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おねむり雪うさ妖怪にご訪問

#カクリヨファンタズム #戦後

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#カクリヨファンタズム
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#戦後


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●未来
 雪が、降っていた。
 ただただ、たくさん、降っていた。
 雪に強い妖怪は元気になる筈なのに。
 みんな等しく、遭難したかの様に。
 雪の中、白い世界の中、何もかもが雪で埋もれた、何もない世界の中で。
 たくさんの六花の塊の下で、眠っていた。

「そうです。そうなのです。みんな、みんな、眠ってしまえばいいのです。」
 最後に起きていた、妖怪の女性が、眠りに着こうとしていた。
 口から洩れる、眠りの吐息。
 自らも凍り付く身体。
 それは、己の娘も全て、全て、眠らせて……。

●現在
「依頼だよ!依頼だよ!カクリヨファンタズムに危機が迫ってるの!」
 グリモア猟兵のポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が猟兵達を集めた。

「今回は『アイスラヴァー』っていう骸魂さんが、雪女さんに憑りついて、世界を雪に閉ざしちゃうんだって。」
 それだけなら氷雪系等の、寒さに強い妖怪が生き延びそうだが。
「えっとね、寒いのがへっちゃらでも、不思議な眠りの力も持ってて、眠ったまま雪に埋めて、二度と起こさなくしちゃうみたいなの。」
 寒さに強き妖怪は永眠し、そうでない妖怪は眠る様に凍眠する。
 冬の暴力が世界全体に蔓延したかの様な滅びを迎えるらしい。

「でもね、そんな危険を食い止められる予兆が見つかったの!『幽世蝶』っていうのが、あらかじめ骸魂に憑かれた妖怪さんを見つけてくれたんだよ!」
 幽世蝶(かくりよちょう)。
 世界のほころびを感じて、騒ぎを起こそうとする骸魂の近くを舞う蝶であるという。
「すぐに見つかったし、目の前に転送できるの!でも……。」

 その妖怪は、家族連れである。
 沢山の、まだ骸魂にも憑かれていない、うさ耳の生えた雪ん子達を従えるうさ耳の雪女が、今回のオブリビオン。
 転送される個所は、雪女が忙しく雪ん子の世話をしている、自宅の場。
 つまり……開幕で戦闘行為を行えば、罪なき雪ん子達も嫌が応に巻き込んでしまう。

「まずは、一旦骸魂とか知らないフリして、雪妖の大家族さんの家事のお手伝いをして欲しいの。」
「そして寝静まったり、事態が落ち着いてきた辺りで妖怪さんのいなさそーな所に誘導して、こっそり骸魂を取り除いて欲しいのよ。」
 うさ耳の付いた騒がしい雪ん子と、雪母達の家族(父はいないらしい)。
 猟兵達は戦闘の他、やんちゃな雪の子らを相手する事になる。
 それも戦闘でなく、お手伝い。家事や遊びの相手になるのだ。

「雪妖怪さんは外の世界の事大好きだから、お話相手も歓迎すると思うの!雪妖怪さんの遊びといえば、雪合戦とか、になるかしら?」
 色々と考えを巡らせている内に、ポーラリアはグリモアを展開する。
「それじゃあ、頑張ってね!」
 猟兵達は、カクリヨファンタズムの家屋の一つへと転送されていった。


古塔
 秋めいて居る中ですがそろそろ冬ですね。古塔と申します。宜しくお願いします。

●1章
 うさ耳生えた東洋妖怪の雪女さん大家族の相手をしてください。
 主に、一日中せわしなく家事をしている母雪女(東洋妖怪の雪女だけど、着物でなく防寒着をきている。幽世蝶が舞っている。2章ボス)と、その子供達である雪ん子達(集団戦くらいの結構な数。幼女くらいの防寒着着た、冷気を操る妖怪)の相手。
 遊ぶもよし、家事するもよし、入れ知恵するもよし。
 兎に角手伝っていればせわしないご家庭が一旦落ち着いて、引き離す隙が出来るかと。

●2章
 母雪女を妖怪の気のない所に誘導して、戦います。
 周囲に妖怪や、母や猟兵の攻撃に巻き込まれる者はいない所で、凍らせて眠らせて来る冬の骸魂をぶっとばしてください。
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第1章 日常 『こんなところに猟兵さん』

POW   :    力仕事手伝ったり/力比べしたり

SPD   :    細かい雑務どんとこい/あの峠まで競争だ

WIZ   :    お勉強のお手伝い/知恵比べしましょう

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「ようこそ、いらっしゃいました。」
 厚く積もる雪、極寒の寒村。
 真っ白な世界の妖怪集落、その1件。
 やや大きな東洋の屋敷めいた場所の門前に猟兵達は転送された。

 そこで出迎えてくれたのが……今一度ページを上にスクロールして、当シナリオのTOP画像のオブリビオンらしきもこもこうさ耳女性を見て欲しい。
 彼女が出迎えた。母雪女にして、既に骸魂に憑りつかれた、オブリビオン『アイスラヴァー』である。
 氷の杖、そして吹き上がる周囲の冷気が、その防寒に優れた身を、屋敷の中をも氷柱が出来上がる程凍り付かせている。
 ……ただ、眠気を誘う毒はまだ、出ていない。

「早速だけど上がってくださいな。手狭にはならないと思いますが。……うっかり凍ってしまいましたら、溶けるまでは子供達の面倒を見てくださいね?」
 母雪女、アイスラヴァーが言うには。
 この屋敷の雪ん子達を相手するには身一つでは忙しすぎ、毎日ヒマな妖怪を救援に呼び、家事を手伝ってもらっているそう。
 猟兵達は『その役』を今回、代わりに受ける形となったようだ。
 少なくとも目の前のアイスラヴァーはそう思っていた。

「お料理できる方はいますか?今晩の献立を考えている所で。ああっお前達」
「わぁ」
「いっぱいきてる?」
「こんにちは!あそぼう!あそぼう!」
 わらわらと、アイスラヴァーの後ろから湧いてくるのは彼女の娘達。
 ページトップに居るもこもこで凍り付いているオブリビオンの姿を、もう二回りほど小さく幼女の様にしたような、うさ耳の生えた、もこもこ服の女の子達であった。
 その身体からは周囲を凍てつかせるほどの冷気が漂っている。

「すみません育ち盛りな子達で。この子達の面倒も、もしよければお願いします。」
 猟兵達は、雪うさ妖怪へのご訪問を開始した。
御影・雪乃
倒せばもとに戻るやつですかね
氷結耐性330もあれば凍ることはあまりないでしょうし、内容的に私と相性良さそうです
さくっとひと助けならぬ、妖怪助けをやりましょうか

●家事を手伝います
どうも流れの家事手伝いです
お料理とか手伝いましょうか
お代は現物支給でもよいですよ、腕前はこの持参した手作りの冷えても美味しい煮物とクッキーでご判定を
と、料理技術と言いくるめでもぐりこみます
ヒエヒエでも美味しいサラサラスープカレーでも作りましょうか
完成してからゆっくり冷やすのがコツですね
掃除もやりつつ、UCで召喚した雪うさぎをこどもたちの遊び相手にします

…後で誘き出すなら信頼と安心を得るのは定石ですからね




「どうも 流れの家事手伝いです。」
 冷たき氷のミレナリィドール、御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)がやってきた。
 雪の積もった玄関の地面を、音もなく踏み歩きながら。
「まあ……。お手伝い、して頂けますの。」
「その為にきました。同じ氷雪のよしみという事で。」

 案内されるまま、雪乃はアイスラヴァーの館の中へ。回廊をついていく。
 分厚い防寒服のアイスラヴァーはきらきらと身体に付いた氷を光で反射されており、さながら輝く雪の女王のよう。
 対して雪乃は薄い生地の軽いドレス。違う国の氷の淑女が、北国の女王についていく様であった。
 雪の庭には氷の像がちらほらと。それが樹氷の様に厚く雪が積もり、固まっている。
「(……あの中に人間や妖怪が入っていたりは……いえ、今日はひと助けならぬ、妖怪助けがメインですからね。)」
 ふと雪乃はある事を思い出す。
「そういえば、報酬の交渉がまだでしたね。」
「え?」
 アイスラヴァーは立ち止まる。
「お代ですお代。まさかお手伝いの見返りがないなどと言いませんよね?」
 世の中はギブアンドテイク。雪乃はそこはかとなくその手の話にがめつかった。
 しかしアイスラヴァーは特に考えていなかった。忙しさが彼女の思考を押しつぶしていたのだ。
「す、すみません。そこまで頭が回っていませんでした。」
「という事は、なんですか。今まで妖怪達に無償でお手伝いをさせていたのですか?」
 雪乃は冷ややかな笑みを見せて、辛うじて木造りだった屋敷を更に凍り付く冷気を漂わせる。
「……いけない、事ですか?」
 アイスラヴァーは反応するかの様に冷たい目を向けて、回廊の天井に大きな氷柱を垂れ下げる程の冷気を漂わせる。

