冬なき砂浜に眠るもの
●冬の寒さも遠い地で
アポカリプスヘル、フロリダ州南部の海岸。
真冬の時期でも冷え込まず泳ぐことさえできるマイアミに近いこの地域は避寒地にはうってつけなのだが、この地の砂浜の近くには色々と倫理にもとる研究が行われていた研究施設が存在していた。
文明崩壊の影響か、それ以前に放棄されていたのかはわからない。だが、その研究施設には今なお眠りにつく実験動物達がいるのだという。
――噂話の出所はさておき、その研究施設は実在していた。
この年中温暖な地方にありふれた砂浜の一つ、そこには砂浜に偽装された入口が数多くある。
その入り口の先の空間は一つに繋がっている訳ではなく、蛸壺のように別々に小さな地下建造物が多く隠されていた。
それぞれ倉庫だったり実験室だったり、一つの目的に特化して分割された地下施設。
その地下施設のいくつかにはコールドスリープ装置が多く並んでいて、動物達をいつ終わるかもしれない冷たい眠りに落としている。
中にいるのは鮮やかな色彩のカエルや大きなサンショウウオ――つまり、両生類。
人類と同じような知性を両生類に与える事を目指したこの研究施設群は、その成果を静かに閉じ込め続けていた。
グリモアベース。
「ちょっと暖かい砂浜に行く気はないかい? アポカリプスヘルでそんな感じの場所に関する予知が引っかかってね」
何故かバカンスにでもいくような格好をしたケットシー、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は集まった猟兵達にそんな風に切り出した。
「今小型哺乳類だけと知られている賢い動物の皆なんだけど、実際は他の種類の動物についても賢い動物にする為の研究が各地で密かに行われていたようなんだ。で、その研究が行われてた施設跡の一つが元マイアミ近くの海岸で見つかった」
彼女が説明するに、今回見つかった施設跡は入口が複数あってそれぞれ実験用、倉庫用など目的に特化した独立した地下空間が複数ある形で構成されているとの事。
「何か予期せぬ事態があった場合に他から隔離できるようにしたのかもしれないけど……実際の所はよく分からないね。まあともかく、広い砂浜や浅い海底に沢山入り口が隠されてるから手あたり次第探って資料を探してきてほしい。ここだけじゃ足りないだろうけど、資料が集まればまだコールドスリープ状態になっている賢い動物のプロトタイプを目覚めさせることもできるだろうからね」
因みにこの施設で眠っているのはカエルとかサンショウウオとかウーパールーパーとかの両生類ばかりらしい、とクーナの言。
「それからもう一つ、眠れる賢い動物達を狙って氷を操るロボット戦車っぽいオブリビオンが来るみたいなんだ。砂浜に現れて砂浜ごと施設跡を凍らせようとしてくるみたいだから、やられる前に地上で撃破してきてほしい」
宜しく頼んだよ、とクーナは話を締めくくるとグリモアを取り出し、猟兵達を温暖な砂浜へと転移させた。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
まだまだ先は長いようですが一つ一つ集めていきましょう。
第一章は元マイアミ近くにある海岸、砂浜の下に隠された研究施設跡での研究資料回収になります。
入り口は砂にランダムな配置で隠されていて、一つ一つの地下空間が別々の目的で使用されていたようです。
一つ一つの空間はそれほど大きくありませんが数が多いのと研究資料に無関係な施設跡もあるので根気強く探してください。
また、海面上昇や地形変化の影響で入り口が水没している場所もあるようですが、水中で入り口を開けても簡単には水没はしない作りになっているようです。
第二章はコールドスリープ状態の動物を狙い現れた『氷結重装タンク『ジャックフロスト』との戦いになります。
入り口の捜索は行わず、砂浜全体を凍らせて賢い動物のプロトタイプを永眠させようとしてくるようです。
※このシナリオタイプのシナリオが一定数成功するとコールドスリープから解き放つために必要なデータが全て回収され、『小型哺乳類以外の賢い動物』が解き放たれるかもしれません。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『研究資料回収』
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POW : 施設内をくまなく歩き回り、資料を探す
SPD : 散乱した書類の中から目ぼしいものを探し出す
WIZ : 施設に残されたコンピュータにアクセスする
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
四壱六・豆花
<連携・アドリブ歓迎>
砂に隠されている上に、ハズレの入り口も多くある…と、厄介ですね。
ペンデュラムでダウジングすれば、資料のありそうな入り口の概ねの位置くらいは[情報収集]できそうですかね。
