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稲穂の祭りに武の奉納を

#サムライエンパイア #お祭り2021 #ハロウィン

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●神武奉納
 サムライエンパイアのとある小さな村にて。
「次の相手は誰だあ!!」
 秋空に威勢のよい声が神社の境内に響く。
 薄ら寒いというのに相撲褌一丁の男衆は、ある者は土にまみれある者は汗にまみれ笑い合っている。
 彼らが囲むのは、丸く土を盛って平らげそこに俵を埋め込んだ、すなわち土俵。
 少し離れたところには、彼らがこの日のために丹精込めて育てあげて収穫し脱穀された米がみっしりと詰め込まれた、大きな大きな俵が積んであった。
 豊穣を感謝し、次の豊穣を願うための秋祭り。そこでは、男衆による相撲の奉納が行われていた。
 といっても、厳密に作法に則って行っているわけではない。そもそも彼らの考えでは、作法よりもいかに雄々しく健やかに行うかのほうが重要なのだ。
 故に皆、勝とうが負けようが実に楽しげであった。
 しかしそこへ、威容な足音を立てて現れた男がひとり。
 田舎相撲には場違いな大注連縄を腰に締め、背には隆々と不知火型の綱を結んでいる。
 それが行司役の老人が土俵をならす間に、ずいと土俵に上がってきた。
「なんとまあ随分と立派な大横綱だが、兄さんどこのお人だね。うちの若衆じゃ相手にならんだろうなあ」
 土俵の上を竹箒ではきながら朗らかな笑みとのんきな言葉を向けた老人に応えたのは、強大な張り手であった。
 バチーンッ!
 激しい音とともに老人が吹っ飛んだかと思うと、あっという間に姿が見えなくなる。
 一瞬のことに何が起きたかと呆然とする男衆の前に、横綱姿の男が立ちはだかった。
「相撲と聞いては参らぬ道理なし。ならばいざ、参らん」

●邪武討伐
「……ならぬ。ならぬよ」
 深く溜息をつき、織部・泰親(妖狐の戦巫女・f04498)が唸る。
「ならぬ、とは?」
 常には悠々とした態度を崩さない彼の深刻な様子に問うと、グリモア猟兵は眉間に深いしわを寄せた。
 サムライエンパイアでは、この時期には多くの寺社仏閣で秋の収穫を祝う秋祭りが盛大に催されている。これから冬に向かう時期、こうした祭りは人々の何よりの楽しみといえるだろう。
「だが、とある村で行われるこの祭りが、そのさなかに襲撃されることとなる。皆にはこれを防ぎ、無事に祭りが行われるよう助けてもらいたい」
 なるほどそれは一大事。
 生活に根ざした行事であることも、日々のねぎらいであることも、そして神への奉納であることも、村の人々にとっては重要なことに違いない。
「奉納相撲は神事なれど、信奉とは儀式のみにあらず。人心を損ねた儀式とは、すなわち形骸化した残骸に過ぎぬもの。つまり、楽しむことを忘れては、それは祭りとは言えん」
 自身も巫術に親しみ祭祀を取り仕切る一族の出であり、人の営みを尊ぶ彼には、耐え難いことなのだろう。
「村を襲う敵はどんなやつなんだ?」
 訊かれたグリモア猟兵は、うむと首肯する。
「力士だ」
「力士」
「あ、いや、ただの力士ではないぞ。いや力士ではあるが」
 色々想像した猟兵たちに慌てて取り繕い、
「あの織田信長お抱えの力士衆と言うてな。最強の力士となり、信長への忠義を示す。ただそのために生き、ただそのために死ぬ。実に厳格に己を律する者たちだ。とはいえ彼奴らの相撲はもはや相撲にあらず。如何様であろうとも土俵上で徒手にて戦えば、すなわちそれが相撲となる。そうしてそのうちの一体が相撲に惹かれてかどうしてか、その村で騒ぎを起こそうというのだ」
 土俵の上で武器を使わずに戦え、ということか。
 厳密なルールに則り相撲で戦えというのでないなら、やりようはあるだろう。
「祭りっていうのはどんな感じなんだ?」
 ひとりの猟兵の問いに、泰親が取り出したのは。
「……稲穂?」
「然り」
 つまり、米である。
「相撲で勝った者、すなわち神威賜りし者が神に代わりて、大俵より米を皆に振る舞う習わしとなっていてな。天幕を張った下で様々な米料理が振る舞われる。無論、自ら作っても構わんそうだ」
 とはいえ、サムライエンパイアの小さな村ではさほどバリエーションがない。マンネリ化しつつある米料理に対して、新しい食べ方を模索しているようだ。
 イチから作らないにしても、珍しい調理法や食材を提供すれば人々から喜ばれるかもしれない。
 あまり奇抜にすぎる必要はないがと泰親は穏やかに笑い、
「ともあれ、お前さんたちのことは信頼しておるよ。故に、よろしく頼む」
 静かに頭を下げた。


鈴木リョウジ
 こんにちは、鈴木です。
 今回お届けするのは、相撲と米。
 こちらはハロウィンシナリオとなります。
 ハロウィンシナリオです。

 第1章【ボス戦】土俵上での『信長お抱え力士衆』 との戦いです。
 第2章【日常】秋祭りの一環で米料理を食べます。

●信長お抱え力士衆
 力士衆と言いますが、戦うのは一体のみとなります。
 最強の力士となり、信長への忠義を示す。ただそのために生き、ただそのために死ぬ。
 ひたすらにストイックな相撲取りです。
 が、最強を求めるがゆえにそれ以外をおざなりにし、「土俵の上で、身体ひとつで勝つ」ことのみを至上としており、これを守らない相手は容赦なく叩きのめします。
 ただし、相撲のルールに則って戦う必要はありません。
 武器を持たなければ服装も自由で、女性が土俵に上がることも問題ありません。

●奉納相撲と米料理
 この村では稲作が盛んで、秋祭りもお米が中心に行われます。
 まず神様に相撲を奉納し、その勝者を神の依代として扱うことで「神様からの贈り物」であるお米を分け与えます。
 このお米を使って神様に感謝しながらご飯を食べることが、今年の豊作を祝い来年の豊作を願う祭りそのものとなっているようです。
 また、いわゆるうるち米だけでなく、もち米も取り扱われているとか。
 さまざまなご飯のおかずや丼などが用意されていますが、一方でマンネリ化しつつあり、新しい食べ方を求める動きもあるようです。

