アブラカラメマシマシ、ニンニク入れますか?
#シルバーレイン
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●ニンニク入れますか?
そこはもはや異空間。
券売機で何かを買った男たちは何もしゃべらずにカウンター席に腰掛ける。
詠唱が……始まった。
「アブラヤサイマシマシ」
「ニンニクヌキ、カラメマシ」
「ゼンマシマシチョモランマ」
「ショートソイオールミルクアドリストレットショットノンシロップチョコレートソースアドホイップフルリーフチャイラテ」
直後、二本の木の棒が空を切り裂き一人の目を貫き、脳を破壊した。
「ウチはラーメン屋だよ!」
気風のいい女店主の言葉にカウンターに座ったもの、立って順番を待っていたものが歓声をあげる。
ここはもはや異空間。
豚骨ベースの醤油ラーメンが正義のサバトの箱庭。
「ニンニク入れますか?」
今日もリリス化したオブリビオンが切り盛りしているラーメン屋に魔法の言葉が響いた。
●コショウ入れますか?
発泡スチロールの容器にヤカンを傾ける。
熱湯に油で揚げられた麺を沈め、蓋をして三分。
「そんなわけでですね」
グリモア猟兵、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)はカップ麺を啜りながら皆へと話しかけた。
「今回はリリス化したオブリビオンを退治するためにある特定のジャンルを確立したラーメンを研究し、オブリビオンが作り上げるラーメンを完食し、そして打ち倒してください」
麺は全て胃の中、スープは半分残す。残念だが、アラサーのグリモア猟兵に若さは無かった。
「おめー何言ってるんだって思ってるでしょう? 俺も思ってる。けれど、今回はよろしくない。彼女……暫定的に彼女としておきますが、人間の三大欲求の一つである食を追求し、人々の胃袋を誘惑し、そしてシンパへと変えていく――その結果生まれるであろうものは邪悪な儀式、サバト」
眼鏡の位置を直し、影郎は猟兵達を見回す。
「過程はどうあれ、サバトを行われれば多数の命が失われ、オブリビオンは力を得ます……ラーメンで死にたいと思う人はいるでしょうが、流石にこれで死んじゃうのはよろしくないですよ、ね?」
目の前に広げられるのは。とあるラーメン激戦区の地図。
ここが戦いの場。
「オブリビオンが切り盛りしている店は地図に載っていませんが、この辺りにあります」
そこへグリモア猟兵はマジックで地図の中心に赤丸を書いた。
「ですが、特殊な空間にそれは存在し、選ばれた者しか入ることは出来ません」
次に地図に点を打つ、そこに有るのは特定のジャンルと化した超濃厚豚骨醤油のラーメン屋ばかり。
「そんな訳で皆さんには、リリスがやっているラーメンのジャンルを研究し、胃袋に自信あれば実地で勉強してきてください。これが作戦の第一段階」
今度はキャップを被せたマジックで赤丸をつつく。
「次はこの特殊空間に入り込み、オブリビオンの出すラーメンを攻略してください。毒は有りませんが脂と量はあります。これが第二段階」
さらに影郎は話を続ける。
「そこまでして、やっと戦闘です。リリス化したオブリビオンはその能力を存分に使い戦ってきます。ユーベルコードと……腹への攻撃に注意してください、お腹いっぱいの身では厳しいと思います」
掲げるは円筒が回転し、グリモアが道を作る。
遠く離れた銀の雨の世界。
その向こうからは美味しそうな匂いが漂ってきた。
「俺と違って君達は若く、脂に負けることはない……きっと食べきれると信じてる」
スープが半分残ったカップ麺は、戦うことが出来ず見守るだけのグリモア猟兵の悲哀。
全ては猟兵の胃袋に託された。
みなさわ
シナリオの構成は家系ラーメンを食べながら練ってました。
こんにちは、みなさわです。
今回はネタ依頼です、ラーメン食べようぜ!
●舞台
ある『特定のジャンル』のラーメンがひしめき合う激戦区。
元祖のチェーン店やインスパイアされた店が並んでおります。
●行動
今回の行動は以下のようになっております。
第一章:『特定のジャンル』のラーメンへの知識の吸収や実地体験。
第二章:特殊空間にて出されるラーメンの攻略。
第三章:リリス化オブリビオンの無力化。
今回は一章でラーメンを食べた影響が二章で反映されます。
技能で切り抜けるのもより、胃袋にハンデを抱えてトライしてもよし。
完食できたら何故ラーメン作っているか、その真相を聞けるかもしれません。
ちなみに三章ではラーメンを食べたことで戦闘に悪影響は有りません。ありませんけど……お腹を強く叩くと、きついですよね?
勿論、第一章だけ参加してラーメン食べながら旧交を温め合うのも良いかもしれません。
(量とかちょっと……多いと思いますが)
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
それでは皆様、良きラーメンライフをお過ごしください。
ところで……ニンニク入れますか?
第1章 日常
『勉強会をしよう』
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POW : 気合いと根性で頭に知識を詰め込む
SPD : 効率の良い勉強法を編み出す
WIZ : 自分の得意分野を誰かに教える
イラスト:十姉妹
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●私をリリスへ連れて行って
人々は噂する。
その店の看板は黄色に黒文字だと。
人々は噂する。
そこは食券制だと。
だが、それだけでは足りない。
調べるのだ、ラーメンを。
グリモア猟兵の予知にあった呪文の正体を。
そこでどんなラーメンが出されているのか。
ここはラーメン激戦区、背脂三丁目。
何かに影響を受けたように皆、同じようなラーメンを作っている。
君達猟兵は、行列待ちの客から話を聞くのも良い。
それとも……敢えて食べることで実態を知るのもよいだろう。
必要な情報は呪文のような言葉の正体とラーメンの特徴。
この二つだ。
では……ニンニク入れますか?
アノルルイ・ブラエニオン
牛丼・カレー・そしてラーメン等の庶民グルメをこよなく愛する私はこの件に関しては必ず解決してみせると心に誓った
〜変なエルフの異世界飯〜
今回はシリアスだ
まずは情報を地道に集める
呪文が飛び交うラーメン店…
背脂三丁目…
黄色い看板に黒い文字…
食券制…
それらを元に
書店、図書館で
ラーメンの記事を片っ端から探すぞ
その辺のラーメン屋の行列に並んでいる人々に話を聞くのもいいだろう
実際に予知にあった呪文を聞かせてみてもいい
私が知っているのは…せいぜいが麺硬め・醤油濃いめ・ネギ大盛りくらいのもの
どれもラーメンの能力にエンハンスをする物だが、この度のものはそのどれとも似ていない
文献調査と聞き込み、これを繰り返す
●ラーメン・ル・フェイ
溶けたラードの匂いが鼻をくすぐるアスファルトのジャングル背脂三丁目。
そこを歩くのは独りのエルフ。
牛丼・カレー・そしてラーメン。
現代日本において庶民的なグルメを愛する男の名はアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)。
今日も彼の旅が始まる。
〜変なエルフの異世界飯〜
第X話、背脂系こってりラーメン旅情。
エルフは悩んでいた。
麺硬め、醤油濃いめ、ネギ大盛り……彼が知るものが通用しないラーメンがあるという事に。
そもそも何故、ラーメン屋に呪文が飛び交うのか。
黒い文字で書かれた黄色い看板。
在りうるとは思うけれど、食券制。
背脂三丁目にある店はどれも同じような店だった。
――危険だ。
アノルルイは警戒する。
油断して横浜でライスと唐揚げを一緒に頼んだ時の悲劇を忘れてはいけない。
情報だ、情報が必要なのだ。
孤独なるエルフは迷わず本屋に飛び込んで『今年のベストラーメニスト2021』を手に取った。
「具が……キャベツともやし、そしてチャーシューだけだと!?」
アノルルイのカードが一枚使えなくなった。
そこにネギは無いのだ。
「トッピング……トッピングは!?」
次のページを開く。
そこには……
『ニンニク』
とだけ、書かれていた。
幸いにも醤油濃いめに近い要素としてカラメというキーワードを見つけたエルフ。
分かったのは独自の発展を遂げたラーメンだという事だ。
魔法使いが様々な術式を使う様に、吟遊詩人の歌が様々な物語の終わりを告げるように。
そこに有ったのはラーメンのガラパゴス。
横浜の家で学んだエンハンスは最早通用しないだろう。
「知る必要があるな」
迷うことは無い、アノルルイは行列に向かって走り、そして問う。
「若者よ教えてくれ! アブラカラメマシマシとは?」
「アブラカラメマシマシか……!?」
問われた小太りな戦士は脂に汚れた眼鏡を光らせて、妖精に知恵を授ける。
「アブラは脂、つまり背脂の事。カラメはタレ、味を濃くする力がある。つまりアブラカラメマシマシとは……背脂をトッピングして、味を濃く、それを二倍量にするからマシマシなのだ」
「そうだったのか……」
アノルルイ・ブラエニオンはただ呟くしかなかった。
庶民のグルメにとって切っても切り離せないもの。
濃い味と油。
これをさらに味わえるという事は……。
「そうなると太るね、これ?」
エルフの言葉に小太りな男は満面の笑みを浮かべる。
そこに居たのは生き残った証に脂肪を手に入れた戦士だったのだから。
大成功
🔵🔵🔵
フレスベルク・メリアグレース
ラーメンですか
あれは良いパスタですよね……
この世界ではグルメ用のSNSアカウントを持っているので超濃厚豚骨醤油に挑む事を呟いて、行きましょう
銀誓館高等部の冬服を着ていきます
……並んで座ったのですけれど、皆様凄まじい量の野菜とチャーシューですね……事前に調べては起きましたが、実物を見ると驚きますね……
さて、わたくしは直接当たってラーメンの特徴と呪文を調べましょう
来ましたね……大分野菜と肉油が……
いえ、母様から残さず食べるよう言われてきたこの身、挑みます!
