#シルバーレイン
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●山奥
「この山にやべえ奴がいるらしいぜ」
「なんでも入ったら誰も帰って来れないそうだぜ」
「入ってみようぜぇ……」
暗がりの木々が立ちのぼる山道で、高校生達が賑わいながら歩く。
心霊スポット、いわくつきの場所。
連日行方不明者が出るという危険地帯は、好奇心と行動力を持て余す者達にとっては今でも格好の冒険場であった。
歩く途中、奇妙な銀の通り雨に降られたりしながら。
「ん、何だ?」
「音……?」
すると山のどこかから音が聞こえた。
騒がしい風や獣の声というには、近代的な。
彼らは音のする方へと、火に誘われる蛾の様に近づいていった。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
そこは異様な光景だった。
月明かりに照らされて、1頭の虎がいた。
虎は何かをおさえつけながら、人の言葉を話しているではないか。
「何だ……?」
高校生達は物陰から様子を見る。
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
ラップだ。
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
虎がラップをしている。
よく見ると虎は巨大なスマホをおさえつけていた。
そのスマホにインストールされているDJアプリを使って、画面に映るディスクをスクラッチし、ノリノリの音楽を大音量で鳴らしていた。
『わが友 わが友 わが友李徴子 その声李徴子ではないか?』
「なんだっこれ」
『わが友 わが友 わが友李徴子 その声李徴子ではないか?』
「撮って!撮ってSNSに」
この異常に、目の前に虎がいるというのに、高校生達はいそいそとスマホで映そうとする。
その時僅かな電流が彼らに走った。
『虎 @Danshi_mobA・〇月△△日』
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
『虎 @Danshi_mobB・〇月△△日』
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
「う、うわああああ!?」
画面にはSNSの表示。
カメラに切り替える事は出来ない。戻せない。
虎のラップの書き込みだけが延々と自動投稿されていた。自分のアカウントで。
『李徴子 李徴子 わが友李徴子 その声李徴子ではないか?』
虎が、ノリノリで。
『その声李徴子 その声李徴子 その声李徴子ではないか?』
高校生達に頭を。
『その声李徴子ではないか? その声李徴子ではないか?』
膨れ上がり牙を見せる巨大な頭を。
『李徴子 李徴子 李徴子 李徴子』
高校生達を喰らう様にして、飛ばし。
『(銅鑼の音)あぶないところだった……』
死体も残る事は無かったという。
●グリモアベース
「うむ」
グリモアベースに呼び寄せた猟兵達の前で、十八夜・露丁(人間の文豪・f30515)は目頭を押さえて唸る。
「……ラップ、をする、虎が見えた。」
かろうじてひねり出した言葉がそれである。
「待て。キマイラフューチャーとやらの話ではない。最近現れたという銀の雨の世界だ。」
露丁は原稿用紙の形をしたグリモアを広げつつ話を進める。
「山奥に愉快にも心霊スポットを巡る者達がいてな。彼らが獣型のオブリビオンに襲われる。つまり……虎だ。」
ラップをする虎である。
「このままでは襲われる。予知ではその他にも妖獣なるものが山地に潜んでいるというので、護りながらの戦いは難しい。……転送で着いた辺りの地点では、まだ追い返せば襲われないだろう。」
露丁は猟兵達に依頼をする。
まずは被害に遇う高校生達を追い返し、その後本命の妖獣……ラップをする虎と激突、対峙して欲しいと。
「追い返す手段は……最近南瓜祭があったそうだな。それに準じてお化けのフリをして驚かせるというのはどうだ。彼らは心霊スポットの正体を確かめに来ている。それが猟兵殿の架空物でも納得して帰る事だろう。」
そう言うと露丁は猟兵達を転送していく。
「頼んだぞ」
行先、日本の山奥、転送地は高校生達の近くに。
古塔
ラップの事は良く分かりません。古塔と申します。
戦いは李徴子の、否、猟兵殿の好きになさると良いかと。
●1章
高校生達を驚かせましょう。
●2章
騒ぎに乗じて妖獣の群れが襲い掛かってきます。
●3章
虎と戦います。
李徴子ではありません。
第1章 日常
『肝試しをしよう』
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POW : 度胸で恐怖を跳ね除ける、大声や迫力で驚かす
SPD : 脅かされそうなポイントを予測する、小道具を使って驚かす
WIZ : オカルト知識で恐怖に勝つ、凝った演技で驚かす
イラスト:十姉妹
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
泰山・敏郎
バトルMCとか9年ぶりだが、この事態は見過ごせねえ。
ぶちかます。
まずはガキ共追い払えばいいんだな?
とりあえず脱ぐわ。脱いでから全身迷彩ペイントにする。
【半裸で全身迷彩ペイントの大男がゴリゴリに韻踏みながらにじり寄ってきたら一般的な高校生ならまず逃げるだろ流石に?】
「お前らみたいなガキは嫌いじゃない|だが悪いな付き合ってられない|ハロウィンはもう終わり|ここからは大人の火遊び|これ以上ゴチャつくってんなら|俺が先にお前らを佃煮にしてEat」
●Entry number 1
「バトルMCとか9年ぶりだな」
恐らくは偉丈夫なこの男、泰山・敏郎(錆びた冠・f35267)。MCネームは<TIE-Z>
ワイルドな顔立ち スキンヘッドでお馴染みの炎の力を宿すラッパー。
「まずはガキ共だな?とりあえず脱ぐか。」
彼はもうすぐ来るであろう高校生に出る前、茂みの中に隠れて上半身の服を脱ぐと、そこに取り出した筆で迷彩ペイントを施す。
「【半裸で 迷彩の 大男】|そいつが ゴリゴリに 韻踏んで 義憤|半端な興味 に 軟派な本人|高校生は ここ背に Run away mount」
呟きながら体を緑に染める。
ミリタリーに趣のある彼にとってはこの暗い山奥の森の中で、己の肌を適した色に染めるなど造作もない事だった。
「この山にやべえ奴が……おい、なんだっあれ」
「あ?」
「ちょ、ぉい、何?原住民?変態?カメラ撮ってカメラ!」
少々予定外の事が起きた。ペイントの最中を高校生達に見られたのだ。
「ちっ」
素早くペイントを済ませ、ぎろりとガンを付けて睨む泰山。
「っ」
高校生達はビビる。半ば目論見通りだ。やや雑に仕上がったとはいえ暗がりの山林に迷彩は背景と見分けがつきにくい。
闇の中で立ち上がる姿に赤茶色のファイアフォックスの瞳が燃え上がり、ただの変質者でない事を悟った高校生達は、スマホを操作する指さえも止まる。
「…………」
「…………」
沈黙が数秒間。
「…………」
ドゥ チ ドドゥ ドゥ チ
「!?」
ドゥ チ ドドゥ ドゥ チ
泰山はステップを踏み始める。
まだ虎のBGMは鳴り響かない。
口ずさみ、自身の指で火花の散るスナップを利かせ。
重くも軽やかなステップを踏み始める。
「な……んっ」
高校生達はビビる。
迷彩半裸の大男が、突如バースを刻み始め、ラップを開始したのだ。
「YO!そこの男子高校生」
「ひっ!?」
「YO!そこの男子高校生」
迫る泰山。
「 こんな 時間に 何か用? 山御用?」
「 こんな 時間に 夜遊び? 火遊び?」
「お、お、俺ら、心霊スポット巡りで……」
「YO!」
「ひっ!」
「お前らみたいなガキは嫌いじゃない|だが悪いな付き合ってられない|ハロウィンはもう終わり|ここからは大人の火遊び」
泰山の目が威圧的に燃えるような輝きを放つ。
「これ以上ゴチャつくってんなら|俺が先にお前らを佃煮にしてEat」
「ウワーーーッ!!」
高校生達は一目散に逃げだした。
目論見通り、山奥から遠ざかる方へ。
「さてと、次だ。」
泰山はそのまま踵を返して山奥へ入る。
予報通りならこの後、銀の雨が降る筈だ。
成功
🔵🔵🔴
戦犯・ぷれみ
自己が肥大 評価は過大 SO 尊大な羞恥心
不治の難病 今夜も仮病 OH 臆病な自尊心
李徴子 調子乗ってんじゃねえぞ 中島敦ぶってんじゃねえぞ
(ネットで拾った銅鑼の音)
そういうわけで本日も始まりました、怪電波チャンネル『ぷれこーらす』
今回は心霊スポット特集!