●お願い
 食材や米料理は『あると言えばある』と考えてください。
 但し、常識的に考えて食べられないものは、不採用の対象となる場合があります。
 一緒に行動される方がいる場合【○○(ID)と一緒】と分かるようにお願いします。お名前は呼び方で構いません。
 グループでの場合はグループ名をお願いします。
 複数名で行動される場合、リプレイ執筆のタイミングがずれてしまうのを避けるために、プレイングの送信タイミングを可能な限り同日中に揃えてください。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『信長お抱え力士衆』

POW   :    正々堂々、行くぞ!
予め【四股を踏む】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    小手先の技など通じぬわ!
【巨体に見合わぬ軽快な動きで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    体一つでかかってこんか!
【怒号】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

愛・哀
「アイアイサー。愛の出番ネー。お主見たところお相撲さんアルか?熊かと思ったネ。ウイ〰️」

黒瓢箪から酒を飲む愛。準備万端。酔いが回る度に酒気のエネルギーが体中に張り巡る。

「それじゃあ始めるネ。その動きはとても見切りやすいネ。突っ張りは受け流してから腹にカウンターの泥酔蛇拳 白花蛇をお見舞いするネ。」

酒気を籠めた衝撃波が体ではなく血液を攻撃。体の穴と言う穴から血液が噴射されていき。

「次は二回攻撃ネー」

更に二蓮撃❗更に酒気が籠められた攻撃な為、体中に酔いが回り始める。

「これで最後ネ。」

最後に頭目掛けて白花蛇を放ち、からの回し蹴りでとどめをさす。


備前・編笠丸鬼矗
妖怪変化との角力か、久しいなッッ!!
某にもさせいッッッ!!!

【行動】
角力に土俵があるとはなッッ!!
某の知る角力から進化したのだなッ!!
廻しを貸せいッッ!!!

此れは神事、
本物の角力を存分に味わうには原点である祭りの心を忘れるにあらずッッ!!
民草が湧きッ!!力士が湧いてこその角力ッ!!!
いでよ鬼太鼓『伊吹山』ッッ!!
五里先の者にまで、其の音を轟かしッ!!
魂を燃えさせいッ!!!

『八卦用意ッッ!!!』


行事の合図と共に重量攻撃で思い切りぶつかり、敵の廻しを掴んだと同時にいざ鎌倉を発動ッ!
何度もいざ鎌倉と叫びながら怪力と限界突破で正々堂々と押し出すッ!

叫べいッ!!いざ鎌倉ッ!いざ鎌倉ッ!いざ鎌倉ァァッ!



「我こそはという者はおらぬか!!」
 土俵上に仁王立ちとなって大音声で呼ばわる力士の前に、風に揺れる柳の如くしなやかな体さばきの女が姿を見せた。
 否、それは愛・哀(僵尸の泥酔蛇拳伝承者・f33044)。酒をあおるほどに強くなる。
「アイアイサー。愛の出番ネー。お主見たところお相撲さんアルか?熊かと思ったネ。ウイ〰️」
 黒瓢箪から酒を飲む哀。準備万端。酔いが回る度に酒気のエネルギーが体中に張り巡る。
 ただならぬ者と見て取った力士は、女であれども侮ることなく、みっちりと脂ののった巨躯を猟兵の真正面に向け対峙した。
 しかしてそこへ現れた備前・編笠丸鬼矗(鎌倉武士・f29057)が、こちらも大音声を張る。
「妖怪変化との角力か、久しいなッッ!! 某にもさせいッッッ!!!」
「ならばここまで上がってこい!! 相手してくれようぞ!!」
 怒応し、ぐっと握りしめた拳を掲げ……いや、拳に掴んだ塩を豪快に土俵へと投げる。波濤の如き塩撒きに、鬼矗は深く被った編笠の下で歓喜した。
「角力に土俵があるとはなッッ!! 某の知る角力から進化したのだなッ!!」
 彼が知るのは、当世より古く武道ではない武芸としてのそれ。
 であれば。より白熱した組手が楽しめようというもの。
 廻しを貸せいッッ!!! と声を張り、手早く身につけると土俵に飛び上がった。
「此れは神事、本物の角力を存分に味わうには原点である祭りの心を忘れるにあらずッッ!!」
「何を以て真なると申すか!!」
「民草が湧きッ!! 力士が湧いてこその角力ッ!!!」
 どちらもいまだ構えも取らぬと言うに、ただ声のみで周囲を圧倒する両者。
 常人ならば既に膝を屈しようが、どこ吹く風と哀は黒瓢箪を傾ける。
「いでよ鬼太鼓『伊吹山』ッッ!!」
 鬼矗の大喝とともに巨大な、とてつもなく巨大な長胴大鼓が現れ、
「五里先の者にまで、其の音を轟かしッ!! 魂を燃えさせいッ!!!」
 どおおおお…………んッッ!!!!
 巨大な太鼓の面が打ち鳴らされ、ビリビリと空気を震わせる。
 筋肉を包む脂肪が震え、力士は両手を打ち合わせた。手の舞い足の踏みどころを知らずとはまさにこのこと。
「これぞ相撲!! 貴様を倒してより高みを目指さん!!」
 此度は歓喜に全身を震わせ、腰を低く落としたと思うと高々と片脚を上げる。渾身の四股を踏めば、地鳴りと紛うばかりに土俵が揺れた。
 武士と力士の応酬をよそに酒を飲んでいた哀は、行司役の男が気圧されながら土俵に入ってきたのを見て、ふうっと息を吐く。
「それじゃあ始めるネ。その動きはとても見切りやすいネ。突っ張りは受け流してから腹にカウンターの泥酔蛇拳 白花蛇をお見舞いするネ。」
 予知めいた宣言に力士が口元を歪める。
 一転ぎろりと睨め衝けられた行司役は、一度深呼吸して覚悟を決めると、気迫と怒声に負けぬよう自身も力いっぱいに大呼する。
『八卦用意ッッ!!!』
 掛け声を合図に力士が突進してくる。
 巨躯を受け流して哀の放った酒気を籠めた衝撃波が体ではなく血液を攻撃。体の穴と言う穴から血液が噴射されていき。
 と展開を想定していたが、相手の動きはそれを上回っていた。
 威容な体格からは想像がつかぬ素速さをギリギリで受け流したところへ分厚い掌が風を切って襲いかかる。
 重量攻撃で思い切りぶつかり、敵の廻しを掴んだと同時に、
「いざ鎌倉ッ!!!」
 ひときわ大きく強く疾呼し自らの身体を武器と為して踏み込む!
 一声張るごと体躯に力が漲り滾り、その迫力に周囲からも喚声が上がる。何度もいざ鎌倉と叫びながら、怪力と限界突破で正々堂々と押し出すッ!
「叫べいッ!! いざ鎌倉ッ! いざ鎌倉ッ! いざ鎌倉ァァッ!」
「こ……の、鎌倉武士が!!」
 がっぷり四つに組んだ力比べは拮抗し、怒号と汗がぶつかりあう。
 そこへ青褪めた肌と黒瓢箪を躍らせ、哀が酒気をまとい撃ちかかった。
「おお……!! ようもこの不意を狙ったものよ!!」
「次は二回攻撃ネー」
 上喜する歓呼ごと、白花蛇が力士を再び食らう。
 更に二蓮撃! 更に酒気が籠められた攻撃な為、体中に酔いが回り始める。
 わずかに姿勢が揺らいだだけだが、隙とするには充分だった。
「これで最後ネ。」
 頭目掛けて白花蛇を放ち、からの回し蹴りを放つ。
 パァンッ!!
 とどめをさすに至らなかったが、それでも十分な有効打となったようだ。
 直撃を食らった力士はぐらと身体を傾がせ、すぐに立て直して頭を振るって笑った。
「これこそ食らうに相応しい強者よ!!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鹿村・トーゴ
相撲取りのオブリビオンかー…
こんな率直な勝負挑むヤツは珍しーな!
流れ者の羅刹だけど飛び入りしても良ーい?(一応村人に断り、外套と武器、草鞋を外し黒い袖無しとたっつけ袴で。相棒の白い鸚鵡は荷物番)
さ、お相撲さん
オレ相撲の作法には疎いが…勝負と行こーぜ(羅刹らしく好戦的ながら一礼)
以降【激痛耐性】
敵UC増強前から敵に掴まれるのを警戒【野生の勘】で躱す

