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よいではないか、よいではないか

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●薄暗い一室にて
 どこかにやけた顔つきの男が、悪趣味な金扇子を仰ぎながら偉そうにくつろいでいる。そしてその前ではこちらもにやけ顔で、それでいながらどこかかしこまった様子の男と、悲嘆にくれる美しい娘の姿があった。
「ほ、ほ、ほ、それで原屋。この娘が例の?」
「はい、お代官様。こちらが例の。いやはや、苦労させられました」
 女性の嘆きなど気にも止めていないのか、にやけ顔の男達は下卑た笑い声を漏らしながら、下劣な視線で女性を上から下へと品定めをする。
 娘は少し痩せた印象はあるものの、化粧に上質な着物を着せられ、まるで何処ぞのお嬢様かお姫様かといった様子である。
「よーしよし。では、あの件には便宜をはかっておいてやろう」
「ははっ。お代官様は流石、お心と器がお広い」
「……で、娘」
「は、はいっ」
 びくりと声と体を震わせ、娘は来るべき時が来てしまったかと絶望する。
 あの顔を見れば、これから自分がされることなど――いやでも想像がつくというものだ。
「なに……そんなに怯えずともよい。ほれ、近う寄れ近う」
「お、お代官様。お戯れは……」
 わずかな望みをかけて抵抗しようとする娘の様子に、むしろ逆に嗜虐心をくすぐられたのか、代官は怒ったかのような声を取り繕いながら、取り繕えぬ助平顔でにじみ寄る。そして娘の着物の帯を引っ掴むと。
「ええいっ、まだるこしい! 近う寄れといっておるのだ! よいではないか、よいではないか」
「あーーーーれーーーー!」
 力任せに帯端を引き回し始めるのだった。

●悪代官を懲らしめろ
「大変です大変ですっ! 悪代官がお主も悪よのうであーれーなんですっ!」
 サムライエンパイアの様子を背景に、水縹・狐韻(妖狐の迷者・f06340)が集まった猟兵達に捲し立てる。そしてあまりにも端折りすぎたことだったかと気づくと、コホンと一度咳ばらいをし。
「サムライエンパイアで、ある商家の娘さんが借金のかたに原屋という悪徳金貸しに連れていかれちゃったらしいんです。でも実はこの借金、原屋が悪代官さんの手の者を使って不正に商家さんにでっち上げたものらしくって……」
 そのまま強引に巻き上げられたお金と、足りない分として連れていかれた娘さんは全部悪代官――オブリビオンへの献上品とされてしまうらしい。
 つまり連れていかれた娘を助けるためには、まず原屋に押し入って不正の証拠を見つけること。そして更に悪代官と繋がっている証拠と不正に回収されているお金を確保したうえで、娘さんの捕まっている場所へと乗り込む必要があるらしい。
「とにかく今から原屋の近くに転送しますから、何としてでも証拠を見つけてきてあげてくださいねっ! 多少手荒なことをやっても、大丈夫ですから!」
 ただし原屋の人は一般人なので、人殺しだけは厳禁ですよ、と念押しし、狐韻は転送の準備を開始するのだった。


原人
 どうも、原人です。
 先に言っておきますが原人に時代劇の知識はありません。

 そんなわけで悪代官にはめられた商家の娘さんを助けてあげましょう。
 まず第1章は不正の証拠の確保となります。
 原屋……許せんっ!

 では、頑張ってください。
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第1章 冒険 『おぬしも悪よのう』

POW   :    武力や気力で脅しをかける

SPD   :    悪事の証拠を突きつける

WIZ   :    問答したり説教したりする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジゼル・ベティーニ
「まあ、どこの世界にも悪どい商売してる奴はいるのよねぇ」
とりあえず噂を聴きたいから、原屋の前にある団子屋でお茶を楽しみつつ、ざっくり情報収集
ホント、嫌な奴みたいね
「ちょっと失礼するわね」
「お金、借りようと思うんだけど」
原屋にはお金を借りるようなふり
店員の隙をついてユーベルコード『空を射る少年』
「スイッチ、師匠の命令だ」
師匠はこっちの気をひいてやるから、ちゃんと証拠を探しなさい
私が動くより子供が動いた方が目立たない
(本当早くしなさいよ、馬鹿弟子)
それにしてもなんでこういう商売の顔っていやらしく見てるのかしら
そして見つけた資料を隠れて受け取り、何食わぬ顔で突きつける
「これは、どういうことかしら?」


如月・アストレア
【SPD】
髪は纏めて簪で止めて、赤い着物に身を包んだアストレアちゃん町娘スタイルで華麗に潜入だよ♥

「お代官様のお使いなんですぅ~♥」
よし、いける!(確信)

悪事の証拠を見つけて突き受けに行くぞー☆



 のどかな町並みの一角。原屋の存在する店近くに存在する団子屋にて、ジゼル・ベティーニはゆっくりと熱いお茶を飲みながら、店の売り子や客達と雑談をしていた。
「そういえば、そこの原屋って何のお店なのかしら」
「あぁ、そこのは金貸しだよ。金貸し」
「へぇ……最近少し入り用なのよね。借りてみようかしら」
 他愛無いジゼルの言葉に、周囲の客や売り子たちの顔が渋くなる。売り子は盆を口にあて、声を潜めるようにしながら注意を促す。
「やめておいた方がいいよお客さん。あそこで一度でも金を借りたら、いつの間にやら逆に金をむしり取られて――これさ」
 自身の首を一直線になぞる姿に、これは相当に評判が悪いのだとジゼルは悟る。見れば周囲の客達まで頷いていることから、この周辺では大分有名なのだろう。
「逆に少し興味がわいてきたわね」
「本当に気を付けなよ? 下手に首突っ込んでもいい事なんて何もないんだからね」
 代金を支払い店を出るジゼルに、なおも心配そうに声をかけてくる店員に背を向けながら手を振り、ジゼルはそのまま原屋の方へと歩いていく。
 暖簾をくぐりジゼルを迎えたのは、慇懃な様子で頭を下げてくる原屋の店員達。
「ちょっと失礼するわね」
「いらっしゃいませ、お客様。借入れでしょうか」
「ええ、そうね。借りようと思うんだけど……」
「すいませ~ん!」
 すぐさま商談に入ろうとする店員を前に、どう店員に隙を作ろうかと内心考えたときであった、背後から元気さを隠しきれない少女の声が聞こえる。
 振り返り店員と共に視線をやったそこには、髪を纏めて簪で止め小綺麗な赤の着物に身を包んだ如月・アストレアの姿があった。
 町娘としてはおかしくはないものの、金貸しという場には少々浮いた様子すらある少女の来訪。店員はすぐさま腰を折り頭を下げ、アストレアへと声をかける。
「いらっしゃいませお客様。ただいま他のお客様がいらっしゃいますので、そちらにお掛けいただいてお待ちを――」
「お代官様のお使いなんですぅ~♥」
「は、はいっ!?」
 アストレアの発した言葉に、店員が思わず驚いたような声をもらす。急に何を言っているのだ、と店員がアストレアを見定めているのをよそに、ジゼルは人知れず口角を上げ、店員の死角になる位置にユーベルコードを発動させる。
 時間にして一瞬。そこには青い髪をした少年が、今度は何の用で呼ばれたのだろうという嫌そうな顔をしながら召喚されていた。
「スイッチ、師匠の命令だ」
 アストレアと店員が問答を繰り広げているのをしり目に、ジゼルはそれだけを伝えて店の奥を顎で示す。少年はやれやれと首を振りながら、そっと奥へと消えていくのだった。
(「しっかりやりなさいよ、馬鹿弟子」)
「だから、お代官様のお使いなんですぅ~!」
「貴女のような方がお代官様の使いであるはずがありません! お引き取りを!」
 なおも店員に食い下がっているアストレアを眺めながら、どう時間を稼ごうか考えるジゼルであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

