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飛んで回って震えてぴょんぴょん♪

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●ウサギは跳ねるし○○○も跳ねる
「迷宮のうっさぎっ、うっさぎっは跳っねる~」
 ぴょん、ぴょん、ぴょんぴょんぴょん!
 ウサギの耳が生えた謎の少女が、迷宮の床を跳んで、回って、着地して。
「この床の模様、おもしろーい! ちょっとイタズラしちゃおーっと」
 兄やら不思議な呪文を唱えると、カタカタ、ガタガタ、フワーっと。
「やった! 飛んだぁ! じゃあ、次の部屋はー……」
 少女は異変が起こったその部屋を後にして、また次の部屋にイタズラを仕掛けていく――。

●心がぴょんぴょん♪
「ネタバレします! ボスはウサギさんです!」
 両手を頭に当てて、ぴょこぴょこ動かしうさ耳のポーズ。今日はちょっと機嫌が良い(?)ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)その人である。
「はい、今回も『悪夢』を見てしまったので、皆さんに協力をお願いしたいんです」
 予知を基に、自由に話を進めていくロザリアは、いつものように『ぐりもあのーと』から猟兵達に必要な情報を伝えていく。
「今回は『アルダワ魔法学園』の迷宮が事件の舞台ですね。そこにいるオブリビオンのウサギさんが迷宮にイタズラをしたみたいで、今、迷宮は大変なことになってるんです。具体的に言うと――」
 ここでロザリアは『ぐりもあのーと』を足元に置き、ジェスチャーを加えて話し始める。
「こーんな感じの、四角いタイルがですね、シューって飛んできちゃうんです。危ないですね。しかも、このタイルは床に敷き詰められているみたいなんですが、全部剥がさないと先に進めないみたいで」
 両手を広げたり、体を大きく動かして飛んでくるタイルを表現したり、なんだかちょっぴり忙しい。
「一応、自分で剥がす必要はないみたいなんです。皆さんが迷宮に足を踏み入れて歩き回っていれば、反応して飛んでくるようです。逆に剥がそうとすると、突然タイルが跳んで大怪我をするかもしれませんから、気を付けて下さいね」
 そこまで話して、ロザリアは『ぐりもあのーと』を手元に戻す。
「その先にあるものは『悪夢』には出てこなかったんですが……どうやら、ボスのウサギさんは雪に関係があるようなので、そういう部分を少し気にしておいてもいいかもしれません」
 そこで今回の依頼に関する情報が終わりであることを確認すると、『ぐりもあのーと』をぱたんと閉じて、
「今回どれくらいお力になれているかわかりませんが……皆さんならきっと、この事件を解決してくれると信じてます! 一緒に迷宮に平和を取り戻しましょう!」
 えい、えい、おー、と掛け声もつけて、ロザリアは猟兵達を送り出すのだった。


沙雪海都
 まったり運転を心掛けていきたい沙雪海都(さゆきかいと)です。
 アルダワ魔法学園に戻ってきました。何か面白いフラグメント見つけたらのんびり書いていこうかなと思います。

●第1章でやること
 飛んでくるタイルに対処しつつ出口が開くのを待ちましょう。
 皆さんで対処していけば出口はいずれ勝手に開くので、タイルの対処に専念して頂くのがいいかと思います。

 タイルは正方形で、大きさは15cm四方くらいをなんとなーくイメージして頂ければ。
 材質は迷宮の壁とか天井とかと大差なさそうです。
 一度にそれなりの数が飛んできます。一個対処して安心してはいけませんよ。

 無理に剥がそうとすると、突然飛んで当たってしまうのできっと痛いです。
 普通に歩き回る分には、足元のタイルが突然飛ぶということはないのでご安心下さい。
 ……ということは、ある程度飛ぶように仕向けておかないと(タイルの数が少なくなったら残っているタイルから離れておくとか)解決が遠くなるかも……?
 意図的に遅らせようとしない限りは大丈夫かと思いますけど。

 第二章、別に伏せておく理由もないのですが、とりあえず冒険フラグメントということはお伝えしておきます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『襲い掛かる無数のタイル』

POW   :    タイルの体当たりをひたすら耐える

SPD   :    タイルの体当たりを素早く回避する

WIZ   :    タイルが体当たりする前に撃ち落とす

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

十六夜・月
しょっぱなからネタバレだと・・・!? 心がぴょんぴょんするんじゃぁ~(

(WIZ)
飛んでくるなら撃ち落とせばいいじゃない。クレー射撃みたいなものよ・・・
散弾銃ではないけど何とかなるでしょう。ダメならダメでその時考える(

メインはver.pul【1610L-BFS】での射撃でタイルを撃ち落とします。
[スナイパー]での精密射撃で1枚1枚、もしくは[範囲攻撃]での複数破壊で
早い突破をできればいいな・・・

もし、射撃での破壊が追い付かず、当たりそうになった場合、[怪力]での
射撃(物理)で破壊をします。
【アドリブOKむしろカモン】


凍雪・つらら
体当たりしてくるタイル、ですか...
では私は、【無敵城塞】を使ってひたすらタイルの体当たりを耐えることにします、タイルが多そうな所で待機して、【無敵城塞】を発動しひたすら耐えます、タイルが少なくなってきたら多い所に移動してまた【無敵城塞】で処理する事にしますっ
初めての冒険ですが、頑張りますっ!


城田・紗希
タイルの飛ぶ部屋かー。
アトラクションにしたら面白いんじゃないかな?

とりあえず、ウィザードミサイルで片っ端から撃ち落とすよ!
……範囲攻撃と誘導弾使いつつ、1枚に10本も打ち込めば足りるかな?
火力過剰なら、1枚に5本とか3本とか、ちょっとずつ減らして程よいスペックを見てみる……。
……ところで、これって飛んでないタイルは砕けないの?(足元の1枚に集中砲火して少し観察)


フォー・トラン
【WIZ】
空飛ぶタイルか。
こういう不思議な仕掛けを見るとアルダワに戻ってきたって感じがしてちょっと安心するけど、タイルに頭をかち割られるのは嫌だな。

どこもかしこも蒸気機関だらけのアルダワなら水には事欠かないので、【精霊召喚魔法】で水の精霊を呼び出して、このフロアを抜けるまでついてきてもらうことにしよう。
このエレメンタルロッドを貸すから、タイルが飛んできたら叩き落としてくれ。
その間、アタシは見張りをして、タイルが飛び立つ素振りを見せたら踏みつけにいく。