こういう山って普通に熊とか寄生虫とか危険だったりするわよね
虎は……知らない
日本に居たっけ?
(のんきに実況中継してたら高校生を発見)
あっっバズり狙いの一般人、すなわちぷれみの商売敵
ネットのおもちゃになる覚悟もなく首を突っ込んでんじゃないわよ
ちょっと厳しく言ってやりましょ……って逃げるな!
ぷれみは妖怪じゃないの――!!(山から出るまで追いかける)
花陽浴・來流
(ラップ)
Yeah こんな秋口に肝試し?
もしかすると病みつき? けど家にお帰り
聞こえないかい 響く虎の雄叫び
ヤツは山を徘徊 だからここは背水
オマケに妖獣 セットじゃ挟み撃ち
野垂れ死にイヤなら Shut up おしゃべり and Run away !
(行動)
虎ラップ。つまりトラップっすね!
サウンドソルジャーとしての能力でラップから幻影をつくって、おどかすっす!
幻影の内容は、虎や妖獣
なんせ実在する危険性っすからねー、説得力もあるはず!
●Entry number 2 3
真夜中の山奥、視界おぼつかぬ闇の中。
突如スポットライトが当たる。
赤いエラーのバツ印をした目にブルースクリーンの長髪、戦犯・ぷれみ(バーチャルキャラクターの屑・f18654)。
「ぷれみ知ってる グリモア猟兵だから知ってる。事前情報で何か知ってる。」
闇の中でエラー的なバーチャルキャラクターは一人ごちる。
「あれって『自尊心の虎』だよね?オブリビオン『自尊心の虎』だよね?」
唐突に辺りにエラー音が鳴り響く。
一定のリズムを刻むエラー音がビートとなって、ぷれみのラップを掻き立てる。
OH アイツは 自尊の虎
SO 注目 集める虎
自己が肥大 評価は過大 SO 尊大な羞恥心 year
不治の難病 今夜も仮病 OH 臆病な自尊心 year
李徴子 調子乗ってんじゃねえぞ 中島敦ぶってんじゃねえぞ
(銅鑼の音)
「そういうわけで本日も始まりました、怪電波チャンネル『ぷれこーらす』今回は心霊スポット特集!(早口で)」
ぷれみの周りには01的な二進数を集めて作り上げたようなテレビ番組のスタジオ会場のようなものが出来ていた。
「いまぷれみは中国が舞台の癖してわざわざ日本にやってきたクソ山月記の伝説が残る心霊スポットに来ているの!こういう山って普通に熊とか野犬とか寄生虫とかキノコとか昼と夜の尋常じゃない気温差とか対策してても危険だったりするわよね!」
誰に向けているのかも分からないカメラ目線で陽気に捲し立てるぷれみ。
「虎は……知らない。日本に……居たっけ?」
「いないみたいっすよ」
「誰!?」
少女漫画でショックを受けたメインキャラクターばりのエフェクトで無表情のまま声の方を見ると、そこには岩に座ってスマホを弄る少女の影。
銀髪のダブルシニヨンをはじめ様々な髪形を加えた上でショッキングピンクの三つ編みを蓄えた、奇抜なデザインの衣服を着た少女。
彼女は花陽浴・來流(アンサーヒューマンのサウンドソルジャー・f31871)。
「軽くググったんすけど、中国と交易して虎の皮が輸入されたから存在自体は古代から知られてるけど、日本には生息してなかったみたいっす。実際に狩ったりしたのは朝鮮に行った時とか何とかで、もっと昔にはいた様な化石があったとかなかったとか」
「はぁ~?白虎とか一休さんの屏風絵とかあるのにアレ全部皮から描いたわけ?」
「そうなるんじゃないっすかね。……中国から伝わってきたよくわからないけど強い存在、だから屏風とか、龍とタメ張る様な対称的に描いてたんじゃないすか?」
ただの虎皮ならともかく更に希少な白い虎まで話に伝わったなら、一応実在しているが、伝説上の存在として四神に白虎が祀られたりもするわけで。
「ま、今じゃグローバル化で国境超えも当たり前っす。動物園で飼われてる虎の1頭2頭、脱走して山の中なんて話があってもおかしくねーっすよきっと。」
そんな話をしていると、茂みがざわつき、荒い声が二人の耳に入る。
「あっっ見て!バズり狙いの一般人。バズり狙いの一般人が慌てて山を降りているよ。かわいいね」
「あ、待った方がいいんじゃないっすかね?もうあいつら逃げてるし」
しかしぷれみはバーチャルなスタジオ台を掴んで電子的なへしゃげ音を鳴らしながら続ける。
「バズり狙い、すなわちぷれみの商売敵。あんな奴らがネットのおもちゃになる覚悟もなく雑に首突っ込んでるせいでぷれみの野望は一向に果たせないのゆ゛る゛さ゛ん゛ちょっと厳しく言ってやりましょ」
ぷれみは飛び出した。
「はあ、はあ……何だったんださっきの。」
男子高校生の話し声が聞こえる。
「誰か携帯で撮った?」「やっべ忘れてた。」
「よくよく考えたらアレただのラップしてる変質者だよな……警察に職質でよくね?誰かもう一度行って撮りにいかね?」
「やだよ」「俺もやだよ」
「っつーかあれがやべえ奴?入ったら誰も帰って来れないどころか俺ら帰れそうじゃん?」
「それって……」「あれはたまたまここに来ていたオッサンで」
「やべえ奴はもっと他にいる……とか……」
ぞっとする男子高校生達。
「いやねーし!そんな訳ねーし!」
「やべえのが2つ3つ山ン中に居るとか妖怪の山かっつー」
「 ぷ゛ れ゛ み゛ な゛ の゛ ! 」
「出たあああぁぁぁ!!?」
半濁音に濁った音が入る様な恐ろしい電子音声と共に暗がりの中発光する少女が現れた。
「あちょっと逃げるな!ぷれみは妖しい者じゃないの――!!」
それは高校生達の目の前に丁度飛び出るジャストなタイミングで、バーチャルなテレビスタジオの机を両腕で掲げた姿のぷれみだった。
第一印象は怪物である。
「え、何?今度、何?」
ぷれみは赤い×の目を点滅させ。
「あ~あ。おまえたちが来たせいで眠れる虎が起きてしまいました。皆喰われて死なない為にわざわざ追い払う手間が増えました。山は奇っ怪なラップの波動に包まれて、ぷれみのバズりトレンドも明後日の方に向かってます。」
たじろぐ高校生達の前で机を握り潰す。
「ひっ!」
「おまえたちのせいです おまえたちのせいです お ま え た ち の せ い で す ……ああ……クソああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああアアアア!!!!」
「ぎやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「待てなの ちょっと落ち付くの このキャラデザを前にして一体何をマジになってるのよ」
そのキャラデザをしたバーチャル少女は今ERRORを起こして赤青に点滅しながら両腕を広げた初期アバターのポーズをして不動のまま滑るように高校生達に迫り来る。
その速さは高校生達の全力走行の3倍を記録し、限界を超えて逃げ走る高校生を追い詰めるように近づいてくる。
「逃げるな!逃げるななの――!!」
逃走ルートを変えて入り組んだ道に入っていく高校生達。
