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カメラは止めないッ!~南瓜ぱっかぁ~ん大作戦!!

#ヒーローズアース #お祭り2021 #ハロウィン

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 ヒーローズアース、アメリカ合衆国のマンハッタン。
 ハロウィンが近付くにつれ、街の雰囲気もハロウィンカラーのオレンジ、黒、紫の3色が目立ってきた。大通りに軒を連ねるショップはハロウィンセールを開催中で、気の早い人々は既に何らかの仮装をして街を闊歩している。
 そんなハロウィン熱が徐々に高まっているマンハッタンのど真ん中に、突如として出現したのは……。

「カット、カット、カット、カーーーーーーット!!」

 マンハッタンの空気を揺るがすほどの怒声を撒き散らす、等身大のデッサン人形だった。ディレクターチェアにふんぞり返って座ったままのその頭には、巨大な黄金南瓜ヘルメットが輝いて目が眩しい。目と口元に掘られた南瓜ヘルムの穴から、何やら虹色のモザイクが漏れ出ていて正直キモい。
 そして、この人形が明らかにオブリビオンであることは状況判断で明確である!

「いや違うんだよねーェェェ! ハロウィンって感じじゃないっつかさーァ!」
 勝手にカメラを回し始めたかと思えば、勝手に怒鳴り散らすオブリビオン。
 通りをゆく一般人たちは「あ、あれヤベー奴だ近寄らないほうがいいわね」とドン引きしながら迂回をする始末。
 その態度が余計にオブリビオンの言動を悪化させてゆく。
「あーーーッ! なんて非協力的な演者たちなんだッッッ! こうなったら、こっちでオファーした演者を使わせてもらうさッ! いでよ、パンプキンオブリビオン・モード・オブ・四方悪の魔法少女!」
 デッサン人形がぽーいっと何かの種を空中へ放り投げる。
 種が落ちた次の瞬間、アスファルトを突き破って生え出した黄金色に輝く南瓜のつるがまたたく間に伸び、それらはマンハッタン島の東西南北へ広がってゆく!
 つるが島の東西南北の端へ到達すると、すぐさま無数の巨大な南瓜が実り始めた。
 そして、巨大南瓜が割れると、中から中身をくりぬいた南瓜をかぶった『パンプキンオブリビオン』と化した四方悪の魔法少女が飛び出してきた!
 際どい衣装を纏ったカボチャ頭(ツインテールの髪を出すための穴も完備)の魔法少女たちは、東西南北からデッサン人形のいるマンハッタン島中心部へ殺到し始める。
 その行く手を阻む建物や人々を蹂躙してゆくと、デッサン人形はカメラを回して興奮の声を上げた。
「ブラーボ! ブラーボ! これこそ、ミーが求めていたハロウィン・スリラー・ムービーだーーーーァァァ! カメラは止めないッ! 撮影続行だッッッ!」
 摩天楼が崩れ落ち、燃え盛るマンハッタン島を、冷徹にカメラは記録し続けた。

「こうなっちゃう前に、みんなにはデッサン人形のオブリビオン、ええと名前は……そう! 『虚構王ペルソナ』を撃破してもらいたいんだよっ!」
 蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)は魔女の仮装のまま、今回の任務を猟兵たちに伝達し始めた。
「みんなを転送するちょうどその頃に、中身をくりぬいた南瓜をかぶった『パンプキンオブリビオン』の魔法少女たちが巨大カボチャから飛び出てくるよっ! 被害が拡大する前に、なんとしても魔法少女たちを撃破してねっ!」
 レモン曰く、被った南瓜の神秘的なパワーによって、オブリビオンが強化されているらしい。なんでも、知られざる文明のひとつ『センターオブジアース』から、太古の時代、神が地上の環境を整えた際に使われた環境調整植物の一種『ゴッドオブパンプキンズ』の種子がオブリビオンによって盗み出されており、今回の事件も使用されているのだとか。
「でも、魔法少女たちが被っている南瓜をぱっかーんって叩き割ると、一撃で倒せちゃうんだってっ! 頭を狙って攻撃すれば、苦労せずに戦えるっぽい!」
 でも、それは敵も承知の上だ。頭を叩かれないように、魔法少女は空を飛んで移動し、街行く人々を戦闘員に変えて猟兵へ投げ付けてくる。もちろん、周囲の被害を顧みない強力な闇魔法も対処しなくては、マンハッタンのビル群が倒壊して被害が甚大になるだろう。
「東西南北にヒーローがそれぞれ向かってるけど、みんなじゃなきゃ敵を抑え込めないよっ! 『虚構王ペルソナ』のハロウィン・スリラー・ムービーを、猟兵のみんなが活躍するアクション・スペクタクル超大作映画に作り変えちゃってねっ!」
 レモンがグリモアを輝かせてヒーローズアースのマンハッタンへ転送を開始する。
 さぁ猟兵たちよ! 銀幕のヒーローの如く、華麗に活躍してくれたまえ!


七転 十五起
 ハロウィンシナリオ in ヒーローズアースです!
 バリバリのゴッキゴキのアクション満載でお送り致します。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 マンハッタン島の東西南北から、中身をくりぬいた南瓜をかぶった『パンプキンオブリビオン』の魔法少女たちが島の中央にいる『虚構王ペルソナ』のもとへ集結しようとしています。魔法少女たちは空を飛び、通り過ぎる森羅万象を蹂躙するつもりです。なんとしても食い止めて、マンハッタンの摩天楼を守り抜いて下さい。また、魔法少女たちは一般人を戦闘員に変えて投げ付けてきます(武器扱い)。殴れば正気に戻るため、どうか殺さないであげて下さい。

●弱点&プレイングボーナス
 襲ってくる『パンプキンオブリビオン』は、頭に被った南瓜を叩き割れば一撃で死にます。
 ですが、主犯である『虚構王ペルソナ』は、黄金に輝く『ゴッドパンプキンヘルム』をかぶってパワーアップしています。これは叩き割ることが不可能なほど頑丈です!
 その代わり『脱げない』という重大な欠点があります。
 第1章では【部位を狙いやすいユーベルコードやプレイング】にプレイングボーナス。第2章では【脱げない南瓜ヘルムの欠点を利用する】とプレイングボーナスです。

 それでは、皆様の熱いアクションがたぎるプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『四方悪の魔法少女』

POW   :    私の下僕たちよ、いきなさい。(投擲)
レベル×1tまでの対象の【味方である「キキーッ」と喋る戦闘員】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    捕まえたわ。私の手下になりなさい。(捕獲)
【ジェットブーツで加速して、力強い抱擁】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    こんな所に一般人なんて…邪魔よ消えなさい(魔法)
レベル×5本の【闇】属性の【着地すると周囲を巻き込んで爆破する魔法】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テラ・ウィンディア
ひ、酷い目にあったんだぞ…(にゃあらMSリプレイ参照
「恐ろしい事件…でしたね」
チョコ食べ放題と思ったら…(ふるふる
そういえばあれどう解決したんだろ…(記憶がない
「あまり思い出さない方がいいですよ…あれが「来る」とも限りませんし…」(フラグ

兎に角魔法少女ときたら負けるわけにはいくかっ!