 ふっと、雪乃がため息をつき。
「そうですね。見知らぬ人に手伝わせておいて、何一つ得られない、というのは釣り合いません。本日は……料理の現物で如何でしょうか。」
 アイスラヴァーは眉を吊り上げ、少しだけ呆気にとられた。
 つまり、今晩のご馳走に雪乃もあやかりたい、と言っているわけで。

「あ、はい。それなら、どうぞ。労働にはご飯を。手狭の席ですが歓迎しますので。」
 アイスラヴァーは安堵するかの様に、冷たい息をふっと零した。


 雪のお屋敷、厨房にて。
「さて、腕を振るうとしましょう。幾つかは既に持参していますけど。」
 そう言うと雪乃は所持していた鞄を置く。
 中には鍋と大幅の缶。
 鍋の中には冷めているが油も固まっていない、美味しそうな煮物が。
 缶の中にはクッキーが詰まっていた。
「食後の甘味まで、わざわざ……!?」
「いかがですか?」
「……お代を急にがめだして正直やや良くない印象を持っていましたが、取り直します。こんなものまで用意して頂けるなんて。」
「いえ、良いのです。クッキー程度でしたらいつでも。」

 二人は料理を進めていく。
 程良く冷えた、少しだけ凍った豚肉を刺身の様に飾るアイスラヴァー。
 隣ではフライパンに細かく切った冬物の野菜を炒め、そこにカレーを混ぜ合わせて煮込んだサラサラカレースープを作る雪乃が。
「火、あるんですね。」
 もしかしたらないかもと、少々気にしていたようだが。
 コンロに見立てた囲炉裏が並んで置いてあったので、勝手が少し違うも普通に普通の料理ができる場所だった。
「はい。暑い火はできれば消しておきたいのですが、通さなければ食材が柔らかくなりませんし、灯り代わりにもなりますので。」
「難儀しているのですね……。」
 ともあれ、二人は献立を完成させていく。
 本日の昼の分、夜の分、そして明日の朝の取り置き分まで。

「ありがとうございます。夜はともかく、明日の朝まで……?」
「いいんです。そのクッキー、多めに用意してましたので、おやつにつまんでも良いかと。」
「そこまで用意を。」
 感心した目でアイスラヴァーは雪乃を見た。
「さてと、次は掃除でもしましょうか。手が付けられていない所はどこですか?」
「良く分かりましたね。実は大きい家なので、毎日掃除場所を細かく決めていて。」

「おねえちゃん!」
 掛け声がして、振り向くと、雪乃は小さな雪だるまを渡された。
「どう?可愛い?可愛い?」
 うさ耳雪ん子達だった。
「えっと。…はい、可愛いですね。」
「一緒にもっと可愛いの作りたいの。」
 他の雪ん子も寄ってくる。
「あそぼ?」
「お手伝い、お料理終わった?」
「わたし、雪合戦したいー!」

「はいはい。でも今は掃除から手を付けたいので。」
 そっと雪乃が、雪庭に手をかざす。
『おいで…』
 雪の中からぴょこり、雪うさぎが現れた。
「わ」
「うさぎだ。」
 雪うさぎはゆきんこの1体に勢いよくボディアタックをかます。
「きゃん!やったなー!」
 雪うさぎは素早くぴょんぴょん跳ねると、雪ん子達に捕まるまいと雪庭を駆けだした。
「まてー!」
「雪だるまにしてやるのー!」
 ぼふぼふと音を立てて雪ん子達がそちらの方へと駆けだしていった。

「それでは、その子の遊び相手をしていてくださいね。」
 何から何まで…と言いたげな顔でアイスラヴァーは雪乃に掃除を頼み。
 そうして雪乃は淡々と、雪の屋敷を家事して回るのだった。

「…後で誘き出すなら信頼と安心を得るのは定石ですからね」
 凍える事無く仕事をこなす、本日の雪乃は暗躍するメイドの様であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クオ・メアン
【SPD】
アドリブ歓迎

ぼくは元々すっご~く寒いところに住んでた深海人だから、凍っちゃうくらい寒くても全然平気―むしろ快適なんだけどね。
眠っちゃうのは困るよね。

それはともかく…
「雪合戦するの?仲間に入れて~」
うさ耳の雪ん子さん達と元気に雪合戦や雪遊び。
猟兵の任務とか忘れて、普通に遊びに来たみたいに心から楽しんじゃう。

氷や雪の魔法が得意だから、雪玉はあっという間にいっぱい作れちゃうよ(えっへん)

競争する?かけっこも好きだよ。
いつもは海のおともだちの背中に乗ったりしてるけど、自分の足で思いっきり走るのも好き。

いっぱい遊んで疲れたら、深く眠っていて。
遠くの方でちょっと騒いでも起きてこないくらいにね。


テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

お外で雪ん子さん達と遊びましょー!
みんなで雪合戦!負けませんよっ!

…としばらく遊んでいたら雪ん子さん達が抱き着いてきて…身体が凍っていく…!?
一人だけでなく二人三人と…遊びのつもりなんですがこちらは色々とシャレになっていない気が…!?
そうしているうちに全身が凍ってしまい…雪ん子さん達に可愛がられてしまいます…

と…とりあえずは骸魂の方から引きはがすことはできた…はず?


チリー・スティーリア
小さな子供を静かにさせるには、遊んで疲れさせるのがいいかもしれませんね

「雪ん子さん達、私と遊びましょうか?」

そう言って、出来るだけ彼女たちが疲れるように、大量の雪玉を作って投げつけます

少しずつ速度を上げながら、雪ん子達の相手をします
疲れて眠くなってきた子からそれとなく誘導して、ゆっくり寝かせましょう




「やっほ~、ここは寒いね。」
 白い髪と白い肌、氷の様に薄い青の瞳な、7歳程度の少年。
 彼女はクオ・メアン(氷雪の精霊術士・f30569)。グリードオーシャンの極寒の地出身の男の子だ。
 クリオネの深海人で、頭には触角だか氷の角だか分からない様な透き通る角のようなものが2本生え。
 その身体の周りには雪と2体のクリオネが妖精の様に舞っていた。

「こんにちは!」
「あたらしいようかいさん?」
 雪うさぎを見失った雪ん子達が駆け寄ってくる。
「妖怪、じゃないかな~。ここは快適な所だね。」
 雪深い雪原世界の、雪深いカクリヨの村、それが今いるところだった。
「うんー」
 雪ん子達は手を振る。
 その身体はもこもこの防寒服だが、やはり身に纏う冷気が衣服を凍らせている。
 まるで裸になれば辺り一面を絶対零度にする冷気を出す力を、1体1体この子達は持っているかの様。
「えっと、名前…まっしろさんのいた所もさむいの?」
「ぼくはクオ。……うん!すっご~く寒い所だよ!凍っちゃうくらい寒いなんて平気平気。氷の海なんだ」
「海が、氷。」
「えっ、なにそれ。よくわかんないけどすごそう。」
 雪ん子達は物珍しさに目をキラキラさせていた。

「それはともかく…良い天気だし、遊ぼう!」
 クオはぱたぱたと雪庭から雪を掬って雪玉を作り掲げる。
「雪合戦!するの?」
「やるの?やろう」
「あたしも仲間に入れて~」
 次から次とうさ耳もこもこ雪ん子達が集まってくる。
「よ~し、合戦だ!チームに分かれて、こっちがぼくで。」
 雪ん子と一緒にルールを取り仕切っていく。真っ白な雪の世界に壁や塹壕が作られ、雪を蓄えていき。

「っと、ちょっと待ってください~!わたしも参加したいですー!」
 駆け付けたのは褐色肌の白い兎耳キマイラ人、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)。
 若いが、クオよりは年上で14歳、中学生くらいの体格をしている。
「やった、参加者がふえた!それじゃあ反対側のチームについてて!」
 クオに先導されるままにテフラは雪ん子達のチームに加わる。
「うさぎさんだ」
「わたしたちといっしょ。」
「そんなにきこんでなくて……力が上手く使えるんだ?」
「すごい。」
 雪球の準備中、テフラは絡まれ続けていた。
「一応それなりに準備はしてきたのですが……へくちっ!過剰すぎるもこもこで良かったのかもしれません~」
 テフラはもこもこのケープに身を包んだ、それなりの冬衣装だった。しかし周りの雪ん子らには及ばない。
 そして雪合戦が開幕する。と思われた、その時。

「その遊び、私も加わって良いですか?」
 冷たい声がした。
「ひゃ っ!なんですか、この冷気……。」
 テフラがぶるぶる震えて見た先には、新たな猟兵。
 白い狐耳で、白い狐尻尾、氷のような青い髪と青い瞳。
 何よりその身は雪ん子達の母であるアイスラヴァーに負けない程に分厚く着込んだもこもこ服であった。
 彼女の名はチリー・スティーリア(絶対零度の案内人・f29046)。19歳だが体格はテフラとさして変わらない体つきである。
 体から漂う絶対零度の如き冷気、先程述べた髪や衣服は、雪ん子達同様、アイスラヴァーの如く凍り付いている。