隣・人
「ううん。取り敢えず。問答しましょう。いいえ。尋問ですかね。違いました。拷問ですね!!!」
殺さなければいい
ならば単純に『おはなし』して吐いてもらいましょう
手枷と足枷を用意して回転椅子に拘束しましょう
きっと『回転椅子』が何なのか判らなくて困惑すると思います
その隙に拷問を始めましょう
「さて。此れからじっくりと『おはなし』をしましょうか。あ。拒否権は無いですよ。吐くまで回しますから。吐いても。あーれーってやつです。酔いではないか!!!」
それでも吐かない場合は催眠術です
銭を垂らしてゆらゆらしましょう


アルトリウス・セレスタイト
本人なら知っていような

界識で原屋本人を追跡し重要物の在り処を探る
不正を行っている証拠や代官との繋がりを示す証拠など
警備状況も出来る限り把握しておく

既知としたその場へ回廊で侵入し回収、撤収

何らかの理由で不可能ならそこへ近づける人物を観察
巡回する、又はある程度屋敷外へ出るなど接触できそうな人物に気取られぬよう触れ、真影で二重身を呼び詳細な警備状況などを聞き、可能なら回収させる

自身が向かうなら手薄になるタイミングを聞き出し、目立たぬようひっそりと行動
界識で警備が変わっていないか確認の後に向かう



 店員達と押し問答を繰り広げ時間を稼いでいる者達がいる中、他の猟兵達はこっそりと原屋の内部へと侵入することに成功していた。
 しかし原屋の内部は存外広く、まるで大きな屋敷であるかのようになっている。
 物陰に潜みながら手掛かりを探していた猟兵達の中で、アルトリウス・セレスタイトはバタバタとせわしなく動き回っている原屋の人間に刻印を飛ばす。
 それは静かに原屋の人間に付着すると、そのまま屋敷の奥へと消えていく。
「……警備はそこまで厳重ではない、か。人が出払っているのか」
 界識で呼び出した刻印からの情報に、アルトリウスは思案する。どうやら現在屋敷の中に残っている人間は少ないらしく、そのおかげで残った人間が仕事に忙殺されているらしい。
「ならば――」
 隠れるのをやめたアルトリウスは、そのまま奥に消えていった原屋の人間を追い、板張りの廊下を足早に進んでいく。
 本当に残っている人間が少ないのか、咎められることなく刻印のついた原屋の人間のいる部屋の前までやってくると、扉の隙間から中をうかがう。
「はぁ……旦那も人使いが荒いったらない。いくら代官様の大事な取引だからって、店の人間の大半を持っていかなくてもいいだろうに」
 書類を整理しながら文句をもらす原屋の人間。性別は男、年のころは40ほどだろうか……ぶつくさと文句をもらしているその顔はでっぷりと肥え、荒事が得意そうであるとは到底思えぬ容姿をしている。
「……流石に気づかれずに入るのは難しいか」
 こちらに背を向け作業をしている男であったが、流石に部屋に押し入れば気づかぬということはないだろう。そう結論付けたアルトリウスは、別の手掛かりを求め去っていく。
 ――しかしあえてその部屋に押し入る者が居た!
 勢いよく障子戸を開け放ち、男へと素早く駆け寄り拘束する。
「だ、誰だお前は!」
「さぁ、『おはなし』の時間ですよ!」
「は、離せっ。離せっ!」
 力任せに男を拘束し、にやりと笑みを浮かべるのは隣・人であった。そしてそのまま持ってきていた回転椅子に男を縛り付けると、ぐるりぐるりと男の体を回していく。
「取り合えず、問答しましょう。いいえ、尋問ですかね? 違いました、拷問ですね!!!」
「ひっ、や、やめろ! いったい何を……か、体が回る……!」
 有無を言わせず男を回しながら、人はどこかネジの外れたかのようなテンションの高さで、うきうきと何から聞きましょうか、などと呟いている。
「ではでは、まずはそうですね……原屋の旦那さんが今どこにいるのかから聞いていきましょうか。あ、拒否権はないですよ。吐くまで回しますから」
「や、やめ、目がまわっ……気持ち悪……」
「吐いても回します。あーれーってやつです」
「う、うおえぇぇぇぇ」
「酔いではないか! 酔いではないか!!!」
 もはや聞くことよりも男を回し続けることの方に力が入ってきているような様子を見せながら、人の拷問は暫く続いたのだった。
「だ、旦那様は……取引で、船、に――」
「船ですか。なるほどなるほど。では次の……あら」
 次の質問に移ろうとした人であったが、すでに男は目をまわして気を失っている。しょうがないなというように肩をすくめてみせると、人は男を放置して別の手掛かりを探して屋敷をうろつき始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

虚・楓
「ははぁ、なんとも『不味い』話の筋じゃのう」
こういった分かり易いぐらいに悪い事は好きではない為、解決には尽力します。ただし証拠集めでもあるので基本的に殺生はしない感じで。ユーべルエフェクトも相手が何かしら行動を起こした際に、その武器を両断するのに使ったりするぐらいです。
「でっちあげた不正で巻き上げた金を使って食う飯は美味いか?」
「その態度がそもそも証拠と言ってるようなもんじゃがのう」
武力的衝突を起こしそうな相手に近づいて、そういう感じで相手を無力化しつつどうにか情報を引き出していこうかな、と思っています。


エスチーカ・アムグラド
お主も、なんて言うくらいですから自分が悪い事もよーく分かっているようですね
チーカたちで懲らしめないと!
ところで、あーれーってなんでしょう?

うーんうーん……チーカは大人の人と言い合いが出来るほど頭が良くありませんし、他の人が原屋の人とお話ししている間にこーっそり奥の方を探してきてみましょうか
屋根裏とか押入れの中とか、お店の奥の更に奥にきっと隠していますよね!
【物を隠す】人の気持ちなら、チーカちょーっとだけわかるかも!
びびっ!っと【第六感】に来たところを探してみるのもいいかもしれませんね!
鍵とか掛かっていたら……えへへ、誰かに開けて貰えたらいいですけれど、剣で切り落としちゃうのも仕方ないですよね?



