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温もりを知らぬ彼らへ

#ダークセイヴァー #お祭り2021 #ハロウィン

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「ハロウィンってのはなんだ?」
 猟兵の誰かがふと呟いたであろう言葉。
 とある人類砦。そこに駐屯している人狼の遊兵団を纏める雄が、独りのグリモア猟兵に問い掛けていた。
「ハロウィン。それは陰陽交わる死者と生者の宴、灯す豊穣、冬を待つ者たちの憩いだ」
「……つまり?」
 遠回しな言い方をするコクヨウ・ダークシャドウ(人狼の化身忍者・f29880)に、慣れた様子で彼は先を促した。
「……秋の終わりになれば死者の魂が親しかった者を訪れる。だが、それと同時に悪霊の類――吸血鬼というべきか、も現れる」
 それから身を守るために、魔除けの火を焚き、自らも魔物に扮したという伝承が始まりだと言われている。
「まあ、今では、仮装した子供が、家を訪ねては「菓子をくれないと悪戯するぞ」と言いまわり、悪戯しながら菓子を集める祭りになっているわけだが」
「……身を守るはずが、己が悪霊側になるか。仮装によって身も心も悪逆となるということだな?」
「いや、悪戯といっても庭木に紙を巻きつけたりだな」
 穿った見方をする人狼にコクヨウは口ごもる。起源からいきなり現在の形式に話を飛ばした事と、この世界の事情が噛み合って血腥い想像をさせてしまったらしい。
「ともかく、普段は小突かれたり馬鹿にされる事が出来て、なおかつ菓子も貰えるという、子供にとっては楽しい一日のことだ。ハロウィンというのは」
「……?」
 いまいちピンと来ていないらしい人狼に、コクヨウは息を吐き出した。丁度そんな季節でもあることだ。噂には他の猟兵も同じように催しを企てていると聞く。この辺りも少しずつだが生活も改善されてきているわけだ。
「分かった、猟兵を招いてハロウィンを開こう」
 そういうこととなった。

◇◇◇

「というわけで、ダークセイヴァーでハロウィンを開く事となった」
 大体の飾りや料理、菓子は人類砦の中で賄えるのだが、一つだけ重要なものが欠けている。
「南瓜がない」
 南瓜である。悪魔の顔にくり抜いて中に灯を点すアレである。あれがなければハロウィンとはいえないだろう。そもそも南瓜を食用以外で考える事はないような世界に、そんなジャック・オ・ランタンに最適な南瓜などあるものか。
 あったらしい。
 理性のないオブリビオンが徘徊する森の中に、巨大な南瓜が群生しているらしい。食用も出来るが危険なため今まで手を出せず、持ち帰りも大変なため優先度は低かったらしいが。
「今回においては最重要だ」
 この森に赴き、南瓜を獲得する。それが今回のミッションだった。
「準備ができれば、ハロウィンが始まる」
 とは言え、大人も子供も初めての祝祭だ。
 悪戯の仕方を教えるのもいいだろうし、仮装した子供達への接し方を見せてみるのもいいだろう。料理が足りなくなる事もあるだろうし、ハメをはずして怪我をするかもしれない。
 子供がお菓子を作って配る事に胸をときめかせていたり、とっくに成人した大人がイタズラを考えてほくそ笑んでいたりもするが、それもご愛嬌。
「楽しいことが楽しめるようになった。そのことが彼らにさらなる活気をもたらしてくれるだろう」
 そういってコクヨウは話を締めくくった。


熱血漢
 ハロウィンです。南瓜行列楽しみですね。
 それはそうと、いつも通りお好きにどうぞな感じです。

第一章 オブリビオンを倒して南瓜を手に入れます。
第二章 ハロウィンを楽しみます。

以上です。よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『外神禍梟』

POW   :    空から無音で掴み来る
【腹部の無数の腕の中に取り込む事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    無数の呪いを地に撒く
レベル×5本の【敵を追い続ける、呪い】属性の【切断した腕】を放つ。
WIZ   :    禍なる腕ですべてを穢す
【腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【魂を穢す呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠紅月・知夏です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※一応魔獣戦線に終止符を、など過去シナリオで使った人類砦の設定です。
リスティ・フェルドール(サポート)
援護・治療・盾役として参加いたします。最優先は自分を含む仲間全員の生存と帰還。成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありません。

真剣な雰囲気は邪魔をせず、仲間同士の険悪な雰囲気はあえて朗らかに。チームワークが生存率を上げる一番の方法として行動します。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスター様におまかせいたします。よろしくおねがいします!



「世界が楽しいってことを教えてあげる為、なんて言われたら頑張りたくなっちゃいますよね」
 リスティ・フェルドール(想蒼月下の獣遣い・f00002)は呟いた。
 ちろりと、ユーベルコードの火が揺れる。リスティは自らに言い含めるようにして言った後、しかし、我慢しきれないというような小さいため息をつく。
「……まあ、実際目の前にしてみたら、すんごい相手にしたくない相手だったけど」
 召喚したドラゴンの息吹で吹き飛ばした森の一部。そこに散らばるのは人の腕。燃えて落ちた人の腕。衝撃に吹き飛ばされて半ば潰れた人の腕。真っ黒に炭となった人の腕。
 そのどれもが外神禍梟の一部ではあるが、本体から切り離されたそれらだけを見ると、異常殺人の現場のようであり、思わず目を逸したくなる光景だ。
 出会い頭に、無数の腕が襲いきて咄嗟に術を放ったのだ。
「逃がしちゃいましたね」
 あちらも予想外の遭遇だったのか、それとも咄嗟に全力放出した竜息吹に恐れをなしたのか。外神禍梟の姿は無い。
 先に進むなら今のうちだろう。リスティはそそくさとその場を離れ森の奥へと進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アネモス・アルビレオ(サポート)
※連携・アドリブ大歓迎です※
冒険!集団!ボス!日常!
いっぱい活躍出来たらいいな!

性別:美少年を司る自称性別:美少年の男。
人生エンジョイ勢、喜怒哀楽の喜楽特化型。
各世界を楽しみながら渡り歩き、他者をお手伝いすることを喜び積極的に行動します。
「大丈夫、僕に任せて! 美少年として大活躍しちゃうよ!」
探索・戦闘どちらにおいてもUCビショーネン・クリエーションを使用、その場に大量の美少年を呼び出し人海戦術で行動します。
 
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。



 アネモネ・アルビレオ(神は云った。「美少年あれ」・f17321)は森を駆け抜けながら、自分を追いかけてくる無数の手指から逃れていく。
「もー、僕ってば美少年だから、その気持は分かるけどさっ!」
 木を蹴り、土を蹴り、森を征く姿はさながら妖精のようでもあった。美しき妖精に魅了された醜い外神禍梟が追う。絵画にでも描かれるような光景だが、しかしこれは現実。
 ただ逃げているだけでは、その手の呪いに蝕まれてしまう。
「でも、そんな乱暴な手つきはお断り……だよ!」
 だだん、と大きく跳躍。着地と同時に叫べば、その異変は即座に現実に表れた。つい先程まで誰もいなかったはずの森に幾つかの影。
 急転、逃げから攻めに転じたアネモネと共に、その影たちは一斉に動き出した。
 それは、大小様々な美少年たちだった。
 岩が大きな美少年に。小石は小さな美少年に。無機物から作り出された美少年たちが、伸ばされる外神禍梟を躱し、美しい連携のもとに動く。
 小さな美少年は手を潜り抜けて一箇所へと集め、一際大きな美少年がその腕の束を掴み取れば、その巨体に似合う力を持って外神禍梟を振り回し――。
「慈しみを持って出直してきてね」
 上空へと投げ放っていた。森の何処かへと落ちていく外神禍梟を見送り。
「さ、南瓜を探しに行こうか!」
 アネモネは周りの美少年たちにそう声をかけるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

基本右サムライブレイド+左フライングシャドウかバスタードソード
スーパー変態人(無印、2)の時は右手サムライブレイド+フライングシャドウ、左手バスタードソード+ヒーローソードの四刀流
『伝説』の時はキャバリアソード
上記装備していない場合は適当に