張り手は受け流しを意識
近距離利用し【カウンター】で掌低や突きで返す
掴まれかけたら【スライディング】背後に回り体当たり
よろめかせた隙にUCの威力を練り溜めて
敵と真っ向正面勝負で【カウンター】UCの威力を敵に叩きつける
土俵が凹んじゃったらゴメンな

アドリブ可



「誰ぞ続く者はあるか!!」
 苛烈な一番を越え昂揚したか、高く吼える力士に、村人たちは畏敬と困惑の様子を隠せない。
 暴力を振るうでなく相撲をしているだけなので別に迷惑でもないし、むしろその戦いぶりは実にあっぱれと言えるのだが、しかしやはり困るのは困る。
 そんなどっちつかずの村人たちの間から、ひょこっと顔を覗かせる猟兵がひとり。
「相撲取りのオブリビオンかー……」
 ほうと感嘆する鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、ぱっと目を輝かせた。
「こんな率直な勝負挑むヤツは珍しーな!」
 何しろ相手はオブリビオンであるが、搦め手や奇策を弄するのではなく、とにかく相撲で勝負をしようというのだから面白い。
「流れ者の羅刹だけど飛び入りしても良ーい?」
「え? ああ、構わないが怪我には充分気をつけてくれよ」
 一応行司役の村人に断ると、怪我ではすまなさそうだがと言い添えて承諾してくれた。
 許可を得たからには外套と武器、草鞋を外し黒い袖無しとたっつけ袴で。相棒の白い鸚鵡は荷物番。
「さ、お相撲さん」
 土俵に上がり、力士と対峙して胸を張る。
「オレ相撲の作法には疎いが……勝負と行こーぜ」
 羅刹らしく好戦的ながら一礼するトーゴに、力士は呵々と笑う。
「相撲に作法はあれど作法で相撲は取れぬ。ならばいざ!!」
 言うなり腰を落として上体を下げ、片手をつく。立ち合いの体勢だ。トーゴも真似をして姿勢を取る。
 今回は普通だ……と行司役がぽつり言って「はっけよい!」と声を張った。
 それを合図と両者互いにぐっと踏み込み体ごとぶつかっていく。バツッ!! と激しい音が立ち、身体がビリビリと震えた。
「うおっ……」
 全身をめぐる衝動にトーゴは思わず声をこぼし、負けじと脚に力を込めて押し返す。
「あの体格差で耐えるのか!」
「今年は盛り上がるな!」
 周囲から再びの歓声が上がるなか、一度距離を取り体勢を取り直した。
「強者を倒しなお高みを目指す!! それこそが我が忠義!! 故に我が糧となれ!!」
 力士が声を張ると、脚を上げ四股を踏む。ずぅん、と土俵が揺れ、倒れないよう足元を踏みしめる。
「お、おお……? なんだか分からないが、歓迎されてるってことか?」
 相手の出方を警戒すると、すぐに次の手が繰り出された。
 巨大な手から早く連打される張り手を受け流し、或いは近距離を利用して掌低や突きのカウンターで返す。
 真正面からの攻撃は、シンプルに強く重い。そして、ただ突っ張るだけでなく掴んで技を仕掛けようとするのを、洞察のみならず勘も使ってかわすと、反撃を放った。
 姿勢を崩してから掴むつもりだったのか、伸ばされた腕をスライディングでかわして背後に回り、体当たりを食らわせる。
「ぬう!!」
 自身の勢いを殺せず、体当たりによりたたらを踏む力士。
 その隙に、超圧縮した空気をより強く練り溜めていく。
 “視ずの鳥其の嘴は此の指す先に”――。
「土俵が凹んじゃったらゴメンな」
 謝りながら、力士との真っ向正面勝負。張り手を紙一重でかわすと、練り溜めた威力を叩きつける!
 攻撃の衝撃でぼぐんとその身体がたわんだが、貫通したり破裂したりといった様子はない。しかし確実にダメージは入っており、ごふっと血を吐いてトーゴを見据えた。
「この身を倒すには至らぬが、実に見事な一手!! だが土俵を傷つけるのはならん!!」
 なるほど確かに、攻撃の衝撃を受けた土俵は凹みひび割れてしまっている。この程度で済んだのは幸いか。
 怒気をはらんだ調子に再びの戦いを察し構えるが、しかし力士が言うには。
「土俵が均されぬまでは勝負はできぬ!!」
「ええ!?」
 力士からぎろりと睨まれて、箒やらなにやらを手に村人たちが集まり、大急ぎで土俵をなおしていく。
 ……しばらくお待ちください。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
あたいの村も神事をとても大切にしてたから、それを邪魔する奴は許せないよっ!
蛇神様『……神を蔑ろにされるのは余も気に食わんな』