「うーん、うーん……これですかねー」
 押し入れの中に仕舞われている自分ほどの大きさの豪華な葛籠の中を漁りながら、エスチーカ・アムグラドが唸り声をあげる。紙の束を持ち上げては、ミミズののたくったようなような墨書きの文字と睨めっこをしている。
「どれどれ。俺が読んでやろう」
「あっ。チーカも! チーカも読みますからっ!」
「わかったわかった。2人で読めばいいんじゃろう」
 書類を取り上げた虚・楓から慌てて書類にしがみついて取り返そうとするエスチーカの様子に、楓は苦笑を浮かべながらエスチーカにも見えるように書類を広げてやる。
 しかし文字を読むにつれ、楓の表情は苦いものでも噛んだかのように歪んでいく。
「ははぁ……なんとも『不味い』話の筋じゃのう」
 書類に書かれていたのはこうだ。
 原屋が悪代官の手の者を借り、商家の旦那の商売の邪魔をし悪代官へ不手際を侵させることで、賠償という名の多額の借金を背負わせたということ。そしてそれを助けるふりをして、不当な契約を結ばせ更に借金を膨らませたということ。……そしてその借金のかたに、家財一式や娘の身柄まで含まれているということ。
「ひどい……」
 内容を読み聞かせてもらったことで、エスチーカの顔が悲しげに歪む。今回の悪事だけでこれだ、おそらくは今までにも似たような手口が行われてきていたであろうことは、想像に難くない。
「ここに書かれてるのはそこまでじゃのう。他に情報は――」
「あややっ、あの葛籠とか怪しいですねっ! ちぇいっ!」
 葛籠についた鍵を力任せに剣で切り落とし、蓋の隙間に顔を突っ込むエスチーカに思わず楓は呆気にとられた様子を見せ。
「えへへっ、また書類が入ってましたよ……あれっ、どうしたんですか?」
「嬢ちゃん見た目のわりに大胆じゃのう。――むっ!」
 殺気を感じた楓が身につけていた刀を一閃させる。するとそこには、原屋の人間らしき男が、手にしていた包丁を刀に弾かれ腰を抜かしている姿があった。
「ひっ、ひいっ。曲者っ!」
「曲者とは酷い言われようじゃのう。間違ってはおらんが」
 怯えた様子ですでに戦意を失っている男に吐き捨てながら、楓は刃を鞘に仕舞う。今こうして侵入しているのは、刃傷沙汰をするためではない。
「のう。でっちあげた不正で、巻き上げた金を使って食う飯は美味いか?」
「い、いったい何を」
「チーカ達、もうぜーんぶ知ってるんですよ!」
 いーっ、と怒ったような様子のチーカに、男はまさかと焦ったような様子を見せる。視線の先にはすでに漁られた後の葛籠があり、状況を理解したのかどんどんと顔が引きつっていく。
「ふん。その態度……それ自体が証拠といってるようなもんじゃがのう」
 続きは書類ではなく口から聞かせてもらおうか、と楓とエスチーカは、男を拘束し他の仲間を呼ぶのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四宮・かごめ
民草から何もかも巻き上げ
あまつさえ山吹色の菓子にしてそれを包むとは
年貢の納め時でござる

SPD
なるべく目立たないよう
悪事の証拠を探す手伝いをするでござるよ
押し入った後、我々に忙殺される原屋の代わりに
店の誰かが奥に下がる動きを見せる筈
可能ならそれの後を付け、
隙を見て盗み技能を使うでござる
金か、証拠か……この際どちらでもいいでござる

万が一何か見つかったら味方の傍に片膝ついてシュタッと降り立ち
恭しく頭を下げてそれを渡すでござる。

殺しはしないでござる
※アドリブOK


浅葱・シアラ
ひぅ……悪代官さん酷い……!
そんなことになる原因になった原屋さんも酷い……!
許さないから……!


【WIZ】で判定
悪いことするの、めっ!なんだからね……!
悪いことしたら、警察に捕まるし、家族にも顔向けできなくなるよ、小学生だって知ってるんだから……!
だから悪いことやめて、そのためにどんな悪いことしてたか教えて……?

脚を洗うチャンスなんだよ……?
お願い……ひぅ……泣いてないもん……泣き脅しじゃないもん……
だって、真っ直ぐ生きてほしいのに、そう願ってる家族だっているでしょ……お願い……
シアたちが必ず原屋さんも救うから……
(無意識に美貌の呪いで自分の美貌を見せつけつつ天然に無意識に泣き脅しします)


百地・八刀丸
・問答したり説教したりする
世も世なら人も人
まっこと、嘆かわしいことよな

別段ワシは誰とも言わんよ。ただの旅の爺じゃ
独り言として聞いてくれて構わぬよ

甘い汁と言うのは、際限なく吸えるものではない
吸えている内が華じゃよ、いずれ蜜なき時に切り捨てられよう
悪事をするものは、悪事をされるもの、世は常にそう言うものじゃよ