……これは中々いいですね。美味しかったです
(完食。それも良い所のお嬢様の様な華奢な外国人がにこやかな笑顔で空の丼に微笑みかけている)
●ラーメン・アラ・カチャトーラ
銀誓館学園高等部の制服を纏った少女が端末を指で操作しつつ、背脂三丁目を歩く。
「ラーメンですか、あれは良いパスタですよね……」
ちなみにラーメンの麺とパスタの違いはかん水の有無と言われるほど、近いのは最近のライフハックで知ることは多いだろう。
「折角ですから……」
行列の出来た店の一つを写真に撮り、SNSにアップ。
コメントは一言。
『ラーメンなう』
端末が震えだし、次々と通知が流れて来る。
『よせ』
『死ぬぞ』
『南無』
『ブタはダブルで挑むんだぞ』
様々なコメントが寄せられた。
心配する声、むしろ逆境へと進ませる言葉。
その全てを背負って、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は店へと足を踏み入れた。
「皆様凄まじい量の野菜とチャーシューですね……」
流石に初めての店だけにフレスベルクも驚きを隠せない。
「事前に調べては起きましたが、実物を見ると驚きますね……」
だが臆することは無かった。
「さて、わたくしは直接当たってラーメンの特徴と呪文を調べましょう」
正面から進むべきだと己が思えば、それが正道なのだから。
しかし正道を駆逐するかのように『それ』は置かれた。
それは野菜というには粗雑すぎ。
肉というには脂とスープに塗れ。
麺というには太すぎた。
「来ましたね……大分野菜と肉油が……」
あまりの迫力に元々言葉少なめな方であるフレスベルクが言葉を失う。
「いえ、母様から残さず食べるよう言われてきたこの身、挑みます!」
けれど退くことは無かった。
先に伝えた通り、それが正道なる道なのだから。
「……これは中々いいですね。美味しかったです」
空の丼をカウンターに置き微笑むと、少女は背を向ける。
これ以上の長居は無粋。
なぜなら、次の客が待っているのだから。
フレスベルク・メリアグレースは満腹感と引きかえに勝利を得た。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・つかさ
ああ……なるほど。知ってるわ、コレ。
極太麺と大盛野菜を始めとしたボリュームと濃厚な追加トッピングが特徴のラーメンね。
他の世界で食べた事あるけれど、看板デザインや注文ルールまでこうも似通ってるなんて、不思議だけれど面白いわ。
という訳で、早速食べに行く
適当な列に並び、店内から聞こえてくる呪文に耳を傾け
呪文の法則やルールが他世界と違いないか確認
問題なさそうなら軽めに「ヤサイマシニンニクマシアブラカラメ」で注文
(※圧倒的怪力故に燃費が非常に悪く、結果として超大食いという設定)
今のうちに味や麺バー(※同席者の意)と食べるペースの配分に慣れておく
本気で食べれば逆ロット崩しも容易いけれど、今は様子見だしね
●ラーメン羅刹つかささん
「ああ……なるほど。知ってるわ、コレ」
系列店の暖簾をくぐった荒谷・つかさ(焼き肉担当・f02032)は全てを知っていた。
食べたことがあるのだ、他の世界で。
故に異なる世界、銀の雨降る地においても同じような流れを辿るラーメンの存在に興味を隠せなかった。
呪文は最早、その手の内にあった。
過去に異世界にて知った故に。
法則は全て、知り尽くした。
幾度も食べたが故に。
世界間における相違は人々の言葉より導き出し、ラーメンと呼ばれることが少なく『それ』として扱われるものをカウンターに座ったつかさは唱える。
「ヤサイマシニンニクマシアブラカラメ」
知られざる世界が――開かれた。
山のように積まれた野菜。
頂上を染める雪のごとし大蒜。
そしてキャベツともやしに絡まりし、背脂とタレ。
その下に沈む、極太中加水ストレート麺。
理を理解した荒谷・つかさには最早、それは敵ではなかった。
けれど、まだ本気を出すわけには行かなかった。
怪力無双を誇るがゆえに多大なエネルギーを必要とするつかさといえど、この後に本当の戦いが控えているのだ。
今は様子見。
味と麺バー達の振る舞い、そして食べるペースに慣れる必要がある。
つまりはウォーミングアップ。
例え大食いでも代償は重いだろう、胃袋的に。
けれど、知らずに戦えば力尽きることは明白。
ここは腹を切って食べる選択を選ぶしかなかった。
……最も、そうでなくても食べているのだろうけど。
今はまだ雌伏の時。
逆ロット崩しを封印し、汁までしっかりと荒谷・つかさは完食した。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
リリスに会うには『特定のジャンル』のラーメンを研究する必要があると。
これはいい依頼ですね!
ラーメンを研究するならば、まずは食べないといけません。
しかし、こちらのラーメン店にはメニューらしきものは無いのですね……というか食券販売機のみと。
これは敷居が高いですね……
こんなときは先の注文に乗っかる形で「私も同じので」で行きましょう。
髪を後ろでまとめて、いざいただきます。
んー、量はあって食べごたえはあるんですけど、そのままでは一味足りないというか、パンチが足りませんね。
●黒木・摩那には何かが足りない
ラーメン屋が集う背脂三丁目。
その中心で目を輝かす女がいた。
女の名は黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
「リリスに会うには『特定のジャンル』のラーメンを研究する必要があると」
彼女の呟きには……
「これはいい依頼ですね!」
別の目的があるようにしか思えなかった……。
「ラーメンを研究するならば、まずは食べないといけません」
そして、その通りだった。
だが、難関があるらしい。
「しかし、こちらのラーメン店にはメニューらしきものは無いのですね……というか食券販売機のみと」
摩那にとっては食券の存在は難儀に思えた。
メニューが少ないのに加えて、オペレーションを簡略化するための食券制なのだが、こみにゅケーションを好む食いしん坊にはちと敷居が高い。
幸いにも先に注文した者がいる。
「私も同じので」
それに乗っかる形で摩那はコールした。
それはチャーシューというには分厚かった。
むしろ角煮、いや、角煮と呼ぶには脂が強い。
そう……ブタだ。
黒木・摩那が頼んだのはブタダブルヤサイマシ。
華奢な少女ともいえる食いしん坊18歳の目の前に置かれた者に、後ろで待っていた誰かが舌打ちする。
……時間がかかると思ったのだろう。
そんな舌打ちなど無視して、摩那は長い黒髪を後ろに纏め
「いざいただきます」
箸を手に取った。
「んー」
胃袋と引きかえに黒木・摩那はやや不満そうであった。
量は充分だった、食べ応えがあるものに出会ったのは久しぶりだった。
証拠に丼は空になっている。
だが、足りない。
何かが足りない。
舌に絡む脂やニンニクでは満たされない何かが一味……そうパンチが足りない。
「……あっ!」
気づいたのはポケットに入っていた物の存在。
――辛さだ。
大の辛党にとっては豚骨醤油と脂では満たされないエッセンス。
気づいた時には既に席を立つ時間。
名残惜しそうに振り向き、摩那は店を後にした。
……本番では辛さも求めようと。
大成功
🔵🔵🔵
エリー・マイヤー
アブラ、ヤサイ、ニンニク、ゼン。
マシ、ヌキ、カラメ。
一つ一つの単語を見れば、意味は分からなくもないです。
そしてそこから、呪文の内容も推測はできます。
カラメが絡めなのか辛めなのか今一自信が持てないですけど。
ゼンが全じゃなく膳とか禅だったらブチ切れますけど。
チョモランマ。これがわからない。
いえ、山の名前ってことはわかります。
恐らく山盛り的なサムシングの暗喩であろうことはわかるのです。
何故エベレストでもなく富士山でもなくチョモランマなのか。
これがわからない。
てことで答え合わせにスマホをポチポチしましょう。
ロットって何…ジロリアンって車か何か…?
天地返しって何の意味が…金髪の子かわいそう…
リリス怖ぁ…
●エリー・マイヤーのラーメン的思考
「アブラ、ヤサイ、ニンニク、ゼン」
暗闇の中からエリー・マイヤー(被造物・f29376)が呟き歩いてくる。
「マシ、ヌキ、カラメ」
彼女がいるのは背脂三丁目ではなく、とあるネカフェ。
戦いにおいて搦め手を好み、後衛からの援護を主とするエリーは実地調査でなく、情報収集を選択した。
知識は多い方が武器になる。
「一つ一つの単語を見れば、意味は分からなくもないです」
黙示録の黄昏のよりやって来た乙女は呪文を分解し一つの言葉として見る。
「そしてそこから、呪文の内容も推測はできます」
言語が解読できれば文法を紐づけることで意味は解けるだろう。
幸いにもこの地は現代日本。
UDCと同じ言語体系を持ち、流用することが可能だった。
「カラメが絡めなのか辛めなのか今一自信が持てないですけど」
そこは日本語って奴なので。
「ゼンが全じゃなく膳とか禅だったらブチ切れますけど」
大丈夫、ここはヒロアスじゃないので。
そんなこんなで解を導くフラスコの乙女。
だが、ある一節に思考が停まる。
「チョモランマ。これがわからない」
山の名前だということは分かる。
そこから山盛りという暗喩であることも見抜けた。
何故、チョモランマ?
有名な別名であるエベレストや富士山の方が分かりやすいのではないか?
そこでエリーは思索を止め、思考を続ける。
――幅広く情報を知る必要がある。
答えを得るためにその指は素早く携帯端末へと伸びた。
「うわぁ……」
エリー・マイヤーはドン引きした。
表情は崩れることは無い、だが漏れる言葉は明らかに引いていた。
「ロットって何?」
普通ラーメン屋で、製造管理に使う単位が出てくることは無い。
「車か何かなのかしら……?」
最早、此処へ集う集団はラーメンを食べるシステムなのかと疑うほど。
「天地返しって何の意味が……ああ、麺が伸びないようにするのね」
この辺りは理解したうえで……。
「リリス怖ぁ……」
フラスコの女は素直な感想を口にした。
人の欲望を弄ぶと聞いていたが、このような大盛のラーメンに対する欲望を司る淫魔など聞いたことがないのだから。
大体、ラーメンでどうやってサバトを行うのかも分からない。
少なくとも警戒の念は緩めるべきではないとエリーは心に決めた。
それに……まず食べきれるか分からないし……。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
疑似飲食機能に胃の容量は無関係
(みなさわMSシナリオ・「大狙撃峠」参照)
ですが問題は敵地の異空間…鋼の身に“胃”が生えても可笑しくないのです
ここで存分に情報を集めましょう
競う様に食べるのは回転率の為?
いえ、彼らは“戦っている”
己の満腹中枢と!
満腹だけでなく達成感に満ちたあの表情…あれも人気の一因なのでしょう
歴戦の強者達が唱える呪文に臆する事無く…
ニンニク無し、先ずはノーマルでお願いします
野菜と麺の食べる順番など、お勧めの食べ方はありますか?
初心者である事は恥で無し
同好の輪に加わりたい意志を示す事こそ●礼儀作法という物です
店員の勧めに従い、焦らず、されど迅速に
正確無比なペースを保ち
…ご馳走でした
●機械騎士の拉麺探訪録
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はウォーマシンだ。
疑似飲食機能に胃の容量は無関係、ここで食べても次に影響がない。
「ですが問題は敵地の異空間……鋼の身に“胃”が生えても可笑しくないのです」
……なんてことは無いと騎士は認識する。
そう、認識できるほどの高度な機能を持つが故、狂わされることを知っているのだ。
だから……
「ここで存分に情報を集めましょう」
グリモア猟兵が話すことを信じ、猟兵は行動する。
それが勝利への鍵なのだと経験が、メモリーが教えてくれるのだから。
戦機が最初に目についたのは行列が整然と動いていく様だった。
まるでオートメーションされたが様に並び、座り、食し、そして去る。
戦機ゆえに気づき、そしてウォーマシンが故に疑問を持つ。
「競う様に食べるのは回転率の為?」
だが、その疑問はすぐに解消された。
店を出る男達の姿を見た時に。
「いえ、彼らは“戦っている”」
――己の満腹中枢と!