「わぁ、気持ちいい風を送ってくる人が増えた!」
「き、気持ちいいですか!?」
 沸き立つクオと、正気を疑うテフラ。
 周りの雪は今にも固まってしまいそうな程冷たくなっていく。
 この場はクオとチリーの冷気によって、雪原ではなく極地の極寒を超える程に寒くなっていった。

「さ、さむさむさむ……気を持たないとすぐに凍ってしまいそうです……!?」
「それじゃあ3チームに分かれよっか。クリオネさんチームと、兎さんチームと、狐さんチームだね。」


 かくして雪合戦が開始された。
「よ、よーし!体を動かせばきっと大丈夫ですし、頑張ります!負けませ……んょ……」
 雪球を蓄え、いざ戦おうと雪壁から身を乗り出したテフラが見たもの。
 それは極寒地獄であった。

「それそれそれーっ」
 無を凍らせて雪玉を作り出し、ものすごい大量に投げ放つクオ。
「ああ、同じ作戦を考えていたのですね。対抗します。」
 冷たく言い放つチリーもまた周囲の空気を瞬時に凍らせて大量の雪球を作り、投げ放つ。
「わたしたちも!」
「おおーっ!」
 雪ん子達も同じ様にくるりと冷気をその身で回すと、もふもふの服からちぎり取ったのではと錯覚するような雪球を大量に作り出し、投げ放った。

 全員が、全員で。
 兎に角大量の雪球をぶつけてノックダウンさせようとする物量作戦でかちあったのだった。

「う、わわわわ!わーっ!」
 テフラは顔面に雪玉を受ける。
 一度受けただけでは済まされない。瞬く間に5発20発100発と、凄まじい勢いで雪球を喰らい、たちまち樹氷の様な雪の塊となって倒れてします。
「……!……!」
 ぼふりと雪に倒れたテフラを他の雪ん子が雪壁まで運ぶ。
 何とかゆさゆさと揺れて、雪を崩し、態勢を直すテフラ。
「な、なんですか、これ……!」
 飛び交う雪球は普段我々が考える雪合戦の度を明らかに超えていた。
 1粒1粒が握りこぶし大で出来た荒れ狂う猛吹雪と描写するのが一番説明になるかの様な光景。
 空中でぶつかり合う雪球もあれば、爆散する雪の中を弾幕の如く飛んでいく雪球にあたっていくチリーもいる。
 少年の身軽さで軽快に避けていくも、それでも何発かぼふぼふと当たってしまうクオ。

「あはは、たのしい。もっともっとぶつけちゃおうっ」
 我を忘れ、依頼を忘れ、心から雪合戦を楽しむクオ。
 氷雪の魔法であっという間に大量生産し、宙に浮く雪球は、白い雪のミサイル弾幕にも匹敵する。
「うひゃああぁぁ!」
 豪雨のような雪球の中を駆け回るテフ。
「疲れを知らない雪ん子さんですか。厄介ですが」
 チリーも負けじと、自身の身に漂う絶対零度の低温を操る。
 霜と氷の呪いであっという間に大量生産した雪玉を、宙に浮かせ、猛吹雪の様に発射していく。
「も、もうこれ雪合戦というより、雪妖術のぶつけ合いとかそう言うのじゃあ~!」
 雪ん子達はそっちのけになる事なく、もこもこ服で動きづらそうな体をものともせず、雪の中を駆けて。
 沢山の雪球にあたって雪だるまになりながら、雪の妖術を操って雪球を生成。
「まけないんだからー!」
 大量の雪弾幕を3人に向かって飛び交わせていく。

「小さな子供を静かにさせるなら、限界まで遊ばせるのが一番、かも。」
 そんな中でチリーは、飛ばす雪球を強めていく。
 具体的にはどんどんと、作っては放つ速度を上げていく。
「おわーっ!?」
「わぷっ、いっぱい飛んできたっ!」
 雪崩の様にすごい速さで飛んでくる雪球に、あっという間に雪で固められ、耳まで厚い雪で固まった雪だるまになって転がる雪ん子がちらほらと。
「わーいっ、たくさんきた!ぼくもこれで対抗しちゃおう!」
 クオは更に更に大量の雪を氷雪の杖を使い集める。それは先の5倍の数。
 遊びでやっているはずの雪合戦に、過剰なまでの量の雪球が、一度で一斉に放たれる。
「いっけーっ!」
 大量の数を放つ、マシンガンの様なチリーの雪球。
 大量の数を一度に放つ、ショットガンの様なクオの雪球。
 連射とパワーの激突に、雪合戦は大盛り上がりをみせた。

「し、熾烈すぎてまるで相手になれないです!?あっでも今なら二人が集中してるから……えいっ!」
 テフラも負けじと雪球を投げようとした、その時。
「えっ?」
 ぐらりと地面が揺れる。
 雪の下に隠れて進んでいた、ゲリラ雪ん子兵が登場だ。
「この時を待っていたよ」
「う、うわわっ!?」
 テフラは雪ん子に抱き着かれると、生成した雪を服の中に流し込まれていく。
「っひゃああ!!つつつ冷たいぃ!!」
「弾幕で駄目なら直接流し込んだ方が早いよね」
 更に雪ん子がもう1人、別の方向からテフラに抱き着き、雪を流し込む。
「うひゃああぁぁ!ま、また……離して……!」
 3人、4人、もこもこなのにドライアイスを触るよりも冷たい雪と氷の身体。
 テフラの素肌に雪だけでなく、雪ん子の吐息もかかる。かかった所がたちまち氷で覆われ、冷たい。
「ひ、ひえっ、このままじゃ、凍っちゃう……」
「まずは兎さんチームをおとすんだっ」
 それが狙いらしい。
「や、やめっ。」
 しかしあまりにもテフラを狙い過ぎて、雪ん子達のバランスが崩れ、転がる。
「う、うわわわっ。」
 彼らは奇しくも雪球をぶつけ合う、チリーとクオの射線上に入ってしまい。
「あ――」

 確かな手ごたえを感じた二人。
 余りにも雪球を放ち過ぎて雪煙の立つ戦場。
 雪が晴れるとそこには、氷山の様な形の巨大な雪球に固められたテフラと雪ん子達がいた。
「ふーっ。やりすぎちゃったかな」
 クオが雪球の雪を払う。
 ぼとぼとと落ちていき、「やったなー!」とか「雪球になっちゃった!」とか言い合う雪ん子。
「…………」
 その中心のテフラは冷えて固まり過ぎ、最早氷の球の様な状態で氷漬けになっていた。
「あ……テフラさん、来てたのですね。」
 ようやく知り合いが雪合戦に来ていた事を認知したチリー。


 雪兎が飛び込んできた。
 「お昼の時間」と書かれた旗を持っている。もうご飯の時間らしい。
「みんな、疲れた?一旦ご飯にしま――」
 そう言いかけたチリーだったが、雪うさぎは誤って雪で滑り、氷漬けのテフラにぶつかってしまう。
「あ」
 ぐらりとバランスを崩し、転がり始めるテフラ。そっちの雪原の方は確か、傾斜になっていて。

 ごろごろごろ、と、テフラはなすすべもなく、雪の斜面を転がっていった。
「「「た、たいへんだー!」」」
 それは雪ん子達の声。
 日頃からお手伝いさんには粗相をかけてはダメと、アイスラヴァーに注意されていた。
「おいかけて、持って帰るから、待っててー!」
 雪の斜面を転がったり、そのまましりもちをついて滑ったりしていく雪ん子。
「それじゃあ競争しよう。誰が先に兎のお兄ちゃん捕まえられるかの、かけっこしょうぶだよ。」
 クオはやる気まんまんで、雪の斜面を駆けだしていった。
「……子供って、元気いっぱいですごいですね。」
 ふっと凍てつくため息をついて、チリーが後に続いた。

 ごろごろと転がったテフラは、その内突き出た氷にぶつかって、転がるのを止めたと思ったら、転がる事無くずしゃーと滑るように滑走していく。
「…………」
 どこまで転がっていくのでしょうか……!?と言いたげな顔をしているが、氷に閉じ込められて、言葉を話せない。
 その内木にぶつかって、粉々になるまで、どこまでも、どこまでも……。
『凍って、止まっちゃえ!』
 氷の矢が放たれた。
 氷は進行方向に立ち塞がる様に突き刺さり、それにぶつかったテフラの氷は縫い留められるように斜面に凍り付き。
 雪原に佇む兎キマイラの氷塊が出来上がった。

「ずるーい!」
 雪ん子達が追ってテフラに追いつき、テフラをぽふりとたっちする。
「この子、どうするの?」
 ぽんぽんと凍ったテフラの顔辺りを叩く雪ん子に、「そういえば考えてなかったね」と漏らすクオ。

「そうですか……私に任せてください。」
 周囲の雪が凍る。
 氷の狐が現れたと思うと、氷の狐から氷の鎖が伸び、テフラを絡め取る。
 チリーの使役する、氷の狐「こゆきちゃん」の仕業であった。