敵の怒号を軽く受け流しながら土俵入り
ちゃんとまわしを締めてっと

はーい、お望み通り体一つ、武器はないでしょっ?
そんなカリカリしたら神様に失礼だってばっ!
神事はまず楽しむ事が大切だよっ?
勝敗に拘るなら江戸の相撲部屋でやってほしいんだけどなぁーっ?

挑発して冷静さを害わせる

ハッケヨイ、ノコッタ!
念動力と怪力で膂力を増強して衝撃波を伴う張り手の乱れ撃ち!
まわしを取られたら体格差で負ける!
でも一撃入れば敵は感電して麻痺するよ!
そして必殺のUCを至近距離から乱射してぶっ飛ばしちゃえっ!



 土俵が直されている間、力士は水もとらず腕組みをして仁王立ちのまま。
 それについて問うと、この身ひとつで戦うと誓った以上は他者の力を借りぬと答えた。
 少なからず傷を負いながらも悠然としたその姿に、蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)は怒りを顕わにする。
「あたいの村も神事をとても大切にしてたから、それを邪魔する奴は許せないよっ!」
『……神を蔑ろにされるのは余も気に食わんな』
 彼女の魂に寄り添う蛇神の賛同に、力士は猟兵の不快を一喝する。
「ならば仕合え!! 仕合うてこそ相撲よ!!」
 敵の怒号を軽く受け流しながら土俵入りし、ちゃんとまわしを締めてっと。
「はーい、お望み通り体一つ、武器はないでしょっ?」
 確認するようにくるっと回って見せて、それから、
「そんなカリカリしたら神様に失礼だってばっ! 神事はまず楽しむ事が大切だよっ?」
 語気を強めて声を上げた。
「勝敗に拘るなら江戸の相撲部屋でやってほしいんだけどなぁーっ?」
 挑発して冷静さを害わせようとするが、しかしわずかに不可解そうな表情をさせるだけにとどまった。
「我らが求むるはただの勝敗にあらず!! より強き者に我が身我が命を賭して戦い勝つ!! そしてそれをもって我らが主君に忠武を示す!!」
 最強の力士となり、信長への忠義を示す。ただそのために生き、ただそのために死ぬ。死ねば彼らの主君、織田信長に相応しい力量がなかったというだけのこと。
 文字通り命を賭した勝負の前には相撲部屋での勝負など児戯だと言下に告げ、蹲踞(そんきょ)の姿勢を取った。
「娘!! 相撲で仕合うか去るか、選べ!!」
 もちろん、レモンにはこの場から去る理由などない。
 互いに立ち合いの姿勢を取り、
「ハッケヨイ、ノコッタ!」
 掛け声とともにレモンが繰り出すのは、念動力と怪力で膂力を増強して衝撃波を伴う張り手の乱れ撃ち!
 対する力士は突っ張りで一度突き放して体勢を崩させ、その隙をついてまわしを狙いにくる。
(「まわしを取られたら体格差で負ける!」)
 素早く出される鋭い掌底を、その体格差を利用してかわし、レモンは機会を伺う。
 自身を強化していなければ、いかに攻撃が通るとしてもその巨躯と対等に張り合えないだろう。
 でも一撃入れば敵は感電して麻痺するよ!
 あえて自らその腕に飛び込み、次の手を食らう前に雷光が弾けた。
「これがあたいのっ! 無限成長だあぁぁーっ!!」
 ガガガガガガガガッ!!!!
 至近距離からのオーラガンによる攻撃が叩き込まれる!!
「…………ッ!!」
 全身を貫く電流に声なき叫声をあげ、ぐらりと身体が傾ぐ。雷電に灼かれたその巨躯は焼けただれ、しかし膝を屈しないのは、それが相撲取りとしての敗北だからにほかならない。
 もはや力士としての矜持だけで立っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・祭莉
お相撲だ! いざ尋常に勝負ー!
ゴメンね、マゲは結えないんだケド、許してね♪(もしゃもしゃ赤毛)
まわしはちゃんと締めてきたよ!(色白に生える濃紺色)

おいちゃん、でっかいねー!
お抱え……信長さんって力持ちだったんだー。
おいらも、村の寺子屋では負け無しなんだよ。
負けないよっ♪

四股踏み踏みしてー。
よーく動きを見て。
立ち合い、小兵らしく変化するよ!

組まれたら力負けしそうだから。
土俵の中をぴょいぴょいぐるぐる走り回る!
相手が焦れたら、高速張り手で距離を取りつつ。

野性の勘で呼吸の乱れを感じ取り。
ココだ!
するりと懐に入り込んで。

張り手いっぱつ!
膝を付かせたら、おいらの勝ち。
先に掴まったら、おいらの負けだね!


アニタ・エヴァーフィールド
はあ…おすもうさん。あんなに大きな体なのに、すごいわ…
…でも、悪い人なのね
え、えっと、いざじんじょうにしょうぶ、なのよ!(ぴゃ!)