で真っ向から行くだけなのだ。

ユーベルコードはお任せだが決まらなければ下記参照

ネタ可なら
優先度高い順にネタキャラとしての矜持>鬼殺し>変態的衝動>正々堂々真っ向勝負>爆発オチ>誰にでも苦手なものはある>零距離鬼神フラッシュ

ネタ不可ならスーパー変態人(無印、2、伝説)、燃える男
本気のシリアスならガチ剣士モードで剣刃一閃、達人の智慧



「わたしはねえ、森を……歩いていんたんですよ……。ふかぁい森でね、遠くから獣とも風ともつかぬ低い、ごぉおおって音が響いてくるような、森。そんな所を歩いていたんです」
 大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)は敵も南瓜も見当たらない森を歩きながら、暇に明かして怪談ごっこを始めていた。
「そうしてるとですね……あれ、おかしいな? って思うんです。ここさっきも通ったような……ってね。そんなことを考え始めちゃうと、おかしなものですね……、嫌だな、嫌だなあ、なんて思いながらも色々と考えちゃうんですよ。そうしてると、ふっ……! と背中に冷たい気配が這い上がって来るのを感じて、わたしはね、足を止めたんです」
 ふと、麗刃は脚を止めた。興が乗ってきて、誰も見てないし、実演もしようかななんて思ったので、怖がるふりをしつつ
「怖いなあ……怖いなあ……って思いながら、それでも、振り返らずにはいられなかったんです。きっとあれは、わたしの第六感が告げていたんですね……ババッ!! って振り返ると――そこにほぁああッ!!??」
 勢いよく振り返る麗刃! 目の前に迫る外神禍梟!!
 何故か飛来したオブリビオンに麗刃は思わず覚醒した。金髪になって一気に手持ち四本の刀剣を抜き放つと、アンバランスなまま外神禍梟を切り裂いていた。
 無我夢中の一撃に、外神禍梟は反撃もせず地面にバウンドして森の奥へと消えていった。
「ええ……こわぁ……なにぃ……?」
 麗刃は驚きに早鐘を打つ心臓を押さえながら、外神禍梟が消えていった方角を呆然と見送るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヤコ・ナゴ
☆ハロウィン…ああ、シーゲルでいうところの「パンプキン・フェスタ」に相当するイベントですね。
あの日だけは誰もがハメを外して―――いけないいけない、ハメを外すとか迂闊に誤解されそうなワードを言うと"彼"がやってきそうな気が…。

…とりあえずッ!お仕事に取り掛かりましょう…うわ、何あれ。腕が主にキモすぎる…
まともに相手なんてしてられませんよおおお!!(眼レーザーとアサルトライフルの連射で対応)

…魂の、汚染?
悪堕ちでもさせようって、いうんですか?
残念ながら…ねえ…中立属性っぽく振舞ってても私の本性はもうとっくに悪属性だってバレバレなんですよおおお!!


アガルタ・フレア

民の祝祭。彼らの救済の導となるこの日を絶対に成功させなければいけない。
その為ならばこの身などいくらでも捧げ得よう。

「いずれ弑さねばならぬなら、今こそ」

「燃え裂く灯をここに」

自分に爪を立て、迸る黒炎で伸びる腕を焼き付くす。
呪うなら呪え、我輩は止まりはしない。
そして炎を手に滾らせて本体を狙う。

「お前が神というのなら、食らいつくしてやろう」

「あの太陽のように」

傷も気にせず、ただ神を打ち砕く。

アドリブ、連携歓迎。
 



「ハロウィン……あれですよね、シーゲルでいうところの『パンプキンフェス』」
 ヤコ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)は宇宙船時代にも似たような行事が残っていたことを懐かしむように思い出していた。
 世界が違えど、同じようなお祭りはあるものらしい。まあ、この世界に限って言えば猟兵が持ち込んだ輸入概念ではあるけれど。
「色々ごたごたもありましたけどねえ、今思えば楽しかった気もしますね。あの日だけは誰もがハメを外して――」
 しみじみとそう語った所で、ヤコはバッと自らの嘴を押さえて周りを見回した。森の木々の影に怪しい人影はいない。今のセリフは誰にも聞かれてはいないようだ。
「……いけないいけない。この世界、ハメを外すとか誤解されそうなワードは危ないですからね」
『彼』に聞かれると面倒事になる。いやまあ、仲間共々ハロウィンの運営で体よく使われていたので大丈夫だと思うのだが、念のためだ。
「……うん? 何か、近づいてきてますね」
 と、そうして周囲へと注意を深く向けたのが幸いしたのか。ヤコは遠くから聞こえる破壊音に気がついた。それはドンドンと近くなってきて。
「あー……お仕事の予感ですねえ……ッ」
「お前は、ここで吾輩が食らい尽くしてやろう!」
 数十秒も経たぬ間に、黒炎をばら撒く獅子獣人、アガルタ・フレア(夜照らす闇・f35035)と戦闘の最中である外神禍梟が目の前に現れるのだった。

「え、キモ。何あれ、うわ、キモ……腕が主にキモ過ぎる」
 アガルタは、そんな風に呟くヤコを一瞥して猟兵だろうと断定していた。このオブリビオンを前に「キモい」などと楽観的に観察できるのは一般人ではありえないだろうから。
「猟兵だな、よい所に。加勢を頼む」
「ええ、勿論ですよ。あんまりアレに近づきたくはないですし」
 アガルタの言葉に即答を返してくれるヤコに、アガルタは少しばかり安堵を見せた。一人では心許無い相手ではあったのだ。
 相手によれば角が立ちそうな、思わず溢れたようなヤコの言葉もアガルタは肯き返す。
「ああ、神に牙を剥く罪と傷は、我輩が請け負おう」
 アガルタは己の腕に爪を立てると大きく切り裂いた。溢れる血潮に黒い炎が滾り上がり、アガルタを蝕むようにして燃え立つ。
 呪いなど体ごと焼き捨てるというように、アガルタが睨むは外神禍梟のその本体。
 そして、地面に沈ませる身体でヤコに注意を促した。
「あの腕には留意しろ。あれは魂を汚染する」
「え、闇落ちでもさせようってんです?」
「我輩が、それをさせはしない」

 そう告げて駆けるアガルタを見て、ヤコは己を省みる。
 一見闇属性なアガルタではあるが、なんか言ってることは聖人チックである。最近チョロいなどと評判が出始めているらしい己から見ても、なんか簡単に掌で転がせそうだな、と思ってしまうぐらいだ。
 アガルタの忠告を吟味し、飲み込み、そしてちょっと罪悪感が胸に突き刺さり。
「……残念ながら、ねえ……」
 ふるふると震える手でヤコは己のメガネを摘んで、胸ポケットにしまう。
「私の本性はとっくに悪属性だってバレバレなんですよおおおお!!」
 目をカッ! と見開いた。
 後ろから逃げ撃ちしてよう。などという始めの考えは後から自己嫌悪しそうだったので放り捨て、迫る腕に突っ込むようにしてヤコはレーザーを乱射していくのだった。

「助かった」
 アガルタはヤコへと感謝を述べる。
 ヤコがレーザーで腕を焼き払ってくれたおかげで、本体へと黒炎の拳を叩き込めたと、複雑そうな顔をするヤコに気づかないままアガルタは森の奥を見つめる。
「さあ、この奥だ。南瓜を探そう」
「ええ……ええ、そうですね」
 言いづらそうにするヤコとともにアガルタは進んでいった。
 多少クソ野郎な方が一緒にいた方が良心痛まなくていいな、って思わされましたよね。ヤコは後にそう語ったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『闇に光を、温もりを』

POW   :    傷の手当てをしよう

SPD   :    料理を作ろう

WIZ   :    これまで、これからを語らおう

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 南瓜を手に入れられたので、無事ハロウィンが開催できます!
 マスターより情報のままです。お好きにどうぞ。
ヤコ・ナゴ
さて、パンプキンフェ…じゃなかった、ハロウィンのお時間ですね。
基本的な材料もありますし、パンプキンパイ…作っちゃいますか。
あ、パイ作りの邪魔したらちょっと怒りますからね。調理中に邪魔されると事故っちゃうので(露骨に誰かを想定している)

…ふう。パンプキンパイ作ったの、随分と久しぶりな気がします。
逮捕されてから今に至るまで、お祝いのパイを作れるような余裕もなかったですし…

…あ、またあなたですか。一体どこから私の事を嗅ぎつけて…ちょっと今日は随分悪戯好きみたいですね。(でもそんなに抵抗はしなさそうだ)



「さて」
 ヤコ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)は、借りた厨房の一角にて広げた材料を見下ろした。あの気持ち悪いオブリビオンを越えた先で見つけた南瓜は、飾りにするにも食料にするにも十分な量があった。
 ということで、久方ぶりにパンプキンパイを作ることにしたのだ。
「調理中に邪魔されると事故っちゃいますからねえ、邪魔しないでくださいねえ」
 誰ともなしに声を上げるが、しかし、特に返ってくる反応はなかった。
 調理が終わるまで結局邪魔する者はなく、順調に、静かに気づけば準備は整っていた。

 ◇◇◇

「わ、これまた怖いオバケですね」
 ノックされた扉を開いて、少し怖がってみせる。今日一日で幾度と繰り返し、もう慣れたものだ。
「悪戯されてはたまらないですからね、お菓子を持っていきなさい」
「これ、お兄ちゃんが作ったの?」
 と布で包んだパイを広げて魔女やらミイラやらは丸い目をキラキラとヤコへと向けていた。
「そうですよ? いい出来でしょう」
「うん、すっごい美味しそう! やっぱりいいお嫁さんだね!」
 子供の純粋な賞賛にヤコは思わず鼻高々になり、その後に続いた言葉に首を傾げた。
「……うん?」
「ほら、長居すると怒られるぞ」
「あ、そうだった。ありがとー!」
「え、ああ、はい。転ばないようしなさいよ」
 慌ただしく駆けていくオバケを見送った後、ヤコは少ししてから息を吐いた。
「パンプキンパイなんて作ったの、随分と久しぶりな気がしますね」
 しみじみと思う。逮捕されてから今に至るまで、お祝いのパイなんてものを作る余裕は無かった。フルスロットルで駆け抜けてきたとしか言えない。
 懸命に生きて、手を汚そうとも生きて、駆け抜けて、手を汚し、手を汚し。美味しそうという声が醜く歪んだ気がした。
 血に塗れた手。
 残ったパイを捨ててやろうかと考えが過ぎったその時、扉がコンコンとノックされた。
 また子供が来たのだろうと、扉を開けて見下ろし――そして見上げた。
「やあ、トリックオアトリート!」
「……やっぱり出ましたか、全くどこから嗅ぎつけて」
 随分とサイズの違うシーツお化けが立っている。聞いた覚えのある声だった。
 ここにいる事は極力伏せるようにしてきたのだが、さっきの子供の言葉といい、どうやらあまりヤコ自身にとって看過出来ない情報操作が行われていそうだ。
 それはずいと中に一歩入ってきた。
「……ちょっと今日は随分悪戯好きみたいですね」
「そろそろお菓子も底ついてない?」
 腰を抱いてくるシーツお化けの腕にさほど抵抗もなく、ただ見透かしたようにヤコは一笑に臥す。
「残念、奇遇にも残ってまして」
「へえ、優しい。愛してるよ」
「成仏させて差し上げましょうかねえ?」
 ヤコは布切れオバケらしい軽々しい愛の囁きに、至近距離で唾でも吐きかけてやりたい気持ちをぐっと抑えた。
 まあ、ここで逃がすのは得策ではないだろう。
「ちょうど問い質したいことも出来ましたし、それに」
 少し郷愁を紛らわせたい気持ちもある。とは口に出さず。
「お茶くらいは出しますよ」
 ヤコは三角耳がシーツを引っ張るそのオバケを中に招き入れた。
 そうして扉を閉めた。
 閉められた扉はその日、幼いオバケがノックしてももう開くことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アガルタ・フレア

己の傷の手当を行いつつ、喧騒を眺めようか。

「手当が済めば子ども達に菓子でも配りに行こうか」
「だが、血の匂いをさせた獣がそぐうだろうか」

なんだかんだと言いつつも、気にはなる。もし怖がられるようなら姿を隠せばいい。
いや、この世界ならば慣れている子どもばかりだろうか。

今ばかりはありがたいが、いずれ意思もなく血に慣れた子らなどが生まれぬようにせねばならないな。

大人も一緒にはしゃいでいる。きっといい世界になると信じて、宴を見守ろう。

子どもも大人もイタズラには目を瞑ろうぞ
怪我をしていればそれも治していこう



「楽しげだな」
 アガルタ・フレア(夜照らす闇・f35035)は、医務室の中で聞こえる喧騒に耳を傾けていた。
「猟兵の皆さんのおかげですよ」
「それだけでも無いだろう。子らが安心して楽しんでいるのは、大人達を信用しているからだ」
 消毒を受け、包帯を巻く男性にアガルタは淡く笑みを浮かべて言えば、彼は静かに笑いを返した。
「大人も混じってますけどね」
 と、昼間、包帯を借りに来た兵士を叩き返したと笑う衛生兵にアガルタも腹を震わせる。
「私も菓子を配りに行こうか」
「ああ、良いですね。厨房に行けば渡してもらえますよ。張り切っていましたから」
 そうか、良いことを聞いた。とアガルタはつぶやき、そして、その顔色をすっと険しくさせた。
「だが、血の匂いをさせた獣がそぐうだろうか」
「大丈夫」
 そんな問いかけに、彼は力強く即答しアガルタの背を押すのだった。

 ◇◇◇

「生傷には慣れていますから、か」
 アガルタは、大丈夫だと答えた衛生兵の根拠が少し胸に残っていた。
 確かにこの世界なら、アガルタの傷をことさらに嫌う子供はいないかもしれない。今ばかりはありがたいが、だが。
「いずれ」
 そんな風に意志もなく血に慣れているような子ども達が生まれないように、この世界を救うことができれば。
「……いや、そうしなければならないな」
「トリックオアトリート、がおー!」
「む……」
 不意に弾けるような声が足元から放たれて、アガルタは立ち止まり視線を下げる。そこには、一人の子供がアガルタを見上げていた。
「おっと、これは……」
 腕に包帯を巻き、頭に兵の兜を揺らし、身体は黒いローブで覆っている。更に「がおー」である。アガルタの脳が一気に活性化してその正体を探ろうとするも、答えが出てこない。
「……怖いオバケだな」
「へへー!」
 最終的に『オバケ』で括って妥協したのだが、それでよかったらしい。
「はは、恐ろしいな。仕方ないお菓子をやろう」
「やった!」
 思わずと声を上げるオバケは、包帯をしていない方の腕だけをアガルタに差し出すと、焼き菓子を受け取った。その仕草にアガルタは、鼻をすんと鳴らした。己から血と消毒液の匂いがするから気づかなかったが、そのオバケからも同じような匂いがした。
 それは、腕の包帯の下からか。
 アガルタは、その腕へと聖痕の光を浴びせると、驚いてこちらを見るオバケに密やかに微笑んだ。
「トリックオアトリートだ。お菓子をくれなかったから悪戯をしてしまった」
「うん、すごい悪戯されちゃった」
「む、その言い方は少し語弊を生みかねんが」
 まあ、いいか。とアガルタは、子供を見送って再びあるきだす。ハロウィンは盛況のようだ。大人も子供も楽しげに笑っている。
「ああ、きっと良い世界になる」
 アガルタはそう呟きながら、宴の様子を見守っていく。 
 その後、酔った大人の集まりに踏み込んでしまいもみくちゃにされるのではあるが、まだ彼はその運命を知らないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月05日


挿絵イラスト