【サポート優先】原野に炎の雨が降る
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●力とは何ぞや
――足りない。足りない。力が足りない。
「私を究極に至らせるもの……それは何……?」
ふらふらと野を彷徨う赤マントの少女、メルティ・フレイムレインは力を求める。強者と戦い、そして力を「喰らう」ことで自らを高めていく――暴食の権化。
だがそこは人っ子一人いないような原野であった。敷設された線路だけが辛うじて人の存在を物語る。
「……あれはきっと違う、けれど」
メルティが丁度線路に足を踏み入れた時に、運悪く乗客と食料を乗せた列車が通りかかる。警笛が鳴るが、メルティはまるで逃げようとしない。
メルティが考える強者とは本質的には異なるようだが――メルティは手持ち無沙汰でもあった。力が鈍ってはいけない。上空に生み出された火炎魔法弾は長く連なる車両を絨毯爆撃して、何もかもを木っ端微塵に破壊するのだった。
●アルダワ魔法学園・20thラウンド
「秋も深まる季節です。こんな季節はご飯が美味しいですね! さて、アルダワ魔法学園における食料事情を少しだけお話しましょう」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は日々知識を蓄える。それは単なるコレクションではなく、事件の予兆を掴む時にも重要なものだ。
「諸王国連合、という地域をご存知でしょうか。アルダワ世界の魔法学園から西に位置する、最も近い地域、と言ってよいでしょう。諸王国、と言われるように、小さな王国の連合体で形成されている地域です。そして何を隠そう、世界有数の農業地域――学園の食堂なんかで出されている食事にも、この地域で採れた穀物や野菜などが多く使われています。私も含め、学生さん達が毎日美味しいご飯を食べられているのはこの地域で働いている方々のお陰、というわけですね。それで、この地域の食料はその他の自治体に列車で送り届けられているわけですが……ここに、災魔『メルティ・フレイムレイン』が出現することがわかりました。……正確に言うと、列車が居合わせてしまった、と言えばよいのでしょうか。運悪くメルティと遭遇してしまった列車は、彼女の魔法の前に爆発、炎上――もちろん生存者はいません。この事態は何としても避けなければなりません」
しかし問題が一つある。ロザリアはメルティの出現場所を特定できていないのだ。
「メルティの居場所がわかっていればよかったのですが……見えた悪夢の光景は、どこまでも草と木と大地が広がるばかりで、おそらくこの辺、というぼんやりとした情報しかお出しできません。なので今回、皆さんには狙われる列車に乗ってもらって、列車の旅を楽しみつつ外を警戒しておいてほしいんです。そうすればおそらく線路に入る前のメルティを見つけることができると思いますので、後は列車を降りてメルティを倒していただければ、列車は守られると思います! なお列車は止まりませんので、後方の車両の車掌室から飛び降りることになりますが、皆さんなら大丈夫ですよね!? 列車の車掌さんその他関係者の方々には話を通しておきますので、どうかよろしくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
まさかの大アクションまでの一時をのんびりお過ごしください。
●フラグメント詳細
第1章:日常『蒸気列車で行こう』
列車に乗ってのんびり旅します。でも最後は飛び降ります。それまでは自由にお過ごしください。
メルティは緑の木々草々と褐色の大地の中で一人赤いので、目を凝らせばすぐにわかるのではないですかね。
第2章:ボス戦『メルティ・フレイムレイン』
暇を持て余した災魔ですのでやっつけましょう。
周りはもう草と木しかないので思う存分戦って結構です。
炎の雨とか降ったら燃える気がしなくもないけれど……そこは気合で凌ぎましょう。
第1章 日常
『蒸気列車で行こう』
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POW : 列車内を探検しよう
SPD : 客車や食堂車で旅を楽しもう
WIZ : 寝台列車でしばし休息を
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎
「あらあら……。ふふ、ご安心を。呆けてはおりません。」
一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛える。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。偶に天然ボケを発揮。