 凍ったテフラを、こゆきちゃんが氷の鎖でけん引し、氷の地面から引っぺがして、斜面を登っていく。
「たのしかったけど、登ったら一区切りかな?」
 クオが一緒に斜面を登るチリーに話しかける。
「そうですね。沢山遊んだ分、きっと疲れてるはず。食べたらもう眠くなるのではないでしょうか。」
 その隣で雪ん子達が、氷のテフラを触って遊んでいる。
「遊び終わったお兄ちゃん、寒そう…可愛い…♪」
 どうやら変なスイッチが入ってるようだった。
 凍ったテフラの上に乗って、ぎゅうと抱きしめている雪ん子や、こゆきちゃんと一緒に押し運びつつも、さりげなくテフラの氷に頬ずり寄る雪ん子もいた。
「…………」
 当のテフラ本人は、身動き一つする事もできず、ただただ極寒の地で氷と化している状態であるが。


 何にせよ、激しい遊びの時間は、ここで一区切りをつけようとしていた。
 屋敷の所まで登り帰って、美味しいご飯を食べたなら、その後は――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『冷凍睡眠・アイスラヴァー』

POW   :    凍眠への誘い
【眠たさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【雪だるまの大群】から、高命中力の【睡眠毒と冷凍ガス】を飛ばす。
SPD   :    凍てつく体
【凍てつく冷気】を籠めた【氷の杖】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【凍結耐性】のみを攻撃する。
WIZ   :    凍眠する世界
【自らも朦朧とするほど、睡眠毒と冷気の力】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠チリー・スティーリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 一通り遊び終わり、アイスラヴァーの屋敷に帰った一行。
 雪合戦に出向いた者達が体に付いた雪を落とし、テフラはその身を覆った氷を猟兵達に削り落とされ、
雪乃との共同作業で作られたご飯を頂いた。
 夏に頂く冷製料理を感じさせるカレースープに冷しゃぶ、おやつのクッキーを皆で食べた後、
 雪ん子達は満足して皆眠ってしまった。

「ふぅ……余程激しく遊んだのですね。こんな風に眠ったのは、久しぶりかもしれません。」
 アイスラヴァーが寝息を立てる雪ん子達を撫でる。
 猟兵達は切り出した。話があるから一度外まで出て欲しいと。
「えっ?」

 先程雪ん子達と遊んでいた雪原。
 寒村や屋敷から十分離れた場所で、猟兵達はアイスラヴァーと対峙していた。
「そう、ですか……私に、骸魂が。」
 幽世蝶がアイスラヴァーの周囲を舞う。
「よく、分かりません。私がカクリヨを滅ぼすなんて。ただ……」
 アイスラヴァーの周囲に冷気が満ちる。
「ただ、最近はとても、とても忙しくて。はしゃぎすぎる子供達に、手伝いの妖怪達がやって来ても、毎日毎日無茶の面倒で。」
 満ちる冷気に寒々しくも暖かい様な、眠気に満ちた色が混ざる。
「寝る暇も、なかったのです……!何度、何度夜泣きの相手で寝ずの番をしてきたか。」
 雪結晶をあしらった氷の杖を生成し、持つと、口からも凍てつく唾液と、眠りに誘う吐息が漏れる。
「眠い……眠い……寒い世界で、とても、眠い……」
 彼女の人格は徐々に骸魂に侵されていく。身からよだつ雰囲気もおどろおどろしくも冷たく寒い、氷の妖怪の力を増していき。
「私も、寝たいの……みんなも……お手伝いの妖も……」

 はちきれんばかりのストレスを溜めていた彼女は、骸魂によって一線を超える後押しをされた。
 晴れた雪の世界は夜の如く暗く曇り、極端で激しい吹雪を引き起こす。
 そして吹雪に乗って運ばれた眠りの吐息が、猟兵達の瞼をがくんと重くさせる。
 意識を途切れさせれば眠ってしまいそうな程の。

 今目の前に居るのは屋敷で家事をしていたただのもこもこ雪女ではない。
 戦場に眠りを誘う甘い毒と、眠りに落ちれば雪の妖であろうと二度と目覚めないであろう冷気を生み出す、オブリビオン『アイスラヴァー』であった。

「みんなみんな、永遠に眠ってしまいましょう。」
驚堂院・クリル(サポート)
 神の国民的スタア×レトロウィザード、11歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、真剣な時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?




「ほああああ!!死ぬ!しぬぅ!寒くて死ぬのじゃああああ!!!」
 サポート参加で助太刀に来た驚堂院・クリル(アイドルグループ【九姉妹神】メンバー・f33676)は開始一秒で後悔した。
 ひと月先に冬が来たかのような吹雪真っ最中極寒の雪原に放り出されたのだ。
 その上遭難一歩手前の眠気を誘う空気まで漂い、寝たら春まで雪の中確定コースである。
「うぶぶぶぶ、顔に当たる雪が痛い!わらわ蛇天使ぞ!爬虫類の天使ぞ!おのれグリモア妖精めこのような場所に放り込むとか覚えておれよ!?」
 メインでない依頼による参戦なのでまともな女性口調で臨もうとした彼女だが、あまりの寒さにもう素でしか喋れなくなっている。

 ざふざふと雪をかき分けてアイスラヴァーへと戦いに向かうが、寒冷地用の衣装をしていない為か足取りは重い。
 そしてアイスラヴァーの方からもゆっくりクリルに近づいてくる。
「まだ、眠っていないのですね……眠りましょう……全てを忘れて、どこまでも。」
 アイスラヴァーが氷の杖をかざすと、眠りの毒を伴う真白な吹雪がクリルを襲う。
「ぐっぬぅぅ!じゃがわらわ、眠らせるよりも起こして熱狂派。地下アイドル魂をここで見せつけてやるのじゃ!」
 クリルはその手にマイクを持ったようなポーズをとると、神の如きオーラを纏い、高らかに歌いだした。
「~♪~~♪」
「うっ……!?」
 気分は雪の世界に舞い降りた純白の天使が、その美しさに心を打たれて舞う雪と共に輝かしい光を放つかの様な唄。
(どうじゃ!どうじゃわらわの歌!雪をも溶かす神の歌よ!)
「~♪~~♪」
「ラ……」
「~~♪~♪」
「La……♪LaLa……♪La……♪」
 うっとりとその歌を聴き続けたアイスラヴァーは、何を思ったかつられて合わせるように歌いだした。
(えっ、ちょっと待って向こうも歌いだすとか想定外なんじゃが)
 子守歌等の歌を歌う雪の母にとって、歌は身近なものだったようだ。
 音波が凍える吹雪を纏い始め、手を伸ばし天使の様なオーラを広げて歌うクリルを徐々に凍らせていく。
(や、やば……眠く……)
 歌いながらも、その瞼は、みるみるうちに重く下がり、閉じようとしていた。

 ――ああ、こんなところでわらわの神生は終わるのか。
 ここで凍え、凍てつく世界に身を投げれば、春にはフキノトウめいてカクリヨの地に姿を現して――
 その哀れで悲しくも美しき蛇天使の雪像が、妖怪達の目に留まり、哀れ悲しみ、話題となって、そしてやがては駅前銅像の如き人気の待ち合わせスポットとなって未来永劫に語り継がr
「てい」
「ちょおっぷ!?」
 後ろから首筋辺りを小突かれてハッと気を持ち直す。
 叩いた主はもう一人の猟兵、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)の仕業であった。

「こんな所に立たないで。」
「な、なんじゃと!酷い言い草な」
「眠らせる相手に効く技をもってないなら、あまり前に出ない方がいい。ここは任せて」
 言うと、トオルはメガネを外す。
 すると瞳が金色となって輝き、顔つきが変わる。
「さて、俺が何をするか……当ててみな。骸魂」
 
「そんな、またやんちゃな子供が一人……私、眠いのに……お昼寝の、時間なのに……」
「そんなに眠たければ一人で眠れ」
 振り上げる氷杖と巻き起こる吹雪、その発生の根元を熱線銃で的確に撃ち放つ。
 熱を伴う爆発が幾度も起こり、吹雪は次々と消滅していく。
 更に熱線銃をアイスラヴァーの足元に撃ち放っていく。
「うっ……!?」
 アイスラヴァーの足元は溶け崩れ、バランスを崩す。
「俺に」
 トオルは、否、トールはルーンソードを手に突っ込んだ。
「戦わせないでくれ」
 後ろにいる神のアイドルを守るために、いつもより慣れない特攻を仕掛ける為に。

