飛ばす衝撃波。
 その一撃目となった投げ飛ばす攻撃は、『濁業仙人』を投げは成った瞬間に五体を爆散させるほどの威力であった。

「――ッ!?」
 それは目を疑う光景であったことだろう。
 ただ人を投げ放つだけで生まれる衝撃波がオブリビオンを爆散させて霧消させるのだ。慧がこれまで培ってきた体術の技量はユーベルコードに昇華されるまでに鍛え上げられているのだ。
「己の五体を知れば、如何にして力を解き放つかを知る……フフフ」
 踏み込んだ足が大地を震わせる。
 人はそれを震脚(シンキャク)と呼ぶだろう。

 己の肉体のリミッターを外した限界まで研ぎ澄まされ、何千何万という反復修行によって極限まで無駄を削ぎ落としたからこそ生まれる力の伝達。
 それが彼の放つ踏み込みによって衝撃波となって『濁業仙人』たちを吹き飛ばし、霧消させていくのだ。
「悪意など、もはや関係なのです。これまでも銀誓館の生徒は悪意に打ち勝ってきたのですから」
 今更この程度の軍勢に負ける能力者ではない。

 弛まず紡がれてきた練磨が活路を拓くように。
 慧はこれまで彼が経験してきた数多の戦いによって、今、一つの世界のより善き未来を切り開く。
「さあ、どこからでもかかってきなさい」
 負ける道理など何処にも無いというように、慧は踏み込んだ足から大地を震わせる衝撃波でもってオブリビオンの大軍勢を寄せ付けぬのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

董・白
オブビリオンはやはり馬鹿ですね。
この世は清流も汚濁も等しく世界の一つです。
どちらか片方では世界に成り立ちませんよ。

さて、オブビリオンに現実を語っても時間の無駄です。
一気に片付けてしまうのが一番です。


『道術』で強化した『結界術』で刻印を刻まれるのを防ぎつつ、宝貝「誅仙陣」「万仙陣」を発動します。
見せましょう、新たな宝貝の力を!!
まあ本音は元が金鰲派のものなので使いたくはないのですけど…悔しいぐらい便利なんですよね…はぁ。
まずは「誅仙陣」の空間に『破魔』の力を上乗せした雪で『範囲攻撃』内のオブビリオンを魂事溶かし、「万仙陣」で味方を…牽連四将さまを強化いたし共に残党を掃討いたします。(霊符を構え)



 過去に成った存在は骸の海にて歪み果てる。
 それは仕方のないことであり、どうしようもないことであったのかもしれない。
 高潔な魂も、清廉なる意志も。
 何もかもが骸の海という過去に歪み、濁業に染まる。
 それは仙人であろうと代わりはないことである。
 邪仙『濁業仙人』の歪な悪意に染まった瞳がユーベルコードに輝く。その手にあったのは刻印の輝き。
 放たれた刻印は穿たれた身に染み込み、痛みを増幅させる恐ろしきユーベルコードである。

「ひゃっひゃっひゃ。我らの悪意に『存在』は染まる。必ずや、その悪意に染まりし魂は世界に災いを齎すだろうて」
『濁業仙人』たちが狙うは二人の若き英傑である。
 一人は『天峰三師』。すでに猟兵たちの手によって救われた英傑である。
 そして、もうひとりが『牽連四将』である。彼女と兄である『天峰三師』のどちらかが倒れるだけでこれより生れ出づる『存在』は悪意に染まるだろう。
「オブリビオンはやはり馬鹿ですね。この世は清流も汚濁も等しく世界の一つです。どちらか片方では世界に成り立ちませんよ」
 董・白(尸解仙・f33242)は問答などするつもりはなかった。
 オブリビオンと成り果てた存在と今という現実を語ったところで時間の無駄であることを彼女は身を持って知っていたことだろう。

 ゆえに彼女は放たれた刻印を道術でもって強化された結界でもって防ぎながら、宝貝を手にする。
「禁じ手です。元は金鰲派の宝貝でしたが…対策に研究してるんです」
 手にしたのは2つの宝貝。
 彼女が持つ新たなる宝貝は、もとは金鰲のものであったが、悔しいくらいに便利なのである。
 誅仙陣が降らす魂すら溶かす雪。
 それは空間と成って膨大な数でもって押し迫る『濁業仙人』たちを飲み込んでいく。
 ちらつく雪は分身した『濁業仙人』たちの魂魄とも言うべき核を溶かしていくのだ。それに抗う術などない。