「おっと、そっちは麓じゃないっすよ。……んじゃ、軌道修正といきますか!」
それを見ていた來流が行動を開始した。
「も、もう走れねえー!」
「だまっ……死ぬ気で走っ……」
「やべえのがいた……マジでやべえ……えっ待て、ここ、どこだ?」
奇跡的にぷれみを撒いた男子高校生達は、いつの間にか山で遭難していた。
そんな彼らの近くの茂みから、音が鳴る。
ドゥ チ ド ド ゥチ
ドゥ チ ド ド ゥチ
「ま、またラップぅ!?」
「変質……あれ、でもリズム違くね……誰……?」
サウンドウェポンを装備した少女が、自前の電子音楽でバースを刻み、ラップを開始した。
Yeah こんな秋口に肝試し? Yeah もしかするとオカルトにご執心?
だけど家にお帰り
聞こえないか響く虎の雄叫び
(サウンドウェポンから虎の唸り声)
(更に奇怪な獣が騒ぐ声)
「っ!!」
ヤツは山を徘徊 だからここは背水
銀の雨降りゃ セットで挟み撃ち
野垂れ死にイヤなら Shut up and Run away !
「う、うわあああ!!!」
「虎が!虎が見えた!」
「撮ってる場合じゃねえ!虎のラップ妖怪だ!」
「に、逃げっ、逃げろーっ!」
挟み撃ちとは妖獣のつもりだったが、たぶんさっきの少女の事を連想した事だろう。
気力を振り絞って軌道を変更し、男子高校生達は麓へと逃げていく。
「ちょ、妖怪じゃねえっすよ。っつーか今『また』って言った?他にもラッパー来てるって?」
何かの興味を示しながらも、やる事はやった。
あとは……まずは、銀の雨が降ってからの事か。
「はあ、はあ、見失ったの……。あいつらどこへ行ったの?」
合流するぷれみにふっと安堵の息を漏らし、ごちる。
「たぶん、無事に帰ったんじゃないっすかね……。」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャルロッテ・ヴェイロン
いや、虎がラップって…(汗)。
またわけのわからない世界が発見されたようですねぇ…。
――それはさておき。
とりあえず邪魔な一般人にはご退場願いましょう。
てなわけで、ホラーゲームのゾンビを大量召喚して【おどろかして】やりましょう(攻撃されても大したダメージを受けないよう威力は調整する。当然、噛まれてもゾンビになるわけではない)。
――ていうか私、ラップよりボーカルなしのEDMのほうが好みなんですけどねぇ…(ぇ)。
※アドリブ・連携歓迎
●Entry number 4
「いや、虎がラップって…またわけのわからない世界が発見されたようですねぇ…。」
ため息をつきながら現れた、銀髪ツインテールの少女シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)
彼女は逃げていく高校生達を物陰から見て思いを馳せる。
「それはさておき、このままではここがラッパー妖怪の山と勘違いされかねません。もっと純粋に怖い所にしておいた方が、その手の一般人達も寄り付かなくなる事でしょう。」
シャルロッテは手に持つPCを操作してユーベルコードを発動する。
「「バトルキャラクターズ」起動。ホラーゲームのゾンビを大量召喚して『おどろかして』やりましょう。」
『う゛あ゛あ゛あ゛あ゛』
追い打ちといわんやに高校生達の地面からゾンビの群れが這い上がってくる。
「うわあああ!!ラッパーゾンビ集団があああ!!」
「うぁ、勝手にラッパーと勘違いされてる……。しょうがないか。結果が良ければもうこれで」
ゾンビ達は群がり、実際に噛みにも行くが、甘噛み程度、当然ゾンビ化も起きないよう『設定』している。
「うわあああ!!噛まれたあああ!!」
「畜生ー!病院!救急車!」
「もう二度と来ねえよこんな所ー!」
より恐怖を与えて、高校生達は麓まで全力疾走していった。
「ていうか私、ラップよりボーカルなしのEDMのほうが好みなんですけどねぇ…。良く喋るみたいですし、口封じとかできませんかねぇ?」
一息ついたシャルロッテは、踵を返して山奥へ向かった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『ホチキスドッグ』
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POW : ドッグバイト
【噛み付き】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : ホチキスファング
【ホチキスのように開いた大きく肉体】で攻撃する。[ホチキスのように開いた大きく肉体]に施された【開かれる口の大きさ】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ : 下方からの脅威
敵より【体高が低い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
イラスト:はるまき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ほどなくして
山に通り雨が降った。
ゴーストを呼び覚ます、銀の雨が。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
雨が止んだ途端、スマホから鳴り響く様な大音量のサウンドが、月明かりの山林に響き渡る。
「李徴子 李徴子 」
ハイテンポなサウンドに、どこかから例の虎が人の言葉を放つ。
「その声 我が友 我が友 我が友」
……何やら声が小さく遠ざかっていく。
「あぶないところだった……(小さな銅鑼の音)」
一体何があったのか。虎は声を潜め、姿を見せず。
代わりに猟兵達を囲む様にして、野犬の群れが現れる。
ガッ ガガッ ガ ガッガッ ガガッ
ガッ ガガッ ガ ガガガッ ガガッ ガ
裂けた口から噛み鳴らす牙が韻を踏む様なリズムを奏で、ナメた顔つきで猟兵を睨む。
どうやら先にこの犬とバトルをする事になりそうだ。
泰山・敏郎
●行動指針
- 連携・アドリブ歓迎
- 【最優先】徹底的に包囲を避け、各個撃破を行う
- 地形を活かし、なるべく一度に相手取る数を減らすように立ち回る
- 「びったんびったん」を活用し、自分に「ドッグバイト」を仕掛けてきたホチキスドッグを掴んで、ひと塊になるようにぶん投げる
●心境
さて。次は温まってるヘッズ共か。
ラッパーにとって喧嘩は基礎教養だ、多数相手のソレも例外じゃない。
とはいえ【この状況は俺にとって分が悪いことはよく分かる】
炎を使えば最悪山火事、挙げ句に今は夜と来たもんだ。
となれば仕方がねえ、獣相手にやりたかないが力勝負の我慢比べだ。
【どうやら他にも同業が居る】みたいだしな。
慎重に手堅くやるぜ。
花陽浴・來流
(ラップ)
Theoryどおりに人払い
獣いづる雨上がり
EchoするRhythm 牙Beat刻む? dammit!