のう……原屋殿よ
怪しまれてしもうては最早、先がないと思わぬか?
いやいやヌシが何をしているかはワシは知らぬよ
よからぬ「噂」を聞いただけでな

しかし噂とは百里を駆けると言う
どうじゃ、何ぞ心にあるなら今の内に出した方が「今後」の為になると思わぬか?
もう充分に甘い汁を吸ったであろう?
のう……原屋殿よ



「まっこと、嘆かわしいことよな」
 男を見下ろしながら、百地・八刀丸は呆れたようにため息を漏らす。
 四肢を拘束され畳に転がされた男は、すでに暴れる気力すら持ち合わせていないのか無様な様子を晒している。
「これから言うことはただの旅の爺の戯言、独り言として聞いてくれて構わぬ」
 畳に腰を下ろし、伸びに伸びた鬚をしごきながら八刀丸は語る。
「甘い汁というのは、際限なく吸えるものではない。吸えているうちが華じゃよ、いずれ蜜なき時に切り捨てられよう」
「我々が……切り捨てられる、と? あの方に……代官様に……」
「さぁてな。代官の考えていることなどワシらにはわからぬよ。だがヌシらにも思うところはあるのではないか?」
「…………」
 沈黙とは時に言葉よりも雄弁に語るものである。
 弱者から搾取する側であった彼らが、切り捨てられ搾取される側に転落しないという保障などどこにあるというのか。
「今ならまだ……今が、足を洗う最後のチャンスなんだよ?」
 沈黙する男のそばで、浅葱・シアラが泣きべそをかきながら問いかける。
 小さな手で流れ落ちそうになる雫をぬぐい、少し赤くなった瞳で男を見つめると、男は気まずそうにしながらもその顔から目をそむけることが出来ない。
 生まれ持ち父から譲り受けた美貌の呪いは、ほぼ無意識に男の視線を縛り付けてしまうのだった。
「きっと……真っすぐに生きてほしいって、そう……願ってる家族だっているでしょ……」
「……はぁ。降参だ。俺も随分と焼きがまわっちまったらしい」
 だから、それ以上泣き顔をこちらに向けてくれるなよ、と男は弱弱しく懇願する。どれだけ悪事をしてきた者でも、最後には子供の泣き顔には勝てなかったらしい。
「お話の途中失礼。こんなものを見つけたでござるよ」
「おっと……こいつは――」
 声と共に屋根裏から八刀丸のそばへと降り立ち、四宮・かごめが恭しく頭を下げる。その手には何やら紙のようなものが握られており。
「割り印、じゃろうか」
「おそらくは。同じ紋様の紙は何枚か見つけたでござるが、対になっているものはなく……相手側、代官側が手にしているのでござろうな」
 かごめの見つけてきた紙には、達筆な文字で縦に原屋と書かれている。ただし紙の右端に、それも漢字の中央から左側の部分のみをだ。
 代官側がもう半分の紙を持ち合わせ、2枚合わせることで原屋という文字を完成させることで取引の際の照合として使っていた紙なのだろう。
「ああ、その通りだ。そいつを持っていることで、うちの手の者だと分かる仕組みさ」
「となると、取引先に侵入するのにも利用できそうでござるな」
 幸いにも見つけた割り印の紙には数があり、この場にいない猟兵達の分も十分にあるように見える。そのうちの1枚を懐にしまい込むと、かごめは最後の質問をすべく立ち上がる。
「さて観念したというのであれば、此度の取引の場――原屋の主人と、代官の居場所を教えてもらうでござるよ」
「旦那様達の場所、か」
 流石にすべてを暴露するのには躊躇してしまうのか、脂汗を流しながら逡巡をする男。その男の眼を覗き込み、八刀丸は静かに促すように語る。
「なんじゃ、まだ心に迷いがあるのか? 幼子の涙に折れておきながら、まだ醜態を晒すつもりか」
「…………」
「お願いっ……! シア達、娘さんを助けてあげないといけないの……!」
 男はまるで身を切り裂かれているかのような苦悶の表情を浮かべながら、小さな……震えるような小さな声で呟く。
「――船だ」
「船、でござるか」
「ああ、そうだ。町の端に河から海へ出るための船着き場がある。そこにとまっている大型の商船、その中にうちの幹部連中に、旦那様……そして代官様達はいる」
 中へはさっきの割り印があれば入り込めるはずだ、そう話した男はそのまま目と口を閉ざし、それ以上は聞いてくれるなと小さく首を振る。
 原屋に直接乗り込んでいた猟兵達は知らぬことではあったが、河から海に出ることが出来るこの町では、中に十分なスペースのある大型船が何隻もとまっているのであった。
「ひぅ……それじゃあ……目的地、決まりだね!」
「他の皆にも伝えてくるでござるよ。しからば、御免」
 悪代官を成敗すべく、ごしごしと目元をぬぐいながら気合を入れるシアラと、仲間達へと情報共有すべく屋敷を駆けていくかごめ。そんな年若い2人を微笑ましく眺めながら、八刀丸は誰ともなしに呟くのだった。
「もう十分に甘い汁を吸ったであろう。のう……原屋殿よ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『山吹色のお菓子』

POW   :    船に船員として乗り込む

SPD   :    廻船問屋や代官周りの聞き込み調査

WIZ   :    上客のフリをして廻船問屋に近付く

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 原屋の屋敷で原屋幹部と旦那、そして代官のいる船のことを知った猟兵達。
 一同は屋敷で手に入れた割り印を手に、取引の場となっている商船へと踏み込むこととなる。
 まずしなければいけないことは、商家から不当に搾り取られた金銭が代官側へと贈られていく現場を押さえること。そしてその金銭を回収し、商家に返還する用意をすること。そして最後が代官達の居場所の特定だ。
 力任せでは解決できぬ戦いの場へ――猟兵達は静かに、そして大胆に商船へと乗り込んでいくのだった。
虚・楓
基本はPOWで。
船員として乗り込み他のフォローをして回ろうかの。聞き出せそうなら他の船員から情報も聞こう。怪しまれるようなら「忍び足」。そして切り込む「勇気」でいくぞ。
「時に、こういう噂を聞いたんじゃが」
「しかし中々に大胆なことじゃのう」
もしも他の方々が証拠等を集めたなら、その援護もしていきたいの。
行動指針としては以上で、後は臨機応変に対応するぞ。

アドリブOK


如月・アストレア
【SPD】
引き続きアストレアちゃん潜入モード☆

今のアストレアちゃんはお代官様のお気に入りの女の子♥
お代官様にお呼ばれした体でそれとなく聞き込み調査だよっ☆

「あのぉ~、わたしぃ~。お代官様に御呼ばれされたんですけどぉ、お代官様ってどの船室にいるんですかぁ~?」(上目使い)

よし、今回もいける!(確信)

待っててねお代官様! 今行くよっ☆



 河に停留している商船では、取引をする場ということもあってか入口にて厳しいチェックが行われる。
 それは船内で行われている取引が後ろ暗いが故に、通常の船よりも厳重にである。
 しかしその場において入退場のを任されていた代官の部下達は、判断に困ったように唸り声をあげることになっていた。
「あのぉ~、わたしぃ~、お代官様に御呼ばれされてぇ……代官様ってどの船室にいるんですかぁ~?」
「おい、どうする……通すのか?」
「いや……しかし、だなぁ……」
 割り印を見せながら上目遣いに媚びて見せるアストレアの姿に、代官の部下達は顔を見合わせる。見た所町娘といった様子のアストレアを、普通であれば追い返すべきなのだろう……と頭では考えているのだが、それを割り印の存在が邪魔をする。
 試しに照合してみた所、割り印はぴったりと重なる。ならばこれは正規のものであり、通すべき客人である証である。
 通すべきか。引き取らせるべきか。
「……少し船内の者に聞いてくる故、ここで待っていてもらえるだろうか」
「えぇ~! わたしぃ……早く代官様の所に行かなくちゃいかないんですけどぉ~!」
「う、ううむ……そうは言うがな……」
「なんじゃ、問題でもあったんかの?」
 困り果てた代官の部下達は、問答の背後からかけられた声に救いを求めるような顔をしながら振り返る。そこに居たのは既に原屋側の船員として潜り込んでいた楓であり、騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた風を装いながら、代官の部下達をとりなし始める。
「この嬢ちゃんはうちで手配したもんじゃ。代官様の接待役ってやつじゃ。だもんでちょいと急ぎなんで……通してもらってもええじゃろうか?」
「ああ、なるほど。そういう事情であれば……そこの娘、時間をかけてすまなかったな」
 楓のついたでまかせをあっさりと信じ、代官の部下達は申し訳なさそうに頭を下げる。楓の言うことが事実なのであれば、賓客の1人を足止めしていたことになるから、余計に恐縮しているようでもある。
「いえいえ~! あ、代官様の場所は――」
「我々は持ち場を離れられぬからな……申し訳ないが、代わりに案内してやってくれないか」
「うちの人員じゃからな。……任された。ほれ嬢ちゃんついてこい」
「はぁ~い! お兄さん達、お仕事頑張ってくださぁ~いっ」
 アストレアの手を引き、少々強引に楓は船内へと進んでいく。時折町娘を連れまわす船員に好奇の視線を向ける者もいたが、みな仕事が忙しいのかわざわざ声をかけてくるものはいない。
 そして誰も見ていないだろうことを確認して、呆れ半分感心半分の息をつくのだった。
「しかし、中々に大胆な侵入をしたもんじゃのう」
「えへへ、アストレアちゃん潜入モード☆ 可愛いでしょ! ……ところで、代官様の場所は知ってるのかな?」
「いんや、まだ調査中じゃのう。じゃがまあ――アストレア殿の案内とでも言えば自由にまわれそうじゃ。聞きまわりつつ行くとしようかの」
「賛成~っ! それじゃアストレアちゃん、頑張っちゃうんだから! 待っててね、お代官様!」
「……ほどほどにのう」
 アストレアの元気いっぱいな様子に苦笑を浮かべながら、楓は近くにいる船員達に声をかけ、船内の情報を探り始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスチーカ・アムグラド
お船の中……これなら悪い人たちも簡単には逃げられないですよね!
ここで一網打尽にしますよー!