 炎を纏うルーンの剣で、アイスラヴァーを切り裂きにかかる。
「たいまつの、炎……」
 それを見たアイスラヴァーは、斬られるのを異も介さず、トールを抱きしめる。
「ぐっ……!?」
 さくりと切られる防寒服と肌。だが骸魂のせいか、雪と氷でたちまち塞がれ、炎の消えたルーンの剣が服に埋め込まれる。
「揺らめく陽炎が眠気を誘う……優しい光を、私も出させて……」
 ふわり、視界が白い世界に染まった。
「(し……まっ……)」
 意識を保つのが精一杯だった。
 真っ白に凍り付いた身が、動かない。
 アイスラヴァーも朦朧する顔をしながら、彼女から最大解放された白魔の世界は、辺り一面を凍らせ、更なる眠気を引き立たせる。
 刺しにかかった姿のまま氷像の如き白いトールを、アイスラヴァーは抱きしめる。
「お望み通り、私も眠る、から……一緒に、おやすみ、しましょう。」
 冷たい息を吐きながら、アイスラヴァーは微笑んだ。
「永遠に、永遠に、凍眠する世界の中で……。」

 朦朧とする中、彼はもふられていた。
(……ああ)
 アイスラヴァーはもこもこの服装をしていた。ものすごい厚着である。
(思った以上にすっごい分厚い……ぎゅっとされる度に、もふもふが、へこんで、ボクの肌にフィットしていく……)
 このように冷たい状態でなければ、五体満足で自発的にもふぎゅしていればもっといい感じだっただろうか。

 筒石・トオルはもふもふが大好きな男の子だった。
 トールの人格になっても、守ろうと必死で体の氷を落とし、復活しようとするトールの意志とは他所に、もふってくるアイスラヴァーの感触を確かめる。
(でもやっぱり羊とか、モーラットとか、そういう生き物の方が……いやでも。……ぁぁ、分厚い。分厚い。毛玉よりも肉厚なこの感覚は他では少し味わえないかもしれない……この妖怪も凍ってるせいかもふもふの中にしゃりっとした氷の様な感覚がたまに伝わってくる……新感覚だ……雪の中のもふもふ……癖になりs)
「しっぺ!」
「首筋っ!?」
 突如首筋裏をはたかれた衝撃で、トールは朦朧とした意識を一時的に持ち直した。
「しっかりするのじゃ!誰にも知られぬスリーピング・ビューティーとかCDが出る前に遺作になってしまうぞ!?」
 叩いた主はもう一人の猟兵、驚堂院・クリル(寒さには神獣の毛皮を必死に纏って耐えたアイドルグループ【九姉妹神】メンバー・f33676)の仕業であった。
 やり返しである。
「くっ…!」
 トールは瞳の金の輝きを強めると、それをビームの様に放ち、アイスラヴァーを焼き、衝撃で吹っ飛ばす。
「あうっ…!」
 更に追撃をしてくるトールに、アイスラヴァーは杖を向けようとするが。
「~♪~~♪(ドヤ顔)」
 急に歌いだしたクリルにどうしても意識を向けてしまい、集中できない。
 放つ吹雪がどれ一つトールに当たらず逸れていく中で。
「悪いけどトオルの眠りを見届けるのはアンタじゃない。一人で……」
 トールは懐に飛び込んだ。熱線銃の出力を最大まで引き絞り。
「眠れ!」
 アイスラヴァーにゼロ距離発射を見舞ったのだった。

「……すぅ……」
「あっあやつ本当に眠りおった!」
 驚くクリルだが、それと同時に聞こえた轟音に眼鏡をかけなおしたトオルは嫌な予感を感じる。
「この感じ、雪崩が来る。退却しよう。……埋もれて、出てこなくなってしまえばいいけれど。……その、君、大丈夫?」
 クリルは神獣の毛皮で吹雪を受けながらだったので雪だるまの様な状態だったが。
「だだだ大丈夫じゃ!これしきの雪災、へぷし!ああアイドルなら平気で手振りパフォーマンスもしてやろうぞ!」
「わかった」
 内心やや心配になりながらも、轟音と共に雪原が崩れ、斜面を形成して落ちていく雪崩から二人は離脱していく。
 兎に角一撃は叩き込めた。ここからのダメージは他の猟兵に引き受けさせよう。

「……すぅ……すぅ……はっ……なんで、私、起きて……ああ……まだ、起きてる子がいる……眠らせなきゃ……眠らせに行かなくちゃ……!」
 雪崩が収まり1分後、冷気放出の反動で眠っていたアイスラヴァーが目を覚まし、雪の中から再び姿を現した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クオ・メアン
【POW】
アドリブ歓迎

さっきは楽しかった~
思いっっきり『雪遊び』しても叱られないところなんてなかなかないもん(大興奮)
もっといっぱい遊びたいなぁ。眠っちゃうなんてもったいない!

まずは骸魂を倒さないと、雪ん子さん達のお母さんも助けられないよね。
全力で遊ぼうよ!

わぁ、雪だるまさんがいっぱい。どっか~んといっちゃうよ!
【指定UC】の巨大な氷塊が地面にぶつかる衝撃波で、雪だるまさんも毒もガスもぜーんぶ吹き飛ばしちゃうよ。
···ちょっと張り切りすぎて、地面でこぼこにしちゃった···
これは怒られるかな?

「お母さん」って大変なんだね。
ぼくも故郷のお母さんに会いたくなっちゃった。たまにはお手伝い、しなきゃね。


チリー・スティーリア
【POW】アドリブ大歓迎です

「雪の中で眠るのは気持ちいいですが、世界を巻き込むのは度が過ぎます」

速攻、と言いたい所ですが...なんだか凄く眠く...
なんだか雪だるまが襲ってくるのが見えます、これは寝たら死ぬ、と言う奴でしょうか
たとえ氷結耐性があっても、この環境で永遠に目覚めなければ、いずれは...

ここは寒さを以て眠気を吹き飛ばしましょう
【変化・白魔の大妖狐】を使用、凍結耐性を使わずに激痛耐性を使用し、吸収した冷気で強烈な寒さを感じて眠気を吹き飛ばす作戦です

「さあ...凍りなさいっ!」

何度も巨大化を繰り返し、氷の剣と狐で大量の雪だるまを撃破、アイスラヴァーにとどめを刺そうと試みます


御影・雪乃
テフラ(f03212)さんと合流
加えて、宿敵主さんの援護
●合流前
ごはんできましたし、子どもたち呼んできますね
お茶して待っててください
と、【罠使い】としていい感じに遅効性の麻痺薬を仕込んだ冷茶とクッキーを用意して外へ

●合流
子どもたちを遠くへ引き離し…と思ってたら、見知った顔が凍ってたので魔法の火で解凍
こういう時、魔法は便利

●戦闘
UCで杖とか回避しつつ氷華円の【投擲】と冷気で攻撃
…あ、テフラさんまた凍ってる
ならこの隙を活かしてよく狙ってみましょう
可能なら【盗み攻撃】で杖を奪い相手の手段を減らしたいところ
もうじき麻痺毒が効くはず…
状況によって火や氷の【属性攻撃】も適度に


アドリブアレンジokです


テフラ・カルデラ
・雪乃(f06012)と合流
・アドリブ可

雪乃さんと合流するまではしばらく凍ったまま…
気付けば解凍されて雪ん子達はどうなったかと聞くと雪乃さんが説明してくれました!
ならば後は骸魂に憑りつかれている母雪女さんを助けるだけです!

凍ったばかりですが…わたしは囮として雪乃さんの攻撃できる隙を作れるよう目立つような行動をします!
時々【サイキックブラスト】で攻撃を妨害しつつ逃げ回っていきます
次第に杖の能力によって足が凍ってしまい動けなくなったところにアイスラヴァーに近づかれてゆっくりじっくり身体の芯まで凍らされて氷柱まみれの青白い氷像に変えられてしまいます…なんだかんだでそれを受けれいてしまうわたしがいる…



●戦闘開始前
「ごはんできましたし、子どもたち呼んできますね。お茶して待っててください」
 丁度雪ん子達が遊びを終えて、雪乃とアイスラヴァーの下へ帰ってくる頃合いまで時は遡る。
 雪うさぎを呼び戻し、雪ん子達を迎えに離れる前、上手い具合にアイスラヴァーのお茶に、ちょっとした即溶性の粉末薬を仕込んだ。
 ……事前に食べるよう言っていたクッキーの袋は、小さく小分けにして雪ん子と猟兵分用意した。
 アクシデントが無い限り、アイスラヴァーは狙った袋のクッキーを食べるだろう。

 最初に雪うさぎが雪乃の懐に飛び込み、ぴょんぴょんと頭の上に乗った。
 次に氷で出来た狐が現れた。
 狐は体に氷の鎖を巻き付け、鎖の先には氷塊を引きずっている。
 テフラ・カルデラの凍った姿である。
 凍ったテフラの氷塊が、ざくざくと音を立てて雪の上で引きずられ、運ばれてきていた。
「あ、見知った顔が。」
 上にはもこもこうさ耳の雪ん子達が何人か勝ち誇ったように乗っていたり、引きずり役である氷狐のこゆきちゃんと一緒に氷を押し滑らせている雪ん子もいる。
 そんな、氷漬けにして狩られた兎獣人のお持ち帰り光景の中で飛び出してきた人影が一人。
「こんにちはー!たくさんあそんできたよ。ごはんはどこ?」
 クオだ。
 彼は体に積もった雪を落としながら雪乃にハイタッチして、アイスラヴァーに招かれるままに食卓の方へと駆けて行った。
 続いて雪ん子達と共に、せっせと雪を歩き寄るチリーの姿が。
「ああ、とっても寒いです……これなら皆、眠りそう。このテフラさんは、もう気持ちよさそうに凍っていますので、そのままにしておいて良いでしょうか。」
「だめです」
 ぴしゃりと雪乃は断った。
「そうですか……。」
「折角ですからご飯は皆でいただきたいです。テフラさんを解凍してからでもいいですね?」
「あっ、その兎の人テフラっていうんだ。よろしくね」
 皆集まってからと聞いてせわしなく戻ってきたクオは氷にタッチして挨拶する。
 テフラの表情は、相変わらず凍った時と同じまま。