寝言ですらない Lyric足りない
寝床がお似合いのいいとこ目覚まし
獲物がどっちか 覚えてきなさい
ボクたち猟兵 躾は手荒い
空は晴れても戦場は嵐!
---
よしよし、学生さんたちは帰ったっぽいっすね
次は、代わりにやってきたお客の相手っす!
ラップでイメージを実体化させて戦うっすよ
向こうが犬なら、よさそうなのは~、獣用の罠あたりっすかね?
というか相手はオブリビオンだし、動物虐待だとか何だとかで禁止されてる感じの罠とかもどんどん出してくっす!
●
囲む妖獣、進む猟兵。
泰山は威圧的にホチキスのような口を開閉するホチキスドッグに、臆する事無く進み出た。
「さて。温まってるかヘッズ共。」
ガッ ガガッ ガ
ガッガッ ガガッ ガ
ガッ ガガッ ガ
ガッガッ ガガッ ガ
「喧嘩は|俺達の|基礎教養。
多数の|お前らも|例外じゃない。
とはいえ|【この状況】は|【分が悪い】。
下手な|技撃ちゃ| 山が|滅茶苦茶。」
ラップを繰り広げながらパワーフードをひと噛み。
筋肉を絞る様に浮き上がらせ、力づくでこの犬達を止めにかからんとする。
「力|勝負|の我慢|比べだ。
死にてえ|奴から|かかって来な!|Dogmen!」
泰山は突撃する。囲むホチキスドッグの1体が大口を開けて噛みつきにかかる。
身を下げて掬う様に伸ばした腕が、前足を掴むとそのまま包囲を抜けて力任せに突進。
勢いよく木に叩きつけた。
「Yahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!」
泰山は消滅しかかるDogごと木を掴み、力任せに引き抜くと、追って来たDogsに振り回し、吹き飛ばす。
「Oops!」
吹き飛んだDogの幾つかが、その先にいた少女にぶつかろうとする。
だが、ぶつかる寸前、Dogsは空中で静止し、逆に吹き飛び返されて消滅した。
「!」
Gy Gu Gy Gu Gy Gu Gy Gu
Gy Gu Gy Gu Gy Gu Gy Gu
少女はサウンドウェポンから独自の音を鳴らし、ラップを展開して、Dogsを跳ねのける。
「Hey Guy! Hey Dogs! Hey Guy! Hey Dogs!」
花陽浴だ。
「Theory|どおりに|人払い 獣いづる|雨上がり
Echoする|Rhythm 牙 Beat 刻む dammit!
寝言|ですらない Lyric|足りない
寝床が|お似合いの|いいとこ|目覚まし」
スクラッチするような音を掻き立て、泰山と合流する。
「Yo!お前が同業?」
「So! キミも同業?」「Year!」
「キレたキレのあるラップかましてんな!」
「そういうキミもノリの強い奴じゃん?」
●
『Woo Woo Woowoowoo...』
垂らす舌|睨む視か|揃う詩歌。
遠吠えて|獲物待ち望む|ホチドッグ。
今にも|襲い掛からんとしてくる|ゴースト。
触発2秒?|戦いは数秒。
Nightなfieldに|奴らがfight!
「俺はGrappler!|お前は?「Trapper!」OK!
ぶつけてやるか|俺達のPower!」
泰山が飛び出す。|釘付けになるホチドッグ。
掴んで|振り回して|噛んでくるマウスKO!
後ろから来るバイト!|飛び込んで来るチェーン!
花陽浴の|サウンドが|呼び出す|トラップ!
「動物虐待も妖獣なら適用外っすよ!」
「Year.こいつでひと暴れといこうか!」
泰山は|ホチドッグ、絡み巻かれた|トラップ手掛け。
鞭の様にスマッシュ!|飛んでくるDogsCatch!
団子状にDogs!|絡み動けぬまま。
引き抜いた|樹木が|上から|Press!
「臆さずCarefully|手堅くDestroy!」
潰れ行くホチドッグ|容赦せぬクロスアーム。
二人の|戦いの|ビートは|高くなる。
幾度も|現れては|お座り|におなり犬。
虎が出るまで|止められる奴|は無い!
「晴れたSkyでも|戦場はStorm!
獲物がどっちか|覚えておきな|さい!
ボクたち猟兵|躾は手荒い」
「Tigerより|terrorな|Master|刻めDogmen!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャルロッテ・ヴェイロン
いやなんで雑魚敵までラップの影響を受けているのでしょうか…。
まぁとりあえず一般人のみなさんは逃げ帰ったことですし、さっさと片付けましょう。
てなわけで、FPSの兵士キャラを召喚して攻撃していきましょう。
前列!火炎放射器で【焼却】!
中列!【一斉発射】で【弾幕】を張りながら【制圧射撃】!
後列!ロケットランチャーで敵陣を粉砕!