タイル叩きに疲れたら交代するから、いつでも言ってくれ。



●あぁ^~タイルがびゅんびゅんするんじゃぁ^~
「しょっぱなからネタバレだと……!?」
 十六夜・月(自由気ままなダンピール・f12574)に電流走る。迷宮探索の醍醐味と言えば未知との遭遇だろうに。未だ日の目を見ていないお宝との遭遇。封印されていたモンスターとの邂逅。
 それが何だ、ボスはウサギ、圧倒的ウサギっ……!! これでは推理小説の冒頭で『犯人はあの人です』と初っ端から書かれているようなものではないか。
「う……うぅ……心がぴょんぴょんするんじゃぁ~」
 でも迷宮に入ったらなんだか気にならなくなってきた! というわけで月は心がぴょんぴょん(業界用語で『ウキウキする』くらいの意味)しながら迷宮内の仕掛けに挑む。
「初めての冒険ですが、頑張りますっ!」
 こちらは凍雪・つらら(凍える雪九尾・f14066)。猟兵としての最初の冒険に胸躍らせており、意気込みも十分。寒冷の地で育ったという彼女は、迷宮の中でもしっかり防寒対策。もこもこで暖かそうだ。
「タイルの飛ぶ部屋かー。アトラクションにしたら面白いんじゃないかな?」
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は部屋の様子を見ながらのんびり呟く。部屋は単純に広いだけの四角い箱で、足元のタイル以外に仕掛けのように思われるものはなかった。
「えぇ? 体当たりしてくるタイル、ですよ……?」
「飛んでくるタイルを撃ち落として進むアドベンチャーとか、きっと面白いと思いますよ」
 紗希の想像力の前に少々困惑気味のつらら。紗希は足元のタイルに目を向けて、こう飛んできたらこう、とイメージトレーニングを始めていた。
「こういう不思議な仕掛けを見るとアルダワに戻ってきたって感じがしてちょっと安心するけど、タイルに頭をかち割られるのは嫌だな」
 かつて滞在していたことのある世界とあって、フォー・トラン(精霊術士・f12608)は懐かしむように迷宮内を見渡していく。タイルが飛ぶといった仕掛けはアルダワ魔法学園ならでは。だが、迷宮に仕掛けられた謎である以上、遊び感覚でいるわけにはいかない。周囲に警戒しながらフォーは気を引き締める。
 迷宮に入った四人だが、まだ動きはない。フォーはあらかじめ考えていたタイルへの対処法を実行すべく、【精霊召喚魔法】で水の精霊を呼び出す。フォーが少し念じると、目の前に水が集まり流れを作って、その中からぱしゃん、と水しぶきを上げて精霊が現れた。
「このエレメンタルロッドを貸すから、タイルが飛んできたら叩き落としてくれ」
 フォーから差し出されたエレメンタルロッドを受け取ると、精霊はこくこくと頭を縦に振り、フォーの後ろをついて飛び始めた。
「フォーさんもタイルを撃ち落とすつもりか?」
 同じように準備を、『ver.pul【1610L-BFS】』に弾を込めていた月が、フォーが呼び出した精霊を見て声を掛けた。
「そうだ。飛んでくるのはこの精霊に任せて、アタシは近くで飛びそうなのがあったら踏みつける」
 この精霊、と親指でフォーに示されると、精霊は頑張ると言わんばかりに借りたエレメンタルロッドをぶんぶんと振り回す。
「なるほど。私はこの銃で。飛んでくるタイルは、言わばクレー射撃みたいなもの。散弾銃ではないけど何とかなるでしょう。ダメならダメで、その時、ってことで」
 遠くの壁へ銃口を向けて、今や遅しとタイルが飛ぶのを月は待つ。
「私はこれです。魔法の矢で、片っ端から撃ち落としますよ!」
 紗希の手に炎が灯る。【ウィザードミサイル】は自在に操れる炎の矢。今はまだその一端しか見せていないが、タイルが飛び始めれば一気に数を増して撃ち出す算段だ。誘導性能と範囲攻撃の性能を付加して準備万端。
「皆さんはタイルを壊して回るんですね。私は、頑張って耐えてみることにします!」
 つららはタイルに対し、完全防御の姿勢で臨む。【無敵城塞】で超防御モードになれば、飛んでくるタイルにもきっと負けないはずだ。ただ、その間自身は全く動けないので、タイルの性質を考えて時折動くようにしようと考えていた。
 各々準備を整え、タイルが飛ぶのを待ち構える。互いに対処しやすいよう、部屋の奥へ少し広がるように移動していくと。

 ――カタカタ、ガタガタ。

 聞こえてくる物音に、四人は一斉に身構える。次の瞬間、部屋の至る所で空気に吹き上げられるようにフワーっとタイルが持ち上がり、四人目掛けて次々と飛んできた。パイ投げのようにタイルが正面から向かってきたり、手裏剣のように回転しながら飛来したり、タイルも多種多様な動きを見せている。
「ふっ……はあっ!」
 月は銃口を向けると精密な射撃でタイルを一枚一枚確実に撃ち抜いていく。砕いた破片は派手に飛び散って周囲に飛ぶ別の欠片にダイレクトアタック! 連鎖的に複数のタイルを一度に破壊していた。
「一枚に十本も打ち込めば足りるかな?」
 紗希は手の中の炎を自分の周囲に撒いて、空中で大量の炎の矢を生成した。これまでも何度か使ったことがある【ウィザードミサイル】も、紗希自身の力の向上により威力を増しており、今や百本の矢を同時に扱えるまでになっていた。
 最初に目を付けたタイルには、十本の矢を一気に打ち込んでみた。矢の集中砲火を受けたタイルは紗希に辿り着くことなく空中分解。粉微塵になるまで砕かれて散っていった。
「ちょっと火力強すぎたかな……」
 省エネも大事。タイルを破壊するのに適切な数を探るべく、五本、三本と数を減らしながら打ち込んでみる。
 結果、二本同時に打ち込めばタイルは綺麗に破壊されることがわかった。二本ずつ誘導して打ち込み、多くのタイルを破壊していく。
「超防御モードですっ!!」
 つららは宣言と共にしゃがみ込んで、頭を抱えるようにして丸まった。いかに無敵になれるとは言えど、顔だとかお腹だとか、当たるのが怖い、当たると痛そうと思ってしまう部分もある。
 故に、こうして体を丸めておけば身を守っている感じがして、飛んでくるタイルもあまり気にしなくて済む。後は安心して耐えていればいい。
 飛来するタイルはつららを狙って空中でぎゅんと方向転換、急降下。外からはがつん、がつんと当たっているように見えるが、つららにはわずかな衝撃が走るくらいで痛みは全くなかった。
(大丈夫そうですね。よかったです)
 心の中で安堵する。つららを直撃したタイルはそのまま落下し、床に落ちていった。
 タイルを破壊するという行為は派手でいかにも迷宮の仕掛けに対処しているように見えるが、この仕掛けはタイルを床から剥がしていけばいいので必ずしも破壊する必要はない。
 後は各々好きな手段を選べば済む話。こうして耐え続けるつららも立派に迷宮攻略に一役買っていた。
(……ちょっと少なくなってきたでしょうか)
 衝撃の頻度が減ってきたのを感じ、つららは顔を上げる。他の仲間も結構な数に対処しているとあって、遠くの方に見えるタイルが少なくなってきた。
 つららの足元付近にはまだタイルが敷き詰められている。これも剥がさないと、とつららは超防御モードを解除して移動しようとするが――。
 ひゅん、とつららの足元にあったタイルが、移動するつららのすぐ背後目掛けて飛び立とうとして。
「不意打ちは卑怯だろう?」
 精霊にタイルの打ち落としを任せて周囲の警戒を強めていたフォーが即座に飛び込み、足でタイルを上から思い切り押さえつけた。バキン、と地面に叩きつけられたタイルは真っ二つに割れ、フォーは邪魔だと言わんばかりに破片を部屋の隅に蹴り出す。
「気をつけな、油断してるとやられるよ」
「あ、ありがとうございます!」
 つららは感謝の意を述べてまた移動を始める。それまでつららがいた場所近辺のタイルが次々に動き出したので、フォーはもぐらたたきの要領で浮き上がるものから順に踏みつけ始めた。
 少しでも浮けばその時点で剥がれたこととなり、フォーが踏みつけたものは二度と動くことはなく、蹴り出した先、部屋の隅には瓦礫となったタイルの山が築かれていく。
「……ん? どうした、疲れたか?」
 傍らの精霊がエレメンタルロッドを持つ腕を下ろしてやってきた。人が対処するなら腕を振る、足で踏む、くらいで済むかもしれないが、精霊にとっては全身運動。タイルを叩き落すために尽力していた精霊はぐったりした表情でフォーに助けを求めていた。
「なら、交代しよう。そいつも重いだろうから、一旦こっちに渡してくれ」
 フォーが差し出す手に精霊はエレメンタルロッドを申し訳なさそうに乗せた。そこに、気にするな、と声を掛け、フォーはエレメンタルロッドを武器に、精霊と同じく飛んでくるタイルを叩き落す。同じくタイルの破壊に動いていた二人と違い、タイルをしっかり引きつけないといけないのでタイミングが命。目の前だけでなく、横や後ろにあるタイルにも気を配りながら、自分のところに飛んでくるタイルをしっかり引きつけて、
「おらよっ!!」
 一撃一殺、振り抜かれたエレメンタルロッドがタイルの中央を叩き、真下に突き落とす。力を失ったタイルはパズルが砕けるように破片がバラバラに飛び散っていく。
 一方、フォーに助けられたつららだが、タイルが飛び交うここは戦場そのもの。超防御モードは移動と両立できないので、移動する間は無防備な状態で進まなければならない。
 もちろん、その間はタイルに狙われない、なんてことはなく、つららに向かって飛んでくるタイルもあった。
 だが、
「おっと、そっちには行かせないよ」
 月が持つver.pul【1610L-BFS】の銃口が次々に火を噴く。自分に飛んでくるタイルに対処しながら、つららに飛んでいくものにも範囲攻撃の利を生かし、寄せ付けない。水平に飛んで狙いにくかろうが、当たればタイルが粉々に砕ける、というただ一点を精密に狙い、発射、直撃、完全粉砕。多少の粉がつららに降り掛かることもあったが、そこは着込んだもこもこが防いでくれた。
「あまり走ると危ないですよ」
 つららの移動に合わせ、紗希もまた矢の範囲を広げていた。大量のタイルには大量の攻撃の手が物をいう。一度に何十枚ものタイルを相手取れるとわかった紗希は空中に滞留させた矢をあちこちへと飛ばしていた。二本重ねられた矢はタイルの真ん中を串刺しにしてその勢いを失わせる。
「皆さん、ありがとうございます! では……もう一度、超防御モードっ!!」
 つららはタイルが剥がれきってただの地面になった一角に陣取り、再びしゃがみ込んで身を固めた。それを見て月と紗希の二人は自分たちに降り掛かるタイルへと専念する。
「……!?」
 くるりと振り返った月の先にタイルが迫ってきていた。銃で狙いを定めているのでは遅いと思ったか、銃身を怪力で思い切りタイルに叩きつけ、強引に破壊した。
「数は減ってきたけど、油断ならないな」
 全てが終わるまでは気を抜けない、と月はタイルを狙う視線を一層鋭くする。
「……ところで、飛んでないタイルは砕けないのでしょうか?」
 足元にまだ剥がれていないタイルを見つけ、紗希は疑問を解決すべく実行に出た。動かないのを確かめて、炎の矢を十本纏めて照射。
「あ、あぶなっ……」
 タイルの上で弾けた炎が周囲に広がり、紗希の足にも降り掛かる。慌てて飛んで火の粉を避けて、件のタイルの状況を確認した。
 表面が黒く焦げているが、タイルに損傷のようなものは見えない。
「うーん……剥がれないと砕けないなんて……不思議ですね」
 謎は深まるばかりだが、さらに多くの検証は状況的に難しい。紗希はその場を離れ、飛び立ったタイルを待ち構えて矢で貫いた。
 フォーがタイルを叩き壊し、つららが身を屈めてひたすらタイルの体当たりに耐える。そんな時間が少し続いて。
「……これで、終わりだ!」
 フォーが叫びながら、力強くタイルを粉砕する。離れたところでは月が上空に飛んだタイルを、まさにクレー射撃の要領で狙いを定め、真ん中を撃ち抜き、落としていた。紗希は余っていた残りの炎の矢を全て纏めて一本の極太魔法矢へと変換し、砲丸投げのように投擲。ミサイルのように発射された矢がタイルと衝突して大きな炎の花火となった。
「……終わりました……か?」
 音が止み、つららが恐る恐る顔を上げる。タイルの残骸が辺りに散らばっていたが、床からは全て剥がれており、もう飛んでくるものはない。
「終わったようだ。ほら、その証拠に」
 月が銃口を向けた先には、次のフロアへと続く部屋の出口がぽっかり開いていた。仕掛けを突破したことで、進む道ができたのだ。
「さぁて、次は鬼が出るか蛇が出るか」
「どんなアトラクションでしょうか、面白いものだといいですね」
 フォーがニィと笑みを見せ、紗希が目を爛々と輝かせながら、四人は迷宮の奥へと進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『極寒のカチコチダンジョン』