基本的には場の雰囲気に合わせ、誰とでも状況を楽しみます。
想い人を想起するような場面では、彼に思いを馳せてぼんやりうっとりすることも。
もしも何かを探る必要があれば【早業】【軽業】、時に【地形の利用】を用い【第六感】や【聞き耳】にて【情報収集】、仲間に共有。
UCは状況に合わせてどれでも使用。
後はお任せ。
雛里・かすみ(サポート)
バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
荒事以外のことならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。折角なら美味しそうなものとかあると嬉しいですよねぇ~。
情報収集なら【道術】や【呪詛】関連ならお役に立てますよぉ~。
※アドリブ・連携歓迎
●秋香る列車の旅
「本日は当列車をご利用頂き、誠にありがとうございます。当列車は交易都市メルトリステアを出発し、ゴランダ山地、ファボル平原を抜け――」
カタンカタン、カタンカタンと列車が風物詩のように小さく揺れる中、窓際に座る向・存(葭萌の幽鬼・f34837)は両手をべたりと窓に貼り付けながら外を見つめる。
「おぉ~、出発しましたねぇ~」
「ふふ……そうですね」
「農業地域と聞いていたけど、景色も悪くないのね」
存の隣に座る土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)は存の無邪気な姿に微笑み、向かいに座る雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)は窓の外を遠ざかっていく景色を眺めていた。黄金色の穀倉地帯はもうすぐ刈り入れの時期。今でこそ、今しか見られない景色を三人は存分に堪能する。
女三人気ままな列車旅――このまま終点までのんびり寛げればいいのだが、そうはいかぬが共通項の薄い彼女達の集まった理由だ。
この列車は死のレールの上を何も知らずに走っている。気付いた時には手遅れで、そうなる前に三人が災魔を見つけ出さなければならない。景色を楽しむのは旅の醍醐味の一つだが、その中にふと映りこむ災魔の姿を捉えなければならないのだ。
とは言え列車という箱型の移動手段の特性上、前方左右を全て見渡せる場所は多くない。三人のために用意された客室も進行方向に対して左側に配置された部屋であり、右方向への確認は部屋を出る必要がある。
「少し列車の中を歩いてみましょうか。災魔は何処で出てくるかわかりませんけど、情報を聞いた限りでは人の住む場所からは遠いと思いますし」
「そうね。もっと見通しのいい場所もあるだろうし」
「お散歩ですかぁ~? 楽しみですぅ」
勢い立ち上がって客室の扉を開く存に、かすみと泰花が続いていく。
「わぁ~、ここはぁ」
「食堂車、ですね」
「あら、いいんじゃない? ここ。右も左も見渡せるし、落ち着ける席もあるし」
旅を彩るのは農業地域ならではの食の楽しみ。一般の客室車両を一つ抜けた先にはテーブルと椅子が均整の取れた形で並ぶ食堂車があった。家族連れや身なりの良い老夫婦、シックな装いの紳士など乗客層も幅広く、それぞれの旅を存分に味わっている。
「折角だし、何か食べましょうよぉ~」
「いいけど、場合によっては途中で放り出すことになるわよ?」
「でしたら、何か軽めのデザートなど頂いてみませんか? 私も少し、この列車を楽しんでみたくなりました」
「まあ……そうね。ここに来てただ座ってるだけってわけにはいかないし……」
三人の意見が纏まり、空いていた四人掛けテーブルへ客室に居た時と同じ席次で着席する。程なくサービススタッフが持ってきたメニューを広げてページを捲りながら眺めていくと、カラフルな写真と「期間限定」の謳い文句が飛び込んできた。
「わぁ、秋のフルーツタルトですよぉ~。これにしましょうよぉ~」
「少し大きい気もするけど……泰花さんはどう?」
「一つを三人で分ければ丁度いいくらいではないでしょうか。私はこれでいいと思いますよ」
「なら決まりね。この、秋のフルーツタルトを一つ」
「かしこまりました」
サービススタッフはメニューを下げ、調理場へ注文を届けに向かう。存は早くも待ちきれないという風に体を左右へゆーらゆら。
「注文したからには、ちゃんと食べ終わるまで災魔の登場は無しにしてほしいわよね」
「それはお祈りしておくしかありませんが……今はまだ大丈夫でしょう」
外の景色は葉が黄色や赤に変わり始めた秋の山。予知された風景はまだ遠く、今は心落ち着く時間帯だ。待ち焦がれるのは泰花もかすみも同じで、しばしの暇を気さくな談笑で潰す。
