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青天霹靂は悪姫の仕業

#カクリヨファンタズム #戦後

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#カクリヨファンタズム
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#戦後


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●天気予報も大混乱
 今日のカクリヨの天気は晴れのち雷。諸々をすっ飛ばした天候変化は誰かが予想したわけではなく、現実化を以って妖怪達に襲い掛かる。
 雲も雨も無く、ただ雷だけが降り注いだ。雷の大量発生により出現した「雷の雨」という怪奇現象。
「うわあああ!!」
「ぎゃああああ!!」
 雷に打たれた妖怪達は感電し動けなくなった隙に骸魂に呑み込まれ、オブリビオン化を果たして周囲を徘徊し始める。
「きゃはっ❤ よわよわな妖怪達はどんどん骸魂に食われちゃえ~」
 要塞化した駄菓子屋商店街で高みの見物を決め込んでいたのは、怪異の元凶、ライカヒメ。電撃わたあめを振り回しながら、また一体、妖怪が骸魂に呑み込まれていったのを見てくすくす笑っていた。

●カクリヨファンタズム・5thラウンド
「カクリヨファンタズムの大量発生事件を解決しましょう!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が視た世界は酷い有様だった。民家や商店は軒並み雷に穿たれて火の手が上がり、妖怪達は雷に打たれた者から次々とオブリビオン化してしまっていた。
「今回大量発生しているのは『雷』です! 雷が大量発生する今のカクリヨは『霹靂の世界』、ところ構わず雷が降り、建物を破壊し、妖怪達を傷つけてしまっています。骸魂も大量発生してしまい、妖怪達が雷に打たれて動けなくなったところを呑み込みオブリビオン化させているんです! 幸い、個としては弱く、また発生したオブリビオンも烏合の衆状態ですので集団敵ほど警戒する必要はありません。なので今回は雷の雨を突破して、大量発生の原因を一刻も早く撃破することを目指しましょう! その原因となっているのは一人のオブリビオン、獄卒ガール『ライカヒメ』という少女です。駄菓子屋商店街、という知る人は懐かしく感じる場所を要塞化して居座っています。駄菓子兵器『電撃わたあめ』を振り回して攻撃して来るようですが、駄菓子屋さんは有事状態で駄菓子兵器を取ることができますので、よければ皆さんも使ってみてください! それでは、事件解決をよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 こらしめられ系少女がついにやってきました。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『カクリヨ異変』
 雷が大量発生し、雷の雨が降る世界です。
 雷はうるさいし当たると痺れるしで厄介なので、対処しながらボスが潜む駄菓子屋商店街へ向かいましょう。

 第2章:ボス戦『獄卒ガール『ライカヒメ』』
 駄菓子屋商店街でのバトルです。思う存分懲らしめましょう。
 なお、駄菓子屋さんは一時的に有事の際の武器庫状態ですので、よければ好きな駄菓子兵器を取ってみてください。
 事件が解決すれば元の駄菓子屋さんに戻ります。
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第1章 冒険 『カクリヨ異変』

POW   :    異変を力でねじ伏せる

SPD   :    異変を素早く回避する

WIZ   :    異変に対処し突き進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

播州・クロリア
子供の悪戯にしては度が過ぎますね
いや、見た目は子供ですが中身は私より年上なんでしょう
老いては子に従えということわざもありますし
ここは8歳児である私が説教をしに向かいましょうか
雷を避けながら進むのは難しいので
ここはダンスすることで対処しましょう
(微笑みながら翅をゆっくりと震わせ軽い足取りでステップを踏んだ後{桃花の旋律}で『ダンス』を始める)
ダンスをすれば雷なんて{桃花の旋律}のリズムのようにそよ風ぐらいにしか感じません
(UC【蠱の夢】発動し、自分の周りに花びらを舞わせながら無敵状態で駄菓子屋へ向かう)



●大舞台へのフラワーロード
 子供の悪戯にしては度が過ぎる――予知で語られた言動と、グリモア猟兵から外見情報を分かる範囲で聞いた播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は事件についてふとそんな感想を抱いたが、すぐに思い直す。
(いや、見た目は子供ですが中身は私より年上なんでしょう)
 そのクロリアは見た目こそ二メートルを超えるが、それは彼女がバイオモンスターであるが故。年齢は案内役のグリモア猟兵よりもまだ若い、八歳であった。
 老いては子に従え、との言葉も残っている。老いた者は子に全てを任せて従っていればよく、若年者の一喝をぴしゃりと浴びせるべくクロリアは幽世の世界を訪れるのだ。
 しかし、ライカヒメもせいぜい十代。それを老いと捉えられるとは、世の中とは何とも世知辛い。