POW   :    寒さなんて気にしない!気合いで乗り切る

SPD   :    身体が凍りつく前にスピード攻略!

WIZ   :    寒さを凌ぐ方法だってある!防寒対策バッチリで攻略

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●極寒のカチコチダンジョン
 そこは極寒の地。
 何故そうなっているかというと、全てはウサギの仕業なのだ。
 飛び交うタイルの部屋の次に仕掛けられたのは、迷宮の中とは思えぬほどの雪と氷に閉ざされた場所。
 ここを抜けなければウサギのいる迷宮最深部には辿り着けない……のだが。
 寒い。如何せん寒い。どうにか対処しなければ。
 猟兵よ! 寒さに負けず突き進め!
城田・紗希
なんで氷のタイルでダンジョン作るかなぁ(寒さで混じった)
とりあえず、レプリカクラフト…じゃなかった、材料の木材で暖を取ろうかな……。
も、持ち込んだ材料デスヨ?ダンジョンに入る直前に集めた枯れ木とかじゃないデスヨ??
ウィザードミサイルを火種にして焚き火を……。
……氷を溶かせば寒さはマシになるかな?(人を避けて壁に火を乱射)



●氷には炎が二倍ダメージになる世界があるらしい
 タイルの部屋から通路を抜けると、そこは一面スケルトンブルーの世界。触れれば当然冷たく、触れずとも冷気が押し寄せてきて体を芯まで冷やしていく。
「なんで氷のタイルでダンジョン作るかなぁ」
 腕で自分の体を抱きしめるように身を縮めながら紗希は進んでいく。ちなみに、この迷宮を構成する氷はどちらかと言えばブロックに近いのだが……あまりの寒さに紗希の頭の中は、先程の仕掛けと今の仕掛けがごちゃごちゃになっていた。
「これでは、下手をすれば死んじゃいますね……うぅ、何とかしないと」
 このまま進んでも行き倒れるだけ。紗希は暖を取ろうと、一旦その場に立ち止まって足元にばらばらと木材を撒き始めた。
 木材、と言うには少々原生的な形状をしたものも見受けられるような気がするが……本人の名誉のためにそこは触れないでおこう。どうせ燃やしたら同じなのだ。
「ウィザードミサイルを火種にして……」
 タイルの部屋でも活躍した【ウィザード・ミサイル】を指先に小さく発生させ、発射して木材にぶつけていく。何度か同じ場所へ小さな矢を放っていくと、パチパチと乾いた音が弾け、煙と共に小さな炎が立ち上がった。冷気を物ともせず揺らめく炎に木材をくべて絶やさぬようにし、安定してきたところでそっと両手をかざす。
 冷気に支配された迷宮だと言うのに、焚火の周りは熱気が立ち込め、暖かい。紗希の体も徐々に熱を取り戻し、思考も鮮明になっていく。
「生き返りますね……」
 目を細め、炎の暖かさを存分に味わう。周りは氷に囲まれていても、そこだけはちょっぴり南国気分。
「氷……もしかしたら、溶かせば寒さはマシになるかな?」
 ふと思い立ち、近くにある氷の壁に炎の矢を放ってみた。一直線に突き進んだ炎の矢は氷に触れ、表面を舐めるように広がった後、熱を失って消えていった。
 どうやら周囲の氷は分厚く、溶かしたと思ってもまだそこに氷の壁が残る。だが、溶けた表面の氷が水蒸気となって広がり、周囲の冷気の影響を緩和していた。
「あぁ、これで少し歩きやすくなりますね」
 紗希は焚火で十分体を温めると、水蒸気で冷気が和らいだ迷宮を進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォー・トラン
【SPD】
寒い!
のんびりしていたらウサギを見つける前に遭難してしまう!

この場は【偽造魔法】で造りの荒いスキー板を用意して素早く切り抜ける。
ストックはこのロッドがある。
ある程度速度が乗れば、後は転んでもスキー板が壊れても構わない。
姿勢がどうであれゴールに向かって滑っていけたらそれでいいのだ!

