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碎輝と語る、最高にカッコいい叶えたい夢について

#カクリヨファンタズム #戦後 #碎輝 #将来の夢 #2章プレイング受付終了しました

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#2章プレイング受付終了しました


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「明けましたね」
 たいしてめでたくもなさそうな顔で雨月・雨莉(は何もしない・f03581)が言う。引きこもりの彼女にとっては、正月もあまり関係無いのかもしれない。
「だからってわけでもないんでしょうが、碎輝が皆さんの叶えたい夢を聞きたいらしいっす」
 叶えたい夢? 猟兵達が首を傾げる。
「それは、今年の抱負ってことか?」
「それでもいいと思いますが、今年でなくても、いつか叶えたい夢……っすね。ほら、願いは口にした方が叶うって言うじゃないっすか」
 確かに、と猟兵達も頷く。まして碎輝のいるカクリヨファンタズムは、滅びの言葉が存在する世界だ。そのあり方を思えば。滅びの言葉とは逆に、希望の言葉、希望の話を口にすることでもしかしたら、叶うこともあるかもしれない。
「ほら碎輝って、『昨日より今日! 今日より明日!』が信条の、暑苦しい……もとい、向上心旺盛なキャラじゃないっすか。そんな彼だからこそ、新しい年の始まりに、皆さんの昨日より今日、今日より明日、なりたい自分の姿を聞いてみたいのかもしれませんね」
 そうだ。碎輝は昨日より今日、今日より明日、と無限に成長したがる(実際成長する)竜神親分。いつか叶えたい夢を語るには、ピッタリな相手かもしれない。
「もちろん、口に出したからって必ず実現するとは限らないっすけど。目標を誰かに宣言するって、モチベーションを上げるにもいいと思うし。碎輝もきっと、応援してくれると思うっす」
 何しろ碎輝は、カッコいい談義にはノリノリで応じてくるヤツである。叶えたい夢がどんな内容であれ、真正面から堂々と『夢』について語れば、その姿勢がカッコいいときっと支持してくれるだろう。敵がかっこよかったり正々堂々としていれば、碎輝もそこまで成長しないしな。
 そうして、碎輝と『最高にカッコいい、いつか叶えたい、希望の話』を語り合ったなら。
「あとはもう、お分かりですね? 成長電流形態の碎輝と戦ってもらいます」
 お分かりですね、と言われても分からない人もいるかもしれないので補足すると、竜神親分碎輝は、最弱の状態から無限に成長するという彼の性質上、カタストロフを起こしてしまう危険がある。なので、定期的に猟兵の手で倒されることにより、「小学生形態」となり、無限の成長能力を停滞させる必要があるのだ。
「『強くなりたい』系の叶えたい話だったら、ちょうどいい実践にもなるし。そうでなくとも、叶えたいことの前に立ちはだかる試練として彼に挑んでみてもいいかもしれませんね」
 まあ実際、夢の内容がなんであれ、実現させようと思えば何らかの障害は立ち塞がるもの。碎輝を倒すことで、それを乗り越える決意が生まれるかもしれない。
 このグリモア猟兵が持ってきたにしては珍しくマトモな話だったな、と思いつつ、猟兵の一人がそっと尋ねてみる。
「ところで、お前の叶えたい夢はなんだ?」
 雨莉は猟兵達を転送させる都合上、一緒には行けない。だから彼女の夢について尋ねる必要もないのだが、一応訊いてみたところ。雨莉は急にモジモジしだした。
「えっ、お、俺の叶えたい夢っすか? そ、そっすね……恥ずかしいんすけど……」
 めっちゃ小声で呟く。
「小学生形態の碎輝のメイド服姿を拝みたい……とか……っすかねへへ……あ、これ本人には言わないでくださいよ?」
 聞かなきゃよかったと全力で後悔しつつ、猟兵達は碎輝の待つ現場に向かったのだった。


ライ麦
 明けましたね! ライ麦です。昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。
 今年の目標は色々ありますが、おいおい語るとしてとりあえず碎輝を嫁にしたいです(のっけからおかしい)。

●やること
 碎輝と一緒に「いつか叶えたい夢」について語り合った後、戦って倒す。

 これ以上に説明することある? ぐらいシンプルな内容です。せっかく新しい年になったのだし、今年に限らない抱負を語ってみるのもいいんじゃないでしょうか。夢は口にすることで叶うこともあるかもしれません。内容にもよりますが、きっと碎輝も応援してくれるんじゃないでしょうか。
 雨莉(と私)のしょうもない夢に関しては……ノーコメントで。

 それでは、皆さんの希望の溢れる話(プレイング)を心よりお待ちしております!
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第1章 日常 『きぼうのはなし』

POW   :    努力して叶えたい話

SPD   :    実力をつけて叶えたい話

WIZ   :    知識をつけて叶えたい話

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亞東・霧亥
ほー、メイド服姿の小学生男子とは業が深い。

夢とは少し違うが、碎輝の小学生形態と一度戦ってみたいと思う。
最弱の状態を知っておけば、成長電流形態の碎輝が如何に強いのかより実感が沸くというもの。

それに、一度戦っておけば小学生形態に変身する事も出来るし、何ならメイド服を着てやる事も・・・いや何でも無い、ただの独り言だ。



 亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)は呟いた。
「ほー、メイド服姿の小学生男子とは業が深い」
 雨莉、めっちゃ小声で言ったのに普通にバレバレだった。本人がここにいたら、真っ赤になって顔覆ってただろう。
「……? メイド服姿の……何だ?」
 碎輝が怪訝そうな顔で訊いてきたので、霧亥は一応彼女の名誉のために(あと自分があらぬ誤解を受けないために)、
「いや、何でも」
 と軽く咳払いをしてごまかした。
「で、夢を訊きたいんだったな。夢か……夢、とは少し違うが、碎輝の小学生形態と一度戦ってみたいとは思うな」
「小学生形態の俺と? どうして?」
「最弱の状態を知っておけば、成長電流形態の碎輝が如何に強いのか、より実感が沸きそうだから」
 霧亥の言葉に、碎輝はなるほどと頷く。
「敵をより深く知るためってことか。確かに、敵を知り己を知れば百戦危うからずっていうもんな……ちょっと違うかもしれないけど」
 ただ、と碎輝は頭を掻いた。
「あの状態だとしばらく成長しないから……戦っても面白くはないと思うぜ」
「だとしても、興味はあってな。それに……」
 霧亥は独りごちる。
「一度戦っておけば小学生形態に変身する事も出来るし、何ならメイド服を着てやる事も……いや何でも無い、ただの独り言だ」
 なんと霧亥の願いは、あのクソグリモア猟兵の願いを叶えるためでもあった。やさしい。だが碎輝本人の前では言いづらいので、霧亥は再び咳払いでごまかした。
「なんだよ、霧亥今日独り言多いな?」
「気のせいだ」

成功 🔵​🔵​🔴​

乎古止・恵
WIZで判定。

 新年には願い事や目標を書いて篝火で燃やす風習があると聞いた。似たようなものかもな。

 ユーベルコード「アドバンテージ・アンサー」と【瞬間思考力】を駆使して戦う。
 相手をよく見て先に動け。

 俺は今より知識を身につけて、もっとデキる自分になりたい。選択肢や行動の幅を広げて、カッコいい俺になるんだ。

 執事手袋を装着し軽く握って感覚を確かめる。
「新年の願掛けに手合わせってところだな。いくぞ」



「新年には願い事や目標を書いて篝火で燃やす風習があると聞いた。似たようなものかもな」
 呟く乎古止・恵(銀鍵・f35677)に、碎輝は頷いた。
「そういう風習、聞いたことあるな。意識してなかったけど、そんな感じだと思ってもらって構わないぜ」
 そういうことなら、と恵は息を吸い、確りと碎輝を見据えて、なりたい自分を語る。
「俺は今より知識を身につけて、もっとデキる自分になりたい。選択肢や行動の幅を広げて、カッコいい俺になるんだ」
 恵の語る夢に、碎輝も感嘆した。
「知識を身につける、か。いいじゃないか! 肉体的な強さだけじゃなくて、知識も武器になるからな。恵ならきっとできる!」
 激励しつつ、俺も負けずに知識つけて成長しないとな! と拳を握る碎輝。ああ、と頷きつつ、恵は執事手袋を装着し、軽く握って感覚を確かめた。この先の自分に進むためにも、まずは彼を倒さねばなるまい。
「新年の願掛けに手合わせってところだな。いくぞ」
「望むところだ!」
 碎輝も意気揚々と槍を手に取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

唯嗣・たから
POW

お姉さん、たから来た。クリスマスお世話になりました。ニューお洋服じじゃーん。

えっと、夢の話。
たから、お友達ほしい。お兄さん、倒すと小さくなるって聞いた。

小さくなったら、小さい間だけ…たからのお友達になって。お友達じゃなくても、ちょっとだけ遊んで。

そして、お揃いの白猫ワンピース着て。お兄さんなら、白犬の方が…いいかな。寅年だから、寅さんがいっか。

メイド服じゃないけど、お姉さんも喜ぶ…と思う(ボソボソ)

あ、なんでもない。うん。かわいいことはいいことだ、というだけ。ワンピースはだめ?えー…わかった、男の子用にする。でも尻尾と耳は譲らないから…。

あ、写真は…撮るから、ね?(お姉さんに見せよ)



「お姉さん、たから来た。クリスマスお世話になりました。ニューお洋服じゃじゃーん」
 唯嗣・たから(忌来迎・f35900)は今ここにいないグリモア猟兵に向けて、新しい洋服を披露した。きっとどこかで見ていてくれると信じて。
「たから、か。俺は初めましてだな。早速だが、お前の叶えたい夢について聞かせてくれないか?」
 たからに目線を合わせるようにしてしゃがみ込む碎輝。その目を真っ直ぐに見つめ、たからは言う。
「えっと、夢の話。たから、お友達ほしい」
 幼いスケルトンの真摯な願いに、碎輝はかすかに息を呑んだ。たからはぽつぽつと語る。
「お兄さん、倒すと小さくなるって聞いた。小さくなったら、小さい間だけ……たからのお友達になって。お友達じゃなくても、ちょっとだけ遊んで」
「……っ! ああ! もちろんだ! 小さい間だけじゃなくていい、俺が友達になってやる!」
 幼くして死した彼女の願いに、何か感じ入るものがあったのか。碎輝はたからの手を両掌で包み込み、力強く答える。ここまでなら骸骨少女と竜神親分のハートフルストーリーだった……ここ、までは。
 碎輝の答えに、たからは微笑むように言った。
「ありがとう……それじゃ、小さくなったら、お揃いの白猫ワンピース着て」
「……ん?」
 突如飛び出したワンピースの単語に、碎輝はたからの手を握ったまま目をテンにした。構わず、たからはボソボソと呟く。
「お兄さんなら、白犬の方が…いいかな。寅年だから、寅さんがいっか。メイド服じゃないけど、お姉さんも喜ぶ……と思う」
「……あの、さっきから話が見えないんだが」
 滝汗を流しながら問う碎輝に、たからは我に返ってゆるく首を振った。
「あ、なんでもない。うん。かわいいことはいいことだ、というだけ」
「そ、そうか……でも俺男だし、ワンピースは」
「ワンピースはだめ? えー……わかった、男の子用にする。でも尻尾と耳は譲らないから……」
「俺もう竜の角と尻尾生えてるけど!?」
 悲鳴のようにツッコむ碎輝。なんか意味ありげな霧亥の独り言といい、どうも嫌な予感がする。そんな碎輝に、たからは重ねて念押しした。
「あ、写真は……撮るから、ね?」
 お姉さんに見せるために。
「いや、写真撮るのは別に構わないんだが……」
 どんな写真かが問題だと碎輝は頭を掻いた。なんだろう、このままだと小学生形態になった後何かが起きそうな気がする。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●【ゲーマーズ】
新年早々、雨莉のしょうもねー夢話を聞かされちまったから、調子が狂っちまったじゃねぇか
男を女装させて何が楽しいんだか、まったく
おーい、ザイーシャ
今度は前みてぇに暴れんなよ…って、あれは勝負に負けたからしょうがなくやっただけだろ!?
碎輝にダブルピースさせた写真を見せるんじゃねー!!

よし、こうなりゃ話題を変えて叶えたい夢の話だ
オレの夢は勿論、全てのゲーセンで記録を破られないレコードホルダーになることだ
顔も知らねー猛者の記録を破って上書きしていくんだよ
アーケードで記号と数字が出てくる画面があんだろ?それさ

ザイーシャも語ったし、そろそろやろうぜ…って写真?
別にいいぜ、碎輝と並んでこうか?


ザイーシャ・ヤコヴレフ
【ゲーマーズ】
そう?雨莉お姉さんの夢、とっても素晴らしいわ
だって、夢って道のりが困難なほど叶えた時の達成感があるじゃない
そ・れ・に、私とゲーム勝負に負けた罰ゲームでフリルがたくさんある猫耳ゴスロリになったウィルは、お人形さんみたくてとっても可愛かったですもの
碎輝もきっと、似合うに違いないわ♪(スマホで撮った写真を見せる)

ちぇ、つまんないの
私のいつか叶えたい夢…うーん……色んなことを知って、もっとたくさん『遊びたい』…かな?
人生は障害勉強って言うけど、まだまだ私も知らないことがたくさんあるし、銀誓館学園に通ってみたくて制服も作ったしね?

ねぇ、遊ぶ前に記念写真を取らない?
じゃあ、まずはウィルと碎輝ね
はい、Сыр!……ふふーん、引っかかったわね?
これを写真加工アプリのカコジョでこうすれば…ほら、二人が可愛いメイド服姿になったよ
だって、可愛いはとっても強いのよ?
雨莉お姉さんのスマホにも送っちゃおーっと…
ちょっとウィル、私のスマホをはーなーしーてー