そうしていれば待ち時間などあっという間だった。焼き上がった生地に葡萄や柿、イチジクなど旬の果物がぎっしり乗せられたフルーツタルトが運ばれてくる。
「来ましたよ来ましたよぉ~」
「三等分……このくらい、よね?」
「えぇ、それで」
かすみがナイフを差し込んでフルーツタルトを三等分し、個々の皿に移して存と泰花へ渡し、残った一皿を自分の手元へ引き寄せる。
「では、頂きましょ~」
言うや存はナイフの刃をフルーツの上からタルト生地に通していく。泰花とかすみは落ち着いて一つ手を合わせ、それからナイフとフォークを取った。
瑞々しいフルーツにサクサクのタルト。一口食べれば贅沢な甘みが口いっぱいに広がってくる。
「美味しいですね。タルトがしっかりしてて、フルーツも新鮮で」
「高級フルーツパーラーにでも来た気分よ……これが列車の中で味わえるなんて」
「はい、幸せですねぇ~」
何事も楽しまねば損。存は口いっぱいにフルーツタルトを頬張り満足そうな笑みを浮かべている。ゆったりと落ち着いた動作ながら泰花は一口ごとに目を細め、かすみは目を閉じて甘みの深部を探りながら感心しきりだった。
食べ損ねてしまう不安などどこ吹く風。ペースの違いこそあれど、三人は綺麗にフルーツタルトを食べきって余韻に浸る。丁度その頃、列車は山岳地帯を抜けて平原に入っていた。窓の外は季節の移り変わりを今かと待ち構える木々草々に染まり、三人の間にも俄かに緊張が走る。
「この辺……言われてた場所と雰囲気が似てるわね」
「そうですねぇ。美味しいフルーツタルトは堪能しましたしぃ、そろそろ出てきてくれちゃってもいいんですよぉ?」
存がじっと進行方向左側を見渡すと、泰花が通路を挟んだ右側に注意を向ける。線路は緩い右カーブから更に直進しどこまでも続いていくが。
「……あれは……?」
泰花の声に気付いてかすみが振り返り、視線の先を追う。草木の中にちらちらと映りこむ、燃えるような赤色が徐々に列車の進行方向へ接近するのが見えて、かすみは椅子を押しのけるように勢いよく腰を上げた。
「あれよきっと!」
「見つかりましたかぁ~?」
「やはりそうですか……では、参りましょう」
三人は急ぎ食堂車を後にして車両を引き返し、自分達の客室を通り過ぎて車掌室まで一直線に飛び込んでいた。状況を理解している車掌は三人が来るのを待ち構えており、彼女達が姿を見せると何も言わずに扉をゆっくりと開く。
「どうか、お気を付けください」
躊躇いは死に直結する。三人は順に扉の縁を踏み切って、災魔が待つ平原へと飛び降りた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『メルティ・フレイムレイン』
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POW : ロイヤルコード『フレイムレイン』
レベル×5本の【火】属性の【空から降り注ぐ魔法弾】を放つ。
SPD : マジカルコード『カルマブレイズ』
【体から迸る業火】が命中した対象を燃やす。放たれた【橙色の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : エクストラコード『オーバーロード・インフェルノ』
【炎を武器の形に変えて振り回すこと】による素早い一撃を放つ。また、【マントと帽子を外す】等で身軽になれば、更に加速する。
イラスト:ALEC
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ロザリア・ムーンドロップ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●力を欲するが故に
「私を究極に至らせるもの……それは何……?」
問いかけるが、風は答えてくれない。メルティはぼんやりと辺りを彷徨っていた。どうやってこの場にやってきたかも虚ろで、当てもなく、意味もなく、何となく向いていた方向へ歩き続ける。
それは不運にも一本の列車の通り道となる線路へと続いていたが――メルティは不意に強大な力の存在を感じ取って立ち止まる。
列車から飛び出してきた影。それはまさしく彼女が標的とすべきもの。
メルティはくるりと振り返り、彼女にとって何の価値もない列車とすれ違って、平原に降り立った者達の元へと向かっていった。
グリュック・ケー(サポート)
「よう、プリン食べる?」
ノリのいい兄ちゃん。旅が好きでふらふら出歩いている割には呼べば現れる。ひとりも好きだが大勢も好き。楽しそうなことには顔を突っ込みたがる。汚れ役も引き受けられる基本的にいい人。
