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死は終わりではなく

#グリードオーシャン #シーシアス・アヴァリシア #猟書家の侵攻 #猟書家 #メガリスボーグ #戦艦島

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●死を糧に生きる者たち
 グリードオーシャン。それは奪い奪われが常の強欲の世界。
 奪うために最も簡単な方法は何か。それは相手を死体にすることだ。死体は決して抵抗しない。取りたいものを好きなように取っていける。中には船や島ごと滅ぼされ、全てを奪われることもこの世界では珍しくない。
 そして、取るものを取られた骸は捨て置かれる。なぜならそれはもう略奪者、捕食者にとっては価値のないただのゴミでしかないのだから。
 だが、ある者にとっては無価値でも別の者ならば価値を見出すこともできる。捨て置かれた遺骸から残された者をはぎ取り、自ら喰らい、あるいは他の者へと売りさばく。スカベンジャー、屍肉あさり、蔑称の意思を込めて言われることも多いそれには、だが戦場の掃除屋や格安の武具商人として明確な需要があった。
「ひひ、勿体ない勿体ない……こんなに色々残して……」
 死体の散らばる巨大船の上を這いまわって何かを拾うこの少女も、それを生業とする者か。
 転がる死体を躊躇なくまさぐり、その体から残った衣服や装備、さらには肉や骨までも剥ぎ取りぶら下げた袋に放り込んでいく。
 彼女だけではない。その船の上では、同じ顔をした少女が死体や積荷、船体そのものまで解体しては次々袋に放り込んでいた。
 その壊れた床、その隙間から同じ少女が顔を出す。
「掘り出し物あったよ。この船、メガリスで動いてた……」
 にやにや笑いながら報告する少女。それを聞き、物あさりをしていた方はやはりにやにやといやらしく笑う。
「動力メガリス……たしか注文入ってたよね? メガリス持ってくといい値付けてくれるんだよねあの人……」
 その時、その壊れた船に別の船が横付けされ、渡された板から何人かの海賊が乗り込んできた。
「くそ、遅かったか!」
 先頭に立つのは粘液を人型に立ち上がらせたような存在……ブラックタールの、恐らくは男性だ。彼らが乗り込んできた瞬間、少女達は一瞬で船の隙間や物陰に隠れその存在を悟らせない。
「あれはお客さん……いや、あれも売った方がいいかな? 死体作るの得意じゃないんだけどね……」
 少女たちは物陰から、粘液の中央にその核のように浮く球体にいやらしい視線を向けていた。

●無用の死を齎させぬために
「お疲れ様です、グリードオーシャンでの、依頼です……」
 アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵にぺこりと頭を下げる。
「今回行って欲しいのはグリードオーシャン、敵は偽猟書家『シーシアス・アヴァリシア』です」
 羅針盤戦争後に現れた、全身をメガリスに変えた異形の宝人だ。
「今回も戦艦島の動力となっているメガリスを奪いに……というか、買いに来ます」
 買いに、というのはどういうことか。確かに知性はそれなり以上にありそうな相手だが、そのような手段をわざわざとるほどの平和主義者ではなかろう。
「今回の島は元ダークセイヴァーの人たちが多く住む大型船だったのですが、コンキスタドールの襲撃で島民が皆殺しにされてしまいました。それをしたコンキスタドールは既に撤収済みなのですが、そこに『屍魂屋リジア』という別のオブリビオンがスカベンジに来ていて、彼女たちが動力であるメガリス『反魂香』を見つけてシーシアスに売ってしまうのです」
 七大海嘯の例を引くまでもなく、コンキスタドールは一枚岩ではない。襲う者、漁る者、買い付ける者と様々な立場の者が互いを利用し合っているのだ。
「彼女たちは死の気配の濃い場所に現れ、その残骸を回収しては売っています。遺留品や死体そのもの、建材、その気になれば魂までサルベージしていけるとも……客は選ばず時には人間とも商売するようですが、今回は上客のシーシアスの味方をするようです。一人一人はとても弱いですが、数が多くて逃げ足が速く、死体や時には生きている相手にも奇襲をかけて使えそうなものを奪い、即席の武器にして戦います」
 実力は低いが、そもそも実力勝負を好まない。卑怯と言えば褒められたと取るような相手だろう。
「もちろん彼女たちだけでなく、船の奥にはシーシアスも来ています。彼は買ったばかりのメガリス『反魂香』を自分の体に組み込んでおり、それによって死んだこの船の住人を操ってきます。ありていに言えば、【ゴースト・リボーン】を使えるようなものです。見た目はシャーマンズゴーストじゃなくてそのまま動くみたいですが……」
 戦場で気絶、あるいは死亡している相手を自分の配下として操るユーベルコード。元がダークセイヴァーということとメガリスの名前を考えれば、今回はどちらかと言えば死霊術由来のメガリスなのかもしれない。戦闘で利用してくるが、彼の最終目的を考えれば、死んだ住人達を使って船を動かしてグリモアベース侵略のための旗艦とするのが本来の利用目的だろう。
「それから、ここには船から救援要請を受けて駆け付けたメガリスボーグの軍団がいます。『スーパースターズ』という海賊団の戦闘部隊で、残念ながら救援は間に合わなかったのですが、メガリスを体に埋め込んでいるということで彼らもリジアやシーシアスに狙われてしまいます」
 彼らはかつて自分の母艦にもシーシアスに乗り込まれたことがあるという。
「部隊長はブラックタールで、極端な閉所での隠密戦に対する知識があります。リジアたちがどこにどう隠れ襲ってくるか、シーシアスのいる場所まで効率よく行けるか、そう言ったことに関して聞いてみてはどうでしょう」
 もちろん直接戦闘力も高い。一度猟書家の襲撃を受けた身であり話も早い事だろう。
「先日は骸の月を二つ押し返せました。この調子で、これ以上の侵攻を許さずこちらのペースに持ち込みたいです。どうか皆様、よろしくお願いします……」
 アレクサンドラはそう言うと、グリモアを起動し死臭漂う船上へと猟兵を送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。ネタに困ったらマイ宿敵をいじります。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……メガリスボーグ戦士団と協力する』