「新年早々、雨莉のしょうもねー夢話を聞かされちまったから、調子が狂っちまったじゃねぇか。男を女装させて何が楽しいんだか、まったく」
 ぶつぶつ呟くウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)。雨莉の夢、めっちゃ小声で言った割にすごい聞かれてた。そんな彼に、ザイーシャ・ヤコヴレフ(Кролик-убийца・f21663)は小首を傾げて言う。
「そう? 雨莉お姉さんの夢、とっても素晴らしいわ」
「そうか? ……どこらへんが?」
「だって、夢って道のりが困難なほど叶えた時の達成感があるじゃない」
「確かにそうだけど」
 その理論はあのしょうもない夢にも適用されるんだろうかとウィルは思った。だいたい、あの何もしないグリモア猟兵はその夢(しょうもない夢だけど)を叶えるために何か努力してるんだろうか? という疑問はさておき。ザイーシャはスマホ片手にくるりと振り向いた。
「そ・れ・に……」
「それに?」
 首を傾げる彼に、ふふっと意味ありげに微笑んだ彼女は、トトッと軽く碎輝に駆け寄る。
「あっ……おーい、ザイーシャ、今度は前みてぇに暴れんなよ……」
 以前一緒に参加した依頼で、彼女のリアルなおままごとに巻き込まれた碎輝(と自分)が大変なことになったことを思い出し、ウィルは心配そうに声をかけた。分かっているわ、と軽く返し、ザイーシャは碎輝に自身のスマホの写真を見せつける。
「私とゲーム勝負に負けた罰ゲームで、フリルがたくさんある猫耳ゴスロリになったウィルは、お人形さんみたくてとっても可愛かったですもの♪ 碎輝もきっと、似合うに違いないわ♪」
「……って、ザイーシャァァァア!?」
 ウィルの絶叫が響いた。この前とは違う意味で大変なことになった。ウィルは真っ赤になって、ザイーシャに指を突き付ける。
「あれは勝負に負けたからしょうがなくやっただけだろ!? 碎輝にダブルピースさせた写真を見せるんじゃねー!! 碎輝も困ってんじゃねーか!!」
 フリフリ猫耳ゴスロリ姿のウィルの写真を見せられた碎輝は青くなっていた。いや写真が悪いんじゃない(絶対に可愛い)。その後の「碎輝もきっと、似合うに違いないわ♪」の決定的にいらん一言が悪い。カッコイイとは真逆路線の服を似合うに違いないとか言われたらそりゃ青ざめる。まずいとウィルは慌ててザイーシャと碎輝の間に割って入った。
「よ、よし、こうなりゃ話題を変えて叶えたい夢の話だ!」
「そ、そうだな!」
 ようやく本題に入ったことに、碎輝は幾分ほっとした表情を見せる。ザイーシャの方は、
「ちぇ、つまんないの」
 と口を尖らせていたがそれは無視して、ウィルは胸を張って言った。
「オレの夢は勿論、全てのゲーセンで記録を破られないレコードホルダーになることだ」
「レコードホルダー?」
 長らく封印されてただけに分からなそうな碎輝に、ウィルは解説を加える。
「顔も知らねー猛者の記録を破って上書きしていくんだよ。アーケードで記号と数字が出てくる画面があんだろ? それさ」
「なるほど、要するに誰にも負けない記録を打ち立てたいってことか! 分かるぜその気持ち!」
 どのくらい正確に理解したのかは分からないが、なんとなく通ずるところがあったようで、碎輝は大きく頷いた。口を尖らせていたザイーシャも気を取り直し、自身の夢を語り始める。
「私のいつか叶えたい夢……うーん……色んなことを知って、もっとたくさん『遊びたい』……かな? 人生は生涯勉強って言うけど、まだまだ私も知らないことがたくさんあるし、銀誓館学園に通ってみたくて制服も作ったしね?」
「銀誓館学園?」
「ああ、最近発見された、UDCアースによく似た世界にそういう学園組織があんだよ」
 ウィルの説明に、碎輝は唸った。
「へぇ、UDCアースによく似たまた別の世界があるとはな……そして、そこにはそんな名前の学園があるのか。俺も長い間封印されてたし、まだまだ知らないことだらけだな」
 確かに人生、生涯勉強だなと碎輝は腕を組む。
「それで、学んだことを元に遊びたいか。どういう遊びかは分からないが、いいと思うぜ、そういうのも。色々なことを知れば、それだけ遊びの幅も広がるしな」
 うん、とウィルも頷き、さて、と立ち上がった。
「ザイーシャも語ったし、そろそろやろうぜ……」
「ああ、そうだな」
 碎輝も槍を手に立ち上がり……その二人を、ザイーシャが呼び止めた。
「ねぇ、遊ぶ前に記念写真を取らない?」
「写真? 別にいいぜ」
 そのぐらいなら、と二人とも了承した。ザイーシャが密かにほくそ笑んだことも知らずに。
「じゃあ、まずはウィルと碎輝ね」
「ああ、碎輝と並んで……こうか?」
 碎輝と並んでポーズをとるウィル。そうそう、と頷き、彼女はスマホを構える。
「はい、Сыр! ……ふふーん、引っかかったわね?」
「えっ? 引っかかったって……何が?」
 目を瞬かせる二人に、ザイーシャは勝ち誇った顔でちょちょいとスマホを弄り、得意げに画面を見せた。
「これを写真加工アプリのカコジョでこうすれば……ほら、二人が可愛いメイド服姿になったよ」
「………………~! ザイーシャァァァ!!」
 再び真っ赤になって怒り出すウィル。碎輝はまた青くなっていた。
「……いやこういう服なら前にも着たことあるけど」
「あるのかよ」
「あの時は修行し甲斐がある、重量感のあるメイド?服だったから……」
 こういうのとは違うとひたすらカワイイを前面に押し出した加工アプリの写真を指差し言う。その手にそっと触れ、ザイーシャはゆるくかぶりを振った。
「そんなこと言わないで。だって、可愛いはとっても強いのよ?」
「そうなのか」
「いや納得すんじゃねえ」
 説得されかけた碎輝の頭をウィルがはたく。漫才みたいなことしてる二人をよそに、ザイーシャは、
「雨莉お姉さんのスマホにも送っちゃおーっと……」
 と送信ボタンに指をかけた。
「そうはさせるかー!!」
 すんでのところで気付いたウィルが彼女のスマホを掴んで取り上げようとする。
「ちょっとウィル、私のスマホをはーなーしーてー」
 負けじとスマホを握る手に力を込めるザイーシャ。碎輝が猟兵達のカッコいい夢を聞きたいと開いた会は、どうにもおかしな方向に進んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。

イラスト:108

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達を前に、碎輝は焦っていた。自分はただ、猟兵達のカッコいい夢が聞きたいだけだったのに、どうも雲行きが怪しい。一部の猟兵を除き、何か含みのあることばかり言ってた気がする。碎輝は槍を握りしめた。この戦い、絶対に負けられない……! でないと、
(「俺が小学生形態になった時、何かが起こりそうな気がする……!」)
 いつも以上の緊張感をもって、碎輝は猟兵達と対峙した。
唯嗣・たから
アドリブ連携可
よし、戦うぞー(クロと一緒にえいえいおー)

UC発動、自動追尾する腕で引っ掻き攻撃。攻撃力上がってるから、隙をみて刀でどんどん【切り込み】していく。えいや。

勝てたら…これ、どうぞ(ポケットから空気圧縮済みの寅耳フードお洋服)

怪我、大丈夫なら…寅耳服のお兄ちゃん真ん中でクロとたからの3人で、にゃーていうポーズ…の写真撮る。自撮り棒で。

お友達と、双子コーデ、できた!(大歓喜)

遊ぶのは…また今度。お兄ちゃんの怪我、治ったら…たからまた…来ていーい?今度は、たからが角と尻尾のお洋服着る。

また今度は、お友達いてはじめてできる。だから、また今度も、嬉しいんだ。お友達になってくれて、ありがとう。


亞東・霧亥
狭い屋内戦も経験しろと屋内に誘導、振り向きざまに覚醒し『先制攻撃』と『グラップル』で碎輝の両肩を掴む。

【UC】
書架の王に変身。

時間凍結氷結晶を展開して碎輝の成長を阻害しながら、高速で壁ドンし『部位破壊』で一気に仕留める。

では、ショウタイムだ。
小学生形態の碎輝の服を『解体』し、事前に用意していた*招き猫のメイド服を着せる。
次に*宙界の瞳を起動し、自律モードにして周囲を『空中機動』させながら、全角度から写真と動画の『撮影』を行う。
「書架の王(イケメン美少年)が猫耳美少年メイドに壁ドンしてみた」というタイトルで保存。

碎輝が恥ずか死するまで撮影しまくる。
喜べ、雨月。

*は装備欄参照
アドリブ、共闘歓迎


乎古止・恵
SPDにて。

雲行きの怪しさは感じ取れたが、俺に何ができるのだろうか?
なにか、なにかあれば……。

形態の変化を見て「これは!」と思い、イグニッションカードを取り出す。

「起動(イグニッション)!」

中から出てきた七支刀を掴み、かまえる。
「雷には雷ってな。万色のいかずちよ! ヘヴンリィ・シルバー・ストーム!」

そのあとで、カウンターになることも考慮して七支刀で踏み込む。
「はあぁぁ! どうだ!」


四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ザイーシャ・ヤコヴレフ
●POW【ゲーマーズ】
むー…撮った写真と画像、消されちゃった
ウィルったら酷いわ
え…何でもしてくれる?
じゃあ…ふふ♪

ウィルとお願い何でもを叶えてくれるって約束したから、ウキウキ胸を弾ませながら思う存分、碎輝と『遊ぶ』わ
魔法のナイフを、えい!
魔法の三日月斧に変えて、ヴィリーナのドブルィニャとズメイみたいな竜退治ごっこよ

ウィルったらすごく張り切っちゃって
そんなに私と『お人形さん遊び』をしたいのね?
そうだわ、終わったら碎輝も混ぜてみましょ
実際に着て貰えれば分かってくれるはずだわ

雨莉お姉さんのお願いも叶えてあげたいし、まずは魔法の三日月斧を避雷針にして帯電させた【重量攻撃】で碎輝を痺れさせないと…ね?


ウィル・グラマン
●SPD【ゲーマーズ】
よぉし、今までは何もなかった
何もなかった!
って、おーいザイーシャ
そんなに不貞腐れるなって、後で何でもしてやっからよ

なんかよく分からねーけど、下手すると碎輝の巻き添えを食らっちまうような気がしてならねぇ
さっきはレコードホルダーになるって言ったが、今は碎輝共々に無事で済むのが願いだ
変になっちまった空気をなんとか修正してみせるぜ!

ちっこくなったら一緒にずらかろうぜってアイコンタクトを碎輝にしながら、モンテマで育てたゴム質の皮膚を持った怪鳥竜『ゲリョゴン』の群れを召喚だ!
雷を覆う黄金竜の防御手段も絶縁質の身体だから感電しねぇし、何より残ったのを合体させれば逃走手段になるってな!



 ザイーシャのスマホを取り上げ、さっきの写真と画像を削除したウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は、危なかったと冷や汗を拭ってため息をついた。そして、面を上げる。
「よぉし、今までは何もなかった。何もなかった!」
 自分に言い聞かせるように何度も呟くウィルに、
「ああ、そうだな!」
 碎輝も必死で頷いた。一方、ザイーシャ・ヤコヴレフ(Кролик-убийца・f21663)は口を尖らせる。
「むー……撮った写真と画像、消されちゃった。ウィルったら酷いわ」
 ぶつぶつと文句を言う彼女を、ウィルがなだめる。
「って、おーいザイーシャ。そんなに不貞腐れるなって、後で何でもしてやっからよ」
「え……何でもしてくれる? じゃあ……ふふ♪」
 途端に目を輝かせて、含みのある笑みを浮かべるザイーシャ。ウィルは再びしまったと冷や汗をかいた。
(「なんかよく分からねーけど、下手すると碎輝の巻き添えを食らっちまうような気がしてならねぇ。さっきはレコードホルダーになるって言ったが、今は碎輝共々に無事で済むのが願いだ……変になっちまった空気をなんとか修正してみせるぜ!」)
 密かに拳を握りしめるウィル。おかしな雰囲気を、乎古止・恵(銀鍵・f35677)も感じ取っていた。
(「雲行きの怪しさは感じ取れたが、俺に何ができるのだろうか? なにか、なにかあれば……」)
 顎に指を当て、真剣に考える恵。彼だけが一貫して真面目だった。そんな、ある意味シリアスな状況に現れたのは。
「こんにちは、焔だよー」
 にこにこと軽く手を挙げて挨拶する、三尾の妖狐。サポートで来た四王天・焔(妖の薔薇・f04438)だった。和風メイド服が良く似合う彼女は以前、メイド喫茶で碎輝と一緒にメイドしたことがある? 仲だ。(たまたまサポートプレイングが来ていたのでご登場願いましたby作者)。その時一緒だった燦お姉ちゃんはいないけど、と些かしょんぼりして尻尾を垂らした後、気を取り直して碎輝に問いかける。
「碎輝さん、ひさしぶりだね。元気だった? メイドになる為に頑張ってる?」
「頑張ってねぇ!!」
 全く悪気はなく蒸し返された話題に、真っ赤になって碎輝は吠えた。続けていやあの時は修行だと思ってたから……と顔を覆う。ザイーシャがアプリで加工した写真を見せられてようやく、メイド服の持つ(萌え的な)意味に気付いたらしい。今更すぎるがともかく。きょとんと首を傾げた焔は、まあいいかとドラゴンランス【フローレ】を手にした。
「今回は燦お姉ちゃんは一緒じゃないけど……焔がまた、メイドの心得と言うものを教えてあげるよ」
「だから目指してないって!!」
 碎輝のツッコミはさておき。焔はドラゴン形態になったフローレを空に放ち、ユーベルコード【華竜の進撃(ドラゴン・ランページ)】を発動させる。
「大きくなってー、いっけー!」
 ゆるく拳を突き上げた焔の号令に合わせるように、巨大化したフローレは咆哮を上げて碎輝を攻撃する。その一撃に顔をしかめつつ、碎輝は拳を握りしめた。
「悪いが、今回は負けられない理由があるんだ……本気で行かせてもらうぜ!」
 そして体に雷を纏い、無限に成長を続ける黄金竜の姿に変身する。その姿を見た恵は、
(「これは!」)
 と閃き、イグニッションカードを取り出した。
「起動(イグニッション)!」
 その言葉と共に、カードの中から七支刀が出現する。それを掴み、構えた。その様子を見ていた碎輝は、変な空気のことも忘れて目を見開く。
「なんだそれ、カッコいいな!」
「銀誓館学園で開発された技術だ。全装備を収納し、『起動(イグニッション)!』の一言で瞬時に装着できる」
 解説する恵に、碎輝は目を輝かせた。
「カッコいい上に便利だなそれ! 世界には色んな技術があるんだな……!」
「ああ。だが、今はそれより戦いだ」
 諭す恵に、そうだったと表情を引き締め。碎輝は飛翔する。
「行くぜ成長電流……! 無限に強くなる電流、受けてみろ!」
 バリバリと音を立て、戦場全体に黄金の電流が放たれる。次第に強くなる電流の威力に、猟兵達が少なからずダメージを受ける中。恵は、
「雷には雷ってな。万色の雷よ! ヘヴンリィ・シルバー・ストーム!」
 と電流に対抗するように、戦場全てに降り注ぐ銀色の雨(シルバーレイン)を発生させる。雨の間から伸びる万色の稲妻が碎輝を苛み続ける一方、猟兵達は優しい雨の雫に包まれ、癒しを得る。おかげで回復した唯嗣・たから(忌来迎・f35900)は、
「よし、戦うぞー」
 と黒猫ぬいぐるみのクロと一緒にえいえいおーと骨の拳を突き上げた。そして発動させたユーベルコード、【怨恨手指累々ノ刑(エンコンシュシルイルイノケイ)】で地縛霊と合体。その力で咲き崩れる半面がたからの攻撃力を底上げし、同時に現れた数多の黒い手が碎輝を追い、縋る。
「うおっ、なんだこの手……!? 逃げても追ってくる!」
 驚く碎輝が身を捻り、黒い手から逃れようと空を翔ける。黄金竜に変身したことでスピードと反応速度が上昇しているにも関わらず、自動追尾する黒い手は彼を逃がさない。軽くホラーだ。黄金竜に纏わりつくその手が鱗を引っ搔き、傷を作る。止まない万色の稲妻と黒い手の攻撃に、碎輝はついにバランスを崩して地に落ちた。その隙に、たからはえいやとどんどん錆びついた禍々しい青龍刀で碎輝に切り込んでいく。さらに恵が、七支刀で踏み込んだ。
「はあぁぁ! どうだ!」
 七つに分岐した切っ先が閃く。碎輝は呻いた。
「さすがだな……だが、今回ばかりは……ここで負けるわけにはいかないんだ……!」
 黄金竜の姿を保ったまま、碎輝はよろよろと立ち上がる。その瞳にはまだ闘志が燃えていた。すごく主人公っぽいワンシーンだが、彼を突き動かしているのは『ここで負けて小学生形態になったら、絶対ろくでもないことが起きそうな気がする』という思いだった。尤も、その思いはウィルも同じだ。
(「ちっこくなったら一緒にずらかろうぜ」)
 そうアイコンタクトするウィル。その意を汲み取った碎輝が確りと頷く。よし、と頷き返し、ウィルはモンテマで育てたゴム質の皮膚を持った怪鳥竜『ゲリョゴン』の群れを召喚した。絶縁質の身体だから碎輝の雷にも感電しないし、何より合体させれば逃走手段にもなる。その算段を立てながら、ウィルはゲリョゴンの群れを碎輝にけしかけた。それを見ていたザイーシャは、あらあら、と片手を頬に当てる。
「ウィルったらすごく張り切っちゃって。そんなに私と『お人形さん遊び』をしたいのね?」
「ちげぇし!?」
 ザイーシャの一言に、ぞぞぞっと総毛立つ思いをしながらウィルは言い返す。しかし、先ほど彼と「何でもお願い叶えてくれる」と約束した彼女は構わず、ウッキウキで待ちきれない殺人計画(ある意味)を考えた。
「そうだわ、終わったら碎輝も混ぜてみましょ。実際に着て貰えれば分かってくれるはずだわ」
 恐ろしいことを呟くザイーシャに、碎輝は震え上がる。
「いや何を着せるつもりか知らないが、たぶん分からないから!!」
 咄嗟に逃げようと飛翔の体勢に入る碎輝に、ザイーシャは、
「あら、『遊び』はこれからよ?」
 と魔法のナイフを投げた。それは彼女が頭の中で思い浮かべた通りに、魔法の三日月斧へと変化する。
「ヴィリーナのドブルィニャとズメイみたいな竜退治ごっこよ」
「その話は知らないが……俺はここで退治されるわけにはいかない!」
 決意を込めて、碎輝は雷を放った。しかしそれはザイーシャの策略のうちだった。宙を舞う魔法の三日月斧が避雷針代わりとなり、帯電する。
「雨莉お姉さんのお願いも叶えてあげたいし、まずは碎輝を痺れさせないと……ね?」
 ニィッと口角を釣りあげたザイーシャが、三日月斧を指差した指を下に向ける。すると、帯電し重量を増した三日月斧が、碎輝の頭上に落下した。その重量に押しつぶされ、また三日月斧が帯びた電気に打たれ。すっかり痺れた碎輝はついに、気合いで保っていた黄金竜姿から人型に戻る。
「まさか、自分の雷でやられるとは……」
 呆然と呟き、その辺に建っていた廃墟ホテル(あったの?)の外壁に力なく寄りかかる碎輝。そのままずるずるとうずくまる。しかし、まだ倒れてはいない。まだ小学生形態にはなっていない。それを見た亞東・霧亥(夢幻の剣誓・f05789)は頷いた。
「よくやった、ザイーシャ。あとは俺がやる」
 言うなりツカツカと碎輝に歩み寄り、肩を掴んで半ば無理矢理立ち上がらせる。
「立て、碎輝。負けるわけにはいかないんだろう?」
「……ああ!」
 その言葉に再び闘志を刺激され、碎輝の瞳に力が戻ってきた。なら、と肩を掴んでいた手を放し、霧亥はくるりと背を向ける。
「ついてこい。たまには狭い屋内戦も経験しろ」
 そのまま廃ホテルに入っていく霧亥の背を、
「確かに、色んな経験積んだ方がより強くなれるよな!」
 と疑うことなく追って廃ホテルに入る碎輝。……嗚呼。わざわざ狭い屋内に連れ込むなんて絶対、なんか魂胆があるのに。案の定、廃ホテルに入った霧亥はユーベルコード【屍山血河(シザンケツガ)】で振り向きざまに時を遡る力に覚醒し、過去の依頼で対峙した強敵――書架の王、ブックドミネーターに変身する。
「…………えっ?」
 追ってきた碎輝は、突如霧亥の姿が変わったことに面食らい立ち止った。その隙に、霧亥はすかさず先制攻撃。グラップルで碎輝の両肩を掴むと、そのまま高速で壁ドンをかます。
「何す」
 抗議の声を上げかけた碎輝を、部位破壊で黙らせる……というか一気に仕留める。これまでの猟兵達の攻撃でダメージが蓄積していた彼を倒すのは容易だった。霧亥の攻撃を受けたその身が縮み、小学生形態へと変貌する。恐れていた瞬間がついに来てしまった、と碎輝は青くなった。ヤバい、これから何が起きるっていうんだ――思わずぎゅっと目をつぶる彼の前で、霧亥は、
「では、ショウタイムだ」
 と刃物を閃かせ――碎輝の服を解体した。やはりというか、待っていたのはろくでもない展開だった。
「うわーっ!!? 何すんだ、着るものがなくなるじゃないか!」
 真っ赤になって自身の体を抱く小学生碎輝に、
「案ずるな、着替えならある」
 と霧亥はすっと手際よく、事前に用意していた招き猫のメイド服を着せる。なんてこった、あのグリモア猟兵が夢見た光景が爆誕してしまったし、碎輝の嫌な予感が的中してしまった。着せられてしまった、所々に肉球の刺繍入りのメイド服(猫耳と尻尾がセット)に再び碎輝の頬が紅潮する。どう見てもカッコイイとは系統が違う。前に着たメイド服ならまだ、重量は1トンだったし(本当に材質何でできてたんだろうね、あれ)、鉄下駄もセットだったから着てるだけで修行になりそうだったが、これは……なんの修行なんだ……途方に暮れた碎輝がおずおずと訊ねる。
「着替えって、これしかないのか……? っていうかなんで俺の服解体した??」
「とある人物の夢を叶えるためだ。悪いが辛抱してくれ。このまま撮影いくぞ」
「ええっ!?」
 絶句する彼を尻目に、そのまま宙界の瞳を起動し、自律モードにして周囲を空中機動させながら、全角度から写真と動画の撮影を行う霧亥。ブックドミネーターの姿のまま。
「……撮影って、何のために……ていうかあの、なんで俺倒したのにその姿のまま……」
 恥辱のあまり、涙目でぎゅっとスカートの裾を掴んでいる碎輝が問う。
「それはもちろん」
 霧亥はまた壁ドンし、囁いた。
「この景色を撮るためだ」
 名付けて『書架の王(イケメン美少年)が猫耳美少年メイドに壁ドンしてみた』。一部の人に需要ありそうなその動画を保存し、霧亥は空を仰いだ。
「喜べ、雨月」
 そう呟いた霧亥の目に、あのグリモア猟兵がいい笑顔でサムズアップする幻影が映った気がした。
「な、なんか……すごい、汚された気がする……」
 ようやく撮影から解放された小学生碎輝がよろよろと廃ホテルから出てくる。招き猫のメイド服のまま。だって元々着てた服解体されちゃったし。
「お兄ちゃん、怪我、大丈夫?」
 たからが心配そうに駆け寄る。
「ああ、大丈夫だけど……大丈夫じゃないっていうか……」
「よかった、大丈夫そうで」
 後半部分聞かずにたからは安堵の息を吐いた。
「怪我、大丈夫なら……これ、どうぞ」
 そしてポケットから取り出す、空気圧縮済みの寅耳フード付きお洋服。尤も、招き猫のメイド服に比べれば大分マシだった。
「!! ちゃんとした着替えあった! ありがとな!」
 ガバッと食い気味にそれを受け取り、いそいそと着替える碎輝。うん、これならまだ、普通に男子小学生っぽい。似合うか? と訊く彼に、似合う似合うと頷いたたからは、
「それじゃ、お兄ちゃん……たからとクロの間に入って」
 と自身とクロの隙間を指差す。
「? こうか?」
 促すたからに従い、真ん中に入る碎輝。
「うん、そしたらこの……にゃーていうポーズして」
 猫のように、骨の指を曲げてみせるたからに、碎輝は照れたように頭を掻いた。
「ちょっと恥ずかしいな……でも、友達の頼みだからな!」
 何より、さっきのメイド服で壁ドンされながらの全方位撮影に比べたら屁でもない。若干照れながらも、言われた通りに「にゃー」のポーズをとる碎輝。たからは自撮り棒を伸ばし、3人が入るようにしてスマートフォンのシャッターを切る。
「お友達と、双子コーデ、できた!」
 撮った写真を見、大歓喜してぴょんぴょん跳ねるたから。喜んでくれたならよかった、と頬を掻きつつ、碎輝は、
「それで、何して遊ぶんだ?」
 と問うた。戦闘前にした約束、ちゃんと覚えてた。しかし、たからはゆるくかぶりを振る。
「遊ぶのは……また今度。お兄ちゃんの怪我、治ったら……たからまた……来ていーい?」
 たからの心遣いに、微かに息を呑んだ碎輝は、ああ、と力強く頷いた。
「もちろんだ。その時はちゃんと遊ぼうな」
「うん。今度は、たからが角と尻尾のお洋服着る」
 頷き返し、たからはそっと骨だけの指先を合わせて言う。
「また今度は、お友達いてはじめてできる。だから、また今度も、嬉しいんだ。お友達になってくれて、ありがとう」
 口元を緩ませるたからに、胸いっぱいの様子で、碎輝も言う。
「ああ、こっちこそ、ありがとな」
 ここだけ見れば、やっぱり骸骨少女と竜神親分のハートフルストーリーだった。せっかくいい雰囲気で終わりそうなところを、逃げようとしたウィルを引きずってきたザイーシャがぶち壊した。
「あら、終わったの? それじゃ、次は私と『遊んで』くれる?」
 フリフリメイド服を手に言うザイーシャに、碎輝はまた絶句した。ザイーシャに引きずられながら、ウィルは両手を合わせる。
「悪い碎輝! ちっこくなったら合体させたゲリョゴンで一緒に逃げるつもりが、碎輝一人が廃ホテルに連れ込まれたんじゃどうしようもなかった……」
 あと俺もザイーシャに捕まった、とうなだれるウィルに、碎輝は、
「いや謝らなくていい! ウィルは悪くない!」
 と必死でフォローする。
「でも、ウィルったら酷いのよ。何でもするって言ったのに、私がフリフリメイド服持っていったら逃げるんだもの」
「それとこれとは話が違うだろ!!」
 頬を膨らませるザイーシャに、全力で突っ込むウィル。
「あら、何が違うの? 『何でもしてやる』って確かに言ったわよね、『何でも』って」
「う」
 言い逃れできず黙り込むウィルに、ザイーシャは満面の笑みで言い放った。
「それじゃ、『お人形さん遊び』しましょ。もちろん、碎輝も一緒によ」
「なんで!?」
「なんでって、それが今の私の『夢』だから?」
 頬に指を当て、小首を傾げて。もっともらしい理屈をつけるザイーシャに、碎輝も反論できなかった。そもそもが、碎輝が猟兵達の叶えたい夢を聞きたいと開いた会だ。その夢が叶いそうなら、応援しない道理はない。ないけど。
(「……なんでこんなことに」)
 碎輝は遠い目をした。猟兵達のカッコいい夢を聞いて、カッコよく戦うつもりだったのに。どうも年明け早々、ヤバい事に巻き込まれた気がする。
(「……まあ、でも」)
 どんな夢であっても、それを全力で追う姿はカッコいいのだ、きっと。碎輝は目を閉じて、思考を放棄した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月17日


挿絵イラスト