熾火は青く昌盛・『︰ll』
●人の営みは続く
亜麻色の髪が揺れて、黒い瞳が見つめるのは沈みゆく浮島。
嘗てはあった人の営みが僅かに残る浮島は、屍人帝国『オーデュボン』の侵略に寄って支配されたものであった。
その浮島が天使核の暴走によって今まさに雲海に墜ちようとしていた。
少年『エイル』はわかっていた。
それが天使核を暴走させるユーベルコードであると。言葉にされたわけではない。けれど、直感的に判っていたのだ。
あの天使核を暴走させるユーベルコードは完全発動していない。
あまりにも時間がかかりすぎるのだ。
そのためにレジスタンスの本拠地を襲ったオブリビオンは時間を稼ぐために猟兵たちの目を己に向けさせたのだ。
「人はいつだって失い続ける。けれど、それが良いことだとは、正しいことだとは僕には……俺には思えない」
だから、とつぶやく。
少年『エイル』が青い鎧の巨人『セラフィムV』の胸の中に座す。
『竜の巣』と呼ばれた危険な空域にある浮島の玄室に残されていた宝珠。
それを手にしてから理解したのだ。
『セラフィムV』は人の思いを蓄え、増幅する器。
それが求めた宝珠は人の思いをつなぐもの。
この浮島にやってきた時、『セラフィムV』は自身の意志と迎えに来たレジスタンスの飛空艇とを繋いだ。
あれは言わば綱のようなものだった。
ならば、できるはずだ。
「例え、これがただの時間を稼ぐことでしかないのだとしても」
全てが無駄に終わるのだとしても。それでも諦めたくないのだ。人々が育った大地。生きてきた証が残る浮島。
それを喪うことがどれだけの悲しみを産むのかなど言うまでもない。
だから『エイル』は征くのだ。
「人の思いを増幅させるのが、この機体なのならば。人の思いをつなぐのが俺だ……『セラフィム』――!」
●手を伸ばし続ける限り
浮島の中心に座すは奇妙で巨大な何かであった。
それは巨大な懐柔のようであったが、腕には大杖を持ち、周囲に支配の感応波を放ち付けている。
体長60mを越える巨体。
頭上に輝くはユーベルコードの輝き。
「オオオオオ――」
咆哮が響き渡り、その巨体の如き生物――『主天魔怪獣ドミニオン』は浮島の天使核を暴走させる謎のユーベルコードを発動し続けていた。
ただ支配するためだけに存在するオブリビオン。
それが『主天魔怪獣ドミニオン』である。屍人帝国『オーデュボン』の放った最大にして最強の巨大怪獣。
自然法則を操り、天災を手繰る怪物は、周囲に邪竜を従え、己の目的である浮島を雲海に沈めるべくユーベルコードを発動させ続けている。
完全に発動するには未だ至っていない。
されど、この浮島に住まう者たちが抵抗などできようはずもない。
『主天魔怪獣ドミニオン』は、そんな者たちを支配しようとは思わない。支配に値するは、この逆境にこそ立ち向かってくる者である。
「オオオオオ――」
見上げる先にあるのは、胸にある炉心の如き天使核から放たれる力の奔流によって空と浮島を繋ぐ楔となった青い鎧の巨人の姿。
滅びるとわかってもなお、それに抗う者。
あれこそが支配に値する存在である。『主天魔怪獣ドミニオン』は初めて笑った。
『支配したい』と。あの存在を従えることこそ、己の主命。
周囲に存在する邪竜たちに命令を下す。
あの青い鎧の巨人を己の眼前に。そして、支配をもって、この大空の世界に遍く己の威光を知らしめるのだと咆哮するのだった――。
●ならば応えよ
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。屍人帝国『オーデュボン』との戦い……その最中、浮島の天使核が暴走させられ雲海に沈められようとしています」
ナイアルテの言葉に余裕はない。
レジスタンスの本拠地であった浮島は、元々国が存在していたが屍人帝国『オーデュボン』によって侵略され、支配された大地である。
猟兵達は、このレジスタンスの本拠地に入り込んだスパイを見つけ出し、打倒することに成功したのだが、幹部であるオブリビオンによって浮島の天使核を暴走させられてしまう。
「予知で其処まで見抜けなかった私の不手際をお責めになってください。けれど、それはどうか後にして頂きたいのです」
グリモアの予知では、天使核の暴走までは見抜けなかった。
けれど、今は完全に見えているのだという。天使核を暴走させる謎のユーベルコードに寄って、浮島の天使核は暴走させられ、沈下を始めている。
しかし、完全に発動しているわけではないようなのだ。
「この謎のユーベルコードの発動に割って入って暴走を阻止することは可能なのです」
それは不幸中の幸いであったことだろう。
しかし、問題がある。
そう、天使核の暴走により浮島の大地は異常な天候や減少に包まれている。吹き荒れる風と雷、降りしきる雨。まさに猛烈な嵐の中を突き進まねばならない。
すでにレジスタンスの飛空艇はこれらの異常気象に巻き込まれぬところまで退避している。
けれど、単身いち早く飛び込んだ『セラフィムV』を駆る少年『エイル』が浮島の沈下を遅らせるために青い鎧の巨人の炉心にある天使核のエネルギーでもって謎のユーベルコードの発動をも遅らせているようなのだ。
「けれど、彼らを狙って敵のオブリビオンも迫っています。邪竜にして『空を砕くもの『スターブレイカー』。今までのオブリビオンの軍勢とは質が違います。これらを島の異常気象に耐えながら素早く蹴散らさなければなりません」
そして、天使核を暴走させているオブリビオン、『主天魔怪獣ドミニオン』を撃破すれば天使核の暴走は止まる。
「救えぬと思われていた浮島の沈下。これが今ならば間に合います。どうかお願い致します。『エイル』さんと『セラフィムV』を救い、沈みゆく浮島を再び人々の手に取り戻してください」
ナイアルテは頭を下げ猟兵たちを送り出す。
矢継ぎ早に訪れる脅威。
されど、人の営みは終わらない。たとえどれだけ無駄なのだと言われようとも、それでもあがくのならばこそ、手を伸ばさなければならない。
いつだって人は負けない。
死んでしまうかもしれないけれど、負けるようにはできていない。
人の思いを膨れ上がらせ、繋いだ少年がいるように。何もかも諦めるにはまだ早すぎるのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
大空の世界、ブルーアルカディアにおいて屍人帝国『オーデュボン』に支配され、雲海に沈められようとしている浮島を救い、人々の手に取り戻すシナリオになっています。
●第一章
冒険です。
天使核が暴走しつつある影響に寄って、浮島は異常な天候に晒されています。
凄まじい暴風が吹きすさび、雨と雷がひっきりなしに皆さんを襲い来るでしょう。これらの危険を乗り越え、天使核を暴走させている謎のユーベルコードを発動させている『主天魔怪獣ドミニオン』へと迫りましょう。
●第二章
集団戦です。
放たれた邪竜、空を砕くもの『スターブレイカー』が複数襲いかかってきます。
未だ浮島を覆う異常気象が止まず、皆さんはこれらに耐えながら、これらと戦わなければなりません。
またオブリビオンたちは謎のユーベルコードの発動を遅らせている青い鎧の巨人『セラフィムV』もまた狙うので、これを守る必要もあります。
●第三章
ボス戦です。
天使核を暴走させようとしているオブリビオン『主天魔怪獣ドミニオン』との決戦となります。
この『主天魔怪獣ドミニオン』を撃破すれば、浮島の天使核の暴走は止まり、異常な減少も収まります。
沈下していた高度も元の高度まで戻り、人々の手に浮島が戻ってくることでしょう。
それでは、ブルーアルカディアにおける一人の少年と一体の巨人をめぐる皆さんの物語の一片、その決着となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『暴走する浮島』
|
POW : 飛来する瓦礫から仲間を守る。
SPD : 地形を足場にして最短距離を駆け抜ける。
WIZ : 危険な現象への対処法を講じる。
イラスト:Hachi
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
青い鎧の巨人『セラフィムV』の両の掌から溢れる天使核より変換されたエネルギーが綱のように伸びていく。
そのエネルギーの行く先は、レジスタンスの勇士たちや避難民たちを乗せた飛空艇であった。
彼らが望む故郷。
失いたくないという願いや思いを繋ぐように『セラフィムV』より流れ出るエネルギーが綱のようにして、浮島の沈下を阻んでいる。
「誰だって失い続ける。時間が未来に進んでいくように、失い続けて進むのだとしても。それでも人が願うのなら、人の思いが力に形を為していく」
少年の顔はもうそこにはない。
あるのは、誰かの大切なものを守る男の顔であった。
青い鎧の巨人『セラフィムV』の胸の内側に在り、『エイル』は人の思いをもって、彼らが望むものを空につなぎとめる楔のような役割を果たしていた。
しかし、それも長くは保たないだろう。
荒れ狂う嵐の如き気象に包み込まれた浮島は危険そのものである。
天使核の暴走を促す謎のユーベルコードは浮島の中心に座すオブリビオン『主天魔怪獣ドミニオン』が発するものだ。これを打倒しなければ、浮島の沈下は止まらない。
「頼みます! 俺一人の力じゃ、浮島を止められない。だから!」
『エイル』の言葉が嵐の中に響き渡る。
人の願いを受けて膨れ上がっていく光が浮島の沈下を阻むのならば、猟兵はその光を標に降り立つだろう。
例え、どれだけの暴風が道を阻もうとも、どれだけの雨風が視界を塗り潰し、どれだけの雷があらゆるものを撃ち貫くのだとしても。
それでも願われた光がある。
人々が望む未来が在る。そこに至るために手を伸ばし続ける。
「例え滅びるのだとしても、今じゃない。皆がそう思っている――」
神代・凶津
よっしゃッ!それじゃ浮島を救いに行くとするかッ!
「…このままレジスタンスの人々の故郷を失わせはしません。」
未来ってのは、最後まであがいた奴の手元に来るもんだ。
あのスパイに言った言葉を今こそ証明してやるよッ!
先ずはこの異常気象をどうにかしねえとな。
「…妖刀解放します。」
確かにあの龍神ならこの天変地異とも言える天候をどうにかできるかもな。よし、やっちまえ、相棒ッ!
百鬼夜行龍『空亡』を召喚して天変地異を操る術で逆にこの異常気象を押さえてもらうぜ。
代償として召喚している間、相棒が神楽舞を奉納し続けなきゃならねえがな。
だが、これでエイルの道を開いてやるぜッ!
【技能・封印を解く、ダンス】
【アドリブ歓迎】
吹き荒れる風があらゆるものを寄せ付けぬとばかりに猟兵たちの道を阻む。
どれだけ人の思いが光となったのだとしても、その光こそ儚いものであると言わしめるように浮島を襲う謎のユーベルコードによる天使核の暴走は収まるところをしならない。
殴りつけるような雨が視界を塗りつぶし、一寸先すらも見えぬ。
されど明滅する雷がどれだけ強固な意志をもっていたとしても、その身を穿つだろう。
凄まじき気象。
それを手繰るのが屍人帝国『オーデュボン』の繰り出した『主天魔怪獣ドミニオン』の力である。
謎のユーベルコードを止めるために、この障害を乗り越えなければ辿り着くことも出来ない。
『よっしゃッ! それじゃ浮島を救いに行くとするかッ!』
だが、それでも神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の声は明るいものであった。
救えぬと思われていた浮島の沈下。
希望は未だ繋がれている。か細い糸のような希望であったけれど、青い鎧の巨人が放つ光が故郷を望む人の心とつながり増幅させているのだ。
「……このままレジスタンスの人々の故郷を喪わせはしません」
相棒である桜も同じ思いであったことだろう。
あの青い鎧の巨人『セラフィムV』の中にいるであろう少年『エイル』を思い出す。
未来というものは最後まであがいた者の手元に来るものである。
凶津たちは己が『堕翼の巫女』に放った言葉を今こそ証明するべく、吹き荒ぶ嵐の中を走る。
『とは言え、この異常気象をどうにかしねえとな』
「……妖刀解放(ヨウトウカイホウ)します」
桜の言葉に凶津の鬼面がカタカタと揺れる。確かにそれならば可能であるかもしれない。
彼女たちが手に保つ無名の妖刀。
そこに封じられた百鬼夜行龍『空亡』。天変地異の術を操る悪魔とも言われる存在ならば、この天候をどうにかできるかもしれないと一縷の望みを掛けるのだ。
しかし、それには代償が生じる。
桜が扇を取り出し、神楽を舞う。その姿は荒ぶ嵐の中であっても壮麗であり、尚かつ光り輝いているようでもあった。
否、それは桜の心から溢れる心の光そのもの。
レジスタンスの、人々の故郷を雲海に沈めてはならぬという思い。それが青い鎧の巨人『セラフィムV』から流れてくるエネルギーの綱に繋がり膨れ上がっていく。
確かに百鬼夜行龍『空亡』の力は凄まじい。
この天変地異の如き異常気象さえも抑えることができるかもしれない。けれど、それでもなお、足りないはずだ。
桜の舞う神楽だけでは足りないとさらなる代償を要求してくることであっただろう。
けれど、凶津の正義の心が燃え上がるのと同じように。
桜の心もまた人の思いに答えたいという光が膨れ上がっていく。その光を受けて百鬼夜行龍『空亡』は答えるのだ。
『相棒が神楽舞を奉納し続けなきゃならねえが……!』
凶津は見た。
解放された百鬼夜行龍『空亡』が手繰る術。
天変地異すらも引き起こす凄まじい力が、天使核の暴走に寄って引き起こされた異常気象すらも切り裂く一陣の風となって、謎のユーベルコードの光を放つ『主天魔怪獣ドミニオン』へと至る道を切り拓く。
凶津だけでも、桜だけでも、そして『エイル』と『セラフィムV』だけでも為し得なかった道筋。
それは数多の人々の思いを受けて、開かれた道だ。
『だが、これで『エイル』の道を拓いてやるぜッ! 相棒!』
凶津は桜と共に神楽舞の舞踏と共に切り裂かれた天変地異の如き現象を征く。
見える先にあるのは、きっと明るい未来だ。
誰もが望んでいる光あふれる未来。そこへ向けて凶津と桜は、青い鎧の巨人の放つ光を標にして進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
いずれは滅ぶのだとしても
それは『今』ではないし
こんな『故意』の末であってはいけない
そして、足掻く道をエイルが選んだのならば
その道に助けが必要なら、ただ、往くだけだ
竜神飛翔を使用
異常気象の雷は俺の放つ雷で相殺
完全に消し去ることは難しいだろうが
荒れ狂う天候は天候操作で緩和を試みよう
多少は軽減されれば僥倖
禮火と葬焔は浮遊型の盾に形状変化させて
進路への暴風を受け流す形手対処
暴風により速度が出ている吹き飛ばされ巻き上げられた瓦礫も
これである程度は対処が出来るだろう
あぁ、それにしても……
Vの青い光はこの天候の中でもしっかり視える
灯台のようで心強い
レジスタンスの船にも届いているだろうか
あれは希望の燈火だと
全てのものに滅びが定められている。
それは人の倫理が到達した極地であろう。どれだけの栄華を誇ったものであれ、滅びるときが来る。
人の営みがはじまって以来、それは途絶えることなく繰り返されてきたことである。
ならばこそ、結果だけを見れば人の末路は滅び。
ゆえにその過程に、道程に意味はないと断じる者がいるのもまた然り。
けれど、『今』を生きる者たちにとって、道行きの先にある結果は同じであれ、関係のないことであった。
懸命に生きるとはそういうものである。
「いずれ滅ぶのだとしても、それは『今』ではないし、こんな『故意』の末であってはいけない」
鈴久名・紡(境界・f27962)は凄まじい嵐の中に輝く光を見た。
人の思いを増幅させ、繋ぐ青い鎧の巨人『セラフィムV』。その中心に座す少年の名前を彼は知っている。
守られるばかりであった少年が初めて誰かを守るために一歩を踏み出したのだ。
彼の道行きがこの一歩で終わることなど在ってはならない。
『エイル』の道はあがく道である。
どれだけ理不尽が、どれだけの悲運が、どれだけの苦境が彼を襲うのだとしても、紡は知っている。
彼は『エイル』が選んだことを知っている。
「その道に助けが必要なら、ただ、往くだけだ」
竜神飛翔――その瞳がユーベルコードに輝く。
迫る異常なる気象の中を紡は飛ぶ。
先行した猟兵の力によって異常気象は弱まっている。しかし、それでも未だ降りしきる雨のように落ち続ける雷は如何ともし難い。
ユーベルコードの輝きによって放たれる雷とぶつかり、明滅しては視界を白く染めがていく。
完全に打ち消すことは出来ないが、それでも紡は己が竜神あることを知らしめる。
元来竜とは自然災害の具現化である。
他の世界ではどうであるかはわからない。けれど、紡は天候を操作し、己の道を阻む異常なる気象すらも緩和させ飛ぶのだ。
神器の盾が打ち込まれる雷を阻み、吹き荒ぶ暴風を受け流していく。
「これがユーベルコードによる天使核の暴走……! それに加えて、あの中心にいるオブリビオンの力か」
紡の瞳が見たのは、『主天魔怪獣ドミニオン』の放つユーベルコードの輝きであった。
支配するためだけの存在。
その輝きは、周囲に飛ぶ邪竜たちをも従え、今まさに『セラフィムV』さえも己の支配に相応しいと、その魔の手を伸ばす。
「それはさせない。あれは自由であるべきだ。例え、器なのだとしても。それでも今、あの輝きの中にある『エイル』は往こうとしている。その道を阻むのがお前なのならば」
紡は咆哮する。
竜神の姿をさらけ出し、轟く咆哮はまさに雷鳴すらも打ち消す轟音。
嵐の中にある己こそが、風の主であると伝えるように紡の瞳がユーベルコードと、彼方に見える青い光を灯すのだ。
「あぁ、それにしても……『V(ヴィー)』の青い光は、この天候の中でもしっかり視える」
灯台のようだと紡は思っただろう。
心強い輝き。
どれだけ凄まじい嵐が襲ってきたのだとしても、標として其処にある。
レジスタンスの飛空艇にもきっと届いているはずだ。あの青い光は、『エイル』だけで輝いているものではないのだ。
「あれは希望の燈火」
ならば絶やしてはならない。
紡は己の名の通り、か細い糸のような光に寄り添う。
一人で足りぬのであれば二人。二人で足りぬのであれば、もっと多くを。より合わさり、綱のように紡がれていく光こそが、きっと人々の故郷を守るものであると信じている。
織火は、すぐ其処に輝く。
紡は荒れ狂う嵐の中を青い光目指して飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
一度は見捨てたはずの浮島。それを取り戻す機会があるなんてね。
避難民の皆のためにも、必ずこの浮島を取り戻す。
徒歩で行くのは無謀ね。「覚悟」を決めて、飛鉢法で嵐の中を進みましょう。
「オーラ防御」を重ねた「結界術」で風雨を遮り、嵐の中心へと。
過酷な環境というなら、「環境耐性」で乗り切ってみせるわ。
この天候、必ずしも悪いばかりじゃない。主天魔怪獣の目から「目立たない」ように侵攻することも出来るはず。
『エイル』が縁もゆかりも無い浮島のために身体張ってるってのに、あたしたちが尻込みなんて出来ないでしょ!
進めば進むほどに異常気象は激しく。
いいでしょう、乗り切ってみせようじゃない!
待ってなさい、オブリビオン!