「さてと」
 雪庭にて、他に何も燃え移るものが無い事を確認した雪乃は、魔法で大きなたき火を作り出し、テフラを囲むようにする。
 じわじわと溶けるテフラを尻目に、雪ん子達が整列してそれを見ている。そんなに解凍が珍しいのだろうか。
「(こういう時、魔法は便利)」
 テフラの体を覆う、大きな厚い氷が、徐々に溶けていく。

「あ……ひ……さぶっさぶぶぶ……火があったかいです……」
「お疲れ様です、テフラさん。」
「あっ、雪乃さん……来てたのですか……?」
 震える声でテフラが応答する。
 溶けて尚まだ冷たい身を、たき火な魔法の炎に恋しく寄せるテフラ。
 そこに雪乃が近づき、耳にささやきかける。
「ふぇ、ゆ、雪乃さん?」

「テフラさん、この後の戦いなのですが、囮役を頼まれて頂けませんか。」

●戦闘開始
「あなたは……『冷凍睡眠・アイスラヴァー』」
 チリーはその骸魂と対面し、気づく。彼女の宿敵である事に。 
 アイスラヴァー、それは寒さと眠りを司る骸魂。
 極寒地帯に存在し、憑りつかれた者は、冷気を伴う饐えた(※酸っぱい)臭いの睡眠毒を口や身体中から分泌し、
睡眠毒に晒されて眠った者は極寒地帯の寒さでそのまま凍り付き、永遠の凍眠(ねむ)りについたような氷となってしまうのだという。
 そして本人も若干耐性が完璧でないらしく、睡眠毒の影響で呪いのような睡魔に襲われ続けてしまう。恐ろしい骸魂である。

「ああ……どこか、魂が記憶に刻んでいる、私と同じ、凍え続ける者……。」
 アイスラヴァーは愛しき母君が見せるような表情で両手を広げ、チリーを迎え入れる。
「寒いでしょう?眠たくなってきたでしょう?……どうぞ、来て……永遠に凍えながら眠り続ける、私の愛しき氷結地獄に……。」
「ぁ……」
 チリーはその美しき極寒吹雪の地獄の中へ、誘われる様に近づいていく。
 己もまた絶対零度の化身ながら、宿敵(ライバル)として、同じ様な力を持つ彼女の地獄に。

「来ていいなら、遠慮なくいくね。」
 そんな二人だけの猛吹雪の中へ、ミサイルの様に飛び込んできた者がいた。
「ど~んっ♪」
「がふ!っ」
 鳩尾に頭突きがクリーンヒットした。雪と、氷と、同じ色をしたクリオネの深海少年、クオだ。

「さっきは楽しかった~!思いっっきり『雪遊び』しても叱られないところなんてなかなかないもん」
 そのまま抱きしめ、すっごい輝く笑顔でアイスラヴァーを見上げるクオ。
「お母さんもあそぼ?あそぼ!ぼくもっともっといっぱい遊びたいな。」
「っ……だめ……!」
 アイスラヴァーの吹雪の勢いが強くなる。
「今は……お昼寝の時間……こんな子が……私と一緒でいいから……良いから、眠って……」
「やだやだっ。お母さんはお母さんでとってもすごい雪だるま合戦のチャンピオンだってみんな言ってたよ。折角遊び場に来たもん、あそぼ!」
 話を聞いてくれないクオの勢いに負けそうになったアイスラヴァー。

「そんなに遊びたいなら……分かりました。」
 彼女は氷杖を振ってクオを引き離すと、更に氷杖を一振り。
 雪の中から沢山の雪だるまがひとりでに作り出された。
「遊びの最中に突然眠ってしまうような力で眠らせてあげましょう。夢の中で、存分にはしゃぐといいわ……!」
 横一列に並んだ雪だるまの大群から、一斉に、真っ白な睡眠冷凍ガスが放射された。

「わぁ雪だるまさんがいっぱい!おっきな煙の雪球を作ってきた!よ~しぼくもどっか~んといっちゃうよ!
 元気一番、クオが氷の杖をかざすと、背後の空間が凍てついて巨大な氷山が出来上がり、浮く。
 これなるはクオのユーベルコード、『氷の鉄槌(コオリノテッツイ)』。
 純粋な、巨大氷山の如き氷塊を叩きつける、本気の一撃である。
「いっけ~!」
 目前に迫る冷凍睡眠ガスの巨大弾に、魔法の力で純粋な巨大氷塊が放たれる。
 氷塊はアイスラヴァーに向けて飛ばされた勢いで、冷凍睡眠ガスに直撃しては霧散させる。

 氷塊は凄まじい轟音と共に雪だるまの大群にぶち込まれ、一気に雪だるまを、地形ごと破壊した。
「きゃっほ~♪まだまだいくよ~!」
 クオは衝撃で飛んでくる雪を満面の笑顔で受けながら、2弾、3弾目の氷山を次々と作り、浮かせていく。

「はっ、私も応戦しなければ……」
 我に返ったチリーはその手に冷気を集めて氷の剣を作り、足元の雪から氷の狐「こゆきちゃん」を沢山生み出していく。
「上から放っているなら、下から行きましょう。なんだか凄い眠いですし……速攻で。」
 チリーは氷剣を指揮棒の様に振るい、氷の狐の群れを放つ。
 氷の狐は更にアイスラヴァーが作り出していく雪だるまの群れに、吹雪を吐いて応戦。
 冷凍睡眠ガスが飛ばされる前に雪だるまを雪で覆い、カチコチに凍らせていき。
「どっか~ん!」
 そこにクオの氷山が命中して粉々に破壊していく。

●兎の介入
「恐ろしい方々……」
 アイスラヴァーは涼しやかな眠気顔で。
「でも、雪は全てを受け入れるの。最後にはみんな、みんな眠ってしまう……」
 まずクオの放った幾度目かの氷塊が、突如目前に吹き上がった雪の津波に飲み込まれる。
 次にチリーの放った氷狐が、雪に沈んでいき、津波の方へと取り込まれていく。
 そうしてアイスラヴァーを守る様に出来上がる、もこもこの狐耳狐尻尾を象った、2段の狐雪だるま、3段の狐雪だるま。
 氷狐と氷山の氷塊は積み上がり、雪で覆われ、巨大な雪だるまの部隊に作り替えられていった。
「えっ……」
「わぁ、すっごい」
 驚き見上げる二人に向かって。
「凍眠に、誘(いざな)いましょう。」
 巨大雪だるまから、地獄のような白いガスの吹雪が降りる様に吐き出され――。

「や、やらせませんーっ!」
 アイスラヴァーの強力な攻撃が放たれようとした瞬間、テフラが雪を縫って飛び込んできた。
 兎の魔法杖を振るって指示をするアイスラヴァーに叩きかかる。
 アイスラヴァーは気が散って氷杖でテフラの攻撃を迎え入れた。
「ここにもやんちゃな子供が一人……」
「もこもこ雪うさ女さんの母雪女さん、今助けにきました!目を覚ましてくださいーっ!」
「嫌……!私は、私は、皆と一緒に、眠るの……!」
 そこにチリーも飛び込んで来る。氷狐が取り込まれた故に、氷の剣で自ら。
「雪だるまは……」
「もっともっとつんじゃおう。どっか~ん!」
 巨大雪だるま達は攻撃の体勢を崩れた隙に、クオが更に巨大氷塊を打ち込んでいる。
 どかん、どかん。
 鈍い音を立てて達磨落としの様に大きな氷をぶつけられて倒れたり、食い止めたりしている雪だるま。
 雪だるまの戦力には期待できない。アイスラヴァーは氷杖を二人に振るい続ける。

「気づいていますか。私の氷剣はあなたの凍結耐性を削ぐ力があります。」
 剣を杖でいなし続けるアイスラヴァーは、徐々に徐々にそのもこもこが凍っている。
「寒い世界に耐える力は要りません。実際私も今耐えようとせず、寒いまま…戦ってます……」
 虚ろな目で何とか振るい続けているチリーは、そろそろ雪山で眠ってしまいそうな女性の状態に近くなっていた。
「……それなら、眠ってしまえばいいのです。私の氷杖も、凍結耐性を削ぐ力があるのを、何となく、知っているのでは……?」
 アイスラヴァーもまた眠そうにしているが、振るう氷杖の勢いは変わらない。
「え?そ、そういえばだんだんと体が何も感じなくなってきてるような……」
 テフラは今にも凍りそうだった。