武器。を、使わなければいい、のよね?
だから自分の体を強化するの
炎をまとったらかっこいいかしら?
ちょっとこわいけど、頑張って近づいて、鎧砕きで防御力を削ぎながら2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
でも私は強くないから、他の人のお手伝いね
攻撃は時計を盾のようにして受け止めたり、避けられないようなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながら耐えるわ
…あっ、時計は武器…かしら?
でもこれは攻撃には使わないもの…
…だ、ダメ、かな?



「はあ……おすもうさん。あんなに大きな体なのに、すごいわ……」
 激しくぶつかりあい、満身創痍となりながらもなお勇猛さを失わない力士に、アニタ・エヴァーフィールド(さまよいゆくこころ・f26832)が感心の溜息をつく。
 ……でも、悪い人なのね。
「え、えっと、いざじんじょうにしょうぶ、なのよ!」
「お相撲だ! いざ尋常に勝負ー!」
 ぴゃ! となりながらせいいっぱい声を出した彼女に続いて、元気いっぱいに木元・祭莉(マイペースぶらざー・f16554)が宣戦布告する。
「ゴメンね、マゲは結えないんだケド、許してね♪」
 もしゃもしゃ赤毛をつまんで示して。
「まわしはちゃんと締めてきたよ!」
 言って見せたのは、色白に映える濃紺色。
 少年らしいしなやかさと勇壮さを備えた彼が土俵に上がると、不安と心配の声が村人たちの間からこぼれた。
 しかし、彼もまた猟兵である。人々が心配するよりもずっとずっと強い。
「おいちゃん、でっかいねー!」
 巨大な身体を見上げて感嘆する祭莉を、力士は侮ることなく相対した。
「我らは織田信長に召し抱えられし力士衆なり!! 軟弱では務まらぬ!!」
「お抱え……信長さんって力持ちだったんだー」
「故に我らもより強くあらねばならぬ!!」
 強い語調で応える力士の傷口から、ぼたぼたと血がこぼれる。
 会話が成立しているようでずれているが、通じているからいいのだろう。
「おいらも、村の寺子屋では負け無しなんだよ。負けないよっ♪」
 ぐっと力こぶを見せ、自身の強さを主張すると、力士は呵々と笑った。
「ならば貴様も強者ということ!! 存分に仕合おうぞ!!」
 強者と見れば、老若男女の区別なく勝負の相手と見なすようだ。もしかしたら土俵に上がるだけでOKかもしれない。
 四股を踏み、招くように手を広げる。もちろん歓迎の意味ではない。
 相撲の作法にそれなりに則って、アニタと祭莉も力士と対峙する。
(「武器。を、使わなければいい、のよね?」)
 立ち合いの体勢のままちょっと首を傾げ、アニタがその身に魔力を宿す。
 炎をまとったらかっこいいかしら? そう考えてふわり炎を身にまとわせて。
 祭莉は四股踏み踏みしてー。よーく動きを見て。
 じっくりと立ち合い、小兵らしく変化する。
 どちらを先に相手するのか力士は即座に決めて祭莉を狙い、体重をかけるようにして突進してくる。
 組まれたら力負けしそうだから。
 考えたのはごくわずかな間。作戦はかんたんだ。
 土俵の中をぴょいぴょいぐるぐる走り回る!
 真正面からかかってくると想定していたところに虚を突かれ、力士は祭莉を追う。
「膝を付かせたら、おいらの勝ち。先に掴まったら、おいらの負けだね!」
「猪口才な!!」
 それまでの真っ向勝負を挑んだ相手とは違い、捉えようとすれば逃げ、叩き出そうとすれば内に入る祭莉に、力士は苛立ちを見せはじめた。
 だが、距離を詰めればアニタが間に入り、防御力を削ぎながら連撃を放つ。致命的な一撃こそないものの、じりじりとダメージを与えて邪魔をするのだ。
 強烈な掌底をとっさに懐中時計で受け止め、はっと気付く。
「……あっ、時計は武器……かしら?」
 でもこれは攻撃には使わないもの……。
 とはいえ、攻撃を防げる懐中時計がただの装飾品であるはずもないのだが。
「……だ、ダメ、かな?」
 防御に使う武器もあるだろうが、攻撃に使わないなら武器ではないと言えるだろうか。
 ことここに至りて些末にかまうものかと強く踏み込み、力士は捨て身の一撃を放つ。判断に迷う間に食らってしまい、ぴゃーんっと悲鳴を上げてアニタが姿勢を崩した。
 相手が焦れたと判じて、祭莉が高速張り手で距離を取りつつ呼吸の乱れを感じ取っる。
「ココだ!」
 半ばやけに繰り出された一撃を躱すと、するりと懐に入り込んで。
 鋭く息を吐きながら、その手に渾身の力を込め、超高速かつ大威力の一撃を放つ。
 張り手いっぱつ!
 どおっ!! と鈍くも激しい音が響き、力士の身体がぐらつく。
「ぐっ……!!」
 なおも耐えようと膝に力を入れ、しかしその脚がまっすぐに立つことはない。
「御見事…………!!」
 短くも心からの称賛を最期に、どうと倒れる。
 かくしてここに、大一番の勝敗が決した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 日常 『お米の使い道を決めるのです!』

POW   :    炊け! 卵かけたり納豆かけたり、肉や海鮮の丼物にして掻っ込むのも最高だ!

SPD   :    炒めろ! チャーハン、オムライス、ドリアにピラフ、メニューは豊富だ!

