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銀河帝国攻略戦⑪~星核の明滅

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●怒涛
 スペースシップワールドの艦隊は帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的な攻勢を開始した。
 しかし帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装は、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』によって修復され続ける。撃破するには至らず、戦いは膠着状態に入ったのだ。

 現状を打開するため、猟兵による『コア』への突入作戦が行われることとなる。
 コアマシンルームへ至る侵攻ルートは確保されているが、コアマシンルームへの最後の難関である古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』が待ち構えている。それを排除しなければ、コアルームに向かうことは出来ない。
 戦闘のみに特化し感情を持たない『デストロイ・ウォーマシン』は名の通り、破壊し、殺戮する。嘗て伝説の解放軍の英雄たちを屠った代物だ。
 軽い気持ちで打倒出来るほど安い敵ではない。
 では。
 猟兵たちは。

●星核
「さ、正念場だ」
 鴇沢・哉太(ルルミナ・f02480)が猟兵たちに視線を流す。
「『エンペラーズマインド・コア』の破壊が目標だが、その前に立ち塞がる『デストロイ・ウォーマシン』を何とかしなきゃならない。そう簡単に駆逐出来るとは、思わないほうがいい」
 哉太の声は珍しく神妙だ。油断は決して許されない、そう告げるかのように。
「問題はコアマシンルーム内には殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満してるってこと。猟兵でも数秒程度しか活動することが出来ない。どんな猟兵でもだ」
 すなわちコアマシンルーム突入後は、渾身のユーベルコードを一度放つのが限度だろうと哉太は言う。ユーベルコードを撃った後は強制帰還が待っている。
「考えることはたくさんある。力押しじゃ勝てない。本気、見せてもらえると信じてるよ」
 挑むような様相で、哉太は口の端を上げた。


中川沙智
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================

 中川です。
 ガチ一発勝負と参りましょう。

●シナリオ構成について
 第1章:デストロイ・ウォーマシン戦(ボス戦)
 以上です。
 今回はその性質上全部のプレイングを採用出来るとは限りません。
 しっかり判定しますので、覚悟完了の上お越しください。
 恐らく10日の午後に執筆して返却します。

 では、皆様のご参加を心からお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーア・ストリッツ
成程
殺人ウィルスと自律機械兵器の組み合わせは非常に有効ですね
ですが、数秒なら耐えられる程度のウィルスだったのが敗因です

コアマシンルーム突入直前に【氷雪竜砲】をチャージしておく
深く、深く息を吸い、喉奥に仕込んだ魔法陣を全力で励起
吸気を可能な限り変換して、放つ直前に留めておきます
そして一息にルームに飛び込んで敵ウォーマシンを照準
敵胴体の中心目掛けて全てを解き放ちます
「ハッ、ァァァアアアアア!」
ところで、技の性質上フィーアの突入は早いほうが良いですね?
氷で敵の動きを止められれば、後続の仲間が攻撃を当てやすくなるかも知れません

一発ブッパしたらそれで終わりです
結果にかかわらず強制帰還に身を任せましょう



●デンジャーサイン
 張り詰めた空気を突っ切るように往く。
 殺人ウィルスと自律機械兵器の組み合わせは、成程確かに凶悪であり非常に有効でもあるだろう。
「ですが、数秒なら耐えられる程度のウィルスだったのが敗因です」
 敗因。そう言い切ったのはフィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)だ。
 つまり猟兵らでデストロイ・ウォーマシンを倒すという未来への宣言。
 先へ進みながら深く深く息を吸う。フィーアの首回りに淡い光が灯った気がした。
 喉奥で息衝く魔方陣。熱を帯びるも即座に反転する。零下の彩を蓄積していく。
 地を蹴って跳躍する。
 飛び込むはコアマシンルーム。
 眼前の世界が開けた瞬間、デストロイ・ウォーマシンの腹めがけて解き放つ。
「ハッ、ァァァアアアアア!」
 凍てつく吐息。
 氷雪の嵐が顕現する。轟然と踊り狂う冷気。
 突入を早めにと心掛けていた。それは一秒をも惜しむこの戦局ならではの判断だ。僅かにでも氷で敵の挙動を損なうことが叶えば、後続の仲間の助けとなるだろうから。
 フィーアの目論見通り微かな硬直が生まれるも、その向こうに軋む稼働音がある。
 眼前に振り抜かれたのは一切殺戮モードの鋼刃だった。伝説の解放軍の英雄たちを屠ったというのは伊達ではないと示すかのような純粋な暴力。
 しかし真紅の双眸は、デストロイ・ウォーマシンの幾つかの可動部が凍っていることを見届ける。
 こうして己が狙われたことで、次手へ繋がる。
 正確に理解したフィーアは満足げに、強制帰還に身を委ねる。意識が途切れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

