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君の愛馬が……!?

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #逢魔弾道弾 #断章投下後よりプレイング受付

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「た、大変です。影朧兵器が発射されてしまいました……」
 長身矮躯のバイオモンスター、ラウル・ラファーム(給仕獣・f33644)がぺこぺこと頭を下げながら、開口一番集まった猟兵にそう言った。まさしく風雲急を告げる状態。額の汗を高級そうなハンカチで拭い、700年以上も大正時代が続く世界「サクラミラージュ」に危機が迫っている。
「集まっていただいた皆さんにはとても感謝しています。ぜひ……協力してください。残念ながら僕の予知では、発射自体は阻止できそうにありませんから……」

 傷つき虐げられた者達の「過去」から生まれ落ちる、この世界のオブリビオン「影朧」。それらを贄(だんとう)に発射される影朧兵器、「逢魔弾道弾」が、幻朧戦線の構成員により放たれる。なんらかの思想に取り憑かれた幻朧戦線の行動を事前に阻止することは難しい。帝都桜學府でも対処のできない影朧の大量発生区域「逢魔が辻」は、やがて遺棄され世界に悪影響を及ぼすオブリビオンの巣になってしまう。
「逢魔が辻は人の世の夜が訪れるのが常です。着弾点からは、人が、き……消えてしまいました」
 ――ラウルの言葉には、含みのある意味があるようだ。人の世の夜、それすなわち夜の帳が下りた、というわけではないようだ。
「着弾点は郊外、畜産農村があったとされています。しかし皆さんが訪れた頃には……人と呼ばれるものは存在できない魔境と化しています。畜生か、畜生に飼い慣らされるけだもの以下の存在だけの村、です」
 犬、豚、馬……およそ思いつく獣たちが闊歩し、人はまともな服を着ることも、二足歩行で歩くことも、ろくに喋ることさえ許されない。気の毒だが、過酷で歪な変形を遂げた逢魔が辻内部を探索して、影朧の群れを探すことこそが、訪れた猟兵の急務である。この逢魔が辻を取り除かない限り被害者は増える一方なのだ。

「奥には既に影朧『いにしえの聖騎士たち』が大量発生しつつあります。これを駆逐してください」
 武具による一撃、騎馬の突進、どちらも強力無比ではあるが、恐るべきは「天馬を傷つけられるくらいなら命懸けで行動する」歪んだ騎士道だ。
 その言葉一つ一つが劣等感を刺激し、人間を「下」に見る誤った正義を説き、畜生を庇護する破邪精神を宿す。かつて羅馬で教会の守護をしていたらしいが、もはや間違った規律を施行しようとする狂信者の集団でしかない。
 もしも一度組み伏せられれば、人間がいかに弱く、愚かな存在か、滔々と語られてしまうだろう。

 聖騎士たちを退ければ、いよいよ弾丸の贄とされた、完全に理性を喪失している、影朧と対面だ。
「『わくらば小町』というそうです。自分が人であることを嘆き苦しみ、その苦しみで精神が崩壊しています」
 彼女の意思を尊重し、苦しみを和らげることで弱体化する。
 しかしその前に立ちはだかる豪脚の馬は、誰とでも「交渉」をする、性欲旺盛な牡馬だ。鞭の音一つで誰彼構わず突っ込んでくる、賢さと強靭さを併せ持った非常に強力な存在に変貌を遂げている。
 小町自身も遠隔操作で蜘蛛を操り、急所狙いを仕掛けてくる。一番恐ろしいのは、この二者が連携して襲いかかって来ることかもしれない。

「逢魔が辻が拡大する前に内部の影朧を一掃すれば、それ以上人の害になることはありません。ヒトもヒト以外も、と、区別するわけではないですが、誰かだけが存在を許される理想世界なんてものはないと僕は思います」
 あるいは、そんな思想を声高に叫ぶ存在たちこそが、世界の歪みを引き起こすのかもしれない。
 憂うラウルは猟兵たちに武運を祈ることを伝える。せめて、人らしく。彼の眼差しはそんな誇りを託して、旅立ちの前の言葉に代えていたのだった。


地属性
 こちらまでお目通しくださりありがとうございます。
 改めましてMSの地属性と申します。
 以下はこの依頼のざっくりとした補足をして参ります。
 今回はヒト息子とウマたちの禁じられたラプソディー、倒錯的な雰囲気を楽しめます。深く考えずに参りましょう。

 この依頼はセクシー系もといお察しとなっておりますので、嬉し恥ずかしダメージが多目となっております。
 あえてクールに切り抜けるもよし、ピンチプレイングを演出するもよし。仮に演出上ひどい目に合ったとしても、🔵は得られますしストーリーもつつがなく進行します。思いついた方はプレイングにどうぞ。
 基本的に集まったプレイング次第でどうとでも転がる仕様になっています。

 続いて、舞台となる村について補足をば。
 既に「逢魔弾道弾」により「逢魔が辻」となっておりますが、影朧たちは猟兵を認識すればそちらに意識を集中するため、第二章以降は救出のプレイングを盛り込まなくても構いません(帝都桜學府が裏で対応します)。

 では皆様の熱を帯びた(?)プレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『住人だけが居ない町』

POW   :    隠れている場所を探すなど、物理方面から解決策を練る

SPD   :    装置・仕掛けを探すなど、技術方面から解決策を練る

WIZ   :    転送陣・結界を探すなど、魔法方面から解決策を練る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人の世の、終わり。
 見つかれば最後、口を開けて粗相の世話し、生きながら餌となり、組みつかれれば涙を流して股を開く。若い子供は鮮血を噴き出しながら食われ、老いた翁は遊び道具として蹂躙される。高い知性と凶暴性を持ったけだものたちと、かれらに虐げられる人間たち。

 人間には蹄もなければ、牙も、爪もない。
 ただ息を潜め、伏せ、見つからないことを祈るだけの仔羊にも悖る存在。

 影朧の発生源を見つけなければ「カーニバル」は終わらない。身を隠して、村の奥に潜入する! しかし、見過ごすことのできない猟兵は、身を投げ打ってでも守るしかないかもしれない。影朧の影響で際限なく増える畜生たちの猛追を、どこまで凌げるか――。
約・契
グロ以外NGなし/アドリブ絡み歓迎/屈しない
契約:縄張りに獣を寄せ付けない
対価:獣のように縄張りを主張する
どうにか住人を助けたいと思ったけど、今回はこんな契約なのね。
つまり縄張りを伝って脱出させろってことね。
でもその方法が、四つん這いになって片足を上げて花を摘めだなんて……
お願い、あんまり見ないで……恥ずかしい……

それでも全部の獣は防げないでしょうね。
縄張りを超えてくるということは強い獣ということ。
皆、あと少しだから先に行って。ここは私が引き受けるわ。
……あれ? あの獣達、興奮してない?
そういえば、動物はこういう匂いで相手に発情するらしいわね。
この獣達も? 私の匂いで……?



 鼻息が荒い。心臓の鼓動がいつもより大きく感じる。内股になった太ももを切なげにモジモジと擦り合わせて、焦燥で汗ばんだ額に灰色の前髪がぺったりと貼り付き、ほっそりした眉が苦悶のうちに垂れた。口には羊皮紙にも似た質感のカビ臭い紙……契約書の束を咥えて唾液を染み込ませて、四つん這いに地面を這っている。

「む……ふぅー……く、んん……ふぅう……」

 約・契(スノーボーリング・f34943)は、己に食い込む衣装を少しずつずらしながら、片足を大きく持ち上げた。
 そこに向けられる視線はケダモノと、ケダモノ以下に成り下がった人間たちの食い入るもの。粘っこい舐める眼差しが、股座から浮かぶ湯気に至るまでしっかりと捉えている。

 ――つぅうッ……ぽたっ……!

 頬から汗が滴り落ちる。
 彼女が晒している媚態、奇行。これはすなわち彼女の結んだ、というよりも一方的に結ばされた「契約」によるものだ。

 ――契約:縄張りに獣を寄せ付けない
 ――対価:獣のように縄張りを主張する

 獣のように、というのはいくつか方法があるだろう。しかし巣を作るにはあまりに時間の猶予がなく、この場に止まって雄叫びをあげ続けるのは目的と反する。ならば取れる手段は、といえば……。

「(お願い、あんまり見ないで……恥ずかしい……)」

 涙ぐましい嘆願は、人の言葉を伝える権利を奪われた契には口にすることさえ許されない。
 太股の間から、すっと通った縦スジと、それを作り出している左右の肉のぽてっとした膨らみが現れた。中から赤味を帯びた媚肉が姿を見せ始めるのに合わせて、契の口から屈辱の吐息が漏れた。……やがて薔薇の花を思わせるような複雑な形の巨陰の上にある、排出口をも露わになる。排出口はひしゃげた三角形をしていて、多くの視線を向けられてひくひくと震えている。

「あ、ああ……ンうぅ……」

 隠すことは許可されていない。むしろ……涙を浮かべながらその柔肉を細い指でぐにいいんと押さえ、左右に割り開いて晒している。生暖かい外気が当たる感覚が、ゾワゾワと背中に怖気を走らせた。自分が自分でなくなってしまう、悍ましい開放感がそこにはあった。
 一刻も早く致さなければ。そう緊張して息んでみても、見られている羞恥心が募るばかりで邪魔をして、催しても放出されることがなくて。

 ――くち……くにゅッ……!

 包皮に指を添えると、力を入れて小さな肉芽を剥き出してやった。
 自分の殻を破れない契が契なりに考えた、より強い刺激を持って排泄欲を高めるという技だ。同時に、人差し指の爪の先で、排出口をぐるぐる回すように刺激していく。それでもダメならと、ヌメ光る指先を今度は己の臍にあてがいグリグリグリュッとめちゃくちゃに穿り回した。咥えた契約書に広がる滲みは取り返しがつかないくらいに唾液でびちゃびちゃになり、少しでも下腹部から力を抜けばたちまちに取りこぼしてしまいそうな惨状で。

「(ああああぁぁぁぁッ! イヤぁッ! やだっ、やだっ! で、でちゃうぅうっ!!)」

 人としての尊厳を捨て去らなければならない踏ん切りと、人々を救う使命感と、背徳的な快感と、契約ののし掛かる重責と、その全てを天秤にかけて、絶妙な均衡で、契は耐えていた。耐えてしまっていた。足先をぴんと中空へ向けて、ぶるぶる尻を揺らして、下品に、脂汗を流して。
 それでも、耐えてしまう。人であろうとしてしまう。
 全てを取り立てられ、奪われ、およそ少女らしいオシャレも振る舞いも、許されない、哀れな負債の雪達磨。四肢もろくに動かせない苦痛の渦中にて。誰かを救い、守り、

 ふと、目があった。
 年端もいかない子どもだ。無垢。この村が異文律に支配され、狂ってしまう間際の、子ども。

「お姉さん、何やってるの……? へ、変態さん……?」

「あぁあ?! アッあああぁぁぁっ! でぢゃうううぅぅぅーッ!?」

 ぶるりと契の体が震えて、広げられた股座から黄金の飛沫が飛び出した。

「うわっ?!」

 吐き出された小水は排出口を弄っていた指に当たって弾け、隠れていながらつい顔を出してしまった子どもの顔をぐっしょりと濡らした。むわんと広がる匂いに、怪訝そうに顔を拭う。それを見る目線には守ってくれた感謝だとか、慮る心だとかは一切ない。狂気にとらわれた中で見せる、軽蔑だ。人としての、守り手としての矜持を粉々に砕くにはあまりに十分な仕打ちであったのはいうまでもない。

「あ……あああぁぁぁ……」

 はらはらと地面に契約書を取り落とし散乱させて、慟哭する。それでも一度堰を切った、じょぼじょぼと流れ出す黄金水はかなりの量だった。
 その排泄ショーを前に呆然とする子ども。遠巻きに眺める、哀れな被害者たち。足元では、石砂利に跳ねた飛沫が足にかかっていた。

 犠牲を払いながら、これで、救われた、のだろうか……? 並み居る敵の全てを引き受けられなくても、これで少しは救われるものも出るはずだ。そうでなくては身を粉にして、ささげた意味がない。
 ようやく排泄の勢いが弱まり黄金の放物線が消えた頃に、契はギョッとして後背を見遣った。

 ――バウワウ!! グラァアウ!!

「……そんな、なんで……!?」

 我が目を疑い、広がっていく惨状に絶望する。
 確かに縄張りはマーキングによって敷かれる。そこに立ち入るのは弱者には許されない。だが、この「逢魔が辻」は影朧の苦しみに同調し、生存本能を極限まで活性化させた、繰り返しになるが「ケダモノ」の楽園。土台、無理なのだ。一つの縄張りなど、容易くケダモノの群れによって塗りつぶされてしまう。
 それどころか、蹂躙されるだけでは済まされない。フェロモンを漂わせる契の振る舞いは、そこに餌があることを周囲へと知らせてしまうだろう。主張した縄張りも、獣ではなくケダモノには意味をなさない。それまで眺めていた無垢な子どもも、契に後を託して逃げようとした人々も、貪られていく。人間の言葉を話したり、逃げようとする存在など――真っ先に餌として消費される存在だ。

「まさか、この獣達も? 私の匂いで……? ひゃぁぁぁんっ?!」

 悲痛な叫びが、嬌声でかき消される。
 猛犬の一匹が前触れなく太股の間に顔を入れたのだ。香しい黄金の匂いを鼻腔一杯に吸い込むと、舌を伸ばして濡れそぼった花園を舐め上げる。
 ぴちゃぴちゃとわざと音を立てながら、排出口からずらして別の敏感な箇所、そして雫が垂れている臀部の方まで舌を這わせて舐め取っていく。
 それからまた鼻先を押し付けこじ開けると、舌先で排出口を刺激して残った雫を掻き出しねぶる。さながら湧水の如く溢れる甘露を味わうように。契は絶叫した。

「あああぁぁんっ!! ぐううう! やめてぇ、は、なしてッ、せめてその人たち、だけでもォ……んッあぁああッ!」

 あるいは……恥ずかしがらず、契約を早期に全うしていれば、ケダモノを呼び寄せることなく縄張り伝いに人々を救えたかもしれない。やることが遅すぎたのだ。羞恥心を募らせ思い切りがなかったせいでいたずらに時間をかけ、周囲に芳香を撒く花弁の役割を果たしてしまった。鮮血と、饐えた臭いとが充満する絶望の輪の中で、契もまた契約書を握りしめながら、身動きの取れない獣辱を受けている。
 勝ち誇ったような雄叫びを聞いて、歯噛みし屈辱と怒りに溺れながら、悔やんでも遅い。

 あるいは、それこそが今まで望みを叶えてきことに対する、不当な取り立てなのかもしれない。絶望に沈みゆく少女の肉孔が、ケダモノの群れに弄ばれるのは、もはや時間の問題であった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
(浮遊する鬼面『凶津』と巫女の女性『桜』)

さっそく犬畜生の集団に虐げられる人間達を見つけたが。
「…私が囮になりますから、凶津はその隙にあの人達を逃がしてください。」
いけるか、相棒?
「…うまくやってみます。」
(桜が犬集団の前に現れ、囮として遠くに走りだす。)


「…くっ……いや、やめてッ!」
(しかし追い詰められた桜は犬達に包囲されその牙や爪で巫女服や下着を破かれていく。
裸で四つん這いに組み敷かれた桜は性欲旺盛な畜生と「交渉」させられる。
涙を流し股を開く桜だが、次第に快楽に流され艶声を上げて自分から腰を振り、犬畜生の欲望を流し込まれる。
その後も順番に一匹づつ相手を…)


【アドリブ、セクシー歓迎NGなし】


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、酷い状況の様ですねぇ。
急いだ方が良さそうですぅ。

【晶翼袿】を発動、『祭器の衣』を着用して飛行し、『逢魔が辻』内部の上方から、元凶を捜索しつつ奥へ向かいますねぇ。
この『祭器の衣』は『高い隠密性の付与』を行うことが可能ですから、此方から『位置がばれるような攻撃』をしない限り見つかることは有りませんし、仮に気づかれても『速度』を利用し離脱すれば良いですぅ。
捜索する関係上、色々酷い光景を見ることになるでしょうが、個別の救助より元凶を叩く方が救われる数も多いと判断、性質上攻撃位置を悟られる可能性の低い『概念崩壊域』による簡易的な排除と救助のみ行い、元凶捜索を優先しますねぇ。




 青天と宵闇がまだらになった気味悪い秋の上空、境目あたりで停止した少女は、逢魔が辻の広さを確かめるように一度ぐるりと見渡して嘆息した。
 其処彼処で聞こえる悲鳴。逃げ惑う足音。肉が喰らわれ、あるいは引き裂かれる音。唸り声に羽音まで聞こえる。一歩踏み込んでしまった以上、もはや常識は通用しないということだろうか。

「成程、酷い状況の様ですねぇ……おや?」

 祭器の衣を纏った夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、裾をはためかせながら、ぽつりとつぶやいた。
 高高度、そして時速にすれば一万キロはくだらない高速、そのどちらも一般的な動物には非常に相性がいい。スピードに加えて距離もあれば、仮に人を超えた嗅覚や聴覚があっても手出しはできないというわけだ。数多の贄が捧げられるかのように多くの被害者が出始めている。惨状に眉宇を顰めたところで……何かを目にする。超スピードの中でも、気になるものを見つけたるこるの判断は素早かった。

「どけどけどけエェエエエ!!」

 一般人と思しき存在に抱えられた、面である。
 ぞろぞろと逃げる一団の先頭が、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)だと気づいたるこるの行動は素早かった。

「見つけた以上、手助けいたしますう」

 ぷるぷると柔体が震えるように見えれば、その姿は再び高い隠密性をもってかき消えて、一団のすぐそば、少し高い建造物の上に陣取った。

「おわ?! なんだ止まれッ!」
「此処を戦場と定めましたら、大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて――!」

 追い縋るケダモノたち、そこに起きる異変。
 今にも一団の最後尾に食らいつかんとするケダモノが――足先からサラサラと砂化して消滅していくではないか。まるでこの場に存在を許されなかったモノが、キャンバスから消しゴムで抹消されてしまったような不自然な倒れ方である。倒れたどころか確かにいたという痕跡すら残さず綺麗さっぱりだ。
 慄きと共に取り落とされて地面に伏していた凶津は、ふと我に帰ると助太刀に声をかける。

「オウオウオウ! 結構やるな、俺ほどじゃあないけどなッ!」
「ありがとうございますう……この術式は敵味方を判別しますから、人間でないモノを排除するよう定めればよいわけです。解釈は多様ですがここにはヒトはいない触れ込みでしたから、相性がよかったようで一安心……といったところでしょうか?」
「ムッ、思ったより無茶苦茶しやがる……」

 猟兵と一口に言ってもその力は千差万別。
 凶津をしてこれほどの神の加護……神通力のようなものを操る術者はそう挙げられるものではない。仮にこれが神の加護だというのであれば、人やら何やらを超えた上位種としての、生物の格を感じずにはいられないだろう。少なくとも逢魔が辻に巻き込まれた一般人たちは皆口々に畏敬の念をありありと示している。涙を流して喜ぶ者もいる。「気が早いですよお」と声をかけても気に留めない。
 いずれにせよ、この混沌とした場において、敵味方を正確に区別し戦況を把握できる存在はありがたい。凶津も凶津で次々に追い縋ってくるケダモノにいい加減辟易してきたところだ。誰にでも力を貸せることと、誰でもいいということはイコールではない。彼がソワソワする理由もそこにある。

「なア、オイ、その、どうなんだ? 今のところはよ」
「ざっと戦場を見て回りましたが、残された時間はあまりないかと。各地で押され気味になってるようですねえ。私の方も見かけた方は支援していますが、やはり大元の影朧……贄とされた」
「ああ、なんかいたな、あったなそんな話! ヤっちまおうってのか! そうだなできれば早い方がいい。善は急げって言うだろ? なぁなあなあァア!?」
「そ、その通りですう」

 ……このまま祭器の衣を被って消えてしまいたい衝動にじわじわと駆られながら、るこるは凶津を拾い上げて、避難民たちを誘導する。
 情報交換だって必要だ。少しばかりの立ち往生であれば、場を気取られて反撃されるリスクも少なくて済む。
 そこで作業に勤しみながら二、三会話を交わした。主題はこの場にいない人物――神代・桜の話だ。UDCアースの巫女で、歳近い彼女のことを凶津は妹のように思っている。何より桜のことを信頼していた。逆境でこそ輝く胆力、機転。凛としてくすむことのない美貌。しなやかに鍛え上げられた肉体。憎まれ口こそ叩けど互いに互いを信じているのだ。

 ――うまくやってみます。
 去り際彼女は涼しげな顔でそう言ったのだ。そして別れた。ならば任せてやるのが相棒の役目。そこを疑うなど野暮にも程がある。

「だがなァ……?」

 るこるの戦況分析は、受け入れ難いが、それもまた目で見た真実だろう。……念には念を、気を使えるのも良き相棒の要素だろう。

「あんた、桜って女見つけたら手助してくれるよな?!」


 悪い予感というのは、どうしても良い予感よりも当たりやすいもので、凶津の胸騒ぎは最悪の形で現実になってしまう――そう、最悪だった。

 逃げられずにいた桜は今も、上体を泥床に投げ出し、尻を高く突き上げた体勢だ。身に纏っていた衣服はとっくに失い、いっそ裸でいた方がマシに見えるほどの惨憺たる有様を晒している。下腹部には、隠れてよく見えないが、跨る中型犬の剛直が突き刺さったままだった。
 中型犬は、為すべきを為して満足した後は急に大人しくなった。体を百八十度回転させると、桜と尻を合わせたままじっとしている。
 媾いの結果、尋常ではない量の白濁が体の中に、どぷどぷどぷと注がれたが、逆流して漏れ出すことはない。犬自身の基部に生じた瘤状の部位――所謂亀頭球が肉と肉の接合部を塞いでいるためだ。より多くの子種を雌の内に留まらせることで、絶対に孕ませようとしている……これはケダモノの習性だと言える。人間の体で耐えられるものではない。肉が限界まで薄く引き伸ばされた感覚が気だるい。ぼたぼた、と。滴る汗も滝のようだ。
 
「はぁーっ、はぁ!っ、ぜぇーっ……!」

 広げられたままの下口が苦しげにヒクつき、下腹部は妊婦のようにぽっこりと膨らんで、身動ぎするだけで強い圧迫感が絶えず襲ってくる。膨らんだままの剛直が、鉄杭の如き存在感を下腹に与えていた。
 ……それでも永遠に続くかと思われた、抽送運動が止まりほんの少しだけ痛みが和らいだことによって、桜はやっと理性を取り戻しつつあった。
 逃げなければ、逃げて回復しなければ。

「交渉が……こんな野蛮な……」

 悔しげに漏らす。言葉の通じない雌雄が、上下の力関係を交渉するとなれば、これしかなかった。少し考えればわかることだった。

「はやく、ぐ……ぁ、凶津……っ!」

 手にたまたま掴めた中型犬の尾を無理やり「引きちぎる」と、悲鳴をあげる犬の胴体を強かに蹴り上げた。それはすなわち栓になってた犬自身を無理やり引き抜いたことになるわけで。
 むりゅりゅりゅっと秘処から飛び出すのは、もはやなんの液塗れかもわからぬ内奥の中で湯気立つ程に温められた淫蛇。そしてドロドロとした白濁だ。その衝撃に、桜は下唇を噛んで悶絶した。

 ――ぶりゅりゅ……ぶりゅっ。

 響くのははしたない粘音。それに混じって解放感に気を許したか、ぷすんと気の抜けた音までする始末。それが静寂に沁み渡るようで、羞恥をより鮮明にする。吐き出されていく、どろどろとした白色の泥濘。きゃうんと逃げ出す犬には目もくれず、なんとか壁に、血まみれの手をついてよろめいて立ち上がる。

「う、ぐ……ううぅっ……ぜぇーっ……!」

 振り解いて、それで一難去って、ということはない。むしろ逆だ。いきのいい餌を前にして、猛犬たちはいよいよその欲望を滴る涎と、舌と、牙と、下腹部に集中される。どくんどくんと血流が熱り勃つ……!

 桜は包囲されていた。逃げてる最中に中型犬に追い付かれたのではなく、十重二十重に囲まれて、武器も服も、抵抗する体力も奪われ、生きながらに食われるのを待つだけの身なのだ。
 やがて、幻視した未来が現実になる。

 ――バァうわう! がグゥ!!

「…くっ……いや、やめてッ! あっぐっ……!? ううぅぅ……!」

 そこにあるのはもはや清純な巫女でも、相棒と共に外敵を誅する剣士の姿でもない。艶声を上げて欲望の漂わせる顔に瞳を潤ませる、犬畜生の「吐口」だ。
 先端の亀頭部分は少し尖っていて、雁首が無い。かわりに、まるで剥き出しの内臓が晒されているかのような、圧倒的な生の奔流を感じさせた。自分は、またこんなモノに犯されるのか。桜は絶望に瞳に暗い色を落とし、そして……。

 ――ズプププ……ズンッ!!

 先ほどの犬よりも一回りも大きい大型犬が、桜の抵抗などまるで気に留めず、一息に挿入した。
 
 桜は、喜悦に虚な瞳に危なげな光を灯していた。

 大きな塊が、無理やり胎の奥へ奥へ侵入してきた。肉が捲れる。下の口が裂けそうなくらい広げられる。どれほどの逸物であれ人間相手ではこうもいくまい。この、肉を遠慮呵責なしにゴリュゴリュッとかき分けられる感覚に病みつきになってしまえば、そしてそこから「逃れられない」という絶望を口にしてしまえば、あとは、お終い。高潔ぶろうとしたとして、どんな尊厳も粉々にされてしまう。何も思い出せないし、思いつかない。快楽のスパークが明滅し、まぶたの裏を灼いては、痙攣に似た動きで、更なる快楽を嘆願する。
 内部からぐりぐりと壁を抉られる感覚、白濁をかき混ぜられる感触、舌を突き出していれば、そこにも別の大型犬が群がり、遂には辛抱できなくなった群れが一斉に、全身の汗だけでも舐めとろうと殺到する。全身に甘露を纏うように、フェロモンとメス臭い獣臭を漂わせて、髪を振り乱して。
 桜は涎を垂れ流し、歓喜に震えていた――今日は記念すべき日だ。相棒を名乗れなくなってもいい。そんな快楽の怒涛の中で一匹の牝犬が生まれた日。

「あ、が……ァ……も、もっと……もっとくださ、ひぃいん……ッ♪」

 るこるが駆けつけた時、そこにはもはやただ一人の人間すら、いなかったのである――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

螺旋・咎大蛇
【アドリブOK・脱ぎNG】
彼らの命を救う方法は元を探すほかないか…
ならば私は彼らを放っておいてでも進むべきです。
しかし…

【虐げられようとしている人間に対してしかめた顔でそれを眺める。】
獣は人畜無害でなければ魔物に同じ。
邪魔するならば切って捨てます
【襲いかかってくる獣の攻撃はガードし、カウンターを返す。】

ちっ…!
【今獣に殺されそうになっていた人を見つければ、それをかばうように攻撃を防ごうとするも】

ごはっ…!!
【馬の後ろ蹴りを鳩尾に食らって吹き飛ばされる。】
はっ…うあっ…!
【胸に突き刺さる剣を弄くられると激痛が走り、全身の力が抜けてしまう。】
【もしそれがバレてしまえば、彼女は存分に嬲られるだろう】



 人は愚かだ。

「違います」

 数ばかり多くて、救いようがない。

「違う、違います」

 ゆえに彼らを救うことに意味はなく、放っておいても結果はかわりなく、己が使命に関与するものでもない。

「……ッ、わかっています」

 因果関係はそこになくても、顰めた顔でその光景を目の当たりにして、許せるはずがないだろう。
 螺旋・咎大蛇(邪悪なる龍だった少女・f28038)は、異形の竜神は赤髪をたなびかせて宙空を舞う。己が名を冠した「咎大蛇煉獄剣」に血を吸わせるために。語りかけてくるような邪な想念を、一緒に斬り払うために。

「これが、私の答えです。さあ行って!」
「……ぁ」
「はやくッ!」

 私は彼らを放っておいてでも進むべき、そんな正論が鎌首をもたげる。斬っても振り払えるものではない。事実その通りなのだから。襲われていた人々の一団を庇うように動いたところで救える数など高が知れている。半無限に湧いて出るケダモノたちと違い、人々はほとんど手負いか精神的に強いダメージを受けている。

「でも、それだけではありません。そうでしょう?」

 自問自答する。迷いは晴れた。例え全てを救えなかったとしても目の前の命を無碍にすることを、正義の行いに反することを咎大蛇はできない、それが唯一の答えだ。
 しゃにむに斬り捨てると、遠巻きに眺めるケダモノたちに睨みを効かせる。基本的には攻めの守勢だ。獣は人畜無害でなければ魔物に同じ、ならば対処法も群れに対するそれと同様である。包囲が狭まるようなら、襲い掛かってくるものに意識を集中して斬る。力尽くで屠る必要はない。向かってきたものの勢いをそのまま使って斬る要領だ。

「……どうしました? どこからでもかかってきなさい」

 しかし、消耗を嫌がっていることをケダモノたちは察している。彼らの知能は極めて高く、かつ狡猾な方向に発達している。アイコンタクトと奇妙な雄叫びで連携すると、咎大蛇という極上の獲物を狩るべく行動を始めた。

 ――バフっ、グルル……グォオォォッ!!

「う、うわぁああ?!」
「ヒィイイイ?!」

 狙うは弱い存在から、それが野生の鉄則。己が食い扶持を確保するためにも、戦闘能力も身を守る手段もないものを狙うのは当然、かつ有効な戦術だと言える。
 逃げようとする者の背中に食らいつくケダモノ、そこに間一髪割って入る。

「ちっ…! 畜生のくせに頭を使う!」

 無理な体勢のまま斬り上げを行い、なんとか迎撃したものの胸の下あたり、鳩尾が晒される。あまりにも決定的、かつ致命的な隙だった。それを見逃す知性ある獣たちではない。

 ――ずんっ……!

「がッ、ハッ……!? げええエッ!?」

 後ろ足での蹴撃だ。咎大蛇の体が深い「くの字」に曲がった。内臓が圧迫されて胃が持ち上がり、腹の中のものを戻しそうになる。
 逃しきれない凄まじい衝撃が臓腑を突き抜け、背骨が折れたような悍ましい錯覚に陥る。メキメキと体が音を立て軋んだことは疑いようもなかった。
 そこに現れた別の一体の馬が、今度は上から踏み潰すようにして、容赦なく足の蹄を落とした。

 ――メリメ゛リ゛メギ……ッ!!

「ぐああああッ?!」

 その体重、およそ四百キロ。全体重が、咎大蛇の柔らかな腹部にかかる。無輪少女の姿なれど正体はヒトと異なるもの、そのままひしゃげることこそないけれど、与えられた衝撃には当然反応してしまう。
 知性はあっても理性はない。ケダモノたちは狂気に爛々と目を輝かせると、まるで何者かの意思に突き動かされるかのように、強烈な敵意を一点に向けた。
 蛇之麁正(アラマサ)。大蛇のアラマサといえば神話に伝わる天羽々斬剣であるが、これは封印剣である。ゆえに鞘がわりに咎大蛇に突き立っており、自他共に認めるリミッター装置としての役割を果たしている。すなわち、弱点。彼女の肉体を破壊したいという狂気に染まったケダモノたちは、喰らうでもなく、ただ痛めつけるために行動する。
 狂気にして邪気、破壊の怨念とも言えるものが、咎大蛇に襲いかかるのだ。

 ――グリッ、ゴギュッ……!

「あっ、ぐがっ……ぎゃあああアッ?!」

 脳の神経が激痛でショートする。断末魔にも似た悲鳴が響いた。今度は肉体そのものではなく、突き立った剣に向かって蹄を落としたのだ。効果は覿面だったようで、明らかに様子の違った苦しげな表情に、馬は満足そうに嘶いてみせる。
 振り解こうともがいても、己では触れられない。やむなく馬の足を掴もうとして、飛び出した数匹の犬が、腕と足にそれぞれ噛み付いた。バヅッ、ブジュと嫌な音を上げて、血飛沫がさらに広がる。

「離して……げ、ッは、はなせ……はなっ」

 ――ゴリッ、グシャァッ……!

「あぎッ!? ぎああ?!」

 踏みつけた蹄に力を込める。ぐりぐりと踏み抜かれると、びたんびたんと状態を跳ね上げて苦痛を訴えた。地面に磔にされ、徹底的に苦しみを味わう。燃えるような痛みと同時に、心の臓が冷たくなっていく、不快で不安な感覚が体を支配していた。力が入らない。抵抗できないことが、こうも己の心を弱くさせてしまうものなのか。激痛だけがじんじんと絶えず伝わってきて、そして。

 ――ヂョロッじょろロロ……。

 ついにケダモノの前で失禁してしまう。極度に弛緩した体は、堪えることができなかった。絶望に塗れた心身では屈辱に塗れながら盛大に黄金の池を作るだけだ。痛烈で背徳的な解放感に、思わず大きく息を吐いた。

「はぁーっ、はぁーっ、ふぅぅ~~ッ……! ううぅ……ぐ、ギッ!?」

 頭を踏まれる。
 二匹目の馬がぐりぐりと赤の髪を踏みにじる。遅れを取るはずのない野生の獣が、まるで絶対者のごとく咎大蛇を見下ろしていた。
 原型が残っているのが不思議なくらいに強く踏みつけられ、脳で処理しきれないほどのダメージを負い、踏み躙られ、涎と血と、黄金水を垂れ流して。

「ゆ、許しません……ぜったいに!」

 ――ぐりっ……ズムンッ!

「か、はっ……!? ふあっ、グう?!」

 天を向いて激しく嘔吐く。無理もない。死にかけの虫のようにピクピクと震えている、生理現象で浮かんだ涙で滲んだおぼろげな視界が、血のように真っ赤に染まっていた。
 胸に突き刺さった剣がこれほど憎らしく感じることになるとは。いっそ引き抜いて、清々しい心地と共に己の衝動に従えば。

「わ……私の」

 ああ、人は愚かだ。

「私の正義は、折れません……! いかなる理由でも、私は悪に屈することはありません!!」

 ケダモノたちは、それを聞いて、嗤った。そこまで高尚な感情の機微はない。正しくは、快不快のベクトルが不快に振り切れたのだ。
 ……さらに責めは凄惨さを増し、吐いた言葉を飲み込む暇もなく、弱点である剣をぐちゃぐちゃに弄られた。庇った人々はなんとか逃げおおせただろうか。彼女が守ったものは大きい。そして、大きな手傷と共に失ったものもまた、多大なのだった。

「ぐぎゅっ、ぎゃっ……!? ガあッ……ぁあぁア゛ッ゛?!」

成功 🔵​🔵​🔴​

フォーネリア・ディヴィヤトリウム
この身は供犠の巫女なれば。無辜の方々への無惨極まる行いを看過できず、己を身代わりに捧げます

…そのためには、獣たちの前で示さなければなりません
この身が、けだもの以下の存在であることを

獣たちの前で一切の衣を捨て、三つ指をつき、額を地面に擦りつけて赦しと慈悲を請います
どうか、どうか。この卑しき雌に、逞しき雄であらせられる皆様がたのお慈悲をお恵みくださいませ、と。
高く掲げた尻を振って周囲を【誘惑】し、あらゆる雄への屈伏と隷属を全身で示します

そうしてこの身のすべてをもって暴虐を受け止める間も、誘い寄せられる限りの数の獣たちを私へ集め続けましょう
…この身が、保つ限りは。
(NG無し・アレンジ歓迎いたします)



 雄叫びが聞こえる。嘶きが聞こえる。その一つ一つの音に、びくっと腰を震わした。

「ハッ……ハッ……」

 下を向いたまま、フォーネリア・ディヴィヤトリウム(群青疵鱗・f05553)は荒い呼吸を繰り返している。身長170センチはあろうかという長身の美女。顔を超えるほどの大きな双房。憂いを帯びた色気のある眼差し。それでも、羞恥は終わらない。むしろこれは始まりに過ぎないのだ。
 内股になりながら大事なところが見えないよう、片手で器用に下着をずり下ろし脱いでいく、その恥辱に塗れた表情は、ケダモノたちの嗜虐心を一層煽った。
 左手で両胸、右手で股間を隠すフォーネリアを涎を垂らしながら視姦する。もはや抵抗する意志など微塵も見せてはいない。だのに、次に行われる行為を今か今かと待っている。ケダモノたちからすれば、他の誰でもいいのだ。人間など餌であり吐口でしかない。どれもこれも須く価値がない。
 それを「己を身代わりに捧げます」と悲壮な決心を胸に、囮となったのがフォーネリアだ。この身は供犠の巫女――強い使命感に駆られた彼女は、他者の苦痛・穢れを己が身へ『封ずる』ことのでかこる体質を生かし、その苦しみを少しでも癒そうとしたのである。敵対しているのが、その見上げた高潔さを嘲笑うことしかできないケダモノたちなのが一層の哀愁を誘う。

「どうか、どうか。この卑しき雌に、逞しき雄であらせられる皆様がたのお慈悲をお恵みくださいませ」

 絹の如き美しい髪が地に落ち、頭を下げるのに邪魔な程に大きい胸が膝に押し付けられてむにゅうと歪んでいる。視覚的な暴力が、尊厳を地の底まで貶められる悲壮さをさらに際立たせる。
 頭の中がドロッドロに混沌としてうまく考えがまとまらない。村一つの人間が、人間であることを放棄するほどの苦痛を一身に受けようとすれば、常人なら数秒ともたず廃人と化すだろう。フォーネリアはその身を捧げることを心魂に徹している。

「ふうぅうう……ご検見ください……くうっ」

 与えられた苦痛の量が多すぎてすぐに中和できず、交感神経が暴走している。少しの羞恥心で熱にうかされたかのように変じてしまうのに、さらに己の指先で羞恥の傷痕を広げている。

 ――ぐにぃいいい……くぱぁ!

 己が肉襞を、陰唇を両側から摘んで広げるような形で外気に晒していく。村にいたケダモノと、ケダモノ以下の身に堕とされた人間が、かつて広場だったらしい空間に集められ、フォーネリアの破廉恥な「ショー」を悪意と憐れみのたっぷり詰まった視線で見つめている。
 ぽたぽた、と淫蜜が滴り、ムワとフェロモンたっぷりの熱気を発して、顔面を紅潮させている。それでもまだ足りないと自認したのか、高く掲げた尻を振って周囲を誘惑する。人として、という次元ではもうない。牝として、生物として、あらゆる雄に対し屈服隷従した、求愛行動である。一刻も早く子孫を残したいという、生物の根源的な欲求を、尻振りに込めているのだ。
 悲しいやら悔しいやらで、考えがただでさえまとまらない状態にも関わらず、自分の衝動も制御でかない。ただ今は、受けた屈辱を毒として中に蓄積し、怨敵にぶつけるという一心のみ。牙の一本さえ残っていれば食らいついていける。

「私は……あぁ、いけません……み、皆様に、孔という孔を捧げます。どうかお恵みください……」

 その言葉を皮切りに、犬や馬、豚、そして猿までもが雪崩れかかるように、一糸纏わぬフォーネリアに組み付いた。全身をベロベロと舐めるのは序の口、責め苦は当然「交渉」によって果たされる。

 ――どすん……っ!!

「あがあああ?! ふ、かいいッ?!」

 犬や豚の持つ剛直は、一般的に人間のそれより長くとも細い場合が多い。それは勃起していても同様だ。自然、無理矢理に突き入れられては(といっても自分で広げて受け入れる体勢をキープしていたが)最奥に易々と届いてしまう。人間相手では届くことのないであろう、女の窮屈の中の最奥部。

「あがっ……いっぎ……! ぐ……ふあ、ァン!」

 体内で肉が引き裂かれる嫌な感触がまざまざと感じられて、狂気的に喘いだ。
 その感触とは別に肉と肉の間にその身をすべり込ませ、何かを狙うように先端を擦りつけてきた。窄まり、不浄であろうともケダモノたちには関係などない。これほどまで「おあずけ」を食らった獣に、もはやどこの穴だとか順序だとか、そんな理論が通ずるはずもないのだ。

「いっ……やあぁぁぁ……おぐぅ?!」

 メリメリ……と、閉じていた窄まりが無理やり拡張され、気を抜くと括約筋が音を立てて切れそうだ。受け入れる形になっていないそこは、秘処とは別の窮屈な圧迫感と痛みを断続的に与える。ずっちゃずっちゃとリズミカルな抽送運動を始めれば、フォーネリアはぞわぞわと快楽の甘受を余儀なくされて。

 ――プツっ! ギリギリギリギリ、ギチッ!