「ですが……ここまでです!」
 チリーと力を合わせて氷杖を、弾く。
 そこであえて杖を捨て、両手を突き出してアイスラヴァーにしがみつくテフラ。
「びりびり、いきますよ!」
 テフラのユーベルコード、サイキックブラストが放たれた!
「……っ!!」
「もこもこの冬服って、静電気で至る所がパチパチして大変そうですよね。沢山痺れさせてあげます!」
 ビリビリと感電して動きが止まるアイスラヴァー。
「今です!チリーさん!」
「―さあ、覚悟はいいですね……!」
 斬らば凍てつく力を持つチリーの氷の刃が、アイスラヴァーの胸の内を裂きにかかる。

「ああ、眠い…」
 突如。
 アイスラヴァーの身体が白く光った。
「眠い、眠い、眠い……みんなも、皆も眠いはず……」
 その光は一瞬にして戦場を、世界を覆い、白い霜を降りかからせる。
 中心に居た二人はその光の衝撃でとどめを刺し損ね、雪の上に吹き飛んでしまう。
「寒くて、眠い……みんな、みんな、眠ってしまいましょう……?」
 アイスラヴァーは力を解放し、世界を自らも朦朧とする程の冷凍睡眠の毒が蔓延する世界に変えてしまったのだ。

●凍って 眠る
「う、うう……さ、さむ……ねむ……でもここで負けるわけには……!」
 白い吹雪の中、テフラが何とか起き上がろうとする。
「ぁ……」
 しかし目前にゆっくりと歩いてくるアイスラヴァーに、顔を向けるのが精一杯で。
「……ぁ……ぁ……か……!」
 ぎゅっと、抱き寄せられた。
 大いなる母の様な安心し、ふかふかの夢を見る様な心地よさ。
 それがアイスラヴァーの身体から発せられる、絶対零度の冷気によって感覚を失った身体に起こった事だとは微塵にも思わない。
「……眠れ……眠れ……」
 アイスラヴァーはテフラを愛でる。
 口から洩れる白い息もまた冷凍睡眠ガスとなって、至近距離で見つめるテフラの瞼を重くしていき。
「(い……いゃ……だめ……でも……ねむ……ぃ……)」
 テフラは、凍り付いた。
 膝は地に着き、腕はだらんと垂れ、キスを待つかの様なすぼんだ口はきょとんと雪の母の顔を見続けた時のまま。
 芯の芯まで伝わった冷気と凍結する気体の力によって、眠く瞼を閉じたまま、青白き氷に身体が塗り替えられていく。
 足の先から指の先、頭も兎の耳も、全てが凍り付き、この世界の冷気によってその身体は全身に氷柱を垂れ下げさせる事を許した。
「…………」
「おやすみ……私も、眠い……でも、まだあと、二人……」
 ゆっくりと、チリーの方へと向かうアイスラヴァー。

「ぅ……」
 チリーは近くにいた。
 吹き飛んだ後、遂に眠気がピークに達したのだ。
 アイスラヴァーがやってくる。
「……でも、凄く、眠い……」
 アイスラヴァーが、狐耳の雪だるまを連れてやってくる。
「……これは……寝たら、死にそう……」
 チリーは氷に慣れている。彼女自身も氷を司る狐の女性。
 氷結耐性は考えずに凍え続けていた。それでも彼女は平気でもっていた。
 ……それも、続かなくなる時が来た。
「あなたの絶対零度の力は、私が引き継ぎます。」
 ごう、と、一斉に雪だるまから真っ白な冷凍睡眠ガスが噴射された。
 扇状に放射されたそれはあっという間に、寒波の如くチリーを巻き込んで。
「永遠に、おやすみなさい……」
「……………………」
 チリーは、凍り付いた。
 雪に埋もれた脚は膝をつき、それでもと彷徨う迷い子の如く手を伸ばしながらも、
 その顔は静かに、安らかに目を閉じて。眠り子が寝ぼけ眼(まなこ)でお母さんに寄り添いに近づこうとする姿に似ていた。
 全身は骸魂の放つ絶対零度に晒され、青白き氷に全身が塗り尽くされ。
 戦場に吹き突ける凍てつく吹雪は、あっという間にチリーの体に無数の氷柱を氷瀑の如く作り上げ、その上から霜が降りていった。
 彼女を知る人がいなければ、そこにあるのは大自然が生み出した雄々しき氷のオブジェであると錯覚するかの様な、姿に。
 チリーは、永遠の凍りの眠りに……。

「あと、一人……」

「っぷぁふ。え~い!ざくざく~」
 巨大雪だるまを潰し終えた、クオは雪かきをするかのように消えた猟兵達を探していた。
 手で雪をかき分け、雪の中を素潜りし、もしかしたら雪の上かな?と顔を出したりしながら。
「お~い。みんなどこ~?」
 この極寒の世界の中でも変わらぬ顔をしていたが。
「……う、ううん、ちょっと眠くなって、きた、かも。」
 眠気を、感じ始めた。なんだか体も、いつもは冷たいのに今はちょっとポカポカしているきがする。
 頭が謎の心地よさに見舞われ、足もちょっとふらっとする。
 そんな状況に困り顔をしながら、遂に二人を見つけた。

「あっ、すごい。カチンコチンになってる。」
 白い靄と、吹雪の中、遂にクオは見つけた。
 テフラとチリーの二人が二人が凍えついて見事な氷のオブジェと化している所を。
「……遊び、疲れてきました、みたいですね……」
 そこにアイスラヴァーが、ゆっくりとクオに歩み寄る。
「?まだまだぼく、げんきだよ。お母さん今にも眠っちゃいそうだけどだいじょ……あら」
 ざふり。膝が雪の地面についた。
 なぜだか、これ以上、前に、進まない。

 アイスラヴァーはゆっくりと微笑み、もうじきやって来そうな眠りの前にと、雪や氷の精霊でさえ、氷の中で眠りに着く程の冷気の抱擁を、クオに――。

「そこまでです」
 迸る氷の円刃がアイスラヴァーの顔をかすめた。
 吹雪の中現れた、西洋の雪女の如き少女の人影。
 雪乃であった。

●仕切り直し
「チリーさんも凍ってしまわれたのですね。残念、いえ、まだ機会はある筈。」
「何を言ってるのですか……?今までどこに……?」
「機を見計らってたといいますか。……チリーさんが凍ってしまった今、保険の様な役割になってしまいましたが。」
「あなたも、あなたも、眠って……!」
 アイスラヴァーが眠気を振り絞って、雪乃に襲い掛かる。
『目を凝らして、しっかりと行動を分析すれば…』
 アイスラヴァーは凍てつく冷気を込めた氷杖を振りかざし続ける。
 氷杖には凍結耐性を低下させる、厄介な力がついていた。
「ふっ……」
 だが、雪乃の凍結耐性は並大抵のものでない。たとえ直撃しても物理的に痛いだけで済んだだろう。
 雪乃は手に持ったバレーボール大の直径をした雪結晶の華型の刃を手に持ち、
まるで寒さを感じない、動く氷の人形の様に、雪乃は冷徹にアイスラヴァーの攻撃をいなす。そして。
「っ」
 弾いた氷の杖にさっと手を伸ばし、雪乃が掴んだ。
「形成は私の方に。」
「ああ……眠い……」
 ぐっと力を込めたアイスラヴァー、その地面が突如崩れる。
「これは」
 突如雪崩が起き、アイスラヴァーを飲み込んで、斜面と化した雪原を下り、雪乃から遠ざかっていく。
 眠気がピークに達したアイスラヴァーはこれで先程も難を逃れ、昏睡に陥っていた。
「厄介ですが、先に出来る限りのことをしましょう。」
 雪乃はアイスラヴァーの氷の杖を持ち、チリーに駆け寄る。
「凍らせる杖なら、解氷の魔力もある筈……」
 チリーらしきごつごつした氷の像に杖をかざし、魔力を解析し、氷をはがすように魔力を放つ。
「……ここで凍ったまま誰かに倒されたら、締まりがないです。起きて」
 がたり、ごとり。
 氷が少し揺れた気がして。
 どさり、どさり。
 氷が剥がれ落ちていく。

「……すみません、少し気持ちよく眠っていました。」
 氷の中から、まだ眠そうなチリーが、起きた。
「大丈夫ですか。」
「……私は絶対零度の化身……たまった冷気は、全てお返ししに行ってきます。」
「その意気です。」
 ふと、雪乃が他の氷像を見やる。
「…あ、テフラさんまた凍って」
 凍って眠りについたテフラにそっと触れ、氷杖をかざす。
 ……が、氷が剥がれる事はなかった。
 たぶんテフラの事だろう、芯の芯まで凍らされてしまったと見ていいか。もう相手を倒さなければ氷から戻れそうにない。
「……まあ、どこかで役に立ってくれたなら……」
 恐らくは後1体氷像がある筈と、雪乃はもう少し辺りを見回したが。
 存在した人影は、これで全部。
 あとは、少年の足跡らしきものが雪の上に、ちらり。