しかしこのウサギ、タイルを飛ばしたり一部屋まるごと氷漬けにしたり、魔法使いとしてはかなりの優等生だな。
うらやま……いや、なんでもない。



●寒いなら 滑ってしまおう 氷の迷宮(超字余り)
 氷の迷宮はまだ続く。
「寒い! のんびりしていたらウサギを見つける前に遭難してしまう!」
 それまで物言わず歩き続けていたフォーだったが、肌を刺すような寒さはやはり辛い。一刻も早く迷宮を抜けるべく、フォーは移動手段を用意することにした。
「スキー板を作って滑っていくか……ストックはこのロッドがある」
 【偽造魔法】を使い、細長く平たい板を作り出していく。中央部分の幅を緩やかに細く、そして先端にいくにつれまた膨らませて、最後に先端を少し上へ反らせば完成だ。足に装着する部分を板に細工して、早速装着してみた。
「……いい出来とは言い難いが、文句は言うまい」
 【偽造魔法】はある程度のものであれば自由に作れるが、そこには『自分が触れている物の複製を作った場合のみ極めて精巧になる』という制約がある。今はどうしても質の高いものは作れないが、それでも何も準備がないよりはマシだ。
「よし……行くか」
 エレメンタルロッドを氷の床に突き立てて、自分の体を押し出すようにぐっと力を込める。すると、ずずず、と少し抵抗がかかりながらも、スキーが滑りだした。
「ある程度速度が乗れば、後は転んでもスキー板が壊れても構わない。姿勢がどうであれゴールに向かって滑っていけたらそれでいいのだ!」
 寒さに負けないように、と敢えて決意を声に出し、自らを鼓舞していく。エレメンタルロッドを持つ手の動きはある程度の速度を保ちながら、膝のクッションも使って勢いを殺さないように滑っていく。
 氷の小さな起伏に翻弄されながらも、フォーは確実に進んでいく。スノースポーツと言うにはいささか格好が異なるが、今は進みさえすればいいのだ。気にする者は誰もいまい。
(しかし……)
 雪が堆積する場所を滑れば速度も上がる。滑りに調子が出てきたことで、物事を考える余裕も出てきた。フォーは流れていく氷の景色をじっと見つめる。
(この迷宮にいるというウサギ、タイルを飛ばしたり一部屋まるごと氷漬けにしたり、魔法使いとしてはかなりの優等生だな)
 迷宮をここまで大きく作り変えているのだから、ただのいたずらウサギと侮ってはいけないな、と肝に銘じて。
 フォーにはウサギの所業に対して別の思いもあった。
(うらやま……いや、オブリビオンに羨望を向けてもな……)
 精霊術士であり、アルダワ魔法学園に籍を置いていたこともある。もしこれほどのことを容易く成し遂げるだけの力があったならば、何かが変わっていたかもしれない。
 だが、今それを考えるのは詮無い事。もう終わってしまったことであるし、いかに優秀であろうと、今は倒さねばならぬ相手なのだ。
 今は目の前のことに集中すべく頭を切り替え、フォーはさらに先へ滑っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

十六夜・月
[POW]
心頭を滅却すれば火もまた涼し、なんて言葉がるんだ・・・その逆もまたしかりなはずだ。そうに違いない(自分に言い聞かし

とりあえず何も考えずダッシュだダッシュ!

うおぉ~~~やったるでぇー!

(先行して進んで後続の仲間に氷柱となった私を発見されるとかそれはそれでネタ的においしいから成功でも失敗でもいいかな、なんて)



●月は走るよどこまでも!
「心頭を滅却すれば火もまた涼し、なんて言葉があるんだ……その逆もまたしかりなはずだ。そうに違いない。とりあえず何も考えずダッシュだダッシュ! うおぉ~~~やったるでぇー!」
 いよいよ始まる氷の迷宮爆走レース。本日この無理ゲー極まる難関コースに挑むのはダンピールのブレイズキャリバー×竜騎士、十六夜・月だ!
 果たして彼女はこの迷宮を抜けきることができるのか!? それとも途中で凍えてマンモスよろしく氷漬けになってしまうのか!?
 とかなんとか言ってる間に準備運動も特になく月がいきなり猛ダッシュ! さぁ第一の難関だがそもそも足元は大体が氷の床だ! 滑らず進むことができるのか――!?
「うっひゃぁぁ!!」
 おぉっといきなりつるりと滑ったぁ――が、転ばない! 両手をぐるぐる振り回して何とか耐える耐えるぅ! 素晴らしいバランス感覚のまま滑っていくがその先に見えているのは雪のこぶが並んだモーグルコースだ! スキーで滑っていくにもかなりのテクニックを要するこぶ連山に月はどう立ち向かうのか!? というかこの勢いのまま突っ込んで大丈夫なのか!?
「ちょ、あぶ、あぶなぁぁぁぁ!?」
 突っ込んだ! 引っかかった! そして飛んだぁ! この一瞬なんとなーく無重力でスローモーションな世界を体験しているであろう月は空中へ完全に放り出されて天地無用を完全無視で一回転!
「とっ――とととぉぉ!?」
 こぶ山に突き刺さった踵が支点となって月の上体が起き上がったところ無意識に出した足で一気に山を踏み越えていく! そして最後の一山を踏みつけ大ジャンプ! 勢いを殺さずコースに着地してさらにダッシュで加速していく!
 雪のこぶ山地帯を抜けた先にあるのは氷のブロック地帯だ! ランダムに転がった氷ブロックの中を突き進まなければならない!
「な、ん、で、こ、のっ……!!」
 トラップなのかこの迷宮が生成される過程でできたのかはわからないが今の月には非常に迷惑な氷ブロックだ! それを月は蹴って砕いて突き進んだ! 痛いか痛くないかと言われたら寒いのでノーカウント!
「あれは無理だぁ!!」
 博物館にある台座みたいな立派な氷のやべーやつがあるがさすがにあれを蹴り壊すのには色々犠牲を払わなければなさそうだ主に骨とか! ぐんぐん迫ってくる氷塊にもはや避ける暇もなく衝突――。
「と、ぶっ!」
 滑る中でもなお足を踏ん張りジャンプ、からの飛び乗りですすーっと寝転がったまま滑って氷ブロックジャンプ台から綺麗に射出! うまいこと足を下にして最後に一つ氷ブロックを踏み砕き見事危険地帯を突破した!
 しかし最後の難関が待ち受ける! あのウサギ暇だから雪ダルマ作って遊びやがったな! 意外と丁寧に作られて可愛いのでいかに敵が作ったと言えど破壊するのは忍びない! ここは避けの一手だ!
「手、が、邪魔ぁぁ!!」
 雪ダルマの手として何か刺さっているのが意外と細くて見極めにくい! もはや感覚で跳んだり避けたりを繰り返しながら月は走り続けている! というか止まったら多分ここにある雪ダルマの仲間入りになる道が待っている!
「うっそぉ!?」
 雪ダルマの頭上を跳んで避けたと思ったらその陰に小さい雪ダルマが居てこれはあれですか落とし穴二連で作って確実に落としていこうというかそういう系のとか考察してる間に月が雪ダルマの頭上にダイブしていくぅぅぅ!!
「キャッチ、アンド、リリースっ!!」
 なんと月はダイブした状態から雪ダルマを抱えて雪の上を転がりその中で再度雪ダルマを設置してから自分は手をついて体を起こし雪を踏みしめて雪ダルマ地帯を抜けていった! 設置された雪ダルマの向きが丁度月の背中を見送るような感じになっててなんか凄く画になってたぞ!
 というわけでなんだかんだ色んなものを乗り越えて月は氷の迷宮爆走レースを無事ゴールするんじゃないかな!

大成功 🔵​🔵​🔵​

凍雪・つらら
【水野・花(f08135)】さんと【テフラ・カルデラ(f03212)】さんの二人と同行

迷宮の中、すっごく寒いです...ふと気づきましたがテフラさん、暖かそうな服です...!抱きつきたい!

私はそう言ってテフラさんに抱きつきます、寒いと言われながらも、テフラさんが凍ってしまうまで、ずうっと...

はっ!テフラさんがカチコチに?あれ?そう言えば私も、凄く寒いような...って、私凍ってきてます?こんな寒い所で長居してたから...ううっ、寒い...よぉ...