WIZ   :    米麺を知ってるか? フォーやビーフンという異世界の料理を堪能しよう!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「御見事!」
 相撲と呼ぶには強烈な仕合いの決着に、勝負の行方を見守っていた村人たちから万雷の喝采があがる。
 猟兵たちの戦いぶりで、それが危険な相手だったと知らず、今年はすごかったなあと満足したようだ。
 しかし、本来であればこれをもって神事の担い手を選ぶことになるのだが、これでは選ぶのに難儀するぞと顔を見合わせ。
「まあ……いいか!」
 神事である以上、締めるところは締めなければならないが、多少の融通をきかせることも時には必要だろう。今回だけと代理を立てて解決することにした。
 そうとなれば、善ならぬ膳は急げ。保管して置く分を除いて手早く人々に米が分けられ、各々で炊き始めるとあっという間に支度が整えられる。
 そして山盛りたくさんの米料理やおにぎりが、猟兵たちにも振る舞われたのだが……。
「……ちょっと物足りないな」
 白飯だけでもとても美味しいから、料理のバリエーションが少なくても不満はない。
 それは村の人々も同じように思っているらしく、代わり映えせず申し訳ないと謝られてしまった。
 せっかくだから、新しい味を広めるのも猟兵の役割だろう。
 さて、どうしようか?
愛・哀
「アイアイサー。美味しいお米ネ❗もっと美味しくするネ。こんな時もあろうかとカレーのルーを用意してたネ。」

中辛カレーのルーならびに、🥔、🥕、玉葱、🍖、🍆を用意し、大鍋に水を入れてお湯を沸かし、野菜と肉をよく炒めて大鍋にいれてよく煮込み、灰汁をとり、中辛カレーのルーを入れてよく混ぜて完成❗

「ほい完成ネ❗ちょうどこの辛さがクセになる味ネ、お主らもじっくり味を堪能するネ❗」

満足した様子で哀は黒瓢箪の酒を一気に飲みほした。



 人々の様子からいろいろと察した哀は、なるほどなるほどと頷く。
「アイアイサー。美味しいお米ネ❗ もっと美味しくするネ。こんな時もあろうかとカレーのルーを用意してたネ。」
「かれー?」
 聞いたことのない名前に、村人たちは顔を見合わせた。
 簡単に説明を受けてもよく分からなかったらしく、とりあえず煮込み料理と聞いて調理器具が用意された。特に鍋は片っ端から集められたようで、ひとり分のスープが作れそうなくらいの小さなものから、人ひとりが余裕では入れそうなくらい大きなものまである。
 適切な道具を選んで、さあ料理開始だ。
 中辛カレーのルーならびに、🥔、🥕、玉葱、🍖、🍆を用意。
「よく見てるといいネ」
 言って、まずは食材をちょうどいい大きさに切っていく。
 大鍋に水を入れてお湯を沸かし、野菜と肉をよく炒めて大鍋にいれてよく煮込み、灰汁をとり、中辛カレーのルーを入れてよく混ぜて完成❗
 ルーを入れたとたん、鍋からふわりと広がるスパイシーな香りに、なんだなんだと人々が集まってきた。彼らに少しだけ我慢を求めて、ちゃんとルーが混ざるようにくぅるりかき回して煮込む。
 みそのような色合いだがみそとは違う、少しとろみのついた匂いの強い煮込み料理。これをどうやって食すのか、いったいどんな味がするのかと、人々は興味津々だ。
 小皿にちょっと取って味見をして。深めのお皿にご飯をたっぷりよそい、その上になみなみとカレーをかければ、準備OK。
「ほい完成ネ❗ ちょうどこの辛さがクセになる味ネ、お主らもじっくり味を堪能するネ❗」
 どんどんと並べていくと、人々は恐る恐る匙を取り口に運ぶ。
 …………。
 ……………………!
「おお、これは!」
「カレーとやらの辛さが、米の甘みにちょうどいい!」
「煮込まれていて肉が柔らかいのに、野菜は崩れていない!」
「汁だけでも全然いけるぞ!」
 人々が口々に感想を言い合い、それを聞いた別の人々がまた集まってきては自分たちで大鍋からよそって食べ、またそれに惹かれて人が集まってくる、の繰り返し。
「飯が足りない! もっと持ってこい!」
 そう言われるよりも早く、炊いたご飯が山盛りに入れられたひと抱えもある米びつが届けられる。あっという間に大盛況となり、大鍋いっぱいに作ったカレールーが足りなくなるんじゃないかという勢いだ。
 大鍋を囲み楽しそうに騒ぐ人々に、満足した様子で哀は黒瓢箪の酒を一気に飲みほした。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン
ライスバーガーだっ!

農家のあたいは米作りはしてないけれど、分かるよっ!
収穫祭での喜びはひとしお、でもマンネリすると盛り上がらないっ!

だから、異世界のお米料理の最先端をご馳走するねっ!
ということで、食材をUDCアースから調達してきたよっ!
あと人手が必要だよねっ?
おーい、みんな~っ!
(勾玉の中から出現、大量の食材を運んでくる亡霊従業員のみなさん)

ご飯を円い金型の中に詰めて、それを醤油を付けながら焼くよっ!
パティは竜田揚げをチョイス!
テリヤキソースとマヨネーズ、それにレタスと一緒に挟めば
テリヤキタツタのライスバーガーの完成~っ!

村のみんなに配給したら
いっただきま~すっ!
みんなで齧り付けば美味しいっ!



 お米の新しい食べ方と聞いて、レモンが提案したのは。
「ライスバーガーだっ!」
 焼き固めたご飯でいろいろな具を挟んだ料理だ。
 聞いたことがない名前に不思議そうな顔をする人々に、ぱんっと自分の胸を叩いた。
「農家のあたいは米作りはしてないけれど、分かるよっ! 収穫祭での喜びはひとしお、でもマンネリすると盛り上がらないっ!」
 力を込めて頷くレモンに、村の人たちはちょっと驚きながらも同意してくれる。
 そう、決して嬉しくないわけじゃないんだけど、あんまり代わり映えしないと盛り上がらない。
 時々は変わったものが持ち込まれることもある。でもすごーく珍しいとかそういったことはほとんどないのだ。
「だから、異世界のお米料理の最先端をご馳走するねっ!」
「お米料理の最先端!?」
 異世界の料理。それも最先端。いったいどんなことになってしまうのか。
 それは出来てからのお楽しみ! と指を振ってみせ、
「ということで、食材をUDCアースから調達してきたよっ!」
 そう言う彼女の周囲には何もない。
 騙すそぶりもふざけている様子もないようだが……と怪訝そうな人々の前で、レモンは首から下げた勾玉に触れる。
「あと人手が必要だよねっ? おーい、みんな~っ!」
 呼びかけると同時に勾玉の中から出現し、大量の食材を運んでくる亡霊従業員のみなさん。
 どこからともなく現れた大勢と食材に村の人たちが驚いている間にてきぱきと準備を進めていく。
 さて、最初にするのは?
「ご飯を円い金型の中に詰めて、それを醤油を付けながら焼くよっ!」
 じゃーんっと取り出した型に、ほどよい量のご飯を詰めて形を整えると、鉄板の上に並べて焼く。
 いい感じに焼けてきたところへ醤油を塗って、また焼いて。
 パティは竜田揚げをチョイス! こちらもその場で揚げてアツアツだ。
 テリヤキソースとマヨネーズ、それにレタスと一緒に挟めば……。
「テリヤキタツタのライスバーガーの完成~っ!」
 照り焼きの料理法自体はサムライエンパイアにもあるが、テリヤキソースは初めて。甘い香りに誘われて、大人も子供も集まってくる。
 たくさんの人が集まってきても、足りなくなることはなさそうだ。
 村のみんなに配給したら。
「いっただきま~すっ!」
 みんなで齧り付けば美味しいっ!
「……ん! 焼いたおにぎりのように固くなるかと思ったが、これは重ねたまま食べるのにちょうどいい固さだ!」
「たれも甘いのにご飯に合う!」
 感想を言い合いながらわいわいと食べる人々を見て、自然とレモンの顔に笑みが浮かんだ。
 そう、みんなで楽しく盛り上がらないとね!