人が持ち、機械が通常不要とされる機能に対し、言葉に出来ない何かを持ったのは久方ぶりであった。
「満腹だけでなく達成感に満ちたあの表情……あれも人気の一因なのでしょう」
戦い、満たされ、そして得る。
『それ』を食べた者は選ばれし者、つまり麺卓の騎士に相違なかった。
だが、トリテレイアも騎士たる一人。
臆することなく席に座ると呪文は唱えずに
「ニンニク無し、先ずはノーマルでお願いします」
――普通に注文した。
やがて運ばれる、山盛りの『何か』
「野菜と麺の食べる順番など、お勧めの食べ方はありますか?」
隣の客に問えば、気のいい男は箸とレンゲで麺と野菜をひっくり返すことを教えてくれた。
「天地返しというヤツだ。ここの麺はスープを吸いやすくて伸びやすい、だからこうやってひっくり返して野菜をスープに沈めるのさ」
「なるほど」
トリテレイアは頷き、そして彼らに倣った。
初めてであることは決して恥ではない。
騎士はそれを知っていて、客はそれを理解していて、店員はそれを暖かく迎える。
「無理に急がずとも、初めてなんだからじっくり味わってください!」
戦機は……今はただの麺バーたるトリテレイアは頷き、そして全てを味わった。
ここは麺卓の妖精郷。
人が集い、挑み、そして満たされるワンダーランド。
「……ご馳走でした」
去り行く後姿は勝利した男の姿であり、そして次なる戦いに挑む新たなる麺卓の騎士の姿であった。
大成功
🔵🔵🔵
栢沼・さとる
喫茶店の呪文をマスターしてる知り合いならいるけど
ラーメンの呪文は未知の世界……!
特定の検索ワードである程度のお作法は下調べできたけど
じ、実際挑戦するとなると緊張するっ
こうなったら先達に教えを請うのが一番です!
「礼儀作法」と「コミュ力」全開の笑顔で
ラーメンを食べ終えたお客さんに初心者として声をかけます
あのっ、私このラーメン屋さん初めてなんですけど
最低限気をつけた方がいいこと、教えて頂けますか?
ふむふむ、小食なら麺の量を半分や三分の一にもできると
そうした方が良さそうですね……
それを一度目のコールで言うんですか、わかりました!
そしてニンニク入れますか? が来たら
例の呪文を言うんですね!
わかりました、私にぴったりな呪文、それは……
(すうっと息を吸って)
「ヤサイ少なめニンニクアブラマシ」!
言い終えたら一瞬だけ振り返り、呪文を教えてくれた先輩にサムズアップ
ありがとうございます先輩……あとは、ひたすら食べるだけ……!
●ラーメンズ・ネクストジェネレーション
栢沼・さとる(流星の馭者・f35303)は未知の世界に戸惑いを隠せない。
「喫茶店の呪文をマスターしてる知り合いならいるけど、ラーメンの呪文は未知の世界……!」
力強く呟くその目は近視なので鋭い。
だが、今は無理に目を細める必要は無いことに気づき、我を取り戻す。
「特定の検索ワードである程度のお作法は下調べできたけど……じ、実際挑戦するとなると緊張するっ」
調べることと実際にやることはやはり違う。
しかも初めてともいえる戦場
けれど、さとるはここで臆することはない。
彼女は能力者なのだ、死と隣り合わせの青春を生き延び、そして新たなる戦いを始める決意をした一人の戦士。
その嵐の王が自分を超える力――オーバーロードへと足を踏み入れる!!
「すみませーん、あのっ、私このラーメン屋さん初めてなんですけど」
栢沼・さとるは背脂三丁目にて一食、食べ終えた客に教えを請う。
「最低限気をつけた方がいいこと、教えて頂けますか?」
「兄さんは、初めてなのかい?」
男と間違われるのはもう何度目か分からない。
仕方がないとは思いつつも、ここは言葉を呑み込んで頷きを返した。
「まず、分かっちゃいると思うけれど……量は多い。小で普通のラーメンの特盛くらいだ」
「多くないですか!?」
『それ』をキメてきた男がさとるへと伝えるのは常識の違い。
普通のラーメンとは量が違うのだ。
「だから人によっては麺の量を減らすことも正しいと思う」
「ふむふむ、小食なら麺の量を半分や三分の一にもできると」
嵐の王、いや今はヌードルブリンガーな少女の問いにラーメン戦士は頷きを返す。
「そうした方が良さそうですね……」
「そうだな、そうした方が良い。だから最初に伝えるべきだ」
「それを一度目のコールで言うんですか、わかりました!」
教えには素直に答えを返す。
プライドなんて、此処には必要ない。
今までもそうやって戦ってきたのだから。
「そしてニンニク入れますか? が来たら、例の呪文を言うんですね!」
「ああ、そうだ」
さとるの言葉を男は肯定する。
「それであの呪文に関してだが、実はトッピングやオプションを伝える略語だ」
呪文の意味がここで解明される。
内容は過去の猟兵が解き明かした。
だが、それを伝える意味を知るに至ったのはさとるのみ。
「だから、ニンニクを入れる時に言わなくてはいけない……これで良いかな?」
「はい」
ラーメンソルジャーの言葉に若きヌードルブリンガーは頷き、そして答える。
「わかりました、私にぴったりな呪文、それは……」
静かに息を吸う音が背脂三丁目に響いた。
ヤサイ スクナメ ニンニク アブラマシ
「野菜は少なめ、ニンニクと背脂追加で!」
さとるの呪文。
受け継がれる意志に男はサムズアップで応え、そして去っていった。
「ありがとうございます先輩……あとは、ひたすら食べるだけ……!」
栢沼・さとるは来るべき戦いに備え、そして背脂三丁目の奥へ進む。
先人の意志をその胸に、自らを超越するために。
そう――リリスがいるラーメン屋へと!!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『特殊空間を攻略せよ』
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POW : 先頭を進み、仲間を守る
SPD : おかしな物品や文章が残されていないか探す
WIZ : 空間内の法則を調べ、それに従った行動を取る
イラスト:乙川
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ラーメンリリス、背脂三丁目店
地図に存在しない店。
誰かが噂する、全ての始まり。
そこが店が出来てから界隈のラーメンはこぞってジャンルが偏った。
それは何かを惑わす誘惑の糧であり、社であった。
呪文を知り、戦場を知り、そして胃袋に重さを抱えた者達はとうとう『そこ』にたどり着く。
『ラーメンリリス背脂三丁目店』
黒字でそう書かれた黄色の看板の前には虚ろな足取りで人々が歩き、そして店を出る。
「アブラヤサイマシマシ」
「ニンニクヌキ、カラメマシ」
「ゼンマシマシチョモランマ」
詠唱が……響き渡った。
まるで何かを称えるかのように、何かを求めるかのように。
「あいよ! ニンニク入れますか!!」
応えるかのように気風のいい、女の声が響いた。
店の中では見事な肢体をTシャツとジーンズで包み、エプロンを腰に巻いた人外たる者が厨房を切り盛りしている。
姿形は女。
だが、その腕には蛇が絡み、女の細腕を支えるかのように彼女に寸動鍋を持ち上げる力を与えていた!
淫魔――この世界でリリスと呼ばれし亡霊の力を持った過去の残滓は次々と麺を湯切りし、キャベツともやしで山を作る。
「お客さん、新顔だね! いや、言わなくていいさ、分かってる」
猟兵の姿を目に留めたオブリビオンは先んじて言葉を発し、そして続けた。
「でも、もうちょっと待っておくれ。今、忙しいところなんだ。何なら食べていくかい? ……やだねえ、毒なんか入れないよ。アタシが欲しいのは――美味しいという悦びと満腹感という欲望だけだからね」
快活に笑うその姿。
少なくとも今は戦う意思は持っていないようだ。
それにラーメンを食べるために並んで、そして特殊空間の外へと消えていく人々もいる。
「ニンニク入れますか?」
歪み、やがて人を死に陥れる交流であることは確か。
けれど今は事を無理に荒立てる必要はない、何よりも巻き添えの危険がある。
ふと、自然に……いや、特殊空間の法則によって君達は列の最後尾に並ばされた。
おそらくは過去を狩るためには……法則に従い、リリスの過去を問い、そしてラーメンを食べた者が資格を得るのだろう。
彼女を殺すに足る理由とそれにふさわしき資格を。
やや不条理だがもう一つの戦いが始まる。
エリー・マイヤー
△
ゼンマシとかチョモランマとかかっこよくコールしたいとこですが、
大人しくニンニクスクナメで行きましょう。
食は細い方ですが、通常の量なら食べきれ…
なにこれ素でめっちゃ量多い。やばい。
くっ、想定より多いですが、頼んだからには食べきりましょう。
私はアポカリプスヘル生まれの女。
食料を無駄にすることは、許されないのです。
まずは念動力の壁で汁が飛ばないようガードしつつ、丸ごと天地返しです。
麺の伸びを抑えつつ、合間合間に野菜を食べて胸焼けを防止します。
最終手段として胃の中身を念動力で押し込むことも考慮しましょう。
超気持ち悪くなりますけど。
ところで店員さん。
マシコールしつつ撃沈する人のことって、どう思います?
●拉麺黙示録
最初にカウンターに座したのはエリー・マイヤー。
(ゼンマシとかチョモランマとかかっこよくコールしたいとこですが……)
「ニンニク入れますか?」
「ニンニクスクナメでお願いします」
思考を遮ったリリスの問いかけに応えるエリー。
メニューはもう決まっていた。
大盛を食べることは正義ではない、ここで正しいのは残さず食べること。
自分の器量を受け止められるものが『それ』を食べる資格を持つ。
(食は細い方ですが、通常の量なら食べきれ……)
正しき選択をしたはずのエリー・マイヤーの思考が停まった。
「なにこれ素でめっちゃ量多い。やばい」
そこにあったのは山だった。
もし広くなだらかな平地に丘があれば、それは山と感じるだろう。
だが山岳地帯に丘があっても只の緩やかな坂に過ぎない。
エリーの前に置かれたのはそういう物。
普通のラーメンの約三倍の量を持った特盛麺に山のような野菜と厚切り過ぎて豚肉と言った方が早いチャーシュー。
ニンニクを少なくして、ちょうど味が引き締まる量であった。
「くっ、想定より多いですが、頼んだからには食べきりましょう」
だが彼女はアポカリプスヘルの女。
崩壊した文明の中、残り少ない食料を分け合い生き延びようとする人々を見て来た。
世界の生み出す地獄が!
人々が希望を切り開き歩む未来が!
何よりもフラスコチャイルドとして生まれた彼女自身が!
許せないのだ――お残しを!