氷漬けになった私とテフラさんですが、花さんが助けてくれたようです、良かった...今度は【フォックスファイア】で暖まりながら凍らないように迷宮攻略ですっ


水野・花
テフラくん(f03212)とつららさん(f14066)の二人と同行

おー、寒い。しっかり暖をとっていかないとすぐに動けなくなっちゃいそうです。

二人が先行してくれているので「フォックスファイア」でだした狐火で暖まりながら少し離れて後をついていきます。

って二人が氷漬けになっています!迷宮の冷気だけでこうなるとは思い難いですが……、とにかく助けないと!
ということで「フォックスファイア」で出した狐火で氷漬けの二人を溶かして救出します。

二人だけにすると危険そうなのでここからは私もついていきましょう。周りに狐火を展開してもう氷漬けにならないように注意して進みます。


テフラ・カルデラ
花さん(f08135)とつららさん(f14066)の二人と同行

うぅ~…これは寒い!いくら何でも寒すぎます…!
これは動き回らないとホントに凍りついてしまいそうです…

…ってつららさん!?急に抱き着いてきて…その…仮にもわたし男なので恥ずかしいんですけども!?
というか冷たい!?そういえばつららさんってそういう体質だったんでしたっけ?
そうなるとマズいじゃないですか!?案の定、凍る速度が早まってる!?
ちょっと…つららさん…離れて…凍りつい…ちゃ…ぁ…

ふぅ…何とか花さんが助けてくれたおかげで永久氷結からは逃れましたね…
こちらもウィザード・ミサイルや花さんの「フォックスファイア」で温めながら進みましょうか!



●旅は道連れ……えっ、氷漬けも?
「おー、寒い。すっかり景色も変わっちゃってます」
「うぅ~……これは寒い! いくら何でも寒すぎます……!」
「迷宮の中、すっごく寒いです……」
 水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)、そしてつららの三人は身震いしながら氷の迷宮を歩いていた。一人では寒い氷の道も、三人が寄り集まれば……いや、三人の様子を見ると、やっぱりそれでも寒そうだ。
 周りにあるのは雪や氷ばかり。気を紛らわそうにも、目に映るものは全てが冷たさを強く意識に訴えかけてくる。
「……ダメです、これは動き回らないとホントに凍りついてしまいそうです……」
 テフラが弱々しく声を上げ、一つ大きく身震いする。ただ歩いているだけで体が温まるなら話は早いのだが、残念ながらそれでは周りの冷気が体温を奪っていく方が早そうだ。
「ちょっと、先のほうを見てきます。動くのも兼ねれば、少しはマシになるかもしれませんし」
「なら、私も一緒に……」
 どうにも動かないとやっていけなくなり、テフラは先行しての偵察役を買って出た。それに追従するようにつららが小さく手を上げる。言動が少々控えめだが、つららの露出した髪にはうっすら霜が降りており、冷え具合ではテフラと大差なかった。そして極度の寒がりである分、この状況はより辛く感じられることだろう。
「なら、お願いしますね」
 花が見送る中、テフラとつららはかじかむ体を押して迷宮の奥に向かっていく。少し先のほうに曲がり角があったようで、小走りの二人はきゅっと角度を変えて消えていった。
「このエリアの出口が見つかれば、少しは元気も出るんですけど」
 残された花は一人とぼとぼと歩いていく。寒さへの反応は先行した二人に比べれば薄いようにも見えるが、冷気は分け隔てなく花の体にも襲い掛かる。
「これは……しっかり暖をとっていかないとすぐに動けなくなっちゃいそうです」
 二人が離れ、冷気が直に花へと触れやすくなった分、寒さが厳しくなってきた。危険を感じた花は【フォックスファイア】を発動させる。両手を揃えて上へ向け、何かを持つような、掬うような恰好から、ぽぽぽっ、と狐火の炎を放ち、一つ一つ操作して周囲を巡らせ、またいくつかは合わせて炎を大きくし、暖を取る。
「これで一安心ですね」
 ひとまず凍えて動けなくなるような事態は避けられそうだ。少し体が温まり、ふと迷宮の先に進んだ二人のことが頭に浮かぶ。
 未だ戻ってくる気配がないのを見ると、順調に先へ進んでいるのだろうか。
「……大丈夫ですよね」
 きっと二人はうまくやっている。そんなことを考えながら、花は歩き続ける。

 迷宮は続く。氷の道を先へ先へ、迷宮を抜けたい一心で前に進むテフラとつららは転ばぬよう歩幅を狭めつつも堅実に進む。少し運動量の増えた体には寒さの侵食がいくらか和らいだようにも感じられたが、依然寒いことには変わりない。
「この迷宮、どこまで続くんでしょう……」
 存在確認も兼ねて、テフラは後ろをついてくるつららに声を掛ける。気付かぬうちに行き倒れていては堪らない。声を出せば少しぼんやりし始めた意識も戻ってくるというもの。テフラは何であれ、声は出すようにしていた。
「わかりませんけど……ふと気づきましたが、テフラさん」
「……何ですか?」
「暖かそうな服です……! 抱きつきたい!」
「――!?」
 いつになく強気の口調で返事があったかと思えば、つららは一目散にテフラの体へ、覆いかぶさるように抱きついていた。
「つららさん!? 急に抱きついてきて……その……仮にもわたし男なので恥ずかしいんですけども!?」
 自分のことを『わたし』と呼び、乳白色の長髪も魅力的なテフラだが立派な男子。色黒の肌にほんのり朱が差した顔で慌てふためくが、つららは一向に離そうとしない。ぎゅっとテフラの体にしがみついて、顔を衣服へすりすりと。
「暖かそう……離さないぃ……」
「ちょ、ちょっ――というか冷たい!?」
 背後から回されたつららの腕を引き離そうとして触れたテフラは、そのあまりの冷たさに反射的に手を離した。つららが常に纏っている冷気に迷宮の冷気が作用して、普段よりマシマシな冷却具合になっていた。
「そういえばつららさんってそういう体質だったんでしたっけ? そうなるとマズいじゃないですか!? 案の定、凍る速度が早まってる!?」
 さぁ大変だ。迷宮の影響で強まったつららの冷気がテフラの体を包み始め、ピキピキと足元から凍りつかせていくぞ。足元が固められて動けなくなり助けを求めようと辺りの人影を探そうときょろきょろ見回すうちに膝まで氷の中に封じられた。ある意味立つのが楽だけど――なんて一瞬思ってしまったばっかりにもう凍結は腰まで終わってしまっている。もはやくるりと振り返ることもできないのでせめてこの手を引き剥がすことができれば――。
「ちょっと……つららさん……離れて……凍りつい……ちゃ……ぁ……」
 上半身が氷の中に呑まれ、口も開いたまま動かなくなり、最後は声まで凍ってしまった。つららの腕を巻き込んで完璧な氷漬けになったテフラ。その侵食は留まるところを知らず、今度は腕を伝ってつらら自身にも迫っていた。
「……はっ! テフラさんがカチコチに?」
 モフモフな感触がいつしかツルツルひんやり、気付けばテフラの体は完全に氷の中で眠りについている。
「あれ? そう言えば私も、凄く寒いような……って、私、凍ってきてます?」
 じわじわと近づいてくる氷は着実につららの腕から肩、胴へと勢力を広げていく。さらに足元からも氷がせり上がってきており、最早つららにも逃げ場はない。
「こんな寒い所で長居してたから……ううっ、寒い……よぉ……」
 泣きべそのような声を上げながら、つららは見事にテフラと仲良く氷漬けになってしまった。

「大丈夫じゃなかった!?」
 狐火で温まりながらまた一つ角を曲がったと思いきや、目の前に凍ったつららとテフラが鎮座しているのだから花も素っ頓狂な声を上げた。
「……って、二人が氷漬けになっています!」
 一瞬現実を直視できず固まった思考を溶かして状況を確認。触れてみればダイヤモンドのように固く、そして冷たい。
「迷宮の冷気だけでこうなるとは思い難いですが……とにかく助けないと!」
 花は周囲に出していた狐火を目の前の氷に集め、溶かしていく。熱を当てられた部分の景色が揺らめいて、徐々に二人の体が氷の中から浮かび上がってきた。
 狐火をぐるぐる動かして全体を満遍なく溶かし、頭、体、足と順に氷の中から脱出させた。それでも少しの間その形で固まり続けていたが、狐火の近づけるとじりじりと肌を焼く熱気が二人を襲った。
「熱いぃ……」
「あ、熱っ!」
 息を吹き返したかのように声を上げたかと思うと、つららはへなへなと倒れ込み、解放されたテフラが跳んだ……ところで支えを失ってよろめき、こちらもぱたりと。
「二人とも、危ないところでした……」
「そうみたい、ですね……ありがとうございます」
「よかった……花さん、来てくれてありがとう……」
 二人ともぺこりと頭を下げて立ち上がる。狐火は冷気対策に効果があったようで、先程まで氷漬けだったつららとテフラも普通に動けるまでに回復していた。
「二人だけにすると危険ですね……私もちゃんとついていきますから、三人で、迷宮を突破しましょう」
「そうですね……あ、フォックスファイア! その手がありました! 今度は凍らないように迷宮攻略ですっ」
「わたしもウィザード・ミサイルを使えば炎を出せますから、皆で温まりながら進みましょうか!」
 次々に熱源が飛び出して、辺りは一気にぽっかぽか。思わぬハプニングの中で三人の絆も深まって、仲良く迷宮を攻略していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『雪うさぎリーダー』