「我らの魂が溶ける……! じゃが!」
 放たれ続ける刻印に結界がきしんでいく。しかし、白は構わなかった。
 確かに敵の数は多い。
 けれど、自分ひとりで戦っているわけではない。
 此処にあるのは己だけではなく。彼等が濁流の中に身を置く仙人であるというのならば、己は清流の中にある者である。
 もう片方の宝貝が輝く。

 名を万仙陣。
 己の味方と認識した猟兵と若き英傑『牽連四将』。彼等の数に応じた強化の空間が広がっていくのだ。
「敵の魂を溶かし落とす誅仙陣。己の味方の数をもって力を増す万仙陣……はあ、本当に便利です」
「とは言え、お味方がいてこその宝貝でございますね。白殿」
『牽連四将』が片割れの宝貝『風火大車輪』の炎を噴出させながら、強化された『乾坤一擲』の鉄環の一撃でもって『濁業仙人』たちを薙ぎ払う。

 宝貝は尋常ならざる力を齎すものである。
 けれど、扱い方を間違えれば己の身を滅ぼすものでもある。結局の所、使い方次第であり、使い手の存在がなければただの道具に過ぎない。
「ええ、共に残党を掃討いたしましょう」
 手にした霊符を以て白もまた戦場に駆け出す。
 敵の数は未だ多く。
 さりとて逃がすつもりなどない。此処で邪仙を討ち果たすことこそが、より善き未来に辿り着くための方策なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
やがて全てが『過去』に堕ちるのだとしても…
二人の英傑が呼び水となり生まれ出る『存在』が堕ちるは、“今”に非ず
此度の企みは断念して頂きましょう

いえ、永劫阻まれるのだと告げましょうか
正邪の激突と超克こそが、人の歴史を紡いで来たのですから

『牽連四将』様、私が突出して前に出ます
…この機能は、困難に挑む者をこそ祝福するものですので

英傑をかばうように大盾を掲げつつ機械馬に騎乗して呪詛の弾幕に突撃
刻印を機械妖精の修復で解除しつつ武装強化

機械馬に空を駆け敵を両断する鋼とフォースセイバーの翼
突き出す馬上槍は巨大レーザーの砲撃放ち
電脳禁忌剣からは110mを越える光刃伸びて

英傑の連戦の疲れ癒しつつ、邪仙の軍勢を蹂躙



 宝貝の輝きが戦場に在りし味方の力を底上げしていくのをトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は感じていたことだろう。
 宝貝『風火大車輪』の炎を噴出させながら空を舞い、鉄環の宝貝『乾坤一擲』でもって敵を穿つ若き英傑『牽連四将』は健在である。
「これだけの大軍勢をもってしても、打倒できぬとは……! 数ですりつぶせば、いかなる英傑と言えど疲弊して堕すのみであるはず……! これもそれも猟兵の存在が!」
『濁業仙人』たちは歯噛みすることだろう。
 本来であれば、双子の英傑『天峰三師』と『牽連四将』のどちらかだけでも抹殺することができればよかったのだ。

 片割れとなった英傑にこれより生れ出づる『存在』を支える力はない。
 必ずや悪意に染まるはずだったのだ。
「猟兵め……! 我らが企てをよくも!」
 刻印が煌き、邪仙である彼等のユーベルコードが空に明滅する。
 それをトリテレイアは前に出て大盾を掲げる。
「やがて全てが『過去』に墜ちるのだとしても……二人の英傑が呼び水となり生まれ出る『存在』が堕ちるは“今”に非ず。此度の企みは断念して頂きましょう」
 掲げた大盾に刻印の全てをトリテレイアは受け止めた。
 大盾の装甲がきしむ傍から機械妖精たちが修復していく。
 電脳禁忌剣・通常駆動機構:支援兵装『勇気の妖精』(サポートユニット・スティールフェアリーズ)による強化が、最前線にたつ己の力を底上げしていくのだ。

 矢面に立つことこそが、己の使命である。
 背後に庇う『牽連四将』が息を吐き出す。これまで連戦に継ぐ連戦で体が馴染み始めた彼女は疲弊を極めていたはずだ。
「ありがとうございます、騎士トリテレイア。私のことは……」
「いいえ、淑女を護ることこそ騎士の誉れ。一時の休息を。この機能は困難に挑む者をこそ祝福するものですので」
 此処は自分に任せて欲しいとトリテレイアは大盾でもって『濁業仙人』たちの放つ刻印の猛攻を防ぎ続ける。