【属性攻撃】
斬属性を剣太刀に付与

【戦闘知識】
魔法少女達の動きと癖を把握
また周辺状況把握
【空中機動・見切り・第六感・残像・武器受け・オーラ防御】
敵の攻撃は回避と共に必要時はオーラと剣太刀で受け止め

【二回攻撃・弾幕・貫通攻撃・重量攻撃】
ガンドライドとドリルビット展開
重力弾を乱射で動きを止め
南瓜狙ってUC発動
破壊するぞ



 グリモア猟兵によってヒーローズアースのアメリカ合衆国マンハッタン北部へ現れたテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)。
 その直後に、巨大な南瓜の木に生えた立派な南瓜がぱっかぁ~んと割れた。それはひとつだけではなく、2つ、4つ、8つと倍々に破裂していくと、中から露出の激しい衣装を纏った魔法少女たちが飛び出してきた。
 ――ただし、全員、南瓜ヘルムを被った状態で。
「なんだか見ていると正気度が削られる光景だな、ヘカテにゃん……」
 テラは若干引き気味になって相棒の黒い子猫ヘカテにゃんに同意を求めた。
 ヘカテにゃんは思わす目を細めながら言葉を返す。
「悪趣味ですね……というか、とっととカボチャ頭をぱっかーんと割って、被害を食い止めましょう!」
「そうだな! 魔法少女と聞いて、おれが負けるわけにはいかないからな!」
 テラは魔法少女のコミュニティに属しており、彼女もその自負を背負うものだ。
 悪の魔法少女は正義の猟兵魔法少女がやっつける!
 これには、テレビ中継で注目しているアメリカ全土の女児たちも大喜びだ!
「そうと決まれば……星刃剣『グランディア』! 錆鞘之太刀! ダブル抜剣……!!」
 赤鉄の輝きを放つ星の剣と、赤錆まみれの鞘からは想像だに出来ない程に美しい刃紋を誇る刀を構えるテラ。
 魔法の力で自身もマンハッタンの空へ舞い上がると、二振りの刃に魔力を宿して切れ味を増す。
 その魔力に反応したのか、魔法少女達は一斉にテラを目掛けて四方八方から殺到してきた。
「私の下僕たちよ、いきなさい」
「「キキーッ!」」
 いつの間にか召喚された戦闘員達を無遠慮に放り投げる彼女たちの暴挙に、テラは思わず目を見開いた。
「他人を武器代わりに投げ付けたらいけないんだぞ!」
 ブーメランのごとく飛来してくる戦闘員達を、テラは足蹴にして威力を相殺してみせる。そのままヘカテにゃんへ告げた。
「ヘカテ! 神機モードになってこの人達を保護してくれ!」
『分かりました!』
 黒い子猫から一気に体高5mのスーパーロボットが紅い炎のような光の翼を背中から広げて空中を駆ける。
 蹴られたことで正気に戻った戦闘員たちは、ヘカテのコクピットや武器格納スペースに押し込まれて安全な場所へ運ばれていく。
 それでも次から次へと戦闘員を振り回してくる魔法少女達へ、テラは怒りを露わにした。
「誰かを武器にするなんてサイテーだぞ! 武器っていうのは、こういうやつだ!」
 空間から出現した浮遊砲台とドリル兵器が、魔法少女達の集団へ自律稼働モードで突っ込んでゆく。
 砲撃の乱れ打ちとドリルの突貫に、魔法少女達はいとも容易く頭の南瓜をカチ割られて撃墜していった。
 だが、マンハッタン島北端に出現した巨大南瓜の木からは、絶えず新たな魔法少女達が南瓜から飛び出してきており、このままではジリ貧確定だ。
「テラ! あの木を消し飛ばさない限り、この区域の危険は抑え込めません!」
 避難活動を終えたヘカテイアがテラのもとへ飛んで戻ってきた。
 これにテラは頷くと、ヘカテイアへ命じた。
「ブラックホールキャノンを拡散モードで発射だ……できるか?」
「建物への被害を最小限にすれば……出来ます!」
「よし、頼んだ! おれはその直後にユーベルコードであの木ごと魔法少女達をぶった斬る!」
 身構えたテラは、押し寄せてくる魔法少女達を見据えて叫んだ。
「撃て、ヘカテイア!」
「拡散式ブラックホールキャノン、発射です!」
 漆黒の光が扇状に解き放たれると、それを浴びた魔法少女達が空中で無残にも圧縮されてぺちゃんこになってしまった。
 当然、被っていた南瓜も粉砕されてまとめて殲滅していく。
 そして、遮るのものがなくなった南瓜の木へ、テラは必殺の斬撃ユーベルコードを解き放つ!
「我が技……我が武……風……嵐をも破らん……!」
 114分の1秒という早業で振り抜かれた左右の剣の居合斬りは、空気の断層を生み出して空間ごと真っ二つに巨大南瓜の木を上下に断ち斬ってみせた!
 向かってきた新たな魔法少女達も頭部をきれいにスライスされて一瞬で消滅してしまった。断ち切られた巨大南瓜の木は砂粒が如く粒子となって崩れ落ち、風に乗って骸の海へと帰ってゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…なんてけしからん魔法少女だ
「全くだね☆」
こういう奴こそ
天才魔術盗賊のカシムさんの出番ですね
【情報収集・視力・戦闘知識】
武器にされてる一般人の状況と敵の動きの癖
また死角になってる部分も把握
一応参加者と情報共有

抱擁は喜んで受けます!
【盗み・盗み攻撃】
「ひゃっはー!まずはその邪魔な南瓜取ってお顔見せて(べりべり)…あ」

ガッデム!
UC発動
【空中戦・念動力・弾幕・スナイパー】
超高速で飛び回りながら南瓜を狙って容赦のない念動光弾の乱射
いい体しているのに南瓜顔だなんて…!
「あんまりだよねぇ…!」
悲しみを背に蹂躙撃開始
操られた一般人は不殺徹底でぽかっ
【二回攻撃・切断】
鎌剣と短剣で南瓜を中心に切り刻み