POW   :    雪兎凍結地獄(コキュートス・セット)
【地形や装備をつるっつるに凍らせる事で】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    雪兎軍団(マイアーミー・セット)
レベル×5体の、小型の戦闘用【雪うさぎ(消滅時に強い冷気を放出)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    召喚!雪兎王!(カモン・ユキウサキング)
【自分に似た姿の戦士】の霊を召喚する。これは【冷気】や【氷で作り上げた武器】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠中村・裕美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●迷宮の雪うさぎ
 氷の迷宮を抜けた先は、ちょっと大きめの広間だった。その中央に。
「うっさぎっはぴょん、ぴょん。ぴょん、ぴょん、ぴょーん♪」
 謎の少女が迷宮内で歌って跳ねて。いかにも怪しい、すこぶる怪しい。
「……あれ? ここまで来れたんだ。すごいすごーい! じゃあ、せっかくだからー……私と目一杯、遊んでね!」
凍雪・つらら
【水野・花(f08135)】さんと【テフラ・カルデラ(f03212)】さんの二人と同行

テフラ君にボスをおだててもらって注意を引き付けてもらってる間に私はボスの後ろに回り込み、あらかじめ【氷雪分身】を使っておきます。

油断してるボスを後ろから羽交い締めにした後、出しておいた分身をテフラくんごと正面から抱きつかせます!そして私と分身の【至凍の吐息】でテフラくんごとボスをガチガチに凍らせちゃいます!ボスのもこもこ、冷凍焼けの良い匂いです...

その後テフラくんだけを花さんに解凍して貰いました
勝てた嬉しさのあまりうっかり解凍したてのびしょ濡れテフラ君に抱きついてしまって...テフラ君が凍っちゃいました!?


テフラ・カルデラ
花さん(f08135)とつららさん(f14066)の二人と同行

凍らされて羨まし…じゃなくて捕らわれている生徒たちを返してもらいます!
ここは同じウサギですからきっと分かり合えるはずなのでおだてて油断させましょう!

そして、つららさんが雪ウサギリーダーを後ろから羽交い絞めに!
…あれ?それから後ろから分身が抱き着いてきて…えぇ!?ちょっと待って!それ予想外です!!わたしまで凍っちゃ…

ま…まさかわたしごと凍らせてしまうなんて…でもこれはこれで…
…じゃなくて!凍ったわたしは花さんに解凍してもらい見事ボスだけが氷像に…綺麗です♪
そして解凍直後つららさんが嬉しさのあまり抱き着いてきて…ま…また凍っ…ちゃ…ぁ…


水野・花
テフラくん(f03212)とつららさん(f14066)の二人と同行

あのうさぎさんがこの迷宮のボスですか。
近づくと寒そうなので遠くから「千里眼射ち」で攻撃しましょう。400mくらい離れても大丈夫ですし。10秒間集中する必要がありますがテフラくんとつららさんが前衛で戦ってくれているので大丈夫でしょう。

消滅時に強い冷気を放出する雪うさぎさんもこれだけ離れていれば安全に倒せます。むしろ、雪うさぎリーダーさんの近くにいる雪うさぎさんを狙って逆に冷気で凍らせてやりましょう。

って、あら?またテフラくんが氷漬けに……「フォックスファイア」で解凍してあげましょう。



●つららサンドは凍えるほどに
「……あのうさぎさんがこの迷宮のボスですか」
 花は迷宮の雪うさぎを前に警戒を見せていた。白い耳、白い髪、白い肌。袖口や裾にファーをあしらったオフショルダーのワンピースは迷宮の中でも涼しげで、軽快に飛び跳ねる様子を見る限りどこにでもいそうな少女なのだが、迷宮の一画を丸ごと氷漬けにした力の持ち主だ。
「近づくと寒そうです。遠くから攻撃しましょう。……お二人はどうしますか?」
「同じウサギですから、きっと分かり合えると思うんです。わたしは少し話をしてみて……できたらおだてて油断させちゃいましょう」
「じゃあ、私はその間にボスの後ろに回り込んで……」
 一緒にここまでやってきたテフラとつららと三人で、ボスの雪うさぎにどうやって挑むかひそひそ相談。その様子を、雪うさぎは不思議そうに眺めていた。
「ねーねー、遊んでくれないのー?」
 両手を後ろに回しながら、ちょっと背伸びして雪うさぎに背中を向けて相談する三人の様子を覗こうとする。
「……遊んであげますよ」
 花は振り向き不審がらせないように軽く返事をして、
「私の攻撃は十秒間集中が必要ですから……お二人が時間を稼いでくれるなら助かります」
「頑張ります!」
 作戦を決めて、三人はくるりと雪うさぎへ向き直った。
 まずはテフラが雪うさぎに近づいていく。本来であれば敵対するオブリビオンに無防備に近づくのは非常に危険なのだが、目の前の雪うさぎは遊び相手を待つかのように、テフラの接近を許していた。
「うわぁ、長くて綺麗なお耳ですね! わたしとお揃いです!」
「あ、本当! お揃いー!」
 二人の共通点、長い耳をぴんと立てながら、テフラと雪うさぎは楽しくおしゃべり。
「ワンピースもふわふわが素敵ですね!」
「でしょでしょ? お気に入りなんだー♪」
 雪うさぎはテフラのおだてにニコニコ返事して、その裏にある企みには全く気付いていなさそうだ。
 テフラが雪うさぎとの会話で気を引いている間に、花は集中力を高めていた。狙うべきは雪うさぎ。刺すような視線を向けていつでも射抜ける状況を整える。気迫が強すぎて気付かれないかが一抹の不安だったが、テフラと話す様子からは感づかれているようには見えなかった。
 花の視線の先、雪うさぎの奥では、雪うさぎに気付かれないようにつららが仕掛けを始めていた。【氷雪分身】で、雪と氷で出来た自分の分身を作り出し、しゃがみ込ませて待機させる。分身だけあって、寒がりなところも瓜二つ。膝を抱えた状態でぶるぶると震えていた。
(9……10……今っ!)
 集中力が最高に達した瞬間、花は即座に弓を構え、矢尻を雪うさぎに向けた。絶対に当てる――強い意志と共に向けられた視線にはさすがの雪うさぎも気付いたようで、ぴくりと耳を動かし、表情もにわかに険しくなる。
「いよいよお遊び? じゃあこっちも――」
「捕まえちゃいます!」
 雪うさぎが小型の戦闘用雪うさぎを召喚し始めたところでつららが動いた。後ろから両腕で抱きつくように羽交い絞めにして体の自由を奪う。
「わぁ!! 何、何!?」
「離しませんよ!!」
 つららはじたばたする雪うさぎに食らい付いて離さない。
「つららさん、助かります!」
 つららが束縛し固定された的へ、花が矢を走らせる。きらりと輝く矢尻が風を切って飛び、雪うさぎの腕に突き刺さった。
「いった~い!!」
 雪うさぎは腕に刺さってびよんと揺れる矢の痛みにぎゅっと目を閉じていた。そこへ、召喚していたつららの分身がすかさず前に回り込み、そこからぎゅっと抱き着いてつららサンドイッチが完成した。中身は雪うさぎ――とテフラだった。
「あれ!? わたしも巻き込まれてる!?」
「むぅ~、身動きできないよ~!!」
 前から後ろから、つららとその分身に取り囲まれ二人はじたばた。テフラも雪うさぎも逃れようと頑張ってはみたが、意外に強固でほどけない。
『凍って下さい、ゆっくり、凍えながら……』
 はぁぁ、と艶っぽく吐き出された息はドライアイスよりなお白く冷たく、雪うさぎにテフラを巻き込んで凍りつかせていく。つららと分身の吐息が二人の肌に吹きかかり、最も近い顔から氷の侵食が始まった。
「ちょっと待って! それ予想外です!! わたしまで凍っちゃ……」
 テフラが訴えるも、凍結は止まらない。凍えて固まった体ではいよいよ抜け出せず、テフラが上げる声も小さくなっていく。
 一方、雪うさぎもつららの吐息からは逃れられず、氷の張った体でどうにかもがこうとしていた。
「こ……このぉ~!!」
 凍りつきながらも、雪うさぎは小型雪うさぎの召喚を続けていく。十、二十、三十、と増え続け、つららの分身を含めた四人の周囲を取り囲み、抵抗していた。
 予想外だったのはテフラだけではない。花にとっても、つららが密着したまま雪うさぎを凍らせていくのは不都合だった。
 召喚された小型雪うさぎを撃ち抜いていっそ凍らせようと考えていたが、それではつらら諸共凍ってしまう。
「つららさん、離れて下さい! というかテフラくんも大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫じゃ……」
 テフラの言葉は最後まで続かなかったが。真意は伝わった。これは大丈夫じゃない。
「このもこもこ、冷凍焼けの良い匂いです……」
 そしてつららは、雪うさぎの露出した首筋の下、ワンピースのファーに至福を感じ、顔をうずめていた。もこもこな感触に意識がとろけ、花の声が届いていない。
 それでも、雪うさぎ自体はつららの攻撃で凍りついているので花は弓を構え、いつでも矢を発射できる状態で状況を見守っていたのだが……そこに隙を見た雪うさぎが、召喚した小型雪うさぎを同士討ちさせ、つららの周りで次々と消滅させ始めた。放出される強い冷気がつららの吐息と混ざり合い、凍結の侵食を広げていく。
「そんなに好きなら、一緒に凍っちゃえば!!」
 雪うさぎにも怒りが現れたか、語気を強めて背後のつららへ叫ぶ。
「……ひぅ! い、いきなり寒いぃ……!」
 自分のものとは違う冷気が肌に触れ、つららはがたがたと震えだす。思わず離れようとしたが、すでに氷は雪うさぎとつららの体を固めてしまっていた。
「……!? まずいです……!」
 一気に早まった凍結がつららの体をも氷の中に呑み込もうとしている。つららを何とか逃がそうと雪うさぎへ矢を放ちたいが――できない。そうすればおそらく小型雪うさぎが盾となり、消滅の際に放出される冷気が凍結を速めてしまう。
 それは雪うさぎの思うつぼ。花は必死に頭を働かせて別の打開策を考えたが――そうこうしているうちに、分身や巻き込まれたテフラも含め、四人纏めて氷漬けになってしまっていた。
「こうなってしまっては……」
 テフラもつららも雪うさぎも氷の中。【フォックスファイア】で氷を溶かすことはできるが、雪うさぎを氷の中に閉じ込めたままテフラとつららを救出するのは難しい。テフラは後ろからつららの分身に押し付けられ、つららはファーの中に顔をうずめて、とにかく密着しすぎていた。
「……仕方、ありません」
 花はやむなく炎を放つ。太陽のように燃える狐火はみるみる氷を溶かしていき――。
「助かりましたぁ……」
「さ、寒かったです……」
 溶ける氷から滑るようにして抜け出したテフラとつらら。二人とも一目散にその場を離れ、狐火を暖にして生還する。そして、
「もう、びっくりしたぁ!!」
 なるべく雪うさぎに張り付いた氷は溶かさないようにしていたが、二人を救出するために炎をかなり近づけなくてはならなかった。ある程度溶けたところで、雪うさぎは自力で氷の束縛を砕き、自由を取り戻す。
「矢も痛いし~。もう、本気出しちゃうからね!!」
 ぷりぷりと怒る姿は可愛くも、彼女がオブリビオンであることを改めて認識させられた。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

