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ぶらり天国篇

作者：にゃあら

●純白の薔薇は尽くと
　冒涜されていた――なんにも変わらない日常にただの一滴、狂気を垂らすだけで脳（みそ）はブレるのだ。神（すべて）が一を愛すと謂うならば、それは塑れで構わないだろう。しかし結局のところは自己中心（ワール・プール）の奴隷なのだ。
　混在していく神話（おはなし）が一本の『蜘蛛のいと』を遊ばせている。適当に引っ掛かった人類（えさ）を雑に喰い散らかしていくのか。空っぽの胴体（うつわ）を放棄して次の煉獄（にく）へ移るのか。愈々至高天の真似事（ごっこ）を晒してやると好い。
　獣の数字を刻まれた結果がこの貌（ザマ）だ、人工的に編まれたが故始末が悪い。くねくねと多足（あし）を揺らしたら――今度は散歩でも如何だろう。

●グリモアベース
「貴様等、蜘蛛の益虫と見做す輩は多いと思うが、されど。外見を如何に繕おうとも『気持ち悪い』に変わりないと解せないか。私としては何方でも良いがな！　兎角、銀世界（シルバーレイン）案件だ、早速要約（と）いていこう」
　グリモア猟兵、ロバート・ブレイズは昆虫図鑑を押し退けて猟兵（きみ）を見た。
「此度『妖獣と化したオブリビオン』が出現すると予知（み）えた。奴等は悲哀・苦痛から引き起こされる衝動に侵されており『無差別に人を襲う』と謂う。これらを駆除しなければ現地人は地獄（凄惨）な目に遭うだろう。早々に片を付けねばならない――まずは人払いから初めて全力で事にあたれ、嗚呼、凶暴化故か『妖獣化オブリビオンは思考が単純になっている』らしい。隙をつき給えよ」
　グリモアが輝いて。

第1章 日常 『たまにはぶらりと』

POW   :    考えるより歩く SPD   :    人より前を進む WIZ   :    ふいに足を止め、景色を眺めてみる 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　虚空（こ）の流れる貌（さま）を眺めつつ、オマエは果たして人々を誘えるのか。未だ聞こえない衝動の音を如何にかして抑え込まねばならないが、嗚呼、なんとも暢気な世界だろうか。うまい空気とは言えないが、ゆったりとした時間が漂っている。ふいに足を止めて誰かさんの視線を追うのも悪くはないだろう。
　こういう日常こそが天国なのかもしれない。


　蝶よ花よと育まれた人類は果実（み）を齧る事が出来なかった。未だに無知で在る事に感謝しつつ日常を送るべきだと神様（かみ）は告げた。嗚々、数多に蔓延り潜伏する、怪物（ハルピュイア）の影に怯えなくて好いのだ。地獄に溶け込んだ少女の貌を記憶（おぼ）える必要はない――お散歩楽しいなー。暢気な声色（いろ）を塗りつけたのは一般の為、脳味噌の芯（なか）では夥しいほどの冷静さが渦巻いていた。ふむ、ふむ……。
　さりげなく避難誘導（おこな）う事は想像以上に難しいのだ、埒外（ユーベルコード）を駆使すれば最悪、幽霊（オブリビオン）に感づかれるかもしれない。たとえ獣と化していたとして、連中が狂気を帯びている現状（こと）に変わりないのか――異常には異常で対処しなければならない？　おかしな問答だ、此処はUDCアースではないのだよ。総ては真ん中らへん、人の導を認識するのが吉。
　知恵とお金の力でどーにかするですよ。これが真実、裕福度（すうち）でカバーすればヴェールを剥がさずとも容易。設置するのは『この先工事中』――可愛らしい作業員の絵（すがた）が人影を遠退けていく。素晴らしい。平和的な解決方法だ。
　既にいる人ですか？　のほほんとした面の※※さんがあっちの方向（ほう）で歩いている。子供達が蝶々を追っかけて看板無視をやってしまった。そこは他の人に任せるとゆーことで。独りで成せる事には限りがある、適材適所と手を繋ぐと好い。
　マイペース天国にははじまりがお似合いだ、火焔（ひ）のぬくもりに中てられて。