境・花世
いのちは然程惜しくないけど
死ぬために戦ったことはない
全部、成し遂げてきたんだ

祈るように目を伏せれば、
ざわりと爛漫に咲いてゆく
この身に宿る百花の王

――突入、開始

高速移動と早業を併せて、
ルーム内に躊躇いなく踏み込む

恐らくは判断する間もないだろう
第六感に導かれるままに、
敵の聳える方へ全力で駆け出して
砲撃の雨は逃げ足で躱すように、
傷ついても怯まず向かおう

この手が敵を捉えるまで、
倒れない、捨て身でいい、
鋭く投げつける花の種が
敵の武装に吸い込まれたら
最後に振り絞る咆哮で、

咲け!

一筋でも罅を入れることが出来たなら
後は、仲間に託してゆくよ
消えるまでの瞬間に、
もしも誰かを庇えるならそうしたい

※アドリブ・絡み歓迎




 身を翻す様は満開の花の如く。
 只管にコアマシンルームへ向かう最中、境・花世(*葬・f11024)の蘇芳の髪が靡く。
 いのちを惜しんだことはない。それでも、死ぬことを前提にして戦いに赴いたことはない。全速力で欲張りに、すべてを勝ち取る勢いで走って来た。
 コアマシンルームの直前でいったん、足を止める。
 祈念に似た願いを乗せて目を伏せる。僅かに息を呑むたまゆら。ざわり、疼く芽吹きがある。そっと花弁が綻ぶように爛漫に満ちる百花の王。
 咲き誇るがままに宣言しよう。
 それは事実の提示。
「――突入、開始」
 馳せる。
 部屋へ踏み入る。迷いはない。疾く駆ける。思考など今は動かす必要もない。
 先の攻撃で凍えたマシンだが、怯むことなく襲い来る。殺戮機械が全武装を砲撃仕様に置き換えた。鉛の連打が花世に迫る。肩を抉り腿を貫くも、身を千切るような痛みなど今は無視だ。
 神経を研ぎ澄ます。顔は背けない。ただただ前を見据える。
 この手が敵を捉えるまで決して倒れない。己が身など鑑みない。種が生み出す八重の牡丹は高貴な佇まい。その時氷を這わせた敵の部品が微かに、ほんの一瞬、鈍くなった。
 見過ごさない。
 高らかに声を張る。
「咲け!」
 宙に花開く絢爛の花。デストロイ・ウォーマシンに血はないのに赤く染まった花弁の理由は赤錆故か。軋む。装甲に一筋罅が奔る。
 後は仲間に託そう。まだ攻勢は続く。
 次に飛び出す仲間への射線を塞ぐように背を向け、朧になる境界を知る。

成功 🔵​🔵​🔴​

水衛・巽
へえ、面白い。鴇沢君の期待に応えつつ、
超古代兵器とやらのお手並み拝見といこうか。

ウォーマシン手前までは安全なようだから、
可能な限り急行しよう。

到着次第すぐに朱雀凶焔で攻勢に移る。
すべてウォーマシンには当てず
いくつかは目眩ましに使ってみよう。

特にデストロイトリガー後には、
他の猟兵がいない所に高速で何個か泳がせて攪乱したい。

生命力吸収もあるし多少は打たれ強いつもりでいるから、
ルーム内に誰か送り込むことを最重要目標にして動こう。

まあ、コアさえ壊せれば勝ちなんだから、
壊すのが誰かなんてこだわらないし。
多少痛い目みても強制送還で回収されるんだから、
ここは無理のし甲斐があるってもんでしょう。


レッグ・ワート
簡単に駆逐出来るわけないだろガチの機体が準備万端とか勘弁してくれよ。……デストロイマシンの強化幅どんなもんだったかな。

全体の立ち回りの情報が欲しいんで、敵の主な注意や砲身が他向いてる間に迷彩ドローン上に飛ばす。それも使って、仲間の攻撃の間を埋めたり敵の行先妨害しに俺は動くわ。ちな活かせそうな奴には先に話しといて情報送る。壊されてもそれはそれ、砲身一本分だろうが隙は貰ったってことで。
基本は宇宙バイク操縦しての鉄骨なぎ払いと逃げ足離脱だが、近接組が少なけりゃ降りて見切り武器受けで請け負う。狙いは砲身継ぎ目や結合部、後はしっぽ踏んだり引いたりで姿勢崩せるか試す。やばい時は無敵城塞でかばい捌きたいね。




 次々と猟兵たちがコアマシンルームに雪崩れ込む。強制帰還を食らう以上、出来る限り隙を生まぬよう波濤攻撃を畳み掛けるのが定石というものだろう。
 続こうとした水衛・巽(鬼祓・f01428)の胸裏に、グリモア猟兵の慎重かつ信頼を帯びた発言が過る。
「面白い。期待に応えつつ、超古代兵器とやらのお手並み拝見といこうか」
「ったく。簡単に駆逐出来るわけないだろガチの機体が準備万端とか勘弁してくれよ」
 嘆息交じりにレッグ・ワート(其は脚・f02517)がぼやく。そのくせ「……デストロイマシンの強化幅どんなもんだったかな」と冷静な試算を開始するのだ。人間に非ざるウォーマシンの長身は、この場においてむしろ最もこの雰囲気に調和する存在のように、巽には思えた。
 他の猟兵の誰かを必ずコアマシンルームに送り込む――巽とレッグの共通認識が、それだった。
 そのためであれば足掛かりにしてもらって構わないという気概が、両者の横顔に滲んでいる。
 コアさえ壊せれば猟兵の勝ち。
 壊すのが誰かなど、巽にとっては些末事。
 それに同意だと言わんばかりにレッグが先行させたのは迷彩ドローンだ。先往く猟兵に紛れるように飛行し、少しでも仲間の攻撃の隙間を埋め、敵の行動を阻害することが出来たらいい。得た情報を送るという旨も、話せた猟兵とは共有してある。
 きっとドローンはすぐ壊される。
 だがその一秒が、何より貴重なのが今回の戦いだ。それを稼ぐ手立てなら幾らでも尽くそう。
「先行くわ。後続よろしく」
 巽へ一言そう残して、レッグがひらり宇宙バイクに跨ってエンジンをかける。走る猟兵たちを追い越していく。
 勢いに乗せた宇宙バイクは速度を緩めない。しかしレッグは冷静に現況を見定める。ぬかりはない。目指すは結合部、装甲と装甲の継ぎ目にあたる部分――。
 振り翳された無骨な鉄骨。
 力任せに叩きつける。鈍い音。重い反動がある。手応えは直に身を震わせた。穿った痕を確かめる。これでいい。
 すかさずデストロイ・ウォーマシンが反撃のため銃口を向ける。
 だがレッグのボディは急速に硬化していく。生身であれば蜂の巣になっていただろう銃撃の嵐を、その身を無敵の盾として跳ね返した。同時に強制帰還による転送がレッグの輪郭を歪めていく。
 その姿を視界の隅に映し、巽もデストロイ・ウォーマシンへと相対する。気概を、継いでいく。
 じわり、肌を蝕むような独特の感覚に襲われる。オロチウイルスだ。時間に猶予はないことを身を以て再認識する。
 成程一撃ユーベルコードを叩き込むのが精一杯という言葉は嘘ではないらしい。巽はあらかじめ考えていた目眩ましの段取りをすべて横に吹っ飛ばしておく。持て得る力を全力で発揮して出し切って、結果注意を己に向けることが出来れば僥倖だ。
 その間にも攻め来る銃弾は身を抉る。肉が削られる嫌な感覚は、只管に熱い。痛みは時間差でやってくる。
 しかし巽の藍の双眸は細められる。
 たとえどれだけの傷を負っても、強制帰還で回収される。
 後顧の憂いは存在しないのだから。
「ここは無理のし甲斐があるってもんでしょう」
 声がはっきりと響く。
 素早く印を結ぶ。巽が呼び出した焔は炎帝のゆらめき。轟いた朱雀の火炎が幾つも重なる。
 揺るがぬ視線と同じく真直ぐに、指を横一文字に薙いだ。
 劫火が疾駆する。それはデストロイ・ウォーマシンを包み込み、翼広げるように一際高く燃え盛った。
 その様を確と目に焼き付けて、意識が引き戻される感覚に身を委ねる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィルジール・エグマリヌ
殺人ウィルスか
正直に言うと、とても怖い
でも私を慈しみ育んでくれた
此の世界の為なら
何だって遣れる気がするんだ