城田・紗希
うさ、ぎ……?
もうちょっとこう、美味しそ…可愛い感じじゃないの……?
それとも、オブリビオン相手に考えた時点で負け……?

と、とりあえず、ウィザードミサイルで攻撃するよ!
……あれ、今回ってこれしか使ってない?
と、とにかく、冷気には炎を、氷には炎を!…違った、武器には矢を!
(2~3本ほど手元に残してこっそり暖を取りつつ、残りは全力攻撃と範囲攻撃で、雪兎と本体に同時攻撃)


フォー・トラン
よう、きょうだい。
てめぇの望み通り遊んでやるぜ!

◆行動
氷には氷を!
【精霊召喚魔法】で氷の精霊を呼び出して、冷気からアタシや味方をかばってもらう。
ただし精霊でも武器で殴られるのは痛いだろうから、その時はアタシが精霊や味方を"かばう"。
腕っ節が強かったり頑丈な味方がいるなら、その人に頼るけどな。

あとは狼っぽくガウガウ吠えてうさぎたちを脅かして("動物と話す"、"恐怖を与える")、余裕があればロッドでポカポカ殴る。



●氷に氷は半減ダメージの世界が(ry
 どこかの世界にこんな歌がある。
 うさぎ、美味しい、うんたらかんたら。
 正確にはそういう歌詞ではないのだが――それはともかく、紗希の思考はどうもこれに近かった。
(うさ、ぎ……? もうちょっとこう、美味しそ……可愛い感じじゃないの……? それとも、オブリビオン相手に考えた時点で負け……?)
 紗希が想像するうさぎは山を駆け巡り、終いに狩られて食べられてしまう……のだろうか。うさぎを食す文化もないわけではないので、どういう思いであれ紗希の心情は尊重すべきである。
「よう、きょうだい。てめぇの望み通り遊んでやるぜ!」
 悩む紗希とは対照的に、フォーは単純明快だった。遊ぼうというなら遊んでやろう。フォーは再び【精霊召喚魔法】を使い、今度は氷の精霊を呼び出した。
「氷には氷だ! アタシたちを冷気から守ってくれよな!」
 フォーの意思を汲み取り、氷の精霊は腕を高々と振り上げてやる気を示して、フォーと紗希の前で壁となる。
「よーし、いっちゃえー!」
 雪うさぎはまた小型雪うさぎをぽんぽん召喚し続けて、フォーと紗希を狙わせた。だが、フォーが呼び出した氷の精霊が氷の結晶を息で飛ばして、召喚された小型雪うさぎを傷つけていった。
 氷の結晶がぶすぶすと体にめり込んだ小型雪うさぎが小爆発と共に消滅し、冷気を残していく。周囲の熱を急激に奪い冷やしていくが、氷の精霊は平然とした顔で小型雪うさぎの迎撃を続けている。
「あの氷の精霊、やりますね……私もこれでいきます!」
 紗希の周囲の空気が熱せられた空気に白霧が煽られ、煙のように昇っていく。目の前に現れた炎を両手で、パン生地でも伸ばすかのように前面に広げて無数の矢を生み出した。
(……あれ、今回ってこれしか使ってない?)
 広範囲、手数が必要だった。熱量、火種が必要だった。たまにはこういう日もある。
「と、とにかく、冷気には炎を、氷には炎を! ……違った、武器には矢を!」
 同属を用いて防御と築き、仇なすには反属を備える。フォーも紗希も、対抗策には申し分ない。
 並べた矢を一気に押し出す。推進力を得た炎の矢は氷の精霊を後押しするように小型雪うさぎを貫いて、さらに雪うさぎ本体へと降り注いだ。
「あつっ! な、何!?」
 頭を守るように抱えながら逃げ惑う雪うさぎを炎の矢は容赦なく襲う。青いワンピースに火が降り掛かると必死になって冷気を与え鎮火させるが、黒く煤けて穴が開き、ファーはちりちりと焦げて不快な臭いを放っていた。
「やったなあ!? 雪兎王! 来て!!」
 高々と振り上げた両手を前方へ振り下ろして、冷気の魔力を目の前に集めていくと、雪うさぎの姿によく似た戦士の霊が召喚された。薄ら透けて見える『雪兎王』は命の熱を持たぬ風を吹き付けていく。
 氷の精霊は風をも受け止める。だが、全てを受け切れているわけではない。そこで紗希は炎の矢をいくつか残してカイロ代わりに暖を取り、冷気攻撃に耐えていた。
「よくやった! 後はアタシに任せろ!!」
 冷気の大部分を受け止めた精霊を激励し、フォーが前に出る。雪兎王の攻撃をかばった分、小型雪うさぎへの対応が止まったところへ自ら飛び込んで攻めに出た。
「喰われたくなかったら大人しくしな!!」
 フォーが吠え、小型雪うさぎを威嚇。威圧感のある怒声には小型雪うさぎ達も恐れをなし、慌てて道を開いていた。
 その道を進めば、雪うさぎまで一直線。フォーはロッドを構え、走る勢いに任せて一振り。
「おらよっ!」
 打撃武器としても堪えるロッドの一撃に雪うさぎの体が宙に浮いた。尻餅をついた状態から一回転し、止まったところに紗希が追撃の炎を見舞う。
「痛い! 熱い! 嫌ぁ!!」
 足やら腕やら頭やら、炎を全身に浴びて悲鳴を上げる。髪も服も肌も焦げて、雪うさぎは白黒まだらのパンダうさぎになっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スノウ・パタタ
ぴょんぴょん!