 これこそが誰がためにと在り続ける己の存在意義である。
 誰もが戦い続けることができるわけではない。時に膝を着くこともあるだろう。そんな時に盾となれるものでありたいと彼は思うのだろう。
「だからこそ……あなた方の企みは永遠に阻まれるのだと告げましょう。正邪の激突と超克こそが、人の歴史を紡いできたのですから」
 トリテレイアの存在はまさに、その歴史の最も進んだ場所にて生まれたものであるがゆえに。

 人の営みは止まらない。
 例え、母たる大地を忘れるほどに遠き銀河の海を往く世界が訪れるのだとしても。
 それでも往くことだけは止められない。
「ゆえに――」
 己は騎士として立ち向かおう。
 人の善意と悪意の対決にこそ生まれる葛藤を、その道行きを照らすことこそが己の猟兵としての責務であると掲げた馬上槍より放たれる巨大レーザーの砲撃を放ち、手にした電脳禁忌剣より生まれる光刃が巨大な刃となって『濁業仙人』達を薙ぎ払うのだ。

 機械妖精たちはナノマシンの鱗粉でもって『牽連四将』の疲れを癒やす。
 誰も失わせはしない。
 自身の背後にあるものを護る。
 そのための騎士であるならば、トリテレイアはまさしく騎士であったことだろう。
「馬鹿な……! 我らが悪意が清流に押し流されることなど……!」
「私こそが正邪の激突の歴史の最先端にて生まれしもの。あなた方の悪意は途方もないものなのでありましょう。ですが、今、此処にある善意こそもまた途方もないものであると知っていただきます!」
 放たれる巨大な光刃の一撃が『濁業仙人』たちを刃でもって薙ぎ払うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「ふむ、よく分からぬジジイどもが出てきたか……」

仙人というのは、我のように悠久の刻を生きる魔女のようなものと聞いた。
美少女魔術師たる我と、このようなジジイどもを一緒にされるのは不愉快だな。

「こんなジジイどもはさっさと叩き潰して、シチューパーティーに戻るとしよう!
さあ、行くのだ、我が弟子たる勇者ルクスと英傑シチューよ!」
(後ろでUC詠唱)

仙人どもよ。一つ大事なことを教えてやろう。
汚濁に染まった清流だろうとも、乾いた喉を潤すには飲まねばならぬこともある!
それもわからずに仙人を名乗るとは笑止!

「というわけで、この後に待ってるシチューパーティーでは、蜂シチューを美味しくいただくのだ!」


ルクス・アルブス
【勇者パーティ】

『人の悪意』といいましたか?
それは光の勇者であるわたしにとって、聞き捨てならない言葉ですね!

あなた方は大きく勘違いしていることがあります!
『混沌』は決して『悪』ではありません。悪意が混沌を悪にするのです(びしぃっ)

あなた方が『悪意のある混沌』を生み出そうというなら、
わたしは勇者として、全力でそれを阻止しましょう!

世界をあるべき姿に導くのがわたしの役目。

『存在』が何かは解りませんが、
それが悪意を討ち滅ぼすものであり、その鍵が四将さんならば、
わたしは全力でそれを守ります!

さ、師匠。ここからは勇者としていきますよ!

……あれ倒しきったら、シチューのおかわり作りますから(こそっと)



 フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)の瞳にあるのは地平線を埋めるが如き大軍勢。
 オブリビオン『濁業仙人』たちの分身による膨大な数による圧殺を狙う濁流そのものであった。
 しかし、フィアに恐怖などない。
 あったのは無関心であった。
「ふむ、よくわからぬジジイどもが出てきたか……」
 正直なんの興味もわかない。
 仙人というものは、己のように悠久の刻を生きる魔女のようなものであると聞き及んでいた。
 けれど、彼等の有様は己と同じであると言うにはあまりにも遠く及ばぬものであると彼女は思ったことであろう。

「美少女魔術師たる我と、このようなジジイどもを一緒にされるのは不愉快だな」
「ぬかせ、我らが悪意を、人の悪意をもって世界を汚濁に沈め、『存在』こそを我らの傀儡とすることが永劫たる時を得るに値するのだ!」
『濁業仙人』たちの瞳は悪意に歪みきっていた。
 己の欲望をもって悪意と為す存在。
 その悪意もまた人の悪意と同じであると言うからこそ、彼等は己の悪意を肯定するのだろう。

