銀河帝国攻略戦⑪~生と死、その狭間の行進
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何かが起こる。そう予感する者は、猟兵の中にも大勢いたようだ。月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)を前に、グリモアベースは静まり返っていた。色葉も何か思うところがあるのか、唾を一度飲み込むと、努めて平静に声を上げた。
「防衛艦隊とエンペライダーズを排除した事で、スペースシップワールドの艦隊は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的に攻め込む手筈となったのだ。この一連の攻勢によって、見事解放軍は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に一度は大打撃を与える事ができたのだ。皆、ご苦労様なのだ!」
しかし、それで一件落着となる程、帝国軍も甘くはない。帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装は、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』によって修復され続けるため、撃破するには至らず、戦いは膠着状態に突入してしまっている。
「先に進むためにも、この膠着状況をなんとか脱しなければならないのだ! そのため、猟兵の皆には、『コア』への突入作戦をお願いしたいのだ!」
いよいよ敵防衛線――帝国大要塞『エンペラーズマインド』の最深部に踏み込む決断に、言い知れぬ高揚感や緊張感を漲らせていた猟兵たちがグッと拳を握りしめる。
「エンペラーズマインドへの突入に関しては心配する必要はないのだ。そちらについてはスペースシップワールドの艦隊の援護によって、比較的安全に遂行可能なのだ。加えて、内部の巨大隔壁についても先行して突入した猟兵によって破壊と、コアマシンルームへ至る侵攻ルートが確保されている事も確認しているのだ!」
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では、突入しコアを破壊するだけの容易な任務になるかと問われ、色葉は首を横に振った。それも、険しい表情で。
「コアマシンルームへの最後の難関として、古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』を排除しなければならないのだ。『デストロイ・ウォーマシン』を突破しない限り、コアルームに向かう事は不可能……そう考えてもらって差し支えないのだ」
『デストロイ・ウォーマシン』は、戦闘のみに特化し、かつ感情を持たない。
「かつての『解放軍』の英雄さん達を……何人も殺害してきたとされる、曰くつきの敵なのだ」
猟兵であっても、油断すれば簡単に敗北しかねない強敵だ。万全の対策を整えて向かって欲しい。
ハル
皆様、お世話になっております、ハルです。
今シナリオは、ついにエンペラーズマインドの巨大隔壁を超えて、コアの破壊を目指す! そんなシナリオとなっております。
シナリオの関係上、皆様纏めてのリプレイになる可能性もあります。
その辺りも含めて、以下の内容についてよくご確認ください。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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また、デストロイ・ウォーマシンを見事撃破した後に描写されるコア破壊に関しては、以下の内容もご承知した上でプレイングをかけて頂ければと思います。
コアマシンルーム内には、殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満しています。猟兵であっても数秒程度しか活動する事が出来ません。
(理屈は現状不明ですが、なぜかウォーマシンやバーチャルキャラクターなど、明らかに普通のウイルスが効かないであろう存在にも効いてしまいます)
その為、コアマシンルーム突入後は、渾身のユーベルコードを1度放つのが精いっぱいとなります。
ユーベルコードを撃った後は、グリモア猟兵によって強制帰還させられます。
それでは、皆さんの格好いいプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『デストロイウォーマシン』
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POW : デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
暁・碧
コアマシンルームに行くまでにはデストロイウォーマシンを倒さないといけないんだね……戦闘特化型ってことはかなり強敵だよね、気を引き締めていこう!
第六感で敵の攻撃を予測して出来るだけ避ける、避けきれない時は愛剣でガードするね。こっちが攻撃する時は刃が通りそうな箇所を探して重点的に攻めるよ!
確実に攻撃が通る場所がわかったら剣刃一閃を2本の剣を使って2回発動させて攻撃をメインにしていく!
コアにたどり着いたら2本の剣で同時に剣刃一閃を発動させて切り込むよ!
☆アドリブ等歓迎
マスター・カオス
フハハハ…我が名は、グランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!
なるほど…デストロイ・ウォーマシンか…厄介な相手だ。
かつて、多くの戦士たちが奴と戦い犠牲となった…。
堅実に戦うのも一手だが、ここは敢えて、かつて奴と戦い散って逝ったフォースナイトたちの無念を晴らさせてはやりたいものだ…ならば!