見当がついたら、そのエリアの入り口を徹底的に確認しましょう。
把握した入り口の位置は、[式神使い]で護符を空中に留めてマーキングしておきましょう。
入り口の探し直しは避けたいですからね。
資料の保管施設を見つけるまで、根気よく粘るしかないでしょうね。
資料らしい書類や記録媒体は見つけたら、その都度、施設外へ持ち出しましょうか。
興味はありますけど、ぼくが読んでも理解できないでしょうし、襲撃には備えたいですしね。
猟兵達がやってきた砂浜はぽかぽか陽気、寧ろ暑さすら感じてしまう気候だ。
海も綺麗で泳ごうと思えば泳げなくもないだろうバカンスによさげな場所、けれどこの地の地下には眠れる賢い動物のプロトタイプ達がいるのだという。
「砂に隠されている上に、ハズレの入り口も多くある……と、厄介ですね」
砂を手で掬い、四壱六・豆花(朽ちた人形の集合体・f34750)が呟く。
入り口は多数あり、しかも中同士で繋がっているわけでもない。だから入り口全て、少なくとも資料に繋がる入口は見つけなくてはならないだろう。
豆花が懐から銀の鎖の振り子を取り出す。その先端には鉱石が取り付けられていて、いわゆるダウジングのペンデュラム。
シャーマンとしての力も持つ東方妖怪の彼は、資料のありそうな入口を目標にダウジングを開始して歩き始める。
「……ここですか」
明らかに振り子が反応している場所で豆花は足を止める。そこは何の変哲もない砂ばかり、けれど占いを信じて式神と共に砂を掘り起こしてみると、マンホールの蓋のような扉が砂の中から現れる。
式神として護符を一枚取り出してその扉の真上に留めさせておく。こうすれば探し直す必要もないだろう。
扉を開けて中に体を滑り込ませてみれば、動体センサーでもあるのか明かりが灯り、正面に別の扉が見える。
その扉も空けて中に入れば、その部屋は綺麗に整えられた書棚やコンピュータが並ぶ小部屋。
いきなり大当たり、豆花は式神と共に書類の運び出しを開始する。
中身は読んでも理解できないだろうと思う彼、興味はあるけど襲撃に備える方が先だろう、と順繰りに外に運び出していく。
部屋自体が小さく資料自体の量も少なくて、運び出しはそう時間もかからずに完了。豆花はペンデュラムを再び取り出して、次なる資料の在処をダウジングで探し始める。
入口の上限が分からないから根気強い作業が必要だろうけれど、それは承知の上。
そう探す事に決めていた豆花の資料捜索は、一歩一歩順調に進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ロアー・アレグリアス
アドリブ連携歓迎なのだ。
やあやあ我こそはでっかいトカゲさんに乗りたいケットシー!
かたかた解析ばっかでは気が滅入るというもの、だもんでバカンス気分を兼ねて資料回収なのだぞ!
むむーん……砂ばっかなのだ、探す範囲が広いぞぅ!
であれは猫海戦術と行こうか、さあさあ歓喜なる猫騎士団よ、我が髭に続け、入り口を探すのだ!(ケットシー召喚)
と、言うわけでケットシー霊兵に入り口を探してもらい、あわよくば内部の資料を運びやすく纏めてもらうのだ。
回収そのものは戦闘後にも出来るしなー、地上に出しといて破損となったら大変なのだ。
我はコールドスリープ中の動物さんを探すぞぅ!
見つけたらきちんと戸締まり、敵の侵入阻止なのだ!
コンラッド・アレグリアス
アドリブ連携歓迎です。
さて、兄のロアー(f02956)がスキップしてる後を追ってきたのですが。
まずは入り口を見つけるのが先決ですね、ともなれば人海戦術と参りましょう。
ユーベルコードを発動、召喚した霊兵に入り口を探させるのです。
発見報告があり次第、座標を手元の羊皮紙に記入していきます、既に回収を終えた所をまた探すのは二度手間ですからね。
この情報は他の猟兵並びに配下の霊兵と共有します。
……はぁ、両生類ですか。
仲間が増える見込みがあるのはいいことですが、挨拶代わりの握手がしにくいお相手ですね。
乾燥から身を守る為の分泌液に覆われた身体……我々の猫毛がくっついちゃったら、取り除くのが大変そうですから。
式神で目印を残しながら占いで入り口を探る猟兵が資料を集めていく一方。
「やあやあ我こそはでっかいトカゲさんに乗りたいケットシー!」
るんたるんたスキップで緑の瞳をキラキラ輝かせてやってきたケットシーはロアー・アレグリアス(雷刃名轟・f02956)。
先月辺りからコールドスリープ解除の為の解析を熱心に続けている彼、とはいえ解析作業ばかりでは気も滅入るというもの。
ちょっとばかりバカンス気分混じりのハイテンションでやってきた彼の後ろには落ち着いた様子のコンラッド・アレグリアス(ケットシーの精霊術士・f01460)。
「まったく……兄さん、ちょっと焦り過ぎですよ」
テンション高くスキップしている双子の兄を追っかけてやってきた彼は、ツッコミもといなだめ役。