「は、ぐぁ?! は、や、なあッ?!」

 頓狂な声で、己が出したとは信じられないような悲鳴で我に帰った。猿が、懐から棒手裏剣「陰菱」を掠め取ると、それをフォーネリアの小水の排出口に突き刺したのだ。
 さらに別にもう二匹が組み付いて地面との間に割って入って、胸の先に噛み付いた。

「ふごっ……!? おっご……ごおお?!」

 口内いっぱいに生臭さが広がる。
 一体何が起こったのか、またも理解できなかった。
 豚の腹のようなものに視界を塞がれて、いよいよ脳が理解を拒み始める。唇が限界まで広げられて、閉じることもままならない。さらには髪や全身に同じものが擦り付けられる感覚。鼻や耳、臍に至るまで、穴という穴目掛けて小さなケダモノが群がってめちゃくちゃに弄り始めたのだ。喉奥を強く叩かれる感覚に目を白黒させていると、その目もベロベロと舐め回された。

「がっ、じゅぱっ、ボッ、ヴげっ、ごぷっ、ごっ……?!」

 豚の抽送も遠慮がなかった。喉どころか食道までも犯すような凶悪すぎるストロークに、息も吸えない。同時に脳の近くでぞわぞわと不気味な音が反響し、ぶぢゅぶりゅと気味悪い白粘液を注がれていることが伝わった。

 ――グリッ! ずぼぼ、ズルぅ! ぶっぢゅ、ぐぼ!! どぷどぷ……バヅン!!

 音音音苦痛音、苦痛苦痛苦痛、視界が時折明滅しては、視界に赤い電流が走る。
 濁りかけていた意識もまた、排出口に痛烈な感覚が走るたびに覚醒させられ、休息も気絶も許されない。衝撃と汚辱感が拭いきれないほどの重圧としてのし掛かるのだ。なんて恐ろしいのだろう。なんて悍ましいのだろう。それを自ら望んだのは他ならないフォーネリアであり、これは報いだ。

  ――びゅるっ、びゅるるるっ! びゅるううう!

「おっぷ……! ご……ぐう……!」

 腹部がむくむく膨れ上がり、妊婦のような腹に変容していく。全身の穴に許容量を超えた白濁を注がれたら、いかに普段端正な顔立ちでいようと、両目が半分ほど白目を剥く。この上さらに苦痛を重ねられては、もはや抵抗などできるはずがない。
 群れは二重どころか十重にも包囲し、ケダモノにしては恐るべき整頓された輪で、供物に欲望を吐き出すタイミングを待っている。次は噛みついて生存本能を活性させてみようか。締め付けもより厳しくなるに違いない。大型犬や馬は踏みつけにして足跡を残そうと躍起になっている。猿たちは盗んだ棒手裏剣を、次はどこの先端に刺そうか小躍りしている。 

 びくびくんと尻を突き出し、白濁の沼に溺れるフォーネリアが、ケダモノたちが次に何をするのか、聞いて理解できなかったのは、唯一の幸運だったかもしれない……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アナスタシア・ムスハルト
アドリブOK

だんどうだん……よその世界にはすごいのがあるのねぇ

四つん這いで探索……うーん、窮屈
草むらに隠れて見ててもよく分からないわねぇ
小柄なドワーフだから目立たない……はずだけど、嗅覚で豚さんに見つかっちゃう

私の身長96cm、豚さんの全長100cm少し
のしかかって組み伏せて来るのにちょうどいいサイズ感
小さな雌穴を穿孔して、最奥まで抉じ開けられちゃう
ここの理に従って従順に腰を振って、人間とは比べ物にならない量の子種を子宮に注ぎ込まれる
他の豚さんも集まってきて次々に使われちゃう
動物の相手は久しぶりねぇ
荒々しさが気持ちいいわぁ

仔豚さんも寄ってきて、母乳を吸われちゃう
二つしかないから順番よぉ


篁・綾
アドリブ歓迎。分身には鼻フック以外は何をしても可。本体はまだ脱がせる程度までに。

異国の御伽草子に似たようなものがあったわね。…まぁこうはなっていなかったけれど。
指定UCを発動。分身を周辺へ散らせて多少の被害救済を。
分身達は幾らかの獣を襲撃させ逃亡、それらを【おびき寄せ】、【誘惑】した上で逃げ回らせましょう。
効くなら幻、【催眠術】も駆使して撹乱するわ。
屠殺は…気乗りしないし、ヒトを巻き込んでもアレだから…。
分身を生贄にしてお茶を濁しましょう。
減らしてもすぐ補充されそうな気もするのよね。


ともあれその間に【第六感】を頼りに【闇に紛れ】調査を進めましょう。
高所があるなら高所からでもいいけれど。


郁芽・瑞莉
アドリブ歓迎

八咫烏を複数放って状況を把握しながら移動。
見つかりそうな人は声を掛けて、誘導・避難を。

道中、どうしても誘導中に遭遇が避けられない場合や、
隠した後気づかれない為に身を以って囮で遠くへ。

獣たちの瑞々しい雌を犯す為の狩りの始まり。
発情した獣の猛々しいモノから垂れる濃厚な涎、
雄の匂いは媚薬の様に徐々に雌を狂わせていって。
いつしか熱い吐息が漏れ、胸の先端は尖り、蜜壺からは熱い蜜が。
気づけば袋小路。
引き倒されて四つん這いにされると、
逃亡中に魅せられガチガチになったイライラ棒を入れ、
分からせる為の激しい突き込みに止まった途端の叫び声と濃厚大量白濁液。
屈服した雌は次を求めてお尻を振ってアピール♥




 豚という生物は他の生物に比べて発情しやすい気質とされ、海を渡ったとある国では犬相手に発情し交尾をしたという観察事例も報告されている。雄汁は一度の行為で牛乳瓶一本分くらいを放出する。逸物はコロネパンのような、捩れた形をしており、それでいて鉛筆ほどに細い。
 逢魔が辻に異常発生したケダモノたちは知力と性欲が発達しており、獰猛さと狡猾さを併せ持って一度餌を見出したら集団で吐口にしようと襲いかかってくる。身を守る手段がなければお陀仏、仮に応戦しても影朧の発生と共に半無限に湧き出し、数が減ることを恐れない。

「だんどうだん……よその世界にはすごいのがあるのねぇ」

 ずりずりと、這いながら独りごちるアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)。
 草むらにじっと息を潜めて、気配を殺し様子を見る。ここで鬨の声を上げて斬りかかるのも一考したが、まとめて一網打尽にされるリスクがある。自身の小柄な体躯を活かした隠密が今は吉。

「はぁはぁ……くっ、ただのケモノと侮ったつもりはなかったのですが……万事休すでしょうか」

 視線の先、飛苦無の一本だけを逆手に構えて、郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)は迫る豚たちに追い詰められていた。式神を放って戦場を俯瞰していた彼女がこう易々と追い詰められてしまったのは、あえてケダモノたちは密集した箇所を複数作って避難民たちを襲撃したためだ。多面的に壁のように展開すれば、穴を作るために囮になるしかない。瑞莉は動物らしからぬ策略にまんまと嵌められ、武器と式神を失い、ボロボロの状態で今まさに組み敷かれようとしている。

「影朧の発生地点は……聞いても答えてくれなさそうですね。かわいそうですが手加減はできませんよ」

 強気な言葉で己を鼓舞するズタボロの瑞莉。しかし、その目線の先には、瑞莉の肢体に魅せられガチガチになったイライラ棒を見せつける雄豚たち。フガフガと鼻を鳴らすその姿に、ごくりと生唾を飲み込んだ。

「いけません。アレは罪なき動物たち……あぅ?!」

 豚がけたたましく鳴いた。すると、何頭もの豚が一斉に瑞莉に襲い掛かってきた。無論、豚たちの目的は瑞莉の股座、そこから発される淫臭めいたフェロモンである。発生源に己が逸物や舌を捩じ込もうと押し寄せる姿は、恐怖以外の何物でもない。
 そこで怯んでしまったのが瑞莉の失敗。物量差を覆すことはできず、引き倒されて四つん這いにされてしまった。

「そこまでよ」

 宙を舞って飛び込み、一つの影が群れの怒涛を食い止めんと颯爽舞い降りる。高所に身を隠していたのだろう篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)が、豚の何匹かの首を蹴り、卒倒させた。
 そして切れ長の赤い瞳が瑞莉と、そしてアナスタシアを見て取ると、アイコンタクトで訴えかける。頭数を一旦減らしてもすぐに補充されそうな気がする、と。実際その推察は正しい。
 綾個人としては、屠殺も気が進まない。瑞莉の心持ちとしても同様だ。アナスタシアも頷くと半身を上げて、飛び出す準備だ。三人の思惑が一致し、いざ目的へ向けて一目散にと、踏み出したところで。

 ――プギィぃいい! ブンギイイィい!!

「なっ……?!」
「えっ、ううん……!」
「ふ、不覚ッ……」

 何もなかったと思われたその箇所から、さらに有象無象の豚が現出した。もはや理で考えられない怪奇現象の類いに近い。
 体重はそれぞれ二百キロに近く、それらが不意をついてのしかかってくれば相当なプレッシャー。多かれ少なかれの各々の警戒を潜り抜け、ずん! ずんっ! と次々組み伏せられていく。

「んうぅ、そんなに嗅がないでぇ……」

 べちょっと頭に豚鼻を添わせ舌で撫で回されると、ゾワゾワと鳥肌が立ってアナスタシアの金の双眸が潤む。四つん這いに地面に組み伏せられるには体格的にも都合が良く、これから豚に犯されてしまうのだという覚悟と焦燥感が身を強張らせる。

 ――ギリッ、ギチッ……!

「はぁうッ?! お、むねぇ……」

 ぺたんぎゅむと地面に潰されるように形を変えていた双房が右と左にそれぞれ先端を向けられて、子豚がそこ目がけ齧りついてくる。じゅるじゅると音を立てて吸い上げれば、子豚たちが己を親だと勘違いしているのは瞭然だった。歯を立ててぎちぎちと両側から引っ張られる感覚。肘から先が力が抜けて、秘めた情欲の炎が今にも燃え上がりそうになる。

「やッ、二つしかないから順番よぉ……おおん!」

 舌で桜桃を転がしながらしゃぶるように吸引する。じわと白い芳醇液が浮かべば、やはりか、と子豚たちはぷぎぷぎ鳴きながらさらに乱暴に吸い上げる。
 アナスタシアの透き通るような玉肌にみるみる歯形と赤痣が浮かび、特に先端は腫れるかのように固くしこって何度も何度も執拗に噛みつかれる。切なさに眉を顰め引き剥がそうとしても、一度吸い付けば千切れかねない万力の如き噛み込みで、手の打ちようがない。それでも生理現象でミルクはぷつぷつと湧いて、それを舐め吸われると、下腹部からお腹にかけてドクンと血流が集まって熱くなる。

「動物の相手は久しぶりねぇ……荒々しさが、き、気持ちいいわぁ。くぅ……ンッ」

 母豚として認められた以上、次に待ち受ける光景も容易に想像がつく。下着についた滲みが、どうしようもなく燃え上がる淫熱を予感させた。
 一方で、自分が豚であると認めたくないものもいる。

「この……っ、私は狐! 豚なんかとぉ!」

 纏った衣を齧られてドロドロにされながらそれでも両胸を覆うようにして守って、涙目で抵抗する綾。

 ――べろんっ、れろ、ぬるん、べちょっ……ずぢゅ!

「あッ?! うそ、尻尾、舐める、なぁ?!」

 尻尾を舐めるどころか己が逸物を擦り付けるようにして、毛並みを堪能する。ピンと立った狐耳にも、別の群がった豚たちがフガフガ鼻を鳴らして、見聞するように様子を窺っている。自分の所有物であると豚同士が主張し合うように、自分の臭いを擦り付けようとぎゅうぎゅう密着してくる。
 普段漂わせている桜の花の香りが、獣臭さに蹂躙されていく。長い黒髪も自慢の尾もギトギトした我慢汁を塗りたくられ、晒すにはあまりに惨めな様相となっている。どこで道を間違えてしまったのだろう。どんな選択をすればよかったのだろうか。絶望に打ちひしがれヒィヒィ情けなく舌を突き出しながら、涎を拭ういとまもなく、肉まんじゅうと化した豚の密集から逃れようと身を捩る。
 視線の先にいる瑞莉は、いよいよグロッキーな状態だ。豚同士の隙間からしか及び知れないが、一際大きな豚に上乗りされた彼女は、そこかしこを齧られたのか全身の至る所に血を滲ませている。
 熱い吐息が漏れ、胸の先端は尖り、蜜壺からは熱い蜜が滴る。痛み、苦しみ、圧迫感、疲労、その全ては時に極上の快楽と紙一重だ。瑞莉がもし今鏡を覗き込んだら、豚の娼婦のように媚びた笑顔を浮かべる姿に、自ら絶望感に落ちるに違いなかった。

「う、うそでしょう……まさか本当に、ああっあ、あ……あぁ」

 ――ズジュボッ!! めりめりめぢッ!!

「んんんひぃぃぃ!! いくイックぅ!?」

 細長いドリル状の剛直は容易に女体神秘の入口を抜け、内部に到達した。そして抽送運動をしながら、螺旋を描いてグルグルと暴れ回る。

「だめだめっ、そんなにッい動かないでぐだぁぁぁっぁあ!! まだイッ、も゛ッ゛いっでます゛! いっでまずからぁ、一回止まってぇぇ゛!!」

 内部をゴリゴリと奥深いところまで、削るようなエグい角度で貫かれれば、今までに感じた事のない感覚に瑞莉はたちまち絶頂にまで導かれてしまう。
 なおもピストンしながら、ニュルニュルと出入りし、めちゃくちゃにナカをかき混ぜていく。
 人であれば抜き差しの緩急があるだろう。だが一度挿入れば簡単には抜けない構造になっており、まぐわう豚が満足するまでは途中で逃げ出すことなどできない。気持ちよさそうに腰を振る豚は、自分の雌であることをわからせるためか、執拗かつ徹底的だった。

「あああっなにぃ゛? なんがぐるぅ?! そこはだめぇぇアぁアガッいだい! いだいでずよぉ?!」

 先端がちょうど小部屋についたのだろう。つぷんと音を立てて口を押し広げ、内部に到達すれば、そこを蹂躙せんとさらにかき混ぜ攪拌を強くしていく。内部をケダモノに押し広げられる快感に、天国と地獄が同時に訪れたのかと錯覚して、ぴんと足先を伸ばしている。おそらく一度達した絶頂から戻れていないか、間断なく絶頂を繰り返しているのか。鼻汁と涙に顔面をぐしゃぐしゃにして、前人未到のケモノ交尾を堪能している。
 そこでぴたりと動きが止まった。無理矢理引き離せば小部屋を傷つけることになるかもしれない。ようやく止まってくれたことに安堵しつつ、少しずつ、慎重に身を捩っていき――。

 ――ぼりゅっぶりゅりゅりゅうっ……!

「ん゛っ、お゛っ……!? お゛え゛ッ……!? おげっ……おッぉおぉおお゛っ……!?」

 赤ちゃん部屋に熱いのがたくさん流れてくる――。沸騰した脳にはそんな語彙力のかけらもない現状分析しかできずにいた。むしろその見解が正しいのかさえ見当もつかない。ただただ、急速に内部で膨れていく存在感が、しかし口を完全に塞がれてしまっているため小部屋の外に排出されず、みちみちと充填されていく。それがたまらなく――!

「あっつくで気持ち良い……ああ……んぁ……まだ来る……んいいぃ……!」

 同じタイミングでアナスタシアも綾もフィニッシュを受け止めたのだろう。アナスタシアもまた容易に到達された小部屋の中に、ドクドクと熱い白濁を注ぎ込まれていく。
 さらさらとした白濁から段々粘度の高い白汚濁へと、段階的に濃いものを注ぎこみ、最終的に五百ミリ程度の量を余さず雌の中に押し込める。小部屋に入らなければ卵管まで。久方ぶりのケダモノとの性交渉に恍惚としていたアナスタシアだったが、豚の発精量を見込みより大幅に超過してつぎ込まれ続けるとさすがに焦りの色が見え始めた。

「もう入らないの、ヤブれちゃううぅぅあぁぁぁ、あっああ……こんなのってぇえ……」

 歓喜に震える体は生存本能からますます体液分泌を激しくして、子豚たちは甘噛みからまた一段と強く桜桃を噛みしだいては牝豚に強請る。肉体を内側から膨張される苦痛を外部から与える快楽で無理やりに上書きし、処理しきれない感覚にぐるんと白目を剥いて声にならない嬌声が漏れてしまう。

「まら、やるの゛ぉ゛お?! こんらの゛、も゛、もどれなぐなるぅゔッ!?」

 すでに小部屋までタプタプに満たされてしまった綾はさらに悲惨な状態だ。下腹部はぷっくりと膨らみ妊娠初期の体型で、さらに入口付近には最も粘っこくジェル状になった白濁を吐き出されたことで掻き出すことも逆流排出させることもできない。ぱんぱんに膨らんだ体は、悲鳴を上げている。
 ようやく終わってくれた。ひとまず逃げなければ。生命管理のアラートがけたたましく鳴り響き、自分自身の命の危機を痛感している。

 ――ブヒィ!! プギィ! ブギュ!!

「あ、え、あ……? ひぃひぐぐぅあっ、も、終わりよね……? イヤッ、いやあァア!!」

 悲鳴を絞り出す喉に肉棒が突き入れられる。人間の言葉を理解し聞いてやる必要などない。最後に何かに向けて手を突き上げて、何かを掴むこともできず、豚の群れの中に力なく落とした。
 三人の嬌声が、代わる代わる聞こえては立ち消えて。やがて甲高くぶひぶひと、媚びる声に変ずるだろう。

 ――彼女たちの冒険はここで終わる。これからは新たに生まれた三匹の牝豚の物語を、紡いでいくとしよう。不安はない。むしろ、めくるめく快楽の連続に募る期待感が、胸を高鳴らせていた……。


 あるいは、そのような御伽草子を異国の書物で読んだ記憶を綾は思い出した。……ここまで後味の悪い結末ではなかったけれど。
 蹄に踏み躙られたいくつかの桜の花弁……つまり分身を視界の端に収めると、乱れた襟を正しつつ、ぐったりした瑞莉とアナスタシアを両脇に抱えて建物の上へ駆け登った。この場を去ろう。勘のいい豚が幻に気付かないとも限らない。

「獣も夢を見るのね」

 影朧兵器の贄にされた影朧はどんな夢を見ているのだろうか。今歩いているこの物陰の暗中も、長い長い悪夢の一部なのかもしれない。ならば自分は、幽世の門に咲く桜として、苦しみに寄り添わなければ。

「手加減できる性分ではないの。すぐに目覚めさせてあげるわ。……それまで、良い夢を」

 呟いて、静かに目を閉じるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天城・御言
こんな……こんな酷いことって……!
現場の様子に絶句しつつも、無事な人を探してみましょう。
あれは……豚小屋でしょうか?
中に入ると餌に群がっている豚の姿が。よく見ると真ん中に倒れているのは……人!?

『桜の癒やし』で豚を眠らせつつ、住民を癒します。何とか逃げてくれると、いいんですけど……。あまりの事態にパニクって自分まで寝てしまいました。

んんっ……ふあ?
目が覚めるとお尻の方に鈍痛が。覆い被さった大きな豚が私の中に生殖器を捻じ込んでいて。
いぎぃいい!?やめてぇ!私……男、ですうぅう!!
必死の訴えも豚には届かず、ドリルのようなそれで深くまで侵入され、人の比ではない量の種を注がれてしまいます。



「う……」

 皮膚に当たる藁のちくちくした刺激と、ムウンと漂う獣臭さ、そして奇妙な違和感で目を覚ました。薄暗い、空気の篭った空間。

「そうだ……私、皆を助けようとして……」

 ここは、豚小屋。
 餌代わりに群がられていた人々を助けようとして、その最中に眠ってしまった。どれくらい眠ってるしまっていたんだろう。数分か、数十分か……?

 ――ズンッ……!

「…………え?」

 鼻先に突き出されたのは、奇妙な形状の逸物だ。人間で言う亀頭部分にあたる先端が螺旋状で、ドリルのような珍妙な形をしているし、それに、随分と長く、肥大化したふぐり。これが交尾をする際に彼らなりに効率化させた「進化」らしい。
 うつ伏せに、それを視線の先に見た。
 そして、こののしかかられている感覚は。頭の上から聞こえる声は。征服された感覚は……?!

 ――プギィ!!

「な、なんで、う、あッなになに……いぎぃいい!?」

 肉をかき分ける音と共に、ソレが侵入してくる。豚小屋であれば、一匹なはずがない。剛直を熱り勃てて順番待ちするうちの一匹だったのだ。すなわち、これは自分が貪られる、まさしくその最中!

「やめてぇ! 私……男、ですうぅう!!」

 状況をはっきり認識して、天城・御言(桜の精の學徒兵・f25109)ははじめて嘆願した。自分が牝豚未満の被虐主義に堕ちていくのを、なんとか踏みとどまろうと身悶えする。それは女性顔負けの美しい尻を振って豚を誘惑するだけの結果になって。

「ひっ、ヒッ、ィイイイ……あぐぎぎぎぃいいい!?」

 ずぶずぶと菊門から入ってくる強烈な異物感。人間のモノより遥かに長い。

「ぁ、がッ……ま、っテ、い……や、止め……」

 ――メリメリ……ズッムニュうううッ!!

「やっ、やだあぁぁっ!? ごべぇっ、ごめんなさい! ごめんなざいごめン゛な゛さい゛ッ!」

 直腸の行き止まりをも高速回転する先端でゴリゴリ掘削していく。嗚咽して痛みを訴える。
 仮に普段のまぐわいでその全長に慣れていても、行為自体はフィストより苦痛を伴うかもしれない。通常牝豚の小部屋口を刺激する為にあるものだが、男にそんなものはないためだ。
 内臓は一定の広がりを見せるから、それに託けて結腸責め……というのはいささか酷だろう。どれだけ長いものであれそこは人体で言えば急所、傷つくことは致命傷になりかねない。
 御言がされているのは、まさしくその致死の快楽付与だった。どろどろに蕩けた顔に恍惚と恐怖がぐちゃぐちゃにないまぜになって襲い掛かる。

「お、ぐぅ……奥突くの、やめへえぇ……!! もうはいりませんからぁっ! それ以上……はいってこようとしないで……ぇっ?!」

 抽送運動をしまくっても一向に開いてくれない内臓の中のもう一つの穴。もうガクガクと震える腕では体を支えきれず、S字結腸が真っ直ぐになる姿勢、つまり触診のようなくの字に寝転んだ。
 胃液が競り上がり、下腹部に通常ありえない剛直の形が、ボコんと浮かび上がる。

「あ……げェ……ほ、んとに、結腸……奥まで……うそですぅ……ェアッ?!」

 ――ぶリュリュリュリュ!!

「あっぎゃああぁああああアアアッ!!」

 豚の○○には三段階の特徴がある。一段階目はサラサラした白濁。これは内部洗浄用。そして二段階目に五百ミリほどにもなる特濃の白汚濁が出されて、三段階目のゼラチン状の種付で完全に蓋をして、逃げ場なく必ず着床するようにする、というものだ。
 二段階目がおそらく始まったのだろう。軽く妊婦になったかのようにみるみるうちに内部を拡張され、その快楽に舌を出して喘ぐのみの御言。

「ひッ、あぁ……! や、めて……そんな風に掻き回されたら……出ちゃう……でちゃいますっ。あっガ、だ……いイッッぐううウゥぅぅっ!!」

 どれだけ中を掻き回されても一向に出てくる様子はない。粘度が人間のそれとは段違いなのだ。ぐっちゅヌチュと粘性の高い音に、頭の後ろの方でガンガンと痛みが発生して、背筋の先に迸る快楽が、生存本能が、御言自身をギンギンに漲らせる。

 その様子を見て、ズッポリと抜き出して満足げな豚は立ち去った。と言っても小屋の中をうろうろしているだけだ。「牝豚」を孕ませたいものはまだわんさかいる。
 御言は期待に胸を高鳴らせながら、力なく、あるいは壊れたようにずっとずっと笑うのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「逢魔が辻の影響で現れた、高い知性を備えた動物たちですか。
理緒さん、発生源を手早く調査してしまいましょう」

現地に潜入しますが、そこで繰り広げられる地獄絵図見たら放ってはおけず、【マックスウェルの悪魔】で動物たちを撃退し、虐げられている村人たちを解放します。

「村人の皆さん、ここは私と理緒さんに任せて避難してください。
所詮、家畜や動物程度、どれだけの数がいても敵ではありません」

しかし、私は甘く見ていたのでした。人間並の高い知能を備え、巨大化した動物たちの群れの危険性を……

「な、なんですか、この数っ!?
きゃあああっ」

現れたのは無数の動物や巨大化した昆虫たちでした。

巨大カマキリの鎌に服を切り裂かれ、さらに全身を巨大カエルの舌で舐め回されて……
理緒さんと一緒に巨大な蛇に巻き付かれて、理緒さんと抱きつくような体勢で身体をギリギリと締め上げられ、その舌が敏感なところを舐めてきて。

動けないまま、まるで人間の男性たちに襲われるかのように、理緒さんと二人で動物たちに嬲り者にされてしまうのでした。


菫宮・理緒
アイさんと(f07909)

影朧の発生源を見つけようと思ってたんだけど、
家畜にされている人を見つけたら、こっちも見過ごすことはできなくて……。
アイさんと2人で攻撃を仕掛けて、わたしたちに目を引きつけたら、村人たちには逃げてもらおう。

アイさんとならだいじょぶ、と思っていたけど、動物の中に虫がいるなんて聞いてなかったよ!?

アイさんを襲ったカマキリに怯んだところを、蛇の群れに絡みつかれ、動きを封じられて、
さらにカエルの粘液に服を溶かされ、媚毒効果のある汁を直接塗り込まれてしまいます。

身体が火照り出したところを、蛇の群れに全身を責められ、絡みつくように全身を嬲られながら、快楽を高められたところで乳首を噛み抜かれ、仰け反って絶頂してしまうね。

力が抜けたところを双頭の大きな蛇に絡め取られ、アイさんと向き合って抱き合うような姿勢で締め上げられたら、
その2つの頭が、アイさんとわたしの穴に入ってきて、奥の奥を長い舌で舐められて……。

アイさんと濃厚なキスを交わしながら、涙を流して2人で絶頂し続けるのでした。



 悲鳴が――聞こえる。

「だ……誰か、たすけ……ひぎャア!?」
「いやあああ! あなた、あなたぁ!?」
「うぇえええん! たすけてええ……ギャごべ?!」

 悲鳴が――聞こえなくなった。

 ヒトの言葉を話したものから、ヒトらしく歩いているものから、ヒトらしく服を着ているものから、標的にされ、食い物にされ、慰みモノにされる。
 まず足の腱を爪で裂かれ、若い母体は子袋にたっぷりと子種を注がれ、男は鮮血を啜られる。老人はいたぶられて寝床の素材や非常食に。
 探しに行かずとも獲物はまだまだいる。同胞は増えるばかり、縄張りを主張することも重要だ。ケダモノの世界は弱肉強食。食うか食われるか、だ。

 ――ボッ……!

 小さく炎のともる音。
 ケダモノのたちの視線が、一斉に発生源の方を振り向く。
 突き立つ視線にが交錯したまさにその瞬間、炎は有無を言わさぬ激しさで燃え上がった。赤々とした火炎があっという間に火の手を広げ、ケダモノの表面を覆い尽くしていく。

「ここはわたしたちに任せて、逃げられる人は走って!」
「走れない人は互いに手を貸してほしいです。時間は私と理緒さんが稼ぎます。落ち着いて行動を。所詮、家畜や動物程度、どれだけの数がいても敵ではありません」

 高熱の壁が炎上網のように取り囲み、空気中に現出したレンズが多角的あらゆる方向から集めた光を、ビームのように放ち焼き払う。
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)の《マックスウェルの悪魔》と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の《Nimrud lens》の合わせ技による超高温の電脳包囲網が、ケダモノたちを死出の旅路に誘う。二人の言う通り、其れは決して歯牙にかけるような存在ではない。本能的に嫌う火、炎、見れば一目散に散り散りとなるだろう。

 ――そのはず、だった。

 ぞわ、と。

 背筋に悪寒が走った。

 足元! 違和感、そう、下だ。影が、おかしい。

 ――ギチギチギチギチヂッ……!!

 見上げたのがワンテンポ遅れた。覆い被さるほどの巨軀、装甲を纏った鎧武者が羽を羽ばたかせてきたかのような、異形の――!

「な、カマ――蟲?!」

 緑色の、巨体……!
 前脚が鎌状に変化し、他の小動物を捕食する獰猛な肉食生物、せいぜいに手のひらに乗る程度のサイズ感……ではない。体長が二メートルに近づけば、人間と比較したとしても人間は「小動物」である。飛びかかってきた巨大カマキリの鎌が、アイの衣装をズタズタに引き裂いた。
 さらに迫る無数の影、影、影影影!!

「それに、な、なんですか、この数っ!? きゃあああっ?!」
「アイさん?! まってて今……う、うわぁああ?!」

 全身が夥しいほどの筋肉で構成されたカマキリの一撃に、なんとか急所を守るのが精一杯のアイ。理緒は精神を集中させ、新たなレンズを作ろうとして、重ねるように悲鳴を上げた。
 指先に巻きつく感触、鱗の痕。スレンダーな肢体をふんわりと耳を包んだ衣服や、隠した目の内前髪の裏から、下着の下にまで潜り込んで全てを下から浮かび上がらせて、ぽっこりと内部に忍び込む蛇。ズルズルズルリと肌に密接して締め付ける。

 ――ギリギリ……ギヂィ! ミチッ!!

「い、ぃい……い゛ッ、いたいッ……ぎ、いだぁッ……痛いよ……おぉ!」

 ――ぶつ……ッ!!

 長く日を浴びてなかった、白い柔肌に毒蛇の牙が食い込んでいく。さらに受難は続く。

 ――ゲロぉ……ゲゴ! ゲッゴ!! げルルォ!

「あ……づぅ!?」

 ずっぢゅずぢゅと、牙の痕に淫靡毒を刷り込まれる。体を内からちくちく、刺激し、猥欲を燃え上がらせる……毒ガエルだ。衣服を溶かす酸を塗り付け、敏感な患部や出血箇所に毒の体液をべっとり塗布する。糸を引くくらいの過量の毒が、皮膚の感覚をこれ以上なく過敏にする。全身に回った蛙の毒が、粘膜はさらに、危険な領域へ突入させる。
 こんなに敏感になったところに、もし、さらに強く噛み抜かれでもしたら――!

「理緒さん!」
「ンッ!? ……わ、わたしは、だいじょぶ……すぐにこんなやつら」

 ――グチュ!? ヌルルルっ! ギヂ……みぢ!! ドクドクドク……!

「あぐぅう?! なんか、なんかァッ?!」
「理緒さん……!」

 首まわり、頭部、二の腕から手首にかけて、胸周り、股座には特に重点的に蛇が、さらにずっしりと蛙が双肩にのし掛かり、集中力に欠けた今では《Nimrud lens》の再起動もままならない。指に痺れが走り、目は霞み、全身からイヤな汗が噴き出る。何より血だ。出血が神身を摩耗する。

「はな、れ、てッ……」

 ヌルヌルした全身を掴んで引っ張ると、力が入らない上に牙が屹立する桜桃の肉身に食い込んでぐにぃいっと引き伸ばされる。すでに毒で勃起したそこにはあまりに強すぎる刺激。クラッと失われかけた意識をなんとか強く保って、一匹を焼き尽くす。
 手の内側に親指の爪を当てる。脂汗が気色わるい。なのに体の疼きと火照りだけが否応なしに高まって。

 ――ぎち……がぶ、ムヂィ……ミヂ!

「あぁアア!! はなれてえッ」

 ――どくっ……!

「(ウソ……また、毒……もう、やだよぉ……)」

 理緒が柳眉を顰めて内股を擦り合わせて、胸に流し込まれる快楽に耐える姿に、アイもまた燻る火照りを抑えられずに身悶えする。
 最愛の親友が快楽に震える姿。それを治めるためにできることに、何があるだろうか。

 ……これではいけない! と、汗にびっしょり濡れた白い髪をぐっと撫で抑え、再び空中にコンソールを開こうとコンセントレーションする。

「情報量操作……熱量……集中、集中です……ふーッふーゥ……!」

 ――ぬろぉ……どろっ……トロォオ……。

「プログラム、さ、再起動を……さ、い……くっ、は、なしッ……あフゥ?!」

 堪らずどさりと膝から崩れ落ちる。赤子ほどのサイズ感もあるイチゴ色の毒ガエルが何匹も纏わりつき、溶けた衣服繊維を身にピッタリと付着させて、身悶えする。尻の隙間、臍、に粘着気質のカエルの手と舌がびたびた捩じ込まれる感覚。
 アイは知識欲が旺盛な気質だ。自身の知らない情報を貪欲に求めるその姿は、時に頼もしく、そして時に危なっかしい。全身を巨大なカエルに粘着され、毒液を塗りたぐられながら快楽に打ち震える親友を目の当たりにする。

「(もし……今、ここを)」

 ――くちっ……!

「う……く、ううぅっ……!」

 快楽の電流がアイのスレンダーな体全体に行き渡ってびりびりと打ち震えさせる。
 そこではじめて、自分の内股が下着にまで大きく滲みを広げるほどに、ねちょねちょと興奮の証左を示していることに気づいた。身動ぎするだけで蜜音が響く。なんて恥ずかしい。なんてはしたない。理緒相手でなければ聞かせることのできなかった、件の彼女はすでにだらんと舌を出して、息をするのもやっとの状態に追い込まれているのだが……。

「くっ、……ああぁあっ……!?」

 ――くちゅッ……つぷ、ぬりゅ……。

「はぁっ、はぁっ、うあっ……!?」

 無意識に、興味本位で花芽を摘み上げると、爪で挟んで皮を剥いてみる。こうすれば快楽に繋がることを知っているからこそ、淀みなく行われる行為に、背徳感に満ちた心情を催させる。
 早くこのケダモノを追い払わなければ、こうしているうちにせっかく逃した人々にまで危害が及ぶかもしれないと。
 自身の中の天使の声がどんどんか細くなり、悪魔の囁きが理性をコーヒーに落とした角砂糖のように原型すら残さずつゆと消えていく。

「わかってる、わかってますけど……でも……くぅ」

 なんとかドロドロの中から考えらしきものを掬い取って口にして、しかし――それまでである。
 反撃も、もはやここまでであった。

 まずはこの疼きを抑えなければ力を行使することなどできそうにない。苦しいし悔しくてたまらないが、この切なさは筆舌に尽くし難い。徹底的に無駄を削ぎ落とした美しい肉体に、肉付きをうわ増しするかのようにドロリと固形物じみた毒液を塗りつけられ、拭ったり掬った指先から中毒になっていく。
 その指で秘処を弄ってしまったアイには、もうカケラほどの理性すら残されていないのだ。

 ――ずろぉおおお! ミシッ!!

「あギッ?!」
「いたッ! いやぁ……!」

 ついに二人は体を正面同士に向き合い密着させ、互いに互いの動きを拘束する苦しい体勢を余儀なくされる。それを強要してくるのは、蛇。しめ縄のように幾本もの蛇が絡みつき、そのそれぞれが複雑に絡み合って解けないように固定しながら、二人をぐるぐるぐると縛めたのだ。二人は体格もそう大きくは変わらない。伸ばした舌先と、なだらかな双丘の上で屹立した先端と、それぞれのモノがくっついてしまう。

「ちゅっ、……ち……ちゅっ」
「ちゅっ、ちゅ……ぴち……」

 触れ合ってしまえば、互いに互いを求めることは自明だろう。常人の致死量の淫毒を短時間に大量摂取し、なんとか手を携えて乗り越えようとして、ついに舌を絡めて寄せ合うまでたどり着いたのだ。アイが指の第二関節で理緒の前髪を掬ってやると、彼女は眩しそうに目を閉じた。
 なんて美しく、なんて淫らな光景なのだろう。薔薇の荊に拘束されてもこうも美しい花束にはなるまい。蛇という魔性の拘束具が、白き電脳の天使と黒き電脳魔術士をさながら一つの存在と見立て、同化させん勢いで締め上げる。漏れ出た吐息さえも淫靡で、0と1では説明のできない、フェロモンのようなものをむんむんと周囲に漂わせる。
 めり、メリメリと蛇の首が、尾が分かれ、双頭双尾の奇怪な変異種に姿を変えていく。何匹もの蛇が寄り集まっているせいで全容が掴みにくいのだが、要は人間並の高い知能を備え、人間を犯し食い物にすることに特化した、その末の進化の局地。

 ――メキメキメキメキ!!

 有鱗目の挿入器官、二つの外部生殖器が姿を現した。「hemipenis」と呼ばれるソレは、人間には一つしかないモノを上と下の二つに持っているようなもので、体内受精のために子種を効率よく牝のナカへ送り込むよう独自の進化を遂げた器官である。

 ――ずぼぼぼ……ぐぐぐ……めキッ!!

「ん゛っ、お゛っ……!?」

 熱くて、青臭くて、分厚い塊が、敗北を思い知らせるようにナカ目掛けて入ってくる。
 あっという間に入り口を埋め尽くし、そこから先はずぶずぶと拡張しながら奥へ。出来上がった隙間に別の蛇の頭がズルリと挿入りこんで、さらなる苦痛に満ちた快楽を宿主へ与えようとする。

「アイさん……アイさん、せめて舌を出して、んぢゅ……すこひゃ、しゅこひは、楽になりゅ……んちゅっ」
「り゛理緒さ……おげっ……おッぉおおお?!」

 動けず地に転がされていることで快楽を逃す場すらない。ただただ甘受する苦痛を涙しながら受け止めることしかできない。理緒が慮って差し出した舌先をちろちろとしゃぶることで、アイなんとか意識を保っていた。だが限界だ。限界だった。肉体のキャパシティギリギリを内側から、急所をかき回すようにして二本の剛直が責め抜いている。奥の小部屋には侵入した蛇の頭が無理やり入り口をこじ開けて、そこに毒液滴る牙を突き込むのだ。

 ――ビュッ……びゅる、びゅるるるる……!

「おぼっ、ぎょ……ん゛っぉおぉおぉぉ!!」

 動物たちの嬲り者。人間の犯罪者でさえこうも醜悪な拷問は思いつくまい。自分の指どころか何者も辿り着かない深部が、取り返しのつかない噛み跡だらけにされ、見えないキスマークを刻まれる。
 獣じみた声。絶頂の悲鳴。
 それをなんとか鎮めようと、理緒はアイの唇をさらに求めて――。

 ――ぬち、ぬち、ぐりゅ……ズボォ!! ズボッ!!

 柔らかな包皮の摩擦と、剥く際の突っ張る様な刺激にて鱗で突起の勃起を促しながらぐりぐりと不浄の窄まりを蛇の頭部が穿り犯し、ついに前穴と後穴双方に蛇が入りはじめたのだ。ヌメるそこは巣穴にするには手狭だが蛇目線では非常に心地よく、胎内に潜り込むのは蛇頭だけでなく返しのように棘付いた有鱗目の挿入器官。理緒の瞼の裏に閃光が走る。人間相手では絶対に味わうことのない非情の悦楽。何分ともたず気がおかしくなってしまう。

「ん、ぁあっ、まえっもっ。おっ、ひぃいいいんんぅ……ッ!?」
「理緒さ゛んッ、が、がんばっでぇ……ん、ぢゅッ。むっ、れる……ッ!」

 ――ボゴォ! メヂュ……ズヂュズヂュ……ずるんっ!

「ぜぇっ、はぁっ、はひゅっ?! ……ふっびゅうぅう?! んぉおオォおぉッ!!?」

 普段をしてさほど声の大きくない理緒が出したにしては信じられないほどに大きくて野太い声。恥ずかしいという感情すら湧いてはこない。どこまで耐えたらいいのか、答えはない問いかけを続けられ、精神がぽっきりと折れてしまう。唯一外界との認識接点は、アイとの唇から伸びる銀糸だ。歯茎を、歯を、舌の根を、舌先を、全部味わう。何度もそれも途切れてしまうが、その度に繋ぎ直して、互いの体温を感じることで、まだ死んでいないんだと認識する。どれほど冷たく蛇に締め付けられ……。

 ――メギメギんっ!! ぶつっ……ビュルルルルルル!!

「いっガっ……!? どくッ、うっあぁ……!」

 理緒の、誰にも見せたことのない中のヒダが引っ張られて、勢いよく捲られる。体をめちゃくちゃに壊されようとも、そう、相手の体温がわかれば、それを頼りに命を保たせられる。
 蛇の子種とも、毒液ともわからぬものがどくどくと体内に噴出させられ、逆流して流れる。小部屋に食いついた蛇は離れない。アイも同様らしく、抵抗らしい抵抗すらできないまま、ただただ抱きすくめる力を強くするばかり。
 抱き返して、理緒は啼いた。

「ンっ、ぐうううぅっ……!? ちゅぱっ、んっ」
「うアっ、ぎっ……うっあぁあ……はむ。んんん」

 涙を流して、絶頂する。涎を垂らして、絶頂する。蛇たちが抽送じみて頭や尾を出し入れするたびに、かくんがくんと意識すらも取り落として、それでもパートナーを抱く腕だけは力を込めて。これだけは絶対に手放さないと決心をする。漏れ出る声は悲惨なものだ。およそ人間の、まして淑女の出せる音ではない。ケダモノ、人間以下がふさわしい。

「あっぎぃぃいい?! む゛ッ、まッイグぅ?!」
「あにゃただけれもッ……オ、ぐうぅうう!?」

 ……アイは、あの地獄絵図を見たら放っておかなかったんです、逃げればよかったと懺悔した。正確にはそんな考えを口にできたわけではなく、つまり瞳に映った最後の光がそう訴えたのだけど、繋がっていた、文字通り「繋がって」いた……理緒は頷いた。こくんと。首が維持できず、顎を肩に乗せただけだったが、アイさんとならいいよ、と、そういう意味で。意味があった。意味、だった。
 更なる蛇の大群が押し寄せる。段々と山に埋め尽くされていって、後から来たものは「そこには蛇しかいない」と認識せざるを得ない物量。当然、前後ろどころか孔という孔、凹みや窪みにも蛇が入り込み、人としての形すら壊さんと、苛烈な攻めをさらに過激化させる。
 互いの瞳の光も、互いの唇の感触も、互いの体温さえも認識できなくなったところで。

 悲鳴は――また、聞こえなくなった。
 もし総括をするならば、これは幸せの話である。

 人を放棄し、嬲り者にされて絶頂し続ける。いつ来るともわからぬ救援に馳せながら、そんな幸せな、電脳の姫たちの泡沫であった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メアリー・ベスレム
こういう光景はよく知ってるわ
哀れでか弱い人間(アリス)たち
弄び喰らう鬼畜(オウガ)たち
まるで不思議の国のようじゃない

なのに【目立たない】よう
息を潜めて影朧探し……だなんて
それじゃあまりにつまらない!

