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もっふりが町を飲み込み南瓜を被る

#カクリヨファンタズム #お祭り2021 #ハロウィン

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#カクリヨファンタズム
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#ハロウィン


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●歌えや踊れ、食べては飲んで
 カクリヨファンタズムのとある猫又の町は賑やかな大宴会に沸いていた。
 この町の猫又も他の町の妖怪も集まって、皆で好き勝手に歌って踊り、ごちそうを食べたり飲んだりと楽しげだ。盛り上がった一部では勝手に舞台が作られて舞や歌が披露され、屋台も作られて料理も飲み物もたっぷりいくらでもある。
 古今東西のデザインの南瓜ランタンもそこらじゅうに飾り、持っては歩き、何なら自分でも被る妖怪もいる。もちろん伝統的な仮装から近年のコスプレまで、思い思いの格好で町中を練り歩く妖怪達だっているくらいだ。
 一日中、一晩中、何なら数日の間徹夜であちらもこちらも大賑わい。なんだけれど、そういうのを好む骸魂もいるわけで。
「にゃー」
「なーん」
 そうして集まった骸魂に飲み込まれた結果、賑わう町は南瓜を被ったもっふりねこまたすねこすりに占拠された。

●南瓜祭りにご用心
「……なので、彼らを助けるためにも、宴会を楽しんで、盛り上げていただきたい、のですよ」
 寧宮・澪が語ったのはカクリヨファンタズムにて起きる事件の予知だ。
 猫又の町で行われる大宴会に参加して、たっぷり楽しんで賑わせてほしい。いっそ何徹もするくらいハチャメチャな賑わいだとより強く骸魂がおびき寄せられるので、それくらいやってもOKだ。
 そうしたらこっそり猫又や妖怪達を飲み込んで、おまけに南瓜も被った骸魂ねこまたすねこすりが、更に猟兵も飲み込んじゃえ、とあちらこちらから現れる。思いっきり懲らしめてもいいし、彼らが満足するまですねをこすらせたり、遊び倒して疲れさせてもいい。そうしたら骸魂は飲み込んだ猫又を吐き出して消えていく。
「お祭り、楽しんで……よければもっふりも、楽しんでくださいなー」
 そして事件の解決をお願いします、と澪は頭を下げて、猟兵達にカクリヨファンタズムの道を示すのだった。


霧野
 南瓜もふもふ。霧野です。

●シナリオについて
 宴会を賑わわせて骸魂をおびき寄せ、妖怪を助けてください、というシナリオです。
 10月22日(金)から受け付け開始します。

 一章:骸魂をおびき寄せるため、猫又の町で行われる大宴会に参加して盛り上げてください。仮装とかしてるとめっちゃ盛り上がりそうです。
 公共良俗は守ってくださいね。ちょっとくらい静かめな楽しみ方も盛り上がりの対比にいいかもしれません。日常です。
 二章:おびき寄せられたねこまたすねこすりに構って上げてください。集団戦です。

●複数人で参加される方へ
 どなたかとご一緒に参加される場合や、グループ参加を希望の場合は【グループ名】もしくは【お相手の呼び方(ID)】を最初に参加した章にご記入いただけると、助かります。

●アドリブ・絡みの有無について
 以下の記号を文頭に入れていただければ、他の猟兵と絡んだり、アドリブ入れたりさせていただきます。なければできるだけ忠実に作成します。
 良ければ文字数節約に使ってください。
 ◎:アドリブ歓迎。
 ○:他のグループや猟兵とも絡み歓迎。
 〆:負傷OK。 (血や傷の表現が出ます)
 ♪:これがあるとシリアスよりはギャグっぽかったりコミカルな感じになるかもしれません。
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第1章 日常 『朝までハロウィン大宴会』

POW   :    飲んで食べて大騒ぎする

SPD   :    歌って踊って盛り上げる

WIZ   :    スゴい仮装で注目を集める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●今日も明日も宴会だ
 町は今、ハロウィンを祝って大宴会だ。お酒もジュースもお茶も水もある、お肉もお魚も野菜もお菓子もたっぷりある。歌って踊って芸を披露して場を賑わせ盛り上げる者もいる。派手な仮装、怖い仮装、かわいい仮装、色んな仮装で注目を集めて盛り上げる者もいる。
 さあさあ、今宵も明日の宵も、何ならその次の日だって宴会だ。目一杯楽しもうじゃないか。
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※プレイング受付は10/22(金)朝8:31からにさせてください。それより前に頂いたプレイングはお返しします。
茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎♪
あーさん、スーさんで交互に呼びます!

猫又さんたちと宴会だー!
あーさんはにゃーさん(猫さんのこと!)大好きだし、とっても楽しんでくれるはず、ってウワーッしあわせそう!
でもラーさん(スーさんの猫さんのラトナさん)にめーっちゃジェラられている!(嫉妬されてる)
それでもしあわせそう……よかったね……(ほっこり)

いっぱい食べ物の屋台もでてるしい、どんどん買い食いしてこーぜ!
フランクフルト、焼きそば、わたアメ、焼き魚……焼き魚?!
なるほどー、猫又さんの町だから……

あっ見てあーさん、肉球握手会チケットが当たる紐くじだって!やろーぜ!ラーさんの許しを得てから!


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】◎♪

猫又さんの宴会……!
なんて可愛いの暴力……天国ですかっ……(膝から崩れ落ちる)
ありがとうございますトーさん、私は幸せ者です……

(そんな影人間の肩でジェラる猫の使い魔ラトナ)
(「おまえ他の猫に現を抜かすの何度目だ」って顔!)
あうっ、ラトナの百裂猫パンチ……
(でも気持ちいい)

えぇ、沢山飲み食いして楽しみましょうか
ラトナも沢山食べましょうね
じゃがバタ、タコ焼き、チョコバナナ――
えっ焼き魚? さすが猫又さんの宴会……

肉球、握手会……!?(カッと見開く目)
そ、それはなんとしても当たりを引かねば――はっ
ラトナお願いします、仕事の為なんですっ……!!

(※説得に大分時間掛かりました)




 スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は膝から崩れ落ちた。その顔はたいそう恍惚としており、まるで夢を見ているようですらあった。
「ウワーッしあわせそう!」
 きっと喜ぶだろうと誘った茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)も満足するほどのいい顔だった。
「あーさん、にゃーさん大好きだからきっと楽しんでくれると思ってた」
「はい、ええ……猫又さんの宴会……! なんて可愛いの暴力……天国ですかっ……」
「よかったね、スーさん。いっぱい仲良くできそうだよ」
「ありがとうございますトーさん、私は幸せ者です……」
 ここは猫又の町である。あちらにも猫又、こちらにも猫又。他の妖怪もいるけれど、やっぱり一番多いのは猫又なのだ。彼らが仮装したり長い尻尾短い尻尾、毛並みもそれぞれにちょこまか動いて宴会している姿は猫好きはたまらない。
 しかしスキアファールの使い魔たるラトナにしてみれば面白くない。崩れ落ちたスキアファールの肩の上で、てしてしてしてし、肉球百烈パンチを繰り出している。
「あうっ、ラトナの百裂猫パンチ……」
「めーっちゃラーさんジェラってる!」
「はい……気持ちいいです……」
 「おまえ他の猫に現を抜かすの何度目だ」という顔で肉球をぺちぺち押し付けてくるラトナにスキアファールは幸せそうな顔をして。
「それでもしあわせそう……よかったね……」
 それを見たトヲルもほっこりと微笑んだ。大変良いことだ。

 ふんすふんすと少々むくれたラトナを宥め、トヲルとスキアファールは大宴会に賑わう町を歩く。あちらこちらで盛り上がり、食べ物の屋台もいい香りを漂わせていた。トヲルも食欲をそそる香りに顔を輝かせ、スキアファールへ笑いかけた。
「いっぱい食べ物の屋台もでてるしい、どんどん買い食いしてこーぜ! 全制覇してみたいな」
「えぇ、沢山飲み食いして楽しみましょうか。ラトナも沢山食べましょうね」
 フランクフルトジューシーな肉汁たっぷり、焼きそばはソースの香りと刺激的な味に満足だ。わたアメはふわっとした食感と甘みがうれしいし、じゃがバターはバターの風味と塩気が芋の甘みを引き立てる。チョコバナナはチョコとバナナの甘みのバランスが美味しい。屋台の食べ物をトヲルもスキアファールも、程よく冷めたらラトナもたっぷり堪能し、ひときわ猫又の集まる屋台に気を惹かれ近づいてみると、普段の屋台では嗅ぎなれない香りがしてきた。
「えっと、焼き魚……焼き魚?!」
「えっ焼き魚? 」
 そう、炭火を熾して焼いているのは魚だったのだ。串や箸を通して塩を振られて、もしくはタレを塗られながら焼かれている。熱々にかぶりつく年経た猫又もいれば、ふうふう一生懸命冷ます小さな猫又もいたり、若猫又が何本も買って平らげたりと大賑わいの一角だった。
「なるほどー、猫又さんの町だから……」
「さすが猫又さんの宴会……」
 トヲルとスキアファールも買って食べてみれば、魚の旨味を堪能できる焼き具合に喜んだ。ラトナも気に入り、もう一本追加するほどだ。

 お腹を満たしながら賑わう町を歩いていくと、だんだん猫又以外の姿が増える店が見えてきた。
「何でしょうね?」
「んー……あっ見てあーさん、肉球握手会チケットが当たる紐くじだって!」
「肉球、握手会……!?」
 スキアファールの目がカッと見開かれる。あの魅惑の塊と握手できるのだというのだ。トヲルは朗らかにスキアファールを誘っている。
「そ、それはなんとしても当たりを引かねば」
「やろーぜ! ラーさんの許しを得てから!」
「――はっ」
 トヲルの的確な一言に、スキアファールは肩を見た。そこには「繰り返し他の猫に現を抜かすとは……」と尻尾を不機嫌そうに振るラトナがいる。
 そっとラトナを地面におろし、スキアファールはその前に正座し頭を下げた。
「ラトナお願いします、仕事の為なんですっ……!!」
 たくさんの屋台を巡っていい食べっぷりを見せたのも、宴会を盛り上げるという仕事のためなのだ。この握手会への参加だって仕事のためなのだ。くじを引いて盛り上げれば宴会の盛り上がりにも通じるのだから。そう、決してスキアファールの欲望だけでこんな行動をしているのではないのだ。ラトナの許しを得るために、スキアファールは一生懸命言葉を述べる。
 真剣に話すスキアファールに対して、それでもラトナの目は冷たい。何度も他の猫に目移りするスキアファールにしたん、したんと尻尾を地に打ち付けていた。
 それなりの時間が立った頃に、トヲルも助け舟を出す。
「ラーさん、今回は許してやって? スーさんもお仕事頑張ってるんだ。それにあーさんの一番はラーさんしかいないよ」
 その言葉にラトナは一つため息をついて、スキアファールに行けば? と言うように顔を動かした。
「ラトナ……! ありがとうございます!!」
「良かったねぇ、スーさん」
「はい! トーさんもありがとうございます!」
 無事くじを引けたトヲルとスキアファールは、幸運にも恵まれ、ふっかふかだったりむちむちだったり、ぷにぷにだったりする肉球を堪能したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャスパー・ドゥルジー
【双猫娘々】
おーこりゃめっちゃ楽しそうな会場だな!
今日は食べて食べて食べまくろうぜ、澪

ハイパーキュートな澪と満喫する南瓜祭りだしな?
俺もウルトラキュートにキメてきたわけよ
黒のゴスロリワンピに澪とお揃い風味のピンク差し色
黒い猫耳猫しっぽに自前の翼で悪魔にゃんこにゃん♪
メイクもネイルもバッチリ合わせてきたしー
こういうのは楽しまなきゃ損だもんな、うんうん

澪は何食いたい?
俺は屋台で焼きそばにー、焼き鳥にー…
あんまりがっつくのはキュートなお嬢様から遠ざかっちまうかな
でも澪があげたデザートも捨てがたいし
それに会場から漂ってくるいい匂いを嗅いだらもう抗えないわけで!

半分こ!名案だ
じゃあまずは腹ごしらえから!


栗花落・澪
【双猫娘々】◎
仮装:白い甘ロリワンピースにピンクの差し色
自前の白翼に白猫耳、尻尾を合わせてジャスパーさんとお揃いに
一応メイクとネイルアートはモデル業の義姉譲りで

うん、いっぱい食べようね!!
ところでジャスパーさんその恰好…
気合い入ってるねぇ
うん、とってもよく似合ってるよ

正直女装はいつまで経っても恥じらいが外せないけど
ジャスパーさんの様子を見てるとなんだか大丈夫な気がしてきた

美味しそうなものいっぱいだもんね
僕もデザートは食べたいなぁ
チョコバナナとかかき氷とか…
あ、南瓜ソフトも美味しそう
うーん、んー……僕揚げ餅食べようかなぁ

悩みに悩んで
ジャスパーさんー
僕と食べ物半分こしよぉー
その方が色々食べれるし!




 ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の目の前に広がる光景は、とても賑わい、楽しげな姿だった。
「おーこりゃめっちゃ楽しそうな会場だな!」
 飲めや歌えや大騒ぎ、思い思いの仮装をしたり、舞や歌といった芸を披露する猫又、猫又、それから他の妖怪にまた猫又。ハロウィンの宴会にふさわしく、提灯のように吊るされたり、灯籠のように飾られたりしたかぼちゃのランタンがあちらこちらでそれを照らしている。
 そしてそれを取り巻くような、食べ物飲み物の屋台がずらりと並ぶ。お祭りの定番から、珍しい品までそれぞれ良い香りを漂わせてきた。
 ジャスパーと澪は顔を合わせ、二人揃って楽しい笑顔を浮かべて笑いあう。
「今日は食べて食べて食べまくろうぜ、澪」
「うん、いっぱい食べようね!!」
 お腹いっぱいたくさん食べて、この後の骸魂との戦いも乗り切るのだ。二人小さくガッツポーズを決める。
「ところでジャスパーさんその恰好……気合い入ってるねぇ」
「おう、ハイパーキュートな澪と満喫する南瓜祭りだしな? 俺もウルトラキュートにキメてきたわけよ。似合うだろ?」
 澪の衣装と合わせたピンクの差し色入りの黒のゴスロリワンピースの裾を翻し、ジャスパーはひらりと一回転。黒い猫耳と猫しっぽ、ジャスパー自身の羽も一緒にひらりと回る。メイクも猫目風にし、肉球マークをぺたんと目の下にワンポイント入れて、ネイルも黒猫が覗く仕様の悪魔の黒猫の仮装に澪は頷いた。
「うん、とってもよく似合ってるよ」
 澪は同じピンクの差し色の白の甘ロリワンピースに白猫耳猫しっぽ。自前の白翼も合わせてジャスパーと対になるような装いだ。モデル業の義姉譲りのメイクは柔らかなピンクで目元を大きく、ピンクの肉球マークをワンポイントに。ネイルには白猫がひょっこりと覗いていた。
 ただ、澪は女装に対する恥じらいが外せない。つい足元や裾、周囲の目線が気になってしまうが、隣のジャスパーの様子を見ていたらだんだんと気にならなくってきた。ジャスパーが堂々と長い手足を見せつけて、愉快そうな顔で歩く姿に肩の力も抜けていく。
 程よく力の抜けた澪に、ジャスパーは屋台を指差し問いかけた。
「澪は何食いたい? 結構色々あるみたいだ」
 古今東西何でもござれ、東洋西洋の妖怪が持ち寄った屋台から、伝統的な猫又の店まで大賑わいだ。
「迷うね。美味しそうなものいっぱいだもんね」
「俺は屋台で焼きそばにー、焼き鳥にー……ああでも、あんまりがっつくのはキュートなお嬢様から遠ざかっちまうかな」
 少々大げさに可愛らしいポーズを決めるジャスパーに澪は笑う。
「大丈夫だよ、キュートなお嬢様もたまにはいっぱい食べることもあるよ」
「そうか? じゃあいっぱい食うか!」
 焼きそばやたこ焼き、お好み焼きのソースに甘辛い醤油の焼き鳥の香り、一風変わったところでは焼き魚もあったり、おでんや豚汁の汁物もいい香りで誘ってくる。
「うん、そうだね。チョコバナナとかかき氷とか……あ、南瓜ソフトも美味しそう」
「デザートは捨てがたいよなぁ」
「ね。うーん、んー……僕揚げ餅食べようかなぁ」
 とろけたチョコの甘い香り、ひんやりしたかき氷のカラフルさ、オレンジのかぼちゃソフトも美味しそうだ。サクサクとした揚げ餅も食べてみたい。
 しかし二人のお腹は、残念なことに有限だった。とても全部を一人前ずつは食べられない。しかしどれもこれも捨てがたい。
 悩みに悩んだ澪は、一つ妙案を思いついた。手をうちジャスパーに問いかける。
「ジャスパーさんー僕と食べ物半分こしよぉー。その方が色々食べれるし!」
「半分こ! 名案だ」
 そうしたら二倍の種類を味わえる。澪の提案にジャスパーはにやりと笑って頷いた。
「じゃあまずは腹ごしらえから! 早速行くぞ」
「おー!」
 焼きそばは香ばしく、ソースの味も香りも暴力的な美味しさで。焼き鳥は炭火の香りも食欲をそそり、甘いタレも、シンプルな塩もジューシーな美味しさだった。合間に摘んだプレッツェルもしょっぱい塩気と生地の自然な甘さがまたいい感じだ。たっぷりチョコをまぶしたチョコバナナは見た目もカラフルに飾られて、味は満点のバランスの甘さ。ちょっと熱気のある会場で食べるかき氷はひんやり喉を潤してくれる。染まった舌に笑い合いながら、かぼちゃソフトも食べてみれば、かぼちゃの甘みと濃厚なクリームが楽しませてくれた。さくさく揚がった、きなこをまぶした揚げ餅の食感もいい。
 お揃いの耳と尻尾を揺らめかせ、悪魔の黒猫と天使の白猫はお腹いっぱい屋台の味を楽しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
猫の仮装か。ふむ。…確かラビットバニー戦以来だ…。
露から渡された黒猫耳のカチューシャと二股の尻尾を付ける。

猫又達の宴会の中で茶を飲むのはなんとも不思議な感覚だ。
初め果汁飲料を勧められたが断った。この体格の所為だろう。
「すまない。緑茶を…いや。ほうじ茶をくれるか?」
紅茶がいいが妖怪の世界だ。紅茶よりも緑茶やほうじ茶だろう。
緑茶かほうじ茶か何方も美味だから迷ったが今回はほうじ茶に。
「……♪」
香ばしい匂いと味に思わず小さくため息が出る。美味いな。

宴会の賑わう声と露の『やっぱり可愛いわ』を聞きながら茶を。
ふむ。魚介類…ほうじ茶に合うのだろうか?
試しに刺身を見繕って貰い食べてみる。


神坂・露
レーちゃん(f14377)
仮装ならアルダワ学園のクラゲさんのお仕事でしたわよ?
沢山楽しいことしてるしレーちゃんってば忘れたのかも♪
あ。あたし白猫さんの仮装でレーちゃんにくっついてるわ。
レーちゃんには負けちゃうけど!

あたしもレーちゃんと同じほうじ茶を飲みながら宴会を。
…レーちゃんまたダンスに誘ってくれないかしら…。
あの時みたいに誘ってくれたら幸せなんだけどなぁー…。
じーってレーちゃんの横顔みてるけどちっとも素振りないわ。
むぅ…。ならあたしにも考えあるわ!
「レーちゃんレーちゃん♪ 一緒に…踊ってくれる?」
あの時とは真逆だけど…あの時のようにお誘いするわ♪
あ。予想外って顔してる。やっぱり可愛いわ♪




 白猫の仮装をして親友の腕にくっついた神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)から渡された、黒い猫耳カチューシャと二股の尻尾をつけたシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)はふと呟いた。
「猫の仮装か。ふむ。……確かラビットバニー戦以来だ……」
「仮装ならアルダワ学園のクラゲさんのお仕事でしたわよ?」
 たくさん楽しい場所に二人で行って楽しんだから、忘れてしまったのかもしれない、と露は思う。同時に猫の仮装は自分に似合っているけれど、シビラには負けるとも思った。露には親友が一番なのだ。
 さて、二人で一緒にござを広げてまったり茶や料理を楽しむ猫又の一団の側に向かえば、新たな客人をもてなそうと座布団が用意され、ごちそうの前にと二人を座らせる。
「お客さんジュースはどうかにゃ? みかんやりんご、桃になし。サイダーはちょっと刺激が強いかにゃ?」
 参加している猫又がシビラと露にジュースの瓶を勧めてきた。それにはシビラは緩く首を振る。体格は童女ではあるが、中身は何年も年を経ているのだ。果汁飲料でないほうが好みである。今回は東洋の妖怪である猫又の多い宴会だ、紅茶もいいのだが日本茶の方が雰囲気にも合っているだろう。
「すまない。緑茶を……いや。ほうじ茶をくれるか?」
「あたしも同じの〜♪」
「あいあい、ちょっと待つにゃ。……ほい、熱いから気をつけるにゃよ」
 シビラが緑茶かほうじ茶か、何方か迷いながらもほうじ茶を頼めば、露も同じものを頼む。冷えた秋の夜にぴったりの熱々のほうじ茶が大きな湯呑みにたっぷりと用意されて二人へと渡される。
 猫又が飲めや歌えやの宴会を楽しむ輪に囲まれて茶を飲む状況に、シビラは不思議な心地を味わいつつもそっと湯呑みを傾けた。
「……♪」
 ふわりと焙じた香ばしい茶の香りと味は、小さくため息をこぼすほどだった。シンプルなようで複雑な美味にしみじみ感心する。
 同じように並んでほうじ茶を飲む露はちらちらシビラをうかがっていた。盛り上がった妖怪達の一団が、手に手をとって踊っているのが見えたのだ。ダンスでも盆踊りでも何でもいいのか、一人で二人で、大人数で、流れる音楽の寝にあわせて楽しげに踊っている。
(……レーちゃんまたダンスに誘ってくれないかしら……。あの時みたいに誘ってくれたら幸せなんだけどなぁー……)
 あの時二人で踊ったように、シビラが露の手を差し伸べて誘ってくれたように。そう思ってじーっとシビラの横顔を見つめているが、ちっともそんな素振りはない。ほっこりとした無表情でほうじ茶と宴会の賑わいを楽しんでいる雰囲気があるだけだ。
 むぅ、と口を尖らせた露。シビラがそんな態度でいるならば。
(ならあたしにも考えあるわ!)
 きりりと気持ちを引き締めて、一旦ほうじ茶を置いたシビラの手を取り首を傾げてみせた。
「レーちゃんレーちゃん♪ 一緒に……踊ってくれる?」
 あの時とは真逆だけれど、あの時のように。精一杯露の心を込めてシビラを誘えば、シビラは目を丸くして首を傾げてしまった。
(あ。予想外って顔してる)
 その顔に露は相好を崩して、踊ることも忘れて「やっぱり可愛いわ♪」と上機嫌で見つめるのだった。
 誘われたシビラの方は、誘っておきながら上機嫌でシビラにくっついて、顔を見つめる露の褒め言葉と宴会の賑わいを聞きながら茶をもう一杯もらい、並べられた料理に目を移す。
 ここに並ぶのは焼き鳥や刺し身、煮付けに和物、だし巻き卵や焼き魚。つまみやすい肴が目についた。その中でもシビラが気になるのは刺し身だ。今飲んでいるほうじ茶に合うのか試してみたい。
「すまないが、いくつか刺し身を取ってもらっても?」
「はいはいにゃー」
 刺し身のそばの猫又が、マグロやタイ、ブリにエビといった盛り合わせをわさびと醤油と一緒に取り分けてくれた。マグロブリの油は甘く、タイは淡泊な旨味がある。エビの甘さはまた別格だ。わさびと醤油の風味と混じり合った後味はいいものだが、長く残ると飽きてしまいそうだ。しかしほうじ茶を飲むことで、香ばしい風味と味が口の中をさっぱりしたものに変えてくれる。
「うまいな」
「レーちゃん、あたしにも、あーん♪」
 シビラに甘えて色々やってみよう、食べさせて、などねだる露に、それを上手にあしらったり、たまに根負けして願いを叶えたりするシビラ。二人もまた宴会を楽しみ賑わいを添えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小宮・あき

すずちゃん(f02317)と。

カクリヨファンタズム、初めて来ました。
UDCアースアメリカで成長した私にとって、ハロウィンは小さな子供の行事なんです。
ハロウィンの仮装するのは、10年振り…?
仮装は色々悩んで、カクリヨファンタズムの世界に合わせてみました。

仮装は天狗。
天狗の、あの独特な衣装。あれUDCアースでセットで売ってるんですね!
天狗の面を頭の後ろに、唐傘オバケをデザインした番傘をさして。
手にはホウズキの提灯。少し高いゲタに足元注意しながら、宴会に参加します。
ふふ、写真? いいね、一緒に取ろう!
USDアースに戻ったらSNSに上げちゃお?

宴会を盛り上げ…盛り上げ…。
そうだわ。今の私は、ちょっと変わった技能に特化しているんです(降霊、式神使い)
手前持ち出したるは可愛い黒のわんこ人形~。
両手をそれらしく広げて「アブラハダブラ~、いや、ちちんぷい?」
降霊術っぽい動きをしながら、こっそり式神さんを呼び出して、人形の中に入ってもらいます。
くるっと回ってワン! 短い手足だと難しい? 可愛いので良し!


コイスル・スズリズム

仲良しのオーナーさん(f03848)と参加!

すずは、ホップや南瓜などをあしらった
豊穣の妖精をモチーフの衣装で参加だよ!

すずはハロウィン大好きなんだけど
オーナーさんは、10年ぶりなんだね!
日本育ちのすずからすると
大人も子供もこの季節はそわそわするおっきなイベントだよ。
そんなお話をしながら、お互いの衣装を見せ合ったり。

オーナーさんの装いは、……て、天狗!
ビックリしすぎて、いっしゅん真顔の妖精になっちゃったよ。
普段のイメージとは違うその姿。
い、いやでも、ハロウィンの特別感が、半端ないね!
それに、この世界にとっても馴染んでるね。お祭り。
ぜひ写真とろー!一緒に写真をぱちり

衣装を見せあった後は、大宴会の賑わいに参加。
その土地の食べ物とか、何かおもしろそうな飲み物があれば、頂きたいな。
すずは食べ物としてもかぼちゃが好きだから
この世界のかぼちゃ味のを探したりしてみるよ。

オーナーさんの芸!
え、そんなかくし芸が!?とお祭りの空気をすいこんで
この世界のハロウィンも最高だねっ。
ハロウィンは本当に、奥が深いね!




 隣のコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)の仮装に小宮・あき(人間の聖者・f03848)はにこにこ微笑んだ。
「すずちゃんの格好は妖精さんかしら?」
「うん! 豊穣の妖精モチーフだよ!」
 ホップや南瓜のデザインをあしらった、アースカラーのワンピースに草色のマント、薄い羽を背中につけて、南瓜のランタンを持った妖精の姿だ。ひらりと腰に回ったリボンの端にもかぼちゃがちらりと覗いている。
「オーナーさんの装いは……て、天狗!」
「カクリヨファンタズムの世界に合わせてみました。これUDCアースでセットで売ってるんですよ!」
 ついびっくりして真顔になってしまったすずの視線の先のあきは、鼻の長いお面を頭の後ろに被り、修験道の行者と同じ白い装束に結袈裟を掛け、下駄を履いた本格的な格好だった。唐傘お化けを模した番傘をさし、手には鬼灯の提灯を持っている。
 あまりに普段のあきのイメージと違う姿に、すずは少しだけ沈黙し、それから明るい笑顔に戻った。
「い、いやでも、ハロウィンの特別感が、半端ないね! それに、この世界にとっても馴染んでるね。お祭り」
 妖怪だらけのカクリヨファンタズムにあきの仮想はとてもよく馴染む。すずの言葉にあきは嬉しげににっこり笑った。
 唐傘さした天狗と豊穣の妖精が町を歩いて行くと、もう既に古今東西の妖怪が、その中でも一番多く見える猫又が、飲めや歌えや踊れやと大盛り上がりの大宴会だ。
 盛り上がり賑わいの絶えないその中で、あきはくるりと辺りを見回した。
「カクリヨファンタズム、初めて来ました」
 どこか懐かしい、古代から現代まで様々な文化が入り混じった世界は妖怪も種々様々。南瓜のランタンや、ハロウィンモチーフの装飾がなされた町はあきの郷愁をどこか誘うようだった。
「ハロウィンの仮装するのは、10年振り……?」
「すずはハロウィン大好きなんだけど、オーナーさんは、10年ぶりなんだね!」
「ええ、UDCアースのアメリカで育った私にとって、ハロウィンは小さな子供の行事なんです。若者や大人が仮装するのは新鮮です」
「日本育ちのすずからすると、大人も子供もこの季節はそわそわするおっきなイベントだよ。コスプレみたいな仮装や、おばけや魔女みたいな仮装したり、イベントがあったり」
 小さな子どもが町の中、ドアを叩いてトリック・オア・トリート。可愛いおばけたちに平穏を祈ってお菓子を渡す行事あきには親しみ深いものだった。すずに取っては皆で並んで歩いたり、SNSに写真を取ってアップしたりするイベントだ。もちろん、すずもちゃんとスマホを準備済みだった。
「オーナーさん、ぜひ写真とろー!」
「ふふ、写真?  いいね、一緒に取ろう!」
 あきとすず、二人で肩を寄せあって写真アプリをパチリと取れば、端末の中に天狗と妖精のいい笑顔がしっかり保存された。
 あきはいたずらっぽく笑ってすずに言う。
「UDCアースに戻ったらSNSに上げちゃお?」
「うん! みんなに見てもらえて、バズったらいいな」
 タグはもちろん#ハロウィン、#仲良し二人は確実で、あとは何を入れようか。猟兵のSNSならきっと楽しんでもらえるはずだ。背景の大きな月やいっぱい飾られたかぼちゃランタンも雰囲気があって大変いい。
 どんなタグをつけるか話しながら、あきとすずは二人宴会の賑わいの中へと進んでいく。
「オーナーさん、ちょっと食べていかない?」
「ええ、」
 ちょうど二人が立ち止まったあたりでは、猫又の特産おかかご飯のおにぎりや、南瓜の煮付け、一風変わったところでは南瓜のスムージーや、焦がし麦のお茶など提供されていた。二人でそれぞれ買ってみて、半分こして味わってみる。
 おかかご飯は生姜と醤油の味付けがよく、混ぜられたもち麦の食感が食べていて楽しい。混ぜ決まれたおかかはしっかり味が含められていて、旨味もぎゅっと感じる。南瓜の煮付けは出汁と南瓜の優しい甘みがマッチしていくらでも食べられそうだ。豆乳ベースの南瓜のスムージーは南瓜の風味とわずかに加えられた三温糖の甘みがいい。焦がし麦のお茶は香ばしく、体があたたまるようだ。
 たっぷり気力を蓄え、あきはこの世界にやってきた目的を考え出す。ただ食べてはしゃいでもおそらく宴会は賑わうだろう。けれどやはり、それ以上にみんなに楽しんでもらいたい。
「宴会を盛り上げ……盛り上げ……」
「オーナーさん?」
 南瓜のスムージーを飲みながら、考え込んでいるあきにすずは少し心配そうだった。けれど、あきがすぐに微笑んだから、何を行うのかわくわくしながら待つことにする。
 今のあきは、世界に合わせて装いを整え、ちょっと変わった技能に秀でていたのに思い至ったのだ。折角だしこれを活用する芸を行ってみせよう。
「さあさあ、皆様、お立ち会い〜。よろしければ近くによって、御覧じろ。手前持ち出したるは可愛い黒のわんこ人形~」
「オーナーさんの芸!」
 あきはふんわりもふっとした可愛らしい黒い犬のお人形。あき自身の手で短い足をパタパタ広げ、何の変哲もない人形であると示してみせた。
「今からこの人形の中に、霊を入れてあやつってみせましょう」
「え、そんなかくし芸が!?」
 ちょこんと地面に置いた人形へ、まさに降霊術っぽく手を広げ、うねうと何かを送り込むかのような動きをしてみせる。
「アブラハダブラ~、いや、ちちんぷい?」
 呪文は多少怪しいものであったが、あきの呪文が終わると同時、変哲のない犬の人形がひとりでに動き出した。短い手足をちたぱたと動かして、あきの仕草に合わせてくるっと回ってワンと鳴く。周囲からは歓声や拍手が投げかけられ、宴会の場は大盛り上がりだ。
 実はこっそりあきが式神を呼び出して人形の中に入れ、動かしているのだ。短い手足でぎこちないのもご愛嬌。
(可愛いので良し!)
 一緒に見ているすずも、あきの芸ににっこり満面の笑みだ。
 我も我もと、周囲の妖怪達も芸を披露し始める。化けたり飛んだり、消えたり現れたり。舞や歌、楽も聞こえて大盛り上がりだ。
「この世界のハロウィンも最高だねっ。」
「はい、本当に!」
 天狗と妖精、肩を寄せて賑わう宴会の、お祭りめいた空気をいっぱいに吸い込んで、楽しい笑顔を味わって。
「ハロウィンは本当に、奥が深いね!」
 まだまだ続く大宴会の賑わいを、全身で味わうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ねこまたすねこすり』

POW   :    すねこすりあたっく
【もふもふの毛並みをすり寄せる】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【ねこまたすねこすり仲間】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    いつまでもすねこすり
攻撃が命中した対象に【気持ちいいふかふかな毛皮でこすられる感触】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する心地よい感触】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    きもちいいすねこすり
【すねこすり】を披露した指定の全対象に【もっとふかふかやすりすりを味わいたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そしてもっふりはやってくる
 宴もたけなわ、盛り上がりは最高潮。まだまだ続きそうな大宴会。
 それを好む骸玉が、ほら、やってきた。
 しゅぱっと賑わいに駆け込みすねをこすったかと思うと、妖怪をくるりと飲み込んでいく。賑わいにのってすねをふかっと撫でで、妖怪を飲み込んで丸くなる。
「みゃー」
「にぅなう」
 妖怪達が気付いたときには、もう遅い。辺り中ねこまたすねこすりがふかふかまるまる、かぼちゃも被ったり脚でてちてちいじったりしながら、町を占拠していたのだった。
茜崎・トヲル
【モノクロフレンズ】◎♪

そう!この子たちがねこまたすねこすりだぜ、あーさん!
この子たちねえ、最初に出会ったときから、スーさんに会わせてー!って思ってたんだあ。

あれっ、あーさんがたかられ……あっそっかさっきの焼き魚が
って、ウワーッ!スーさんがキャットタワー・フォルムに!
(あわてて近寄ろうとして転びました!)(おれの足にもすねこすり?!)

す、スーさーん!!(悲痛な声で手を伸ばします)(でもめちゃくちゃ幸せそう――!)
あっ(ラーさんがとどめを!)
ラーさんが学んでしまった……もうあーさんに逃げ場はないんだ……
あ、最新式カメラで写真とっておこっと(のんき)

いちおー妖怪の人出してくれるようにぽかっとしとこ


スキアファール・イリャルギ
【モノクロフレンズ】◎♪

こっ……これが、ねこまたすねこすり!
トーさんに以前戴いた動画ですごく気になっていた子が、目の前に……!!
南瓜を被ってるのも可愛らしいですねぇ……

……あれっ?
わ、わー、わーーっ
何もしていないのにどんどん寄ってきますよトーさん!?
まさか先程食べた焼き魚の匂いにつられて……?
すっごいもふふかふわもこ、くすぐったい!
抱き心地も抜群で……わっ肉球スタンプ!

と、トーさーん!!(悲痛な声)

(ところで、ラトナは再び不機嫌になりつつも彼らから学んでいます)
(己の神モフを活かした、主の気を引く為の術を――!)

あれ、ラトナ?
えっ、ちょ、ラトナも私の躰をこすっ……
(手で顔を覆う)(尊死)




 賑やかな宴会の最中にまあるい影がころころり。妖怪達が減っていって、そのかわりにふかふかまんまるなねこまたすねこすりが増えていく。あちらにこちらに、そちらにも。いたずらにかぼちゃを被ってにゃあにゃあみゃあなう鳴いていた。
「こっ……これが、ねこまたすねこすり! トーさんに以前戴いた動画ですごく気になっていた子が、目の前に……!!」
「そう! この子たちがねこまたすねこすりだぜ、あーさん!」
 トヲルとスキアファールの周囲にもころころまんまるなフォルムのねこまたすねこすりが増えていた。きらきらと血色の良くなったスキアファールの顔に、トヲルもにんまりしてしまう。
「この子たちねえ、最初に出会ったときから、スーさんに会わせてー! って思ってたんだあ」
 猫大好きのスキアファールならば絶対に喜ぶと思ったのだ。何せこのねこまたすねこすりはすねをもふっとしてくるために近づいてくる。猫好き以外にも心地よい感触だし、更に猫好きならばたまらないであろう。
「南瓜を被ってるのも可愛らしいですねぇ……」
 今宵のねこまたすねこすりはハロウィンの宴会に合わせたのか、かぼちゃを被ってじりじりしゅぱっとすねを狙っているようだ。新しいすねを寄越せとしゅぱしゅぱ飛び回る勢いである。
「……あれっ?」
「あれっ、あーさんがたかられ……」
 ほんわか眺めているうちに、気がつくとスキアファールはまんまる達に集られていた。長いすねだけに飽き足らず、よじよじにじにじスキアファールによじ登っていく勢いである。肩に乗ったラトリが払ってはいるが勢いは弱まらない。隣のトヲルの目も、毛玉に負けずにまあるくなるというものだ。
「わ、わー、わーーっ! 何もしていないのにどんどん寄ってきますよトーさん!?」
「ウワー、ホントだ! 前はそんなことなかったはずだけどな!?」
 トヲルが以前出会ったときはもふもふがすねを狙ってこすってきたり、座ればお腹にもくっついてきたりしたが、こんなに鈴なりによじ登る勢いだったろうか。どうもすねよりも手元や口元を狙われている風情に二人ではっとする。
「まさか先程食べた焼き魚の匂いにつられて……?」
「あっそっかさっきの焼き魚が」
 先程猫又に人気の焼き魚を食べた二人である。猫又を飲み込んだねこまたすねこすりにも影響が出ているようだ。
「って、ウワーッ! スーさんがキャットタワー・フォルムに!」
「すっごいもふふかふわもこ、くすぐったい! 抱き心地も抜群で……わっ肉球スタンプ!」
 トヲルの目の前で顔まで埋まったスキアファールに触れる感触はふかふか極上のもっふもふだった。時折ぺちぺちてちてち肉球でふみふみされるのもまたよい。さすがにあまりにたくさんの丸い毛玉だったので、スキアファールに近寄ろうとしたトヲルの体が沈む。
「あれ?!」
 目をぱちくりさせるトヲル。もちろんすねこすりはトヲルの足元も狙っていたのだ。ぽすんぽすんと体当りし、もふもふの海に転ばせたトヲルにもまんまる達は集っていく。キャットタワーに負けない程に全身埋もれる勢いだ。
「と、トーさーん!!」
「す、スーさーん!!」
 毛玉に埋もれるトヲルは、悲痛な声をあげて同じく叫ぶスキアファールに手を伸ばす。その顔はたいそう幸せそうだった。ふっかり幸せのもふもふが伸ばした腕をこすっていく。
「ああ、もっふもふだぁ……」
 痛いはわからないけれど、これは心地がいい。毛布に包まれるようなほんわか心地でトヲルはたくさんの毛玉にふかふかされていた。
 さて、この場にはトヲルとスキアファールの他にもう一匹いる。まんまる達をてちってちっと踏んでいたラトナだ。彼女は主に集る毛玉を不機嫌にふんすっと払いながらも学んでいた。そう、また別の猫のようなものに気を取られた主の心を惹きつける術を。
「あっ」
「あれ、ラトナ?」
 腹のあたりに取り付いたねこまたすねこすりを払った彼女はふみふみ毛玉を踏みながら、自慢のふかふかの毛並みをスキアファールへと擦り付けた。
「えっ、ちょ、ラトナも私の躰をこすっ……」
 神モフがふかふかすりすりとこする感覚が伝わって、スキアファールは天を仰ぐ。そのまま、顔を覆った彼は尊さのあまり動きを止めてしまった。肉球握手会にふかふかすりすり毛玉の感触と続き、最後は猫妖精ラトナ・ラトリの神モフによる攻勢にとどめを刺されたのだ。もしかしたら何か悟ったのかもしれない。
「ラーさんが学んでしまった……もうあーさんに逃げ場はないんだ……」
 ふかふかの感触に埋もれながらもその流れを見守ったトヲルは悲痛な声で言いながら、のんきにその姿を最新式カメラで写真に収めていた。もちろんあとでスキアファールに見せるつもりである。
 たっぷり遊んだりもふったりもふられたり、乗られたりこすられたり。それから一応おでこや背中のあたりをとんとんぽかり、と叩いてみればころんと中身を弾けさせて、かぼちゃを被ったもっふり毛玉の骸魂は消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)と引き続き!

宴会とおいしいこの世界の食事をたのしみつつ
敵の姿を発見したら
この雰囲気に誘われちゃったのかな?
いや、それともオーナーさんのかくし芸が引き寄せた?
なんて冗談をとばして笑い、登場したもふもふをおびき寄せるよ

おもいっきり満足するまで、一緒に遊ぼう!
遊び倒して、疲れさせる作戦だね。

出てきたねこまたすねこすりさんを、
ベンチの様な場所があればそこに座って、呼び寄せる。
あとは膝の上に座らせたり
くすぐり返したり
お祭りの空気の中で、
ぞんぶんにもふりじゃれあうよ

オーナーさん、丸っこい猫さん!
と、ちらりと見ると
そうだ、今のオーナーさん天狗だった……。
天狗と、まるっこい猫さんの組み合わせ!しかも南瓜つき!
これ、絶対バズると思うよ!?
なんてすっごい笑っちゃう!

オーナーさんは、動物さんは、なにが好き?
すずはペンギンさんとか好きかも~

オーナーさんって、こういうまるっこい猫さん、好きだよね?
と、彼女の旦那さんを思い浮かべてくすりと笑う。

今年のハロウィンは、天狗ともっふり!


小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。

宴会を盛り上げた後、すずちゃんと散策。
普段洋食ばかりだから、食べた事のない物が多くて面白い!
これは何? あれは何? と宴会を見て回ります。
寄ってきた猫さん達を迎えましょう。

天狗の恰好で、脛は隠れています。
こすられても、多分そんなにくすぐったくないと思うの。
寄ってくる猫さん達が満足するまで脛をこすらせようと思います。
近くのベンチに座って、どうぞ、と。

複数の猫さんが来たら、逆にもふりかえしちゃう。
よいしょと抱えて、膝に置いて。耳周りをマッサージ、脇腹からお腹をもふもふ。
猫は昔飼ってましたから。良い所は判っているのですよ~。

好きな動物? そうねえ、猫も好きだけど、犬も好きですよ。
大型犬は実家で飼っているし、そう思うと動物に囲まれた生活でしたね。
ペンギン、可愛いよね~。そういえば赤ちゃんペンギンって大きい種類もいるんだって。驚きだよね。

ふふ、そうね、うちの人、まあるいわね。
折角だから、この猫さん達とツーショットを後で夫に見せよう。
すずちゃん、写真撮って~!




「これは何?  あれは?」
「南瓜の甘しょっぱい煮しめに、とろみをつけた汁物だにゃあ」
「焼き魚、おいしい!」
「塩もタレもうまいにゃよ」
 煮物に漬物、和物や焼物。普段は洋食メインのあきには概要を知ってはいても詳細をしらず、食べたことのない料理がたくさんだ。大変面白いとすずと一緒に見回っては、これはあれは、と店の猫又に聞いてちょっと買ったり味見したりと、二人で美味しい味を堪能している。お礼に式神を込めた犬を操り場を沸かせ、また南瓜のスイーツや煮物、お祭りで出そうな屋台の食べ物、ちょっとこった和食や家庭の味なんかも出てくる宴会を楽しんでいた。
 そのうちに妖怪の姿が減っていっているのに二人は気づいた。先程まで見なかった、まあるい毛玉のような影がしゅぱっと現れては増えていく。
 ふかふかのねこまたすねこすり、まるでまんまるい猫にしか見えない骸魂に気づいたすずはあきと近くのベンチに座りつつ、いたずらっぽく笑いかける。
「オーナーさん、丸っこい猫ちゃん! この雰囲気に誘われちゃったのかな? いや、それともオーナーさんのかくし芸が引き寄せた?」
「ふふ、そうかもしれないわね」
 二人で楽しい姿を見せて、賑やかさに近寄ってきたもふもふ毛玉達とたっぷり遊んで疲れさせて、思いっきり満足させる作戦である。早速こすりやすそうなすねに、楽しそうな笑顔と言葉に、登場したもふもふがしゅぱっと近寄ってきた。
 もふもふと早速くすぐってくる丸い物体を二人は受け止める。すねをこする毛並みはふかふかと柔らかく、撫でても指ですいても気持ちがいい。ぬくぬく毛玉をお膝にのせて、すずはうりうりとくすぐり返した。ちたぱた短い手足が宙をかく。
 あきは天狗の格好ですねを覆っているせいか、全然くすぐったくない。群れで押し寄せふかふかすりすりしてくるもふもふを一匹捕まえて、膝の上に置いてみた。こんこんと頭突きをしてくる一匹に笑いかけ、耳周りをマッサージすればたるんとろんと溶けていく。猫は液体だが、ねこまたすねこすりも液体だったようだ。気持ちよさげにごろごろ喉もなっている。溶けた脇腹からお腹をもふっと撫でていくと、うにゃううなうと気持ちのいい声もした。
「オーナーさん、猫さん溶かしちゃったね」
「猫は昔飼ってましたから。良い所は判っているのですよ~」
 溶かした柔らかな液体は膝の上、そこから下にはまあるい猫ちゃんがすりすり集っている。しかしてその人は天狗の姿。すずはにっこり笑ってしまう。彼女もスカート広げた膝の上に乗せた一匹をもふもふこしょこしょくすぐりながら、すねをたっぷりこすらせつつも賑やかなお祭りのような調子で言っていた。
「天狗と、まるっこい猫さんの組み合わせ! しかも南瓜つき! これ、絶対バズると思うよ!?」
 どう考えても楽しい写真だ。豊穣の妖精はバズり具合の豊穣の予感を感じ取って手の中のもふもふを目いっぱいもふる。程よい刺激になるのか、もっふりしたその個体はとろりと緩んでいるようだ。
 満足するまで肉球の猫パンチに手を差し出したり、もっふりもふもふ撫で撫でしながら、すずはオーナーへ話しかける。
「オーナーさんは、動物さんは、なにが好き? すずはペンギンさんとか好きかも~」
「好きな動物? そうねえ、猫も好きだけど、犬も好きですよ。大型犬は実家で飼っているし、そう思うと動物に囲まれた生活でしたね」
 実家を思いながらあきも笑う。膝の上ですぴょすぴょ眠ったねこまたすねこすりを下ろし、また別の子を膝の上に乗せてもにもにマッサージした。すずも満足げな子をおろして、今度はペンギンのような白黒の柄の子を抱き上げて握手したり撫でたりしてみる。
「ペンギン、可愛いよね~。そういえば赤ちゃんペンギンって大きい種類もいるんだって。驚きだよね」
「ね。大人より大きな赤ちゃんペンギンいるよね。かわいいんだよ〜、毛はぽわっとしてるの」
 楽しい気持ちのまま手の中のふにふにもちもちとした猫をわしゃっと撫でて、すずはそういえば、とあきにいたずらに笑いかけた。
「オーナーさんって、こういう旦那さんみたいなまるっこい猫さん、好きだよね?」
「ふふ、そうね、うちの人みたいなまあるい猫さんね」
 重ねた餅のような豊かな包容力のある体躯のあきの伴侶を思い浮かべ、二人でくすくす笑いあう。手の中のふかふかとは少し違うけれど、やっぱりもちもちのまあるい素敵なあきの夫だった。
 盛り上がった二人ははしゃぎつつ、取り替え引っ変えねこまたすねこすりを抱き上げては膝の上で遊ばせたり、マッサージで溶かしたり、ベンチの下のすねを思う存分こすらせながら楽しい笑い声を上げる。遠くから聞こえる祭りのお囃子も、
 あきはまっしろなふかふかの子を抱き上げてすずへと笑った。
「すずちゃん、写真撮って~!」
「今年のハロウィンは、天狗ともっふり!」
 折角だし、まんまる猫とのツーショットを旦那に見せて、笑ってもらうのだ。あきのお願いにすずはぱちりと写真を取る。まあるい月の下、まあるい猫と、天狗のツーショット。素敵な笑顔の天狗が写真に納められた。
 それから、すずやねこまたすねこすりの、二人とねこまたすねこすりの、とたくさん写真を取って、SNSにアップしていく。
 #今年のハロウィンは、天狗ともっふり、#ふかふかまんまる、#ハッピーハロウィン!、#楽しい仮装!などタグをつけた写真は、たくさんのいいねをもらってバズったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)
わぁ~♪可愛いー。暖かい。ふわふわぁ~♪可愛い~。
なんだか脛ばかりすり寄ってくるわ。…かわいー♪

「えへへ♪ この子達、可愛いわ~。レーちゃん!」
抱っこできるかなって考えてしゃがんだら大量に来たわ。
抱きかかえるだけ抱えて、頬すりとか撫でてみるわね。
えへへ。本当に可愛いわ。こんな妖怪さんもいるのねー。

「鳴き声からして…猫又さんの親戚なのかしら?」
頬らしい部分をぷにぷに優しく突きながら聞いてみるわ。
けどけど。『みゃ~』とか『にぅー』とか鳴くだけで。
うーん。よくわからないわ。でも可愛いから問題ないわ~。

…あれ?そういえばレーちゃんの声がしない?
どこ行ったのかしら?レーちゃん。


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
「? …?!」
刺身を堪能していたら丸くふわふわした毛玉が押し寄せてきた。
そして刺身を綺麗に一つずつ食べ始める。…なん…だと…?
猫又か?この子達は…それにしても丸いな。…猫又ではない?
刺身を食べ尽くし私が箸でつまんでいた刺身まで食べられ消滅。

刺身が無くなったら無くなったで一斉に私に視線を集中させて。
……ああ。まだ刺身を食べたいんだな。この子達は…。
その毛玉達が露と重なって。…やれやれ。全く。わかった。
「すまないが、刺身の盛り合わせを追加してくれ。お任せで」

感謝を表現したいのか。それともただすり寄っているだけなのか。
私の頭から身体から何から一斉に覆いかぶさってくる。
……。埋まる。




 お茶を飲んだり刺身を食べたり、シビラにくっついたりしているうちに宴会は十分に盛り上がり。賑わいに惹かれた骸魂がしゅぱっしゅぱっと妖怪達を飲み込んでいく。
 そしてその波は、シビラと露にも迫っていった。
 刺身の盛り合わせを食べてはお茶を飲み、しみじみと味わっているシビラの目の前にまあるい毛玉が何体も現れた。刺身を一枚挟んだまま、シビラは何事かと動きを止めた。
「? ……?!」
 最初はわずかに首を傾げた彼女だったが、続く行動に目を僅かに見開いた。その毛玉達はお行儀よく、シビラの前の皿の刺身を一つずつ食べ始めたのだ。丁寧に品よく、味わって食べるねこまたすねこすり達。
「……なん……だと……?」
「わぁ~♪ 可愛いー。暖かい。ふわふわぁ~♪ 可愛い~」
 刺身を食べるねこまたすねこすり以外の個体は、固まるシビラのすねも、隣でくっついていたままの露のすねも狙ってしゅぱしゅぱすりすり、こすってふかふか気持ちいい感触を伝えてきた。ふかふかもふもふの毛並みが擦り寄ってくるのは、肌寒い秋の夜には心地いい。
「なんだか脛ばかりすり寄ってくるわ。……かわいー♪」
 まんまるふかふかな毛玉達がすねを狙って体をこすりつける様は大変可愛かった。ふかふかの感触を楽しみながら露が身を屈めてそのうちの一匹を抱えあげると、大量によってくる。しゅぱっと現れわらわら集まって、腕にすねに体をこすりつけてくる。
「えへへ♪ この子達、可愛いわ~。レーちゃん!」
 露は抱え上げられるだけ抱えて、すりすり頬すりしたり、もふもふ毛並みを撫でてみたりと堪能する。まんまるがふなふな鳴いて擦り寄ってくるのは大変可愛い。短い脚をちたぱたしたり尻尾をゆらゆらふりふりしたりする姿も和む。露はこんな妖怪もいるのかとほんわかしていた。
「鳴き声からして……猫又さんの親戚なのかしら?」
 まんまるの姿は顔と体の境目が定かではない。多分口の近くで目の下だから、頬らしい部分をぷにぷに優しく突きながら露はねこまたすねこすりに問いかけてみる。
「みゃ~」
「にぅー」
「みゃーん」
「なうみゃう」
 返事は以上の鳴き声であった。
「うーん。よくわからないわ。でも可愛いから問題ないわ~」
 ふかふかを堪能する露の横ではシビラが刺身を食べる毛玉達を眺めていた。
「猫又か? この子達は……それにしても丸いな。……猫又ではない?」
 しげしげシビラが丸い毛玉を見つめてみるが、尻尾は二又だが猫又とはちょっと違うようだ。どのまんまるも毛並みが長くふかふかしている。じっくり観察していたらお皿の上の刺身はなくなり、シビラの持ったままの箸に挟んだ一枚もぱくりと食べられて消滅した。
 箸の先を見ていたシビラだが、じっと皿の周りのねこまたすねこすり達が見つめてくるのに気づく。じっと、じーっと、物言いたげに見つめてくるのだ。
(…………ああ。まだ刺身を食べたいんだな。この子達は……)
 よく隣で強請ってくる露の姿と毛玉達の姿が、重なった。もうこうなるとシビラがはねのけることはできないのだ、親友にはお互い弱いのだから。
「……やれやれ。全く。わかった」
 まだ無事な猫又の姿を見つけたシビラは手を上げ呼び寄せる。
「はいはいにゃー」
「すまないが、刺身の盛り合わせを追加してくれ。お任せで」
「よろこんでーにゃ」
 しばらく待つと白身赤身に青魚、新鮮な切ったばかりの刺身が運ばれてきた。
「食べていいぞ」
 にゃーみゃー大合唱ののち、刺身に群がる毛玉達。綺麗に食べていくなあ、と思っていたら、一通り食べ終わったものが一団になる。そして、一斉にシビラへと向かってきた。
 すりすりすねをこするのに参加するもの、肩の上を目指すもの、膝の上を占拠するもの、頭の上に到達するものと色々いる。感謝を表現したいのか。それともただ妖怪の本能ですり寄っているだけなのか。一気に覆いかぶさられたシビラにはわからなかった。
「……あれ?そういえばレーちゃんの声がしない? どこ行ったのかしら? レーちゃん」
 にゃあにゃ、みゃあなーと猫語で通じないながらもなんとなく会話していた露が気づいたときには、ねこまたすねこすりの海にシビラは埋まっていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【双猫娘々】
はわわわわ、じゃ、ジャスパーさん、もふもふが、もふもふ…!

すねこすり達を眺めながら瞳を輝かせ
ふるふる震えながらジャスパーさんに訴えるもふもふ好き
飲み込まれちゃうのは確かに大変なのだけど
ここまできたらもふもふせねばですよね、うん
さて、どうやって仕掛けようかな

動物は耳がいいから
【催眠術】を乗せた【歌唱】で大人しくしてもらおう
手作り★飴を転がしてみて、食べるでも玩具にするでもお好きにどうぞ
愛情込めて作ったから甘くて美味しいよ
ハロウィンだもんね、猫達だって楽しまないと

優しく撫でてあげたり餌付けしたり顔埋めてもふもふしたりもふもふしたり
存分に遊び倒したいな
あ、埋もれるのずるーい
僕も埋まるー!


ジャスパー・ドゥルジー
【双猫娘々】
うわやっべめっちゃ来た
あいつらを引き寄せるためにわざわざすねが露出するミニスカートを穿いてきた甲斐があったぜ
もちろん嘘だけど

澪がめっちゃ嬉しそうで何より
うんうん、思う存分もふもふしねえとな
俺も遊ぶかあ
持ってきたボールやおもちゃでモフどもをめっちゃ呼び寄せたり
呼び寄せすぎて埋もれてみたり
澪みたいに歌でどうこうってのは出来ねえからな
向こうの体力が尽きるまで遊び通す作戦よ
ほーらほら、どっからでもかかってこーい

実は知り合いの猟兵にすねこすりがいてな
モフってこすられるのは慣れてるんだぜ
ふはは、でもやっぱくすぐってえ
一般妖怪に悪さしそうな奴はそれとなーく捕まえて撫で回しの系に処してやろう




 賑わいの中を食べ歩き、あちらにこちらにと白黒猫が一緒に楽しく回っていると、しゅぱっしゅぱぱっと迫りくるまんまるな影が増えていく。見る間に妖怪の数が減っていったと思ったら、もふもふまんまるふかふかな毛玉達が澪とジャスパーの周囲に集まっていた。
「はわわわわ、じゃ、ジャスパーさん、もふもふが、もふもふ……!」
「うわやっべめっちゃ来た。あいつらを引き寄せるためにわざわざすねが露出するミニスカートを穿いてきた甲斐があったぜ」
 辺りいっぱいに満ちるかのようなねこまたすねこすりのふかふか具合に澪は目をきらめかせ、ふるふると震えながらさらりと嘯くジャスパーにもふもふの大群に興奮していることを訴えた。もっふりふかふかなまんま毛玉が擦り寄ってくるなど、もふもふ好きにはたまらない。嬉しそうな澪にジャスパーも頷いて、よしよしと宥めている。
「飲み込まれちゃうのは確かに大変なのだけどここまできたらもふもふせねばですよね、うん」
「うんうん、思う存分もふもふしねえとな」
 妖怪を飲み込む骸魂だ、きちんと彼らを中から出してもらわねばならない。だからこそたっぷりもふもふしてもいいだろう。満足するまで遊んだり、すねをこすらせたなら妖怪を吐き出して消えていくというのだから。
「さて、どうやって仕掛けようかな」
 もふもふころころとすねをこすりにやってくる毛玉達を見つめながら、ふかふか触感を味わう澪は少し首を傾げたあとおもむろに口を開く。音に乗せるのは穏やかな気持ち、旋律に歌うのは優しい心。ゆったり落ち着く催眠術を乗せた歌を聞いたねこまたすねこすりは、ころんころんとおとなしくその場で転がっている。腹を見せて短い脚も上に向けて、ほのぼのしている個体すらいるほどだ。おとなしくなった集団の中心に、澪はラッピングした手作りの飴を転がした。目の前に転がる丸い玉に反応しててちてちとつついて転がし追いかけたり、ぱくんと食べてまったりとした顔になるねこまたすねこすり。
「愛情込めて作ったから甘くて美味しいよ。ハロウィンだもんね、猫達だって楽しまないと」
 ほのぼのと見守りつつ、もふもふを撫でる澪を見て、長い脚をこすらせていたジャスパーも道具を取り出した。
「俺も遊ぶかあ」
 澪のように歌で大人しくさせるのはジャスパーの得手ではない。けれどボールやおもちゃで遊ぶのは彼には簡単なことだった。ぽんと転がるようにボールを投げたり、紐付きのネズミや羽を細かに動かして、すねこすりが飲み込んだ猫又成分を呼び覚まし呼び寄せていく。一般妖怪を襲おうとしていたまんまるな影も釣られてやってくるくらい、もっふもふが溢れる程に押し押せてきてジャスパーはにやりと笑っていた。波のようになったまあるい毛玉の群れに埋もれるようになりながらもおもちゃを操る手は止めない。ねこまたすねこすりの体力が尽きるまで、本気で遊び倒す作戦なのだから。
「ほーらほら、どっからでもかかってこーい」
 楽しげな声を上げながら、もふもふに埋もれるジャスパーだった。
 その波はふかふかのお腹に顔を埋めたり、優しく撫でて堪能していた澪の方にも溢れていく。振り返ると毛玉の海でジャスパーの姿が見えなくなっている。
「ジャスパーさん!?」
「おー、ここここ」
 埋まった毛玉の下から長い腕が生えた。他の場所に行こうとするねこまたすねこすりをがっしと捕まえて撫で回しの刑に処す。捕まった個体はちたぱた尻尾や脚をはためかせるが、そのうちにとろんと気持ちよさそうに脱力していった。
「あ、埋もれるのずるーい。僕も埋まるー!」
 餌付けした澪も欲望のままにねこまたすねこすりの海にダイブした。新しいこするものに辺りからねこまたすねこすりが集っていき、もふもふすりすり澪を撫でてこすっていく。
「わーきもちいい、でもくすぐったい!」
 隣で同じようにこすられもふられるジャスパーも笑っていた。知り合いの猟兵にすねこすりがいるジャスパーはもふってこすられるのは慣れているのだ。
「ふはは、でもやっぱくすぐってえ」
 けれどもやっぱり、くすぐったいものはくすぐったいのだ。猫の仮装をした二人はもっふもふの海に埋もれ、存分にもふったりもふられたり、こすられたり。ねこまたすねこすりが満足するまで遊び倒して、骸魂から飲み込まれた妖怪を助けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月03日


挿絵イラスト