念動力のフィールドが丼を包む、その中にエリーが箸とレンゲを差し込み麺と野菜を入れ替える。
天地返し
携帯端末にて学んだ技を自らの能力を組み合わせ、再現に至る。
これで、麺の伸びは食い止められた。
幸いというか野菜の中心はキャベツともやし。
かさが多く腹に溜まるという恐ろしさはあるが、素材に味は無い。
それ故にスープを吸いやすい極太麺や焼き豚の油や味を打ち消す効果がある。
故に合間、合間に野菜を食べることで舌を飽きさせず、最後まで食べきることが可能なのだ。
最悪念動力で無理矢理胃に押し込もうかと考えていたエリーだが、それは杞憂に終わる。
スープも飲み切り、フラスコチャイルドの女は丼をカウンターに上げた。
「ところで店員さん」
腹に一撃を喰らったような重さを抱え、エリー・マイヤーは問いかける。
「マシコールしつつ撃沈する人のことって、どう思います?」
「勇気は称えるけど……」
困ったような顔を見せたリリスは。
「お残しは許しまへんでぇ」
目を吊り上げ、醜悪に笑う。
その舌は蛇が如く二股に分かれていた。
そこに居るのは人外たる者、過去の残滓は食べた者の残滓を許すことは無い。
だからこそ、倒さねばならないのだ。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
やがて人を死に陥れる交流、か。
まあこんなカロリー爆弾ばかり食べていたら死ぬわよね、生活習慣病で。
それはさておき、話を聞かせてもらおうかしら。
あ、それと私は「ゼンマシマシチョモランマ」で。
(「大」と書かれた札を出しながら涼しい顔で宣う)
ラーメンといえばチャーシュー
そしてチャーシューは「焼豚」とも書くので焼肉
故にチャーシューの乗ったラーメンは「焼肉セット」なので【焼肉担当の本気】の対象
つまりガッツリ食べながら(胃袋が)本気出せる時間が増えるわ
いいわね?(みなさわMSの方を見る)
気になるのは「何故ラーメンというものに目を付けたのか」ね。
(他の人と被ったなら「当店特有の拘り・美味さの秘訣」辺りを聞く)
●チャーシュー・パーティー
次なる挑戦者は羅刹の女。
「やがて人を死に陥れる交流、か」
荒谷・つかさの目が見据える未来は。
「まあこんなカロリー爆弾ばかり食べていたら死ぬわよね、生活習慣病で」
……メタボリックな運命だった。
ちなみに『これ』一杯で成人男性が一日に必要とするカロリーと塩分が補給できるので彼女の発言はおおむね間違ってはいない。
「それはさておき、話を聞かせてもらおうかしら」
「うちのラーメンを食べてからね」
カウンターに座ったつかさ、その向こう側でリリスは笑う。
「そうね。じゃあ私は『ゼンマシマシチョモランマ』で」
「ほう……」
羅刹の出す、札に刻まれるのは大の一文字。
その佇まいにオブリビオンの目が細まり、気配が変わる。
侮りではない。
そのような者はここに来れないようになっているのだから。
つまりは敬意。
「うちのゼンマシは普通じゃないからね」
だからこそ相手には覚悟を求め、リリス自身も己の覚悟を決める。
人と亡霊、羅刹と淫魔。
カウンターは女の闘技場となった。
重量感ある響きがカウンターを鈍く鳴らした。
最初に出されたのが山ならば、ここにあるのは最高峰。
まず、麺が見えなかった。
地下水脈の如きスープの中に沈む極太麺の上に盛られたキャベツともやし、そして岩盤が如き焼豚が全てを塞いでいたのだから。
その頂に白く盛られたのはニンニク。
だが高き山に残る残雪を思わせるそれは朱にそまっていた。
カラメ――スープに混ぜ合わせるタレを上から回しかけているのだ。
天に届くほどの野菜なら、味を足さないと舌が飽きてしまうから自然の論理。
全てを満たしてこそ完成されるそれがゼンマシマシチョモランマたる所以なのであろう。
「いただきます」
まず最初につかさの箸が肉を掴んだ。
齧る……そして羅刹は笑った。
「ラーメンといえばチャーシュー」
「確かにそうだね……それがどうかしたのかい?」
つかさの言葉にリリスが問う。
「そしてチャーシューは『焼豚』とも書くので焼肉」
「いや、うち煮豚」
つかさの言葉にリリスはツッコんだ。
「故にチャーシューの乗ったラーメンは『焼肉セット』」
「いつからうちはラーメン出す焼き肉屋になったんだよ」
リリスはツッコむが荒谷・つかさは無視してチャーシューを食べ、そして野菜を食べ、麺を啜る。
概念的に焼肉セットならば、つかさは使えるのだ、ユーベルコードを。
Chashu・Party
焼肉担当の本気
「そうよね?」
そこで……みなさわを見るんじゃない。
とはいえ、ユーベルコードの概念がリリスを作り出した特殊空間とそのラーメンを凌駕することは可能。
自然、カロリーは(消化されることで)蓄積され、戦闘力――つまり食欲は上がる。
だが、引き換えに失ったものがある。
立ち上がる力。
ラーメンがある程度胃袋で消化されるまで、荒谷・つかさは立ち上がることが出来なかった。
「ねえ?」
つかさは空になった丼を挟んだ向こう側に居る女に声をかける。
「何故ラーメンというものに目を付けたの?」
「古い、古い、昔話さ」
丼を片付け、洗い場の蛇口をひねりリリスが語る。
「淫欲に塗れた夜の世界。それに疲れた女が、身も心も冷え切った女が、食べたのがラーメンだっただけさ。男女の差別もない、食べることだけを求められる『こいつ』という名のね」
それは昔話。
名も知れぬ女が心まで満たされた初めての欲望の物語。
成功
🔵🔵🔴
アノルルイ・ブラエニオン
決戦の地に向かう前に薬師を探し(薬局)胃に効く秘薬を贖っておくぞ
食べる前に飲む、エルフの知恵だ
ついに辿り着いたのか…
伝説のラーメン郷に!
私は興奮のあまり角笛を吹き鳴らさずにはいられない
食う前だしカロリーちょっと減るぐらい吹く
リリスには何も問うまい
ラーメンがすべてを語ってくれる
ニンニク入れますかと問われたら
その時こそかの呪文を口にする時
万感の思いを込めて――
「アブラカラメマシマシ」
私は特に大食いではない
が、エルフは常若の種
常に育ち盛り、喰い盛りの種だ!
無謀と解っていても…
あのリリスの様子から
何としてでも食わなければならない気がした!
●ティル・ラ・メーン
「ついに辿り着いたのか……」
興奮のあまり角笛を吹きながらアノルルイ・ブラエニオンはカウンターへと歩み寄る。
「伝説の……」
「Tír Ra meRn
ラーメン郷に!」
そこは特殊空間にして妖精郷。
ラーメンを求める妖精達(?)が集う常麺の国。
「飲食店で角笛を吹くなぁ!!」
迎えるのはリリスの説教と飛んでくる割り箸二本。
一本は角笛を叩き割り、もう一本はエルフの耳とコメカミのわずかな空間を貫いた。
アノルルイに奥底に秘められし射手たる感が働いていなければ箸は眉間を貫いていただろう。
口笛を軽く吹き、エルフはカウンターに座る。
「全く……で、ニンニク入れますか?」
オブリビオンの言葉に吟遊詩人は強く頷く。
リリスに問う事は今は無い。
だが、これから始まるラーメンサーガの為に歌い手は呪文を紡ぐのだ。
「アブラカラメマシマシ」
背脂とタレを増やした、量ではなく質のラーメンを。
溶けた背脂が野菜という山を流れる。
それは清水というには清らかさが足りず、持っていたであろうトロみは熱で解き放たれ、スープへと注がれていく。
天頂より回しかけられた濃厚なる液体は味の全てが詰まっているであろう。
それがアブラカラメマシマシ。
「……」
アノルルイが薬(剤)師より手に入れてきた粉薬(現地店頭価格1200円)を水で流し込む。
彼は特に大食いというわけではない、薬が必要だった。
年がら年中、育ち盛りの喰い盛りにして常若の種だとしても、胃袋が大きいわけではない。
しかし……
「どうした? 食べないのかい? 冷めちまうよ」
リリスの振る舞い、そして触れた一端から感じられる生き方。
それを知ったら。
「いただきます」
食べないといけない気がした。
それはひょっとしたら同情かもしれない。
それはひょっとしたら意地なのかもしれない。
それはひょっとしたら……普通にラーメンを食べたかっただけかもしれない。
極太ストレート麺は何も語らない。
アノルルイ・ブラエニオンの心を知るには……
「げふ……」
その前に大丈夫かエルフ?
それ普通の三人前以上だからね?
彼が生き残れたのは長命たる妖精族だったからであろう。
胃袋もまだ衰えはなかった。
彼が生き残れたのは現代日本のグルメの経験があったからであろう。
故に濃すぎるくらいの塩と脂を乗り切れた。
何よりも角笛が呼び起こしたここは戦場。
ワイルドハントの狩場。
Wild Hunt Harbinger
先触れの――音色
狩場であるなら優れた射手にしてワイルドハントの一員であるエルフにとってラーメンはただの獲物に過ぎない。
大きいだけの鈍重な獣に。
とはいえ胃袋は流石に限界。
「ごちそうさ……ま」
「お粗末様」
カウンターに突っ伏したアノルルイ。
空になった丼を受け取りリリスは笑った。
「アタシだったものが初めて食べた時もそんなんだったよ」
それはオブリビオンが形を成している欠片の記憶。
欲望に狂う前の人の思い出。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
さぁ、ここからが本番です。
いよいよリリス退治の始まりですよ。
しかし、ここはリリスの空間。まずは彼女のルールに従いましょう。
そして、早速さきほどの調査で仕入れた情報を活かすときです。
ブタダブルヤサイマシ!
先程のものと同じですが、今度は味変しましょう。
今こそマイ唐辛子を投入するときです。
ラーメンをすっかり赤くして、パンチを楽しみます。うまうま。
ご主人はきっと古今東西いろいろなラーメンを食べられたと思います。
印象に残ったラーメンとかはあるのですか?
●それは血のように赤く
「さあ、ここからが本番です」
黒木・摩那が食券を指に挟めて構える。
「いよいよリリス退治の始まりですよ」
「へぇ、退治するってかい?」
オブリビオンが笑う。
既に麺は寸動鍋に落とし込んだ、準備は万端だ。
「とは言え、ここは噂に聞いた特殊空間。まずはここのルールに従うまでです」
「ニンニク入れますか?」
カウンターに座った摩那。
ルールを守るかのようにリリスが問う。
「ブタダブルヤサイマシ!」
呪文が唱えられ、猟兵の前にエアーズロックが置かれた。
「先程のものと同じ……それだけに胃袋の記憶が思い出されます」
少しだけ摩那の眉が歪んだ。
「同じもの食べたら、飽きちゃうお年頃かい?」
挑発するように問いかけつつ、炊飯器の蓋に手をかけるオブリビオン。
確かにここでライスを頼めば舌は飽きない。
だが、今度は胃袋は死ぬ。
「ですが、今度は味変しましょう」
けれど食いしん坊18歳は別の選択――戦場を自らの流れに引き寄せる。
手に持つのはマイ唐辛子。
「おい……待ちな……」
リリスが気づいた時には既に遅し。
ラーメンは赤く染まった。
「いやぁあああああああああああああっ!」
頭を抱えるオブリビオン。
「煮込んだスープの風味がーっ!?」
香辛料を大量に放り込めば、本来の味は失われる。
血のような涙を流すリリスの前で辛さとパンチを手に入れた黒木・摩那は満たされた顔でラーメンを食べていた。
良い子は辛い料理を食べる時は専門店に行こうね……。
血のように赤いラーメンを平らげ、かすかに赤が残る丼がカウンターに置かれる。
「ご主人はきっと古今東西いろいろなラーメンを食べられたと思います」
満足した顔で摩那が口を開くと、リリスの顔が上がる。
その顔だけで少しだけ救われたのだろう。
「印象に残ったラーメンとかはあるのですか?」
問われたオブリビオンは困ったように笑い、そして丼を洗い場に運んだ。
「どうしてだったかはあたしも分からない。だけど、覚えているのさ……豚骨醤油のこってりした味と、とにかく野菜と麺の量を追求した何か違う『これ』を」
蛇口から水が流れ食器が音を鳴らす。
「感動的に美味いとか、そんなものじゃなかった。とにかく満たされたんだ。満たされたからアタシはここに居るし、ここでラーメンを作ってる」
それが答えだと言わんばかりのオブリビオンの言葉。
「だから、アタシは……ラーメンでサバトを開くのさ」
思い出は終わり、溝は穿たれた。
突きつけられたのだ。
どんな生き方を経たとしてもここに居るのは倒さねばならない敵だという事実を……。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
後付け故に人の舌ほど繊細な味覚情報を処理出来ない己の疑似飲食機能
故に、通常を知った上で頼むオーダーは
ニンニクカラメマシマシでお願いします
…!