 大きいとは全てが良い方向へ作用するわけでもない。霹靂の世界ではあちこちに降り注ぎ、また飛来する雷に対処しなければならず、体の大きさは回避を考える上ではデメリットになり得る。クロリアもそれは承知で事件解決に乗り出しており、対策として持ち出した手段は「ダンス」であった。
 ガラピシャドガンと雷鳴は喧しいが、クロリアはすっと自分の世界に入り込むと、微笑み浮かべながらゆっくりと翅を震わせる。涼しげな鈴にも似た翅の音はクロリアの世界に優しく溶け込んで、軽やかなステップと共に作る旋律は春の始まりを思わせる香しいそよ風と雪解けの心安らぐせせらぎ、若草萌える心地良い大地を表現していた。
 長身ではあるが、クロリアは指の先までたおやかに、夢見心地のダンスに没頭する。時には手を重ねてひらり蝶の飛ぶ様を宙に描き、両手いっぱいに花開けばふわりと無数の花びらが現れ舞った。ただただ踊る、何者をも傷つけることのないクロリアの望みが果たされている限り雷の一刺しはそよ風の一撫でに等しく、雷鳴も旋律の中に掻き消える。
 歩みをダンスに置き換えたクロリアは雷の猛威を無効化し、着実にライカヒメの元へ進んでいく。その道中に在った骸の者達は皆、クロリアが過ぎ去っていくまで我を忘れてダンスに見入っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風

霹靂。いや、「へきれき」だとはわかっとるんだが。身近に「かむとけ」がなぁ。
と、出てきたか霹靂。せっかくぞ、一緒にいくか。

霹靂に騎乗。空中機動駆使しながら、雷を避けていこう。
万一のために結界(落雷音&雷光減衰を兼ねる)は張っておるし…最悪、雷は地形と言い張る。

しかし、駄菓子屋商店街とは懐かしいのう。戦争時以来か。


霹靂「クエ?(呼んだ?)」
自分の名前、違う読み方だと「へきれき」になると知っている。
武器庫のことはまだ知らない。
陰海月、雷怖いので影の中でぶるぶるしている。ぷきゅううう。駄菓子パンフで気をそらす。



●聞こえしは楽園ではなく
 へきれきのせかい。グリモア猟兵は今の幽世をそう呼称したが、即座に「霹靂」の二字が頭に浮かぶ者はそう多くは居まい。
「へきれき……かむとけ……」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はその少数派のほうで、自らの影に佇む名をぽつりと。「かむとけ」もまた当てる字は「霹靂」であり、義透としてはそちらのほうが馴染みある音だ。
 呼ばれて影よりヒポグリフの霹靂が顔を出す。
「……と、出てきたか霹靂。せっかくぞ、一緒にいくか」
 冒険の誘い。断る理由もなく、霹靂はクエと一声鳴いた。

 雷の荒れ狂う空を、義透を乗せた霹靂が駆ける。翼を広げた跳ね馬となって槍の如く降る雷を右へ左へ。義透の操術により躍動する霹靂だが、それでもタイミングは紙一重。そして轟雷音と雷光は避けるべくもなく、それらの軽減は結界を張る義透が務めていた。
 結界の内より見る外界は減衰して尚激しい明滅を繰り返す。ゴゥン、ゴゥンとくぐもった音は駄菓子屋商店街に近づくにつれて間が短くなり、霹靂が進路を切り返す回数も増えてきた。
 雷は水平方向も織り交ぜ宙に暴れ出し、いよいよ針孔に糸を通すような精密な操作性と世界を覆う閃光に反応する瞬発力が求められるようになった。それらは義透の操縦能力だけで補えるものではなく、霹靂と一体となって立ち向かうことで初めて開闢の力が生み出される。
 頭上で雷が弾けて八方に分かれ、眼前には眩く閃く雷が飛来する。交差し生じる雷の檻に捕まれば立ちどころに串刺しの刑だ。そうなれば結界は容易く崩れて撃ち落とされる――義透は思考が判断する前に正面突破を選択し霹靂を突っ込ませていた。
 降り注ぐ雷に半身飛び出せるか否かの勝負。眼下の駄菓子屋商店街は思えば戦争時以来だが懐かしむ余裕も無く、霹靂の足を飛ばすことだけに集中して光の中へ。
 フォークを突き立てられたような圧力が結界に加わり、ざりざりと力が削れていく――が、霹靂は圧力に屈することなく突き進んで雷を潜り抜ける。その最中には正面衝突の雷が数本。義透は霹靂が足を止めることのないよう背を支え、退かぬ姿勢を貫いて結界を持ちこたえさせた。
「万一のためと思っておったが……張っておいて正解だったか……」
 一つ大きな障害を乗り越えた義透は僅かな暇に息をつく。だが目指すべきはまだ先に。次の雷の予兆を感じ取った義透は再び霹靂と呼吸を合わせ、前を向くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルカ・スノードロップ
アドリブ歓迎な、お任せモード

●心情
ちょっと頑張ってみましょう。
こんな雷には負けませんし、悪い子にはオシオキして『わからせ』ないといけないですよね。


●行動

落雷により発生した延焼に対しては【火炎耐性】で対処

雷そのものをサント・クロワで【武器受け】して
シェンヌ・ダルジャンで地面に流すというアースの役割をさせて回避していきます
余波のように来る電撃は【電撃耐性】【結界術】【環境耐性】で状況に対処しながら
進んでいきます