成功 🔵​🔵​🔴​

木元・祭莉
妹のアンちゃん(f16565)と合流したよー♪

へへへー、奉納相撲のお手伝いしてたんだー。(妹に自慢する兄)
あとは、お下がりのごはんをいっぱい食べればいいんだって。
わあ、いっぱい炊けてる! いい匂いしてきたね!

おいらの知ってるごはんで一番オイシイのは、やっぱたまごかけごはんだね!
産みたてタマゴにほかほかごはん、お醤油ちょろっと垂らして。
ごはんの熱でトロトロになるたまごが濃厚でオイシイ!

他には……アンちゃん?
おおー。炊き込みご飯や釜飯、いい匂い♪
食べる食べるー♪(ぱくぱく)

おいらたち、食べるコトにはホンキだから!(にぱ)
他のトコでも美味しそうなお料理できてるかな。
ちょっと食べ歩き、行ってこよっと♪


木元・杏
まつりん(祭莉・f16565)と合流

ふふ、まつりんのお相撲、こっそり見てた
ん、かっこよかった
流石は我が兄(とドヤ顔する妹

おさがりのご飯、そのままでも美味しいけど、折角だからお料理するね

勝者まつりんのリクエストはいかが?
んむ、たまごかけごはん
大丈夫、たまこ(飼い鶏)のたまご、沢山持ってきた
それとね、お肉も振る舞うので…(UC発動)、村の調理場お貸し頂けると嬉しい

炙り肉は串に刺し、小間切れ肉と筍をもち米と共に釜で炊き
こちらの鶏肉とキノコ、人参はご飯と炊いてキノコ炊き込みご飯
卵焼き、山菜と里芋の煮付と秋の味覚満載に
そして、石焼き芋…!

さ、どうぞ?
おいしい…(頬張り嬉しそう)

ん、食べ歩き
わたしも行く!



 こっちこっちと祭莉が手を振ると、木元・杏(焼肉処・杏・f16565)が小走りに寄ってくる。
「ふふ、まつりんのお相撲、こっそり見てた」
 ん、かっこよかった。こくんと頷く。
「流石は我が兄」
 とドヤ顔する妹に、
「へへへー、奉納相撲のお手伝いしてたんだー」
 と妹に自慢する兄。双子だからか似た者兄妹だ。
「あとは、お下がりのごはんをいっぱい食べればいいんだって」
 ご飯をたくさん食べるのも祭事のひとつ。みんなでたくさん食べて、今年の豊穣と来年の豊作を祈るのだ。
 さっそく、ふたり揃ってご飯を炊いている調理場の方へ足を向けると、近づいていくにつれていろいろな匂いがしてきた。
「わあ、いっぱい炊けてる! いい匂いしてきたね!」
 大きな釜で炊きあがったご飯をおひつによそったり、鍋で雑炊みたいなものを煮込んだり。たくさんの人が忙しそうにしている。
 そのうちの一角に寄ってみたら、茶碗によそったご飯と箸を差し出されて、おかずは向こうにあるよと教えてくれた。
 一口食べてみると、……うん、美味しい! でもやっぱりちょっと物足りない。
「おさがりのご飯、そのままでも美味しいけど、折角だからお料理するね」
 準備はしてきたよと杏は言って、勝者まつりんのリクエストはいかが? 訊けば、うーんと唸って考える。
 そうだなあ……。
「おいらの知ってるごはんで一番オイシイのは、やっぱたまごかけごはんだね!」
 ご飯にたまごを落として、そのままだったりいろいろ味をつけたりして食べる、シンプルだからこそ奥の深い料理だ。
 んむ、たまごかけごはん。
「大丈夫、たまこのたまご、沢山持ってきた」
 杏の用意した、飼い鶏のたまこの産みたてタマゴにほかほかごはん、お醤油ちょろっと垂らして。
 やりすぎないくらいにくるくるっとかき混ぜて、大きく口を開いて……ぱっくん。
「ごはんの熱でトロトロになるたまごが濃厚でオイシイ!」
 どんどんご飯が減っていくのを杏は嬉しそうに見て、それから村の人のほうへ剥き治る。
「それとね、お肉も振る舞うので……」
 言いながら発動したユーベルコードの名前は、「お肉のチカラ」と書いてオニクパワーと読む。力こそパワー。お肉はパワーだ。
「村の調理場お貸し頂けると嬉しい」
 お願いすると、快く貸してくれた。足りない材料や道具は言ってくれたらできるだけ用意するよと言い添えて。
 じゃあ、早速料理開始だ。
 炙り肉は串に刺し、小間切れ肉と筍をもち米と共に釜で炊き。
 こちらの鶏肉とキノコ、人参はご飯と炊いてキノコ炊き込みご飯。
 卵焼き、山菜と里芋の煮付と秋の味覚満載に。
「すごい種類と量だねえ」
 杏がどんどんと料理していくのを見守っていた村人が、圧倒されて感嘆する。
 もうこれだけでもたくさんだけど、まだこれで終わらない。
 ご飯とおかずと……。
「そして、石焼き芋……!」
 ただお芋を焼いただけと侮るなかれ。割ってみればほっくほくで、かじってみたらあまあまなのだ。
 完成して一息ついたタイミングで、たまごかけごはんを食べ終わった祭莉が茶碗を返して杏のもとに寄ってくる。
「他には……アンちゃん?」
 期待に満ちた目で視線を向けると、待ってましたと胸を張った。
「さ、どうぞ?」
「おおー。炊き込みご飯や釜飯、いい匂い♪ 食べる食べるー♪」
 どれから食べよう? 迷っている暇があるなら片っ端から食べちゃえ!
 ぱくぱくと食べ始めた祭莉の顔に笑顔が浮かび、見ている人たちもにこにこしている。
「おいしい……」
 杏も頬張り嬉しそう。
 ここまで手が込んでいるのはすごいねとの称賛に、ご飯を飲み込んでから、それはもちろん! と元気よく。
「おいらたち、食べるコトにはホンキだから!」
 にぱっと笑って妹に同意を求めれば、同じ笑顔が応えた。
 他のトコでも美味しそうなお料理できてるかな。
「ちょっと食べ歩き、行ってこよっと♪」
 美味しいご飯をたくさん食べたけど、まだまだおなかはいっぱいになっていない。
 ん、食べ歩き。食器を片付けていた杏もこっくり頷いた。
「わたしも行く!」
 食べることも、冒険も。
 ふたり一緒なら、とっても楽しい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鹿村・トーゴ
えー白飯こんないっぱい食えんの…?!郷だと絶対混ぜ飯だったもんなー

