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悪の目論見は南瓜スイーツのように甘くはない

#スペースシップワールド #お祭り2021 #ハロウィン

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●落ちぶれたる賊軍
 大宇宙の大海原を、色とりどりの南瓜を乗せて派手な色の輸送船が行く。
 農業艦【ノミッシュ・アオミィ】産の評判の南瓜は、スイーツ工場見学を売りにしたリゾート船へと運ばれ、多くの大宇宙の民の舌を甘く喜ばせるだろう。
 大切に載せられたそれを、輸送屋の誇りにかけて丁寧に運ぶ彼等も、多少はその御相伴に預かれるかもしれない――ハロウィンの期待に胸を弾ませ輸送船は往く。

 その船を虎視眈々と、かつて隆盛を誇った軍の、堕ちるところまで堕ちた下衆が狙っていることも、今は知らずに。

●南瓜の甘さ
「私はね。南瓜はねっとりした方が好きだ」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、掌の上にオレンジ色の彩も鮮やかな南瓜を取り語り出した。
「まあほくほくした物を好むのも、否定はしないがね。さて……」
 人の好みは人それぞれだ、と当たり前のことを語り、南瓜と入れ替わりに浮かべたグリモアが世界の色を変えていく。

「さぁ語ろうか! 舞台は久しき星々の煌めく大海原、スペースシップワールド! 君達には大宇宙のハロウィンを守って貰いたい!」

 スペースシップワールドはハロウィンの時期ともなれば、リゾートシップでは様々な催しが開催されている。
 農業艦も南瓜を提供し、輸送船はそれをあちらこちらへと運んでいるのだが、その内の一隻がオブリビオンの襲撃を受けて南瓜が強奪される事件を予知したのだという。
「何ともまあ情けない事だが、これがそのオブリビオンだ」
 そう言ってスフィーエは南瓜強盗をやらかすオブリビオン、旧型の小型艦が並ぶ様をグリモアで映し出した。
 曰く、銀河帝国軍の残党であり、落ちぶれに落ちぶれた挙句、宇宙海賊の真似事をしているらしい。
「しかしそれでも戦力自体は本物だ。このままでは折角育てられた南瓜が入るべきではない胃の腑に収まってしまう」
 そうなる前に輸送船の下まで赴き、輸送船を守って欲しいのだとスフィーエは語った。
「残念ながら輸送船へ直接送ることは出来ない。近くの空域までだ。そこで宇宙船を借りるか、自前の移動手段で現場に赴いて欲しい」
 急げば丁度、襲撃が始まり敵艦船が取り囲んだ所から戦いを始められる。
 輸送船の特徴と大まかな方向を説明しながら、何とか追いついて落ちぶれた銀河帝国の残党を倒して欲しいと語った。

「その後はリゾート船で、南瓜の甘味を楽しんでいくといい」
 曰く、スイーツ工場見学を売りにしているらしく、ハロウィンの時期は南瓜を使ったスイーツを楽しめるらしい。
 材料や設備などは揃っているので自分で作ってみたりするのは勿論、作れなくともロボットに頼んで食べたいものを作って貰うことも出来るのだという。
 提供された南瓜は非常に質が良く、今年のスイーツは大変に良いものになりそうだとも、スフィーエは笑いながら語った。

「さて、久々に予知した宇宙世界の事件だが」
 一通りのことを語り終え、スフィーエは南瓜をもう一度手に取り、ボールのように何度か手の上で跳ねさせつつ語り出した。
 暫し弄んだ南瓜を大事にコートの中にしまうと、改めてグリモアの輝きを以て、宇宙空域への転送陣を作り出し。
「中々に甘くない状況だ。しかし何とかして、携わる者の誇りを守ってやって欲しい」
 南瓜を作った者、それを運ぶ者、その催しを考えた者――様々な想いを不当な暴力から守る為にと、スフィーエは頭を下げるのだった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 皆様、カボチャはほくほく派ですか? それともねっとり派ですか?
 どっちにしろ栄養豊富ですが糖質のとり過ぎには注意しましょうね。

 さて今回は久々にスペースシップワールドでのシナリオとなります。
 カボチャを輸送する船を襲う、落ちぶれた帝国軍の残党を撃破し、カボチャスイーツを楽しみましょう!というシナリオでございます。

●第一章『集団戦』
 輸送船を襲うオブリビオンを撃破して貰います。
 輸送船への転送はできないので、現地までは宇宙船を借りるか、自前の移動手段で赴いて貰います。
 状況としては艦隊が輸送船を襲おうとしているので、宇宙空間で輸送船を守りつつ戦うとボーナスになります。

●第二章『日常』
 スイーツ工場見学の出来るリゾートシップでの一幕となります。
 カボチャスイーツを存分に楽しんでください。
 ロボットに頼んで作ってもらうこともできるので、料理に自信が無くても大丈夫です。

 プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『銀河帝国哨戒艦隊』

POW   :    一斉発射(対艦ミサイル)
【火器管制レーダー照射】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対艦用の反物質ミサイル(一斉発射)】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    一斉発射(対艦ビーム砲)
【対艦用の加粒子ビーム砲(一斉発射)】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    一斉発射(電磁投射砲)
【複数の艦船に搭載された、電磁投射砲の砲身】を向けた対象に、【砲身から超高速で発射された高速徹甲弾】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン、かつての帝国軍が野盗の真似事とはな
もともと高く見ていたわけではないが、随分と落ちぶれたものだ

UCを発動
パワードスーツに身を包んで戦場に赴く
背部ブースターを噴かせ、ダッシュで敵の周囲を飛び回り相手のビーム砲を躱していく
目標が小さいから狙いにくいだろうし、上手く行けば同士討ちも狙えるな

さて、この後は楽しいハロウィンパーティーだ
無粋な輩にはご退場願おう

敵の砲撃が少なくなったら、肩部ビームガトリングやグレネード付きビームライフルで攻撃
砲身やブリッジを直接狙って撃てば行動不能に出来るだろう

艦隊とは言え旧式ならばこんなモノか
骸の海へと消え去るがいい…お前達の主も待っている事だろうしな



●パーティの始り
 図体でいえば大きな輸送船を、幾つもの小回りが利く小型の艦隊が取り囲む――尤も、備わった武装から言えばどう見ても弱者を追い立てる状況であり。
 今にも艦船の一つが牽制の為に光線を解き放とうとしたその瞬間、その間を流星の如く過ぎ去った影が一つあった。
「繰り返す! 我々の為に南瓜を……ぬおっ!?」
 コンソールに移る姿は一人の人間、パワードスーツを全身に身に纏い、背にブースターを強く噴かせた姿。
 キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は振り向くと、立ち並ぶ艦隊に向けて侮蔑の念を込めて吐き捨てた。
「フン、かつての帝国軍が野盗の真似事とはな」
「否! これは盗賊に非ず!」
「ほう?」
「栄ある銀河帝国の復興の為の聖戦であ~る!!」
「…………」
 これはまぁ、なんというか。
 自信満々に通信を入れる声に、その一歩とやらが南瓜泥棒かと思うと――
「もともと高く見ていたわけではないが、随分と落ちぶれたものだ」
 明らかなキリカの落胆の声に、何かを刺激されたか残念な敗残兵達は艦船のビーム砲の狙いをキリカへと定めた。
 方向に光が迸り、本来対艦の規模を明らかに間違った出力の粒子がキリカを襲う――しかし。
 張り巡らされた光線と光線の間を、背部のブースターを吹き上げ、無重力下の中を軽やかに跳躍するかのように。
 目標があまりにも小さな彼女を捉えて尚、戦艦の機動も真っ青な縦横無尽の翔け巡りがそれを躱し続ける。
 それこそまるで、数多の愚鈍な巨人を弄ぶ妖精のように、悪戯に続く<Trick And Trick>はやがて――
「しまった!」
 躍起になってキリカを追い粒子を放てばそれは自然なこと、舞い踊る様が齎した結果は光線と光線を艦船同士にぶつけ合う同士討ち。
 同質の力はそのまま同胞を破壊させ宇宙の藻屑と艦船を変え、数を減じた中にキリカは己が銃火器を構えた。
「この後は楽しいハロウィンパーティだ。……分かるな?」
 このような無粋な輩にはお菓子の代わりにこれが相応しい――肩部のビームガトリングよりの光の弾幕が艦隊を打ち据え、動きを押し留めながら。
 正確に狙いをつけて撃ち込まれたビームライフルが――時に祝いのクラッカーの如き榴弾が爆ぜ、砲身やブリッジを破壊し艦隊を轟沈させていく――!
 艦隊とはいえ、旧式のフォーミュラが滅びた世界のオブリビオン、呆気なく個人用の兵装でスペースデブリと化していく様に、キリカはこう告げた。
「骸の海へと消え去るがいい……お前達の主も待っている事だろうしな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
そりゃ確かに広義ではあいつらのやってる事って「海賊行為」って表すけど、あいつらと誇り高い宇宙海賊を一緒にされたくないなあ
宇宙海賊シャークトルネードの名にかけて、あいつらをさっさとやっつけちゃう

輸送船の護衛はウィーリィくんに任せ、ボクは【エクストリームミッション】を発動させて輸送船を狙うオブリビオンを片っ端から撃破していく
【空中戦】+【フェイント】でビーム砲をかわしながら【スナイパー】+【武器落とし】で砲塔を潰して戦闘力を奪い、【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で周囲のオブリビオンを一掃するよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
腹空かせてるのはしょうがないけど、自業自得の因果応報だろうが!
残念だがお前らにくれてやる南瓜はないぜ!

敵の数が多いみたいだからシャーリーと手分けして掃討する。
攻撃は機動力に優れたシャーリーに任せ、俺は輸送船の守りに専念する。
小型の宇宙艇を借りて輸送船を【かばう】形で割って入り、大包丁の斬撃の【衝撃波】で大き目の残骸を砕いて【地形の利用】でそれらをチャフ代わりにしてレーダー照射を逃れながら敵艦隊を【飢龍炎牙】で撃破していく。



●ピースメイン
 かつての銀河帝国の栄華と暴力は何処へやら、暴力のみが下劣な形で続く艦隊へと、颯爽と斬り込む二つの影があった。
 一つは借り物の宇宙船を以て、攻撃に晒されようとした輸送船との間に割って入った者。
 宇宙服に身を包み、身を乗り出しては宇宙に浮かぶ大きなデブリを大包丁の一撃で打ち砕き、砕かれた粉末を宇宙の領域に散らす。
 チャフの形に巡らされたそれが、必殺の威力を持ったミサイルの為の準備を撹乱しながら、それを輸送船の周りに護衛についたウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が吐き捨てる。
「銀河帝国が海賊の真似事か」
「……そりゃ確かに広い意味で言えば海賊行為だけどさ。死ぬほど一緒にされたくはないんだよね」
 そしてもう一つ。
 自らの身を鮫が如き鎧で包み、背のバーニアに音を優に超え無重力と真空の中を重力の下よりも鋭く、速く飛翔する少女が忌々しく吐き捨てた。
 ――そして腹の底から湧き上がる嫌悪感をぶつけていくかのように。
 少女――シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は、艦船から放たれ行くビームを軽やかに躱し、砲塔へ直接狙いをつけ熱線を撃ち込んでいく。
 解き放たれるはずだった熱量が塞がれ誘爆される形となり、砲塔はそのまま無と消えて。
 更に追撃は止まらず、シャーリーの踊るかのように弾かれた引鉄が放たせる、無数の光芒が放射状に広がっていき、オブリビオンの艦船、その動力炉を貫き――轟沈させていく。
 あまりに徹底的で苛烈な攻撃ぶりに、恐れ慄きながらも敗残兵達は抗議の声を挙げた。
「不敬であるぞ! 我等皇帝陛下の為の軍、我等の兵糧を提供しないことは即ち、皇帝陛下への反逆と同じこと!」
 そも、その皇帝が滅び、まして皇帝へ牙を向けた猟兵達の前にそれは無意味な恫喝に過ぎぬが――更にタイミングの悪いことに、通信を介し兵の誰かが鳴らした腹の音に、微妙な空気にもなって。
 それを晴らすかのように、ウィーリィの叫びが通信で入った。
「腹空かせてるのはしょうがないけど! 誰だって腹は減るもんな!」
 例えそれが救いようのない悪であろうと――レーダーを撹乱する為に、輸送船の周囲を飛び回りながら残骸を打ち砕き、妨害を張り巡らせつつ。
 彼の声にそうだろう、と頻りに頷こうとした残党達へ、容赦なくそれを斬り捨てるかのように彼は叫んだ。
「けど自業自得の因果応報だろうが!」
「貴様ぁ! 言うに事欠いてーっ!!」
 通信を介し響き渡る、聞くに堪えない身勝手な論理。
 落ちぶれて略奪行為に走った敗残兵達の、救いようのない言葉に――放たれる光線を最低限、バーニアを軽く吹かしギリギリの所で躱したシャーリーの中で何かが切れた。
「もういいよ」
 ――不思議と、通信を通して響き渡った声の底知れぬ冷たさと、静かな怒りが憤りに満ちていた残党達の声を強引に鎮めた。
「誇り高い宇宙海賊シャークトルネードの名にかけて、その海賊行為(モーガスタ)は絶対に止める」
 後ろを気にすることはない。守るべきお宝は彼が守ってくれている。
 だからボクがすることは、このどうしようもない海賊を徹底的に攻めること。
 慣れた宇宙空間の中、星々の大海原を鮫は変幻自在に泳ぎ、哀れな小物達が放ってくる光線を物ともせずに躱していき――回避と同時、正確に撃ち込まれた熱線がまた容易くに砲塔に煙を上げさせる。
 光線を放てば次の瞬間には砲門を破損させられ、必殺のミサイルは戦場に張り巡らされた簡易的なチャフの所為で儘ならず。
 砲塔を破壊された次の瞬間には、宇宙空間の中を駆け抜ける熱<プラズマ>の流星が動力炉を撃ち抜き、艦船を落としていく。
 そしてチャフを十二分に張り巡らせ、シャーリーの獰猛な攻めに続く攻めが敵艦船を減らしていくのを見、ウィーリィは大包丁に炎を盛らせた。
「残念だがお前らにくれてやる南瓜はないぜ!」
 寧ろ逆に喰われればいい――ここぞとばかりに振るった大包丁より、紅蓮の炎が盛ってはうねり、九頭竜を象って。
 星々の海を赤赤と照らす業火の竜が、音も立たぬ真空の中に於いて尚、恐ろしい雄叫びを挙げているかのように、開かれた顎門が次々と、次々と艦船を喰らっていく。
 ここに来てシャーリー一人にも手に余っていた艦隊が、ウィーリィからの攻撃も加わることで本格的に崩れていく。
「さぁ、誇り高い海賊との史上最大の戦いだよ! ついてこれる覚悟は――最初から聞いてないッ!」
 そして――マスケット銃を華麗に取り回し、誇り高き宇宙海賊としての矜持をこれ以上とないまでに燃え上がらせ、極限まで力を高めたシャーリーは艦隊の中心へと一瞬でその身を飛び込ませ。
 己を取り囲む艦隊へ、シャーリーを中心とした熱線の派手な花火を咲かせるかのように。
 乱れ撃たれた熱線の迸りが、無数の艦隊達を撃ち抜き、彼等を星々の大海の藻屑と変えていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「スイーツスイーツ♪邪魔するヤツは皆殺し~♪」
瑠璃「ハロウィンのカボチャを狙うなんて、よっぽど困窮してるのかな?まぁ、容赦はしないけどね」

ジェミニオン二機で戦闘。
機体を超音速形態に換装させ、二機でのミサイル斉射で【弾幕】を張り、フェザービットを展開。
ビットによるオールレンジ攻撃で敵艦の主砲やエンジン、艦橋を潰し、超音速機動によるソードライフル乱射からの斬撃で艦を落としたり、【エネルギー充填、砲撃】ヴェスバーによる照射でまとめて沈めたりして殲滅するよ。

緋瑪「降伏するなら早めをオススメするよ」
瑠璃「一隻も逃すつもりは無いからね」



●海賊滅殺
 スペースシップワールドの宙(そら)を、赤と青の二つの対照的な姿鮮やかなキャバリアが飛ぶ。
 対照美も鮮烈な二つの流星の如く、推進器を吹かせ双子機体は往く――コックピットの中の少女の、上機嫌な歌声を乗せて。
「スイーツスイーツ♪ 邪魔するヤツは皆殺し~♪」
「随分ご機嫌だね。気持ちは十分わかるけど」
 二つのキャバリアで並び飛ぶ、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)は半身の緋瑪が上機嫌に歌う姿に通信を入れた。
 それにしても、と瑠璃は戦闘空域に辿り着くや否や、何ともみっともなくも弱者の輸送船を取り囲もうとしている旧銀河帝国軍の艦船をセンサーに捕えつつ呟いた。
「ハロウィンのカボチャを狙うなんて、よっぽど困窮してるのかな?」
「そうなんじゃない? 帝国軍なんて言っておいて、やってることは……ねえ?」
「貴様らぁ! 言わせておけばぁ!!」
 指摘が事実だからこそに堪えるのか、艦船から対艦用の加粒子が光の帯となりて双子キャバリアへと飛来する。
 だが超音速の――まして無重力・真空下となれば猶更に速度を増したそれは上下に分かたれるようにして、軽々とそれを躱し。
「まぁ、容赦はしないけどね」
 瑠璃の呟きが彼等に届くこともなく、二機から一斉にミサイルが飛び敵艦船へ襲い掛かる。
 それを備わった副砲で敵艦隊は撃墜していくも、次々と撃ち込まれるそれがカーテンとなり、双子キャバリアより幾つものビットを出現させていた。
「なっ!?」
 そして気が付いた時には既に遅く、数多のビットが四方八方、上下左右より艦船を取り囲んでいた。
 エンジンを揺さぶり動かし、完全なる包囲網から抜け出そうとしてもそれは叶わず、三百六十度天地問わずの全方囲の攻撃が主砲やエンジン、ブリッジを容赦なく打ち壊していく。
 既に戦艦としての機能を失ったとしても二人で一人の殺人姫達は容赦なく、キャバリアを超音速で以て潜り込み――赤と青の機体よりの、踊り狂うが如き斬撃が艦船を斬り刻み、斬撃を放つ剣が変形したライフルよりの無数の光線が戦艦を派手に轟沈させていき。
「降伏するなら早めをオススメするよ」
「一隻も逃すつもりは無いからね」
 尤も降伏をしようとも、待ち受ける終焉は一隻も残らず滅ぼされる未来のみであるが――無論、己の面子とやらに賭け続ける旧軍が降伏をすることも無く。
 二つで一つの双子キャバリアが必殺の粒子砲を解き放てば、敵艦船が解き放った粒子の出力を軽く上回るそれが容易くに艦隊を飲み込み、粒子砲の蒸気と艦隊を変えていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
久方ぶりの故郷の戦場です
三次元戦闘の腕は…錆びるような物でもありませんね
…行きましょう
猟兵としての長年の敵手達に、そして遥かな過去の同輩達に引導を渡す為に

ロシナンテⅡに騎乗し推力移動全開
一息に戦闘宙域へ

マルチセンサー情報収集と瞬間思考力で軌道を見切りUC馬上槍に搭載された機関砲の乱れ撃ちスナイパー射撃で武器落とし
爆破範囲を掻い潜り、UCを起動
艦船強襲用の本領を発揮し艦底から動力炉、艦橋まで突き破り先ずは一隻を撃沈

本来は内部に乗り込み白兵戦を行う為の物ですが…このクラスの艦艇には十分ですね

さあ、選んでいただきます
非力な輸送船を襲う海賊の汚名か、裏切り者を断固許さぬ帝国軍の矜持か

そのまま艦隊を蹂躙



●時の流れ
 実に久方振りの故郷の戦場だった。
 愛馬の推進器を吹かし、重力と空気の中と違う全てを飲み込むような宇宙の空を翔け抜けるこの感覚。
 高速飛翔体を感知した旧帝国軍の艦船が、レーダーを張り巡らせ、反物質を込めたミサイルを放つ。
 愛馬に跨った白騎士トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、己が内に仕込まれた高度な感覚器と演算装置を以てミサイルの接近を察すると、正確に狙いをつけ――馬上槍(ランス)に仕込まれた機関砲を向ける。
 反動も確りとその剛力で捻じ伏せ、撃ち込まれる機関砲に爆ぜる反物質の爆発を、四方八方に駆け巡り威力の余波を掻い潜り。
「……ふむ。錆びるものでもありませんね……行きましょう」
 ――処刑宣告と共に、緑の輝きが兜の格子に一つ輝くと、騎士は大槍を前に突き出した。
「暴れ馬ならぬ暴れ槍ですが……御してみせましょう」
 刹那。
 戦艦のモニターよりトリテレイアの姿が消えたかと思われた一瞬、戦艦の一隻が艦底より大きく揺らいだ。
 突撃槍を以てトリテレイアが思い切り其処を貫いたからだった。
 更にそれだけに留まらず、撃ち込まれた槍より広がる傘状の力場、それそのものが削岩機となったかのように、戦艦の巨体を掘り進み貫き進み。動力炉も、艦橋も悉く貫いて――
「退避……い、いや、間にあっ……うあああああ!!」
 その叫びが、艦隊の兵士達が聞いた最後の通信となった。
 白き閃光が艦船から勢いよく飛び出たかと思えば、次の瞬間には、貫かれた艦船は大宇宙の海に派手な花火を咲かす――!
「さあ、選んでいただきます」
 そして爆風の圧にも一切動ずることなく、振り向いた白き戦機の、緑の眼の輝きと共に通信を介して入った声に艦隊の乗組員達の背が恐怖に泡だった。
「非力な輸送船を襲う海賊の汚名か、裏切り者を断固許さぬ帝国軍の矜持か」
 最期の時を迎えさせることは確かであるから、散り際は如何にするか――突き出される大槍の切っ先、その圧に艦隊に乗り組む兵士達は肩を暫し震わせる。
 だが幾許かの秒を過ぎ、艦隊を率いる将校が通信機越しに叫んだ。
「見くびるな! 我等誇り高き帝国軍ぞ!」
「成程、矜持を選ぶと」
 ――そこまでは堕ちていなかったと安心するか、海賊と軍人の区別もつけられなくなったことを憐れむか。
 ただ彼等の返答に淡々と選択を機械的に確認すると、再びトリテレイアの緑の一つ眼が静かに明滅し敵艦隊に最後の通信を入れた。
「なれば過去の同輩として向き合いましょう」
 ――只管に正確に。
 機械仕掛けの感覚器は一切の遊びもなく、艦船の放つレーダーを捉え噴かすスラスターの軌道は必要最低限の無駄のない動きで躱させて。
 何処までも正確に、ロケットブースターの推進も強く動力炉を大槍で貫き、的確に艦船を無力化よりの爆発四散せしめ。
 在りし日の同輩は過去の亡霊を無慈悲に雪いでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『宇宙のスイーツ工場』

POW   :    とにかく沢山のスイーツを作る

SPD   :    見た目にこだわるスイーツを作る

WIZ   :    挑戦的な味のするスイーツを作る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●南瓜スイーツ工場見学~自作してもいいよ!~
 落ちぶれた銀河帝国の残党による略奪は退けられ、無事に輸送船は農業船よりの南瓜を届ける責務を果たせた。
 幸いにも輸送船の一部が軽い損傷を負った程度で、乗組員達や南瓜はほぼ無傷で済んだのが幸いし、滞りなくリゾート船のフェスは開催されるだろう。

 準備もそこそこに、猟兵達は輸送船を守り抜いた勇士として、リゾート船で開催されるスイーツフェスに大いに歓迎されていた。
 リゾート船は祭の会場としてはやや無機質に見え、祭用に飾られた風船や飾りつけなどが無骨な船内に何とも言えない対比を見せていた。
 元々工場であったものを、参加・見学を自由にし祭用に使っているのであるが、それはそれで一つの趣があるのかもしれない。

 だが流石に元工場というだけあって、船内ではそこかしこに沢山の南瓜を使ったスイーツが並び、その種類の豊富さや量に関しては追随を許さない。
 また、多くの調理器具や材料も揃っているので、参加者が自由にスイーツを作り楽しむ自由も保証されている。
 調理の腕に自信がなくとも、工場内のAIやロボットが作成を担ってくれる。

 挑戦的なスイーツを作るか、はたまた供されるままにスイーツを楽しむか。
 無事に戦いを終え、激戦に疲労した身体は南瓜スイーツの甘味で癒してしまうのも……良いかもしれない。
ルドルフ・ヴァルザック
「悪は去った、我輩が直接手を出すほどでもなかったか。フゥーハハハ!」
・何事もなかったかのように、肩で風を切って歩き、フェスティバルの会場に登場(いや、自分よりはるかに強そうな敵に手も足も出せず戦闘に参加できなかっただなんて、口が裂けても言えまい。まず船ごと相手取るとか無茶だろ……)
・生まれも育ちも辺鄙な農村ながら、幼少期から家事を手伝っていたことから料理には多少の心得があるので料理には結構自信がある。機械の操作はよく分からないが、無限の自己肯定感と無根の虚栄心と「幸運」でどうにかなるだろう。たぶん……
「腹を空かせた民を養うもまた貴族(自称)の務め。このルドルフ・フォン=ヴァルザックに任せ給え」



●神の賽子は甘く
 威風堂々と肩で風を切り、リゾートシップの中を闊歩する男がいた。
 歴戦の勇士が如き佇まい、銀河帝国の悪の兵士をも相手に無双し、打ち倒すような尊大さに胸を張り、男は高らかに笑う。
「悪は去った、我輩が直接手を出すほどでもなかったか。フゥーハハハ!」
 ルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)の尊大な姿に、リゾートシップを歩いていた一般市民は何事かと視線を向ける。
 或る誰かがきっと解放軍だ、英雄だぞと声を発すれば否応なしにルドルフは注目を集め、笑いを崩さずとも彼の背中に冷や汗が伝う。
(……いや、戦艦丸ごと相手取るとか無茶だろ。猟兵怖い……)
 口が裂けても言えはしない。あんなに大きな相手が怖くて立ち向かえなかったなんて、絶対に言えない。
 虚栄心も剥き出しに背中に伝う汗の嫌な感触を捻じ伏せて、ルドルフは改めて集まってきた民衆を見渡した。
「さて諸君、我が名は、ルドルフ・フォン=ヴァルザック! うむ! その通り。竜をも討滅し、民を導く者ぞ! フゥーハハハハハハ!」
 集まる民衆のやはりかという声に力強く頷くと、彼は素晴らしき提案を持ちかけた。
「という訳で諸君らに我輩特製の南瓜スイーツをご馳走しよう」
 おおっという声が響き、何も知らぬ民はルドルフに輝かしい目を向ける。
 英雄の作る菓子だ、きっと想像もつかない味だ――期待の上がること上がること。これはもう後には引けない何かを感じながら、ルドルフは機械の前に行き。
「腹を空かせた民を養うもまた貴族の務め。このルドルフ・フォン=ヴァルザックに任せ給え」
 当然ながら貴族には副音声で自称が入っているのだが、閑話休題。
 とは言ったものの、実際にどうするか。全く分からない。
 チンプンカンプンだ――だがまあ、世の中というのは意外と何とかなるもの。根拠も何も無い自己肯定感を以て、適当にパネルを押す。
 不味ければ不味いで、貴族の味だとでも言えば何とかなる――筈。多分、おそらく、きっと。いや絶対。
 絶対的なこの運気が必ず何とかしてくれる――適当な操作で出来た南瓜の舌触り滑らかなプリンの味はというと。
「フゥーハハハハハハ……!」
 思いの外、好評であったようで、口々に彼を褒め称える声に気を良くして笑い続ける。
 限りない剛運で何とかなった味は――普通に美味しかった。もしかすると思ったよりはという疑問の声も聞こえてくるのかもしれないがそこはそれ。
 自己肯定の一部に加わった細やかな偉業に、彼は只管に気を良くしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

南瓜泥棒共も全員追い払えた事だし、ようやく一息をつけるな

溢れる程に並んでいる、南瓜のスイーツを頂こうか
チョコレートの蜘蛛の巣やマシュマロのゴーストで飾られたプリン
ジャック・オ・ランタンの顔が描かれたタルト
どれも味が良いだけでなく、目にも楽しいな

むぅ…このお菓子の家は素晴らしいな
食べるのが勿体ないくらいだ

パンプキンクリームやダークチョコレート
毒々しい色のマーブルチョコやキャンディで飾られた豪勢なお菓子のお化け屋敷だ
至る所にモンスター達を象ったスイーツも散りばめられて迫力も充分だな
言うまでもなく、味も素晴らしい

スイーツ工場の本気を見たな…食べるのが勿体ないくらいだ
美味しくいただこう



●ホーム・スイート・ホーム
 やはりというか流石というかなのか、形の良い鼻を刺激しているものは、堪らない甘い匂いだった。
 南瓜泥棒を無事に撃退できた達成感もそこそこに、歓迎を受けたリゾート船の中に満たされた匂いは戦いに伴う疲労を優しく包み込み、癒してくれるようであった。
「ようやく一息つけるな……さて」
 激戦を終えた勇士が一人、キリカは様々な南瓜を活かしたスイーツの並ぶ販売所のラインナップを見つめていた。
 どれもこれもが一流といって差し支えなく、南瓜の持つ彩と適切な調理によって引き出された甘い空気は誘う。
「そこのプリンとタルトを貰おうか」
 チョコレートの黒褐色が南瓜の土台に蜘蛛の巣を際立たせるプリンの舌触りは滑らかに、南瓜の優しい甘さにチョコレートの微かな苦みとカカオの旨味が官能的に。
 有名な南瓜のお化けを描くタルトは南瓜本来の味を存分に生かし、バターの香りと生地の歯脆さが嗅覚と歯をも愉しませてくれる。
 それに。
「むぅ……このお菓子の家は素晴らしいな。食べるのが勿体ないくらいだ」
「お目が高い。実は私達の最高傑作なんですよ」
 キリカがとっておきの楽しみにと確保したものは、お菓子で出来たお化け屋敷であった。
 ダークチョコレートと南瓜クリームの対照美も美しく上品に。
 その上を毒々しさすら覚えるマーブルチョコレートやキャンディで飾り、周囲にはポップな、それでいて見れば見る程に造形の細かさが伺える怪物――スペースシップワールドの世界柄、クェーサービーストじみたものが多いのはご愛敬か――が飾る。
 値段も相応のものであったが、解放軍価格ということで特別に手頃な値段で提供して貰ったそれを、上機嫌で開発に伴う様々な裏話を快く話すスタッフの姿を微笑ましく思いつつも、キリカはクリームを一つ口に運ぶ。
「だろうな。……無論、味も素晴らしい。流石といったところか」
 味は極上、食べれば崩してしまうのが勿体無い造形美、されど食べ進まずにいられない二者択一の妙。
 これもまたハロウィンの悪戯か何かを感じつつも、只管に上機嫌に甘いお化け屋敷を片付けると。
「流石工場、本気を見たな……」
 確かに、確かにだ。場所のレイアウトとしては派手とはいえないし、最終的には食べることに帰結する催しばかりだ。
 だがそれでいい。だからこそ、それに特化した品揃えと食べても食べても尽きることの無い、如何な場所で何を食べても相応の満足感を与えてくれる。
「まあ、美味しく頂くことに変わりはないが」
 次は何処にしようか――時間はまだまだある。
 ハロウィンの魔も寄せ付けぬ程に上機嫌にキリカは次の星<スイーツ>を求め往くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
みんなのハロウィンを守れてよかったね
せっかくだからボクたちも楽しもうよ!

【手をつなぐ】でウィーリィくんを引っ張ってスイーツフェスを堪能する
もちろんウィーリィくんの作ってくれる料理は大好きだけど、作ってばっかじゃ楽しめないでしょ?
それにほら、他の人の作品を味わう事でインスピレーションが湧くかもしれないし

そう言いくるめて、みんなの笑顔を守ったヒーローに休んでもらう
ほらほら、このマリトッツォみたいなお菓子、美味しそうでしょ?

がんばったご褒美に、色んな甘みとウィーリィくんとの時間を楽しもっと


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
すっごい種類の南瓜スイーツだな!
SSWだけあって調理法も手作業だけじゃ出来ない様なのもあるんだろうな。
これは料理人として俺も負けちゃいられないな!

……と挑戦しようとしたけど。
今回はシャーリーと一緒にフェス巡り。
他の世界では食べられないスイーツもあるだろうし、勉強にもなるしな。
それに、俺が料理作ってる間シャーリーを一人にしちまうから。

そんな訳で。
「シャーリー、これどうやって食べるんだ? 齧ったらクリームはみ出ちまうんだが」
「これってどうやって作るんだ?」
といつもと逆にこっちがSSW出身のシャーリーに色々教えてもらう。
たまにはこういうのも悪くないな。



●お菓子を作らないならお菓子を食べればいいじゃない
「みんなのハロウィンを守れてよかったね。せっかくだから……おーい?」
 少女が少年に声を掛けていて尚、少年の意識は別な場所にあった。
 工場見学。
 それは大小様々な機械が規則正しく動き、非常に迫力のある流れを産み出すもの。
 工場船を元にしたリゾートシップならば当然、量産区画を見下ろせる窓もあり、ガラス張りに手を張りつけウィーリィはそれを食い入るように見つめていた。
「おおお……! すげえ……!」
 少年のように――実際少年の年齢だが――目を、大宇宙の星々にも劣らぬ程に輝かせ、ウィーリィは次々とスイーツが作り出されていく様に釘付けになっていた。
 全自動の調理過程は他の世界でもあったりはしたが、特に技術の発展著しいスペースシップワールドのそれは思いもよらぬ調理過程を見せている。
「これは料理人として俺も……」
「ウィーリィくん」
 料理人として腕が鳴るもので、意気揚々と調理が試せるブースへと行こうとしたウィーリィの手首を、苦笑交じりに掴む少女がいた。
 ここに来てようやくに、ウィーリィはシャーリーが声を掛け続けてきたことを思い出し、ハッと目を見開いた。
「気持ちはすっごく良く分かるし、ボクもウィーリィくんの作ってくれるお菓子は大好きだよ? でも今日は、ね?」
 ――彼の探求心を否定なんて出来ないし、料理に夢中になる姿も大好きだと思うけれど。
 それでも今は、自分との一時をゆっくりと味わっていて欲しいと、シャーリーはそのまま手を握り、軽くウィーリィを引っ張るようにしながら上目遣いをしてみせて。
 そのまま引っ張る勢いのままに、シャーリーは彼をリゾート船内の渦中へと連れ込んでいく。
 前につんのめりがちになりながら、歩を進めてはウィーリィはふっと顔を緩めると。
「……そうだな。偶にはいいかもな」
 考えてみれば、調理の間はシャーリーを一人にしてしまうのだから。
 他の世界では食べられないスイーツもあるだろうし、それを一緒に楽しんでみるのもいいかもしれない。調理だって、それこそ今でなくたって良いのだからと、ウィーリィはシャーリーに連れられて行く。
 そうしてとある一角、たった今機械の中から出てきた一つの菓子を手に取ると、嬉々としてシャーリーはそれを見せつけた。
「ほらほら、このマリトッツォみたいなお菓子、美味しそうでしょ?」
「へぇ……似たようなのってあるんだな」
 シャーリーから受け取ったそれをまじまじと見つめてみる。
 表面はやや硬く、押し込んだ感触としては意外に軽めに作られたパンは大口を開けたかのように開かれ、その間にはオレンジゴールドのクリームが詰められていた。
 UDCアースなどで流行のスイーツにも似た、この大宇宙航海の世と時代にもあるのかと巡り合わせの妙を感じたりもしながら――ウィーリィはそれを、真正面から喰らいついた。
 しかし。
「「…………」」
 二人の間に流れる何とも言えない沈黙。
 ウィーリィの口元を汚す、オレンジゴールドのクリームは、押し潰される形で溢れたもの。かぶりつくには困難が伴うそれに、ウィーリィは問いかけた。
「シャーリー、これどうやって食べるんだ? 齧ったらクリームはみ出ちまうんだが」
「ああ、それ、こうやって……」
 苦笑交じりにシャーリーはパンの一部を千切ると、それをクリームに付けて口に運ぶ。
 やってみて、とクリームをつけたパンを咀嚼しながら、シャーリーは目線のみでウィーリィにそれを促してみせた。
 それに応え、慣れた手つきでパンを千切りクリームをつけていくウィーリィは、ふと思ったことを呟いた。
「なんか、チョココロネをこうやって食べるのってあったよな」
「そうそう! そんな感じだよ」
 咀嚼していたパンを飲み下し、ウィーリィの呟きに非常に納得したかのようにシャーリーが手を叩き、指を突き出して頷いて。
 こうして食べてみれば、パンは歯応えがあるようで軽く、噛み締めれば小麦の旨味が溢れてくる。
 そして肝心のクリームは南瓜の味わいを――舌から胃の腑を滋養で優しく撫でる穏やかな甘味を存分に活かしている。恐らくは砂糖も控えめにしているのだろうが、充分に甘く、それでいて舌を過ぎ去る時には爽やかな風味すらも残す。
「……ん。美味いな。コッテリしてるかと思ったら、結構軽く出来てる。これどうやって作るんだ?」
「ええと、確かそっちに作ってるところを映したのが……」
 次はそっちに行こう、とマリトッツォ(風)を片手に、もう片手を繋ぎながらそれを生成する機械と、その様子を映し出したモニターのある場所へとシャーリーは連れていく。
 きっと作っている様子を見たら、またさっきと同じように目を輝かせる姿が見られるのだろうか。でもそれも良いかもしれない。
 ――これは頑張ったご褒美。戦って戦って、頑張り抜いた海賊<ボク>が手にした最高のお宝。
 自由な海賊は得られた宝を喜び、料理人と共に甘く祭りの一時を過ごしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
お菓子はレシピ通りの材料の正確な計量など正確性が求められるもの
故に…

(じっと工場内のロボットが南瓜パイを作る動作を注視し)

こうして作業工程の一挙一動を記録しておけば、私自身もこの機械と遜色ない味のお菓子を再現出来る筈
武芸だけでなく、何時か友人か客人に振舞えるような余技として身に付けたいものです

作業用アームのあの動作は、こちらのマニュピレーター動作の高速化で代用して…

これが完成品ですか
普通のパイと高級品…差を確かめてみましょう

(口部装甲が開いた先の「穴」に入れ)

…差が、わかりませんね…

やはり後付け食事機能を高級品に換装する他…いえ、これ以上余計な演算領域を増やすと…
(美味しいお菓子自作に悩み)



●思考プログラムはショート寸前
 正確性という観点に於いては機械は得てして代名詞として挙がるものであり、そうした意味ではこの工場内の機械はこの上ないサンプルであろうか。
 工場内のロボットが作る菓子をトリテレイアは凝視していた。
 パイシートから中身の南瓜のフィリングを作る過程、それを合わせ焼き上げるまでの過程を。
 作業機械のアームが動き材料を組み上げ、大規模なオーブンが焼き上げる際の温度の変化を計測し、正確に演算しながら記録媒体<脳>に刻みこむ。
 魂は兎も角として身体は同じ機械であるならば、こうした機械の一挙手一投足を正確に記録しておけば、後々遜色なく振舞える見込みだ。
「成程、となるとこの作業アームはマニピュレータで代用できますか……オーブンの方は温度を……」
 顎に手を当て独り言という動作を経て、生身の人間と同じように思いついた過程を整理する。
 友人に武技以外の余技に振舞う過程を想像しながら、完成したと出来たての南瓜パイの二つが来ればそれらをまじまじと眺める。
「これが完成品ですか。普通のパイと高級品……差を確かめてみましょう」
 見た目には殆ど差はない――尤も、見る者が見れば表面の艶が違うものであるし、漂ってくる香りも微妙に違う。普通の方のレベルが高いのだから止む無しと言ったところであるが。
 後は実際に食べてみればわかるだろう――口部装甲が開き、その先にある【穴】へとパイを放り込む。
 一つ一つ、美食家さながらに吟味をしてみせた後、トリテレイアはあ頭を抱え。
「差が……わかりませんね……」
 全ての感覚器<センサー>に限りなくリソースを割り振り、噛み砕く際のパイの断層が弾ける圧も。クリームの蕩ける舌触りの流動性も、小麦、バター、卵、砂糖、南瓜、その他諸々の材料の組み合った複雑怪奇な数式<味>も。
 繰り返すが普通の方のレベルが高いのであるから、ある意味ではこれはこれで普遍性という意味で工場製品としては理想なのかもしれないが。
「やはり後付け食事機能を高級品に換装する他……いえ、これ以上余計な演算領域を増やすと……」
 余技の為にリソースを割り振るか、それとも負担を減らすか。
 尽きぬ悩みに思考回路に熱を帯びながら、甘く苦い思考は積み重なるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「カボチャの甘味が良いね~♪」
瑠璃「でももう一工夫…」

出されるスイーツを堪能しつつ、二人もそれぞれスイーツ自主製作。
他の参加者にも振舞える様に複数作成。

緋瑪作パンプキンタルト。工場のAIに手伝って貰いながら仕上げた。
甘党の緋瑪らしく他の一般参加者にも好評な程普通に美味しい

瑠璃作パンプキンパイ(激辛)。同じくAIに手伝って貰いながら仕上げた。したカボチャを使って焼き上げたパイ。一見見た目は普通だが、パイ生地の中に辛味成分が封じ込められた逸品。
参加者に何人か犠牲者が出たが、トリート用として需要が出たとか

ちなみに、スフィーエさん用にもそれぞれ用意。
(現地にいれば直接。いなければお土産で転送)



●甘い辛いなんて言ってられない
「「いっただきまぁーす」」
 激戦を終えた後の身体を思い切り甘やかしてやるのは、どんな戦いの後でもとても気持ちの良いことだ。
 シンプルな南瓜の羊羹はしっとりとした舌触りに、南瓜の甘味を最大限に活かしているし、南瓜のプリンはより滑らかな舌触りと喉越しが堪らない。
 定番の南瓜のパイやタルトはバターの香りと南瓜の取り合わせという王道が南瓜の風味と自然の甘味を引き立て、戦いに疲れた身体に精気を吹き込むようであった。
 上機嫌にあれもこれもと瑠璃と緋瑪の二人は手を出し、互いに談笑していった。
「カボチャの甘味が良いね~♪」
「でももう一工夫……」
「いやあのその一工夫って」
「ん? どうかした?」
「ううん、何でも……」
 食べるだけに飽き足らず、折角だからということで、スイーツを作ってみようという話になれば、その一工夫とやらを考え出す瑠璃に、思わず目を見開き真顔となる緋瑪。
 何度も繰り返されて分かっていることではあるが、案の定というべきか愛用のデスソース(激辛)を取り出し、最新鋭のAIと相談を始めた姿が見えれば
 心なしか周囲のスタッフは勿論、相談に乗り機械的に計算を告げている筈のAIの声まで震えているようにも思えた。
「~♪ やっぱり生地から工夫が必要だね。歯触りを損なわないように練り込むのは……」
「…………」
 傍らで作業している主人格の姿を、ややどんよりした眼で見つめ。
 嗚呼、どうか尊い犠牲者が出ませんように――いや決して悪意があってやっている訳でないことは分かるけれども。
 ついでにお土産として渡す人も、引っ掛からないようにと願う緋瑪なのであった。

 ――余談ではあるが、二人の作ったスイーツ(一部は違う)の評価をここに記す。

 緋瑪作【甘々パンプキンタルト】――工場のAIに甘味のバランスを計算して貰い、丁寧に焼き上げられた一品。
 元々甘い南瓜の品種を用い、その上で追加した砂糖も多いが緻密な計算の後に作られているので南瓜の風味を損なわずそこそこの人気が出た。

 瑠璃作【激辛びっくり南瓜パイ~トッテモ美味シイDEATH~】――パイ生地に贅沢にも工場の最新鋭AIを用いて作成した激辛デスソースを練り込み、見た目には普通のパイと変わらないが食べてびっくり。
 一口食べれば南瓜フィリングの甘味の後に、パイ生地が弾けて地獄の業火の如きデスソースの辛みが口から臓器を徹底的に苛め、南瓜フィリングの甘味が程よく辛さに慣れを与えない。
 ……尊い犠牲者を数名出した後、ロシアンルーレットの外れ用や、一部の激辛マニアに大受けしたとか。

●ハッピーハロウィン
 かくて大宇宙の海に勃発した、南瓜の輸送船を巡る襲撃は無事に終わった。
 落ちぶれた帝国軍の残党による海賊行為はここに取り締まられ、猟兵達は守り抜いた先で南瓜の甘味を堪能していく。
 これで少なくともスペースシップワールドのハロウィンは無事に迎えられるだろう。

 フォーミュラが滅び、まだまだ不穏な影もあれど平和を取り戻した星々の大海。
 その平和がいつまでも、こうしたリゾート船を始めとする催しという形であれ続けば良い。

 大宇宙に比べれば些末なリゾート船の一隻の中、されど賑わいは何処までも大きく。
 猟兵達は各々が満足するまで南瓜の賑わいを楽しんでいくのであった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月29日


挿絵イラスト