●雷、火となり華となる
 空を斬り裂く雷の降る、駄菓子屋商店街の程近くにある集落は家屋が軒並み破壊されて火の手が上がり、焼け野原の様相を呈していた。そして住人である妖怪達は群がる骸魂に呑み込まれてオブリビオンへと変わり果て、炎に巻かれながら辺りを彷徨っている。
(これは……ちょっと「おいた」が過ぎますね。悪い子にはオシオキして「わからせ」ないといけませんし……こんな雷に負けてなどいられませんか)
 焼け崩れた柱を跨ぎ越えながらベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)は惨状をその目で確認していた。ちょっとした子供の悪戯では済まされない被害はじわりじわりと拡大しており、一刻も早く元凶たるオブリビオン「ライカヒメ」を見つけ出さなければならない。火の海に向かって駆け出すベルカ。その手には巨大な十字架「サント・クロワ」があった。
 居るだけで熱気がじくじくと肌を焼いてきそうな火事場は生身で挑むなら相当な精神力を要するが、ベルカはいくらか火炎への耐性を備えていた。今すぐに熱傷を負うことはないが、それでも長居に良いことは一つもない。今はただ雷の飛来する方向へ駆け抜けていくのみで、その軌跡はじゃらじゃらと引き摺る鎖「シェンヌ・ダルジャン」によって地に刻まれていく。
 十字架と鎖がベルカの生命線だ。雷は眼上に高く飛翔したかと思えば、執拗に痛めつけるべくベルカのいる集落にもまだ降り注いでいた。カッと空が黄金に輝いて、砲弾の如き衝撃がベルカに襲い来る。
「――っ!」
 落雷の瞬間は見る世界、聴く世界の全てが雷に染まっていた。ベルカは衝撃で弾き飛ばされないよう両足を地に付け踏ん張って、十字架の先端に雷を受ける。面ではなく点で受ける技術は猟兵の技能として養われたもの。その困難を成し遂げなければならぬ理由は雷の通り道にある。
 莫大な電気エネルギーは先端より交差点に辿り着き十字に広がろうとするが、その途中には地表まで繋がった鎖があった。わざわざ地に跡をつけ、抵抗を感じながら鎖を引き摺ってきたのは雷の逃げ道を確保するため。雷の本流は行き先の広大な鎖へと移って地表に吸われていく。
 それでも鎖の容量を超えてしまって流れ込み損ねた電撃が手元をびりっと弾きはしたが、ベルカは用心深く電撃と環境への耐性に結界を重ね掛けして痛みを凌いでいた。
(結構な「ご挨拶」でしたが……大丈夫、まだいけます。私だって、少しは頑張っているところを見せませんと――)
 雷を受け流す感覚は今の一撃で凡そ掴めた。ベルカは再び走り出し、さらに降りかかる雷の雨に向けては十字架を薙ぎ上げ弾くように受け止める。鎖は蛇行して激しく揺らいだが地との繋がりは決して切らすことなく、ベルカの辿った道をなぞっていった。
 そうして火の手と共に舞い上がってくる火の粉がようやく薄らいでくると、見えてくる駄菓子屋商店街。雷が止むことは無いが、要塞化している分だけ商店は持ちこたえており、有事の際の武器庫状態となった店頭にはずらりと駄菓子武器が並ぶ。
 かの大戦ではあまり触れる機会の無かった物達に目移りしそうになるが――行く先の、強固に組み換えられた大商店の屋根にふと影を見て。
「見つけました♪」
 影が手にした武器より迸った雷を、ベルカは高々と打ち上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サカマキ・ダブルナイン
【SPD】
よりによって雷じゃと!?雷は精密機器の天敵じゃとあれ程!!
他にも地震とか火事とか親父とか……いや何か間違っとるなこれ。

さてさて、ボケはこの辺で……改めて確認すると凄い状況じゃな、雷雨ってそういうことじゃなくない?
待てば止む訳でもなかろう、ここは突っ切るとするのじゃ。

ならば!
じゃーん、「99式ファンビット」〜。
目一杯に開いたこやつを投げ上げて……行くぞよ。
ビットを頭上で高速回転&フルスピードでダッシュじゃ!!

ちょっとばかし面積は心配じゃが、即席の傘という訳じゃな。最悪当たっても痺れるくらいじゃ、軽微なエラーの一つや二つで止まりはせぬ。
【悪路走破】を試みて、最短ルートで突っ切るぞよ!