成功 🔵​🔵​🔴​

　何色※号かきわけて贋作（にせもの）、何故嫌がるのか。

　三色の胎（わた）にしばしの別れを切り出してから早、※※、歩いて歩いて歩いて、赫（せき）熱すらも孕めなくなったのは銀色（つぶ）の所為だろう。ぼんやりと、肩と肩をぶつける寸前になってから漸くの停滞。ぬくもりに溢れた景色（すべて）を眺めるように――この世界は虚ろ。日常を過ごしていた時も、微かにそう思う節がありました――不可逆（そ）れで今現在（いま）は如何なのか。「当時の私は、何も知らなかったんです」……幸せは落っことした瞬間に輝き始める宝物（もの）だ、何も知らないままの生活が大好きで……なんという煉獄（かんむり）、戴いた『ついてない』が幻聴の如く嘲ってみせた。
　これから起こることも『おなじく』ついてないのだ。無意識なのか意識なのか、違いと謂えばその程度で、ざぁ・ざぁ雨が降っていく。本当の名前（ペンキ）が塗りたてだったから流れたのだ、10分もあれば人はいなくなる――どこぞの少女の嘆きは誰にも聞こえやしない、目覚めていることも認識されないのだ。辺獄（リンボ）の傍らで万色（カラフル）に。どうか、どうか……屋根の下で小鳥（じんるい）が苛立っていた。
　獣の数字の体たらくに骨なし鬼が嗤いかけた。もう少し、普通のままで、いさせてください。その愛を嘔吐（は）いてくれないか、人と人の隙間で卒業ごっこが閉幕した。だるさだけ滓（のこ）した微熱（あした）がざわ憑いて異る。くねらせたぶらり首。

成功 🔵​🔵​🔴​

　蓄えられたヨーグルトにチョコレートを混在（あ）わせたかのような所業だ、太陽にカラフルさを加えた結果が現実（いま）なのだろう。おかしな事にただの人間、目の前に飛び出した蜘蛛（ちび）に気付けやしない――ぷちり――いンやァちょっと蜘蛛っつぅか虫はなあ。寝惚けた眼（め）を開くかのように緑、呆れた貌（くび）を振ってみせた。いやほらアタシってこれでもお医者だろ？　闇にも光にも綺麗さは不可欠なのだ、たとえ益虫だとわかっていたとして見た目キモけりゃ意味がない。ああ――言葉を拭うように今度は青々。
　確かに気味の悪い外見だが、ハエトリグモ辺りは可愛らしい動きをするものだがね。ぴょこりと顔を出したのはおそらく雲（そら）だ、じりじりと照っている太陽は夏の真似事が得意らしい。戸にも角にも新世界（シルバーレイン）、探訪するなら今が好機（チャンス）か。ぱーっとお前だけで片付けてくるってのはどうだ。有言実行こそが良識だと応え、さっさと避難誘導を済ませるとよろしい――あぁハイその通りですこと。邪神も黒佛も存在しない。
　野次（じんるい）を退ける為には何が望ましい。北風と太陽を見倣って、びゅうびゅうと異臭（にお）いを散布（ま）くべきだ。そうすればさして面白くもない絵面、晒す事が可能だろう。まずは早着替えだ黄金色の靡き、さらさらと作業員の出来上がり。こっちはガスが出て危険だ、遠回りになるけどあっちにしてくれ――その区の職員ごっこは苦にならない、身分証明書改竄（あらた）めて堂々の立ち位置。
　それでも頑固な輩は存在する。ぎぃぎぃぎゃあぎゃあ騒いでいる連中を治めるには白衣の天使だ、この場合はツナギのハルピュイアか。どぅどぅ仕掛けていけば昇天する意識（せかい）――嘗めんじゃねえぜの一言か。ひとっこひとりといなくなった。信仰心が足りなくて下層で留まっている、平和ボケ万歳だ。
　立ち入り禁止の看板（イラスト）は誰かさんが置いたらしい。これ以上の設置はあからさまに『みえる』だろう。何かしら情報集めの為に解放が吉と判断、この散歩道（つうろ）は人の為に開かれたのだ――そういやァあっちでなんか売ってたぜ。
　買い食い歩き飲みも日常の楽しみだ、一昔前のタピオカで乾杯。
　蛙の卵みてぇだぜ、これ。
　味は悪くないだろう――這いうねったオタマジャクシ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『くねくね』

POW   :    事前くねくね 予め【くねくねしておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。 SPD   :    くねくねウェーブ レベルm半径内に【体をくねらせながら狂気の波動】を放ち、命中した敵から【理性】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。 WIZ   :    くねくねゾーン 自身からレベルm半径内の無機物を【新たなくねくね】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

