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機械戦士の戦艦島

#グリードオーシャン #シーシアス・アヴァリシア #猟書家の侵攻 #猟書家 #メガリスボーグ #戦艦島

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●機械の戦士に涙はなく
 グリードオーシャン、ティアーズ島。
 遥か昔にスペースシップワールドより落ちたらしいこの戦艦島では、島の戦士達が動力源であるメガリスを守っていた。
 だが、そのメガリス『蜃の瞳』は今や猟書家の手に落ち、その体の一部に取り込まれていた。
『私の力を加えればこの戦艦島を再起動させる事すらできる。そうなればグリモアベースを攻略する為の大きな助けとなるだろう』
 広大なコアルーム、戦艦島の中枢へと巨大な怪魚を引き連れやってきた猟書家『シーシアス・アヴァリシア』はくっくと笑い、新たに取り込んだ球体のメガリスをぎらついた金属の指で撫でていた。
 ――巨大魚達に退けられたメガリスボーグの戦士達、無機物の体の彼らが抱いている憎悪など、まるで存在すらしていないかのように。

「ちょっといいかな。グリードオーシャンの猟書家についての予知を拾っちゃってね、力を貸してほしいんだ」
 シャチのキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はグリモアベースに集まった猟兵達にそう呼びかける。
「今回向かって貰いたいのはティアーズ島って言うスペースシップワールド由来の島でね。島自体が戦艦みたいな構造をしているんだ」
 今は機能停止しているみたいだけど、とシャチは付け加える。
「島はメガリスボーグとなったウォーマシンの戦士達が守ってたんだけど、猟書家とその配下には流石に敵わなかったようでね。反撃を狙って彼らは一旦姿を隠し島の外縁へと撤退したんだ。その間に猟書家は戦艦島のコアルームへと辿り着いて、その動力であるメガリスを自分の体に組み込んで戦艦島すべてを支配下に置いたんだ。このまま放っておくと動かない筈の戦艦島を再起動してグリモアベース侵略の際に攻撃艦として使ってくるかもしれない。だからそれを防ぐ為にその猟書家を倒してきてほしい」
 現在猟書家シーシアス・アヴァリシアは配下の巨大魚を島のあちこちに配置して自分のいるコアルームを守っているようだとヴィクトルは説明する。
「数は結構多いし島自体構造が複雑だから真っ向から突撃するといたずらに消耗させられることになると思う。そこで、この島のウォーマシンの戦士団の出番だ。現在巨大魚に散発的にゲリラ戦仕掛けている彼らに合流して力を借りる事ができれば、複雑な地形を利用して消耗を抑えつつコアルームへ向かう事もできると思う」
 猟書家はメガリスの力で本来有していない筈のユーベルコードも使ってくるみたいだけど、そこはどうにか乗り越えて撃破して欲しいとキマイラのグリモア猟兵は言って、首にかけた鍵型のグリモアを手にした。
「他の世界ではぼちぼち猟書家との最終決戦が始まってる。この世界はもうちょっと先になりそうだけど、それまで猟書家をのさばらせる訳にはいかないよね」
 それじゃ行ってらっしゃい、とヴィクトルは話を締め括ると、グリモアを輝かせティアーズ島へと向かう鉄甲船『巨頭丸』に猟兵達を転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 機械にも意地というものはあるようで。

 このシナリオはグリードオーシャンにある戦艦島の一つを支配下に置いた猟書家を撃退するシナリオとなります。
 第一章は配下である巨大魚達との戦いになります。
 現在この戦艦島のメガリスボーグ戦士団がどうにか反撃の機会を伺っており、島外縁部の巨大魚にゲリラ的に襲撃を仕掛け戦力を少しずつ削っているようです。
 島の構造は複雑なので、構造をよく知る彼らと交渉して助力を得られれば消耗の少ない状態でコアルームへと辿り着けるかもしれません。

 第二章は幹部猟書家『シーシアス・アヴァリシア』との戦いになります。
 取り込んだこの島のメガリス『蜃の瞳』の力により、通常の能力以外にも『聖杯幻影兵団』と類似したユーベルコードを使ってくるようです。
 こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス(全章共通)……メガリスボーグ戦士団と協力する。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『巨大魚』

POW   :    船喰らい
【頭部からの体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鋭い牙によるかみ砕き攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    テイルフィンインパクト
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    ウォータービーム
レベル×5本の【海水】属性の【水流弾】を放つ。

イラスト:傘魚

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
全員リクエストによる、各シナリオへの救援プレイングです。
長らく滞っていたり人手が足りてない時など、ご自由にご利用ください。
アレンジ、アドリブ、連携歓迎。自作PBWも採用歓迎です。
ユーベルコードも指定外の、公開中から適当なものを使用してもらって構いません。

HAHAHA!
グリモア猟兵殿の要請に応じて参上デース!
お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!
アタック、ディフェンス、他の方への支援! おまかせくだサーイ!