探すとなれば、やっぱり人目の少ない所でしょうか!
騙し取ったお金の譲渡なんて悪い事、きっとこーっそりやってるとチーカは思います!
なのでチーカはそういう所を探すためにあちこち飛び回ろうかと!
お船の乗組員の人に今日は使われていない事になっている場所やお部屋を聞いて回るのもいいかもしれませんね!

それでそれで……一度受け渡しが済んでしまえば誰かがその報告を悪代官の所にしに行く筈かなって
だから受け渡し場所を見つけたらまずは観察!
その後をばれないように付いて行けば悪代官の所に辿り着けると思いますっ!

【アドリブ可】


百地・八刀丸
・上客のフリをして廻船問屋に近付く

ワシは客を装うとするかの
この身形年齢、多少の誤魔化しは利くと良いのだがな
割符もある、そうそうは疑われまいて
狙いは……そこそこ若く、しかしそれなりの立場を持っていそうな者、じゃな

ああ、そこの若いの。ちょいと良いか
いや、久々にこちらに戻ったのじゃがな
しばらくおらん内に随分と顔触れも変わったものよの
ぬ、御主はワシが解らぬか?
まァ原屋殿の既知の者よ。この年齢ともなれば時間の流れが早いのう……
ああいや、知らぬことを責めはせぬ
原屋殿と……まァ、代官殿も同席であろう。どちらにおいでかな?
ワシで勝手に出向くゆえ、場所さえ教えて貰えれば良い

※色々と「訳知り顔」を貫き通します。


四宮・かごめ
船、でござるか
山育ち故、船酔いは少々心配やも
船員は荒事と隣り合わせ
まして上客に変装とは考え及びもしなかったこと

自分は忍者らしく【SPD】で地道に情報収集に勤しむでござる
なに、これから金銭の受け渡しが始まるなら、ようやく道半ばといった所でござろう
幹部や代官の居場所、その他諸々について少しでも情報を得ておくのは悪くない
といっても、いきなり上客に話しかけたりは流石に不審がられる
他の皆の立場を悪くしたりしないよう、話しかける相手は選ぶべきでござろう
話題は無難なものから慎重に
【目立たない】辺りも役に立とうか
船の間取りは自分で押さえるか、若しくは其れを済ませた御仁が居ればなお良いが……



「う、ぐぐ……出港もしていないというのに、揺れる足場というのはこうも不安定とは、長居すると酔いそうでござるなぁ……」
 河の流れで揺れる床に、かごめは少々辛そうにしながら船内を進む。その身に纏う衣装は上等な着物であり、それはまるで取引をしに来た上客の1人であるかのようである。
「金銭の受け渡しの場所、でござるか。随分と奥の方まできたでござるが」
 周囲をちらちらと見やるものの、存外船内に部屋が多い。何か手掛かりでもあれば――そう考えながら角を曲がったときであった。
「見つけましたっ! 見つけましたよっ! あややっ、あんなにも小判が――もがごごご!?」
「しーっ! しーっ! 何を騒いでるでござるか、ばれちゃうでござるよ!?」
 とある部屋を扉の隙間から覗いているエスチーカが、何やら興奮した様子で騒いでいる。思わず慌てて駆け寄ったかえでは、手でエスチーカの顔ごと押さえながら急いで離れ様子を伺う。
「……ばれてはないようでござるな」
 部屋の外の騒ぎ声が聞こえていなかったのか、中から人が出てくる気配はない。ほっと安堵の吐息をもらしたところで、手の中でばたばたと暴れるエスチーカの存在を思い出す。
「もごご! もがー!」
「おっとと、申し訳ないでござる」
「ぷはぁ! 急に口を塞ぐなんて酷いですよっ!」
 酸欠にでもなっていたのか、真っ赤な顔で抗議の声を上げる小さな妖精にかごめはすまないすまないと謝りつつ、いったい何をそんなに興奮していたのかと問いかける。
「あっ、そうですそうです! 見つけちゃったんですよ!」
「見つけたって……何をでござる?」
「取引現場ですよーっ!」
「!!」
 音を立てぬように慎重に扉へと駆け寄ると、中から声が漏れ聞こえてくる。微かに開いた隙間に目を細めながら顔を近づけると、そこには原屋の人間と代官の部下が取引している姿があり。
「いやぁ、流石は原屋さん。これだけの山吹色の菓子を集めてこられるとは……悪うございますなぁ」
「いえいえ、これも代官様達のご助力あればこそ」
「おやおや、そうなると我々も悪ということになってしまうか」
「ほっほっほ、畏まった清貧を貫くよりもよっぽど良いではないですか」
「はっはっは、それもそうであるな。ではこちらの菓子は、確かに代官様へとお渡しいたしましょう」
 下卑た声を交し合う男達の声に、エスチーカは怒りに打ち震えるようにぷるぷると全身をわななかせる。落ち着けるようにどうどう、とかごめが背中を叩いてやっていると、何やら中で動きがあったようで――。
「取引の方は終わったかな?」
「おっと、待たせてしまったようで申し訳ない」
 原屋の人間に声をかける第3の人物。
 部屋の隅にいたからか、今まで隙間から見ているだけでは気づかなかったが……それは八刀丸であった。まさか中にまで上手く潜り込んでいたとは思わず、外の2人は驚きで声を上げそうになるのを必死で抑える。
「いやはや、久々にこちらに戻ったのじゃがな。原屋殿も、代官殿も相変わらずよの」
「こちらの方は?」
「ぬ、御主もワシがわからぬか。しばらくおらん内に随分と顔ぶれも変わったものよ……まァ原屋殿の既知の者よ」
「既知の方でありましたか。しかし私も知らぬ程の方とは」
「この年齢ともなれば、時間の流れが早いのう……」
 不思議そうに首をかしげる代官の部下にさも旧知であるかのように告げ、挙句に知らぬとも責めはせぬよと寛大さすらも演じてみせる。
「さて成り行き上同席することになったが、ワシとしてもお二方に会わねばならぬ。どちらにおいでかな?」
「良ければ私が案内いたしましょうか。既知の方の訪問であれば、代官様もお喜びになられることでしょう」
「いやいや、それには及ばんよ。なにより、御主は代官殿に菓子を届けねばならんだろうに」
 代官の部下が大事そうに抱える山吹色の菓子――小判を一瞥し、八刀丸はこう提案する。
「御主は先に代官殿に届けてくるといい。ワシは場所さえ教えてもらえれば、あとから少し遅れて行くとしよう」
「わかりました。では――」
 八刀丸に代官達の場所を告げ、代官の部下は急ぎ足で部屋から飛び出してくる。外で見ていた2人は、間一髪隠れることに成功しほっと一息といったところ。
「危なかったのう」
 ――を、背後から声かけられ思わず飛び上がって声を上げる。
「ぴゃっ!? ……あやや、八刀丸さん、驚かせないで欲しいですよ……」
「すまぬすまぬ。だが声をかけぬわけにもいかなかったのでな」
「もしかして、気づいていたでござるか?」
「さてさて……どうであろうな」
 明言を避けながらのらりくらりとかわすように呟き、八刀丸は代官の部下を追うように歩き始める。
 代官達のいる部屋への道順はしっかりと聞いて覚えている。
 幸いにも取引された小判も代官達の待つ部屋に運ばれていった。
 あとはそう――部屋にいるであろう代官を懲らしめ、娘を助けてやればいいだけのこと。
 猟兵達はこれから待ち受けるであろう騒ぎを前に、各々決意を固め部屋へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪代官』