天使核の暴走に寄って沈下を始めた浮島から脱出するレジスタンスの飛空艇たち。
彼らは皆、この大地に生まれた生命である。
この大空の世界ブルーアルカディアにおいて雲海に沈むということは即ち滅び。
だからこそ、己たちが生まれ育った大地が滅びゆく様を見るのは見るに忍びないものであったことだろう。
一度は浮島を捨てる決意をした。
けれど、喪うばかりが正しいことではないと少年『エイル』は言ったのだ。
沈下していく浮島を見やる村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)にとって、それは一度は見捨てたはずの浮島を取り戻す機会を得られたことに感謝するようであった。
「あの人達のためにも、必ずこの浮島を取り戻す」
ゆかりの心にあるのはそれだけであった。
浮島に渦巻く異常気象は凄まじい嵐。
雨風はもとより、降りしきる雷が猟兵たちの行く手を阻むだろう。
「徒歩で往くのは無謀ね」
けれど、空を飛んで行くのもまた同様であった。だからといって、座して待つことなどゆかりにはできない。
「ノウマク サマンタ ブッダナーム バーヤベ スヴァーハー。風天よ! 天吹き渡る其の風の効験を、ひととき我に貸し与え給え! 疾っ!」
彼女が身にまとうのは華麗な戦巫女の盛装。
鉄鉢に乗り、彼女は飛ぶ。
どれだけ行く手に巨大な嵐があろうとも、すでに覚悟は決めているのだ。オーラの防御を重ねた結界術で風雨を遮り、嵐の中心である『主天魔怪獣ドミニオン』へと迫る。
あのオブリビオンが放つ謎のユーベルコードが天使核の暴走を招いているのならば、完全発動までにかのオブリビオンを打倒すればいい。
青い鎧の巨人『セラフィムV』と『エイル』が時間を稼いでいる。
遠くに視える織火の如き青い輝きが、ゆかりの道行きを照らす。
それにこの天候は必ずしも彼女にとって悪いことばかりではない。
猟兵たちが打倒しなければならない『主天魔怪獣ドミニオン』の目から目立たず侵攻することだってできる。
「『エイル』が縁もゆかりもない浮島の為に体を張ってるってのに、あたしたちが尻込みなんて出来ないでしょ!」
ゆかりの覚悟は生半可なものではなかった。
明かりの無い道を歩むがごとく、風雨が道行きを閉ざす。
風が鉄鉢を揺らし、しがみついているだけでやっとであった。進めば進むほどに、この暴れ狂うかの如き嵐は強まっていく。
けれど、何処に居ても、どんなに道を誤っても、それでもゆかりの瞳には青い織火が視える。
あれが人の思いと願いの光。
雨風によって周囲の熱が奪われていく。それでもなお、あの輝きは暖かさを齎す。それが人の心の集合であるというのならば、ゆかりは奮起するのだ。
「いいでしょう、乗り切ってみせようじゃない!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
どれだけの嵐が来ようともゆかりは怯まない。きっと人々は願っているはずだ。
この浮島を、自分たちが生まれ育った大地を取り返したいと。
ならばこそ、ゆかりは征く。
いつだって困難で厳しい遠回りの道こそが正しい道だ。
それは変わらない。
喪って初めて気がつくなんて、よくあることだ。けれど、今ばかりはそうでなくたっていい。知らなくていい痛みがある。
「待ってなさい、オブリビオン!」
見据える先に『主天魔怪獣ドミニオン』の輝かせるユーベルコードの輝きがある。
必ずや止めてみせると、ゆかりは嵐の中を飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「この荒天。正に世界の終わりを思わせる程だ。
そうさせはしないけどね。」
『セラフィムV』の横に立ち
「良く今まで耐えてくれたね。
此処からは、俺も力になるよ。」
とグラビティテンペストを発動。
重力、斥力により。雨、風を逸らし
雷を退ける防壁を形成する。
「これで一先ず前に進める。
この危機を止める為にはその元を断つしかない。」
「行くとしようか。」
前に進みつつも
天候の乱れを【見切り】それを抑える為の
重力操作を怠らず進行に支障来たさない様に注意。
それに加えて風雨による視界の悪さで
進行方向を見失わない様に周辺の地形や建物を
良く確認する。
「如何に天が往く道を阻もうとも。
人が信じる心は必ず
未来を切り開く力になる。」
浮島を包み込む凄まじい嵐
雨は視界を塗りつぶし、風は来るものを拒むようでもあった。明滅する雷は足を踏み入れた者を許さぬとばかりに穿ち続けるだろう。
異常気象と呼ぶには生ぬるい状況の中、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は青い光でもってレジスタンスの飛空艇と浮島の大地を繋ぐ楔と成っている青い鎧の巨人『セラフィムV』の隣に降り立つ。
「この荒天。まさに世界の終わりを思わせるほどだ。そうはさせはしないけどね」
何処を見ても凄まじい雨風と雷。
足を踏み入れることすら難しいだろう。けれど、フォルクは己の隣にあって未だ人の心の光によって、浮島を沈下させる謎のユーベルコードを遅らせている『セラフィムV』と少年『エイル』に呼びかける。
「良く今まで耐えてくれたね。ここからは、俺も力になるよ」
フォルクの声は優しいものであったことだろう。
どれだけ強大な力を持っていたとしても、その力の振るい方一つで、人は善にも悪にもなる。
隣に立つ『セラフィムV』の中にいる少年『エイル』はまさしく人の善であった。
「頼みます……! この光は俺だけのものじゃない。みんなの光が!」
「だから俺が征く……押し潰せ、引き千切れ、黒砂の陣風を以て。其の凄絶なる狂嵐の前には何者も逃れる事能わず。ただ屍を晒すのみ。吹き荒れよ、滅びの衝撃」
フォルクの口より力ある言葉が溢れ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
グラビティテンペストと呼ばれる浮島に影響する重力、斥力を操る微粒子でもって、吹き荒ぶ風と雨をそらすのだ。
「雷は防壁で防ぐ……これで一先ず先に進める。この危機を止めるためには、その元を断つしかない」
フォルクの目の前に雨と風、そして雷を防ぐ防壁が生み出されていく。
一路続く先に見据えるのは『主天魔怪獣ドミニオン』。
かのオブリビオンが放つ謎のユーベルコードが浮島を浮かせている天使核を暴走させている。
沈下が止まらないのもそのためだ。
ならばこそ、そのオブリビオンを断てば、この沈下は収まり、喪われるはずだった浮島は人々の手に取り戻されるだろう。
「行くとしようか。後は頼んだよ」
フォルクの言葉に青い鎧の巨人『セラフィムV』の瞳が輝く。
その青い織火の如き輝きを背にフォルクは走る。
雷が明滅し、彼に走るがユーベルコードの輝きによって生み出されたじゅうryク操作でもって防壁を生み出して雷を己に通さない。
風雨による視界の悪さは、容易にフォルクの平衡感覚を狂わせる。地形や建物だって確認することが難しい。
けれど、フォルクには見えている。
どれだけ異常気象に寄って姿を隠すのだとしても、どれだけの障害が彼を阻むのだとしても、彼の背にある織火が道を照らす。
「如何に天が往く道を阻もうとも。人が信じる心は必ず未来を切り拓く力になる」
今、まさにフォルクはそれを見ている。
人の心と願いが生み出す光。
それが『セラフィムV』の機体から溢れ出して、謎のユーベルコードの発動させ遅らせている。
ならば、フォルクが為すべきことは唯一。
「この光が在る限り、負けはしない。どれだけオブリビオンが強大な力で浮島一つ沈めさせようとしているのだとしても」
それでも人の願いは光を示したのだ。
フォルクの掛ける道はすでに暗路ではない。光が指し示す元凶へと彼は一直線に走るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
最悪の中の幸運ですねー、今回は。足掻ける。
ふふ、なれば手を貸しましょう。故郷を失くしたくない思いは、よくわかるものですからー。
霹靂に騎乗。すみませんね、霹靂。周りに結界張りますので道行きは任せますよー。
【四悪霊・『界』】にて一時的にでも、天候操作権をこちらに引き寄せましょう。
エイル殿もV殿も…希望の光ですよねー。
だからこそ、悪霊である私たちも手伝うんですよー。…たとえそれが、私たちが手に入れられなかったものだとしても。
だってねえ、同じ思いはしてほしくないんですからー。
※
霹靂、故郷世界なのもあって張り切って飛ぶ。クエッ!
「最悪の中の幸運ですねー、今回は」
まだ足掻くだけの時間は残されている、と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の四柱の悪霊たちは忸怩たる思いを吹き払うようにつぶやいた。
かつてオブリビオンに故郷を滅ぼされた猟兵。
四柱の悪霊たちを束ね、一つの存在として戦いに赴く彼らにとって、この戦いはただの戦いではなかったのだろう。
かつて己達は奪われた。
理不尽に。力及ばず。足掻くことも許されなかったのかもしれない。
けれど、今は違う。
「故郷を失いたくない思いは、よくわかるものですからー」
『疾き者』はいつもののほほんとした口調ならながらも、その心から溢れる思いは激情の如きものであった。
ならばこそ手を貸す。
いいや、そうしなければならない。
その思いが『疾き者』を突き動かす。『霹靂』に騎乗し、雨風と雷が降りしきる浮島の異常気象の空を飛ぶ。
「すみませんね、『霹靂』」
障壁があると言えど、これだけの風雨である。
どうしても身体が風に流されてしまう。けれど、それでも輝くユーベルコードは、四悪霊・『界』(シアクリョウ・サカイ)の力をもって結界を強め、天候操作によって、荒ぶ風を弱めようと抗うのだ。
「クエッ!」
張り切ったように『霹靂』が嘶く。
この空で生まれた『霹靂』にとって、この戦いに赴くことは『疾き者』と同じくするものであったことだろう。
雷を障壁で防ぎながら、明滅する視界に目を細める。
それだけの激烈な光の中にあって、『疾き者』は見ただろう。青く輝く織火を。
人の思いを受けて膨れ上がり、綱のように大地と彼らを結ぶ楔となった青い鎧の巨人『セラフィムV』。
そして、その中心に座す少年『エイル』。
「……希望の光ですよねー」
だからこそ、悪霊である己たちが手伝うのだ。
例えそれが、己たちが手に入れなかったものだとしても。
自分たちのときには、こうはならなかった。
徒に奪われ続けるだけだった。
その思いが己たちを悪霊足らしめている。ならばこそ、その思いは他の誰にもさせてはならなものだ。
「私達が戦う理由など、それで十分なのですよー」
あの青い輝きの中に自分たちはいない。
けれど、だからこそ織火を守ることが出来る。
途絶えぬように、絶やさぬように、消さぬように。
必死に守ることができる。ただそれだけの事実で『疾き者』は、いや……『不動なる者』も『静かなる者』も『侵す者』も戦うことが出来る。
「思いは同じく。そして、我らと同様の思いなどさせはしませんよー」
『霹靂』が一声挙げ、気合十分に嵐の中を飛ぶ。
恐れなど無い。
喪う恐れも、何もない。
あるのは、この現状を生み出しているオブリビオンへの呪詛のみ。
まっとうな想いではないだろう。されど、それでも人の思いと願いをあわせた光を穢すものを許してはならぬと、悪霊たちは今まさに暗黒の嵐を矢のように飛ぶのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・ジルニトラ
馬鹿め。浮島ごと沈めようなど馬鹿のすることだ。
やはり屍人帝国は阿呆の集まりだ!!
ガレオンチェンジ発動。
飛空艇の姿に戻ると、飛来してきた瓦礫を砲撃して破壊し、道を切り開く。
(使用技能:呪殺弾、砲撃)
こう見えても100m級と飛空艇でも巨体な方でな。
この無駄にデカい船体を盾に味方の船を守って見せるさ。
異常気象の発生している方へ船体を向け最大船速。
雷撃を食らいそうになった味方の船を庇う。
まだだ、まだ堕ちるほど耄碌はしていない。二度と堕ちないし落とさせはしないさ。
(使用技能:空中機動)
征くぞ。この愚かなことをした馬鹿をぶん殴りにな!!
暗黒の暴嵐の中を赤い帆が風を受けて膨らむ。
いつだって風と共にあるのが飛空艇である。どんなときだって風は己の道を邁進するための推進力となる。
大空の世界、ブルーアルカディアにおいて飛空艇は人の営みを支えるものであった。
例え、己が嘗ての軍艦であったのだとしても。
その事実になんら変わりないものであった。
イングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)は嘗てジルニトラ級陸番艦イングリットとして大空を舞う存在だった。
オブリビオンとの戦いで敗れ雲海に消えていく定めであったが、如何なる因果かギリギリのところで沈まず座礁し、ときが流れた。
その時から彼女の思いは変わっていない。
「馬鹿め。浮島ごと沈めようなど馬鹿のすることだ。やはり屍人帝国は阿呆の集まりだ!!」
彼女は飛空艇の姿に変身し、暴風荒ぶ嵐の中を飛ぶ。
飛来する瓦礫を艦載砲の砲撃で吹き飛ばし、道を切り拓くのだ。
放たれた砲弾は、オブリビオン憎しという呪いの籠められたものだ。
挫傷して70年以上が過ぎても尚、己の中に渦巻くオブリビオンへの呪詛は薄れることはない。
「今の尚、オブリビオンが人の営みを脅かすというのなら、守ってみせるさ!」
彼女の100m級の飛空艇としての姿は巨体と呼ぶに相応しいものであった。
自身では無駄にデカイと思っているのだろうが、彼女の姿は味方にとっては巨大な盾であり、頼もしい存在である。
どれだけ暴風が瓦礫を吹き飛ばしてくるのだとしても、彼女の背後に瓦礫が飛ぶことはない。
尽くが砲撃に寄って砕かれ、細かい破片と成って流れていくばかりである。
「あれが『主天魔怪獣ドミニオン』か! やはりユーベルコードで天使核を暴走させている! あれを潰せば、浮島の沈下は止まるのだな!」
「はい、頼みます! まだ、浮島の沈下が本格的にならないうちに……!」
青い鎧の巨人である『セラフィムV』から少年『エイル』の言葉が響く。
そこにはもう守られるだけの存在はなかった。
人の願いと思いを光に変えて、浮島の沈下を阻む楔であった。誰かを頼ることは人の営みに必要なことだ。
誰もが一人ではいきられない。
イングリットが己の身体を盾にして他の仲間を護るように進むのと同じように。
彼女ができないことは他の猟兵がやってくれる。
だから、自分ができることを精一杯するのだ。そうやっていつだって、人は前に進んできたのだから。
「まだだ、まだ墜ちるほど耄碌はしていない」
雷がイングリットの船体を撃つ。
凄まじい雷撃だ。
けれど、まだ耐えられる。少しでも多くの猟兵たちを、そして己の力を『主天魔怪獣ドミニオン』に届かせるため、彼女は空を征く。
どれだけの暗闇が目の前に迫ったのだとしても、それらを切り裂いて進むことができるのが、ジルニトラ級の力だ。
「二度と墜ちないし、墜とさせはしないさ」
そう彼女は誓ったのだ。
その誓いを違えることなどしない。
全ては――。
「征くぞ。この愚かなことをした馬鹿をぶん殴りにな!!」
単純明快なのだ。
人の営みを傷つけるものがいる。己の背に追う青い織火。あれを生み出している人々の願いと思いを受けて、イングリットは嵐を切り裂く刃となって、一直線に『主天魔怪獣ドミニオン』へと疾走るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさん(f24264)と】
サージェさんの胸の大きさと、ナイアルテさんを後で責めていいことに関しては、
後日きっちりさせるとして、今はこっちに全力でいかないとね!
おっけー、任せて!
【リオ・セレステ】で出撃したら、サージェさんとファントムシリカを乗せて嵐に突入!
わたしは【不可測演算】でルートを出すから、飛行自体は『希』ちゃんに任せるね。
セレステにファントムシリカを乗せた時の機動性、そして両機の防御力。
それを風と雨、雷の予測進路と重ね合わせて……!
の持てる全てのデバイスを駆使して計算するよ。
3秒前のデータが使い物にならなくなる状況こそ、予測演算の見せ所だよね!
見えた! サージェさんいっくよー!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べないとかそんなこと言ってる場合じゃないですね!?
ナイアルテさんを後で攻めて(漢字違い)いいと聞いて馳せ参じたんですが
あれ?私も標的になってる!?
と、とりあえず理緒さんいきましょう!
かもんっ!『ファントムシリカ』!
理緒さんのセレステの上にがっちり足元固定で張り付いた後
フローライトダガーを装備
「私たちの祈りにも似た魂の叫びで全てを斬り裂きましょう!」(詠唱)
【快刀乱麻】に嵐をブレイクする効果を付与&左右のダガーで一発ずつ発射!
セレステの針路を邪魔する瓦礫や石はもちろん、風すらも排除しましょう
理緒さん今です!
嵐が浮島を包み込んでいる。
それは謎のユーベルコードに寄って浮島を浮かせている天使核を暴走させている余波であった。
暴風と殴りつけるような雨。
さらには雷が降りしきり、あらゆる生命を拒絶するかのような暴嵐の中に輝く織火があった。
青い輝き。
その中心にあるのは青い鎧の巨人『セラフィムV』。
胸の内に在る少年『エイル』は己を楔としながら、レジスタンスの勇士たちと避難民の人々の願いと思いを受けて、浮島を沈下させるユーベルコードにあらがっていた。
沈下は止まらない。
けれど、その速度は十分に遅らせることができている。
「人が望む明日があるのなら、僕の……俺だけの力で、それが出来ないのだとしても!」
それでもあの人達は来てくれると『エイル』は信じていた。
己の放つ織火の如き輝きを標にして必ず。
「お呼びとあらば参じましょう」
その声は嵐の中であっても聞こえた。
『リオ・セレステ』と呼ばれる戦闘艦を大気圏内用に回収した機体に立つ『ファントムシリカ』――その白と紫を基調とした機体。
そう、彼女たちである。
「私はクノイチ、胸が大きくて忍べないとかそんなこと言ってる場合じゃないですね?!」
いつもどおりな前口上のサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の二人組であった。
緊迫した空気などつゆ知らず。
サージェの前口上に少年『エイル』は苦笑いするしかなかった。けれど、今はそんな些細なことであっても心強いとさえ思えてしまうのだ。
「サージェさんの胸の大きさと、後で責めていいことに関しては後日きっちりさせるとして、今はこっちに全力で行かないとね!」
理緒の言葉の端々に不穏な空気が漂っているが、彼女の言うとおりである。
目の前に広がる異常気象は凄まじいものである。
例え、彼女たちの駆る機体が万全の状態であっても、暴風雨と雷に寄って進むことは困難なはずだ。
「あれ? 私も標的になってる!?」
サージェは理緒の不穏な言葉に、あれ!? おかしいな!? という顔をしたが、下手に突っ込むとヤブに頭から突っ込んで蛇にがぶっとされるやつなのである。
『ファントムシリカ』と共に『リオ・セレステ』が嵐の中へと突入する。
それは自殺行為のような行動であったことだろう。
天使核の暴走によって齎される異常な風はキャバリアサイズの推力であっても進むのは難しい。
理緒は『リオ・セレステ』の機体制御をAIである『希』に任せ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
例え、どれだけ推力をもっていても迫りくる暴風雨は防げない。雷だってそうだ。
ならば、不可測演算(フカソクエンザン)によって、異常気象のこれまでのデータから風の方角と風速を割り出し、予測演算を出す。
そこに『リオ・セレステ』に『ファントムシリカ』を乗せた場合の機動性、そして両機の防御力を打ち込む。
彼女には見えている。
風と雨、雷の予測。
全てのデバイスを駆使して計算して恥出された経路。
三秒前のデータが使い物にならなくなるほどの荒れ狂う天候。こんな状況だからこそ、『エイル』の放つ青い織火の如き輝きが道を照らしてくれる。
自分たちだけでは為し得なかった道筋が今見えている。
人々が願った思いが、猟兵たちの道を示しているのだ。
「青い、光が嵐の中を切り裂いている……! これなら、わかる!」
理緒のデバイスが答えを導き出す。
そのデータがサージェの駆る『ファントムシリカ』へと送られる。
「理緒さん、いきましょう!」
フローライトダガーを抜き払った『ファントムシリカ』と共に『リオ・セレステ』が嵐の中を飛ぶ。
人の思いと願いが道筋を照らすのならば、サージェたちはためらわないだろう。どれだけ危険な道のりであったとしても、人の願いに答えるべく戦うのだ。
迫る風はそれでも理緒たちの予想を超えて吹き荒れる。
まるで人の思いをあざ笑うかのように。けれど、サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
「私達の祈りにも似た魂の叫びで全てを斬り裂きましょう!」
それは、快刀乱麻(ブレイクアサシン)の如く。
理緒が演算をしている間彼女はずっと詠唱を続けていたのだ。手にしたフローライトダガーから巨大な三日月状のエネルギーが迸る。
この異常気象がどれだけ強大な力によって引き起こされているのだとしても極大にまで膨れ上がった一撃は風雨を斬り裂き、その先にある『主天魔怪獣ドミニオン』の姿をさらけ出す。
しかし、その一撃では再び風雨が幕を閉じるようにふさがっていく。
さらにサージェたちを襲うは雷の一撃であった。直撃しては、如何に電撃に耐性を持っていても、機体の制御を失するだろう。
其処に風雨が襲えば、如何に彼女たちとて吹き飛ばされてしまう。
「これが電光石火!」
「サージェさん、いっくよー!」
理緒の声が響く。
すでに演算に寄って、自らを襲う雷撃の一撃を予測していた理緒。彼女の送るデータが再びサージェの見るモニターに軌跡を描く。
放たれる三日月状の一撃が雷撃すら飲み込んで再び道を切り拓く。
「理緒さん、今です!」
叫ぶサージェと共に『リオ・セレステ』が切り裂かれた嵐を疾駆する。
目指す先にあるのは『主天魔怪獣ドミニオン』。
この異常気象をもたらし、天使核の暴走を引き起こしている元凶。
人の知恵はいつだって自然現象すら乗り越えて見せる。
届かぬものなどないと知らしめるように二人は飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【勇者パーティ】
ステラさんのスイッチが268度くらい回った音がした気がします!?
……あ、これ、マジなやつですね。止められないレベルの。
わかりました! 今まで『エイル』さん的には肉の印象しかないと思いますが、
【ガレオン・チェンジ】したステラさんに乗って、わたしたちの本気をお見せいたしましょう!
って、5時間?わたしだけ?師匠は!?
わたしは甲板で【ベッソン】を構えたら、嵐への突入と同時に【協奏曲第1番】を演奏。
ステラさんと風の盾の回復、それと乗っている人に何かあったら、そのダメージも治していくね。
師匠も!さすがに危ないですからステラさんの上にいてくださいね!
そして一緒に惚気聞きましょう!(道連れ感)
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「あれ、まだ浮島沈んでいなかったのか?」(酷い
む、浮島の中心に向かっていくのは、我の大切な鉄板Vではないか!
このまま浮島とともに雲海に沈まれると焼肉パーティが開けなくなってしまう!
「行くぞ、ルクス、ステラ!
我の鉄板Vを救いにな!」
飛空艇形態になったステラに乗り込み、嵐の中を突破するぞ!
さっき焼き肉を食べまくったおかげで、魔力の貯蔵は十分だ!
【死霊船団】でステラの周囲に幽霊船の艦隊を召喚し、ステラの援護をおこなおう!
「え、我が真面目で意外?
鉄板Vの至高の焼き肉のためなら真面目なのは当然であろう!
奴には、まだやるべきことが残っているのだ。
我のために肉を焼くという重大な使命がな!」
ステラ・タタリクス
【勇者パーティ】
エイル様…!
ええ、主人(あるじ)がそう望まれるなら
応えるのがメイドの役目
ご用命(オーダー)、承りました
勝手に忠誠を誓っているやべーメイドですが
仕えると決めたならばどこまでもお供します!