デジタル化が容易な程のストレートな旨味、この濃厚さは正解でした
先と違うニンニク…此方が私の“好み”ですね
麺卓の同士達より授けられし天地返し駆使しつつ味わい
…!?
思考演算に未知の数値が蓄積して…これは、満腹感!?
この異空間の影響ですか
胴体内部、“胃”を入れ替えれば…
いえ、食事の場で腹を出す等、騎士として有るまじき行為
ただ、疾く“喰らう”のみ!
…ご馳走様でした
店主様
薄口、濃い口…ラーメンには数多種類があるとか
このラーメンである理由…貴女の矜持を教えて頂けますか
●機械騎士は未知の感覚を知り満ちるに至る
「ラーメンでサバト……ですと!?」
トリテレイア・ゼロナインが食券を握りしめる。
「そう……ラーメンサバト。人はラーメンを食らい、満腹感に満たされ食べ過ぎで死ぬ」
「そのような所業。騎士として看過できません」
リリスの言葉に毅然と対応し、カウンター席に座るトリテレイア。
今はラーメンがルール。
必要とあらば詐術も厭わない戦機であるが、今はその時でないと確率が告げていた。
「ニンニク入れますか?」
確認という名の戦いの合図。
騎士は戦機にして肉無き鋼。
後付け故に人の舌ほど繊細な味覚情報を処理出来ない疑似飲食機能を以ってコールするのは。
「ニンニクカラメマシマシでお願いします」
濃厚さであった。
カラメ、タレを回しかけるのは量がある上にさらに増やせるとなると味が薄くなるのを防ぐため。
ニンニクを入れるのは風味を強くし、味を引き立たせるため。
繊細さに欠け、味覚情報の確保が難しい環境に陥った場合、情報に狂いをもたらす。
だからこそ選ぶのだ――濃さを!
「……!」
通常の量に敢えて選んだ濃いめのラーメン。
「デジタル化が容易な程のストレートな旨味、この濃厚さは正解でした」
箸とレンゲで麺と野菜の位置を入れ替える、麺卓の騎士より授かった奥義を寸分なく再現すれば、箸に絡む麺を啜る。
「先と違うニンニク……此方が私の“好み”ですね」
「そう言ってくれるのは嬉しいね」
リリスが笑みを浮かべる。
評価を嬉しく感じたのもあるが、それ以上に――
「思考演算に未知の数値が蓄積して……これは、満腹感!?」
「……アンタも知ってしまったね『それ』の力を」
驚くトリテレイアに笑うオブリビオン。
機械にすら与える満腹感。
特殊空間の法則にはまりゆく戦機の機微に笑みを隠せなかったのだ。
「この異空間の影響ですか、胴体内部、“胃”を入れ替えれば……」
騎士が腹に視線を落とし、首を振る。
「いえ、食事の場で腹を出す等、騎士として有るまじき行為」
「腹を出すっていう概念が何かおかしいのは気のせいかい?」
一応、ツッコむリリス。
彼女自身、何か世界観的に仕事が多い気がするがワンオペである以上は仕方がない。
「ただ、疾く“食らう”のみ!」
ハッキングで満腹感を打ち消すことすら選ばず、騎士は箸を動かした。
「……ご馳走様でした」
陰腹を抑え、トリテレイアは空にした丼をカウンターに上げる。
量を普通にしたのが幸いだったのだろう。
もし機体の大きさに任せ量を増やせば、戦機は物言わぬ鉄に変わっていただろう。
「店主様」
絞り出すように騎士はオブリビオンに問いかける。
「薄口、濃い口……ラーメンには数多種類があるとか」
トリテレイアとリリスの視線が交錯する。
「このラーメンである理由……貴女の矜持を教えて頂けますか」
オブリビオンは騎士の腹を指差した。
「身も心も疲れ果てた女が、繊細な味を感じられることなんてないのさ。でも『こいつ』は違う。腹を満たしてくれる。舌を満たしてくれる。だから足を洗ったのさ……ラーメンを作るために」
リリスが笑う。
嬉しさも侮りもない。
「そして死んだ。開店まもなく黒塗りのトラックが店に突っ込んでね」
厭世的な笑みだった。
「それがアタシだったもの。食欲に満たされ死んだ欲望の残滓……同情は要らないよ。アタシはアタシのままに生きる。もう人だった者はアタシを作る欠片に過ぎないからね」
ゴーストとはそういう物だというばかりにオブリビオンは決別を告げた。
成功
🔵🔵🔴
栢沼・さとる
今の私は……ヌードルブリンガー……(拳を握る)
ヤサイスクナメニンニクアブラマシでお願いしたラーメン、すごかったなあ
天地返しっていう必殺技を教えてもらわなかったら、食べきれなかった
……で? もう一回食べないといけないんですか??(ぐるぐる目)
麺は絶対三分の一でお願いします勘弁して下さい
あとはそのままで、店主さんの基本の味付けを楽しみたいです
本来はロット崩しの危険もあるからさっさと食べて退席するべきなんでしょうけれど……
死ぬ気で食べながら何とか隙を見て店主のリリスに話を聞きたいです
このお店何年くらいやってるんですか? とか
毎日大変じゃないですか? とか
ラーメンに懸ける情熱を聞き出せたらいいですね
●過去は過去、現在は現在
そこに居るのはもう人ではない。
ゴーストと呼ばれし力を喰らった過去の残滓。
それを一番知っているはずの人物は。
「……で? もう一回食べないといけないんですか??」
……目を回していた。
残念だがオーバーロードの力をもってしても栢沼・さとるの胃袋は超越の域に至らなかった。
むしろその方が良いだろう。
どんな戦いにおいてもキャラを保つという事は大切なものだから。
「ヤサイスクナメニンニクアブラマシでお願いしたラーメン、すごかったなあ」
やや虚ろな目でかつての能力者は先程食べた物を振り返る。
「天地返しっていう必殺技を教えてもらわなかったら、食べきれなかった」
「腹一杯なら、ここで引き上げても良いんだよ?」
リリスが気遣いに見せかけたデッドラインを引く。
退けば命は助かり、誰も救えない。
けれど踏み込めば、胃袋を引き換えに人々を救える。
「いいえ」
迷う事はなかった。
「今の私は……ヌードルブリンガー……」
己の使命を思い出し、目に光を取り戻したさとるが握った拳を開くとそこにあるのは食券一枚。
「麺は絶対三分の一でお願いします勘弁して下さい」
拉麺の王は量を減らすことを選んだ。
気づいている者もいるだろう、量を減らして食べたっていいのだ。
大切なのは残さない事なのだから。
「あとはそのままで、店主さんの基本の味付けを楽しみたいです」
そして、かつての能力者は知りたいのだ。
今のゴーストのオリジンを。
オブリビオンという残滓が生み出した何かを。
さとるの前に一杯のラーメンが置かれた。
悪いな、これ以上のシリアスはラーメンを食べてからだ。
「…………」
栢沼・さとるは二つに割った箸を手に持って、丼へとその尖端を沈めていった。
戦い終わり、勝者は独り。
「このお店……何年くらいやってるんですか?」
「長くはないね、これから暖簾分けして店を増やさないとならない」
勝ったはずのさとるはカウンター自らの身体を突っ伏して、空になった丼を見つめつつ問いかけた。
完食は成し遂げたがもうお腹いっぱいで動けなかった。
ロット破りは心配だが幸いにも後二人だし、それくらい待っててくれるだろう。
「毎日……大変じゃないですか?」
「そんなことないさ。アンタだってキモチイイコトは大変じゃないだろ?」
反射的にかつての能力者は身を起こした。
「それとこれとは違います!」
運命の糸症候群で加齢が停まったとはいえ、その手の冗談は分かる。
その姿にリリスは邪悪な笑みを浮かべ、麺を掴む。
「アタシには同じなのさ。いや、これが一番さ。これで満たされた。だからアタシはラーメンで人を惑わし、殺す。お話はこれで終わりさ、次の客が待っているでねえ」
人とオブリビオンの違いを見せる亡霊。
「それでも……」
それでも、さとるは言葉を絞り出す。
「ラーメン、美味しかったです」
「……ありがとうよ」
それだけは嘘偽りのない真実だから。
蛇口からか水が流れる中、食器を洗う音だけが店に響いた。
終わりの時は、刻一刻と近づきつつあった。
成功
🔵🔵🔴
揺歌語・なびき
ニールニャス(f33800)くんと
ニンニクヌキヤサイ、アブラナシカラメナシ(小の札
UDCに近いし、一度は調査…と思ってたけど
うーん既にしくじってる!初回の事件じゃない!
あれ、きみも仕事?
おれ辛いの駄目なんだよね
ていうかこの手のラーメン食べたの昔に二回くらいしか…
…うん、美味しいかな
三十路はもうちょっとさっぱりでも…いやこれは黙っとこ
んも~ねこちゃんてばしょ~がないな~!(彼の分も天地返し、ねこちゃんの魅力には抗えないので
もうだいぶしんどい
しかし諦めると脳内で叱ってくるかわいいあの子がしょんぼりしている
うぅ…美味しいけど…うぅ…
甘党なんですおれは~言わないけど~あ、え?
あ、ありがと…(麺わけっこ
ニールニャス・ヒサハル
にゃびき(なびき(f02050)と
(叉焼小の札を出して)
メンスクナメニンニクヌキヤサイアブラカラメにゃ
食える分ちゃんと食ってこそ男だにゃ
どっせいって登って座ったら隣が知った顔だった
「うん、俺様仕入れ。仕入れ、だけど……いぬこわい」
ホチキス犬と犬の区別がつかにぇえなんて言えにゃい
「俺様ピリ辛好きにゃ。あ、叉焼一枚やる」
おっにゃびきは経験者か
じゃあ……
「にゃあにゃあ、にゃびきー。こう、きゅってひっくり返してにゃ」
(おにぇがい、ときゅるん可愛いねこちゃん顔
うっし食うぞ
(只管ちゅるちゅるシャキシャキまたちゅるちゅる
うんめ
濃いけどウメー
「うん?にゃび……き?」
駄目にゃこいつ
「おい、ちょっと麺分けにゃ」
●おれが力尽きても残りの分は食べてね
二人の男、狼と猫が最後の客。
ラーメンリリス背脂三丁目店の終わりを迎えるには奇妙な組み合わせだが、それも運命のいたずら。
男達が同時に出した札の文字は小。
揺歌語・なびき(春怨・f02050)は年齢的に脂に弱くなる頃で。
ニールニャス・ヒサハル(全世界通貨マタタビ化計画・f33800)は体格的な意味で多くを食べることが出来なかった。
「ニンニク入れますか」
リリスが最後のコールを告げる。
「ニンニクヌキヤサイ、アブラナシカラメナシ」
なびきが応え。
「メンスクナメニンニクヌキヤサイアブラカラメにゃ」
ニールニャスがそれに続いた。
どっせいって登って座ったら隣が知った顔だった。
「あれ、きみも仕事?」
狼の問いかけに
「うん、俺様仕入れ。仕入れ、だけど……いぬこわい」
猫は独り自分の世界に。
ホチキス犬と犬の区別がつかにぇえなんて言えにゃい。
ニールニャスは口には出さなかった。
だって、そこに居るのはナイーブなイヌ科の人だから。
「UDCに近いし、一度は調査……と思ってたけど」
そんなことも露知らず。ラーメンができる間、なびきがコップ片手に黄昏る。
その仕草に妙に色があるように見えたのは。
「うーん既にしくじってる! 初回の事件じゃない!」
多分、出遅れたせい。
「まあ、しょうがにゃい。そんな時もあるにゃ」
仕事帰りのグリモア猟兵の会話を思わせるやり取りがひと段落突いたあたりで『そいつ』が重量感ある響きを鳴らしてカウンターに置かれた。
「おれ辛いの駄目なんだよね」
狼が絶妙な手つきで麺と野菜をひっくり返す。
「ていうかこの手のラーメン食べたの昔に二回くらいしか……」
「俺様ピリ辛好きにゃ。あ、叉焼一枚やる」
猫の絶妙な箸捌き、位置が入れ替わった麵の上に乗る厚手のチャーシュー。
「おっにゃびきは経験者か」
「うん、二回くらい……」
その顔に浮かぶ憂いの笑み。
何があったかは彼だけの秘密。
「じゃあ……」
一方でニールニャスの目は宝石のような輝きを見せていた。
「にゃあにゃあ、にゃびきー。こう、きゅってひっくり返してにゃ」
決して楽な旅路では無かった。親と生き別れ飢え苦しんだ野良生活。
気付けばあざとさだって身に着けていた。
「んも~ねこちゃんてばしょ~がないな~!」
おにぇがいきゅるんねこちゃんフェイスになびきは弱い。
というか、猫を飼っている人間に耐えられるだろうか? いや無い。
「うっし食うぞ」
「……うん、美味しいかな」
二人の男が食べ始める。
「うんめ、濃いけどウメー!」
「三十路にはもうちょっとさっぱりでも……(いや、これ以上は黙っておこう)」
猫の顔は輝き。
狼の顔は翳る。
「うん? にゃび……き?」
ニールニャスが異変に気付いたのは三分の一ほど食べたあたりだった。
「もうだいぶしんどい……」
揺歌語・なびきが天を仰ぎ、ゆりかごのように身体を揺らしていた。
ここで諦めたい。
けれど、諦めると脳内で叱ってくるかわいいあの子がしょんぼりしている。
――食べられないのは仕方がありません(しょぼん)
「うぅ……美味しいけど……うぅ……」
甘党なんですおれは、という言葉を呑み込んだ時。
「おい、ちょっと麺分けにゃ」
助け船が来た。
ゴーストが作るラーメンを食べてくれるキャプテンがそこに居た。
「あ、ありがと……」
なびきはニールニャスの心意気に感謝し、麺を分けた。
そして、二人は完食を成し遂げ……
「にゃびきーっ!?」
ニールニャスの叫びが響く中、狼の身体が傾いていく。
彼を受け止めるように現れた桜色の花弁。
その渦に包まれたなびきに聞こえたのは――
――よくやりました、なびき。
あの子が褒めてくれる声だった。
「これで、全員ラーメンを食べたにゃよ」
倒れし狼を花弁で包み、猫はリリスを睨む。
「ああ、そうだね」
リリスが名残惜しそうに応え、そして頭を振る。
「オブリビオンと人間。殺すか殺されるしかないんだからね」
「……もし、もしおめぇが誰も殺してないのにゃら」
ニールニャスの言葉をオブリビオンは手で制した。
それ以上の言葉は無用とばかりに。
「生き方ってものが有るんだよ。分かるだろ? アンタがそれを望む様にアタシもこれを望む。そういう生き物なんだよ、リリスっていうものは。欲望に抗えず、欲望に溺れ、その為に命を冒涜する」
それでも何かを言おうとした猫の肩を狼が掴んだ。
「……」
「……」
振り向く男と首を振る男。
「……閉店時間だ、後は外でやろうか」
エプロンを放り投げ、リリスは店外に歩いて行った。
奇妙で理不尽な空間での出来事は終わり。
本当の戦いが始まる。
今を生きようとするものを守りし猟兵と、人間を排除すべく生まれた過去による生き方を通す戦いが。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『サバトクイーン』
|
POW : クイーンズスネーク
自身の【巨大なヘビ】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[巨大なヘビ]から何度でも発動できる。
SPD : 大蛇蹂躙
【彼女のヘビ】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : サバトへの招待
小さな【体に巻き付いたヘビ】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【サバト会場】で、いつでも外に出られる。
イラスト:吉希
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●食後の運動にはちと重たくて
店の扉を開けるとそこにあるのは灰の街。
コンクリートのビルが立ち並ぶが、そこには人の生きる痕跡はない。
店の前を通る広い道路まで歩くとリリスは仕事用のゴム長靴を脱いだ。
「始めるよ」
素足でアスファルトの上に立ったオブリビオン。
従うように虚空より巨大な蛇が現れ、彼女に付き従う。
「とりあえず、礼は言っとく。アタシのラーメン食べてくれてありがとな。ここからはアンタたちに付き合ってやるよ……だが」
リリスの肩から首を伸ばした大蛇が喉を鳴らし、威嚇の姿勢を見せる。
「この蛇――オーションが許すとは思わないでおくれよ」
そして快活にオブリビオンは笑った。
「そういう事だ。勿論アタシも全力で殺しにかかる。それがアタシだからね」
蛇と共に構える姿は半身、握った右拳は顎、そして左腕はだらりと下がる。
「何のためにこの姿になっているかだって何となく分かっている。でもね、アタシはラーメンを作りたいんだ。そして人をそれで死なせたいんだ。矛盾してると思うだろ? でもね、アンタ達だってそんな感情あるだろ?」
空に向かって打ち込むは鞭のようなスナップの効いたジャブ一発。
「店でも言ったけれど、それがアタシ達っていうものなんだよ」
蛇のように二股に分かれた舌先を見せたリリスがフットワークを刻み始めた。
「湯切りと鍋を振るって鍛えた腕、どてっ腹に叩き込めばただじゃすまないよ」
そろそろ終わりの始まり。
食後の運動には重すぎて、消化するにも時間がかかる。
それでも戦わねばならない。
それが銀の雨降る世界の定めだから。
亡霊に情けは要らない。
猟兵なら過去を狩れ。
――未来のために。
エリー・マイヤー
ラーメンで人を死なせたいですか。
だったら蛇ではなく、ラーメンを操って殺…げっぷ。
すいません、お腹が辛いんですが、今戦わないとダメですかね。
ダメですかチクショー滅びろゴースト。
まず攻撃を食らいたくないので、外向きの念動力で周囲に壁を作ります。
なんか肉体派みたいですし、普通に拳で破られそうですが…
まぁ、ないよりはマシです。
そのまま引きこもりつつ【念動グローブ】で蛇を掴み、
鞭のように振り回してリリスさんを攻撃しましょう。
この蛇、ユベコを捕食してコピーするんでしたっけ?
念動力って食えるんですかね…一応口周りは避けますか。
…そうそう、滅ぼす前に一つだけ。
アナタのラーメン、結構好きなヤツでした。
ごちです。
栢沼・さとる
リリスさん、あなたの作るラーメンは間違いなく美味しかったです
でも、あなたがオブリビオンなのもまた、間違いない
ならば……私も全力で参ります!
とはいえ、胃が、胃が……
七支刀を杖代わりにしてようやく立ちながら
【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】発動です
どちらかというと優しい雨で少しでもコンディションの回復を図り
万色の稲妻での攻撃は副次的効果になればいいな、なんて……
巨大なヘビへは七支刀を大きく振るっての「斬撃波」で迎撃を
なけなしの力だけど「リミッター解除」で全力を出し切る!
「天候操作」で局地的に万色の稲妻を降らせてもいいでしょうか
持てる力全てを振り絞って、リリス店主に挑みましょう!
●足取りは重く
食事は心を満たしてくれるはずなのに、彼女は満たされない。
だから、彼女達は戦う。
それが役目だから……なのだろうか?
「ラーメンで人を死なせたいですか」
エリー・マイヤーが少しずつ距離を取り、機を伺う。
「だったら蛇ではなく、ラーメンを操って殺……」
エリーは全てを話し終えることが出来ず口元を抑えた。
お腹が……一杯だった。
今のところは淑女たる尊厳は守られている。
だが、それも激しい動きや腹に衝撃を受けなければ……だ。
「ラーメンで操るのは好きじゃないんだよ。それだったら腹いっぱい食べさせて、食いすぎで殺したいよ……その方が楽しいじゃないか」
距離をゆっくり詰めるかのようにリリスはにじり寄り、先程とは違う笑みを見せる。そこに居るのは――ハンター。
「すいません、お腹が辛いんですが、今戦わないとダメですかね」
オブリビオンの傍らに居た蛇が威嚇した。
「ダメですかチクショー滅びろゴースト」
普段以上に抑揚のない口調でフラスコの女は自らの周辺に障壁を張り巡らせた。
エリーへと距離を詰めにかかったリリスの前に立ちはだかる猟兵がいる。
「リリスさん、あなたの作るラーメンは間違いなく美味しかったです」
栢沼・さとるのこめかみに冷たいものが流れた。
「でも、あなたがオブリビオンなのもまた、間違いない」
足取りは重たく、何かが身体を引きずるよう。
「ならば……私も全力で参ります!」
決意と共にさとるは七支刀を杖代わりに立ち上がる。
……重たいんですね?
その汗も……脂汗ですか?
「とはいえ、胃が、胃が……」
「分かっちゃいるけど、情けはかけない。それがアタシの出来る唯一の事さ」
胃の重さに苦しむ嵐の王の目の前にリリスが踏み込む。
一撃を叩き込み、そこからユーベルコードへとつなげていく構えだ。
けれど、それを黙って受けるほどさとるは甘くはない。
大地に突き刺した七支の刀が火花を帯びると空が曇り、雨を呼ぶ。
ヘヴンリィ・シルバー・ストーム
天 雨 ・ 白 銀 ・ 嵐 撃
万色の稲妻がオブリビオンの突進を食い止めた一瞬、わずかに軽さを伴った嵐の王は淫魔の傍らに居た巨大ヘビに向かって剣を振りあげ、出せる限界を超えた全力の斬撃と衝撃を叩き込む。
蛇が天を仰ぐように仰け反り、そして何かに掴まれた様に動きが止まる。
「やっと……」
呟くのはエリー。
「軽くなりました」
銀色の雨は敵に雷を、仲間に優しき雨を与え回復に導く。
動きの自由を得たフラスコの女は念動力を引き出し、見えざる手をして獲物を――掴む!