 第一章では『屍魂屋リジア』との集団戦です。フナムシを擬人化したような少女達で、戦場跡や難破船などに現れては死体や廃材を剥ぎ取っていき誰彼構わず売り捌いています。戦闘になると死体や廃材で作った即興の武器や他人の持っている武器を分捕って攻撃します。基本的に弱いですが、逃げ回っては小さな隙間に隠れ集団で奇襲をかけてきます。戦闘開始時も基本的には隠密状態です。

 第二章では『シーシアス・アヴァリシア』とのボス戦です。彼は本来の能力の他、メガリス『反魂香』の力で【ゴースト・リボーン】を使ってきます。これは能力値別の行動とは別に行ってきますので、実質二つのUCを使えるのと同じです。死体はそこら中にいくらでもあるので、材料には困りません。

 島にはメガリスボーグ海賊団『スーパースターズ』の戦闘部隊が乗り込んできています。彼ら自身一度シーシアスと戦ったことがあるためその辺りについての説明は不要です。部隊長はブラックタールなので、敵の得意とする狭い隙間への潜入、隠密への対策や、通常では進みがたい場所へ先行しての進路確保など人型ではしづらい動きや発想を任せられます。もちろん普通に戦ってもそこそこ強いです。うまく利用してみてください。

 それでは、プレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『屍魂屋リジア』

POW   :    市場調査
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【散開、隠密からの奇襲や群れを成しての攻撃】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD   :    緊急入荷
【後で売れそうなものを奪うための攻撃】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【実体のないものさえ入れられる袋】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ   :    実演販売
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【調べ使えそうな部位を奪い取り、即席の武器】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:mappa

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 コンキスタドールによって滅ぼされた巨大船。死臭漂うその船上に乗り込んできた海賊団『スーパースターズ』戦闘部隊は、救援が間に合わなかったことを悔いつつ散らばる骸を検分する。
「ひどいな……死んだ後でさらに解体されている」
 致命傷と思しき深い傷以外に、死んだ後で着けられたと思しき出血の少ない傷や体の欠損。いったいだれがどのような目的でやったのか。慌てた緊急入電からは詳細な状況を聞き取る間もなかった。船の上で暮らす者同士の誼もあり援軍に来たが、もしかしたらとんでもない状況に飛び込んできてしまったのかもしれない。
「生き残りがいるかどうか探すぞ。だがやったやつもどこかに隠れているかもしれない。油断するな」
 部隊長であるブラックタールの男は、従う団員たちに指示を出す。
 その動きに乱れはないが、一方で彼らはまだ気づかない。自らを獲物として見る、僅かな隙間や小さな影から注がれる強欲な視線に。
 命の全てを奪われたこの船からこれ以上の窃取を許してはならない。猟兵よ、彼らにここに潜む危険を教え、共に隠れた敵を引きずりだせ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、これは酷いですねぇ。

【酷郭】を発動し『裁域』を形成、『律』への抵抗力の差から相手の居場所を探りましょう。
並行して海賊団の方に接触、『FMS』のバリアで全員を囲い、守りを固めた上で状況を説明しますねぇ。
『戦場の利用』も、物品や建造物は私の『裁域』の範囲内、物品を操作して隠れ場所を暴いたり、不意打ちに合わせ『大気』や『床』を爆破して[カウンター]等、攻め手を封じるのは容易ですぅ。
後は「『裁域』外まで脱出した場合の逃走」も踏まえた「逃走経路の選択」を部隊長さんに尋ね、其方を潰すよう『大気の爆破』で封鎖しつつ『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃で叩きますねぇ。



 死臭に満ち満ちた船の上。コンキスタドールによってなされた虐殺の跡。まだ新しい血が船を満たし、さらにはその屍さえが何者かによって辱められている。
「成程、これは酷いですねぇ」
 その状況を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は端的にそう言い現わした。
 突然現れた来訪者に先行していた海賊、『スーパースターズ』の戦闘部隊は身構えるが、その姿を見るとすぐに武器を下げる。
「あんた、確か前にうちの船に……」
 彼らの船もかつて偽猟書家の襲撃を受けたことがあり、その際にるこるは彼らの救援に向かったことがあった。そしてその際るこるを先導したブラックタールこそが、今回の救援部隊の部隊長でもあったのだ。
 見覚えのある顔の登場、そしてその際の事件の記憶から、この件がただの海賊同士の争乱や押し込みでないことを彼らは察する。
「はい、あの時と同じ相手がこの船にやってきます。ここを襲ったのとはまた別ですが、放置すれば被害をより広げていくのは確実かと。さらには既にこの周囲に皆さんのメガリスを狙う敵も隠れています。気をつけてくださいねぇ」
 彼らの前で、るこるはバリアを展開し守るように囲みつつ、今の状況を説明した。もちろん守っているだけでは相手を倒すことは出来ない。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
 るこるは重ねて【豊乳女神の加護・酷郭】を発動、周囲を『裁域』で包み込む。中にいる者全てを爆破あるいは操作できる強力な空間だが、同時にそれに抵抗することもできる。いかに弱いとはいえ、どこにいるのか分からない相手を自在に操作するのは困難を極めるだろう。もちろんそれには考えがあった。
「『律』への抵抗力の差から相手の居場所を探りましょう」
 抵抗を感知できればそこに敵がいるということ。大まかな位置さえわかれば、後はその辺りの物品を移動、破壊してしまえば良い。
 半分割れた床板を爆破すれば、まさに隠れていた虫が逃げ出すかのように、そこから何人もの小柄な少女が飛び出してきた。
「ひひ……いじわる……」
 いやらしい笑いを浮かべながら一斉に飛び掛かってくる相手を、目の前の空気を爆発させて押し返す。弱いという前情報通りに簡単に相手は吹き飛んでいくが、それを合図にしたかのように別方向からも次々フナムシ少女の群れが飛び出してきた。
 それに対しては、自身の周囲の空気や床を反射的に爆破して迎撃するるこる。爆発ならば正確な狙いは付けられなくとも当たるし、相手の弱さから不完全な当たりでも撃退は出来る。さらには周囲の地形を破壊することで隠れる場所もなくすと、相手の得意を封じるるこる得意の戦法に持ち込む形でリジアの群れを押し返していった。
「だめだね……これは諦めよ」
 叶わないと見るや早々に撤退を計るリジアたち。そもそも彼女たちの目的は物あさりであり積極的な交戦は好まない。だが、向こうに戦う理由がなくてもこちらにはあるのだ。
「見ての通り今の敵は小さな隙間に隠れて逃げてしまいます。そういう人たちならこの船からどう逃げますか?」
 人が通れぬような隙間を通って逃げるのはリジアたちの得意技。だが、それを得手とするのは彼女たちだけではない。
「下か横……まずは船の外壁に張り付くはずだ。見た目通りなら泳ぎはそこまで上手くないだろう。水際に張り付いてしばらく機を窺うな」
 部隊長はブラックタール。体を自在に変形させ僅かな隙間に潜り込むのは種族的にできて当然の事。それ故に敵がどんな隙間を使って逃げるかも想像しやすい。そして海の男である故に、彼女らの元になっているフナムシの生態もそれなりには知っている。
 それを聞いたるこるは下側を爆破、船下層に繋がる穴をあけ、そこに浮遊兵装を放つ。兵装たちは隠れている者を追い立てるよう壁際を攻撃し、それに驚いたリジアたちをあるいは潰し、あるいは海に叩き落としていく。爆破の範囲外まで逃げても、負傷状態で海に落ちてしまえば泳ぎが得手でない彼女たちは助からない。
 追い回す兵装たちはまさに害虫駆除と言った趣で隠れ逃げるリジアたちを仕留めていく。本来フナムシは害虫ではないが、今回は色々話が違う。そして最後に、部隊長が言った通りに水際に砲撃を一発叩き込み、張り付くリジアを叩き落とした。
「狩りに来るフナムシなんて笑えないぞ」
「ですねぇ」
 スカベンジャーの分を越えたその行為の代償は高くついたと、その『駆除』は彼女たちに教えたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