POW   :    ええい、出会え出会えー!
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【部下の侍オブリビオン】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    斬り捨ててくれる!
【乱心状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    どちらが本物かわかるまい!
【悪代官そっくりの影武者】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

虚・楓
さぁて年貢の納め時、絞った分はしっかり取り分け元の場所に返還せねばのう。
基本はPOW主体の行動で立ち回るつもりじゃ。今回は攻撃を寸止めする必要もあるまい。きっちり料理といこうかのう。
「その悪魂、調理させていただく!」
ただ暴れるだけではなんじゃし、一般人には類が及びそうなら庇うし、そして逃げ出す悪代官ゆかりの物が入れば、そちらも捕まえたいのう。

とりあえず基本は「勇気」で踏み込み、「鎧無視攻撃」などを利用してどんどん攻め立て、剣刃一閃と畳みかけたいのう。

全てが終われは「これにて一件落着、じゃろうかの」

アドリブ等OK


百地・八刀丸
悪事とは天道を浴び、露に消えるもの
今が良くとも先は無し
ある筈もなき借金をでっち上げ、金銭に留まらず、
親の宝に等しき娘をも奪うとは、言語道断よ
その外道、見逃すわけには参らぬな

ワシは旅の爺
百地の体に刀七本、己が一刀、故に八刀丸
字をもって七刃斎。言うなればただのお節介焼きよ!

御主等にこの太刀は勿体無い
両脇の小太刀二刀にてお相手致そう。いざ、参るッ!

おっと、原屋殿やそれに属する者には峰打ちじゃ
逃がしはせぬよ、少々痛かろうが、今までの付けを払うと思われよ

戦となれば花形は若者よ。ワシは娘さんを確保、護衛に回ろうかの
此方は問題ない、存分に暴れられよ!

この世に悪は蔓延らぬ。これにて一件を落着と申すまで!



「よいではないか、よいでは――」
「そこまでじゃ! その悪魂、調理させていただく!」
 娘の着物の帯に悪代官が手をかけた瞬間、部屋の扉を蹴破るようにして楓を先頭に猟兵達が雪崩れ込む。
 薄暗くそれでいてある程度の広さがある部屋の中には、突然の闖入者に驚きを隠せぬ悪代官や原屋の旦那とその部下達、そして救いを求める視線をよこす商家の娘。
「何者だ!」
「名乗るほどのものではない。……ワシは旅の爺じゃよ」
 着物の袂に手を突っ込み、ゆらりと前に進み出た八刀丸が睥睨する。鋭い視線に晒された原屋の部下達は、我先にと逃げ出そうとする。
「お、おいっ、私を置いて逃げるでない……っ!」
「逃がすわけがないじゃろうが!」
 猟兵達を押しのけ出口へと向かおうとした部下達の襟首をつかみ、楓が吠える。そしてそのまま床に叩きつけ、抵抗できぬように縛り上げる。
「ぐ、ぐうっ!? う、腕がっ……!」
「こいつ……このどさくさに小判まで隠し持ってるとは、どこまで意地汚いやつなんじゃ」
 腕をひねり上げた瞬間、袂からこぼれた小判に楓が目を細める。試しに手持ちの包丁で服を裂いてみれば、あちらこちらから小判が出るわ出るわ。
 咄嗟に隠した分というよりは、横領した分ということだろう。それらは元々騙された商家の人の金だ。
「1人も逃がしちゃいかんのう……! 入り口を塞ぐんじゃ!」
「ど、どけっ! どけぇ! 私を誰だと思っている!」
 逃げる邪魔となる部下を突き飛ばし、小判の入った木箱を抱きかかえ、もう少しで出口――といったところで、原屋の旦那が小判をばら撒きながら盛大にすっころぶ。
 しれっと足を差し出していた八刀丸が、無様に床に転がる原屋の旦那を見下ろす。
「くぅ……いったい……いったい何者なのだ……!」
「先ほども言うたじゃろう。旅の爺じゃと。じゃが――あえて名乗るならば、百地の体に刀七本、己が一刀……故に八刀丸。字をもって七刃斎」
 両脇につるした小太刀を二刀抜き放ち、八刀丸は小判を抱き壁端まで逃げた原屋に見得を切る。
「御主等にはこの太刀は勿体ない! 小太刀にてお相手致そう。いざ、参るッ!」
「ぐああああああっ、む、無念……」
 刃が走り絶叫を上げながら原屋の旦那がうつぶせに倒れる。
「――峰打ちじゃよ。命までは奪わぬ……だが、相応のつけは払ってもらおう」
 痛みに気を失っている原屋の旦那を見下ろした八刀丸は、そっと視線を横へとずらす。そこには既に楓によって無力化された原屋の部下達が転がされており、その服のあちこちから小判を没収されている。
「無駄な抵抗はせん方がええのう。何せ包丁で峰打ちは難しくてのう……間違えてブスリは嫌じゃろう?」
 じゃから大人しく小判も出せ、と楓は凄みをきかせる。
 包丁の鈍い輝きに息をのんだ部下達は、諦めたように隠し持っていた小判を差し出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エスチーカ・アムグラド
ついに見つけましたよ、悪代官!そして原屋の人!
お主も悪よのうであーれー!はそこまでですっ!
チーカたち、もうぜーんぶ知ってるんですからね!