震える指には今だけ目を瞑り
いざ敵陣へ征かん

マシンルームに突入したら
敵に向かって一目散に駆け
道中で眠れぬ夜の揺籃歌を展開
狙うのは仲間が傷つけた場所

皆が与えた一撃を無駄にせぬ為
ウォーマシンの損傷部へ
鋸達を嗾けその傷口を抉ろう

突撃するのは鋸だけじゃない
私も砲弾の雨の中を駆け
敵へ捨て身の一撃を
きっととても痛いけれど
世界の為なら大丈夫、耐えられる

時間の猶予は無いだろう
鋸達と同じタイミングで
拷問具たる処刑用の剣を振るおう

一撃入れたら後は続く仲間へ
消える刹那、矢張り手は震えていて
嗚呼、格好悪いなあ、私は


ロード・ブラッドリー
……そっか
本気の一発勝負なんだな
正直、機械の敵は苦手なんだ
何考えてるかわかんねーから

けど、苦手だからって逃げてたらオレはその程度で終わりだ
怖いのは、いつだって足を止める事

目を閉じて思い浮かべるのは、短い間でも絆紡いだ仲間たち

……っし、行くぜ!
オマエも準備はいいか?ハク
(肩の白龍を指先で撫でて)
(頷き合った後に槍に変化させる)

駆け足で内部に突入したら
一発勝負【ドラゴニック・エンド】で攻撃する
美しいオレの白龍……ハク!
オマエの力、届かせてみせる!