――いや、乗りませんから、そっちのリズムには(と、本人はヘッドホン付けて全く別ジャンルの音楽を聴いている(ぇ))。
※アドリブ・連携歓迎
●
「ガゥ!ウォゥォゥガウガウワウ!」
「ガウ!ウァウワゥワウワウガウ!」
「ギャワウァワゥワ「うるさいです」ギャイン!?」
シャルロッテが手をかざすとホチキスドッグの1匹が派手に爆発して吹き飛んだ。
「いやなんで雑魚敵までラップの影響を受けているのですか。」
ため息をつきながら、この先の本命に向かうべく歩く銀髪の少女シャルロッテ。
その心持は面倒そうだった。
「さっさと片付けましょう。…コード『バトルキャラクターズ2.0』起動。野犬の一掃とか色んなゲームでありますが、そうですね。今回はオンラインFPSの兵士という設定として……。」
「グワウゥ!」
死角から跳んだホチキスドッグが、大きな口を開けて、ホチキスで絞める様な牙の噛みつきを見舞おうとする。
「ふぁいあ」
「ギャアァウォォ!?」
突如闇から炎が噴き出、ホチキスドッグを丸焼けにし、地に落とす。
「獣狩りに特化した、隊列戦で迎え撃つとしましょうか。」
シャルロッテの周囲から、無尽蔵に兵士の隊列が出現する。
円を描くように並んだ兵士が3列に分かれて並び、ホチキスドッグに向けて一斉に武器をかざした。
ガッ ガガッ ガ ガガガッ ガガッ ガ
ガッ ガガッ ガ ガガガッ ガガッ ガ
噛み音によってリズムを起こしながら、ビビることなく威圧的にホチキスドッグ達がシャルロッテを睨む。
「ガゥ! ギャギャウァ ギャオウォウ オオゥ!」
「ガウ! ギャギャウア ワウワウ ガウ ォオ!」
何かラップらしきものを、吠え声によって口ずさんでいる。
恐らくは何らかの罵倒。
李ちょ……虎に倣ったか、一般ストリートラッパーの群れに包囲されて突如MCバトルを吹っ掛けられたかのようだ。
「――いや、乗りませんから、そっちのリズムには。」
シャルロッテはヘッドホンを付け、別のゲームの曲を流す。
戦場の野犬達が奏でるヒップホップめいた韻のあるリズムを、特定の周波によってかき消す、なんか壮大な戦場のBGM。
気分は指揮官である。
「前列!火炎放射器で焼却!」
リズムよく飛び掛かったホチキスドッグが一斉に焼かれていく。
「中列!制圧弾幕を一斉発射して寄せ付けないで!」
まだ様子を見ていたホチキスドッグ達はアサルトライフルの連射によって飛び退き、回避に専念、誘導される。
次第に寄せ集まり、何個かの塊の様になったホチキスドッグ達。
「後列!ロケットランチャー!」
「ギャウウアァ!?」
そこに強力なロケットランチャーの弾幕が撃ち込まれ、次々とホチキスドッグは爆散していく。
兵士達の連携によって野犬を焼き吹き飛ばしながら、シャルロッテは進む。
その様子は虎一頭を狩るには過剰すぎる様な、小隊規模の軍隊が要塞の如く進撃するものだった。
成功
🔵🔵🔴
ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。
口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。
ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「ガゥ! ギャギャウァ ギャオウォウ オオゥ!」
「ガウ! ギャギャウア ワウワウ ガウ ォ」
「何か言ってるみたいですが理解するつもりはありません。倒します。」
「ガァァ!?」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が槍と化した武器(サーペントペイン)をホチキスドッグの口奥に投げ込んだ。
「ガルルル!」
ホチキスドッグが異常な音を立てて異形の巨大な牙を生やした口になり、飲み込まんとする。
それをハロは見切り、躱し、リトルフォックスと呼ばれるレイピアで的確に喉元を横から刺し貫いていく。
「ギアァァ!?」
レイピアに込められた炎の力によってホチキスドッグは炎上し、消滅する。
「グオオオ!」
しかし次々と異形の口と化したホチキスドッグが、リズムよく編隊を組んで噛みつきにかかる。
「――『ディーモナイザー』起動」
ハロの言葉に応じて彼女の身体に呪いのオーラが宿る。
オーラは巨大な毒蛇の姿を形作り、回収したサーペントペインを大鎌の形に作り替える。
大鎌を、振るう。振るう。
「ギャアァァ!!」
リズムよくかかってくるホチキスドッグをリズムよく斬り裁き、裂けた大口が避け過ぎて両断。
更に悪魔の猛毒が回り、次々と野犬の妖獣達が屍となっていった。
「このまま突き進みます。」
ハロは冷徹にホチキスドッグの群れを始末していった。
成功
🔵🔵🔴
マティアス・エルンスト(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK
「……俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ。」
一人称:俺
口調:寡黙で無機質。表情も一見無愛想で感情が読み取りづらいが仲間想い。
性格:知らない物事へ対する好奇心と知識欲が旺盛。自身を精密な電子機器と思っている様子。
戦法:高いPOWを活かし、エネルギー充填したアームドフォートによる威圧感たっぷりの威嚇射撃や一斉発射等、「攻撃は最大の防御」を体現した戦法を好む。
仮に間合いに踏み込まれても剣や槍で受け流し、鎧砕きも狙いながらのカウンター攻撃。
指定したUCを何でも使用。
戦況等に照らし「適切・最善」と判断すれば他の存在からの指示や命令にも即応する。
他はお任せ。
コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド
性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます
・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「変な音が奥から聞こえて来るけど、とりあえず前哨戦なのは理解したわ。私に任せなさい!」
コノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)がホチキスドッグの群れに斬り掛かっていく。
フォースの力が込められた、勇翠の薙刀を振るって妖獣を1体、また1体と切り伏せ回る。
ガッ ガガッ ガガガッ ガガッ
ガッ ガガッ ガガガッ ガガッ
しかしリズムを刻む咀嚼音を鳴らしながら、次々とホチキスドッグが増え、包囲して倒さんとしてくる。
「仕方ありません、纏めて一掃しましょう。」
コノカがその機械の瞳を強い翡翠色に輝かせると、山間林であった戦場がたちまちエメラルドの迷宮に作り替えられる。
「『翠壁迷宮(エメラルド・ラビリンス)』――この迷宮、抜け出せるかしら?」
エメラルドの壁から無数のレーザー砲が顔を出し、ホチキスドッグを狙って放たれる。
「ガウゥゥウ!ギャゥゥウ!ガガウゥ!ギャウウゥ!」
しかしホチキスドッグ達はそれを物ともせず躱していく。
ユーベルコードだ。
コノカや砲台よりも小さい己の身を利用して、するりするりとレーザーを抜けていく。
洪水のような群れとなったホチキスドッグ達は、素早い動きで、出口で展開するコノカへと一直線で飛び掛かろうとする。
「くっ」
コノカはなんとかして薙刀でそれらの群れを斬り倒そうと構える。その時である。
「俺が前に出る。お前は俺を盾にしろ。」
マティアス・エルンスト(人間見習い・f04055)が駆け付けた。
突如現れたその銀の宇宙騎士の様なバーチャルキャラクターは、コノカの前に飛び出すと、展開されていた迷宮の砲台を磁石の様に自身にひきつけ、マティアスの身体に自動的に装備されていく。
マティアスのユーベルコードだ。
「……対象の選定、完了。『Code : Build robot』を実行する。」
巨大で全身に砲台を身に着けたロボットとなったマティアスは、合体した迷宮中の砲台のエネルギーを全て1点に集中。
今飛び掛かろうとしているホチキスドッグ達は出口の1直線に塊となっている。
つまり、好機だ。
「『翠壁豪砲(エメラルド・ブラスター)』発射」
巨大なエメラルドのビーム砲が、その直線を焼き払う。
隙間なく放たれたそれは迷宮の壁をも壊さんとする破壊力で、隙間も埋まった逃げ場のない光の破壊熱線にホチキスドッグ達は回避することもできない。
「ギャウ!ギャギャギャ……ガアアアーーーーッ!!!」
ノリノリの動きをしていた妖獣達が、恐ろしい叫び声をあげて消滅していった。
同時に、翡翠の迷宮とロボットが崩れ落ちた。今のでエネルギーを使い果たしたらしい。
「私の迷宮がそんな風に……いいわ。ありがとう。」
「……怪我が無いならいい。」
野犬の群れは跡形もなく蹴散らされた。
あとは向こうの茂みに居る、何やら奇怪な音を発する虎だけだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『自尊心の虎』
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POW : 臆病な自尊心と尊大な羞恥心
全身を【肥大しつづける無数の虎の頭部】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【プライドを傷つけるような行為】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : 個人情報特定電流
【全身に帯びた電撃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【SNSのIDとパスワード】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 承認を求める虎の群れ
自身が【屈辱】を感じると、レベル×1体の【燃え盛る毛皮を持つ虎】が召喚される。燃え盛る毛皮を持つ虎は屈辱を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:青空皐月
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●THE FATAL TIGER
妖獣の群れが去った後、茂みが揺れる音がした。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
ドッ ドッ ドッ ドドドド。
重厚なサウンドが鳴り響く。
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
ラップだ。
『その声 その声 その声は わが友李徴子ではないか?』
ラップっぽい声が聞こえる。
(銅鑼の鳴る音)
中から、虎が出てきた。
不思議と宙に浮かぶ巨大なスマホをスケートボードの様に乗りこなして、その虎は猟兵と対面した。
『如何にも 如何にも 如何にも自分は 隴西の李徴である(である)』
ダブったような声が聞こえる。
『李徴子 李徴子 隴西の李徴子 如何にも自分は李徴である(である)』
そう、録音していたのだ。
袁傪(猟兵)が複数人やってきた事から、虎は準備を始めた。
彼は虎1頭で多人数をカバーする、あらかじめ録音された自身の声を巧みに再生し、畳みかけに対応するつもりでいるのだ。
大丈夫だろうか……。
(銅鑼の鳴る音)
『今から一年程前、自分が旅に出て手机(スマホ)の虜になった夜のこと、自分は今や異類の身となっている。』
なんか語り出した。
『一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。どうしておめおめとあさましい姿をさらせようか。自分が姿を現せば、必ず父母君に畏怖嫌厭情を起させるに決っているからだ。(からだ)(からだ)』
なんか恍惚に浸っている。月を見上げる様なお座りポーズの虎はどこか嬉しそうな顔。
どうやら山月記的な文を繰り返す事で、この虎は自身の自尊心を満たしているようであった。
「しかし、今は故人である(である)。未だ己(おれ)の身を知る我が友李徴、我が友李徴を探すばかり。こんな姿が我が友李徴、調子に乗り上げる我が友李徴、最早己はあの時の自分ではなく、虎として詩人(うたいて)を討つばかりの屍人(しじん)。」
恐らく虎の自尊心を狩りに来た、目の前にいる袁傪(猟兵)は違う。
キュッキュとスマホのDJアプリを足でかき鳴らし、虎は曲調を変え、態勢は前のめり、今にも襲い掛からんとする威勢を見せつける。
「わが友李徴、我が友李徴、我が友(我が友)我が友(李徴)、さては袁傪すらも無し(鼠め!)山月この上なく恐ろしき(袋の鼠!)」
「この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。誰にも分からない(分からない)分からない(分からない)以前人間だったのか(分からない)。」
「一人前の詩人面をした李徴よ(袁傪よ)今や己(おれ)はどんな事でも起り得るのだ!(恐ろしい!)」
言動が可笑しく、壊れた様なその虎は、ハイテンポなリズムで絶え間なく喋り続ける。
「最早別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が近づいた!」
(銅鑼の鳴る音)
どうする?猟兵。こんな事言ってる虎。
自尊心折ってやれお前の必殺のユーベルコード。
シャルロッテ・ヴェイロン
はい、あなたの言ってることはさっぱり理解できませんが。
とりあえずあなたオブリビオンというわけで、さっさと片付けちゃいますね。
で、分身体が「燃え盛る毛皮を持つ」ということで、UCに氷属性付与して撃ちまくっていきましょう(【先制攻撃・属性攻撃・2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃・誘導弾・覚悟】)。
それでも攻撃が来るようなら動きを【見切り】回避しつつ、【カウンター】で光線銃による【レーザー射撃】とかやっていきましょうか。
(で、終わったあとで)しかし随分と耳障りの悪い音楽でしたね。たまにインストゥルメンタル系のやつを聞きたい気分ですよ(ぇ)。
※アドリブ・連携歓迎
●BATTLE 1
「はい、ええ、まあ。」
シャルロッテはため息をついた後。
「最初から訳の分からない話と思っていましたが、こうして対峙しても、やっぱりわけがわかりません。」
シャルロッテはデバイスを操作して、電子的な召喚を起こす。
背後に白き兎を模したキャバリア「ホワイトラビット」が現れて。
「とりあえずあなたオブリビオンというわけで、さっさと片付けちゃいますね。」
屈んで香箱座りになったホワイトラビットの各部位に様々な砲撃型武器が電子召喚され、――それらが一斉に虎へと撃ち放たれた。
「一人前の詩人(うたいて)をした作の巧拙(壮絶)(蛍雪) 聴かぬ 袁傪が推参 ああ! 全くどんなに恐しく哀しく切なく思っているだろう!」
「(ろう)(ろう)(ろう)(ろう)(ろう)(雄雄雄雄雄雄雄雄!)」
スマホを前足でかき鳴らしながら叫んだ虎に応じて、分身する様に沢山の虎が湧き現れた。
分身した虎は燃え盛る炎を纏っていた。
「言ってる事はさっぱ理解できませんが、屈辱を感じてるという事でいいんですね。」
香箱座りになった事で戦車の様な様相を見せるホワイトラビットは、現れた燃え盛る虎達にキャバリアサイズの水鉄砲を放射する。
消防士の消火水の如く大量に放たれたそれは虎達の炎を押し返し。
更にユーベルコードによって指定された冷気属性の2連砲弾が、弾幕の如く連射され、濡れて再燃も未だな燃え盛る炎の虎達を一瞬の内に凍らせる。
虎の分身達は、音も無く地面に倒れて塵に変わっていく。
「己の声、我の声、増える声、このままでは欠けるところがある」
業を煮やした虎が、砲撃を掻い潜り、シャルロッテに飛び掛かる。
「羞しくも羞しくもああ羞しくも、こんなあさましい身と成り果てた己でも、長安風流人士の机の上に(己の作品が!)置かれている様を夢見るのだ!」
「ああもう、五月蠅いったら。」
手に取ったのはおもちゃの光線銃。
飛び掛かり、猛獣よりも猛々しき妖獣である虎の一撃。
シャルロッテはそれを紙一重で躱し、光線銃を腹に向け、放つ。
おもちゃと思えない出力を発揮した、必殺のビームが放たれると、それは虎の腹をダイレクトに撃ち貫いた。
「何故に 何故に 何故にこんな事になったのだろう。(わからぬ)分らぬ。おのれ(おのれ)、全く何事も我々には 判らぬ……!」
虎は吹き飛び、再び茂みの中へ。
「随分と耳障りの悪い音楽でしたね。帰ったらインストゥルメンタル系のやつを聞きたい気分ですよ」
シャルロッテは気分直しにとヘッドホンを深くかぶりなおした。
成功
🔵🔵🔴
花陽浴・來流
藪から出てきた Tiger
さあ まずは誰何
Is your name 李徴氏? Non Non それじゃ
私物化 乗ってる調子 ホントに 大袈裟な自尊心!
「別れを告げる」? 大いに結構
山猫しつける ボクらの Poet
キミには早すぎ Internet
引き際わからにゃ炎上で The END
言い訳無用だ Final Moment!
(行動)
うわー、ホントに虎が刻んでるっすね
ま、そういうコトならやりやすい――なんせ、フツーに相手をすればいいだけっす!
プライドの勝負なら、直接攻撃とかはしなくてよし!
●BATTLE 2
「うわー、ホントに虎が刻んでるっす。」
花陽浴はサウンドウェポンを展開し、スマホから鳴らされる虎からの楽曲を自身の曲に塗り替えにいく。
「ま、そういうコトならやりやすい――なんせ、フツーに相手をすればいいだけっす!」
虎から放たれる音と、花陽浴から放たれる音が、ぶつかり合って、戦場が構築されていく。
「藪から出てきた Tiger さあ まずは誰何
I s your name 李徴氏? Non Non
それじゃ 私物化 乗ってる調子 ホントに 大袈裟な自尊心!
「別れを告げる」? 大いに結構
山猫しつける ボクらの Poet
キミには早すぎ Internet
引き際わからにゃ炎上で The END
言い訳無用だ Final Moment!」
花陽浴は捲し立てるようにラップを放つ。
たじろぐ虎もまた、乗っているスマホのDJアプリを激しくかき鳴らし反撃する。
曲が変わり、テンポが上がっていく……。
「言いたい言いたい言いたい放題 言ってくれるな 李徴子め
己が 己が 己が喉首が千切るはひと噛み
今更貴様を 微塵も世に残す 事無く 故人となり果てろ
貴様も 貴様も 尊大な 自尊心と
手元に 足元に 首元に残らぬ羞恥心
その首 その首 喰らってくれよう 己が 己が
わが母 わが父 我が家族
己が喰らった者達と同じ 末路を辿るはお主の都合」
虎はのたうち回り、激昂。
そして虎の体毛から分かれるように、屈辱を受けた怒りを表すかのような燃え盛る虎が大量にやってくる。
「最早 最早 もはや一片も残さない
己はただの一人で無く
お主を焼き尽くす 己は虎の群れ
如何にも 如何にも 如何にも自分は 隴西の李徴である(である)!」
それに花陽浴が応える。
「Hun? キミ本当何言ってんすか?
自虐と 自慢に 溺れたTiger
虚偽心染める 毛皮に削ぐ
アンタの言ってる話で怯む程 暇じゃない
寝言は下げとこ! 現実にGo Home
優しいMamanも Papaも もうここにはいない
そんな事しても まだ威張る自尊心?」
「啊啊啊啊啊啊!」
虎はのたうち回った。花陽浴の放つ声に反論もやむなく精神的ダメージを受け、燃え盛る虎達が消えていく。
成功
🔵🔵🔴
泰山・敏郎
●戦術
- 連携:友前・巴(三毒・f33207)・淡紅屋・ほまれ(咲き誇る春の君・f35480)・コットン・プーカ(雨降り渡り鳥・f35319)
- 【最重要】連携をとっているメンバーに被害が行きそうになった場合、全力で庇う
- 【王より、謳われることなき想いたちへの号令】を使用し、淡紅屋とプーカの回復、巴の支援を受け限界ギリギリまで殴り合う
- 自分の足で立って帰れなくなるかどうかギリギリのラインで離脱
●心境 - アドリブ:ラップ描写完全NG
なんだお前、トラックメイカーだったのか。
そんだけの腕あれば、虎でさえなけりゃ一緒に曲作れたな。
俺は"ヒップホップ"って文化を信じてるから。
今のお前を笑わねえ。
他の誰がお前を笑おうが、俺は絶対にお前を笑わねえ。
自尊心と羞恥心で虎になれるなら、俺だって"覚者"にくらいなってやるさ。
お前は何にも悪くない。
あくまでこっちの都合で、今から俺たちはやり合う。
だから、せめて。
『明けぬ夜に沈む未練へ、
闇に眠る無念へ。
王より命ずる、顔を上げよ』
『其処に太陽は在り』
友前・巴
泰山さん(f35267)が『俺が何者なのか、はっきり見せてやる』なんて言って誘って下さいましたので参りましたのです
けれど…
彼だけと言うのは、勿体ないですね(ゴーストを見る)
価値があると信ずる物に自分を準える…そう言う欲望も良い物です。私は好きですよ
けど…貴方のそれは山月記『そのもの』では無いですよね?
山月記を知らぬ私でも分かります。だってラツプだもの。
貴方には、貴方の感情が、欲望が、名作に重ねても尚漏れる想いがあるのでは?
あるからラツプなのでは無いのかしら?
剥き出しの想いを見せ付けて、伝える物だと、そう泰山さんにお教え頂いたと思っているのですけれど。
だから、ねえ。
(UCの幻炎で泰山と虎を中心としたステージの如く照らし飾る。増幅する欲望と感情は『押し並べて全て』。対象はそ
の場のゴーストも猟兵も全員)
見せて下さい。その感情。
聞かせて下さい。その想い。
味合わせて下さい。その全部。
強く。大きく。熱く。激しく。全て、全てを以て言霊としてぶつけて。
そうして何も知らぬ私にも…ね?
分からせて、下さいな?
淡紅屋・ほまれ
●行動指針
- 連携:泰山・敏郎(f35267)
- 【最優先】徹底した泰山の回復・支援
- ボスからの攻撃を受けぬよう、防御的に立ち回る
●心境
あれが…ラップをする虎の妖獣、なのですね?
浅学ゆえラップのことは詳しくないのですが…。
…山月記。かの李徴子のように、過去を悔い、妻子を思って嘆くことはしないのですね。
罪のない人々に危害を加えてくるというのであれば、
無力化する必要があるでしょう。
泰山さんがもし怪我をされたら、すぐにユーベルコードでフォローできるよう常に気を配らなければなりませんね。
とはいえ、自身を疎かにしてはフォローもできません。
攻撃を受けぬよう慎重に動き、身を守ることを忘れずに行動します。
コットン・プーカ
●行動指針
- 連携:泰山・敏郎(f35267)
- 【最優先】泰山への回復・支援を最大限に行う
- 身体の小ささを生かし、目立たないように隠れながら支援する
- 「自尊心の虎」に対しては防御的に対処する
●心境
今日の、これが、わたしの初陣。
ラップする獣を見るのもこれがはじめてのこと。
今は1匹だけのあの虎が、異形となって群れから離れたおしまいの姿というならば。戦いは少し怖いしなんだかさびしい気持ちがするけれど、
「仲間があの獣に伝えることがあるといって戦場に立つのです、てっていてきに支援しましょう!」
回復のときの光が紛れるようなるべく隠れながら、1秒でも長く立っていられるような支援を。
どうかご存分に!