　寂静が茫々（ひろ）がる内、そのど真ん中にポツンと何かが涌いていた。蛆の塊にも人の貌（かたち）にも視える輪郭（もの）は、不意にくねくねと増殖（ふ）え始めた。妖獣化（オブリビオン）に中てられて凶暴化した非物質（オブリビオン）どもだ。名状し難い蠢動（うご）きを晒し、オマエの脳内へくるい入れ混んでいく。はやく『あれら』を倒さなければ此方が発狂してしまう。嗚呼、何もわからなくなればある意味天国だが、そんな白痴はごめんと叩き潰せ――ぶらりと散歩中のホニャララ、渦巻く儘に意図をはらむ――くねくね、くねくね。


　吐瀉物（きたないもの）に臥せ、同化しているように覚えたのは気の所為でしかなかった。鴉が啼いた所以は『最早ない』故で在り、あれらは悉く幽霊（ゴースト）で在った。そうとしか言いようが無い。ポルタ―・ガイストじみて不可視ではないうねり気の権化、不思議とこわさが涌かないのは猟兵（オマエ）の性質（せい）か。キーン・コーン・カーン・コーン――卒業式ごっこはもう、終わりました。巣立ちの季節を迎えた雛鳥は色彩（カラフル）に唆されていた。とてもオカシイ。どうして田舎の田の字もないのに蛆が落ちている？
　致命的な失敗（ひずみ）を齎した毒物がばらり、ばらりと神経糸（きせいちゅう）を鏖（ころ）していく。啜れ啜れ蜂（けもの）の如く、奪え奪え怪物（バケモノ）の如く。私はさらに普通じゃなくなっていくんです――きっと――無辜を刻んだのは自分自身だ、女の子には無間地獄（ならくのそこ）が望ましい。
　ああ、でも。かわいそうがかわいいに繋がるならば、幽霊（きみ）もひどく似た者同士だ。幸運が宿ってしまったら的当てゲームも糞へと成り下がってしまう。ふわりと避けられた？　いいや、厭の波動（くる）いは中った筈だ。私（オマエ）の理性は揺るがない――発想を逆転して覗き虚もう、もしやオマエそのものが手遅れではないか。
　幽霊（オブリビオン）は姿形をロクに維持出来ない、忘却（それ）を失くしたら何もかもが『かなわない』。ついていない誰かさんの呟きに触れる肉も彼方（うみ）の側。
　暗闇でもないここで、私を穢せるなんて思わない方が――今更警鐘を響かせたって後の祭りだ、騒げない山車に轢かれておやすみも赦されない。だから、ゴーストなんです。何もさせない、哀れな骸――六を三つ並べた天使、妄想癖（しあわせ）どもめ。
　寵愛を受けた末路がホニャララの説明文、解読させなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