商家の娘さんが居るなら、先ずは安全を確保してあげないと……
人質にでもされてしまったら大変ですし!
とはいえ船の中はあちら側の人だらけ、少し不利になっても背中側で庇うしかありませんか
「チーカたちが来たので、もう大丈夫!」

あややっ……悪代官が二人に……!
もしかしてもしかして、これがあの有名な分身の術というやつですかっ!?
……あれっ? でもどちらが本物か、ということは……どちらかは本物? なんですよね?
…………チーカ、どっちも斬りまーすっ!

【アドリブ可】


アロンソ・ピノ
―事前準備の部分は終わったな?力に頼るしか出来ないオレは後詰めで支援に来た。
どれだけ偉そうにしようが所詮ただの人攫いだ。
武士ってやつには憧れなくもないが…違うようだ。
乱戦乱闘派手な戦なら得意分野だ。切った張ったで終わるからな。POWで行かせてもらう。
得物は鞘から抜刀する度に変形(武器改造)する刀での居合だ。今回は主に鞭型に変形させて範囲攻撃で一網打尽を狙う。
ただ鞘に納めないと再変形出来んから鞘に収まらない程度に変形したら指でバキボキ追ってる(怪力。)
あ、勿論優先は人質と証拠だ。そこに攻撃はしないよう気をつける。
感情が高ぶった場合は訛るかもしれん。語尾が〜べや〜んだになる。

――春夏秋冬流、参る。


浅葱・シアラ
悪代官さん……覚悟……!
これは酷い事された娘さんの怒りを込めた戦いだよ……!


使用するユーベルコードは「猫殺す爪頭」
許さないよ……!
お願いね、ミケ!
シアの身長の二倍、(約52cm、おおよそ普通の猫サイズ)のミケ(近所の飼い猫、シアラの飼い猫じゃありません)を呼び出して、シアの持ってる鉄塊剣の巨大版で一緒に戦ってもらうよ
シアの動きをトレースして同じように剣術で戦うよ

部下の侍オブリビオンさんを共に薙ぎ倒して、後は悪代官さんにニャンコソードお見舞いしちゃえ!

……え、猫が戦うの、変?ケットシーさんみたいなものだよ!
可愛いよね!



「くぅぅ……役に立たん連中め……!」
 我先にと逃げ挙句に全員捕縛された原屋の体たらくに、悪代官は顔を真っ赤にして怒りに打ち震える。
「悪代官さん……覚悟……!」
 怒りに震える悪代官の前に、こちらも震えるシアラが立ちふさがる。もっともこちらは怒り半分、残りは悪代官の顔の怖さに対する怯え半分といったところではあるが。
「ふんっ、そんな怯えたなりで何ができるというのだ。ものども、出合え! 出合えー!」
 悪趣味な金扇子で手のひらを打ち、快音と共に配下の侍達が煙と共に姿を現す。
「邪魔が入ったがこれぐらいの些事、なんともないわ。おい、やれっ!」
「はっ! 娘、覚悟っ!」
「ひうっ……!」
 刀を抜き放ち、シアラに向かって呼び出された侍の1人が刃を振るおうとする。だがその直前、丸っこい影が侍の顔へと飛び掛かる!
「うわっ、いったい何が――いだだだだだだっ!?」
「ミケっ!」
「ミャ~」
 侍の顔から飛びのいたのは一匹の三毛猫であった。どうやらシアラの呼び出したものであるらしく、呑気に毛づくろいをしているのだが、侍の顔は痛々しい程に赤い線まみれである。
「よーしっ……ミケ、これを使って!」
 シアラが自分の体ほどもある大剣――もっともそれでも普通の人間からすれば玩具のような大きさなのだが――を構えた瞬間、ミケの手にも同じ大剣が出現する。それはミケの大きさに合わせたように、シアラの物の倍ほどの大きさであり。
「いっけ~! やっちゃえ……ニャーサーカー!」
「あやや……猫さんが武器を使ってお侍さん達と戦って――あっ、今です!」
 シアラの動きに合わせて侍達を切り伏せていく姿を、びっくりとした様子で眺めていたエスチーカであったが、何かに気づいたように一直線に飛んでいく。
 既に乱戦模様となり侍達と猟兵達が入り混じる室内を縫うように飛び、辿りついたそこに居るのは――。
「チーカたちが来たので、もう大丈夫!」
「あ、貴女は……?」
「えへへっ、こう見えてもチーカ、結構強いんですよっ!」
 悪代官の傍で怯えていた商家の娘が、えへんと胸を張るチーカに目を丸くする。だがエスチーカの存在に気付いたのは、商家の娘だけではない。
「こやつ、いつの間に……!」
「あややっ、もう見つかっちゃいました!」
「ええい小癪な……ならば、こうだっ」
 叫びと共に悪代官の体が眩しく輝く。室内の誰もが目を開けていられないほどの光量が収まったとき、そこには……悪代官が2人いた。
「あ、あややーっ!? 悪代官が2人に……」
「「どうだぁっ! どちらが本物かわかるまいっ!」」
「――チーカ、どっちも斬りまーすっ!」
「「ぐわあああああああっ」」
 2人に増えて高笑いする悪代官であったが、エスチーカが武器を変化させたグラジオラスの花弁が2人もろとも斬り裂く。
 ……どちらかが本物なのならば、どちらも攻撃してしまえばいいのである。
「ば、ばかなぁ……私の完璧な技が破れるだと……!?」
「ふんっ、そんな子供でもわかるような技が完璧なものか」
 見た目は完璧ではあったが、同時攻撃に対応できていないことに気づかなかった悪代官。それを小ばかにするような声に、血走った眼を向ける。
「なんだとぉ……!」
「武士ってやつには憧れなくもないが……こんな無様を晒すのは違いそうだ」
 今しがた侍達を薙いできた鞭状の刃を悪代官達に向けながら、アロンソ・ピノが商家の娘をかばう様に対峙する。
「ちぃ、どいつもこいつも忌々しい……そこをどけっ! せめてその娘だけでも貰って帰ってやろう!」
「断るっ! お前達のような悪党に、この娘を渡すわけにはいかんべ――ごほん、いかん!」
「……んべ? どこの田舎者だこいつは」
「くだらんことに耳ざといな!? 田舎ものじゃねえし! ええい――春夏秋冬流、参る」
 邪魔な刀身の一部を手で引きちぎり納刀したアロンソは、再度抜刀をしながら娘達にさがるように指示を出す。
 鞭のように形状を変化させながら振るわれた刃が悪代官達を襲っている間に、エスチーカが娘を守りながら出口の方へと向かっていく。
「くぅっ……娘まで――貴様ら、どこまで邪魔をすれば気が済むというのだ」
「少なくとも、お前らの悪巧みを阻止するまで、だな。頭を使ったやり方は苦手だが、腕っぷしなら負けやしねえ!」
 蛇腹剣のような形状の刃を振るいながら、アロンソはにやりと笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四宮・かごめ
ふむ……いや、何処までも見下げ果てた奴らでござる
とはいえ、首魁の下卑た面、両断すれば多少はマシになろうか
四宮かごめ、参る