 同じ時刻、マンハッタン島の南端では、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒の銀髪少女のメルシーが対応にあたっていた。
「やれやれ……なんてけしからん魔法少女だ」
「全くだね☆」
 ほぼ全裸に近い衣装を纏った魔法少女達は、いっそ悪の秘密結社の女幹部だと言いはったほうが相応しい格好だ。
「こういう奴こそ、天才魔術盗賊のカシムさんの出番ですね」
 カシムのスケベ心に火が付いた。
 飛翔する魔法少女達はジェットブーツで加速すると、逃げ遅れた一般人に次々と抱き締めてゆく。
「捕まえたわ。私の手下になりなさい」
「キッキキーッ!」
 柔らかな弾力の肉体を押し付けられ、蠱惑的な声で耳元を囁かれた一般人たちは、老若男女問わず戦闘員へと早変わりしてカシム達を地上から銃撃を開始!
「そんな豆鉄砲で天才カシムさんを殺せるわけねーですが、これ以上、被害者を出すのはマズいですね……」
「無理やり洗脳されて戦わされるなんて酷いよ!」
 珍しくメルシーも魔法少女達のユーベルコードに怒りを露わにした。
 そのうち、カシムとメルシーまでも戦闘員として従えようと、魔法少女達が言い寄ってきた。
「ほら、あなた達も私達の手下になりなさい?」
 カシムはその豊満な胸の感触を余すことなく受け止め、歓喜の喝采を言葉に表した。
「おっぱい! おっぱい! そうですよ、こういうラッキースケベがカシムさんに足りてない要素だったのです! 抱擁大歓迎です! でもこの程度じゃ、この天才魔術盗賊様を堕とすなんて出来ませんがね?」
 自信たっぷりに言い放つカシムに、業を煮やした魔法少女達がこれでもかと柔肉を押し付け始めた。
「これでどうかしら?」
「満足したでしょ?」
「早く手下になりなさいよ?」
 だがカシムは彼女らの要求を頑固として突っぱねた。
「無駄です! カシムさんのプライドはこの程度じゃ揺るがないのですよ!」
 ……だって断ればそれだけ、この状況が続くと確信したからだ!
 思春期!
「ふはははは! ここは天国ですか!? やったぞメルシー!」
「うへへへへへへ♪ メルシーは美少女もノンケも喰っちまうんだぞ☆」
 メルシーもカシムと同じ状況を味わっており、美少女の柔肌モチモチを堪能して顔が蕩けきっていた。
 ……ある意味では、被害を抑え込んでいるが、これでは埒が明かない!
「ねぇねぇ、そんな南瓜ヘルメットを被ってないで、メルシーにみんなの可愛いお顔を見せて見せて☆」
 感極まったメルシーは、背中からニュニュッと腕を数本生やしてみせる。賢者の石ならではの形態変形!
 異形の姿になったメルシーに、魔法少女達が一瞬唖然とした次の瞬間、白銀色の腕が南瓜ヘルメットを掴んでミシミシと圧力を掛けてゆく。
 そして……。
「ひゃっはー! そーれ☆ その邪魔な南瓜を外さないなら、無理にでも割ってご尊顔拝見だぞ~☆」
 キャバリアの腕力で少女たちの頭の南瓜を一斉に砕いた。
 途端、血飛沫が噴き上がった魔法少女達は、頭が潰れたまま墜落していってしまった。
 その一部始終を見届けていた他の魔法少女達とカシムは、返り値を滴らせるメルシーを見て叫んだ。
「「ホーリーシット! ガッデェェェェーム!!」」
 恐怖に慄く魔法少女とカシム!
 そんな彼らへ微笑みかけるメルシー。
「……あ、死んじゃった。ご主人サマー、この子たち、南瓜ヘルメットの内側と顔の筋肉が一体化しててね? それを砕くってことは頭蓋骨を砕くのと……」
「ヤメロッテ! 僕はてめぇのゴア表現を聞きたくてエロいことをしてたわけじゃねーですよ!」
 魔法少女達も、メルシーの残虐極まりない殺害方法に恐怖と怒りが入り混じった感情を発露してゆく。
「よくも姉妹を……酷い方法で殺してくれたわね!」
「お前達も南瓜頭をかぶせて割ってやろうか!」
「戦闘員達、何やってるのよ! はやくこいつらを撃ち殺しなさいよ!」
 口調が荒くなる彼女たちから離れるカシムがメルシーの横へ戻っていく。
「やれやれ、本性が出ましたね。それにいい体しているのに南瓜顔だなんて……!」
「うん、あんまりだよねぇ……!」
「いや、お前がそれを言うなよ。完全にスプラッタB級映画のそれだったじゃねーか」
「だって素顔が見たかったんだもん♪ てへぺろ~☆」
「お前、前から思ってたけど、完全にサイコパスだよな?」
 カシムは悲しみを背に蹂躙を開始した。
「一応、礼は言っておきますよ。お前らのおっぱいの柔らかさは一生忘れねーです! ありがとうございました!」
 万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』から乱射される念動光弾で、魔法少女達たちをヘッドショット!
 すかさずユーベルコードで最高速度マッハ34近くまで加速を可能にする。
「メルシー、お前は一般人達を正気に戻せ! 魔力を回してやるんだからヘマするなよ!」
「まっかせてよ、ご主人サマ☆」
 メルシーは超音速で地上を低空飛行すると、戦闘員たちの耳元にそっと囁いた。

「――歪みねぇな!?」

 それはとある妖精が用いたという魔法の言葉だ。
 これを聞いた者は極度に不安感を煽られ、慈悲を請いながら『救いはないんですか!?』と泣き叫ぶのだ。
 実際、戦闘員達は恐慌状態に陥り、簡単に戦意を喪失してみせた。
「えいえいっ☆ 連続当身だぞ☆」
 そしてすれ違いざまに一撃を食らわせ、一般人達を正気に戻していくメルシー。
「……うん、方法はどうであれ、不殺を徹底してるなら文句はないですね」
 一体、あの駄神はどこでそんな知識を拾ってきたのだろうか?
 カシムは宇宙の謎を知った猫のような顔のまま、無心でナイフを振り回して南瓜頭を叩き割っていった。
 ナムサン!
「おまたせ、ご主人サマ☆ それじゃー処刑タイム、はっじまるよー☆」
 更に合流を果たしたメルシーも、ビーム鎌剣『ハルペー』でバッサバッサと魔法少女達の頭を刎ね飛ばし、そのまま巨大な南瓜の木へ刃を振るう。
「ヨサク・ギガント・スラーッシュ!」
「倒れますよー!」
 メルシーとカシムの繰り出した魔法の斬撃が巨木の幹を切断し、どうにかマンハッタン島の南端は平穏を取り戻したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バーン・マーディ
我はバーン・マーディ
ヴィランである
即ち魔法少女の敵とも言えるだろう
だが心せよ
ヴィランは常に蹂躙される側ではないと
UC発動
「あら…あのちょっとはしたない可愛いレディの依頼ですのね」(思い出してふふふっ

【戦闘知識】
魔法少女達の陣形と動きの癖と死角の把握
【オーラ防御】
己と紅炎の姫に展開

「もう少し慎みを持った方が良いですよ?」
【属性攻撃・砲撃】
炎属性を強化
火柱で魔法少女達の動きを封じつつ炎の雨で南瓜を中心に蹂躙
【武器受け・カウンター】
敵の爆撃魔法に対して魔剣で着地する前に跳ね返すという暴挙
やれやれ…貴様らは中々にヴィランらしい
だが三下である事が露呈するぞ

一般人には

さっさと消えろ
我らの邪魔をするな


レーヴァ・アークルージュ
この世界にはこのUCだね
反転存在、私のジェネシス・エイト!
アーチャーやサバイバルガンナー等の精密狙撃UCを宿したジェネシス・エイトを召喚すると同時、私は『ジェネシス・エイトを従えている』という『自証』によりオブリビオン・フォーミュラと同位階の霊格を手に入れる!
元々、私は焔使いという観点ならガイオウガ等の高熱・焔使いに伍するか準ずる実力を有している!
これを以て炎魔術の極みの果て……焔の『魔法使い』の力を見ると良い!
全身に深紅の炎を纏って身体を活性化
両手両足に炎を付与した徒手空拳とジェネシス・エイトとの挟撃で倒していくよ!