UDCで巻き寿司っての食ったっけ
飯に酢入れて大判の海苔に酢飯置いて巻くんだけど…具は何にしよ
あ、しめ鯖としそ葉、ひねの生姜刻んで…そいで梅干しをタネ抜きして巻くー(巻き簀代わりに帷子に油紙敷いて)
海苔馴染んだらこやって切って、と

あとはー…潰して平たく伸ばして醤油塗って焼いたり?
そーだ、ゼータクだがご飯丸めて餡で包んでおはぎとか

料理疎いからあんま参考にならなくて悪ぃねぇ…
ご飯だけでも旨いもん…!
ほかほかご飯に半熟の温泉玉子、醤油ひと回し、ちょい揉みノリと小口ネギ…これがめっちゃ好きだ、美味し♪(もぐもぐ。食べるの遅い…)

アドリブ可



 ずらりと並んだ山盛りの白いご飯のたくさんのおひつを前にして、トーゴは驚きを隠せない。
「えー白飯こんないっぱい食えんの……?! 郷だと絶対混ぜ飯だったもんなー」
 もちろん、村の人たちも毎日毎食に、まっさらな白飯を食べているということはないのだろう。そうでなければ、これほど盛大に白飯を炊いてふるまうこともあるまい。
 ともあれ、せっかくの白飯をおいしく食べるための料理を考える。
 UDCで巻き寿司っての食ったっけ。
「飯に酢入れて大判の海苔に酢飯置いて巻くんだけど……具は何にしよ」
 何でもいいのだろうし、きちんと揃えてもいいだろう。
 さあどうしようか。
「あ、しめ鯖としそ葉、ひねの生姜刻んで……そいで梅干しをタネ抜きして巻くー」
 ひねの生姜とは、収穫した新生姜を数カ月寝かせたもの。
 それらを巻き簀代わりに帷子に油紙敷いて、海苔を置いた上に酢飯を広げてうまい具合に具材を広げ、くるりと巻き上げた。
 海苔馴染んだらこやって切って、と。
 並べてみると、切った断面もきれいに白飯のなかで具が彩る。頬張れば控えめな甘酸っぱい酢飯と、脂ののったしめ鯖に酸味のきいた具がさっぱりと添えられている。
 巻き寿司は、美味しい具材をひとつまとめにした風味豊かなごちそうだ。
「あとはー……潰して平たく伸ばして醤油塗って焼いたり?」
 団子とは違う食感の餅は、味だけでなくその舌触りも楽しめる。
「そーだ、ゼータクだがご飯丸めて餡で包んでおはぎとか」
 たっぷりの砂糖と炊いた小豆はこし餡とつぶ餡に分けて、ご飯の包み方も丸くしたり山のようにしたり。
 トーゴが思いつく料理を、村人たちは試行錯誤しつつ作りながら、そのアイディアを紙に書きつけていく。
「料理疎いからあんま参考にならなくて悪ぃねぇ……」
 申し訳なさそうに言うと、村人たちもぺこぺこと頭を下げた。
「いいやあ、こちらこそ大したものも料理もなくて悪いねえ」
「でも、おかげでいろいろな料理を知ることができたし、美味しいものがたくさん食べられるよ」
 皆博識だねえと素直に感心する人々は、なんとも快く笑って、気が済むまでどうぞと促した。
 贅沢な材料や、特別な料理でなくても構わない。
「ご飯だけでも旨いもん……!」
 からりと笑い、トーゴはとっておきのひととおりを揃える。
 ほかほかご飯に半熟の温泉玉子、醤油ひと回し、ちょい揉みノリと小口ネギ……。
 ご飯の熱に温められて、醤油やノリの香りがひときわ高く香って食欲をそそる。
「これがめっちゃ好きだ、美味し♪」
 言いながらもぐもぐと食べるのは遅い……けれど、急いで食べる必要はない。
 今日は好きなように食べていいのだから。


 豊穣の祭りの賑わいは、用意されたご飯が減るのに反比例して盛り上がり、なくなっていくにつれて、名残惜しさに変わっていく。
 けれどこの日の美味しさも楽しさも、明日からまた続いていく日々のため。
 村人たちに混じり、猟兵たちも、今この時だけは戦うことを忘れて賑わいを楽しんでいた。
 彼らが守り、そしてこれからも守るもののために。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年11月04日


挿絵イラスト