白兵戦、射撃戦、集団戦もボス戦もオーライ!
冒険の踏破や日常への奉仕活動も得意であります!
|臨機応変に対処可能《好きに動かしてOK》デース!
よろしくお願いしマース!



●サイボーグ、戦艦島へ
 欲望の大海の荒波を越えて、鉄甲船はティアーズ島へと辿り着いた。
 スペースシップワールド由来の今は機能停止している戦艦の島は、猟書家とその部下達に占拠された戦艦島は、島の外から見る限りでは抵抗もなくなったかのように静まり返っている。
 このまま猟書家の自由にしていてはやがてはグリモアベース侵略の為の戦力として戦艦島が再起動されてしまう――そんな予知を聞いたサイボーグメイドは、意気揚々と真正面から島の鉄錆びた海岸へと上陸した。
「HAHAHA! ここは真正面からアタックデース!」
 整ったメイド服姿のバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)という彼女の上陸を察知した猟書家の配下である巨大魚達が一斉に海から強靭な尾鰭でジャンプして襲い掛かる。
 鋭い牙は住民であるウォーマシンの装甲をも噛み砕きスクラップに変えてしまう破壊力を持つ――魚群の体当たりに対し、バルタンは愛用のチェインハンマーをじゃらりと構え。
「六式武装展開、鉄の番!」
 ユーべルコード|鉄拳制裁《アイアンフィスト》を発動した彼女は真正面から飛び込んで巨大魚の頭部に叩きつける。
 巨大さゆえの頑丈さを有する巨大魚の頭骨ではあったが、キャバリア用の鎖付き巨大鉄球を転用したその一撃はあまりに強烈すぎた。
 頭をくぼませた巨大魚が他の巨大魚を巻き込みながら吹き飛ばされ、砂浜に叩きつけられてぴくりとも動かなくなる。
「HAHAHA! 命が惜しくないヤツらはかかってきなサーイ!」
 当然チェインハンマーはキャバリア用だけあって巨大、それを容易く操るのは熟練の兵でありサイボーグである彼女であるからだ。
 巨大な鉄球を振り回しながら、一瞬戸惑いこそしたもののすぐに敵意剥き出しに向かってくる巨大魚に物騒な笑みを浮かべながら、バルタンは錆混じりの砂を蹴って派手にハンマーを振り回し侵攻を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



●緋色の星は魚を落とす
 砂浜で派手にサイボーグメイドが暴れている頃、バーチャルキャラクターの少年、赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)も持ち前の身軽さで戦艦島への上陸を果たしていた。
 派手な戦闘音に紛れつつ静かに砂浜から島へと上陸した彼が目にしたものは、まるで巨大な戦艦の甲板をベースに形作られた金属質の錆びついた地形と、それに張り巡らされた水路。
(「猟書家たちが作ったのかな」)
 どうにも不自然な、張り巡らされた水路を前に思案する緋色に、水路を通って巨大魚がわらわらとやってくる。
 こういうことかと得心した緋色に、巨大魚たちはいきなり水面から高くへと跳ねた。
 そして空中から丸呑みにせんと大口開いて落下してくる猟書化の配下共を、緋色は真っ赤なインラインスケートに溜め込んだ圧縮空気を一気に噴出して回避、魔導蒸気で稼働するミニさんをから弾丸をばらまきながらユーベルコードを発動する。
 召喚されたのは銃口が花のように、ラッパのようにひらいたハンドガンに見えなくもない変な形のガジェット、巨大魚に対して有効であるはずだから、試しに空中の巨大魚に向けて引き金らしき部品を引いてみる。
 すると銃口から大音量が発せられ、指向性を持った音波が巨大魚を貫いた。強烈な音波を直に受けた巨大魚は平衡感覚を失って地上に墜落してしまう。
 更に軽く跳ねて水平方向から空中を強靭な尾で跳ねるように突っ込んでくる巨大魚の頭頂を踏みつけ跳躍、そのままスカイダンサーの身のこなしで地形や魚を足場に敵に次々にガジェットを向け、連続で引鉄を引いていく。
 音波に気絶させられた巨大魚たちが落下するのは戦艦島の硬質な金属質の地面、あるいは自分たちで張り巡らせた水路で、浮き上がってくることはない。
 空中の巨大魚や複雑な地形を足場にしながらガジェットの音波砲で巨大魚達を気絶させていく。
 暫くして、集まってきた巨大魚達を一通り掃討できたが、まだ島の奥には多くの配下たちがいるだろう。
(「これ全部倒すのはちょっと厳しいかな」)
 そんな事を考えながら、緋色は島の中央にいるという猟書家を目指し静かに探索を再開した。