プリンと睡眠が大好きで常にプリンを持ち歩き、少しでも時間が空けば夢の中へ。寝起きはいいほうだが寝つきがかなり良い。
普段から顔を隠しているが、「見せて」と言われれば普通に見せる。
好戦的というわけではないが、必要であれば躊躇わない。
ユーベルコードも普通に使う。正面から戦うよりかは罠をかけるほうが好き。
向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
荒事以外のことならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。折角なら美味しそうなものとかあると嬉しいですよねぇ~。
情報収集なら【道術】や【呪詛】関連ならお役に立てますよぉ~。
※アドリブ・連携歓迎
●旅は楽しくあるべき
「こういうところは旅の中で来たいもんだぜ」
「同感ですよぉ~。まだまだ楽しめそうなことがありそうでしたしぃ、次はのんびりぃといきたいですねぇ~」
列車を飛び降りた存は前転受け身から失速なくメルティを目指し、そこへメルティの居場所が確定したことで新たに世界へ飛び込んできたグリュック・ケー(なんか黒い・f32968)が合流する。旅好きのグリュックとしては気を急かされることのない列車旅を楽しみたくもあり、それはメルティの討伐によってきっと果たされるに違いない。
グリュックはダガーを取り、存は頭部へ巻きつけた包帯をさながら刃のように振り回す。メルティが纏う橙炎は彼女の境遇を呪う業火。マントを風に靡かせながら、橙炎を腕に巻きつけ鞭として飛ばしてきた。
グリュックと存の間を抜けようとしてきた橙炎の鞭は迸る中で水平方向に広がりを持ち、強欲にも二人纏めて喰らわんとした。だが深すぎる欲は「鼻」につく。猟兵の嗅覚でメルティの意図を察知した存は飛び上がり、グリュックは上着を舞わせながら上体を落として橙炎を潜りながら加速した。
存の足下を抜けていった橙炎、掠めていれば焼けかねない包帯だがそこは体操選手さながらの回転で瞬時に巻き上げる。台風の目となった存の周囲に纏まった包帯は回転の中で再び拡散し、メルティへと撃ち下ろされていた。
存が上から仕掛ければ、グリュックは地を這うが如く下より迫る。たかが上着一枚の質量変化だが、埒外の存在からすればその一枚が雲泥の差を生み、グリュックを疾風へと変えていた。
メルティは災魔であるが人の形だ。目は水平にしかついておらず、存とグリュックによる上下に振り分けられた連携撃を同時に視認し的確に対処するのは不可能だった。纏う橙炎は防御には向かない。グリュックの速攻がすり抜け様、メルティの脇腹を斬りつけると同時に橙炎を散らし、その隙を盗んだ存の包帯が両腕の柔肌を貫き裂く。
「うあっ……!」
まさに手痛い反撃。グリュックが駆け抜けた圧と存の包帯に押されてメルティはよろめく――が、一歩で持ちこたえて傷口を橙炎で焼き塞ぐ。荒業だが、それはダメージが全くの帳消しになったことを意味しない。
「究極へと辿り着くために……倒してみせる……!」
それでも追い求める姿勢は変えない。未だ炎はその身に滾っているのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
レオナール・ルフトゥ(サポート)
誰かの面倒を気づいたら見ているような、
近所のお兄さん、もしくは保護者的ポジションです。
荷物番から料理まで頼まれれば意外になんでもやります。
料理に関しては頼まれなくても率先してやります。
基本的に穏やかな性格をしていますが、甘いわけではありません。
可愛い子には旅をさせよ精神。
全体を見るようにし、必要な場所へ行きます。
無駄な争いは厭いますが、納得できるものであれば容赦はしません
他おまかせします。
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
●少女は橙炎に至れり
平原を風と共に駆ける者達があった。
「あれが、災魔……いえ、姿形はある種の記号に過ぎないもの。本質的には他の災魔と何ら変わりなく――滅ぼすべき世界の毒なのですね」
「ほっとけば自分勝手に食い散らかすんじゃあ、僕としても流石に捨て置けないね。世界が泣き出しちゃう前に――」
「退治、としたいところですが、彼女は何かしらの力を求めている様子。その願望に足るだけの力を持ち合わせているのか、少し興味が湧きますね」
「どれだけ強いのかな!? 楽しみだね!」