●FINAL BATTLE
「なんだお前、トラックメイカーだったのか。そんだけの腕あれば、虎でさえなけりゃ一緒に曲作れたな。」
泰山・敏郎が迫り来る。
虎は唸り、今にも襲い掛からんとすると、敏郎の背後から更に3つの影が現れる。
「今日の、これが、わたしの初陣。ラップする獣を見るのもこれがはじめてのこと。」
白いモーラットの、コットン・プーカ(雨降り渡り鳥・f35319)。
「あれが…ラップをする虎の妖獣、なのですね?浅学ゆえラップのことは詳しくないのですが…。」
蒼い瞳にピンクの髪をした桜の精の少年、淡紅屋・ほまれ(咲き誇る春の君・f35480)。
「けれど… 彼だけと言うのは、勿体ないですね」
黒髪に黒い瞳をした和装束、サクラミラージュ出身の東方妖怪、友前・巴(三毒・f33207)。
唸り、威嚇する虎、その声はどこかまだ勝ち誇る様な自尊に満ち溢れていた。
敏郎は言う。
「俺は"ヒップホップ"って文化を信じてるから。今のお前を笑わねえ。」
「他の誰がお前を笑おうが、俺は絶対にお前を笑わねえ。」
「自尊心と羞恥心で虎になれるなら、俺だって"覚者"にくらいなってやるさ。」
そして構える。この虎を倒す為の武器を。
虎も牙を開け、臨戦態勢を取った。
『俺が何者なのか、はっきり見せてやる』
名もなき想いたちの言霊が、敏郎の身体に憑依する。
呟き続ける虎の言葉を覆い尽くすかの様な言霊の力が敏郎の身体に染み込み、力となっていく。
敏郎の身体から伝わってくる無数の言葉に、まるでプライドを傷つけられたかの様に感じた虎は敏郎に襲い掛かる。
それを叩き伏せるようにバス停で殴りつける敏郎。
伏せられた虎は応じるように、何か言葉を呟きながらバス停を跳ねのけ後退。巨大なスマホの上でステップを踏み、噛み砕かんと牙を、爪を振るった。
「…山月記。かの李徴子のように、過去を悔い、妻子を思って嘆くことはしないのですね。」
それを見たほまれが呟いた。
「罪のない人々に危害を加えてくるというのであれば、無力化する必要があるでしょう。」
コットンはその小さな体で敏郎の戦いを見届ける。
「今は1匹だけのあの虎が、異形となって群れから離れたおしまいの姿というならば。戦いは少し怖いしなんだかさびしい気持ちがするけれど、」
まだ一撃も頂いてはいないが、幾度も武器と牙が交わり、押され始める敏郎。
そこに巴が突如割って入る。
「価値があると信ずる物に自分を準える…そう言う欲望も良い物です。私は好きですよ」
「けど…貴方のそれは山月記『そのもの』では無いですよね?」
虎は唸り、巴を睨んだ。
「山月記を知らぬ私でも分かります。だってラツプだもの。貴方には、貴方の感情が、欲望が、名作に重ねても尚漏れる想いがあるのでは?あるからラツプなのでは無いのかしら?」
「剥き出しの想いを見せ付けて、伝える物だと、そう泰山さんにお教え頂いたと思っているのですけれど。」
「だから、ねえ。」
巴は炎を戦場に広げた。妖怪の作り出す、幻の炎を。
彼らが戦う山の姿は即座になりを潜め、敏郎と虎を中心に映すステージの様な戦場となった。
「見せて下さい。その感情。
聞かせて下さい。その想い。
味合わせて下さい。その全部。
強く。大きく。熱く。激しく。全て、全てを以て言霊としてぶつけて。
そうして何も知らぬ私にも…ね?
分からせて、下さいな?」
その言葉に何を感じたか、虎は咆哮をあげる。
言葉を紡ぎ続け暴れ狂う虎は炎を纏うと、産み落とす様に戦場にまき散らす。
そこから屈辱の炎をあげる虎の群れが現れると、敏郎の援助をしている巴、ほまれ、コットンの3人に対して飛び掛かった。
コットンは炎の獣から逃げるように走り続け、ほまれもまた炎の獣から逃げるように走り続け、巴もまた炎の獣から離れるように走り続けた。
戦闘が激しくなっていく。
戦いが長引いていくごとに、虎の頭は肥大化し続け、その頭は無数に分裂して敏郎に襲い掛かる。
敏郎は気合を入れ、体から迸る炎と共にバス停をひたすら虎に打ち込み続ける。
無数の牙が、敏郎の身体を切り裂き続ける。
敏郎に傷が蓄積される。更に別の要因で、叩く度に意識が飛びそうになる。
名もなき想いたちの言霊の力は、敏郎が攻撃を振るう度にその命を削っていく。
足がもつれそうになり、その隙を虎の口がえぐり喰わんとする。
その時、身体が、自身の炎とは別の光で包まれ、傷が塞がれ、意識が戻っていく。
補填された命の力を言霊と共に振り絞り、敏郎は虎の口を横から叩きいなした。
「仲間があの獣に伝えることがあるといって戦場に立つのです、てっていてきに支援しましょう!」
コットンとほまれの放つ聖なる光が、ステージ上の敏郎を癒し続けているのだ。
「どうかご存分に!」
それに頷いた敏郎は、それにより疲れて追いつかれそうになる3人を警戒しながら、限界まで虎に攻撃を叩きつけていく。
裂けては治り、燃える傷。
1頭ずつバス停で潰し続けた敏郎は、その奥で輝く、臆病で尊大な虎の頭部の中心を見つける。
虎は激しく何かを呟き続け、それにより更に数を増す頭部。
だが敏郎はそれに目をくれず、バス停の代わりに長剣をしっかりと両手で持つと、身体に炎と力をたぎらせた渾身の一撃を、虎の眉間に突き刺した。
虎は燃え、根深く刺さり、唸り声を上げ。
無数の頭部は一気に爆ぜ、同時に燃え盛る虎が消滅した。
焼けて倒れ、弱り顔をした、最早命もこれまでの虎はそれでも猟兵を睨み続け、そこに敏郎が近づき、告げた。
『明けぬ夜に沈む未練へ、
闇に眠る無念へ。
王より命ずる、顔を上げよ』
『其処に太陽は在り』
その言葉を聞いて、虎は何かを悟った様に目を閉じ、霧の様に消滅していった。
傷だらけの敏郎に、巴が微笑み、コットンとほまれが駆け寄る。
笑顔を見せた敏郎に安堵し、敏郎は勝ち誇ったように武器を掲げた。
朝日が昇る。
もうこの山に虎が出る事は無くなった。
成功
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