「むむーん……砂ばっかなのだ」
見渡す限りの海と砂、所々にふよふよ浮かんでいる符ぐらいの殺風景な光景を前に、ロアーもややがっくり――、
「探す範囲が広いぞぅ!」
しなかった。寧ろテンション上がっている。
「まずは入り口を見つけるのが先決ですね、ともなれば人海戦術とまいりましょう」
コンラッドが筆ペンとロッドを取り出して、
「今こそ我等が栄光を示す時。我が髭に続くのです」
「今こそ当主の威信を見せる時! さあさあ歓喜なる猫騎士団よ、我が髭に続け、入り口を探すのだ!」
落ち着いた声で告げる双子の弟に合わせてロアーも剣を掲げユーベルコードを起動、すると二人の眼前に合計118体のケットシーの霊兵が召喚される。
人海戦術ならぬ猫海戦術、コンラッドとロアーの号令にケットシー霊兵達は一斉に散開し砂を探り始める。
個々の体は小さくともこれだけの数、数の暴力は隠された施設の入り口を次々に見つけ出していく。
霊兵達が掘り出し探索した入口を、コンラッドが手元の羊皮紙にペンですらすらと書き込み記録していく。
「あ、その入り口はもう探された後のようですから他を探してください」
一度探索されたが砂が落ちて再び隠れた入口、それを見逃さず術士の霊兵達に指示を出して二度手間を避けていく。
実験室のような場所、休憩室のような場所とノイズも割と多くあったけれど、霊兵達の奮闘により資料の放置されていた施設跡もいくつか見つけ出す事に成功。
それらの小施設跡にあった資料を入り口近くに運びやすく纏めさせておく一方、ロアーはコールドスリープ中の動物たちを探していた。
眠っている動物のいる入り口が見つからず、万が一にでもオブリビオンに襲撃されてはたまらない。
霊兵達と緑の瞳を輝かせ熱心に探すロアー、
「……あったのだ!」
そして遂に目標の空間を見つけたのであった。
その部屋の動物達が眠るポッドは半透明、小さな両生類から大きな種類のものまで様々であったけれど、みな一様に眠りについていた。
大きなオオサンショウウオを前にテンションダダ上がりのロアー、
「……はぁ、両生類ですか」
一方でコンラッドは少々悩まし気に溜息を吐いていた。
というのも、
「仲間が増える見込みがあるのはいいことですが、挨拶代わりの握手がしにくいお相手ですね」
両生類と言えばその体表が粘液に覆われていて、皮膚の乾燥は生命の危機にも繋がってしまう。
そんな大切な粘液に彼らケットシーの毛がくっついてしまったなら取り除くのもきっと一苦労だろう、との心配が先に心を過ってしまったから。
真っ先に挨拶を考える辺り真面目過ぎるようにも思えるが、双子の兄と一緒にいると丁度いい具合なのかもしれない。
そして一通りコールドスリープ部屋を見て回り残っていた資料を確認した妖精猫達は再び砂浜へ。
「きちんと戸締まり、敵の侵入阻止なのだ!」
指差しきちんと閉じている事を確認したロアー、もしオブリビオンが出てきたならここは確実に守るべきだろう。
けれど他にもまだコールドスリープされている動物の眠る入り口もある可能性は十分にある。
ロアーとコンラッド、そしてケットシー霊兵は気合を入れ直し探索を続けるのであった。
大成功
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エリー・マイヤー
賢い両生類ですか。
苦手な人もそこそこいそうな種族ですね。
そのうち賢いナメクジや賢いミミズも出てきたりするんでしょうか。
…あんまり考えないようにしときましょう。
さて、砂の中に入り口が隠されてるんでしたね。
それでは【念動グローブ】で大量の砂を掴んで持ち上げて、
横にスライドさせて雑に砂をかき分ける感じで探すとしましょうか。
入り口を見つけたら手当たり次第入って、めぼしいものがないか確認します。
両生類以外に、入り口を示した地図とかあったらありがたいんですけどね。
おっと、隠してるってことは防衛設備とかもあるかもしれませんね。
念のため、外向きの念動力で泡のごとく全身を包みこんで、身を守っときましょうか。
エリー・マイヤー(被造物・f29376)という青い瞳と髪のフラスコチャイルドの女は、オイルライターで煙草に火をつけ汚染物質を吸っていた。
アポカリプスヘル生まれのフラスコチャイルドである彼女、この辺りの空気は気候の関係か比較的清浄で少々苦手である。
(「そのうち賢いナメクジや賢いミミズも出てきたりするんでしょうか」)
両生類、苦手な人もそこそこいそうな種類の動物が発見されつつあると聞き、これまでいなかったそれらも賢くなるという考えがふと彼女の頭を過る。
(「あまり考えないようにしときましょう」)
実際どうなるのかは分からない。なったらなったでその時に考えればいいのだからと考え直し、エリーは捜索を開始する。
彼女の得意とするのは念動力、その力は遠くの物を動かしたり敵にバレないように弄る事に優れていて、更に割と大きなものも動かせる。