●サカマキのトリセツ
 少しは見知った間柄じゃし、何卒――そんなやりとりもあったかなかったか。ともあれグリモア猟兵は依頼に参加する猟兵が望めばある程度の融通は利かしてくれるのであり、サカマキ・ダブルナイン(ロボ巫女きつねのお通りじゃ!!!・f31088)はまだ被害の少ない土地に転送されていた。
 遠く見えるは目が眩むような閃光の群れ。轟く雷鳴は光に遅れてやってくるが、ドンドンガラガラと矢鱈自己主張が強い。
「『そうは言っても駄菓子武器じゃろ?』と思った先刻のわらわの間抜けえぇぇ! よりに! よって! 本物の! 雷じゃし!! 雷は精密機器の天敵じゃとあれ程!!」
 サカマキとは繊細なのである。しかし今更やっぱり帰る、とは言えない。
「ぐぬぬ……もしや他にも、地震とか火事とか親父とかが大量発生しとるんじゃなかろうな!? ……いや何か間違っとるなこれ」
 四大脅威として雷と共にまことしやかに語られるそれらは――実は、火事に於いては駄菓子屋商店街を挟んでサカマキと真逆の地にて副次的に大量発生しているのだが――今のところ、サカマキの在る地には現れていない。ふと冷静さを取り戻し、サカマキは改めて頭上に広がる空を見渡す。
 稲光の筋は幾重にも重なって走り、地上へと叩きつけられている。雷垂れて地を穿つ。しかし雷雨とは本来「雷と雨」を意味するのであり、
「それにしても凄まじい状況じゃな、雷雨ってそういうことじゃなくない?」
 雷の雨をもう少し漢語的に表現するにはどうすればよいのか、サカマキは些か頭を悩ませる。
「……まあ、待てば止むわけでもなかろう、ここは突っ切るとするのじゃ」
 致し方なし、と腹を括るサカマキ。それでも雷の雨を乗り切るための手段を全く用意していないわけではない。
「こんな時は……これじゃな!」
 取り出したるは回転式の扇型斬撃ビット。その名も、
「『99式ファンビット』~」
 サカマキがつけた声の調子はいつかどこかで見たアニメか何かの――ともかく、今は記憶を念入りに掘り起こしている暇は無く、サカマキは自身のAIとリンクさせたビットをぎゅるぎゅると高速回転させて頭上に添えた。残像は薄ら傘を作るが刹那的に見れば何処かには穴が開いているのであり、心許なさは残る。しかし背に腹は代えられぬ、後は己の突破力を信じるのみ、と、サカマキはいよいよ飛び出した。
 雷の雨が降る地とはお化け屋敷のような突然の恐怖に満ちていた。一面が瓦礫ばかりというのも一因だが、雷は雨となるが雨のように素直な落下軌跡を描かず、宙を自由気ままに走っては、ふとした瞬間にサカマキにちょっかいをかけてくる。
 ばりんと空気層を割って突っ込んできた雷は明後日の方向から急激に向きを変えてサカマキの頭上へと――。
「ふぉっ!?」
 傘の空隙を突いた一瞬の飛雷。先端が傘の下でぱりっと弾けて視界が真白の光に染まった。高性能カメラアイがまさかのショートか、とサカマキは冷え冷えしたが、次の瞬間にはまた視界が戻って事なきを得る。回転するビットが後続を断ち、被害は最小限に抑えられたようだ。
「自らが招いたこととは言え、こんなところで寿命を削るわけにはいかぬのじゃ……! 斯くなる上は――」
 進路を選ぶなどという贅沢は言っていられない。サカマキは雷の降るほうへ向きを変え、途上にある瓦礫の山に突っ込んでいく。二点を結ぶ直線が最短ルート。少々道が悪かろうが構わず足を振り下ろして踏み込んだ。崩れる瓦礫も何のその。崩れる前に反対の足で次の足場を踏み、さらに次へと踏み出していけば――落ちぬとされる机上の空論。それを捻じ曲げた悪路走法でサカマキはあたかも平地の如く、崩壊した集落を突破した。

 止まぬなら、止ませてみせよう――。辿り着いた駄菓子屋商店街は骸魂に呑まれた者達も蠢いているが、サカマキは駆け抜ける内に一際巨大な駄菓子商店へと到達していた。
「……ぬ、先客も居れば、この商店街の主も居ると見たぞよ!」
 そこに居たのは空駆ける雷にも似た金色の髪を持つ、見る者が見ればひたすら癪に障る少女の姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『獄卒ガール『ライカヒメ』』

POW   :    これがほしいんでしょ~?
自身が装備する【電撃わたあめ】から【激痛の走るバチバチ電撃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【『ライカヒメ』しか見えなくなる精神支配】の状態異常を与える。
SPD   :    イラッとしちゃったら、どうするのぉ~?
【相手を小馬鹿にした言動を続けた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    オシオキ、こわ~い❤
【敵からのオシオキを期待するオーラ】を放ち、命中した敵を【オシオキの使命感から生じる獄炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【敵からのオシオキの意思を体感】していると威力アップ。

イラスト:もち也

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロザリア・ムーンドロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●イライラにご用心
 集まってきた猟兵達を前に、ライカヒメは目をにんまりと細めて笑う。
「アタシに怒ってる~? そうだとしたら……アタシをどうしたいの~?」
 線の細い体躯を抱きすくめ、恐怖に慄くかと思えばそうでもなく。むしろ楽しんでいる節さえある。相手の望みを叶える振りをして、手のひらを返すのがここ最近のお気に入り。
 ライカヒメは悪戯娘――しかし我を忘れてはいけない。それこそが彼女の思う壺なのだから。
サカマキ・ダブルナイン
そりゃあ怒っとるわ!!どうしたいかって懲らしめたいわ!!!
辺り一面雷で滅茶苦茶にしおって、被害は出るわ肝は冷えるわで大迷惑じゃ!

……ええい、同じ土俵に立っては思う壺じゃな。ならば怒りはここまでじゃ!

……「炎熱狐」起動、感情プログラム停止。戦闘準備を開始します。
敵対存在の武装を確認、データ照合……事前情報と一致、駄菓子兵器「電撃わたあめ」と断定。

駄菓子兵器の一時貸与は許可されています……電撃わたあめを装備。当機は同型武装による戦闘を実行します。

『99式完全攻勢』発動、高速戦闘モード移行。
高速接近と共に電撃わたあめによる打撃を実行、挑発による自己強化の妨害、及び電撃による【属性攻撃】を行います。



●感情論理の埒外に在る者
 右手で電撃わたあめをふりふりと揺らしながら、左手はくるくると細長い髪先を弄ぶ。猟兵達への興味をちらりと覗かせたかと思えば、視線は全くの虚空に投げかけられて見向きもしない。
 サカマキの怒りは限界点を越えていた。吐き出さねば焼き切れてしまいそうな程に思考が熱い。
「そりゃあ怒っとるわ!! どうしたいかって懲らしめたいわ!!! 辺り一面雷で滅茶苦茶にしおって、被害は出るわ肝は冷えるわで大迷惑じゃ!!!」
「あっ❤ やっぱりぃ~? ふふっ、でもでもぉ、雷が降ったくらいで滅茶苦茶だなんて、だっらしなぁい」
「おぬし! あの雷の雨の中を走ってその台詞、もう一遍言ってみせぃ!!」
 ライカヒメの他人を小馬鹿にする態度は留まるところを知らない。サカマキの怒りは燃え盛る一方で、しかし何を叫んでもライカヒメは全く堪えず涼しい顔をして笑っている。
 彼女への罵倒に意味は無い――怒る中でも、サカマキは薄々感づいていた。だが冷静が激情に流される例は世を見ればごまんとある。人の情緒に一度起こった荒波はそう簡単には収まらないのだ――が。
「……ええい、同じ土俵に立っては思う壺じゃな。ならば怒りはここまでじゃ!」
 晴れ空に突如雷の雨が降ったように、サカマキの感情は突然の凪を迎えた。硬く握られていた肉球にふわっと弾力が戻り、力みに力んだ顔がまるで氷水に漬け込まれたような無表情に早変わる。
「『炎熱狐』起動……感情プログラムの停止を検知しました。システムは正常です。これより戦闘準備を開始します」
「なぁに? 急に。……もしかして、本気で怒り過ぎて壊れちゃった?」
 態度を豹変させたサカマキの異変。その意味をライカヒメは知らない。サカマキは視線を寸分の狂い無く左右に水平移動させ、戦場をスキャンする。
「敵対存在の武装を確認、データ照合……事前情報と一致、駄菓子兵器『電撃わたあめ』と断定。同型武装を保有する店舗を検索……視認可能範囲に八件存在。何れも利用可能状態です。一時借用認証……完了しました。当機は同型武装による戦闘を実行します」
 時に人を狂わす枷となる感情の一切を一時的に停止したサカマキは、言うや最近の駄菓子屋武器庫に直行すると、店頭に並ぶ電撃わたあめの一つ――白いわたに、紅を閉じ込めた飴を散らせたものを手にし、とんぼ返りでライカヒメの左側方へ突っ込んでいく。
 ライカヒメのへらへらした笑い顔はサカマキが視界から飛び出していった一瞬で固まり、続け様、冷たい敵意を感じて強張っていた。向けられる敵意はそれを踏み躙って咽び泣く様を見られてこそ快楽なのであり、プログラム処理の結果としてしか存在し得ないサカマキの敵意は、ライカヒメにとっては思わず吐き出したくなるほどに不味い。
「アンタほんとにイカれて――っ!?」
 サカマキが懐深くに潜り込んで、電撃わたあめを振り上げようとしていた。ライカヒメはその身を少しでも遠ざけるように跳びつつ向き直りながら電撃わたあめを振り下ろし、サカマキの打撃に合わせにいく。だがその瞬間にサカマキの電脳思考はきゅるんと処理を更新して、再度ライカヒメの左側方へ回り込み拒絶した。
 99式完全攻勢(ダブルナイン・フルオフェンス)の発動により変身する高速戦闘モードは、僅かではあるが命を削る状態だ。一介のオブリビオンでしかないライカヒメが今のサカマキの反応速度を凌駕するには、準備となる嘲笑が足りていない。感情の停止という常人ならざる対応を見せたサカマキにキャラクターを崩されていれば尚更で、ライカヒメの振り下ろす電撃わたあめは中途半端に空を切る。
 そして紅白が融合し薄桃色の電撃を発するサカマキのわたあめは、ライカヒメの回転と共に翻ったジャケットの内側、これ見よがしに露出した脇腹へと打ち据えられた。
「ひゃぎぃっ!?」
 刹那に走った電撃で金色のツインテールが反発するように跳ね上がる。自らも手にしていたはずの電撃わたあめの味は頗る辛く、全身を茨で縛り付けられたような疼痛に悲鳴する。ライカヒメは時にオシオキを待ちこそすれど、受けたがるほど被虐的ではなく――むしろ加虐嗜好ですらある。
 必然、顔に浮かぶのは苦悶だ。
「ぅぐ……」
 ふらつく足元をどうにか堪えて、ライカヒメは打たれた脇腹を押さえた。瑞々しかった玉肌は電撃に強か焼かれてざらつき、黒く変色を起こしている。
「武装の動作状況、良好と判断。敵対存在の損傷は規定値を上回っています」
「……やめなさいよ……その喋り方ぁ!」
 淡々と処理結果を述べるサカマキに声を荒げるライカヒメ。冷と熱はいつしか逆転してしまっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて。霹靂に乗ったまま

やれ、やっとついたか。結界はそのままにしておこう。
…ああいう手合いは、まともに相手するのはやめておいた方がよいか(短気だが、勤めて冷静に)
ん?陰海月、どこに…?(影から出て、駄菓子屋に入る陰海月)

さて、その行動を長く続けさせるわけにはいかんな。
霹靂、突撃である。…避けられようが、構わぬよ。
避けた先に、陰海月がおるからな。そちらに目線はやらぬしな?気づかせるものかよ。


陰海月、勝手知ったる駄菓子屋で駄菓子兵器『ポン菓子ガトリング』見つけた。
もちろん、持ってきてぶっぱなす。雷怖かった!
霹靂、陰海月のことを必死に気づかないふり。勘づかれるものか!



●食いつく怒りは針の味
 ライカヒメの息が荒い。強烈な電撃を受けたことに加えて望まない抗議の罵倒を繰り返し、体力を消耗しているようだ。
 義透は霹靂に騎乗を続け、結界を維持したまま空を駆け下りてくる。義透を前にしていつまでも恥は晒していられないのか、ライカヒメは、ふん、とまた強がってニヤニヤ笑みを湛えた。
「オ・ジ・サ・ン❤ 薄汚い獣に跨っちゃって、何してるのぉ~? ……あ、もしかして、もう足腰立たないよわよわおじいちゃんだったり~?」
「……わしのみならず、霹靂をも愚弄するか……」
 明らかな挑発。短気と自認する義透も自らのことであればぐっと怒りを飲み込めた。しかし友たる霹靂までも馬鹿にされ、俯き肩を震わせる。
 耐えねばならぬ辛い時間だ。怒りはある。それはどうあがいたって無くすことはできず、そして怒らなければ友への親愛が嘘になる。怒りはあるが、我を忘れるな――それだけを心に反芻し、義透はじっと耐えていた。
「反論できないのぉ~? 図星だったぁ? おじいちゃん、帰り道がわからなかったらぁ、アタシが天国まで送ってあげる~!」
 言うや跳ぶ。ライカヒメは電撃わたあめを空へ振りかぶって義透と霹靂へ突っ込んできた。
「……霹靂、突撃である」
 静かな指示に籠った感情を、霹靂は高らかな咆哮で代弁して、頭を低く落とし駆け出す。駿馬の如き加速力でトップスピードに乗った霹靂に、対するライカヒメは一歩も退かない。
 真っ向勝負。振り下ろされる電撃わたあめに霹靂の頭突きがどすんと直撃し、反発するように弾かれた。ばちばちと飴から電撃が迸ったが、義透の結界が電撃を防いでいる。
「シールドぉ? なっさけな~い。でも仕方ないかぁ、よわよわおじいちゃんは、そうでもしないと戦えないもんね~」
「好きに言わせておけばよい……霹靂よ、決して『気付かせるでない』ぞ?」
 霹靂は翼を目一杯に広げてクエエと鳴き、そのままばさばさと、あたかも飛び立つかのように翼を羽ばたかせながらライカヒメへの突進を再び繰り出す。その身を大きく見せようとしているかのような行動、ライカヒメには怒りと見えて。
「あはっ、おバカな獣が釣れちゃった~❤」
 クエエエッ! 怒る。怒りを見せる霹靂。それでよい、と義透は胸の内で呟いていた。怒りを餌にしているうちは――もう一体には気付かない。
 結界が張ってあると知ったライカヒメは打ち破るための力を溜めるべく時間稼ぎの策に出る。義透と霹靂への罵倒を続けながら突進を回避。霹靂の突進は直線的で見切りやすく、ライカヒメはわざわざスレスレで躱して怒りを煽る。
「ざぁこ、ざぁこ、鳥頭~」
「……鳥に知恵比べで負かされる屈辱、確と味わうがよい」
 義透がついに口を開いたが、ライカヒメにはその意味が汲み取れない。ニヤニヤ笑みを続けていたが、次の瞬間、ぽぽぽんと軽い発砲音が聞こえ、同時にぺぺぺんとライカヒメの尻に細かく鞭打つ激痛が走った。
「ぃたっ!? いたぁい!! 何――」
 ライカヒメが振り向いた先にいたのはミズクラゲの陰海月。ひっそりと義透の影を抜け出し、武器庫状態の駄菓子屋から駄菓子兵器「ポン菓子ガトリング」を発掘してきたのだ。それをライカヒメに向け放つ様は特攻兵のように勇ましい。義透の怒り、霹靂の怒り、そして震えることしかできなかった雷のお返しに、弾が尽きるまでライカヒメを狙い撃った。
「また変な――いたっ! やだぁ!!」
 ポン菓子ガトリングは連射力がある。ライカヒメがどこへ逃げようとも、陰海月はひたすら追いかけ回して銃口を向けた。細かいポン菓子がぺしぺしとライカヒメの肌に命中して赤い斑点が広がっていく。
「鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしておるな……いや、これでは鳩に申し訳ないか」
 鳥を馬鹿にして囮に泣いた。陰海月の復讐劇はこうして果たされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
えぇ怒っていますよ
貴女は私より年上なんですから
私にとってのお手本となるような言動をしていただきたいと思っています
え?年下に見えない?
心外です。去年に七五三を行った正真正銘の8歳児です
まずは人を疑うその性格から正していきましょう
(『電撃耐性』の『オーラ防御』を行いながら『衝撃波』を使ったダッシュで一気に詰め寄りUC【蠱の枷】で捕縛を試みる)
辛いですか?私も辛いです。踊れないので
でもこうして辛さを共有することで
説教に愛がこもるというものです
貴女が本当に反省するまで何時間でもお付き合いさせていただきます



●できぬ子ほど愛を持って叱るべし
「あなたは先程『怒っているか?』と聞きましたね? えぇ、怒っていますよ」
「ふ、ふ~ん……怒ってるんだぁ…………」
 ライカヒメは肩を上下させながらクロリアを見遣る。口から溢れ出ていた罵詈雑言はやや鳴りを潜め、蓄積するダメージがライカヒメから余裕を奪っていた。
「貴女は私より年上なんですから、私にとってのお手本となるような言動をしていただきたいと思っています」
「……へっ? ……嘘でしょ? そんな体で――」
「年下に見えませんか? 心外ですね、去年に七五三を行った、正真正銘の八歳児です。まずは人を疑うその性格から正していきましょう」
 クロリアは足元に衝撃の渦を溜め込むと、一気に解き放って飛び出した。出足は紛う事無きスプリンターで、トップスピードに乗るや一瞬で間を詰めた。
 クロリアの腕がライカヒメの頭上に伸びてくる。包み込むような捕縛術だ。ライカヒメからすればクロリアは巨人の部類。すでにクロリアの影はライカヒメを飲み込んでいたが、その中でライカヒメは必死の抵抗、電撃わたあめを喉元狙って振り上げていた。
「捕ま、るっ……もの――!?」
 迸る電撃がクロリアに触れた、かに見えたが、電撃とクロリアを薄膜が遮り接触を防いでいた。表面を電撃が駆け抜ける度に明滅するオーラの膜は電撃耐性をコーティング済みで、電撃はライカヒメを包み込まんとするクロリアの腕の中を煌びやかに光らせながら発散する。
 接触の瞬間まで存在を悟らせなかったオーラ創造技術はこれまで、クロリアが積み重ねてきた鍛錬と実戦経験の双方が揃って初めて為せる業だった。存在を知ってさえいればライカヒメもマシな抵抗ができただろうが――。
 がしっとクロリアに抱きすくめられたライカヒメ。腕の中で力任せに反らされた体からは気力と体力が流れ出し、全身を拘束具へと変えたクロリアに吸い取られていく。
 無敵であり不動。拘束具の性質を存分に活かす特性を備えたクロリアは、腕の中でもがこうとするライカヒメに囁きかける。
「辛いですか?」
「つら……っく…………いやあ……ぁぁ……」
「私も辛いです。踊れないので。……でも、こうして辛さを共有することで、説教に愛がこもるというものです。貴女が本当に反省するまで、何時間でもお付き合いさせていただきます」
「なん……っがっ……やめっ……やめ、て…………」
 か細い声が返ってきたが、「反省しましたか?」と問うと、何の意地か知らぬがライカヒメは沈黙を貫く。しかし意地の張り合いは明らかにクロリアに分があって、ライカヒメは干物に変わりつつあるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
○テイクアウト・ライカヒメ
イライラはせず《選択UC》を発動して、ニコニコしています
こういう娘を『わからせ』るのは、ちょっとした趣味みたいなものですし、ね?

駄菓子ブキは『ヨーグルとりもち』を借りて【捕縛】して
【武器落とし】で、ライカヒメの持つ電撃わたあめを【盗み】ます

「『オシオキ』を、されたいんですよね? 『お仕置き』ではなく」
このニュアンスの違いは、結構大事なのですよね。
後者はお説教や指導といった、正しい意味での躾という側面がありますけど
前者は……♪

「じゃあ、聖。お願いしますね♪」

『オシオキ』をの本番をするために
骸魂が抜けた『悪戯娘』は、お持ち帰りしちゃいます。

お持ち帰り後に、どんなオシオキをするかを
一つ一つストレートな表現で教えていきます。

ぼかして言うと
お色気的な意味で【鎧砕き】してから【串刺し】にして【零距離射撃】と
技能を駆使して「私のモノにする」という宣告です。

ちゃんと『わからせ』てあげます♪


咲櫻・聖
○テイクアウト・ライカヒメ
ベルカの望みをかなえるために、目の前の敵を救済するよ

特にライカヒメに対して、オシオキをしようという感情は、当人にはなく
愛する主であるベルカ(f10622)の望みのままに
指定UCで、ライカヒメの骸魂だけを斬り伏せるために
自慢の長い髪を念動力で動かしながら、扱うのは四振りの小太刀
残像を生み出しながら、切り込みをかけるよ

念のために、こちらに飛ばされた雷撃は、小太刀を振って発生させた衝撃波で打ち消したり
抜けて来たものは、結界術で弾くね

私のユーベルコードは、骸魂だけを斬り伏せる技
だから、服も肉体も関係ない鎧無視攻撃だよ

「ベルカのために、骸魂は骸の海に還すね」

ベルカの望む事を完遂したから、帰ったらいっぱい『ご褒美』を貰うね
そんなことを考える聖の耳と尻尾は、ぴこぴこと、ご機嫌そうに揺れます



●オシオキの意味は重い
 生命の一切を吸い取らんとする捕縛からどうやって抜け出したのか、ライカヒメ自身、記憶が定かではないが――髪の艶を失い、見た目にも痩せこけたライカヒメは糸一本程度の、風が吹けば切れてしまいそうな命をギリギリのところで繋ぎとめていた。
 強情さが仇となった格好だが、全てはライカヒメ本人のせいなので弁護の余地は無い。
「もう皆さんにすっかり『お仕置き』されて……いい感じに仕上がってますね。皆さんの『お仕置き』は『お仕置き』という意味で素晴らしい『お仕置き』でしたから――」
「ベルカ、『お仕置き』がゲシュタルト崩壊してるよ」
 駄菓子屋商店街にてベルカと合流した咲櫻・聖(ただ一人のために咲く桜・f31025)の耳にはすでにタコができそうだった。平易な四文字の言葉だが、こう熱く語られることもそうそうあるまい。
 ライカヒメとの遭遇は他の猟兵達と共に早い段階であったはずのベルカだが、出番を譲ってこの時を待っていたのは二つの理由に依る。まずは駄菓子兵器「ヨーグルとりもち」の確保。いくつか武器庫を見て回り確保したそれは拘束具として役に立つ。
 そしてもう一つの理由は、聖を待つため。他の猟兵は致し方ないが、ベルカ自身は取り立ててライカヒメを傷つけたいわけではない。だがそれではライカヒメの体から骸魂を取り除くことができない。ならばどうするか。
 全ての桜の精がそうと言うわけではないが、聖は「対象の肉体を傷つけず骸魂のみを攻撃する」という器用なユーベルコードを会得していた。本来はサクラミラージュと呼ばれる世界に存在するオブリビオン「影朧」を転生させるための癒しの力。根底は異なるが、一括りに「オブリビオン」と呼ばれる存在ならば応用が利くのではないか――探求心の果てに辿り着いた答えだった。
「ぁ……ぁは……アンタ達、アタシに……『オシオキ』、したいわけ……?」
「……ベルカ、通訳をお願い」
「あの子が言うのは、他の皆さんとは違う『オシオキ』のことですよー?」
「ああ……そういう意味での『オシオキ』に関する感情はないよ。わたしは、愛する主であるベルカのためにこの力を使うだけ。全てはベルカの望みのままに」
 ライカヒメの体からは言葉に合わせて薄ぼけたオーラが放たれていたが、ベルカへの心酔と恋慕の情で満たされている聖は平気な顔をして自慢の長い髪を操り、するりするりと小太刀を抜いていく。染井吉野、寒緋桜、枝垂桜、大島桜――聖という存在を象徴するかのように、四振り全てに桜の名が冠されている。
 そしてベルカだが、小さくライカヒメを指差して炎の槍を背後に従えながら、ニコニコ笑顔でやはり意に介していない様子。
「私はむしろ、あなたの望みのままに……『オシオキ』を、されたいんですよね? 『お仕置き』ではなく」
 音は同じだが、微妙なアクセントだったり文脈におけるニュアンスだったりでこの二つは明確に区別されなければならない。無論それはライカヒメも認識している、との前提でベルカは最終確認。
「そ……う、よ……で、きる……もの、なら……!」
「はい、了承を得ましたので――」
 息も絶え絶えのライカヒメだが全ては公認の下に行われる。ベルカはすかさずヨーグルとりもちを巨大ベラに練り取って投擲した。白く粘性のある半固体状の物体はヘラより一直線に伸びて、ライカヒメが振りかざさんとする右手へ向かう。
 雷が走り戦場を駆け抜ける――より先に、白色物体はべちんとライカヒメの電撃わたあめを空へ弾き出した。そのまま後続がねっとりと絡みつきながらライカヒメの体を捕縛しつつ、ベルカは二刀流でヘラを操り、飛んでいった電撃わたあめをもキャッチ。
「下ごしらえは完了です。じゃあ、聖。お願いしますね♪」
「ん」
 ベルカの合図に聖は短く応えて疾駆する。残像が広がって四振りが八振り、八振りが十六振りと増えていき、きゅっと窄まって絡め取られたライカヒメに向かっていく。
「~~~!!」
 口までべっとり封じられて、見開かれるライカヒメの瞳は細切れにされる自分を見たか――だがそれは正しくない。
 聖の刃は骸魂「のみ」を斬り伏せる。即ちその他の一切を無視するのであり、ライカヒメがいくらとりもちに憑りつかれていようが関係は無く、ライカヒメという実体さえ意味がない。
 聖本人と三つの残像が流星群の如くライカヒメの左右を流れていって、全身に浴びせかけられた都合十六の斬撃に抉りだされた骸魂がふわんと聖の手の中に落ちてくる。
「ベルカのために、骸魂は骸の海に還すね」
 柔らかく握ると骸魂はほろほろと雪のように崩れ溶けていき、後に残るのはとりもち塗れの小さな妖怪。骸魂が抜けた衝撃で気絶してしまったようで、ベルカがへらをくるくると回してとりもちごと回収にかかっていた。
「ベルカ、わたし、ちゃんとできたよね?」
「はい。お呼び立てしてしまったことも含めて、いっぱいご褒美をあげますからねー」
「ふふ……楽しみ……」
 聖はベルカと同じようにニコニコ笑顔になって、ぴこぴこ耳と尻尾を揺らす。ベルカは妖怪の少女をお姫様のように抱きかかえてゆっくりじっくりとりもちを剥がしながら、その耳にこれからどんな「オシオキ」をするかを強烈な表現で囁いて、夢見から「わからせ」始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月04日


挿絵イラスト