例えトドメを刺せなくても、少しくらいは削れるだろ
オレら猟兵……仲間との一大総力戦だ
次の奴の掛かりになってくれ
そんで、前の奴らの想いも力も絶対無駄にはしない




「殺人ウィルスか。正直に言うと、とても怖い」
 ヴィルジール・エグマリヌ(星海の一滴・f13490)の声に嘘の色はない。しかし儚いながらも、潜む意思の綻びは淡く瞬くように息衝いている。星に似た彩。
「でも私を慈しみ育んでくれた此の世界の為なら、何だって遣れる気がするんだ」
 それは周囲の猟兵に向けた言葉でもあり、己自身に向けた言葉だったのかもしれない。
 指が微かに震えるまま、顔を上げる。
 その透き通るような横顔を見て、ロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)は神妙に呟いた。
「……そっか。本気の一発勝負なんだよな」
 ヴィルジールの言葉を聞き届けて、ロードもまたぽつぽつと言葉を漏らし始めた。
「正直、機械の敵は苦手なんだ。何考えてるかわかんねーから」
 苦手と思う気持ちを否定しない。事実だ。それはわきまえている。
 それでも、怯んでいたら何も前進することは出来ない。
「けど、苦手だからって逃げてたらオレはその程度で終わりだ。怖いのは、いつだって足を止める事」
 目の前の課題を明確に理解して、『怖い』ことが現実にならないように。
 ふとロードは瞼を伏せる。まなうらに思い浮かべるのは、短い間でも絆紡いだ仲間たち。
 開かれた金の双眸に迷いは存在しなかった。故にヴィルジールも首肯する。
「……っし、行くぜ!」
「そうだね、行こう」
 対照的な色彩や雰囲気を持つヴィルジールとロードが肩を並べることになったのも、ひとつの縁が繋がれた結果。
 それを携えてこれからを更に織りなしていくしか、新しい道筋は見えてこない。
「オマエも準備はいいか? ハク」
 ロードの肩に乗った白い小龍がご機嫌そうに鳴いた。
 であれば――もう、すべきことは明白だ。
 コアマシンルームへ、未だ逐次投入という形で猟兵たちが雪崩れ込んでいる。しかし無尽蔵に人が湧いてくるわけではない。
 だから二人と一匹も地を蹴った。走る。翔ける。駆け抜ける。
 コアマシンルームへ突撃し、目指すデストロイ・ウォーマシンの存在を認識した時。
 既にヴィルジールは己がすべきことはわかっていた。
 猶予はない。展開させるは愛用の処刑道具。アンティーク鋸の鈍い耀きが薄ら光る。
 狙い定めるは先の猟兵たちが着実に削った箇所。すなわち損傷部だ。向かった戦いをとある結合部が狙い撃ちされているのが見えた。殴打した後焦げたような痕。
 それを見定める。狙う。逃さない。
 念力を使って鋸を疾走させる。鋸だけには任せておけない。ヴィルジールも馳せた。
 たとえ襲い来る、無情な散弾の連射をその身に受けようとも。
「揺籃歌を、歌っておくれ」
 冀う。
 鋒潰した水宝玉を柄頭に戴く処刑用の剣を引き抜いた。鋸が閃く。
 ヴィルジールが上段で構えた剣で、吉兆の星図が煌めく。
 その太刀筋が流れ星になる。
 鋸が襲うその傷痕へ、重ねて抉るように刃を沈める。配線が切れる音。手応え。懐をひっかくように削り、それからすべて掬い上げるように剣を引き抜いた。
 瞬間、デストロイ・ウォーマシンが突如として暴れ出した。銃口を一気に突きつけられる。その数、百。否、それ以上あるようにも見える――。
 銃撃が鳴り響く。
 しかし決して倒れない。あとは仲間へ託そう、そう考えたヴィルジールの手が矢張り震えている。
「嗚呼、格好悪いなあ、私は」
 それでも全力だ。
 徐々に薄ら透けていく己が姿は、強制帰還を食らっているが故のことだと知れる。
 それを見届けてロードは尚も前へ進む。ヴィルジールをはじめとした前の奴らの想いも力も絶対無駄にはしない。
「美しいオレの白龍……ハク! オマエの力、届かせてみせる!」
 勢いそのままに投擲する。白龍が弾丸の嵐を掻い潜り、デストロイ・ウォーマシンを捉えた。
 例えとどめを刺せなくても、少しくらいは削れるだろ――そんなロードの目論見は功を制する。
 それは牙。それは矛。その一撃がデストロイ・ウォーマシンを貫通する。
 だがそれが限度であった。強制帰還を裏付けるように手の輪郭が朧になってくる。
「オレら猟兵……仲間との一大総力戦だ」
 次の誰かの足掛かりになれていたらいい。
 これからを祈念して、己が一撃の手応えを抱えたまま、ロードはゆっくりと瞼を閉じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ツーユウ・ナン
”赤備え”は強者の証、わしの世界と事情は違えど、如何にも強敵というツラをしておるわ。
ウォーマシンなるものはこの世界の戦いに特化している存在。ならば、ヤツの経験にない戦い方で挑もう。
剣戟の間合よりもさらに近く――”手合い(格闘の間合)”こそわしの戦場よ!

・敵の攻撃には体術避け【見切り】や手に氣を纏っての受流し(化勁)【オーラ防御】【武器受け】
・巨体の死角からアームを擒拿【グラップル】【怪力】で極め、崩す
『UC』→一瞬の機を捉え、重い震脚からの頂肘で敵の脊柱を狙う【カウンター】【鎧無視攻撃】
「哼フン!」

◆コアへの攻撃
→コアへ取り付いたら渾身【力溜め】の双掌打(浸透勁)を叩き込む
「哈ハアッ!」


メーアルーナ・レトラント
メアにも、できることはあるのです!
むずかしいことはよくわかんないですが……でしゅとろい…なんとかさんにどーんしてくればよいことはわかりました!
メア、できます!(ふんす)

ういるす?よくわかんないけどながくいたらだめなのですね。
それなら、おへやのまえからじょそうをつけて、たいあたりするのです。

ひよキングしゃん!
てきはとてもつよいのです。だからメアといっしょに、どーんしてください!
どこまでも、メアとひよキングしゃんはいっしょ!

おへやのなかはいるまえからいきをとめて。
まっすぐまっすぐ、いきおいつけて。
全力砲撃はひよキングしゃんをしんじて、ぜんぶたくすのです!
そしていっしょに、かえるのですよ!