フィア様、ルクス様、申し訳ありませんがお付き合いください
それからルクス様には後でエイル様のカッコいいところを5時間くらい聞かせます
【ガレオン・チェンジ】!
さぁ乗ってください!
嵐が阻むならばそれすらも突き崩して見せましょう!
『ウェントス・スクートゥム』を最大出力で発動!
風の盾を前面に展開して
【テンペスタース・クリス】突撃します!!
皆様の協力があれば嵐など難なく通り抜けられるはず
お願いします!
人の思いと願いを受けて青い鎧の巨人『セラフィムV』が青い織火のように輝く。
それは天使核を暴走させる謎のユーベルコードに抗うように浮島を空に引き止め、雲海への沈下を送らせていた。
浮島を脱出する折にフィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)は、その膨大な魔力を消費して幽霊船団でもって浮島の沈下を阻もうとして倒れた。死んではいない。
そして、弟子であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)もまた同様であった。
「あれ、まだ浮島沈んでいなかったのか?」
さらっとひどいことを言うフィアであったが、てっきり目が覚める頃には浮島が雲海ん沈んで藻屑となっているであろうと思っていただけに驚きを隠せなかった。
ルクスもまたその光景を見やる。
「む、浮島の中心にあるのは、我の大切な鉄板Vではないか!」
「師匠、それ言ってるの師匠だけですからね」
「ルクスよ。そういうのは些細なことだ。このまま浮島と共に雲海に沈まれると焼き肉パーティが開けなくなってしまう!」
何処まで言っても肉である。
NIKUを美味しく焼くことのできる鉄板Vこと『セラフィムV』に終着するフィアにルクスはまたかーと思わないでもなかった。
けれど、それ以上に謎のスイッチが268度ほど回った音がしたのをルクスは気がついてしまった。
そう皆様おまたせしましたやべーメイドである。
いや、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)だ。
「『エイル』様……! ええ、主人(あるじ)がそう望まれるなら、応えるがメイドの役目」
彼女の瞳は輝いていた。
ルクスからすると、あっ、これマジなやつですね、と瞬時に理解した。
止めようと思っても止められないレベルのやつであるとわかってしまったのだ。ルクスの聡い頭脳が憎い。もうちょっと空気読めない感じであったのならば、ルクスの心労も幾ばくか軽いものとなったであろう。
「ご用命(オーダー)、承りました」
出逢ったときから勝手に忠誠を誓っているやべーメイドであるが、仕えると決めたのならば何処までもお供するのがステラというメイドである。
ここだけ見れば本当にまともですごいメイドなんだけどなぁって思わないでもない。
「フィア様、ルクス様、申し訳有りませんがお付き合いください」
恭しく一礼するステラにフィアは頷く。
言わずもがなである。
「うむ。行くぞ、ルクス、ステラ! 我の鉄板Vを救いにな!」
フィアは『セラフィムV』をステラは『エイル』を。
互いに競合しない思惑にがっちり悪手を交わす。やべーやつとやべーやつが手を組んだ悪夢のタッグである。
「……正直、今まで『エイル』さん的には肉の印象しかないと思いますが! 師匠がやる気なのならば、私たちの本気をお見せいたしましょう!」
ルクスが飛空艇の姿へと変わったステラにフィアと共に乗り込む。
「ルクス様には後で『エイル』様のカッコいいところを五時間くらい聞かせます」
「って五時間? わたしだけ? 師匠は!?」
やべー地獄耳である。
そんな怒らんでもと思わないでもなかったが、ステラにとってはそうではないようである。
気合十分に飛空艇の姿に変身したステラと共に嵐の中を突き進む。
嵐が道を阻むのならば、それすらも突き崩して進むのが、テンペスタース・クリスの輝きを纏うステラが変じた飛空艇である。
あらゆる暴風雨が行く先を阻むのだとしても、飛空艇の先端が風を割いて突き進むのだ。
さらにそこへ、協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)が船体を柔らかく包み込むように奏でられる。
ルクスの瞳がユーベルコードに輝いている。
「師匠! さすがに危ないですからステラさんの上にいてくださいね! そして一緒に惚気を聞きましょう!」
ルクスは確実にフィアを巻き込み、道連れにする気満々である。
しかし、フィアはいつも以上に真面目な顔をしている。ルクスはちょっぴりドキドキしたかもしれない。
やだ、師匠。あんなに真面目な顔してる……!
「鉄板Vの至高の焼き肉のためなら真面目になるのは当然であろう!」
フィアのユーベルコードによって召喚された死霊船団(アンデッド・フリート)がステラの飛空艇を護るように風を阻み、天より落ちる雷を防ぐ。
普段ならばぶっぱするところであるが、非常にクレバーである。
それがお肉のためでなかったのならば、本当に素晴らしいことこの上ないことであったのだけれど。
しかしながら、フィアとルクスの援護によってステラはこの異常気象の中ですら、まっすぐに飛ぶ。
どれだけ風に煽られたとしても関係ない。
己が決めた道を突き進むのに理由などいらないというように風を引き裂いて飛ぶのだ。
「奴には、まだやるべきことが残っているのだ」
「師匠のためにお肉を焼くっていうことですねわかります」
フィアのセリフを取り上げてルクスが息を吐き出す。
この分では道連れは叶わないかもしれない。けれど、今はそれでいいのかもしれない。
だって、きっと存分に戦った後での焼肉パーティは何物にも代えがたいごちそうになるはずだから。
だからこそ、ルクスはベッソンを奏でる。
ユーベルコードに乗せた戦慄がステラが変じた飛空艇を包み込み、如何なる風も雨も、雷さえも防いで飛ぶのだ。
「『エイル』様、お任せください。あなたのメイドが今参ります」
ステラはいつものステラだ。割りかし真面目成分が入り混じっている気がしないでもないけれど。
それでも勇者パーティあらため焼肉パーティは、異常気象を物ともせずに『主天魔怪獣ドミニオン』へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
えっ、浮島沈没って不可逆じゃなかったの?
(半端な罠だなあという感想)
詰めがあめえなオーデュボン。そんでエイル君が頑張っていると。
それじゃあ助けに行きますか。
(ブルーアルカディアに転移後)
おお、終末的な天候だな。
主天魔怪獣ドミニオンだっけか、まあ、とりあえずはエイル君と合流しようかね。
『瞬間転移』により味方(エイル)の元にテレポート。
助っ人、参上ってな。つーか、目算があるなら最初から言え。
その後は『天候操作』である程度天候を制御してみましょう。
浮島が沈む。
それは謎のユーベルコードによる天使核の暴走に寄って齎されたものである。この浮島にあったレジスタンスの本拠地を潰すため入り込んでいたスパイのオブリビオンによって、それはなされた。
けれど、その謎のユーベルコードを発動させているのは別のオブリビオンであったのだ。
『主天魔怪獣ドミニオン』。
その頭上に輝く光輪の如きユーベルコードが浮島の中心にあって輝いている。渦巻く風と雨、そして雷が猟兵たちの道を阻んでいる。
完全発動してしまえば、浮島の沈下は免れない。
されど、未だ完全に発動しきっていないのは、青い織火の如き輝きを放つ青い鎧の巨人『セラフィムV』が人々の思いと願いを受けて楔のように大地をつなぎとめているからだ。
「半端な罠だな」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)にとってオブリビオンの策略はその程度のものでしかなかった。
不可逆なる沈下であるのならば、猟兵であっても手出しはできなかっただろう。
けれど、完全発動する前に割り込めば浮島の沈下は止まる。『主天魔怪獣ドミニオン』さえ打倒してしまえば、完全に浮島は人々の手に取り戻される。
「詰めがあめえな『オーデュボン』。そんで『エイル』君の頑張りを甘く見すぎたな」
屍人帝国『オーデュボン』の目論見は言うまでもなく『セラフィムV』を手に入れることである。
しかし、人々の思いと願いを受けたあの青い鎧の巨人は、『エイル』という楔によって、屍人帝国『オーデュボン』の目論見にヒビを入れる。
ならばこそアレクサンドルはこんな異常気象の中にあっても軽く笑って瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「それじゃあ助けに行きますか」
瞬間転移(ミカタノモトヘ)によって、アレクサンドルは『エイル』の元へ瞬時に出現する。
限定的なテレポートであるが、このような状況にこそ有効に働くものである。
「――ッ!? アレクサンドルさん!?」
突如として現れたアレクサンドルの姿に『エイル』が驚く。
それもそのはずであろう。これほどの暴風雨の中を進むことさえ困難なはずだ。なのに目の前に現れたアレクサンドルは苦もなく浮島の中心にほど近い『セラフィムV』の元に現れたのだから。
「助っ人、惨状ってな。つーか、目算があるなら最初から言え」
アレクサンドルは特別なことはしていないというように『エイル』に告げる。
確かに浮島の沈下は阻むのことできないもののように思えただろう。
『エイル』になんらかの手段があったのならば、自分たちに相談してから飛び出しても良かったはずなのだ。
「す、すみません……でも、確証はなかったですし……それに」
危険な賭けではあったのだ。
だからこそ、『エイル』は一人で飛び出した。
「なんでも一人じゃ無理だ。誰かに頼ることも覚えねーとな……とは言え、まずは『主天魔怪獣ドミニオン』だっけか……あれをどうにかしねーとな!」
お説教は後だというようにアレクサンドルが背を向ける。
その視線の先に在るのは、謎のユーベルコードに寄って浮島を沈下させている『主天魔怪獣ドミニオン』の姿だ。
あれを打倒し、完全なる発動を阻めば島が救える。
ならばこそ、アレクサンドルは己の力でもって荒れ狂う気象を御すようにしながら、浮島の大地を疾駆する。
どれだけ絶望的な状況であったとしても、それでも目指す道がある。
「ええ、進むべき道がある。ただそれだけで十分だって、僕は……いえ、俺は知ってるんです」
だから、と『エイル』の言葉を背に受けてアレクサンドルは飛ぶ。
そう、先の見えぬ暗闇の如き嵐の中二足を踏み入れることをこそ勇気と呼ぶのならば、その勇気の輝きがアレクサンドルの背を押すだろう。
柄ではないと笑いながら、飄々と荒ぶ嵐を引き裂いてアレクサンドルの金の瞳が残光を遺して、一直線に『主天魔怪獣ドミニオン』へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
「飛空艇ドゥルシネーア」の甲板に仁王立ち
舵輪が独りでに動く絡繰りはワイヤーアンカーでのハッキングによる●飛空艇操作によるワンマンオペレーション
舵を操り悪天候下の環境へ突っ込み
勝算があると考え、その判断も間違ってはいないのでしょうが…無茶を為されたものです(微苦笑
戦友の志に応え助太刀するは騎士の本懐
さあ、参りますよ
ワイヤーアンカー経由で己を動力源としたエネルギー供給
ドゥルシネーアの衝角から発生する防御力場(盾受け)の強度を限界突破
風や嵐に落雷に浮島からの岩石…地形ダメージを無理矢理に防ぎ●推力移動で決戦の地へ
浮島に暮らす人々の希望取り戻す戦い…不謹慎ですが何とも心躍るではありませんか、エイル様!
麗しき白銀の船が嵐を征く。
その姿は壮麗にして優美。己が正義を旗印とし、道なき空を疾走ることをこそ、その船は是としていた。
名を『ドゥルシネーア』。
その甲板上に仁王立ちするは、同じく白銀の騎士であるトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)であった。
舵輪がひとりでに動く飛空艇は、トリテレイアと有線で繋がり、ワンマンオペレーションにて飛ぶ。
ウォーマシンならではの業であった。
どれだけの悪天候であったとしてもトリテレイアに恐れはない。
人であったのならば恐れもあったことだろう。躊躇いもあるだろう。どれだけ技量があるのだとしても、それでも人の身であったのならば、過ちも起こる。
しかし、その恐れを取り払った者をこそウォーマシンであるというのならば、彼の操舵に狂いはない。
「勝算があると考え、その判断も間違ってはいないのでしょうが……」
トリテレイアは少年『エイル』の行動をそう評価する。
彼の行いは向こう見ずなものであった。
単身飛び出す危険性は言うに及ばず。彼ら自身が屍人帝国『オーデュボン』の標的である以上、それは危険極まりないものであったからだ。
彼らが捕縛されてしまえば、それだけで『オーデュボン』の思惑通りである。
だからこそ、トリテレイアや他の猟兵達はそれを諌めなければならない。
「無茶を為されたものです」
もしも、彼に表情を浮かべる機能があったのならば、きっと微苦笑を浮かべていたことだろう。
だが、悪くない気分である。
「戦友の志に応え、助太刀するは騎士の本懐」
例え、どれだけの嵐が荒ぶのだとしてもトリテレイアは怯まない。
己が駆る飛空艇、その旗印たる勇気があれば、どれだけの暗闇に沈む嵐であっても恐れるに足りないのだから。
「さあ、参りますよ」
ワイヤーアンカーを経由して己の炉心から供給されるエネルギーを『ドゥルシネーア』へと注ぎ込む。
それは船首に備えられた衝角より発生される防御力場の強度を挙げ、風や雨、そして荒ぶ岩石すらも無理矢理に吹き飛ばして突き進む。
まさにそれは、鋼の騎士道突撃行進曲(チャージ・アット・ウィンドミル)。
青い織火が燈火のように輝きながら、己の道行きを照らしている。
青い鎧の巨人『セラフィムV』が放つ輝きは、人の想いと願いである。それを繋ぐ楔となって『エイル』の行いにトリテレイアは騎士として畏敬の念を抱くだろう。
「浮島に暮らす人々の希望取り戻す戦い……不謹慎ですが、なんとも心踊るではありませんか」
それは騎士としての戦い。
騎士を志すトリテレイアにとって特別なことであっただろう。
だからこそ、あの青い織火にトリテレイアは語りかけるのだ。
「『エイル』様、共に救いましょう。力なき者の思いと心を力に変えるのが、その機体であるのならば、あなたはやはり楔にして勇士。その勇気が標となって私達を呼び寄せた」
為さねばならない。
人々の希望を、願いを、故郷を失いたくないという人の総意を。
暖かな光が暗闇の嵐の中を照らす。
白銀の船体が光を受けてひときわ輝き、トリテレイアは誇らしげに嵐を割いて進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『空を砕くもの『スターブレイカー』』
|
POW : 暴食の邪竜『デス・オブ・ホープス』
【体中いたるところから生えている爪】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【恐怖、苦痛、悲鳴】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : 厄災速射砲『コンティニュアス・カラミティ』
レベル分の1秒で【全身から放出される【星破壊】属性の光線】を発射できる。
WIZ : 星砕きの厄災『スターブレイク・ディザスター』
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【星破壊】属性の【厄災レベルの光線】を、レベル×5mの直線上に放つ。
イラスト:木之仔じゅま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
浮島を包み込む異常気象は凄まじさをましていく。
中心に向かえば向かうほどに、風と雨、雷は勢いを増していくのだ。それは中心に座し、謎のユーベルコードを発動している『主天魔怪獣ドミニオン』を護るかのようでもあった。
この異常気象を抜け、肉薄し、『主天魔怪獣ドミニオン』を打倒しなければ、浮島の沈下は止まらない。
猟兵達は未だ勢い衰えない異常気象の中を突き進み、敵の首魁を討つために足を止めない。
けれど、この異常気象に加え、空を自在に飛ぶ存在があった。
空を砕くもの『スターブレイカー』。
その邪竜たちが嵐の中を飛ぶ。『主天魔怪獣ドミニオン』に支配された邪竜たちは、己の主に猟兵たちを近づけさせまいと咆哮する。
猶予はもはやない。
嵐と邪竜が猟兵たちの道を阻む。
困難な道であることはすでに承知の上。これらを踏破しなければ、謎のユーベルコードの発動は止められない。
けれど、猟兵達向かうのだ。
あの青い織火が燃え盛る限り、人の願いを受けた己たちが負けるわけにはいかないのだから――。
村崎・ゆかり
引き続き飛鉢法と「オーラ防御」「環境耐性」で飛翔しつつ。
あなたたち、邪魔よ。雑魚は大人しく下がってなさい!
あたしが狙うは元凶ただ一つ!
「全力魔法」風の「属性攻撃」「範囲攻撃」「貫通攻撃」「呪詛」「斬撃波」「仙術」「道術」で風吼陣。
あたしの絶陣で、この嵐さえ上書きしてみせる!
この邪竜とは戦った覚えがあるわ。相手のことを覚えているのは、あなたたちだけの専売特許じゃない。
彼らの機動の特徴を思い出し、死角を取られないように。
暴風と「呪詛」の刃でこの風の渦を突破されないよう防ぐ。
刃が傷つけたら、そこから傷口を広げる「呪詛」が入り込むわ。
その鱗でどこまで耐えられるかしら?
突破した。さあ、元凶出てきなさい!
その邪竜は空を砕くものと呼ばれていた。
『スターブレイカー』と呼ばれるオリジンの複製。
ゆえにオリジナルには及ばないまでも、その身体の至る所に生えた爪は血肉を引き裂き、相対するものの恐怖と痛み、悲鳴を糧として力を膨れ上がらせるものである。
「グォアアアア――!」
しかしながら、その『スターブレイカー』たちは今は意志はない。
彼らの意志は全て『主天魔怪獣ドミニオン』によって支配されている。
この浮島を沈めるための謎のユーベルコード、その完全発動のため。そして、それを阻むために飛び込んでくるであろう猟兵たちを迎え撃つためだけに彼らは働くのだ。
「あなたたち、邪魔よ。雑魚はおとなしく下がってなさい!」
鉄鉢に乗る村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)が叫ぶ。
嵐の中で声は届かぬとも、その漲る闘志はユーベルコードの輝きでもって知らされるものであった。
どれだけ暗闇が続く嵐の中であろうとも、輝くものがある。
それは時として人の思いであり、願いであったことだろう。それらを受けてゆかりは嵐の中で迫りくる『スターブレイカー』を迎え撃つ。
「あたしが狙うは元凶唯一! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
これだけの異常気象の中にあってゆかりのユーベルコードは、嵐を上書きするように風吼陣(フウコウジン)で塗りつぶす。
全力の力を籠めたユーベルコードの輝きは、暗闇の如き嵐の中でか細い光を放つ。
しかし、その輝きがか細いものであったとしても、ゆかりは構わなかった。
以前、邪竜『スターブレイカー』と戦った記憶が蘇る。
敵もまたこちらの動きを覚えてより効果的に攻撃を繰り出してくるようであるが、彼らだけの専売特許ではないことをゆかりは知らしめる。
「その動き……! 単体ではない複数で動くのなら、その体中にある爪は、互いを傷つけないために距離を取る……なら、あたしの風吼陣は、そこに割り込む!」
生み出される暴風圏。
それは『スターブレイカー』たちが互いに開けた空間に割り込み、無数の刀剣を孕む風でもって彼らの鱗を切り裂く。
だが、切り裂くだけだ。
敵を両断するには至らない。
「グォアアアア!!」
『スターブレイカー』たちがあざ笑うかのようにゆかりの乗る鉄鉢を追う。
傷を深く切り込めないのは、この異常気象のせいだろう。
拮抗する風と風がぶつかり合って、ゆかりのユーベルコードのによって生み出された刀剣孕む風が弱まっているのだ。
けれど、ゆかりは笑う。
「そうね、確かにこの風は厄介。けれど、あたしのユーベルコードは僅かに傷が付けばそれでいい」
その言葉とともに『スターブレイカー』たちは己たちの身体の異変に気がつくだろう。
確かに打ち込まれた刃、刀剣の傷は浅いものであった。
鱗を切り裂いたのは見事であったけれど、致命傷には至らない。
だというのに、己たちの飛ぶ翼の力が弱まっている。この異常気象の中に荒ぶ風にも負けない翼の力が、徐々に弱まり、風に抗うことができなくなっているのだ。
「――ッ!?」
「気がつくことなどできないでしょうね。あたしのユーベルコードは傷口を広げる呪詛がある。入り込んだ呪詛に寄って広げられる傷は、あなたたちの鱗から身内を蝕むでしょう」
その状態でどこまで耐えられるかしら? とゆかりは鉄鉢と共に暴風の中を飛ぶ。
彼女を追えば追うほどに『スターブレイカー』たちは異常気象の中で脱落していく。失墜し、大地に叩きつけられ、二度と飛び上がることなど出来ずに身に染み込んだ呪詛に寄って身を滅ぼすだけだ。
「突破した。さあ、元凶出てきなさい!」
ゆかりは鉄鉢と共に嵐の中を、その中心へと至る。
其処に在るのは体長60mを越える巨躯。
見上げるほどの凄まじき巨体を持った『主天魔怪獣ドミニオン』。
その威容と、浮島を沈めるべく発動している輝く光輪の如きユーベルコードが、ゆかりを迎え撃つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
なるほど……こいつらを排除しない事には
この事象の根源を止められないか
竜神飛翔を使用
悪天候へは先と同様に天候操作と自身の放つ雷での相殺で対処
爪による攻撃、伸びても尾の長さ腕の長さが限界だろう
敵の間合いに居続けなければどうという事もなかろう
何より、こちらへの攻撃を当てた敵に
二撃目を許さなければ良いだけの話
禮火は槍状に、葬焔は浮遊する盾に、形状変化させておく
距離がある状態から
鎧無視攻撃と神罰、斬撃波を乗せた禮火でなぎ払いの先制攻撃
禮火の攻撃には常に氷結の属性攻撃を乗せていくし
距離が近い場合は羽根の付け根を部位破壊で狙う
敵の攻撃は見切りと空中機動で回避
回避不能時は盾の葬焔で弾きオーラ防御で防いで凌ぐ
浮島を沈下させる程の天使核の暴走を引き起こす謎のユーベルコード。
その完全発動がなれば、浮島の沈下を猟兵達はもはや止めることは叶わない。元凶たるユーベルコードを発動させている『主天魔怪獣ドミニオン』を打倒しなければならないが、今や異常気象の中心に至っても凄まじい暴風が猟兵たちの道を阻む。
それ以上に厄介であったのが『主天魔怪獣ドミニオン』を護る邪竜にして空を砕くものと呼ばれる『スターブレイカー』であった。
彼らの身体の至る所にある爪は、相対するもの苦痛や恐怖、悲鳴を受けてさらなる強化を齎す。
この悪条件が重なる空にあってなお、彼らは自在に空を飛び、風さえも味方につけて猟兵達に襲いかかるのだ。
「グルゥァァァ――!!」
咆哮が轟き、凄まじい勢いで迫る邪竜たちを前にして鈴久名・紡(境界・f27962)は完全竜体となった姿のまま疾駆する。
風は向かい風。
されど敵には追い風である。
不利は承知の上。悪天候に対して己の扱う天候操作は未だ完全に無力化することはできていない。
「なるほど……こいつらを排除しないことには、この事象の根源は止められないか」
雷を解き放ち、迫る邪竜たちを打ち据える。
けれど『スターブレイカー』たちは強靭なる鱗でもってそれらを防ぎ、己の主である『主天魔怪獣ドミニオン』の障害となる紡の行く手を阻まんと、その鋭い爪を振るう。
「己たちのリーチをよく知っている……戦い慣れていると言えばいいか……!」
ふるわれる尾の一撃を紡の盾に変わった神器が受け止める。
形状を変化させた神器によって爪が防がれるが、されど、その盾の動きを彼らは学習する。
次にどうすれば、紡に致命傷を与えられるかを理解するのだ。
「そして、学習……」
敵の間合いに入らないようにしても、それでも敵は複数だ。
集団で狩りをするかのごとく紡に迫ってくる。間合いの外にと逃れようとしても、即座に囲いを作り上げ、紡の動きを制限する。
この異常気象と自身たちの力をうまく活用していることがわかる。ただのオブリビオンではない。
これまでの『オーデュボン』が放つオブリビオンたちとは一線を画する存在。
「だが、二撃目を許さなければ良いだけの話だ」
紡の手繰る神器が槍の形へと姿を変える。
放つは神罰の一撃。薙ぎ払う一撃が、暴風毎『スターブレイカー』たちを薙ぎ払い、吹き飛ばす。
距離を離す一撃をもって紡の竜体が空へと舞い上がる。
天高く。
敵よりも高く飛び上がった紡の竜体が青い織火を受けて輝く。
槍へと姿を変えた神器が氷結の力を宿して己へと追いすがる『スターブレイカー』たちを睥睨する。
「どれだけ戦いなれ、学習するのだとしても、お前たちにはあの織火には届くまい。人の思いと願い。単一ではない、多くの人々の心がより合わさったものが、今もこの大地をつなぎとめている」
その光の中に己また在るのだと紡は知る。
あの楔となった少年の心を知っている。
誰かのためにと戦う彼の眼差しは輝いていた。
ならばこそ、紡は己の神器が姿を変えた氷結の槍、その一撃を振り下ろし、迫る『スターブレイカー』たちを一閃の内に滅ぼす。
嵐はまだ晴れない。
けれど、紡には見えている。人々の願いと思いが紡いだ未来への道筋。
何もかもを喪うことのないようにと、他が為に戦う少年の道行きを。ゆえに紡は己の力を振るうことを厭わず、竜声轟かせ、元凶たる『主天魔怪獣ドミニオン』へと迫るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・ジルニトラ
引き続き飛空艇モードで参戦だ。
このまま突き進む邪魔をするなー。
制空優勢宣言!!
敵より有利な高度を維持し最大船速で突き進む
空は心で飛ぶんだよ!!
攻撃を軽やかに回避しつつ、進行上の邪魔な魔獣を優先的に排除しつつ突き進む。
(使用技能:空中機動、残像)
攻撃には砲撃を行う。邪魔な魔獣も解体したいが今は捨て置く。。
このバカ騒ぎの元凶は速やかに排除しないといけないのでな。
(使用技能:空中戦、砲撃、呪殺弾)
よし、魔獣の群に穴が開いた。
今のうちにツッコむぞ。馬鹿騒ぎを止める。
それが最優先だ!!
嵐の中を突き進む赤き帆の飛空艇。
その名をジルニトラ級陸番艦イングリット。
猟兵にしてガレオノイドであるイングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)が変じた姿であり、嵐を切り裂く刃そのものであった。
「このまま突き進む。邪魔をするなー」
風を受ける帆は向かい風である。
迫るは邪竜にして空を砕くもの『スターブレイカー』。
邪竜たる彼らは口腔に溜め込まれた厄災の如き光線を吐き出し、イングリットへと迫る。
暗闇の如き嵐の中にあってイングリットは光線を躱しながら上昇していく。
己は飛空艇である。
風を手繰り、あらゆる者の頭上を征くものである。
制空優勢宣言(バトルオブアルカディア)を掲げる者をこそ、この大空の支配者である。
どれだけ浮島の周囲が異常気象に見舞われ、囲まれているのだとしても、イングリットの心は依然変わらず。
「空は心で飛ぶんだよ!! 心で!!」
彼女の言葉を邪竜たちは理解しなかっただろう。
ただ、己たちよりも高く飛ぶイングリットの姿に忌々しい咆哮を挙げ、放たれる光線でもって失墜させようとする。
「ゴァァァァ――!!」
次々と天高く飛ぶイングリットへと放たれる光線。
だがイングリットは彼らの頭上を抑えている。かつて在りし日には、舞うように空を飛ぶ飛空艇とまで言われた彼女の戦術の機動は見事なものであった。
軽やかに、まるで嵐の中で飛んでいることを感じさせない動き。
艦載砲が砲首を向け、己の眼下にある邪竜たちを捉える。
「邪魔な魔獣を解体したいが今は捨て置く……この馬鹿騒ぎの元凶は速やかに排除しないといけないのでな!」
彼女の言葉とともに放たれる呪殺弾の砲撃は過たず『スターブレイカー』たちを打ちのめす。
外すことなどありえない。
ここに掲げた制空券はすでに己の手の中にある。
己の頭上を取るものはなく、己が睥睨するものには滅びが齎される。
空戦とは斯く在るべしと言うほどに見事な戦術機動は『スターブレイカー』の群れに穴を穿つ。
猟兵たちの最大の目的は『主天魔怪獣ドミニオン』の撃破である。
浮島を沈めさせている謎のユーベルコードの完全発動は未だ為されていない。ならばこそ、イングリットは遥か頭上から『主天魔怪獣ドミニオン』を強襲すr。
「今のうちにつっこむぞ。馬鹿騒ぎを止める」
人の願いが生み出した青い織火が視界をかすめる。
あれは人の願いと思いだ。
故郷を失いたくないという祈り。
それが灯台の燈火のようにイングリットをこの場にまで導いたのだ。
滅びを待つしか成った身が、人の形を得てこの大空に戻ってきたように。イングリットは、二度と失墜することはない。
彼らの願いを聞き届け、己の責務を果たす。
即ち、屍人帝国の殲滅。
「それが最優先だ!!」
放つ呪殺弾の砲撃が光輪輝く『主天魔怪獣ドミニオン』へと降り注ぐ。
邪竜の群れを振り切ったイングリットは見るだろう。
その体長60mにも及ぶ巨躯。
異様なる姿。
頭上に輝く謎のユーベルコード。どれもが脅威そのものであり、捨て置くことのできぬもの。
「だが、その程度で止まるものか。この馬鹿騒ぎを引き起こした報いは必ず受けてもらう!」
イングリットの赤い帆がはためく。
ここに戦いの嵐が再び巻き起こり、イングリットは己の風を得て必ずや浮島を取り戻すと決意するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
妖刀解放状態で引き続き行動だ。
このまま中心に行かせてくれる程、流石に甘くはねぇって訳か。
だが、空を砕くもの『スターブレイカー』だか何だが知らねえが百鬼夜行龍『空亡』を砕けるものなら砕いてみろってんだッ!
『退魔の七つ道具ポーチ』から神楽笛を取り出して演奏し、相棒の神楽舞を更に盛り上げて、百鬼夜行龍『空亡』に戦闘してもらうぜ。
抑えこんでいた天変地異の如き異常気象を邪竜共に叩き込んでなぎ払うぜ。
…俺が神楽笛をどうやって吹くのかって?細かい事は気にするなッ!
こんな雑魚共を悠長に相手してられないんでな。蹴散らしていくぜッ!
【技能・封印を解く、ダンス、楽器演奏】
【アドリブ歓迎】
艷やかな黒髪が風になびく。
幻想的な神楽舞は無名の妖刀より解放された天変地異の術を操る悪魔、百鬼夜行竜『空亡』に捧げられるものである。
凄まじき力で天使核の暴走による異常気象をねじ伏せる『空亡』。
その代償に必要なのが、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のパートナーでもある桜の神楽舞なのだ。
彼女が舞う姿の美しさに『空亡』は力を貸す。
一度それが途絶えてしまえば、天変地異を操る術は喪われ、凶津と桜は嵐の中に飲み込まれて消えてしまうだろう。
『このまま中心に行かせてくれるほど、流石に甘くはねぇって訳か』
神楽舞を百鬼夜行竜『空亡』の上で舞う桜は身動きが取れない。
さらに迫るは、邪竜にして空を砕くものとも呼ばれる『スターブレイカー』。その威容は嵐の中を自在に飛び、災厄とも言われる光線を解き放ち、嵐の中心に迫ろうとする猟兵を寄せ付けぬとばかりに襲い来るのだ。
『これが空を砕くもの、スターブレイカーってやつか! だがそんなのがなんだっていうんだ! 百鬼夜行竜、空亡を砕けるものなら砕いてみろってんだッ!』
凶津の言葉に桜の腰にあった『退魔の七つ道具ポーチ』から神楽笛が飛び出し、凶津の紅の鬼面、その開く歯の間に挟まれる。
百鬼夜行竜『空亡』が手繰る天変地異の術の強さは、捧げる代償によって変化する。
凶津たちはこの嵐を踏破するために神楽舞を奉納する。
けれど、さらに邪竜である空を砕くもの『スターブレイカー』を退けるためには、さらなる質の神楽舞が必要となる。
「……構いません。このまま舞を奉納します。『空亡』が質を求めるのなら、それに見合ったものを捧げるまでです」
桜の額には汗が浮かぶ。
珠のような汗だ。神楽舞を舞うだけで体力を消耗するのだろう。
けれど、それでもやらねばならない。
必ずや嵐を踏破し、その中心に座す謎のユーベルコードを発動し続ける『主天魔怪獣ドミニオン』を打倒しなければならない。
『そのとおりだッ! 行くぜ、相棒ッ!』
鬼面に加えられた神楽笛が雅な音色を奏でる。
さらなる盛り上がりを見せる桜の神楽舞。飛び散る汗が風に吹き荒ぶ。奉納するための舞。
桜の体の限界まで越えた舞は、確かに百鬼夜行竜『空亡』をうなずかせるだけの代償であったことだろう。
美しき巫女と鬼面の奏でる旋律に『空亡』が咆哮する。
『こんな雑魚共を悠長に相手してられないんでな。蹴散らしていくぜッ!』
凶津の言葉に反応するように百鬼夜行竜『空亡』が嵐を吹き飛ばすほどの雷を呼ぶ。
災厄とも言われた光線すらも物ともせず、それらを塗りつぶすかの如き破壊の力が『スターブレイカー』たちを穿ち、たちまちの内に消滅させていく。
暴風はすでに『空亡』の支配下だ。
周囲に風はなく、凪の如き空間が広がる。
雷撃に寄って空は割れて、そこに覗くは青空。凶津は見ただろう。
その嵐が割れた先にある『主天魔怪獣ドミニオン』の異形なる姿を。
形容しがたき姿。まさに怪獣と呼ぶに相応しい。
「……あれが」
『ああ、この元凶だろうよッ! さあ、このままぶっ飛ばすぜ! 『エイル』の方も長くは保たないだろうからなッ!』
凶津の言葉は正しい。
彼らの背後に輝く青い織火は輝きを増していく。その光があまりにも強大に輝きすぎている。
人々の思いを束ねて膨れ上がらせるのが『セラフィムV』であったのなら、集まりすぎた光が溢れすぎているのだ。
『すぐに済ませてやるぜ、相棒ッ!』
凶津は凪の如き浮島の中心へと疾走る。
迸る正義の心をまさに燃やし、人の願いを空に叫ぶのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
ちょっと交代しますねー。私、内部で風結界制御に集中しますのでー。
交代
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
任された。行くぞ、霹靂。
さて?相手の間合いに入り込まぬようにせねばなるまいが…わしも近接なのよな。
が、さして問題はなし。すれ違いざまに槍を振るいて砕き裂いていけばよいか。
まあ、霹靂に攻撃いくかもしれぬが…指定UCで増強されておるからの。カウンターからの返り討ちが末路よ。
ふん、この先に用事がある。ここで止まるわけにはいかぬのよ。
あの熾火を、届かせるためにもの。
※
霹靂、飛んだり避けたりカウンターしたりと忙しいが、義透といるので苦ではない。
邪竜、空を砕くものとも呼ばれた『スターブレイカー』が嵐の空を飛ぶ。
これだけの暴風の中であっても自在に飛ぶのは、彼らが『主天魔怪獣ドミニオン』に支配されているからであろう。
彼らに意志はない。
ただ『主天魔怪獣ドミニオン』に仇為すものを打ち砕く、という命令にのみ従い、その破壊の力を振るう。
それこそが支配の権能司る『主天魔怪獣ドミニオン』の力であった。
それがそ望むのは『支配』であるが、弱者を必要としていなかった。彼が望むのは『支配』されるに値する存在だけである。
だからこそ、青い鎧の巨人『セラフィムV』を求め、浮島を天使核の暴走に寄って沈めようとしているのだ。
「敵の目的は悪魔で『セラフィムV』殿。ならば、ちょっと交代しますねー、私、内部で風結界の制御に専念しますのでー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『疾き者』が『侵す者』と主人格を交代する。
表層に現れた『侵す者』が『霹靂』と共に風狂うが如き強風荒ぶ嵐の中を飛ぶ。
「任された。行くぞ、『霹靂』」
その一声と共に『霹靂』が嘶く。
迫る『スターブレイカー』の群れ。単体でも破壊の力を齎すには十分過ぎるほどの力を持つオブリビオンである。
全身の至る所に生えた爪は、相対する者の恐怖や苦痛、悲鳴を持って強化されるものである。
さらに一撃目を学習し、さらなる最適化をもって敵を追い詰めていくのだ。
「さて? 相手の間合いに入り込まぬようにせねばなるまいが……」
『侵す者』は迫る『スターブレイカー』の威容を具に観察する。
全身に生えた爪。
どこまでも伸びるかの如き尾。あの一撃を受ければ、周囲の『スターブレイカー』たちによって袋叩きにされてしまうだろう。
「だが、わしも近接を得手とする者……さして問題はなし」
『霹靂』、と『侵す者』はその首筋に触れて、四悪霊・火(シアクリョウガヒトリ・マタチカゲマサ)の力を付与する。
ユーベルコードによる強化。
翼と爪、くちばし……体躯そのものを強化する騎獣の手繰り手たる『侵す者』の力。
それを付与された『霹靂』の羽撃きは、嵐という悪環境に合って尚、『スターブレイカー』を突き放すほどの速度で持って空を疾走る。
「クエッ!」
一鳴きの間に放たれる『霹靂』の鉤爪の一撃が交錯する『スターブレイカー』を強かに打ち据え、『侵す者』の放つやりの一撃で引き裂き霧消させる。
「さてこれこの通りよ。来るがいい。全てを返り討ちにしてやろうぞ。それこそが、オブリビオンの末路と知れ」
「ゴァァァァ――!!!」
『侵す者』の挑発に『スターブレイカー』たちが一斉に『霹靂』へと迫る。
その爪がふるわれ、あらゆる角度から『霹靂』を襲う。
けれど、類まれなる『武の天才』たる『侵す者』にとって、それは逆上した者の刃でしかない。
冷静さを失った者から戦場では失墜していく。
ゆえに『侵す者』は『スターブレイカー』を恐れない。恐れや苦痛、悲鳴が彼らの力となる。それは大前提である。
恐れるに値しない力を前にして、いたずらに恐怖心を煽られては数々の戦場にたった己の矜持が許さない。
「ふん、この先に用事がある。ここで立ち止まるわけにはいかぬのよ」
『侵す者』は見る。
己と同じく『武』の才に翻弄されること無く輝く少年の光を。
その少年『エイル』に集約され増幅し、輝く青い光を。
あの光は人の思いと願いの結晶だ。故郷を失いたくない。助けてほしいと願う声に応えた『エイル』が楔となって沈みゆく浮島をこの空に留めているのだ。
ならば、『侵す者』もまた応えるのだ。
「あの織火を、届かせるためにもの」
途絶えさせてはならぬ燈火。
遠き暗闇を照らす輝きを以て、人の未来を指し示さねばならないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
※「ドゥルシネーア」の甲板で操艦
浮島沈没の元凶の護衛といった所でしょうか
竜退治は騎士の誉れ、古式より少々形式は異なりますが…
マルチセンサーでの●情報収集で詠唱中のエネルギー充填量から敵の所在と砲撃を●見切り●飛空艇操作で回避運動
更に艤装の一部をUCでバリアビットに変換し躱し切れぬ光線を●盾受け防御
天使核砲座、全砲門解放
ドゥルシネーア艦砲の●乱れ撃ちスナイパー砲撃で敵の詠唱を妨害しつつ、飛空艇の●推力移動で一気に敵群へと距離を詰め
バリアビットを●操縦
発生させたバリアを切断力場として運用し射程範囲内の敵一掃
逃げる相手は砲撃で撃墜
この船を使う以上、情けない戦いは出来ません
押し通らせて頂きましょう
古来より竜退治氏は騎士の役割でり、誉である。
見据える邪竜、空を砕くもの『スターブレイカー』の威容は、古来よりの姿形とは異なるし、形式もまたそうであった。
けれど、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)にとっては関係のないことであった。
暴風荒ぶ中に在って、トリテレイアのマルチセンサーは即座に厄災とまで呼ばれる破壊光線の光を蓄える『スターブレイカー』の姿を探す。
破壊光線を放つ以上、そこには熱量が生まれる。
この暗闇が支配する嵐の中にあって、それは熱源をたどれば所在が知れるというものである。
「浮島沈没の元凶……『主天魔怪獣ドミニオン』の護衛と言った所でしょうが……あからさますぎますね」
トリテレイアが駆る白銀の飛空艇『ドゥルシネーア』が放たれる破壊光線の光条を躱す。
彼にとって破壊光線を躱すことは容易であった。
どれだけ嵐が荒れ狂うのだとしても、熱源が分かり、なおかつ破壊光線を放つために蓄えられた熱量の臨界点を理解しているのならば、ワイヤーアンカーによって舵操する回避機動はまるで未来予測のようであった。
「躱せば、学習してくるでしょう。支配されているがゆえに単調な行動を取るわけではないようですね」
『スターブレイカー』は『主天魔怪獣ドミニオン』に支配されたオブリビオンである。
彼らは効率的に敵を追い込むために、己たちの存在すら捨て駒にして敵を討つのだ。
放たれた破壊光線はどれもが牽制であった。トリテレイアはそれを理解していたからこそ、電脳禁忌剣・通常駆動機構:兵装改造『守護の花』(バリアビット・ブローディア)を展開する。
花弁を支点にしてバリアを形成するブローディアの花びらが放たれる破壊光線を受け止め、防御するのだ。
「躱しきれぬのならば受け止めるまで。この鋼の花弁の護り、易々と貫けると思わぬことです」
空を飛ぶ白銀の飛空艇が爆風の中を突っ切るようにして飛ぶ。目指すは浮島の中心であろう。
元凶たる謎のユーベルコードを発動しつづける『主天魔怪獣ドミニオン』を討つために迫る『ドゥルシネーア』を追って『スターブレイカー』たちが猛追する。
「天使核砲座、回頭。全砲門解放」
『ドゥルシネーア』の艦載砲の砲身が背後に迫る『スターブレイカー』たちをねめつける。
乱れ打たれる天使核より供給されたエネルギーを弾丸に変えた艦載砲の一撃が『スターブレイカー』たちの群れを分断させる。
「躱しますか……ですが、詠唱は妨害できましたね。そして、その隙が命取りです」
トリテレイアが本命としていたのはバリアビットである。
電脳禁忌剣によって改造されたブローディアの花びらの如き兵装は、展開されたバリアを切断力場として吹き荒ぶ風すらも切り裂いて『スターブレイカー』の首を一撃のもとに両断していくのだ。
「この船を使う以上、情けない戦いは出来ません。押し通らせて頂きましょう」
トリテレイアのアイセンサーが煌めく。
そのセンサーが捉えるのは青い織火である。人の願いと思いの結実。
それは故郷を救いたいという願いを集め、光を増しているようにも思えただろう。過剰なる光。
人の思いとは斯くも強いのかと人ならざるウォーマシンであるトリテレイアは思ったことだろう。あの光が浮島一つを沈下させぬと天使核の暴走にすら匹敵するのだ。ならば、いつかは星すらも動かすかもしれない。
銀河の海を征く世界に生み出された己の存在が、その証明でもあるのだろう。
凄まじき力。
されど、それも長くは続くまい。
トリテレイアは『ドゥルシネーア』の甲板に仁王立ちし、その揺らめくアイセンサーで見据える。
「同じく他が為に戦う騎士として、元凶、『主天魔怪獣ドミニオン』……討たせて頂きます――!」
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「空を砕く竜もこれだけいると有難みが無いな。
時間が有れば丁寧に潰して行きたいが、
此方も急ぐ事情がある。直ぐに抜けさせて貰う。」
敵の光線の同時攻撃を受けない様に
敵の配置、行動を注意して【見切り】
複数の敵の直線上に立たない様に立ち回る。
襲われる前に冥雷顕迅唱を発動。
周囲を雷で満たしつつ
【2回攻撃】【高速詠唱】で再発動。
自身の雷の支配力を上げ
敵が威力を上げた光線を放つ前に
詠唱妨害を兼ねて頭部を狙い雷弾で攻撃し
その感電効果で【マヒ攻撃】を行う。
操る雷と【天候操作】で異常気象の勢いを弱めつつ
それでも襲ってくる雷は自身の雷で相殺。
「天の雷は俺達を襲うばかりじゃない。
そっちも油断していると黒焦げになるよ。」
嵐が包み込む暗闇の中に風が荒ぶ。
明滅する空は雷が降りしきるばかりである。そんな空を自在に飛ぶのは、邪竜にして、空を砕くもの『スターブレイカー』。
彼らは『主天魔怪獣ドミニオン』によって支配された存在である。
すでに彼らの意志はなく。
されど、口腔に溜め込まれた厄災の如き破壊光線が浮島の中心に迫らんとしている猟兵たちを滅ぼさんと解き放たれる。
空中に在りて、地上を征く者を滅ぼす厄災の光。
それを見上げ、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)はつぶやく。
「空を砕く竜もこれだけいると有り難みが無いな」
『スターブレイカー』と呼ばれるオリジンを模倣した存在。
空を砕くものとはそういう存在である。しかしながら、オリジンに及ばぬまでも、その力の凄まじさは言うまでもない。
火線の如く迫りくる破壊光線をフォルクは敵の位置を見切り、回避不能為る同時攻撃を受けぬようにとたt回っていた。
「時間があれば丁寧に潰していきたいが、此方も急ぐ事情がある。直ぐに抜けさせて貰う」
フォルクの周囲に満たされるは雷。
それはこの嵐の中で生まれた雷ではない。
彼の瞳に輝くユーベルコードによって生み出された落雷と雷弾が彼の立つ大地に打ち込まれたことに寄って満たされたものである。
この嵐の中にありてフォルクは支配者となる。
どれだけ天使核の暴走による異常気象であったとしても、それを理解し、手繰る術を持つ者がいるのならば、それはもはやただの現象でしかない。
「上天に在りし幽世の門。秘めたる力を雷と成し。その荒ぶる閃光、我が意のままに獣の如く牙を剥け」
冥雷顕迅唱(オーバーライトニング)が轟雷を響かせる。
大気が震えるほどの雷の力。
「グルゥァァァ!!!」
『スターブレイカー』たちは気がついたことだろう。フォルクの身に満ちるユーベルコードの輝き。
その雷の力が、この異常気象すらも支配し、己を支配する主をも上回っていくことを。
「遅い。その判断は遅きに失する」
解き放たれる雷の力が『スターブレイカー』たちを遥か頭上から打ち据える。
それは口腔に溜め込んだ破壊の力を解き放つ直前で叩きつけられ、彼らの頭部と共に誘爆するようにその身を爆散させる。
「天の雷は俺たちを襲うばかりじゃない。そっちも油断していると黒焦げになるよ」
雷の支配者となったフォルクの言葉通りであった。
雷が降りしきり、全方位に拡散していく雷弾が次々と『スターブレイカー』たちを穿ち、その帯電した体に更に天よりの雷が落ちていく。
もはやフォルクの道を妨げる『スターブレイカー』の存在はなかった。
暴風吹き荒れる中にあってこそ、輝くものがある。
あの青い織火。
人の思いが繋いだ力が此処に在る。
どれだけ人が傷つき、消えていくのだとしても。それでも残る思いがある。故郷を失いたくないという思いが導く力が己達であるというのならば、フォルクは彼らのためにこそ力を振るうだろう。
「誰かのためにと戦うものがいるんだ。支配するためじゃなく、人の営みを護るために」
フォルクの見据える先にあるのは、この浮島を天使核の暴走により沈下させようとしている首魁たる『主天魔怪獣ドミニオン』。
その体長60mにも及ぶ凄まじき巨躯。
異形なる威容がフォルクを睥睨する――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
『希』ちゃん、気象データはなんとかなりそう?