「大騎士団ノ残光」を以って、フォースナイトの霊たちを召喚し、念動力などで、戦闘で発生した残骸などを利用し、敵に飛ばして隙を作り、霊たちに一撃を入れさせるように立ち回ります。
撃破後は、全力魔法を以って「彼方ヨリ進軍セシ軍神ノ槍」をコアに向けて放ちます。
霑国・永一
【SPD】
隔壁に続き、マリア(f03102)と一緒に戦うとするよ。
さて、正念場だ、気を抜かないようにしないとだねぇ。
オルタナティブ・ダブルを主軸に攻めるとするよ。分身とは別々の方向から敵を囲むように陣取り、タイミングを合わせ、時にずらしながら敵の攻撃の隙を与えないようにダガーで攻めていく感じだ
【だまし討ち】も駆使していくかな
相手の関節部分やマリアの演奏で脆くなった箇所を正確に丹念に突いて確実に破壊していく方針
相手の動作に注意払って、攻撃に合わせて妨害するとかしてやりたいけど、厳しそうなら【逃げ足】【ダッシュ】を駆使して一時的に距離をとるなどをしておきたい
コアにも分身と共にダガーで渾身の一撃だ
マリアドール・シュシュ
アドリブ歓迎
隔壁に続き永一(f01542)と行動
「最後の難関とあって易々と通してはくれないみたい。
永一、マリアがあなたの道を作るのだわ。そこを狙って頂戴。
マリアの攻撃は当たるととっても痛い筈だから」
ドレス翻し竪琴構える
攻撃が届く範囲で距離取る
【マヒ攻撃・鎧無視攻撃】を付与し演奏攻撃
アイコンタクト取って永一と連携
敵の攻撃は音色攻撃で【カウンター】で相殺
【高速詠唱】で【透白色の奏】使用
確実に当てる
(防御なんかさせないのよ
マリアの音色はきっと届く…そう信じているのだわ
そして永一、あなたが必ず当ててくれることも)
気休めだがコアルーム入室前に息を大きく吸う
侵入後は一度きりの渾身の演奏を永一と同時に見舞う
セゲル・スヴェアボルグ
なるほど、敵方の壁はこいつというわけか。
さて、一切殺戮モードとやらが、動きが速いものを狙うというのであれば、ゆっくりと近付いてみるとしよう。反応がないのであればそのままゼロ距離にまで接近し、狂飆の王を叩きこむ。
まぁそれ以外の攻撃がないとは限らんからな。盾で凌げないようであれば、一気に駆け込むしか無かろう。
なに、多少の傷など気にする必要はない。致命傷となるものさえ防げればそれでいい。エンペラーズマインドを破壊できるなら安いもんだ。
ユナ・アンダーソン
強敵ですね
全力で行きます!
優しさ11、手をつなぐ11、誘惑6、おびき寄せ5、催眠術3を用いて星の抱擁を使用
戦い続けるだけの哀しい存在であるあなた
さぁ、抱きしめてあげる
ユーベルアナライザーで自分の技を使われたら
覚悟1、気合い1で耐える
火炎耐性3、電撃耐性2、武器受け3、第六感5、激痛耐性6で敵の攻撃を予測し防御
毒耐性3だから少しは保つはず
アドリブで他の方との絡み歓迎
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「……戦闘特化型ってことはかなり強敵だよね、気を引き締めていこう!」
自分を、そして仲間の猟兵を鼓舞するように、暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)は言った。握りしめる二本の愛剣は手脚の延長の如く良く馴染み、積み重ねた修練の壮絶さを見る者に感じさせる。
「報告の通り、巨大隔壁は破壊されているみたいだね」
「マリア達が頑張った甲斐があるのだわ!」
霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)とマリアドール・シュシュ(無邪気な華水晶・f03102)が、周囲に視線を這わす。
かつては強固な壁として猟兵の前に立ちはだかったであろう巨大隔壁も、今は残骸として破片が散らばり、時折小規模な漏電を発するばかりで、機能も果たす事はできていない。また、進攻ルートが完全に確保されているため、数の暴力であれだけ猟兵達を追いかけまわした警備兵の姿も、猟兵達の見える範囲ではエンペラーズマインド内部には確認できなかった。
猟兵達は事前の作戦通り、エンペラーズマインド最深部を目指して進攻する。やがて、猟兵達は足を踏み入れていない区画にまで到達し。
「敵影発見、敵影発見」
「なるほど、敵方の壁はこいつというわけか」
人の温もりを一切介さない機械音声と、ブルーのサーチライトに出迎えられた。その姿を目視したセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)が、錨斧と堅牢な大盾を油断なく構える。
「フハハハ……我が名は、グランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マス――」
漆黒の鎧、漆黒の兜……そして兜の中央に据えられた白い仮面。デストロイウォーマシンを前に、名乗りを上げようとするのは、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)。
「デストロイウォーマシン、敵ノ殲滅ヲ開始シマス」
しかし、感情を有さないデストロイウォーマシンは、そんな様式美を介さない。
――ター・カオス!! 続く言葉を塗りつぶすように、一切殺戮モードに変化したデストロイウォーマシンが、猟兵達へと襲い掛かってくる。
「全力で行きます!」
ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)は、デストロイウォーマシンに手を伸ばした。その存在の全てを奪いつくすために。
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「つれないではないか、デストロイウォーマシンよ」
カオスは言いながら、仮面の奥でその口角を三日月に釣り上げていた。確かにデストロイ・ウォーマシンは厄介な相手だ。しかし――。
(「かつて、多くの戦士たちが奴と戦い犠牲となった……」)
カオスが騎士団に身を置いていた際に奪われた多くの命。それを思えば、今日この時は絶好の晴れ舞台でもある。
「堅実に戦うのも一手。しかしそれでは、散って逝った数多のフォースナイトたちが報われんのだ。その無念、晴らさせてやるのも私の責務!」
カオスが、手を翳す。
「我に従いしフォースの戦士たちよ! 今こそかつての威光を示せ!!」
告げると、無数のフォースナイト達の霊がその場に召喚された。戦場に残された夥しい巨大隔壁の残骸が、四方からデストロイウォーマシンを襲う。
「私も加勢するよ!」
「隙を見逃すなよ」
「誰に言っているのかな」
「よかろう。フォースナイトよ、彼女と共に存分に暴れるがいい、フハハハ!」
カオスの召喚した霊が操る瓦礫に紛れるように、碧もまたデストロイウォーマシンとの距離を詰めていた。高周波ブレードと宝刀・天羽々斬で、デストロイウォーマシンの弱点を探るように斬りつける。
そこに、フォースナイト達もフォースセイバーで仕掛けていった。
が――。
「……っ、硬い!?」
元々の堅牢さに加え、一切殺戮モードによって超耐久力が上乗せされた装甲は、碧の剣を易々と弾き返す。
さらに、反撃に出たデストロイウォーマシンの超攻撃力が、猟兵達に火を噴いた。
「これが一切殺戮モードとやらか!」
セゲルは重盾で際どく受け流すが、フォースセイバーが次々に弾き飛ばされ、碧の脇腹にレーザーソードが叩き込まれる。
「なっ、――い゛、ぁっ!!」
間一髪、碧は第六感に従ってレーザーソードと脇腹の間に反射的に剣を差し入れてガードした。が、それでも勢いを殺せずに、通路の壁にぶつかりながら数度バウンドする。
(「……危なかった、一歩間違えれば……」)
碧は、デストロイウォーマシンがここに存在する意味を改めて実感していた。
「碧、大丈夫?!」
「うん、まだまだやれるよ!」
剣を杖代わりにして立ち上がる碧に、ユナが声をかける。無事を確認してユナがホッと安堵を浮かべると、ユナは改めてデストロイウォーマシンに無垢な赤い瞳を向けて見据えた。
「戦い続けるだけの、哀しい存在なのね」
小さくそう言った。同情しているような、憐れんでいるような……しかし一方で、まったく逆の意味を持つかのように聞こえるユナの声色。
ユナが穏やかで優し気な笑みを見せてデストロイウォーマシンを引き寄せると、その手を取る。
硬く、冷たく、血に濡れた機械の手。
「さぁ、抱きしめてあげる」
デストロイウォーマシンは、ユナ達へと告げた。殲滅すると。
それは、デストロイウォーマシンが有する唯一の存在意義。だが、その存在意義がある限り、ユナの星の抱擁からは決して逃れられない。
「あなたの哀しい存在意義を、わたしにちょうだい?」
光の抱擁が、デストロイウォーマシンを包み込む。もう二度と、戦わなくて済むように。
それでも……それでもなお、デストロイウォーマシンは抵抗する。
しかし、ユナは無邪気に笑った。
――ふふっ、わたしは諦めが悪いのよ、と。
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ミサイル、弾丸、レーザー……紅の機体が持つすべての火器が一斉発射され、猟兵達全員を圧倒するように乱れ飛んだ。
「さて、正念場だ。気は抜けないよ、マリア」
砲撃が発生させる轟音、爆風。そんな中を飄々と切り抜けながら、微笑を浮かべた永一はマリアドールに向け、言った。
「みたいね。最後の難関とあって、易々とは無理そうね。だから――」
しかし応じるマリアドールの表情も、とてもここが戦場であるとは想像もできないような、天真爛漫さを絵に描いたような明るいもの。マリアドールは鈴の音を転がすような声色で、星の瞬きのようなドレスの裾を翻し、黄金色に眩くハープの弦に細指を添えると。
「永一、マリアがあなたの道を作るのだわ。そこを狙って頂戴。マリアの攻撃は当たると、とっても痛い筈だから」
「了解だ、マリアのお手並み拝見といこうかな」
「うん、期待してて!」
方針を決めると、最早二人の間に迷いはない。デストロイウォーマシンを視界に収ると、マリアドールの相貌は、永一に向ける笑顔から一転して絶対零度のそれに変貌する。
「煌き放つ音ノ葉を戦場へと降り注ぎましょう──さぁ、マリアに見せて頂戴? 玲瓏たる世界を」
(「防御なんてさせないのよ。マリアの音色はきっと届く。そして永一があなたに攻撃を喰らわせる。マリアは信じているの」)
デストロイウォーマシンがその音色を認識した瞬間、駆動系に影響を与えたのかマヒしたように挙動をおかしくし、強靭な装甲を飛び越えて内部から侵食する。
「ならば、俺もパラディンとして援護に回ろう。確かめたい事もあるしな、行け!」
硬直の直前に放たれた銃弾の雨の中を、盾を構えたセゲルが前進し、デストロイウォーマシンへとにじり寄って道を作る。
「助かるよ、セゲル。……さぁ、ここまでお膳立てされて、期待に応えない訳にはいかないね。そうだろう?」
──うるせぇんだよ! お前一人でやりやがれ!
永一が心の中に問うと、打てば響くようにがなり立てる声。だが永一は、彼が喜んで協力してくれる方法をいくつも心得ている。ゆえに迷いなく、指示を出す。
「相手は動きが止まっている。挟撃しよう」
永一が意を決してセゲルに変わって前に出ると、なんだかんだと彼の分身がデストロイウォーマシンの背後を取った。デストロイウォーマシンの視線や意識をその都度余所にズラし、タイミングを合わせてダガーによる連撃に連撃を重ねて、永一は反撃を許さない。
しかし、デストロイウォーマシンも簡単には主導権を猟兵には渡さない。
「高速解析完了。【ユーベルアナライザー】」
「お前に使役されるとは……笑えぬ話だ」
デストロイウォーマシンが模倣するように機械の腕を翳すと、浮かび上がった陣からフォースナイトの霊が無数に召喚される。声色に怒りを滲ませたカオスが、自身の召喚したフォースナイトで迎撃する。
「安心して、わたしがあなた達を解放してあげるから」
ユナはエトワル・ボワ・ジュスティスで攻撃を受け止めると、発する暖かな光の抱擁で、操られるフォートナイトを解放してやる。
マリアドールが音を奏で、接近するフォースナイトにカウンターを喰らわせて相殺した。
「あと少しだよ……!」
マリアドールの攻勢によって露呈、露出した弱点に、碧が二本の剣を連続して振るうと、デストロイウォーマシンの装甲の一部を切除する。
「ふむ、やはりそうか。捕まえたぞ」
さらにその時、異変が起きた。ようやく硬直も解け、召喚した霊と共に反撃に移ろうとしていたデストロイウォーマシンが、セゲルに何の苦もなく間合いへの侵入──それもゼロ距離へと迫られていたのだ。
「一切殺戮モードとやらは、速く動く存在を無差別に狙う。ならば、ゆっくりと近づいてみようと考えた訳だが……どうやら上手くいったようだ」
セゲル一人ならば無理であった。しかし、ここにはセゲル以外にも複数人の猟兵がいる。彼らの存在が、結果的にセゲルの目眩ましとして機能してくれた。とはいえ、簡単な行動だった訳ではない。
「だが、多少の傷など気にする必要はない! この先にあるエンペラーズマインド・コアを破壊できるなら、安いもんだ!」
ゼロ距離からであれば、最早小細工は無用。セゲルが脆くなった部位に錨斧を叩き込むと、デストロイウォーマシンを粉砕するのであった。
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「……っ」
コアルームの前で、マリアドールは大きく息を吸った。
ここからは、時間との戦いだ。モタモタしていれば、何もできずに強制的に撤退させられてしまうのだから。
「準備はいいかな?」
碧が、コアルームの重厚な扉に手をかける。開けば、後戻りはできない。殺人ウイルス……通称『オロチウイルス』が充満する死の空間。
「恐れる必要はない。コアを破壊するために、俺達はここに来た」
セゲルの言葉に、猟兵達は頷いた。
「──いざ」
「これで最後だよ!」
意を決し、カオスとユナがコアルーム内部へと踏み込んだ。今だけは、オロチウイルスがたった数秒で猟兵達にどんな影響を与えるか、苦しいのか、辛いのか……そんんな雑念は捨て、無心となってユーベルコードをコアに向けて放つ。
永一のダガーが、マリアドールの奏でる音を追う様にコアに迫り、渾身の力で突き立てられる。
セゲルの錨斧は振り下ろされ、暴風を伴ったそれが周辺諸共に破壊する。
碧は躊躇なくそれら破壊のただ中へと突っ込むと、レバーを引いて高周波を発する愛剣が確かに何かを切断した感触を得た。
その感触を土産に、猟兵達は強制撤退に伴い、その場から姿を消すのであった。
成功
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