「メアにも、できることはあるのです!」
 突入前、メーアルーナ・レトラント(ゆうびんやさん・f12458)が虹めいた遊色躍る髪を揺らしながら言う。
 その様子を見てツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)が瞬く。強靭な己とは対照的な、小柄で幼い少女へ視線を向けて。
「むずかしいことはよくわかんないですが……でしゅとろい……なんとかさんにどーんしてくればよいことはわかりました!」
 あらかじめ聞かされていた作戦の概要。それを端的に咀嚼したメーアルーナの大きな瞳には意志の強さが滲んでいた。それは猟兵としての確かな決意の表れだ。
 だから宣言のように告げる。
「メア、できます!」
「ああ。出来る。わしらであれば、本懐を遂げられようぞ」
 息巻くメーアルーナへ首肯するツーユウの眼差しは真摯だ。年若い子供であっても立派な猟兵だと示すように鷹揚に笑みを浮かべる。メーアルーナも頼もしい女用心棒の姿に「まけないようにがんばります!」とぐっと拳を握ってみせた。
 互いへ傾ける敬意を傍らに、今は行こう。
 馳せる。進む。前へ前へ、先を掴み取るために往く。
 デストロイ・ウォーマシンと相対すればツーユウが睨みつける。
「”赤備え”は強者の証、わしの世界と事情は違えど、如何にも強敵というツラをしておるわ」
 そびえる赤い装甲には先に猟兵たちが食らわせた攻撃の痕跡が散見される。
 オロチウィルスが告げる刻限が迫らぬうちに、一発食らわせてやらねばならない。
 ウォーマシンはこのスペースシップワールドでの戦いに特化している存在。であれば逆転の発想だ。相手の経験にない戦い方で挑もう。
 光線銃より、刃よりもより懐近く。
「剣戟の間合よりもさらに近く――”手合い”こそわしの戦場よ!」
 咆哮の如き声は戦意の証明。
 その間にもデストロイ・ウォーマシンが一切殺戮モードへシフトしていく。
 千刃の嵐が瞬く間にツーユウの眼前を斬り刻む。
 しかしツーユウは怯まない。出来る限りその切先を見切り被害を最小限度に抑える。掌に氣を纏って受け流す勢いのままに肉薄する。
 死角に滑り込む。
 アームを掴み捻じる。所謂逆技だ。関節を攻撃して挫き受傷させ、崩す。流れるような動きで渾身の拳を叩きつける。
 その間にメーアルーナが逆方向から一直線に突貫してくる。止めていた呼吸ごと、意気を解放するように駆け抜ける。
「ながくいるのがだめなら、いきおいにのせてどかーんといけばいいのです!」
 メーアルーナが騎乗しているのはひよこキング。無数のひよこが重なり合って合体して、風格さえ湛えるくせ、ハイパーキュートな佇まい。
「ひよキングしゃん! てきはとてもつよいのです。だからメアといっしょに、どーんしてください!」
 どこまでも、メアとひよキングしゃんはいっしょ! ――そう告げるメーアルーナの眼差しは無垢で真直ぐ。
 加速するひよこキングは今にも飛びそう。でも飛ぶなら上じゃなくて前だ。正面からぶっ叩くのだ。
ひよこキングがデストロイ・ウォーマシンに衝突する。
 同時に重い震脚が響く。地が揺らぐ。殺戮機械を捉える。
 そのまま頂肘を敵の脊柱に穿つ。
「どこまでも、メアとひよキングしゃんはいっしょ!」
「哼ッ!」
 立て続けの二連撃。
 衝撃は閃光のように。
 今までずっと立ちはだかっていたデストロイ・ウォーマシンが限界を迎える。崩れ落ちる。しかし頓着している暇はない。
 それをツーユウとメーアルーナが一足飛びで越えていく。
 時間がない。オロチウィルスが充満している部屋では一秒すら惜しい。
 だから続けざまに畳み掛けよう。奥に佇むコアの存在を見出し、意識を集中させる。ぬかりはない。
 あらゆる力を双掌に籠め、発勁の構えを取るツーユウ。
 只管真直ぐにひよこキングと飛び込んでいくメーアルーナ。
「哈ッ!」
「しんじて、ぜんぶたくすのです! そしていっしょに、かえるのですよ!」
 その拳が、その突進が、コアへ向けて最大出力で撃ち出される。

 まだ銀河帝国攻略戦は終わらない。
 それでも確かな成果を勝ち取ることが出来たと――猟兵たちは誰もがそう、信じていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト