5
迷い猫の帰り路

#サクラミラージュ #お祭り2021 #ハロウィン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ
🔒
#お祭り2021
🔒
#ハロウィン


0




●迷い猫の帰り道
 にゃあん、にゃぁん、とか細い声。
 夜の細道に、小さく響く。
 目抜き通りは賑やかで、世間はハロウィン一色だ。そんな光に目を奪われて、気付けば景色は知らないところ。
 賑やかになればなるほどに寂しく感じる路地裏で、そいつはにゃあんともうひと声。
 闇に紛れる黒色の猫が南瓜提灯を頭に乗せて、心細そうに身を縮めた。
 桜散る空は狭くて寂しい。我が身はいずこ? 帰り路はいずこ?

●帝都ハロウィン祭り
「そもそもハロウィンの始まりは、死者の霊がこの世に戻ってくる時期の魔除けだったといいますわ」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)は、サクラミラージュから拝借した本の頁をめくりながら語り始めた。
 ハロウィンという行事は、由来や捉え方は違えど多くの世界で知られており、サクラミラージュにおいても盛大に祝われているようだ。
「けれど、由来が由来だからかしら。この時期になるお、ごく弱い影朧が、ハロウィンの賑わいにつられて、時折迷い込んでくるようなんですの」
 エリルが本を閉じて、グリモアを掲げた。
 帝都のとある大通り。南瓜一色で飾り付けられた通りの裏で、小さな黒猫がみゃぁ、と小さく鳴いていた。頭には小さな南瓜の提灯が乗っていて、その灯火すら弱弱しい。
「あの子も影朧。最初は楽しそうにハロウィンのお祭りを楽しんでいたのだけれど、ふと気が付けば自分の居場所を忘れてしまい、とても困っているようなんですのよ」
 こうなれば、悪さの類はしないだろう。それに力も弱い為、猟兵であればユーベルコード一発で倒せてしまうのだが。
「出来れば皆様で、あの黒猫を転生に導いてあげて頂けないかしら」
 エリルはそう猟兵達にお願いをするのであった。

「影朧は帰る場所を探しているみたいですわ。きっと、生前に縁のある場所なんですわね」
 エリルが言う。きっとその場所に帰ることが出来たなら、影朧は癒しを得ることが出来るだろう、と。
「ですから皆様はあの子と一緒にハロウィンを楽しみながら、帰るところを探して頂けないかしら」
 きっと優しく近寄れば、影朧も警戒を解いてくれるはずだ。この影朧は本来好奇心が強いタイプなので、一度心を許せば色んなことに飛びつくはずだ。
「あの子が探している場所は、そんなに遠い場所ではないはずですの。首輪が付いていないから、飼い猫ではなさそうだけれど……」
 ひょっとしたら地域猫といった類だったのかもしれない。となれば、この猫の存在を知る者も案外少なくないのかもしれない。
「まぁ、お祭りを楽しんでいればそのうちきっと見つかりますわよ! 折角なのだから仮装もしてみたらいかがかしら?」
 そんな風に笑いかけて、エリルは猟兵達を見送るのであった。

 にゃお、にゃおと猫は鳴く。
 前も後ろも知らないところ。そもそも自分は、どこにいた?
 思い出せない、思い出せない。けれど、何か大切な――。


G.Y.
 こんにちは。G.Y.です。
 こちらはサクラミラージュでハロウィンを楽しむシナリオになります。

 影朧となった黒猫が、ハロウィンのお祭り会場に迷い込んでいますので、皆さんで黒猫の影朧と戯れながら、ハロウィンのお祭りを楽しみましょう。
 ハロウィン会場は大正浪漫に溢れた、洋と和の融合したものになっています。
 あちこちに南瓜の飾りが並び、仮装する人々は洋服を着た日本の妖怪等が多そうです。
 カフェーではかぼちゃプリンなどといったものからかぼちゃ羊羹のような和菓子、さらにはかぼちゃの煮つけなども出されている様子です。

 黒猫は、小さな子猫です。頭に南瓜の提灯を帽子のように被っています。
 右も左もわからず、今は怯え切っている状態ですが、猟兵達が声をかければ駆け寄ってくるくらいには人懐っこいです。
 好奇心も旺盛なので、ただただ一緒に遊ぶだけでも楽しいでしょう。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております!
112




第1章 日常 『帝都猫物語』

POW   :    猫を抱きしめる

SPD   :    猫を追いかける

WIZ   :    猫を撫でる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・フォーサイス
 わあ、猫ちゃんとハロウィンを楽しめばいんだね。

 魔女の仮装をして、猫ちゃんと家を渡り歩いて、トリックオアトリートって言って、お菓子をもらうよ。

 次はどっちに行こうか?そっちだね。じゃあ、行こう。
 猫ちゃんが行きたがってる場所も気になるな。美味しいお話が待ってそうだしね。



 にゃお、にゃおと心細く鳴く黒猫。
 どこからくすねたのか、小さなかぼちゃの帽子を被って、悲しそうに小さく鳴いた。
「ねぇねぇ」
 そんな黒猫に伸びる小さな手があった。
「一緒に行こう?」
 伸ばした手は、魔女の姿をしたアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)のものであった。
 にこりと笑った彼女の顔を見上げた黒猫は、おずおずと警戒しながらも、遠慮がちにアリスの手を舐める。
「あはは、ざらっとする」
 手を伝わせて黒猫を肩へ乗せると、アリスはくるりと回ってマントをなびかせる。その姿はまさに使い魔を連れた魔女のようで、アリスと黒猫は目抜き通りへと駆け出した。
「いい、いくよ?」
 黒猫に教えるようにアリスは言いながら、家の戸を叩く。
「はぁい?」
 出て来た住人に、アリスが笑顔を向ける。
「トリックオアトリート!」
「まあまあ、可愛らしい魔法使いですこと」
 住人は顔を綻ばせて、新聞で包んだおせんべいを手渡す。
「ハイカラなものはないけれど、美味しいよ」
「ありがとう!」
 アリスはお礼を言うと、おせんべいをパキッと小さく割って、黒猫にも食べさせる。
「次はどっちにいこうか?」
 肩の黒猫に聞くと、黒猫はふいと目を向ける。
 この町に建てられた神社へ続く道だ。目抜き通り程ではないが、家やお店も並んでいるだろう。
「そっちだね。じゃあ、行こう」
 猫の興味に従うままに、アリスは足を向ける。
「うん、美味しい話が待ってそう」
 アリスと猫は、そんな風に興味津々に、ハロウィンのムードで溢れた町を歩くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幸徳井・保春
こういう祭事なこともあって季節物も少なからず出ているな。持ち帰りの出来る物を少し見繕っていくか。

南瓜の提灯を被ってる珍妙な見た目ならすぐに見つかるだろう。猫でも安全に食べれる物をダシにして、興味を惹かせ【無刀取り】を使いつつすぐに食いつけないようにして遊ぶとしよう。諦める前に護符を仕舞い、食べ終わった頃には疲れ果てて抵抗も出来なくなるだろう。

見回り途中に何をやっている、と突っかかってくる同僚がいたら、影朧の保護だ立派な學徒兵の任務だろう、と躱すとしよう。目の前に証拠が立っている訳だしな。


網野・艶之進
「やはり、拙者にはこの手の仕事が向いているでござる」
・網野は影朧と戦う學徒兵でありながら、自身の用いる剣技が寿命を代償とすることも理由にあるが、斬られる側を慮りすぎる性格ゆえに戦う事を嫌っている。できることなら、このような、迷い猫を保護するような任務ばかりにつきたいと思っている
・石畳に蹴っ躓いて飾りつけてあった南瓜提灯に頭から突っ込んでしまい、はからずもジャックランタンの装いになる
・地域猫ならば、地元民に誠意をもってたずねる。野良猫相手にも件の黒猫の所在を訊きはじめるが、網野が生真面目すぎるゆえの奇行である
・かぼちゃでできた柔らかめの洋生菓子を街中で買ってきて、黒猫と一緒に食べようと考えている


御園・桜花
「そんな…お猫さまが困っているなら、万難万難排して行かねばです」
両手を握りしめ

「影朧でも食事が可能なら猫まんまを振る舞うのですけれど…あの子はどうなのでしょう」

UC「蜜蜂の召喚」使用
迷子の子猫と、最近見かけなくなった子猫の事を噂している人が居ないか探す

「遊びましょう、お猫さま」
猫を見つけたら手持ちの猫じゃらしふりふり
寄ってきたら撫でて可能なら抱えあげ
食べるかどうかじゃこも鼻先に近付け試す

「迷子の貴方を探している方も居るかもしれませんもの。一緒に探しに行きましょう、ね?」

抱えさせてくれたらずっと優しくナデナデしながら人通りの多い方へ

「此の子のご主人様、此の子を知っている方はいらっしゃいませんか」



●迷い猫
「そんな……っ」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は悲痛な声を上げた。
 ハロウィンにつられてやってきた迷子の黒猫。寂しく小さな背中を見れば、きゅぅっと胸が締め付けられる。
「お猫さまが困っているなら、万難万難排して行かねばです」
 だから桜花は両手をぐっと握り締め、黒猫の為に力を尽くさんと心に決める。
 そんな様子に、網野・艶之進(斬心・f35120)もまた、うむと頷いた。
 今回の影朧に、剣を使う必要はない。艶之進は學徒兵であるが、相手を斬ることは苦手であった。使えば寿命を縮めるから、ということもあるが、それより誠実で優しすぎる性格が、斬られる相手を慮ってしまうからである。
「出来る事ならば、このような任務ばかりつきたいでござるな」
 ざわざわと楽し気な喧騒の中で、艶之進はそう思う。
「こういう祭事なこともあって、季節物も少なからず出ているな」
 幸徳井・保春(栄光の残り香・f22921)はハロウィン一色の目抜き通りを眺めて息を吐く。
 任務の最中とはいえ、少しは楽しむのも悪くないだろう。
「持ち帰りの出来る物を少し見繕っていくか……」
 と、屋台を眺めた時、猟兵達はふと気が付く。
「あいつか」
 頭の提灯をゆらゆら揺らし、黒猫が路地を歩いていたのだ。
「情報通り珍妙な見た目だな」
 保春が猫をそう評すと、3人のうち最初に艶之進が前に出た。
「早速連れてくるでござ……っ」
 そう言った瞬間、艶之進の体勢が大きく崩れた。
「お、おぉっ!?」
 石畳の出っ張りに蹴躓いたのだ。そのまま艶之進は南瓜提灯の飾りに突っ込んでしまう。
 がしゃぁん、と大きな音がして、黒猫がぴょんと飛び跳ね影に隠れる。それを保春は目で追いつつも艶之進のもとへと駆けてゆく。
「お、おい、大丈夫か?」
「……だ、大丈夫で……むむ、周りが見えないでござる」
 身体を起き上がらせつつも、艶之進が頭をぐらぐら揺らす。そんな姿に、桜花はくすりと笑い。
「うふふ、まるでジャックランタンですね」
 南瓜提灯を頭から被った艶之進の姿は、まさにハロウィンにふさわしい格好となったようだった。
 黒猫もおかしく思ったのか、控えめに影の中から顔を出し、黒一色の中で目立つ金の瞳をぱちくりさせた。
 桜花は笑顔を絶やさぬままに、ゆっくり手を差し出した。
「遊びましょう、お猫さま」
 手に握っているのは猫じゃらし。黒猫は目を丸く輝かせて、影の中からぴょいと飛び出した。

●ひととき
「影朧でも食事が可能なら、猫まんまを振舞うのですけれど……あの子はどうなのでしょう」
 ひょい、ひょいと猫じゃらしで黒猫と遊びながら、桜花は首を傾げた。
「試してみよう」
 保春がひょいと出したのは、魚のほぐし身を固めたものだ。
 ぴくんと耳を立てて、黒猫が目を丸くする。ゆらりと歩み寄って、ふんふんとそれを嗅ぐと、あんと口を開く。
「ふっ」
 黒猫が噛み付く瞬間、保春が手を引いた。すると黒猫は口を開いたままに、遠く離れるおやつを睨んで飛び掛かる。
「ほらほら」
 ひょいひょいと猫を釣り、護符で壁を作る。見えない壁にてしてしと手を叩く黒猫。
「あらあら、可哀想ですよ」
 桜花はそれを微笑ましく思いつつ、じゃこを取り出し黒猫の鼻先に近付ける。黒猫は桜花の手からじゃこを奪うと、はぐはぐ夢中で貪り始める。
 そんな黒猫に目を細めながら毛並みを撫でた桜花は、言い聞かせるように黒猫に言う。
「迷子の貴方を探している方も居るかもしれませんもの。一緒に探しにきましょう、ね?」
「にゃぁ」
 じゃこを平らげた黒猫は一鳴きして、桜花の肩へと飛び乗った。
「抵抗する気もなさそうか」
 保春は手の魚を黒猫に差し出す。黒猫はそれも遠慮なくかぶりつくと、ぺろりと口を舐めた。
「これも食べられるでござるかな」
 艶之進が持ってきたのは、お祭りの中で売られていた、かぼちゃで出来た洋生菓子。黒猫はふんふん匂いを嗅いで、ぱくりと一口。
「おぉっ……」
 少し感動したように、艶之進は感嘆の声を上げるのであった。

●帰り道を探して
 桜花は指を立て、言葉を紡ぐ。
「おいで蜜蜂、花の蜜をあげましょう。私の代わりに追い駆けて、全てを見て聞いてくれるなら」
 ぶぅん、と現れた蜜蜂が桜花の周りをぐるりと回り、飛び立ってゆく。五感を共有する蜜蜂によって、噂話や会話を拾うのに役立つ。
 それと並行して、自分の脚でも聞き込み調査をすれば、きっとこの黒猫を知る者も見つかるだろう。
「この黒猫をご存じないでござるか?」
 桜花にだっこされた黒猫を見せながら、艶之進が地元民へと聞き込みをする。
「この黒猫を……」
 誠意ある姿に、人々も心を開いてくれる。しかし、なかなか決定的な情報は見つからない。
「知らぬでござるか?」
 そう聞いたのは、近所の野良猫。どうやら艶之進、生真面目すぎるきらいがあるようだ。
「地域猫というからには知ってる人もいそうなもんだが……」
 保春が顎を撫でたちょうどその時、背後より猟兵達に近付いてくる人影があった。
「見回りの學徒兵か? ここで何をしている?」
 どうやら祭りを警備する學徒兵のようである。保春は息を吐き、桜花の腕でだっこされる黒猫の姿を見せる。
「影朧の保護だ。立派な學徒兵の任務だろう?」
「む、そうであったか……むむっ、これは猟兵の皆様、失礼いたしました!」
 彼らが猟兵であるや、學徒兵は背筋を正してびしっと敬礼をする。
 桜花と保春は、そんな學徒兵に目を見合わせ、呆れたように笑う。そしてふと、桜花は學徒兵に尋ねる。
「此の子のご主人様、此の子を知っている方はいらっしゃいませんか」
 學徒兵はふむ、と首を捻り、そういえば、と手を叩く。
「以前、この先に住む婆様が、神社の猫がいつの間にか居なくなっていたなどなど話しておりました!」
 再び桜花と保春は顔を見合わせる。これは有力な情報だ。
 同時に、桜花の飛ばしていた蜜蜂からも、神社の前を歩く親子の会話が伝わってくる。
『あの子、いなくなっちゃったの?』
『そう、ずっと遠くへ行っちゃったのよ』
 ――間違いない。

●おかえり
 その神社はハロウィンとは無縁の、静かな佇まいであった。
 どこか神秘的な空気に、背筋がしゃんと伸びるような気持ちになる。
 桜花に抱えられた黒猫は、身を乗り出して桜花の腕から抜け出すと、すとんと参道に着地した。
「……あら?」
 猟兵達の姿に気が付いたのだろう。社務所から巫女が顔を出すと、彼らの足元で尻尾を立てる黒い猫の姿が飛び込んだ。
「……福?」
 巫女が駆ける。
「みゃお」
 黒猫が鳴き、巫女へと飛びついた。
「あぁ……やっぱり福なのね。その南瓜……そっか、世間はハロウインなのね」
 瞳を潤ませ、巫女は笑う。
「あなた、賑やかなのが好きだったものね。だから帰って来ちゃったんだ」
 ごろごろと喉を鳴らす黒猫が今どんな存在なのか、巫女にもわかっていた。
 それでも、一時でも再び会えたのならば、嬉しくないわけはない。
「――やはり、拙者にはこの手の仕事が向いているでござる」
 艶之進は心が満たされるものを感じながら、巫女と黒猫の再会を見守るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『猟兵達の願い』

POW   :    健康などを願う

SPD   :    恋愛などを願う

WIZ   :    平和などを願う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黒猫は、この神社に住みついていた野良猫であった。
 灯篭の上、賽銭箱の上、時には鳥居の上にまで、我が物顔でくつろぐ様子は、神社からすれば罰当たり。
 けれどその奔放な姿は参拝客にも人気となり、黒猫目当てでやってくる人もいたのだとか。
 そのうちに、神主や巫女からは福を呼んだとして『福』と名付けられ、可愛がられるようになったのだが。

「嵐の日でした。私達は福を屋根の下へ匿おうと探したのですが……」
 目も空けられない程の風と雨の中では、とうとう福を見つけること出来なかった。このままでは巫女達も危険だと、黒猫の安全を願いながら建物の中へと入ったのだが、翌朝、嵐が止んだその朝に、巫女は福の亡骸を見つけてしまった。

「境内に生えた木の大きな枝が折れて、下敷きになっていたのです」
 福という名の影朧を撫でながら、巫女は語った。それから笑顔を作り、猟兵達に向き直る。
「猟兵の皆さん、お願い事はありませんか?」
 福がいた頃は、良く願いが叶うという評判もあったのだという。
 つまり今なら、絶好の機会だということだ。
「そうして、いつも参拝客の人達がしていたみたいに、福を構ってあげてください。そうすればきっと――」
 本当の帰り路を見つけてくれるはず。そう、巫女は少し寂しそうに笑うのであった。
幸徳井・保春
願いなどありやせんよ。大抵の神は身勝手な物だからな。その嵐による事故だって怒っていた神の天罰かもしれん。

ただ、それが結果として自分の地位を下げたのだからお笑い物だがな。福がいなくなったら願いも叶わなくなったとは。

本当のところは参拝客が増えた分望みが叶った者の数も相対的に増え、来なくなった分減っただけ、だろうが……口にはしないでおこう。

強いて望むなら、この黒猫が生を受け、再びこの場所に戻ってこられることを。


アリス・フォーサイス
ここに来たかったんだね。

なでなでしちゃうよ。ここでどんなふうに過ごしてたのかな。少し覗き見させてね。

うん、みんなにかわいがられてたんだね。されてたみたいになでてあげる。

キミが願い事をとどけてくれるのかな?
ぼくの願いはこれからも美味しいお話を食べること。ぼくの願いもとどけてくれる?


サンディ・ノックス
この子(福)の家探しはしてあげられなかったけれど、今から遊んであげるのでもいいかな
動物と遊ぶのも慣れていないけど気になるんだ、この子が
(動物も影朧になるのかという興味。己に同居している魂を黒猫の形にするUCを持っていることによる奇妙な共感。この子には何の関係もないから、遊びたい理由を口にするつもりはない)

まずは願い事を捧げるんだっけ
『故郷ダークセイヴァーに平穏な時代が来ますように』
これ以外の望みはないし、これは俺が生きている意味でもある

じゃあ、遊ぼうか
そっと鼻先に手を差し出して、ゆっくり離して、また近づけて
ぱっと今度は素早く離して、ついて来たら思いきり撫でてあげる
他にも高く抱き上げてあげたいな


御園・桜花
「願い、ですか…」

「全ての影朧、いえ、全てのオブリビオンに、転生への道筋が開かれますように」

不死帝に会いたい、と思うけれど
願いの儘に邁進すれば、必ずいつか、不死帝には会うと思う

その時は猟兵側ではなく不死帝側に立つかもしれない
転生と言うシステムを普遍化するには、不死帝が全ての頂点に立つ必要があると思うから

「それじゃあ福さん、遊びましょうか」
願掛け一転、福を構い倒す
木天蓼粉を塗したじゃこを福の鼻先に持っていきつつ猫じゃらしも振る
福が伸びたら思うさま全身ブラッシング
「此処ですか?其れとも此方?嗚呼、此処でしたか」
「…お休みなさい」
気持ちよく寝かしつけながらUC「桜唄」
また此処に転生するよう願い歌う



 福と呼ばれた黒猫はひょいと賽銭箱の上に乗ると、ガラスのような瞳を猟兵達に向けた。
「ここに来たかったんだね」
 アリスが福に微笑みかける。安心しきったような顔の福に、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は安心したような顔で見つめる。
(「この子の家探しはしてあげられなかったけれど、今から遊んであげるのでもいいかな」)
 サンディはあまり動物と遊ぶことには慣れていないが、妙な共感を覚えていた。己に同居する魂を黒猫の形にする力……それが理由であろうが、それは目の前の黒猫には関係ない。
 動物も影朧になるのかという興味もあるが、それらを含めても、口にする必要などないだろう。
「まずは願い事を捧げるんだっけ」
「願い、ですか……」
 桜花は境内を眺めて考える。影朧桜の花びらが散るさまに、桜の精である桜花は手を結んで祈る。
「全ての影朧、いえ、全てのオブリビオンに、転生への道筋が開かれますように」
 桜花は想う。サクラミラージュに存在する転生というシステムは、不死の帝によるものだと考えていた。そんな帝に会いたいという気持ちもあるが、その願いの発端は、桜花の願う転生への願い。
「……」
 その願いの中で、いつか不死帝と猟兵が敵対することになったならば、その時は――。
 ぎゅっと手を握り、目を瞑る桜花。その隣でサンディも手を合わせる。
「故郷ダークセイヴァーに、平穏な時代が来ますように……」
 サンディにとって、これ以上の望みはない。彼の生きている意味ですらある。だから彼は真剣に、それを願った。
「ねぇ、キミは願い事をしないの?」
 猟兵達の背を見るように佇む保春に、アリスが聞いた。
「願いなどありやせんよ。大抵の神は身勝手なものだからな」
 保春はふいと顔を向ける。嵐で倒れた大木は、今や大きな切り株となっていた。
(「その嵐による事故だって、怒っていた神の天罰かもしれん」)
 考え方は様々だ。天災という人知を超えた先にある現象は、その結果によって祝福であったか、罰であったかを人が後から決めているに過ぎない。
(「そもそも、本当のところは参拝客が増えた分望みが叶った者の数も相対的に増え、来なくなった分減っただけ、だろうが……」)
 とはいえ、そんなことは口にはせず保春は黒猫達と戯れる猟兵達を眺めるのであった。

「それじゃあ福さん、遊びましょうか」
 神妙な顔つきから、ころりと笑顔に変わった桜花が福へと笑顔を向けた。
「ここでどんなふうに過ごしてたのかな。少し覗き見させてね」
 アリスがゆっくりと福の背を撫でた。すると、福を通して様々な光景がアリスの中に浮かび上がってくる。
「……うん、みんなに可愛がられてたんだね」
 手を放し、楽し気に笑うアリスの脇から、サンディが人差し指をそおっと近付けた。
 ふんふんと鼻を鳴らして、福がサンディの指を嗅ぐ。サンディはその指をゆっくり離すと、また近付けて、を繰り返した。
「ふふ、人懐っこいね」
 指を追う福の愛らしさにサンディの顔に思わず笑みが零れる。ひょいと素早く指を離せば、福はそれを追ってぴょいと跳んだ。
「はい、捕まえた」
 サンディが福を掴んで、撫でながら抱え上げる。さらさらで滑らかな毛が肌触りも良く気持ちいい。高く抱き上げてやれば、福はきょとんとした目つきでサンディを見つめ返す。
「こっちよ」
 桜花が木天蓼粉を塗したじゃこを差し出した。もう一方の手には猫じゃらしもふるふる揺れている。
 福はぴくりと耳を震えさせて、じゃこへと鼻を近付けると、ぱくりと一口。
「ふにゃ……」
 木天蓼の匂いが福を酔わせて、ころりと腹を空へと向けた。
 すかさず桜花はお腹を撫でてやり、サンディもそれに続く。
「此処ですか? それとも此処?」
 にこにこしながら全身ブラッシング。良い気持ちの福は目を細めてすっかり夢見心地だ。
 すると、ぽう、と福の身体が淡く光り始めた。転生の時が来たのだ。
「……お休みなさい」
 桜花が歌う子守歌。その優しい歌声に揺られ、福の身体が光に包まれる。
「そうだ、ぼくの願い、まだ言ってなかったよね」
 アリスが消えてゆく福に言う。
「ぼくの願いはこれからも美味しいお話を食べること。ぼくの願いもとどけてくれる?」

「にゃぁ」

 ちいさく鳴いて、光が消えた。

「願い……強いて望むなら、あの黒猫が生を受け、再びこの場所に戻ってこられることを」
 消えゆく光に、保春が小さく呟いた。桜花もまた同じ願いを込めて、消えゆく光を見送るのであった。

 それからしばらく。
「……あら?」
 境内を掃除していた神社の巫女が、ある気配を感じて茂みの中を覗き込んだ。
「……まぁ」

 ――にゃぁ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月01日


挿絵イラスト