 マンハッタン島最西端では、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)とレーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)が共闘していた。
「我はバーン・マーディ。ヴィランである。即ち魔法少女の敵とも言えるだろう」
 身の丈ほどの魔剣『Durandal MardyLord』を、祈りを捧げるかの如く両手で柄を握って剣先を天へ掲げる。
 上空を漂う魔法少女達へ、バーンは鋭い双眸を向けて尚も告げる。
「だが心せよ、ヴィランは常に蹂躙される側ではないと。その証左を今此処で見せてくれよう」
 すかさずバーンはユーベルコードを発現させ、紅炎の姫『アンジェリーナ』を呼び出した。
「来たれ古代の勇者よ。文明の象徴足る炎を以て、世界を守りし勇者を此処に!」
 突如、バーンの目の前が激しく燃え上がる。
 その炎の中から真っ赤なドレスに身を包んだ淑女が出現すると、上空を覆い尽くす南瓜頭を被った魔法少女達を見上げた。
「あら……あのちょっとはしたなくて可愛いレディの依頼ぶり再会ですのね」
 紅炎の姫は、どうやらこの魔法少女達と戦うのは初めてではないらしい。
 当時のことを思い出して、思わず和んだ紅炎姫がニッコリと微笑んだ。
 そんな彼女に対抗意識を向けるレーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)。
「炎使いの姫かぁ。烈焔魔導士たる私の炎も負けてないけどね? さてと、この世界にはこのユーベルコードだね。『異聞八代創世再編・善なる歴史を灯す業火の聖剣(リバースデイ・ザ・ジェネシス・レーヴァテイン)』!」
 レーヴァは上空を飛来する魔法少女達へ右手を伸ばすと、ユーベルコード詠唱を開始した。
「我が手に集え、異聞の創世司りし八代の英雄よ。刮目せよ、我は汝らに万有創造の業火を賜す。その業火を以て、善なる異聞を灯すが良い!」
 途端、魔法少女達の多くが唐突に苦しみ始めたかと思えば、そのまま蚊取り線香の煙に当てられたヤブ蚊めいて墜落!
 マンハッタンのアスファルトへ南瓜頭を叩き付けて死んでいってしまう。
「私のユーベルコードは、代償として『私の敵の戦闘力』を用いるよ。あなた達お得意の闇魔法発動に必要な魔力は根こそぎ私が奪っていくね?」
 レーヴァの周囲の空気が一気に熱を帯びて燃焼を開始すると、バーンのユーベルコード同様、炎の中から助っ人を呼び出した。だが、先程とは違って数が多い。そして、この姿は猟兵の多くが見覚えがある姿であった。
「いでよ反転存在、私のジェネシス・エイト!」
 それは、かつてこの世界で勃発した猟兵達とオブリビオンとの大決戦で激突した有力敵『ジェネシス・エイト』達であった!
 だが、その出で立ちはいささか異なる。
 アーチャー、サバイバルガンナー、アームドヒーローなど、彼らは精密射撃を得意とする“善なるヒーローとして存在する”ジェネシス・エイトなのだ!
「無限の可能性を手繰り寄せて、ジェネシス・エイトが善なる存在としてここに集結させた! そして彼らを率いるのはこの私、つまり、私は『ジェネシス・エイトを従えている』という『自証』によりオブリビオン・フォーミュラと同位階の霊格を手に入れる!」
 レーヴァと筆頭とする善性ジェネシス・エイトは、あらゆる可能性を創造する創世の業火を銃火器の弾丸に変えて狙撃を開始!
 撃ち抜かれる南瓜ヘルム。
 その寸分狂わぬ精密無比な狙撃に、弱り果てた魔法少女達は回避も出来ずに次々と絶命してゆく。
「元々、私は焔使いという観点ならガイオウガ等の高熱・焔使いに伍するか準ずる実力を有している! これを以て炎魔術の極みの果て……焔の『魔法使い』の力を見ると良い!」
 全身を深紅の炎で覆って肉体を活性化させたレーヴァは、なんとマンハッタンの摩天楼の窓ガラスを垂直に駆け上がってゆく!
 彼女に飛翔技能はない(むしろ技能面は同技量の猟兵から比べれば遥かに未熟だ)が、超人化した今なら、パルクールを超えた超三次元を時限的に行える!
「これが私の焔の魔法だよ!」
 摩天楼の窓ガラスを蹴って、空中の魔法少女達の顔面を赤く燃える拳で粉砕するレーヴァ!
 絶命した魔法少女の肉体を足場として更に跳躍すると、ピンボールめいての連続空中殺法を敢行してゆく!
 そんな燃え盛る対抗意識を向けられたバーンと紅炎姫の2人は、お互いの顔を見合わせて苦笑いしていた。
「……若さっていいわね。私達は地道に行きましょうか」
「然り。あの赤い狐娘のユーベルコードで弱体化したとはいえ、闇の爆裂魔法は脅威だ。撃たれる前に阻止する。……手を貸せ、いいな?」
「仰せのままに……」
 2人は炎のオーラ障壁を纏うと、空中へ剣先と手袋に包んだ指先のそれぞれを空中へ突き付ける。
「もう少し慎みを持った方が良いですよ?」
 紅炎姫の口元がニタリと吊り上がったかと思えば、突如、彼女たちを丸呑みにする巨大な火柱が噴き上がったではないか!
 それは高層ビルと同じくらいの高さまで立ち昇るほどの凄まじい火柱であり、南瓜頭と言わず全身を一瞬で消し炭に変えてしまうほどの威力を誇った。
「あと、こういうのはお好きかしら?」
 火柱はマグマ噴火めいて火の粉を撒き散らす。その火の粉はそれぞれが勢いを増して炎の矢の雨となって魔法少女達の南瓜ヘルムへ突き刺さってゆく!
 広範囲の火炎魔法を軽々と操る姿は、まさに紅炎の姫を名乗るに相応しい。
 しかし、魔法少女達もやられっぱなしでは気が済まない。
「私にみんなの魔力を集中させて!」
「奪われた魔力でそれぞれが暗黒魔法を発動できなくても……」
「ひとりに注ぎ込めば特大級のヤツが撃てるはずよ!」
 弱った魔法少女達が一箇所に集まると、その中のひとりに魔力を流し込む。
 そして、決死の暗黒爆裂魔法を、眼下のバーンへ向けて発射!
「邪魔よ! 吹き飛びなさい!」
 撃ち出された漆黒の光球が隕石が如くバーンの頭上へ降り注ぐ。
 それをバーンは、肩幅ほどに両足を開いて魔剣を振り被って身構える。
 これは、おお! 本年度のホームラン王たるメジャーリーガーと同じバッティング・フォーム!
「ぬるいわッ!」
 魔剣を勢いよく振り抜くと、暗黒爆裂魔法を打ち返したではないか!
 打球は勢いよくピッチャーもとい魔法少女達へ直撃し、マンハッタンの摩天楼上空に漆黒の花火が咲き誇った。
「やれやれ……貴様らは中々にヴィランらしい。だがその程度の実力では、三下である事が露呈するぞ」
 バーンが漆黒の花火を見送って踵を返すと、物陰から顔出すイパン市民たちと目があった。
「……なんだ? まだ避難をしていなかったのか?」
「き、記者なんだ! さっきのホームラン、すごかったよ! 3分、いや1分でいいからインタヴューさせてくれないか?」
 記者を名乗る人物とその取り巻きは、週刊誌の記者やカメラマンであった。
 明日の一面を飾るニュースのネタを現場で取材していたのだろう。
 だが、バーンは取材に応じることなく、むしろ彼らを威圧してみせた。
「さっさと消えろ。我らの邪魔をするな」
「は、はいぃ~!」
「申し訳ありませんでした!」
 ヴィランの威圧感に、取材陣は尻尾を巻いて逃げ出していった。
 2組の炎の使い手ならば、元凶の巨大南瓜の木を焼き払うまで時間の問題であろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
ハロウィンってこんなんだったかな……
去年参加したときにカボチャには乗ったんですけど、被る事はしなかったな……
まあ、頭潰せば終わるというのなら、そうするだけです。

向こうがジェットブーツで加速する前に光学迷彩に早着替え。
向こうの気がこちらに気づく前にアリスザパンデミックを発動。
浸蝕プログラム弾を誘導弾性質で発射して、ジェットブーツを無力化して加速をさせません。
操られた一般人は体勢を崩させてその場に倒させます。
後は、その頭を貫通弾でかち割ってゲームエンド。

マンハッタンもそろそろ寒くなってきました。
こうして栄えてるアメリカを見ると、故郷の荒れ具合と比べたくなります。
今日も、煙草に火をつける。



 大混乱のマンハッタン東端を、どぶろくに入った酒を煽りながら闊歩する白い軍服の少女……いや飲酒をしているので女と呼称すべきだだろう。
 彼女は金色の髪を陽光に照らしながら、高層ビルの合間に吹き付ける肌寒い風で体が冷えぬように酒で体温を上げているのだ。
「ハロウィンってこんなんだったかな……」
 アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)はアリスズナンバーランスを旋回させ、抱擁しようと突っ込んできた南瓜頭の魔法少女達の顔面を次々と叩き割ってみせた。
 周囲はフリーハグ集団で蔓延しており、戦闘員と化した一般人達がアハトへ殴りかかってくる。
「去年参加したときにカボチャには乗ったんですけど、被る事はしなかったな……。まあ、頭潰せば終わるというのなら、そうするだけです。あと戦闘員は寝てて下さい。キーキーうるさいんですけど、猿ですかあなた達は」
 魔法少女達の南瓜頭をカチ割るついでに、襲ってきた戦闘員を足蹴にして一瞬で意識を刈ってゆくアハト。
 延髄への回し蹴りで、あるいは下腹部への蹴り上げで、あるいは腹部へのヤクザキックで、アハトが通った後ろには、気絶した一般人の絨毯が出来上がっていた。
「はあ、きりがないですね。では、ちょっと路地裏へ失礼して……」
 アハトはレーザーライフル・アハトカスタムに照明弾を装填し、無作為に空中へ撃ち放った。
 放たれた弾丸は白光を拡散させてマンハッタンの空を眩く照らしてみせた。
 思わず目を遮ってその場に釘付けになる魔法少女達と戦闘員のみなさん!
 その隙にアハトは路地裏で軍服の光学迷彩モードを起動し、光が収まるとすぐさま巨大カボチャの木へ向かって駆け出してゆく。
「あの巨木を撃破すれば増援は止まりますが、少しでも個体数を減らしておきましょうか。やれやれ、南瓜から出てくるクローンとか、フラスコチャイルドからしたら笑えない冗談ですね」
 移動しながらビームライフルの照準を合わせると、すぐさまアハトの銀の左目がエメラルドグリーン色に点滅を開始。
「アリスコード送信。浸蝕プログラム弾装填。狙撃体勢に移行。敵、射程圏内」
 光学迷彩を纏ったアハトに、魔法少女達はその接近に気付いていない。
 アハトはトリガーを無心で引き絞る。
 銃口から放たれた武装を無効化する侵蝕プログラム弾が南瓜頭を撃ち抜くと、その足元のジェットブーツが緊急停止して失速、そのままアスファルトへ叩き付けられてしまった。
「――ブレイク。移動しながら次弾装填、再び狙撃体勢に移行。発砲(ファイア)――」
 二発目、三発目も南瓜頭を撃ち抜くアハト。
 見えない敵からの狙撃に、魔法少女達は恐慌状態に陥る。
 その合間を縫って、ついにアハトは元凶の巨木の根本まで到達した。
「あの南瓜頭がオブリビオンを強化する武装だと定義すれば、この巨木を撃ち抜けばまとめて魔法少女達を活動停止に追いやれるはずです」
 アハトは最大火力で侵蝕プログラム弾を巨木の幹へ打ち込むと、枝葉は枯れ腐り、魔法少女達は生気がなくなって一斉に地面へ墜落していった。
 全てを終わらせたアハトは、懐からタバコを取り出す。
「マンハッタンもそろそろ寒くなってきました。こうして栄えてるアメリカを見ると、故郷の荒れ具合と比べたくなります」
 マンハッタンの摩天楼を眺めながら、タバコの火を明滅させて紫煙をくゆらせるアハト。
 その目に映るのは、果たして何なのだろうか……?

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『虚構王ペルソナ』

POW   :    君、いい体してるね?
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【配役と衣装】を与える。
SPD   :    アーーーークッッッション!!
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【撮影セット】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    ブラーボ! ブラーボ!
【歓声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は襞黄・蜜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 マンハッタン島で暴れていた南瓜頭の魔法少女達は、猟兵達の活躍で殲滅された。
 島の中心部のビル街では、今回の黒幕であるオブリビオンこと 『虚構王ペルソナ』は、苛立ちながら丸め台本を膝の上で何度も叩いてみせた。

「カットカット、カット、カット、カット、カーーーーーーット!! なんで演者を倒しちゃうかなァァァー!? 全然面白くないじゃないかっ! 駄作も駄作、ハッピーエンドじゃハロウィンのおどろおどろしい雰囲気出ないんだよオオォーッ!」

 悔しそうに喚く『虚構王ペルソナ』に、猟兵達は異様な雰囲気を覚えるだろう。

「こうなったら、ミーが監督・演出・構成・美術の全部を手掛けて、ハロウィン・スリラー・ムービーを完成させるぞォォォ!! あ、君、いい体してるね? ちょっとイェーガーとたたかってみない?」
 虚構王は自身の映画のために、戦闘員を現地でスカウトしている!
 うかうかしていたら、戦闘員の量産を許してしまう!
 今すぐ虚構王を攻撃し、この恐怖の映画撮影を阻止しなければ!
レーヴァ・アークルージュ
バッドエンドと言ったね?
惨劇や悲しみが尊いなんて、『擦れている』の一言でしか表せないしそれ以上には決してなりえない
全ての知性体っていうのはね、根源的にハッピーエンドを求める様設計されているんだ
そうじゃなきゃ、あらゆる霊長は霊長足り得てない

誰かの瞳に映る悲劇のエンディングは、ここで私が焼却する
悪いけど、貴方の意思は尊重しないよ!

瞬間、その場に燃え上がる剣が現出する
『神焔』の属性を宿す聖剣ディアボロスブレイド!
悲劇の終焉を破壊して!

『理不尽な終焉を終焉させる』という願いに応じて振るわれる一撃
それは虚構王ペルソナが定めた終焉を焼いて断ち切るのであった



 等身大のデッサン人形(ただし南瓜頭)がメガホンを取って映画を作るというだけでも狂っているのに、その内容が虐殺と恐怖に満ちたパニックホラーだというのだから聞いて呆れる。
「惨劇や悲しみが尊いなんて、『擦れている』の一言でしか表せないし、それ以上には決してなりえない」
 レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)の赤い瞳が憐憫に染まる。
「虚構王ペルソナ、知ってる? 全ての知性体っていうのはね、根源的にハッピーエンドを求めるように遺伝子で設計されているんだ。そうじゃなきゃ、あらゆる霊長は霊長足り得てない」
「破滅を好まない者がいないとでもキミは言うのかなああァァァ? 違うよねぇぇぇ? 人類は今までにさぁぁぁ、幾つもの悲劇を、演劇、小説、絵画に! 残してきたよねえぇぇ? 芸術としてさあぁぁ!?」
 癇癪を起こした虚構王の反論に、レーヴァが静かに首を横に振る。
「だとしても、誰かの瞳に映る悲劇のエンディングは、ここで私が焼却する。悪いけど、貴方の意思は尊重しないよ!」
「それ、キミの感想だよねえぇぇ? はい論破論破ぁぁぁ! キミ、全ッ然! 話にならないねぇぇ?」
 ディレクターチェアの上で肩を竦めて小馬鹿にする虚構王。
 もはや水掛け論にしかならない問答に、レーヴァは虚しさを覚えながら右手を摩天楼の空へと掲げた。
「むしろ、話にならないほうが都合が良かったよ。虚構王ペルソナ、貴方はやはり理不尽な終焉そのもの。そして、この『剣』が理不尽な終焉を終焉に導く!」
 マンハッタンの上空がにわかに明るくなる。
 まるで太陽がもうひとつ出現したかのような凄まじい光量と熱量が、ビルの合間のアスファルトを照り付ける。
 それは燃え盛る一振りの剣であった。
「終焉を破壊する者を主とする聖剣よ、汝の『神焔』を以て誰かの瞳に映る悲劇の終焉を破壊せよ! ディアボロスブレイド!」
 その名を『終焉破壊の方程式・真滅を灼く炎剣(エンドブレイカー・ザ・レーヴァテイン)』と呼ぶ『神焔』の属性を宿す聖剣はレーヴァの頭上を漂っていたかと思えば、突如、虚構王へ明確な敵意を表して突っ込んでゆく!
「お願い、悲劇の終焉を破壊して!」
 レーヴァの願いを叶えるべく、剣身から炎を噴き上げて斬りかかる聖剣!
「ギャアアアァァァーッ!?」
 燃え上がる炎の斬撃は、虚構王の描いた破滅の終焉ごとデッサン人形の身体を袈裟斬りに伏す。
「これで貴方の終焉を焼いて断ち切っ……え、嘘でしょ……?」
 レーヴァは目を疑った。
 それは燃え盛りながらカメラを回す虚構王の姿だった。
「ブラーボ! ブラーボ! キミ、素晴らしいよ! ああ、この燃え盛るミーの身体ぁぁぁ! こういう画が欲しかったんだァァァー! カメラは止めないぞッ! もっとミーを斬ってくれないかね!?」
 燃え盛る自身を撮影し、自画自賛する虚構王。
 これこそがユーベルコードであり、その効果で火傷と裂傷がたちまち癒えてゆくではないか。
 レーヴァは自身の理解が及ばない存在が眼前にいることに恐怖を覚えつつ、自身の手でディアボロスブレイドの柄を掴んだ。
「狂ってる……自分自身の破滅さえも作品だっていうの? だったら、その終焉を何度だって焼き払って断ち切ってあげるよ!」
 レーヴァが何度も聖剣の炎とともに斬りかかるが、斬られるたびに虚構王のテンションが急上昇してゆき、自画自賛し続けてしまう。
「はははははは! ブラーボ! ブラーボ! なんて美しい破滅なんだぁぁぁ!」
 炭化した木製の身体と南瓜頭が、一瞬で復元されていくのはホラーであった。
 虚構王の並々ならぬ『作品』への執着に阻まれ、レーヴァの剣はわずかに届かなかったようだ。しかしながら、いくら治癒するとはいえダメージの蓄積は免れない虚構王、人形の身体はところどころが焼け焦げたまま修復されずにいた。
「……攻撃は無駄じゃないんだけどなぁ。でも膠着状態が続いてるし……うん、一旦、私は退いて他のみんなに任せるね?」
 他の方角からこちらへ向かってくる猟兵を視認したレーヴァは、前線を退いて周囲の一般人への避難を促し始めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アハト・アリスズナンバー
ハロウィンのイベントは今やただのお祭り。おどろおどろしい雰囲気はもはや過去の物か、名作映画の中。
貴方の取る映画がそれらに勝るかと言われると、そもそも配役からミスってます。ハロウィン映画に戦闘員が出るのが間違いですよ。殺人鬼は一人ではないと。

まずは前もって早着替えで有栖川ハチ子変装セットに着替えます。
そして彼が演説や説得を行うようならばユーベルコード起動。その説得や演説を論破しましょう。これによって同意を得る事をさせません。
戦闘員は戦闘力を増加できずただの人。加減した暴力でおねんねしてもらいます。
残りの監督は、駄作を作った罪として暴力で制裁します。
二度と映画史に残る駄作を作らないでください。



 アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)は現状に呆れ返っていた。
「ハロウィンのイベントは今やただのお祭り。おどろおどろしい雰囲気はもはや過去の物か、名作映画の中。エンターテインメントのひとつといえるでしょう」
 今のアハトはサクラミラージュの女学生風の振り袖袴姿に丸メガネ、深々とハンチング帽を被った『名探偵』だ。
 事前にこの衣装へ着替えることで、アハトはユーベルコード『有栖川ハチ子に解けぬ不可思議など無し(ゼッタイスイリ)』を発動可能とするのだ。
 対して、虚構王はアハトの主張に耳を傾けることなく、周囲の野次馬を戦闘員としてスカウトしまくっていた。
「いい体してるねぇぇ? ちょっとあの猟兵とバトってみない? 大丈夫だって! ミーのユーベルコードで超強くなれちゃうから!」
「え、マジっすか? じゃあ、やってみようかな……」
 こうして、たちまち10人前後の戦闘員がエキストラとしてアハトの前に立ち塞がった。
 だが、名探偵・有栖川ハチ子はここまでの展開は予測済み。
 ここからが彼女の名推理の本領発揮だ。
「さて一つ、仮説を実証しましょうか。この有栖川ハチ子に解けぬ不可思議などあり得ません」
 ユーベルコードの対象は……虚構王ではなく、戦闘員の皆さんだ。
「虚構王、貴方の撮る映画がそれらに勝るかと言われると、そもそも配役からミスってます。何故なら、ハロウィン映画に戦闘員が出るのが間違いですよ。特撮映画じゃあるまいし、コンセプトがブレブレです。戦闘員の皆さんも、ただ良いように私への攻撃手段として利用されてるに過ぎませんから」
 ハチ子の言葉に、戦闘員の皆さんが一斉に虚構王を振り返る。
「おいあんた? まさか自分が戦えないからって、俺たちとあの猟兵を戦わせようとしたのか?」
「待った待った待った! これは撮影! 演者同士のエキサイティンッなバトルシーンの撮影だってばぁぁ!」
 虚構王の反論に、すかさずハチ子が追撃の推理を披露する。
「というか、ホラー映画の大原則をご存じないのですね?」
 ハチ子は人差し指を立てて、得意満面のドヤ顔で言い放つ。
「……殺人鬼はひとつの作品につき一人ではないと。たった一人の殺人鬼に執拗な攻撃を受け続ける焦燥感や緊迫感が映画を盛り上げるというのに」
 この推理に、戦闘員の皆さんが我に返った。
 昨今の有名なホラー映画やパニック映画は、主役というべき恐怖の存在は(例外を除いて)単体出演であることを思い出したからだ。
「……あんた、やっぱり俺たちを騙したんだな?」
「はい解散解散!」
「ないわー、マジないわー」
 次々と戦闘員の衣装を脱ぎ出す野次馬達。
 虚構王がそれを制止しようと狼狽えるが……。
「い、いやだから、ミーの作品は既存の作品にない要素を取り入れてだねぇぇ?」
「虚構王、それ、駄作の典型的な売り文句です。ゾンビ映画とシリアルキラー映画は、同じ恐怖でも質が違いますし混ぜると一気に陳腐になるんですよ。カレーにシチューを打ち込むとの同じです。美味しいけど、違和感が上回ってしまうのです」
 ハチ子が虚構王を指差しながら、もう片方の指でメガネのブリッジを押し上げる。
「これにて論破完了です。さて、戦闘員の皆さんはお帰り下さい。あとは私にお任せ下さい。いいね?」
「アッハイ……!」
 一般人達はただならぬハチ子の殺気に当てられて逃げ帰ってゆく。
 興味本位で戦いたいなんて言えないほどの圧を放つ彼女に、虚構王は木製の身体をガタガタ震わせている。
「ま、待って待ってよぉ? 監督に手を上げるとかさぁぁ、それはナシだよねぇぇ? 演技プランが気に入らないならさぁ、ちょっと企画会議の場を設けるからさぁぁ」
「問答無用です。貴方は駄作を作った罪として暴力で制裁します」
 ハチ子の腰の入った右ストレートが、虚構王の顔面を撃ち抜く!
「グワーッ!?」
 虚構王の首が直角に倒れた!
「二度と映画史に残る駄作を作らないでください」
 抉るような左フック!
「グワーッ!」
 デッサン人形の関節部が、あらぬ方向へ折れ曲がる!
 ここからハチ子のバイオレンスタイムの到来だ!
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「グワーッ!」
「イヤー!」
「アバーッ!」
 おお! 一般人は身の毛もよだつような暴力を目の当たりにして、奥歯をガタガタと振るわせているではないか!
 コワイ!
「見てみなさい。野次馬の方々の反応を。やっぱり、恐怖映画には絶対的な暴力を振るうシリアルキラーを作品の中央に一人だけ据えて、物語を展開すべきです。分かりましたか?」
「アッハイ」
 左腕をへし折られた虚構王は、修羅と化したハチ子の前にひれ伏さざるを得なかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
邪神降臨

おれも映画は好きだけどこんな三流ホラーは願い下げだぞ!
そして魔法少女映画を…って…あれ?(UC起動!魔力消耗!力が抜けてへにょり

「ふむ…夢食いか…」(銀髪銀目の美少女?(青年
だ、誰だお前!?
「私を呼んだのはシル…お前では…ん?違う?テラというのか。…状況は把握した。問題のある映画を是正すればいいのだな。うん?私か…?(少し考え…どう呼ばれてたか思い出し)ぜっちゃんと呼ぶがいい。お前はそこで休んでいろ。」

ぜっちゃん
【戦闘知識】
敵の動きと周辺状況
戦闘員の数と突破の為の道筋を把握
対POW
「私の配役はパティシエだろう?」(それ以外は拒否
【見切り・第六感・残像・空中機動】
多角的に跳躍を繰り返し残像を残し攻撃は回避し肉薄
【二回攻撃・早業】
借りた太刀での連続斬撃

「貴様の映画と貴様自身には足りないものがある!」

「…それは…パワーだ!だが安心しろ…我がチョコを食せば圧倒的なパワーが宿るだろう!」
南瓜の口と目にチョコをねじ込み塞ぎ
更にねじ込み食わせ
「心配するな!お代わり自由だ!」
恐怖チョコ地獄発生


カシム・ディーン
邪神降臨
「ご、ご主人サマ…ヤバい邪神の気配がするよ!」
は?おめーこんなモザイク南瓜にビビってんのか?
「違う!ぅう…チョコが…チョコが…!」
思い出させるな(げっそり)

おめーの映画には足りないものがある
「エロシーン」だよ!ホラーなら定番だろうが!(理不尽
「そうだそうだー!」

対SPD
【情報収集・視力・戦闘知識】
展開された撮影セットのギミックや構造や仕掛けの把握
えぐいスプラッタな罠とか此方で利用できそうなものも分析
【属性攻撃・迷彩】
見えない敵ってのはホラーの定番だよな?
光水属性を己達に付与
存在を隠しUC発動
【弾幕・念動力・スナイパー】
自分達に邪魔になるギミックを念動光弾の弾幕で破壊
念動障壁を纏い防御強化

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
そんなにスプラッタが好きなら存分に味合わせてやるよ!
良かったな!残虐ホラー映画の花形こそ犠牲者だろ?
存分に楽しめ!
短剣と鎌剣による連続斬撃でずたずたに刻みつつ
金目の物は容赦なく強奪

映画に使われた小道具は割と売れるもんだが…
「こんなのじゃ厳しいかな☆」



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は困惑していた。
 虚構王ペルソナの破壊嗜好と混沌とした撮影コンセプトに、彼女は理解できずに眉間にシワを寄せるばかりだ。
「おれも映画は好きだけど、こんな三流ホラーは願い下げだぞ! 特に魔法少女モノは断固拒否だ!」
 怒りで高まる魔力、それを解放しようとしたまさにその時。
「あ、れ……?」
 寺の全身から力が抜け落ち、その場にへたりと座り込んでしまう。
「テラ!? どうしたんですか、テラ?」
 寄り添っていたヘカテにゃんが慌ててにゃーにゃー泣き叫ぶ。
 半ば放心状態のテラに、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の自称妻兼従者ことメルシーが珍しく顔をひきつらせて肩を小刻みに震えさせる。
「ご、ご主人サマ……ヤバい邪神の気配がするよ!」
「は? おめー、こんなモザイク南瓜にビビってんのか?」
 カシムは虚構王の南瓜頭から漏れ出す虹色のモザイクを指差しながらせせら笑う。
「あれ、脱げねーらしいですね? なら丁度いい、首から下をお前のハルペーで刈り取ってやれ」
「違うよ、ご主人サマ……! ああ! 来る! ぅう…チョコが、チョコが……!」
「思い出させるなバカが!」
 ペルシーの空っぽの頭をひっぱたくカシム。
 その顔はなんだかやつれていた。
「まさか、あれが来るのですか! いや勘弁してくださいよ!」
 ヘカテにゃんも心当たりがあるのか、テラの魔力に誘われてくるナニカに要警戒だ。

 ――そして、ソイツは顕現した。
 ――謎の銀髪銀目の青年が、いつの間にか虚脱状態のテラの背後に佇んでいたのだ。

「ふむ……? あの南瓜頭、よもや夢食いか……? いや、ここは世界線が違うようだし別の存在なのか? はたまた遠い別の世界か? まぁ良い。そこは些末な事ゆえ無視していいだろう。問題は……私を呼んだのは……ん? 誰だお前は?」
 青年はテラを覗き込むように身を屈んでみせる。
 どうやら、見覚えのある人物とは違う召喚者と違うものに呼び出されたことを彼は不思議に思っているのだ。
 テラは朦朧とする意識で、青年へ向けて名乗った。
「おれは……テラ・ウィンディア……」
「ほう? ウィンディアの者か。なるほど、テラ。あの者の親族か……面白い。まぁ、実はハジメマシテではないんだがな、こうしてきちんと挨拶をするのは初めてなので名乗らせてもらおう。私は……ふむ、そう言えばこの世界での私の名前はなんて名乗ろうか?」
 青年は逡巡すると、ニタリと意地悪そうに視線をテラへ向けて名乗った。
「――“ぜっちゃん”。そう、私のことは、ぜっちゃんと呼ぶがいい。お前はそこで休んでいろ」
 ぜっちゃんはテラの額にデコピンを一発当てると、テラはまるで人形のように身体が固まってしまった。
「あ……あ、ああ……」
 その表情は恐怖で強張っている!
「何をしたのですか!」
 全身を逆立てて、テラを守ろうとするヘカテにゃん。
 だが尻尾の部分を撫でられてイチコロになってしまった。
「黒猫よ、黙って見ていろ」
「ふ、ふにゃ~ん♪」
 そのやりとりを傍観していたカシムとメルシーは、得も言えぬ恐怖にどうにか抗って声を発する。
「あいつは……やばい。メルシーとは違うベクトルでヤバい。他のMSじゃネタが理解しにくい上に、プレイングの扱いに困って却下させられるほどのヤバさだ!」
「ご主人サマ、第四の壁突き破りすぎィ! 正直、なぎてんさんも却下しようか迷ったらしいけどね!」

 せやな!(仏スマイル)
 
「と、とにかく、僕達は通常進行でいきましょうか」
「イクの間違いだよ、ご主人サマ?」
「……そんなメルシーさんに残念なお知らせです。あいつ、穴がありません。木の身体だからな」
「な、なんだってーッ!」
「いや、あれも掘ろうとしてたのかよ、掘削機かお前?」
 神話上の同名の神様も節操なしだったが、メルシーも見境ないのかもしれない。
 カシムはそう悟ると、こんな事もあろうかと着込んでいた仮装衣装を披露した。
 ……って、なんでペアルック?
「おい木偶の坊。おめーの映画には足りないものがある」
 カシムの指摘に虚構王がすかさず噛み付く。
「キミィィィ? 私の作品に足りない物があるって、どういう了見かなぁぁぁ?」
「は? まじで分からないのか? その南瓜頭にゴミが詰まってるのか? いいかよく聞け? てめーの映画に絶対的に足りないもの、それは――」
 カシムはメルシーのペアルックを引き剥がした!
 メルシーはもう肌寒いハロウィンに水着姿を公然の前にさらけ出している!
「えっちな水着とアホなカップル! つまり『エロシーン』だよ! ホラーなら定番だろうが!」
「おせっせ中に背後から殺人鬼に2人まとめてグサーッドバーッって無残に殺されるのが、ホラー好きの陰キャのチェリーボーイ連中にウケるマストポイントなんだよ!」
「どうした急に……? メルシー、いきなり世界中の陰キャに刺してきて? と、とにかく、殺人鬼はバカなカップルがパコってる最中を狙うのがお約束だろーが! それをすっ飛ばしてホラー映画を語るなよド三流が!」
 理不尽! あまりにも理不尽な要求!
 しかし映画ファンならきっと大半が苦笑いしながら頷くであろう『死亡フラグ要素』がすっぽり抜けていることを指摘され、虚構王は愕然としていた。
「ノオォォォー! しかし! 私の作品は健全な絶望を撒き散らすことが目的なんだあぁぁ!」
「何か全然だ馬鹿野郎! 人死を映している時点でR15+じゃねーか!」
 カシムはミスリル製の鋼糸を放って虚構王の捕縛を試みる。
 しかし、それは虚構王が瞬時に生み出した撮影セットによって阻まれた。
「ふふん? 無駄無駄無駄ァ! って、いない?」
 虚構王が防御した不意の僅かな瞬間で、カシムとメルシーは忽然と姿を消してしまった。
 代わりに歩み寄ってくるのは、ぜっちゃんと名乗る青年だ。
「どけ、戦闘員ども。我が甘露でも喰らってろ」
 ぜっちゃんが戦闘員にどす黒い固形物をその顔面に押し付けるたびに、戦闘員の皆さんはバッタバッタと昏倒してゆくではないか。
 そしておもむろにぜっちゃんが虚構王の背後に浮かぶ衣装類から、勝手にパティシエ服を掴んで着替え始める。
「キ、キミィ! 勝手に衣装を使わないでくれないかなァァァ?」
「貴様は何を言っている? 私は天才ショコラティエ。それ以外の配役などありえないし、認めぬぞ?」
 そう告げたぜっちゃんは右手に握り締めている黒光りする固形物を、虚構王の南瓜頭のくり抜かれた穴へ突っ込み始めた。
「貴様の映画と貴様自身には足りないものがある! ……それは……パワーだ! だが安心しろ! 我がチョコを食せば、貴様に圧倒的なパワーが宿るだろう!」
 黒光りする物体の正体はチョコレートだった。
 だが、そのチョコレート、黒すぎる。
「ちょ、やめ、やめたまえキミィ! おえ、臭ッ!? このチョコ、薬臭ッ!」
 嗚咽をあげる虚構王に、ぜっちゃんは自信満々で答えた。
「ああ、当然だ! このチョコはカカオ濃度1万%で漢方融合の狂気のチョコだからな!」
「馬鹿なの!? ひょっとしなくてもキミは馬鹿だな!」
「ふっ、馬鹿は馬鹿でも、世界一のチョコを生み出すチョコレート馬鹿だがな?」
「アンギャァァァー!?」
 目元もカカオ濃度1万%で漢方融合の狂気のチョコをねじ込まれる虚構王。
 別の依頼では邪神の力がこもっていたとか何やらで、そのときも彼が暴虐を振るっていたらしい。
 ちなみに、カカオ濃度1万%のチョコがどういうものかというと、鋼より硬い。
 事実、極限までカカオ濃度を濃縮したチョコレートで包丁を作る動画があるくらいだ。
 ちゃんとキュウリも切れてしまうほどの切れ味を誇るので、1万%濃度はもはや日本刀クラスの強度と切れ味を誇るだろう。
 つまり、今、虚構王は鋼のカミソリ同然の鋭利な物体を、粘膜(デッサン人形にあるかは不明だが)に押し付けられているのだ。
 コワイ!
 当然、すごく痛い。
 味もクソマズイのでダブルでダメージを被る虚構王。
「泣き叫ぶほど喜ぶか! 心配するな! お代わり自由だ!」
「やっぱ馬鹿だコイツ!!!!!!!!!!!!!!!!!! 死ね!!!!! いやミーがその前に死ぬ!!!!!!!!!!!!!」
 南瓜頭の穴という穴を塞がれたことで感覚を遮られる虚構王。
 そんな彼の背後から、忍び寄る魔の手が迫る!

「――見えない敵ってのはホラーの定番だよな?」

 カシムは虚構王の生み出したセットの中から、凶器となる自動拳銃を奪ってセーフティーロックを解除!
「振り向けないなら都合がいいですね。そのまま脳漿ぶちまけろ。その南瓜頭の中に詰まってればの話ですが」
 虚構王の南瓜頭の後頭部に銃口を押し付けたカシムは、全弾をそのまま零距離で乱射!
 発砲するたびに虹色のモザイクがチョコで塞がれた穴からボタボタと漏れ出てくる。
「そんなにスプラッタが好きなら存分に味合わせてやるよ! 良かったな、虚構王ペルソナ! 犠牲者こそが残虐ホラー映画の花形だろ? 派手に死に晒せ!」
「ハッピーハロウィーンだよ☆ メルシーが骸の海へと誘っちゃうぞ☆」
 カシムの短剣とメルシーのビーム鎌剣ハルペーのステルス斬撃が、虚構王の木製の身体を幾枚ものベニア板めいてスライス!
「サヨナラ! クランクアァァァァップ!」
 哀れ虚構王、斬り刻まれて爆発四散!
「ふっ、見事な勝利だったな。さあ、私のチョコで祝勝会を……」
「「てめーもくたばれ!」」
 カシムとメルシーの息のあった連携技で、ぜっちゃんはヒーローズアースの星になったのだった……。

 こうして、マンハッタンのハロウィンは猟兵達の手で守られた。
 なお、なぜか虚構王の撮影した映画のフィルムだけが残っていたので、面白半分に上映したら何故かバズった。
 猟兵達の活躍を映し出した『イェーガー・ハロウィン』は、ハロウィン限定の放映だったが大好評を博した。
 ……ジャンルは何故か『アクション・コメディ』だったが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月03日


挿絵イラスト