【汝は人狼なりや?】と己に問えば
いいえ、今のメアリはただの「アリス」
爪も牙もない、狩られるだけの哀れなものよ

そうしてわざと畜生たちに見つかって
【誘惑】するようにお尻を振りながら
哀れに逃げ惑うのが良いかしら?
無様に媚びてみせるのが良いかしら?
別になんだっていいわ
餌でも牝でも玩具でも
畜生たちのお気に召すままされるがままに
そそる【演技】をしてあげるから

【激痛耐性】【恥ずかしさ耐性】耐え忍び
そうしてひどく苦しめられ、辱められる程
その先にある復讐は甘く素敵なものになるんだから

それにアリスに夢中な畜生たちは
今食い物にしている相手が爪牙を隠し持ってるだなんて考えもしない
だから思う存分愉しませてあげて
いい気になっているところを【騙し討ち】!
「獣腕の人狼」で縊り殺し
「獣脚の人狼」で蹴り殺し
次はメアリが愉しむ番よ



 夜の帷が、人の世の終わりを告げた。
 この光景をメアリは知っている。アリスは見てきた、この世の終わる、その時を。

「あなたたちが望むのはこういうアリスなのね」

 今宵の主菜(メイン)は彼女だ。

 メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は顎の付近まで前に出した腕を組んで、胸と顎を地面に擦るような姿勢でいた。
 それでいて下半身は立ち上がったまま、180度以上まで開脚しているのだから、傍目から見れば低い茂みに大きな双桃が成っているかのように見えるだろう。瞳の光がゆらゆら揺れる。惜しげもなく晒された臀部は、餌だ。白い肌が、今にも齧り付いて欲しそうに、フェロモンを放つ。

「まさに悪夢ね、それとも、不思議の国(ワンダーランド)みたいじゃない?」

 赤く爛々と輝く瞳以外をトロンとにやけさせて、メアリーは嗤う。
 捕食者の笑み、被食者の笑み。どちらも知っている。笑うしかない時がある。笑えて仕方ない時もある。
 どちらでもある。どちらだって構わない。《汝は人狼なりや?(アー・ユー・ア・ウェアウルフ)》との静かに自問自答。

「ええ。メアリはアリスで、アリスはメアリだもの。さぁ、今はどちらかしら?」

 ぽいと無造作に投げ捨てられた肉切り包丁は、目印だ。帰り道にパンの屑を投げ捨てておこうという、名案だった。どれほど無我夢中に走り抜けても、そのギラつく刃を見れば忘れることなんてない。引き裂くしか能のないその「用途」こそがメアリ。言い方は悪いけど、それがお似合い。

「かぶりつきたいだなんて、自分に正直なのはいいことよ。そう、だったらもっといいことをするの?」

 息を潜めた隠れおにはおしまい。だってもう、怖い鬼たちに見つかってしまったのだもの。
 振り返って、すっくと立ち上がって、中腰の姿勢をキープしながら、片手で尻たぶを揉んで。わざとぷるぷる揺らして、見せる。
 畜生たちを――狂わせた。人間ならば、ケダモノならば、そんな言い訳のことごとくを排除する蠱惑の人狼、その横顔。畜生とはすなわち、人ならざる生き物全てだ。体表に毛を生やしたものもいれば、鱗で全身を覆ったものだっている。

 ――メギ……ズちャッ! ぐりぐりッ……。

「う、あっ……!?」

 途中で見た光景には、頭を踏み砕かれて死んだ者がいた。殴られたショックで泡をふいてる者もいた。
 それが人間の有様で、鬼畜の所業だとするならば、なるほど実に見慣れたものだ。

 おもむろに頭を踏みにじられた。側頭部が乱暴にぐりぐりと圧迫され、餅のような色白の頬がめり込んだ。蹄の感触と独特の獣臭さから、正体が馬であることがわかる。体格差は歴然。人間ならまず頭蓋を踏み砕かれる勢いだったが、メアリーは猟兵である。この程度で痛みを訴えることも、ましてや音を上げることもない。
 腰を折って、背中が海老のように反り返ることは、人体の構造上仕方ない。天高く向けてお尻を突き出し、いつでも後ろ蹴りなら繰り出せる状態。言い換えれば首枷をはめられた体勢でもある。腹を割って腰を据えて話し合おうという、極めて礼儀の心に満ちたケダモノの申し出である。もっとも、今やヒトはヒトどころかケダモノ未満の扱いなのだが。

 その体勢のまま、自分の太ももよりも太い蛇が、首と両手首を拘束するようにぐるりと巻き付いた。さらに蛇同士が複雑に絡み合って、簡単に外れないようにロックする。
 尻を突き出した前屈姿勢で拘束され、蹄を持ち上げられた後は、胸と顔と臀部とを無防備に晒した屈辱極まりない姿勢のメアリーの姿があった。

「ぐ……くる、し……」

 美しい牝穴から、水飴のような蜜液がとろりと垂れてくる。防衛本能か、力んだ拍子に変な箇所に注力してしまったか。力を込めたい箇所に力が入らず、逆に振り解こうとすると自身の首を絞める箇所に力が掛かる。
 天然の万力であり晒し台――尻だけを無様に強調したポーズ。歯向かったメアリーを、あるいはノコノコ出てきた新鮮な餌を畜生の手で「処刑」するための舞台が整った。

 ――ブツン……グジュ、ガッブウゥウ!

「あうぅぅっ!」

 皮膚を貫く異物感は、勢いよく牙が引き抜かれたことで解消された。しかし、塞ぐものの無くなった傷口から血液がドクドクと流れ出る。否、これは錯覚だ。メアリーは「流し込まれ」ている。蛇の牙が臀部の柔らかい部分に食い込んで、毒を注入しているのだ。堪らず表情が青褪める。生理的嫌悪と、恐怖と、それがない混ぜになって目が震える。
 筋弛緩、そして痛覚を快楽に結びつける交感神経の異常活性、感情の鈍麻と平板化を促す脳麻痺毒、その全てが獲物を仕留めるための即効性だ。毒に毒の重ねがけ――やはりというか外傷同様これも即座に致命傷にはならないが、繰り返し注ぎ込まれ舌で塗りたくられ浸透すれば影響は甚大。苦しむ時間が間伸びするだけで……後ろ足を出したり腕に力を込める肉体的な抵抗は封じられたも同然であった。
 複数箇所、空いた風穴を塞ぐように、そんな猛毒付与が繰り返される。その意地らしさをメアリーはせせら笑う。

「アリスを溶かしたいのね? くっふうぅう……ふーっ、ふーっ、この後は丸のみなんでしょう……?」

 ――ばっちぃぃいいいっ……!!

「ひっっぎゅっ……!?」

 ――バッヂぃっ! バヂッ!!

「いっガっ……!? ンっ、ぐうううぅっ……!?」

 言葉を遮るように、白く柔らかな絹肌の生尻に、真っ赤な痛々しい痕が三つ、くっきりと貼りつけられた。それは前触れなく尻たぶを力ずくで叩かれたことを意味していた。アンブッシュにも似た不意の攻撃に這いつくばったまま喉を反らして叫ぶ。
 じんじんと腫れ上がった右の尻たぶに、四度目の掌底が容赦なく降ってくる。

 ――ばっちいぃィいいんっ!!

「うっあぁあぁあああーッ!?」

 「アリス」として完成された美貌から透明な涎を垂らし、しなやかな肉体が苦々しげなビクビク痙攣する。
 手のひらを構えるのは人間ほどまでの大きさに巨大化した猿である。必然手も相応に大きい。持っている知能に比例して体が巨大化していてもなんらおかしくはない。が、恐るべきは生態すら破壊する「逢魔弾道弾」の脅威。

「……そう? おぉ……ウ、よお……く叩いて、柔らかくするのね。っつゥ……一思いに食べないのね?」

 ――ぱぁぁぁあんっっ!! バヂィ!! スパァン!!

「く、ぎっ……!?」

 ――ギリギリギリギリ……!

「くふぅう……ぐっううう!」

 両手で腰を力強く掴まれると、噛み殺した悲鳴が漏れる。
 大きくもハリがあって瑞々しい尻たぶが、毒液の注入と打擲の繰り返しにより今や一回りどころか二回り近くまで醜く腫れ上がってしまっていた。

 ――ビシィィィッ!

「いっぎッ……!?」

 ――パァァンッ!!

「ひぐううう!! ンうううっ……!」

 ――ピシャァッ、ビシィィィ、パァァァンッ!! ブチャア!

「あうんっ?! あぐっ、ぎっ……!? そこ、ぎゃあァああッ?!」

 絶え間なく響くメアリーの悲鳴。熱を持った痛みがいつまでも持続していく感覚。肌を焼くような強烈な痛みに、甘い電流が混ざり合って駆け上がり、鼻にかかった声が溢れた。
 猿の手で尻たぶを割り開かれでもしたら、色素の薄い茶色にくすんだ不浄の穴が、ヒクヒク小さな痙攣を繰り返していることだろう。
 突如、みちっ……と皮膚が悲鳴を上げる音。

「ハァッ、ゼッ……ハァッ、ハァッ……!」

 呼吸が荒くなる。ゾワゾワと鳥肌の立つ感覚に、自分が何をされているのかも想像できない。あるいは想像できてしまうからこそ、より絶望感が高まって悲壮な面持ちに視界が霞む。見たくない。征服される感覚を直視視認したく、ない。本当に何かが入っているのか、いないのか、暴走した感覚器官が認識を狂わせる。わからない。わかりたくない。
 括約筋から直腸にまで突き抜ける無視できない強烈な異物感の支配する、ぷるんと揺れるマシュマロのような桃尻の……その表面を、別の「感触」がさらに塗りたくられた。
 ぬるりと全身を覆う粘液、這うような感触。

 ――ぼととととと……っ。

「ぺっ……ぅえ?! なぁに……んっ、これ……?」

 顔にまで飛んだ、勢いよく掛けられた液体の飛沫を舐める。……甘い。舐めただけで舌がズキズキするような強烈な甘さ。匂いもどこか痛烈で、くらくら眩暈がする。それを下半身から中心へかけてべったりと塗られている。その勢いはむしろ「浴びせられている」といった方が正しいだろう。まるで砂糖菓子のコーティングをされているかのようだ。
 もしや蝋人形のように固められてしまうのではないか、予想だにしてなかった異次元の恐怖にカタカタと歯が鳴ってしまう。

「アリスを食べないの? 餌でも牝でも玩具でも、ね? アリスがほしいんでしょう? ねえねえねえ?」

 あう、とぬるるんとした蜜に体勢が崩れて、縛られたまま少女らしい声を出す。脳天を突き抜ける香りに慣れると、このシロップの中に饐えたような独特の臭いが混じっていることに気づく。これは甘味は甘味でも、砂糖のような生やさしいものではない。ケダモノ流の「味付け」だ。虫が木の蜜に群がるように、あるいは獣が鼻を鳴らして先で突くように、人と異なる味覚に合わせてある。
 助けてほしい、そう懇願してみせる。髪にまでべっとりと白濁した飴を塗られ、傷口はデコレーションする様に特に重点的に上書きされ悶絶し、それでも食われたくないと涙を流して頭を地面に擦り付ける。再び蹄でケダモノが次々にメアリーを足蹴にして。
 嗤う。嗤う。人で言えばげらげら、ゲラゲラゲラゲラと。オウガで有ればまだ悪意が透けて見える分、賢いだけのケダモノがどうしてこんな笑い方をするのか。

「わからない。ハァッ……うぷ、アリスの味じゃなくなっちゃう……」

 こびり付いてにちゃにちゃして離れない。冷えた体にぬるぬるした質感がただただ気色悪い。固まってきた透明な蜜がだんだんと白く変色してきて、いよいよその不安が現実味を帯びてきた時。

「なに……いま、ヌルって……」

 ――バリバリバリィィィッ……!!

「ひ、ぎっ……! いぎいいいいーッ!?」

 電流だった。ぼんやりと無意識に埋没仕掛けたメアリーを強く現実へと引き戻す、ケダモノたちの欲望を体現したような凶悪な電撃。
 陸上に適応したらしい巨大鰻が、放電しながらメアリーの身体の露出した部分に絡みついていた。ぼたぼたと汗を垂れ流し喘ぐ少女。その心臓が狂ったように胸を叩いていた。
 そういえば、あの鬼畜どもには二足歩行のカエルやらお菓子の怪物までいたっけ……?
 文字通り済む世界は違うけれど、この無法と常識外の生物は、本当に不思議の国のようだ。芸達者というべきか、はたまた芸がないというべきか。

「……通すなら火じゃないの……げほっ」

 ギチギチに食い込むように絡みついた粘体の電気鰻から、青白い閃光が迸った。

 ――バリバリバチバリバチイイィィイッ……!!

「ウっぎゃあああーッ?!」

 地面に逃すこともできず、視界が濁って焼け焦げるまで電撃拷問は続いていく。
 全身をだだ甘にコーティングすることは口当たりをよくする味付け、あくまで副次的な効果に過ぎない。効率よく感電させるべく、外部から流し込まれた電流を体内に誘導する媒介物を塗布したのだ。
 その効果もあってメアリーの頬は赤く上気し、口の端からは泡になった涎がとろりと垂れ、やがてぶすぶすと全身から焦げた匂いを漂わせ始める。悲鳴こそ低い、絶叫に近いものだったが、そこにあるのは悲壮感、だけではない。その証左に多量に分泌された体液で下腹部はてらてらと輝いていた。神経の壊れた彼女には、感電さえも絶頂の閃光に結びついてしまうというのか。
 うっ伏して、可憐な双桃をぷりんっと天へ向かって突き出している。
 動物たちは生命本能を掻き立てる責め苦を波状に繰り返す。人間でなければどんな生物もいて、しかも人を食ったり嬲ったりするための変化を遂げていると考えた方がいいだろう。

 ――パァァァンッ……!!

「あっぐうううっ……!?」

 再び、派手にお尻が叩かれる。引き締まった臀部がぷるるんっ、と震え、赤い打擲腫れが刻まれていく。
 肩でなんとか身を捩って逃れようとした、それを賢しくも見つけたケダモノたちが、懲罰とばかりに叩いたのだ。それも一度ではない。メアリーの心を折るまで、毒、電撃と打擲殴打の繰り返しは休みなく続いた。
 息を吐く暇も、泣いて許しを乞う間も、逃げ出す余裕もない。

 ――バシィィッ、ビシッ……! ピシャァァァッ……! バチッ、バチバチバチィィィイッ! バヂィん! バヂィ、ピッシャァアアンッ!

「はあっはあっ……ぐぅ?! ひぐッ……!? う、あああっ……ギャッアアぁっ?!」

 全てのケダモノの眼差しが、アリスの媚態に注がれていた。次はどうやって虐めてやろう。最後に摘むのは自分だと、まるで縄張りを主張するかのようにぎらついた目線を向けて、舌を垂らして。
 乾いた音と悲鳴とが交互に響き渡り、響き渡って、響き続いて、響いて、ひびき。

 ひび、割れた。
 突き立った刃物が、地にめり込む。

 膠着だった。薄氷だった。
 好機到来を告げる契機。それは割れて然るべき、緊迫の連続だった。この駆け引きは、人であろうとも常人並なら見破れまい。
 募った「心」を爆発させて、萎びていたはずの尾が急に力が篭ると内側から蛇と鰻を引きちぎり、ぎろりと赤い瞳が再点灯する。

「――メアリが今度は聞かせてあげる。たっぷり骨の髄まで、あなたがくれた悲鳴を浸透させる」

 両手を地面について勢いよく開脚、獣脚の人狼の妙技が荒々しく、ブレイクダンスさながらに周囲のケダモノを地面に蹴り倒した。ピピッと飛んだ返り血と、白い蜜でマダラにコーティングされた姿は、見ようによってはデコレーションされたショートケーキの色合いである。赤々と痕の残る臀部さえも、猟奇的でアナーキーな魅力を補強している。
 白い毛並みがいつの間にか生え揃った脚に、力の漲る尻尾は、強化されたケダモノの膂力さえも上回り、圧倒的なパワーで反撃をねじ伏せていく。

 ――ボギャア!! ズゴ、ドゴォオ!!

「それともこっちがお好み? まだまだお楽しみ?」

 続けて「獣腕の人狼」に変ずると、両腕を勢いよく後ろに振り、その反動を勢いに変えて叩きつけた。手のひらで叩かれた分を全てお返しするかのような勢い任せの打撃技。お行儀よくはないけれど、今のメアリーはアリス「ではない」。無力な獲物であった頃に受けた屈辱を雪ぎ、何倍何十倍にして返す。艱難辛苦を耐えた「復讐心」など、どうしてケダモノに理解できようか。
 二、三度振るった爪から斬撃が放たれ、しっぽを巻いて逃げ出そうとする獣を背から斬り裂いていく。生きたまま半分に裂かれたところで電撃の刺激には負けるだろう。つまり、これもまだ復讐には全然足らない。
 爪をぺろりと舐める。この味は――病みつきになってしまう。

「聞こえないから、答えを教えてあげる。次はメアリが愉しむ番よ」

 メインディッシュは下げられた、あとはデザートを楽しむ時間だ。宴も酣、最後の時までじっくりと味わうとしよう。
 もうやめたなんて、言わせない。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリ・イーズディル
NGなし、アドリブ歓迎💕

畜生さん達が好き放題しちゃってるなんて、ワクワクしちゃうね!

飼いならされたヒトたちはどんな体験しちゃったんだろ?
ぜひぜひ聞いてみちゃいたいけど、
泣いてるようかわいそーだからちゃんと救って逃してあげよー!

どんな体験かは、これからわかるし、ね💕

さすがの私も獣相手は未経験、
(我らの方は、ないしょ)
欲望を受け止めても、継承もできないだろーしね?
ここにいるのは、ただの獣みたいだからさ。

大きなお馬さんを相手にして鎮めてあげよう!
…とか思ってたけど
いやぁ、無理だね?
お腹にぴったりモノを当てたら
サイズ合ってないし、奥まで使っても足りないし、内臓潰れちゃうよね?
こーゆーので死ぬのはちょっとヤだし
手と胸と舌でなんとか…できるかなぁ
飲み切れずに窒息死しちゃうんじゃ…?
無理無理、だめ、やめてくださ――

とゆー夢だったのさ!
いや夢じゃないけど。
悪魔の誘惑で作った私が凄いことになってるワケだね。
私はその様子をそっと見守――
おやこんにちはお馬さん?
こっちじゃなくあっちにいい感じの雌が――



「ひぃひぃ……た、助かり、ました」
「うんうん」
「ひぐっぐすっ、うエェエエエ」
「うんうん」

 嗚咽と嘔吐の入り混じったような感極まった声に、メアリ・イーズディル(混沌まぜまぜ・f33694)はうんうんと頷いて聞いていた。
 取り急ぎ見かけた人々を泣かせつつ宥めつつ「逢魔が辻」の外にまで誘導(きゅうじょ)すると、その後ろ姿を見送って……前髪をくしゃっと掴んだ。口元がぐんにゃりと歪んで、言い放つ。

「これは、大変なことだよ」

 彼女は真剣だ。
 そう。悍ましくも、真剣である。

「畜生さん達がこんなに好き放題しちゃってるなんて、ワクワクしちゃうね!」

 もちろん誰にも聞こえない場所とタイミングを見計らって、しかし満面の笑みで、だ。
 笑みを浮かべると、対外的な人間擬態を解き、青白い肌に変じていく。赤い瞳は黄金が差し込んでぞわぞわと混ざり合い、簡素な布服も革のビザールファッションにコスチュームチェンジする。早着替えや変装というよりかは化術に近い。
 見ての通りメアリは人間ではない。名を「継承」の悪魔を冠する魔女にして悪霊、そして混沌の顕現である。
 飼いならされたヒトたちはどんな体験しちゃったんだろ? ぜひ根掘り葉掘り聞いてみたいところだったのに、ああも安堵か何かで泣きじゃくられてしまうと流石に気の毒で仕方ない! 語るも涙、聞くも涙なんて実に唆られるというのに!
 物思いに耽っては、くつくつと笑って、ひとしきり笑って、そして。

「まあ、いいか」

 ……どんな体験かは、これからわかるし、ね💕

 反転――一目散。
 上機嫌な様子で歩く。
 淀みなく、人なき道を行くが如く。
 土くれの荒れ果てた道も、至る所蹂躙された住まいも、どこかわからない誰かの何かの部位も、歩けば歩くほど聞こえる悲鳴も。
 妙にキラキラ鮮やかに見えて、それに甘美で耳触りがよくて、クセになる。
 我らにそんな「癖」なんてものはないけれど。
 我ら、だ……我らはすべてが連続しながら、それでいて散発的だ。ゆえに何もかもが手なり、熟考してなお直感を信じ、突き進む。唯一、中途で立ち止まるということだけがない。これは、バトンリレーだ。ランナーが複数同時に走っている感覚に近い。

「ここなのかな? もう少し先か」

 逢魔が辻の奥の奥――影朧の発生源と思しきところに、呪詛を口ずさみながら真っ直ぐ進んでいく。雑魚は歯牙にも掛けない。縄で縊り殺し、足蹴にする。突撃インタビュアーになれなかった以上「私」は当事者になるしかない。しかし、当事者。言い得て妙な表現ではないか。あらゆる道を歩み、道すがらその道程を総て統べるもの。それが多岐に渡りながら、全てを一とするということだ。物事に直面し事に当たってこその「経験」。
 当事者とならなばわかるまい。むしろあらゆる事象において……。

「いやいやいや……そこまで熱心になることもないか。これは反省、この後悔は死に絶えるまで持っていくことだろう。――だってあからさまな欲望を受け止めても、『継承』もできないだろーしね? ここにいるのは、ただの獣みたいだからさ。……まだ、ね」

 歩きがてら、状況を整理し観察する。
 女性でもなければ、オスとしての意志も自意識も感じられない。即物的な相手などまっぴらごめん被りたい。それでも彼女が影朧の根元へ向かって突き進むのは、グリモア猟兵が漏らしていた言葉の記憶。そう、ここにいる畜生は、畜生でありながら知性、特に狡猾さを人間並にまで高めたものたち。ならばその眼鏡にはかなうだろう。現に、メアリの行く道すがらを遮るように、屹立している。鎮座している。行くてを阻むは、城郭のような雄々しさ。
 「其処」に、「此処」で、目線を向けずにはいられない。
 見た。首を傾げる。

「いやぁ、無理だね?」

 これはいささか荷が勝つというものだ。だって腕どころか太ももと比べたってまだ――。
 ぱちん、ぱちんと上着の、そして手首の拘束を外しながら、威風堂々たる馬をジロジロと眺めまわす。
 私が番人ですみたいな雰囲気で待ち構えているこの構図がすでに面白い。強いて言えば状況下ですでに負けているといっていい。
 だって無理だもん。お腹にぴったりモノを当てたらサイズ合ってないし、奥まで使っても足りないし、内臓潰れちゃうよね? 物理的な問題は心持ちや覚悟じゃ解決しようがないよ。
 牡の身体で最も敏感な性感帯が、すなわち粘膜質の箇所が、伸びやかな爪とイタズラな吐息ですでにギンギンと臨戦体制である。メアリとしては怖気付いている有り様だから、気圧されたと言っていい。鼻先を近づけるとそのケダモノ臭に鼻がねじ曲がりそうだ。螺旋を描いたツノが、その屹立に負けて萎びてしまいそうである。それでも、片目を閉じてなんとか、えいやっと鼻先を押し付ける。

「すうっ――はぁ……ぁああ」

 すうっ、はあっ、と息を吐き出して、あまりの衝撃に、遅れて鼻をつまむことすら忘れてただただ、視線を落とす。

「くっさぁ……さすがに、コレの対応は……ねぇ💕」

 使えるものは全て使おう。八方塞がりで前に踏み出す道が見えなかったとしても、経験は蓄積させなければならない。馬との交渉経験は流石にないが。ないなりに、ほかの交渉経験を活かす……!
 こうさせてもらうよ、とぼろんと双丘をまろび出して辟易する。黄金のファスナーをズラす色気すらない。ギンギンと臨戦態勢な牡馬には申し訳ないが、メアリは「乗り気」には程遠い。必死だ。どうすれば欲望を飼い慣らすことができるか?
 コレ相手に散々嬲られた人々がいることを思うと実に気の毒で忍びないよ。だって明らかに没交渉だもの。
 試しにその剛直を挟んで擦り上げてみる。粘っこい透明汁で瞬く間に見るも麗しい双丘が穢されていくと、いよいよもって覚悟を決める時がきた。なるほどなるほどと感心しつつ、ガバッと広げた豊満で、それをぐいと挟み上げた。

 ――ぬりゅっ、ぬりゅ、ぶちゅっ……! ぐちゅぶちゅぐちゃぐりっ……!!

「もッ、きつぅ……あはァ……少しは加減してほしいけどね。なんとか…できるかなぁ」

 先走りどころか暴発気味なそれを豊乳だけで抑え込むのはやはり容易ではなく、両側から押さえつけるようにして手で押し込む。双房の頂点までもを刺激に使ってなぞり上げる。
 相手が人間であったならばその絶景に唾を飲み込んだに相違ない。人間離れしたエキゾチックな美人が、己の屹立に辟易しながらも必死の奉仕をする。その征服感たるや、ひとたび生を受けたなら一度は味わってみたい至福。ましてやメアリは十人がすれ違えば十人が振り返る魔貌。世が世なら傾国の美姫であったとしても時の権力者が彼女を離さなかったろう。そんな彼女が黒白目に涙を滂沱と浮かべつつ、悪戦苦闘しながら奉仕を続けている。これを至上の征服感と言わずなんと表現すればいいのか。
 牡馬は、鼻息をいよいよ荒くしながら、さらに己が逸物を堅くさせる。その雄臭たるや小虫を漂わせるほどの野性味で、メアリの鼻腔はすでにイカれてしまっていた。

「窒息させるつもりかな? かッハ……けほ、こーゆーので死ぬのはちょっとヤだし、本当に加減なしのつもりならおすすめはしないな」

 ――じゅぽぽぽどちゅずっリュウううぅッ……!!!

「お゛……ン゛っ……!!?」

 くらり、と意識が遠のく。

 ――ぶびゅるるぼっびゅうううっ……! ぶびゅっ、どびゅぶビュッ……!!

 馬は一回の発情時期に一度しか交配の機会は訪れない。ゆえに一度の機会に必ず子孫を繁栄させるという強い意志を以って望み、その覚悟は量になって表れる。人間と比較すれば三十倍から六十倍程度。メアリの美しい青肌をびたびたに濡らしつつ、吐き出された白濁が一層の汚穢で彼女をマーブルに彩る。なんて息苦しく、そして生命力に満ち溢れている。まるでゼリーのような弾力と、気を抜けは命さえも落としそうなほどの饐えた臭気を噛み締めながら、メアリは喘いだ。

「だめっ、だめだっ……! おエ゛ッ……だめっ、うぅうう……窒息させるつもりか、うぇえぇ……」

 ゲホゴホと盛大にえづきながら、馬を睨みつける。刺すような視線を浴びてなお涼しげな表情にメアリは顔を顰めずにはいられない。まるで扱き上げるだけの肉袋か何かかと思っていないか。混沌の使徒であり悪魔である彼女として、許されざる屈辱。なんとしてもこの馬を果てさせて、活路を開かねばならない。
 なお無刺激の中でびゅるびゅると噴水するソレは、どうやら普通の動物より遥かに性欲を強化されてるらしく、吐精を終えてもなおむしろギンッギンに堅く聳えている。まるでサクラミラージュには存在しえない摩天楼のような威風堂々たる姿。髪についたそれを掬って舐め取りつつ、肩をすくめてみせる。プランを変えるとしよう。

「わかったわかった。私は舌を使おう。それで手討ちだ。これ以上の分岐はない……どう転んでもこれで終いだよ。せいぜい夢心地のひと時を味わうといいさ……」

 少しの躊躇ののち、あむっ、と亀の先端を加えてみせる。鼻先を近づけただけでも先ほどの様子だったのに、信じられないエグ味だ。それを咥えるとなれば、すぐにノックダウンしそうになる。舌先がビリビリ痺れ、頭を抱えたくなる。それでも竿に対してれろれろとなぞり上げる。

「ンんっ……ちゅっ……ぴち、ちゅっ……ぴちゃ……💕」

 肉厚でぬらついて、それでいて強烈な淫臭を漂わせる剛直。無論それを一息に咥えることなどできはしない。少しずつ慣らして、それで……。

 ――ずろろろろ……ぐぽぬっ……ずじゅ。

 ぐるりとこそぎ取られた悍ましい老廃物が、メアリの舌先に小さく積もっていた。舌に載った滓を嚥下する。
 べっとりとしたそれが喉を通って落ち、胃の腑がひっくり返ったような拒絶反応を起こす。

「おげっ、オエっ……おっげぇえっ……!?」

 ついにたまらず、盛大に吐き出した。

「お゛……ぁ……えっれぇぇえぇェ~っ……!」

 大口を開けて、舌を突き出す。涎と穢れ白濁の余剰が垂れっぱなしのだらしない顔で、喉の奥までを晒しながら、地に向かってゼェゼェと息をする。その度にツノに付けたアクセサリーリングがちりちり鳴った。
 舌で舐め上げるだけで顎が痛い。挟んであげた胸が粘ついて重い。
 焦ったさが極度に達したのか、馬はメアリを押し倒す勢いで踏み出して、先端からメアリの口腔へグイグイと押しつけ始めた。柔らかい唇を割り開かれて、勢いに押され気味になる。コレはまずくないか、飲み切れずに窒息死しちゃうんじゃ…? と恐怖した頃にはもう遅い。

「んぼっッぐぉ……ぼォ!?」

 臆したその時には、喉元がぼっこりと亀頭の形に膨らみ、口呼吸ができなくなって鼻の穴が膨張する。
 顔の先端がひょっとこの如く伸びきり、笑顔の似合う蠱惑的な雰囲気が完全に消え失せていた。強引すぎる。
 蜜音などと生やさしいものでも、水音という色っぽいものでもない。馬からすればメアリの胸も、腕も、口さえもただの吐き捨て口に過ぎない。焦ったいほどの弱い刺激しか与えられないのを、これだから人間はと殊更見下しながら、腰を叩きつけた。

 ――ぢゅごぢゅんっ……!!

「お゛っッ……げぇええ゛っ!?」 

 喉を突かれた。すでに限界まで埋まっていたはずの肉棒が、引っかかりを突破して無理やり突き進んみ、力ずくで押し込んだのだ。食道が焼けたような凄まじい熱感。吐く息を飲み込むことも、臭気に満ちた鼻腔で呼吸することもできず、ブルブルと震えながら涙を浮かべる。人並み規格とは明らかに異なる超サイズの雁首がメアリの喉粘膜を引っかけ、食道ごと裏返りそうな……そんな壮絶な感覚だった。
 頭蓋がぐらぐら揺れて目眩を起こす。
 それでも馬の腰は止まるどころか激しさを増すばかりだ。

 ――ずどごぢゅんっ……!!

「ッ……お゛……げぉ💕」

 凄まじい粘性を無理やり飲み込んで、その時に混入するわずかな酸素を取り込み息を凝らす。無理だ。死ぬ。絶対に死ぬ。口の中の熱杭の温度に比べて、頭の中がぐんぐん冷えていくのを感じる。
 胸の動悸が激しくなって、体の中で激しく音を立ててるハズなのに何も聞こえない。生臭い味だけが一層助長されて苦しい。狂おしいほどにひどく苦しい。自分が今生きているという自覚が、続け様に与えられる死に等しい苦しみでのみ保証される。
 ごりごりと喉がドリルで掘削されるような感覚に、ぶつぶつと何か擦り切れる音に加えて、喉奥からゴキンと危険な音が聞こえる。鮮血を吐いてもおかしくない、どころか遂に口端からドロッと血泡を流す、壮絶な苦悶だった。

「おげっ……! げろっ、オ゛……!?」

 ――ぶびゅるっ! どびゅるるぶっビュウううっ!!

「ア゛……むッ゛、が……がひュ💕」

 ごめんなさい、無理無理、だめ、やめてくださ――と、幾度めか欲望のダムから放たれた精に、主人たる馬ひたすら謝りながら、ついに気孔すべてを塞がれて、意識レベルを落とし、死の快楽へ向かって絶頂を続ける。下腹部に直接刺激を与えられていないにもかかわらず絶頂を迎える屈辱。死を間近にして暴力的な快楽に晒されると、生存本能が活性化されて下腹部が熱を帯びる、そんな塩梅だ。
 内股を擦りながら、しかしそんな意地らしい生命活動も、数秒で終わる。
 失楽園で味わう悪魔的な死の快楽。
 ぐりんと瞳がひっくり返り、ぐにゃあと上体を開かして、崩れ落ちた。体から生命力が抜け落ち、ぬろぉんと飛び出た舌。ぴくぴくと泡噴き、魂が溶けて、息絶えた。
 死、死死、死死――死……!
 凄絶なる、死に様。人の終わり方ではない。走馬灯のように浮かぶのは、最初に助けた人間だ。ああ、アレを目の当たりにしたら泣き狂い、口を閉ざしてしまうに決まっている。甘かった。見通しが、甘くて、もう立たない。立てない。こんな相手はさすがに経験が、なかっ……た……。

「なんて、冗談じゃない。我らの方も驚愕するよ、ほんとさ」

 これは夢に出そうな生き様だ。いや夢じゃないけど。
 間近にそんな姿を見ながら、どろどろの悪魔は感心したように頷く。あらゆる「私」を受け入れ、併立し現存するからこその「継承者」。受けた精神的あるいは肉体的な苦痛をも、体験として甘受する。《悪魔の誘惑》を畜生には見抜けないだろう。
 ああ、我らの経験はこの際不問にしてくれたまえ! 全容が見えない方が幸せなこともある。
 ともあれ、随分と激しい交渉だったが、収穫はあった。しかし我らの先は、目的は、まだ未達。

 ――ぶるるっぶふ……!

「おやごきげんよう。それとも……こんにちはお馬さん? いい夜だ。う、うん? こっちじゃなくあっちにいい感じの雌が――」

 更なる混沌を求めて、次なる馬に向かって声をかける。その度に「わからされ」てしまうだろう。理解を深め、継ぐ、その理こそが真骨頂。愚を極め、真理を紐解く。悪魔たる所業。

 幸か不幸か、歯車の噛み合わせか、運命は影朧の噴出する地点に彼女を招き寄せる。そう、何度かの交渉の末にメアリが見つけた次なる馬。それは天をも駆ける「白馬」で――。

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『いにしえの聖騎士たち』

POW   :    救済の一撃
【神から授かりし聖なる力】を籠めた【聖別された武具】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【劣等感】【邪心】【煩悩】のみを攻撃する。
SPD   :    パラディンロード
【神から与えられた聖なる力】【悪を許さない正義の心】【人を憎まない慈愛の精神】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    聖騎士精神
【破邪精神と慈愛に満ちた口上】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 天馬、と呼ぶべき神獣。
 跨るのはその代行者たち。

「おめでとうございます!」
「皆様は数多溢れるヒト畜生の中から、選ばれた栄誉ある者!」
「蹲え! 操を捧げ、奉仕し、尽くすのです」

 邪とは、人たらんとすること。
 悪とは、天馬を蔑ろにすること。

 天上の美貌と歪んだ信念を持つ、猟兵たちを馬に劣ると断言する男女混成の騎士たち。
 人としての尊厳を持つものは、代行者たる彼ら『いにしえの聖騎士たち』が、暴力と交渉をもって心を折ろうとするだろう。また、早々に屈服したものは天馬が慈悲をくれるだろう。

「これより聖罰を与えます」
「我が御手、我が肉・槍、肢体、すべて天馬への導きたれば!」
「不浄なるヒト畜生には、制裁を!」
螺旋・咎大蛇
【アドリブOK・脱ぎNG】
ぐっ…でも…私が受けた分…だけ…
助かった人もいる…
(無理矢理家畜たちに引きずられてゴミのように聖騎士の前に投げ出される。常人ならすでに死んでいるようなダメージもしばらく経てば回復する。)

ケダモノのほうがもっとまともですね…私の受けた仕打ちは。
今すぐにでも開放してもらいましょう。

ユーベルコードを発動させ、聖騎士に対し連続で斬撃を仕掛ける。

…多くの敵を倒し、それでも聖騎士は彼女を物量で追い込む
彼女の内に潜む邪悪な力を刺激するようなことをいいつつ

その胸に槍を突き刺し、その状態で罵倒と暴力を繰り返す。

「い…った…はずだ…お前達に屈することは…永遠に…ない…!」



「ぐっ…」

 ――ずりずりずり……べちゃ!

 擦れた肉音と水音と共に、ぼろ切れが地面に転がされる。役目を終えたケダモノたちはその場をそそくさと立ち去った。彼らにとって褒美とは、天馬の拝謁を許されたことなのだろう。あるいは虐め尽くした玩具をたまたまその場に捨てただけなのかもしれないが。
 ぼろ切れ……ではなく、咎大蛇は、咎大蛇煉獄剣を杖によろよろと立ち上がる。

「驚きました! この傷で立ち上がるどころか、即座に修復してみせるとは」
「ゲホッゴホ……即座に、ではないですがね」
「五月蝿い、人間の言葉を喋るなヒト畜生が!」
「かれらに与えていただいた名誉を、治療するなど我らを愚弄するにも程があります」
「疾く、死にませい!」

 口々にヒトを貶める言葉を投げかける騎士たち。手にした突撃槍を威圧的に構えつつ、ヒトがいかに愚かで下劣な存在かを認知させる。言葉は言霊の矢となって咎大蛇の心にグサグサと突き立った。
 それでも克己して言い返す。

「でも…私が受けた分…だけ…助かった人もいる…! がはっ……げ、ぶ……この町も、人々も、解放してもらいましょう」

 ――ヒュッ……ザムッ!!

「あ……え……?!」
「それに何か一つ勘違いしていたようですが、追い詰めたのはこちらです。お前は蛇の腹の中の虫に同じ。この刃より逃げることは叶わぬ――!」

 騎乗鎧と、構えた槍と、さらには雄々しい白馬の頸ごと、まとめて溶断してみせる。
 轟々と燃え盛る炎、対象を次から次へと切り替えれば、思わず後退り姿勢を変えるほかの騎士や天馬ももろとも焼き尽くしていく。撒き散らす火の粉が視界を覆い、甲高い悲鳴が被さった。

「いっっ……ンッぎゃあああ!?」
「天馬さまォアアっ゛!?」

 一瞥し、吐き捨てるように。

「なるほど。たしかにケダモノのほうがもっとまともですね…私の受けた仕打ちは」

 ――ぴピッ……。

 ヒトを語るなど烏滸がましい。……それは、自分も同じか。ズキンと頭痛がする。
 服の袖で血糊を拭き、さらに剣を振って残りの血も払う。

「ですが、痛みで私を屈服させることはできません」

 燃え上がるような大剣の熱で肉体と刀身を研磨し、さらに切れ味を増していく。蒸発した血の匂いが漂って、焦げた空気に威圧感が迸った。
 狂気の騎士たちの神経をこれほどまでに逆撫ですることもない。聖騎士精神に満ちた詞を高らかに唱えつつ、横列に並ぶ。まとめて焼き払われてしまったが、「逢魔が辻」の発生区域である限り戦力は無尽蔵に補給される。燃やされたならその灰を撒き散らして窒息させる、狂気に塗れたとはいえ騎士道は真っ直ぐ続いている。続いては、いる。

 ――ザクっ……ボォオーッ! ゴウッ……ずしゃおッ!! ザムッ……!!

「こいつ……強い!」
「手負いの癖に」
「胸に突き立つ剣を狙います! 私に続け!」

 一斉に騎士たちは槍を構える。
 ケダモノたちからそのような報告を受けていたのもあるが、的確に弱点を狙い撃ちする素振りには、訳がある。憎悪。拒絶。およそ耐えられるものでない想念を封じ込めた、呪詛のようなものの残滓が漏れ出し、周囲の存在を洗脳するのだ。大抵は、竜神の意志による、咎大蛇への「破壊」意識。果敢に立ち向かおうとする心を折るべく、より激しい加虐を、かつ的確な狙いで攻撃的な思考に陥る。
 ヒトを貶める誤った騎士道に、残逆な竜神の意志が混ざり合い――。

「投擲いま!!」
「はあっ!!」「でえい!」「それっ!」

 螺旋を描いて、咎大蛇目掛けて飛んでいく。最初の数本こそ剣で弾き飛ばしたが、弾き飛ばしきれない物量が命中し、槍がまるで杭のように次々に突き立っていく。吹き飛ぶ体。槍もろとも空中で大の字に括られた体がピクピクと震えている。鋒が深々と呑み込まれながら、呼応するように蛇之麁正をユッサユサと動かされていた。
 衝撃に思わず苦悶の雄叫びをあげる。

「ぐ、があぁッ?!」
「効いていますよ!!」

 突き立つ槍を抜いた、刹那――勝負は決した。
 大立ち回りをした咎大蛇を騎士たちは四人がかりで飛び掛かって四肢を抑え込むと、五人目が槍を突きつけながらニタリと笑って見せる。勝利を確信した眼差しだ。

「ふん。手こずらせてくれましたね」
「何を……」

 六人目が傍から踏み出した足で顔を足蹴にした。

「ぐぶっ、退けて」
「どこまでも言葉のわからない畜生が。この頭には何が詰まってるんです? このっこの!」
「ヒトのような脆弱な存在は、天馬のような神獣に及ばないのです。我々は神の庇護を受けています」
「この肉体を破壊し、軛から解き放ちましょう」
「やはりヒトは醜い」
「ヒト畜生め」
「この槍は天罰です!」

 ――グサッ……ずぶずぶずぶ、ゴリっ!

「んぎっ、イギっ……ン゛っ!?」

 赤黄色く明滅する命削りの楔に、敗北の味をさらに教え込むようにゆっくりと槍の先端を突き刺していく。柔らかい肉が掘り進められる絶望的な痛み。一息に進めるのではなく、あえてじっくり時間をかけて。
 勝ち誇る騎士たちは馬こそ降りているものの六人がかりの上槍の投擲で消耗させたなどと卑怯な手段に訴えている。これもまたヒトの醜さを表しているようで、咎大蛇の苦しみを助長させた。

 ――ゴリッ!! ゴリゴリ……ブッチィ゛ーッ!! ぷしょッ、ドクドクドク……!

「ンっギ?! はっ……はひぃーっ、ふはァーッ、ほひゅ~っ……!」

 深く呼吸をすればするほど、傷つけられた内臓が軋み、肉裂けの悲痛な音が聞こえる。大の字に地面に横たわり、胸の剣の他に、槍二本が双丘の先端目掛けて刺さった、聖人の磔のような状態。槍先は心臓や致命の箇所こそわずかにズレているものの、損傷は甚大。すぐに回復に努めなければ生命活動に影響が……しかし、一向に死に向かう様子がない。猟兵の生命力、そして咎大蛇の常人ならざる頑強さに、数で勝る騎士たちはわずかに恐怖する。

「……む?」
「どうやら生命機能そのものには影響がない様子ですね」
「明らかに致命傷ですが……どうします?」
「いい機会です。できるだけ苦しめましょう。ヒト畜生にはちょうどいい」

 四人がかりで大地へ羽交締めにした騎士の言葉に、双槍を突き刺した騎士と、顔を踏んでいる騎士は頷いた。
 自分の手まで焦げるのも厭わず、胸の剣をずっぐずぐと出し入れし、双槍は交互にぐるぐると傷口を広げるように円を描くように回す。ぐりぐりと傷口を穿るたびにびたんびたん咎大蛇は上下した。傷の回復してない身体に、まるで塩を塗りたくるかのような暴挙。
 咎大蛇自身は触れることさえできない弱点を集中的に責めつつ、その眼差しはゴミを見るものそのものだ。口にするのも穢らわしいと嫌悪感を露わにしながら罵詈雑言を浴びせかける。

「げあっ……ぐうッ……この、悪党め……っ」
「まだ喋る元気が。汚物め!」
「……あっぎぃぃいい?!」

 ゲレンデに刺さったストックのようにリズミカルに咎大蛇を傷つけていく。だがまだ足りない。
 抜き差しするたびに盛大に血飛沫が散って、みるみるうちに血の池が広がっていく。

「本当は振り払って、我々を破壊したいのですよね」
「ヒト畜生には欲望に身を任せるのがお似合いかと」
「抵抗しないのなら我々が天に代わって破壊します。少しずつ……」

 ――ぐりっ!

「あぎぅっ?!」
「治りかけている箇所の方が痛覚が過敏になっているようですね」
「安心召されませい、我々の言葉に耳を傾ければ多少なりとも傷は回復します」

 ギョッとして目を見開き、身体を左右に揺すってなんとか耳を塞ごうとする。肉と肉が繋がっていく感覚、それを断ち切られる感覚。そんなもの、どれだけ強靭な精神力でも耐えられるわけがない。

「お、脅そうと無駄、です……さっき、い…った…はずだ…お前達に屈することは…永遠に…ない…!」
「脅しではありません」
「試してみますか」

 文字通り胸襟を開くと、凝視する。皮膚を引き裂き、筋繊維が少しでも繋がりかけたところに執拗に槍先を突き立てる。細かい部分は腕を突っ込んで爪で摘んだり、五指を割り入れて無理やりミチミチと広げてみせたり。絶叫に近い苦悶が幾度も響く中で、騎士たちは真剣に吟味する。永遠とは、すなわちどれくらいの痛みを蓄積すれば体感できるものだろうか。苦しい時間は長く感じるものだ。

「命を燃やして、尽くすのです。その全てを破壊されるために、破壊のために、破壊、破壊――」

 ならば、これはどうだろう。

「が、ごおっ……!? くフッ……げ、ぐっ、ぇえぇええ、ぎ、ギャアアッ!?」

 ならば、こちらはどうだろう?

 疑問は尽きない。時間は山とある。ゆっくりと壊し続けていけばいい。たっぷり、ゆっくり、ゆぅ〜っ……くり、と――!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アナスタシア・ムスハルト
アドリブOK

ははぁ、なるほどねぇ
何を言っているのか分からないわぁ

草むらに隠しておいた刀で斬りかかる
【秘剣・燕殺し】はそんな図体じゃあ避けられないわ
天馬を狙い、的確に脚の腱や首の血管を【切断】

お仕事だもの、マジメに戦うわよ
それに優しくされるよりも、無理やりされる方が好きなの

ある程度斬り伏せたら、いきり立った騎士に組み伏せられる
その気になれば【怪力】で押し返せるけど敢えてしない
矯正のためか知らないけど、動物みたいな四つん這いの姿勢で捻じ込まれる
突き上げたお尻を平手打ちされて、その振動で咥え込んだのが胎内の色んな所を刺激して気持ちいいわぁ
浄化とか洗礼とかそういう名目で、子宮にいっぱい注ぎ込まれちゃう



 ――ザンッ……!!

「が……」
「なッ……?!」

 切っ先を向けられた。手にしていた刀だ。その所作だけを最期の光景にして、騎士たちがバタバタと倒れ伏した。

「これはほんの挨拶よ」
「ヒト畜生の餓鬼が……!」
「我々だけでなく天馬に剣を向けるとは!」
「死すら生温い所業ですね」

 ぽりぽりとアナスタシアは頰を掻く。口では一応「ははぁ、なるほどねぇ」とその形に動かしてみせるが、なんてことはない。理性を喪失してしまっているせいか何を言っているのか分からないのが本音だ。だから声もかけないし、再び刀を構えてみせる。
 次は馬だ。まずは騎士たちの機動力を奪う。翼があることは気がかりだが、狙いはブレず的確に、脚の腱や首の血管に絞る。
 太刀筋は見切らせない。もっとも馬やらの動体視力ではそもそも見切れたとて反応はできないだろう。そのための超スピードだ。

 ――ザンッ……バシュ!!

「ぎえっ」
「が……ばかな……」

 他愛ない。
 隠しておいたサムライブレイドを発見するような動物ならではの鋭さや、《秘剣・燕殺し(ソニックブレイド)》に対応する反射スピード、あるいは闘志すらもねじ伏せるほどの狂気的な信念。いずれも持ち合わせていないとなると、いくら仕事といえど多少のピンチは演出したくなるものだ。もちろん真面目にこなし戦果を得た上での話。
 圧倒的な高みから、趣味と実益を兼ねて大立ち回りを演じて、そして――。

「うっ……くぅ」
「ハァハァ……手こずらせてくれましたね」
「高くつきますよこれは……!」

 よろめいた姿勢で臀部を突き出した四つん這いになれば、覆い被さるように巨漢の騎士が組み付いてくる。人間基準で言えば美青年なのだろう。しかし騎士である以上、彼らもまた歪んだ騎士道に魅入られた哀れな存在。美貌を歪め欲望を熱り立たせ、アナスタシアの着衣をびりびりと引き裂いていく。
 あっという間に生まれたままの時の姿に、否、いっそ裸の方がまだマシなあられもない姿を晒してしまう。騎士たちの視線が屹立する巨房の頂点や下腹部に集中しているのを見ると、あまりの屈辱に身震いしてしまう。それは同時に、これからどんな目に遭うのだろうというちょっとした期待感の表れでもあった。

「(そうそう。それに優しくされるよりも、無理やりされる方が好きなの)」
「まずはその性根を叩き直さなければ」
「覚悟はいいですね?」
「もう、それでどうするつもりかしらぁ?」

 ――ぱぁあんっ!!

「ひぎぅッ?!」

 あらわにされていた桃尻が、平手で叩かれた。その音だ。

 ――ずどぢゅんっ……!!

「んっッおオオっ……!?」

 大柄な騎士が手を振り上げる。咄嗟に嫌な予感で全身が強張った。じんじんと腫れ上がった右の尻たぶに、今一度手のひらが容赦なく降ってくる。
 お仕置きにしたってこんな古典的なものはない。スパンキングされた尻はむしろ高く持ち上がってしまっていて――。

 ――ばっちいぃいっ!!

「くっフゥン?!」

 さらに大きな異物感が、ずぶりゅッ! と凶悪に主張を開始する。強烈な嘔吐感を必死で耐えつつ、自分が置かれている信じられない状況を飲み込もうとする。
 騎士の蛮行はおそらくこうだ。深々と、子部屋まで辿り着きそうな勢いで突き入れられると同時に表面へ手をぶつけ続ける。これだろう。答え合わせをするまでもない。
 事実それゆえに、瞬く間に白い肌が打擲で腫れ上がり、ぷりぷりとした瑞々しさが見る影もなく痛ましい様相へ変わり果てていく。無理やり姿勢を動かして逃れようとすれば、深々と抉った剛直がナカで上下暴れ回り、アナスタシアを内からの快楽拷問で脱力させる。胎の中に赤熱した鉄をねじ込まれているかのような、暴力的な行為。期待していたとはいえあまりに無法といえるだろう。

 ――ずぢゅんっっ……!! ばっちぃいい!!

「あ゛ッ……ちょっと、まッ……!」
 
 ――バッチィイイッ!

「きゃ、あっ……? あ、あぁ……ああーっ」

 ぷしゃっと股間から黄金水が飛び散る。与えられた刺激に、下半身の踏ん張りが耐えられなかったらしい。
 荒々しく、折檻を思わせる打擲と交渉。これでは快楽よりも苦痛の方が勝ってしまう。その理由の一つには倍近くある騎士男とアナスタシアの体格差であった。腰の打ち付ける音さえも生々しく、まるで大人が子供を襲っているかのような悍ましささえ覚えるだろう。
 何より一往復ごとのストロークが大きい。前後運動のたびに限界まで突き込まれ、つるんとしたお腹が内側からボコボコと脈打った。男の欲望に体全部で奉仕しているような、やりきれない思いが胸の内を埋め尽くす。
 男の方は男の方で、決して下手でもないらしい。むしろ見下した人間の弱さを熟知した上で、どんな芸達者でも耐えられない弱点をごりっ、ゴリリッと刺激する。
 時折最も深い位置でわざとらしく停止し、ぐりぐりぐりと子部屋の入り口がプッシュされた。切れ込みを愛おしむように、先端が何度も入口をこね回す。
 アナスタシアも意図したタイミングで鳴かされては、自分より遥かに弱い存在にいいようにあしらわれる屈辱に悶絶した。

「くうっ……うくッひううぅう……ン!」

 ――パアンッ! ばちいぃッ! ぱあんっ! ……ずぶぼっ。

 そして――限界が訪れる。

「あ……うぇ、うそ……今ッ、ぅっあぁああ?!」
「くっ、内側から浄化しますよッ!」

 ――ぶぴゅぴゅぷっ…!!

「あ、あぁ……う、あ……ぐぅうぅうっ……!!」

 悲鳴、嬌声。
 欲望が中で爆発的に膨らみ、そして弾けた。
 堰を切ったように怒涛が、どくどくと生暖かい質量が、腹部を満たしていく。愛情を微塵も感じない、無情なまでに暴力的な荒々しさ。
 彼女の惚けたような表情を見て満足したのか、騎士たちは次々に己が逸物を昂らせると、項垂れるアナスタシアを使おうとさらに激しく接触し始めた。丸出しの双房、まだ揺れる尻たぶ、秘孔、どれもこれも浄化しなければならない悪の温床だ。

「くぅ……んふふぅ……まだこんなにいっぱぁい……♪ んちゅるぅ……れりゅぅ……っ」

 鼻先に突きつけられた一本に愛おしげに口づけしつつ、すりすりと擦り上げる。髪を掴まれ、無理やり口を開かされ、胸も尻もいいように揉まれながら、アナスタシアは己の受難がまだまだ続くことを確信して、内心微笑するのであった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
また、随分と歪んでしまっておりますねぇ。
開放して差し上げましょう。

【炳輦】を発動し飛行、展開した防御結界の内側に『FMS』のバリアを重ね『武具』による攻撃を、[結界術]で『遮音効果』の有る結界を追加し『口撃』を其々防ぎますねぇ。
そして『時空切断の嵐』で戦場全体を包み広域への[範囲攻撃]、乗り手と天馬を纏めて[切断]しましょう。
『時空』ごと切裂く嵐の前では、『庇う』ことも難しいですぅ。
後は捨て身の特攻等の攻撃は『瞬間移動』による緊急回避で対処しつつ、『FRS』『FSS』の[砲撃]に『FDS』の[爆撃]、『FBS』の斬撃に『FGS』の重力弾を重ね、確実に叩いて参りますねぇ。


神代・凶津
「……酷い目に…あいました。」
他の猟兵に救出されなきゃ今頃犬に食われてたぜ相棒。
いや、ある意味食われてはいたか。
「…デリカシーがないですよ。」
良し、言い返せる位には気力が回復したみたいだな。

と、敵が現れたぜ。
「…転身。」
(UC発動で橙色の巫女服【炎神霊装】を纏う)
体の主導権は俺に任せて休んでろ、相棒。
「…後は…任せました。」

敵の妄言は聞き流すが天馬が何より大事だって話だったか?
…つまりその天馬が弱点か。(ニヤァ)
高速飛翔しながら生成した炎刀で天馬の動きを見切り、攻撃を避けながら執拗に斬り刻んでやるぜ。

敵が何か喚いてるがよく聞こえねえなあッ!はっはっはっ!


【技能・空中戦、見切り】
【アドリブ歓迎】


結城・愛莉
(惨状を陰から見守っていた)

想像以上にひどいわね…どっちも
尊厳死、とでもいうのかしら?
生き物に上も下もないとは思うけどそう思うのはあたしも無意識に優越をつけているということか…

騎士たちに騎士たる所以を思い出してもらいましょうか
ギタギタで正気に戻るか試してみます

馬と騎士がお互いに認め合えなけれは天馬騎士とは言えないわよ?
目を覚ましなさい

天馬にもギタキダを試します
目を覚ましなさい、驕るものに天馬の称号はふさわしくないわ

覚ましてくれなければ…ピンチね
多勢に無勢ならメスでも限界がある
馬の蹴りは内臓破裂を容易に起こすと言われてるし
そうなればもう

口の中に広がる血の味と激痛
許してくれそうな気配は…なしか



「ぐッ、がァアッ?!」

 肺の中の空気を根こそぎ吐き出す勢いで盛大に嘔吐くと、くの字に身体が折れかける。前屈みになった顔面目掛けて、馬の後ろ足が命中した。

 ――ボッ……ゴオォオオォ!!

「ふっぐっ!? ウ、あぁあぁッ!!」

 咄嗟に間に差し込んだ両腕でガードしたが、堪らず吹き飛ばされる華奢な身体。吹き飛ばされて二転三転してようやく勢いが止まると、突っ伏して何度も咳き込む。結城・愛莉(求める者・f27223)は今まさに窮地にあった。
 すでに何度か《ギタギタ血まみれ外科手術》を試しているものの、天馬の機動力と数の多さに翻弄され、思ったように施術できていないのが実情だ。
 敵意にギラついた眼差しに一切の和解の余地はない。何度も天馬の脚力で蹴りつけてられれば、持ち堪えるのは厳しいだろう。

「痛ゥ……。ハァハァ……ッ、なんとか数を減らさないと」

 血反吐を吐きつつ、鼻血を手の甲で拭ってメスを構え直す。医療ノコギリでは大ぶりすぎてまず命中はしまい。荒療治になるが頼りになるのはこのメスのみ。口の中にじんわり広がる鉄の味。全身が軋んだような激痛。眩み、霞む視界。

 そこへ――割って入る、橙の影。

「心を燃やすぜ、相棒ッ!!」「…転身」

 凶津と桜の退魔師コンビである。

「……酷い目に…あいました」
「おかげで助太刀が遅れちまったなァア? だいたい自分だって他の猟兵に救出されなきゃ今頃犬に食われてたぜ相棒。いや、ある意味食われてはいたか」
「…デリカシーがないですよ」

 言い返して、体の主導権を凶津へと譲り渡す。ぐーぱーと手を開き閉じしながら、ずらりと並び立つ天馬騎士を睨み返した。なるほど、これが相棒を痛めつけてくれた主犯格たちか。身体はガワこそ応急処置したものの、桜の内外には未だに生々しい傷が残りダメージを完治したというには程遠い。

「数を減らしてくれれば私が治療する。それでいいのよね?」
「あン? そいつはできねえ相談だア! こちとら頭にきてるもんでよ。それにきちんと懇切丁寧に言ってくれたじゃねえか。その天馬が、弱点だってな。そこを攻めるッ! だろ?」
「弱点……ううん。生き物に上も下もないとは思うけどそう思うのはあたしも無意識に優越をつけているということか…」
「上下はともかく、敵味方はあるだろうが!! さあ、派手に暴れようやアアァァッ!」

 炎の翼から放たれた斬撃が、馬の頸に命中すると、一も二もなく溶断される。嘶こうと避けようと、構わずの連続攻撃。騎士たちは悲鳴をあげる。

「くぅう、何たる無礼!」
「この罪深き者たちに、聖言を以て赦しを」

 炎上包囲網から飛び立つことで逃れた騎士たちは、素早く空中で陣形を整えると、飛翔して追いかけてくる凶津に対し、言霊をぶつけようとする。判断材料が歪んでいたとしてもそれが邪なるものと一度定めてしまえば浄化の対象になる。

「喰らいませい! lalala――!」
「うおッ?! 危ねえ!」

 空中で星のように閃光がバチンバチンと弾け飛ぶ。力の原理はよくわからないが、ともかくこうも物理的な破壊力を持っているとなると迂闊に近寄れない。近づいて炎刀で速攻でケリをつけるか、あるいは炎刃で削ってていくか。判断を誤れば、ただでさえ負傷している桜がさらに重荷を負う。

「――では遮音の結界を張ってみましょうかぁ。これで言葉に耳を傾けることはないかと思いますぅ」
「おっ! これなら敵が何か喚いてるがよく聞こえねえなあッ!はっはっはっ!」

 戦場を包む防御結界を展開し、喉を押さえる騎士たちの混乱をよそに、乱入したるこるが圧倒的な存在感にて戦場を支配する。いち早く影朧の発生源を抑えていたるこるは戦端が開かれたと同時に結界構築に着手、時空切断の嵐が吹き荒れる暴風域を展開した。さながら歩く天災と化した彼女は、天馬もろとも乗り手を引き裂き蹂躙する。
 彼女は圧倒的に優位に立っていたとしても所作に油断はない。フローティングミラーコートシステムによる光線、さらには攻防一体の構えをとりつつ、騎士たちを間引きしていく。

「近づかれると厄介ですねぇ」

 と、口の中でぼそりと嘯くが、対策案を講じている限りは厄介で面倒であっても、それ以上の脅威にはなり得ない。
 形勢が傾いたことを確信した凶津は、ゆっくり頷くと、炎を最大噴射して斬り込んでいく。

 ――ボウッボォオオ!! ズバァアアッ!!

「ああっ天馬さまァア!?」
「ギャアアッ?!」
「距離を取られるのなら、遠慮なく砲撃させていただきますね」

 結界は立体的な戦場を構築していてなお、領域内へ十分敵を収めている。逃げ場などない。逢魔が辻から溢れ出す物量になる前に、可能な限り頭数を減らしたいのがるこるの思惑だ。打倒すべき影朧を引き摺り出すまで、攻撃の雨は止まない。

「借りは返すぜ! オラオラオラァア!!」
「頼もしいですねぇ」

 地上においては、愛莉のオペがいよいよ本格的に始まっていた。
 オブリビオンと化してしまった集団を全て正気に戻すことは難しい。――それはあくまで他の世界の話だ。ことこのサクラミラージュにおいては、魂を癒せれば流転し救済されるのも不可能ではない。

「目を覚ましなさい、驕るものに天馬の称号はふさわしくないわ」

 首筋にざっくりとメスを入れると、そう囁きかける。すると先ほどまで荒ぶっていた気勢がウソのように大人しくなり、天馬らしい勇壮さと野生のような臆病さが入り混じった、動物然とした挙動を見せ始めた。人語を解し、ヒトに寄り添う。

「いい子ね」
「我々の天馬さまが、こんなヒト畜生に……?」
「次の患者は、そう、あなた?」

 ――ひゅっ!!

 投擲したメスが眉間や急所に命中し、一人の騎士を治療する。ドロリとした邪念が鮮血とともに流れ出ていく。見れば猟奇的にも映るが、闇医者の本懐は切って繋げる外科治療。この医療の現場こそがまさに彼女の求める戦場だ。もっとも、たまに自分自身を攻略の材料にすることもあるけれど。

「わ、私は一体……」
「聞かせて。あなたは誰?」
「私は神に仕え、人に仇なす敵と戦う騎士です。ですが、この惨状は……我々はいったい?」
「お願い。根治させるわ、だから協力して」

 騎士は首を傾げながら、味方だったはずの他の騎士の邪心を攻撃する。定義づけが変われば、何が聖で何が邪かも反転する。肉体こそ傷つけないものの、人を守るものと人を駆逐するものとで凄烈な同士討ちを始めた。同元とする神の力が戦場のそこかしこで乱れ飛ぶ地獄絵図。
 さらには炎の礫と、時空切断の嵐が無差別に飛ぶ猟兵にとっても都合の良い戦場だ。当たれば致命傷になるような攻撃が次々繰り出される、決して心落ち着けられない戦場。その場において愛莉は目を閉じて考察する。拡大を食い止めること。それもまた重要なファクターだが所詮は対処療法だ。原因を取り除かなければ延々とリスクがつきまとう。
 確実に影朧は数を減らしている。そこで閃いた。そう、脅威が減少する中で、しかし、その中において濃い瘴気の晴れない箇所があるように感じる。
 おそらくそこが急所、否――切除すべき患部といえるだろう。じっくり耳を傾ければ、聞くに耐えない悲鳴や怨嗟、苦しみに満ちた声が朧げに聞こえてくるではないか。そこへの施術を行うことではじめてこの騒動を解決したと言えるだろう。

「なるほど。ここの構成が見えてきたわ」

 見開いた愛莉の瞳に光が灯る。アシンメトリーの服を靡かせて、彼女はさらに混沌の戦場、その奥へ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

篁・綾
幻類の扱いにNGなし。反撃の尺は少しで構いません

大分頭が偏っているようね。何れにせよ、騎兵など…!
(が、槍持ち三騎に包囲され、引き倒された上で執拗に救済の一撃を打ち込まれる。邪心(尊厳)と煩悩(敵対心)をすっかり駆逐され、彼女らに屈服してしまう。そしてそのまま、天馬へ捧げられ―)

…まぁそんなのは御免なので。
包囲される前に【カウンター】で花びらを飛ばし、【目潰し】し撹乱。
同時に指定UCを発動。目潰しの花びらに混ぜこんで飛ばし、幻の中へ。

あちらの攻撃は【残像、敵を盾にする】等でかわしつつ、機を見て【鎧無視攻撃、斬撃波、2回攻撃】で打撃を。
…まぁ、正直にあちらの戦場で戦わなくてもいいのよね。



 ――ぐりぐりっ……きゅっ。

「んッく……」
「ええと。先ほど何かおっしゃってましたね?」
「たしか頭が偏ってるとか、騎兵如きとか」

 ――ふにふにふに……もみもみゅん。

「そこは違……アんっはなして……ッ?!
「ヒト畜生にしては見上げました。混血ですか?」
「そのようです。この感触は如何とも」

 綾は意気揚々騎士たちに立ち向かったものの、混戦のうちに包囲されついに引き倒され、聖別の槍で突き回されていた。幾重も着込んだ着衣は全てはだけられ、股座や豊満な胸の間にまで手を突っ込まれている。騎士たちの腕がまるで何本もあるかのように翻弄され、うまく考えがまとまらない。まるで流れる小川を両手で掬おうとするかのような取り止めのなさである。
 もっとも槍は直接肉体を傷つけない。しかし綾の尊厳は確かに痛めつけられ、嬲られている。

「くっ」

 ぶぅんと闇雲に振った古刀が虚空を斬った。
 片手はなんとか胸を隠しつつ、もう片手は今の動作で逆に掴まれてしまう。まずい。そう思った瞬間にはさらに強くねじ伏せられていた。

「カ……はッ?!」
「ではこれからもっと存分に」
「ええ。罰を与えましょう」

 ――ずぶずぶずぶ……ズクッ!

「あギッ?! ぐっ、うぅうう……」

 槍による《救済の一撃》が胸に突き立てられる。駆逐されるのは邪心(尊厳)。そして、煩悩(敵対心)である。繰り返しになるが玉の肌は一切傷がつくことはない。だからこそ不気味に熱を帯びた肉体は一層妖しく、ずくずくと淫靡に欲が沸滾る。
 槍による連続の攻撃は手が緩められることはない。それどころかさらに前後に捻じり、綾の敏感なポイントを責め立ててくる。それぞれの鋒が肉体を失った蛇の頭のように跳ね回り、ただでさえ敏感になっている身体をこれでもかと刺激した。悩ましくも昂ってくる欲に、いよいよ切なくなってくる。

 ――ずるるるる……ザクっ!!

「んびゅっ、オ゛っ……!?」

 ――ずるルルゥ……ズブゥ!!

「おグッ?! ひぁあああ!?」
「果てましたか?」
「存外敏感なようですね。突かれるたびに邪心を放逐され、心中はヒト畜生に堕ちている中で、よくもまあ平然を保っていられるもの」
「抵抗するとは愚かですね」
「ふぶぅうっ、ひゅぐぅぅ…………くっ!」
「まだそんな眼差しができましたか」

 ドスドスドスドスッ! と綾が動かなくなるまで念入りに刺突を繰り返す。何かモゴモゴと悲鳴やらに近いものをあげていたが、ぱったりと動かなくなった。
 無抵抗になった肉体の双房に手が伸びる。あらゆる方向から激しく揉みしだかれ、ムニュムニュと複雑な形に変形して卑猥に揺れていく。

「あう、あッ、やっぁあん……」

 もはや当初ほどの抵抗感は感じられない。どころか先端の方をくりくりと指の腹で弄られれば、極限にまで硬化して勃起していた。当然騎士達もその変化に気付いている。
 にたり、と、視線の交錯した騎士が口角を上げた。自分らを愚弄し、天馬さえも見下した存在がいかに矮小か、屈服するまで教え込む必要がある。見つけた弱点は責めない手はない。

 ――ジュるルルルッ!

「んグっ、ギっ……うぅううぅぅ……!」

 絶え間ない刺激を受けてプックリといやらしく膨らんだ桜桃を騎士達は一斉に口を宛がい、吸い上げる。それを綾は顔を左右に激しく振り歯を食いしばることで、口を必死に閉ざして嬌声を挙げない様にしていた。
 口元からは甘い吐息が零れ、全身の毛穴からは汗が噴き出して裸体を妖しく光らせている。汚れを知らない無垢なる桜の肉体は騎士の蹂躙によって卑しい「牝」の肉体へと刻一刻変えられていく。

 ――ぬるんっ……!

「ご覧ください。あなたの股座がこんなにも」
「ッ……わざわざ見せないで……っ」

 ねばぁと指の腹に糸の端がかかる。自分が興奮していることを目の当たりにしたことで、いよいよ綾の抵抗心の壁は脆く崩れ去ろうとしていた。
 目敏くも陰部の花芯に目をつけた騎士は、親指と人差し指が固く勃起したそこを摘まみ上げる。

「あはぁぁーッ?!」
「聞きました?」
「聞きましたとも。あはぁ♪ とのことです」
「ヒト畜生の鳴き声にふさわしい」

 その瞬間、綾の目がカッと見開かれ、涙が雫となって霧散した。一番敏感になっている部分に与えられた一撃は鮮烈で、脳内を真っ白にする。

 ――クリクリ、こりこりュッ……。

「ん、ふぅ……ふぁぁ……」

 悩ましげに唸るたび、桜の香りがふわんと漂う。えもいわれぬ中に、より濃い匂いを発する場所が一つ。急所を一点集中で刺激される拷問に腰をカクカクと揺すれば、秘園の割れ目からはトロトロぉっと透明な花蜜が溢れ始めていた。
 左右に開かれた肉の蕾は繊細で精巧。肉の花弁が複雑に重なり、不思議で美しい芸術である。そしてその奥には、騎士たちも思わず唸る地平があった。
 屈辱に次ぐ屈辱。順調に快楽の坂道を転げ落ちていく中で、もがき惑いながらもなんとか、それでも、と抵抗の意志を見せようとする。反抗的な態度が最後まで騎士の反感と蔑笑を買ってしまった。

 ――ぐいっ……がぼ……。

「むっグぅ?!」

 槍を口に咥えさせられた。体が傷つかないとわかっていても舌の上にある質感は同じ。ひたすらに冷たく、ただただ鋭い。恐怖と生存本能からか、肉体に帯びる熱は一層増す。騎士は宣言した。

「今から頭頂目掛けて内を突き上げます。死ぬことはありませんが脳を救済されれば人格もなくなるでしょう」
「あッ、が、げ……あッ゛?!」
「おめでとうございます。あなたは生まれ変わるのです。よしなにお任せください。ヒト畜生として生まれた不運を受け入れた奴隷として、可愛がってあげますから」

 ――ずぶずぶず……。

 じわりと目に涙が浮かぶ。死にたくないと脳が警鐘を鳴らす。

「ん、おっ……!? くふっ……ぐっ」
「さらばです」

 ――ザクっ!

「あ……あぁあアああ゛〜ッ!?」

 絶叫。
 ヒトとしての尊厳が……失われていく。何かを恥じらったり、嫌悪を覚えるような、およそ理性と呼べるものを全て粉々に打ち砕かれて綾という個人はこの世から消滅してしまった。……廃人、否、強制的にヒトであることをやめさせられたのだから、正真正銘ケダモノになったというべきか。
 ……それからも、騎士の言うことを聞くように調教を施された。
 長時間にわたる手淫により開発された肉体は各所を痛ましいほどにびんびんに固く屹立され、全身も汗まみれの蜜塗れ。当初こそ華の香りのような可憐な雰囲気を漂わせていた彼女が、今やキツいだけの人工的な香水のようなフェロモンを撒き散らしている。そして、それが幸せだと信じて疑ってない。

 ――ぬろんッ!

 いよいよ天馬への奉仕が始まる。
 獰猛にいきり勃ったソレは太く、大きく、そして長い。薄っすらと血管が浮き上がり、ビクビクと、脈打っている。それを目の当たりにした瞬間、綾の全身のアドレナリンが沸騰する。見ただけで花芯から脳天までがジンジンと疼くのだ。
 それで貫いて欲しいと、孕ませて欲しいと「牝」としての本能が悲鳴をあげるかのように。

 堕ちて堕ちて、ついに完成した淫らな華の極地。

「あ、はぁ、はぁぁ……❤️」

 口を大きく広げて、期待に潤んで奉仕を始めるその姿を周囲の騎士も思わず固唾を飲んで見守って――。

「――何度も同じ手に引っかかる。そういうところが頭が偏っているというの」

 桜の花弁がふわりと香って、幻に堕ちた騎士たちが馬もろともどさどさと倒れ伏す。彼女たちが現実に戻ることはないだろう。しかし、もはや綾とは関わり合いのないことだ。一糸乱れぬ所作と佇まいで、華々しくも可憐な桜はこの唾棄すべき戦場を後にしたのであった――。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

天城・御言
アドリブ・絡み歓迎・NG無し

はぁ……やっと抜け出せました。
酷い目に遭いましたけど、その分力は高まっている気がします。

天馬の騎士様ですか〜。中々かっこいい口上ですねぇ。それなら此方も――天城御言、全身全霊をもってお相手致しましょう!

刀を構え、馬上から繰り出される槍と交錯します。突進の勢いを【受け流し】、【破魔】の刃で斬りつけます。距離をとっても無駄ですよ!
【弐の秘剣・睡蓮】
地面に刀を突き立てれば、馬の顎下に転移した刀身が致命傷を与え……てない!?

突進を受けて壁に激突し、倒れた所を押さえつけられて……え?
このお尻に当たる熱くて固いモノって。いや!無理です!さすがにそれはッ!お゛っ!!?おごぉおっ!


郁芽・瑞莉
アドリブ歓迎

神獣たる天馬に逆らうのは愚かしい事。
そうであると周りの光景を見て、肢体を熱く、そして濡らし。
そして凶悪なブツを目の当たりにしてごくりと喉をならし屈服を選択。

そのまま入れやすい様にお尻を突き出してお尻を振って雌アピール♥
その慈悲たる一撃を健気に受け止めて。
激しい腰使いにも胸をブルンブルン揺らし、
汗やら乳やら蜜など体液を撒き散らしながら快楽に溺れて。
聖なる力で強化された聖なる白濁液を中に、
そして外にべっとりと撒き散らされ浄化してもらいますよ!

そうして数多の慈悲を貰う中で白濁液が何故か一回一回消えて。
気づいた時には溢れる力が虹色の攻撃となって衝撃波として周りに伝播しつつ襲い掛かりますよ!


フォーネリア・ディヴィヤトリウム
…蹂躙され尽くした襤褸切れのような姿で引きずり出されます
それでも、命ある限り抗い続けなければ
この身は苦しむ人々のためにこそあるもの。…あなたがたには、屈しません

抗った私は四肢を尾を槍に貫かれ…地に縫い止められて。
這い蹲った姿勢の私を、天馬たちのあまりにも巨大な物が――

竜の肉体をもってしても死を予感するほどの、肉も魂も叩き潰されるかのような地獄
…それでも死してはならない。屈してはならない。
屈せば誰も護ることなど出来ないのですから

ついには天馬が私の片角を踏み付け、心諸共踏み折らんとする…その僅かな隙に、
強引に引き抜いた腕で渾身の【爛蛇・禍】を

惨苦の内にある方々のため…私が折れることは、許されません



 それは、物量差に任せた狂乱の宴であった。
 學徒兵・御言は、次々に猛進してくる馬にしたたかに打ちつけられ、地面をバウンドした。肺の中の空気を思い切り吐き出す勢いで咳き込み、目には涙が浮かぶ。

「げほっごほっ……まさか、私の剣技で致命傷を与えられていないなんて……」

 意気揚々、カッコよく名乗りをあげて挑んでこの体たらく、顔から火が出るほど羞恥が込み上げる。それもそのはず、御言にとっての思い違いは、天馬騎士たちは騎士然としこそすれ、いわゆる騎士道とはその振る舞いは程遠いということだ。当然、数の優位を活かして攻め立てるし、それはそれとして天馬を傷つけられれば怒り狂いだってする。

 ――ビリリッビリィ!!

「うわあぁあっ?! 服がっ、一体何を……!?」
「決まっています。中から浄化するのですよ」
「安心して天馬の慈悲を受け入れませい」

 ずうぅんと圧倒的なインパクトを放つ雄馬の剛直が、あてがわれる感触。突進を受けて壁に激突し、よろめき倒れた所を押さえつけられて……抵抗のできない状態。せめてもの悲鳴をあげて周囲に危機を伝えようとするが。

「ああっ……あっ、もあああっ♥ ふぁっ!? ああっ……んぐっ……!」

 御言の目が絶望に染まる。
 女性の裸体に騎士たちが殺到し、女性の小さな体が埋もれる。口腔が貫かれ、それだけではもちろん終わらない。両手に屹立を握らされ、細い指でしこしこと扱くよう強要される。
 その女性は他ならない瑞莉であった。

 ――びゅるるるっ! びゅくっ、びゅるううっ!

「ふむんっ、ふもおおおっ♥」

 汗やら乳やら蜜など体液を撒き散らしながら快楽に溺れていく。特に酷いのは、長々と、しかし瑞莉の体を破壊せんとする勢いの天馬のストロークである。抽送運動をするたびにナカを切削し、ゴリゴリ抉るような腰使いに、ぶるぶると豊丘が揺れている。それでさえも騎士によって時折引っ張られ、玩具のように扱われているのだ。
 神獣たる天馬に逆らうのは愚かしい事。
 瑞莉の選択は、完全なる屈服だった。御言と視線が交錯する。……なんて、幸せそうなんだろう。

「でも! いや!無理です!さすがにそれはッ!」
「おっぐ……! がっ、ごおっ……! そう……耐えれば、か、必ず勝機は……あっがぁ?!」

 耐えなければ、と繰り返し呟くその声が御言の耳に届く。それは四つん這いになって苦悶するフォーネリアだった。満身創痍の彼女はろくな反撃をすることもできず、喘ぐことしかできないでいる。

 ――みちっ……! みちみちいぃっ……!!

「い゛っ、ぎゃっ……!!? あっがあああ?!」

 応急処置で美しく閉じきっていた彼女の秘裂は見るも無惨に割開かれ、股先から裂けるような激痛が走る。今や馬の剛直という規格外のサイズを受け入れ、それを丸ごと収める「収納ケース」。それが今のフォーネリアのありのままの現実である。
 すらりと引き締まった白いお腹が、イカ腹になっている。二つの穴へ交互に、大量に注がれているため、膨らむスピードは異様なほど早かった。

「おおっ、ぐっ……ううぅっ……!? お……アっ……!?」
「おっ、アっ……!? アヒっ……く、う゛っ……おおお♥」

 ――ドプんっ、ドプンっ、ドぷどぷどっぷんっ……!!
 ――ドクッドクッ!! どくっどくどく……ッ!

 本当に限界だった。皮膚が裂けてお腹が破裂する、そんなフォーネリアの訴えを無視し、突き入れては放出を繰り返す。爆竹を詰め込まれたヒキガエルのような姿で全身がビクンビクン震えていた。
 一方で、凛々しくも麗しい瑞莉の腹部が、臨月を迎えた妊婦のように膨らんでいた。白いお腹に血管が浮かび上がってなお、天馬の聖液の注入は止まらない。それを受け入れたのだから当然だろう。

「こんな……のおっ、も、耐え……ッひ」

 お腹が膨れすぎて息をするのも辛そうに、胸やツノにも騎士たちの白濁をしきりにぶっかけられながら、ガチガチ歯を鳴らして小刻みに痙攣するフォーネリア。騎士たちの、自分たちは正しい行いをしているという錯覚が作り出す醜悪な笑いが、一層屈辱を助長していた。

「ぐえっ、げっ……おおお……漏れ、ぢゃい、ますぅうう……♥」

 瑞莉の臍の辺りがぎゅううっ、と押された。体内の内容物が急激に圧迫され、華穴と菊門がむりむりヒクヒクっ、と広がる。
 まるで子の濁汁を洗浄液にするかのように出し入れしている。かえって生命の営みを冒涜しているが、これもヒト畜生には必要な処置。
 出せばまた挿れることができる。天馬の気持ちよさそうな抽送が開始された。肉盤の掘削作業に、瑞莉は自身の死に直結した快楽を甘受する。

 ――ピトッ……!

 ついに、その時が来てしまった。御言の顔からさあっと血の気が引いていく。そして――!

「お゛っ!!?おごぉおっ!」

 ――ぬ゛る゛る゛るッ゛……ぢゅぽんっ……!!

「う゛っっッ……や゛ああアーッ?!」

 絶叫しながら御言は確信する。
 生命の営みではなくあくまで浄化の名目で行為に及んでいる以上、この醜悪な所業が彼らの中では正当化されるのだ。生物としてどうしたって子を成すことはできないとか、一切どうでもよいのである。
 ずぶずぶッと許容を超えた怒張が、少年の尊厳ごと肉体を破壊的な快楽へ誘う。級友がこの媚態を目撃したとしたら、このトロ顔が彼だとはきっと気付かないに違いなかった。

「ぼっッぎょ……!? やべっ……グエッ、げっ……!? おあ゛っ、あああ?!」

 布を引き裂いたような甲高い声が、あたりに響き渡る。
 彼の嬌声が瑞莉を一層快楽の深淵へ引き摺り込み、フォーネリアの絶望を助長させる。
 唇からだらんと赤い舌を突き出し、アヒアヒっと言葉にならない悲鳴を口にして、圧迫感に顔を上げることもままならない。汗だくの前髪がぐいっ、と引っ張られる。

「こちらからも浄化してあげますね」
「んっぼ?! ぶ、びゅうっ……かはっ?!」

 ぐっぽぐぽと、頰を内側から膨らませるように、無理やりに突き入れる。目を白黒させて暴力を受け入れる。荒々しく、他人を気持ちよくさせることなど無考慮の責め苦。歯など立てようものならどんな報いを受けるかなどわからない。悔しくても口淫に耽るしかなかった。
 ぼこぼこと腹を膨らませて無茶苦茶に嬲られながら必死に咥え込む。

「ぶっ、げっ……!? ぐえっ、げっ……おおお……ッ!!?」

 もはや理屈ではない。霞む視界の端に味方がズタボロにされる姿と、まだまだ控える馬や騎士たちを見ながら、瞳の光を喪失していく……。
 宴も酣には程遠い。瑞莉の虹色波動、そしてフォーネリアの渾身の猛毒が形勢をひっくり返すその時まで、たっぷりと狂宴は続くのであった。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

メアリー・ベスレム
なぁにそれ? 栄誉?
ああ、おかしいったら
そんなにメアリのお尻に興奮してる畜生ども
人となんにも変わらない、結局ただのケダモノじゃない
そうわざとらしくお尻を振って【誘惑】してみせながら
【逃げ足】活かして立ち回る
ほら、悔しかったら捕まえてごらんなさい?
その無様にぶら下げたモノが邪魔にならなきゃだけれど!

こうやってわざとらしく馬鹿にしてやれば
「人を憎まない」だなんてできっこないでしょう?
本来のままならともかく、今の歪んだ彼女達じゃきっと、ね
その分、気付かないうちに強化にも綻びが出ている筈だから

そうして追いかけっこの末に追いつかれ
哀れ組み敷かれる【演技】をしてみせて
その隙突いて【首をはねた!】



 メアリーはその言葉を額面通りに受け取った。生粋のアリスである彼女の美徳は純粋であること。それが時にオウガにとっての悪徳になる……のはさておいて、しかし、おめでとうございます、ときた。
 ぷっ――と彼女はふきだした。

「あっはははははははははははは! それならケーキを用意してくれるかしら? 栄誉? 言うに事欠いて栄誉! あっはは、あ〜あ、おかしいったら」

 アンバースデーパーティーだってもう少し華やかなものじゃない? とひぃひぃ腹を抱えて、指差して、涙を流して笑うメアリー。
 何がおかしい、と騎士の一人が憮然と聞く。影朧として未練を残し狂化されるまでも堅物だったのだろう。ヒトを徹底的に見下した彼女からしてみれば、鳥に糞をかけられたような屈辱に等しい。

 ――たんっ……!

「な……ッ?!」

 ぐんと加速すると両足で踏切り、肘を伸ばし馬上の騎士の肩に手を当てて、勢いよく跳躍してみせる。開脚したお陰で天馬の翼に引っかかることもなく、すれ違いざまくすりと笑って。
 レクリエーションでいうところの台跳び。そして、またの名を……。

「馬跳びって、知ってる?」
「くっ! おちょくるやつ――反転ッ反転!!」

 ――ぶみっ。

「なぁに?」

 振り返った天馬の鼻先が、ちょうど持ち上げた位置……偶然かはたまた、待ち受けていた無垢の罠か、
着地したメアリーの桃割れに突き込まれてしまった。傍目にはそれが偶然にしか見えなかったし、あるいは本当に意図しなかったことなのかもしれない。重要なのは天馬がその匂いを覚えたということだ。たっぷりと肉のついた洋尻はむしゃぶりつくためにあるような、興奮を掻き立てる器官。
 鼻息を荒くするその姿に、ますますメアリーは可笑そうに笑う。一歩歩いてお尻をふりふり、二歩歩いては自分で尻たぶを持ち上げてゆさゆさ。ぺろりと出した赤い舌はまるで何かを期待しているようで。年不相応に発達した臀裂が、凶悪な存在感を発揮していた。

「そんなにメアリのお尻に興奮してる畜生ども。人となんにも変わらない、結局ただのケダモノじゃない」
「黙れ! 黙れ黙れ黙れぇっ!! 身の程知らずが!」
「知らないよ。だってメアリはアリスで、アリスはメアリだから」

 勢いよく再び跳躍すると、今度は空中で壁を蹴って勢いづき、そのままダイビングヒップアタックを繰り出す。馬上で防御体勢を取るのが遅れた騎士は虚をつかれ落馬、したたかに上体を地に打ち付けて苦しげに唸る。大臀筋は筋肉の単一部位ではダントツで量が多い。そこに人狼のしなやかな推進力が加わることで、聖なる力に守護された騎士さえも押し倒すほどのエネルギーが生まれるのだ。
 さらに地面に臥した騎士を踏み台にすると、ふるんと下半身を揺らしてみせる。その動きをついつい目線で追ってしまう騎士。

「何をする、何をしているんですか?!」
「これは人参よ。ほら、悔しかったら捕まえてごらんなさい?」
「馬鹿な……」
「まぁその無様にぶら下げたモノが邪魔にならなきゃだけれど!」

 ハッとして己の首下を見遣り、そして振り返って天馬の嘶く顔を見る。視線が頭頂からゆっくり降って下腹部は、ギンギンと痛ましく腫れ上がる。
 何が無様か。人を指して、あるいは天馬を愚弄して、無様? 頭に脳みそが入ってないらしい。よもや赦す余地などどこにもないけれど、せめて脳漿をぶち撒けて中身を確認するくらいはしないと気が済まない。

「死すら生ぬるい。生まれたことを後悔しt」
「じゃあこんな言葉は知ってる? 人を呪わば穴二つ、って」

 因果応報。向けた敵意は鏡写しにそのまま帰るということだ。怒り狂った騎士に届くはずもなく、言葉を遮られた不満から突撃を始める。それを華麗な身のこなしでひょいひょいと避けると、脱兎の如く逃走を開始した。狭い路地を右へ、左へ、また右へ。それを純白の羽散らしながらビュンビュンと飛んで猛追する天馬騎士たち。群れでネズミを追い回すその所業には騎士らしさどころか、およそ理性的な言動すら感じることはできない。
 言うなれば憎悪が騎士たちを突き動かす。正気……否、身を焦がす未練に狂う前には、主命をもって理性を保ってきた彼女たち。今や苦しめられたことから人間に絶望し、無念と無限の怒りをぶつけるため、徒党を組んでメアリーを追いかけ回している。

「まぁ怖い顔。鏡よ鏡、鏡さん、世界で一番怖いのはだぁれ?」
「それは無知なる者です! 腐れ人間めが!」

 ビュンと投げつけられた突撃槍が、メアリーの行手を阻んだ。慌てて止まったことにより勢いを殺しきれず、ごろごろと地面を何度も前転する。
 そのまま大開脚で目を回しているところを、騎士たちが見逃すはずもなく。包囲を狭めつつ退路を断ち、メアリーを誅伐せんと意気込む。

「ああ、ああなんて憎たらしいことでしょう」
「どう殺してあげましょうか」
「生きながら天馬の餌になるというのは?」
「いえ、こうしましょう。縄をもて!」

 馬上から投げ縄を投擲すると両足を拘束、天馬のそれぞれに結びつけ、左右にポジショニングする。暴れる畜生に四肢を引かせて処刑する刑罰があるが、どうやらそれを馬に行わせるらしい。天罰という割には随分と生々しい趣向をこらしたものだ。ぐつぐつ煮えたぎるマグマのような怒りを感じる。
 追いかけっこは終わり、メアリーはタラタラと冷や汗を流す。肉が、骨が、血を滴らせるようなスプラッタな未来を幻視し、しかもそれが近いうち現実になる恐怖感に、少女は涙目になって訴えた。死を間近に感じると、どうしても声が震えてしまう。

「い、今からでも考え直さない? アリスを殺すの? 牛裂きなんてまっぴらよ」
「ご安心ください。これは牛ではなく馬。苦しみを感じることもないでしょう」

 ほくそ笑む。嘘だ。天馬は人間ほどの賢さを持つ優秀なしもべ。少し合図すれば意図を汲み取り、行動する。騎士の指示は、なるべく苦しみを長引かせてから命を奪うこと。
 両足を180に開脚させ、やがてミチミチと筋肉がブチ切れて、絶叫の悲鳴を少しずつ引き出しながら、一思いには殺さない。天馬を馬鹿にした存在にはそれだけの憎しみをこめて刑を執行する。
 拘束が外れないと見るや否や、メアリーはいよいよ観念したかのようにだらんと上半身を脱力した。半ば宙吊りに近い形で華奢な体を持ち上げられ、ピンと伸びて張り詰めた足にぷるるんも桃尻が揺すられる。まるで吊るされて熟すのを待つ果実。それはどう見てももう食べ頃で。
 刺すような視線を感じて、頭に血が上っていく感覚の中で、小首をかしげる。

「アリスのお尻、そんなに気になる?」
「そんなものには興味などありません。どう憎き敵を貶めるか、それだけです」
「そう――なら、アリスはメアリね」

 ――グイッ!!

 パタっと足を閉じる。
 簡単に言ってのけるが、そんなに可愛らしい擬音ではない。片足それぞれを馬に引かれてる状態から、逆にぐいいと馬を引きずり倒し、足の力だけで騎士を行動不能にしたのだ。何という化け物じみたパワー。
 見るからに細い体のどこにそんな力を秘めているのか。わからない。わからないからこそ対策を講じることもできはしない。

「そうじゃなくて、スピードよ」

 瞬間的に込めた力が、憎悪という拭いきれないフィルター越しに、大きく加護を失った騎士を上回ったのだ。そしてそのことにすら天馬も騎士も気づかない。いきなりとてつもない力に引き倒され、無防備に晒されている首が――4つ。

 その、首をはねた! ごろんごろんごろん、ごろん。クリティカルヒットね!

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「蛇たちにボロボロにされてしまいましたが……
理緒さんと一緒なら、まだ戦えますっ」

火照り疼く身体を引きずりながら天馬騎士たちに立ち向かいます。
相手が人であれば遅れはとりませんっ!

【超伝導リニアカタパルト】を展開し聖騎士たちを攻撃しますが……
空中の敵に当てられず、心の拠り所であった理緒さんとも引き離されてしまいます。

「やっ……、何を……!?」

両手を拘束された私は硬く尖った天馬の鞍に跨がらされて、そのまま大空へと。
地上に落とされないために、激しく上下する天馬の鞍に脚の付け根を押し付けて必死に耐え抜きます。
耐えてさえいれば、きっとまた理緒さんと……

ですが、激しい拷問を受けている理緒さんの姿を見せられて。

「お願いです、私には何をしてもいいですから、理緒さんを解放してくださいっ」

聖騎士たちに屈することを受け入れます。

そのまま理緒さんと一緒に天馬の『慈悲』を与えられ……
苦痛と快楽による責め苦を受けさせられるのでした。

「理緒……さん……」

理緒さんと舌を絡め、責められた下腹部にも舌を這わせます。


菫宮・理緒
【アイさん(f07909)と】

絶頂が治まりきってないけど、わたしたちはまだ負けてないからね!

と、デバイスを構えて戦闘態勢。

だけどそれを見て突撃してきた聖騎士たちに対応しきれず、打ち倒され、
アイさんと引き離されて、拠り所を失った心と身体を凌辱されます。

先ほどの淫毒を濃縮して作ったクスリを使われて、
ただでも絶頂し続けているのに、さらに強烈な火種を植え込まれ、
目の奥に火花が散りだしたところを、聖騎士に嬲られて、
拷問絶頂にたたき上げられます。

死にかけの快感に泣きながら空で逝くアイさんに謝ると、完全に堕ちて、
「ヒトでごめんなさい」と、聖騎士たちに謝り、許しを請います。

すると天馬が現れ……天馬を受け入れるという『慈悲』を与えてくださります。

馬の中でも極大サイズであろうそれを一気に捻じ込まれると、
こふっ、と息を逆流させながら、下腹を変形させて受け入れ……。

完全に理性を失い、光彩のない瞳とアヘ顔を晒しながら、
いつの間にか正面で向き合っていたアイさんと舌を絡めて、
さきほどよりも痛烈な絶頂地獄に陥りますね。



「万全の状態であれば危なかったかもしれませんが、これがヒト畜生にふさわしい末路です」
「くっ……」
「ではお待ちかねの処刑と参りましょう」
「ぐうぅ……ッ!」
「これ以上の抵抗は無駄ですよ」

 掲げた大気のレンズが溶けるように霧散していく。それは理緒が力尽きたことを意味していた。項垂れて両手を地につき荒く息を吐く。
 ヒトとして生まれてきたことを後悔させてあげますからね、と騎士たちは構えた槍で雁字搦めに組み伏せた理緒の前髪を持ち上げ、クスクスと笑いかける。畜生たちに徹底的に嬲られた傷はまだ残っている。それらを応急処置し、二人で果敢に立ち向かったものの、騎士たちを壊滅させるには至らず、返り討ちとなってしまった。
 ……たしかに万全の状態で挑んでいれば斯様な結果にはならなかったかもしれない。しかし現実は非情である。
 浴びせかけられる恐怖心を煽るセリフに食ってかかろうとしたところで、同じく引っ捕えられたアイと視線が交錯した。《超伝導リニアカタパルト》を維持する体力も尽きたのか、はたまた相性が悪かったのか、どちらもか。いずれにせよ――
 どちらかが抵抗すれば、もう片方はさらに陰惨な目に遭うことは必至。であれば、たとえ起死回生を目論んだとしても……。

「う、あっ……!?」

 ぴくぴくと、その場で痙攣する。アイの肉体は戦闘に突入してからずっと己を断続的に苛む淫毒に苦しめられ続けている。衣擦れの感触だけでも容易に達してしまうほどに敏感になってしまった彼女を憐れんでか、騎士たちはニヤつきながら言う。

「随分と苦しそうですね」
「お手伝いして差し上げましょう」
「いやですっ、な、なにを……ッ?!」

 彼女たちが持ち出してきたのは天馬の鞍である。しかし、その形状は異様そのものであった。足を掛ける箇所がつるんとしており、馬の胴を両脇から抱え込まなければならない。唯一とっかかりとなりそうなのは、ちょうど座る位置に聳える硬く尖った突起。ちょうど男の象徴のような形状をしたソレが二穴を責めるために付いていることは明白だった。
 悲鳴を上げるアイの両手を縛ると、すでに熱くほぐれたそこ目掛けて、突起をずぶぶぅ♥ と挿れ込んだ。愛蜜と腸液が内側から掻き出され、柔らかな肉粘膜を滑り落ちていく。息んで思わず淫鞍が抜けそうになった直前、左右から二人の騎士が手を伸ばしてきた。

「お゛ぉ……ぼっ……!?」

 騎士たちの白魚のような指が、下腹部にそっと添えられる。落ちかけたのを優しく押し上げ、さっきよりも深い位置まで戻した。そのまま咥え込めるように、ぐりぐりぐりぐりと手を捻じってくる。

「や、め……くだっ……! ンうっ……!?」
「はぁ? まさか、また絶頂しましたか」
「これだから劣等種は。よい……しょっと」
「天馬の体をくれぐれも汚さないでくださいね」

 ガクガクと腰を震わせ、いよいよ立ってられなくなったところで、淫鞍ごと華奢な体を持ち上げられて、天馬に跨らされてしまう。
 一糸纏わず後ろ手に縛られ、馬に跨ってプルプル震えてる姿は、かつて実在した刑罰であるところの市中引き回しに近い。処刑場にたどり着くまでその罪を強く知らしめる意味合いがあったが、衣服すら着ることができないのはさらに酷である。風が当たるたびにヒクつく桜桃、口端からとめどなく垂れる涎、乱れた髪、虚な赤い瞳、下腹部からはとろとろと抉られるたびに淫汁が漏れ飛び散り、ぐちゅぐちゅ卑猥すぎる音を奏でている。

「く、ぎっ……!? ふっクぁっ……ンッ……!」

 ――ばちィイッ……!!

「ッくぅうっ?!」
「叩かれて何を悦んでいるのでしょうか」
「これは罰なのですよ?」
「(痛ゥ……とにかく耐え……耐えないと……今は耐えてさえいれば、きっとまた理緒さんと……!)」

 淫鞍に跨らされ、天馬の上で柔肉をずくずく掻き分けられながら、時折ばちんばちんと殴打される。痛いのに、毒が全身に回り切ったためか気持ちいい。ないまぜになった苦痛と快楽と闘っていたアイに、突如強烈なGがかかる。
 むりむりむりっ、と肉がめくれる音。堪らず意識を手放しかける。

「ん、アぁっ……! ああ……オっ……!?」

 ――ぶちみちみちいいぃっ!!

「キッ?! ひ、ひっぎゃあああ〜ッ?!」

 絶叫。
 極太の棒型異物をぎちぎちに銜え込み、絶え間ない痛みに苛まれながら、空へ空へと舞い上がる。気の狂いそうな強い圧力。腹が内側から押し上げられるような感覚。雲が分厚く広がる空めがけて、ぐんぐん飛翔していく天馬。翼のはためきが不自然に大きく聞こえる。重力に次ぐ重力、極太の怒張を埋め込んだまま、体にかかるベクトルを痛感した。
 落ちる。落ちない……?! ぐらぐら揺れる視界の中で、振動の中で、ナカを太すぎる拷問具で埋め尽くされたまま、重力加速度が両肩へとのしかかる。わざと浮遊時間を増やし苦痛を倍増させているのだ。……振り落とされる。落ちれば頭から真っ逆さま、腕を拘束された状態では受け身を取ることもできず頭蓋を粉砕して命を落とすだろう。
 苦しみながら、命綱とできるのはこの淫鞍しかない。天馬の胴に足を巻き付け、自分の肉をいたずらに傷つける異形の張り型に、ぐりぐりと自ら股を擦り付ける。零れ落ちるのは涙だ。なんて惨めで恥ずかしい振る舞いなのだろう。見上げる騎士たちの嘲笑が聞こえてくるようだ。

「はぁあっ、ぜぇっ、ン、うぅうッ……!」

 なお激しさを増す天馬の上下運動。揺さぶられるたびに夥しい淫蜜を零し、嗚咽と涎を垂れ流しがら、それでも下唇を噛んだ。瞳からまだ光を失ってはいない。
 両胸を前に倒して天馬の胴に押しつけ、ゼェゼェ息をするうち、天馬が一度地に着地した。杭に貫かれたままのアイは降りることもできず、柔肉を割かれた状態で喘ぐことしかできない。

「随分と頑張りますね」
「もう相方は罪を認めているといいますのに」
「……え……?」
「ですから、罪を」
「……り、理緒さんにッ、何をしたんですか……?!」

 視線が黙視たまま、ふいっと何処かに向く。
 恐る恐る、しかし、はっきりとそちらへ目線を移して――。

 ――ぶビュルっ! どびゅるブッビゅうウッ!!

「熱ッ?! ふぎゅ、オッ……!? またァ……くふっ……うぐっ、やめでぇえぇえ!?」
「……あ……あ、あ……ァ……!」

 理緒は地獄を迎えていた。
 アイの絶叫が、彼女の耳に届くことはない。耳、どころか穴という穴に欲望を注ぎ込まれている。白濁塗れ、溺れているという表現が相応しい。
 美しい黒髪がもはや取れないくらいまでにたっぷりとゼリー状物体を塗りたくられると、びくびくと反応の鈍くなった理緒の腰を持ち上げて、指をあてがった。

 ――ズブゥ……むりゅむりゅ……!
 ――ぷすっ! ドクッドクッ!

「理緒さんっ! イヤぁあッ! はやく、はやくやめてくださいッ!」
「アレは液体、そして固体状の薬品。先ほどの生物から抽出した淫毒を濃縮して作ったクスリです。粘膜から接種した方が効果がはやく得られますので、こうして処方しているわけです。やめる理由はありませんので、さらに増やしますね」
「お願いです、私には何をしてもいいですから、理緒さんを解放してくださいっ」
「……はあ」

 騎士たちからしてみれば、敗残の劣等種族が身を挺したとしても、美しい友情を感じることもなければ、そもそも交渉材料にすらなりはしない。赤い瞳を潤ませ、涙ながらに訴えるアイを見ても冷ややかな表情だ。
 仕方なく、騎士たちは肩を竦ませてこう言った。

「では、一時間としましょう」
「今から一時間耐えられたら、彼女を解放すると約束しましょう。これは騎士としての誓いです」
「や……約束ですよ?!」

 自身も息も絶え絶え、焦点も合わない中で、嘆願する。一時間。それほど長い時間を浮遊し己で銜え込み続けたとすれば、肉孔は二度と元に戻らず、毒が浸透しさらに快楽の奔流に飲まれることになる。

「理緒さん……ッ」

 ……それから、どれほどの時間が経っただろう。

 全身に卑猥な書き込みを施され、何度もシャッターを切られ撮影され、理緒が投薬されていた量の何倍もの媚毒薬を注射、服毒され、アイの理性は蝕まれていく。理性もへったくれもない。ただ理緒を苦しみから解放したいその一心で、アイは屈辱に晒され続けた。限界を超えてなお、共に立ち並べば決して破れない困難はないと信じて、弄ばれたのだ。
 開き切った狭穴は戻ることなく、興奮し切った胸の先端は痛ましく屹立し、馬上で揺られながら失神と覚醒を繰り返す。地獄という言葉すら生温い。

「あアっ、げっ……おああ゛っ……!」

 ――ずりゅっ! ずりゅりゅりゅううっ!

「りお……ざ……おぎょ、おオッ?!」

 抜けかけた張り型を、なんとか体勢をズラして抉る位置に戻しつつ、ぐちゃぐちゃの視線で理緒を探す。彼女さえ無事ならば、それで構わない。

「……なさい」
「もう一度!」
「ヒトでごめんなさい……」
「もう一度!!」
「ヒトでごめんなさいっ、ひ、ヒトでごめんなさいヒトでごめんなさい……ごめんなさいぃ……」

 人目も憚らず、恥も外聞もなくただただぐずり出す理緒の姿がそこにあった。
 毒という強烈な火種を植え込まれ、目の奥に火花が散りだしたところを、聖騎士に嬲られ続けていた彼女。自決を選ぶことも、快楽に抗うこともできなくなった彼女は凄絶な拷問絶頂にたたき上げられた結果、ヒトとしての尊厳という決定的なものを捨て去り、哀れな弱者に身をやつしていた。奴隷、敗北者。どんな言葉で表現しても、今の惨めな彼女を百パーセントは例えられないだろう。近づくだけで獣臭と饐えた生臭さが漂い、寡黙な清廉さは見る影もない。うわ言のように「ごめんなさい、ごめんなさい」と上位種である天馬に謝罪し、アイからの呼びかけも、自分が呼ばれたことさえ気づかない。

「お願いします……情けを、ちょうだい……はやく、はやくぅ……」
「も……もう十分でしょう。時間、時間は……?」
「ああ。そういえば測りそびれていました。今から計測しますが、それでよろしいですね」
「き、騎士のくせにっ、騙したんですね?!」
「黙りなさい。ちょうどいい、その生意気な肉袋に天馬の浄化をいただきますからね。順番です」

 じゅっっぽんと水音を起こして、度重なる絶頂で解れた牝穴に、極太の天馬の剛根が無理やり捻じ込まれた。

「きゃう、あっ……! あぁあッ!?」
「理緒……さん……」

 覆いかぶさられ、身動き取れない中で過量の重みと荒々しい野生のストロークによる洗礼を浴びる理緒。普通なら内臓が捲り上がりそうな規格外の大きさと激しさに、打ち震えつつも漏れる声は次第に大きくなっていく。慈悲、だと騎士たちは言った。それは生まれながら劣等種として位置付けられた人間たちに対する、更生の最後通牒である。産みの苦しみ、ではないが、この苦痛を受け入れ耐え切った時に、はじめてヒト畜生の名を返上できるのだ。
 ばっちゅぶちゅと蜜音が高らかに響き渡るところで、下腹部に目線を向ける。人体の柔軟性、その神秘は驚くべきことで、腹部を内側から、はっきりとその逸物の形がわかるくらいに浮き上がらせながら、ぼこぼこに変形させている。劣等のレッテルを貼られた肉体全体で天馬に奉仕している。

「はヒッ……あ、けほっ……おゥげぇええ……おぐっ、あひっ、へっへっ……」
「ッいやですっ?! 私は、私……うあぁああ?!」

 アイもまた、理緒同様、彼女に向かい合う体勢で跪かされると、天馬の極大の剛直を先端から一息に入れ込まれる。肺の潰されそうな圧迫の衝撃に、ひと突きで意識を手放せば、野性味あるストロークで現実に引き戻される。鞍のせいでゆるゆるになった花園は、臓腑を傷つけかねない暴力的な抽送運動でもしっかりと快楽を感じ、内部分泌液を垂れ流していた。時折ぷしゅと潮を吹けば、大きく身震いしてガリガリと地面を引っ掻いている。

「ぐあっ、ふっ……!? くふゥ……うぅうううッ?!」
「ひゅっ、きゅっ……!? はぁはぁっ、いやっ……!? そこォはっ、だ、めっ……ですっ!」

 抉るように、または突き上げ浮かせるようにゴリゴリ内部を削られれば、ビクビクビクと制御の効かない壊れたロボットのように二度三度絶頂を繰り返す。体中の水分という水分を吐き出しているかのようにぼたぼたありとあらゆる淫液を垂れ流して、コーラスするように悲鳴を漏らす。
 耐えかねた渇きを満たすために、理緒はアイへ舌を伸ばした。互いに結合部を尻ごと持ち上げられるような無理な姿勢で拘束されている身ではあるものの、それでも互いに水分を交換する、なけなしの協力をすることができた。
 赤い舌が絡まり合い、幾つもの銀糸の架け橋が、途切れかけた二人を繋ぎ止める。

「ちゅっ……ンっ……! はむぅ……」
「れろぉ、むちゅ、ちゅぴ……ぴちゅっ……」

 伸ばした舌をじっくりと絡め合わせる。アイが歯茎を舐めまわせば、理緒は奥歯まで味を確かめるように。
 耳を塞ぎたくなるような馬のストローク音に、まるで意識を逸らすかのように夢中になってパートナーの唇を啜る。
 目線が合った。ひどい顔だ。互いに蕩けた理性が形をなしてないのは明白だった。光彩のない瞳とアヘ顔。まるでそこに見える顔が鏡写しの己であるかのように、愛おしげに眺めては夢中で舌を絡ませる。下腹部が燃えるような痛みと、破裂しそうな圧迫感に満たされながら、それ以上に二人の心は満ち足りていた。争わず、考えず、頭を下げて快楽に染まる。誰しもが持つ心の弱さが露見する。
 治療に専念すればあるいは再起も望めるかもしれない。しかし、結果はこうだ。親愛のものを人質に取られ、奸計に嵌められてしまった。その一言に尽きる。

「アイさん……んん、ちゅっ……」
「おいし……れすっ、れるるっ」

 幸せそうな表情は憎たらしく見えるものだ。騎士たちは彼女たちに与えられた刑罰がまだ緩いと判断し、天馬にフィニッシュへ向かうよう下知する。
 天馬は優れた知能を有する。だがそれ以上に、野生動物としての本能があった。それは性的な本能、すなわち獰猛な性欲という野生だった。
 元から大きかったソレはブルムと震えればさらに一回りサイズを肥大化させ、より凶悪な形状に腫れ上がると、ばつんばつんと存分に打ち付ける。

 そして、終わりは突然やって来た。
 白濁の奔流が、放たれる。

 ――ぼぶびゅる! どっびゅううっ……!

「あぁ゛っ、ギっ……!? ふんッギャアアッ?!」
「ンあっ!! ぐっ……ぎゅっ、うぅうぅうぅっ……!?」

 その様子が嬉しかったのだろうか? 並み居る天馬たちが一斉に嘶き、傍らの騎士たちも槍やら拳やら、はたまた己の象徴を天へ向けて屹立させる。天馬騎士たちはまだ無数にいる。奮戦で数を減らしたとて、沸る欲望のマグマに歯止めがかかりそうな様子はない。理性を失った二人にもはや抵抗のすべは残されていなかった。

 妊婦のように腫れ上がった腹を抱えながら、二人で互いを口淫で慰め合う、あまりに悲しい末路が、二人が救出された時の状況そのままであった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メアリ・イーズディル
いやあ、ひどい目にあってしまったね。
次の交渉相手は…あは、お馬さん尽くしってわけだ。
白馬で…天馬?
破邪だの慈愛だの愛だのって、もしかして私の天敵だったりしない?
いやいやオブリビオンだし真っ当なやつじゃないと思うけど
かえって変に効いちゃうかもだね…
浄化?されて人の姿の私にされちゃえば
天馬の相手なんて、口や胸だけでは無理だと思うし…
満足させられなければ、どうされちゃっても、仕方ないよね
悪魔じゃない、ただの少女として
引き裂かれて、注がれて、溢れさせられて、狂わされて、殺されて
人と白馬の情報が交わって
愛の結晶が―

まあ殺されちゃっては先はない
それでも続ける悪魔はここさ
人の私の最期を肴に、聖騎士ちゃんを頂こー!
白馬ちゃんが私に夢中になってる間に
可愛く凛々しい聖騎士ちゃんにちょっかいを出すよ
私ならなんかいい感じに無力化できてるはず!ほら、白馬ちゃんからの逆流侵食とかでさ
普段白馬ちゃんと何してるのかとか聞きたーい!
それより凄いやつで壊してあげなきゃだから、ね
私の悪魔は凶暴だ!
聖騎士に悪魔を宿しちゃお💕



 ――ぺちんっ……!

「……はっ、ハアッ……? いやいや……あれ?」

 先制一撃、祟り縄を振り翳して騎士たちに躍りかかったメアリは、そのあまりの手応えのなさに首を傾げた。
 打擲音が、軽い。それも強固な防御力で弾かれたというより、繰り出した威力が半減以下に減衰していた。念じても腕に力が入らなくなってしまっている。ぐーぱーと手を広げたり閉じたりするが、動きが感覚よりずっとスローモー。我らの経験から近いものを類推するなら、まるで知らないうちに深海か宇宙空間に放り出されてしまったかのようだ。
 騎士たちのそばに立ち並ぶ馬を、改めて見遣る。

「待て、白馬で…天馬? そういえば破邪だの慈愛だの愛だのって、もしかして私の天敵だったりしない?」
「あなたが何者かなど、劣等種族の何かとは――」
「いやいやいや! そんなに『いい加減』な認定でも弱体化させられるなんて厄介だね」

 梃子摺りそうだとか、苦戦しそうだとか、そんな感情はメアリの言葉尻からは微塵も感じない素振りである。敵を前にして冷静な分析をするのは生来の気質か、はたまたこの分岐すら袋小路とは認識していないのか。
 その様子に騎士たちは一斉に組み付き、耳元へ聖言を囁き始める。

「つまり……敗北を認めるということですね」
「己の罪を、さあ! ここに晒すのです」
「離せ、離せって……!」

 耳から滾る泥濘を注ぎ込まれているかのような感覚、詰まって腐り落ちそうだ。およそ信じられない悍ましさにとって、かりそめであろうと正しさを論じられたならばそれは正しく畏怖すべき対象。耳たぶをフニフニと嬲られながら、耳孔に舌を這わされるような距離感で毒素たる聖言を囁かれる。
 例えるならばクスコで広げられた狭穴に、マグマの如く熱を帯びた激毒を無理やり注がれているに近い。体内が爛れ、腐っていくような感覚。
 声にならない叫びをあげて、のたうち回る勢いで地を掻いて悶え苦しめば、メアリの肉体はさらに急速に変異していく。

「かはっ?! やめッ私の耳があッ、ううぇえェ……こ、これは……?!」
「化けの皮が剥がれましたね。汚臭の漂う低俗な塵めが」
「そのまま這いつくばりませい」
「ぐあっ?!」

 鉄踵で頭を踏み躙りつつ、詞でメアリの肉体を書き換えていく。
 細胞が差し代わる感覚。自分が自分でなくなっていく感覚。ツノは砂と砕け、肌は悪魔らしからぬ血色の良さ、瞳までもが仄暗く怪しい眼光が失われて常人のそれへと変じてしまう。人間に擬態した時の比ではない。体の表面から魔たるエネルギーが放出されているのだ。体力が削ぎ落とされた後は、失うものは生命力しかない。筋量も体重も目に見えて落ち、みるみる見窄らしい姿に変わっていく。
 悪魔どころか、人並み以下。奇しくも文字通りの下等種族にふさわしい姿となってしまったのを意味していた。

「さあ、その罪深い体で天馬へ奉仕するのです」
「ご覧なさい。見ませい」
「ううっ……やめないか、そんなモノを近づけるのは……」
「芳しいでしょう?」
「信じられない感性だよ! まったく……くッあ?!」

 先ほどの知恵動物が駄馬に見えるほどの巨体、どうやら天馬の中でも一際立派なものが交渉相手らしい。知能も当然ヒトに比肩し、性欲は昂ること天を突く勢いである。脆弱になった肉体には鼻腔を貫く牡臭は刺激が強過ぎる。迫る生命の危機に、半ば生存本能からか下腹部がじゅんっと熱くなっていく。

「ハアッ……ハアッ、ぜっ、ハァハァ……」

 ――するっ……ビリビリビリッ……ずるっ。

「うぅあっ! いやあ、その、なんのつもりかなあ!?」
「検閲に決まっているでしょう。目に見えない箇所をこうして確認しなければ」
「暴れないでください。ふんっ、こうして両足を掴んで広げてやれば……」
「鎖を! 面倒です。この手も縛りましょう」

 チョーカーと後ろ手に縛った鎖を繋げて拘束具にすると、検閲と称した馬鹿馬鹿しい理由を以っていよいよメアリの尊厳を奪いにかかる。
 下着も含めた着衣を破き捨てると、生まれたままの姿で、さらには手や姿勢で隠すことも阻んで、内股を大きく広げさせる。土手を摘んで両側にぐにぃいいんと拡張してやれば、普段当たるはずのない外気が当たってスースーとし、吐息が当たるたびにビクビクと鳥肌がたった。
 ……これのどこに聖なる行為としての正しさがあるのか? いっそ問い詰めたいところだ。

「なんと醜い、赤い媚肉。む。一丁前に糸を引いていますね」
「広げましょう。尻たぶも持って……ああ、ここの皺の数まで数えられそうです」
「くんくん……ふ。興奮している牝の匂いですよ、これは」

 ゾゾゾ………全身総毛立つ。いかに「私」であっても力を根こそぎ奪われた挙句天馬と性交渉なんて経験はない。本当に、本当に死んでしまう。運良く満足させられれば解放されるかもしれない。しかし熱り立つ天馬の吐口にされて、果たして五体満足で帰れるだろうか? こんな袋小路は分岐などですらない。
 メアリは震える声で懇願した。

「わかった……口で、あっ……いや、む、胸でしてあげるからさ――」

 ――バチンッ!!

「痛ッ?! うっグ……あ……」

 土の味と、口の中に鉄臭い血の味が広がった。
 勢いよく頬を叩くと、騎士の一人が前髪を掴んでぐりぐりと地面に押し付ける。

「戯言をッ! よくそんな口がきけたものですねえ!」
「自分の立場を弁えてほしいものです。そんな文言を吐くような、この腐った口に何の価値があると?」
「いや……どうされちゃっても、仕方ないよね……」
「また口先だけでそのような……!」

 ――ぐにいぃいい……! ぎりっ……ギチッ!! ぐにっくにくにくに……!

「うっグあぁあ?! やッ、だ、伸びるぅっ?! さ……けるゥ……うう!」
「このデカイだけの贅肉で、天馬の玉体に触れようなどと」
「槍で突いて差し上げましょうか? 股間から串刺しにしても構わないんですがね」

 ――ちくちく……!

 薄皮が裂ける。漂う血肉の匂いにいよいよ天馬も鼻息荒く昂りを顕にする。
 ならば、いよいよ年貢の納め時かもしれない。うつ伏せで尻だけを大きく持ち上げた姿勢で、荒く息を吐いて慈悲を待つ。いや、これは慈悲なんてものではない。硬い蹄で尊厳ごと粉々に踏み砕くような、上下関係の再確認だ。
 誤った認識は正さねばならない。二度と反抗の意思を示さないように。二度とヒトとしての意志を持たないように。

 ――メキメキ……メギっ!

「ぐぅ……ッ!」

 百八十度に近い、脚をピンと伸ばした開脚姿勢を騎士たちの拘束でキープさせられ、疼痛と燃え盛る羞恥に苛む。両足を抱えられたせいで設置しているのは頭部や胸かがせいぜいで不安定だ。あくまで天馬の欲望に任せたストロークで性交渉をするらしい。

「痛いなあ……関節が外れちゃっ……外れるだろ!?」
「たしかに外した方が都合がいい、かもしれません」

 軽口に付き合っているばかりで浄化の効率が落ちていることに気づいた騎士たちは、メアリの下半身を持ち上げると、天馬の暴走寸前の剛直にあてがった。
 視覚的な暴力である。見れば見るほど正気ではない。少女の体と営みをするためではなく、嬲り殺すためにあるかのような大きさ。収まりきらないどころか、もし全て挿れようと思えば、メアリの胴体の長さを超えてしまいかねない。
 雄角が花弁を馴染ませるように捏ねる。この時点で股から侵入を許していい太さでないことに気付こうものであるが、メアリは刑を受ける側。拒否権もなければ、覚悟するいとまもない。

「あっ……あぁ、あ……くぅッヒ」

 胎の内側を穿たれ、後戻りできない裂かれ方をしている。みぢみぢッと肉が割り開かれる。
 突起にくすぐられていた浅い部分が張り詰め、限界以上に引き伸ばさる。潤滑油になるべき愛液が、垂れる隙間すらなかった。それほどまでに規格外のサイズ。結合部が奏でる音はひたすら痛ましい。

「このままではすぐに浄化されてしまいそうです」
「いけませんね。罰は長く続けなければ、そうです。聖言で体内を解しましょう」
「せいぜい電流を流す程度の刺激にしかなりませんが、何もしないよりはマシですか」

 ぽっこりとその形が皮膚ごしにはっきりわかるほどに浮き出た下腹部に、手持ち無沙汰だった騎士が優しく口づけする。注ぎ込むのは歪んだ聖言だ。

 ――ゔぉん……びりっ、ピリぃ!

「ンッお、ぎュ……ッ💕」

 体が跳ねて、不自然な痙攣を起こした。
 脆弱性の付与とは、当然快楽への耐性も含まれる。どんな快楽さえも抵抗を許さず余さず受け止めてしまう、言うなれば感覚器官の暴走。さながら電流のような強烈な刺激が、断続的にメアリの子部屋を揉みほぐし、魔に連なる者から従順な「穴」へと躾ける。
 臓器が炙られ、蕩かされていく。
 そして、それはそこが女性にとって致命の弱点でありながら、ただの通過点だと暗に伝えるに等しい。
 メアリの大きい胸が、中を埋め尽くす剛直に押されて、地面に擦れる。先端をずりずりごしゅごしゅと掠める刺激が切なく、性感のボルテージを引き上げていく。呼応してゴシゴシと擦るようだった抽送運動も、子部屋の入り口をこじ開けようと躍起になっているように、鋭さを増していく。

 ――ぶじゅ、ごりゅう、ずっぼ、ずぼ……ずぼ、ずご、ゴジュ! ブッチュ!!

「アギっん!? が、ア……げ……ゴフッ!? こわれ、えげ、わア……ンッ💕」

 ――ぶりゅっ、ぶりゅるるるるる……!

「ああああぁああぁあ゛っ、げっ……💕 ぐげがッ……か、はっ……!?」

 前触れなく、一際大きく膨らんだ剛直がメアリの内部で破裂した。胃から吐き出されるんじゃないかというほどの猛烈な勢いで注がれている白濁は、彼女の腹部を妊婦のそれと見紛うほどに膨張させてなお飽きたらず、生命活動を維持するのが困難なほどに「征服」していく。内部の臓腑が破裂する。外された脚関節がだらんと動かなくなり、剥いた白目は戻らない。内側から肉槍で貫かれ、ズタズタに引き裂かれた媚肉が死という不可逆の快楽を与えながら、傲慢にも命を踏み砕いた。
 まさしく訪れる死の、間際、絡み合った遺伝子が異形の仔を孕もうとして――。

「……という行き止まりがあったというわけさ」
「え……?」
「いやいや、そういう道行きなのだよ☆」

 あっけらかんと言い放つ。
 打ち倒された天馬たち。息も絶え絶えの騎士たち。唯一、なんとか五体満足で残された騎士は、顎を掴まれて、異貌のメアリに微笑まれている。

「馬鹿な、だって先ほどまで、私たちは」
「白馬ちゃんが私に夢中になってる間に無力化させてもらったよ。浄化する、なんて聞こえはいいけど干渉は相互が基本。今見ていたのは……んー、あなたの普段の行いだね」
「ウソ、ウソです……悪魔め!」
「ようやく騎士っぽい発言が聞けたよ。そう! 我らこそは悪魔にして魔女にして悪霊。始まりにして終わりたるもの。あらゆる分岐を統合し束ねた迷路。一にして全! 混沌まぜまぜメアリ様さ」

 舞台女優さながらに、大仰に手を広げながらそう宣言する。やはり脚じゃなくて広げるなら腕に限る、なんて言うわけだからまるっきりなかった話でもないらしい。
 天馬は倒されてしまった。ともあれ逢魔が辻が健在ならば物量は無尽蔵に確保できる。新たな天馬も確保する機会もあるだろう。目の前の悪魔から逃げなければ。

 ――ざっ……ジリジリ……がばっ!

「くっ」
「捕まーえた。お待ちかねの質問タイムといこう。普段白馬ちゃんと何してるのかとか聞きたーい!」
「わ、私は……その」
「時間切れ! まあ先ほどの逆流侵食で全部把握はしているけども。そこで『下ごしらえ』をしたモノがこちらになります、ってね。悪魔流三分クッキング! 私の悪魔は凶暴だ!」

 今度は自らの意思で、衣装をばさりと脱ぎ捨てる。
 腰に手を当て胸を張るメアリの「悪魔」がかま首をもたげていた。凛々しい聖騎士は息を呑んだ。あり得ない。励起していないサイズでもそれは常人どころか、天馬に比較して劣らない。物理的に衣装に隠しきれないボリューム。なんらかの魔術で隠匿していたのか。無意識に鼻先を擦り付ける。その柔らかな感触に、たちまちに血管を浮立たせて臨戦態勢へと向かっていく。甲斐甲斐しくも、この力量差は哀れさと滑稽さとを感じさせる。
 そんな騎士の頭を撫でながら、メアリはそっと彼女の鼻を摘んだ。

「ガハッ……げほォボ、むぐうっ?!」
「これが聖騎士ちゃんの中に入るんだよ。まず味を覚えておかなきゃ♪」

 ゴリュゴリュ喉奥で扱き上げながら、騎士の口腔を道具のように使ってやる。涙を浮かべて慈悲を乞う、もっとも先ほどと立場が逆であったなら、それこそ「お話」にならなかったであろうから、没交渉だ。
 たしかに、口や胸でなんとかしようなんて考えは誤り以外の何物でもなかった。使える部分なんてここしかないじゃないか。
 ぬぅうんと、腕ほどの大きさにまで肥大化した「悪魔」を押し倒した騎士に突き入れようとする。

「ゲホ……ぉ、ええ……」
「覚悟はいい? 壊されて、ヒトを捨てる覚悟さ。このかわいいお胎に、悪魔を宿しちゃお💕」
「あ、ありがとうございます……ううっ、ぐすっ」
「殊勝殊勝! でもプライドとか、ないの?」

 メアリは笑っている。騎士もつられて笑った。こんな時にまで笑顔が込み上げてきてしまうのだから、よほど普段から天馬に仕込まれているに違いない。
 わからない。わからないこそ知ってみたい。
 そして、その不可侵の思いこそが真意である。馬と人との想い、苦悩、交わりこそ、この影朧兵器の贄にされた者の呪詛が秘められている。何の呵責もなく馬と思い合った影朧。それに影響され忠誠を誓った騎士たち。類似点というにはあまりに似過ぎている。

「私の呪いは、あの方の――」
「あの方。どの方?」
「小町様ッ……ああっ深い、ふかいぃい……おっごおお!」

 しまった。聞きそびれた。まるでケダモノじゃないか。
 壊す勢いで責めてるからつい言語感覚まであやふやにさせてしまった。メアリは顔を顰める。トロ顔は見ていて飽きないけれど、メアリの興味は常に尽きず、分岐して広がって我らへ還元される。
 ……ならば私の目で確かめるほかないではないね?

「くるッ、き、きて、くらさぃい!!」
「たっぷりと注いであげよう。白馬ちゃんよりも、濃くて、量も沢山、確実に悪魔を宿せるよう奥の奥にね。ううっ……!」

 ――ビュルッ、ビュルビュルビュルビュル……ッ!!

「イッ!? ふっぐうぅうッ〜ふぅッ……!?」
「ふう……その調子その調子! このまま二回戦、いってみよう」
「あひッ……ヒィイ……」

 臍から噴水のように噴き出すんじゃないか、傍目にそう訝しむくらいにだぷんだぷんと注ぎ込む。歓喜に肩を震わせるメアリは達成感に満ちた顔をしているが、騎士の顔色は青くなったり白くなったりしている。悪魔の遺伝子はヒトのそれより遥かに人体に馴染みやすい。間違いなく結実することだろう。一度では足らなければ何度でも。

 ヒトを超えた、情熱的な交渉。それが騎士として生きてきた彼女らの未練を解きほぐす……一助となった、のかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『わくらば小町』

POW   :    交配疾駆
【誰とでも交渉をする、性欲旺盛な牡馬の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【鞭の打擲】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    馬辱蹂躙
自身が装備する【、誰とでも交渉をする、性欲旺盛な牡馬】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ   :    影蜘蛛突
【馬のいななき】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【穴に潜り込む習性のある蜘蛛】で囲まれた内部に【即効性の毒液】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナチャ・アトラックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ひと、ひと、ひと……あちらにも、こちらにも」

 苦しげに、恨めしげに、意思をねじ曲げられ、ひたすら命を疎う怨念と化した『わくらば小町』が、「逢魔が辻」の奥から姿を現した。
 跨る愛馬は、天馬を超える体格の重種馬、身長は二メートルを超え体重は千二百キロほどはあろうか。

「アナタも……そう、そうよね」

 愛おしげに、心が通じ合っているかのようにぶつぶつと何か言葉を交わしている。その目は片方は潰れ、側頭部や持ち上げた胸部の谷間や眼孔から小さな蜘蛛を生み出している。桜の輪廻から外れた病葉、それが今の彼女の唯一の名前である。
 身構える猟兵に、鞭を振り翳して、彼女は敵意を剥き出しにする。どうやら言葉は通じないらしい……!

「たんとお食べ。胸が苦しいけど、ワタシも食べてあげるから……!」
ヘルマ・ヴェッセルス
アドリブ歓迎、NG無し、完堕ち希望

沢山の動物が居ましたが発生源はここでしたのね…
い、色々ダメージは受けましたが、一気に倒して片付けてしまいましょう

な、なんですのこの蜘蛛は…
ちょっと…やめっ…
(穴と言う穴を蹂躙され毒液塗れになり完全敗北し、蜘蛛の苗床になります)



 馬の猛進を躱しつつ、ひらりと着地。優雅な所作でヒールを直すヘルマ・ヴェッセルス(ダンピールの聖者・f25625)。

「沢山の動物が居ましたが発生源はここでしたのね…」

 ふうんと鼻白み、しかし油断なく豪奢な銃を構えながら小町を睨みつける。ここまでに無から湧いて出てくる畜生たちを駆逐しながら来たせいで、衣服はところどころ解れ、ストッキングは破れて、何よりケモノ相手の連戦で食傷気味だ。
 疲弊は焦りにつながる。ヘルマが望むのはズバリ正々堂々たる決着。
 ルーンソードも不得手ではないが、最も使いこなせるのは銃器の扱いだ。

「早々に決着をつけましょう。他の方に見せ場を譲るつもりはありません。……覚悟はよろしくて?」
「アナタもひと? ひと。ひと、そう……なら選ばせてあげる」
「どうやらお話は通じないようね。お逝きなさい!」

 ――ドウッ……ドドドドド!!

 銃口が火を噴いて小町の肉体をぐしゃぐしゃの肉塊に変えようとする。黒々とした鮮血が飛び散って、重種馬が心配げにいなないた。
 勝負は一瞬。純血のダンピールである自身の実力に、絶対の自信を持つ彼女である。

「ふっ他愛もない。わたくしにかかれば影朧といえど所詮この程度」
「そう……」

 ぬぅと、音もなく背後から現れた小町の気配に、ヘルマは振り返って息を呑んだ。
 その姿はまさしく異形であった。先ほど上げた血飛沫は、体内に住まわせた蜘蛛が着弾の衝撃と同時に体外へと飛び出ただけだったらしい。何より、自身の決定打で奪命し損ねたことで、ヘルマの精神に深い動揺を引き起こしていた。慌てて銃を構え直し、トリガーを引こうとする。

「……下」
「下……? ひっ?! 足元……ッ!?」

 ――ずずず、ぞぞぞぞ……!

「いやっ! このっ、ああっ……なんてこと……!」

 自分の足を木の幹に見立て、這い寄り登ってくる大量の蜘蛛、蜘蛛蜘蛛、蜘蛛蜘蛛蜘蛛蜘蛛蜘蛛! がさごそと一つ一つは小さく、音量も少なくても、群れて束ねられれば耳障りで気色悪い。一瞬躊躇して、その後すぐにトリガーから指を離し、勢いよく足をはたき始めた。ここまで接近を許したのは誤算だ。修正しなければ。自分のお気に入りの衣装を蜘蛛などに汚されるなど、それだけで虫唾が走る。

「痛い痛い痛い。痛くて苦しい……! でもワタシは幸せ……アナタとは、さようなら」
「何を言って、まだ勝負はついていなくってよ。逃げるおつもり?!」
「さようなら。――はいやっ」

 重種馬に小町は飛び乗ると、戦場を再び駆けていく。仕切り直すにしても一旦距離を離すことは重要だ。戦略的な意味もあるのだろう。
 勢いこそあれスピードはそれほどでもなさそうだ。決して追い縋れない距離ではない。並み居る畜生をくぐり抜けてここに来たのだ。今更、たかが蜘蛛如き、すぐに振り払って、今度こそ首を取る……!

 ――ぴゅるっ……!

「うッ……あへぁ?! 今度は、なに……ッ?!」

 ヘルマの疑問はすぐに氷解することになる。《影蜘蛛突》――複数の孔という孔に潜り込んでは、宿主の体を淫らに堕とす毒液を撒き散らす蜘蛛を仕掛ける。
 元から小町に、会話を十全に理解する理性もなければ、人間と正々堂々勇を競う気概もない。あるのは馬との蜜月を長引かせること、邪魔するものを蹴り殺すことだけだ。罠に嵌めることにも一切の躊躇はない。
 ヘルマが視認できた蜘蛛はほんの一部だったのだ。目に見えないほどの大きさの蜘蛛が、針や牙、あるいは体液そのものを媚薬にして、注入する。ヒトにある孔は何も……口や耳だけではない。

 ――ぴゅるっ……ちくっ!!

「くぅあ?! 痛ッ……」

 痛みなどない。反射的にそう叫んでしまっただけだ。
 臀部の奥にある秘窄や、前穴、臍、果てはたわわな双房の先端二つから、衣服の下へ潜り込んだ蜘蛛が一斉に侵略を始める。咄嗟に胸部に手を当てると、その些細な衝撃で蜘蛛は破裂し、針で刺されるの何倍も痛烈な感覚を呼び起こした。

「グ、ウ……ううぅっ……フゥーっ!」

 思わず肩を竦めてその場に座り込んでしまう。
 それは蜘蛛地獄に自ら落ちるという最悪の選択と同義。

「な、なんですのこの蜘蛛は…ちょっと…やめっ…」

 ――もぞもぞぞ……ずるぅ! ちゅるる……ぴゅる! ぴゅるルル!!

 つるん、つるんと、一匹入ってしまえばあとは簡単だった。細く体を伸ばした群れの蜘蛛は、一匹一匹、それぞれ別の孔へと体を潜り込ませていく。排泄する器官、酪漿を生み出す器官、腸へさらに奥へと繋がる箇所、それらから伸びる管。邪なる力で生み出された蜘蛛は、たとえ毛穴ほどでも隙間があればそこに媚薬を注ぎ入れるだろう。まるでヒトこそ穴だらけの歪な生き物だと、知らしめるように。高貴なダンピールとて例外ではない。そして快楽を感じてないような箇所に媚薬で「開発」をしていく。
 ヘルマは背筋を伸ばして舌を出して喘いだ。かと思えば電池の切れたように首を力なく曲げ、可憐で柔らかそうな唇の端から涎を流している。普段の優美な佇まいは見る影もない。身じろぎ一つで媚毒の浸透するスピードが何倍にも増す。麻痺毒や蜘蛛の巣だけならどれほどよかっただろうか。
 そして、涙ぐましい抵抗も、呆気なく崩壊する。

「あ゙ぁあーっ?! ギい、い゛ぃっ?! ぐぅっ、くっふイグッ! イ゛クッ、いっくぅぅぅぅっ︎❤︎ らめェ、ど、まらっお❤︎ おぉん❤︎ とまりましッ、とめでェ︎ぇぇっ❤︎❤︎」

 涙や鼻水、愛液、あるいはアンモニア臭のする液体でなんとか媚毒を洗い流そうともがくが、まだここにも注ぎこめたかと、己の習性に従ってますます注入を増やしていく。むしろ体内容量を軽くした分だけ、逆流を覚悟で毒を挿入する。
 蜘蛛の孔責めは、ヘルマが泣き叫んで許しを乞うたとしても決して止まることはない。彼女を苗床へと作り変え、ヒトとしての意識を改めさせるまでは、何時間かかっても何日かかっても蹂躙し続けるだろう。母体として認められなければ殺され、母体として晴れて認められれば喜悦と快楽の中で「意志」という個を蕩けさせられる。

「こんなの……ぉグ、ジぬっ! し、しんで、ぃヒ……おかしく゛ッ……なりますわ……んンォおおオ゛❤︎」

 今や巣に捕まった蝶の様相で、のたうち回ってもがくことしかできない。本当にその姿が蝶であったならば、足が外れ、羽は千切れ、触覚は折れ、頭から齧りつかれたに相違なかった。
 ヘルマはヒトであったがゆえにより悲惨だ。誇った衣服を自身の体液と、撒かれた毒液で濡らし、尊厳を捨てて償いの意思を見せようとも手折られ、下等生物の烙印を押されその深淵に堕ちていきながら、しかし笑顔が込み上げてきてしまう。

「あひぃっ!? ひぐっ、アハっ、あひ……」

 喉奥と腸内が不意にぶっくりと膨れ上がり、抜けるような悲鳴をあげながら喉を掻きむしる。垂らされた毒液が膨張したのか、はたまた質量に耐えきれず正常な感覚を喪失したのか、いずれにせよヘルマが喜悦を覚えたことに違いはなかった。
 脳をかき混ぜられるような苦痛が、喜びに変わっていく。あるいは後悔の中で生きながら、弾頭に変えられてしまった影朧の苦しみは、これに近しいのかも知れなかった。

「もっと、くだしゃいまし……どくどくどくって……もっともっとしてぇぇっ……❤︎」

 あひ、あひと、地面に額を擦り付けて屈服する。額から流れる血と、喜悦の涙を啜らんと、匂いに釣られ蜘蛛がへばりつき、ヘルマの尊厳を根こそぎ喰らわんと迫り来る。耳の奥で嗎が聞こえる――それに追い縋ることは、もう叶いそうになかった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

嗚吼姫・ナエカ
あの巨馬の突進や蹄を受けたらタダじゃすまないな……
あいつをどうにかしないと、影朧の子へ近付くどころじゃない。
すれ違い様に一撃を入れることさえできれば……!

だけどもし、相手の連携があたしの想像以上だったら。
あたしは叩きのめされて、敗北のツケを肉体で支払うことになるかもしれない。
……重種馬に容赦なく“使われる”だけの、けだもの以下の存在として。

ぐぅっ、どけよ! あたしはお前のツガイなんかじゃ――ひッ!?
う、嘘だ……。だってそんな……そんなモノ、どう考えたって入るわけがないだろう……?
あ、ああぁっ……いや、いやあぁっ! やだ、やだよっ!
やめて、お願――

(NGありません・アレンジや過激な描写歓迎)



「ふっ……たあっ!」

 ――ズバァ!! ぶしゃ……!

「ぎゃッ?!」
「浅いかっ……ちぃ!」

 嗚吼姫・ナエカ(雪狼牙忍・f26098)の唯一の誤算、それは人馬一体となった小町と重種馬の連携である。《砕牙・霹靂》による一撃は強力なれど、しかし深手を追わせる前に馬の判断で体勢を整えてしまうため、どうしても攻め手を欠いてしまう。
 何より巨馬の突進、そして蹄はまともに喰らえば轢殺されてしまうであろう、その体格差。慎重にならざるを得ないナエカは、攻撃を繰り返しながら、次第に次第にと劣勢になっていく。
 馬上の小町が、自身の出血を厭わず、乗馬鞭を打擲し、的確な指示を下した。
 目には目を、急所狙いは猟兵だけの十八番ではない。

 ――ボっっ……ゴォッ!!

「おごっっげぇええぇえっ!?」

 ――ズドごぢゅんっ……!! ドゴオオ!!

 後ろ足による強烈な蹴り、命中した衝撃が伝わると同時に鞭の合図でさらに勢いよく蹴り上げ、瞬間的に破壊力を倍増しにする。骨だけでなく内臓にまで伝わりそうな暴力が、嗚吼姫八彌籠宮紋に命中してしまう。丹田にあたる箇所であり、ここを傷付けられれば霊力を練るのが難しくなる。
 地面を転がり、建造物に叩きつけられてようやく勢いを殺したナエカは、苦悶に霞む視界をなんとか清明に戻す。

「げほっごほ……グ……まだ、だ……!」

 豊満な胸の下に隠れた褐色の腹部が、刻まれたばかりの生々しい傷痕を残しながら膨らみ凹むを繰り返す。闘志だけは目から消えない。魔に抗い続けるのが流れる忍びの血に立てた誓い。
 それがどれほどの屈辱に塗れた末路を迎えようとも。

 ――ギリギリ…………ギチィ!

「ぐっ……かは!? こ、の、はなっ……せぇ!」
「やってくれました、ね。嗚呼……ワタシは、羨ましい。その牙、耳、尾……ヒトじゃない。逆立ちしても手に入らない。苦しい。……だから、手に入らないから、食べてあげますね。ね? ワタシの愛しい旦那様」
「何を、訳の分からないことを、痛ぅッ、縛るなって! ぐぅっ、どけよ! あたしはお前のツガイなんかじゃ――ひッ!?」

 ぬぅん、と、鼻先に突きつけられる、屹立。単純な長さがナエカの股座の辺りから顎の下あたりまである。太さも自分の腕よりは足と比べた方がまだ比較になる程度。金属バットをずっと凶悪にしたような隆隆たるフォルムに、鼻先まで近づけられれば人狼の嗅覚が悲鳴をあげる牡臭が漂っている。臭いだけで子を成せる生態だったならば、一も二もなく屈服してしまったことだろう。
 魔に敗北したものの末路、覚悟はしていた。しかし、何事にだって限界はある。
 そもそも生き物として違う。サイズが違う。どう甘く見積もって半分も入らない。無理だ。第一、交尾したところで結実するわけがない。
 だのに、どうしてこうも旨そうに涎を垂らして、痺れの残る自分にのし掛かろうとしてくるのか。ダメだ……ダメだ! 脳が自然と理解を拒んでしまう。

「け、けだものなんかと一緒にするな! あたしは、こんな……ううぅっ」
「安心ください。アナタは、今から『けだもの以下』。……おやり」
「う、嘘だ……。だってそんな……そんなモノ、どう考えたって入るわけがないだろう……? 止めてくれよ、あ、ああぁっ……いや、いやあぁっ! やだ、やだよっ! やめて、お願――」

 ――ズ ン ッ ……!!

「ん゛ゥう゛お゛っ?!」

 恥も外聞も投げ出した嘆願は聞き入れられず、無慈悲な一撃が突き挿れられる。下腹でぶちぶちと嫌な音が聞こえた。どこか媚肉が切れたのか、それともどこかの神経が引き千切れたのだろうか。肉柱の先端は一撃目で呆気なく子部屋の入り口に至り、引き締まったお腹をぼっこりと醜く歪めた。
 はっきりとカタチがわかる。なんて愛おしく、雄々しいのだろう。これを体内に受け入れる栄誉の価値をわかっていないヒトのなんと多いことか。重種馬にも快楽を味わってほしい。下劣なヒト畜生では剛直を挿入れるケースにもならないだろうが。
 狂気に満ちた妄想からか、外側から撫でてやる。小町の手だ。歪んだ眼差しがそれを羨ましげに眺めている。

「アナタも同じ。愛を受け入れて……その果てに狂いしぬ末路、なんですね」
「あぎゃっ、がッ……いっギャアアッ……!?」
「この突起も、腫れて……感じてる」

 狂う眼差しめざとくナエカの屹立の異変を感じ取れば、爪を立てて挟み上げるようにごしゅごしゅ擦り上げる。
 ひくひく震えナエカが舌を出して喘ぐその姿を感じていると、誤認しているのだ。正確には下腹の異物感に対する危機本能が勝手に反応しているだけに過ぎない。感じている、なんて暇はないのだ。口端からは涎泡が溢れて、目の焦点が合わない。
 串刺しにされた状態で悲鳴を引き絞るのがやっとであった。

「あがっ、げっ……! ああぁあ!!」
「動きますよ」
「ま、で、ま……っでぇ」

 ――ズ ズ ズゴ グリュッ!!

「お、げっ……うごっ、ぶっ……!」

 太すぎる肉塊がわずかに動くたび、臓器をシェイクされているような錯覚に陥った。頰が凄まじい嘔吐感に膨れる。
 祓魔の技術を会得するために、厳しい修行にも耐えてきた。しかし、その発達した見てくれからは想像もつかないが、未だ年若い子供なのである。交尾と呼ぶよりも破壊に近しい蹂躙。ナエカの大切な場所を抉り抜き心を砕く拷問。

「ぎゃっがッ……! ンぎゃああ?!」

 ―― ボ ご オ っ ……!!

 ゴツゴツと最奥の穴が殴られる。胎の内でぶちんッッと嫌な音が聞こえ、ナエカの首がかっくりと垂れ落ちた。しかし次の瞬間には拡張による激痛で、勢いよく喉を反らして目覚める。生半可な苦痛で終わりを迎えることはない。鍛え上げられた彼女の精神力も、肉体も、不幸なまでに頑丈だった。

 ――みぢみぢっ……!! ズッに゛ゅううう゛ッ……!!

「いぃぃいいいぎゃアアア――!?」

 ――ぐゴリりリ゛ッ、ぐに゛ゅっ……!! ブチみぢっ!

「げろろ゛っ、おっッぼっ……!? ぼっげええエッ!!」

 悲鳴と内容物が口から溢れそうだ。どこをどう貫かれ分からず、心臓までも圧迫され胸が苦しい。豊満な胸部が別の生き物のようにばるんばると揺れ、子部屋が出血しているように錯覚する。白目を爛々と赤く血走らせ、濁り切った悲鳴を絞り出す。
 滂沱、逆流、絶叫、気絶。覚醒、絶叫、失禁、気絶。覚醒、悲鳴、悲鳴と快楽――!
 意識が吹き飛び、激痛で覚醒し、また気絶して子部屋が引きずられて目覚める。

 ――ぼごっ……!! みぢぢみぢみぢっ……!!

「ん゛げっ!? げア゛、し゛ぬゅっッ……! ヤめ゛ぅ゛あ゛!?」

 ――びゅぶるるビュッリュウウううう っ……!!

「ぁぁあぁアァあぁぁあぁァアぁあ゛ッっ……!?」

 白濁を吐き出した。限界まで内臓と皮膚を膨れ上がらせている今のナエカにとって、それは拷問以外の何ものでもなかった。
 吐き出されたものが収まり切らない部分は、秘処からとめどなく溢れ、ぼたぼたぼたと勢いよく漏らしてしまっているようだった。

「これで……ほぐれました」
「あ……ぇ?」
「次はもっと奥まで入ります。潤滑液も……浸透しましたし、子を成すまで続けましょうね。寝ている暇はありません。続けます。ほら、はやく、生んで、ね?」
「……は……? む、むり……むりむりむりむりィッ゛……やだ、や゛だぁ゛っ゛!!」

 できないことをやれと言う。闇に沈みかけた意識が覚醒する。できるまで終わらないのは終わらないのと同義だ。無尽蔵に近い蓄積は、あの過量の白濁は、それで全てじゃないのか。どれだけ耐えれば終わらせてくれるのか。まとまらない考えと不服がより合わさって、溶け落ちる。いやでもヤられる。どうしたってこの重いお腹を揺すっては逃げられない。まるで子供を抱えているかのようだ。自分だってまだ子供なのに。お腹の中に白いマグマを注ぎ込まれて、馬鹿みたいに胸を穿られて。ぐちゅぐちゅとかき混ぜられてナカをゴリゴリ抉られて。
 けだもの以下のあたしは、しぬのかもしれない……。
 下腹部の圧迫感がムリムリムリィと再び膨れていくにつれ、絶望もまた膨れ上がり、勇壮なる雪狼牙忍の眼差しはだんだんと落ち窪んで、光を失っていくのであった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

螺旋・咎大蛇
【アドリブOK・脱ぎNG】
ああ…だめ…だ…このまま嬲られたら…
私の中の残虐な存在が…現出してしまう…

(体の内から溢れる力が蛇之麁正を引き抜こうとしていることがわかる。)

認めては…いけない…
(それでもユーベルコードを発動させて襲いかかる。しかし累積したダメージが確実に動きを鈍らせていた。)
あ…が…もうやめ…これ…以上は…
(そのまま嬲られればついに体から刃か引き抜かれ、真の姿に覚醒する。)

…ほほほ、わらわを目覚めさせてくれたのはそちであるか。
(真の姿は巨大な岩から無数の龍の首が生えた姿)
そちに褒美を使わそう。わらわの供物となる名誉じゃ。苦痛と悲鳴を捧げよ。
(無数の尻尾で敵をずたずたにしていく。)



 ――ば、ぽぎん……!

「はっ? うそ……がアッ?!」

 咎大蛇の華奢な体が宙を舞い、たっぷり五秒ほどの浮遊の後、地面に叩きつけられていた。受け身すら取れない力任せの猛進。受け止めようとした咎大蛇煉獄剣を持つ右手が、不自然な方向に折れ曲がっていた。遅れてくる激痛に、込み上げた悲鳴が口から漏れ出でる。

「いっ……ぎぁあ……ああ…だめ…だ…このまま嬲られたら…」
「何が、ダメなんです」

 乗馬鞭を構えた小町は、腰を屈めて覗き込む。寝転がっていた咎大蛇は咄嗟に折れた方の腕を庇うが、彼女の興味は胸に突き立ったもう一振りの巨剣であった。
 その剣の呪力に魅入られたものは嗜虐心が不自然に増幅され、いたずらに戦闘を長引かせては、咎大蛇の肉体を痛めつけることに終始してしまう。強烈なその感応力に小町もまた例外なく、蛇之麁正へ手を伸ばした。

「受けた……傷、ダメージがなければよかったのに。ワタシ、同情します。今まで他の馬の方々と戯れて? 羨ましい、妬ましい、苦しい、くる、狂う、狂狂狂狂……くる、しッ」
「それ駄目、もう限界……! あ…が…もうやめ…これ…以上は…! 私の中の残虐な存在が…現出してしまう…」
「くるしい、くるし、くるしめ、る、アナタ、くるしめるっ」

 ――バッちぃぃいいイッ!!

「うッあ!?」

 胸目掛けた鞭の一打が、打ち付けられる。堪らずビクビクと体が跳ね上がり、動いたせいで折れた腕に激痛が走る。

 ――バヂィ! バヂィ!! ビシッ、ズバァン!! バヂ!! ピシャアン!!

「うぐっ、あっ!! 痛ッ、アッ!? げ、っアッ!? ふぐっ!」

 さらにめちゃくちゃに胸と剣の結合部に力任せの打擲が襲いかかる。手元がずれたものが頸や顎に命中し、生々しい傷跡が残った。燃え盛る傷口に黒い鞭の先端が当たるたびに、生理現象で浮かんだ涙が飛び散る。さんざん痛めつけられた痕に走る痛烈な痛み。傷口に塩を塗りたくられた方がまだマシだったろう。
 小町はマフラーを付けた咎大蛇の首を踏みつけにすると、悲鳴さえもろくに出せないように拘束しながら、蛇之麁正の柄を両手で持った。

「抜くるぅ……!」
「や、め……それだけは……おねがい、します……」

 ――ズ ズ ズ……!

「お、ガ……あ……ッ」

 ――ズブん!!

「痛ゥッ!? はぁ……はぁ……ぐゥッ」

 少しずつ引き抜こうとして持ち上げて、手元がずれて再び咎大蛇の胸に戻ってしまう。ゴムが形状記憶して元に戻ろうとするように、魂がしっかりと縫い止められているようだ。狂気に支配された影朧にそんな複雑な事情は把握も察知もできない。泳ぎ回る鰻を捕まえて躍起になるが如く、咎大蛇の苦痛を増す剣の出し入れを繰り返すのだ。

 そして、どれほどの時間が経ったろう。限定解除した肉体はほぼ人型に戻り、もはや自身に滾る痛みで我を忘れたように、やめて……認めては…いけない…と呟く咎大蛇に、限界が訪れようとしていた。

 ――ず ず ズズ ずるっ……!

「抜け、たぁ……!」

「やっ、だァッ……ギ……ぎゃあああああアアアアア!?」

 無音。

 闇。

 無。

 悍ましいほどの静寂と闇黒に、世界が包まれた。
 小町はそう誤認して辺りを見回している。先ほどまでに踏みつけにしていた少女の姿はない。どころかここは「逢魔が辻」ですらないように思える。自分を縛に落としたあの地から離れ、重種馬と野を駆ける。狂った幻想を夢見た小町は、逆に見られていることに気づいた。

 視覚。見られ、魅入られる。

「…ほほほ」

 蜘蛛は理解する。自分は捕食者ではなく、見られ、手慰みになるだけの玩弄物なのだと。
 魂に刻み込まれるような発言に、冷や汗が噴き出て、頭を掻き毟る。聞いてない。聞いていなかった。嵌められた。これは、違う……!

「だれ……ドナタ?! いえ、アナタは、アナタサマは!! まさか、カミ、カミ、いえ、ええ、ああぁあ!」
「わらわを目覚めさせてくれたのはそちであるか」

 語るまでもあるまいな。嗤うような調子でそう言うのは、巨大な岩から無数の龍の首が生えた怪異であった。無数の尻尾が、小町の肉体を雁字搦めに縛り上げ、空中に磔にする。鞭を取り落とし、とっくに逃げ出した馬は影も形もなく、首を捻って直視を避けることすらできない。小町の動く片目は、その威厳ある姿を捉えて、まともな視野を失っていた。
 竜神、という、生命のある種頂点であり、超越者。

「望む褒美をやろう。鏖殺じゃ」
「ワタシは……ワタシ、供物に、なりま……す」
「ほ」

 ぎろり。
 一斉に数多の眼が、小町を見遣る。
 たしか、ヒトだの何だの、生命の位の話をしていたか。

「ほほ、ほほほほ、ほほほほほ!」

 幸福なことに、機嫌がすこぶる良かった。よかろう。わらわの供物となる名誉という最高の褒美をやろうじゃないか。今度はハッキリと聞こえるように嗤う。
 もし竜神の機嫌が悪ければ、生きたまま千の破片に引き裂いて、その部位それぞれに違った苦しみを与えて、ばら撒いたことだったろう。
 無論指摘する部分はまだあるのだが……。

 ――ミシ、メキメキ……メギん!

「あ、ご、ゲ……」
「ならばせいぜい、苦痛と悲鳴を捧げよ」

 おしゃべりは終わりだ。ならば五体に与えられるだけの痛みを与える他ない。口を利いたその不敬は贖わなければならない。まずば五体を限りなく圧縮し、しかし捩じ切れる直前で止める。細く、か弱くなったその四肢と頭部に、鋭利な尻尾の先端を突き刺すのだ。蛇之麁正が与える痛みとは比べるべくもない。持続性、瞬間的な苦痛の量、それは憎悪と拒絶の泥濘を心に直接流し込むに等しい。五体に注がれればよくて魂魄の抹消、影朧でなければ即座に魂も肉体も無間地獄に落ちていたに違いない。
 元から狂っていた小町には処理しきれない苦痛であったか。発狂したままの表情で大口を開け、だらんと脱力したまま動かなくなった。尻尾を抜き取ると同時に全身から小さな蜘蛛が、間欠泉のように噴出する。小町という存在はもはや、人としての形を保てず、矮小な蜘蛛一匹にまで啜り取られていた。
 一撃も耐えることができなかった……その実力差に込み上げてくる感情。吐き捨てるように言う。

「塵め。及第点にもならんが、良い余興ではあったな」

 退屈だ。
 飛び散った肉片の一部に群がる蜘蛛に「本性」を見出した竜神は、すでにこの件に興味を失ったようで。ひとつ大きく欠伸をし、微睡みに落ちるのであった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

天城・御言
【アドリブ・連携歓迎、NGなし】

はぁ……はぁ……うぐ。げほっ、ごほっ。
胃と腸から大量の子種を絞り出して、何とか次の戦いに備えます。フォーネリアさんのお陰で命拾いしました。

あれが元凶の影朧……。
桜の精である自分と何か近いものを感じます。その感情は同情にも近くて、【桜の癒し】を展開しながら語りかけましょう。
お願いします。これ以上、人を傷つけるのは……。

しかしあえなく蜘蛛の糸に絡め取られ、逆さ吊りにされてスカートが捲れ上がり醜態を晒します。さらに毒で体の自由を奪われた挙句にお尻から卵を植えつけられちゃいます。


アナスタシア・ムスハルト
アドリブOK

さっきのに増して話が通じなさそうねぇ

馬の突進で押し倒されちゃう
四つん這いの姿勢で、人間より遥かに逞しい剛直で小さい雌穴を抉じ開けられる
乱暴にずんずん子宮を押し潰される圧迫感が気持ちいい
性欲旺盛って言うだけあって、何度も何度も溢れ返るほど注ぎ込まれちゃう

自分から腰を振って媚びを売り(誘惑)、小町をそっちのけで馬と淫行に耽る
敵意の発露として馬に犯させていたなら、悦んで歓迎されたら困惑するんじゃないかしら?
馬が私に夢中になってしまえば尚更

直接鞭で攻撃しようと降りてきたら、「怪力」で馬を持ち上げて「びったんびったん」叩き付け
小町も巻き込んでぽーいと投げ捨てるわぁ



 ――ぢゅぽんっ、バツッ!! ぢゅぼ、ぬぢっ、バづッ!! ばづっ、ばづッ!!

「んうっ、ふうっ……お゛ッ、ほ……ンッ」

 己が体躯の半分どころか四分の三を占める熱杭に貫かれながら、アナスタシアは白い髪を乱して喘いでいた。――厳密に言えば貫いてはいない。拳を越えるような大きさの先端が一息に突き入れられ、全てを入れようともう突進しては子部屋の入り口を小突いて、入らず子部屋を押し潰しては引き返す。それを繰り返しているだけだ。いかに狭い牝穴で締め付けられようとも、構造上竿の半分も入らない浅い出し入れでは重種馬も物足りないのだろう。涎を垂らしブルフフと息を荒くしては、ますます苛烈にのしかかって生殖行動に躍起になっている。
 そんな荒々しくも肉厚な一部始終を目撃した、御言は、震えながら小町に訴えていた。

「お願いします。これ以上、人を傷つけるのは……」
「ワタシは傷つけてなんていませんが……うぐ、頭……つ痛ゥッ。これは和解の証。アナタたちヒトは……種を超え結実させ、その仔をもって互いの罪から浄化される。とても素晴らしいことだとは思いません……か?」
「ううっ、これが……元凶の影朧……生贄にされた苦しみ……」

 桜の精たる彼は、苦しみに寄り添い癒そうと語りかけた。終始その話に耳を傾け納得した小町は、その場に居合わせたアナスタシアともども愛を語り合おうと持ちかけてきたのだ。無論、最初から没交渉、話が通じなさそうと睨んでいたものの、返事の前に重種馬にのしかかられたのが運の尽き。
 欲を発散するだけの、性交渉に付き合わされ、悶え喘ぎながら状況を好転させようとしていた。

 ――ぼたぼたぼたっ……!

「おげぇ……はぁ……はぁ……うぐ。げほっ、ごほっ」

 蜘蛛の巣に絡め取られ宙吊りにされた御言は、重力に従って逆流してきた大量の子種を胃から絞り出してえずいた。同時にぷぴっと、可愛らしい放出音とともに腸からもひり出す。
 御言はアナスタシアともどもここまでの動物たちの責めにより満身創痍。疲労感も極度だが、眠りこけるには全身に走る肉の裂けるような痛みの刺激が強烈であった。あるいは意識を手放すことが、そのままこの世との別れに繋がりかねない。今の小町に植え付けられた苦しみは、それほどのものなのだ。

「こんな状態でもアナタ、興奮しているのですね」
「あっ、違……わた……僕」
「いいのです。むしろいい。ワタシも願うならヒトなどに生まれたくはなかった……愛し合いましょう。さあ、産んで」

 御言の剥き出しにされた秘孔を小町は両手で割り広げると、でろぉと舌を出して舐め入れる。蛇のように長い舌はその分泌液が蜘蛛の体液と同様の媚毒であり、一滴で一晩は狂えるほどの強烈な感覚を催す。特に粘膜から接種した時の浸透スピードは尋常ではなく、御言の視界は快楽で明滅した。

「ンッお……ぉあ……か、はっ?!」
「美味しい……内側から食い破って、毒塗れにして苗床に作り替えますね。いっぱい産んで。『お母さん』」

 身の毛もよだつセリフにゾクゾクと背筋が凍る。あまりにも背徳的な情景が脳裏によぎり、御言自身もびきっと、固くさせてしまう。
 目のあるべき孔から、小町の肉体に潜む小蜘蛛が次々と這い出て、御言の不浄へと潜り込んでいく。腸内を這われる感覚に目を白黒させていると、御言の竿をゆるゆると優しく撫で上げながら囁く。

「力を抜いて。アナタの大切なお腹が破れちゃう。お母さん、ねえ、今、この辺りから少しずつ卵を産み付けて……」
「……う、ぁ……あ……!」
「ここもビクビクさせてかわいい……アナタの中で孵化した卵は、内側からミルクはどこって啜りたくて、啜り泣いて、もぞもぞもぞって這い回るの。このとろとろの先っぽにも卵を入れてあげる。ぴゅっぴゅも、粗相も全部我慢しないと、お母さんにはなれない。ワタシがしたみたいに、我慢我慢。息を深く吐いて、吸う。止める。今すごく力が入ってる。わかる? 強く感覚すれば、中にいる仔たちの産声が聞こえる……ね?」
「う……そ、です。こんな、ぃ、ああ……おなか、がくるしいっ……」
「そう。その苦しみがお母さんになるってコト……見て、見える、見える? アチラも楽しんでる」

 ぐいと前髪を掴まれて無理やり首を向けられたなら、すでにぽっこりと腹を膨らませたアナスタシアが、その視線に見向きもせずアヘアヘと淫らな様相を呈していた。
 十分程度、と言えば短く感じるかもしれない。しかし、ナカまで深々と貫かれた上での、そしてそれがまだ中途半端な中での吐精であれば絶望感はひとしおだろう。一分が永遠に感じるに違いない。
 重種馬は誰とでも交渉をするために、無尽蔵の性欲と発散量に改造されている。それ自身が個としてのオブリビオンとして確立しながら、小町の命令一つで誰とでも何度でもいくらでも交渉に及べるのだ。規格外のモンスター、野生の動物と比べること自体が間違っている。

「ふ、きゅっ!? むっ……!? きゃううぅぅ~っ!?」

 背筋を逸らして派手に絶頂した。
 同時に結合口から逆流した白濁と大量の潮が噴き出る様は、噴水芸術のような美さえ感じてしまう。愛の証というにはいささか暴力的ではあるが、等のアナスタシアは蕩け顔で悦んでいる。
 伸び切ったナカと腹部が痛ましく弛み、身動きするたびにぼちょっと別の生き物のように揺れた。胸や口を使うなどといった小細工もない。吐き出した後は再び抜かずのストロークが始まるだけだ。結合部が泡立つほどに粘っこい音を立てながら、しかしより深くへ深くへとしゃにむに責め立てる。

「お、ぐぅ?! ごりごりってえ……あ、つぶれひゃ……も、お」

 ――メリリッ!!

「おゲッ?! あ、が……ごろろッ」

 股座からどろどろとした粘液が溢れ出す、まるで破水だ。
 アナスタシアの喉奥から、ごぼごぼと汚い音が流れ出す。抜かずと思われた、勝手に思い込んでいた一瞬の空白感に心委ねた結果、人並みの知能のある重種馬は、もう一つの穴に着目し、無理やり押し入れたのだ。その強烈な圧迫感はすぐさま馬の先端を刺激し、絶頂へと導いた。

 ――ぼりゅりゅ……! ぽぴゅ!

 貫通した。
 少なくともそう錯覚した。アナスタシアの中を駆け巡る白濁が、後穴から挿入された重種馬の象徴に押し込まれ、胃袋を通り越し口から飛び出した。言葉にすればそんな感覚であった。
 現にびちびち跳ね回るようなゼリー状の特濃は、アナスタシアの肉体全てと交わらんと前後両方に差し込まれたわけで、尋常ならざるぐちょぐちょの惨状。

「随分と楽しんでいるのね」
「あ……ぉ……ォ」
「言葉は聞こえないでしょう……け、ど?」

 それでも笑っているように見えた。
 楽しいことをしているのだから、しかしあの笑みはなんだか違うように見える。
 小町のそんな違和感は、彼女の視界が「ひっくり返った」ことで答えが示される。なんだ、簡単なことだ。重種馬との交渉に、もし例えば別の趣向を凝らそうとするなら、そこにはなんらか心境変化がある。例えば飽き、例えば油断、例えば甘え。なんでもよかった。
 アナスタシアはその隙だらけの足を捕まえて、おもむろにこちらへ叩きつけてきた――!

「は? お、お、おおお、オッ?!」
「反撃開始よぉ」

 その覇気に、自分の身が崩れる恐怖を覚えた小町は、馬をぶつけられたこと傷をそのままに脱兎の如く逃げ出した。流血、しったことか。恐怖が滲む。

「あらぁ。逃げ足もなかなかねぇ」
「また命拾いしました……」

 御言の嘆息と共に、体内がゾワゾワと怖気立つ。アナスタシアも、重たげに揺すってため息をついた。決死で望んだ異種間の「交渉」はこうして、半ば痛みわけに終わったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
憐れでは有りますねぇ。
早目に仕留めた方が、ご本人にも良いでしょうかぁ。

まずは『FMS』のバリアを戦場を覆い、離脱と横槍を防ぎますねぇ。
残る『F●S』各種は上方に配置、[砲撃]と[爆撃]の雨を降らせると共に、【万華】を発動し全身を『雷』に変換しますねぇ。
『雷』であれば、かの『馬』であっても交配対象にするのは難しいですし、その速度を以て『馬』の突進を躱し、小町さんのみを狙うことも可能ですぅ。
小町さんと『馬』の間が開いたら『FGS』による重力波を上から放射、『馬』の動きを抑えましょう。
後は、回避を重視しつつ『雷撃&雷速』によるヒット&アウェイも加え、確実に削って参りますねぇ。


篁・綾
アドリブ歓迎。分身には何をしても可。戦闘シーンは僅かでも構いません。

一先ず真の姿になって【闇に紛れ】。
指定UCで分身をばら撒くわ。
頭数はいるけれど、普通に力負けして蹂躙されるでしょう。
なので適当に動き回らせつつ【時間稼ぎ】を。
…蹴散らされた端から馬や蜘蛛の餌食になっていくけれど、気にしない方向で。
事に及ばれるなら、その分余計な時間がかかるでしょうから…。蜘蛛の方は事に及ぶという表現が正しいかどうか…

まぁ、彼女を一時の夢へ導く為に、事の間も後も幻と【催眠術】はフル稼働させるわ。
…浄化とかは専門外だから、そのくらいしか出来ないのよね。
それで少しでも気が紛れればいいけれど。



「今までの流れから察するに、連携、機動力、どちらも削る必要がありそうですぅ。ただ……」
「ただ?」
「ただ、憐れでは有りますねぇ。早目に仕留めた方が、ご本人にも良いでしょうかぁ」
「…浄化とかは専門外だから、私も出来ることは限られるのよね。これで少しでも気が紛れればいいけれど」

 綾の言葉にるこるは体を揺らして頷くと、狂いし影朧に向き直る。
 その視線に小町は気づかない。あるいは気づいたとして、ほとんど意に介さない。

「撹乱をお願いしますぅ」
「もうやってるわ……!」

 鮮烈な終をその身へ刻め――!
 朽ちかけた魂に夢の終わりをもたらすべく、綾は《乱桜閃雷》を行使する。
 同時にるこるの肉体がこれ一身雷と変異し、舞い散る雷光と花弁の眩い白が視界を埋め尽くした。猛進して来れば即座に雷霆の反撃を加えられたものの、ターゲットの姿を捉えかねたのか、遠まきに様子を窺っている。

「来る、くるくる、くるぅ、くる、苦しみが……一刻たりとも猶予はない、ありません。ワタシたちの蜜月を邪魔するヒトは、パリもぐ食べましょう。――はいやっ」

 紡ぐ文言に意味はなく、そのまま中距離を維持しても攻め手はない。
 小町の言葉に急かされるようにして、重種馬は戦車の如く進撃を開始した。見た目からは想像もつかないほど素早い身のこなしで、綾に躍りかかる。
 あっという間にのし掛かり優位を獲得すると、猛る勢いのまま行為に及ばんと腰を突き出した。

「馬鹿力ね……そのままだけど」
「その余裕、どこまで持ちますか……ね?」

 ――ズゴ……ぐりゅぅ!!

「は、お……そんな、いき……なりっ」

 着衣を破くことすらない。体重をメリメリと掛けて組み伏せた綾を、その生地が伸びるのに任せ拳大に膨らんだ屹立をねじ込む。
 飛び散る液体は愛蜜に止まらない。ぐちゃりぶちゅると悍ましい音には、筋肉を裂きナカをかき混ぜ、交渉とは名ばかりの暴力で蹂躙する。綾のことを道具か何かと思っているのか、一突き一突きで腹部が鬱血するほどの苛烈な抽送を叩きつける。

「ひ……や……!」
「はは、は……?」
「ひゃく、をこえるの、つかまえられなければ、あなたの負けよ」

 ――ドムッ……!!

 綾への暴力という悦に至っていた重種馬が、その剛直が破裂するような痛みに思わず嘶きをあげる。たまらず振り落とされる小町の視界を、雷の網が覆った。元より片目は潰れている。不明瞭な視界が灼かれる不快感に顔を顰めると、刹那、全身が感電する焦げた匂いが広がった。

「ぐっ……げ、ギ……!?」
「確実に削って参りますねぇ。仕事ですから、悪く思わないでください」
「く、る、うあ!」

 やたらめったらに蜘蛛を撒き散らす。馬を掌握していれば容易く対象を無力化できる蜘蛛も、猟兵にとっては時間を無駄に費やす穀潰しに過ぎない。
 群がった蜘蛛の一部が綾……の分身にまとわりつく。なにせ百を超える数の分身が戦場を埋め尽くしているのだ。目をつぶって歩いても分身に当たるだろう。射程外に出ようとすればるこるが誘導し、確実に進路を塞いだ上で起爆分身と行為に及ばせる。たっぷりと時間を稼いだ上で消耗させるのが狙いだ。
 幻と、催眠術、すなわち幻惑の術式は常に張り巡らさなければならないが、小町らの疲弊に比べれば些事であろう。
 真綿で首を絞められているような感覚。戦慄した頃にはもう遅い。術中に嵌ったと気付かされた時の絶望感は、蜘蛛である小町もよく知るところである。打つ手のない八方塞がり。

「元よりここは袋小路……」
「まだやる気……なのよね? とことん付き合ってあげるわ。その憎悪、欲望、全部吐き出して……おグ?!」

 わずかな空間。それこそ胸の谷間から服の隙間か臀部の峡間に至るまで、ありとあらゆるところへ湧き出た蜘蛛が潜り込み、毒液を撒き散らしていく。効果覿面だったのか、注ぎ込まれた分身は胸を掻きむしりながら一も二もなく絶頂破裂の憂き目に遭った。
 気にしないつもりだったが、安全地帯に身を潜める綾としては複雑至極な心境だ。偽物だとわかって向かってくる馬と娘。雷霆に灼かれながらも心地よさそうにその場を駆け回る二人。るこるもまた決して小町のペースに持ち込まれないよう深追いせず、何度も何度も皮膚が焼け付き、爛れるまで雷を浴びせ続ける。

「まさか倒れるまで走り続けるおつもりでしょうかぁ」
「とっくに夢に落ちていそうなものだけど。どこまでお花畑なのよ」

 二人だけの世界に没入し、その場に倒れ込むまで駆けずり回りそうな、脅威とも思えぬ狂気。しかし触れればたちまちに無垢なる人々を痛めつける暴力へと変わるだろう。使徒たるるこるも、絢爛たる桜の如き綾も、いかに純粋を装うとも欲と悪に塗れた二人は捨ておけない。
 トドメとばかりにFBSによる斬りつけからの、明月による一閃を浴びせ、雷が地に痕を刻み込むように強烈な衝撃を食らわせる。コトに及ぼうとした馬も蜘蛛も触れることすら叶わず追い立てられる。

「く、くるう……くるくる、くる……」

 目を回している小町。夜明けを導く雷鳴が、暗がりの中で高らかに響き渡るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
へっ、なんかブツブツ言ってるが叩き斬ってやるぜッ!…って、ぐべッ!?
(炎神霊装を纏う凶津達は馬に騎乗する敵に斬りかかるが戦闘力を増強した敵に見切られて顔に鞭をくらい凶津は吹き飛びそのまま気絶してしまう。
後に残されたのは霊装が解除されて裸体を晒す桜のみ)

「や、あっ、だめ…、イ…くぅっ!」
(小町に四つん這いにされ腕を掴まれて身動きが取れない桜は、馬に秘所を舌で舐めほじられ何度もイかされる。
馬は桜の秘所が十分に潤ったところで「交渉」を始める。
馬が腰を振る度に強烈な快楽に襲われる桜。
桜は馬との交渉で気持ち良くなる自分を恥じながらも艶声を我慢できずに上げ続けるのだった)


【アドリブ、セクシー歓迎NGなし】


ティフティータ・トラーマ
アドリブ&連携、酷敗北OK、大漏らし以外NGなし WIZ
「だいぶ出遅れちゃったけど、大物相手は間に合ったみたいね。」
天馬の群で時間がかかり服も破られた状態で中心部へ到着すると
「随分大きい馬だけど、天馬じゃなければココまでは届かないでしょ。辛いなら楽にしてあげる。」
駆け回る馬を追って飛びながら、小町を解放しようと攻撃し
「無駄な抵抗は…しまっ、剥がれな…ゃ、あひぃぃぃっ。」
更に攻撃しようとして仕掛けられた蜘蛛の巣に掛ると、群がる蜘蛛に咬まれ首筋から毒を注入されて、
辻が解ける迄、空中で蜘蛛の巣に磔にされたまま、抵抗も出来ずに幾つもの穴に潜り込まれ、
嫌悪を感じつつも這い回る刺激にイキ続けています。



「ぐべッ!?」
「くくく、くく、くくる、くくくく!」

 べろぉ、と己が生傷だらけの体を舐める。ぬらぬらと光る体はすでに満身創痍、とりわけ火傷したような水膨れに、熱刀で押し切られたような傷痕はいかにも深傷といった様子だ。生半可な意識なら痛みで昏倒してもおかしくはないだろう。
 しかし、小町はその傷を眺めてむしろご満悦といった表情。落ちた狂気はそれほど深く、また継続した苦しみが彼女を捉えて離さないことは見ての通り明らかであった。まるで彼女がこの痛みの中で生を実感しているかのような倒錯的な有様である。
 ティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)、そして凶津の助力をたった今強制解除させられた神代・桜は絶体絶命の危機を迎えていた。

「深追いはダメ。アナタは……ふふ、く、くくく! どうする? どうされたい?」
「黙れ、黙りなさい……」
「辛いなら楽にしてあげる? アナタはワタシを楽にしてくれない。くれないから、勝手に使う……ね?」

 ――さわさわ……!

「っくう……触らないでよっ」

 元凶たる影朧に手を下すべく意気揚々参陣したのも束の間、蜘蛛の巣に絡め取られてティフティータは自由を奪われている。功を焦った気持ちはない。油断があったわけでもない。自身の舞に目もくれず、捕食者然としているこの狂人に少しでも遅れをとった、その事実がプライドを傷つけていた。

 ――ブツッ!

「くぅあっ……中に……なにをっ、グウッ」
「アナタは蜘蛛に任せて、そう……ヒトね。ヒトなのね。矮小なヒト。まずは縛り上げて」

 ぐりんッと片目が動くと、ひとりでに伸びた鞭が自在に伸びて桜を捕らえる。ガッチリとホールドされた上、そのまま重種馬にのし掛かられれば、即死こそ免れるものの、少しでも気を抜けば圧殺されかねない。剥き出しの秘部を隠すこともできない二人は、ただただ羞恥に頬を染めることのみ許された敗北者であった。

「痛ッ……な、なにをするつもりですか……こんなこと、何の意味もありませんっ」
「それを決めるのはアナタではないの」

 べち、と尻たぶに重種馬の屹立が叩きつけられる。火傷しそうな熱量に、炎を使う桜が俄に戦慄する。べっとりとした我慢の透明粘液はそれだけで子を成しそうなくらいに濃く匂い立つ。
 牝として、屈服してしまいそうになる。

「ハッ……私は何を……このっ、この、離してください……!」
「そうよ。何の意味もないことをして、それとも本当にこのまま、す……するつもり?」

 幸か不幸か、まだ二人には多少なりとも余裕を感じられた。それでもどうにかなるだろうと、耐えれば活路は開けるだろうと、そういう楽観視に似た思惑があった。狂気に陥る前の小町も、似たような思いを抱いたことがある。希望だ。ささやかな希望が、踏み外すべきでない過ちへと彼女を誘い、狂う末路へと転落させてしまったのである。
 ゆえに、小町は断固として、二人を陵辱と尊厳破壊の地獄へ叩き込んでやろうと、せせら笑う。同時に重種馬が高らかに嘶いた。

「ご覧。これは蜘蛛」

 目の孔から、谷間から、指先から、大小さまざまな蜘蛛を取り出して見せる。一匹一匹が小町の分身とも言えるような知性と、体液と毒液が微量で理性を崩壊させる媚薬というヒト特効の生態を併せ持つ。それこそ視認できないサイズを事前に忍び込ませることも可能だ。例えば交戦中、例えばすれ違い様、例えば会話の最中。仕込む時間はいくらでもあった。
 例えば母になるための器官、ミルクを作るような腺、ミルクを出すための小さな孔、輸卵管、子部屋、例えば排泄するような管、そこに至るまでの花園、秘孔の窄まり、耳に臍に汗腺、涙を流す眦、鼻の穴や口など空気を取り込む箇所。
 ヒトとはなんて穴だらけの生き物なのだろう。ああ、ああ、この欠陥は指摘してあげなければ可哀想だ。早く解放してあげないと。

「ぼん」

 ――ぶちゅっ……! ぐちゅぶちゅぐちゃぐりっ……!!

「ふ、ぐうっ……!? なあっ……!? いっぐ……うううっ!?」
「いギ?! いやあァアっ……!? きゃううぅーッ……!?」

 穴という穴を穿られる。正確には隠れ潜んだ蜘蛛が手近な柔肉という柔肉目掛けて、牙を差し込み、媚毒を注入したのだ。全身から噴水のように飴色の液体を撒き散らし、その衝撃で二度三度の連続絶頂を迎えた桜は早々に気絶してしまう。
 蜘蛛の巣に絡め取られ身悶えすることもできなかったティフティータは、辛うじて昏倒せずに済んだ。

「くううっ?! かはっ、あッ、ああァア!!」
「頑丈なカラダ、羨ましい……もっとほぐしてあげる。蜘蛛の苗床に、なろう? なる、なりましょう」
「いやっいやアッ、今、入れられたら……」

 ――ずにゅりゆっ!

「くっヒィイ!?」

 土手をかき分けて小町の指先が入り込み、指先ほどのサイズの蜘蛛がティフティータの内部に侵入する。蜘蛛が一度に産卵する数は少なくとも数十、多ければ三百程度と言われている。苗床に見染められたティフティータは植え付けられると同時に、その卵一つ一つで絶頂に導かれるのだ。
 瞼の裏で火花が散り、ぶしゃあと潮を噴く。その流れに押し負けた蜘蛛の一部が、牙をもって媚肉に食らいつき、押し流されまいと抵抗した。

「ヒトの言葉を喋るおしゃべりな、口の中も、苗床にぴったり。アナタは全身が苗を育てるところにちょうどいいのね。妬ましくて、苦しい」
「んぼ……おぉお゛……! ぶほぉおっ、ふぶうう~っ……!?」
「噛んだら、死のう、ね?」
「ッ!? ーッ!! ……あ……ッ……!」

 磔にした状態でめちゃくちゃに蜘蛛に噛みつかれながら、呼吸も発言もままならず、ただただ機械的に絶頂による水分補給と発情による体温で卵を育てていく。堕天の舞踏者の末路としてはあまりにも惨いが、それもまた一つの選択の結果であった。
 最後に牝芯と双房の先端に特大の蜘蛛を取り付けてやれば、蜘蛛の花嫁たるピアス……ウェディングリングを燦然と輝かせ、媚薬塗れの体を重たげに揺らす下等生物の完成である。

 ――ぴしゃあ!! バチン!

「う、あぁ゛っ、ギっ……!?」
「おはよう。尻をあげて」

 満足そうに頷いた小町は、桜の尻たぶを剥き出しにすると、馬上鞭で打擲する。媚薬塗れの体には効いたのかたちまち覚醒すると、言われるがままのケダモノのような屈辱姿勢で固定する。
 腕を掴まれ、無理やり押さえつけられるだけで、ナカの媚薬の滴がとぷんと波打ち、凄まじい快楽を催す。すでに股座は大洪水を起こし、少し気を抜けばすぐにでも卒倒しそうな肉体。抵抗するには心もとなく、頼みの凶津は手持ち無沙汰だった重種馬に踏み潰され快復には時間を要する。

「舐めてもらう。お、……におう」
「ふうっ……ふうっ、て、撤回しなさい。まだ侮辱する気……おヒ?!」

 生暖かい感触。馬の舌の先端が、丹念に桜の華芽を舐る。
 目を白黒させてだらしなく喘いでいれば、あっという間に準備は万端。交渉の時間が訪れる。

 ――メリ……メリメリィッ!

「む、り、むりですっ、ぜったいそんなの、むり」

 ――ズボッ゛!!

「おゲェッ゛?!」

 清楚な容姿からは想像もつかないケダモノじみた声をひり出して、ガクガク頭を震わせる。人体とはまこと恐ろしい順応性を見せるもので、腹部にぼっっこりと重種馬の剛直の存在を知らしめながら、しかし桜の体は凄まじい嘔吐感とは別にわずかな快楽を感じていた。ただの被虐ではない。これは死の快楽、危機的な心地よさである。
 ばつんばつんと重たげなストロークに内臓を引き摺り出されそうになりながら、桜は恥ずかしさを感じていた。歯が立たなかった屈辱、まるで掃き溜めのように使われる屈辱。

「き……もちひ……れす……」

 絞り出すような声、喜悦、自身が馬に苛められているにも関わらずそれをよしとしていることが恥ずかしくて仕方ない。
 そんな理性も瞬く間に彼方へと消えていく。所詮ヒトの理性などその程度のものだ。小町は重種馬に吐精することを命じた。

 ――ぼりゅっぼブリュッりゅりゅ!!

「うっあぁあ……ぁ……あぁあーッ!!?」

 ヒトらしい雄叫びをあげて、重種馬の欲望を受け止める。一度始まれば十分は続くとされる吐精。桜の体がはち切れる寸前まで注ぎ込んでもなお止まず、逆流させ、絶望の淵に突き落としていく。
 こうして二つの絶望が、辻に花弁と散ったのであった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

菫宮・理緒
アイさんと

おっけー、アイさん。
こっちの世界のわたしたち、もうちょっとだけ待っててね。

了解! わたしたちの仇はわたしたちがとるよ!

と、ツインドライブを発動させるのですが、
湧いて出た蜘蛛にパニックに陥り、真っ白になってしまい、
リンクエラーを起こしてしまいます。

そのまま蜘蛛に集られ、あらゆる穴に潜り込まれて、媚毒の原液を流し込まれ、
空気に触れるだけで絶頂してしまうほどの快楽の中に叩き込まれると、
中途半端にリンクしたままの電脳から、お互いの快感がフィードバックして、
達するごとに、快楽が自乗していく拷問のような絶頂に、
理性を壊され、気絶と覚醒を繰り返して快楽堕ちしてしまいますね。

それでも蜘蛛は苦手なのか、
中で蠢かれる度に泣きながら絶叫するような絶頂を繰り返します。

でもここからが本番とばかりに、わくらば小町にも襲われ、
蜘蛛に秘所の中を噛まれながら、鞭で胸や割れ目、お豆を打たれ、
最後には鞭の柄を突き込まれて、蜘蛛ごとかき回すように中を抉られ、
あまりの恐怖と快楽に、瞳を濁らせて崩壊絶頂してしまいます。


アイ・リスパー
理緒さんと

「平行世界の私からの救援信号を受けて理緒さんと一緒に時空を超えてきましたが、手遅れだったようですね……
理緒さん、気をつけてください、一歩間違えば私たちもああなっていたということです」

無残な自分たちの仇を討とうと、平行世界から助けに来た私と理緒さんで敵に対峙します。
私たちならば、あのような敵には負けません!

「理緒さん、ツインドライブで一気に決めましょう!
電脳リンク確立!
今こそ理緒さんと一つに!」

馬を撃破しようと理緒さんとの合体技を放とうとしますが、襲いかかってきた蜘蛛に理緒さんがパニックになって!?

「理緒さん、落ち着いてくださいっ!?
これではツインドライブが放てません……きゃああっ!」

無数の蜘蛛に群がられて、全身に即効性の強力な媚薬を流し込まれ……
胎内の最奥まで入り込まれて、そこも媚薬漬けにされてしまい。

「あっ、電脳リンクを通じて理緒さんの感覚がフィードバックされて、快感がハウリングして!?」

どちらが絶頂しているかわからない状態で、牡馬によって強引に貫かれてしまいます。



 世界に数多ある可能性。例えばこうなればよかったのに、こうならなければよかったのに、と夢想することはあるだろう。ともするとそう思い通りにはいかないものだけれど、こと猟兵ともなれば、その可能性のいくつかを手繰り寄せ、紡ぎ直すことができる。アイと理緒もそうだ。優れたる猟兵である2人は、無惨に散った「こっちの世界のわたしたち」に対し、時空を超えて干渉することを試みる。

「そん、な……」
「手遅れだったようですね……」

 限界を超えて注ぎ込まれた快楽に屈した二人は、小町に相対して間もなく蹂躙された。手を繋ぐ二人の間にじんわりと汗が浮かぶ。一歩間違えれば……? 嫌な光景を幻視して、下唇を噛んだ。

「理緒さん、気をつけてください、一歩間違えば私たちもああなっていたということです」
「おっけー、アイさん。こっちの世界のわたしたち、もうちょっとだけ待っててね」

 互いに頷き合う。
 ぴしゃん、ぴしゃん、ぴしゃっと乗馬鞭を弄んでるいた小町のドロリとした視線が二人を射抜く。猟兵との死闘で彼女もまた相応に消耗しているが、狂気に似た闘志は消えるどころかますます燃え盛る。むらがる蜘蛛は、次なる獲物をこの蝶2匹に定めたらしい。にたりと笑う。しかし、そこには喜悦のようなものは感じられない。

「お喋りは、おしまい。おしまい?」
「ええ。そして、すぐにその苦しみから解放してあげます。理緒さん、ツインドライブで一気に決めましょう!」
「了解! わたしたちの仇はわたしたちがとるよ! 接続完了。全プロセッサフルドライブ!」
「電脳リンク確立!」
「――五十……七十……九十パーセント!」

 貝殻繋ぎの要領で相手と自分の指を絡ませて、手と手をより密着させる。接触が心の距離を、すなわち二人の想いが重なり合ったことを示す大技、指向性エネルギー兵装《ツインドライブ》。
 紫電が迸り、空気が張り詰める。
 周囲を巻き込みかねない極大威力。本来なら猟兵や支援部隊との連携が必要だが、今回は並行世界の己たちの救援というイレギュラーである。針の穴に糸を通すような集中力が求められる。少しでもシンクロがズレれば共有した演算能力が相互干渉を引き起こし、甚大な感覚暴走を引き起こしてしまう。それゆえに目を閉じ、触れた手のひらだけで心を通わせ、意識を極限まで研ぎ澄ませる。

「九十五……九十八、九十九――!」
「今こそ理緒さんと一つに!
「アイさんの全てをわたしの中に……わたしたちの全力は現実だって変えるよ。電磁波砲、照し」

 ――ぞわ、ぞぞぞ……ぷちっ!

 指先に滴る感覚。閉じていた瞼が開いて、それを視認する。あるいは、その視線が先に小町を捉えていれば、結果は異なっていたかもしれない。
 しかし、訪れた現実は非情なものだ。毒液撒き散らす蜘蛛。それらがうぞうぞ蠢いて、数えることすらできないほど纏わり付き、めいめい指先に齧り付いては白濁した毒液を傷口に注ぎ込んでいる。
 仔蜘蛛、卵、体液、媚毒――巣に囚われるイメージが克明に映り、侵蝕して。

「い、いやっ?!」
「理緒さん……ぅ、ッ痛ゥ……!」

 空中に浮かぶ赤い電子モニターに「Link error」の文言が浮かび、けたたましい警報音と共に異常停止してしまう。恐怖、困惑、嫌悪、何より注ぎ込まれた液体が催す劣情が理緒の脳裏を埋め尽くす。視界にノイズが迸り、奏でられた不協和音に声にならない叫びが重なって、波濤のように押し寄せた。
 肺が痛い。血管が熱い。脳が割れるようだ。体重が何倍にもなったように鈍く、それでいて全身の感覚が異常なほどに過敏になる。重なった光景が目の前の視界と重なっては、ズレる。

「気持ち悪いっ……は、離れて、離れてよっ。指、あぁ……いやァア!?」
「り、理緒さん、落ち着いてくださいっ!? これではツインドライブが放てません……きゃああっ!」

 指先に絡みつくネバネバとした違和感に、さらに皮膚を食まれる感覚が重なって、理緒はパニックに陥ってしまう。それは技の不発だけでなく、動揺の伝播という最悪の形でアイにも影響してしまう。
 アヒル座りで己の胸を抱き蹲ることしかできないアイを庇うように、恐怖に震える体を鼓舞して蜘蛛を遮る理緒。そんな彼女を嘲笑う蜘蛛の怒涛の攻勢が、まずはバーチャルダイバーを手篭めにしようと孔という孔を抉りにかかる。

 ――ぐにいっ……! ぐっにぃいいいいいいっ……!!

「ふぐぅっ、いやぁっ……入って、こないでぇ……んぁあッ?!」

 ゆったりとした服の中に頭部を突っ込んで生地を引き裂いていく体長手のひらサイズの蜘蛛や、毛穴にまで入りそうなほどの小さな蜘蛛まであらゆる種類が媚毒を滴らせて理緒に襲いかかる。特にじゅんと熱みと色香を漂わせる下腹部の花園、そして秘窄に次から次へと這い寄っては潜り込んでいく。牙だけでなく全身の突起が内側の敏感な部分に食い込むようで、その度にビクンビクンと反応してしまう。

「んぎっ、んん、くぅ……ギっ、ンン゛っ!? イっっ……?!」

 ――ぷしっ……プシャアアアァア……。

「かふっ、えうっ……あぁう!? ぎゅっ、イぎゅぐぅ!!」

 オーバーフローした快楽に意識が焼き切れガクンと項垂れるも、自然の覚醒を待たずしてナカにドクドクと媚薬を注ぎ込まれ絶頂と共に目覚める。薬の過剰摂取(オーバードーズ)で焼け爛れた理性には、己の吐息が皮膚に当たるのさえ刺激が強すぎる。

「うぅ゛……!? イっ、イぎゅっ、ふギっ……!? も、どめでぇ……ナカ、かき混ぜないでぇえ……!」

 そのスパークした快楽火花は、瞬く間に同調したアイに延焼する。

「グゥッ……はぁーっ、ぜぇぜぇっ、ン、うぅうっ……!」

 ダラダラ口端から銀糸を垂らし、スカートの裾を掴んで歯を食いしばり、下着越しの滲みと垂れた涎の染みで陰惨な様相である。秒間で擬似絶頂を間接的に味わい、その感覚で自身も絶頂、数秒遅れて互いに感覚を交換しその作用で再び絶頂と、過敏になり過ぎた感覚共有の暴走で、無残な快楽甘受の奴隷へと成り果ててしまった。美しかった白い髪はびっしょり汗で濡れ、ヘタって、服越しにわかりそうなくらい、薄い胸の先端がぴくぴく勃興する。
 ずんずんと牡馬が近づいてくる。理緒が庇ってくれるうちに、なんとか体勢を……と動こうとするも。

 ――ずくんっ、ずくんっ、ずくっ……!

「(あっ、電脳リンクを通じて理緒さんの感覚がフィードバックされて、快感がハウリングして!?)」

 目に入るのは悩ましげに腰をくねらせる親友の姿、そしてそんな親友をさらに虐めようと、ほくそ笑む小町の畏姿である。

「ここ、お豆さん……ふふふふふ」
「な、にを……あっ」

 ぐいと片足を無理やり広げて無防備な体勢に固定すると、すでに蜘蛛が何匹も出入りしているそこを割広げるように新たに蜘蛛を投下する。この蜘蛛の役割は留め具だ。鋭利な脚で皮膚に組み付き、その顎で花芽の皮を器用に噛むとぐにいっと広げる。

「あっ、や、やだやめてよっ」
「ああ。そうだ。そうでした。アナタが身動ぎしたせいで、ナカで蜘蛛が死んでしまった。悲しい、かなりかな。し、死……悲しいね? この蜘蛛はワタシ自身、そう、ワタシ、だから……」
「ヒィッ?!」

 ――ばっちぃぃいいいっ……!!

「ンっ、ぐうううぅっ……!?」

 堪らず。背筋を反らし唸り声を上げる。まるでケダモノね、と小町は嗤うばかりだ。
 剥き出しにした花芯に、手にした乗馬鞭を叩きつけたのだ。どれほどの豪傑であろうと人体構造上、絶対に鍛えられない箇所……急所はある。今打ち付けられたところは女性なら誰しも弱点に当たる箇所だ。それを、ヒトよりも厚い脇腹の皮膚を持つ馬に打ち付けるために誂えた鞭で叩かれれば、快楽より痛みが勝る。
 愛液と共に黄金水が飛び散るのも知らず、小町は再び振りかぶる。
 が、止めた。そして問いかける。片目の先にいるのは肩で息をするアイだ。

「やめる? その分、じゃあ『こっち』を打つ、よ?」
「アイさ……そ……れは、それだけはっ、だめっ」

 ――ずぢゅんっっ……!! ばっちぃいいぃいい……!!

「はっっうぐぎゅっ……!?」

 指を秘孔に突っ込み、関節を曲げつつゴリュゴリュとかき混ぜる。中の蜘蛛をそれで暴れさせながら、再び渾身の打擲を花芽に打ち当てた。

 ――ばちっ、パァアアンッ!!

「くぁう?! ひぐッ!? あ、ぁあ……あ」
「ダメ? ダメ。ダメです、ダメ、我慢しないと、こっちの子、先に壊れる、壊れますよ? アナタの頑張り次第で、ほらもっと腰を突き出して、アナタが殺した蜘蛛の数だけ鞭を打つからね。何匹殺したか覚えてる? ねえ、ほら、ほらほらほら、あ!」

 ――パアンパァァァンッ……!

 興を削ぐようなことを言う愚かな下等種族には、徹底的に弱さを自覚させなければならない。狂うなどと生ぬるいことは言わない。目指すのは精神が壊死してなお快楽を貪るような、崩壊絶頂の境地である。
 小ぶりな半球がぷるぷると揺れる。今度は両の乳房がリズム良く打たれたのだ。ぷっくりと膨れた先端には特に念入りに、角度を確かめながら打ち付けていく。泣き叫んでも、許しを乞うても止めはしない。
 お尻にぎっちりと隙間まで埋め尽くし巣でも作りかねない勢いで群れる蜘蛛が、穴奥へ穴奥へと粘膜をねぶるようにゆっくりと這い回る。

 ――ピシャァッ、バシィッ……!!

「あぐっ……いっ、ギっ……!?」

 鞭のもっとも厚い部分でめちゃくちゃに打ち付けられ、理緒の柔らかい箇所を隅々まで打ち付ける。
 小町は狙いを少しずつズラし、弱い部分を探りながら真新しいミミズ腫れを作っていく。

「あ、ここ……!」
「う、ぎっ……んっ」
「やっぱり、割れ目が一番弱そう……」

 ――ピシャァッ、パァァンッ……!

 盛り上がった右の土手が打たれ、さらに続けて左、感覚が鋭くなってまるで恥骨まで響くような衝撃に悶絶。縦筋に沿うような一閃も加える。

 ――バシィィンッ……!!

「ふっ、ぐっ……! ひっ……ぎぃいい?!」

 とりわけ脆弱な突起ごと、花園を叩かれると、我慢や忍耐の欠片も余力さえも吹き飛ばしていく。火花が散りそうなくらいに打ち付けられたひりつく痛みが徐々に快楽へと変わっていく恐怖。蜘蛛への恐怖。自分の感覚が制御できない恐怖。恐怖の三重奏が理緒の鉄壁の心を打ち崩し、狂わせていく。もう狂ってしまっているのかもしれない。

「うひいいいんっ……!!?」

 鞭を振りかぶって当てるフリをする。素振り、その風が当たった途端、ぷしっと愛蜜を噴き軽く絶頂した。陰唇も核も、すでに腫れ跡がないくらいに打擲され、見る影もない。見せ物としてはまあまあ上等ではあったが。
 鞭の柄をぐりぐりと突き込み、針山に刺す要領で食い込ませると、前髪を掴んで顔を向けさせた。

「気持ちいいねえ? 気持ちいいよねえ? ご覧、アナタ、感覚共有してる、んでしょう?」
「あ……ぇ?」
「ほぉら、ご覧。こっちには、ナカの……子部屋まで毒漬けに出来た。アナタがいっぱい打たれて気持ちよくなったおかげぇ♪」

 なんて無意味。無様。
 かたかたと震える眼差しが、自ら股ぐらを開いて馬を受け止めようとする、呆然としたアイを捉えてしまう。自身の身長の半分くらいに相当する超極大の剛直。うつ伏せのケダモノのような姿勢で交渉を待つアイは、虚な目線が何も見ていない。
 必死に叫ぶ理緒の声も、透明な膜越しに聞いているかのようだ。水中か、はたまた真空の宇宙空間か。秒ごとに訪れるどちらのものかわからない絶頂に頭がボーッとして、蕩けて。

「し……あわせ、理緒さん……ぁ」

 ――めり……りっ!!

「は、ぐぉ?!」

 その天国が、すぐさま地獄へと様変わりする。

 ――むりっ……むりむりむりむりむりっ……!

 凶悪な剛直は容赦なく、アイのあどけない秘裂を破壊的に突き進んでくる。進むなどと言う言葉は生ぬるい。掘り進める、それも、岩盤もとい骨盤ごと抉りそうな、ごりゅごりゅと軋む音と肉の切れる音を立てながら、ゆっくりゆっくりと侵食する。
 気絶しかけ――しかし直後に途方もない激痛が全身を襲い、気絶したままでいることさえ許されない。理緒と共有した全身打擲の甘い痛みが、全身を包む褥となってマグマのような灼熱を漂わせる。片や痛み、片や快楽、内混ぜにシェイクされて、どちらが何を感じているのか手にとるようにわかるのに、その境目が曖昧になっていく。

「あがっ! ぎぐッ!? ひやっ……も……む」

 無理、だとか、待ってください、だとか、そんな没交渉に耳を傾ける重種馬ではない。それよか小町の鞭の一振りの方がよほど恐ろしい。

 ――ごツッ、ゴツっ、ごりりっ!

「あがっ……! かっ、はッ……あああ」

 遅々として進まないように見えた剛直も、しかしその刀身があまりに大きすぎるせいで、容易く子部屋の入り口まで到達する。それでも飽き足らずゴツン! ゴツン! とノックする。こじ開け、開かなければ扉ごと壊しかねない、暴力的抽送。
 体内の臓器が撹拌されるような想像を絶する痛み。体の内側からボッコリと浮かび上がり、露骨に存在を主張する異物感。
 自分の体が内側から貫かれ、貫通するのではないか。反射的に両手で口を抑える。

 ――ごりっ、ごりりいいっ……!

「いぎゃっ……!?」

 やがて、太さと凶悪さを兼ね備えたまがまがしい肉槍は、子部屋の中を埋め尽くしてしまった。
 ごちゅぼちゅと鈍い音を立てたストロークも、徐々にリズム感を増し、決して全ては入り切らないものの、そのもどかしさを緩和するかのようにゴリグリっとアイを「使う」。そう。これは生命の営みなどでは断じてない。むしろアイという少女を肉袋に見立て、己の欲を発散するに過ぎない。なんて小さなケース。あまりに矮小で、脆い存在。一度使えば即座に壊れてしまって、捨てて新しいものを使わなければならない。重種馬は、小町の「次を使えばいい」というそんな眼差しに、身震いして。
 そして、その時は前触れなく、来る。ムクムクとナカで膨張し。

 ――どピュッ、どぴゅぴゅぴゅうウッ……!!

「うえエエええーっ!? が、がぼ……」
「ぅお……これ、ぇ……しゅご……ぉぐっ」

 何リットルもの欲望が、一挙に噴き出す。
 大量の白泥濘が胃袋を押し上げ、アイは絶叫しながら盛大に戻しかける。隣の理緒も、最大級の吐精を受け止めた擬似絶頂により、ついに崩壊絶頂を迎え人格を手放してしまう。
 やがてどちらともなく互いに擦り寄り、残滓となった人格を慰めるように互いの傷口に舌を這わせて、笑った。おかしくって、笑ってしまった。
 ……二人の少女の人生が、まさしく終わりを迎えた瞬間(たったいま)であった。

「くるくる、くくく、狂う。心、ココロ……殺殺……」

 にたにた笑いながら。小町は一心不乱に二人を責め続ける。彼女たちが完全に毀れ、命さえも燃え尽きてしまうまで、その責めは何分何時間、何日だって続くだろう。

 それは狂った影朧の狂気、他の可能性を全て閉ざされたものが見せる、数多の可能性を持つ……持っていた二人への嫉妬心以外の何物でもなかった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メアリー・ベスレム
ごきげんよう、狂える哀れなあなた達
あなた達はさっきの子達ほど与しやすくはないかしら?
けど、そう簡単にメアリは食べられたりしないんだから

そうしていつもするように
【逃げ足】活かして立ち回る
誰とでもだなんてつまらない!
今だけはメアリのお尻に夢中にさせてやるんだから

ああ、だけれど敵の移動速度に追いつかれ
あるいは蜘蛛の群れに捕らわれてしまえば
無様に転げて、鞭で叩かれ、身を守る事しかできやしない!

そうして命乞いの【演技】で媚びるよう
お尻を振って【誘惑】すれば
それにしてもなんて大きいの
あれでお尻から口まで貫かれ
兎の串焼きできあがり?
串というよりも熱く脈打つ肉の杭かしら
まるで内から焼かれるよう!

身体の中をぐちゃぐちゃに
抉られ潰され掻き回されて
【激痛耐性】【恥ずかしさ耐性】耐えたところで
傷付く事実は変えられない
血と白濁を溺れるように吐き出して
壊れて沈む哀れなアリス……なんて

ただのアリスなら、ね
アリスはメアリだもの
【雌伏の時】はもうお終い
せっかく甘美な復讐の時間だっていうのに
死んでなんていられないと反撃を!



 暗がりの中、すらりと抜かれた抜き身の刃が剣閃を描く。その所作があまりに自然だったため、相対する小町は彼女が臨戦体勢になったことにすら気づかなかった。

「ごきげんよう、狂える哀れなあなた達」
「ご機嫌なように、見える。見える? いまこの瞬間まさしく、不機嫌」

 自分は見下され、蔑まれ、愚かだと思われることに慣れ、ついに結ばれなかった狂気が結実した存在だ。その狂気は相対したものを交渉で屈服させる、一点に収束している。言葉の真意だとか、心情の機微だとかを失ってしまっている。誰よりも人ならざるものと心を通わせていたはずの存在は、皮肉にもヒトの言葉や心を喪失してしまったのだ。
 自分こそが正しく、力があり、歯向かわれることなど考えてない。一度追い立てれば、逃げ惑うしかできない愚かな存在。睥睨する。小町は吠えた。

「ばらばらにして、柔らかい部分はそのまま、かたい部分はよく叩いてから、分けて食べてあげる。むしむしゃむしゃ虫や、ばくばく馬食う」
「ふうん」

 けど、そう簡単にメアリは食べられたりしないんだから、呟く口元を巧妙に刃物で隠し、片足を上げてすぐさま跳躍できる姿勢をとる。交渉だなんだといっても、つまり闘争(こう)だろう。
 捲し立てるおしゃべりだけだなんてつまらないもの。
 それに、なんて失礼しちゃう。メアリの体に固い部分などあるものか。しなやかで伸びやかで、何より自由。この絶望の刃だったらいざ知らず、食らわせる得物が己の肉体であるならば。

「じゃあ追いかけっこしましょ。今だけはメアリのお尻に夢中にさせてやるんだから」
「はいやっ」

 売り言葉に買い言葉。合図を受けて間もなく、猛進で距離を詰めると、その勢いのまま体ごとメアリー目掛けて突貫する。
 重戦車の如き突進、それでいて鈍くはなく、むしろ俊敏だ。
 だが鈍い。片足で跳躍すると、馬上の小町目掛けてヒップアタックを繰り出す。逆襲されるとは思わなかったのだろう。顔面に強かに打撃された彼女は、勢いを殺すことができず落馬。地面に引き摺り下ろされメアリーの肉厚に擦りおろされる。響くくぐもった悲鳴。飛び散る血飛沫。

「あーあ、捕まっちゃった。追いかけっこはおしまい。次はメアリが屠殺屋さん、あなたが家畜の役ね」

 ギラリ! と刃物をひき肉になった首から下、未だ健在な部位に突きつけて、その肉を抉ろうとする。尻たぶで小町の顔を覆って拘束し首から下を寸断する。実に簡単。実にシンプル。頭を潰され、肺と臓腑を引き裂けばそれでいい。
 構造は人間だろう。これだけ人間に、ヒトであることに固執して、馬と寄り添ったオブリビオン。ならばトドメとしては十二分。

 ――べちゃっ……!

「……なに?」

 五指の隙間に煌めき。それが「糸」であると気づくのにそう時間は要さなかった。

「これ、ねばねば……あっ?!」
「くく、くくる、くるう、くくくくく!」

 四散した肉体が蜘蛛に変じ、より集まると共に首だけでメアリーを力ずくで押さえ込み、ホールドする。油断、ではない。これを狙っていたのだ小町は。最初からその肉体はヒトからかけ離れている。他人を下等種族と見下すために、己の矜持さえ捨てている。まさしく下劣。品性が腐り落ちている。
 身を捩れば絡まり、離れようとすれば粘着する。皮膚の吸い付く感覚に、逃れようのない軋む嫌な音が響く。噛んだ唇から悲鳴が漏れた。

 ――ギリィ……ギチギチ……ッ!

「うっ……くあ?!」
「蜘蛛糸の拘束に、ワタシ手ずから絡みついているの……だから、諦めて。諦めよう? 諦め……なに!? すごい力! でも、こうして締め上げて……」

 ――ぶりんっ……ぎにっ! ぎりっ、ギチギチ!

「くっ、やあっ……ん?!」
「ははは、ハムみたい! ははは!!」

 糸の粘りと、拘束による締め付けでより一層強調された尻にべろべろと舌なめずりする。

「くうっ……!」
「どお? ねえ! 今や夢中になってたお尻が目の前にあって好きにできるのお。火に炙ってあげようか、それとも刻んで皿に持ってあげようか! ああ、でもやっぱりかたーい肉は叩いて柔らかくしないとねえ」

 片腕でアンクルホールドしつつ、動く四肢を地面に押し付け蜘蛛の巣で固定する。取り落とした得物は蹴って何処か遠くへ放った。全身を蜘蛛の巣に付着させてしまえば後は簡単だ。悶えれば悶えるほどに絡みつき拘束を強める。
 剥き出しに曝け出された尻に、利き腕には乗馬鞭。ならばやるべきことは決まっていた。、

 ――ばっちぃぃいいいっ……!!

「はぅ……お?!」

 一滴で理性を粉微塵にするような強力な媚毒である蜘蛛製の唾液を滴らせ、的確に皮膚の触覚を麻痺させる。べちょ、ねちょ、ねと。蜘蛛糸とはまた違う、つんと匂い立つ粘液。
 全身に鳥肌がたち脂汗がにわかに噴き出す。今できたばかりの真新しいミミズ腫れにレロレロと長い舌を這わせた。これは小町流の敗者の烙印であった。
 「メアリ」だか、なんだか言っていたか。先ほどまで自由に地を蹴っていたウサギを、手籠にし料理する。これほど嗜虐心を唆るものもない。
 小町は邪悪にほくそ笑む。

「ウサギじゃなくて……アリスは……んんっ?!」
「ああーワタシ、声に出てた、あ? あははぁは、でもアナタは喋るのだーめ、だめ、だめえぇええ!」

 ――ひゅ、バチィイイイッ……!!

「きゅっ?!」

 ビリビリと痺れと共に激しい痛みが襲いくる。
 いかに猟兵といえど剥き出しの尻、打撃に強いはずもない。純白ぷるんっと、市井ですれ違えばそれこそ万人が色香に着目するであろう「魅惑」を、力尽くで蹂躙する。果実を毟る!
 鞭の一振り、また一振りのたびに、メアリーの口から悲鳴に似た声が漏れ出でる。

「はあっ……はあっ、はあっ!」
「こうしてぇ爪を立てて、がーりがり、がーりがり……」
「う、あっ……この……か、はっ!?」
「ほら? 馬鹿みたいにくねくね悶えて、ねぇえ? そんなに気持ちいい? それとも気持ち悪いぃ? 出来上がったばかりのまーっかな傷にこうやってぐりぐりされるの、ああ! もっと顔見せて! ほらあ顔は真っ青にして、ぷるぷる震えて……もっと面白くしてあげる。あげる!」

 ――ずッぶぢゅっ……!!

「ひううっ……!」

 指先に十数は乗るであろう子蜘蛛を臀部にあてがうと、菊座を探りあて、第二関節あたりまで一挙に抉り込ませた。身を強ばらせて抵抗するが強引な侵入はそんな窄まりをやすやすと突き破る。
 美しい牝穴から、水飴のような腸液がとろりと垂れてくる。それが蜘蛛の体液と毒と混ざり合い意図せず増幅させられ、体内を蝕む潤滑剤となっているようであった。ここは蜘蛛の苗床としよう。小町は邪悪な笑みを一層濃くする。
 指先から放たれた蜘蛛は腸壁をなぞり移動しながら、内側の弱点を探り出す。そうしていくつもの敏感な部分を見つけては、体躯から毒牙を生やし、ずぶり、またずぶりと犯していく。メアリーの一挙手一投足に恥じらいと悶えが見え隠れして、その動きを褒め称えては蜘蛛を流し込んだ。

「そこっ……んうっ!? 痺れっ……る……!」

 かぶりを振った小町は、さらに臀部の表面にも、より大きくたっぷりと毒液を滴らせた親蜘蛛を放ち、表面をも性感帯へと作り替えていく。みるみるうちに元から大きかったお尻が、巨尻、否――爆尻になるまでどぷどぷと毒液を注ぎ込まれれば、徐々に打擲の鈍痛は快感に変わり、下腹部に熱くもどかしい痺れを蓄積していく。燃える、どころか尻自体が一つの発熱器官と化したようだ。
 無数のシワが刻まれた菊の御紋に、腸の中にまで蜘蛛の巣を張られ産卵される感覚。身動ぎするだけで幾度も絶頂しかねない快楽のさざなみは、その尻圧で子蜘蛛をはからずも潰してしまったことで怒涛となった。飛び散る媚毒。尻の隙間からぷぴっと可愛らしく噴水した。

「う、あっ……! あぁああぁあっ!?」

 内臓がみちみち悲鳴をあげ、胸を掻きむしるほどの狂おしさに頭を灼かれる。
 見事なイき様ねえと微笑みかけられても、憎まれ口の一つも叩けない。

 ――ばぢゅんっ……!!

「び、ぎゅッ……!」

 毒液塗れの尻が、休む間も無く再び鞭の嵐に襲われる。当初ハリのあった音も水音っぽく湿り、腫れ上がった臀部の痛ましさを助長させる。
 ついに涙声になった哀れなアリスは、命乞いを始めた。浅ましくお尻を振り、そこで沸き立つ快楽に瞳を濁らせながら、これ以上は無理、我慢できないっと、蜘蛛を掻き出して解放してほしいと訴える。無様に巣の上で転げ回り、髪を振り乱して腰から下を天へ突き出して、蔑む小町の目線すら心地よい。疼痛さえも快感にすり替わる。

「ふうっ、ふーっ、くうぅん……!」
「違ううう! お願いするときは、こう、こう!!」

 すっかり脱力した彼女の拘束を解くと、上から頭を踏みつける。地面に顔を押しつけろとばかりに、固い靴底が踏み潰してくる。さらには。

 ――ボゴっ……!!

「げっふっ……!?」

 腹を蹴られた。メアリーの上半身が這いつくばったまま浮く。二度、三度、何度も。

 ――ドスッ、ボグゥッ! ガスッ、メリメリ、ガゴォッ!

「ぐふっ!? き゛ゃうぅッ……! や゛め……えゔっ!? げっッおぉっ……!?」

 体を屈ませた拍子に、みぞおちが的確に抉り抜かれた。ついに衝撃にしょろろろと黄色を温ませつつ、ぴくぴく悶絶する。
 ……頃合いか。小町は彼女の近くまで重種馬を呼び戻した。これほどまで柔らかくなるよう仕込みを行えば、一突きで絶命することもなかろう。
 大人の腕ほどはある熱く固くそそり勃たせていた。鼻息も荒い重種馬は目を血走らせる。我慢ならないのだろうか。先走りの液体で濡れ光る、凶悪な成りの肉槍がぐいぐいと押し当ててこようとする。

「さぁあ、食事の時間ね?」
「(あ……あれでお尻から口まで貫かれたら兎の串焼きできあがり? 串というよりも熱く脈打つ肉の杭かしら)」

 ぼんやりとした脳裏に、馬の腹に磔にされ哀れ排泄袋と化した己を幻視し、力無い自嘲を浮かべる。貫かれ内から焼かれるのはお菓子のバウムクーヘンだけど、腸まで満ち満ちにゼリー状の汚濁と蜘蛛肉を詰め込まれた生き様はソーセージに近いか。どちらにせよ美味しく召し上がられるか、はたまた出荷されるかを待つのみ。被食の甘美、その背徳。
 思考を途絶させる、鞭の弄ぶ音が鳴り響く。
 どうしたって恐怖に考えまとまらない。心の準備を待たず馬が嘶いた。

「ごほっ……ねえ、アリスを食べたいんでしょう? お預けなんて――」
「しない、しない! せいぜい悲鳴をあげて悶え苦しみ、そして受け入れるの! 苦し……う、うけ、うう、けけけけ!」

 痛め付けられた媚肉がびくりと震え、屹立の侵入を阻もうとしてか、全身の筋肉が緊張し、強張る。その僅かな抵抗を、あっさりと、簡単に打ち破り、雌の器官にずぐりッと刺し込まれた。

 ――ずぶりっ……メリメリ、メリイッ!!

「ぐ……げ、えぇっ!? おごぉっ」

 喉から、圧し殺しきれない苦鳴が溢れる。女にとって最も大切で守られるべき子部屋まで、柔らかい肉をこれでもかこれでもかと引き裂いて、内臓をかき混ぜるに近い感覚を刻みつけながら、子を成す器官の入口にまで到達し。
 僅かな均衡の後、重種馬の大槍が雌の器官を貫き、潰し、入り口を力任せに押し開いた。

「い゛っギィ!? ギッや゛あ゛ア゛アァッ、食べてッ食べないでええっ?!」

 人の身で、アリスの身で味わえる最大限の苦痛。絶叫して体が揺れれば、呼応するように体内に潜んだ蜘蛛が一斉に暴れ出して、麻酔のように毒の一滴を垂らし込む。一層悶え、苛む苦痛輪廻。
 ぼこんとその形が外から如実にわかるほど浮き上がった腹。今はアリスである彼女は貪れ、冷たい大量の脂汗が止めどなく吹き出し、漏れ零れた小水と混じって、身体の下で沼を成していた。
 般若のごとく歪んだ顔、直視することも躊躇われるような断末魔の表情、その横顔を眺めながら再び小町は鞭を振り上げる。割り開かれた尻のだらしないこと。もっと締め上げて、臓腑全体で重種馬に奉仕してもらわなければこの営みは終わらない。ならばもっと激しい打擲を。もっと激しい辱めを。だぷだぷと揺れる尻たぶを手の跡が付くくらいに握って、そこに渾身の一振りを加える。ストローク、そして打撃。甘い毒飴と黒い鞭だ。

 ――ずぢゅっずぢゅっずぢゅンッっ!! すパァーンッ!! ばっちぃーいんッ!!

「やっ、ああっ……!? いだっ?! いヒッ、お尻っ、アっ!?」

 限界まで突き出されたメアリーの肉厚の舌を、鞭を持ってない方の手で摘んでぶにぶに弄る。あべ、う、んべぇっと声にならない陰惨に、恍惚が過ぎる。ああ、この舌は、この喉は、被害者であり被捕食者である彼女がだらだらと涎を垂らしているなんて。まるでどちらが飢えているかわからない。
 この瞳の光が気に入らない。どうして光を失わないのかわからない。

「はひっ、か……あひっ、はへっ……」
「そろそろまず注いであげる。舌を摘まれて、尻を嬲られて、醜くイって、ね?」
「んんべっ、ふにっ!? おアっ、くぷっ……! うくっ……ばハァぁ~ッ!?」

 ――ずぢゅんっ……! ずむんっ……!! ずぢゅっ、ズブぢゅン゛……!!

 下等生物であることすら生ぬるい。肉袋だ。柔らかい肉の詰まった肉袋なのだ!
 腹や胸をめちゃくちゃに鞭で殴りつけ、大きく息を吐き出して肺の中まで空にしたところで、抽送も勢いを増してスパートする。不意に、肉体の中で異物感が何倍にも膨れるような錯覚を見た。体が破裂する。自分はぺしゃんこの風船だ。全身が弛緩して、敏感になった痛覚と被虐心だけが辛うじてヒトの形を成している。
 あるいはそれがアリスとしての幸せの結晶だというならば、受け入れるのも悪くないかもしれない。
 無理やり開かされた足の隙間から、ぷしっ、ぷしっ、と断続的に潮を噴いた。両者とも限界を迎え、そして。

 ――ぶビュルっ!! ぶりゅっぷびゅるふドピュうぅう……ッ!!

「お……ぁ……エ゛ぉおォオ゛オ゛ッ゛!?」

 メアリーの中に注ぎ込んだ。ナカで欲望が爆発しているのに、心臓の音だけが大きく聞こえる。自分の中に流れる血液までもが毒と白濁に入れ替えられてしまったようだ。目の裏で絶頂快楽が連続してスパークし、汗と涙と鼻汁とでぐちゃぐちゃに染まる。ケダモノの雄叫び。死の間際の感涙。逆流した白濁が勢いよく結合部から漏れ出して、惨憺たる有様を晒しながら、びくびくと違う生き物のように体は身震いして、やがて項垂れる。
 それでも吐精は終わらない。馬の性交渉はヒトのそれとは違い、一度始めれば結実させるため長く長く注ぎ込むのだ。妊婦のように腹が膨張しようと、ぐるんと白目を剥こうと、呼吸が止まろうと、血と白濁を溺れるように吐き出して毀れようと、アリスのアリスたるを踏み躙られてなお、終わらない。

「――ただのアリスなら、ね」
「は?」
「アリスはメアリだもの」

 《雌伏の時》は至福の刹那のために。
 ぐりんと動いた首は重種馬の喉笛を噛みちぎり、引きちぎり、ぐしゃぐしゃに潰して、這いずる勢いで小町の顔を掴むと、地面にスタンプした。噛み締める、この瞬間を、味わう、この好機を。

「この復讐はきっと、甘くて素敵なものになるわ」

 全てはこの一瞬のために、拾い上げた得物を瞠目する小町目掛けて、メアリーは振り下ろした。

 血の噴水がどぱぁっ、と、また一つ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリ・イーズディル
小町様!
騎士ちゃんが命を賭して私に救ってくれって言ってたような?
そんなコなら
全力をもって助けてげなきゃ
私なりに、だけど💕
言葉が通じないなら
やっぱり身体でってわけだね?
まずは三度おうまさん…と
対処もだいぶ慣れてき…
あ、これはたぶんやばいやつ?
最初の馬や天の馬と同じようにおくちやおむねや、行き止まりの構築でどうにかしようとしたけれど。
本気の交渉で、継承させようって言うなら応えてあげなきゃ、だめだよね💕
……なんて思ったことを後悔して、泣き叫んで赦しを請うほどめちゃくちゃに、奥の奥まで潰され引き裂かれ、穴で袋で逆流し、生命を育まされちゃうのに、生命はここで潰えて…

そゆのもとっても良いと思うのが私だけども!
そういうお終いもぐちゃぐちゃにして頂いちゃうのもわたしなのさ。
彼もまた私になったとかとかそーいう!
それで、小町ちゃんの(私の)望みを彼と一緒にかなえてあげよ!
潰れたおめめに愛を注いで脳まで支配をしてあげよう!
愛を感じてもらえたならば!
君の愛馬と私で同時に前後に注いで、愛の証を作ろうか💕



 両手を広げる。此処はもはや彼女の世界、すなわち私の独壇場だ。
 それを「独壇場」と表現するのかが正しいかはわからないけど、しかしメアリはこう思うわけだ。「騎士ちゃんが命を賭して、救ってくれって言ってたような? そんなコなら全力をもって助けてげなきゃ」と。内心をより正確に表現するなら、すなわち、託された。垂れ流した思いとは違う。聞き流された言葉とは違う。ならば言わねばならない。聞き届けたりと。そのか細い叫び、悪魔にして魔女にして悪霊が聞き届けたりと!
 その意志は汲み取り、継がなければならない。いち悪魔として、そして、混沌の使者として。

「小町様! 満足いったかい、それともまだ助けが必要かな?」
「助け、助け? た、すけ……けけ、けけ、けけけけ!」
「いいとも。先に断っておくと、私なりに、だけど💕」

 ああ、決裂しなくてよかったと、安堵と期待に胸が高鳴って今にもはち切れそうだ。
 じじ、じ、と金のジッパーを開けて、ぱちぱちと留め具を外しながら、惜しげもなくその肉体を生ぬるい外気に晒して近づく。一切の油断はない。元より説き伏せるのは無理。黄金の双眸は、彼女の様子を狂気に苛まれ会話が不可能だと見てとった。当然だ。生きながらに(生きていないのかも!)弾頭にされるなど察して余りある苦悶。想像するに甘美な絶望。しかし言葉が通じないなら肉体による交渉ごとにシフトすればいい。メアリも最初からそちらの方で臨むつもりだった。
 右手の中指を顎あたりに当て、左手は握ったまま鎖骨に触れて。にいいと三日月のように口角を上げて、剛と聳える屹立を見つめる。

「もう臨戦体勢とはね。数多の猟兵を突き倒した槍かい、これが。さわさわっ」
「……」
「――あ、これはたぶんだいぶやばいやつ?」

 波打つ剛体、浮き出る血管、はむっと唇でぷにぷに口奉仕してみるものの、匂い立つ牡フェロモンにメアリの方が立ち眩みしそうな始末。鼻に付着した我慢の汁と己の唾液でてらてら艶かしく光るソレをどう攻略したものか。野生馬や天馬とは違う、言うなれば幕下と横綱くらい迫力の差がある。種は同じはずなのに、どうしてか根本から違う。
 それはすなわち交渉への欲もまた桁違いというわけで、一糸纏わぬ姿にも関わらず、自身の下腹部がきゅぅうんっと熱を帯びる感覚に身震いしてしまう。はあはあ息を荒げ内股にもどかしさを募らせれば、死と隣り合わせの快楽が脳裏をよぎる。
 交われば毀されてしまうだろう。痛み、苦しみ、居た堪れない狂おしさ。連戦であるはずなのに今にも暴発しそうなのは、単に肉欲に従っているから、という理由のみではなさそうだ。

「なるほど。こんなものを継承してしまうなんて、どろどろ悪魔も驚きを隠せないよ」

 こんなものと唾棄した悦楽が忘れられず、ノイズ混じりで一つの分岐(かのうせい)として残してしまったことを、棚上げする。
 この迷路(せんたくし)もまた「行き止まり」だ。期待を後悔が上回ることなんてザラにある。すぐに影響を断とう。断とうとして。目が合った。

「ああ、ああ! 狂いながらも、狂ったことを自覚してなお身を預けたくなる、コレがそうなんだね小町様」

 ぽんと手を打つと、その手を広げて胸を持ち上げる。だぷんと重いそれで剛直を擦り上げれば、馬が嘶く。
 私たちの経験が偶発的に流れ込んで、メアリもまたどろどろした肉欲の罪過に溺れていく。己をどろどろの混沌と定義づけたとて、時には自ら溺れる事もある。この匂い立つ交渉力を前にして、悪魔は自らが牝であることを突きつけられたわけだ。結果は論じるまでもない。我ながらなんて末路だ。見るからに先がないのに、と、自嘲して。
 この気持ちを教えてくれた礼に、認めよう。人の範疇を超えた聳り立つ其れを、継承する。フォルムから威力から大きさから、注ぎ込む量やら継戦力やら、フェロモンやら繁殖力やら、全て。
 君の愛馬が……! 私を最後まで、イかせてほしいと、頭を地面に擦り付けて。

「それなら少し――いい話風にしてみようか♪ 悪魔の気まぐれさ」

 と、思ったのも束の間。

 ――ごりゅっ、ごりっ、みちみちっ!!

「うぁああぁあぁあああ゛あ゛っ!?」

 僅かな時の後で、悲鳴が喉から迸るのを、メアリは遠くに感じていた。
 突き上げた尻に跨られて、水銀のように重い体液を刷り込まれながら、重種馬との交渉がいよいよ始まった。

「あ゛あぁああああ゛っっ!!!!!」

 さながら地獄の串刺し刑だ。
 ただでさえ辛い異物感に加え、度重なる馬との性交渉で全身の感覚が過敏になりすぎている。あまりに下腹の痛みが強いためか、いつしか皮膚という皮膚が分厚いゴムになったように触感と体温を失っていた。……代わりに、くすぐられるような狂おしいもどかしさが身の内を這い回る。
 ストロークのたびに手足は意識とはまったく無関係に、病的な痙攣を繰り返す。
 挙句には自律神経さえ一時的に機能しなくなるため、ありとあらゆる体液が垂れ流しの状態だ。

「うぎっ?! あっ、あ……あ、あああっ…………あっ!」

 メアリの享楽的な金の瞳が、一瞬、ほんの一瞬精彩を欠く。
 行き止まりの構築ですぐに正気に戻りはするが、幾度も秘所を突かれれば、またぞろ快楽が勝る。
 寝起きの肉体に冷や水をかけられて覚醒しているかのようで、苦楽の変換効率も今は最大限に働いている。目を見開き、瞳孔を収縮させて痙攣する。これも苦痛ではなく「気持ちいい」ことで……。

「があああっ?! げっ、ウッ……これ、……おぼろぉっ?!」

 あるはずがなかった。
 慣れてくれば気持ちがいいとか、子部屋の入り口を無理やりこじ開けられる感覚だとか、そういうものに快楽を見出そうとしても、殊更後悔の方が募っていく。反吐と吐瀉物を撒き散らした。鼻からだらっと鼻汁と血が垂れ下がる。白目も剥いてしまう。情報の処理が継承の合間に追いつかない。ごりゅごりゅと胎の中をレンガの硬さとマグマの熱を帯びた太杭が蠢いている感覚。その被征服感たるや。
 奥の奥まで潰され引き裂かれ、壊されて逝く。

「おほぉおおおっっ💕 わかひ……わかったぁッ! あやまる゛ッ、あやまりましゅぅッ。わたひ、ごべんな、しゃひ、アッ、あやまる――ッオ゛っ?! ひぁっ! うえぇ……ぐすっ、ひぐっ! お●ん●ぉおおぉっ💕 一旦止めて゛ェッんほ゛お゛ぉ゛お゛っ゛ッ💕」

 謝った。
 心の中では土下座に近い完全な敗北から起因する謝罪。さらには涙ながらの訴え、一突きするたびに直接器官を抉られる、ヒトでも悪魔でも畜生でもない、未知の存在へと書き換えられ作り替えられる……改められる。根源的な恐怖を前にして、メアリは涙を滂沱と流して謝った。
 走馬灯が脳裏をよぎる。といってもほんの数瞬間が光景のように流れていく、といったものではない。悪魔にとってその光景とは生々しい痛みと死の悦楽とを伴うを実体験のリフレイン。否、リプレイである。すなわち記憶や経験の継承で起きる、不可逆の接続不良。死にながら死に、逝きながらイき続ける、出口のない迷路。だからこそ謝って謝って、誤った果てに血涙を流しているのだ。
 それでも、潰えた命を積み重ねれば、すなわち望む継承までの道筋を一本一本潰していけば、自ずと望む結果は手に入る。気の遠くなるようなトライアンドエラー、それもまた経験であると一笑しなければとんだ笑い話にすらなりはしない。

「ナカでっ、あはぁっ、これは、まだおおきくッ゛、それは、ンヒッ?! 本気ッなんだね……? んおァア……これは、そう……いうっ……ことかい? んぼっ?! おぎゅ💕」

 ――バツん、ばぢゅ、バヅッ、ぱぢゅ、ばぢゅんっ!!

「……みどめで、アハァ💕 わたじを゛本気でぇぇゲぇ!? ……おぼ、ぼろろろ……おブッ💕 育ませる、っっづも、りゅっ、け……いっ、いぎ……っ、ダメだくるうっ、私も、ォ゛ぉッ゛、コレは、アんギャ゛ア゛あーッ゛💕」

 そのエラーだって、虚無の海に消えてなくなるわけではない。全てを融かしごちゃまぜた……混沌、呪い、その果てにして、始まり。全てに繋がるものだ、頭の先端から尻尾の終わりまでが全部同一にして異なるもの。だからこその「継承」、なかったことにしているわけではなく、むしろ「それもあったことにしている」という、存在なのだ。
 この悲鳴も、甘美なる死に様も、死にながらも胎の中の膨らみ来る熱き奔流だって。

 ――ムクムクムク……ぶるるっ!

「く、くるッ……💕」

 中で絶望感が膨張していく感覚。ナカどころか全身を強張らせてなんとか衝撃に備えようと息ばむ。それがどれほど無駄で無意味な抵抗だと分かっていても、悪魔にして魔女にして悪霊の矜持がある。
 その欲望を発して隙だらけの内部に入り込み、呪いで逆に支配する。そういう筋書きだ。

 ――ずるるるるる……ずんっ……!!

「おっげ エエエえええ゛ーッ゛!?」

 貫通した。
 ズルリと抜き放たれたそれが、ひと息に根本から子部屋までもを貫通し、入口をこじ開けて中の奥にまで潜入したのだ。まるで別の生き物のように文字通り体の端から端までを犯し抜き、喜びを表現するようにびちびちと竿が踊っている。
 メアリの表情にかつての不敵な笑みはない。疲弊し、脳をどろどろに煮込まれた間抜け顔でいる。汁粒をこれでもかと辺りに撒き散らし、神経を秒ごとにプチプチッ……と引き千切られる絶望的な快感に咽ぶ。

「おぼっ……💕 おっげっ…………げごっ…………💕」

 ――どぼぼぼ、ぼりゅ、ぶりゅ、ぶりゅるるるッ!!

 ぶちぶちぶちと神経は擦り切れていくのに、押し寄せる絶頂の波は更に濃密に濃厚に、メアリの身体を埋め尽くしていく。
 喉が塞がれたかのように呼吸さえままならない。半ば窒息の苦しみに目を白黒させるメアリに、穴で袋で逆流せんばかりの過量の白濁がそそぎこまれる。ごりゅごりゅ、ボリュブリュと、瞬く間に、メアリの腹を妊婦のそれかと身紛わせるほどにミチミチと占領して、それでも飽き足らず接合部の隙間からは怒涛の勢いで取りこぼしを地面に滴らせた。

 ――ずりゅりゅりゅ……! ぼどん゛ッ!!

 信じられないほどの塊が、残滓が、結合部から重い音を立てて堆く積もる。
 秒では測りきれないほどの長い、長いフィニッシュ。
 やっと終わったか、と、重い身を持ち上げようとして、重種馬がまだ繋がったままだと気づく。

「ははは……はぐ……くませようと、した、そうだろう? なら中途半端じゃ、なぐ……くぅ……そ、そういうのも、悪くないっむしろ望むところ……と」

 ――ミヂ……ずぼりゅっ!!

「ンヒッ💕」

 言葉が遮られる。
 膨らんだものがさらにますます硬く、熱く、内部で聳り立つ感覚。
 こんなものは私は経験したことがないし、我らだってすぐには挙げられまい!
 ましてそこかしこに胎の中を所狭しウヨウヨと泳いで回るほどの白濁の種馬遺伝子。破裂寸前までみっっっちみっちに膨らんだ腹部は青白い肌がますます際立つ、妊娠した妊婦のようだ。それが、なお馬に突かれ、掻き出すか押し込むか判然としない中で、みじゅぶじゅっと抽送される。
 どくどくと心臓が再び暴れ出す。この地獄は、繰り返されるのか? 繰り返されるとして果たして何度、否、終わるものなのか? 嘲笑うように水音は生々しく、そして空々しく響き渡る。生命の営みなど聞こえのいい戯言に過ぎない。

「そうだ。そうだそうだ、そうだっ、所詮肉欲に過ぎぬ愛欲に過ぎぬ欲に過ぎぬ。でしょう、でしょう? だからこそ、結びつきとは、愛とは喜びとは、うま、馬、生まれ、堕ちる、落ち着く、のでしょう。ですよ、ね、ねえ?」

 小町は、数多猟兵を地獄の悦楽に堕とす中で、否、その地獄を生み出す「弾頭」にされる時点でおよそ生前の、影朧としての執念だけを残してそれ以外の全てを投げ打ってしまった。紡ぐ言葉のその全てが支離滅裂。
 膨れ上がったメアリの腹に舌を這わせ、その脈動に苛立ち膝蹴りを加える。情緒がめちゃくちゃで愛おしさと苛立ちがないまぜになって、その感情を暴力で発散している。まるで赤子のようだ。脂汗を浮かべ、今にも嘔吐しそうな、何か喋ろうとすれば内臓が飛び出る感覚に苛まれながら、それでも微笑する。狂気すらあざら笑ってやろうと。
 狂気と矜持がせめぎ合う。
 ドスっ、ゴスッと鈍い音を立てるたびに、水風船のように白濁塗れの腹が形を変えるたびに小町は口端を吊り上げた。
 乳たぶを掴み上げ、これ見よがしに齧り付き、くぐもった悲鳴にぎゅうと瞳を閉じるメアリに、思いの丈を吐き捨てる。
 意識すればするほど、メアリの身体は熱を放つ。しかし意識を手放したら最後、現世には戻ってこれないだろうという確信だけがあった。痛み、鮮烈な苦痛を受け止めなければ、一巻の終わり。

 ――ばぢゅ……メリメリメリ……ぎりっ、ギヂィ!!

「ん゛む゛おおぉお゛ッ! おッ、こふぉッ! おわ、おわ……ぉ……ぎぎぎィッ💕」
「さあさあ! 吐き出した分だけまた注ぐ、雪ぎましょう。この無念、この執念ををを!」

 ――ぼじゅむ、ぶりゅ、ぶちゅうっ!

「うぐ……っうう、はぁあ……💕」
「腹の中、穴で袋で! 満たされて、馬の仔を! 成す、成すまで! 続けます、ましょう? 魔性……アナタあなら、アナタだけは! ねえ? その気になれば、この子種から成せるはずです結晶を、子宝を! その至宝を成すべく奉仕、す、する? する! しろおお! 死で許されると思うなワタシは許されなかった、ワタシ許され、許されなかった! 許せぬ、許せっ、ゆるじでぇええ!」
「ッ……声ぇ……は、そんなに……叫ばない、で、……おぼぉ、おご、ほし……いな……ぐぐぅ……ぐ、ヒッ?! ナカにひびくぅ……くうぅ💕」

 ぞりっ、ぞりぃと腹の先を地面に擦り付けながら、丁寧に小町の妄言に付き合ってやる。
 両足の指が汚い床を握り締め、膝はつかないという決死の意志のもと、串刺しにされながらも理性を感じさせる言葉を紡ぐ。

 ――ぬり゛ぬり゛ぬり゛……ぼぶんッ!

「ぐっぎゅぅう゛……さすがに……これはまず、い゛に゛ッ?! こ、こごデ……ェッ?! つ、潰えてしまぅゔ?! ほォおぉお゛お゛お゛ッ💕」

 リットルの白汚濁を子部屋に流し込まれた直後の抽送、これだけでも体力全損レベルの損耗だ。

 ――ぬ゛ぢぢぢ……ずじゅぶんッ!!

「一丁前に、ぐ、ひィい゛?! 私の弱いと……ン゛ッぬほォッ、さぐってるづもンォお゛?! ほぉ゛お゛ッ……あいにく、こごも、……行き止おぉお゛お゛ッまてまでまっでッ……💕」

 脳天まで貫く甘く鋭い電流が身体の自由を奪う。行き止まりの構築が追いつかない。終わりの終わり、その果てへ、どこまでいっても袋小路にたどり着かない。
 袋小路ならぬ袋詰め。肉袋に見立て本気の交渉を継続する。引き裂かれ、貫かれ、溺れ、抉られ、徹底した性交渉。メアリは嘔吐きながら頷いた。その本気は、本当の本気は、負けてやってもいい。叶わなかった、ここで継承の悪魔は潰えて終わり。
 それが結論であり、ただ唯一の幕切れなのだと。

「――そゆのもとっても良いと思うのが私だけども! そういうお終いもぐちゃぐちゃにして頂いちゃうのもわたしなのさ」

 消えていた。
 街の光景も、すなわち「逢魔が辻」の光景も、重種馬の嘶きも、未練も、何もかも、消し去った。べったり張り付いていた小町の薄ら笑いも、同様に消滅する。

「今度は小町ちゃんの望みを叶えてあげようかな」
「あ……あ……ぁ?」
「私のともいう! ともかく、望みを彼と一緒にかなえてあげよ!」

 前髪を掴んで、ぐいと小町の顔を持ち上げた。形勢逆転だ。なんだか遠目に見ればわからないことだったけれどまずは顔を観察しなければ。さて。
 なんだなんだ! 見ての通りの有様なんだね、メアリは特に抵抗なくその眼差しを見下ろした。おあつらえむきの穴があるじゃないか、その程度にしか思っていない。小町はその目を蜘蛛に捧げて、およそ人体の構造ならざる異形とかしている。

 ――べッぢぃんッ!

「ダメじゃないか。彼を前にして惚けているなんてさ。気持ちはわかるけど、私には彼の気持ちもわかるからね、ご覧」
「えヒッ?!」
「これが彼の持つ剛直さ。使い方は言わずもがな」

 一本の牝尻尾が、小町の頰に張り手を食らわせる。円状の波紋を広げ、しばし呆然と叩かれた箇所をさする小町。悪魔には性別はないのか。先ほどまで種族を超えた営みを嗾けていた小町は、そんなある種常識的な質問に脳を支配される。あるわけがない。重種馬に匹敵する屹立を、メアリが用意できるわけがない。

「その想像力の欠如が、限界さ。あいにく私には限界はないんだ。悪魔だから。我らは尽きず、継いでいく────のだよっ、本気の欲望をね✨」

 ――ず、ぬ゛ッぢぃぃぃいぃッ……!

「お゛〜ぉおぉお゛ッ?! くふぅうぅぅう゛ぃいぃい゛〜ッ?!」
「随分と温いね。もっと冷たいものを想像していたものだけど、このまま潰れたおめめに愛を注いで脳まで支配をしてあげよう!」
「ンくぉお゛ーッ!!?」
「んー聞こえてないか。脳をシェイクされているようなものだしね。たしかにこれは彼の望みではないけれど、彼の望みに繋がるものさ。いいかい、こうして、ずるるーっと」

 ――じゅりゅりゅッ!

「お゛ッぎゅふンッ」
「そのままかき混ぜるっ。まぜまぜ、まーぜまぜ、頭の中にぷちぷち音がするのが聞こえる? それが支配されていく、脳細胞の悲鳴さ。断末魔のね。目の奥から突き入れて頭の中身をシェイクすると、うん! ごりごりと感じたことのない感触だ。これは悪魔では普通のことだからね」

 ――ごじゅごじゅごじゅ!

 頭蓋を絶頂媚肉に準え、跪かせた小町の頭を無理やり前後させる。口に含ませているならいざ知らず、ぽっかり空いた穴から後頭部目掛けて突き上げる。いかに影朧として人体構造を外れたといえど、その絵図も快楽中枢も奉仕とのそれとは比較にならない。あるいは余計な思考を捨て、結実させるその一点に集中してほしい、それが「彼」の欲なのか。

 ――ぬぅううん……!!

「は……ぇ?」

 露わになった小町のぴっちり肉ワレメを割開くように、のしかかった重種馬の影が、元パートナーを組み伏せる。ベキメキと重さに耐えきれず背中から折れていく小町の肉体は、今日何度目か、天をかえりみる。
 メアリはその姿勢に満足そうに腰を突き出すと、己が屹立を小町の後頭部に再度深々突き立てた。絹ごしの豆腐を突き破るような柔らかい感覚と共に、小町は声を振るわせ、太ももを振るわせ、双丘を振るわせ、肉袋へと転げ落ちていく。
 「終わり」だ。その終わりを決めるのはいつだって悪魔であるメアリの方。例え影朧であろうと、白旗降参など許さない。

「ようやく体も火照ってきた。さあ! ここからは、君の愛馬と私で同時に前後に注いで、愛の証を作ろうか💕 お茶目に素っ頓狂な声で可愛らしく喘いでも、そこで仕舞いにはしないよ。こうして影に両足が強引にこじ開けてしまえば絶対に逆らえないし、四肢は折れ、上も下もピンクの肉が丸出しだ。可愛いね。その表情、いい話の締めくくりにはうってつけだよ」
「ひっ……ひぃいい……!」
「全身で喜ぼう。生命を育ませ、そしてその生命を潰えさせる。終わりにして始まり。それこそ我らの営みにふさわしい!」

 もしこの営みに、愛を感じてもらえたならば!
 十全に継承は成功した、というわけだよ。

 ――ジュぶぶぶッ!!
 ――ぬ゛ぢッ、じゅごごじゅッ!!

「う゛!! ン゛?! ン゛ォッ?! お゛ッ!!?」
「うん、嬌声! うっ……くふぅ、びんびん感じるよ、慄きの中に、純然な愛と、快楽をぉっ……!」

 カクカクと腰を振る。小町の頭骨の中身をクリーム状になるまで逸物で丹念にかき混ぜて、何とも知れぬサーモンピンクの液体を接合部から溢れさせながら、潰れた目から落ちる雫は涙のように見えて。呼応する重種馬の影も、熱く脈打つ幹は指が回らないほど太い竿の、半分どころか根元まで入れてやろうと躍起に腰を打ち付けた。

 ――ぶびゅ!!
 ――びゅっ……ビュルルルぅぅぅ……!!

 直前に膨らんだメアリの先端から噴き出した乳白色のマグマを、馬影が視認すれば、その音に影響されてか身震いしながら欲望を発散する。
 ドックドックと心臓が震え、胸先の桜桃がきゅんと窄まった。今しばらく吐精の悦びに打ち震えつつ、口と眼孔から飴色の液体を垂れ流す小町を見下ろす。無理な抽送でガクガク揺れる体は押さえつけるのも一苦労。
 圧が増えれば背筋が強ばり、脳の後ろあたりがぞわぞわと震えだす。まるで全身が尻尾を喜ばせるために存在しているかのようだ。そんな小町をただの弾頭に使おうだなんて、まるでわかっちゃいない。

「ぁお゛ッ?! お゛ッ?! お゛ぅお゛ーッ!!」
「ああ、今の感触は脳梁が切れたのかな? それとも、頭の中に蜘蛛の巣が張り巡らされているのか……どちらもいく先は同じものさ。だって頭の中には愛おしい気持ちでいっぱいのはずだもの! さあ、言葉をひり出してみようか。小町様! できるはずだよ小町様っ!」
「ふ!? ふォ゛……ッ、ぁ、あ!」
「うん。うん? なんだい」

 開け放たれっぱなしの口が、ゆっくりと開閉して言葉らしいものを紡ごうとする。
 耳をそば立てて、一言一句聞き逃さないように、ゆるゆるとした緩慢な動きで脳をぐちゃぐちゃない混ぜにしながら、その先を待った。恐らく末期の一言になるだろう。恨み節か、怒りか、憎悪か、はたまた後悔か。あらゆる感情のフィルターを快楽でふやけさして無理やり廃して、そこで何を漏らすのか――何を世界に訴えかけるのか?

「……あ、あく、ひゅみら゛……ッ!」

 ポカン……とした。
 悪趣味。悪趣味ときたか!

「はは、ははは、ははははははははははははッ!」

 それは、影朧になる前、馬と結ばれようとした乗馬スタァとしての己のことか。
 それとも、その思いに応え同じく未練と共にここまで付いてきた重種馬か。
 あるいは、その悲恋を嘲笑と攻撃をもって排除した外界の一般人たちか。
 影朧に成り果ててなお利用する幻朧戦線の構成員たちか。
 やっぱり私か? と顎に手を当て、ぐむんと牝尻尾を押し込める。悪魔らしいビザールファッションに身を包み直し、悪どくも清廉に居住まいを正せば、首を垂れて跪く小町に迫る姿は芸術品のようだ。指さされて、そう断言されてしまえば、何か一つ言い返したくもなるのがヒト心。ぱちんと手を当て、その後、当初の通り、両手を広げる。

「悪趣味! 道一本、貫き通せばそれも愛じゃないか!」

 返答はない。
 もはや物言わぬ骸が、煙と化して消えていく。

 それなら私の勝ちだ。言ったもん勝ち、そういう結末も――ある。

「ある、いや、そういう分岐も『あった』わけさ。辻――というか岐路を用意してくれたから、ついつい全力を出してしまった。融かして一本にしてしまうのが私だけど!」

 誰ともなくそう呟く。
 継いで繋いで、どこかで途切れ。

 悼まれた死は、何処か裾野を駆ける嘶きと共に、風と消えていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年12月31日


挿絵イラスト