【防衛行動】香水瓶の魔法(範囲攻撃、地形利用、拠点防御)
グラスペンに取ったインクを広げ、広範囲に冷気の盾となる土の壁を展開、冷えに体力を削られる猟兵達の逃げ場を仕立てます
「さむーいから、せーれーさんにお願いなのよー」

【攻撃】(世界知識、属性攻撃、全力魔法)
ごそごそと体の中の宝石を探り、取り出したのは赤と青。瞳をにこりと笑みに形取り、宝石の形をしていた精霊のロッドで炎の雨を練り上げる。
「ひんやりの氷に、ぐつぐつのお湯をかけるとね、もくもくの大爆発です!」
せーの!で熱湯の雨を敵側にぶつけて水蒸気と湯気で視界の撹乱を。
沸騰したお湯は普通の水より凍るのが早いのでカチコチにお気を付けて!


フォー・トラン
助かったよ。精霊さん。
手伝いはここまででいい。

◆行動
挨拶も手短に氷の精霊を見送りつつ【合成魔法】を使う。
"全力魔法"を乗せた炎の竜巻をお見舞いしてやる。

あとはアタシと相手の体力、どっちが先に尽きるか我慢比べだ。
普通なら満身創痍の相手に負けることはないが、なにしろボスだからな。

もしアタシが倒れても仲間がトドメを刺してくれるだろうし、アタシのこの攻撃は仲間が必殺の一撃を叩き込むための"時間稼ぎ"になるだろう。

あとは任せたぜ。



●炎のマリアージュ
「助かったよ。精霊さん。手伝いはここまででいい」
 頑張りを労ってくれたフォーへ、氷の精霊はニコリと微笑んで消えていく。
 後に残るのは、ぷすぷすと燻りながら煙を上げる雪うさぎ。
「ぴょんぴょん! 白くて、ふわふわ、かわいいうさぎさん! でも、ちょっぴり、くろこげなの?」
「う……うるさいぃ~っ!」
 ブラックタール特有の弾力のある体をふよんふよんと揺らしながら、スノウ・パタタ(Marine Snow・f07096)は丸い宝石の瞳を雪うさぎに向ける。疑問は純粋な子供心から発せられたもの。それは時に鋭く、言葉の槍を向けられた雪うさぎはムキになって叫んでいた。
「絶対に許さないんだからぁ! 生きてここから出られると思わないでよね!!」
 雪うさぎの声に応じて、再び雪うさぎの姿を模した戦士の霊が召喚された。半透明の姿は氷の彫刻のようでありながら、冷気を纏った氷の剣をフォーとスノウへ向け威嚇する。
「ここまで来たら、後は体力勝負だな。普通なら満身創痍の相手に負けることはないが……なにしろボスだ。もしアタシが倒れたら、あとは任せるぜ」
「任されてもいいのよー。でも、わたしはみんな元気でいるのが、一番嬉しいのよ」
「そりゃそうだな……ま、善処するさ」
 二人へと剣を向けた雪兎王が飛び出し、薙いで冷気を一面に放っていく。瞬く間に氷の世界へ誘う衝撃波が迫る中、
「どっちが先に尽きるか、我慢比べといこうぜ!!」
 フォーは両手に自身が持つほとんど全ての魔力を一気に集め、目の前で練り合わせて巨大な竜巻を作り上げた。紅に燃える炎の竜巻が部屋の天井をも突き破らんとする勢いで巻き起こり、襲い掛かる冷気を払っていく。
 だが、雪兎王が立て続けに放つ冷気の波はフォーの炎の竜巻を押し留め、なかなか均衡を破れない。そこへ、少し脇へひょこっと顔を出したスノウが『StormGrassPen』を手に取った。
「さむーいから、せーれーさんにお願いなのよー」
 ペン先を突き出し、インクを二つの力がせめぎ合う中に飛び込ませた。放物線を描くインクはフォーの炎の竜巻に巻き込まれ、拡散されながら周辺にぺちゃぺちゃと飛び散っていく。すると、インクが落ちた地点が成長して土の壁へと早変わり。
 所々に現れた土の壁は冷気の衝撃波を分断し弱めていく。それによりフォーの炎の竜巻は徐々に冷気を押し込み始めていた。
 土の壁が竜巻に呑み込まれ崩れれば、スノウは新たにインクを飛ばして壁を作る。剣を振り、冷気を放ち続けていた雪兎王が竜巻を前に圧倒され、少しずつ後ずさっていく。
 そこをフォーは見逃さず、自分の中に眠る魔力を最大限に解放して、
「吹っ飛んじまいな!!!」
 フォーの激情を映したかのように炎の竜巻は猛威を振るう。雪兎王が受けとして構えた氷の剣を容易く巻き上げると、雪兎王をも炎の中に巻き込み、その存在を喰らっていた。
 冷気の魔力の塊と対消滅するかのように、燃え盛る炎が縮んでいく。フォー自身、これ以上は意識が途切れる、というところを綱渡りで力を行使していたため、火力を維持し続けることはできなかった。
 雪うさぎへのトドメはきっと叶わない。だが、そこまでの道――雪うさぎの力を全て削げれば、それでいい。
 炎と共に雪兎王は消滅し、フォーは青ざめる雪うさぎの姿を見た。
「さむーいのもなくなったのよー」
 ごそごそと体の中を探り、スノウは赤と青の宝石を取り出す。それを見て瞳をくるっと傾ければ、無機質の中にも可愛らしい笑顔が浮かぶ。
 宝石の形をしていたもの――それは『DROPS』と呼ばれる精霊のロッド。それで宙、雪うさぎの頭上を指して、ゆっくりと円を描くように動かせば、もこもこと現れるのは灼熱の雲。
「ひんやりの氷に、ぐつぐつのお湯をかけるとね、もくもくの大爆発です!」
 雲を構成する水分が内部に溜まる炎で加熱され、熱湯となって雪うさぎへ降り注ぐ。
「熱い! 熱いぃ!!」
 耳をぺたんと伏せ、頭を守るように手で抑えながら熱湯の雨を逃れようとするが、スノウは雲を操って雪うさぎを追い回す。そうしているうちに熱湯から立ち昇る湯気が辺りを包み、雪うさぎは真っ白な熱湯サウナの中に閉じ込められた。
「ちょっと! どうなってるのよ~!!」
 雪うさぎの喚く声が聞こえてきた。捕らわれの雪うさぎへ、スノウは最後にちょいちょいと雲をつつくようにロッドを動かして、
「うさぎさん……もうお別れなのよー」
 ロッドの先を軽く振り下ろすと、それに合わせて雪うさぎの頭上にあった雲が急降下して――。
「いやああぁぁ!!」
 ぼふんっ、と地上に落ちた雲は辺り一帯をふんわりと包みながら、中身の炎を弾け出させた。悲鳴はある時ぷっつりと切れてしまい、散った炎も空気に触れて熱量を失い消えていく。
 空間を埋め尽くしていた湯気がようやく拡散していくと、そこには焼け焦げた繊維の塊に、わずかな水溜まりが残されているだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト