Rain rain go away
#シルバーレイン
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――銀色の雨が、世界に降り注いでいた。
弾けた水滴がきらきら踊る。アスファルトの水溜まりに滲む灯りを、じわりと溶かして夜の彼方へ連れ去ってしまう。
だけど、雨のヴェール越しに見える景色はいつもと同じ、冷たい世界なのだから気にはしない。隣を歩く誰かの顏なんていちいち覚えていないし、路地裏から騒ぎが聞こえて来たところで、足を向けてみる気にもなりやしない。
(「……そう。これが当たり前のこと」)
雑踏に紛れた奇妙なノイズも、ありふれた何かなのだ。暴力的な咆哮だって、ほら――銀色の囁きに紛れてしまえば、「うぎゃあ」「ああぁぐ」「えええあああおお」雨足が強くなってきたが、急ぐほどでもないだろう。
(「当たり前、だよね?」)
ふと生じた違和感に気づかない振りをしたのに、苦痛に喘ぐ無数の声は、雫となって傘を叩く。何でもない帰り道が、急に心細くなって小走りになった。
――ファミレスの灯りが寒々しい。いきなりぶつかった「誰か」は血塗れで、顏を見るまいと背けた瞳は、雨の向こうに浮かぶもっと恐ろしい「何か」を捉えていた。
「……、……呪、」
不気味な仮面がニタリと嗤うと。ありふれた街並みは生者を呪う聲に溢れた、霊的汚染地帯へと変わっていったのだ。
新たな世界の名はシルバーレイン。かつてその世界は脅威に勝利して、銀の雨が降る時代は過去のものとなったが――世界には再び、銀色の雨が降り注いでいるのだと言う。
「詳しい出来事だとかは、縁のある猟兵さんの方が詳しいと思うのですけど……オブリビオンとして蘇ったゴースト達が、再び悪さをしてることだけ覚えておけば良いんですのよ!」
身も蓋もない説明を行う、レイン・ドロップ(みずたま・f14853)だったが――事態は深刻で、世界は猟兵たちの助けを必要としている。
『世界結界』と言う魔術結界により、一般人は超常の現象をすぐに忘却してしまうし、過去に脅威と戦っていた『銀誓館学園』の能力者たちにも、色々と影響が出ているらしいのだ。
「今回確認されたのは、妖獣化オブリビオンの事件ですの。本能や苦痛、衝動……そういったものに支配されて殺戮を行う、『妖獣』と言うゴーストの性質を持つオブリビオンですわね」
獣の名の通り、人間を暴力的に痛めつける――狂暴な野生動物の如きこの敵は、このままでは無差別に人々を襲ってしまい大きな被害が出てしまう。
「ですが幸いにも予知が行えましたので、大変なことになる前にびしっと倒して下さいですのー!」
ぶんぶんとファイティングポーズを取るレインによれば、現場は繁華街の外れ。交差点にあるファミレスの近くなのだそう。夕飯時からは少し遅くなるが、それでもお客の入りはまあまあで、オブリビオンは店内の客を真っ先に襲うようだ。
「ですので、皆さんはまず現場から一般の方々を避難させて、オブリビオンを待ち受けて欲しいんですのよ!」
こうなれば猟兵たちが団体さんで押しよせて、ファミレスを貸し切りにしてしまう勢いで楽しんではどうか、とレインは言う。例えば放課後、友達同士でだべったり宿題をしたり、部活の打ち上げをする感じで満喫するのも良い。死と隣り合わせの青春ですのよ、と頷くレインの頭の中では、校舎のガラスでも叩き割っているのかも知れないが、それはさておき。
お手頃価格の定食(お薦めはきのこ料理)をいろいろ食べ比べしてみるのでも、梨やマスカットなどの秋の限定スイーツを堪能するも、或いはサラダやドリンクバーで面白ブレンドに挑戦してみるのでも、ファミレスならではの過ごし方を楽しんでみて欲しい。
「その後は……汚染されて狂暴化した配下がわらわらやって来ますから、それをぼっこぼこにした後に本体を叩いて下さいですの!」
――生者への強烈な怨念を纏うゴーストの親玉は、シラバキと言う。呪詛を撒き散らす彼によって、辺り一帯は汚染され、このままではチェーンソーを持った殺人鬼の集団が徘徊する異界と化してしまうのだ。
「妖獣化したシラバキは強化されてますけど、衝動によって思考は単純化されているようですの。そこを上手く突けば有利になると思いますので、頑張ってくださいですのー!」
かつて――銀の雨が降る時代があった。生と死、神秘と日常は隣り合わせで、瞬きひとつの後に世界はその姿を変える。
だが、どうか。雨よ、雨よ。ほんの一時でいい、降りやんで欲しい。――誰かが笑って、安らげるように。
柚烏
ご無沙汰いたしております、柚烏と申します。久しぶりの依頼は、新世界シルバーレインでのものとなります。過去作は大まかな設定をふわっと知っているくらいですので、そこら辺は余り気にせずにご参加ください(逆に過去作のネタやキャラ設定などを振られても、上手くお応えできないかと思います)
●シナリオの流れ
妖獣化オブリビオンにより、一般人が大勢殺されてしまう事件が予知されました。襲撃地点は掴めたので、先回りしてオブリビオンの襲撃に備えてください。そうして配下のオブリビオンを倒した後、妖獣化したボスと戦います。敵は狂暴化していますが、衝動的に行動するので罠にはめることが出来れば有利に戦えそうです。
第1章:日常『ファミレス会議』
第2章:集団戦『サイコチェーンソー』
第3章:ボス戦『シラバキ』
●第1章について
時刻は夜の9時過ぎくらい。安くて美味しいと評判のファミレスです。オブリビオンの襲撃に備え、さりげなく一般人を避難させつつ楽しんでください。特に避難行動に触れなくても、ファミレスで楽しむプレイングだけで大丈夫です(一般人の代わりにお店にやってくる感じになります)学生気分に浸ってみたり、肩ひじ張らずにのんびり寛ぐのもよしです。
●プレイング受付につきまして
期限内で書けるぶんだけ、リプレイをお返ししていく予定です(大体10名様前後になりそうです)オーバーロードになされるかはお任せします。
何かありましたら、マスターページやシナリオのタグなどで連絡いたします。此方のスケジュールの都合などで、新しい章に進んだ場合でも、プレイング受付までにお時間を頂く場合があります。
※内容に問題がなくても、人数次第では返金の可能性があります。ご了承のうえで参加頂けますと幸いです。
レベルなどは気にせずに、ご新規の猟兵さんでもお気軽にどうぞ。これをきっかけに、第六猟兵を楽しんで頂ければとても嬉しいです。それではよろしくお願いします。
第1章 日常
『ファミレス会議』
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POW : がっつりボリュームのある料理を頼む
SPD : サラダバーやドリンクバーでオリジナルブレンドを作る
WIZ : 甘いデザートを楽しみ尽くす
イラスト:乙川
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィラン・アークソード
●行動
甘いデザートを楽しみ尽くす
やれやれ、再び銀の雨が降る時が来るとはな。
しばらく戦いからは離れていたが
再びゴーストの脅威が日常を脅かすというならば
黙ってみているわけにはいかないな
現場はファミレスの近くらしい
ファミレスにゴーストが押し寄せれば大惨事になることは間違いない
一般人を避難させることは勿論大事だ
だが、このご時世に売り上げが減るというのは
死活問題なのである
ならば俺達がすべき事は
避難させた一般人の分も売り上げに貢献することではなかろうか
そういった大義名分もある事なので
遠慮なく甘いデザートを楽しみ尽くすとしよう
高級なスイーツ専門店とは違った良さが
ファミレスのデザートにもあるのだ
チェーンごとに特色が違ったりなどして
食べ比べるのも楽しいものだ
パフェも、ケーキも、プリンも何もかも
このメニューのデザートのページに書いてある品物全部
順番にオーダーしてしまおう
俺はデザートを楽しめる、ファミレスは売り上げが上がる
どちらにも利益のある
正にWIN-WINな選択なのだ!
駐車場からの僅かな距離だ。濡れるのは少しだけだと思ったから、傘は差さずに歩いてきた。
「……やれやれ」
だけど、街灯に浮かび上がる秋の雨は妖しい銀色に輝いて、ヴィラン・アークソード(人間のストームブリンガー・f35398)の身体を冷たく叩く。
「再び、銀の雨が降る時が来るとはな」
皮肉げに呟いた声は、微かな白に染まって夜気に溶けた。低く艶を帯びた彼の言葉を、真の意味で理解するものはどれだけ居るのだろう――頬に張りついた髪を無造作に掻き上げたあと、ヴィランは目的のファミレスへ足を踏み入れていた。
――自動ドアが開くと同時に、明るい音楽が耳に飛び込んで来る。有線から流れるヒットチャートのナンバーは、ヴィランが戦いに明け暮れていた頃とは様変わりしていた。
(「あれからしばらく……戦いからは離れていたが」)
店員に案内されて壁際の席へ向かう。メニューを捲りながら彼が思い出すのは、死と隣り合わせの青春を送っていた学生時代のこと。
――あの頃のように、再びゴーストの脅威が日常を脅かすと言うのであれば、黙って見ている訳にはいかないだろう。さっきヴィランを案内してくれた店員も、高校生くらいのバイトの子に見えた。
(「やはり、こうしていると……懐かしい、か」)
もしかしたら、自分の後輩になるかも知れない少女――そんな一般人を救うために何が出来るのだろうかと、真剣に考えてみる。
(「ここにゴースト共が押し寄せれば、大惨事になるのは間違いないからな……」)
鋭いまなざしでヴィランがメニュー表を睨んでいると、店を出る客たちの声が聞こえてきた。すごいイケメンが来てるだとか、外に停めてある高級車すごくね、だとか。イケメンで金持ちかあ、じゃあホストかも――等々。
(「ふむ、他にやって来た猟兵の話だろうか」)
まさか自分の噂だとは露知らず、ヴィランは「ぴんぽーん」とボタンを押して店員さんを呼んだ。
(「今、俺達がすべき事は――」)
「は、はいっ、ご注文はお決まりでしょうか?」
凄みのある美形に睨まれた店員の少女が、ちょっぴり緊張した様子で端末を構える。きり、と更に瞳を細くしたヴィランは、意を決してオーダーを口にした。
「このメニューの、デザートのページに書いてある品物を全部、上から順番に持って来てくれ」
「えっ……ぜ、ぜんぶ?!」
「定番のメニューから、秋の限定スイーツまで。パフェもケーキも、プリンも何もかも……注文は以上だ」
そう、一般人を避難させることは勿論大事だが、このご時世に売り上げが減るというのは死活問題なのである。
だからヴィランは決めたのだ――彼らの分も、お店の売り上げに貢献する。それが猟兵の使命であると!
(「それに。高級なスイーツ専門店とは違った良さが、ファミレスのデザートにもあるのだ……」)
チェーンごとの特色の違いや、期間限定メニューのバリエーションの豊富さ。価格がお手頃なのは言うまでもなく、学生時代に戻ったかのように心が弾む。
「ほほう、洋梨のソルベは上品な甘さがじんわり……一方のマロンケーキは、こってり濃厚」
先ずは、ずらずらずらっとテーブルに押し寄せるデザートを片付けねばなるまい。スプーンを手にヴィランが向き合ったパフェの上では、カラメルソースのかかったプリンがぷるぷる震えていた。
「その奥にあるのは……おおお、甘酸っぱいベリーに加えてマスカットも混ざっているのか……!」
ああ、ヴィランはデザートを楽しめる。ファミレスは売り上げが上がる。これはどちらにも利益のある、正にWIN-WINな選択なのだ――!
そんな風に色々と考えた大義名分を、ふんわり生クリームと一緒に呑み込んでしまいながら、遠慮なく甘いひと時を堪能する。
「よし、次は食べ比べと行くか。南瓜とサツマイモのタルト……ふむ、どちらも秋らしい、ほっこりした美味しさがある」
会計のついでに、レジの傍で売られていたにゃんこのストラップを買ってみるのも良いかも知れない――そんなことを思う男の名は、ヴィラン・アークソード。
好きなものはもふもふした動物と、甘いものである。
大成功
🔵🔵🔵
筧・清史郎
オズ(f01136)と
俺は一度来た事があるぞ
だが、回るそれは初めてだ…(じー
俺も飲んでみたい
確か、どりんくばーというものを頼めば、
機械から注げるものは全て頂き放題だった筈
おお、本当だな、甘味も沢山だ(瞳キラキラ
季節のものも良いな
ふむ…甘味は全て気になる(超甘党健啖家
甘い盛付け可能ならば全てして貰おう(微笑み
おお…音が鳴った
もう1回だけ俺もそっと押してみて、興味深々瞳ぱちくり
俺は、葡萄パンケーキとキャラメル栗パフェと秋のクリーム餡蜜とマスカットケーキと…(延々甘味
どりんくばーも忘れずに
ポテトにアイスは美味なのか
では、オズの気になるものと交換こしよう(微笑み
ああ、共にいざ、どりんくばーへ(わくそわ
オズ・ケストナー
清史郎(f00502)と
ファミレスだよセイシロウっ
いろんなキカイがある
なにかまわってるよ、スムージーだってっ
人が淹れているのを見て
おおー
わたし、のんでみたいっ
ドリンクバー?
それはぜったいたのまないとだねっ
メニューもたくさんだ
あ、あまいものあったよセイシロウ
パフェもケーキもあんみつもあるっ
秋のフェア?
クリームましましとかできるのかな
聞いてみようっ
ぽち
わあ、ピンポーンていったっ
うんうん
笑顔でセイシロウの読み上げるのを聞いて
わたし、ポテトとアイスとドリンクバーっ
しょっぱいポテトにアイスをつけてたべるとおいしいんだって
セイシロウもやってみよっ
ふふ、こうかんこだねっ
じゃあまずは、ドリンクバーにごーごーっ
闇夜にぽっかりと浮かびあがる、明るい照明に誘われるようにしてドアをくぐる。
「ファミレスだよ、セイシロウっ」
入り口に置かれた観葉植物から、ひょっこり顔を出して手招きするオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)の向こう――ゆったりした足取りでやって来るのは、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)だった。
「うむ、俺は一度来た事があるぞ」
「ほんと? すごいっ、いろんなキカイがあるねっ」
席へ向かう途中、通路にずらりと並ぶ謎の機械に興味を惹かれたオズは、ふらぁりと吸い寄せられるようにして足を伸ばす。
「なにかまわってるよ、スムージーだってっ」
――透明な容器に満たされているのは、カラフルな色をした飲み物のようだ。グラスを手にしたお客さんが機械を操作すると、うねうねうねっと回転しながらパステルカラーのシャーベットが飛び出してくる。
「だが、回るそれは初めて見るな……」
「おおー、おもしろいね……」
じーっと見つめるふたりの熱い視線を受け、つい場所を譲ってしまうお客さん。改めて周囲を確認すると、機械が置かれているコーナーには『ドリンクバー』なる文字が掲げられていた。
「そうだ。確かこの、どりんくばーというものを頼めば、機械から注げるものは全て頂き放題だった筈」
「わああ、セイシロウは物知りだねっ。ここにある飲み物、ぜんぶのめるんだ! それは、ぜったいたのまないとだねっ」
清史郎の指し示す先をオズが見れば、ジュースや炭酸は勿論のこと、ホットコーヒーに紅茶、お抹茶なども選べるようになっているのだと分かる。
「わたし、のんでみたいっ」
「……俺も飲んでみたい」
瞳をきらきら、そんな訳でドリンクバー二人ぶんは決定として。ソファーで寛ぎつつ一緒にメニューを覗き込むと、ページを捲るたびに色々な料理の写真が飛び込んできた。
「メニューもたくさんだ……あ、あまいものあったよセイシロウ」
「おお、本当だな、甘味も沢山だ」
メニューの後ろのほう、大きく見開きで載っているのは『秋の味覚フェア☆限定スイーツ特集!』。人気のパフェやケーキを筆頭に、あんみつやぜんざい等の和スイーツも取り揃えているようだ。
「季節のものも良いな、ふむ……甘味は全て気になる」
「クリームましましとかできるのかな」
オズが見つめる先――グラスから溢れんばかりに盛りつけられたパフェの写真には、マロンクリームの上に乗っかった大きな栗に、ひよこみたいな顔が描かれてある。
「ああ、甘い盛付け可能ならば全てして貰おう」
「よし、聞いてみようっ」
――テーブルに置かれた呼び出しボタンを、勢いよくぽちっと押せば、明るい「ピンポーン」の音。それだけでも何だか楽しくて、顏を見合わせたふたりはふふっと微笑んだ。
「おお、音が鳴った、……もう1回」
好奇心をそそられつつ、そっと押す感じでボタンに触れてみた清史郎も、不思議なファミレス体験に瞳をぱちくりしている。そうしてやって来た店員さんに、まず注文するのはドリンクバーで――、
「それと俺は、葡萄パンケーキとキャラメル栗パフェと秋のクリーム餡蜜とマスカットケーキと……」
息継ぎをする暇も惜しいとばかりに、メニュー表に書かれていた甘味を延々と読み上げていく清史郎。それを笑顔でうんうん聞いているオズも、彼の詠唱が終わるのを待ってからオーダーをした。
「わたし、ポテトとアイスとドリンクバーっ。……しょっぱいポテトに、アイスをつけてたべるとおいしいんだって」
「成程、ポテトにアイスは美味なのか」
てっきり付属のケチャップやマスタードをつけて食べると思っていたのだが――その意外な食べ合わせに、更なる甘味の可能性を見出した清史郎だった。
「セイシロウもやってみよっ」
「……では、オズの気になるものと交換こしよう」
――楽しい時間は、まだまだこれから。でも、まずは最初に、お揃いのグラスを手に飲み物を作りに行こう。
「共にいざ、どりんくばーへ」
「ごーごーっ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
春夏秋冬・燈
UCで2人組になる
■妹寄り人格アカリ(主に行動
□兄寄り人格アキ
■
銀の雨ふる世界らしいわね
桜學府のように若者が頑張る組織があって、
一先ずは帝都とは違った
ファミレスとやらを満喫しましょう
……別に私ひとりで来るのが
気まずかった訳でもないのよ
兄妹よりかは学友のようなものだし。
…もしもの話、
この世界で兄弟のように生まれていたなら
家に帰りたくない
こんな時間もあったのかもしれないわね
□
夜遊びに近い時間帯な気もするが
まぁ珍しい場所を俺も楽しむとしようか
お手頃定食やドリンクバーを満喫したり
学友の放課後よりかは家族で外食っぽいよなぁ
もしもの夢は軽く聞き流しつつ
燈も限定スイーツ食べるかい?
アドリブ歓迎
Rain rain go away――すれ違う誰かが口ずさんでいたのは、マザー・グースの詩だっただろうか。
「……銀の雨ふる世界らしいわね」
ガードレールの向こう側でひっきりなしに行き交う車のライトが、春夏秋冬・燈(まにまに・f27645)の緋色の髪を、鮮やかに浮かび上がらせていた。
――一見すると、学校帰りの女子生徒に見えただろう。それは間違いでは無い。少女は帝都桜學府の学徒で、此処とは違う、幻朧桜の舞う世界からやって来たのだから。
「桜學府のように若者が頑張る組織があって、なのに街並みは……帝都とだいぶ違う」
アスファルトに響く規則正しい靴音が、ある瞬間を境に双つになる。銀色の雫が足元で跳ねると、顏を上げた燈の隣で、彼女そっくりの「誰か」が何か言いたげな様子で見つめていた。
「……その、別に。私ひとりで来るのが、気まずかった訳でもないのよ」
兄妹よりかは、学友のようなものだし――そんな風にもごもごと言い訳をする少女に比べ、もう一人の少女は不思議と大人びた、兄のような風格を漂わせている。
――多重人格者。ひとつの肉体に複数の人格を宿す燈だが、今はユーベルコードを用いることで疑似的なやり取りを行っているらしい。
(「分かってるわよ、言いたい事は」)
表に出ている人格の「アカリ」に対し、別人格の「アキ」はこう言いたいのだろう――夜遊びに近い時間帯な気もするが、と。
「でも、これも任務なんだから。ファミレスとやらを満喫しましょう」
恐らくは、帝都のカフェーやミルクホールに近い場所なのだろう。夜遅くにひとりで足を踏み入れるのであれば躊躇するが、アキが一緒だと思えば怖くない。
いらっしゃいませと声を掛けてきた店員は、双子と思しき少女たちの来店に、一瞬珍しそうに瞬きをしたが――その後は、特に何ごとも無く対応を行う。
メニューを眺めるような素振りをみせるアキは、心なしか楽しそうに見えた。彼なりに珍しい場所を楽しんでいるのか、お代わり自由のドリンクバーとやらを満喫するのはどうかと、アカリに合図を送ってくる。
――ああ、こうしていると。学友同士の放課後と言うよりは、家族で外食に来たみたいだ。
「……ねぇ。もしもの話、この世界で兄妹のように生まれていたなら、」
続けようとした言葉は、窓ガラスに叩きつける雨音で掻き消された。だけど――例え雨が降っていなかったとしても、アキだったら軽く聞き流して終わっていただろう。
「こんな時間も、あったのかもしれないわね」
――抹茶のココアはほんの少し苦くて、甘かった。
大成功
🔵🔵🔵
クラレンス・オズバート
アナンシf17900と
……フン、銀の雨か
懐かしさなどより煩わしさが勝る
いつでもできる感傷など後にしろ
とっとと仕事を片付けるぞ
……とは、言ったが……
まず行うことがファミレスを楽しむ、か……?
斯様な場所での食事は馴染みが無いが
何も頼まんのも却って目立つだろう
コーヒーとサンドイッチを注文し
楽譜とタブレットを広げて仕事
正気を疑う量のステーキをまるで水か空気かのように飲み込む奴に
野菜の小皿を押し出されれば即タブレットペンの先で押し返す
お前が頼んだならお前が食うんだな
開き直った奴には態とらしく深い溜息を
……そいつに怒られたくないなら黙って野菜を食え
告げ口されたくないならな
アナンシ・メイスフィールド
クラレンス君f30962と
銀の雨かね…
…と、否、感傷に浸って居られないのだよ
クラレンス君、共にゴースト退治に向かおうではないね、うんうん
クラレンス君と共にファミリーレストランで食事を
同僚と食事という体を装いつつ500gのステーキを頼むよ
クラレンス君、その量では足りないのではないね?
これを食べ給えよ
そう小皿に付け合わせの野菜だけを移動させればずいっとクラレンス君の方へと差し出してみるよ
…私は蜘蛛だよ?
蜘蛛が野菜など食べるわけないではないね!
そう断られたら胸を張り宣言を
無駄にすると怒る子がいるのだよ…いいから食べてくれ給えよ、うんうん(ずい
…告げ口は卑怯ではないかね!?
仕方ない、食べるのだよ…
雨足が強くなってきていた。降り注ぐ雫の音色は、ハーモニーと呼ぶにはあまりに拙く――傘を滑り落ちていく雨粒の纏う銀色に、クラレンス・オズバート(夜間飛行・f30962)の瞳が不服そうに揺らいだ。
「……フン、」
冷ややかな夜の闇に、熾火の如き炎が燻る。決して烈しいものではないのに、孕んだ熱は深くて重い。
「銀の雨かね……」
と、そんなクラレンスの溜息を聞きつけて、続く言葉を口にした、アナンシ・メイスフィールド(土蜘蛛・f17900)が手のひらを翳す。
――少しくらいなら、濡れても良いと思っているのか。彼の長い手足に絡み付く水滴は、蜘蛛の巣が纏う雫を思い起こさせて、クラレンスの瞳が益々険しくなっていく。
「懐かしさなどより、煩わしさが勝るが」
「まぁ……と、否、感傷に浸って居られないのだよ」
のらりくらりと、人を喰ったような態度を取るアナンシに、感傷など後にしろ――と吐き捨てると。一足飛びでスロープを駆け上がっていく彼は、インバネスの裾を優雅に靡かせながら、クラレンスに向けて恭しくドアを開いた。
「では――クラレンス君、共にゴースト退治に向かおうではないかね」
「ああ、とっとと仕事を片付けるぞ」
「うんうん」
――とは、言ってみたものの。賑やかな店内で男ふたり顔を突き合わせて、メニュー表を見比べることになったクラレンスは激しく悩んでいた。
「まず行うことがファミレスを楽しむ、か……?」
「あれ、こういう店って来た事無い?」
オーダーメイドのスーツに身を包む彼の姿は、ファミレスのチェーン店では少し浮いていた。アナンシのほうも似たような恰好だと言うのに、何故だか馴染んでいる気がするのはどうしてなのか。
「斯様な場所での食事は、馴染みが無いが……」
「同僚と食事という体を装うとしようか。……あ、コース料理とかは無いからね」
何も頼まないのも却って目立つだろうと、適当に注文をしようとしたクラレンスに向けて、さり気なく釘を刺した自称同僚を睨みつける。
――そんな訳で、頼んだコーヒーとサンドイッチをテーブルに置くと。クラレンスは無言のまま、楽譜とタブレットを広げて仕事を開始したのだった。
「……クラレンス君、その量では足りないのではないね?」
その向かいでじゅうじゅうと香ばしい音を立てる、グリルのステーキは500gくらいあるだろうか。正気を疑う量だったが、アナンシはそれをまるで水か空気のように飲み込んでいくのだから恐ろしい。
「ほら、これを食べ給えよ」
そう言って付け合わせの野菜が、小皿に乗ってすすっとクラレンスの方へ押し出されてきたが――すぐさまタブレットのペン先で突き返して、冷ややかな声で告げる。
「お前が頼んだならお前が食うんだな」
「……私は蜘蛛だよ? 蜘蛛が野菜など食べるわけないではないね!」
すすすと返された野菜の小皿を恨めしそうに見遣り、それでも胸を張るアナンシに、態とらしく深い溜息を吐いて応えれば。ちょっぴりしおらしい表情を見せた彼は、再び皿をずいっと押し出して懇願してきたのだった。
「無駄にすると、怒る子がいるのだよ……いいから食べてくれ給えよ、うんうん」
開き直ってからの泣き落とし――こいつが同僚だと言うのなら、お互いの将来の為にも厳しく接しなければ。そんなことを思ったクラレンスの表情は、外の雨を吹き飛ばすほどに清々しいものだった。
「……そいつに怒られたくないなら、黙って野菜を食え。告げ口されたくないならな」
「……告げ口は卑怯ではないかね!?」
嗚呼、仕方ない、食べるのだよ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
幽谷・倖
普段はファミレスとかあんまり行かないから、なんだか新鮮な感じ
これもお仕事だから堂々としていていいんだけど
時間も時間だしがっつりは食べない方がいいかな……でもどれも美味しそうだし……
腹ごしらえは大切だ、と決心して選んだのはキノコハンバーグ定食
ソースとお肉の香りが食欲をそそる
これを食べてしっかり戦いに備えないと
という訳でいただきます
……ん、美味しい
ハンバーグは勿論キノコが良いアクセントになってる
セットのサラダにご飯、お漬け物も美味しくて
しかもお値段お手頃なんだよね
すごいなぁ……
食べ終わったらドリンクバーも頼んで、コーヒー片手に暫くのんびりしていよう
……モンブランも頼んじゃっていいかな
今日は特別だし
ちいさく深呼吸をしてから、自動ドアのボタンを押して中へ向かう。木目調の店内は、夜の闇に慣れた目には少々明るくて――幽谷・倖(日華・f35273)はそっと背筋を伸ばしてから、店員のほうへと向き直った。
(「普段はあんまり来ることないから……なんだか新鮮な感じ」)
寮暮らしと言うこともあり、外で食事をする機会は殆どなかったかも知れない。人数を訊かれて「一人です」と答えるのもくすぐったく、その後で「不機嫌そうだと思われなかったかな」なんて考えが過ぎって顏を伏せた。
(「これもお仕事だし、堂々としていていいんだけど」)
――倖の着ている制服は、銀誓館学園の高等部のものだ。かつての能力者たちが集う学び舎は、再び銀色の雨が降り注ぐ時代を迎えたことにより、大きな転機を迎えようとしている。
(「……それはそれ、として」)
先ずは、真剣な表情でメニューと向き合う。自分では特に意識していないのだが、そうしているとクールで大人びた雰囲気だよね、などとクラスメイトには言われるけれど。
「時間も時間だし、がっつりは食べない方がいいかな……」
物憂げな表情で呟く悩みは、今日のご飯に何を食べるのか、だ。くせっ毛をくるくる弄りながら捲ったメニューの中では、可愛いきのこのイラストが倖を手招きしていた。
「でも、どれも美味しそうだし……ううん」
鋭い視線を巡らせつつ、腹ごしらえは大切だとの結論に達した彼女が選んだのは――お薦めに書かれてあったキノコハンバーグ定食。
「……わ、美味しそう」
そうして運ばれてきた皿からは、さっそく食欲をそそるソースとお肉の香りが漂ってくる。和風ガーリックは醤油で味付けされていて、しめじとエリンギの組み合わせも絶妙、ヘルシーなのにボリュームもたっぷりだ。
「これを食べてしっかり戦いに備えないと」
両手を合わせて「いただきます」は忘れずに、キノコのアクセントを楽しみつつハンバーグを口にする。セットのサラダと炊き込みご飯も美味しくて、お漬け物を食べ終える頃には、二杯目のコーヒーのお代わりに向かっていた。
「これでお値段お手頃なんだよね、すごいなぁ……」
ほんのり甘いカプチーノを味わっていると、もう少しだけファミレスでの時間を楽しみたいと思ってしまう。
「……モンブランも、頼んじゃっていいかな」
うん、今日は特別だし――そう自分に言い聞かせて倖がボタンを押せば、「ぴんぽーん」と明るいメロディが店内に響き渡ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
陽向・理玖
【月風】
瑠碧ファミレス初めてだろ?
結構人が多いとこだからこんな時じゃないとな
俺もちょっと憧れてたんだ
恋人と放課後ファミレスで駄弁るとか
縁がないと思ってたから
何頼む?
結構スイーツもあるんだぜ
ほらパフェとか
俺マスカットのパフェにドリンクバー
でもきのこグラタンとかも美味そうだな
どっちも頼むかな
瑠碧もドリンクバー付けとけ
飲み放題だから
で
ドリンク取りに行こうぜ
手を取り
何にしよっかな
オレンジと炭酸半々してみるか…
炭酸オレンジに追い炭酸…
強炭酸だってこれ足してみよ
グラタン来た
きのこ旨っ
瑠碧も食ってみろよ
差出しドリンク一口
炭酸きっつ
次俺もオレンジティー試そ
梨貰い
さっぱりしてて旨
マスカット乗せ返し
ああ
堪能してる
泉宮・瑠碧
【月風】
ふぁみれす、とは…?
つまり、カフェーや食事処ですか
放課後…?
文明社会は不慣れですが
理玖の憧れというのは分かりました
メニューが沢山で少し混乱したので
スイーツのページだけ眺め
…では、私は梨のパフェが良いです
あと、そのドリンクバーというので
飲み放題?
と不思議がりつつ手を引かれて行きます
飲み物の機械の前で、固まり
…やり方が、分からないです…
理玖の方法を見て真似して
私はアイスティーにオレンジを足しますね
パフェにきらきら
食感と爽やかな甘さが美味しいです
グラタンも美味しそうですね
わ、一口いただきます…あつ
…あ、美味しい
理玖も、梨のパフェの味見どうぞ
お返しのマスカットも美味しい…
…憧れは、叶いました?