【目立たない】で息を潜め
戦闘が始まったらいつの間にか参戦している感じで
片手に鉈、もう片方に苦無で部下の侍達の攻撃を捌いていくでござる
敵が乱心状態に陥ったら
梁塵秘抄を放ってみるでござる
死出の乱痴気舞いには仮初の花見が似合いよ
どちらが本物かわかるまい、と
ならば適当に片方賢者の影で捕まえて「おぬし、偽物か?」とでも聞いてみるか
主人が影武者を庇うか、それとも影武者が主人を裏切るか、はたまた忠義を貫くか、見ものにござるよ

忍者は影に生きるのみ
では、これにてごめん!(しゅばっ


如月・アストレア
【SPD】
「お代官様ぁ~♥ やっと会えたね☆ えー?知らない? 私ですよワ・タ・シ♥」

「お代官様の愛人じゃないですかぁ~♥」

「まあ、ここまで来ればもう騙す必要もないよねっ☆」

着物の胸元から変身デバイスを取り出してバッと突き出し

「控え控えーい☆ この紋所が目に入らぬかー♪」

注目が集まったところで

「ミラクル☆トランス チェエエエエエンジッ!!!!!!」

ピカッと光り輝くデバイス

着物が吹き飛び、光に包まれた体に赤い装備が装着されていく

説明しよう!
如月・アストレアは「トランス ビー デバイス」に格納された各種装備を装着することにより、魔砲少女クイックビー☆アストレアに変身するのだ!

「少女を泣かせr文字数



「代官に逆らうことがどういうことかわからんのか貴様ら!」
 自らの思惑通りにいかぬ状況に、遂に激昂のままに悪代官が刀を抜き放つ。纏わりつくように振るわれていた鞭状の刃を弾き斬り、ぜえぜえと肩で息をしながら周囲を見渡す。
「お代官様ぁ~♥ やっと会えたね☆」
「ええいっ、今度はなんだ!?」
 甘えるような声を上げながら駆け寄ってきたアストレアに、唾を飛ばすように叫びながら悪代官は警戒を露にする。
 しかし当のアストレアといえば、バチーン! とウィンクと横ピースを投げ返し平然としている。そしてそのままするりと悪代官の懐近くまで駆け寄ると、耳元に囁きかけながら媚を売る。
「私ですよワ・タ・シ♥ お代官様の愛人じゃないですかぁ~♥」
「ば、馬鹿者……わ、私はお主のような娘は知らぬ」
 突然の積極的な女性側からのアプローチに、悪代官はこんな状況だというのに鼻の下を伸ばしてデーレデレ。――いつの時代や世界でも男は色仕掛けに弱いのである。
「えぇ~、つれないなぁ~……なぁ~んて! ここまで来たら、もうこんなことしてる必要もないよねっ☆」
 ぴょん、とジャンプを1回、悪代官から少し離れてみせ。
 アストレアは大胆に自身の胸元へと腕を突っ込み、変身デバイスを取り出し宣言する。
「控え控えーい☆ この紋所が目に入らぬかー♪」
「おおおおぉぉぉ、そ、それは――!」
 悪代官が変身デバイスではなく、乱れた着物の胸元をガン見しながらうめき声をあげる。
 ――見え……見え……見え、ない……!
 そうこうしている間に目玉となるはずだった変身シーンは終わり、先ほどまでの着物姿よりも大胆な普段の装備に変身したアストレアが、ポーズを決めながら同時にビームを乱射し始める。結構容赦がない。
「うおおおっ!? なんだかよくわからぬが、何だこの危なそうな光は!? 誰か、誰かこやつを止めよ!」
「はっこの身にかえても――ぐわああああっ」
 這う這うの体でかわしたりかすったり、必死に刀を振るい逃げ惑いながら、侍達を盾にすることで悪代官は生きながらえる。
 いったい。
 いったい何がどうしてこうなっているのか。
 ただただ尊い自分が、取るに足らぬ平民達には必要のない財を回収しているだけであったのに。
 これほどまでに腕の立つ連中がなぜこうまでも自分を狙うのか!
「こうなれば……こうなれば諸共斬るまでよ!!!」
 あまりにも身勝手な理不尽さに心を支配された悪代官は、この時を持って修羅となる。振り下ろされる白刃は剛力を持って空を切り裂き、動く者すべてを敵とみなし襲い掛かる。……それは彼自身が呼び出した部下の侍達ですら例外ではなく。
「だ、代官様! おやめください! 我々は――ぎゃああああっ!」
「全てを……全てを斬り捨ててくれるわああぁぁぁ!」
「ご乱心だ! 代官様のご乱心だー!」
 仲間であるはずの部下達すら逃げまどい、血走った眼はもはや正気の色は残っていない。
「無様でござるな……」
 悪代官の死角に潜み、かごめはそっと溜息をもらす。
 気炎を吐く悪代官を中心に、猟兵達や部下達が遠巻きに囲うその姿。1人孤立したその立ち位置は、悪代官という男の在りようを示しているかのようであった。
 刃を振るうたびに部下達の血桜が舞い散り、返り血に濡れながら自身が何をしているかもわかっていない愚鈍な男。
「哀れでござる」
 同情などかけらもするつもりはない。
 ただ心に感じるのは、ああはなってはなるまいという戒めだけだ。
「見苦しい芝居はもう仕舞にするでござるよ。――さぁ死出の乱痴気舞いに、仮初の花見を添え終幕と致そうか」
 ふっ、と風を貫くような鋭い呼吸音が鳴る。
 風もないのにどこからか舞うように、白く小さな花弁が荒れる。これは……竹の花弁か。
 渦を巻くように、他の何人も近づくことが出来ぬように――他の何人にも近づくことが出来ぬように。
 血風に身を置き赤く染まった悪代官の体を、白く白く――無垢に染め上げていく。
「な、なんだ……これ、は――やめ、ろ、私は――私はァ――!」
 無数の花弁に四肢を絡めとられ、抵抗することも出来ず塵芥の中へと悪代官の姿が消えていく。
「いや――だ……まだ、私――は……」
 やがて白き塊へと変わり果てていった悪代官は、最後に何を言い残そうとしたのか。それを遮るように、無垢なる花弁はすべてを白く塗りつぶしてしまう。
 侍達の姿が消えていく。それは花弁に包まれた悪代官が息絶えたという証であり。
「忠義をみせるものにすら牙をむくことしかできぬとは、見ものとしても下の下でござったな。――では、これにてごめん!」
 そう小さく言い残し、誰にも見とがめられぬようかごめは静かにその場を去る。
 それと共に白い花弁は消え去り、悪代官が倒されたという事実だけがその場に残された。
「私……私、助かったのですか……?」
 一連の騒ぎを終え、呆然と商家の娘が呟きをもらす。
 原屋と悪代官の企みは潰え、騙された金も無事に回収することが出来た。
 安堵のあまりやがて泣き始めた娘を猟兵達は慰めながら、一仕事終えたことを実感するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月23日


挿絵イラスト