　蟻と土竜と腐乱死体を融合して病的なまでの箱庭にでも投げ込めば、素敵な素敵な貴婦人（バイアクヘー）が完成するとでも謂うのか。臓腑（なか）を抜かれて布巻かれ、棺に納められた貌（さま）はまさしく木乃伊（したい）だろう。しかし不定形（群生）が凄まじいと思わないか、気分がよろしくない――ゔぇ。舌を垂らしてあからさまな嫌悪、わらわらと蠢いている幽霊（それ）に対して魅入っているのか魅入られているのか。しかし物騒な埒外（もん）を持っているとは言い難い。すばやく片付けたら観光と洒落込むのも一興だろう。それじゃあ早々に駆け出した方が好いね。あの暗い昏い、それでも純白とした薔薇の回転へと……！
　ふと横（あっち）を観察したらたいへん傾いていた相方さん、くねくね同化している貌（さま）は半分ほど手遅れに見えたが兎に角。首根っこを押さえ込んで正解だった。まだ悲鳴（こえ）と愚痴（おと）を漏らせるだけマシだと解せる。現象（フェノメノン）を量産する蛆とは恐れ異った。
　頸椎はやめとけ馬鹿――ハァ？　斜め斜めの問答に気を喰らわれてはいけない、お互い正常を認識しておこう。あれも『そういう』ヤツなのだ。たとえばUDCアースに存在するくねくね、彼等との違いは世界でしかない。ぶっ放せ頼りになるヤツ（ハンドガン）――uh-huh.効果的とは思えなかった、塑も次元がズレてはいないか？
　黒とその他を分けるよりも随分と落ち着いている、呼吸器の確認よりも断面（ふめい）を認知する方が刺激的なのか。ああ、案外猟兵も天職なのではないのかね――必死こいてお客様に優先順位だ、未だ斜めでいけないが『獲物はこっち』と列を揃える。やり易くてありがたい……。
　あー。なんとも危ういが平和な作業だ、生き死にの判別はオマエだけに課せられている。足と手の位置が愈々曖昧に陥（な）ってきた。そろそろ一網打尽にしてくれないか。そう、勇気を出して戦禍へと飛び出せ、竜は舞い降りる得物（もの）だろう。
　衝撃――！　相方が発狂（くる）う寸前で如何にか呪詛（まじな）いを中てられた。これで全てに黒が行き渡った、さあ流行（はやり）な旅行ガチャまであと少しだ――幻影（かげ）に潜んだナースごっこ、意図を繰るのは磔の前か。
　何かしらのパーツをオマケしてしまえ、天使に不可欠なのは獣の尻尾だろう。内部へと冒涜（は）入り混んだ結果、おくすりは隣の建築物にて。
　石を投げたのは猟兵（オマエ）、罪を犯していないからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　狗や猫の類が啼いたとしても世界が気、触れないように、オマエは蛆（それ）と面していた。二足歩行だったのか四足歩行だったのか、三つ足だったのかも解せないが『やること』に変わりはない。異質そうな内臓（ワード）の上に停止中（うんめい）をブチ撒けるのだ――なんか変なの、ただ一言。これはこれで悪くはない――欠片も共感（ひび）かない幽霊（ゴースト）は早々に処理するに限るのだ。と、ゆーことで。
　ぬめりけを帯びるかの如くに暗黒（よる）が舞踏（おど）り、武闘（ステージ）へと上ったのだ。気配（オーラ）は悉く闇（せかい）に満ち得物（ガンナイフ）の鋭利（ひかり）が背後（にく）衝いた――零距離での奇襲に成功、はじける体液（しるけ）を引っこ抜け――これに視聴嗅覚（かんかく）ってあるのかな？　何処が目玉で何処が耳朶か、鼻腔（すきま）も何も見当たらない……くねくね、と脳髄（うち）に感染（しみ）混む。
　振り払った妄想（くねくね）を適当に処理する場合、やはり効果的なのは引き撃ちか。バララと絶叫する鉛玉（おおあめ）が群生（それ）の一個々々を潰していく――それは卑怯ではないのかと喇叭を構えた天使、そもそも人間でなければそっちには逝けないだろう――なんかよくわかんない存在だし。一切合切が問題なく、ただ辺獄（リンボ）へ。
　同情（こころ）の『こ』の字も揺らがない光景だ、いたむ脳味噌（なかみ）も在り得ない。そーゆー時は安全と効率を重視するのですよー。
　ぶらりとこぼれ落ちた純白（かけら）が骸の海へと還（う）せていく。
　――くね吐いた滓（かげ）が糸を引くように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『マガツクモ』

POW   :    鬼蜘蛛の巣 レベルm半径内を【不可視の蜘蛛の巣】で覆い、［不可視の蜘蛛の巣］に触れた敵から【生命力と運気】を吸収する。 SPD   :    ヘルオーバー・ブラック・アウト 戦場全体に【無数の蜘蛛童と正気を奪う瘴気】を発生させる。レベル分後まで、敵は【蜘蛛童と瘴気、触れると麻痺する蜘蛛糸】の攻撃を、味方は【蜘蛛糸の地形効果と呪詛による癒し】の回復を受け続ける。 WIZ   :    メガリスマイスター 【虚空】から、対象の【絶対に勝利する】という願いを叶える【新たなメガリス】を創造する。［新たなメガリス］をうまく使わないと願いは叶わない。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

　虚空（そこなし）の衝動を抱えながら蛆（くねくね）、喰い憑いた幽霊（ゴースト）の輪郭を教えてくれ。髑髏・マークのいとしさを備え、蜘蛛（どうたい）から生えるのはティーンエイジャー。地獄から天国へのエスカレーター式、ぽたりと滴った体液（しるけ）を拭い『オマエ』を凝視（み）た――。
　ぼたぼたと嗤い始めた毒液（よだれ）がしゅう・しゅうと瘴気を発生（う）んでいく。これでは数多の極楽浄土の混在ではないか――冒涜的が過ぎると世界（シルバーレイン）が絶望していた――まるで盲目白痴、数字を知らない妖獣（けもの）。
　童よ童、親の腸を啜ると謂うのか。

　埒外（エネルギー）が不足している。


　籠目、篭目、かごの中に迷い込んだ鳥は蝶とも表現出来るだろうか、鴉につつかれた死骸（からだ）ごっこ、その楽しさをたとえる事は難しい。地獄住まいのハルピュイアにとってあれらは酷いにおいを纏っている肉と骨と皮の混沌なのだ。お互いの無貌に目と鼻と口と耳を描いてやると好い――次の日には息絶えている、可哀想な幽霊（ゴースト）。
　純白ワンピースに袖を通した少女（ナイン・ティーン）、なびかせた銀色の名称は毒なのか薬なのか。ざわめく蜘蛛の巣を掻きくぐり、一切の希望がなかった世に蔓延る――普段よりも鮮やかに思えたピンク色のキャンディ、もしや人の域を逸脱してはいないか。吐き気がする。こんなにも怪物性（にんげんせい）を積んでしまったら世界の悉くが泣いて終う。良かったと思いますよ――無気味な髑髏を掲げた楽園（りんかく）、いとしくて愛おしくて、たまらなく汁気のたっぷりな腹部（はわらた）。単純（おばか）な頭（おつむ）を必死に搾ってみると好い――あなた、毒液が溢れてますよ。なんてハシタナイ姿だろうか。
　濁（あざ）やかな瞳（ルビー）の数を記憶（おぼ）える事もなく、ただズキズキと衝動（こわしたい）が伝わってくる。人を喰らうことが愉しいですか？　まったく、これほどの侮辱（どく）をマガツは受けた現（こと）がない、はやく壊さなければ殺さなければ啜らなければ――最早、何方が巣の主かわからない。世界を壊す愛は歓迎しない主義でして。ぶちりと切断（き）れた正気、狂気（くる）いの儘に虚空（から）が裂けた。
　学習しない子、可愛い。降臨（お）りた絶対（メガリス）を滅裂（カオス）に揮う姿のなんと盲目白痴（アザトート）な事か。扱う為の思考は愈々失われ彼方々々へと埒外（エネルギー）が散っていく。何番目かの天使（もの）が溜息を吐いた。

　再……起動（リ・イグニッション）。

　83秒999――魔を籠めた眼（かご）が無力化（ちから）を吐きつける数字だ。全てを総て注ぎ込み最期を見届けるのはなんと有意義（ロマンチック）な事か。口笛混じりのお散歩に暴力性（愛情）を叩き込むが好い――あなたに悲哀（なみだ）は似合わない。この押し売り猟兵（おんな）め……本能（根底）すらも剥がされて楽園（それ）は止まった。
　僕なりの銀（あい）を知って、眠ってくださいね。
　あんなにもおぞましかった虚空（から）が何かしら、言葉でも表せない非物質、埋もれて覆われて縫われていく。私が僕になるようなぶらり感覚、ねえ、■■……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　お口がふたつも有るとしたら、果たして何方が天国なのか地獄なのか。中間地点で垂れ下がっている、筆舌に尽くし難い毒々しさがなんとも煉獄を表現している。嗚呼、我々を捕食するのは何方の怪物（ハルピュイア）なのか、気に為って気に成って、触れて終いそうだ。兎にも角にも引き続き戸口（ドア）を開放（あ）けるとよろしい、支離滅裂な天動説（うごめ）きに如何やって足をつけるべきか。視えない何かに何機も取られてはいけない――あの土留色（むらさき）は蝶々の如く筋肉質か、非捕食者の真似をする捕食者――どっちで食うとか（そんな）こたァどうでもいいだろうが！　お隣さんからの素晴らしい答案。
　上が蜜を啜るならば下が肉かじるに決まっている。ゆらりと傾げた少女（おんなのこ）は疑似餌か何かだ、深海でぷっかりと提灯鮟鱇（おさかな）ごっこしている。彼女は第何期生の誰かだろうか、ええい、散歩道に出てくるなよ大きな化け物。それなら童（ちい）さな彼等は如何だ、とっても愛らしいだろう――ア゛ア゛ァ゛ア゛ア゛増゛え゛た゛――くっそ汚い叫び声、帰りたみが発狂（はげ）しい。しかも地味にでけぇのは何でだよ！　そりゃあこの世界はパニック・ホラー、大画面に映し出されたムシャムシャ・シーン。
　五月蠅いお隣さんに溜息（いき）かけつつ涌き出した童（クモ）と貌（つら）合わせる。吐き出された意図（糸）に汲（から）まる所以はないだろう。たとえば地獄にアート・ギャラリー、副王（かみさま）の怒りの模倣は如何だ――鎖（グレイプニル）を弓（あの子）に巻き付けダンス・パーティの開幕か。どこまでもどこまでも伸縮（の）びて往け――あふれた体液（しるけ）が臭っている。何が原因（どう）して目を回しているのか、当人（小竜）にはわからない。
　拒否反応（サブイボ）がざわついたのは濃厚な紫の所為なのか、嗚呼、神様佛様ハンドガン様々、全知全能（アザトート）の名を讃え給え銃と弾。エイメンハレルヤ邪教でもおっ立ててやろうか糞（くも）ったれ――どこぞの堅物が前線（まえ）にいりゃあ一切合切ヴェールの彼方だ。弾がブレてんのかそれとも目玉がブレてんのか――ヤーでも意外と可愛いかもな？？？　いらっしゃい円らな瞳、ぎらついた球体を脳髄に埋め込むと好い。銀色の雨が降る（しょうきとはおもえない）。
　引き出す棚を間違えたのだ、躊躇いのない『座標の収集癖』がぼろぼろと欲（なか）をこぼしていく。視えない『いと』に攫われた四肢、残念だが八本も生やしてはいられない。相応な数で出直してくれないかね――綺麗なシャワー！　光で編まれた縦と横が胴体（はら）を裂いていた。どちらが埒外（くも）かも判断（わか）りゃしない。刺激臭（アンモニア）の悪夢。
　返り血（シャワー）！　あ゛ぁ、と忘れたかのようにやってきた悲鳴（おと）、やっちまってからでは手遅れだ。ぐちゃどろ少女（じごく）はまだ半生（はんなま）。こうなったらライター＋殺虫剤、彼女は蟲ではない？　これでも喰らえってんだ。

　傷口に塩を塗布（ぬ）って終え、ひゃあひゃあやってる幕間（あいま）に沈黙の妖獣（シープ）。あとの仕上げは電卓で十分だ、4に662を与えよ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　停止（と）めたり裂けたり騒がしい中での女の子だ、ある種の愛らしさと哀らしさが腸（わた）の内でひしゃげ遭っている。最後はそんな地獄（※※）さんです？　継ぎ接ぎと意図（糸）縫わせた下半身、ぎぃぎぃと食欲に衝動（か）られていた。あー。なるほど、なるほど、複数回の頷き。外見（みため）が少女（ひと）なだけで本質は妖獣（けもの）。だったら『これ』も気に病む必要なんてないのです――くねくねしているだけの眩暈（かさ）とおんなじだ、だらしなく涎（どく）をたらす貌（さま）は胃酸（おさ）まっていない証拠――害獣駆除は僕のお仕事ではないけれどね。幽霊（ゴースト）過去（オブリビオン）の類で在れば領域（はんい）内、そんな！　蜘蛛は益虫だと謂うのに……どこぞの人類が錯乱していた。
　いやいや、これはダメなのです。共存可能な幽霊（ゴースト）も怪物（UDC）も存在（あ）るけれど「この子はダメ」――そうとも頭のてっぺんから足の先っぽまで世界の癌だ、悉くを滅ぼす他にない――本日最後のお仕事は童に肉を食わせる事だ。
　イグニッション――！　蔓延る策略（いと）を避ける為に、たとえ勢いの良い口上（おと）でも冷静欠けてはいけない。厄介な啜りを完封する術はやはり遠距離（かなた）なのだ。お迎えがきたぞ、夜闇と呼ばれる手招きだ――一個々々、目を穿ち、弱点（そこ）を剥き出しにして――英霊（お）ろせ、勾玉（かがや）きを発射（う）った。
　最後まで射撃なのですが――特に問題はないだろう。寧ろ、それが致命と成ったのだ。天国（あちら）で渦描く薔薇（しろ）の中央（なか）、天使（おまえ）の額をくだいていた。
　銀色の雨が汁気を流し去った、散歩道（せかい）にはただ日常が撒かれていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2021年11月22日 宿敵 『マガツクモ』 を撃破！