――瑠碧、ファミレス初めてだろ?
慣れた様子で席へと向かう、陽向・理玖(夏疾風・f22773)の後ろをそろそろと着いていく、泉宮・瑠碧(月白・f04280)が小首を傾げる。
「ふぁみれす、とは……?」
硝子のように弾けた声は、賑やかな店内でもはっきりと分かる。ああ、やっぱり可愛すぎるな――と照れた顏をメニューで隠しながら、理玖は椅子を引いて彼女に座るよう促した。
「結構人が多いとこだから、こんな時じゃないとな」
「成程。つまり、カフェーや食事処ですか」
辺りを見回せば、思い思いに寛ぐ仲間たちの姿が見える。格式ばった店と言うよりは、冒険者の集う酒場のような場所なのだろうか。
「……実は、俺もちょっと憧れてたんだ。恋人と放課後ファミレスで駄弁るとか、縁がないと思ってたから」
――有線から流れてくる明るいポップスと、理玖の呟きが一瞬重なった。恋のときめきを歌う歌詞と、向かい合わせに座った彼の微笑みが眩しく感じられて、どんな風に返せばいいのかと瑠碧は戸惑ったのだが。
「放課後……? あの、文明社会は不慣れですが」
緩やかに上下する己の感情がもどかしく、それでもどうにか彼に思いを伝えようと唇を動かす。時おり眺めるメニューの情報が上手く頭に入ってこないのは、少し混乱しているからなのかも知れない。
「……理玖の憧れというのは分かりました」
「うん、じゃあ何頼む?」
控えめに覗き込んでくる瑠碧に合わせて、デザートのページを広げた理玖がお薦めを教えてくれる。メニューが多すぎて最初は戸惑ったものの、カラフルなパフェの写真を眺めていると普段の調子が戻ってきた。
「……では、私は梨のパフェが良いです」
「俺、マスカットのパフェにドリンクバー。……でも、きのこグラタンとかも美味そうだな」
どっちも頼むかな、と食べ盛りらしさを発揮する理玖は、「ドリンクバー」なるメニューを瑠碧に薦めてきてくれた。何でも、セルフサービスの飲み物らしいのだが――不思議がる彼女の手を引いて向かった先では、不思議な機械が幾つも並んでいた。
(「……やり方が、分からないです……」)
「何にしよっかな。オレンジと炭酸半々してみるか……」
慣れた手つきでボタンを押す理玖を横目で見れば、機械からグラスに向けて注がれる液体を上手くブレンドして、好きな飲み物を作れるらしい。
「炭酸オレンジに追い炭酸……強炭酸だって」
――見よう見まねで、瑠碧もアイスティーにオレンジを足してみたが、たぶん大丈夫のはず。そうして席に戻った辺りで、注文したメニューが次々に運ばれてくる。
「グラタン来た、きのこ旨っ……瑠碧も食ってみろよ」
「こちらのパフェは、食感と爽やかな甘さが美味しいです」
ほくほくのグラタンから現れたきのこと、ひんやりした甘さのパフェをひと口ずつ交換して、その温度の違いにびっくりしつつも。ドリンクを流し込んだ理玖はと言えば、強炭酸のきつさに目を細めているようだった。
「うう、次俺もオレンジティー試そ」
「……あ、美味しい」
瞳を和らげて微笑む瑠碧のもとへ、梨のお返しに爽やかなマスカットを乗せ返す。流れる曲が緩やかなラブ・ソングに変わっていくなかで、深い青の瞳が理玖を見つめていた。
「……憧れは、叶いました?」
「ああ、堪能してる」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【夜】
死と隣り合わせ、なぁ
(ファミレスの窓越しに見る街は、一見は戦乱や怨念なんて程遠そうでいて、何処か――)
(刀や身の内に潜むモノが、何かに同調するように虫の知らせを囁けど、今は未だ――素知らぬ顔で日常に溶け込み)
俺達の故郷と様相は違えど、此処も中々大変そーだが――何てーか、面白そーな世界だな
…ああ、ウン
お前は早速謳歌してて何よりだよ!
(ほんの一瞬真剣な思いを巡らせていた隙に、えっ
死と隣り合わせの青春どころか、ただの飯と隣り合わせの白秋になってた)
あ~!どーせならオレも、甘~いパフェと共に甘~いアオハルを味わってみたかった…(入れ違いで帰ってった女子達が恋バナに花咲かせてた様子を思い返し――目の前には食気野郎一人という現実に返り、がくり)
(それから駄弁ったり軽食楽しみつつ、ふと隣席で勉強中の学生を見て)
あ、キミ、もしかして傘持ってない?
もうじき“雨の予報”っぽいから、今の内に帰った方が良いと思うぜ
恋も勉強も頑張ってな~、なんて!
(鞄に揺れる学業成就と恋愛成就の御守見て、微笑ましく見送り)
千家・菊里
【夜】
こうしている分には至って穏やかに見えるだけに、厄介なものですよねぇ
(死や禍の気配に鋭い俺達の様な者なら未だしも、抗うどころか覚える事すら叶わぬ人が大半の中、よくぞ此処まで――)
(なんて思考も束の間、鼻を擽る料理の匂いに秒で日常へ立ち返り――
伊織が静かな間に、さらっとまるっとメニュー一式注文した!)
しかし、いやぁ、本当に――安くて美味しいものがこんなに沢山あるなんて、実に味わい深くて面白い世界ですねぇ
(定食を手始めに、全力で食欲の秋を謳歌し始め)
ふふ
美味しい匂いで頭が一杯になってしまった以上、お腹も一杯にするしかないでしょう
こいばな?花?う~ん、伊織は素行不良気味ですからねぇ
河原でぽつんと膝抱えて黄昏てる(×甘い◎只管しょっぱい)図しか浮かばないんですが
(それから然り気無く仕事も忘れず)
ええ、折角こんなに頑張っているのに、雨に打たれて本番で風邪なんて辛いですからね
どうぞお気を付けて、良き青春の日々を
(自分達も戦乱と隣り合って育った身だけに、若者達の日常は、せめて少しでも――と祈って)
夜を駆逐していく眩い灯りに紛れて、妖しのもの達がふらりとドアをくぐる。故郷ならば暖簾が出迎えてくれたのだろうが、ファミレスの店内は明るく、ゆったりと間隔が取られた席には解放感があった。
「……死と隣り合わせ、なぁ」
窓をつたう雨雫を、そっと指先でなぞった呉羽・伊織(翳・f03578)の向かい――朗らかに笑っているのは、千家・菊里(隠逸花・f02716)だろう。ガラスに映り込んだ照明の下で、嬉々としてメニューを捲っている姿を見るに、やはり食い気が出てきたのか。
「こうしている分には至って穏やかに見えるだけに、厄介なものですよねぇ」
――てっきりお薦めの定食に心奪われていると思っていたら、彼は確りと伊織の呟きを捉えていたらしい。柔く細められたその目は窓越しの、銀色の雨に濡れた街並みを見ていた。
「一見、戦乱や怨念なんて程遠そうでいて、なのに何処か――」
無意識に零した言葉を遮るように、激しい雨粒がガラス窓を叩く。きらきら瞬く白銀の光は、伊織の思考をかき乱そうと妖しく身悶えて――やがて水滴に滲む景色の向こうで、得体の知れないものが蠢く気配がした。
(「否。今は未だ、だ」)
――傍らに置いた刀と伊織の身の内に潜むモノが、何かに同調するように震えていた。虫の知らせ、と言うべきそれを素知らぬ顔で受け止めながら、日常に溶け込むことを意識する。
伊織や菊里のように、死や禍の気配に鋭いもの達なら造作もなく行えること。しかしこの世界では、抗うどころか覚える事すら叶わぬ人が大半なのだ。
(「よくぞ此処まで――と言うべきでしょうか」)
世界を取り巻く結界によって常識は歪み、神秘は秘匿され、気づいたところで記憶は忘却される。そんなことに思いを馳せる菊里だったが、鼻を擽る料理の匂いがふんわり漂ってくれば、秒で日常へ立ち返ることが出来るのだった。
(「……ふむ、伊織は未だ静かですね」)
遠い目をして夜景に見入っているヤドリガミが、ぎゃあぎゃあ騒ぎ出す前に、素早く店員さんを呼んでまるっとメニュー一式注文を済ませる。
「これ全部食べるんですか」と目を丸くしている彼女に、「勿論、俺一人ぶんですよ」と笑顔で答えたら、青い顏をして厨房へ走っていったようだが、恐らく問題は無いだろう。
「俺達の故郷と様相は違えど、此処も中々大変そーだが――何てーか、面白そーな世界だな」
材料が足りない、急いで作れ等々、奥のほうから悲鳴混じりの声が聞こえてくる様子に、伊織は怪訝そうな顔をしていたものの。
「しかし、いやぁ、本当に――安くて美味しいものが、こんなに沢山あるなんて」
「……ああ、ウン」
――直後、テーブルに続々と運ばれてきた料理を見て、合点がいったのだった。
「実に味わい深くて、面白い世界ですねぇ」
「お前は……早速謳歌してて何よりだよ!」
ぐつぐつ煮える鍋を前に、にこやかに微笑む菊里の箸のあいだで、ぷりぷりの海老が踊っていた。和風の定食メニューは結構本格派のようで、きのこの天ぷらの隣には熱々のお蕎麦もある。
「えっ、何? 何でオレがほんの一瞬、真剣な思いを巡らせていた隙にこんな事になってんの?」
「ふふ、……美味しい匂いで頭が一杯になってしまった以上、お腹も一杯にするしかないでしょう」
未だ上手く現実を把握できていない伊織が、テーブルと窓の外を見比べている最中にも、まだまだ料理は押し寄せていた。丼ものが来たと思ったら、今度はイタリアン――ジューシーな揚げ餃子の次には、とろぉりチョコとキャラメルの乗ったパフェが到着する。
(「……死と隣り合わせの青春どころか、ただの飯と隣り合わせの白秋になってる」)
自分の座る席まで迫ってくる勢いの料理に、つい現実逃避しそうになる伊織を、責める訳にはいくまい――そう言えば、入れ違いで帰っていった女子達は近くの生徒だったりするのだろうか。きゃっきゃと恋バナに花を咲かせる姿は華やかで、甘いものをつつく仕草もこう、恥じらう感じがあって愛らしかった。
「あ~! どーせならオレも、甘~いパフェと共に甘~いアオハルを味わってみたかった……!」
「こいばな? 花? ……う~ん、伊織は素行不良気味ですからねぇ」
――なのに。目の前の食気野郎は、開き直った態度で一口にアイスを食べていると言う哀しい現実。がくりと肩を落とした伊織に降り注ぐ、菊里の追い打ちは容赦ない。
「河原でぽつんと膝抱えて黄昏てる、甘い……じゃなくて、只管しょっぱい図しか浮かばないんですが」
「くっ、全力で食欲の秋を謳歌してる奴には、好きなだけ言わせておくとするさ……!」
スプーンの先でゆらゆら揺れる、ホイップ混じりのフルーツが恨めしかったけれど。そんな風に軽口を叩き合いつつ、伊織のほうも食事を楽しんでいるようだった。
「あ、キミ、もしかして傘持ってない?」
――ふと、隣の席で参考書を開いていた学生に声をかける。浮世離れした美貌の二人組に、ぱっと顔を上げて固まった少女は、一瞬自分が声を掛けられたのだと信じられないように見えたけれど。
「もうじき『雨の予報』っぽいから、今の内に帰った方が良いと思うぜ」
「ええ、折角こんなに頑張っているのに、雨に打たれて本番で風邪なんて辛いですからね」
大らかな笑みを見せた菊里の近く、広げっぱなしだった模試の結果に気づいたのか、少女は顔を真っ赤にしてこくこくと大きく頷いてみせたのだった。
「……どうぞお気を付けて、良き青春の日々を」
「恋も勉強も頑張ってな~、なんて!」
勉強を終え、席を立つ少女が「尊い……」と微かに呟いたような気がしたが、たぶん大丈夫だ。そうして然り気無く一般人を避難させていくふたりは、死と隣り合わせの青春と言うものを、確かにその肌で感じ取っていたのかも知れない。
(「俺達も、戦乱と隣り合って育った身だけに、ね」)
――少女の鞄で、学業成就と恋愛成就の御守が揺れていたのを思い出し、微笑む伊織に菊里が頷く。
(「若者達の日常は、せめて少しでも――」)
そう祈ることだけは、させて欲しいと思ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白姫・綾絲
【花天】
(世界は違えど自分達も学生――という事で、温かな軽食を供に、暫し平和に勉強に励みつつ)
此方の學府…いや、学園というのかな
雰囲気こそ異なるけれど、僕達の世界と何処か通じるところもあって、何だか親近感が湧くね
(ふと平和な食事処の様子へと視線を移し――この日常の為に影で力を尽くして来たという、名も知らぬ学徒達に思いを馳せて)
うん――少しでも、力になれると良いね
(勉強も丁度一段落したところで、改めてメニューを取り)
さて、勉学も世界も色々と興味深いところではあるけれど、今は――春ちゃん、『秋の限定スイーツ』が気になってるよね?
(隣席で盛り上がる女学生らしき子達をちらりと見て、少し悪戯っぽく微笑んで)
ふふ、僕も気になっていたから大丈夫だよ
じゃあ今からは、この世界の甘味の勉強という事で
(甘味を楽しみつつ、不意に隣席にも届く程度に話声をあげ)
ああ、そろそろ人気ドラマの放送時間だね
うん、今から帰れば間に合うだろう
明日の話題も、楽しくなるといいね
(――そう願って、然り気無く女学生達の帰宅を促す様に)
永廻・春和
【花天】
(今は未だ、兵として立つ場ではなく、学生として日常を謳歌すべき時なれば――温かに和やかに、軽食や本分に浸り)
はい、此方の皆様も勉学に事件にと、目紛るしくお過ごしの様ですね
初めて訪れた地ですが、何処となく感慨深い心地になります
(同じく、平和の結晶の様な、優しく目映い周囲の空気に目を細め)
出自は違えど、きっと志は同じ方々が築き上げた日常と平穏――微力でも、其の支えとなりたいものですね
(それから軽食も減っていた事に気付き、一緒にメニューを覗き)
あ、その――はい
(図星、の顔――実は先程から、正に隣席の方々の女子会談笑が耳に届いていて)
此方の甘味はどの様な彩りや味わいなのかと、少し興味がですね
(ちょっぴりはにかみつつ、提案に頷き)
名案を有難う御座います、では是非その様に
(嬉しげに秋の味覚と息抜きの一時を味わいつつ、然り気無く綾兄様に合わせ)
本当ですね、もうこんな時間
今日は切り上げた方が良いでしょうか
はい、明日もまた、きっと良き日にしましょう
(彼女達の変わらぬ平和を、晴れやかな明日を祈って)
入れ替わりに店を出ていく女生徒が、慌てて傘を広げる様子を微笑ましく見守る。水玉模様の向こうに揺れていたのは、学業成就の御守だったのかも知れない。
(「世界は違えど、自分達も学生……ですので」)
冷たい秋の雨は、周囲の熱を無情にも奪っていく。けぶる視界で銀色に輝いたのは、跳ねた雫か。それとも白姫・綾絲(素心若雪・f22834)の、柔らかな髪であったのか。
「さぁ、行きましょうか。温かな軽食を供に、暫しの平和なひと時へ」
「ええ。学生の本分も、忘れてはなりませんね」
霞の向こうで身じろぐ桜は、可憐な少女となって淑やかに微笑んでいた。時代がかった制服は、セピア色の写真から抜け出したようにも見えたが――永廻・春和(春和景明・f22608)が優雅に一歩を踏み出せば、辺りは忽ち色づき、銀の雫に桜色の煌めきが混じる。
(「今は未だ、兵として立つ場ではなく、学生として日常を謳歌すべき時なれば」)
コヲトに忍ばせた退魔の刀を、そっと撫でたあとでファミレスへ入る。猟兵としての能力と、世界結界の影響もあるのか見咎められることは無い。
――だけど、あくまで温かに和やかに。席についてさっそく教本を取り出す春和に、綾絲がゆったりと水を向けた。
「此方の學府……いや、学園というのかな」
「はい、銀誓館と言いましたか」
勉学に励みつつ、学友との会話を楽しむのも良いだろう。辞書を片手に調べものをする綾絲の手のひらで、万年筆がくるりと回る。
「雰囲気こそ異なるけれど、僕達の世界と何処か通じるところもあって……何だか親近感が湧くね」
「此方の皆様も勉学に事件にと、目紛るしくお過ごしの様ですね」
一般客はだいぶ少なくなっていたが、この世界で戦っていた能力者たちも、こんな風に放課後を過ごしていたのだろう。
「……初めて訪れた地ですが、何処となく感慨深い心地になります」
ふと平和な店内に目を遣れば、相談に興じる彼らの姿が蘇ってくるかのようで。この日常の為に、影で力を尽くして来たという、名も知らぬ学徒達――そんな彼らに綾絲が思いを馳せていると、春和のほうも目を細めてファミレスの雰囲気を楽しんでいるらしかった。
「微力でも、其の支えとなりたいものですね」
――出自は違えど、きっと志は同じ方々が築き上げた日常と平穏。あちこちから聞こえるとりとめのない会話は、その言葉のぶんだけ幸せがあると春和に教えてくれるようで、平和の結晶の様な空気に吐息を溶かす。
「うん――少しでも、力になれると良いね」
やがて勉強会も一段落すれば、頼んでいた軽食は随分と減っていた。バスケットの中のホットサンドは空になり、山盛りだったポテトも残りわずか――。
「さて、勉学も世界も色々と興味深いところではあるけれど……今は、」
辞書の代わりにメニューを取り出した綾絲は、そのまま隣席で盛り上がる少女たちにちらりと目を向ける。一緒にメニューを覗き込んでいた春和が、心なしかそわそわしているのが分かって、くすりと微笑んだ。
「……春ちゃん、『秋の限定スイーツ』が気になってるよね?」
「あ、その――はい」
図星を突かれた彼女の表情が、大人びたものから年頃の少女のものへと一気に変わる。実は先ほどから、隣の女子会談笑が耳に届いており、甘いものを食べ比べているその様子がとっても楽しそうなのだった。
「此方の甘味はどの様な彩りや味わいなのかと、少し興味が、ですね……」
――恥じらう姿は、正に大和撫子。なのに戦場で刀を手にする彼女の姿を思い起こせば、少し悪戯っぽい微笑みが綾絲に浮かんでしまって。
「ふふ、僕も気になっていたから大丈夫だよ。……じゃあ今からは、この世界の甘味の勉強という事で」
「……では、是非その様に」
名案を有難う御座います、と頷いた春和は、ちょっぴりはにかみつつメニューを捲る。帝都でも馴染みのあるあんみつは、つぶつぶの餡子とふんわりクリームに黒蜜をかけたもののよう。
「他は……ハイカラな甘味が多いようですね」
秋限定に相応しく、ふんだんにあしらった季節の果物が春和たちを楽しませてくれる。瑞々しくパフェに盛りつけられたのはマスカットで、艶やかな梨のタルトの上には葡萄とサクランボが乗っていた。
モンブランに合わせたのは、まろやかなマスカルポーネ。最後に口あたりの爽やかなヨーグルトムースを頂けば、幸せな時間はあっという間に過ぎていく。
「――ああ、そろそろ人気ドラマの放送時間だね」
「本当ですね、もうこんな時間」
食後の紅茶をひと口啜ってから、不意に話声のボリュームを上げた綾絲に、然り気なく相槌を打つのは春和。隣の席の子たちが「え!」と声をあげたことを確かめつつ、席を立つような素振りを見せる。
「……今日は切り上げた方が良いでしょうか?」
「うん、今から帰れば間に合うだろう」
帰宅を促す気配に背中を押されたのか、「もうこんな時間!」と慌てる声が次々に上がると、ガタガタと椅子を鳴らす音がして少女たちがレジへ向かっていった。
(「すっごい綺麗な人たちが隣にいたよね。同い年……じゃないか、大人っぽかったし」)
(「やっぱ、モデルとか芸能人だったのかなぁ」)
(「オーラがやばかった……!」)
――ひそひそ話に紛れる噂はきっと、平和な日々の証だろう。優しく目映いファミレスの空気を、最後にもう一度吸い込んでから、息抜きのひと時を終えたふたりも席を立つ。
「……明日の話題も、楽しくなるといいね」
「はい、明日もまた、きっと良き日にしましょう」
――彼女達の変わらぬ平和を、晴れやかな明日を祈って、戦場へ向かう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『サイコチェーンソー』
|
POW : 殺人チェーンソー
【チェーンソー】が命中した対象を切断する。
SPD : サイコスピン
【狂乱しながらの回転斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ノイズチェーンソー
自身の【チェーンソー】から【強烈な駆動音】を放出し、戦場内全ての【防御行為】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:青柳アキラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――有線から流れていた音楽がちいさくなって、代わりに雨の音が烈しさを増した。
「うぅううぁああああ」「ががぐこぉう」
夜のファミレスを目指すように、奇妙な人影の群れがゆらゆらと窓の向こうから近づいてくる。ぼろぼろの服と鉄仮面は、昔のスプラッター映画に出てくる殺人鬼の扮装に似ていた。
悪趣味な血糊は、降りしきる銀の雨のなかでもてらてら「おおぅええああ」「ぎぃええぐ」と光って、唸りをあげるチェーンソーは、雨粒を弾いて闇夜にノイズを振り撒く。
肌が粟立つのは、ゴーストのおぞましさ故のことではない。急激に汚染されていく世界にあって、ひとびとが誰もその「異常」に気づいていなかったからだ。
(「これが、死と隣り合わせの青春……ってヤツか」)
放課後と呼ぶには遅い時間になったけれど、店内の人払いは済ませてある。あとは此方から打って出れば、大きな被害を出さずに戦うことが出来るだろう。
(「腹ごなしの運動には、丁度いいかな」)
Come again another day――ああ、寧ろ、奴らにはこう言うべきか。
「――おとといきやがれ、だ」
筧・清史郎
オズ(f01136)と
一度は守られた世界に再び降る、銀の雨…か
とても楽しく美味だったな、オズ
すむーじーは朝食に飲むのも良さそうだ
ぐるぐる回る機械は何処で購入できるのだろうか…(気に入った
それを聞く為にも確りと終わらせよう
ああ、招かれざる客が沢山だな
運命の糸とやらが俺達に繋がったのならば、成すべき事を成す
参ろう、オズ
銀の雨が脅威を呼ぶならば
桜嵐でそれを吹き飛ばしてやろう
敵の刃も当たらなければいい話
花霞の残像で翻弄、確り見切り躱し
俺とオズに近寄らせぬよう桜嵐巻き起こす
友が存分に力を揮えるよう、邪魔はさせない
そうだな、気付ける俺達が払えばいい
俺もまたファミレスをオズと楽しみたいしな
全てお還り願おうか
オズ・ケストナー
清史郎(f00502)と
うん、たのしかったしおいしかったっ
おわったらあのぐるぐるってどこに売ってますかって聞いてみよっか
きたね、セイシロウ
いっぱいだ
うん、いこうっ
声は元気よく
目は相手を観察
言葉が通じないことはわかったから
斧構えて蒲公英の歌
防御の必要もないくらい
つよいちからを振るえばいい
それは、きみたちをかえらせるためのちからだよ
桜嵐に助けられるのも何度目か
はっきりその先を見て斧を振るえる
おかしいことに気づかないのは、わるいことじゃないよね
おばけやしきじゃないのにゴーストにこんにちはされたら、
きっとみんなびっくりしちゃうもの
そうだねっ
みんながあんしんしてファミレスできるように
おかえりはこちらだよ
ファミレスの外へ飛び出した直後、冷たい雨粒が頬を叩く。夜の闇は思ったほど暗く感じられなくて、弾ける雫のひとつひとつが宝珠のようにくっきり輝いているのを、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)確かめることが出来た。
「一度は守られた世界に再び降る、銀の雨……か」
空の裂け目より降り注ぐ、銀色の欠片を幻視する。三日月が浮かんでいると思ったのは、奇妙な明るさ故のことだったのか。
――月は見えなかった。だが、通りの向こうからゆらゆらと歩いてくる、亡者の集団はまぼろしなどでは無い。雨の音がいつしか、チェーンソーの駆動音と不気味な呻き声に置き換わっていくなかで、清史郎は物怖じすること無く隣の友人に声を掛けた。
「とても楽しく美味だったな、オズ」
「うん、たのしかったしおいしかったっ」
ぴょこんと跳ねる気配とともに返ってきた、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)の声が、寒々とした夜の空気を温めていく。先刻は、ドリンクバーで色々な飲み物を試したふたりだが、清史郎のお気に入りはスムージーらしかった。
「朝食に飲むのも良さそうだったな。……ぐるぐる回る機械は、何処で購入できるのだろうか」
「あのぐるぐるってどこに売ってますかって、聞いてみよっか」
業務用のフローズンマシンを思い浮かべながら、ふふっと笑い合う。サイコチェーンソーの群れが包囲を狭めていくなかで、ギリギリまで引き付けてから一気に攻めようかと、清史郎の瞳に朱が灯った。
「それを聞く為にも、確りと終わらせよう」
「――きたね、セイシロウ。いっぱいだ」
招かれざる客たちは、窓ガラスを叩き割って店内に押し寄せていくつもりらしい。オズがちらりと向けた視線は、鉄仮面の奥の濁った瞳を捉えたものの、言葉が通じる相手ではないと直ぐに分かった。
「運命の糸とやらが俺達に繋がったのならば、成すべき事を成す。……参ろう、オズ」
――かつての世界で、能力者たちもこんな風に戦っていたのだろう。最前線で戦う彼らの意志が、その時々の「最良」を選び取ったから、こうして今の「未来」がある。
「うん、いこうっ」
糸は確かに繋がって、清史郎もオズも此処に居るのだと、迷うこと無く武器を構える。元気よく声を掛けたオズに対し、チェーンソーのノイズが四方から襲い掛かるが――直後に響いた優しい歌が、不吉な咆哮を打ち消すように夜空を舞った。
「銀の雨が脅威を呼ぶならば――」
春の陽だまりを思わせるオズの歌は、勇気の花を咲かせる蒲公英の歌。その鼓舞とともに刀を手にした清史郎が、蒼の刃を一閃すれば嵐が起きた。
「桜嵐でそれを吹き飛ばしてやろう」
季節外れの桜が艶やかに舞って、サイコチェーンソーの集団を一気に吹き飛ばしていく。更に花びらに紛れた蒲公英は獅子の牙となって、桜嵐の切れ味を増幅させていくのだ。
「それに、敵の刃も当たらなければいい話だ」
「うん、防御の必要もないくらい、つよいちからを振るえばいい!」
その言葉通り――殺人鬼の振るうチェーンソーが切り裂いたのは、花霞の残像であったらしい。涼しげに微笑む清史郎が、再び葬送の嵐を生むと、枯葉の如く舞うゴーストに向けられた刃は、銀の雨となって降り注いでいった。
「……でも、おかしいことに気づかないのは、わるいことじゃないよね」
――彼の桜嵐に助けられるのも、これで何度目になるだろう。ゴーストを還す力を斧に籠めていくオズは、アスファルトに叩きつけられた亡者を目にして、ぽつりと呟いた。
「だって……おばけやしきじゃないのにゴーストにこんにちはされたら、きっとみんなびっくりしちゃうもの」
「そうだな、気付ける俺達が払えばいい」
近くの交差点では、そろそろ信号が赤に変わろうとしていた。滞ることの無い車の流れ――それを確かめた清史郎は、オズが存分に力を揮えるように前へ出る。
「邪魔はさせない。……俺もまた、ファミレスをオズと楽しみたいしな」
「そうだねっ、みんながあんしんしてファミレスできるように」
――彼が居るから、はっきりその先を見て斧を振るえる。蒸気の力で加速を得たオズの刃が、力一杯サイコチェーンソーをなぎ払うと、夜空の星になった彼らにふたりの声が重なった。
「全てお還り願おうか――」「おかえりはこちらだよ」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
陽向・理玖
【月風】
うわぁ…
UDCアースのとはまた違った感じのアレだな
瑠碧はこういうの大丈夫?
ほら見た目とか臭いとか
血塗れでも一寸違うじゃん
まぁやる事はいつもと変わんねぇか
普通の人が見えないってんなら見える奴が何とかしねぇとな
覚悟決め
変身して向かってくる敵に衝撃波飛ばしつつ
残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る
物騒な武器振り回してんなぁ…
でも振り回されてるよな?
テーブルや椅子、備品を挟み相対
敵の動きを阻害
動き読みやすくし見切り
直前でジャンプし避け
あっぶねー
カウンターで飛び蹴り
吹き飛ばして纏めてなぎ払い倒す
おっさすが瑠碧
弾いた隙にすかさず攻撃
折角楽しんでたのにマジわらわらうぜぇ
纏めて片付けてやる
UC
泉宮・瑠碧
【月風】
大丈夫かと言うと違いますが
ゾンビやスケルトンとか
あと
別の世界でも血塗れな相手は見た事ありますし…
そこまでは
倒される訳にはいきませんが
苦痛とか衝動とか、相手も可哀想な気もします…
風の精霊を招き
周囲の空気の振動を抑えます
駆動音が響かず
耳を押さえずに済む様に
可能な限り、風の流れで音を散らす様に
私は弓を手に円環命域
名がゴーストですし、少しでも浄化されてくれたら
視界内は見切り、視界外は第六感により
回避をしつつ
弓は見えるあの回転刃…ちぇーんそー?を射って
手から弾いたり、動作の妨害をします
なるべく、理玖が動き易くなる様に援護射撃
…蘇ってまで狂気や苦痛に苛まれて…
もう、おやすみなさい…どうか、安らかに
うわぁ……と窓の外を眺めながら、陽向・理玖(夏疾風・f22773)が溜息を吐いた。
雨の向こうで揺らめいているのは、がりがりにやせ細った死人の群れ。チェーンソーを引き摺って歩く彼らの姿は、邪神の眷属とはまた違った恐怖を、見るものに与えるのだろうが――。
「瑠碧はこういうの大丈夫? ……ほら見た目とか臭いとか」
「大丈夫か、と言うと違いますが」
念の為に近くのテーブルや椅子を積み上げて、即席のバリケードを作っていく理玖の傍ら、静かに深呼吸をする泉宮・瑠碧(月白・f04280)の表情は、どこか哀しげに見える。
「ゾンビやスケルトンとか、前にも戦ったことがありますので」
「うーん、血塗れでも一寸違うじゃん」
肉体を持つゴーストをリビングデッドと言う。愛するものの血肉を喰らうことで腐敗を食い止めることも出来るらしいが、目の前の敵はもう手遅れだろう。
「別の世界でも、血塗れな相手は見た事ありますし……そこまでは」
そう言った瑠碧は、ゴーストを前にしても落ち着いているようで、さっそく精霊の召喚に取り掛かっていた。先ほどの甘いデートの空気は一変し、物騒なチェーンソーの音とともに具現化した「死」が迫る。
――ああ、そう言えばホラー映画なんかだと、真っ先にカップルが襲われるのだったか。
「まぁ、やる事はいつもと変わんねぇか」
覚悟を決めて龍珠を弾けば、ヒーローに変身した理玖は衝撃波を放ち、向かってくる敵の勢いを削ぐ。
「普通の人が見えないってんなら、見える奴が何とかしねぇとな!」
「……はい、勿論、倒される訳にはいきませんが」
それでもオブリビオンの影響下にあって、絶え間ない苦痛と衝動に苛まれているのなら、相手も可哀想だと瑠碧は思っていた。
悲鳴や呻き声に似た駆動音を「ぐぁおおおぅうええ」「げげげごぉが」、招いた風の精霊が、周囲の空気の振動に干渉す「あああえええぉぉぉう」ることで抑える。
(「耳を抑えずに済むよう、可能な限り……!」)
ううぅぅぅ――今は啜り泣きのように聞こえるノイズは、幾分ましになっただろうか。ごうごうと唸りをあげる風を背に、精霊の弓を構えた瑠碧が狙うのは、騒音を生み出しているゴーストだ。
(「あの回転刃……ちぇーんそー? でしたか」)
円環命域の加護が場を満たしていくなかで、光の粒にたじろいだ敵の手元――物騒な凶器を狙って、立て続けに矢を放った。
「理玖、今です」
「おっ、さすが瑠碧」
――雨に輝く水の矢が、サイコチェーンソーの動きを封じて、そのまま地面に縫い留めていく。厄介な騒音が収まったところで、残像を纏う理玖が勝負に出た。
「物騒な武器振り回してんなぁ……でも、振り回されてるよな?」
一対一の間合いに持ち込む彼が、拳を叩きつけようとした瞬間、厭な気配がして咄嗟に跳躍する。その寸前に足元を掠めていったのは、殺人チェーンソーの刃だった。
「……あっぶねー」
貧弱そうな体格に似合わず、敵の膂力は凄まじい。それに緩慢な動きをするかと思えば、一気に此方へ疾走してくるものもおり――そういや最近のゾンビは走るんだっけ、と理玖はぼやいていた。
「でもなぁ、折角楽しんでたのに……マジ、わらわらうぜぇ」
――回避と同時に繰り出すのは、鮮やかな飛び蹴りのカウンター。地面に叩きつけられたサイコチェーンソーの頭部が、ぐしゃりと潰れた感覚に顔をしかめつつ、瑠碧の援護のもとで疾風怒濤の攻撃に移る。
「……纏めて片付けてやる」
――蘇ってまで、狂気や苦痛に苛まれて。なのに「うぉぉお怨怨おぉ」「あぁ呪呪」「呪呪呪呪」徐々に汚染が酷くなっていくのは、そろそろ本体がやって来るからなのだろうか。物言わぬ死体に戻った彼らに、瑠碧はそっと祈りを捧げていた。
「もう、おやすみなさい……どうか、安らかに」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィラン・アークソード
●心情
やれやれ、知ってはいたが久し振りに目にすると
やはり末恐ろしいものがあるな
どう考えても普通ではないこの状態に
一般人が何の違和感も感じていないのだから
崩壊するはずだった世界結界が蘇り
それがオブリビオン化してしまっているというのなら
それを滅ぼすのが猟兵としての仕事だが……
すぐには辿り着けないだろう
まずは目の前の事件をしっかりと解決していかなければな
●行動
もうすることはないと思っていたがわからないものだな
だが、戦うべき時が来たというのなら
俺がすべきことは一つだけだ
始めるとしよう……起動<イグニッション>!
極力店内での戦闘は控えたいが
状況が許さないのならば諦めよう
一般人の命には変えられないからな
敵の数は多いみたいだから
ヘヴンリィ・シルバー・ストームを使用して
纏めて攻撃してやろう
まさか自分がシルバーレインを操れるようになるとは思っていなかったが
使えるものはしっかり利用させてもらおう
ユッピ・ユピテール
●アドリブ&連携OKです
私が来たからには、ゴースト改めオブリビオンの好きにはさせない!(ドドーンとヒーローっぽく登場)
勝手が違うとは聞いているが、それはこちらも同じ事!
UCで、全盛期のユノをバトルキャラクターで召喚!
……なんかこの数字が増えたりするのナンバードみたいだが、気にしない事にする。
雑霊弾とリボンのコンビネーションに、私の必殺Vキャリバー(通常攻撃)でやっつけていく!
懐かしいなぁ……。
こうして私が戦えば、ホンモノのユノが戦いに出なくて済むのであれば、私は喜んで戦いに行こう!
(偉そうですが、子供っぽくてヒーロー気取りな、心優しい悪戯好きモーラットです)
幽谷・倖
……ごちそうさまでした
ご飯、美味しかった
元気になった分いっぱい頑張らないと
相手はいかにもって感じの化物……
怖いけど、怖がってばかりじゃいられない
勇気を出して立ち向かおう
確かにあのチェーンソーは脅威だろうけれど、それなら腕を振るわせなければいい
指先から蜘蛛糸を紡ぎ蜘蛛の巣を作り上げるよ
そのまま『土蜘蛛の檻』を展開して相手から腕力を奪っていく
多少は巣を切られてもいいように、たくさんたくさん
それに刃に糸が引っかかっていけば、切れ味も悪くならないかな
奪った腕力もしっかり活かそう
赤手を装着して思い切り腕を振り回すよ
奪い取った腕力も使えばかなりのスピードで振るえるはず
誰も傷つけさせないよ……!
「……ごちそうさまでした」
ぱしゃりと跳ねた水たまりに、幽谷・倖(日華・f35273)の呟きが、優しく吸い込まれていくと波紋に変わる。
(「ご飯、美味しかったな」)
明るいドアの向こう――雨の降る闇に飛び出していけば、日常と隣り合わせに広がる異界が、あっという間に倖を呑み込んでいくようだった。
甘いモンブランを堪能したことで、元気は漲っている。その分いっぱい頑張らないと、と倖が気合を入れた傍で、ヴィラン・アークソード(人間のストームブリンガー・f35398)も肩慣らしの運動を行うことにしたようだ。
「やれやれ、知ってはいたのだが――」
鋭い眼光が、闇夜の先を見通すように揺れている。スーツの上からでも分かる引き締まった肉体は、何度も死線をくぐってきた戦士に相応しいものだ。
「久し振りに目にすると、やはり末恐ろしいものがあるな」
「いかにもって感じの化物……」
闇から湧き出たようなリビングデッドは、黒ずんだチェーンソーを手に、おぞましい声をあげ続けていた。腐敗した肉を引き摺る、ぐちゃぐちゃとした生々しい音も不気味だが、やはり一番恐ろしいのは誰もそれを「異常」だと認められないことだ。
「……どう考えても、普通ではないのだがな」
不思議なことなど存在しない、と言う強烈な思い込み――世界結界と言うフィルターを通して見れば、動く死体の群れも不良がたむろしている程度の認識になるのだろう。
ヴィラン達の戦いのあと、その結界は緩やかに崩壊していく筈だった。なのにどうしてか、修復された世界結界の元で、再び銀色の雨が降り注いでいる。
――ゴーストと能力者。それがいつしかオブリビオンと猟兵に置き換わって、過去の戦いが再現されようとしている。
「怖いけど……でも、怖がってばかりじゃいられない」
それは決して大きな声では無かったが、ノイズのなかで倖の放った決意は、しっかりとヴィランに伝わっていた。
(「大丈夫だな。こんなに頼もしい後輩が、今の銀誓館にはいるのだから」)
猟兵として肩を並べ、目の前の事件をひとつひとつ解決していくと言う意志は同じ。やがて覚悟を決めたヴィランが前へ出ると、その頭上から凛々しい声が降ってきたのだった。
「そう、立ち向かうのは君たちだけではないぞ!」
――どどーん! ファミレスのポップな看板のてっぺんで、ふわふわモーラットがポーズを決めている。彼の名はユッピ・ユピテール(モーラットヒーロー・f35358)、愛する主人に別れを告げ、ただひとりの存在として戦うことを誓った孤高のモーラットである。
「溢れる愛情と正義の心! 私が来たからには、ゴースト改めオブリビオンの好きにはさせない!」
そう格好良く名乗りをあげ、ヒーローっぽく高い場所から一気に飛び降りてくるユッピ。ちょっと出るタイミングを伺っていたのか、ふかふか毛玉は雨を吸ってしっとりしていたが――しゅたっと見事に着地を決めたところで、チェーンソーを振り回す敵へと向かっていく。
「ユノ、頼んだ!」
ユッピのデバイスが光に包まれると、少女の姿をしたバトルキャラクターが召喚されて雨に舞う。その額に刻まれた数字は、キャラの強さを表すものだと理解はしているのだが、昔こんなゴーストと戦った気がするユッピはつい身構えてしまう。
「なんか、うん……気にしない事にする」
(「ああ、ナンバードか」)
合体して増えた数字を見るヴィランも、懐かしさに遠い目をしていたが、無差別に襲い掛かるチェーンソーの合間を縫ってカードを取り出す。
(「もうすることはないと思っていたが、わからないものだな」)
ずっとこうして持ち続けていたのには、感傷もあったのだろう。だが、戦うべき時が来たというのなら――彼のすべきことは一つだけだ。
「始めるとしよう……起動(イグニッション)!」
封じていた力と武装を解き放つ、その魔法の言葉とともに、ヴィランの肉体は在りし日の戦装束に包まれていた。
(「……新たな脅威、すぐには辿り着けないだろうが」)
――迫る狂乱の刃を迎え撃つのは、戦場全体に降り注ぐシルバーレイン。其処から生まれた万色の稲妻が、チェーンソーを直撃して本体ごと消し炭に変えていくなか、勇気を出して踏み込んだのは倖だった。
「確かに、あのチェーンソーは脅威だろうけれど」
桁外れの膂力で凶器を振り下ろす、殺人鬼の集団に向けて蜘蛛糸を紡ぐ。巣作りならお手のものだ――倖の指先が作り上げる糸は土蜘蛛の檻となり、サイコチェーンソー達から腕力を奪っていく。
「それなら、腕を振るわせなければいい……!」
そうして貧弱な力しか振るえなくなった彼らには、バトルキャラクターの操るリボンが巻き付いて、蛇の如く一気に締め上げる。その怯んだところに突進していくユッピの裾からは、幾本もの刃が覗いて鋭い輝きを放っていた。
「勝手が違うとは聞いているが、それはこちらも同じ事!」
――マントを翻して必殺のVキャリバーを叩き込めば、在りし日の戦いが蘇ってくるかのよう。
(「懐かしいなぁ……」)
ゆっぴ、と名を呼んでくれた主人には幸せに暮らしていて欲しい。彼女が戦いに出なくて済むのであれば、ユッピは喜んで戦いに赴こう。
(「多少なら、巣を切られてもいい」)
もがくチェーンソーの刃が檻を破っても、倖は彼らから奪った力を使って糸の強度を増やしていく。たくさんたくさん――そうして蜘蛛の糸で刃を絡め取っていったところで、赤手を装着した腕を一気に振り回した。
「……まさか、自分がシルバーレインを操れるようになるとは思っていなかったが」
使えるものはしっかり利用させてもらおう。そんなヴィランの呟きが聞こえるなか、倖のもとへ降り注ぐのは優しい雨。癒しの力を持つ銀色の雫が、土蜘蛛の檻を彩っていくのがとっても綺麗で――この瞬間を写真に収めたら、なんて考えが過ぎって少しだけ笑った。
――そんな風に、倖も。死と隣り合わせの青春を生きているから。
「誰も傷つけさせないよ……!」
速度を増した鎧砕きの一撃が、ゴースト達の頭を柘榴のように叩き割った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クラレンス・オズバート
アナンシf17900と
全く、……騒々しいにも程がある
―――不快だ
俺に、その耳障りな音を聴かせるな
告げ口されたくないんだろう、食えるものが増えて良かったな
……このようなものは腹ごなしなどにはならんが
この汚い音が続く前に殲滅させる
軋み呻く金属の不協和音 聞いているだけで耳が腐るようだ
……おい、懐かしんでいる暇などあるか
働かないならばゴースト……オブリビオンの餌にしてやる
分かったならば、前に出てキリキリと働くことだ
構えた杖を敵へと向け、昏き森の槍牙を降らせゆく
汚れ、腐り、這いずりゆく屍
本当に、不愉快だ
露払いを任せているからな
奴を襲う敵程度はやってやろう
……見直されたいなら、この程度では足らんがな
アナンシ・メイスフィールド
クラレンス君f30962と
いやはや、派手な武器をもってきたものだねえ
けれど、口の中に残っている野菜の味を紛らわすには丁度良い騒がしさかもしれないのだよ
では、腹ごなしと行くかね、クラレンス君
戦闘と同時に手にした仕込み杖から剣を引き抜き敵の元へと駆けよう
私は前衛を担当するよ…と
ふふ、本当に懐かしいねえ
けれどもクラレンス君はお気に召さないようだからね
怒られる前に働くとしようか
そう笑いつつ間合いに入ったならば【蜘蛛の意図
】を放ちつつ剣を振るわんと試みるよ
私やクラレンス君に攻撃がいく様ならば左手の赤手…ではなくガンドレッドにて『武器受け』を
ふふ、頼りになるだろう?見直してくれても良いのだよ?うんうん
「うぁ、ぁあ」「ああぉ怨えぐ、げげ呪「呪ひッひ死死呪屍死」」――動く死者たちの咆哮にあからさまに紛れ込んでいるのは、ゴーストの親玉が垂れ流す呪詛か。
「全く、……騒々しいにも程がある」
その暴力的な音が、徐々に周囲を汚染していくのを感じ取ったクラレンス・オズバート(夜間飛行・f30962)は、淡い金の髪を掻き上げて冷ややかに息を吐いた。
(「―――不快だ」)
銀色の雨がノイズとなって視界を過ぎる。汚染の進む世界が、ざりざりと肌を擦っていく感覚がして吐き気がした。歪に編集されたような画像と音声は、出来の悪いホラー・ムービーでしかなく――クラレンスの魔法杖が打ち鳴らされると、辺りの空気がぴんと張った。
「俺に、その耳障りな音を聴かせるな」
「……いやはや、派手な武器をもってきたものだねえ」
ぱちぱちと乾いた拍手をするのはアナンシ・メイスフィールド(土蜘蛛・f17900)で、サイコチェーンソーの集団を見渡すその貌は何処となく楽しそうだ。
「けれど、口の中に残っている野菜の味を紛らわすには、丁度良い騒がしさかもしれないのだよ」
――結局ファミレスでは、付け合わせの野菜を頑張って詰め込んでいたアナンシだが、よほど誰かの怒りを回避したいらしい。告げ口されたくないんだろう、とクラレンスが囁けば、大仰に肩を竦めたアナンシがシルクハットをくるりと回す。
「では、腹ごなしと行くかね、クラレンス君」
「食えるものが増えて良かったな……このようなものは、腹ごなしなどにはならんが」
呪呪殺ぇうご――亡者の聲に絡み付く、暴力的なチェーンソーの音を断ち切るように、アナンシの仕込み杖が翻ると銀色の刃が覗いた。
そのまま、気配を感じさせぬ足運びで前へ。敵の注意が自分に向いたのを確かめつつ、相棒へと声を掛ける。
「私は前衛を担当するよ……と、ふふ。本当に懐かしいねえ」
「……おい、懐かしんでいる暇などあるか」
軋み呻く金属の不協和音を縫ってクラレンスの美声が返ってきたが、彼はこの状況をお気に召していないらしい。まぁ、音楽家でもあるクラレンスだ――ゴーストどもの立てる汚らしい音など、聞いているだけで耳が腐るとでも言いたいのだろう。
「えぇ? 少し位は、思い出に浸っても良いではないかね」
「手を動かさないなら、ゴースト……オブリビオンの餌にしてやる。分かったならば、キリキリと働くことだ」
後方に留まりつつ宿り木の杖を構えるクラレンスは、魔法で一気に殲滅を図るつもりのようだ。ああ、敵と一緒に仕留められたら叶わない――愉快に笑うアナンシだったが、その目はすでに捕食者としての光を放っていた。
「では、これ以上怒られる前に働くとしようか」
――敵との間合いに入ると同時に、蜘蛛の糸を放つ。つたわせた毒液が獲物を蝕んでいくのに合わせて、地面から蜘蛛の脚が突き出すと、アナンシは一気にリビングデッドの動きを封じていった。
「捉えて溶かして捕食する……これが蜘蛛の意図だね」
回転斬撃で無差別に襲い掛かろうとする、敵の目論見を潰しつつ、手にした剣を一閃させる。真っ二つに斬り裂かれた亡骸が水溜まりに倒れ込んでいくなかで、クラレンスの方はノイズを止めようと動いていた。
「露払いを任せているからな、……奴を襲う敵程度は、やってやろう」
杖の先から降り注ぐのは、昏き森の槍牙の雨。指揮棒を振るうようにクラレンスの杖が踊れば、植物に呑まれ貫かれた死者たちは、再び物言わぬ骸となって沈黙する。
「本当に、不愉快だ」
――汚れ、腐り、這いずりゆく屍。尚も縋ってくるサイコチェーンソーを、赤手を振るうが如くアナンシのガンドレッドが受け流すと、どうだとばかりに上機嫌な声が降ってきた。
「ふふ、頼りになるだろう? 見直してくれても良いのだよ? うんうん」
「……見直されたいなら、この程度では足らんがな」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【交叉】
ハロウィンはもう終わったってーのに、笑えない連中だな
平和な憩いの場を荒らして迷惑行為働く輩にゃ、ご退場願おーか
――なぁ、其処な風紀委員諸君!
(見慣れた制服の二人――姫サマと春に挨拶序でに、敵にもUC先制攻撃で勢い良く挨拶しつつ)
くっ…幼馴染の学友とか良いよネ、最高に青春してるよネ、キミ達
ね~春チャン、一仕事終わったら俺とも遊…デスヨネ~!
(敵の呻きに誘われ、いよいよ刀や身の内から響く怨嗟や苦悶も煩くなれど――だからこそ、世界も己も呑まれぬ様に、いつも通りに明るく振舞い戦場を駆ける
必ずこの場を平穏に引き戻す、皆で日常に帰る――決意も呼吸も合わせて、皆と共に畳み掛けに)
喧しいノイズを封じるべく、チェーンソーの刃にUCの暗器噛ませて駆動妨害
一呼吸置き、春の桜が眠り齎せば即座に二回攻撃――次はUCで腱や脈所を狙い、武器落としや引導を
(尊い、か――ああ、俺の目には青春に励むあの姿こそ尊いモンに映ったよ
だからこそ――)
あの日常を害する真似は許さない
何度不穏に翳ろうとも、晴らしてやるさ
千家・菊里
【交叉】
さてさて、困ったお客さんのお出ましですねぇ
幸い英気は十二分に養えたところ――ええ、さくっとお引き取り願い、また後であのドリンクバーで祝勝の乾杯と致しましょう
ふふ
平和を乱し良からぬ世界に手招く不良児達には、きついお灸を据えましょうねぇ
(避難要らずの頼もしき学生二人に気付けば、同じく挨拶しつつも――敵にはお灸代わりにUCの炎を飛ばして)
いやぁ、何処の世界に於いても、青春を謳歌する若者の姿は素晴らしく目映いものですねぇ
(早速味方相手に玉砕を決めた伊織見て、暢気に笑いつつ)
ああ伊織、彼ら(敵)にはモテモテみたいですよ
良かったですねぇ
(冗談交わす合間にまた、ほんの一瞬――張り詰めた空気が覗いた伊織をちらりと窺うも、この面持ちに心持ちなら大丈夫かと、余計な世話は焼かずに置いて
此方もこんな時だからこそ、いつもの明るく軽やかな空気のままに――足並み揃えて更に攻勢へ)
春さんが眠らせた者へUC集中させ、雨ごと蒸発頂きましょう
さぁ、悪い子はそろそろ寝る時間です
悪い夢は終らせ、尊き日常の続きへ、きっと
永廻・春和
【交叉】
(温かな一時から一歩抜け出せば、心まで冷える様な呻きと雨に直面して)
――本当に、こんなにも様変わりしてしまうのですね
彼女達が無事に去った後で良かった
おぞましき者や奇妙な雨に震える事無く、楽しいドラマに心踊らせる日常に帰り着けたなら――それが一番です
そして――ええ、此処からは我々の領分です
兵としても、確と励むと致しましょう
(横からかかった声に応じつつ、迫る敵へと刀振るって)
?呉羽様、今は戯れている場合では御座いません
そして時間も時間に加えて、私達は学生ですので――夜遊びは厳禁です
(敵を断つより早く、すっぱりと軽口を切った!)
(戯れの軽口は、きっとこの場を、空気を、重くせぬ為の――そう察せば、此方もまたいつも通りの調子を崩さずに
不穏な者達に飲み込まれてしまわぬ様に
晴れ晴れとした日常へ帰る為に、連携と尽力を)
極力多くの敵を巻き込みUC
眠りに誘い隙を作れば――傷が癒える間も与えずに、皆様が真なる眠りに導いてくれると信じております故
無遠慮に平穏を裂く騒音も怨嗟も、悉く静めましょう
温かな一時は、闇夜に降る雨がすぐに断ち切ってしまった。だけど、名残惜しく振り返るような真似を永廻・春和(春和景明・f22608)はしない。
「……本当に、こんなにも様変わりしてしまうのですね」
たった、一歩。ファミレスから抜け出しただけで、彼女を取り巻く世界は違う顔を覗かせていた。
心まで冷えるような死者の呻きと、雨の音の境目が分からなくなる。ブーツが跳ねた水飛沫はまるで血だまりのようにぬめって、腐り落ちた指先がアスファルトの向こうで揺れていた。
(「彼女達が無事に去った後で、良かった」)
隣で甘味を楽しんでいた女生徒たちは、もう家に辿り着いている頃だろう。このようなおぞましき者や、奇妙な雨に震える事無く、楽しいドラマに心躍らせているなら何よりだ。
「日常に帰り着けたなら――それが一番です」
――非日常の只中にあって、春和の吐き出した息がかろうじて此岸の温もりを感じさせる。雨に濡れる桜は儚くも強い。芯は強く、凛然と、つわものとして確と励むのだと顔を上げた。
「……ええ、此処からは我々の領分」
「ったく、ハロウィンはもう終わったってーのに、笑えない連中だな」
そこで、背後から聞こえた賑やかな声は、ファミレスから出てきたばかりの客のもの。春和が最後だと思っていたら、まだ中に猟兵たちが居たらしい。
「さてさて、困ったお客さんのお出ましですねぇ。……幸い英気は十二分に養えたところなので、良しとしますが」
「本当にな。いつ食べ終わるのか、こっちは見ていて恐ろしくなったけどな!」
幸せそうな表情で、ほくほくした笑みを浮かべているのは千家・菊里(隠逸花・f02716)で――その隣でつっこむ呉羽・伊織(翳・f03578)のほうは、ちょっぴり引き攣った顔をしているのが対照的だ。
「まぁ……さくっとお引き取り願い、また後であのドリンクバーで祝勝の乾杯と致しましょう」
「まだ飲む気でいんの?! って、それだけじゃないだろ、絶対また何か注文する気でいるだろ!」
「ふふふ」
意味ありげな笑いとともに、雨のなかで揺れているのは狐の尾か。何だか化かされているような気がして、ぱちぱち瞬きを繰り返した春和だったが――夜道で出会ったその二人組が、顔見知りと知って背筋を正す。
「それは兎も角、平和な憩いの場を荒らして迷惑行為働く輩にゃ、ご退場願おーか」
――賑やかな空気に割り込んでくる、凶悪なチェーンソーの音にわざとらしく肩を竦めつつ。伊織の手元で何かが煌めいたと思ったら、近づきつつあったゴーストの一体が、不格好に仰け反って地面に倒れ込んだ。
「――なぁ、其処な風紀委員!」
勢いの良すぎる挨拶をした伊織に続いて、菊里のほうはゆったり大らかに――けれど、敵にはきついお灸を据えるとばかりに狐火を飛ばす。
「平和を乱し、良からぬ世界に手招く不良児……それに比べて此方の学生は、避難要らずで頼もしいですね」
「くっ……幼馴染の学友とか良いよネ、最高に青春してるよネ」
恐らくは、ファミレスで寛いでいた春和の姿を目にしていたのだろう。猟兵にしてみれば、桜學府の制服は見慣れたものである。
「いやぁ、何処の世界に於いても、青春を謳歌する若者の姿は素晴らしく目映いものですねぇ」
だが。素顔を覗き見られた心地がして恥ずかしく、何とも言えない居心地の悪さを感じてしまうのは、「うんうん」としみじみした様子で頷くふたりの所為だ。
「ね~春チャン、一仕事終わったら俺とも遊……」
直後――ずばしゃああああ! と切れのいい効果音が聞こえてきそうな勢いで、春和の退魔刀が振るわれるとリビングデッドが真っ二つになった。
「? 呉羽様、今は戯れている場合では御座いません。近づくと危ないですよ」
「デ、デスヨネ~!」
血の通わない死人だから良かったものの、生物だったら噴き上がるあれそれで、近くにいた伊織もえらい目に遭うところだった。
「そして時間も時間に加えて、私達は学生ですので……夜遊びは厳禁です」
続く敵を断つよりも早く、春和がすっぱりと軽口を切れば――さり気なく私「達」と言うことで、伊織を牽制するのも忘れない。きっと「兄様」と一緒に帰るんだろうなあ、と暢気に笑う菊里の前では、サイコチェーンソーの集団がわらわらと、伊織目掛けて押し寄せてきているところだった。
「……ああ伊織、彼らにはモテモテみたいですよ。良かったですねぇ」
「あああ、玉砕直後にそれを言うな……!」
一旦は収まるかに見えた騒音は、呻きと呪詛を呑み込んで益々大きなものになっていく。それと同時、へらりと浮かべた伊織の笑みの裏で、抱え込んだ怨嗟が噴き上がりそうになって微かに息を呑んだ。
――酷い耳鳴りがする。手にした刀と身の内から響く聲が、周囲のノイズと反響して煩いほどだ。苦悶するのは自分か、それともとっくの昔に斬り捨てた誰かなのか。
「はは、酷い顏だ」
雨混じりの視界で揺れる死人の顔が、ノイズに合わせてゆらゆら揺れていた。きっと今の自分も、似たような顔をしているのだろう――無防備な伊織に向かってチェーンソーが振りかぶられたが、彼は未だ動きを見せない。
(「でも、だからこそ――」)
喧しいノイズ。その元凶であるチェーンソーの刃に、一瞬で変眩の暗器を噛ませ、その駆動を妨害する。
銀色の雨に弾けた火花が、毒に変わってゴーストの肉体を溶かすや否や、直ぐに伊織は次の敵へ向けて駆け出していた。
(「世界も己も呑まれぬ様に、いつも通りに」)
――張り詰めた空気を、明るく振る舞うことで打ち消して戦場を駆けるのだ。
(「ああ、大丈夫ですね」)
ちらりと彼の様子を窺う菊里も、その面持ちならば心配は要らないと、余計な世話は焼かずに置くと決めたようだ。それに、春和にだって分かっている。伊織の発する戯れの軽口は、きっとこの場を、空気を――重くせぬ為のものであると。
(「ならば、あれこれ言うのは野暮と言うもの」)
此方もまたいつも通り、変に調子を崩さず振る舞えばいい。そうして極力多くの敵を巻き込めるよう、桜の癒しを振り撒いて隙を作ってみせると、春和は誓う。
「……不穏な者達に飲み込まれてしまわぬ様に。晴れ晴れとした日常へ帰る為に」
――眠りに誘い、傷が癒える間も与えずに。そうすれば彼らが、真なる眠りに導いてくれると信じているから。
「無遠慮に平穏を裂く騒音も怨嗟も、悉く静めましょう――」
「では此方も……雨ごと蒸発頂きましょう」
桜の精が春を呼べば、冷たい雨を跳ね返すように花吹雪が舞った。そう、菊里もこんな時だからこそ、軽やかな空気を纏って炎を操る。
必ずこの場を平穏に引き戻す、皆で日常に帰る――決意と呼吸を合わせれば、足並みも揃って一気に畳み掛けることが出来る。
(「尊い、か――ああ、」)
店で出会った学生の、去り際に呟いた言葉が不意に蘇って、俯く伊織が息を吐いた。
(「俺の目には、青春に励むあの姿こそ尊いモンに映ったよ」)
一呼吸を置き、ゴーストの群れが眠りに落ちたのを見計らい、即座に烏羽を振るうと一緒に暗器を放つ。
「だからこそ――あの日常を害する真似は許さない。何度不穏に翳ろうとも、晴らしてやるさ」
「では、祝勝会は伊織の奢りと言うことで。これなら春さんも付き合ってくれるかも知れませんよ?」
「……考えておきます」
さぁ、悪い子はそろそろ寝る時間――軽口の合間にも次々とゴースト達に引導を渡していく彼らによって、耳障りなノイズはいつしか聞こえなくなっていた。
(「悪い夢は終らせ、尊き日常の続きへ、きっと――」)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『シラバキ』
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POW : 拡大性シラバキさま
【感染性呪詛の塊 】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【呪詛】を放ち続ける。
SPD : 純粋呪詛存在
自身の身体部位ひとつを【純粋なる呪詛 】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 霊的汚染地帯
【撃ち出した「呪詛の塊」 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を呪い、霊的に汚染して】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:小林蕪
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
さ、ささざざざ呪呪、ざぁぁ呪恨恨怨ああ呪――動く死者たちを倒したと言うのに、雨はまだ止む気配を見せなかった。
「呪呪、死死死シラ」
違和感はますます酷くなる。流れる水滴のひと粒ひと粒に、凝縮された呪詛が宿っているかのようだ。濡れるのも構わずにいた髪が、べったりと肌に張りついていることに、今更ながら嫌気が差した。
「罵罵キ、鬼鬼鬼死シラバ、」
――ふっ、と。耳元で囁かれた声に顔を上げる。銀色の雨に過ぎった鎖が、しゃらりと鳴った。きっと闇夜の向こうを飛ぶ「何か」が、この怪異を引き起こした元凶なのだろう。
「シラバキ」
瞬きをひとつすれば、目の前には不気味な仮面があった。
「……そう、か」
――それが、お前の名か。雨に紛れ、雨を穢し、この地に呪詛を振り撒いていたのは。
「Never show your face again――」
仮面の下の素顔に興味は無いが、最後のフレーズを口ずさんで向かい合う。二度とその顏を見せるなと、夜のファミレスで過ごしたひと時を思い浮かべて、武器を構えた。
銀の雨が降る時代を、私たちは生きている。
――死と隣り合わせの青春を、今もこうして送っている。
陽向・理玖
【月風】
変身状態維持
…何言ってっか分かんねぇけど
理不尽に呪いだか何だかばら撒いてんのは分かった
ともかく還ってくりゃみんなオブリビオンだ
ぶっ倒せばいいだけだな
衝撃波で敵の意識を散らし
残像纏いダッシュで接敵しグラップル
足払いでなぎ払いしUC起動
攻撃に緩急付け
ヒット&アウェイ
敵の意識集中させる
大分頭に血が上ってんな
相手が俺だけだと思ってんだろ
背後全然見えてねぇし
…さすが瑠碧絶妙だな
呪詛とか何だかよく分かんねぇけど
戦ってりゃ大体動きは読めてくるな
見切りで避け
避けれぬ場合はオーラ防御
虹色のオーラを展開
直前で弾く
受けていいもんじゃねぇよな?