ん、なら、機体は任せるよ。目標はあの青い光。『セラフィムV』さんを追ってね!
サージェさん、わたしたちはあの竜の群れを!
【フレーム・アドバンス】で竜の動きの速さをを落とせるだけ落としたところに、
サージェさんの攻撃と、わたしは【M.P.M.S】を誘導弾モードで発射していこう。
【セレステ】はただのSFSじゃないんだからね!
アラートから『希』ちゃんの、
『ちょっとー! 気象計算とか思いっきり乱れてるんだけど!』
というクレームが聞こえてくるけど、そこはしれっと聞こえないフリ。
竜を撃墜しつつ、『エイル』さんと『セラフィムV』さんになんとかついていかないとね。
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
引き続き『ファントムシリカ』に乗って参戦です!
理緒さん、了解です!
それじゃいっきますよー!
理緒さんが竜の動きを落としてくれたのでそこを狙います!
嵐の中でも短距離ならエンジェライトスラスターでいけるはず!
フローライトダガーを両手に構えて、突破します!
至近距離まで突撃したらもちろん【疾風怒濤】ですよね!
「手数こそ正義! 参ります!」
連続攻撃を叩き込んだら竜を足場にジャンプ!
理緒さんの援護射撃がうまい感じに竜たちをかく乱してくれているみたいです
混乱に乗じて次の竜に攻撃を叩き込みますよー!
いい感じに倒したらセレステまで戻りましょう
まだ大ボスが残っています
急がないと!
荒ぶ風が雨を運び、雨は殴りつけるようにして嵐に足を踏み入れた者を拒む。
雷が降りしきり、轟く雷鳴が人の不安を煽る。
これこそが天使核を暴走させる謎のユーベルコードを手繰る『主天魔怪獣ドミニオン』の力である。
自然現象であれ、生命であれ、支配することだけに特化した存在。
その支配の力に抗うこともできぬオブリビオン、邪竜にして空を砕くもの『スターブレイカー』たちが嵐を飛ぶ。
己の主に害を為す者全てを滅ぼす厄災の如き破壊光線を撒き散らし、近づくものを悲鳴と苦痛でもって苛む爪をもって排除せんと飛ぶ。
「ゴァァァァ!!」
咆哮の眼前にあるのは、白と紫のキャバリア『ファントムシリカ』と、それを乗せて飛ぶ『リオ・セレステ』の姿であった。
嵐の中であってもひときわ輝くように飛ぶ姿は、青い織火を受けて暗闇の中でこそ目立つことだろう。
「『希』ちゃん、気象データはなんとかなりそう?」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、機体の制御を任せているAI『希』へと現状のデータを送りながら、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の駆る『ファントムシリカ』と共に嵐の中を飛ぶ。
彼女たちには灯台のように導く青い織火『セラフィムV』の光が見えている。
「サージェさん、わたしたちはあの竜の群れを!」
迫る破壊光線を躱しながら、理緒がサージェに告げる。
「理緒さん、了解です!」
理緒のユーベルコードが輝く。
自身のコンピューターにキャプチャーした画像から『スターブレイカー』たちの姿をトリミングし、現実を侵食する同期プログラムでもって動きを鈍らせる。
フレーム・アドバンスは電脳魔術である。
ユーベルコードに寄って力をました同期プログラムは容易に現実世界にすら作用させる。邪竜である『スターブレイカー』たちはめの前に破壊しようとしていた二機が突如として速度を上げたことに不可解なものを見ただろう。
この嵐の中であって自在に飛ぶことができるのは己達だけである。
だというのに、目の前の機械は己たちよりも早く飛ぶのだ。
「わたしが速くなった? 違う。あなたが遅くなったんだよ」
理緒が種明かしをするように言う。
けれど、それは『スターブレイカー』たちに届くことはなかった。放たれる誘導弾が空を飛ぶ邪竜を叩きつけられ、爆発が嵐の中で明滅する。
「『セレステ』はただのサブフライトシステムじゃないんだからね!」
「それじゃ、いっきますよー!」
サージェは『ファントムシリカ』にフローライトダガーを構えさせ、『リオ・セレステ』を蹴って飛ぶ。
輝く燐光が機体の背面から噴出し、凄まじい加速を以て理緒の放った誘導弾によって失速した『スターブレイカー』たちへと迫る。
接近させぬと体中に生えた爪を以て『スターブレイカー』たちは抵抗しようとする。尾で、翼で、迫る『ファントムシリカ』を阻もうとするのだ。
だが、それはささやかな抵抗でしかない。
サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
「そにっくぶろー!!」
それは疾風怒濤(クリティカルアサシン)の如き連撃。
目にも留まらぬ速度での斬撃は一瞬の交錯の後に『スターブレイカー』の体を細切れに切り刻む。
どれだけ強固な龍鱗に覆われていたのだとしてもフローライトダガーの威力とユーベルコードに寄って底上げされた超高速の連撃を前にしては紙切れも同然であった。
「手数こそ正義! 参ります!」
さらに迫る『スターブレイカー』を踏み台にして跳躍する『ファントムシリカ』。
その背後で『リオ・セレステ』から放たれた誘導弾で足蹴にした『スターブレイカー』が失墜していく。
『ちょっとー! 気象計算とか思いっきり乱れてるんだけど!』
『希』のクレームが聞こえてくるが、理尾は爆風で聞こえないふりをする。
「進路このまま。目標はあの青い光。『セラフィムV』さんを追ってね!」
しれっと聞こえないふりをしつつ、『希』に演算と機体制御を任せ、嵐の中心へと迫る。
邪竜たちを撃墜しつつ『セラフィムV』と少年『エイル』を追わなければならないのだ。
「っと、おまたせしました!」
空中で乱れ放たれた斬撃の軌跡と共に『ファントムシリカ』が『リオ・セレステ』の上に降り立つ。
この空域の邪竜たちは全て細切れにした。
あとは、この嵐の中心に座す『主天魔怪獣ドミニオン』。
時間はあまりにも少ない。
『セラフィムV』が放つ青い織火は、徐々に膨れ上がっていっている。それは、人々の思いを増幅させ、繋いでいくことによって浮島の沈下を防いでいるものであったが、あまりにも強大になってきている。
「急がないと!」
サージェは青い輝きを放つ『セラフィムV』の限界を悟る。理緒もまた同様であろう。観測しているデータの膨大な量を見やる。
いつ過負荷が起こるかわかりかねない。
「うん、なんとか急いで謎のユーベルコードを発動しているオブリビオンを倒さないと――!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
おうおう、前座がわらわらと。
まあ仮にもドミニオン(支配)を名乗ってるんだ。配下がいなけりゃ格好がつかんわな。
とは言え、あんま時間をかけてやる暇もねえし、悪いな。
異常気象の中で雷雨を寄せ付けないオド(オーラ防御)を纏いながら『闇黒炎雷』を発動。
戦場全体に闇の炎と黒い雷を吹き荒ばせ、それを以てスターブレイカーの群れを薙ぎ払います。(敵SPDUCの光線は闇の炎で燃やしてみたり)
さあ、残りはデカブツだ。カカカ、天使核もデカそうだな。
嵐の中に潜む邪竜、空を砕くもの『スターブレイカー』の数は凄まじいものであった。
あれだけの巨躯、そして力の質を持ちながら、それでも彼らは支配されている。意志はなく、ただ己たちを支配している存在に仇為すものを滅ぼすためだけに厄災の力を振るうのだ。
その身に宿した星すらも破壊しうる力の発露が全身から解き放たれ、嵐の中を雷の明滅よりも凄まじき光で塗りつぶしていく。
「おうおう、前座がわらわらと」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は、その光景に呆れ返るように笑っていた。
オブリビオンである彼らに支配という概念があり、上下の関係があることはこれまで戦ってきたものたちを見ればわかるものであった。
だが、『主天魔怪獣ドミニオン』は、支配そのものを体現する存在であった。
支配するためだけに存在しているオブリビオン。
手段と目的が同一と成った存在の力は、これだけの邪竜を従えていることからもわかることであった。
「まあ、仮にもドミニオン、支配と名乗ってるんだ。配下が居なけりゃ格好が付かんわな」
放たれる破壊の光線を躱しながら、アレクサンドルは嵐の中をまるで何事もないかのように歩む。
その身を包むオドによって雨風を寄せ付けず、その瞳がユーベルコードに輝く。
怪しく輝く金色の瞳は、尽くを滅ぼす輝きである。
「闇黒炎雷(クロイホノオトイカズチ)」
掲げた掌から放たれる黒い炎と黒い雷が解き放たれる。
あらゆるものを貫く雷と消えぬ炎が『スターブレイカー』たちを襲う。
「ゴァァァァ――!!?」
「とは言え、あんま時間をかけてやる暇もねえし、悪いな」
黒炎が『スターブレイカー』を包み込み、黒い雷が空を舞う彼らを大地に失墜させる。
その凄まじき力の発露の前に如何に厄災と破壊を司る邪竜たちであったとしても抗うことはできなかった。
「さあ、残りはデカブツだ」
見据えるは嵐の中心に座す『主天魔怪獣ドミニオン』。
この嵐の元凶であり、天使核を暴走させている謎のユーベルコードを発動し続けている首魁。
これを討たねば、浮島の沈下は止まらず人々は故郷を喪うだろう。
それをさせぬと輝く青い織火を見る。
そこには少年ではなくなった『エイル』と青い鎧の巨人『セラフィムV』の姿があった。
明らかに光が溢れすぎている。
人々の故郷を失いたくないという思いが『セラフィムV』によって繋がれ増幅し続けているのだろう。
いつ過負荷で機体が保たなくなってしまうかもしれない。
アレクサンドルの言う通り、時間がない。
「カカカ、天使核もデカそうだな」
それでも彼は笑う。
目の前に座す体長60mにも及ぶ巨体でもって此方をにらみつける異形なるオブリビオン。
その支配を齎す光を前にしてもアレクサンドルは不敵に笑う。
己を支配できるのは己だけである。
ならばこそ、アレクサンドルはあの人々の思いを増幅させた青い光を背に戦うのだ。
「誰かのためにとは言うまいよ。だがな、『支配』を名乗っているんだ。覚悟はできているだろうな?」
アレクサンドルにとって、支配とは如何なるものであっただろうか。
少なくとも己が他者から押し付けられるものではなかったことだけは確かだ。
嵐の中、二つの強大な力が激突する――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
レジスタンスの人達を送り届けた後に
色々手伝ってて遅れたけど
ここからは一緒に戦うよ
エイル君もよろしくね
鉑帝竜に載って戦おうか
多少の嵐じゃ飛ぶのに支障は無いよ
相手の攻撃を避けつつ
レールガンで射撃したり
爪や牙や尻尾で攻撃しよう
攻撃が当たったとしても簡単には装甲は抜けないし
爪による攻撃は神気に触れるからね
金属に変えて装甲に取り込んでいこう
エイル君やVと連携できるなら
上手く協力して戦う事にしよう
もう頼りにしてもいいのよね
数で押して来たら兵装創造で
メタルハリケーンを創り
装甲を金属片に変えて
攻撃力を上げてまとめて落とそうか
何が起きているか詳しくはわからないけど
オブビリオンの思うようにさせる訳にはいかないしね
浮島をめぐる戦いは佳境に進む。
嵐でもって包み込まれた浮島は天使核の暴走に寄って沈下を始めている。もはや止めようのない沈下はされど、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』、そして故郷を失いたくないと願う人々の思いと願いによって、織火の如く輝く光によって空に繋ぎ止められていた。
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はレジスタンスや避難民たちの乗る飛空艇を安全な空域まで送り届けていたせいもあって遅れてしまったが、それでも鉑帝竜を駆り、急ぎ駆けつけたのだ。
「ここからは一緒に戦うよ。『エイル』君もよろしくね」
そう言う晶の言葉に『エイル』は余裕がなくとも心強い味方を得て顔をほころばせる。
「ありがとうございます……! なんとか持ちこたえて見せます。だから」
頼みます、と青い織火を放つ『セラフィムV』が鉑帝竜を見送る。
多少の嵐など何の問題にもならない。
晶と鉑帝竜にとって、嵐は障害ですらないのだ。
しかし、そんな鉑帝竜を敵と認識した邪竜にして、空を飛ぶもの『スターブレイカー』たちが全身に生やした爪と共に襲いかかる。
「ゴァァァァ――!!」
その爪は目の前に対峙する者たちの悲鳴や苦痛を糧にして力を増すものである。
だが、特殊な希少金属によって生み出された鉑帝竜の装甲を引き裂くことなどできはしないのだ。
組み合うようにして一体の『スターブレイカー』と激突する鉑帝竜に装備されたレールガンが、その巨体に大穴を穿ち、大地へと叩き落とす。
「その程度で、簡単にこの装甲が抜けるわけない」
さらに周囲、四方八方から迫る『スターブレイカー』たちを尻尾を旋回させて薙ぎ払い、迫る『スターブレイカー』を爪の一撃で持って三枚に下ろす。
その爪には神気が宿り、引き裂く端から『スターブレイカー』を金属へと変貌させ、装甲に取り込んでいく。
「グルゥァァァ――!?」
「数で押してきたとしても――!」
晶の瞳がユーベルコードに輝く。
兵装創造(オルタナティブ・ウェポン)によって装甲へと変えた『スターブレイカー』たちを分解し、再構成したメタルハリケーンによって暴風荒ぶ嵐の中にありながら彼らを裁断する。
「邪魔をするってんならさ!」
超硬金属の破片が雨のように『スターブレイカー』たちへと打ち込まれ、引き裂き、さらにその体を神気によって金属へと変えて取り込んでいく。
金属の雨は敵を穿つごとに、その数と規模を巨大なものへと変えていく。
「何が起きているか詳しくはわからないけど、オブリビオンの思うようにさせる訳にはいかないしね」
金属の雨を己の味方としながら晶は鉑帝竜と共に飛ぶ。
その背後に膨れ上がる『セラフィムV』の青い織火がある。それは人の思いと願いを受けて膨れ上がった光であった。
その光によって浮島は沈下の速度を緩めている。
けれど、機体にかかる過負荷は凄まじいものであるのだろう。このままでは『セラフィムV』の方が保たない。
「急がないと……! あの織火は途絶えさせたら駄目だ。きっとあれは人の願い。浮島を沈めたくない、故郷を失いたくないっていう人たちの思いの光」
あの暖かさを知っているからこそ、晶は叫ぶ。
失いたくないという痛烈なる思いは、時として奇跡を呼ぶだろう。
けれど、人の体でそれを体現することはできない。
『セラフィムV』はそれを為す器であれど、際限なく膨れ上がっていく光は、いつしか耐えられなくなる。
そうなっては、嵐の中心に座す『主天魔怪獣ドミニオン』の思うつぼである。
だからこそ、晶は急ぐように鉑帝竜で嵐の中心へと飛び込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
【焼肉パーティ】
「よくやった、ステラ!
一箇所に集まった焼き肉の材料を狩るのは我の魔術に任せておけ!」
我には鉄板Vを救い、焼肉パーティで奴の素晴らしさを世界に広めなければならないという使命がある!
そのために、ここで大量のドラゴン肉を仕入れてステラの船倉に詰め込んでいくぞ!
我の渾身の【竜滅陣】の威力、思い知るがいい!
「貴様らがスターブレイカーならば、我が操る魔術はドラゴンスレイヤーよ!
星を破壊する前に、貴様らを肉にしてくれるわ!」
さあ、ルクスよ、我が倒した竜の肉をどんどんステラの倉庫に運び込むのだ!
「……え、倉庫を生肉臭くするな、と?
小僧の分の肉を多めに分けてやるから、それじゃだめ?」
ルクス・アルブス
【焼肉パーティ】
さすがステラさん、『エイル』さんが絡むと気合が違いますね!
それではわたしも……と【ルジェッリ】を構えたら、師匠もやる気!?
あー。なるほど、お肉の在庫確保でしたか。
ま、まぁ、ドラゴンは退治できますし、結果おっけーでしょうか。
師匠もすごいです。魔法を使ってる時はかっこいいですね。使っている時は!
よーし、それでは今度こそわたしも……え? 回収担当わたしですか!?
し、しかたありません。
カットされて落ちてくるお肉を【Tanz des Hagel】で冷凍。
冷凍はわたしだってできるんですよ(えっへん)
ステラさん、船倉を……あとでわたし掃除しますから!
なんかわたしだけテイスト違いませんか……?
ステラ・タタリクス
【焼肉パーティ】
え、このタグ嫌なんですが
しかし全てが終わった時の(エイル様との)約束とするなら
その未来、必ず掴み取ります……!(あーんするために)
引き続き飛空艇の状態
先手必勝といきましょう、フィア様、ルクス様合わせてください
【エールプティオー・プルウィア】発射!
ミサイルの包囲攻撃、直撃せずとも一箇所に追い込むには十分なはず
さぁフィア様、存分に肉狩りしてくださいませ!
私は突撃しながら竜の攻撃を防ぎましょう
ルクス様支援をお願いします!
『ウェントス・スクートゥム』最大出力!前方に風の盾を展開!
ちっ、削られる!
『エネルギー・イン・天使核』でチャージしたエネルギーも全部風の盾に回して
受け止めます!
未だに焼き肉パーティというひとくくりにされるのを嫌がっているステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は渋い顔をしていた。
どうにも慣れない。
というか、自分=焼き肉という印象付けをされかねないと飛空艇の姿となっているステラは危惧していた。
誰にそんな印象を受けられては困るかと言うと、勝手に主人と定めている少年『エイル』に、である。
しかしながら、それでもステラはメイドであった。
ちょっとやべーなって思わないでもなかったが、それでも彼女が優秀なメイドであることは変わりない。
この嵐の中を突き進むガレオノイドである彼女が変じた飛空艇は、風に負けず雨にも負けず、落雷すらも躱して中心へと進むのだ。
「しかし、全てが終わった時の約束とするなら、その未来、必ずつかみ取ります……!」
甘んじて焼き肉というイメージを受け入れる。
全てはそう、あーんするために。私利私欲である。
「さすがステラさん、『エイル』さんが絡むと気合が違いますね!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)は巨大なヴァイオリンを構えて、気合に満ちる飛空艇となったステラに感嘆する。
いやまあ、師匠が絡むとルクスさんも大概だよねって思わないでもなかったが、それは言わぬが華であろう。
そんな彼女が迫りくる邪竜にして空を砕くもの『スターブレイカー』を迎え撃とうとした瞬間、ステラの放ったユーベルコード、エールプティオー・プルウィアによる天使核より生み出されたミサイルがサーカスをするように嵐の中を飛ぶ。
迫る邪竜たちが尽く飛ぶコースを制限されひとかたまりに追い込んでいく。
「これがサーカスというものであり、先手必勝です。さあフィア様、存分に肉狩りしてくださいませ!」
「よくやった、ステラ!」
その言葉に合点承知とばかりに瞳をユーベルコードに輝かせるのは、フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)であった。
彼女の胃袋はもはや我慢の限界であるし、これから行う焼き肉パーティに意識を持っていかれていた。
そう、彼女には鉄板Vを救い、焼肉パーティで鉄板Vの素晴らしさを世界に広めなければならないという使命があるのだ。
「一箇所に集まった焼き肉の材料を狩るのは我の魔術に任せておけ!」
此処で大量のドラゴン肉を仕入れておけば、後々の食料には困らない。
恐らく彼女の長い人生において、最も力の入った巨躯大魔術の詠唱が始まる。
「漆黒の魔女の名に於いて、我が前に立ち塞がりし全てを消し去ろう――竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)!!」
懇親の一撃。
その威力たるや凄まじいものがった。
『スターブレイカー』たちは、自分たちが攻撃する暇もなく、一瞬の内に膨れ上がった熱量によって翼や龍鱗を焼き尽くされる。
「貴様らがスターブレイカーならば、我が操る魔術はドラゴンスレイヤーよ! 星を破壊する前に、貴様らを肉にしてくれるわ!」
思わずガッツポーズである。
これは大量。一網打尽。当分食うに困らぬ。そんな思いの溢れた勝鬨の如きガッツポ。
「あー……なるほど」
お肉の確保でしたか、とルクスは師匠であるフィアのやる気に満ち溢れ、落ちる肉もとい『スターブレイカー』たちの巨躯を見上げる。
まあ、ドラゴンは退治できるし、結果おーけーってやつだろうかとルクスは思う。
俯瞰してみてると、そうじゃないけどなぁって気もするのだが、それ以上にルクスは魔術を講師している師匠の横顔にキュンです。
「師匠凄いです。魔法を使ってる時は格好いいですね。使っている時は!」
一言余計である。
それ言わなければ、もっとこう、師匠とのコミュも円滑に行くんじゃない? って思わないでもないのだが。
「それじゃあ、今度こそ私も……」
「何を言っているルクス。お前は肉の回収担当だ! ほれ、なんと言ったっけ、あの氷の礫を放つやつ、あれだ!」
「Tanz des Hagel(タンツデスヘイル)……のこと、おっしゃってます?」
そうそれ、そういうやつ! とフィアが指差す。
その先にあるのは極大魔法に寄って丸焦げにされて失墜する『スターブレイカー』たちである。
ただ倒すだけでは駄目なのだ。
あれを冷凍保存して、ステラの船倉に押し込まねばならない。
「し、しかたありません。冷凍はわたしだってできるんですよ」
むしろ、この場合ルクスしかいない。がんばってルクス、明日のお肉のために! そんなノリのフィアとルクスであるが、飛空艇としてがんばっているステラはそれどころではなかった。
「『ウェントス・スクートゥム』最大出力!」
ステラの内部にある天使核が唸りを上げて風の盾を出力していく。
それは船首を包み込み、迫りくる『スターブレイカー』たちを弾き飛ばし、フィアの極大魔法で吹き飛ばす戦術であった。
「さあ、どんどんゆくぞ!」
「ちっ、削られる! チャージしたエネルギーを風の盾に全部回して……受け止めます!」
ステラの変じた飛空艇が風の盾を槍のように展開し、嵐の中心へと突貫する。
あまりにシリアス。
あらゆる風を切り裂いて進む姿は、雄々しさすら感じさせるものであったことだろう。
連発されるフィアの極大魔法。ルクスの氷の礫が冷凍保存。
「なんかわたしだけテイスト違いませんか……?」
――……気の所為では?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『主天魔怪獣ドミニオン』
|
POW : コールオブドミネーター
自身が装備する【大杖】から【破壊衝撃波と支配感応波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【洗脳】の状態異常を与える。
SPD : パーフェクトドミネーション
【口から黒雲を吐き、嵐を引き起こす。雨】が命中した部位に【障害を無視して浸透する体を支配する水】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ : ドミニオンクラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【眼】から【支配洗脳効果を持つ破壊光弾】を放つ。
イラスト:柴一子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ビードット・ワイワイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
嵐の中心は凪いでいた。
しかし、輝く光輪が放つ謎のユーベルコードは周囲を白く塗りつぶすほど強烈な光。
「支配に値する者が現れたのなら、支配しよう。全ては支配するために。あの青い織火。あれは私が支配する。あれは私のものだ」
『主天魔怪獣ドミニオン』の体長60mはあろうかという異形なる体躯より声が発せられる。
口のような器官があれど、そこから発せられ大気を震わせる声ではなかった。
猟兵たちの頭に直接響くかのような音。
言葉ではなく意志とでも言えばいいのだろうか。
響き渡る言葉は強弱がなく、平坦すぎるものであった。
「強すぎる思念。これが人の中にあるものならば、それこそ私が支配しなければならない。例え束ねられ増幅されたものであったとしても、それが力なのだから。『故郷を失いたくない』という思い。常ならば理解するに値しないもの。だが、あの青い織火となるのならば、私の支配にふさわしい」
『主天魔怪獣ドミニオン』の瞳が見据えるのは、青い織火放つ『セラフィムV』。
「勝手なことを! 人の営みをただの現象としか見ることが出来ないからそんなことが言える。人はお前の支配などなくとも、あらゆるものを乗り越えていける。それが勇気だと僕は……! 俺は知っている! だから!」
少年『エイル』が『セラフィムV』の胸のうちから叫ぶ。
そう、全ては己の発する光ではないことを彼は知っている。『故郷を失いたくない』という想いがあらゆる場所から流れ込んできている。
「――……?」
『エイル』は気がついた。
この光はたしかに自分のものではない。けれど、レジスタンスや避難民達だけのものでもないことを。
「なんだ……外、から? 声が、聞こえる?」
戸惑う。
違う。此処ではない何処から助けを呼ぶ声が聞こえる。誰かの声であることはわかる。けれど、レジスタンスでも避難民のものでもない。
「誰、だ? 読んでいる? 助けを求めて――」
膨れ上がる『セラフィムV』の青い織火が極大まで膨れ上がっていく。
機体全てを飲み込んだ青い光が浮島全土を包み込んでいく。沈下の速度がさらに落ちた。されど、時間はない。猟兵達は、青い織火が輝く島の中心に疾走る。
天使核の暴走に寄って沈下する浮島をつなぎとめる力。それを我がもの支配せんとする『主天魔怪獣ドミニオン』が咆哮する。
「邪魔をするな。それは私のモノだ――」
イングリット・ジルニトラ
セラフィムVとエイル少年。
この織火はまさにこの世界を照らす灯火になるだろうね。
さて、この光がわずかながらに時間をくれた。
なら…私たちがやるべきことはそれを最大限に活用する事だ。
人型に転じて突撃する。
風と雲の貴人を発動。背に生えたマストの翼に風を受け、空を飛ぶ。
我が畏れを弾丸とし撃ちだして牽制しつつ、破壊光弾を回避しして接近していくよ。
(使用技能:呪殺弾、砲撃、空中機動、威嚇射撃)
さて、この手のスカイソードの射程に飛び込むと舞い踊るような斬撃で切り裂くよ
(使用技能:空中戦、ダンス、斬撃波)
この浮島を落とそうとした貴様には、このまま貴様が堕ちるのがお似合いの末路だな。
在ってはならない。
己の支配が及ばぬものがあってはならない。
それが『主天魔怪獣ドミニオン』の齎す支配の力であった。異形なる体のあちこちに存在する目が輝き、そこから放たれる破壊光弾は、あらゆるものを洗脳する。
青い織火を放つ『セラフィムV』へと放たれたそれを、凪のごとき空間に吹き込む風が反らして撃ち落とす。
「『セラフィムV』と『エイル』少年。この織火はまさにこの世界を照らす灯火となるだろう」
その声は風と共に凪いだ嵐の中心に座す『主天魔怪獣ドミニオン』の元に届く。
「私の支配を拒むか。強きモノよ」
『主天魔怪獣ドミニオン』の意志が言葉となってイングリット・ジルニトラ(ガレオノイドの翔剣士・f33961)の脳内に流れ込んでくる。
奇妙な感覚だった。
どこか心地よさすら感じさせる声であったが、その心地よさをこそイングリットは否定する。
支配など大空の世界ブルーアルカディアには最も似つかわしいものでると同時に飛空艇である己にとっては、もっと遠きものであった。
あの青い織火が教えてくれる。
僅かな時間であれど、絶望するにはあまりにも長い時間であると。
「なら……私達がやるべきことはそれを最大限に活用することだ」
赤い帆がなびき、人の姿、ガレオノイドへと姿を変えたイングリットが凪いだ空間を疾走る。
その瞳にあるのはユーベルコードの輝き。
風と雲の貴人(フライングレディ)とさえ湛えられた嘗ての飛空艇の姿ではない人の姿。
その背にあるのはマストを翼のように生やした姿であった。
「飛空艇が愛するモノ。それは風と雲と…そして自由・風は誰にも支配は出来ないのさ――どれだけお前の支配の力が強かろうと。あの光が僅かながらに時間をくれるのなら!」
マストの翼が風を受けて膨らんでいく。
それは緩やかな加速であったけれど、確実に最高速度へと到達する翼であった。
放たれる破壊光弾を躱しながら己の畏れを弾丸と化して牽制の射撃を行う。
彼女は呪う。
オブリビオンをこそ呪う。己を失墜させ、人々の営みを脅かすそれを赦してはおけない。
手にしたスカイソードの刀身が煌めく。
「無駄なことだ。支配の力こそが絶対である。我が支配から逃れることはできない」
放たれ続ける光弾をイングリットは躱し、ステップを踏むように風を受けて飛ぶ。まさに翼の生えた人型そのもの。
彼女の翼は風そのものとなって『主天魔怪獣ドミニオン』の体長60mはあろうかという巨体の上をさらに征く。
どれだけ支配が力を増すのだとしても、イングリットは知っている。
「この浮島を落とそうとした貴様には、このまま墜ちるのがお似合いの末路だ」
踏み込むイングリットが『主天魔怪獣ドミニオン』の光弾の間合いの内側に入り込む。
瞳に輝くユーベルコードは織火を受けてさらに燦然と輝く。
人の営みの一部となっている飛空艇。
それが彼女だ。どれだけ支配の力で押さえつけようとしても、押さえつけることのできない風がある。
風と一体化した彼女はどこまでも自由だ。
振るうスカイソードの刀身が煌き、『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯をスカイソードの二刀が切り刻んでいく。
「支配を受け入れぬとは愚かである。誰もが、生命は誰もが支配を望んでいるというのに」
「それはお前の理屈だ。私達のものではない。ならば何処までも生命は自由なのだ。未来に踏み出すのも、誰かの助けを求める声に手をのばすことだって」
イングリットの放つ斬撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の体から体液を噴出させ、されど彼女は一滴もかぶることなく舞うようにして凪いだ空間に吹き込む風と共に踊るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
鈴久名・紡
想いを好きに出来るのはそれを抱いた者だけだ
それを『私のモノ』とは……驕るのも大概にした方が良い
竜神飛翔を使用
引き続き竜神体で対処
禮火は槍に、葬焔は浮遊する盾として形状変化して使用
鎧無視攻撃と鎧砕き、斬撃波を乗せた禮火で先制攻撃
狙うは大杖とそれを持つ手
敵の攻撃は見切りと空中機動で回避
同時に禮火で破壊衝撃波を斬撃波を乗せたなぎ払いで相殺狙い
支配感応波での洗脳には『絶対に支配されない』という覚悟を持って対処
洗脳に意識が揺らがないよう狂気耐性を用いて抗う
必要であれば、葬焔はVのガードに廻す
Vが居るとは言え、猟兵では無いエイルにこの感応波はキツいだろう
お前には、この織火を支配は出来ない
ここで朽ちて終われ
何故抗うのだと『支配』を司る『主天魔怪獣ドミニオン』の手にした大杖より放たれる破壊衝撃波と精神感応波が迸る。
浮島にありて、その天使核を暴走させている謎のユーベルコードは『主天魔怪獣ドミニオン』の頭上に光輪のように輝いている。
嵐の中心たる此処には風はない。
凪いだ空間にあってなお、『セラフィムV』の放つ青い織火の如き輝きは潰えることなく光を増していくのだ。
「支配を受け入れろ。如何なる力も、如何なる存在も支配なくば形を保つことなどできない。何故抗う。何故抵抗する。支配を受け入れることこそ、悦楽そのものであるというのに」
その言葉は直接頭に響くような意志であった。
『主天魔怪獣ドミニオン』の言葉。けれど、それは一抹の事実を持つのだとしても、受け入れるものではなかった。
それは本来、個が気づきを得ることによって至る答えであるからだ。
「想いを好きに出来るのは、それを抱いた者だけだ。それを『私のモノ』とは……驕るのも大概にしろ」
竜神飛翔。
鈴久名・紡(境界・f27962)が変じた完全竜体が凪いだ空間を飛ぶ。
その周囲に浮かぶ槍と盾は神器。
紡の体を守り、己の敵を穿つ武器そのものである。破壊衝撃波を躱し、紡の槍へと転じた神器が放たれる。
狙うのは大杖とそれを持つ手だ。
あれが衝撃波を生み出し、精神を支配する感応波を放つ。
「無駄だ。何故無駄な足掻きをする。私を驕れるモノとそしるのならば、お前たちをこそ支配されるべき存在なのだ。強者よ」
『主天魔怪獣ドミニオン』が大杖を振り回し、放たれる槍の神器の一撃を受け止める。
力の奔流が周囲にほとばしり、大地をえぐっていく。
「俺が力在るものだとしても、強者なのだとしても。お前の言う言葉に一抹の理解もない」
紡は青い織火を見ている。
あの輝きは人の願いと思いの集大成。膨れ上がった思いは、いつまでも色褪せることのないものであった。
「あの輝きこそその証左。私が支配するもの。それを――」
「黙れ。お前には、あの織火は支配出来ない」
放たれる衝撃波を盾の神器が受け止め、瞬時に押し込む。
完全なる竜の体へと変じた紡の体が嵐の中心に舞うように飛翔する。
彼は見据えていた。
少年『エイル』が楔と成って繋ぎ止めた浮島。その行く末を。彼の心にあるのは、『絶対に支配されない』という覚悟であった。
「『エイル』が踏ん張っているんだ。やらねばならない。お前はここで――」
盾の神器の力と槍の神器の力が束ねられ、極大なる槍の穂先へと変わっていく。
穿つ。
支配を穿つ。
どれだけ強大な力であったとしても、他者を圧する権利などない。あるのは力という現象だけだ。
ならばこそ、紡はそれを撃ち穿つ。
「朽ちて終われ」
放たれる槍の一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の体を刺し穿ち、貫いていく。
穿たれた穴は、虚のごとく。
人の願いをただの力としてしか見れぬ者を打ち砕き、己がめぐり紡ぐ縁の果てにあるヒトを守らんとした願いを受けて神器が力を炸裂させる。
力の奔流が風となって凪いだ嵐の中心に風を起こす。
「ヒトが紡いだ願い、それをお前に渡しはしない――!」
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
支配支配うるせーよ。しかも、手段が洗脳て。
人形遊びは骸の海に還って妄想の中でやってな。
『魔力解放』を行って戦闘態勢へ。
敵POWUC、衝撃波&感応波は所詮は波長。増大した戦闘力をもとに全身から衝撃波を放って相殺。
身に纏うオド(オーラ防御)を硬質化。自身を超音速の弾丸と化してドミニオンの正面から突貫。貫きます。(貫通攻撃)
さて――うん、エイル君?
刺し穿たれた神器の槍。
その一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯を貫き、虚の如き穴を穿つ。
それは体長60mはあろうかという巨躯を揺らがせるには十分すぎるほどの一撃であった。されど、未だ大杖を握る『主天魔怪獣ドミニオン』は支配を諦めていない。
「支配だ。支配こそが平穏なる時間を生み出す。平坦にも似た均一なる世界。その世界こそ支配して然るべきものである。強者を従え、弱者は支配に値せず。そうして世界は均一に支配されるべきなのだ」
どこまでも己の『支配』こそが世界にとって必要なものであるとうそぶく『主天魔怪獣ドミニオン』。
その姿を見て、アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は一言で一蹴するのだ。
「支配支配うるせーよ」
その手段が洗脳であるのならば、アレクサンドルにとってそれは人形遊びと変わらぬ児戯そのものであった。
その金の瞳がユーベルコードに輝く。
魔力解放(スーパーパワー)によって迸る魔力が、彼の体を覆っていく。
絶大なる魔力の奔流は、『主天魔怪獣ドミニオン』にとって魅惑的であったことだろう。その力こそ支配に値するのだと大杖を振るって破壊衝撃波と共に精神感応波を解き放つ。
「支配されよ、強き者。お前には資格がある。私に支配されるだけの力を持っている。その力をこそ、世界の支配のために使うべきなのだ」
『主天魔怪獣ドミニオン』の放つ精神を支配する感応波が、アレクサンドルへと迫る。
「人形遊びは骸の海へ還って、妄想の中でやってな」
迸る魔力と共に金色の弾丸とかしたアレクサンドルが飛ぶ。
精神感応波と言えど、所詮は波長でしか無い。あらゆる波長を吹き飛ばすが如き魔力の衝撃波が破壊衝撃はすら圧倒して相殺していくのだ。
「身に纏うオド……これだって波長を変えてやればな!」
纏う魔力が硬質化し、己を弾がと成してアレクサンドルは『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯へと己の拳を叩きつける。
衝撃波が激突し、爆風の如き風を生み出す。
硬い。
己の拳に伝わる衝撃をアレクサンドルは呻くことなく笑った。
「ならよ――!」
更に硬質化していくオド。
そのオーラをまとった金色の拳が振り上げられる。己の背後にある織火が伝えるのだ。
己たちの故郷を喪わせようとしている巨悪を討てと。
『故郷を失いたくない』という思いが溢れてくる。あの光の中心に『エイル』がいる。
楔のように空と浮島をつなぎとめる力。
その中心にある彼の声さえも振るう拳と共にアレクサンドルの中に流れ込んでくるんだ。
「――誰か、助けを、俺を、呼んでいる……?」
その言葉は戸惑いの感情に彩られていた。
彼にとって、誰かを助けることは当たり前のことであったのだろう。これまで自分が助けられてきた。
だからこそ、誰かを助ける。
そのために力を振るうと決めた彼にとって、流れ込んでくる此処ではない何処かの声は、応えるに値するものであったのだ。
「――うん、『エイル』君?」
アレクサンドルは振るった拳が『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯を穿つのを認めた瞬間、その戸惑いの感情を抱く少年『エイル』に意識を向ける。
そこにあったのは、凄まじき光に包まれていく青い鎧の巨人『セラフィムV』の煌々たる姿。
何かおかしい。
そう直感するアレクサンドルであったが、己の纏う魔力が唸りを上げる。
迫る巨躯が青い織火に手を伸ばそうとしている。
「それはさせねーよ! お前には過ぎたもんだ!」
放たれた拳が伸ばす手すら叩き折って、大地に失墜させる。
アレクサンドルはあの青い織火を見上げる。何処へ往くというのだろうか。明滅する青い織火は、さらなる輝きを持って、翼のように広がり、浮島をも包み込んでいくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「支配するかされるかと
そんな物差しでしか語れない存在が。
手にして良いものは此処には一つもない。」
光線回避の為ファントムリキッド発動。
敵の動き、攻撃を【見切り】。【残像】を発生させ移動。
敵が来ると思われる箇所に体の一部を微細な粒子として
先回りさせ。
通過の瞬間、粒子を強酸性に変化させ
眼を狙って焼き破壊光線を封じる。
更に視界も閉ざした事で移動ルートを読み易くして
両腕を水の刃と成す事で高速で迫る敵を
突進力も利用し切り捨てる。
「このまま黄泉まで落ちていけ。
青い空はお前には似合わない。」
「広がる青い織火。この島を包もうとしているのか。
エイルの意思でないとすると一体。」
そこに何かの思念が感じられないか探り。
「支配こそが世界の理。生命は何者かに支配されなければならない。支配無き世界に自由はない。自由なき世界に秩序を齎すのが支配。理を理解しろ。私の支配こそが世界そのものであると」
『主天魔怪獣ドミニオン』は猟兵達による攻撃で身を穿たれながらも、その存在の意義である『支配』を説く。
されど、その『支配』は目的と手段がないまぜになったものであった。
『主天魔怪獣ドミニオン』の体に蠢く眼がギョロギョロと凪いだような嵐の中心に浮かび上がる。
「支配を持って私の世界は完結する。如何に猟兵たちが優れた強者であったのだとしても、支配からは逃れることはできない」
発露する支配の輝きと共に『主天魔怪獣ドミニオン』が飛ぶ。
その威容を前にしてもフォルク・リア(黄泉への導・f05375)はためらうことなく言うのだ。
「支配するかされるかと、そんな物差しでしか語れない存在が。手にして良いものは此処には一つもない」
嵐の凪いだ中心。
其処に溢れる光は青い織火が放つものであった。
人の思いと願いが束ねられ増幅した光。
『故郷を失いたくない』という思いを受けて輝く光が浮島の沈下をさえ留める。
ならばこそ、フォルクは瞳をユーベルコードに輝かせる。
己の体に水霊を宿し、液体となる。それは恐るべきユーベルコードであった。
ファントムリキッドは、液体と成った体を空中に拡散し、残像を発生させながら『主天魔怪獣ドミニオン』の放つ光線を躱す。
「森羅に遍く湖水の亡霊。我に宿りて、此の身を不浄の水へと変じ。仇讐討ち果たす無双の刃と成せ」
フォルクの体は液体となりながらも凄まじい速度で飛ぶ。
互いに飛翔してもなお、『主天魔怪獣ドミニオン』はフォルクの姿を捉えることはできなかった。
「何故逃げる。何故逃れようとする。支配とはそのようなものが及ばぬ所にあるもの。生命は支配されてこそ」
その複数の眼がフォルクを捉えようとした瞬間、先回りさせていた微細な粒子が『主天魔怪獣ドミニオン』の眼へと触れて弾けるようにして膨れ上がり、強酸性の粒子が眼を潰す。
絶叫の如き咆哮が上がる。
痛みに悶える『主天魔怪獣ドミニオン』をフォルクは見下ろす。
「このまま黄泉まで落ちていけ。青い空はお前には似合わない」
両腕を水の刃に変えたフォルクが振りかぶる。
目を失っても尚突進してくる『主天魔怪獣ドミニオン』の突進の力を利用して放たれる水の刃は、痛烈なる一撃と成ってその巨躯に傷を刻む。
そう、『主天魔怪獣ドミニオン』の言う支配は、この大空の世界ブルーアルカディアには似合わない。
どれだけ大地が限られた場所にあり、雲海に沈むことが滅びであるのだとしても。
それでも人々が住まう空は自由そのものだ。
あらゆる制限を取り払ったことが自由なのではない。囲われた中で、限られたものの中で人は自由をこそ意識することができる。
己の背後で燃え盛るように広がっていく織火がその証拠である。
「広がる青い織火。この島を包もうとしているのか」
フォルクは怨嗟の咆哮と共に失墜する『主天魔怪獣ドミニオン』を見やり、浮島を包み込んでいく青い光が如何なる因果によって為されたのかを知る。
青い鎧の巨人『セラフィムV』によって束ねられ増幅した人の思いと願い。
『故郷を失いたくない』という願い。
それは確かに人々の思念なのであったのだろう。
「『エイル』の意志でないとすると一体……これは」
フォルクもまた気がついただろう。
これはレジスタンスや避難民たちだけのものではない。
助けを求めるのは『此処』だけではないということだ。如何なる存在からの侵略か、はたまた『此処』ではない『何処か』なのか。流れ込む思いは、『セラフィムV』を介在して、浮島を空に繋ぎ止めていく。
「『エイル』が楔になっている。ならば、楔ごと引っ張られているというのか?」
増幅された思いは時に過負荷を引き起こす。
織火は青く輝き、益々輝きを増していく。フォルクは、それを見上げ人の思いの強さを知るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
このか細い希望の綱を、オブリビオンなんかに断ち切らせはしない。
主天魔怪獣、ここで討滅するわ。
「全力魔法」虚無の「属性攻撃」「仙術」「道術」で宝貝『太極図』。
この島を沈めるためのユーベルコードが謎の代物でも、ユーベルコードである限り、『太極図』の効果からは逃れられないわ。
この浮島の沈下、最初からやり直してもらおうかしら。もちろん、『太極図』の発動中は再起動出来ない。
さて、怪獣の相手もしないとね。
「式神使い」で『GPD-311迦利』、顕現!
ユーベルコードでの反撃も出来ない以上、機動殱龍以下ね。
敵の周囲を遊弋させながら「レーザー射撃」「弾幕」「制圧射撃」で削っていく。
これで大幅に時間が稼げたでしょ。
失墜する『主天魔怪獣ドミニオン』の体は猟兵たちの攻撃に寄って穿たれていた。しかし、その意志は消えない。
支配することをこそ存在意義とする『主天魔怪獣ドミニオン』にとって目的と手段は同義であった。だからこそ、支配する。膨れ上がる意志が咆哮のように猟兵たちの頭を揺さぶるだろう。
「支配されるに値する者たちよ。支配を受け入れよ。支配によってのみ、世界は確定される。支配なき世界は秩序無きもの。そんなものに美しさなどない」
その意志が向くのは青い織火を放つ『セラフィムV』の姿であった。
人の思いと願いを増幅させる青い鎧の巨人は、楔のように浮島の沈下を留め続けている。
「このか細い希望の綱を、オブリビオンなんかに断ち切らせはしない」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は首にかけた太極図の立体ペンダントトップを手に、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
瞬間、『主天魔怪獣ドミニオン』の口腔より放たれる黒雲が凪のような嵐の中心に立ち込めていく。
その黒雲が凪いでいた嵐の中心をさらなる荒ぶ風によって包み込む。
これまで猟兵たちの攻撃は凄まじいものばかりであった。消耗した『主天魔怪獣ドミニオン』にとって、体勢を持ち直さなければ、己の存在意義すら立ち行かなくなる。
「主天魔怪獣、ここで討滅するわ」
掲げるペンダントトップから溢れるのは涙無き終焉の冷気。
広がるは宝貝『太極図』(タイキョクズ)。
冷気はゆかりを中心に広がり、『主天魔怪獣ドミニオン』が放つ黒雲を尽く消し去っていく。
そればかりではない。
ユーベルコードである以上、あらゆるものが効果を喪っていく。
無論、浮島の天使核を暴走させている謎のユーベルコードもまた同様である。
「――私の支配を拒むか、猟兵」
「この浮島の沈下、最初からやり直してもらおうかしら」
ゆかりの手繰るユーベルコードの力は恐るべきものであった。自身もまたユーベルコードが使用できないという弊害こそあれど、それでも謎のユーベルコードを不能とさせたのは大きい。
青い織火が一気に浮島の高度を引き上げていく。
「支配が消える。支配の力が、私の支配が」
ユーベルコードの維持する力すら消し去るユーベルコードの力によって冷気がほとばしり、重く沈む空気の頭上を飛ぶのは、『GPD-311迦利』の逆三角形の姿であった。
「ユーベルコードでの反撃もできない以上、ただ浮かぶ木偶ね」
ゆかりの手繰る式神でもある『迦利』が放つレーザーの一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯を焼き切っていく。
ユーベルコードの効果が切れるまでの時間、浮島の高度は上がり続けるだろう。
雲海に沈むことこそが破滅であるというのならば、ゆかりのしたことは猶予を得るものであった。
しかし、それ以上に青い鎧の巨人『セラフィムV』に集まり増幅していく光は収まる気配がない。
過負荷によって明らかに機体が震えているのがわかる。
「どちらにしても時間に猶予がないってわけね。いいわ、それでも浮島一つの問題が解消できたのなら――『迦利』!」
やってしまいなさいと、ゆかりの掌が向けられる。
逆三角形に走るスリットから放たれる光線が重たい冷気の空気さえも斬り裂きながら『主天魔怪獣ドミニオン』に打ち込まれる。
支配を是としたオブリビオンの咆哮がユーベルコードの存在を許さぬ沈黙の空間にほとばしり、その巨躯をついに浮島に失墜させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
さて、あやつか首魁か。なんとも傲慢であるの。
『疾き者』に頼んで、風結界に衝撃波も纏わせようか。波は中和せねばな。
はは、やることが洗脳とは。随分と分かりやすく、そして下衆であるな。そういうの、わしはオブリビオンでなくとも嫌いだが。
霹靂。『わしら』が守るゆえ、あやつに近づくように空中起動を。
…わしらは負けぬよ、そのような悪辣な手段にしか出られぬ存在などに!
近づけば黒燭炎でなぎ払い、さらには霹靂の嘴や爪も襲いかかろうて。
※
霹靂、洗脳とは何かわからないが。『侵す者』の怒り具合から『よくないこと』と汲み取った。クエッ!
浮島の高度が戻り、しかし、それが時間稼ぎでしかないことを猟兵達は知っている。
謎のユーベルコードが完全に発動すれば、浮島の沈下は止められない。
どちらにせよ、『主天魔怪獣ドミニオン』を打倒しなければ戦いは終わらないのだ。それ以上に青い鎧の巨人『セラフィムV』の放つ青い織火の輝きが増している。
あの光が人の思いと願いを受けて増幅されたものであるのならば、あの輝きは以上であった。
「あの強き光こそ支配に値する」
大地に失墜した巨躯を立ち上がらせながら『主天魔怪獣ドミニオン』は、『セラフィムV』の放つ光を見上げ、それを手に入れようと手を伸ばす。
だが、それはあまりにも遠きものであった。
手にした大杖を掲げ、精神感応波と衝撃波でもって『セラフィムV』を己の手の内にとした腕を薙ぎ払う一撃が天より振り下ろされる。
黒色の槍の一撃。
それは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『侵す者』が駆るヒポグリフの『霹靂』と共に放たれる一撃であった。
「大杖を取り落とさぬのは大したものであるが、首魁。なんとも傲慢であるの」
四悪霊・火(シアクリョウガヒトリ・マタチカゲマサ)を司る『侵す者』にとって、己とともに大空を駆け抜ける『霹靂』は、今や体躯そのものを強化され凄まじい速度で大杖が放つ衝撃波にすら追いつけぬ。
「支配を逃れようとするか。支配こそが世界の理であるというのに」
放つ衝撃波の一撃を内なる『疾き者』の放つ風結界に衝撃波をまとわせ、それを中和していく。
支配こそが世界の理だと説く『主天魔怪獣ドミニオン』。
その言葉に『侵す者』は笑う。
「はは、やることが洗脳とは。随分わかりやすく、そして下衆であるな」
支配するために振るう力は様々であろう。
時に武であり、時に言葉であり、時に環境である。
しかしながら、オブリビオンである『主天魔怪獣ドミニオン』が手繰る力は洗脳である。感応波による洗脳で『主天魔怪獣ドミニオン』はあらゆる生物を支配下に置く。
『スターブレイカー』がそうであったように、『主天魔怪獣ドミニオン』の支配からは確かに逃れることができないのだろう。
「そういうの、わしはオブリビオンでなくとも嫌いだが」
『侵す者』が駆るヒポグリフ『霹靂』が嘶く。
彼の怒りを受けて、理解を示すようでもあった。汲み取っただけとも言えるのかも知れない。
けれど、それで十分だった。
「……わしらは負けぬよ、そのような悪辣な手段にしか出られぬ存在などに!」
『霹靂』が稲妻のように空を駆け抜ける。
翼が羽撃く度に、放たれる破壊衝撃波を躱し、身にまとう風の結界は洗脳する感応波の波長を見出して、己達に届かせない。
『侵す者』は許せない。
洗脳などを支配の手段にすることを。
それは支配などではない。
凄まじい速度の空中機動から一直線に『主天魔怪獣ドミニオン』の体へと叩き込まれる黒い槍の一閃。
目にも留まらぬ連撃。
「クエッ!」
さらにそこに『霹靂』の爪や嘴も加われば、彼らは人騎一体の嵐となる。
どれだけ感応波で彼らを支配しようとしても無駄である。洗脳の手段が感応波であるということが割れている以上、その波長を見出せば洗脳することなど不可能である。
「あの青い織火は消せぬよ。どれだけお主がユーベルコードを手繰ろうともな。人の思いは人のだけのもの。その思いから発露する願いは、決して消せぬのよ」
放つ一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の腕をへし折り、大地に膝をつかせる。
そう、束ねられ膨れ上がった願い。
それを手折ることなどできはしないのだと、『侵す者』は渾身の力を振るい、槍の一撃を見舞うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
捉えたぜッ!元凶ッ!
一気に決めちまうぞ、相棒ッ!
「…全力でいきますッ!転身ッ!」
鬼神霊装を纏って右手に妖刀、左手に薙刀を持ち戦闘開始だ。
高速移動しながら霊装から放出する破魔の雷を妖刀に集束させた斬撃の放射を叩き込んでやる。
敵の攻撃は引き上げた反応速度で見切って回避だ。
あの怪獣が口から黒雲を吐き出したら風を意のままに操る力で竜巻を起こして打ち消してやる。
その隙を狙い飛翔してドリルの如く粉砕する暴風を纏わせた薙刀で攻撃だ。
いまのエイル達はテメエ如きが支配できるもんじゃねえぜッ!
【技能・破魔、見切り、空中戦】
【アドリブ歓迎】
へし折れた腕がだらりと力なく垂れ下がる。
大杖を握りしめた『主天魔怪獣ドミニオン』の腕は、猟兵の一撃に寄って痛烈なる痛手を追った。
されど、『支配』こそが『主天魔怪獣ドミニオン』の本領である。己のへし折れた腕すらも支配して『主天魔怪獣ドミニオン』はその思念でもって猟兵達に告げる。
「肉体の破損に意味はない。私の支配は完璧である。あらゆる痛み、苦痛、畏れ、喜び、怒り、あらゆる感情を支配することこそ私の力。お前達猟兵が如何なる抵抗をしようとも、最後には支配される。そういうものなのだから」
思念が頭の中を揺らす。
それは言葉ならずとも理解できるものであったことだろう。
支配こそが『主天魔怪獣ドミニオン』の存在意義。
あらゆるものを支配するために解き放たれる黒雲から振る雨は触れれば、肉体を支配する水となって猟兵を苦しめるだろう。
だが、それらを前にして怯む猟兵は一人としていない。
『捉えたぜッ! 元凶ッ! 一気に決めちまうぞ、相棒ッ!』
神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の鬼面が揺れ動く。
相棒である桜と共に嵐の中心たる凪いだ空間にユーベルコードの輝きを解き放つ。
「……全力でいきますッ! 転身ッ!」
凶津の鬼面に封じられた荒ぶる力が解放され、雷神霊装と風神霊装をあわせた力が桜の肉体に宿る。
それこそが、鬼神霊装(オーバードフォーム)である。
右手に妖刀、左手に薙刀。
通常であれば同時に使用できぬ武装であれど、今の凶津たちには関係ない。
踏み込みは一瞬。
支配の水たる黒雲が放つ雨を瞬時に躱し、荒ぶる風を手繰る風神霊装に力でもって黒雲を吹き飛ばす。
雷の力によって熱せられた空気を風で送り込む。
上昇気流となった風が黒雲を穿ち、降りしきる雨を吹き飛ばすのだ。
「……この程度で私達を支配できるとでも?」
『そのとおりだぜッ! 相棒ッ!』
踏み込みの速度は迅雷の如く。
一瞬で『主天魔怪獣ドミニオン』の懐に踏み込んだ桜の放つ妖刀が雷を纏い放たれる。
その斬撃は紫電の如き輝きを解き放って、『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯に打ち込まれ、袈裟懸けに雷が走る。
「無駄だ。支配は、痛みでは揺るがない。支配こそが」
己の存在意義。
『主天魔怪獣ドミニオン』にとって肉体の欠損は存在意義を揺らがすには値しない。
彼が求めるは、あの青い織火の源である。
あれだけの力を増幅させ、人の思いと願いすらもエネルギーに変える存在。あれこそが己の支配に値するものであると嘯くのだ。
「何故支配こそが世界の理であると理解しない。力は支配されてこそだと」
『今のエイル達はテメエ如きが支配できるもんじゃねえぜッ!』
凶津たちが解き放った竜巻が口腔を拓いた『主天魔怪獣ドミニオン』の頭部をかち上げる。
そう、あれを力としてしか見えぬものに理解できるものではない。
あの青い織火は人の目に見えぬ力。
人間が個であるからこそ集合することのできるものである。単一のものとしか見えぬものに自由にできるものではないのだ。
桜の体が飛翔する。
一直線に、見据える先へと吶喊する衝角のようにあらゆる障害を粉砕する暴風をまとった薙刀の突きが『主天魔怪獣ドミニオン』の口腔へと放たれる。
黒雲が放たれても構わない。
あらゆる障害を貫くのが薙刀の穂先に集まった暴風の力。
「……人の願いや思いは支配できない。どれだけ支配の力が強かろうとも……それだけは誰にもできぬものなのです」
放たれた一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』の口腔を貫き、その背後にまで暴風の余波を突き抜けさせていく。
今も尚、輝き続ける青い織美。
あの中心に楔として浮島を留め続ける『セラフィムV』と『エイル』。
その姿を見やり、凶津は彼らの道行きを案じるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
何やら尋常じゃない事態みたいだけど
まずは目の前のを何とかしようか
頭の中に強制的に思念を送ってくるなんて
迷惑極まりないね
全くですの
うん、まあ、いいけどね
鉑帝竜なら光弾を躱しながら進めるし
神気で防いだり
直撃しそうなら装甲の表層をパージしたり
防ぐ方法はいくつかあるよ
ただ、かなり速く動くみたいなのは厄介だね
動きを停めようか
正直永遠にしたいものではありませんの
砕けるように凍らせて動きを停めますの
動きを停めたらレールガンの射撃を連続で撃ち込んで
ダメージを与えよう
エイル君とVの様子も気になるね
余裕がありそうなら話しかけて状況を聞いてみようか
この場所が関係するのか
これまでに得たものが関係するのか
気になるからね
「何やら尋常じゃない事態みたいだけど」
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、嵐の中心、凪いだ空間にありて輝き続ける青い織火を見やりつぶやく。
確かにあの織火の中心にある『セラフィムV』と『エイル』のおかげで天使核を暴走させられた浮島の沈下は遅らせることができている。
だが、あの状態は本当に正常なものであるのだろうか。
明らかに過負荷がかかっているような気がしないでもない。
『故郷を失いたくない』という想いと願いが『セラフィムV』に集まり、束ねられ増幅させられて、あの青い織火が輝いている。
浮島一つを沈下から引き上げるほどの力の中心にある『エイル』が今どのような状態であるのか、知ることができない。
「まずは目の前のをなんとかしようか」
晶の目の前にいるのは『主天魔怪獣ドミニオン』である。
その威容は凄まじく、猟兵たちの猛攻を受けて尚、支配による力を求めることを止まない。
「支配こそが世界の理。支配なき世界に秩序など無いのだ。何故それを理解しない」
直接頭に響く『主天魔怪獣ドミニオン』の思念。
それは言葉にするものではなく、思念でもって対峙するものを支配するための力であった。
「迷惑極まりないね」
晶は鉑帝竜に騎乗し、その思念に眉根をしかめる。
直接頭に言葉が響くなんてろくなものではない。
「全くですの」
内なる邪神の言葉に苦笑いするしかない。うん、まあ、いいけどねと晶は呆れながらも鉑帝竜と共に飛ぶ。
その姿を認めた『主天魔怪獣ドミニオン』もまた空へと舞い上がる。支配の力を籠めた光弾が乱舞し、鉑帝竜へと追いすがる。
しかし、光弾が鉑帝竜を捉えることはなかった。
「甘いよ。その程度の攻撃で捉えようなんてね! 攻撃を防ぐ方法なんていくつもあるんだよ」
機体より溢れる神気が光弾を停滞させ、その動きを止める。
さらに取り囲むような光弾であっても、装甲の表層をパージすることによって直撃を阻むのだ。
「動きは早いみたいだけど――」
「正直永遠にしたいものではありませんの」
追いすがる『主天魔怪獣ドミニオン』の威容に内なる邪神がげっそりした声を上げる。
彼女の言うところの美しさ、永遠にして保存したいと思うものとは違うものであったのだろう。
だからこそ、雪のような邪神の神気の結晶が降りしきる。
それは戦場となった凪いだ空間そのものを邪神と眷属以外の時間が停滞する神域へと変える力。
神域顕現(サイレント・シオファニー)により停滞した空間の中、晶は見下ろす。
「砕けるように凍らせてしまいましょう」
「要らないって思ったものには容赦ないな。でも、これで――!」
鉑帝竜が動きを停滞した『主天魔怪獣ドミニオン』へとレールガンの砲口を向ける。
放たれる超硬金属の弾丸が異形なる巨躯へと打ち込まれその身を砕いていく。
その後方で輝く青い織火。
それこそが『セラフィムV』の増幅した人の思いと願いである。しかし、晶は『エイル』の様子がいつもと違う事に気がついていた。
何かおかしい。
確かにこの光は人の思いと願い。
暖かなものである。けれど、『エイル』は違うものを感じているようであった。
『故郷を失いたくない』
ただそれだけの思念が集まっているのに、彼は。
「呼ばれている。助けを求められている、ような。いや、違う。助けてと、言っている」
晶は『エイル』の言葉に戸惑う。
自分たちと違うものを見ているようでもあった。溢れる思念は同じ。けれど、その思念の流れ込んできた大元が違う。
「『エイル』君、それはこの場所が関係するの? それとも――」
その言葉は織火の彼方に消えてゆく。
晶は煌々と燃え盛るような織火の輝きに圧倒されながら、その楔となった少年と青い鎧の巨人が事更に力をましていく光景に天使の如き翼を見た――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさん(f24264)と】
抜けたっ!
うわ、気味が悪いくらいに静かだね。ここが大天使さまのおわすところかな。
支配する?私のもの?どこまでも超越者だね。
超越してるってことは、この世界にはいらないってことなんだけどね。
わたしたちもあなたも、この世界には本来必要ないんだよ。
ま、それはいいや。言っても理解しようとしないだろうしね。
だから、自らのいるべきところへ還るといいよ。
【モーフィング換装】で攻撃力5倍、装甲半分。
セレステ、トリガータイミングをファントムシリカに!
セレステ自体を極大の砲として、全火力を一斉砲撃。
サージェさんにあとは任せるよ。
こちらは、攻撃後の緊急離脱準備、しておかないとね!
サージェ・ライト
【理緒(f06437)さんと】
引き続き『ファントムシリカ』に乗って参戦です!
よーし、抜けましたね
嵐の前の静けさ…ではないんですけど
どうにも不安が募る空気ですね
でも今からが本番です!
理緒さん、いきましょう!
後はアレをぶっ飛ばすだけです!
そういう支配したい欲は趣味だけに終わらせておいてくださいね!
……はい?セレステ砲?
そんな作戦は、アッハイソウイウコトデスネ?
えーい、どうにかなるでしょ!
【威風堂々】といきます!
セレステのトリガータイミングを預かったらもう一度上昇です
こういう時は上から仕留めるに限ります!
「いっけー!!」
クノイチパワーも乗せて今必殺のセレステアタック!!
投げないです!射撃だけですよ!
サブフライトシステムの如き役割を果たした『リオ・セレステ』と白と紫を基調としたキャバリア『ファントムシリカ』が暴風荒ぶ嵐の中を突破し、中心へと至る。
凪いだ空間。
そこはあまりにも静かであり、島を包み込む異常気象などなかったかのような場所であった。
「抜けたっ!」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はAIである『希』から送られてくるデータを見ながら、あまりにも無風状態である中心に薄気味悪い気持ちになる。
あれだけ荒れ狂った気象の中を突破してきたのだ、それもそのはずである。
「うわ、気味が悪いくらいに静かだね。ここが大天使さまのおわすところかな?」
「よーし、抜けましたね。嵐の前の静けさ……ではないんですけど、どうにも不安が募る空気ですね」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)も理緒と同じ熊内であったのだろう。
そんな彼女たちの頭に直接響くは『主天魔怪獣ドミニオン』の思念である。
支配こそが秩序であると嘯く言葉は理解できずとも、ただそう頭に響くのだ。これが支配の権能を持つ『主天魔怪獣ドミニオン』の力である。
「支配する? 私のモノ? どこまでも超越者だね」
理緒は頭に響く言葉に素直にそう言葉を用いる。
確かに超越者であろう。あらゆる生命の理、それらを支配する力。それこそが『主天魔怪獣ドミニオン』の力であり存在意義であった。
支配することによって世界に理を齎す。それができるのは、人という生命を超越した何者かでしかない。
「でも、超越してるってことは、この世界にはいらないってことなんだけどね。わたしたちもあなたも、この世界には本来必要ないんだよ」
理緒はそう言い捨てる。
「理解しないか。猟兵。何故支配が必要なのか、世界の理を護るためには支配こそが必要なのだ。誰も彼もが支配を必要としている」
世界の悲鳴に応える猟兵と、世界の理を支配でもって為す存在。
理緒の言葉通り、世界が進むだけであるのならばオブリビオンも猟兵も世界には必要のないものだ。
「ま、それはいいや。言っても理解しようとしないだろうしね。だから、自らがいるべきところへ還るといいよ」
理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
モーフィング換装(モーフィングカンソウ)によって『リオ・セレステ』の機体の装甲が廃され、砲身へと姿を変えていく。
「理緒さん、いきましょう! アレをぶっ飛ばします! そういう支配した欲は趣味だけに終わらせておいてくださいね!」
サージェにとって、支配とは無縁であった。
確かにバーチャルキャラクターである彼女にとって、ゲーム世界という囲いとルールはあれど、支配など必要なかった。
自由を謳歌するためにルールという縛りがある。
ならばこそ、他者を支配しようという考えは、彼女の中には無縁であった。
「『セレステ』、トリガータイミングを『ファントムシリカ』に!」
「……はい?」
サージェのちょっと間の抜けた声が響く。
前口上も忘れていたが、それでもサージェはいつのまにか己の駆るキャバリア『ファントムシリカ』のコクピットの中に表示される立体コンソールに目が点になる。
いつのまに。
表示されているのは『セレステ砲』である。
いつのまにこんな作戦が。アッハイソウイウコトデスネ? とサージェは理解した。本当に理解していたのかどうかは怪しいものであるが、あまりの突発的な出来事に放心してしまいそうになる。砲身を形成した理緒のユーベルコードだけに。
「『リオ・セレステ』事態を極大の砲として、全火力を集中させたよ! サージェさん、あとは任せるよ」
理緒は攻撃後の緊急脱出の準備を始める。
砲身へと姿を変えた『リオ・セレステ』は集中させたエネルギーによって機体が保たないだろう。
だからこその脱出準備である。
「えーい、どうにかなるでしょ! 威風堂々(シノベテナイクノイチ)といきますよ!」
コンソールを握りしめる。
迫りくる『主天魔怪獣ドミニオン』。凄まじい速度で迫りくる異形の姿。ターゲットサイトに収まらぬ速度に焦りが出てくる。
けれど、それでもいままさにサージェはクノイチなのに全然忍べていないのだ。
こういう時はバックアタックがセオリーだというのに。
けれど、今はそんなことを言っている暇はない。
「サージェさん、今ッ!」
「なんとでも、なれー! いっけー!!」
理緒の言葉とトリガーを引くタイミングが一致した瞬間、時は慣れる『リオ・セレステ』に蓄えられたエネルギーの放出。
それは極大なる光条を描いて『主天魔怪獣ドミニオン』を飲み込んでいく。
砲身が溶け落ち、機体が砕けていく。
理緒は緊急脱出のポッドと共に機体から逃れ、サージェの駆る『ファントムシリカ』のマニュピレーターに抱えられて爆風が荒ぶ嵐の中心を見下ろす。
理緒とサージェのユーベルコードによる相互強化によって放たれた一撃は『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯すらも飲み込む光条となって大地に突き立てられる。
爆風に煽られながら、二人は大天使の失墜を見るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
あの輝きは、貴方の様な不遜な者がみだりに触れて良い物ではありません
ましてや、支配することなど出来はしないでしょう
それが其方の“在り方”というのであれば、騎士として阻むまで
エイル様には指一本触れさせはしません!
「ドゥルシネーア」の衝角から防御力場を展開し突撃
ハッキングで天使核動力炉を限界突破、破壊衝撃波を盾受け防御
この演算の乱れ…私の思考に“触れ”ましたね?
支配感応波辿り相手の思考中枢に悪性情報流し込み直接攻撃
その傲慢の対価、受け取って頂きましょう
天使核砲座の砲撃を浴びせつつ衝角防御力場を盾から槍へ
動き止めた敵に●捨て身の一撃ラムアタック
突き刺した相手を怪力で振るう剣で殴り無理矢理艦から引き離し
人の思いと願いが集合し、増幅していく輝き。
それがあの青い織火である。その美しさと力強さをトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は見た。
その中心にある『セラフィムV』の光はさらに膨れ上がっていく。
明らかに過負荷。
流れ込む思念をつなげ、束ねるのが嘗て『竜の巣』の玄室で見つけた宝珠であるのならば、『セラフィムV』はそれを増幅させるものであった。
青い織火がその証拠である。
だからこそ、長くは保たないとトリテレイアは観測し、判断していた。
「私のモノだ。あれは私が支配すべきものだ」
『主天魔怪獣ドミニオン』がその巨躯を穿たれ、焼かれ、ただれながらも尚手をのばす。
あの青い織火を求め、支配することこそが存在意義である『主天魔怪獣ドミニオン』にとって、手に入れなければならないものである。肉体の欠損など無意味。『主天魔怪獣ドミニオン』にあるのは、支配という欲求だけであった。
その姿は醜いと呼ぶにふさわしいものであった。
「あの輝きは、貴方のような不遜な者がみだりに触れて良いものではありません。ましてや」
支配することなど出来はしないと、白銀の飛空艇『ドゥルシネーア』と共にトリテレイアは嵐の中心たる凪いだ空間に突撃する。
衝角に展開された防御力場と共にトリテレイアは『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯へと突撃を敢行する。
「天使核動力炉、臨界。対ショック制御機構アンロック!」
全ての動力炉の出力を全面の防御力場に総動員し、トリテレイアは放たれる破壊衝撃波と激突しながら『主天魔怪獣ドミニオン』へと『ドゥルシネーア』をぶつける。
激しい振動と轟音。
質量兵器そのものへと変わった白銀の飛空艇をしてもなお、『主天魔怪獣ドミニオン』は倒せない。
凄まじき力。
揺れ動く電脳の演算。
自分が何をしているのか。一瞬のタイムラグ。
「……この演算の乱れ……私の思考に“触れ”ましたね?」
そう、支配こそが『主天魔怪獣ドミニオン』の力の本質。
常に『主天魔怪獣ドミニオン』の力は、他者を支配するためだけにふるわれる。ならばこそ、この瞬間にもトリテレイアの電脳は『主天魔怪獣ドミニオン』の力によって支配を受けるだろう。
だが、銀河帝国護衛用ウォーマシン・上級攻性防壁(ファイヤウォール)はそれを許さない。
その膨れ上がる炎が『主天魔怪獣ドミニオン』の中に炎となって駆け巡り、その頭脳へと放たれるのだ。
「その傲慢の対価、受け取って頂きましょう」
「――これは。私の支配が、燃える。何故だ。何故支配を受け入れない。猟兵。お前こそ、支配に値するもの。支配と表裏一体の存在のはず」
『主天魔怪獣ドミニオン』の言葉は、確かに事実であったことだろう。
律と法によってウォーマシンたるトリテレイアは存在している。
だが、トリテレイアは矛盾を抱えたウォーマシンである。
「それが其方の“在り方”というのであれば、騎士として阻むまで。『エイル』様には、指一本触れさせはしません!」
ウォーマシンである以前にトリテレイアは騎士である。
騎士である本懐を遂げるためにあらゆる矛盾を抱えて、トリテレイアは進んできたし、これからも変わることはないだろう。
『ドゥルシネーア』の防御力場が盾から槍へと変わる。
「支配の力が、燃える。燃えていく。何故だ」
力場の槍が『主天魔怪獣ドミニオン』を貫き、その巨躯を大地に釘付けにする。しかし、その巨躯が傾ぎ、『ドゥルシネーア』の力場を叩き砕く。
「支配こそが世界の理。世界の真理。だというのに――」
思念に初めて感情が乗った瞬間であった。
どれだけ己の存在が支配という権能を顕す存在であったのだとしても、儘ならぬことに怒る以上、『主天魔怪獣ドミニオン』もまたオブリビオンとして歪んでいる。
ならばこそ、トリテレイアの振るう剣に迷いなどない。
「言ったはずです。あの方には指一本触れさせぬと。そして、私は騎士として貴方の支配を阻む!」
『ドゥルシネーア』から飛び出したトリテレイアが、その剣の一撃で持って『主天魔怪獣ドミニオン』を吹き飛ばす。
それは青い織火を背に、その思いをこそ守らんとする騎士としての矜持の一撃であった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
【勇者パーティ】
「『それは私のものだ』だと?
我の鉄板Vに向かって、よくぞ言った!
貴様は塵一つ残さず焼き肉の材料にしてくれよう!」
ほう、ステラも同じか。
珍しく意見が合ったな!(注:勘違いです)
「自ら火を起こし織火となるとは、一人前の鉄板に成長したな鉄板Vよ。
もはや我が教えることは何もない。
思う存分、世の人々に焼き肉を振る舞うがいい!
そのためにも、この邪魔者を倒すぞ、ルクス、ステラ!」
我の渾身の魔力を込めた【極寒地獄】を放ち、敵を氷に閉じ込めてくれるわ!
氷の中なら飛行能力も破壊光弾も意味があるまい!
我は青く燃える鉄板Vのそばにいれば寒くないし、持ち込んだ肉も傷まないしな!
さあ、どんどん焼くぞ!
ルクス・アルブス
【勇者パーティ】
えーっと、師匠? ステラさん?
なんだろう、この噛み合っているようで噛み合ってない、
何か決定的なズレがあるような……そう、ミリネジとインチネジを間違えた時のような……。
まぁいつものようなこともしますが。
なにはともあれ、お二人も超やる気ですし、
あのままでは『エイル』さん、テレビ版のゼットな機動戦士の中の人みたいに壊れちゃいそうですし、
なにより先ほどの言葉、勇者としては見過ごせません!(急に芽生える勇者感)
勇者のイメージを集中し、光の音叉を取り出すと、
【世界調律】を発動させて『ドミニオン』に向けて突撃しますね。
師匠の魔法で凍り、ステラさんの銃で傷ついた身体で、これを耐えきれますか!
ステラ・タタリクス
【勇者パーティ】
(飛空艇形態から人型に戻って参戦
「……は?」(強めの威嚇
誰が誰のモノとおっしゃったのでしょう?
誰が何と言おうと、エイル様は私のモノ(=あるじの意味)なのですが?が?が!!
いいでしょう
そのような不埒な輩は滅ぼすに限ります
ええ、フィア様、全力で事に当たりましょう(たぶんすれ違いが出ている
ルクス様は後で5時間(以下略
フィア様のUCに合わせて突撃
アンゲールス・アラースで低空飛行しつつ
両手にニゲル・プラティヌムを構えて
懐まで飛び込んだら【スクロペトゥム・フォルマ】を使いつつ
連続攻撃を叩き込みましょう
「エイル様は! 私の! モノ!!」(言い切ったやべーメイド
トドメはルクス様にお任せします!
猟兵たちの攻撃に寄って傾いだ巨躯が立ち上がる。
咆哮が轟くのは、己の支配を否定する猟兵達に対する憤怒であったのかもしれない。支配だけが存在意義である『主天魔怪獣ドミニオン』は感情らしいものは元来持っていなかったのかも知れない。
けれど、オブリビオンである。
過去に歪むがゆえに、その己の手が届かぬ青い織火、その中心にある青い鎧の巨人『セラフィムV』を求めたのだろう。
「私のモノだ、あれは。あれこそが私の支配に値するモノ」
輝きをまして、翼のように青い織火が広がっていく。
浮島を包み込む翼は、益々持って強大なものへと変わっていく。それにこがれるように『主天魔怪獣ドミニオン』は異形なる手を、そして支配の力を伸ばすのだ。
「我の鉄板Vに向かって、よくぞ言った! 貴様は塵一つ残さず焼き肉の材料にしてくれよう!」
フィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)は怒髪天を衝くが如き勢いで叫ぶ。
そう、彼女にとって『セラフィムV』とはあくまで『鉄板V』である。
美味しいや焼き肉ができる鉄板。
じゅうじゅうと鳴る音。あれは忘れることのできぬ火力と加減。思い出しただけでもよだれが口の中に広がるのだ。
如何に支配の力が強かろうとも、フィアの食欲はそれを上回っていくのだ。
そんな彼女と共に嵐の中心たる凪いだ空間に突撃してきた飛空艇が姿を変える。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はメイドである。同時に飛空艇にも変身できるガレオノイドでもある。
そんな彼女のこめかみがビキィと音を立てたような気がした。
「……は?」
強めの威嚇である。誰が誰のモノと言ったのだろうか。いや、厳密には『セラフィムV』のことを言っているのであろうが、そんなことステラには関係ない。
あの織火の中心にいるのは『エイル』である。
誰がなんと言おうと、『エイル』は己の主なのである。
「誰がなんと言おうと、『エイル』様は私のモノなのですが? が? が!!」
ものすごい剣幕である。
そんな師匠とメイドの姿を見て困惑しているのは勇者であるルクス・アルブス(『魔女』に憧れる自称『光の勇者』・f32689)であった。
自称であるが、勇者であることには違いない。
勇気ある者が勇士と呼ばれるように困難にぶつかっていく勇気があるからこそ、ルクスは勇者なのだ。
だけどまあ、表立って師匠であるフィアとメイドであるステラの目的が噛み合っているようで噛み合っていないような気配には突っ込めなかった。
「何か決定的なズレがあるような……そうミリネジとインチネジを間違えた時のような……」
それはいつものことなのでは。
ともあれ二人が気合十分超やる気であるというのに水を差す必要など何処にもない。それに光の中心に在る『エイル』がルクスには気がかりだった。
あの織火の状態は明らかに過負荷の状態である。
流れ込む思いと願いが、蓄えられ繋がれ綱のようになって浮島の沈下を留めているのは良い。
けれど、あの増幅の仕方はおかしい。まるで制御ができていない。
楔となっている『エイル』が人であるのならば尚のことである。あのままでは壊れてしまうと彼女は立ち上がるのだ。
「何より先程の言葉、勇者として見過ごせません」
急に勇者感が生えてくる。己の中にある勇者のイメージを集中させ、光の音叉を取り出す。
この嵐の中心に光が二つ立ち上るのを『主天魔怪獣ドミニオン』は見た。
青い光と白い光。
その光を前に『主天魔怪獣ドミニオン』はどちらも支配しようと己のユーベルコードを解き放つ。
「自ら日を起こし織火となるとは、一人前の鉄板に成長したな、鉄板Vよ。もはや我が教える事はなにもない。思う存分、世の人々に焼き肉を振る舞うがいい!」
これまで後方師匠面をしていたフィア。
しかし、己の渾身の魔力がユーベルコードとして発現する。
敵が巨躯であり、動きが俊敏であるというのならば、動きを止めればいい。
「我が魔力により、この世界に顕現せよ、極寒の地獄(コキュートス)よ」
瞬時に『主天魔怪獣ドミニオン』を包囲する氷の壁。
それは触れたものを凍結させ、決して逃さぬ牢獄の如きユーベルコード。氷の棺の如き壁に囚われた『主天魔怪獣ドミニオン』は飛ぶことも光弾を放つこともできなくなる。
「ええ、フィア様。全力で事にあたりましょう。ルクス様は後で五時間ほど『エイル』様の魅力についてレクチャーいたしますので」
ステラはいつもどおりであった。
いつもどおりであるほどに入れ込んでいるということなのだろうが流石にルクスが可愛そう過ぎる気がする。
今だってしっかり勇者感を出して集中しているのに、集中が途切れそうになっている。だって五時間ですよ。
氷壁に囲まれた『主天魔怪獣ドミニオン』へとステラが飛ぶ。
両手に構えた黒と白金の2丁拳銃が天使核より生まれた風と共に『主天魔怪獣ドミニオン』を捉える。
「スクロペトゥム・フォルマ――撃つだけが銃の使い方では無い、そのことを教えてあげましょう」
それは銃を構えながらの超近接戦闘であった。
曰く『銃の型(ガン=カタ)』と呼ばれる超絶技巧。銃撃、体術、銃身を全て余すこと無く活用するメイドの嗜み。
目にも止まらぬ連続攻撃が、氷壁というリングの中に響き渡る。
『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯をものともしないメイドの打撃と銃撃は轟音を打ち鳴らし、凪のような嵐の中心にあって止まらない。
そう、決して止まらないのだ。
「『エイル』様は! 私の! モノ!!」
言い切っている。マジでやべーメイドである。だが、それでもその力が助けになっていることは事実であろう。
『主天魔怪獣ドミニオン』の巨躯が氷壁の棺から浮かされ、空へと叩き上げられる。
「ルクス様!」
ステラの言葉が合図となって、世界調律(セカイチョウリツ)を終えたルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「世界を正しき姿に! それが光の勇者の役目です!」
構えた光の音叉が極大にまで膨れ上がる。
それは世界を整える光の一撃。この世界にオブリビオンは確かに無くてはならぬ存在だろう。
オブリビオンの心臓たる天使核。
それを得なければ、大地を存続させることもできなくなる。不要とは言うまい。されど、その支配の力は必要ないのだ。
同時にそれは、流れ込む膨大な『故郷を失いたくない』という想いもまた同様である。
人がそう思わなくても生きることができる。
そんな世界をルクスはもたらしたいと思うだろう。師匠であるフィアは焼き肉パーティに浮かれている。メイドのステラは『エイル』しか見てない。
けれど、それもまた人の生き方だ。
『主天魔怪獣ドミニオン』の齎す支配とは、そんな自由を否定するものだ。
「だから、貴方は此処に居てはいけないんです!」
放たれた光の音叉剣の一撃が『主天魔怪獣ドミニオン』を霧消させる。支配など無くとも人は生きることができる。
己の心をこそ支配する。
それだけでいいのだと示すように光の柱が浮島に立ち上った瞬間、青い織火が為した翼がが中心たる青い鎧の巨人『セラフィムV』へと集約されていく。
繭のように青い光の中に包まれた『セラフィムV』が、膨れ上がった光を全て引受け、揺らいでいく。
「行かなきゃ――救けを求めている人がいる。これが、争いの……」
ステラには聞こえたことだろう。
最後の言葉。
どこまでも実直に。争いに巻き込まれ続けてきた己の主だからこそ、助けを求める声を無視することができないのだと。
理解したのだ。
青い鎧の巨人が伸ばした手が誰に向いていのかを。膨れ上がった光とともに、青い鎧の巨人『セラフィムV』と少年『エイル』が消える。
織火は青く昌盛し、虚空へと飛ぶ。
まるで神隠しの如き光景と共に。忽然と消える。されど、浮島は緩やかに元の高度へと登っていく。
人の思いと願いを受けたあの織火の征く先は――。
――『︰ll』 へと辿る。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