高級スイーツにな~れ★
ん~美味しい♪

リジア達が羨むであろう
何でも食べ物に変える能力【化術・料理】を見せつつ徘徊し
わざと生け捕りにされ
彼女達の棲家で料理を振舞うわ。
私は【呪詛耐性】で毒見しても平気だけど
媚毒の【呪詛】入りだから彼女達はエッチな気分に♥

持ち帰らせて
巣ごと退治ってね♪

『欲望解放』で爆発的に戦闘力を高め
全員まとめて【誘惑・催眠術・範囲攻撃】で魅了

今日から私が貴女達の女王様よ。
美味しい物を毎日食べられて
猟兵にも狙われない生活を約束するわ

樹液に群がる虫の如く
私の汗を、乳を、蜜を貪る彼女達一人一人に応える様に
胸の先端を指で転がし
上下の口を濃厚なキスで【慰め・生命力吸収】よ♥



 既に乗る者も全滅し転がるのは死体だけとなった巨大船。その船体を引き剥がしていく女が一人。
「高級スイーツにな~れ★ ん~美味しい♪」
 女はその板切れを手の中でチョコレートにすると、それを一口で食べてしまった。さらに船から別の部位を剥ぎ取り、それもスイーツに変えて食べてしまう。
 ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は船を一部ずつ剥ぎ取っては化術をかけ、それをこれ見よがしに食べながら船体を歩き回っていた。
 あくまで化けさせているだけなので栄養はないし、腹の中で戻ってしまえば腹痛では済まなそうなある種危険な行為だが、それほどまでに空腹だったのか。だがその割には食べる速度は早いわけではなく、むしろやたらと歩き回り自分の姿を見せつけているようにすら見える。
 死体ばかりが転がる船の上での異様な光景。だが、彼女の足が床の隙間をまたいだ時、突如その足を掴まれその中へと引きずり込まれた。
「食べ物作れる? 高く売れるかも……」
 引き込まれた先は船の下層、入口が崩れた船体で塞がれ正面からは出入りできなくなった部屋。その中に、まさに虫の巣のようにフナムシの甲殻を背負った少女……『屍魂屋リジア』が何人も潜んでいた。普通に入る道のなくなった部屋を隠れ場所の一つにしていたのだろう。
「それだったら味見してみれば?」
 敵中に引き込まれたにもかかわらず、ドゥルールはその辺りの廃材を拾って菓子に変え、毒見として一口自分で齧ってから差し出す。それを受け取り、リジアは特に怪しむ様子もなく一口齧った。
 しばらく味わうようにじっくり咀嚼していたが、やがて勢いよく貪り始める。出自ゆえに相当な悪食なのか、素材が何であるかなどはまったく気にしないようだ。さらにドゥルールは他のリジアにもいくつも料理を振舞っていく。
(持ち帰らせて巣ごと退治ってね♪)
 その様子を見ながらドゥルールは心の中でそう笑んだ。わざわざ船の建材を変化させて食べていたのは、彼女たちに自分の能力をアピールするため。どこにいるかは分からないが見られているのは分かっているのだ。それなら文字通りに餌を見せて誘い出してしまえばいい。
 そして虫餌の中には当然のように毒が入っていて。
「ありのままの私を見せてあげる!」
 【欲望解放】で裸体となったドゥルールにも、その毒のきいたリジアたちが群がって来た。
「今日から私が貴女達の女王様よ。美味しい物を毎日食べられて猟兵にも狙われない生活を約束するわ」
 食わせた毒は媚毒の呪詛。樹液に群がる虫の如く自身の体に群がるリジアたちを愛撫しつつ、その生命力を吸い上げていくドゥルール。
 一体ずつは弱いリジアたちは体を齧る前にすぐに消えていくが、その弱さ故に回った毒には抗しきれず群がるのをやめられない。
 甘い蜜で誘い捕食する食虫植物のように、リジアを誘っては自らのものにしていくドゥルール。この場はリジア自身が選んだ誰も入ってこれない閉ざされた場所。その中で、誰にも見つからぬままに甘い捕食は続くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
絡み・アドリブOK