いつまでも呪い吐いてんじゃねぇ
そろそろ還れ
瑠碧と合わせ
拳の乱れ撃ち
泉宮・瑠碧
【月風】
生者への強烈な怨念…
何かが、余程無念だったのでしょうか
光雨をこの場へ招いておき
相手の呪詛を流し
怪我も治せる様に備えておきます
理玖が動くと同時に
影になる様に一度静かに下がってから
少し大回りに
遮蔽物があれば所々影になりながら
理玖と挟む様にシラバキの後ろへ
水矢を番え
シラバキが理玖へ仕掛けようとしたら
浄化を籠めた水矢で射貫きます
仮面が私の方を向けば
一度引き付け
攻撃の兆候が見えたら即座に理玖の元へ転移
…理玖、今です
理玖を射線上に置かない位置から
一矢毎に浄化を籠めて射っていきます
変異した呪詛には光雨を当てる様に
呪いも、恨みも…
誰も…君も、楽になる事は無いでしょう
…もう、良いんですよ…おやすみなさい
べったりとしたタールのような闇が、泉宮・瑠碧(月白・f04280)の向こうで蠢いていた。
粘性のある呪詛の塊は、それだけで強烈な怨念を秘めていると分かる。闇は、シラバキは――そうして瑠碧たち生者を呪い続けているのだ、と。
「何かが、余程無念だったのでしょうか」
「……ああ、何言ってっか分かんねぇけど」
装甲を纏ったままの陽向・理玖(夏疾風・f22773)が、瑠碧を庇うように前に出ていた。鎧越しの声はいつもより硬く、彼がどんな表情をしているのかは分からない。
「理不尽に呪いだか何だか、ばら撒いてんのは分かった」
――それでも、純度を増していく呪詛に呑まれないように。瑠碧も光雨を呼んで理玖に応えよう。
「ともかく……還ってくりゃみんなオブリビオンだ。なら、ぶっ倒せばいいだけだな」
「……理玖らしいですね」
穢れを含んだ雨とぶつかる光の雫が、ふたりの頭上で弾けて虹に変わる。ああ、彼ならばきっと、地縛霊だって力尽くで昇天させてくれそうだ――そんなことを思う瑠碧が、影になるようそっと退くと同時に、理玖も動いた。
「行くぜ――!」
膨れ上がったシラバキの呪詛を、一気に散らすとばかりに衝撃波を放つ。そのまま接近して、組み合いに持ち込む彼を視界の端に捉えつつ、瑠碧は降りしきる雨のなかを駆けていた。
(「少し、大回りでも」)
――ファミレスの植え込みを経由して、明々と照りつける看板の近くは避ける。その間にも、残像を伴う理玖の足払いがシラバキから伸びる鎖を振り払ったところで、拳の連打が叩き込まれるのが見えた。
「……大分頭に血が上ってんな」
殊更に理玖が声を上げているのは、注意を自分に引きつける為と、瑠碧に合図を送ってくれているのもあるだろう。
(「相手が俺だけだと思ってんだろ。……背後全然見えてねぇし」)
妖獣化の影響で、シラバキの思考は単純化されている。そのぶん呪詛の純度も増しているが、敵の動きを見切って攻撃の精度を高めていく理玖にはやり易い。
「呪詛とかはまぁ、何だかよく分かんねぇけど……戦ってりゃ、大体動きは読めてくるな」
雨に混じる呪詛の塊を、虹色のオーラを展開することで弾いて躱す。広範囲に降るものはそれだけで消滅していくようだし、純粋な呪詛となればもっと簡単だ――殴って壊せばいい。
(「此方も、行きます」)
――部位を変異させたシラバキが、理玖に攻撃を仕掛けようとした瞬間、瑠碧の番えた水矢が放たれた。浄化の力を籠めたその一矢が、光の雨を突っ切っていくのに合わせて、理玖のほうも勝負に出る。
「さすが瑠碧、絶妙だな」
緩急を付けたヒット&アウェイは、彼の得意とするところだ。猛攻に晒されるシラバキは、いったん距離を取って瑠碧へ狙いを定めようとしたが、注意が向くのも織り込み済みだ。
「……理玖、今です」
仮面がぐるりと背後を向いて、呪詛の押し寄せる兆候が見えた時――瑠碧の姿はそこに無かった。
降り注ぐ光の雨、此方と彼方を繋ぎし門によって、彼女は一瞬で理玖の元へ転移していたのだ。
「呪いも、恨みも……、誰も……君も、楽になる事は無いでしょう」
一矢毎に籠める浄化が、光雨と呼応して夜を震わせる。粘ついた呪詛がしつこくアスファルトを溶かすのに堪りかねた理玖が、拳を食らわせて声を張る。
「いつまでも呪い吐いてんじゃねぇ、そろそろ還れ――」
――妄執と呼ぶべき何かに囚われ、嘆き続けるものへ。掛けた声はいつしか、自分か相手に向けてのものか区別がつかなくなっていったけれど、瑠碧は祈る。祈り続ける。
「……もう、良いんですよ……おやすみなさい」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アナンシ・メイスフィールド
クラレンス君f30962と
漸く大元が出てきたようだねえ
…クラレンス君、息切れはしていないかね?
そう揶揄うように瞳を細めながらクラレンス君へ声を投げてみるよ
ははは冗談なのだよ
休憩できるならばしたけれども敵が許してくれないのではないね?
それと同時に周囲へ視線を漂わせ自動販売機や障害物があるような場所を探しクラレンス君へ目配せ
『赤手』にて攻撃挑発しつつ其方へ
体の部位を変化させるのならば、攻撃が届きにくくなれば有利になるかもしれないからね
その後は障害物に隠れ間合いを取りつつ視線をむけ【贄への誘い】にて敵を攻撃しつつクラレンス君が攻撃しやすい様に隙を作れたら嬉しいねえ
ふふ、やはり君とは組みやすいのだよ
クラレンス・オズバート
アナンシf17900と
こいつを討てば、この下品な不協和音もなくなるか
……ハ
ふざけたことを言っている暇などあるか
お前こそ、疲れたなら休憩しても構わんが
その間に全部終わらせて
お前の出る幕もなくしてやるさ
フン
俺も鬼ではないからな
ただお前の分の戦績を掻っ攫っていくだけだ
浄化と破魔を重ねつつ
障害物を見て目配せするアナンシに従うのは癪だが
精々利用させてもらうとしよう
障害物を利用し隠れつつ
時にはユーベルコードを放って目眩し
アナンシに合わせるようにユーベルコードを展開
不快な雑音
濁った音色
そのどれもが耳障りと言う他ない
さぁ還れ
還って仕舞え
此処に貴様の居場所は無い
呪呪呪ォォォオオ怨怨悪悪、恨――シラバキの呪詛はもはや咆哮とも騒音とも言い表せぬ、純化した振動と化していた。
「漸く大元が出てきたようだねえ」
震える水滴がアナンシ・メイスフィールド(土蜘蛛・f17900)の肌を叩いて、呪いの毒を注いでいくかのようだ。生者への執着は、ここまでくると盲目的な愛と紙一重で、その想いの深さに肩をすくめる。
「こいつを討てば、この下品な不協和音もなくなるか」
――濡れそぼる金の髪に、ふと混ざったのは白い息。見れば、冷ややかな瞳を一層凍てつかせたクラレンス・オズバート(夜間飛行・f30962)が、ゴーストの親玉を睨みつけていた。
「クラレンス君、息切れはしていないかね?」
「……ハ、ふざけたことを言っている暇などあるか」
揶揄うように声を投げたアナンシだったが、恐らく彼は言うほど平気では無いだろう。人との関わりを極力避け、境界線をしっかりと引くクラレンスのことだ――それを無粋に踏み越えてくるものを、彼は決して許しはするまい。
「お前こそ、疲れたなら休憩しても構わんが」
「ははは、冗談なのだよ」
だが、刻々と汚染されていく世界のなかで、こうして気安い会話が出来るなら大丈夫だ。瞳を細めてアナンシが笑うと、普段の調子を取り戻したらしいクラレンスも、雨を振り払うようにして杖を振るう。
「……休憩できるならばしたけれども、敵が許してくれないのではないね?」
収縮し膨れ上がり、その部位ひとつを純粋な呪詛に変異させていくシラバキと向き合い、アナンシが呟く。それと同時に周囲へ視線を漂わせれば、駐車場の奥で白い光を放つ自販機が見えた。
「ねえ、クラレンス君」
「……なら、その間に全部終わらせて、お前の出る幕もなくしてやるさ」
そっとアナンシが行った目配せを、クラレンスはしっかり受け止めてくれたらしい。「フン」と含みのある言葉を返したことも、彼のあかあかと燃える瞳を見れば真意は知れた。
「俺も鬼ではないからな――ただ、お前の分の戦績を掻っ攫っていくだけだ」
「ええ、酷いのだよ、鬼だよクラレンス君」
そんなやり取りにも、口元が緩む。そうして降りしきる雨に負けず飛び出すと、アナンシはまず近くの障害物に身を寄せながら、赤手を振るった。
(「……奴に従うのは癪だが」)
妖獣化の影響もあり、衝動的に彼のほうへと向かうシラバキから距離を取ったまま、クラレンスは浄化と破魔の魔力を織り上げていく。
ファミレスの傍、車止めのポールも盾くらいにはなるだろう。目配せをするアナンシに鷹揚に頷くと、植え込みの影から結界を生んだ。
(「精々、利用させてもらうとしよう」)
――静寂なる森の世界が、灰色の街の片隅に広がっていく。仄かに灯る祝福の光が、呪詛を孕んだ雨の音を調律し、不快な振動を打ち消していく。
「不快な雑音、濁った音色……そのどれもが、耳障りと言う他ないからな」
「おっと」
一方で、アナンシの挑発に乗った敵は、不格好な体勢のままブロックに乗り上げてしまったようだ。其処へ絡みつくのは、クラレンスの生んだ魔法の茨で――自販機の近くで反撃に転じるアナンシのもとへ、続く冷徹な声が合図を送った。
「さぁ還れ、還って仕舞え、」
――此処に貴様の居場所は無いのだから。アナンシの出る幕などなくすと言った癖に、相棒の茨はシラバキを捕らえたまま、贄を貪れと促しているようだった。
「……ふふ、やはり君とは組みやすいのだよ」
地面から突き上げた蜘蛛の脚が、ゴーストの肉体を抉って、喰らう。――嗚呼、ご馳走様。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
筧・清史郎
オズ(f01136)と
俺も雨は好きだ
だが、それが恵みの雨でないならば、また別だ
呪詛を降らせるわけにはいかない
名を呼ばれ柔く視線返し
その声色に、気を引き締めつつも頷きながら
ふふ、ポテトとアイスもまた頼もう
笑みと共に返せば
駆けるその背を押す様に
ひらり扇を桜吹雪へ変じさせ、舞わせよう
呪詛の塊に当たらぬよう
まずは見切り躱す事を重視
機はオズが作ってくれると、わかっているから
数多の桜花弁の刃を吹雪かせ、敵の邪魔をする様に
友が前へと踏み込む支援を
敵に刻印施されれば、ひらりと前へと躍り出て
オズと俺で、今だけ戦場を春に彩りつつ
麗らかに灯る優しい輝きを見据えたまま
友の声にこたえるように
刀を抜き放ち、斬撃を見舞おう
オズ・ケストナー
清史郎(f00502)と
わかる
これは、ここにいちゃいけないものだ
雨はすき
だけど、この雨はよくないね
雨が好きの言葉にいっしょだとうれしくなって
続く言葉に気を引き締める
シラバキ見据え
セイシロウ
警戒するように一声
おわったら、またあまいもの食べにもどるのもいいね
小さく笑って
これだけうごいたらきっとおなかがすいちゃうよ
セイシロウのさくらはいつだってきれいと思いながら
金の鍵に持ち替え走り出す
呪詛が当たってもいい
わたしのカギが、つけたしるしが
セイシロウのたすけになるから
わたしはただ前へ
春暁ノ印で刻印付与
灯る様に輝く場所を示して横に飛ぶ
セイシロウ、ここっ
セイシロウを、そのきれいでちからづよい刃を信じているから
ドッ、と地面にぶちまけられた黒塊が、辺りを呪いながら汚染を広げていく。「呪」「憎」「殺」――立ち昇る瘴気が次々に呪言と化していくのを、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は悲痛なまなざしで見つめていた。
(「わかる」)
――しあわせの反対。雨の向こうでオズを待ち受けているものは、彼の在り方と真っ向から対立する存在なのだと、本能的に理解する。
(「これは、ここにいちゃいけないものだ」)
シラバキ。その仮面の下にあるのは、世にもおぞましい素顔なのだと言う。其々に思い描くものはあるだろうが――オズの思うおぞましさは、もし自分と同じ貌があったのなら、と言う嫌悪に近い。
「雨はすき。……だけど、この雨はよくないね」
冷たい雫を振り払い、染み入る呪詛をどうにか拭おうとする。自分は、血も涙も通わない人形の筈なのに、武器の柄を握ったままの指先がかじかんでいる気がした。
――さむい。つらい。くるしい。湧き上がる負の感情は、シラバキの汚染が進んでいる所為だ。だけど、押し流されそうになるオズの心にふと、花びらの如く触れる言葉があった。
「……俺も雨は好きだ。だが、」
それは、物腰柔らかな筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の声。初冬に紛れた春の馨りに、オズの鼓動がとくりと弾む。
「それが恵みの雨でないならば、また別だ」
「うんっ」
雨が好き――いっしょだとそれだけで嬉しくなって、呪詛に曇る視界が、ぱぁっと晴れていく気がするから不思議だった。そう、こんな風に呪詛を降らせるわけにはいかないのだと、続く清史郎の言葉に気を引き締めるのも忘れない。
「――セイシロウ」
警戒しつつ相棒の名を呼んだオズが、次弾を放とうとするシラバキを見据える。そうして彼の呪詛を跳ね除けんばかりに、これからの未来を語るのだ。
「おわったら、またあまいもの食べにもどるのもいいね」
柔く返された櫻色の視線は、敵の挙動を捉えつつもきらきらと輝いていた。直後――清史郎の口元に浮かんだ笑みを、雅な扇がそっと覆い隠せば、銀色の雨に桜吹雪が舞う。
「ふふ、ポテトとアイスもまた頼もう」
「だねっ。これだけうごいたら、きっとおなかがすいちゃうよ」
ちいさな笑いが夜気を揺らすなか、斧を魔鍵に持ち替えたオズが駆け出した。清史郎の桜が吹きつける路を軽やかに走りながら、汚染地帯を飛び越えシラバキへ接近する。
(「セイシロウのさくらは、いつだってきれい」)
駆けるその背を押すように、放たれた花びらは刃となってシラバキを襲う。敵の塊を躱しつつ、機を窺う清史郎とは反対に、オズはただ前に出ることを考えていた。
(「だいじょうぶ、当たってもいい」)
――飛び散る呪詛の塊も気にせずに、素早く撃ち出した春暁ノ印がシラバキを捉える。
「セイシロウ、ここっ」
灯る様に輝くひかりは、夜明けに繋がる扉のようだった。その鍵穴を指し示したオズが、素早く横に飛び退くと――刻印の導きに従って、清史郎も一気に躍り出る。
(「わたしのカギがつけたしるしが、セイシロウのたすけになるから」)
(「機はオズが作ってくれると、わかっていたから」)
麗らかに灯る優しい輝きが、シラバキの動きを封じていた。あとは其処を、蒼の刃で貫けばいい――!
(「セイシロウを、そのきれいでちからづよい刃を信じているから――!」)
――友の声にこたえるように、清史郎が刀を抜き放つ。その鋭い斬撃は春に彩られた戦場を一閃し、呪詛混じりの雨粒を金色の光へと変えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユッピ・ユピテール
●アドリブ&連携OKです
シラバキ!ボスゴーストだったな!だが、恐れる相手ではない!