ユーベルコードによる念動力で砂浜の砂をグローブで包み込むよう把握し、そしてその内側を纏めて持ち上げる。
しっかりと保持された砂は零れることなく持ち上げられて、エリーの意志に従って横へとスライドするように払いのけられる。
凡そ105トンもの砂を除けた後には地下への入り口の蓋が見えて、それを念動力で開けて中へと飛び込む。
資料が見つかるなら話は早いが、それ以上に他の入り口などが示された地図があればそちらの方が有難い。
ふと、嫌な予感を感じた瞬間、銃弾が彼女に向かって放たれる。
防衛設備――その凶弾はしかし、エリーを害する事は出来ない。
その存在を予測していたエリーは念動力を外向きに働かせ、泡のような力場を周囲に展開して銃弾を逸らしたのだ。
防衛設備を無力化した彼女は部屋の中を確認、
「これは……当たりですね」
どうやらセキュリティを扱うタイプの地下施設だったようで、この周囲に隠された入り口の座標が記された周辺地図を見つける事に成功する。
文明崩壊や異常気象の影響で多少のずれはあるかもしれないが、大体の位置が分かれば念動力でざっくりと捜索する事も楽だ。
どの入口がどんな中身七日までは記述されていないが、それでも十分。
再び煙草で肺を汚しつつ、エリーは地図を片手に砂浜へと戻り捜索を続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アーネスト・シートン
さて、ここは両生類の研究所ですかね。
一番研究が大変そうな部類ですよね。
生まれた時は川の中で生き、成長すると陸に上がっていくと。
進化の途中過程ですよね。
魚から、身体を乾きから守るために鱗を得た爬虫類に至る途中のですね。
カエルと言えば、昔、某亀忍者を彷彿とさせるカエルがいて、8ビットの時代のゲームですけどね。
まず、入り口を探す作業とは。
両生類は、水がないと生きていけない生き物。
よって、海の中の入り口を探索していきましょう。
ここは、トリトン(シャチ)に、協力してもらいましょう。
【動物使い】【偵察】【集中力】【野生の勘】で入り口見つけていきます。
見つけたら、小動物大騒乱で【情報収集】【失せ物探し】で探し出していきます。
見つけたら、【医術】で必要そうなのをピックアップ。
「これなら、大丈夫そうですね。」
アドリブ歓迎
海の波間から黒く大きな三角が浮き上がって再び沈む。
サメのそれとは違うその背びれはシャチの物、白黒鮮やかなトリトンと言う名のシャチの大きな背に乗り海に潜るアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)が探すのは海に没した施設への入口。
(「さて、ここは両生類の研究所ですかね」)
両生類と言えば生まれた時は川の中で生き、成長すると陸に上がっていく魚類から爬虫類へと進化するその途中過程の生き物。
乾きから身を守る鱗を得る途中の生き物でもあり、水も陸もなければ生きていけない環境の影響を受けやすい繊細な生物種だから研究するには大変な部類になるだろう、と彼は思考する。
(「……そういえばカエルの忍者のゲームなんてありましたっけ」)
両生類、そして蛙と思考が移っていく内に、何となく8ビット時代にあったゲームを思い出す。
ヒーローズアースにでもいそうな亀の忍者を彷彿とさせるカエルの出ていた、確かイギリスの――、
(「おっと」)
トリトンが背びれを動かしアーネストの逸れかけた思考を現実に引き戻す。
どうやら何かを見つけたようで、その吻で砂を突いてほじくり返している。
アーネストもトリトンの背から離れ一緒に砂を掘り起こす作業にかかれば、ほどなく金属製の扉が露にされる。
水圧でやや開けにくくなっているがそこは猟兵、トリトンの力も借りて大した苦も無く扉を開けてアーネストだけで中へと滑り込んで扉を閉じた。
閉めると同時、中に流れ込んできていた海水が床面の排水口から排出されていく。
他の施設入口でもあったような二段構えの扉になっていたのは、恐らくこのような仕組みを作っていたからだろう、そうアーネストは考える。
そして施設入口の海水が全て抜けて、施設本体へと続く奥の扉をアーネストが開けば中は割と広く作られた空間が広がっていた。
資料や物品も散乱していて一人で探すには少々骨が折れる量、けれどそれに対するユーベルコードをアーネストは準備している。
「大自然の精霊よ、力を与え給え」
精霊に語り掛けお願いする言葉を口にすれば、彼の周囲のこまごました無機物が鼠とリスに変換され部屋中に散っていく。
いくら広くても半径105メートルは流石にないこの施設、施設の隅々まで捜索する事は十分可能だ。
コールドスリープに関わりそうなものそうでないものを片っ端から運んできてくれる鼠やリス達、それらをアーネストは自身の医術の知識で必要そうなものを取り分けていく。
「これなら、大丈夫そうですね」
纏めておけば後で回収する事も容易だろう。
地上へと持ち替えるには海を渡る必要があるが、それは施設に転がっていた防水の袋にでも入れてトリトンと一緒に運べば問題ないだろう。
運びやすいよう重要そうなものを選択して纏めつつ、アーネストはこの海中に没した小さな施設から関連資料を十分量集めたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『氷結重装タンク『ジャックフロスト』』
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POW : 雪合戦キャノン・スキー体験マシン(だったもの)
【肩の大砲が核発射シーケンス】に変形し、自身の【移動速度】を代償に、自身の【氷結核弾頭】の連射と【脚部雪津波発生装置】を強化する。
SPD : 超アイス棒・悪戯水鉄砲・万華氷装置(だったもの)
装備中のアイテム「【氷棍棒・液体窒素レーザー・胸部氷鏡バリア】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ : スノーマン・フレンズ生成機(だったもの)
自身の【口から放つ大量のナノマシン混入雪】を代償に、【生成したレベル×8体の雪だるまタンク】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【適時本体を修理】し、【本体と同じ武器】で戦う。
イラスト:kamiya jun
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ポーラリア・ベル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●凍てつかせる戦車
砂浜や海底に埋もれた施設への入り口を暴き資料を纏め続ける猟兵達は、ふと肌に寒気を覚えた。
この常夏の砂浜にあるまじき感覚、それはグリモア猟兵が予知していたオブリビオンの襲来を知らせるもの。
――砂浜に、一体の大型戦車が現れていた。
かつてある大富豪に作られた雪だるまロボット『ジャックフロスト』、雪の降らない真夏の国で雪遊びをしたいという願いにより作られたそれは、オブリビオンストームにより凶悪戦車に変えられてしまっていた。
製作者の願いを叶えるかのように、常夏の砂浜を液体窒素レーザーによって太陽に熱された砂を冷却し、その脚部から溢れる雪津波で白く変えて砂の下に隠された施設も丸ごと凍てつかせてしまう邪悪なオブリビオン。
このままあの氷結重装タンクを自由にさせれば、冷凍睡眠させられている両生類たちはそのまま永遠の眠りへと移ってしまうことだろう。
それを食い止めねばなるまい。
猟兵達はかのオブリビオンの蛮行を阻止する為、それぞれ行動を開始した。
エリー・マイヤー
寒いです。ダメですねこれは。
さっさと倒さないと風邪を引いてしまいます。
遊び心あふれるデザインで、壊すのがもったいなくもありますが…
まぁ、雪だるまは溶けるもの。諸行無常ですね。
そんなわけで【アルジャーノンエフェクト】しちゃいます。
速攻です。全力です。寒いの嫌いなんです。
なんか雪だるまタンクを沢山出してくるようなので、
ほとばしる念動力でまとめて一か所に吸引します。
そして圧縮します。なおも圧縮します。ひたすら圧縮します。
そんな感じで高温高圧高質量の大雪玉を作り上げ、
タンク目掛けて全力でぶん投げて攻撃します。
これであっさり潰れてくれたらありがたいですね。
…あ、すみません。誰か私が寝てる間の世話とかお願
アーネスト・シートン
参りましたね。またしても、喰えない機械の類ですか。
そして、アレは範囲攻撃があるようですし…
さて、どうしましょうかね。
ですが、この前のアレに比べれば、大きさもどうってことないですし。
寒さに強い生き物であれば…そうですね。
さすがに、ここの施設が象の体重で壊れるとは思いませんから、今回はマンモスを呼ばせて頂きますよ。
というわけで、氷河期の生き物であったマンモスを召喚して、この機械に突撃させておきますかね。
そして、わたくしは、その間に接近して滅竜銃で【鎧無視攻撃】【部位破壊】【スナイパー】で厄介な武器を先に破壊してから本体を穴だらけにしておきましょう。
アドリブ歓迎
ロアー・アレグリアス
アドリブ連携歓迎なのだ
弟のコンラッド(f01460)も一緒だぞ!
むむ、雪だるま作りは楽しそうだが氷漬けは勘弁なのだ!
あーさぶさぶ、思えば炬燵やホットココアが恋しい季節なのだな……。
いやいや今日の我は常夏気分を満喫中なのだ、ここは炎で対抗してみせようではないか!
トリニティ・エンハンスの炎の型よ、我が剣に力を示せ!
ふはは、移動速度を犠牲にしたらば我の剣を避けれるほど動けはしまい!
雪津波なぞ溶かし尽くす勢いで炎を燃え上がらせつつ、真っ向からぶった斬りにかかってやるのだ!
コンラッドも我に続くのだぞ、さあさあアレグリアスの力をここに示そうではないか!
にゃーっはっはぁー!!(炎剣をぶんぶん振り回しつつ)
コンラッド・アレグリアス
アドリブ連携歓迎です。
兄のロアー(f02956)に同行しています。
人間はその場の思い付きでとんでもない発明をしてくれますねぇ。
性質が斜め上にネジ曲がったのはオブリビオンの影響とはいえ……この場を永久凍土にさせる訳にはいきませんよ、全くもう。
まだ彼等に挨拶も済ましてないんですから。
さて、兄はまーた無鉄砲に突っ込むのですか、そうですか。
仕方ない、それを支えるのは守護者たる弟の役目です。
リフレクトシールドを展開、僕と兄を結界で覆いながら共に前進しましょう。
あちらの攻撃を跳ね返しつつの特攻ですね……あちらに氷は効かなそうですが、防げればよしとしましょう。
隙あらば棍棒とやらで思いっきり殴ってみますかね。
四壱六・豆花
連携・アドリブ歓迎
WIZ
本体だけでなく同じ武器の雪だるまが多数ですから、数には数でぶつかるしかないでしょう。
UCを発動、この地に未練ある戦士達に「この地で眠る命を守るため、力を貸して頂きたい。」と協力を呼び掛けましょう。
まずは生成体から確実に各個撃破をお願いして、本体の消耗を狙います。
沢山生成できるとはいえ、無限に代償なしで…とはいかないはずです。
その間に、ぼくは攻撃を[見切り]、[カウンター]で反撃しつつ本体へ接近します。
[式神使い]と[結界術]を応用して、この土地の熱砂を掬い上げ、本体の口に流し込んでやりましょう。
機械兵器の内部に砂が入り込めばどうなるか、考えるまでもないですね。
オブリビオンの出現から殆ど時間は経っていないにも拘らず、常夏の砂浜は銀世界へと変貌していた。
重装タンクの雪だるま型の頭部、笑顔のようにも見える口から放たれるナノマシン混じりの雪は周囲の砂浜を白く染め上げ太陽の熱と光を空へと跳ね返している。
「……参りましたね」
またしても喰えない機械の類のオブリビオン、その様子をやや遠くから観察する猟兵達の一人、アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は少々気が重いよう。
喰えないばかりか一帯を凍結させているような範囲攻撃も持ち合わせるオブリビオン、どう対処するか悩みどころである。
アーネストがいつも力を借りている様々な動物でも、この寒さで十分力を発揮できる種類は少ない。
ただ以前相対した巨大な――移動式の要塞のような巨大オブリビオンと比較すれば、改造されるようなこともなくサイズ的に対処し易いのはプラスかもしれない。
「……人間はその場の思い付きでとんでもない発明をしてくれますねぇ」
溜息を吐きながらコンラッド・アレグリアス(ケットシーの精霊術士・f01460)は人の業の造り出した存在を見遣る。
その性質がとんでもない方向にネジ曲がってしまっているのはオブリビオンの影響であるけれど、この常夏の地を永久凍土にさせる訳には当然いかない。
「全くもう……まだ彼等に挨拶も済ましてないんですから」
この地に眠り続ける動物達のためにも、魔法の筆ペンを握る手に力が籠る。
そしてその内、周囲に撒かれた雪から無数の雪だるまタンクが生成されていく。
本体をそのまま小型化したような見た目のそれらは本体と同じ武装が搭載されているようで、謎の液体窒素レーザーで砂浜を凍らせ始める。
「……同じ武器の雪だるま、ですか」
四壱六・豆花(朽ちた人形が集いし骸・f34750)は思案する。
凍結速度から一つ一つの性能は本体には劣るようだけれども数はざっと見で千前後、それらが一斉に向けられれば猟兵でも耐えられないだろう。
だが周囲に積もった雪を代償としているようで、周囲の雪を減らしタンク頭部の口を封じる事ができれば召喚を食い止める事も可能かと、豆花は推測する。
そんな風に冷静に作戦を練る彼の横には寒そうにしているケットシー。
「むむ、雪だるま作りは楽しそうだが氷漬けは勘弁なのだ!」
ぶるぶると体を震わせるロアー・アレグリアス(雷刃名轟・f02956)、常夏気分も台無しである。
常夏のマイアミで忘れかけていたが炬燵やホットココアが恋しい季節であることを、さぶさぶ肉球を合わせさすりながら思う彼。
そして、寒さが苦手な者は他にもいて。
「ダメですねこれは」
きっぱりと無表情気味に言ったのはエリー・マイヤー(被造物・f29376)。
「寒いです。さっさと倒さないと風邪を引いてしまいます」
急な温度変動はともかくそもそも寒さが苦手なエリーは即座にユーベルコードを起動し脳の演算速度を増強させる。
彼女に合わせて豆花はシャーマンとして、この地に未練を残す霊に呼びかける。
「この地で眠る命を守るため、力を貸して頂きたい」
その呼びかけと共にユーベルコードが発動されるると彼の周囲に霊体の影がゆらりと浮かぶ。
大楯や槍で武装した霊は数こそ雪だるまタンクには劣るが、そこに宿る未練――豆花に応え現れる程に強い意志を踏まえれば互角以上に戦ってくれる事だろう。
「其の未練を、御借りします!」
西洋妖怪の男の言葉に召喚された戦士の霊は首肯し槍を構え、凍れる砂浜を蹴り雪だるまタンクの群れへ駆け出した。
豆花とほぼ同じくしてアーネストも行動に移る。
(「寒さに強い生き物であれば……そうですね」)
アーネストは思案する。
この敵、この環境に耐えられる生物は限られる。水中であるなら極地の海にも生きるシャチもいるがその得意戦場に引き込むのも大変だ。
ならば、
「今回はマンモスを呼ばせて頂きますよ」
氷河期に生きた絶滅動物、重量はあるが地下施設もこの程度では壊れないだろうと判断し、ユーベルコードを発動。
「動物たちよ、わたくしの呼び出しに答えて欲しい」
アーネストの呼びかけに応え、マンモスが召喚されて鼻を高く持ち上げ鳴いた。
そしてオブリビオンを敵として見定めるも、その毛むくじゃらの巨体を震わせ砂を蹴り突進する。
マンモスと戦士の霊が重装タンクと雪だるまタンクにほぼ同時に向かう中、エリーは重装タンクの側面へと回り込みつつ雪をかき集めるよう念動力を発現させていた。
(「遊び心あふれるデザインで、壊すのがもったいなくもありますが……」)
増強した演算速度の一部でそんな事をちらりとエリーは考えつつ、まぁ、雪だるまは溶けるもの。
諸行無常と普段の六倍もの念動力を発揮して雪を雪だるまタンク達ごと一か所に吸引する。
超能力による力には抗えず、雪より生じた雪だるまタンク達の多くは大きな雪玉のように固められ、さらにそこから圧縮されていく。
周囲の光を捻じ曲げていてもおかしくない程に強化された念動力による圧力は凄まじい。
雪玉は圧縮に伴う発熱によって固体の相を維持したまま沸点を超えてなお圧縮されていき、エリーの前方に高密度に圧縮された熱い巨大な雪玉がいくつか生じる。
それをエリーは全力の念動力でぶん投げるようにして叩き付ける。
無事だった雪だるまタンクがガードに凍結光線を放つが大質量の雪玉はその形を留めたまま重装タンクに轟音と共に命中、その装甲を凹ませる。
一斉に襲い掛かる猟兵達の攻撃に対し、重装タンクはその両肩の大砲を向け、脚部雪津波発生装置から大量の雪を放出し始める。
周囲を一気に氷結させる核弾頭、それに加えて雪津波でペースを戻そうという意図なのだろう。
手にした氷棍棒や胸部の氷鏡発生装置もいつでも発動できるようにしている辺り、近づかれた時の対応もできているようだ。
しかし、その雪津波にケットシーの兄弟が飛び込んでいく。
「……いやいや今日の我は常夏気分を満喫中なのだ、ここは炎で対抗してみせようではないか!」
常夏を真冬の寒さに変えたのもオブリビオンの力なのだ。なら炎で元に戻す事も当然できるはず。
雪津波を前にロアーは鞘から魔法の剣を引き抜き掲げ。
「炎の型よ、我が剣に力を示せ!」
三属性の魔力により自己強化を行うユーベルコード、その内炎の力を重点的に纏ったロアーの身体は仄かに炎がオーラのように揺らめいている。
そして燃え上がるのは刃、雪津波をも蒸発させる勢いのそれを振るい道を切り開くケットシーの剣士、
「コンラッドも我に続くのだぞ、さあさあアレグリアスの力をここに示そうではないか!」
「まーた無鉄砲に突っ込むのですか、そうですか」
そう後続の弟に呼びかけながらハイテンションに走る兄を、やれやれと言った様子でぴったりとついていくコンラッド。
戦車の肩から連続で放たれた凍結核弾頭が次々に炸裂し周囲に氷をまき散らしていくが、雪を溶かしながら身軽に動く妖精猫の兄弟を捉える事はできない。
思った通り、今の重装タンクは移動速度を犠牲にしているからロアーの速度に追いつけない。
しかし重装タンクは即座に切り替えより弾速の速い液体窒素レーザーへと切り替え炎を撒き散らすロアーを狙おうとする。
液体窒素レーザーが放たれる瞬間、光線に対しロアーと自身を覆うようにコンラッドが六方体の結界魔法にを展開し防御する。
兄の後先考えない行動はいつもの事ではあるのだけれど、それを知っている彼のサポートは的確。続いて襲い掛かってきた氷棍棒と液体窒素レーザーも全て受け切った。
重い攻撃だが結界で抑えきれる。負荷を感じつつコンラッドは思案しつつ、
「……それは通しません、お返しします」
そして棍棒の打撃と凍結レーザーを耐えきったコンラッドが反撃に転じれば、六方体の結界から受けたそれとそっくりのレーザーが発射される。
結界で受けたユーベルコードをコピーし、一定時間何度でも結界から発動できる彼のリフレクトシールドというユーベルコードは十全に機能し、戦車の氷鏡を貫く。
凍結自体は効果が薄いようだが意表を突かれ攻撃が止まる。
その瞬間を狙い巨大なマンモスが重装タンクへと突撃して体当たりをぶちかまし、更にエリーの念動力製高温高圧高質量の大雪玉がタンク目掛け十数個追撃をかける。
次々に飛来するそれを無限軌道を回転させて避け、凍結光線で防ごうとするが対応しきれない。
凍結光線と高温の大雪玉がせめぎ合う中更なる雪玉を準備していくエリー。
「にゃーっはっはぁー!!」
その間に炎剣をぶんぶん振り回し雪だるま戦車の戦力を奪っていくロアー、緑色の瞳を見開いて――ちょっとスイッチが入っちゃってるような。
炎や超圧縮雪玉を逃れた雪だるまタンクが猟兵を狙おうとするも、それを見逃さず戦士の霊の槍が貫いていく。
抱いた未練を晴らすように戦う戦士の霊は凍結光線を大楯で受けながら小型戦車の装甲を槍で容易く貫き残骸に紛れての不意討ちを許さない。
そして霊を召喚した豆花自身はロアーがまき散らした炎により加熱された砂を、結界で掬い上げてその熱ごと吸収しつつ本体へと向かっていた。
しかし状況的に、重装タンクの攻撃は猟兵達の勢いを抑えきれていないからそこまでやる必要はないかもしれない。
今もマンモスと共に接近したアーネストがリボルバー型の滅竜銃でレーザーの発射口を手早く撃ち抜き無力化している。
(「このまま押し切れれば……!」)
と、ここで。
「……あ、すみません。誰か私が寝てる間の世話とかお願」
エリーのユーベルコードが発動して109秒が経過――つまりは時間切れ。
疲労の限界に達し昏睡、ふらりと砂浜にエリーが倒れ込み、超圧縮をかけていた雪玉が一気にはじけ飛ぶ。
この雪を代償に再び雪だるまタンクの群を召喚されれば泥仕合、そう判断した豆花は結界で包んだ砂と共に一気に重装タンクへと飛び込んでいく。
突如弾けた雪玉の残骸が重装タンクの視界を塞ぎ、接近してくる猟兵達への対応が遅れる。
目の前にまで迫ってきた豆花に重装タンクは氷棍棒で殴りつけようとするが、そこに戦士の霊が走りこんできて槍で棍棒を弾き飛ばす。
宙に舞う氷棍棒、それを同じく飛び込んできていたコンラッドが空中でキャッチする。
小柄なケットシーでは到底扱えなさそうな棍棒だけれども、ユーベルコードの効果で棍棒のリーチを更に三倍に延長し雪だるまタンクを横にフルスイング!
その一撃は強烈、上半身の人形部分がべっこりと凹み、くの字に折れかけた所に豆花が結界で包み込んでいた熱砂の塊を雪だるまの口に叩き付けるように流し込む。
夏の砂浜すら冬の寒さに変えてしまうほどに出力の高い強力な機械兵器、そこに熱された細かな砂を流しこまれればどうなるか。
異物による誤作動、そして極端な熱変化により内部に極端な負荷がかかり胴体部分炸裂寸前になるまで内圧が上昇。
そこにアーネストが召喚したマンモスが牙で突けば、その衝撃がトドメとなって胴体部分が爆発。
内部構造を晒しながらバチバチと火花を散らす重装タンクに、ロアーが真正面から飛び込んでタンクの機体を足場に跳躍し、上段から思いっきり剣を振り下ろす。
燃え上がりし彼の刃は雪だるまの頭部をぶった切り、そして重装タンクは機能を停止してバラバラに弾け飛んだ。
ぱらぱらと降って来る金属部品は炎の熱に溶かされた砂浜へと突き刺さり。
猟兵達を戻ってきた陽気が温めていく。
「ん……温まってきました」
昏睡していたエリーも目を擦りながら目覚め。
猟兵達が周囲を確認すれば、見つけ出した入り口はどれも無事な様子。
まだまだ先は長い。
けれども、それでも一つの施設の動物たちを危機から救った猟兵たちは、目覚めさせる日を迎える為に資料と共にグリモアベースへと帰還するのであった。
大成功
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