「それは聞き捨てならない言葉ですね!」
 光の勇者であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)が叫ぶ。
 人の悪意。
 確かにそれは『悪』なのだろう。けれど、それを合わせて『混沌』と呼ぶことは間違いであると言わざるを得ない。
「『混沌』は決して『悪』ではありません。悪意が混沌を悪にするのです!」
 びしぃっ、と指差しルクスはそれを阻むためにまばゆい光と効果線をほとばしらせ、『濁業仙人』たちに相対するのだ。
 世界を在るべき姿に導くのがルクスの役目なのだ。
「あなた方が『悪意ある混沌』を生み出そうと言うなら、わたしは勇者賭して全力でそれを阻止しましょう!」

 光の勇者、ここに来臨!(ユウシャトウジョウ)と、彼女の存在が猟兵たちに散々に打ち破られた『濁業仙人』たちの群れを向かわせる。
 彼等にとって、光こそ滅ぼさなければならない存在である。
「こんなジジイどもはさっさと叩き潰してシチューパーティに戻るとしよう! さあ、行くのだ、我が弟子たる勇者ルクスと英傑シチューよ!」
 フィアの号令にルクスは飛び出す。
 彼女の身に宿した光は、『濁業仙人』達を次々と果たしていく。

「え、やっぱりシチューって私のことなのね……でも、今はそれでいいわ。その意見には私も賛成って思うから」
 最後まで自分の名前を覚えてはもらえなかったことに『牽連四将』は苦笑いをしていたが、ルクスと共に『風火大車輪』の炎を撒き散らしながら鉄環の宝貝『乾坤一擲』でもって『濁業仙人』を穿つのだ。
 その背後でフィアの詠唱が続く。
 瞳に輝くユーベルコードは隕石召喚(メテオストライク)。
 天を割いて現れる隕石の一撃。
 それはフィアの魔力と食欲とが掛け合わされ、その天より飛来する岩石の質量と速度をさらにましていくのだ。

「我らの悪意が『存在』を染めるのだ! それまでは……!」
「『存在』が何かはわかりませんが、それが悪意を討ち滅ぼすものであり、その鍵が四将さんならば、わたしは全力でそれを守ります!」
 ルクスの光が『牽連四将』に放たれたユーベルコードを防ぎ、光の勇者としての存在を示すのだ。
「さ、師匠。ここまで勇者としてがんばったんです! ……あれを倒しきったら、シチューのおかわり作りますから」
 こそっとルクスは背後のフィアに目配せする。

 食欲を刺激されたフィアのユーベルコードはさらなる勢いを増していくのだ。
 そんな食欲をおくびにも出さない……いやまあ、ただ漏れであるが、それでもフィアの瞳はユーベルコードに輝くのだ。
「仙人どもよ。一つ大事なことを教えてやろう」
 フィアは威厳たっぷりに言う。
 お腹の虫が騒がしいことこの上ないが、言うべきことは言わねばならない。
「汚濁に染まった清流だろうとも、乾いた喉を癒やすには飲まねばならぬこともある! それもわからずに仙人を名乗るとは笑止!」
 清濁併せ呑むことこそが人の世を生きる術である。
 例え、汚濁に見える水であっても、生きるためには必要なことである。
 それは時として甘露に感じることもあるかもしれない。人の生きる道とは斯くも厳しく、辛いことの連続である。

 だからこそ、光は輝くのだ。
「師匠! やっちゃってください!」
 ルクスの光が『濁業仙人』たちの悪意に染まった瞳を焼く。
 瞬間、フィアの大魔術が完成し、天より墜ちる巨岩の一撃が『濁業仙人』たちを押し潰し、あらゆる力を薙ぎ払うようにして穿つのだ。
 爆風が吹き荒れ、猟兵達とオブリビオンの激突は終焉を迎える。

「というわけで、この後に待ってるシチューパーティでは、蜂シチューを美味しくいただくのだ!」
 フィアの腹の虫はいよいよもって限界である。
 生きることは食べること。
 フィアは今まさに生きることを噛み締め、ルクスと『牽連四将』は若干の苦笑いとともに、戦いの後の食事の準備を始める。

 若き英傑を救う猟兵たちの戦いは、一先ずの決着を見せる。

 だが、正邪の激突がそうであるように。
 未だオブリビオンと猟兵との戦いは終わりを見いだせぬまま、この封神武侠界に続くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月10日


挿絵イラスト