ユノ、集合して戦力を集中させよう、私が前線で戦う、ユノは遠距離攻撃でやっつけるんだ。
呪詛を武器にするなら、私のマントで捌きつつ、パワーを集中して、呪詛を防いでいくぞ!
その間にユノの雑霊弾を集中する時間を稼いでいこう。
私が前で火花を散らして、ユノが必殺の一撃を撃つ、これが必勝パターンだったからな!
……黒燐とかヤドリギとか、オメガのブラックセイバーで一掃してた気もするけど、これでもしっかり勝てるくらい修練は積んでいたからな!
ああ、目を閉じれば思い出す、詠唱兵器を求めて彷徨ったゴーストタウン――ユッピ・ユピテール(モーラットヒーロー・f35358)のつぶらな瞳は、何処かの廃校で目にした地縛霊を、再び見据えて燃え上がっていました。
「シラバキ……!」
確か、チャイムが「ぴんぽーん」と響く場所のボスだったような気がします(ファミレスとは違う「ぴんぽーん」です)
しかし、恐れる相手ではありません――確か他の場所では、雑魚としてわらわら出てきたようにも記憶していたからです。
「ならば、ユノ! 集合して戦力を集中させよう」
当時とは主従関係が入れ替わり、今のユッピはバトルキャラクターの召喚主となっています。かつての主人であったユノの、幼い頃の姿を取ったキャラですが――ユッピを見守るようにふわふわ浮いている姿は、やんちゃな弟を放っておけないお姉さん、と言ったところでしょうか。
「私が前線で戦う。その間に、ユノは遠距離攻撃でやっつけるんだ……!」
そうして、ひらり詠唱マントを翻すユッピが、純粋な呪詛に姿を変えたシラバキの前へ立ちはだかれば。合体して強化を終えたユノは、後方から狙いをつけるために集中を行っていくのです。
(「ふふふ、私が前で火花を散らして、ユノが必殺の一撃を撃つ――これが必勝パターンだったからな」)
どろどろした呪詛の塊に変わったシラバキは、ユッピを呑み込もうとスピードを上げますが、くるんとマントに包まって回避を行います。
「今だ、ユノ!」
直後――雑霊を呼び寄せ、それを塊として撃ち出す華麗なモーションで、ユノの攻撃がシラバキの肉体を消し飛ばしていったのでした。
(「……黒燐とかヤドリギとか、オメガのブラックセイバーで一掃してた気もするけど」)
かつては、使役ゴーストの座を他の奴らに明け渡したこともありましたが、此度ユッピはめでたくソロデビューを果たしたのです。他のジョブも実装されれば、ユッピにだって黒燐蟲をばら撒ける日が来るかも知れないのです。
「だが! これでも、しっかり勝てるくらい修練は積んでいたからな!」
それまでわんぱくなモーラットが、SPDと術式の区別をちゃんと付けられるようにと、ユノは願わずにいられないのでした。
――なお、文章の雰囲気がゆるっとしているのは、シラバキの呪詛に対抗する為、のようですよ。
大成功
🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【交叉】
ま、そーだな
可愛い女の子からの遊びのお誘いなら未だしも、薄気味悪い輩の死に誘う囁きなんざ御免被るっての!
ところで春チャン、皆で祝勝会も良いケドネ?
夜がダメなら日を改めて、またこの世界の勉強がてらデー(ト、と続ける間もなく掛かった声に敵う訳もなく!)…スヨネ~!勿論一緒に行こ~!
なんて軽口交え、敵や刀から響く呪詛の言葉なんざ掻き消しつつ、戦いも抜かりなく
お前の呪詛にも、この身に憑き纏う呪詛にも、飲まれてなんかやらない
その覚悟で呪詛への耐性強めつつ、UC
花明振るい、呪詛ごと変異箇所を絶つように部位破壊
ああ――彼ら彼女らの日常に、お前が顔を覗かせちゃならない
お前もお前の在るべき場所に、還りな
千家・菊里
【交叉】
漸く親玉もお出ましですね
何にせよ呼ばれぬ客に変わりはないので、貴方にもお還り願うのみですけれど
おや、ふふ、良いですねぇ
俺も更に色んな食事処の色んな品々を見聞して回りたいと思っていたのですよ
耳を傾けるなら、不穏な呪詛より平穏な雑談に――斯様な戦場なればこそ、引き続き会話も戦闘も軽妙に
UCに呪詛耐性強める結界術重ね、周囲に展開
雨も呪詛も蒸発・浄化させる清火として攻守両面に利用
敵を囲い込む檻や仲間を護る壁の様に操り、飛翔や汚染を妨害
俺もこれで、本職は妖剣士
斯様な者に引けを取る訳にはいきません
抑え込んでみせましょうとも
そう、表舞台に貴方の出る幕はない
此処には惨い悲劇ではなく、目映い青春群像劇を
永廻・春和
【交叉】
はい、正念場の様で
この場や心身が暗く冷えきってしまう前に、終わらせましょう
?(お戯れは完全に眼中になかった…もとい敵に集中していて聞いていなかった顔)
はい、では祝勝会の次は、“皆で”ゆっくり散策という事で宜しいでしょうか?(にこりと頷き)
そうしてまた怨嗟に負けぬよう、いつも通りに言葉を交わし――連携を交わしつつ、戦を
狐火の間隙を縫い、浄化と破魔の祈りを込めたUCで肉薄
仲間を、人々を、世界を――呪い害さんとする禍根こそ絶つべく、呉羽様の一太刀に重ねて
死の影に屈さぬ、輝かしい日々が在る様にと――呪いではなく祈りで塗り替えて
冷たい雨を晴らし、温かな日々の続きへ――帰りましょう
白姫・綾絲
【交叉】
(念のため帰路の見回りに出ていた――という事で、後れ馳せながら)
(ああ、皆無事で良かった
後は残る憂いを晴らすべく――
と思いつつ戻れば、丁度呉羽さんが楽しげなお話をされていたので思わず)
日を改めて、この世界の勉強会ですか?
ふふ、呉羽さんは流石勤勉ですね
僕もご一緒して宜しいですか?
いつもと変わらぬやりとりこそ、密かな決意の裏返しなのだと覚り――冷たい雨の中でも、心の温もりは絶やさずに
こんな風にまた誰もが此処で笑って過ごせるよう願って
UCに浄化の力を加え、呪詛に抗いつつ攻撃を
狐火と合わせ、飛翔や呪詛の範囲拡大を阻害
また明日と笑って別れた人々が、その通りに――明日も笑って顔を合わせられるように
手負いのゴーストは、尚もしぶとく呪詛を吐く。妖獣となって得た苦痛と、自身に刻まれた傷がない交ぜになって、もはや暴れ回っていると言う自覚も無いのかも知れないが――千家・菊里(隠逸花・f02716)は冷静に、狐火を生みだして結界に変える。
「……漸く親玉もお出ましですね。まぁ何にせよ、呼ばれぬ客に変わりはない訳で」
ぼろ布を引き摺りながら、此方へ突進してきたシラバキの肉体が直後、炎に包まれて硬直した。そこで苦し紛れに敵が吐き出した塊も、直ぐに炎が浄化して黒煙に変える。
「貴方にも、お還り願うのみですけれど」
「ま、そーだな」
呪われた地形を飛び越えて、菊里に相槌を打つのは呉羽・伊織(翳・f03578)で。こうして交わす軽口も、呪詛に立ち向かう力となる。
――手にした黒刀は、憎らしいほど冷ややかだ。周囲に満ちる怨嗟と共鳴する妖気が、今も伊織に何かを囁く気配がしたけれど、その言葉を掻き消すように声を上げた。
「可愛い女の子からの、遊びのお誘いなら未だしも……薄気味悪い輩の、死に誘う囁きなんざ御免被るっての!」
そうして一息で斬って捨てれば、此方へ伸ばされた呪いの腕が泡立ち、続く破魔の光が闇を照らす。伊織と菊里の攻撃にも、上手く連携を重ねてくれる――桜學府仕込みの戦闘術は、永廻・春和(春和景明・f22608)のものだろう。
「ところで春チャン、皆で祝勝会も良いケドネ?」
雨に踊る桜の花びらを確かめて、やはり彼女だと頷いた伊織が、懲りずに再度のナンパを試みた。
「夜がダメなら日を改めて、またこの世界の勉強がてらデー……」
「日を改めて、この世界の勉強会ですか?」
デート、と続ける間もなく返ってきたのは――淡く穏やかな白姫・綾絲(素心若雪・f22834)の声。
何気ないふうを装って割り込んだ彼だが、念のためにと帰路の見回りに出ていたところで、此方へ駆けつけてくれたらしい。皆無事で良かったと安堵して、辺りの浄化を行いつつ会話に加わる。
「ふふ、呉羽さんは流石勤勉ですね。……僕もご一緒して宜しいですか?」
にこやかな天使の微笑みを浮かべる綾絲は、本当に素晴らしい提案だと、疑いもせずに伊織を見つめてくる――うっ、敵わない。
「? 綾兄様?」
と、肝心の春和は、其処で漸くふたりの戯れに気づいたらしい。敵に集中していたとのことだが、にこりと頷いた彼女は、そのままぐさりと伊織に釘を刺す。
「はい、……では祝勝会の次は、『皆で』ゆっくり散策という事で宜しいでしょうか?」
「……スヨネ~! 勿論一緒に行こ~!」
――大丈夫。オーケー貰えたから、トータルで赤丸より青丸のほうが多い。そう自分に言い聞かせる伊織の前に、ラスボスとして立ちはだかったのは菊里だった。
「おや、ふふ、良いですねぇ。……俺も更に、色んな食事処の色んな品々を見聞して回りたい、と思っていたのですよ」
「え? 待って、オレの奢りでとか言わないよな!?」
そんな、いつもと変わらぬやりとりこそ、密かな決意の裏返し――ならば遅れ馳せでも、綾絲だって心の温もりを絶やさぬよう、冷たい雨のなかでも笑顔でいることを誓う。
「後は、残る憂いを晴らすべく――」
「はい、正念場ですが……この場や心身が暗く冷えきってしまう前に、終わらせましょう」
死者の群れに立ち向かった時のように、退魔刀を構えた春和が前に出た。シラバキ自身にすら制御の効かぬ、膨れ上がった怨嗟が彼女に押し寄せるが、其処で狐火を合体させた菊里が片目を瞑る。
「耳を傾けるなら、不穏な呪詛より平穏な雑談に――ですね」
――斯様な戦場なればこそ、引き続き会話も戦闘も軽妙に。清火の結界が雨雫を弾けば、綾絲も動いた。吹き荒れる鈴蘭の嵐が、清めの炎を纏ってうつくしく燃え上がる。
(「こんな風に、また誰もが此処で笑って過ごせるよう願って」)
汚染から仲間を護るように、厚みを増した結界が一転して――敵を阻む檻へと、変わる。
「…………?!!」
呪詛の塊に変じたシラバキが、空へ逃れようとしたのは本能だったのだろう。しかし、菊里とて本職は妖剣士だ。丁々発止のやり取りには慣れている。
「斯様な者に、引けを取る訳にはいきません。……抑え込んでみせましょうとも」
狐火を操り、すかさず敵の逃げ道を塞いだのに合わせて、春和が切り込んでいく。炎の間隙を縫い、塊と化したシラバキの元へ――その邪心の核目掛けて、祈りを籠めた太刀を振るう。
「呉羽様……!」
名を呼べば、春和の頭上から応じる影が見えた。鬼道に通じ、その身に憑き纏う幽鬼を御した伊織が、限界を超えた力で刃を繰り出していた。
「ああ――彼ら彼女らの日常に、お前が顔を覗かせちゃならない」
お前の呪詛にも、呑まれてなんかやらない――誓いを宿した花明が、変異したシラバキの肉塊を絶つ。
仲間を、人々を、世界を――呪い害さんとする禍根こそを絶つ。霊力を増した春和の刀が、更に深くシラバキを貫いていく。
(「また明日と笑って別れた人々が、その通りに――明日も笑って顔を合わせられるように」)
――願うのは、死の影に屈さぬ輝かしい日々。冷たい雨を晴らし、温かな日々の続きへ帰れるようにと、綾絲も束の間の休息を思い返しながら、鈴蘭を操る。
「そう、表舞台に貴方の出る幕はない」
「……お前もお前の在るべき場所に、還りな」
交叉した道は、ひとつになった。此処に在るのは惨い悲劇ではなく、彼らの生み出す目映い青春群像劇。
――雨の音が、遠ざかる。
大成功
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幽谷・倖
あなたは……衝動のまま誰かを傷付ける、そういう存在なんだね
あなたがその状態を望んでいるのか苦しんでいるのかは分からないけれど
決して幸福な状態じゃないと思う
だから、祓わせてもらうよ
火の弓を構え敵と対峙
呪詛は痛いし怖いけれど、できるだけ呼吸を整えて苦しみを軽減できるように
大丈夫、終わらせよう
しっかりと狙いを定め、矢を放つ
できれば相手をしっかりと撃ちたいけれど、動きも速いから難しいかな
何発でも矢を放ち、広がる炎で敵の動きを制限していこう
少しずつ相手を追い込み、狙える時は全力で
あなたのようなゴーストを倒すのが、祓うのが私の使命だから
せめて燃える炎が少しでもあなたの苦しみを消せるように
さよなら、怨霊さん
――遠ざかる雨のなか、「雨よ」「雨よ」と口ずさむ。
何処かで耳にしたナーサリーライムは、英語の授業で習ったのかも知れない。そんなことを思う幽谷・倖(日華・f35273)の手に、炎の弓が現れてゆらゆらと火の粉を散らした。
「……あなたは」
目の前には、呪詛を祓われて弱り切ったシラバキがいる。それでも塊に変じて感染を広げようと、引き攣るように蠢いていたから躊躇はしない。
「衝動のまま誰かを傷付ける、そういう存在なんだね」
できるだけ呼吸を整えて、呪詛のもたらす苦しみに備えた。痛いし、怖い――戦いを通して得た倖の気持ちに、偽りは無い。
(「大丈夫、終わらせよう」)
――そう。だからこそ、終わらせなくてはならないのだ。覚悟を決めた倖が矢を放とうとした時、突如シラバキが宙を舞い、辺りに微弱な呪詛を放ってきた。
(「やっぱり、動きが早い」)
高速で飛翔する呪詛の塊は、まるでしぼんだ風船のようだ。空気が抜けるように悲鳴を上げて、生命が尽きるまで全てを呪い続ける。
「……あなたがその状態を、望んでいるのか苦しんでいるのかは分からないけれど」
きっと呪いの所為だろう。ひどい眩暈が倖を襲ったが、しっかりと足を踏みしめて相手の動きを捉えた。
「決して幸福な状態じゃないと思う、だから――」
――降り注ぐ太陽の光と熱を、消えぬ炎に変えて矢を放つ。初撃は外してしまったが、既に戦う意思を示した倖は怯まなかった。
「祓わせてもらうよ」
二撃、三撃と繰り出される飛輪によって、熱せられた空気が敵の行く手を阻む。そこに籠められた倖の気迫が、少しずつゴーストを追い込んでいく。
――何発でも矢を放つ。そうして広がる炎がシラバキを呑み込んでしまえば、あとは全力で止めを刺すだけだ。
「あなたのようなゴーストを倒すのが……祓うのが、私の使命だから」
ごう、と噴き上げる灼熱の炎が、シラバキの仮面を一気に燃やす。
業火に包まれた彼の素顔を、倖が目にすることは無かった。ただ、炎が少しでも苦しみを消せるようにと願いながら、消えゆくゴーストに別れを告げた。
「――さよなら、怨霊さん」
大成功
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