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ハロウィン★スィーティーエスケープ

#UDCアース #お祭り2021 #ハロウィン

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「もうすぐハロウィンですね~。皆さん、ちょっと一足早く、ハロウィンしてみませんか?」
 そう言って、冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)がポップなチラシを「すすす」と猟兵たちに差し出した。
 『ハロウィン★スイーツ★バイキング』
「チャリティーも兼ねたスイーツバイキングのハロウィンフェアが会場で開催されるのですが、スイーツを楽しめるだけでなく、ハロウィンの仮装をして参加もできるみたいなんです。UDC組織さんからチケットも頂き済みです!」
 十数枚のチケットを扇状にして、イロハが猟兵たちに差し出す。
「へースイーツバイキングか」
「いいね」
 言いながらチケットを受け取ろうとする猟兵たち。
「でもですね、この会場にUDC怪物が紛れ込むみたいなんです。皆さんにはスイーツや仮装を楽しんでもらいながら、UDC怪物を探して欲しいのです」
「え」
「UDCが出てくるの??」
「はい。UDC怪物はこの時期、ハロウィン関連の人が集まる所に出やすいらしくって、あちこちに紛れています。一般の方々が認識してしまうと途端に狂気に陥ってしまいますので、内密に対処して貰いたいのです。
 今回は都心ということもあり、人の出入りも多く、ましてや建物の中なので避難誘導がスムーズに行えません。UDC怪物を探して見つけ出し、密かに戦って撃破してください」
 出てくるUDC怪物は『都市伝説』魔法少女マスコットの怪。
「マスコット……」
「恐ろしいUDC怪物なのです。魔法少女にならないか? って勧誘してきます。けれど勿論UDC怪物なので――勧誘に乗っても行き着く先は発狂と破滅なのですが……」
 マスコットが一般人に声掛ける前に対処していった方が良いだろう。
 マスコットなうえに、ハロウィン中なので、人々が認知するのにタイムラグが発生するのが幸いだ。
「それほど強くはないUDC怪物なので、出来そうならばその場で撃破しても構いません。戦い方としてはマスコットたちを集めるよりかは各個撃破の方が良いかもですね」
 催事の無いフロアもあるので、勿論誘導や物理的捕獲し、移動しても構わない。「魔法少女になりたくって」とか相談してみればホイホイされそうな気もする。
「戦い方については皆さんにお任せします。
 でも出現まで時間はちょっとあるので、まずはハロウィンスイーツを楽しんできてください!」
 スイーツはハロウィン一色だ。飾りの可愛いタルトレットやマカロン、セメタリー風のティラミスやショコラケーキ、かぼちゃとピスタチオのパンケーキ。秋の果物を使ったフルーツポンチや、大人にはワインゼリーも入ったフルーツパンチ。イチゴペーストが強烈なおばけ大福や、練り切りといった和菓子もある。
「秋の紅茶もあるみたいなのでアフタヌーンティーみたいに楽しむのもありかもですね」
 ハロウィンを満喫して、探索。騒ぎにならないように密かに敵を撃破という流れになる。
「分担して、手品などのショーで人目を惹きつけている間に、っていう手も使えるかもしれませんね。現場判断となりますが、臨機応変でどうぞよろしくお願いします」
 ぺこりと一礼したイロハは、猟兵たちがチケットを手にしたかを確認して送り出していくのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 ハロウィンシナリオとなります~。
 どうぞよろしくお願いします。

 第一章はハロウィンなスイーツバイキングを楽しんでください。スイーツ系は大体あるかと思います。かつプレイング文字数に余裕があれば探索も。
 第二章は発見したUDC怪物達と密かに戦い、始末します(ここで探索する旨のプレイング掛けしてもいいです)会場内に点在しているので、人目を引かないよう、各個撃破がオススメかもしれません。

 ・今回人払いが不可能です。なんとか一般の人々に紛れながら、騒ぎにならないよう密かにUDCを始末していってください。

 第一章は、21日(木曜日)8時30分からの受付とさせてください。
 プレイングの再送をお願いする場合もありますが、そうならないようなるべく頑張ります。
 問題のあるプレイングは採用できません(未成年の飲酒喫煙、公序良俗に反することなど)

 それではプレイングお待ちしています。
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第1章 日常 『スイーツ・バイキング』

POW   :    とにかく色々たくさん食べる

SPD   :    スピードを生かして、人気スイーツを素早く奪取

WIZ   :    一品一品うんちくを語りながら味わう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

春乃・結希
【旅人の軌跡】
スイーツ!…に惹かれたのはもちろんやけど
私はそれよりみんなの仮装でハァハァしたいんだ…!
と終始興奮状態

私はwithの着ぐるみを被ります
魔法少女の魔力を増幅させる魔法剣…の設定でっ(ふわふわな仕上がり。手と足と顔だけ出す)
これでうねうねしながらみんなに着いていきます
はぁ~……可愛いよぉ~私にも魔法かけてください~…

折角やからスイーツも
でも着ぐるみが動きにく過ぎてトングもまともに使えず
あっ、着ぐるみが、邪魔で……っ、私のケーキ…!
…あの、すみません…ちょっと食べさせてくれませんか…

はぁもう幸せでしかない…そういえばお仕事があった気がするけど何やっけ?たしかUDCが…まぁいっか!


リミティア・スカイクラッド
【旅人の軌跡】
お仕事とはいえスイーツは見逃せませんね。せっかくですし楽しみましょう
仮装は炎をモチーフにかっこよさを目標にした赤い魔法少女です
せっかくですし旅団の皆さんと一緒に決めポーズとかも取ってみたいですね(無表情に横ピース)

なるべく色んなものを食べてみたいですし、他の人とは別のスイーツをお皿に取って食べ比べてみます
ん、これが噂のマリトッツォですか。クリームに苺が挟んであって美味しいです
皆さんのも美味しそうですね。リムからも一口どうぞ
…そういえばさっきから結希さんの息が荒いような。もしかして着ぐるみが暑いのでしょうか?

パーティを楽しみつつ裏では影の追跡者を召喚し
潜んでいるUDC怪物を探します


ミア・ミュラー
【旅人の軌跡】
ハロウィンのお菓子が、いっぱい。ん、どれも食べられるなんて楽しみ、ね。
わたしの仮装は可愛さと動きやすさを考えた黄色の魔法少女、だよ。これはなかなか、いい感じ。(杖を構えて決めポーズ)みんなもよく似合ってる、ね。結希さんはちょっと動きづらそうだけど、平気?

いろいろ味見するなら、マカロンとかタルトレットとか小さめのお菓子がいい、かな。美味しかったものはみんなのと交換、だよ。結希さんにはマカロンを食べさせてあげて、暑いなら冷たい紅茶も飲ませて、あげる。

ん、楽しい時間を続けるためにもUDCをやっつけないと、ね。近くに鳥さんがいれば【プリンセス・リライアンス】でお願いして探してもらう、よ。


ネージュ・ローラン
【旅人の軌跡】
スイーツバイキング!ワクワクしてきますね!
旅団のみなさんと一緒に魔法少女の仮装で参加します。
わたしは大人っぽさを目指した紫の魔法少女です。
みんなで決めポーズも楽しそうですね。

気になったスイーツをどんどん取っていってお皿いっぱいに盛っちゃいましょうか。
せっかくのハロウィンですからカボチャ系は外せませんね。
このパンケーキとても美味しかったですよ。 一口食べてみませんか? なんて交換もしてみたり。
着ぐるみで食べにくそうな結希さんには、 「あーん」ですよ。

楽しいパーティーにわたしも浮かれていますがお仕事も忘れてはいけませんね。 UDCの気配に警戒しておきましょう。



「はぁ~! みんな可愛いんやけど……!」
 チケットで会場に入って、一旦仮装のために解散。再び集まった【旅人の軌跡】の面々を見回して春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)は近くのソファへ倒れ込むように頭を預け崩れ落ちた。一見、棒がぐにって曲がったかのようだ。
「結希さん、大丈夫ですか?」
 どうかしましたか? とリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)が近付き問えば、はうっと息をのんだ結希が眩しそうにリミティアを見上げた。
 炎をモチーフにした赤い魔法少女フランメ・シュトゥルム。焔のように勇ましいレース飾りがひらひらと。躍動感いっぱいの衣装だったが反してリミティアの表情は動かない。
「結希さんの仮装、ちょっと動きづらそうだけど、平気?」
 覗き込むようにミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)が声を掛けた。
「へ、平気です。大丈夫です。大好きなwithの着ぐるみですし……!」
 with@結希がうるうるとした瞳でミアを見つめた。ミアは可愛さと動きやすさを備えた黄色の魔法少女フライハイト・フリューゲル。ふんわりタイプの袖とキュロット、澄んだ藍の眸と同じ色の鳥のブローチ。
 ああ、どっちも可愛い。二人の姿を目に灼きつけつつ、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)の方を向く結希。
「そしてネージュさんは麗し美しい……!」
 大人っぽさを目指したネージュの魔法少女エーデル・リーベ。紫色のワンピースにキラキラ夜空色の透かしを纏わせて、すらりとした彼女の腕は長手袋に覆われている。
「みんな素敵……! 是非私を、魔力を増幅させる魔法剣として使ってください~~、って言いたくなってしまいます」
 ふわふわもふもふとした魔法少女の剣、どんとこいと結希が自身を叩く。
「魔法少女の剣なのですね」
 柄が頭の方にあり、ネージュが手を伸ばせば結希が身を屈めた。そんな二人の動きを見て「そうだ」とリミティアが呟いた。
「せっかくですし皆さんと一緒に決めポーズとかも取ってみたいですね」
 ミアがこう? と杖を構えて決めポーズ。それなら、とネージュが柄に手を添えて剣(結希)に背を預ける立ちポーズ。
 自身の顔前まで手を上げて無表情な横ピースを披露するリミティア。
「魔法少女だ!」
「あっ、すごい楽しそう~~」
 ポラロイドカメラで撮影会をしていた一般客が「一枚いかがですか?」と声を掛けてきた。
 せっかくなので四人の決めポーズを撮ってもらい、写真をお土産でいただいた。
「これはなかなか、いい感じ。みんなよく似合ってる、ね」
 魔法少女のカラーチームと魔法剣。ミアがこくんと頷く――その頬は僅かに色づいていた。
「さ。スイーツビュッフェへと参りましょう」
 さすがは大人っぽい魔法少女エーデル・リーベ。声を掛け、皆を促して移動していく。
 手と足と顔だけが出ている結希は剣をうねうねとさせてついていった。
「はぁ~……可愛いよぉ~私にも魔法かけてください~……」
 リミティアに背を押され、ハァハァと興奮の荒息を吐きぽわぽわと呟きながら。

「気になったスイーツをどんどん取っていってお皿いっぱいに盛っちゃいましょうか」
 ネージュの言葉に頷く面々。
 ハロウィンスイーツのあるテーブルはテーマパークみたいにキラキラワクワクとしたもので溢れかえっている。
 ジャック・オー・ランタンや魔女スイーツたちの行進、ティラミスの大地、一つ一つ絵が異なるショコラ。
 甘い香りに誘われ、結希も張り切ってトングを持つのだが、まずトングがまともに扱えなかった。魔法剣の宿命故に――。
 魔法剣(結希)はテーブルに立て掛けられた。
 主である魔法少女たちが帰ってきたらスイーツパーティだ。
 ミアが選び取った色とりどりのマカロンは、さっくりとしていてしっとり。ほろにがチョコのシックな味わい、ストロベリーの甘み、リンゴ味のマカロンは優雅な香り。
 タルトレットはナッツたっぷりチョコレート、ふんわりメレンゲにぱちぱちキャンディを仕込んだものや紫芋をペーストにした甘いもの。ひとつはお化けたちの集会、ひとつは魔女が立っていたりとマジパンによる立体な飾りつけのものもあったり。
 並べ方で物語もできそうだ。
「結希さんには、マカロン」
 マカロンをひとつ差し出すと結希が「あーん」と口を開けた。
「はぅ……美味しい。ありがとうございます~~……あの……すみませんが、ケーキも食べさせてもらっても……?」
「ん」
 なお、テーブルの上まで手が上がらないので結希は食べさせてもらうこととなった。
 ショコラケーキにお化けを模したホイップクリーム。とろけそうな表情で結希が食べていく。
「美味しい~、ミアさんも一口どうぞです」
 フォークで食べさせていたミアがこくりと頷いてケーキを一口。ちょっぴり苦めな大人の味。
 リミティアが選び取ったのは、食べてみたかったスイーツだ。
「ん、これが噂のマリトッツォですか。クリームにイチゴが挟んであって――美味しいです」
 たっぷりクリームにイチゴの赤。カラー配分は乙女心をくすぐるもの。雪のようにふりかけられた粉砂糖。
 食べてみると意外とふんわり軽いことに気付く。
 ハロウィンといえばカボチャ。カボチャのパンケーキも外せない。チョコやバニラのソフトクリームもトッピングできるように選び取ってきたネージュは、温かなパンケーキとの調和を堪能する。冷温の差を楽しんだり、ソフトクリームが熱で溶けてパンケーキに染みた味を楽しんだり。時間の経過で美味しさも変化する。
 もちろん、そのままのパンケーキでカボチャの風味も味わって。
「このパンケーキ、しっとりしていてとても美味しかったですよ。一口食べてみませんか?」
「本当に美味しそうですね。では、リムからも一口どうぞ」
 誘い合ってお互いのスイーツを食べてみる。今度はブルーベリーのマリトッツォ、はちみつ掛けのパンケーキ。
「わたしも。これ、美味しかった、よ」
 ミアが差し出したのはマロンクリームとムースのタルトレット。
「凄く滑らかですね。はい、結希さんも、あーん」
 ネージュが結希へと差し出した。
「ハァ、可愛い魔法少女に「あーん」されるなんて、すっごく幸せ……!」
 スイーツを分け合う姿も尊いし、魔法剣にも食べさせてくれるなんて優しい。結希の息が再び荒くなってくる。
「……そういえばさっきから結希さんの息が荒いような……。もしかして着ぐるみが暑いのでしょうか?」
「ん、暑いなら冷たい紅茶も飲ませて、あげる」
 気付いたリミティアの言葉にミアがアイスティーと差されたストローを結希の口元へと持っていった。やさしい。
「はぁ……もう幸せでしかない……」
 ほぅっと満足気な溜息を零す結希が、ん? と少しだけ我に返った。
「そういえばお仕事があった気がするけど何やっけ? たしかUDCが……――? まぁいっか!」
 我に返らなかった。魔法剣よ、これではいけない。
「お仕事は忘れてはいけません……結希さん、覚醒の儀式をしましょう」
 ネージュがぱちぱちソーダゼリーを掬い「あーん」の儀式。
 こくっと頷いたリミティアとミアはそれぞれの「目」で既に会場内を探している。
 いかにもなハロウィン飾りのコーナーに紛れるUDCマスコットを影の追跡者が突き止め、プリンセス・リライアンスによってお願いされた外の小鳥がガーランドの上を綱渡りしているUDCマスコットを目撃している。
 テーブルの下をしゅっと駆けていくマスコットもいて、ネージュが目で追った。

 帰ってくる死者の魂に紛れ訪れる悪い霊のように。
 UDC怪物の悪意はハロウィンに溶け込み、脅威はすぐそこに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾花・ニイヅキ
【波咲神社】
何で魔法少女にならないかって勧誘するんだろう……?魔法でお菓子増やせたりするのかな。
まあいいか!今は一杯食べるぞ!

南瓜プリンは絶対食べるって決めてたんだ。マカロンもティラミスも、パンケーキも……あ、トッピングでソフトクリーム付けれたりしないかな?
折角だから紅茶も色々飲んでみたいな。僕が持ち歩いている紅茶は定番のものしかないから、こういうシーズンの紅茶は気になる。

んー、どれも美味しい……!こういうの、自分で作れるようになったらおやつがもっと楽しいだろうな……。
……ん?今、何かがテーブルの上を走った?それに何か嫌な視線を感じる。
スイーツが動くわけないし、変な動きが無いか警戒しておこう。


青梅・仁
【波咲神社】
秋のスイーツバイキングなんて女子大喜びだろ。
そこに目を付けるとは中々賢いUDC怪物じゃねえの。

警戒しつつ、甘味も楽しませて貰うぜ。
タルトやティラミスも頂きつつ、やっぱ和の物が気になるよなあ。
練り切りは目でも楽しめるから良い。紅葉とかが定番だが、お化けとかもあんのね。可愛い。
……うちで買っておくと消えてたりするからな、こういう場なら安心して食える。

ある程度食ったら嬢ちゃんほっといてマスコット探し。
見つけたら掴んでお話してみっか。
「魔法少女の契約は順調か?俺が少し手伝ってやろうか」
反応したらついてくるように言って他のフロアへ誘導。
ま、手伝うのはマスコットを骸の海へ還すことなんだがな。



 チケットを渡して会場内へと入れば甘い甘い匂いで満ちていた。
「こ、これ、食べていいの!? どれでも??」
 尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)が紫の瞳をキラキラとさせて会場内を見回した。
 一つのテーブルが一つのファンタジーな国を形成しているみたいに、可愛らしいお菓子がたくさん並べられている。
 これはこれは、と感心するのは青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)だ。
 客層としてはやはり女性が多そうだが、仮装している者も多く、実際は性別不明がそれなりに。
「秋のスイーツバイキングなんて女子大喜びだろ。実際、嬢ちゃんがソレだし。……そこに目を付けるとは中々賢いUDC怪物じゃねえの」
 感心どころはUDC怪物へ向けたものだった。
 あ、それそれ。とニイヅキが仁へと振り向いた。
「何で魔法少女にならないかって勧誘するんだろう……? 魔法でお菓子増やせたりするのかな」
 どこまでも食いしん坊な考えを披露する彼女の言葉に仁は苦笑した。
 幼子は時に魔法少女的な番組を履修することもある。
 ちょっぴり考えこんだニイヅキだったがすぐに「まあいいか」と飛びつくように席を確保した。
「今は一杯食べるぞ! ハロウィンを楽しもう」

「わ! すごい可愛い! 映えじゃん!」
「でしょでしょ」
「めっちゃ美味しそうに見えるし」
 聞こえてきた楽しそうな声。ニイヅキが目を向ければ、彼女たちの皿には独特なハロウィン世界が築かれていた。
「なるほど。美味しくするには盛り付けも大事……」
 そう呟いて彩り豊かなテーブルへ視線を落とす。ジャック・オー・ランタンを模したかぼちゃプリンの美味しそうな姿に、「君に決めた」と自身の皿へご招待。
 スイーツはよりどりみどり。
 どれからいこうかな、と迷いながらも気になったものを選び取っていくニイヅキ。
 仁はまずはさっくりと選んだようだ。
 ナッツたっぷりチョコレート、ふんわりメレンゲにぱちぱちキャンディの仕込まれたもの、タルトレットとはいえ色んな種類がある。
 定番のティラミスにはミルクチョコレートの十字架が刺さっていた。
「あ、仁は十字架のところを取ったんだね。僕は棺桶のところ」
 席に着いたニイヅキが「ほら」と見せてくる。ティラミスの上に棺桶を模した紫芋のビスケット。お化けやかぼちゃマークがある色とりどりのマカロン。
「嬢ちゃん、それは……」
「うん! マカロンタワーに挑戦してみたよ!」
 イイ笑顔でニイヅキが応え、「そ、そうか」と仁はどこかぎこちなく頷いた。いくつものマカロンが重ねられて円錐状になっていた。
 かぼちゃとプレーンのパンケーキにはバニラとチョコレートのソフトクリームをトッピングしている。
 冷温の差を楽しんだり、ソフトクリームが溶け染みたパンケーキを楽しんだり。
 かぼちゃプリンに外せないホイップクリームはお化けの形。チョコレートで顔が描かれている。プリン自体はかぼちゃ独特の微かなざらつきと甘みが舌に浸透した。
「美味しい~。ハロウィンって最高だな」
 ニイヅキが頬を染めてスイーツを味わっていく。
 少しずつ選び取っていた仁は二巡目へと既に入っていた。
「やっぱ和の物が気になるよなあ。外せない」
 和皿に乗っているのは秋らしい、紅葉や銀杏の練り切り。あと可愛いと思ってついお迎えしたコウモリやお化けキャラクターの練り切り。
「ほう……コウモリは黒ごまの風味がすんのね」
 華やかだったり可愛さだったり、練り切りの見た目を存分に楽しんで少しずつ味わっていく仁。
 熱々のほうじ茶でまったりタイムを挟む。
「仁、今日はゆっくり食べるんだね」
「…………うちで買っておくと消えてたりするからな、こういう場なら安心して食える」
 主犯は大体目の前の人物だろうが、お供え物と称して掻っ攫われることもあるのだ。
 ニイヅキは頷いた。
「見つけるとちょっと楽しくなってきて、まだあるかな? って探しちゃうんだよね。コンコンコンみたいなノリっていうか」
「うちはキマフュじゃないんで。食材の補充は人力なんで」
 改めると波咲神社って毎日がトリック・オア・トリートだ。

 秋茶葉の紅茶はキンモクセイをブレンドしたものだったり、果物のリンゴとカキを使ったものだったり。
 華やかで甘やかな香りにニイヅキはほっと一息。否、スイートポテトを続けて一口。
「んー、どれも美味しい……! こういうの、自分で作れるようになったらおやつがもっと楽しいだろうな……」
 目を瞑ってまったりして。
 その時、何かの気配を感じてニイヅキはパッと目を開いた。
「あれ? 僕、ゼリーも持ってきたっけ?」
 ハロウィンの夜を象るキラキラのゼリーが目の前に置かれている。
「……?」
 不思議に思って周囲を見回せば、しゅっとテーブルの上を走って行く何か。小さなぬいぐるみみたいな?
「あんなところにマスコットってあったっけ?」
 ハロウィンモチーフのマスコットが飾られている。じっと見た後、気のせいかな、とか思って視線を外せばまたしゅっと視界の端で何かが見切れた。
 視線を向ければまたマスコット。
 ……だるまさんがころんだみたいなやり取りはしばらく続いた。

「見っけ」
 いかにも怪しい飾られ方をしているマスコットをガシッと掴み上げる仁。
「魔法少女の契約は順調か? 俺が少し手伝ってやろうか」
『少し……? ソレハ、おじさんも魔法少女になりタイと???』
「…………」
 中の綿引っ張り出してやりてぇな、とか思ってしまうことを言われた。
「……ちょっと作戦でも練ろうか? 今時の子ってな、利ばっかの言葉って効かねぇんだわ」
『こっわ。純粋さを失っているの?』
『殺伐~』
 こっちだ、と促せばマスコットが何体かひょこひょことついてくる。
(「ま、手伝うのはマスコットを骸の海へ還すことなんだがな」)
 心の中でそう告げながら、仁は別フロアへと魔法少女マスコットたちを誘導していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクセンディア・エールハイム
ディアナ(f01023)と
さて、珍しくスイーツバイキングか。あまりこういうところに来ることが少ないから新鮮だな。
俺は…そうだな、フルーツポンチをもらおう。こういうシンプルなのが好きでな、ディアナはどうする?

スイーツはいいな、甘くて心が落ち着く。いつもは肉とかそういうのを好んでるが、たまに食べる甘味は別腹だな?
今度家に帰ったらこういうレシピも試してみようか。作れるものが多いに越したことはないからな。

それよりディアナ、あちらの集団…少し臭わないか?
いつでも戦闘できるようにしつつ、気取られない位置に行こう ふたりっきりでな?


ディアナ・ロドクルーン
ルクセンディア(f24257)と

仮装はゾンビOL。ちょっと色気出すのに包帯もつけて
うふふ、どうかしら?そこの狼男さん、似合う?
そう問いかけ

すごーい、スイーツバイキングと言うだけあっていろんなものが目移りしちゃう…
ルクスはフルーツポンチが好きなの?もっと食べ応えの在りそうなものが好きだと思っていた
貴方の好きなもの、また一つ覚えた
私はね、カボチャのプリンにしようかな。甘くて美味しそう
スイーツは何でも好きよ?とっても幸せな気分になれる
今日はいつもよりそれをもっと感じられる
隣に寄り添える貴方がいるから

うん…?なぁに…?(目線で示された方を見遣れば、その集団を見つけ)
上手く誘導するように行きましょう



 タイトスカートのレディースビジネススーツ。
 シャツにはちょっとしたレースもあしらわれていて、すらりとのびる細い首に包帯を巻いてみた。手首やスカートのスリットからチラ見えする包帯も丁度良い位置に。
 パープル&ブルーをメインにしたアイメイク。くっきりとしたラインにはダークグリーン。
 ゾンビオフィスレディの仕上がりに、満足げに頷いたディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)はパチンとルクセンディア・エールハイム(不撓不屈の我様・f24257)へウインクを送ってみせた。
「うふふ、どうかしら? そこの狼男さん、似合う?」
「ああ、儚さが一層と美しさを立たせているな。玲瓏な月光のようともいうべきか」
 そう言いながらルクセンディアが腕を差し出してきたので、手を掛けて刹那のエスコートにのるディアナ。
 ハロウィンスイーツバイキングの会場は賑やかだ。
 ハロウィンツリーと吊るし飾り。メインのスイーツたちが用意されているテーブルはまるでお菓子のパレードのよう。
「すごーい、スイーツバイキングと言うだけあっていろんなものがあるのね。目移りしちゃう……」
 どこか緩やかに目を瞬かせたディアナが感嘆の息を零す。
 ふ、とルクセンディアが微笑んだ。
「あまりこういうところに来ることが少ないから新鮮だな。ディアナ、何を食べようか」
 マシュマロやふわりメレンゲのクッキーはお化けの形で感情豊かな顔も描かれている。
 ムースやプリンもハロウィンカラーであったり、カラメルソースで絵付けなど工夫がされていた。
 そのひとつひとつを眺めながら、ディアナはどうしようかしらと迷い選んでいるようだ。
「ルクスは何にするの?」
「俺は……そうだな、フルーツポンチをもらおう」
 大きなスイカがジャック・オー・ランタン調にくり抜かれている。中には旬のフルーツや白玉がたっぷりだ。
「ルクスはフルーツポンチが好きなの?」
 もっと食べ応えの在りそうなものが好きだと思っていたディアナは少し驚いたのか、弾んだ声が微かに含まれた。
「こういうシンプルなのが好きでな」
「貴方の好きなもの、また一つ覚えた――」
 そういうディアナの声が本当に感じ入るものだったので、ルクセンディアが視線を向ければやはり彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
 ディアナはどうする? と促せば腕を引かれる。
「私はね、カボチャのプリンにしようかな。甘くて美味しそう」

 型抜きされたかぼちゃプリンはぷるぷるとしている。
 ジャック・オー・ランタンの顔がチョコレートで描かれていて、同じくチョコレートの帽子を被っていたり、ホイップクリームのお化けとちょこんと乗せていたり。
「ふふ、可愛らしい」
 滑らかでありながらかぼちゃの舌触りも活かされたプリンだ。
 一口含めばディアナの表情はより柔らかなものへと変化した。
「幸せそうだな」
 ルクセンディアの言葉にこくんと頷く様は少し幼い。
「とっても幸せな気分になれるの。だからスイーツは何でも好きよ?」
「そうだな、甘くて心が落ち着く。いつもは肉とかそういうのを好んでるが、たまに食べる甘味は別腹だな」
 そう言ってルクセンディアはフルーツポンチを食べ進める。リンゴやキウイ、目玉の形をしたゼリーは時々パチパチするものがあった。
「黄色の白玉は食べるまで分からなかったが、かぼちゃを使った白玉みたいだ」
「お月さまみたいな色ね、って思っていたのだけれど、色々工夫がされているのね」
 感心したようにディアナが頷いた。
「今度家に帰ったらこういうレシピも試してみようか」
「ルクスったら。とても楽しそう」
 くすくすとディアナが笑う。
「作れるものが多いに越したことはないからな」
 あんみつなどの和菓子にもきっと合う。
 頭の中にあるレシピを捲っているのだろう、ルクセンディアの表情もまたどこか無邪気なものになっていた。
 ふわふわとした心地になってきたディアナは、やっぱり幸せねと思った。
(「今日はいつもよりそれをもっと感じられる――隣に寄り添える貴方がいるから」)
 ほろりと口の中で溶けていく甘味。その余韻はいつまでも残り、指先にまで浸透していくようだ。

「それよりディアナ、あちらの集団だが……」
「うん……? なぁに……?」
 ルクセンディアの様子に――視線の先へ、ディアナも目線だけを動かした。
 そこにあったハロウィンツリーの下にはちょっとしたカボチャの森がきている。
 カボチャぬいぐるみの他に魔女のぬいぐるみ、ブリキの人形。
 その時オーナメントがコロンと転がって、何かがサッとツリーの下に隠れた。
 気付いてしまえば察することも出来る。一体ではなく複数体の気配。
「少し臭わないか?」
 彼の言葉にディアナはにっこりと笑みを深めた。
「いつでも戦闘できるようにしつつ、気取られない場所に行こう。もちろん、ふたりっきりでな?」
 席を立ったルクセンディアがエスコートのため再び手を差し出した。
「ええ、もちろん。ツリーを眺めながら、それとなく誘いの言葉を掛けてみましょう」
 敵であるマスコットは人間に「魔法少女」の勧誘をしようとしている。
 ハロウィンの魔法を話題にするといいだろうか。ゆるりと歩を進めながら別のフロアへとマスコットを誘うべく、策を練るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎹・たから
【煌々】
仮装はミニスカ魔女っ娘(きらきらステッキ付
魔法使いとお揃い
これで二人とも、魔法少女に勧誘されるはずです

すこし怖くてかわいいスイーツだらけです
たからはティラミスとマカロンが気になります…
タルトやパンケーキも食べてみたいですし(そわ

ひと口食べるごとに甘さが広がります
どれも違う味で、仕掛けがあってびっくり箱のよう
トリックオアトリートですね

ここにあるスイーツは
全て甘くて素敵な味がするのではないでしょうか
ヴィルジール、これはバイキングです
全制覇を狙いましょう(きり

艦長の食べているワインゼリー、甘いですか?
あと3年で、たからも食べられるでしょうか(ポンチもきゅもきゅ
いい香りがするものは素敵ですね


ヴィルジール・エグマリヌ
【煌々】

私は魔法使いの仮装を
鍔の広い三角帽子に
黒いローブ、星を飾ったステッキも

嗚呼、本当だ
どのスイーツも愛らしくて
食べてしまうのが勿体無いよね

セメタリーなチョコケーキは
フォークを入れると骨でも出てきそう
タルトレットの飾りは綺麗で
口に運ぶのをつい躊躇いそうだ

おばけの大福も気になる
中身は……ふふ、真っ赤
これはいちごのペーストかな

そうだね、たから
全制覇を目指して頑張ろう
此処のスイーツなら幾らでも食べれそうだ

欲を言えばアルコールが欲しいけれど
……嗚呼、そういえば
ワインのパンチがあるんだったかな
折角だし、其れも戴こうか

ふふ、甘さは控えめだけれど
とても良い馨がするよ
あと3年したら、君も確かめてみると良い



 ポップな蜘蛛や蝙蝠のオーナメント、可愛らしいジャック・オー・ランタンが飾られたハロウィンツリー。天井付近を伝うガーランドには時々箒に乗った魔女のキャラクターが飾られているのを見つけた。
 ハロウィンのスイーツバイキング会場は細やかに見れば見るほど新たな発見がある。
 キラキラとした会場を銀の眸に映して、鎹・たから(雪氣硝・f01148)は感嘆の息を零した。
 ミニのスカートがひらり舞う闇色のドレスには星粒の輝き。
 たからの頭を飾るとんがり帽子は魔女っ娘らしいミニハットとなった可愛らしいもの。
「ヴィルジール、見てください」
 そう言って持っているきらきら三日月のステッキを少しだけ動かして先を示すたから。
 星を飾る、同じようなステッキを持つヴィルジール・エグマリヌ(アルデバランの死神・f13490)が指先で三角帽子の鍔を僅かに上げて応じる。黒いローブ、こちらは魔法使いの仮装だ。
「すこし怖くてかわいいスイーツだらけです」
 テーブルにはハロウィンスイーツが所狭しと並んでいてまるでスイーツたちがパレードをしているかのよう。
 大きなティラミスにはメレンゲのお化けたち、ホワイトチョコレートの十字架。
 ジャック・オー・ランタン風にくりぬいたスイカひと玉にはフルーツポンチ。そこには目玉を模したゼリーも混ぜられていたり。
 お菓子のハロウィンキャラクターたちは今にも踊りそうな雰囲気。
「嗚呼、本当だ。どのスイーツも愛らしくて、食べてしまうのが勿体無いね」
 言いながら、彼女のそわそわした様子に気付いてヴィルジールの表情が和らぐ。
 何から食べよう、なんて二人で話しつつ視線を巡らせた。
「たからはティラミスとマカロンが気になります……ですが、タルトやパンケーキも食べてみたいですし――」
 そわそわ、わくわく。
 スイーツのパレードにトングでお邪魔して選び取っていく。

 ティラミスにフォークを差し入れてみれば、ふんわり感触。
 一口含めばほろにがのココアパウダーと滑らかなクリーム、まださっくり食感が残っているビスケット。
 美味しい。
 たからの目元がゆるゆるになった。メレンゲのお化けにはパチパチキャンディが仕込まれているものもあって、たからがびっくりする。
「まるでびっくり箱のようです」
 今のお化けはパチパチ。違うお化けは酸味の効いたブルーベリージャムが仕掛けられていたことを、ヴィルジールへと嬉しそうに報告する。
「まさしくトリックオアトリートですね」
 お菓子をくれなきゃ悪戯するぞとスイーツたちに話しかけられているかのよう。
「艦長のチョコレートケーキも――何だか色々出てきてますね?」
「そうだね。紫芋かな、紫色の棺桶ビスケットとか、ミルクビスケットの骨とかが出てくるね」
 タルトレットはチョコレートにナッツをたっぷり閉じ込めたもの、パンプキンクリームにジンジャーなどのスパイスが効いたものや、紫芋のペーストを練り上げて表情をつけられた愛嬌あるものと様々だ。
「こちらのお化けの大福は――……ふふ、真っ赤。これはいちごのペーストかな」
 食べてごらん、とヴィルジールにお化けの大福をオススメされて、どこか楽しげにたからは大福にかぶりついた。
 ひとつひとつ手にしては感想を送りあって秋や冬を呼ぶ甘味たちを楽しむ。
 パンケーキやトッピングのアイスにはそれぞれに秋の味覚が練りこまれていて多種類となっていた。
「ここにあるスイーツは全て甘くて、素敵な味がするのではないでしょうか」
 見た目も味も心躍るハロウィン限定のスイーツたち。期待を膨らませて言ったたからが次の瞬間、キリリとした表情をした。
 リラックスしていた雰囲気もまた引き締まり、ヴィルジールが「おや」という風に少し目を瞠る。
「ヴィルジール、これはバイキングです。全制覇を狙いましょう」
 ハロウィンクッキー、練り切り、あんみつと、スイーツパレードに置き去りにした甘味たちがいた。彼らの味を楽しまずに帰路についてしまえば、ちょっとした後悔が訪れそうだ。憂いはなくすべき。
 とても真面目なたからの声にヴィルジールは緩やかに頷いた。
「そうだね、たから。全制覇を目指して頑張ろう。幸い、此処のスイーツなら幾らでも食べれそうだ」
 ギザギザ歯の模様があるクリームたっぷりのマリトッツォ、かぼちゃプリン、スイーツの種類はまだまだある。

 と、いうわけで二巡目。
 ――欲を言えばアルコールが欲しいけれど。
 そう呟いたヴィルジールが嗚呼と思い出す。
 ワインゼリーのフルーツパンチだ。例外なくこちらも目玉ゼリーが入っている。
 旬のフルーツがたっぷり使われたパンチには白玉、かぼちゃが使われた黄色の白玉も混ざっている。
 たからの選び取ったフルーツポンチもワインゼリー以外は同じ具が使われているのだが、シロップも違うのだろう。こちらは濃厚な甘い香り。パンチは芳醇な香り。
「艦長の食べているワインゼリー、甘いですか?」
 興味津々といったたからの様子にヴィルジールの目元が笑み崩れた。
「甘さは控えめだけれど、とても良い馨がするよ」
「それは素敵ですね。あと3年で、たからも食べられるでしょうか」
 ポンチを食べながらたからが言う。
 シロップに負けぬマスカットの酸味加わる甘さが口内に満ちる。
「そうだね。3年したら、君も確かめてみると良い」
 そう言ったヴィルジールの声はとても優しい。そっと添えられたそれは結びなき約束であったが柔らかく心に残るもの。
 自然と馳せるのは3年後。どんな大人になっているのだろう――。
 楽しみです、と、答えたたからがはにかんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
黒いローブの魔術師の仮装

ハロウィンらしい、可愛くて凝った見た目の
スイーツたちにテンションが上がる
お皿に取ってはスマホで写真を撮りまくり

撮影に満足したらお楽しみの味見タイム
メニューを制覇する勢いでどんどん食べていく
南瓜やチョコを使った濃厚なスイーツも
秋の果実を使ったさっぱりとしたスイーツもどれもたまらない

それにしても
魔法少女の勧誘してくるUDCだなんてユニークだよねぇ
俺も魔法にはちょっと興味はあるんだけど
やっぱり武器で直接斬り合う方が俺には合ってるだろうなって思う
梓は魔法少女になってみたくない?
魔法少女な梓とそのマスコットの焔と零が
決めポーズしている図が脳裏に浮かんだのは内緒


乱獅子・梓
【不死蝶】
白いローブの魔術師の仮装

見るからにうきうきしている綾を微笑ましく眺め
確かにハロウィンは見た目もこだわったスイーツが多く見てて飽きない

綾はすごい勢いで次々と平らげているが
俺は逆にひとつひとつゆっくりじっくり味わっていく
自分が作る際の参考になることはないかと
考えてしまうのは料理男子の性か

魔法少女にならないか?なんて、そんな胡散臭い勧誘に
引っかかる奴が居るんだろうか…
いや、ハロウィンのこの浮かれた空気の中なら有り得るのかもな
魔法少女になった俺って誰得だよ!
…ハッ、でも可愛い焔と零なら魔法少女のマスコットになれるかもしれない
その手でUDCを誘き出すのもありだな…と思案



 ハロウィンツリーにはジャック・オー・ランタンの温かな輝き。
 ハロウィン定番の魔女やお化け、蜘蛛のキャラクターオーナメントが賑やかに飾られている。
「最近はこういうツリーもよく見るようになったよねぇ」
 吊るし雛みたいな飾りもあり、天井付近もガーランドでわちゃわちゃした楽しい雰囲気。スマートフォンで撮影をする灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)はいよいよメインディッシュ(撮影の)。レンズをハロウィンスイーツたちへと向ける。
 バイキングテーブルに所狭しと並ぶスイーツたちは、どれも可愛くて色んな表情があって、スイーツだけのパレードをしているかのようにも見えた。
「先に選んでいくぞ、綾」
 白いローブの魔術師の仮装をした乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)がトングを繰り、スイーツパレードに割り込んだ。
「あっ、待って、俺も」
 黒のローブを着ている綾も魔術師の仮装。お揃いのデザインで異なる色。
 綾の黒魔術師の宝飾は金色の飾りと月長石のようなものが使われていて、梓の白魔術師には黒曜石の飾りと紅榴石のようなものが使われている。
「いや可愛い。ほんとに可愛い。見てよ、梓。この目玉ゼリー、いろんな色の眼球があるよ」
 フルーツポンチに使われている目玉ゼリー。色とりどりを集めてきた綾のテンションは爆上がりであった。
 席に着いたところで改めてスマートフォンを構え、存分に撮影を開始する。
 タルトレットはメレンゲの人形が飾られていたり、ハロウィンキャラクターが描かれていたり。
 型抜きされたかぼちゃプリンにはチョコレートのとんがり帽子が乗せられていたり。
 魅力的なスイーツとキャラクターたちは皿にどのように置いても『映え』を提供してくれる最強の素材たち。
「確かに。ハロウィンは見た目もこだわったスイーツが多くて、見てて飽きないな」
 うきうきしている綾を微笑ましく眺めながら梓が頷き言った。
 綾が撮影を終えればお楽しみの実食タイム。
 マリトッツォのクリームにはギザギザ歯を描いたジャム。と思えば、中にドン! と蜘蛛の形のチョコレートが鎮座しているものもあった。
 シンプルに甘いメレンゲのお化けもいれば、パチパチキャンディが仕込まれたお化けもいる。
 ケーキを食べてみれば棺桶や骨の形のビスケットが出てきたり。
 まるでお菓子たちがトリック・オア・トリートを仕掛けているみたいだ。
「梓、梓。このフルーツポンチ、秋の果物がいっぱいだよ」
 果実を使ったさっぱりとしたスイーツ、かぼちゃクリームの滑らかさやチョコレートの濃厚さを活かした甘いスイーツ、一つ食べては梓に感想を伝える綾。とても楽しそうだ。
 スイーツを次々に食べていく綾。
 逆に梓はゆっくりと食べ進める。
 和風あんみつに使われている黄色の白玉――かぼちゃの白玉だ、お化けやジャック・オー・ランタンの形をしたスイートポテト、そして皿に鎮座するお化けクレープの中身は……?
「生地を切るまで中身が分からないのも面白いな」
 出てきたのはカスタードクリームとフルーツたち。
 旬のブドウやリンゴ、晩成の実りのモモ。控えめな甘さのクリームに、果物が持つ酸味や甘さが調和している。
 料理男子の性か、梓は検分しながら食べていく。作る際の参考になりそうなものが多い。

「それにしてもさ」
 改まったような綾の声が聞こえて梓は顔をあげた。
 綾はゆっくりと会場内を見回している。――何かを探すように。
「魔法少女の勧誘してくるUDCだなんてユニークだよねぇ」
「――あぁ、確か『魔法少女にならないか?』って勧誘してくるんだったか」
 そんな胡散臭い勧誘に引っかかる奴が居るんだろうか……。そう言った梓の表情は呆れたような冷めたような、そんな感じのもの。
「明らかに不審者……いや、不審マスコット、か??? いや、前向きに考えよう。ハロウィンのこの浮かれた空気の中なら有り得るのかもな」
 言いながらも、無い無いという雰囲気を隠しもしない梓。現代っ子はシビアなのだ。
 にっこりと綾は笑う。
「俺も魔法にはちょっと興味はあるんだけど」
「あるのか」
「うん。でも、やっぱり武器で直接斬り合う方が俺には合ってるだろうなって思う。ね、梓は魔法少女になってみたくない?」
 …………。
 綾の言葉を一旦心に持ち帰る梓。意図を噛み砕く。
 自分は魔法に興味あるけど、梓は魔法少女に興味あるんじゃない? 的な。いや、的ではなく明らかにそう言っていた。何となく言葉は似ていても、結構方向とか行き先とかが違ってくる言い方だ。
「って、魔法少女になった俺って誰得だよ!」
「少なくとも俺得にはなるかな。ちゃんとスマホで撮るからね」
「今の俺(魔術師)じゃダメなのか」
「え~~~、う~~~ん?」
 ちょっと棒な声で応じながら綾は笑みを深めた。
 その時、ハッと梓は何かに閃いたようだ。
「可愛い焔と零なら魔法少女のマスコットになれるかもしれない。その手でUDCを誘き出すのもありだな……」
 ありですね。
 梓のローブの下でごそごそと二匹が身動きした。
 彼の思案する呟きをきっちりと拾いあげる綾の脳裏に浮かんだのは、魔法少女――ウサミミ付き白のローブと神薙衣装、胸元に大きなリボン、可愛らしい御幣ステッキを持つ梓の姿とそのマスコットでる焔と零。
 脳内で稼働して和風魔法少女ちっくな決めポーズをする一人と二匹。
 思わず笑みが零れてしまい、向けられた梓の怪しむ視線を払うように。
 綾はひらりと手を振った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『『都市伝説』魔法少女マスコットの怪』

POW   :    証拠隠滅
自身の身体部位ひとつを【対象を丸呑みする怪物】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    『ほらほら敵が出てきたよ!』
いま戦っている対象に有効な【魔法少女を屠り去る敵】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    『これで契約成立だよ』
【対象を魔法少女に変える種】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ニンゲンがたくさんだ。
 ここのニンゲンは変わった格好をしているね。
 ボクらの望む魔法少女になってくれそうだ。
 ボクは、これだ、と思ったニンゲンに怪物をしかけちゃおう。きっと魔法少女として目覚めてくれる。
 あのおっさん、ゼッタイ魔法少女。仕掛けにいってくるね。
 確定ロールってやつだね。

 怪しいマスコットたちがひそひそ会話をして解散した。

 あるマスコットは席を外そうとしている人間についていき。
 あるマスコットは猟兵に話しかけられて、別のフロアへとついていき。
 あるマスコットはスイーツが気になったので、さりげなく食べ始めた。
 あるマスコットはハロウィンツリーに集まる普通のマスコットたちに混ざり、擬態し、人間の選別を行おうとしている。

 彼らは数は多いが、とても弱いので恐らくは猟兵たちの一撃で骸の海へと還っていくことだろう。
 誘導してのまとめての撃破、手分けしての各個撃破。
 騒ぎにならないように、密やかにマスコットたちを倒すべく、猟兵たちは作戦を立てていく――。
鎹・たから
【煌々】
敵に声かけ別フロアへ

あなたは迷子ですか?
え…たから達が、魔法少女に?(そわ

これは演技です
決して本気で勧誘されていません
本当ですよ

うぅ…そのお誘いはとても素敵です(憧れ
ですがっあなた達はオブリビオン
たからはっ猟兵…なのです…っ!(めちゃくちゃ悔しそう

ヴィルジール…はい
たからはえらいので、ちゃんと彼らをほろぼします
ふあふあなストラスも居ますからね(きりっ

ステッキを揮い雪と霰の奔流を放ちましょう
その種、艦長とストラスにぶつけられては困ります
雪星のオーラ防御を

魔法少女のマスコットは
正義の味方でなくてはいけません

実際、たからには魔法少女の資格があるのでしょうか
だとしたら
ちょっぴりうれしいのです


ヴィルジール・エグマリヌ
【煌々】
引き続き三角帽にローブを羽織った
魔法使いの装いで
星を飾ったステッキも持って

魔法、少女――

確かに私はうつくしいけれど
何処からどう見ても男だろう?
嗚呼、たからを拐すのも駄目だよ
彼女は今の侭が一番素敵だからね

見境の無いナンパは嫌いなんだ
それに、可愛い眷属ならもう間に合ってるし

――ね?
私の可愛い大王、ストラス

宝石みたいな飴をあげる
代わりにあのマスコット擬きを
流星でおとしておやり
指揮棒みたいにステッキを振って

序に飛んでくる種も…
あ、食べちゃ駄目
あとで綺麗なお菓子をあげるからね

護ってくれて有難う、たから
嗚呼、そうだね
高潔で優しい君は
充分に魔法少女の素質が有ると思うよ
誰もが憧れる、可愛い正義の味方だ



●【第1話☆星夜のヒロイックディセンダント】

「あなたは迷子ですか?」
 動く不思議なマスコットたちを見つけた鎹・たからがそう声を掛けた。
 ――心の優しそうな少女だ。マスコットたちは頷き合った。
 賑やかなハロウィンの会場から出て歩いていくたからとヴィルジール・エグマリヌについていきながら、マスコットたちはぺちゃくちゃとお喋りをする。
『ううん、迷子をさがしているの』
『優しい迷子ナノ』
『強い迷子なの』
『果てしない人生という闇の中で澱みのような晴れぬ心を持つ迷子でもイイノ』
 そう言ったマスコットがハッとした表情になり、ヴィルジールを見つめた。
『この魔法少女候補、闇の波動を感じるわ!!!』
「…………」
 何か始まった。
 ヴィルジールは僅かに微笑んだ。――微笑んでるがひんやりと凍り付くような雰囲気だ。
 ふとたからの方を見れば「えっ!」という、表情でヴィルジールを見つめている。素直に闇の波動を感じ取ろうとしているような様子だ。
『ねえ二人とも、魔法少女になってみない? 素質を感じるワ』
「たっ、たからたちが魔法少女……っ」
「魔法、少女――」
 たからはびっくりしてふるっと震えた。ヴィルジールは呟き目を閉じた。
 全人類の憧れの職業に感じ入っているのだろうか、マスコットは勧誘を強めることにした。
 まずはヴィルジールを落とそう。そんなジェスチャーを交わす。
『ねえ、アナタ、このつまらぬ世界に転生してきた魔法使いさんでしょう? この世界は物足りないと思わない?』
『お嬢さんはこの魔法使いさんのお友達? お嬢さんからは光の波動を感じるよ。二人が既に出逢っているのもきっと運命だね!』
「ひかりのはどう」
 たからは呟き、自身の手のひらをじっと見つめた。
 かごめかごめの如く輪になってにじり寄ってくるマスコットたちを牽制するように、ヴィルジールは軽くステッキを振った。シャラリと先端の星飾りが心地良い音を立てる。
「確かに私はうつくしいけれど何処からどう見ても男だろう?」
 …………。
『……アッハイ、美しいですね……!』
『今や男子も少女になりたい時代デス。美しいアナタもキラキラな青春を体験してみたくはないデスカ? 努力! 根性! 友情!!』
『魔法少女になったら是非、ギャップからのエモーショナルというコトでドジっ子属性になっていただきたく……』
『あっばか。設定は表舞台に出しちゃ駄目! そうなるよう導くのが我等が魔法少女マスコットの使命!』
 堂々としたヴィルジールの言動に突然敬語となり、ひそひそ話し出すマスコットたち。ぐるんとたからの方を向いた。
『変身の台詞は「レガーメ・シンティッリーオ・ルナティカル!」とかどう? 絆・煌くお月さま的な感じで』
 衣装案、チームのコンセプト、結構ガチめいた勧めは想像もしやすく、たからは頬を染めた。
「うぅ……そのお誘いはとても素敵です」
 ヴィルジールと一緒に魔法少女活動。弱きものを助け、あらゆるものの妨害に屈しそうになったヴィルジールをたからがヒロイック・フォローし、けれどもぐんっと大きな成長を見せるヴィルジールに「負けない!」ってたからも頑張る成長友情物語。
 マスコットたちの語りを聞いたヴィルジールの色々がますますひんやりしてくる。
 たからは「くうっ」と息を呑んだ。葛藤する表情はとてもヒロインぽい。
「ですがっ――あなたたちはオブリビオン……たからはっ猟兵……なのです……っ!」
『たから。違うよ、きみは魔法少女ルナ・ティアラ』
『闇を抱えるスターライト・クラウンの、光の相棒』
 いつの間にか名付けられてしまった。
 彼らの真摯(?)な声を、ヴィルジールが吐息を零すように「嗚呼」と遮った。
「たからを拐すのは駄目だよ。彼女は今の侭が一番素敵だからね」
「ヴィルジール……」
 今の侭が一番素敵。その言葉はたからの胸にじんと響いた。ふにゃっと緩みそうになった頬を引き締めるように頷いた。
「はい。たからはえらいので、ちゃんと彼らをほろぼします」
「うん、それでこそたからだ」
 というわけでお断り。
 マスコットたちと対峙するように立つ二人。
 ヴィルジールはステッキを振るった。
「見境の無いナンパは嫌いなんだ。それに、可愛い眷属ならもう間に合ってるし」
 ――ね? とヴィルジール。少し首を傾げたのか、さらりと藍髪が流れた。
「私の可愛い大王、ストラス」
 現れたのは王冠戴くフクロウ。宝石みたいな飴をヴィルジールに貰って翼を広げる。
 魔法使いの星を飾るステッキが弧を描けばキラキラお星様。
 ストラス大王が羽ばたけば流れ星の攻撃がマスコットたちにヒットした。
『うわぁ』
『ひぇぇ!』
 マスコットたちが悲鳴をあげる。
『既に魔法少女だった!?』
『いやいや』
 ぬいぐるみのようなマスコットのお腹がはちきれて不気味な種が飛び出てきた。
『ボクらの魔法少女になれる最後のチャンスだよ!』
 飴を食べたストラス大王が敵から放られてきた種を反射的に嘴でキャッチする。
「あ、ストラス。食べちゃ駄目。あとで綺麗なお菓子をあげるからね」
 ポイしなさい的に止めたヴィルジールに、ストラス大王は種をポイした。
 だが次々と投げられてくる種を避けるのも大変だ。
「その種、艦長とストラスにぶつけられては困ります」
 たからがステッキをふるって雪と霰の奔流を呼ぶ――ハロウィンは冬への一歩。秋の祝祭に招かれた邪悪なものを還す終雪。
「凍えなさい、ほろびなさい」
 声は子守唄のように。
 悪しきものを静寂の真白に閉じ込めて。
「魔法少女のマスコットは正義の味方でなくてはいけません」
 たからの声に返ってくるのは嗤い声。
 刈り取られた時が骸の海へと還ってゆく――またくるね、と、そう残して。

 マスコットたちを倒して、たからはほうっと息を吐いた。
「護ってくれて有難う、たから」
 そんな彼女に声を掛けるヴィルジール。肩に乗ったストラス大王の胸をくすぐるように指で掻いていた。彼らを見上げ、たからは再び息を零す。
「たからには魔法少女の資格があるのでしょうか……」
 子供たちの憧れ。
 正義の味方。
 勇気と優しさ、愛――。魔法少女というものはとても大変なものなのだ。
 辛くても、それを見せられる相手はほんの少し。
「――嗚呼、そうだね。高潔で優しい君は、充分に魔法少女の素質が有ると思うよ」
 ヴィルジールが言った。ストラス大王が移動して、もふりとたからの頭に乗っかる。
「……だとしたらちょっぴりうれしいのです」
 護りたいと思った。それだけで一歩をゆく勇気が湧く。
 自信を持っていいとヴィルジールが頷いて見せた。
 包みこむ優しさ。歩幅を合わせて一緒に歩いていく強さ。
 誰かのために動くことは、魔法をかけるようにちょっとだけ心に勇気をふりかける。
「誰もが憧れる、可愛い正義の味方だ」
 ヴィルジールの言葉は、きっと変身のための魔法。
 魔法で芽吹いたものはたからの心で咲き続けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

青梅・仁
マスコットを別フロアに誘導したら嬢ちゃんの到着を待つ。

はい。お探しの魔法少女候補――ではなく、猟兵の少女がここに来たぜ。
は?魔法少女の契約を手伝うって聞いたのに違う?
俺は何を手伝うかは言ってねえぜ?
内容をきちんと確認しねえとなあ?契約の基本だろ?
ついでに「少女」の定義も確認しとけよ。おじさんが魔法少女になる訳ねえだろ。

しかしこんなにマスコットが居るなら契約争奪戦で大変だろう。二重契約は流石に出来ねえんだろ?出来んの?
騙したって喚かれるのも何だし、女性でいいなら呼び出してやるとするか。うちの海からな。
っはは!いくらお前さんらでも死人と契約するのは嫌か?
ハロウィンらしくて良いと思ったんだがな。


尾花・ニイヅキ
【波咲神社】
仁のいるフロアに向かって合流。

何か勝手に魔法少女候補扱いされてないか僕。僕は猟兵だぞ。
何でもいいから契約しろ?
……えっと、僕ある意味、もう魔法少女なんだよな。知った事じゃない?証拠を見せろ?
どういう証拠を見せれば良いか分からないから取り敢えずUC発動。
マントが付いただけ?失礼な。『属性攻撃(雷)』も混ぜて氷と雷のダブル魔法(物理)を喰らわせてやる。

とにかく!僕は既に魔法を使える!だからお前達の言う魔法少女にはなれないと思う。
え、なれるならなってくれるのか、って?
食べ物で揺さぶられるかもだけど……契約しないぞ。
槍で薙ぎ払い、仁の海に叩き込んでやる。
骸の海で営業技術を学び直して来い!



●【第2話☆奸知働き? 術数デュエル!】

『あれ? ニンゲンがいないぞ』
『おじさんならいるけど……魔法少女には向いてな――』
『ばっか! 察しろヨ! おじさんっつーのはシャイな生き物なんだよ! おまけに繊細ですぐにガラスノハートがブレイクすんだよ!』
 きっとなりたいに決まってる。
 別フロアへと誘導したマスコットたちがひそひそと話し合っていた。
『あの……魔法少女になります???』
 気遣ったあるマスコットが青梅・仁へと声を掛けるが、仁は「いんや」と手を振った。
「魔法少女候補は俺じゃなくて――ああ、来た来た」
 エレベーターが開き、尾花・ニイヅキが同じフロアへと到着した。
「はい。お探しの魔法少女候補――ではなく、猟兵の少女が来たぜ」
 仁の紹介にキョトンとした顔になるマスコットたち。
『猟兵???』
『マジカル・イェーガー・ガール???』
 どうあっても魔法少女に繋げたいマスコットたちである。
「何か勝手に魔法少女候補扱いされてないか僕。僕は猟兵だぞ」
 きっぱりと告げるニイヅキは格好良い。凛とした佇まいでマスコットたちを見据えている。
『おお。立ち位置はパープル? クリーン・パープル・グロリアス?』
『いやもっと親しみヤスク……ラ・ヴァイオレットとかどうダロウ』
「……何の話をしているんだ?」
「……コードネームを決めているんじゃないか?」
 ニイヅキが指差して尋ねてくるので仁が憶測で答えた。
 ふわりとマスコットがニイヅキの前に浮遊した。魔法陣を出現させて、告げる。
『けほん――汝、魔法少女となる宣誓をここに』
「は?」
 ニイヅキの目が据わった。ちょっとビビったのか、マスコットが身を震わせたが、同じく震える声で言葉を続ける。
『二十四時間、いつでもどこでも魔法少女に』
『夢の中への出張も時々あります』
『狂気が蝕んできますが、そのぶん魔法の力は強くなります』
『魔法少女として活動すればするほどに、世界はアナタというヒロイックを称えることでしょう!!』
 契約しましょう。
 マスコットたちがかごめかごめしながらニイヅキを囲んだ。
 やりがい搾取じゃん、と囲いの外から眺めながら仁は思った。
「……えっと、僕ある意味、もう魔法少女なんだよな」
『エッ』
『イェーガー・ガール、君はまだラ・ヴァイオレットの力に目覚めていない――力は、ここにあるのだから』
 一体のマスコットがジェスチャーをして、ふわりと微笑んだ。しょうがないなぁっていう表情。
『ラ・ヴァイオレットは夢見る乙女なんだナ』
「………………」
 なんだろう、この茶番。胡乱げな仁の視線の先。ニイヅキのめんどくさそうな表情、そこそこ猪突のようなゲージが爆上がりしている気がする。
「分かった。証拠を見せてやろう――流れるルーンよ、集え!」
 力ある言葉(?)をニイヅキが唱えればどこからともなく現われた魔力のマント――キラキラと光を弾く氷雪が編まれている。
『ふへ?』
 優雅に滑らせたニイヅキの指先がマスコットに触れれば、途端にマスコットは凍結した。パン! と雷気が放たれ、マスコットは粉々に砕け散った。
『ミッドナイトー!?』
 夜の木馬・ミッドナイト(砕けたマスコットの名前である)が床にぱらぱらと落ち、マスコットたちが衝撃を受ける。
 これはいけない。クレームものだ。魔法少女(仮)がマスコットを攻撃する作品なんて……いやある気がするけど。
『おじサン!』
「ん?」
『魔法少女の契約を手伝ってクレルんじゃなかったノ!?』
 クレームの行先は仲介人の仁である。はぁーとデカイ溜息を吐く仁。
「俺は何を手伝うかは言ってねえぜ?」
『エッ』
 腕を組んでマスコットに顔を近づけた仁がニッと笑う。完全にアレな職業の人の笑みだった。
「内容をきちんと確認しねえとなあ? 契約の基本だろ? ついでに『少女』の定義も確認しとけよ。おじさんが魔法少女になる訳ねえだろ」
『ふえっ、お、おじさんも魔法少女になれるモン。変身系はモチロン、KAWAIIの定義とイッショだし……!』
 なんでもかんでも「かわいい~」っていう文化が定義に揺さぶりを掛けているのだろう。たぶん、魔法少女のマスコット界で。知らんけど。
「とにかく! 僕は既に魔法を使える! だからお前たちの言う魔法少女にはなれないと思う」
 きっぱりはっきり、クールにニイヅキがそう宣言した。否、最後がちょっと曖昧になったのをマスコットたちは好機と捉える。
『いやなれる!!』
『自分を信じるんだ、ラ・ヴァイオレット!!』
『この展開を待っていた!』
『僕は君をずっと見守ってきた(バイキング会場で)! 君は食べたスイーツを自分の力に変えることができるんだ!!』
『僕達が、君のスイーツになってみせよう!!』
 ちょっと意味不明なことを言っているが、皆真剣である。ニイヅキも真剣に彼らと対峙していた。
 相変わらず一歩離れた位置、心の距離は遠い場所から仁が呟く。
「…………しかしこんなにマスコットが居るなら契約争奪戦で大変だろう。二重契約は流石に出来ねえんだろ? ……いや、そういや、いま目の前で多重契約しようとしてるな」
 ふぅむ、と考える仁。
 瞬間、どこか浮かれた空気が一転した。
 ざん、と周囲を呑みこんだ海の気配――凍り付くような、果て無く暗く冷たい波が、延々と現世に寄せてくる。
 波に乗った何者かがマスコットを抱く。マスコットの身を濡らし、ぐしょぐしょに、綿へと染み込む怨嗟。
『ウワ!』
『こっわ!!』
『堕ちちゃう……!!!』
 海の悲鳴はマスコットたちの声を掻き消し、もがきはあぶくに。
「っはは! いくらお前さんらでも死人と契約するのは嫌か? ハロウィンらしくて良いと思ったんだがな」
 残骸となっていくマスコットたちの気配――内なる種がばら撒かれ、それも怨嗟の海は呑みこんでいく。
『ラ・ヴァイオレット! た、助け……!』
 怨嗟の海から現れた幽霊たちにさらわれていくマスコットたち。
 伸ばした布腕は、しかし月影に払われた。
「骸の海で営業技術を学び直して来い!」
 穂先が描く弧は三日月。ニイヅキが寄せる波へとマスコットを叩きこむ――波飛沫は時に人の腕を模した。

 音なく波が引いていく。
 海の苛烈な一面は、マスコットたちの残骸、気配、邪悪さを少しも残さず。
 ハロウィンの不穏な気を祓ったのだった。

「お仕事完了、っと」
「……仁」
「どうした、嬢ちゃん」
「また食べに行くよね?」
 今から?
 今から。
 魔女のりんご飴、火炙りお化けのマシュマロとまだまだ色々スイーツがあったのだ。
 会場を出る時に見かけたそれを、それはそれは嬉しそうにニイヅキは語るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
【旅人の軌跡】
覚醒の儀式で我を取り戻した私(魔法剣)
はっ…そ、そうでしたマスコットなUDCがアレでアレなんでしたねっ

みんなの名乗りでショーの始まり
もともと魔法剣は魔法少女のサポートをするものやし、裏方に徹します
お客さんが怪我しちゃいけんし、 危ないからここから見てくださいねー。 と観客と魔法少女の距離を空けるよう誘導します
写真撮影はご自由にどうぞ~

うう、私もみんなの勇姿をちゃんと見たい…
ううん、今はお仕事中…ちゃんと周りを見てお客さんの安全に気を配って…でもやっぱり私も応援したい…推しが3人も頑張ってるんやから…!
が…っがんばれー!!そこだぁー!! (お仕事放棄

尊すぎる…無理、しんどい…


リミティア・スカイクラッド
【旅人の軌跡】
「勇敢なる浄化の焔、フランメ・シュトゥルム」(無表情に決めポーズ)
皆さんと一緒に名乗りを上げて、敵の注意を引きつけてから戦闘開始です
魔法少女らしく華やかに戦えば人々も何かのショーだと思って、パニックになるのを避けられるでしょう

マスコットへの攻撃は【魔女の火葬】を使用
この炎はオブリビオンのみを「焼却」するので建物や人に被害は出ません
複数の炎を「誘導弾」として操り、契約の種を燃やしたり、敵の「目潰し」をして隙を作ったり
皆さんと連携して戦います

「あなた達の悪事もここまでです……必殺、フランメ・カノーネ」
最後は皆さんと同時に必殺技で決められたら格好いいでしょうか
勝利です。ぶい(横ピース)


ネージュ・ローラン
【旅人の軌跡】
「清廉なる気高き愛、エーデル・リーベ」(キレのある動きでクールに決めポーズ)
できるだけ一般人の目に触れないようにしたいところですが限界もありますね。
恐怖・狂気を与えないよう、これはショーですよ、という雰囲気を出して押し切りましょうか。
悪の魔法少女のマスコットとの決戦です。

わたし達には剣のマスコットがついていますし、最近の魔法少女は白兵戦を行う方も少なくないですよね。
【氷装創出】で氷の剣を創り出して戦います。
敵の姿が次々に変わるというのなら、こちらも様々な剣を創り直し、使い分けて対処していきましょう。
決め技は永遠の愛を意味する「エーヴィゲ・リーベ」
みなさんの技と合わせていきます!


ミア・ミュラー
【旅人の軌跡】 
「可憐なる光風の翼、フライハイト・フリューゲル」(びしっと決めポーズ)まずはショーっぽい感じに名乗った流れで、ちゃっかりあのマスコットを、敵認定。ん、みんなを脅かす悪い怪物はここでやっつけちゃう、よ。

わたしは【風槍】で戦う、ね。風の槍につかまって宙を動き回れば、翼の魔法少女っぽい、かな?残りの槍はその辺に置いておいて見てる人が近づきすぎないように風を吹かせて、おくよ。舞台演出にもなる、かな?
敵を引きつけつつ、隙ができたら風で打ち上げて、みんなで必殺技、ね。「世界の平和を守るため……ガスト・シュペーア」
みんな応援してくれて、ありがと。ん、これでもう安心、だよ。ぶい(横ピース)



●【第3話☆魔法剣が映す、女神たちの煌き】

 尊さにくねっていた魔法剣、春乃・結希は思い出した――この世には還さねばならぬ敵がいるということを。
 【旅人の軌跡】が思い描く終着点、それは世界の平和。
 ハロウィンに乗じて潜む悪を還さねばならない。
「――秋の去る夜、冬が訪れる夜、ほんのちょっとしたひとときの時間に忍び寄るは、邪悪な誘いをささやくマスコットたち――」
 結希がマイク(開催会場で借りた)を持ち、皆に呼びかける。
「今宵、皆さんの心を護り、忍び寄る悪を祓うのはハロウィンの女神たちなのです!」
「勇敢なる浄化の焔、フランメ・シュトゥルム」
 無表情だけれども鮮やかな赤は想いの強さの表れ!(?) フランメ・シュトゥルム――リミティア・スカイクラッドが僅かに首を傾げる決めポーズ。金髪がふわふわと揺れた。
 対を為すキレある動きで人々を魅せるのはネージュ・ローラン。
「清廉なる気高き愛、エーデル・リーベ」
 クールな声で、すらりと、凜とした立ちポーズはCOOOOOOL!!
 そんな二人の間にひらり舞い出たミア・ミュラーは、枝に止まる小鳥のような優雅な動きから、ぴしりとしたポーズに。
「可憐なる光風の翼、フライハイト・フリューゲル」
 決めポーズをする三人と魔法剣の口上に、会場にいた人々はわあっと歓声を上げた。
「ハロウィンショーかな?」
「みんな可愛い~~!」
(「ふっふっふ、そうでしょうとも!!」)
 どやっとした表情になる結希。
「女神の力を宿す魔法少女たち――彼女たちの敵は、偵察にきた悪の魔法少女のマスコット!」
『ええっ!?』
「へー、マスコット……どんなのだろう」
『ボクたちが敵だってぇ!?』
『ええい、魔法少女めぇ! 君たちを排除して、正しき魔法少女を導く準備をしなきゃいけなくなった!』
『いそがしーいそがしー』
 人々の声に紛れて、あちこちから乗せられたマスコットたちが飛び出してくる。一瞬にして悪に堕ちた。すごい。
「ここはリムが」
 向かってくるマスコットたちを見て、リミティアが前へと出た。舞う赤の装飾が一瞬猛り、勿忘草色の花へと変化する。
 あちこちへ飛ばされる契約の種に、放たれた花たちがそれを燃やす。観客たちが一瞬驚くが、オブリビオンのみを焼却する炎は人々を害さない。華やかな炎花の舞が場を彩る。
「ん、みんなを脅かす悪い怪物はここでやっつけちゃう、よ」
 種を燃やす魔女の火葬を緩やかな上昇気流に乗せるのはミアの風の槍たち。その背に風翼を持つようにミアは宙を動き回る。
 掴んだ風の槍を逆手、順手にと繰ればミアの体がくるくると回った。
 鳥のように動くミアはとても目立つ。マスコットたちが契約の種を飛ばすのだが、ことごとくリミティアの炎が包みこんだ。
『くっ……!』
『敵の召喚を!』
 マスコットが大きな壁のモンスターを召喚した。風も炎も阻む石の壁。
「ラブ・トラジェクトリー」
 魔法剣としての名を呼ばれ、結希が顔を上げた。ネージュのまなざしにこくりと頷く。
「エーデル・リーベに――わたしの愛を!」
 結希の言葉に、ネージュは僅かに微笑んで氷の剣を顕現させた。
「集え氷精、其の力を凍てつく刃と成せ」
 石の壁を斬れば、組織をも凍てつかせる氷精霊の魔力が石を氷礫にした。砕け散る氷。

「あっもう少し下がってくださいー。危ないからここから見てくださいねー」
 魔法剣の役割は終わったとばかりに観客に声掛けしはじめる結希。
「あっ、ねえ、ラブ・トラジェクトリーさん、写真はOKかしら?」
「はいっ。写真撮影はご自由にどうぞ~」
 結希の言葉に、一斉に端末やデジタルカメラのレンズが三人に向けられた。
(「うう、私もみんなの勇姿をちゃんと見たい……」)
 くうっと唸る結希。だが、今は仕事中だ。
(「ちゃんと周りを見てお客さんの安全に気を配って……ああっ、でもやっぱり私も応援したい……っ! 推しが――推したちが頑張ってるんやから……!」)
 サポート役ゆえの葛藤。しかしサポートといえば――応援!!
 決意した表情で振り返った結希は、三人の勇姿をしっかりとその瞳に焼き付けた。
「が……っがんばれー!! そこだぁー!!」
 応援の声に、ハッとする周囲の人々(主に子供)。
「わるいマスコットなんてやっつけちゃえー!」
 彼らの声に応える魔法少女が一瞬手を振り返した。

 薙げば大剣、突けば細剣、くるくると変化する武器を持つネージュの動きは剣舞のよう。
『ええい、一斉にかかろう!』
『おおー!』
 マスコットたちが『せーの!』で跳躍した。飛来する彼らに真下から風が襲う。
「世界の平和を守るため……ガスト・シュペーア」
 吹き飛ばす風槍。魔法少女、フライハイト・フリューゲルの螺旋の風がマスコットの体を捻り、宙へと打ち上げた。
「あなた達の悪事もここまでです……必殺、フランメ・カノーネ」
 魔法少女、フランメ・シュトゥルムが花たちを織り上げて大輪を宙に敷く。炎花の王冠にマスコットたちが落ち――氷茎がマスコットを貫いた。魔法少女、エーデル・リーベが芽吹かせる。
 先端は氷蕾から桔梗の氷花が咲く。
「エーヴィゲ・リーベ――永遠なる海へとお還りなさい」
『……これが……ハロウィンの魔法……ぐふっ……!』
 魔法少女たちの連携攻撃に、悪のマスコットは力絶えるのであった。

「あああぁぁぁ……尊すぎる……無理、しんどい……」
 結希が空いたテーブルに手をつけば、またまたくの字になる魔法剣。
「勝利です。ぶい」
 無表情に横ピースでリミティアがファンサービスを開始すれば、「かっこよかったよぉ!」「すごかった!」「今日来てよかった~~」と次々声が上がった。
「みんな応援してくれて、ありがと。ん、これでもう安心、だよ。――ぶい」
 ミアも横ピース。
「この流れは……わたしも、ですね」
 COOLに呟いたネージュも横ピース。
 ほらほら、魔法剣さんも、と呼ばれた結希がトコトコ歩く。
「お、推したちに混ざってもいいんですかー?」

 三人の魔法少女と魔法の剣。
 ハロウィンに起こるはずだった狂気の事件は、彼女たちの活躍により潰えたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクセンディア・エールハイム
ディアナ(f01023)と一緒に

さて、スイーツは十分楽しめたな。
ちょうど腹ごしらえ後の軽い運動がしたかったんだ、付き合ってもらおうか? 祭りを壊すものにはそれ相応の報いが必要だからな。

俺は隠密など苦手でな、気をこちらで引き付ける。ディアナはそれをまとめて殺すようにしてくれ。
なぁに、ツリーがあるということは誘蛾灯のようにこちらによってくることもあろう。輝きによってくるのであれば輝いてる俺たちにも寄ってくるのは道理というものだろう?

しかし魔法少女にしようとするとは妙なものもあったものだ。
残念だが俺はなれないのでな。悪いが星の彼方にでもすっ飛ぶといい。


ディアナ・ロドクルーン
ルクセンディア(f24257)と

どのくらい敵を釣ることが出来るのかしら
ふふ、甘いお菓子をたくさん食べちゃったから少し運動しないとね
勿論付き合うわよ?

ハロウィンツリーの近くまで腕を組みながら寄りましょう

ねえ、ルクス。知っている?ハロウィンの時に特別な魔法をかけることが出来るんですって
魔法の話をゆっくりしてみない?あっちの方は人が少ないから…そこで

そう言って敵を人気のない所におびき寄せましょう

一網打尽にするわよ、魔法少女とは私の事。なんてね
そこそこ数が集まってきたら
騒ぎにならないように気を付けてUCで攻撃を

片が付いたらまた会場に戻ってルクスとパーティを楽しむわ



●【第4話☆ハロウィンの魔法は花誘う】

「ディアナ、スイーツは楽しめか?」
 そう言いながら、ディアナ・ロドクルーンへと手を差し出すルクセンディア・エールハイム。
 大きな彼の手のひらに自身の手を添い乗せて。
 エスコートされたディアナが席を立つ。しなやかな彼女の指先はそのままするりとルクセンディアの腕を流れ、やがて自身の腕で絡めとる。
「ええ、とても。ふふ、甘いお菓子をたくさん食べちゃったから少し運動しないとね」
「――ちょうど腹ごしらえ後の軽い運動がしたかったんだ、付き合ってもらえるか?」 
「もちろん、付き合うわよ?」
 喜んで、とディアナは微笑みながら答えた。少し歩こうとルクセンディアが誘う。
 ジャック・オー・ランタン、魔女やコウモリのぬいぐるみ、キラキラ輝く糸が蜘蛛の巣を象り飾られたハロウィンツリー。
 オレンジやパープルのオーナメントがランタンの灯りを受けて煌いている。
 ハロウィンの灯りは闇を照らす魔除けのようなものなのだろう。
 ライトが明滅するクリスマスツリーとは違って、常に灯っている。風情の違う美しさに感嘆の息を零したディアナが「ねえ」と甘やかな声。
「ルクス。知っている? ハロウィンの夜は、特別な魔法をかけることが出来るんですって」
「魔法?」
 それはどのようなものなのだろう。含みある声色で返したルクセンディアの眼差しは艶やかだ。
 くす、と空気を柔らかに震わす笑みをひとつ。――そわりとした気配があちこちから立ったのだ。ディアナはルクセンディアを見上げ、誘う。
「魔法の話をゆっくりしてみない? あっちの方は人が少ないから……そこで」
 視線を遣った先は会場の出入口。熱気あるスイーツの場から出れば、ひんやりとした空気。
 しばらく歩いてひと気のない場所に辿り着き、そこでようやく「あら?」とディアナが小さく呟いた。
 今気付いたという風にゆっくりと振り返る。
「ルクス、可愛らしいお客様も来たみたい」
「可愛らしい……か? なにぶん、ディアナの前ではすべてが霞む」
 マスコットたちを警戒せず、ゆったりと会話を続ける二人にどこか安心したようだ。マスコットたちが近付いてくる。
『魔法に興味がアルの?』
『そんなキミたちにぴったりの力があるよ』
『ねえネエ、魔法少女にならないかい?』
 マスコットたちの誘い文句に、ディアナは頬に手をあてて困ったわのポーズ。
「残念ね。私はもう魔法少女なの」
 魔法少女とは私の事。ウインクしたディアナの夜の夢――ハロ・ライラが花開く。
 大輪のガラスの薔薇が解け、透き通る花弁が舞った。
 触れれば鋭利な花弁。優雅な花舞がマスコットの身を切り裂いていく。
『ウワッ』
『既に……ッ、魔法少女だっただと――まさか、キミハッ』
『『『魔法少女、グラツィア・ローゼ!?』』』
「…………。流れるように名付けられたな」
 ツッコミ人材がルクセンディアしかいない。彼の言葉に微笑んだディアナはちょっと楽しそうだ。
 拘束ロープを放ったルクセンディアがそれをしならせた。マスコットたちの咎力を封じ込めれば、吹き荒れる花嵐。
 敵を拘束することで精度の増したガラスの花弁が敵を一網打尽にしていくのだった。

「しかし魔法少女にしようとするとは……妙なUDC怪物もいたものだ」
 ルクセンディアにも魔法少女にならないか? と誘いを掛けていた時点で、話は通じそうにない敵たちだった。
「ふふ、ルクスは魔法少女の私を助けてくれるヒーロー役になって頂戴」
 もっとも既に私のヒーローなのだけど、とディアナが呟く。
 話をしながら、何事も無かったように会場へと戻る二人。何やらハロウィンショーがあったのか、会場で軽やかに動く人々。共に訪れていた猟兵たちの力によるものだろう。
 余興でちょっとしたダンスパーティーが開催されるようだ。お互いが見合って、同時に笑む。
 ハロウィンらしいポップな曲、ダークながらも流麗な曲。
 軽やかなステップを披露し、二人はハロウィンダンスを楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
さぁて、スイーツも堪能したことだしお仕事といきますか
まずはマスコットもといUDC探し…なんだけど
ぬいぐるみみたいなのが動いて喋っているんだから
ちょっと目を凝らせばまぁ多分見つけられるはず
見つけたら梓にバトンタッチ、作戦開始だ

へぇ、魔法少女かぁ
このお兄さんはどういう魔法少女になれると思う?
油断させる意味もあるけど、興味本位で聞いてみる
(ちゃっかり自分は含めない

わぁ、焔かっこいい~
拍手を送りながら、俺は俺でこっそりとUC発動
紅い蝶たちがひらひらと舞いながらマスコットのもとへと接近
ピトッと触れれば、やがてただのぬいぐるみのように
動かなくなり、消えていくだろう


乱獅子・梓
【不死蝶】
UDCを発見したらそいつのもとへ焔と零をけしかける
無邪気にじゃれつきながら人の居ない別フロアへと誘導させる

周りに一般人がいないことを確認したら
すまない、こいつらが迷惑をかけたな、と声を自然にかける
まだ事態に気付いていないUDCは俺たちにも勧誘してくるだろう

…というか、一応魔術師の仮装してきたとはいえ
どこからどう見ても少女じゃないんだが
おっさんにも声かけてたらしいし、見境なさすぎでは??

と心の中でツッコミつつ話に乗ってやる
そうだな…俺の可愛い仔竜たちがマスコットになるのなら
考えてやらんこともない

敵が召喚されたらUC発動し焔のブレス攻撃で葬る
フッ、どうだ、可愛い上に強い俺のマスコット!



●【第5話☆マスコットVSマスコット!? 本物の相棒はドッチ!?】

「美味しかったねぇ」
 数々のハロウィンスイーツ。満足げにごちそうさまをする灰神楽・綾と乱獅子・梓。
「さて、帰るか――と言いたいところだが」
「お仕事があるからね」
 そう言って綾が周囲へと視線をやった。
 仮装をする一般人の動き、楽しそうな空気の流れ、その中で違和感あるしぐさをするモノ――。
 ハロウィンは非日常的なイベントではあるが、それでも異質な存在はすぐに見つけることが出来た。
「梓」
「ああ。焔、零、頼んだぞ」
 梓のローブから仔竜の焔と零が飛び出して異質な存在のマスコットたちへと向かっていった。

『うぅむ、魔法少女になりたそうなヤツがいっぱいダネ』
『だけど選ばれしものは一握り……! ガンバッテ、素質と向上心のあるニンゲンをミツケヨウ』
 おー!
 と、会場に出現したUDC怪物・マスコットたちが鼓舞し合った時。
「キュー!」
「ガウガウ」
 赤と青の仔竜たちがじゃれついてきた。
『ウワッ』
『な、なんだお前達は……!』
 焔がぶんぶんと尻尾を振って、マスコットの頭をぺしぺし。
 零はマスコットたちの辺りを旋回して十分に興味を惹き付けたあと、フラッと会場の外へ向かい飛んでいく。
「キュ」
『な、なんだとお前たちも魔法少女を探しているのか……!』
「キュ」
『魔法少女ミコットさんのキャラクターなのか……そうか、主が迷子……大変だなドジッ子属性の主がいると』
「キュ」
『ヨシ、一緒に探してヤロウじゃないか! クロスオーバーからの魔法少女誕生は有りえるもんな』
 win-winだな! と言いながらマスコットたちが零と焔についていく。

 別のフロアへとまんまと誘導されたマスコットたち。
 再び焔と零がじゃれつきはじめ、マスコットたちも弟分が出来た気持ちになったのだろう、キャッキャウフフしている雰囲気だった。
「焔、零! ――すまない、こいつらが迷惑をかけたな」
「ガウ」
 やってきた梓の姿を見た零が彼の元へと飛んでいく。
『あれがミコットさんか』
 ほうほうと梓を見るマスコットたち。
『ボクの魔法少女としての素質を感じる――ミコットさんは相棒を変えるべきだよ』
『ミコットさん、スーパーミコリン・ペルルにならないか?』
「キュ!?!?」
 唐突な妙なカタカタの羅列に、
(「呪文のようなものを唱えだしたな」)
 と、思った梓であったが今までの顛末を知る焔と零はぎょっとした。
「スーパーミコリン・ペルル……ちなみに必殺技とか、属性とかあったりするの?」
 興味を持った綾が尋ねる。
『よくぞ訊いてくれた、ブラックヒロイン・エクリプスよ!』
「…………」
 綾も当然巻き込んでいくマスコット。
『ミコットさんはドジッ子だからね、ボクたちが力を与えることでハイパーラッキーガールになれるんだ』
『必殺技は、ワル・シ・オハライ! 破魔の力でこう、敵を、ズバンッと』
『ドジッ子属性がなくなれば、朝寝坊したらパンをくわえて走らなくても良くなるし! どうだい!?』
 梓の方へ一斉に振り向くマスコットたち。
(「……いや、どうだ、と言われても俺は寝起きは良いんで……」)
 寧ろ起こさなければいけない方だ、と思いつつ綾と仔竜を見た。
(「……というか、一応魔術師の仮装してきたとはいえ、どこからどう見ても少女じゃないんだが」)
 色々と言いたいことはある。だが梓はぐっと言葉を呑みこんだ。だって大人だから。
 今は仕事中なのだ。
「そうだな……俺の可愛い仔竜たちがマスコットになるのなら考えてやらんこともない」
『魔法少女はマスコットの続投を望む……ッ!?』
 焔と零が感動したように、ひしィッッッと梓に抱き着いた。
『むむっ! スーパーミコリン・ペルルと僕タチに立ちはだかる旧マスコットの存在メ!』
『打ち倒す敵ッ!!』
「修羅場だね」
 一気にシリアス調となったマスコットと、梓、仔竜たちを眺めていた綾が呟いた。
『いでよ! デスモスチョキン!』
 叫んだマスコットが召喚したのは両手が鋏になっている絆を断ち切るモンスター。
 だが。
「焔――紅き竜よ!」
 梓の声に応じた焔がブレス攻撃をデスモスチョキンに放つ。
 紅き閃光がデスモスチョキンを貫き、デスモスチョキンはその鋏を振るうことなく倒れた。
「フッ、どうだ、可愛い上に強い俺のマスコット!」
「キュ!」
 梓と焔のどやぁ。
「わぁ、焔かっこいい~」
「ガウガウッ」
 ぱちぱちと拍手を送る綾と零。
 ひらりと紅の蝶が舞う――ひらり、ひらりとマスコットに向かって柔らかな着地。
 密やかに綾が放つバタフライ・ブロッサム。
『くうっ、これが旧作品の、いや、先輩魔法少女とマスコットの絆の力……ッ』
『一緒に過ごし重ねてきた時間がつきつけられての、負け……ッ――?』
 修羅場に猛っていたマスコットたちは優雅に静かに訪れた紅い蝶に気付くことができなかった。
 誰もが紅色のリボンを纏ったかのように。
 可愛らしく彩られた代償は骸の海へと還ること。
 力を失くしてふらりと揺らいだマスコットが、ぽてん、ぽてんと床に転がり落ちる。
 本物のぬいぐるみみたいに。緩やかな終焉が満ちた。


 ハロウィンに紛れて起こるはずだった魔法少女騒動。
 騒動を未然に防ぎその元凶である『都市伝説』魔法少女マスコットの怪を倒した猟兵たち――。
 暗躍するものを倒すヒーロー。
 人知れず、今日も世界に平和が訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月08日


挿絵イラスト