成功 🔵​🔵​🔴​

カーバンクル・スカルン
OK、かつての同郷のよしみだ。奪還戦に参加してやろうじゃん。

とはいえ、海に着水したら沈むこと確定なんで【輪火風変形】で空中戦が出来るようにしてから突貫するといたしましょ。

巨大魚が口からどれだけ海水を吐こうが、周囲に渦巻く炎の渦で相殺して突破していきましょ。万が一飛んで物理的に遮ってくるようなら強烈なキックをお見舞いして、海中にリターンしてもろて。

そこのメガリスボーグの方々ー? 戦艦島の、正規の出入り口以外……「非常口」とか書かれた場所に覚えはないかい? 壁に偽装されてる感じのやつ。

相手は全身メガリス人間(仮)、正面突破はキツいだろうから、そっから背後をつきたいのさ。



●ジャンク仕掛けのワニとお嬢様の助け
 猟兵達の上陸と同じ頃、島の精鋭戦士は海に近い水路を巡回する巨大魚達に幾度目かの奇襲を仕掛けていた。
 彼ら|戦闘機械《ウォーマシン》の鋼鉄の躯体には欠けた部位を補うようにメガリスが埋め込まれ、その力を十分に発揮して少数の巨大魚を一気呵成に攻め立て打ち倒す。
 ユーベルコードにより武器を強化し魚鱗を貫き仕留める――だが、この時は少々運が悪かった。
 奇襲を仕掛けてすぐに援軍がやって来て、撤退の機を失ったまま応戦する事になってしまったのだ。
 一対一ならば並のコンキスタドールには劣ることはないだろう精鋭達、だが相手の数が多く数の暴力に押し負けてしまうというもの。
 数体倒せどまだ数多い巨大魚達は自在に空中を跳ねて噛み付き、海水の鉄砲水で狙撃し押し流すように水路へと引きずり込まんとしてくる。
『もう限界か』
 装備したカトラスで水流弾を防ぎつつも勢いに弾かれた一機が呟いた。
 非戦闘員を避難させてから精鋭でのゲリラ戦で侵略者の頭数を減らし、コアルームの守りを削いで一気に仕掛けるというのが彼らの作戦だった。
 猟書家相手に逃げられる保証はない、寧ろ皆無と考えたからの戦略だったが、想定以上に配下共の数が多く練度も高い。
 しかし、諦めの感情は彼らにはない。別の場所では同胞の部隊も戦っている。ならば朽ち果てるまで戦い抜く――と立ち上がったその時、巨大魚を跳ね飛ばす勢いで機械仕掛けのワニが突進してきた。
「OK、かつての同郷のよしみだ。奪還戦に参加してやろうじゃん」
 ワニの背に乗った赤いクリスタリアンの彼女はカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)、彼女の出身はこの戦艦島の出自と同じ星の海の世界であり親近感や縁のようなものを感じているのだろう。
 戦士達への増援に水路から顔をのぞかせた巨大魚が水流弾を連射してくる。
 侵入者を、抵抗するものを海へと押し流さんとするそれを、カーバンクルはスクラップを組み合わせて作ったワニを巧みに操り回避する。
 鉱石の体を持つカーバンクル含め、機械仕掛けのワニでは着水してしまえば身体の密度によって浮上することなく沈みっぱなしになってしまうことだろう。全て避けられればいいのだがそれには弾数が多い。
 故に、カーバンクルはユーベルコードで対応する。
「Code:Nata’s Leg Flight Unit,approved」
 その彼女の言葉により彼女の設計したカタリナの車輪に変化が現れる。針付きの巨大車輪が人型に変形したワニの脚部を守るグリーブとして装着、同時に車輪が回転し炎の渦を生じさせる。
 【|輪火風変形《コード・ナタク》】という名のユーベルコードにより生じた炎の渦は機械仕掛けのワニに飛翔能力を与え、鈍重そうな見た目に反した素晴らしき加速で飛翔する。
 流水の弾丸が飛翔するワニ目掛け殴りつける雨のように激しく発射されるが、車輪から生じる炎の渦はその水流弾を相殺し弾幕を突破していく。
 一匹の巨大魚が強靭な尾びれで水を叩き空へと跳ね上がる――が、これもカーバンクルは予想済。
 炎の渦の勢いを強め軌道を変えて突進を回避すると共に、人型の機械ワニによる後ろ回し蹴りで海へとリターンさせた。
 突然の加勢にメガリスボーグ達は顔を見合わせ、すぐに勢いを盛り返し巨大魚達に襲い掛かる。
 メガリスボーグ達と共に巨大魚達を一掃したカーバンクルは、ワニの横に降りて彼らと相対する。
「さて……そこのメガリスボーグの方々ー?」
 戸惑うウォーマシン達にカーバンクルは彼らに問う。
「戦艦島の、正規の出入り口以外……『非常口』とか書かれた場所に覚えはないかい?」
 流石にそんな場所はない、と島の戦士達は身振り交えて示す。
「だったら壁に偽装されてる感じのやつとかは?」
 その質問に言い澱む彼ら、少し間をおいてなぜそれを尋ねるのかと質問を返してくる。
「私達はこの島を襲った猟書家を倒したいのさ。正面突破はキツいだろうから、そっから背後をつきたいのさ」
 相手は全身メガリスにメガリスを装備している。故に少しでも有利に戦いたいのだと、正直に答えるクリスタリアン。
『……分かった。それならば俺が案内しよう』
 戦士の一人が決意し、カーバンクルを真っ向から見る。
 島を占拠した猟書家配下との戦いに加勢してくれた猟兵達への恩義を返す為にと協力してくれるようだ。
 そして、島の戦士の助けを得たカーバンクルは、巨大魚を避けつつ秘密の通路を通り抜けコアルームへと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
戦士団の皆さんと協力をして
猟書家さんを倒しましょう
まずはお魚さんですね♪