「奇襲を仕掛けるつもりか」
第六感で察知し対策を考える。
「任せる」
呼び出した香寿郎とバルガ、レオーナに敵の対処を任せて遺体を安全な場所へと移動させる。
「死体漁りとは悪趣味な連中だ」
「うむ、終わった後に供養せねばな」
「このような不徳、断じて赦される事ではない」
カウンターによる炎を纏った一閃や闇の魔力を纏った大鎌を繰り出す。
片刃の剣を顕現したレオーナが味方に結界を張る。
「魂すらサルベージするか」
ムーンを呼び出し幻惑による逃走阻止を行わせる。
「反魂香……破壊せねばな」
在ってはならぬもの、必ず破壊すると告げる。


ベアトリス・ミラー
ホークと行動
絡み・アドリブOK

「相手がどこに潜んでいるか分からないと厳しいですね」
ここは部隊長さんに任せて私達は準備を。
アテナと戦乙女を創造して迎撃できるように。
「いったい何を」
彼らも巻き込まれた側、ならばホークに敵が向かわない様にしなければ。
結界術で防衛したり斬撃波で離れている相手を攻撃しましょう。
逃げ場がなくなれば攻撃しやすくなりますけどまだ。
「物品の破壊も可能なら」
使ってくるようなら破壊しましょう。



 襲撃され、破壊された船の上に動くものはほとんどない。だが、その静寂の裏に何が潜んでいるかここにいる者はよく知っていた。
「奇襲を仕掛けるつもりか」
 ホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は静まり返る周囲を見渡しそう呟いた。目を凝らせば割れた床、崩れた積荷、壁にもたれる死体、小柄な者なら体を隠せそうな場所はそこかしこにある。
「相手がどこに潜んでいるか分からないと厳しいですね」
 ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)もその数多い死角を見てそう考えた。
 この船のどこにどれだけ敵が潜んでいるかは分からない。全ての死角を検めるには二人では到底手が足りないのは明白だ。
「任せる」
 ホークは【守護者召現】で巨漢バルガ、剣士香寿郎、女神レオーナを召喚する。
「死体漁りとは悪趣味な連中だ」
「うむ、終わった後に供養せねばな」
「このような不徳、断じて赦される事ではない」
 三者は口々に今回の敵に対する怒りをあらわにした。敵は死の気配漂う場所に現れ、そこにあるものを奪い去り誰彼構わず売り捌くという。自然の摂理である分解者とは似て非なるその行為は、まさに死への冒涜という他ない。
「ここは任せます。私たちは準備を整えながら先に」
 隠れる相手は多いが弱い。必要なのは多くの目と手、そして場を抑える力だ。ベアトリスは先にここに乗り込んでいた海賊『スーパースターズ』戦闘部隊長に甲板の確保を任せ、自分たちは船内の捜索に当たる意思を見せた。
「分かった。あんたたちなら大丈夫だろう」
 以前彼らの母艦に敵が乗り込んできたときにも二人は彼らと共闘している。スーパースターズたちも二人の実力は分かっており、その指示には全面的に従い上側への敵の離脱を防ぐべくその場に留まった。
「これが私の力です」
 ベアトリスもまた女神アテナとそれに従う戦乙女たちを想像から創造する。
「いったい何を」
 アテナは呼び出された理由を問うが、それが死を冒涜する者たちの駆除と聞けば手を貸すことに躊躇いはない。
 そして二人と呼び出された者たちは下へと向かって行く。やはりというか船内も破壊され尽くしており、そこかしこに死体が転がり、そしてやはりあちこちに物陰や隙間があった。
 その中を周囲に警戒しながら先へ進んでいく。そして香寿郎が一つの死体の前を通り過ぎた時、その死体をはねのけ小柄な少女が飛び掛かって来た。
「その剣、ちょうだい……」
 携える刀に向けての飛び掛かり。だが敵が来るなら必ず不意打ちと分かっていたホークの意は呼び出された者全員に伝わっており、香寿郎は即座に炎纏う斬撃をカウンターで仕掛けて相手を両断した。
「来るぞ!」
 それを皮切りに、一気に乱戦が始まる。バルガは巨大な鎌に闇の魔力を纏わせ、それを叩きつけることで辺り一帯を闇に侵し粉砕した。レオーナもそれに続き周囲に結界を張り、片刃の片手剣を携え守りに入る。
「彼らも巻き込まれた側、ならばホークに敵が向かわない様にしなければ」
 ベアトリスはホークが召喚した者たちの制御と、さらなる追加召喚に備えての温存が可能なように彼の守りに入るようアテナ達へと指示を出す。
「みんないいものもってるね……いくらで売れるかな……?」
 壁から、床から、次々とリジアが飛び出してきては攻めかかってくるが、それらはアテナが作った結界に押し返されて中までは届かない。さらにはその結界から一歩だけ踏み出し、下がったリジアに向けて剣を振り下ろし斬撃波を放ってその体を両断した。
 リジアたちは触れたものを自分の袋に盗み取ることができる。それ故相手への攻撃手段は魔力や衝撃波などの形がなく消え失せるものを主体に用いることで奪い取りを防ぎ、相手の攻撃手段の増強も阻止していく。
「物品の破壊も可能なら」
 尖った木片や鋭い金具などを拾い間に合わせの武器に用いようとすることも考え、周囲に過剰な破壊を撒いてそれすらも防ぐ。皮肉にもここの住人はもう全滅した。壊したところで文句を言ってくる者は誰もいない。
「もう、いいや……一番は売れたし、逃げよ……」
「それじゃ、ばいばい……あだっ!?」
 元々戦闘が好きではなく仕入れと商売のためここに来ているリジアたちは、損害を出してまで留まり続ける理由はない。さっさと元出てきた隙間に飛び込もうとするが、開いているはずの穴はなぜか彼女たちを拒みはじき返した。
「逃がすな、ムーン」
 その後ろにはタロットカードを持ったホーク。そしてその傍らには獣を連れた魔術師の姿が。
 認識を歪めた幻惑の魔術で逃走経路を誤認させ逃げられないようにする。そうして一瞬隙を見せさえすれば、元々弱い彼女たちは成す術なく他の者に倒されていく。
「魂すらサルベージするか」
 形ない者、死者の魂すら回収し何かに利用できるという彼女たち。例え戦う力は弱くとも、その能力はただの暴力よりよほど恐ろしい。逃がせばきっとまた別の場所に現れ、そこでサルベージを行っていくことだろう。彼女たちを逃がすことは深い禍根を残すことと同じであった。
 一匹たりと逃さぬという意思の元、ホークとベアトリス、そして呼ばれた者たちはついにリジアたちを全滅させた。
 これでこの船を辱める者はいなくなった……それならばよかったのだが。
「反魂香……破壊せねばな」
 この船の動力であり、今は敵の手に落ちているであろうメガリス『反魂香』。死者の魂を呼び戻す秘具の名を持つそれはこの世に在ってはならぬもの、必ず破壊するとホークは宣言する。
「メガリス……破壊できるのでしょうか」
 ベアトリスはそれに不安もあるが、少なくとも予知された使い方だけは許容できぬのは間違いない。それを持ってこの船を動かそうとしている敵を滅すべく、二人は奥へと進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『シーシアス・アヴァリシア』

POW   :    我が武器は勝利の剣、天之麻迦古弓、アスカロン
自身の【顔の仮面と体の宝石のメガリス】が輝く間、【剣と弓や換装した斧、盾、槍等のメガリス】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    我が光はファントム、ドラコナイト、スヤマンタカ
装備中のアイテム「【体を構成する全てのメガリス】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    我が衣はメロウの帽子、パランギーナ、イージスの盾
【今の相手には役に立たなさそうなメガリス】を脱ぎ、【相手に極めて有効なメガリスで構成された体】に変身する。武器「【新たなメガリス(形状、名称は毎回変わる)】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

イラスト:タヌギモ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シャイニー・デュールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 すでに動く者のなくなった船の奥。そこには船の様相には似つかわしくない祭壇があり、一つの香炉が祀られていた。それこそがこの船に乗る者にとって命に代えても守るべきものだったとでもいうのか、辺りにはまるで道を阻むように多数の骸が転がっている。
「反魂香……これか」
 その骸を踏み越え、それを無造作に掴み取る手。いや、それは手と言っていいものか。大小さまざまな物品が集まり、人の手のような形となっていた。
 手だけではない。剣や槍、宝石、布や楽器などが寄せ集まり人の形を取った異形。偽猟書家『シーシアス・アヴァリシア』は、メガリスとそれによって動く船が発見されたという知らせを受けその買い付けのためにここを訪れていた。
「屍魂屋、どこだ?」
 自分を呼びつけた商人を探すが、その代わりに聞こえてくるのは破壊音と大勢の足音。この船島を皆殺しにした戦いが終わったことは聞いている。ならばこの音はあの商人どもが出しているのか。隠密と掠取だけが取り柄でまともに戦えば人間にすら叶わぬあの船虫どもが。
「……世話になった。持っていけ」
 シーシアスは持っていた巨大な革袋を壊れた壁の穴に放り投げた。重々しい金属音を立て袋は落ちていく。彼女たちがこんな大きな音を出す状況に追い込まれたとあっては生存は絶望的だろう。一切表情を作れないその顔からは、その予測を立てていること以上の彼の真意を読み取るのは難しい。
 そうしているうちに足音は徐々に祭壇へと近づき、やがてすでに壊れかけていた扉を破り黒い粘性の人型を先頭にした集団がなだれ込んできた。
「聞いてた通りだこ……また会ったな!」
 その人型は怨敵を見つけたとばかりに言うが、骸の海に還る都度記憶を失うオブリビオンであるシーシアスに心当たりはない。
「申し訳ないが記憶にない。我に何か恨みがあるようだが、こちらも諸君のお陰で大事な仕入れ先を一つ失った。そのメガリスを持って贖ってもらおう」
 どこまで本気か分からぬ言葉。その腹部には彼が掴み取った『反魂香』が埋め込まれ、そこから湧きだす煙が辺りに満ちていく。
 此岸と彼岸の境すら曖昧にせんとするその煙。この煙を持ってシーシアスが何をなすか知る者は、彼自身以外にもまだいるはずだ。
 それを知る者こそ誰あろう猟兵だ。
 この死した船を侵略のための母艦とするため、無残な最期を遂げた者たちを使役せんとするシーシアス。彼を倒し、命なき者の支配するこの場の全てを還るべき場所に還すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
敵対する以上、そのあたりはお互い様ですねぇ。

【炳輦】を発動し『防御結界』を形成、海賊さん達を保護しますぅ。
更に『FMS』のバリアを内側に展開、二重の防壁を張ると共に『時空切断の嵐』を発生させましょう。
この『嵐』と『F●S』各種による[範囲攻撃]に巻込めば『反魂香』にで復活した相手も纏めて狙えますし、攻撃回数の増加した『メガリス』も『二重防壁』と『瞬間移動による回避』で対処可能ですぅ。
後は『船』に詳しい隊長さんに『部屋の下の構造』を尋ね、[砲撃]と『嵐』を操作、シーシアスさんを『床ごと攻撃に巻込むことで陥穽に落とせる位置』に誘導、回避の難しい場所に追い込んで叩きますねぇ。



 どこまでが本気か表情のないその顔からは分からないが、自身の仕入れ先である屍魂屋リジアたちを滅されたことに怒るような言葉を吐く偽猟書家シーシアス・アヴァリシア。
「敵対する以上、そのあたりはお互い様ですねぇ」
 敵同士での奪い奪われはグリードオーシャンの日常。それが分からぬ相手ではあるまいと、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその前に立つ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
 【豊乳女神の加護・炳輦】で防御結界を張り、さらに円盤『FMS』のバリアを張って防御を固めるるこる。その守りに、シーシアスは仮面の奥に瞳のように嵌った宝石を輝かせた。
「守るか。然らば剣を変えよう。あらゆる守りを切れ、フラガラッハ」
 シーシアスは右手の剣を別のものに取り換え、一振りで9度その守りを切り裂こうとする。あらゆる鎖と鎧を無意味とするその刃は二重の守りさえも切り裂こうとするが、るこるは瞬時に移動することでその切っ先さえ守りに触れさせない。
「如何に鋭くとも触れねば切れぬ、道理だ。ならば抑えろ、魂反しの香よ」
 腹から出た煙にまかれていた死体が、ぎこちない動きで次々に立ちあがった。反魂香の力で命なき兵として蘇ったかつての住人達は、今や魂なき操り人形ととしてシーシアスの命令に従う。
 例え弾かれようと、守り諸共取り付いてるこるを抑え込もうとする住人達。突破するほどの力はなくとも、ただひたすらに邪魔。自分たちの住居を支えたメガリスの力でそれを奪った者の雑兵とされた彼らは、ただその命に盲従してるこるへの妨害を繰り返す。
 そしてその死体諸共守りを再度切り裂かんとシーシアスが剣を振り上げる。だが、その剣は周囲の空間を断つ斬撃の嵐で弾かれた。
 さらに攻撃用兵装を差し向け、その剣を越えシーシアスの体に追撃をかけていくるこる。瞳の宝石が強化するのは攻撃回数であり防御面は元のまま。以下に全てを断つ剣であろうと9を超える数を振れぬならそれ以上は防げないはずだ。
「イージス、我を守れ」
 肩あての様に張り出していたものを手にし、それを盾に攻撃を防ぐシーシアス。無敵の盾の名を持つそれは体を守ることは出来るが、攻めに向くメガリスではないため自身のユーベルコードの恩恵は得られない。そして自分一人を守っている間に、反魂香でよみがえらせた死者たちは時空切断に巻き込まれただの肉へと戻されて行った。
 これで釘付け、なれど流石にメガリスの盾をかざしただけあり体の守りだけは鉄壁だ。これを打ち破るにはより大きな範囲で体勢を崩させる必要がある。その為の策を、るこるはスーパースターズに求めた。
「この船の下層はどのような構造になっていますか?」
「ここはメガリスを置いた場所だ。常識は通じないだろう。だが、幸いぶっ壊れた板から下が見える。どうやら、煙を巡らせるための管が入ってるらしい」
 割れた板の隙間から見えるものを確認し、そう答える部隊長。反魂香は元々この船の動力として使われていた。その煙を船内に巡らせ、何らかの作用で動かしていたのだろう。
 そしてその管は船銃に行き渡らせるため無数に張り巡らされ、さらには戦いの余波で折れや湾曲がいくらもできている。
 それならば、そう考えたるこるは砲撃、爆撃のできる兵装を一気に盾に叩きつけ、その上で大爆発を起こした。
「ぐっ……!」
 ダメージはないが、余りの衝撃に後退るシーシアス。そしてその足が一つの割れ目の上をまたいだ時、その愛想餅に巨大な斬撃を放った。
「ぬおっ……!?」
 それは床を切り裂き、シーシアスを下に叩き落とす。メガリスでできたその体はパイプに叩きつけられ、その間に絡まるように挟まってしまった。
「これは……まあよい、こんなもの切れば……」
 手の剣を振り上げパイプを切ろうとするシーシアス。だが、不安定な体勢でそれをなそうとするということは防御を解かざるを得ないということで。
「そうはいきませんよぉ」
 パイプを避けるように、開いた場所に砲撃が叩き込まれる。攻撃特化のユーベルコードを用いたこともあって疎かになっていた守りを潜り抜け、ついに攻撃の嵐がメガリスの体に叩きつけられた。
「ぐ……あっ……!」
 痛覚があるのかすら定かではないが、ダメージは間違いなく入っている。そのままそこから抜け出るのは跡形もなくばらばらになった時だとばかりに、圧倒的な攻撃がシーシアスに浴びせられ続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イスラ・ピノス
ちょっと遅れちゃったけどボスには間に合ったね!
協力させて貰うよ!
スーパースターズさん達もお久しぶり!
今回も一緒させてね。

ゴースト・リボーンの対象はスーパースターズさん達にお任せする&被害を減らすよう僕も前に出て戦うよ。
そしてそう動くなら僕の選択もやっぱりこれ!おいでそーちゃん!
スーパースターズさん達も知ってるから連携も取りやすい筈。
ただ、相手がシーシアスだから盾になっても過信は禁物!
クッションとか避ける時間稼ぎくらいで考えてね。天之麻迦古弓とか貫通力凄かったし。
僕がいる限りすぐ元に戻せるのがそーちゃんの強み!
僕狙いもよくあること、やられないようそーちゃんを全力で活用してガンガン攻撃するよ。



 死の満ちる祭壇の間。そこに生命力満ちる体つきの女が飛び込んできた。
「ちょっと遅れちゃったけどボスには間に合ったね! 協力させて貰うよ!」
 この場の死臭を吹き飛ばすかのごとき明るい声。イスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)は自身の活力を回りに振りまくかの如き明るさで参戦を表明した。
 そしてまずはシーシアスと対峙していた海賊たちの方に声をかける。
「スーパースターズさん達もお久しぶり! 今回も一緒させてね」
 彼女もまた、スーパースターズの母船がシーシアスの襲撃を受けた時そこに救援に入った猟兵だ。知った顔の登場にスーパースターズも安堵する。
 そして知っているのは顔だけではない。彼女の実力もまた、配下諸共の猟書家の撃破という結果として彼らの記憶に強く残っていた。
「ああ、こちらこそ。あんたが来てくれたなら心強い」
 その時と同様の力を貸してくれるというならこれほど頼もしいことはない。そしてその時の己の役目はなんであるか。
「操られている死体を抑えて欲しいな。集団戦は得意でしょ?」
 敵が死体を兵として用いてくるなら、こちらは命ある体にメガリスという力を埋め込んだ戦士たちで迎え撃とう。数には数で対抗と、実質的のユーベルコードを丸ごと一つ抑え込ませるような形でイスラは彼らに集団を迎え撃つ指示を出した。
 さらにシーシアスの攻撃の余波などで彼らに被害が増えぬよう、自らも前に出て戦線を上げていく。
「そしてそう動くなら僕の選択もやっぱりこれ! おいでそーちゃん!」
 そうしてシーシアスとスーパースターズの間を遮るように、【ソーダジャイアント】のそーちゃんを召喚した。やはりかつて自身の母艦で敵を蹂躙したその水の巨人の登場に、スーパースターズから喝采が上がる。
「水の巨人か! こいつは頼れる!」
 一度見た仲間なのだからスーパースターズも連携は取りやすかろう。そう考えてのそーちゃん召喚であり実際それは正解なのだが、一つ前回とは大きく違う点があった。
「ただ、相手がシーシアスだから盾になっても過信は禁物! クッションとか避ける時間稼ぎくらいで考えてね。天之麻迦古弓とか貫通力凄かったし」
 欲に先走った愚かな配下相手だった前回と違い、今回は無数のメガリスを操る偽猟書家シーシアス・アヴァリシア本人が相手だ。その実力は到底比較になるものではないだろう。実際、奪って撃った弓のメガリスは当のシーシアス相手にすら決定打となり得る強弓であった。貫通攻撃は弾力あるクッションにも容易に突き刺さるとあり、ただいるだけで圧勝に持ち込めるということは決してないと断言できた。
「我が強弓の力を知るか。然らば一矢では通じまい。天之麻迦古弓よ、天を越え九天を貫け」
 シーシアスが目の宝石を光らせ、左手の巨大な弓をそーちゃんへと向ける。そこから同時に複数の矢が放たれ、そーちゃんの体を貫いた。
 あまりの威力に当たった場所の水が弾け、部位そのものを欠損させる。まさに強すぎる銃で人を撃った時のような砕け方だが、人ならぬそーちゃんはその砕けた部位を見る間に再生させていく。
「僕がいる限りすぐ元に戻せるのがそーちゃんの強み!」
 組成が水であるそーちゃんは、やはり水の体を持つセイレーンであるイスラの力を分け与えることで再生ができる。だがそんなことをすれば当然狙いはそちらへ向くわけで。
「その身の水をこれに移し替え、さすれば君はこれとなりてそちらの君は何であろうか? いや、戯言だ。忘れてくれ」
 相変わらず感情の籠らない声で言うが、その弓の放つ殺意は本物。巨大な複数の矢がイスラを穿たんとするが、足踏みする動作をすればそーちゃんが自らの足を犠牲にしてでもその矢を踏み、イスラを貫くのを止めた。
 種明かしをすれば狙われる。そんなよくあることは百も承知であった。攻め手が分かっているのならば強かろうと狙いを絞って守れるし、意識の外から来るであろう死者たちはスーパースターズに抑えて貰っている。
「ガンガン攻撃するよ。弾けろ、ソーダオーラ!」
 しゅわっとはじけるソーダ水のオーラ。字面だけなら楽しげだが、ソーダ水の体を持つイスラの心身を注ぎ込める武器だ。それをそーちゃんに流し込み強化して殴り掛からせ、そしてそれを強弓で打ち砕かれれば髪に隠したストローのような杖を振って自ら攻めていく。
 いかに多数のメガリスを操ろうともシーシアスは一人。攻めも守りも自分で行わなければならない。そのための反魂香だったのかもしれないが、それはこちらも命と意志ある仲間で抑え込めた。
「天まで貫くその弓でも……海の奥までは届かなかったね!」
 イスラが体を揺らし倒れ込むと、それに連動してそーちゃんが圧巻のボディプレス。豊かでは済まぬその体にシーシアスの体が飲み込まれる。
「香が……!」
 水の中で香は焚けない。スーパースターズと交戦していた死体がばたばたと倒れていき、同時にイスラの豊満な体の代わりにそーちゃんの圧巻の体がシーシアスを押し潰すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
絡み・アドリブOK

「あれを封じなければ」
ベリアルを呼び出す事に。
香寿郎からは「俺は君が嫌いだ」レヴェリーからは「変態堕天使」と冷たい視線を受ける。
バルガからは「呆れているだけだ」と返される。
「やれやれ、俺じゃないと対処できないのにねえ」
ベリアルに任せて戦闘部隊と共に死者の対処を行う。
赤紫色の魔力で装飾の施された短剣を形成しては投擲する。
「こいつは俺に任せてもらおうか。研究材料としては面白そうだし」
黒い魔力を放出し悪魔の翼と爪に形成してから突進を繰り出す。
短剣と同型の長剣を形成して振るったりする。
「その香は過ぎた玩具だよ。魂を理解できないものにはね」
破壊か封印かは場合によって決める。


ベアトリス・ミラー
ホークと行動
絡み・アドリブOK

「前に渡り合ったのでその時の戦いを参考に」
スーパースターズの人達が狙われる可能性もあるので防衛役の戦乙女を数体用意しておきましょう。
あとは相手の動きを妨害するのも必要でしょうからそういったタイプの者も創造しましょう。
「黄泉比良坂之姫、この場に相応しいかと」
シルエットだけで姿は見せない者ですが幻覚や異常等に秀でていますので。
「ベリアル、となるとこちらが」
私の創造したベリアルより力は強いでしょう。
「お誘いです?考えておきましょう」
面白そうではありますしね。



 続いて祭壇の間に踏み込んできたのは二人の猟兵。そしてそれに召喚された大勢の者たちであった。
「前に渡り合ったのでその時の戦いを参考に」
 ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)も今までの猟兵と同じように、スーパースターズの母艦に乗り込んできたシーシアスを彼らとともに撃退した経験があった。その時の知識は大きな武器になると、その戦いを思い出すようベアトリスはスーパースターズに告げる。
「ああ、分かった……だがあの時の戦法はむしろあっちの方が得意そうだぜ」
 以前かけた戦法は次々と襲い掛かっては引く波状攻撃。相手が一体、かつチャージが必要で連射のきかないメガリスを用いるからできた戦法だが、今回は頭数だけなら死体を手駒に出来るあちらの方が上。
「あれを封じなければ」
 その数を担保しているのは、他ならぬメガリス『反魂香』だ。敵の武器として、そして魂を弄ぶ呪物として、反魂香は封じるべきだとホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は強くその存在を意識した。
「さて、諸君らも我を知っているか。だがこちらは難儀な身故にそちらを知らぬ。知らぬ敵に勝つまで挑んでは並の剣では刃尽きよう。勝つまで踊れ、勝利の剣」
 敵にある程度手の内を知られていると察したシーシアスは、敵が全滅するまで勝手に戦い続ける剣のメガリスを動くに任せて振るう。その切っ先が向かうのは、猟兵や呼ばれた者たちより力の劣るスーパースターズだ。
「これが私の力です」
 しかし、そう来ることはベアトリスも予測していた。彼らを守るため、守護役の戦乙女を【神世創造】で呼び出す準備は万全。想像の限り無敵を保つ乙女たちは、何の躊躇もなく刃の前にその身を投げ出した。
 勝つまで止まらぬ勝利の剣に決して消えぬ創造物を差し出す。それは勝負のつかぬ千日手を誘い、敵の攻撃をただの徒労へと変える。
 最も危険なシーシアスの攻撃は防いだ。次は攻めの手段だが、それはホークが受け持った。
「力を貸してくれ」
 【守護者召現】で呼ばれた者が現れた時、先に呼び出されていた者たちは一斉に嫌悪の表情を浮かべた。
「俺は君が嫌いだ」
 剣士香寿郎からは真っ直ぐな拒絶の言葉が投げられ。
「変態堕天使」
 女戦士レヴェリーは冷たい視線と共にそういう。
「ふふ、嫌われたものだ。こちらのおじさまのように黙って受け入れてくれてもいいだろうに」
「呆れているだけだ」
 巨漢バルガも大真面目に返す。
 その場にいる者からまとめて存在を否定される者。悪魔ベリアルはまるで真意が読めない様子で大げさに肩をすくめた。
「やれやれ、俺じゃないと対処できないのにねえ」
 ふざけたようなその態度。だがそれがこけおどしでないことはホーク自身よく分かっている。
「俺たちはこちらを対処する。眠らせてやるぞ」
 シーシアスの相手をベリアルに任せ、ホークは他の者たち、そしてスーパースターズを率いて死者の群れへと当たる。
 赤紫色の魔力で装飾の施された短剣を形成しては投擲し、死者たちを再度の眠りへ落としていくホーク。それに倣い、スーパースターズも己の体のメガリスをめいめいに起動、動く屍となったこの船の住民たちを最早動けぬ肉塊へ変えていく。
「悪かったな、こんな助け方しかできなくて」
 救難信号を受けここにやってきた彼ら。命を救えなかった悔悟を滲ませながら、これ以上屍を辱められぬ様にとその体を粉砕していった。
「これ以上煙を撒いてもらっては困りますね」
 どこまでが効果範囲か分からないが、船内にはまだまだ大量の死体が転がっている。反魂香を使うシーシアス自身の動きを止めねばならないと、ベアトリスはもう一人の創造物を想像した。
「黄泉比良坂之姫、この場に相応しいかと」
 現れたのはシルエットだけで姿の見えない、恐らくは女。見えぬその顔は二目とみられぬ腐り果てた姿か、この世のものとは思えぬほどの醜女か。
「……見ないで」
 如何な姿をしているのかは誰にも見えないが、それを見せぬために周囲を幻影の渦に包み込む。直接相手を害する手段は持たないが、その切実なる懇願から来る認識妨害能力はかなりのもの。
 目も耳も最早ないはずの体の近くを乱され揺れるシーシアスに、ベリアルが興味深げに近寄る。
「こいつは俺に任せてもらおうか。研究材料としては面白そうだし」
 死者の尊厳など知ったことではないとばかりに、黒い魔力を放出し悪魔の翼と爪に形成してから突進を繰り出すベリアル。
「剣よ、三度唸れ」
 シーシアスは幻影の中で勝利の剣を振るいそれを迎え撃つが、ベリアルもまた長短二本の剣でそれを器用にあしらった。
「ベリアル、となるとこちらが」
 かつてベアトリスも想像の力でベリアルを創造したことがあった。だが目の前のベリアルはその時の者よりはるかに強い。
 そしてまたその時に言われた言葉。
「お誘いです?考えておきましょう」
 面白そうではあるし、下手に守護対象に手を出されるよりはよほどまし。
 そしてその剣が狙うのはシーシアスの腹部。
「その香は過ぎた玩具だよ。魂を理解できないものにはね」
 二本の刃が腹を抉り、ぐるりと一回転してから香炉を引きずりだした。
「道理……反魂香でも我が魂は戻せなかったようだ。だが我は骸の海に還る。それは一体……」
 まるでキーパーツを抜かれたかのようにシーシアスの体が崩れ、無数のメガリスとなって砕け散った。
「破壊か封印か……どうするべきか」
 残った反魂香。ホークは破壊するつもりでいたが、最近発見された世界シルバーレインにおいて、メガリスを壊すということはあまりにも重すぎる意味を持つと聞く。もし、彼の世界のメガリス同様の力があるとしたら、迂闊に破壊するのも不味かろう。
「……弔いたい。それからにしてもらっていいか?」
 スーパースターズの部隊長が悩むホークにそう告げる。無残に殺され屍さえ利用された海の同胞。彼らを正しく眠らせたいと、その願いにホークも頷いた。
 肉体の全てを失った猟書家。魂を返し死体を操るメガリス。死とは。魂とは。手に持つメガリスは、その謎を深めるばかりで何の答えも与えてはくれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年12月03日


挿絵イラスト