メルティとは、まだ年端もいかぬ少女であろう。だが外見に意味は無く、性質は世界を崩壊に導く。姫神・咲夜(静桜・f24808)が今一度、戦に臨む身を引き締める横でレオナール・ルフトゥ(ドラゴニアンの竜騎士・f08923)もまた滅ぼす必要性を再確認する。対しレイン・ファリエル(クールビューティー・f17014)は同じ認識を持ちつつも、メルティという存在が力を渇望するに値する者かどうかを見定めんと画策し、応じる緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)はただ純粋に強敵と相見えることを喜びとしていた。
対峙する二色の炎。不思議な縁だった。メルティが橙炎なら透乃は桃炎。奇しくもそれは、色は違えど同じ音。
「炎の雨に打たれて消えて――ロイヤルコード『フレイムレイン』ッ!」
塞いだ傷が開きそうな勢いで振り上げられたメルティの右腕から、橙の火炎球が空へと放たれた。ある程度の高さへ到達するとそれらは爆音と共に花開き、無数の魔法弾となって四人の進路上へ降り注いでくる。
「それが貴方の本気ですか」
「っと、全員を狙ってきたなら先陣は――」
「今日も私は元気いっぱい! 突き進むよーっ!」
レインが衣服に隠した暗器に手を触れ、レオナールがドラゴンオーラを両手に溜めていたのをすっ飛ばすように透乃は「重戦斧【緋月】」を掲げ、ぐんと速度を上げた。咲夜も含めた三人を置いてきぼりにして突っ込んだ魔法弾の雨の中、透乃は戦斧に桃炎を纏わせひた走る。
熱を帯びた魔法弾は透乃の肌を打って容赦なく焦がすが、透乃はめげない挫けない。何事も気合いで耐える透乃だからこそ単身特攻を任されていた。
『燃え上がれ私の魂! あいつの全てを焼き尽くせー! 桃火の一撃、火迅滅墜焼!!』
熱さと痛みに耐え抜いて、怪力に任せて振り下ろされた戦斧から桃炎の砲弾が撃ち出される。透乃の推進力が乗った桃炎は透乃と同様に降り注ぐ魔法弾を突っ切って、面食らったメルティを直撃した。
「いやぁぁっ……何、この炎……!」
炎を操る身でありながら炎に焼かれる――矛盾の滲む現象にメルティは戸惑いを見せてもがき苦しむ。
透乃が元を断ち、次いで眼前の火の粉を払うのは。
『桜の花々よ、その華麗なる舞により敵を切り刻みなさい』
咲夜の放つ桜吹雪は花弁の一枚一枚が鋭利な刃。物量に於いてもメルティが降らせた魔法弾と拮抗する花弁はくるくると回りながら飛翔して、宙の魔法弾を次々破裂させていく。降り注ぐ魔力の欠片は流星より儚く掻き消えて、一筋、雨の上がった道ができた。
「お次は僕だね。絶対に――逃がさないよ」
炎に炎をぶつけて打ち消そうとしたことでいつしかマーブル状の炎に包まれていたメルティを、ドラゴンオーラを纏うレオナールが狙う。両手に練り合わせたオーラを一つに――殴りつけるように飛ばして弾丸とした。
「ぅあ……また、何か――」
熱と色で歪んだメルティの視界に飛び込んできた淡い緑のドラゴンオーラ。本質を瞬時には見抜けず、闇雲に放つ炎ではその全ては防げない。
「きゃうっ!?」
炎を差し向ける左腕にドラゴンオーラが飛び込むと、それが起爆剤となりメルティの体が爆発を起こして仰け反った。内部より押し出される圧力で炎が一気に霧散した体は、しかし左腕に鎖を巻きつけられたが為にその場から動けない。
鎖の元はレオナールが握る。確と足を地に踏み締めて、咲夜とレインに道を譲った。
「元より逃げ場など与えませんが……念には念を。この意味がわかりますか?」
「何、を……消えて……消えて!」
鎖によって引き伸ばされる左腕に必死の抵抗を見せながら、メルティは再び火炎球を、今度は直接咲夜とレインに放ってきた。破裂し散弾のように飛来する魔法弾。レインはすかさず暗器を右から、左からと連続投擲し、二人の身に降りかかる最小限を的確に撃ち落とす。
「災魔必滅。生きて帰しは致しません」
レインが作り出した空間を埋め尽くす咲夜の桜吹雪は、メルティの体を浚って斬り刻む。花弁の一片どれもが咲夜の刃。戦に身を投じると誓った以上、向ける刃に偽りはない。
「どれだけの力を欲していたかは知りませんが、貴方は力の器として――小さすぎましたね」
桜吹雪が過ぎ去って、マントも帽子も細切れにされたメルティが現れる。弱った体は膝を折りながら鎖に吊るされるように立っていた。
「そ、んな、こと……」
メルティが言い終えぬ内に、レインは両手に暗器を揃えて腕を交差させながら投げ放っていた。二段の水平投擲。点の連なりは線となり、あたかも斬撃の如くメルティの体を貫いた。
昏い瞳が一層昏く。メルティは唖然とした表情で崩れ落ちる。ぼろりと折れた体はそこでようやく鎖から解き放たれて、炎と化して程なく消えるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