●そして策は浮上する
「……すぅ……すぅ……はっ……なんで、私、起きて……」
 雪崩が収まり1分後、冷気放出の反動で眠っていたアイスラヴァーが目を覚まし、雪の中から再び姿を現した。
 世界全てを凍てつく眠りに落とさぬまで、今のアイスラヴァーが眠り続ける事はない。
 そしてアイスラヴァーの目の前に、あの男の子が、またしても飛び掛かってくる。
「ああ……まだ、起きてる子がいる……眠らせなきゃ……眠らせに行かなくちゃ……!」
 アイスラヴァーは雪から雪だるまの部隊を作ろうと。
「させないよ!次は、こうだっ」
 目の前で氷雪の少年、クオが雪の地面に手を付けると、雪が盛り上がり、二人の足場が氷山のそれとなり、何と宙に浮き始めたではないか。
 ユーベルコードの応用。これから放つ氷山を地面のものとする事で、空に浮かぶ荒業だ。
「ここなら雪だるまもそんなに作れない筈だよね!」
「なんで、起きて……」
「もっといっぱい遊びたいから!眠っちゃうなんてもったいない!」
 ただの空元気で、クオは再び立ち上がったのだ。
「あははは!このまま」
 その次の行動にアイスラヴァーは驚いた。
 クオの事だから何か飛び掛かってくるだろうと身構えていたら、浮いた氷山から飛び退いて離脱したのだ。
「どっか~ん!」
 上だ!
「ぁ……!」
 巨大な氷山の2つ目が、丁度重なって巨大な氷の雪だるまにならんと落ちてきて。
 アイスラヴァーを押しつぶそうとしていた。
「ぁぁ……空の風が、私を眠らせてくれない……!」
 そしてアイスラヴァーも同じように飛び退いた。
 また更に骸魂の力を解放し、冷気を大きく放出させて即座に飛び退いたのだ。
 ごしゃりと重なる氷山、冷凍ガスで即座に接合され、氷の雪だるまとなって雪に落下する。
 ぼふりと落ちた二人は、更なる攻撃を仕掛けようと、氷の雪だるまが落ちる前に仕掛けようとする。
「…ぇ……?」
 がくりと、膝が地に落ちた。
 今度はアイスラヴァーの方だった。
「なに……なんで……」
 巨大氷雪だるまが落ちる。
 凄い音を立てて雪原に衝撃波を起こし、クオとアイスラヴァーを吹き飛ばした。
 そのまま起きるクオだが、アイスラヴァーは、何故か、立てない。
「……こ、これ、は……」

「ようやく効いてきましたか」
 アイスラヴァーに雪乃がにじり寄った。
「……雪乃、さん……?」
「確実に骸魂払いたくてですね、……ちょっと、痺れ薬を盛らせて頂きました。」
「は……!?」
 愕然とするアイスラヴァー。
「先に料理を手伝いしたのは、このためです。ちょっと薬に詳しいエルフの錬金術師がいまして。その方から拝借したそれを、お茶やクッキーに、こっそりと。」
「そ、そん、な……ギブアンドテイク、って……。」
「はい。信じて頂けたおかげで」
 雪乃はサドい笑みをした。
「こうして見事に引っかかって頂けました。」
 とても冷たい、サドな笑みをした。
「これも全ては骸魂を払う為。恨まないでくださいね。……そして、私の出番はここまでです。」
 雪乃は踵を返す。
 そして入替わる様に、ゆっくりと、チリー・スティーリアがやってきた。

「……雪の中で眠るのは確かに気持ちいいです。何度世界を巻き込んでしまえばいいかとも……」
 その身はこれまで自身が受けた冷気を吸収し。
「大変素敵な極寒地獄をありがとうございます。でも、世界はそれを許してくれないのです。」
 この一帯全ての寒さを凝縮したような白く巨大な獣へと変貌していき。
「あなたは私の絶対零度の中で、永遠の虜になって頂きます。いつか……関係ない方を巻き込まない所で、私だけの絶対零度地獄を作りますから、どうか、そこで。」
 巨大な大妖狐が、アイスラヴァーの目の前に君臨した。

『寒さをもって睡魔を封ず。これが白魔の大妖狐の姿…あなたの全てを包み、凍らせてあげる!さあ…!』
 巨大な白魔の妖狐が、咆哮をあげた。
「う、ぐ……っ!」
 その方向は凍てつく吹雪の塊となって、アイスラヴァーを飲み込んでいく。
「眠って……しまう……私が……私が…… …………これで…………」

「…………」

 そこには、眠る様に目を閉じ、うずくまった様な姿で、樹氷の様な白い氷の像となった、アイスラヴァーのオブジェが。
 辛うじて突き出た木々や岩さえも全てが白に染まった、絶対零度の寒気の世界で、晴れた空の下、佇んでいた。

●眠り続けて
 それから数日後、カクリヨファンタズムを襲った吹雪はなりを潜め、もう睡魔に襲われる事もなくなった。
 アイスラヴァーは全てを眠らせる為に、全てを眠らせるまでは深く眠る事が出来なかった。
 だがチリーが凍眠(ねむ)らせ、深い眠りに着かせた事で、彼女の骸魂は成仏するように浄化された。

 氷が解けるまでは結構大変だったという。
 雪乃がアイスラヴァーから拝借した氷の杖でもアイスラヴァーの氷は落ちる事が無く、それでも全力で魔を要してほんの少しずつ剥がれ落ちていく。
 さぞかしゆっくり眠りをとっていたのだろう。氷の中からかろうじて見える安らかな寝顔を毎日チリーと雪乃は覗き見ていた。
 そんな氷を魔力的なので落としていく傍ら、残っていた雪ん子の相手を猟兵達はしていた。

「は、はひ……ゆ、雪乃さ、たす、け……」
「ふふ~ん。今日もぼくのチームが勝ったんだよ。」
 骸魂が浄化された事であっという間に解凍されたテフラは、毎日の様に雪ん子とクオとの雪遊びの相手をしていた。
「あ、また凍って帰って……ここに戻るまでは持った辺り、耐性ついてきました?」
「…………」
 雪ん子達に抱き着かれたままのテフラは全身凍って動けなくなり、喋れない。

「洗濯、終わりましたが、凍ったまま干してよかった?」
「良いです。北国のは氷が水分を取りますから、それでよく乾きます。」
 家事の半分はチリーが、残り半分(料理とか)は雪乃が担当し。
「…………貴方達が、今まで、子供達の面倒を?」
 そして、たった今氷が解けた母雪女が、雪乃達の後ろから顔を出したのだった。

 全てが一段落して、猟兵達は名残惜しくも雪ん子達から離れ、帰還の準備をしていた。
「何から何まで、本当にありがとうございます。」
「いいんです。私けじめの一つ、これで着きましたから。……ここは寒いですね。また来ても良いですか?」
 チリーが言う。
「はい。貴女なら喜んで」

「へくちっ!つ、次からはもっとチリーさんみたいにもこもこした奴を着こんでいきまひゃあぁぁ!?」
「兎さん、行かないで!」
「暖かくてかわいいから、この子だけでもお家にもって帰れない?」
 雪ん子達がテフラをハグして凍らせていく。弄りやすいのか、すっかり大人気であった。
「歓迎したい所ですが動けないのはちょっとちょっ離し離つつつつめた!あっ!ひゃあ!凍って!まっ待って下さ最後までそんないにゃあぁぁぁ……」
 雪ん子達の発する冷気が、触れられて直に伝わったテフラはあっという間に凍って氷像になってしまった。
「だめです。一応、この人にも帰る場所はありますので」
 それを雪乃がぐいと奪って、グリモアの転送へと滑り入れていった。
「私からは、餞別にこれを。……今度はちゃんと薬の入ってないものです。」
 雪乃はクッキーを雪女母に渡す。
「あ、えっと、その……それはいつかの機会に」
「(警戒している……)」
 渋々受け取った雪女母に、最期はクオが顔を出した。
「いっぱい、いっぱい、楽しかったよ!ありがとう!お母さん、これからは大丈夫?」
「……ええ!大丈夫。これまでよりは無理しない様にするわ。やっぱりいつもの忙しさは戻ってくると思うけど。」
「そっか~。『お母さん』って大変なんだね。」
 雪女母は、優しくクオの頭をなでる。
「あなたも大きくなったら、あそぶだけじゃなくて、色んな事に向き合うと思うわ。それでも元気でいられるのが大人よ。」
「ぼくもこれからおっきくなって、もっともっといろんな事を知るんだ!」
「応援してるわ。」

 にこりと笑顔を向ける雪妖怪達を見続けながら、猟兵達は帰路についた。
「ぼくも故郷のお母さんに会いたくなっちゃった。たまにはお手伝い、しなきゃね。」
 少年がぽつりと、そんな事を呟きながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年11月21日
宿敵 『冷凍睡眠・アイスラヴァー』 を撃破!


挿絵イラスト