戦士団の皆さんは
肉体をメガリスで強化されてまで
動力源のメガリスを守っておられるだなんて
その覚悟に感服です
ぜひ一緒に戦わせて下さい

指笛吹いて影から躍り出たランさんに騎乗
お魚さんの水流弾も
ランさんにとってはむしろ元気の素です
なにせ海水属性ですからね

お返しに体当たりや尾の一振りで
まとめて倒します

ランさんの体で戦士団さんを庇ったり
竪琴奏でて回復したりして
戦士団さんをバックアップします

お魚さんたちを倒しながら押し進み
外縁部から内部へ突撃です

さあコアルームへ向かいましょう!
道案内をよろしくです



●鼓舞する黒猫のメロディ
 ワニに乗ったクリスタリアンが島の精鋭と接触したのとほぼ同時刻。
 彼らと島の反対側で戦っていた別動隊も同様に危機に陥っていた。
 小柄な黒いケットシーの箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が駆けつけたタイミングでは、ウォーマシンの戦士たちが無数に放たれる水流弾に悪戦苦闘している様子。
 ゲリラ戦に転じているとは言え、猟書家の襲撃以降まともな休息もなく奪還のために戦い続けてきた彼らのダメージは無視できるようなものではない。
 それでも彼らはまだ倒れてはいない。じっくりと治療する必要があるだろうが――、
「まずはお魚さんですね♪」
 なんにせよまずはあの戦士団が戦っている巨大魚を撃破する事が先決だ。
 黒猫が指笛を吹けば彼の影から一匹のアーモンドアイの目旗魚が飛び出して、それに騎乗した仄々は巨大魚の群れの前に飛び込んでいく。
 水流弾が目旗魚に命中するけれど、
「そんなのランさんには効かないです」
 海水の属性を有するランさんには水流は寧ろ元気の源、より一層に速度を増して巨大魚達の攻撃からウォーマシンたちを守り、その尾で叩いて巨大魚達を後退させた。
『アナタは……?』
 低くくぐもったノイズ混じりの声が戦士団のウォーマシンから響く。
「助けに来ました! 戦士団の皆さんのメガリスを守る覚悟に感服です。ぜひ一緒に戦わせて下さい!」
 振り向いた仄々は本格的な説明は後回しに、端的に味方に来たと伝えた上でワンタッチで竪琴を展開すると、戦意を高揚させる高らかな歌声を響かせる。
 ユーベルコード【シンフォニック・キュア】の力により島の戦士たちの傷や破損箇所が|治療《修復》されていく。
『これならば……!』
 クリアな声で呟いた戦士達が巨大魚達に反撃を開始する。
 少しだけ危険なタイミングもあったがそこは仄々とランさんのバックアップにより上手くフォローされて、倒れるような大きな傷を負うものはいなかった。
 軽やかな旋律に癒された戦士団の渾身の一撃が最後の巨大魚を撃破し、ウォーマシンたちが大きく息をつくかのように体を沈み込ませた。
 そして、仄々は改めてメガリスボーグである彼らの覚悟に感服した事、そしてこの島を奪還する為にコアルームに向かいたいという旨を伝える。
 既に断る選択はないと、ウォーマシンは力強く答え、そして、
「さあコアルームへ向かいましょう!」
 意気揚々と仄々の言葉。
 そして、活力を取り戻したウォーマシン達の案内の下、道中で別動隊とも連絡を取り合流を果たし、先頭を回避しながらティアーズ島の中枢へと向かったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『シーシアス・アヴァリシア』

POW   :    我が武器は勝利の剣、天之麻迦古弓、アスカロン
自身の【顔の仮面と体の宝石のメガリス】が輝く間、【剣と弓や換装した斧、盾、槍等のメガリス】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    我が光はファントム、ドラコナイト、スヤマンタカ
装備中のアイテム「【体を構成する全てのメガリス】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ   :    我が衣はメロウの帽子、パランギーナ、イージスの盾
【今の相手には役に立たなさそうなメガリス】を脱ぎ、【相手に極めて有効なメガリスで構成された体】に変身する。武器「【新たなメガリス(形状、名称は毎回変わる)】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。

イラスト:タヌギモ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シャイニー・デュールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蜃気楼のメガリスを胸に
 島の様相は猟書家とその配下達に幾分か改造されてしまってはいるものの、この複雑な戦艦島の構造については精鋭戦士団の方が詳しく、水路の無い非常用の道を猟兵と島のメガリスボーグ達は進んでいった。
 戦艦の起動を優先している猟書家が見つけられなかった非常用の狭い――とはいえ巨人でも何とか通れない事はないぐらいの広さはある鋼鉄の通路を渡り、巡回する巨大魚達との大きな戦闘もないままコアルームへと猟兵と精鋭戦士団は到達する。
 大きな入口の中央にこれまた幅広の水路は、大兵力をこのコアルームへと円滑に導くためのものなのだろう。もしくは、島を掌握する為のメガリスの力を行き渡らせるための導線なのだろうか。
『……猟兵を連れてきたのか』
 水路の終点に立つ怪人が落ち着いた声でぽつりと呟き、コアルームへの侵入者たちに振り返る。
 全身を改造し奇怪な色彩で輝かせる猟書家『シーシアス・アヴァリシア』は、いまだこの戦艦島の起動には至っていないようだ。
 しかし、猟書家のの胸部にカメラアイを向けた島の戦士達はあれが島のメガリスだと、憎々し気に耳打ちする。
 この島の動力であるメガリスは、猟書家の胸部へと埋め込まれてしまっている。撃破できなければ奪取することは不可能だろう。
『あと少しなのでな。ここは排除させて貰う……!』
 胸部の宝玉のメガリスが発動し、猟兵とウォーマシン達を取り囲むように幻影の戦士達が出現する。シーシアスの意志に従うかのように霧の戦士たちは一斉に武器を構えた。
 それだけではない。シーシアスの武器は全身に埋め込んだ数多のメガリスであり、一度この島の精鋭メガリスボーグ達を打ち破ったその実力は飾りなどではない。
 島のメガリスをも手にした猟書家は強大ではある、されど退く選択もあるはずもない。
『……外から援軍の気配がする。俺達はこのコアルームの入り口でそいつらを阻む。だから』
 ――頼んだ、そう告げたウォーマシン達は、幻影兵達を強引に突破しコアルームの入口へと一斉に向かっていき、巨大魚達との交戦を開始。
 彼らの心意気に報いるべく、猟兵達も同時猟書家へと攻撃を仕掛けるのであった。
御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!


バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!

普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイル:白兵射撃の物理系

各種武装の中から敵に有効なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!

アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!

指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!


赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ




「はっはっは、妾、推っ参!」
 最初にシーシアスに仕掛けたのは蛇神の如き肉体を持つ御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)。
 展開した特殊撮影用ドローン群と洒落た首輪に模したマイクにより、いつも通り生中継は万全だ。
 彼女の戦法は至ってシンプルで、その強靭な肉体を用いた肉弾戦。島のメガリスにより展開された霧のメガリスボーグ達は彼女に攻撃を殺到させるが、
「はーっはっはっは! 中々の技ではあるがこの程度で妾は倒れるわけにはいかぬのう!」
 霧の刃、弓矢を左腕で振り払い尾を振り回し霧を散らした。
 そのままカメラ映えを意識しつつ、彼女は高笑いと共に突撃。シーシアスは距離を取るように大きく回り込もうとするが、同時、コアルームの入り口から緋色の少年とサイボーグのバトルメイドが参上する。
「ん、ここがコアルームみたいだね」
「やーっと! 見つかりましたデース!」
 赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)とバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の二人は正面突破で巨大魚達を蹴散らしながらやや遅れてこのコアルームへと辿り着いたのだ。
 菘と距離を取ろうとするシーシアスと鉢合わせる形になった状況だが、戦慣れしている二人は即座にシーシアスを討つべき敵と認識して弾丸をお見舞いする。
『ここで増援か。ならば』
 シーシアスは装備していた剣――自前のメガリスを抜きユーベルコードを起動。二人の弾丸の嵐を最小限の動作で致命傷を回避しながらバルタンと緋色へと斬りかかる。
 装備したすべてのメガリスの効果や射程が増幅されている状況、バルタンはシーシアス側面に回り込むように飛び込み、緋色はブースターレッドの圧縮空気を噴出し大きく跳躍する。
 足場ない空中に逃れた緋色を狙い、即座に猟書家は弓のメガリスで矢を放った。
 けれど緋色は何もない空中で跳ねて方向転換、強烈な威力を宿した矢はバーチャルキャラクターの少年を捉えられずコアルームの壁に突き刺さった。
 シーシアスはそのまま矢で緋色を狙うが、【スカイステッパー】で自在に飛び回る彼を射抜くことはできず、当たらなければ増強されたメガリスの威力や射程も意味はない。
 ならばと、猟書家はメガリスを換装し顔の仮面と全身に埋め込んだ宝石のメガリスを輝かせ手数で猟兵達をせんとする。
 されどここでバルタンが動く。
「骸式兵装展開、冬の番!」
 【|模倣様式・灰雪天帝《イミテーション・アスタルシャ》】を起動したバルタンが真の姿――に変身し、一気に切り込んだ。
 勝利の剣、アスカロン、シーシアスが装備した刀剣を超高速で振るい対応せんとする。先程までと段違いの斬撃の嵐はシーシアス自身の寿命を対価とするだけあり強烈である、が。
「悲劇の連鎖、断ち切らせてイタダキマース!」
 この猟書家に島を取られてしまえば、新たな悲劇へ連鎖してしまう――悲劇の未来を防ぐという点においては異なる世界の天帝の如き精神力をも再現し、それを誓いとして胸に宿したバトルメイドは高速の連撃を見切り、捌き、そして腕部に装着したパイルバンカーによる痛烈な一撃をシーシアスに叩き込み、同時緋色が空から流星のような蹴撃を猟書家の頭部に叩き込む。
 連撃を受けよろめく猟書家、しかし猟兵達の追撃はまだ続く。
「こちらを忘れてはおらぬかのう!」
 菘が蛇の身をうねらせながら高速で飛び込んできたのだ。即座にシーシアスは彼女を迎撃する為に不要なメガリスを外し、彼女に合わせたメガリスに換装せんとするが、
「はーっはっはっは! ――一撃必殺すらどうとでもなる!」
 高笑いと共に覇気を籠めた大音声がコアルームに響いた。菘のユーベルコード【神の専売特許】の一喝に、シーシアスは換装を思わず止めてしまい、大きな隙が生じてしまう。
「妾の神クラスの覇気に慄くのも無理はない! そしてこれを受けてみよ!」
 ニヤリと口元を歪めた菘は、大きく左腕を振りかぶり、絶望をも砕く強烈な一撃を猟書家のメガリスボーグに叩き込む。
 メキメキと嫌な音が響き、轟音とともに吹き飛ばされるシーシアス。その一部始終は菘の撮影用ドローンに最高の角度で収められている。撮れ高間違いなしだ。
 コアルームの壁に叩きつけられ、大きなダメージを受けた猟書家は痛痒を感じていないかのようにすぐに起き上がり、構えを取る。
 しかし胴体からは動きに合わせ軋む音が聴こえてくる。間違いなくダメージは通っているのだろう。
 ならば倒れ動かなくなるまで攻撃を叩き込むのみだ。放たれた矢と周囲に出現した霧のメガリスボーグ達の突撃を弾き、或いは躱しつつ、三人は一旦シーシアスから距離を取り次の攻撃の機を窺うのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

箒星・仄々
ウォーマシンさん達の思いに応えます
シーシアスさんを海へと還して
島のメガリスを回収しましょう

霧の戦士さん達は数は多いですが
一撃で消滅すると見ました
それなら方法はこうです!

自身と細剣をペロっと舐めて
スケーターの如く滑走し
シーシアスさんを目指します

立ちはだかる霧の戦士さん達の攻撃を
つるつるの体で滑らせて無力化しながら
摩擦抵抗減で剣速を増した突きで
次々と撃破します

シーシアスさんの攻撃を
つるっと受け流したり
剣でつるっとしつつ弾いたり
華麗なスケーティングで回避したりしなが
間合を詰めて
武器を振るいながら
その股下をくぐり抜けざま
脚をペロリ

摩擦を奪って転ばせます
もちろんそれだけに留まりません
ペロペロを重ねて摩擦を奪うことで
胸の宝玉のみならず身体中のメガリスを
バラバラっと落としていただきます

メガリスを失くして茫然自失のシーシアスさんを
カッツェンナーゲルの一閃で倒します

終幕
鎮魂の調べ
海で静かな眠りを

お疲れ様でした!>マシンさん達


カーバンクル・スカルン
実質的な挟み打ちね、背後は任せたよ。

たーだー、【聖杯幻影兵団】の兵は私の記憶が間違ってなければ主人に忠実ではあるが一発攻撃を放つか受けたかの時点で消滅するはず。

なら【ガーネット・フラッシュ】で周囲に特殊な光を放つことで聖杯幻影兵団の兵を何かする前にお帰りいただこう!

あとに残るは全身メガリスの猟書家さんだけ!

ここのコアマシン以外のメガリスがどんな力を持ってるか定かじゃないから拘束は狙わずにヒットアンドアウェイでコツコツ削っていきましょう。今の私は近寄るだけでもダメージを与えられる状態だからね!




 一方、島の戦士達と共にコアルームにやってきたカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)と箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)も攻撃にかかろうとしていた。
「実質的な挟み打ちね、背後は任せたよ」
『どうか、あの邪悪なメガリスボーグを倒し、メガリスを取り返してくれ』
 機械のワニに乗ったカーバンクルにそう告げて、島の戦士達はコアルームへと押し寄せてくる猟書家の配下たちへの迎撃に向かっていく。
「……ウォーマシンさん達の思い、確かに受け取りました」
 島のメガリスを奪い、占拠されたウォーマシン達の猟書家への怒りは余りあるものだろう。
 そして、そのリベンジを託猟兵達に託して露払いに徹してくれるということの重みを、仄々は理解し応えたいと思った。
「シーシアスさんを海へと還して、島のメガリスを回収しましょう」
 そう告げてカーバンクルと仄々は分かれて行動を開始する。真っ向から飛び込んできた仄々に向かって霧の兵士たちは一気に斬りかかる。小柄な黒猫の彼だけれども、シーシアスの指示に忠実に正確に凶刃は狙ってくる。
 猟書家の実力を反映してか、酷く数が多い。如何に仄々といえど、この攻撃全てを無策で無傷で突破することは叶わないだろう。
 カーバンクルの記憶によればこの蜃気楼のメガリスと類似した効果を持つユーベルコードで召喚される兵は、主人の命令に忠実ではあり対象の周囲に出現するという厄介なもの。
 ただし、耐久力に乏しく、一撃で消滅してしまうという欠点を持っている。その事は仄々も予想していた。
(「それならば……!」)
 ならばと、流れるような動作で|カッツェンナーゲル《ねこのつめ》と自身の体をペロッと舐めて、ユーベルコードにより摩擦を極限まで減らし滑走を開始する。
 ダッシュからいきなりスケーターの動きに切り替えたケットシーの楽士に対応しきれず、慌てて対応した霧の兵士のカトラスもつるりと彼の体表を滑り、受け流されるばかりかその反動で黒猫の身体はさらに加速してしまう。
 その加速を乗せた刺突は霧の兵隊を次々に消滅させ、シーシアスへと徐々に迫っていく。
 それを嫌ってシーシアスは霧の兵士たちを自身の周囲に展開し防御態勢を整えるが、そこでカーバンクルが機械のワニに騎乗しシーシアスの後方に大きく回り込んできていたカーバンクルが周囲に警告。
「とにかく、離れてて」
 巨大魚と戦うウォーマシンからの霧は十分、確認したガーネットがユーベルコードを起動すれば、彼女の全身から柘榴石のような赤く眩い閃光が放たれ周囲を照らし出す。
 【ガーネット・フラッシュ】の輝きは殺傷力を有し、彼女の周囲135メートル内を無差別に高威力で攻撃してしまう。そんな攻撃に霧のメガリスボーグ兵たちがどうなるか。
「皆消えちゃいました!」
 警告を聞いてさっと瓦礫の影に身を隠した仄々の驚嘆の声、赤き閃光は蜃気楼を打ち払うかのようにコアルーム内に広がり、蜃気楼の兵士たちが攻めかかってくる前に一体残さず消滅させたのだ。
「あとに残るは全身メガリスの猟書家さんだけ!」
 他にどのような効果のメガリスを内蔵しているかわからない。拘束など考えず、完全に破壊するのみ――ジャンク仕掛けのワニに騎乗したガーネットは全身から紅い輝きを放ちながら猟書家へと突進を開始する。
 その体当たりの直撃こそは避けたものの、全身から放つ光は浴びただけでダメージを負ってしまい、その影響はシーシアスにも及んでいる。
 加えてガーネットは一撃離脱ですぐさま距離を取っている。確実に体力を削り取り確実に潰す算段なのだろう
『猟兵は厄介だな。だが、私もここで負けるわけには……!』
 弓矢のメガリスでガーネットに狙いを定めるシーシアス、能力を強化されたその矢が放たれガーネットに命中すれば確実に大きな傷を与えるだろう。
 しかしそこに、仄々が滑走の速度で飛び込んできてシーシアスの股下を潜り抜けながら脚をペロリと舐め、摩擦を極限まで減らした。
 摩擦のない足では真っ直ぐ立つことすら叶わない、急な変化にシーシアスは矢を放った反動でつるりと足を滑らせ転倒、狙いがぶれた矢もカーバンクルから逸れて彼女のワニの背を掠める程度に留まった。
『おのれ……!』
 まだ手は自由に掴める、摩擦を奪われた部品は換装すれば元通り――だが、黒猫がそれを見逃すはずもなかった。
 華麗にターンを決めて転んだシーシアスに再接近、メガリスボーグの猟書家の全身をペロリと舐めて装着しているメガリスの摩擦を尽く消し去ったのだ。
 摩擦をなくしたメガリスはがっちりと埋め込まれているもの以外はシーシアスの身体から離れ、コアルームの床にバラバラに転がり滑っていく。
 呆然とするシーシアス、その頭部に機械のワニの大きな影がかかり、鋭い細身の魔法剣を構えたケットシーが迫って――一閃、破壊音。
 メガリスボーグの猟書家はそれきり起き上がることもなく、胴体からはメガリスが吐き出されるように離れ、コアルーム入り口で戦っていた島のウォーマシンたちの方へと転がっていった。

 主を失ったことで巨大魚たちも波が引くようにしてティアーズ島から去って海へと帰っていった。
 それを見届けた仄々は愛用の竪琴で鎮魂の調べを奏で、静かな眠りを祈り、海へと響かせた。
 共に戦ったウォーマシン達は結果的には全員無事で、隠れていた戦士ではない島民もメガリス奪還を喜び、猟兵達に感謝を示した。
「お疲れ様でした!」
 にっこり笑顔で仄々が言い、ウォーマシン達も上機嫌にこの島を救ってくれた猟兵達に握手の手を差し出した。
 かくして邪悪な猟書家の作戦の一つは潰え、猟兵達はグリモアベースへと帰還したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月06日


挿絵イラスト