Psy Glove
念動グローブ
念動力に包まれし大蛇――オーションが宙を舞うと、巨大な鞭が如くリリスに叩きつけられる。
「ガハァッ!!」
全身を強かに打ち付けられ、アスファルトを二度、三度、バウンドするオブリビオン。
体勢を立て直し、滑る大地に爪を立て、口から零れる――奇妙な偶然か赤いものを拭い、ゴーストは叫ぶ。
「雨を喰らえ、オーション!!」
大蛇は意に応え、万色の稲妻は打ち消し合い、雨はオブリビオンにも降る。
「フン……やっぱり癪だけど、この雨はアタシ達に合う」
亡霊を蘇らせる銀の雨。
残留思念に、過去に、形を、質量をもたらす雨はリリスの傷を癒す。
「……そうそう、滅ぼす前に一つだけ」
逃がさないとばかりに今度は念動力による障壁をリリスと大蛇を囲むように形成しつつエリーは口を開く。
「アナタのラーメン、結構好きなヤツでした」
直後、障壁を駆け上がるのはさとる。
「ごちです」
同時に振り下ろされる七支刀。
「ありがとよ」
しなるようなジャブで刀を叩き落とし、リリスが応える。
「あ……あああああああっ!!」
咆哮が如き叫び声。
嵐の王が振るうは王の剣。
何度も放たれる拳と刃がぶつかり合い、意地と意地がぶつかり合う。
一合!
二合!
三轟!
そして……鋭いボディブローがさとるの腹を抉った。
その場に膝を着く、かつての能力者。
「おわりだよ」
決着を着けるべく、大蛇は口を開く。
「終わりじゃ……ない!!」
天を向き、さとるが叫ぶ。
直後、稲妻が光の柱となってゴーストを貫く。
天候操作による局地限定攻撃。
念動力の障壁が余波を反射させ、余すところなく雷はリリスを灼いた。
「まだ……終わりじゃないです」
距離を取り、エリーの傍らに立つさとる。
足取りはおぼつかず、もう戦うには厳しい。
だが、彼女の言う通り終わりではない。
続くものが、影と共にリリスへと走った。
戦いは始まった。
その口火を切ったのは、二人の女。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アノルルイ・ブラエニオン
これがかつて、リリスが味わったモノなのか
今、体全体で感じている
私は…この上ない満足感に包まれている
だが、奴はリリス、我らの敵だ
それに変わりはない
「せめて私がお前のラーメンを語り継ごう」
それが私にできる精一杯
ラーメンとそれに込める彼女の想いに対する敬意
私は言葉と音楽でそれを示すだろう
今の状態では立って演奏しながら歌うなどとてもできない!
だが、指一本動かせれば十分だ
私がリュートの弦を鳴らせば音楽が生まれ
そこに魔法は完成する
Because I'm a "Sound-Soldier"
だって私は吟遊詩人なのだから
たとえ何をされようと、リュートから手は離さん
●語り継がれる詩
影を振り払い、颯爽と現れるのはエルフの若者。
その場に膝を着くと、リュートを片手に胸元に手を置く。
「これがかつて、リリスが味わったモノなのか」
アノルルイ・ブラエニオンの心に満たされたもの。
「今、体全体で感じている。私は……この上ない満足感に包まれている」
オブリビオンが求めてやまない食という欲望に秘められし充足の重み。
だが、その重みを彼から立ち上がる力を奪う。
「立たないのかい?」
リリスが問えば。
「立たないのではない……立てないのだ!」
エルフは答える。
そう、立てなかった。
理由は……聞くまでもないだろう。
「なら――」
拳が打ち下ろされるようにアノルルイに叩き込まれ、その白い肌に蛇が伝う。
「腹一杯になって死にな」
闇が視界を覆った。
アノルルイ・ブラエニオンが目を開くと、そこに並ぶのは無数のラーメン屋台。
目から光を失った人々が屋台に向かい、呪文を唱えると詠唱に応じた『それ』が提供され、人々はただ無心に喰らう。
「サバト会場……なのか?」
エルフが周囲を見回した時。
「ニンニク入れますか?」
誰かが問いかけた。
誘惑。
魅惑的な呪文に対し、首を振り、アノルルイはリュートを奏でる。
いつもの帰り道
夜明けのビルの谷間
夕暮れの中
ガード下に並ぶ人々
それは心を満たす一つの器
満足以上のヤサイとブタ
二つに割った割り箸で
掴むそれは――
――詩
立つことなどできなかった。
だが指が動けば、音楽が生まれ。
言葉を紡げば、魔法は生まれる。
Sound ・ of ・ Entais cloak
サウンド・オブ・エンタイスマント
感動が全てを打ち砕き。
呪いは今、解かれん。
「どういう……ことだい?」
呻くようにリリスが呟く。
ユーベルコードは確かに効いたはず。
閉じ込めたのだ、未来永劫のサバト。
ラーメンサバトの魔牢へと。
「お前はリリス、我等の敵」
リュートを奏でながら、アノルルイは応える。
「それに変わりはない――だから」
ラーメンとそれに込める彼女の想いに対する敬意。
「せめて私がお前のラーメンを語り継ごう」
吟遊詩人たる男はそれを詩にした。
「おのれ……!?」
なおも拳を振るわんとするオブリビオン。
だが、その足は言う事を効かない。
Because I'm a "Sound-Soldier"
「だって私は吟遊詩人なのだから」
「……ありがとよ」
アノルルイの詩は届き。
リリスの頬に何かが伝う。
「ふん……つまんないもん見せたね。続き、やろうか?」
女は拳を握る。
それは猟兵と同じくらいに重い何か。
成功
🔵🔵🔴
黒木・摩那
さすがにブタダブルヤサイマシを2杯はやりすぎました。
お腹が痛いです。
しかし、ここでリバースしては、せっかくの味が台無しです。
やられるわけにはいきません。
むしろ腹ごなしとして、役立たせていただきます。
魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
剣にUC【偃月招雷】でサイキックエナジーを満たします。
オブリビオンからの攻撃は【受け流し】することで回避しながら、
【ダッシュ】で踏み込み、【重量攻撃】【リミッター解除】でふっ飛ばします。
いいラーメン作る人は本当は倒したくはないですが、オブリビオンは別です。
とても残念です。
トリテレイア・ゼロナイン
どちらが戦場で果てる事になるにせよ、罪な御方ですね、貴女は
未試行のトッピングやパターン…心残りを残すのですから
…参ります
相棒との連携…それが貴女の得手ですか!
オーションの噛みつきを脚部スラスターの推力移動併用した疾走で回避
センサーでの情報収集でリリスの接近と鞭の如き拳を見切り剣と盾で受け止め防御
得手の守勢の技で連携リズム崩し
此方の行動リズムに巻き込むように立ち回り
攻防に相手が極限まで集中し、此方のリズムに完全に対応した挟撃の瞬間
盾と剣を頭上に放り視線誘導
一瞬の虚を突き無手の格闘で迎撃
『ラーメンリリス背脂三丁目店』…その名、忘れはしません
空中の剣をワイヤーアンカーで回収
地に沈めた両者へ振り下ろし
●剣、振り下ろす時
重い足取りの中、戦いは始まり。
かつて人だったものの想いは詩となって残された。
過去は刻まれた。
ならばこそ、残滓は切り払われん。
「どちらが戦場で果てる事になるにせよ、罪な御方ですね、貴女は」
トリテレイア・ゼロナインの言葉には何かを惜しむ重さ。
「未試行のトッピングやパターン……心残りを残すのですから」
「そうだねえ、アタシとしても残念だ。アンタが猟兵で無ければ、アタシがオブリビオンで無ければ……いや、今更だね」
剣と盾を構える騎士に対して、円を描くようにリリスは側背へと回る。
「さすがにブタダブルヤサイマシを2杯はやりすぎました」
戦機の背中を守り立ちはだかるのは黒木・摩那。
「お腹が痛いです」
「食べすぎだねえ」
摩那の言葉に加担したオブリビオンが笑みを返す。
「しかし、ここでリバースしては、せっかくの味が台無しです。やられるわけにはいきません」
迷い子が抜くのは魔法剣、緋月絢爛。
「むしろ腹ごなしとして、役立たせていただきます」
「ついてこれるかい?」
猟兵の言葉に淫魔はステップを刻む。
戦いが始まった。
拳が蛇のようにしなる。
フリッカージャブ。
スナップを使った変則的にして高速の打撃。
リリスの拳撃に摩那の足が止まる。
「どうした? 足が動いてないよ」
そこに隙を見た淫魔の身が捻られると生まれた隙間から大蛇が牙を剥く。
直後、迷い子の姿が消えた。
サイドステップ――横に飛んだところを戦機が盾を構え前進、スラスターを噴射。
自ら飛び込むことで蛇に盾を当て、その軌道をずらす。
「相棒との連携……それが貴女の得手ですか!」
「よくわかったねえ!」
トリテレイアの言葉に喜色満面のオブリビオン。
目標を騎士へと変更し、再度ジャブを打ち込む。
しなったフリッカーが大盾を叩き、間髪入れずもう一度。
隙を伺う騎士へフットワークで距離を埋めストレート、そして追い打ちのフリッカー。
視界を幻惑するは陰の拳。
乱撃の中、対するトリテレイアは一発一発を受け止め、ゆっくり前に進み盾で圧力をかけていくことで抗わんとした。
「チィッ!」
舌打ちが漏れ、盾に一撃。
意識をそちらに持っていかせてリリスは距離を取らんと図る。
刹那――騎士の剣と盾が空へ舞う。
突如の行為。
それが罠だと気づいた時には戦機は淫魔へと肉迫していた。
MachineKnights Puppet dance
機械 騎士 の 傀 儡 舞
鋼鉄の拳がオブリビオンの腹を抉った。
「ラーメンリリス背脂三丁目店……」
呟くように発音するトリテレイア、掲げた右腕からワイヤーアンカーが伸び、剣を掴む。
同時に飛ぶ摩那。
その剣には雷の煌めき。
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了!」
迷い子の剣にルーンが輝き理力の刃が形成される。
Épe d'Éclat
偃月――招雷
「……その名、忘れはしません」
騎士が宣誓した。
同時に二つの刃がリリスと大蛇に叩き込まれ、オブリビオン達はアスファルトに叩きつけられ、大地に亀裂を刻みつつ、反動でその身を跳ね飛ばした。
「……まだだ」
けれど淫魔は立ち上がる。
足取りは別の意味で重い。
「まだ終わっちゃいない!」
どんなに非道でも立ち上がらなければならない理由があるのだから。
だが戦局は――物語は終わりへと進む。
どんな大盛のラーメンだって
どんなに殺しあったって
終わりは来る
そこにあるものときえるもの。
それを決めるために。
永遠は打ち砕かれる。
猟兵という存在によって。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ニールニャス・ヒサハル
にゃびき(なびき(f02050)と
あのデケーへび、俺様的にはにゃーんかやなんだよにゃぁ……
にゃんつーか頭から食われそうっつーか……?
腹一杯でさっさと帰りたくなってきた俺様は!金で!解決する!!
UCゴーイング・マイウェイ
ほんとは!財布薄くなるの!やにゃけど!!
背に腹はかえられにぇえし
つか俺様今機敏じゃにぇえし。腹重すぎて無理だし?
(なびきをちらちら)
あとは俺様とコイツらの爪が頼りだからにゃあ!!
(戦闘はやや船員頼り。お腹タプタプで避けるのに必死で跳んで跳ねての大立ち回りしながら口を押さえる)
にゃびき!耐えろ!!おみゃーカッコいいUDC職員にゃんだろ!!
にゃから……ん゛んっ、たからが待ってんぞ!!
揺歌語・なびき
ニールニャス(f33800)くん
あーわかる
丸呑みされそうだもんね、きみ
ちょっと腹ごなしに運動しとこうか
あんまり急には走れないんだけど
桜の眼差しで気を惹いて【誘惑
ニールニャスくんから敵の意識を逸らす
やり方が違うとしても
結局死なせたいのは一緒なんだろ
なら、おれ達はおまえを殺すさ
だって、付き合ってくれるんだろ?
威嚇射撃で蛇から距離離し
拘束具を放ち蛇の動きを封じる
攻撃は己の勘で見切る【第六感、野生の勘
あとはねこちゃんズにお任せし…あ、やば
三十路にはさすがにきつ
おえ
(励まされてほわんほわんほわんイマジナリー羅刹
かっこいい覚えはないけど食べ物粗末にする男ではな ぐえー!
美味しいラーメンを
ぜったい、出さない
●男達のプライド
オブリビオンにも負けられないものがあるように男達にも譲れないものがあった。
「あのデケーへび、俺様的にはにゃーんかやなんだよにゃぁ……」
ニールニャス・ヒサハルはリリスが従える大蛇を一瞥し呟いた。
「あーわかる」
揺歌語・なびきが同意する。
「にゃんつーか頭から食われそうっつーか……?」
ニールニャスの言葉になびきが頷いた。
「うん、丸呑みされそうだもんね、きみ」
確かに定規と同じ長さのカトラスが似合いそうな猫なら、ひと呑みだろう。
そんな中、オブリビオンは呼吸を整え、従えしオーションは牙を見せ猟兵を威嚇し、時を稼ぐ。
「……待たせたね」
仕事をした蛇を撫で、リリスは前に出る。
「やろうか?」
「そうだね」
「やってやニャー!」
三者三様。
言葉が交わされ、敵味方ともアスファルトを蹴った。
前に出たのはオブリビオンと狼。
「ちょっと腹ごなしに運動しとこうか」
なびきがリリスの目に視線を注ぎ、そして
「あんまり急には走れないんだけど」
肩を竦めた。
「そりゃ、災難だねえ」
淫魔が距離を詰めようと足に力を込める。
だが、その溜めを解き放つことはできなかった。
「やり方が違うとしても、結局死なせたいのは一緒なんだろ」
桜の眼差しがリリスを貫く。
「なら、おれ達はおまえを殺すさ」
「くっ……」
何かに縫い付けられるように動けないオブリビオン。
誘惑と称した死への誘い。
それを裏付ける掌に収まるほどの小型拳銃。
ハロー、グッバイ、此処で終わりだ。
「だって、付き合ってくれるんだろ?」
「ああ、そうさ!!」
なびきの言葉を振り切るかのように淫魔は叫び、蛇はさらに巨大化した。
狼の掌から炎が吹いた。
火薬の弾ける音。
空を切る硝煙の匂い。
銃弾は巨大蛇を打ちぬくことは無かったが、数秒、動きを止めるに充分な一撃であった。
間隙を貫くかのようになびきは走り、手枷がリリスの両手を戒め、ロープと猿轡が蛇を封じる。
トガモツモノヲイマシメヨ
咎 力 封 じ
オブリビオンのユーベルコードが封じられ、機が訪れた。
ニールニャスは財布を掲げる。
ゴーイング ・ マイウェイ
俺は勝利を金で買う
(ほんとは! 財布薄くなるの! やにゃけど!!)
どこからか金貨が落ちる音が響いた気がした。
「背に腹はかえられにぇえし」
財布は重さを失い、積み重ねた物を失い、そして。
「つか俺様今機敏じゃにぇえし。腹重すぎて無理だし?」
幽霊猫船員と共にリリスへと飛び掛かった。
視界の中に入ったなびきは最早限界だった。
……無理もない。
さっき、完食と引きかえに天に召された直後なのだから。
「あとはねこちゃんズにお任せし……あ、やば」
足に力は入らず、腹に溜まったものが呪詛と変わったかのようにアラサーの身体がそれを拒まんとする。
「三十路にはさすがにきつ……」
「にゃびき! 耐えろ!! おみゃーカッコいいUDC職員にゃんだろ!!」
膝を着く狼に猫は叫ぶ。
その間にもリリスは拳を放ち、蛇は襲う。
だが男にも守らねばならないものがある。
「にゃから……ん゛んっ、たからが待ってんぞ!!」
オブリビオンのパンチを潜り抜け、幽霊猫達に場を任せつつニールニャスは魔法の言葉を引き出す。
だが、これ以上はもう無理だ。
分かっている……分かっているんだ、自分の身体が限界だという事を。
猫が口元を抑える中、なびきは心の中の大事なものを思い出す。
それは羅刹の少女。
触れれば壊れてしまいそうな黒曜石。
――なびきは格好良いです。
(格好良い覚えは無いけど、君が言うなら)
――だから、食べ物を粗末にしないと信じます。
(おれは……おれは……)
「あ、でもキツい」
それでも引っ張る鎖。
リリスを拘束する狼の顔からは血の気は失せている。
だが……
「美味しいラーメンをぜったい、出さない」
食べ物、約束、矜持、意地。
譲れない何かの名は――
「よくやったニャ」
猫の爪に動きを止めたオブリビオン、その額を射ちぬくのはニールニャスが投げた一枚の金貨。
貫くその名は――
――プライド
男達は譲れないものの為に戦い。
そして
「…………ニャフン!」
「…………ぐえ!」
……限界を迎え力尽きた。
(生きてます)
「アンタ達がうらやましいよ」
額から赤いものを流しつつ、リリスは身を起こす。
「アタシにはラーメンを作ることしかなかったからね……」
それは羨望かそれとも別の何かか。
どちらにしてもリリスには選択肢は無かった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
荒谷・つかさ
その礼に対しては……ご馳走様でした、って応えるべきかしらね。
少なくともさっきまでの貴女と私は、ラーメン店の店主と客でしかなかったのだから。
でも、今からはただのオブリビオンと猟兵。
全力で当然、お互いに遠慮は無しってことでいいのよね?
深く深呼吸しつつ【超★筋肉黙示録】発動
重心は低めに、丹田にしっかり力を込めてどっしりと構える
相手は速そうなので迂闊に追わず、じっくりと迎撃していく
満腹の腹にパンチ直撃は普通なら危険が危ないけれど
私の腹筋なら(「怪力」及び【超★筋肉黙示録】の補正込みで)打撃を受け止め衝撃を無効化する程度は造作も無いわ
コードを捕食したそうなら敢えてさせてやる
どうせならより強い相手と戦って楽しみたいもの
彼女は調理を通して鍛えた肉体に肯定的な態度を示していたし、どの程度【超★筋肉黙示録】を扱い切れるのか興味があるわ
勿論、私が負けるとは欠片も思っていないけれどね
矛盾、か。
最強で在りたいという思いと、私より強いものに倒されたいという思い。
これも私の感情の矛盾なのかしらね。
●ご馳走様でした、そして……
最後に立つのは羅刹が独り。
「その礼に対しては……ご馳走様でした、って応えるべきかしらね」
荒谷・つかさが拳を握る。
「少なくともさっきまでの貴女と私は、ラーメン店の店主と客でしかなかったのだから」
摺り足で歩むは武の運足。
「でも、今からはただのオブリビオンと猟兵」
呼応するようにリリスもフットワークを刻む。
「全力で当然、お互いに遠慮は無しってことでいいのよね?」
「ああ」
オブリビオンは応え。
「それがアタシ達ってもんだ」
互いに大地を蹴った。
ジグザグにフットワークを刻み、間合いを詰めるリリス。
それに対し、つかさは深く呼を吐き、吸を肺に。
重心を落とし、円を描くように掌を回せば、顕現するのは経典。
Hyper Muscle Apocalypse
超 ★ 筋肉 黙示録
しなる鞭のような淫魔のフリッカー。
羅刹がそれを受け止め握りつぶさんとすれば、一歩踏み込んだリリスのショートレンジのレバーブロー。
衝撃が浸透し――そして霧散した。
黙示録にはこう書いてある。
『硬く鍛えた腹筋ならば、鉄の弾とて包み込み、衝撃は体液が受け止める。剛柔こそが筋肉の秘伝也』
――と。
間髪入れずにつかさの肘がリリスのこめかみへと叩き込まれる。
横殴りに転倒するオブリビオン。
「オーション!」
従いし大蛇は主の意を忠実にこなす。
牙を剥き襲い掛かれば、羅刹の腕に食らいつき、そして経典を知る。
蛇が咆哮する。
しなやかなその身に、備わるは更なる膂力。
横殴りの尾の一撃がつかさに襲い掛かれば、それを片手で受け止めるのもつかさ。
「超★筋肉黙示録を読んでこれとは甘い!」
「まださ!」
だが、戦いはそこで終わらない。
羅刹の目の奥に火花が散った。
立ち上がったリリスがステップインとともに放ったストレート――ジョルトブローが眉間を撃ち抜いたのだ。
「終わらないさ! いくよ!」
大蛇がその頭をぶつけてくる。
質量+パワー=破壊力。
瞬間的な発揮される強大な破壊力に怪力を以てしても耐え切れず、つかさがたたらを踏む。
サイドからオブリビオンが回り込み、踏み込み、肩を回して放つはロシアンフック。歩が乱れたその頭へと叩き込まん!
だが、その拳は猟兵に届くことは無い。
「矛盾、か」
相手よりさらに一歩踏み込むことで体勢を立て直したつかさが勢いを乗せた肘をリリスの鳩尾へと突き刺さしていたのだから。
続くのはアスファルトに亀裂が入るほどの踏み込み、地面からの反発を乗せたかち上げる掌底。
オブリビオンの顎が跳ね上がった。
「最強で在りたいという思いと、私より強いものに倒されたいという思い」
叩き込むは自らも探し、そして求める拳一発。
「これも私の感情の矛盾なのかしらね」
倒れゆくリリスを前に、つかさは呟いた。
――ああ、そうかもね。アタシ達はそういう生き物なんだろう。でもね……食べてくれてありがとうよ。
その言葉に応えた者の姿はどこにもいなかった。
戦いは終わったのだから。
●繋がりし、運命の糸
リリスは破れ、特殊空間は消え、猟兵達は現実世界に解放される。
「あのー、あんなのありましたっけ?」
フラスコの女が示す先には巨大なる白い繭。
それがドーム状に街を一つ覆う姿が遠くに見えた。
「私達が来た時には無かったはずです、メモリーにも記録されておりません」
戦機が呻いた。
「嫌な気配がしますね」
迷い子が眼鏡の位置を直しながら、呟く。
こめかみからは汗が零れた。
「運命の……糸」
かつての能力者が呟いた。
「どうゆうことニャ?」
猫が問いかける。
「この世界はメガリスや特定の言葉を知ることで世界結界に隠された真実を知ることが出来ます。私達は国見・眞由璃の予兆を知り」
「そして、この世界にかかわった――それで運命の糸がつながったんだね」
嵐の王の言葉に狼が答えを返す。
戻ってきたのは頷き。
「なんにしても……」
羅刹は拳を握る。
「私達はまだ、やることがあるという事ね」
不条理な食の欲望が生み出す亡霊はここに終わりを告げた。
だが、それは始まりの切っ掛け。
運命の分岐点が今――現れた。
大成功
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