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クラッカーが爆ぜる、ひよこーんも爆ぜる

#アルダワ魔法学園 #お祭り2021 #ハロウィン #装魔封災戦

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●アルダワ世界におけるハロウィンは戦勝のお祝いです
「じゃあ、皆準備は出来たかな? それじゃ……かんぱーい!」
「「かんぱーい!!」」
 アルダワ魔法学園竜騎士学科13年生、学生互助組織「バルテレミー班」班長のニコラ・バルテレミーが乾杯の発声をすれば、彼の周囲で次々にグラスが持ち上がる。
 狼獣人の姿になって、迷宮探索用のローブに身を包んだ同僚、マジックナイト学科13年生のアニェーゼ・トレッカーニがニコニコしながらニコラに歩み寄っていった。
 彼の視界の先ではベテランも新入生も一緒になって、ハロウィンパーティーを楽しんでいる。あまり本格的な仮装をしている学生はいないが、学校の中であるから仕方がない。
 ともあれ、ニコラが嬉しそうに目を細めて言った。
「いやあ、今年も無事にハロウィンパーティーが開催できてよかったよ」
「そうよねー、学校の外ではまだまだあちこち慌ただしいって聞くけど、こうしてお祝いできるのはよかったわ」
 アニェーゼも満足そうに言いながらジュースを飲む。大魔王の驚異が去って随分と経つ。アルダワ世界は概ね平和とは言え、猟書家があちこちで暗躍しているから、まだまだ安心して暮らせるわけではないけれど、それでもこうして何の備えもせずにハロウィンパーティーを開けるのはいいことだ。
「ところでニコラ、仮装はしないの? あなた主催者なんだから、もっと楽しまないと」
「準備が忙しくて用意できなかったんだよ……アニェーゼだって獣化しているだけで、仮装してないじゃないか」
 そんなことを話しながら、お互いの仮装についてやいのやいのと言っていると、アニェーゼがふと中庭の隅に目を向けた。
「あれ?」
「どうした……ん?」
 ニコラも釣られてそちらを見ると、そこには一つのフライパン。そのフライパンから湧き出るように、弾けて飛び出すものがあった。
「ひよーっ!!」
「なっ!?」
「ひよこーん!?」
 アツアツふわふわのひよこーんだ。額に青筋を浮かべながら、ひよこーんたちが次から次へと、フライパンから飛び出してパーティー会場に突入した。

●今年も猟兵たちにハロウィンのお仕事です
「ハロウィン、ですね、皆さん……」
 頭には三角帽子、胴体には茶色の粗末な服。ブラウニーを思わせる仮装に身を包みながら、アスター・ファラデー(ルーンの繰り手・f02089)が瞳をキラキラさせながら口を開いた。
 アルダワ世界でもハロウィンという風習はある。かつて災魔の仮装をして拠点に侵入し、大規模な奇襲で災魔を大量に封印した「装魔封災戦」の成功と勝利を記念するお祭り、ということなのでUDCアースのハロウィンとは意味合いが少し異なるが、妖精やモンスターの仮装をして、飲んで騒いで大騒ぎ、という点についてはそこまで変わらない。
「今年も、ハロウィンの季節がやって来て、ハロウィンにまつわる事件が、あちこちの世界で、起こっています……皆さんには、アルダワ魔法学園の事件に、向かってもらいます……」
 手元に正八面体のグリモアを浮かべるアスターの言葉に、猟兵たちもすぐに頷いた。既にあちこちの世界で、ハロウィンにまつわる事件の予知がされている。アルダワ世界だけそうならない、なんてことはないのだ。
 しかし、アスターは金の瞳をわずかに細めて、微笑みながら説明を続けた。
「事件、と言っても、そこまで緊急性が高いものではなくてですね……アルダワ魔法学園の中で、ハロウィンパーティーが、ニコラさんの互助組織主導で行われているのですが。そこに災魔が、なだれ込んでくるんです……こちらを見てください」
 そう言いながらアスターがグリモアから映し出すのは、彼女の予知した災魔乱入の様子だ。中庭に落ちたフライパン、そこから大量に湧き出てくるひよこーん。
「はい、ひよこーんです。ひよこーんが、ぷんぷんしながら、パーティー会場にやって来ます……美味しそうですし、パーティーにポップコーンは、つきものですが、一応災魔なので、退治してください」
 困ったように言いながらアスターは告げた。確かにひよこーんは食べれるし、パーティーと言ったら大概ポップコーンはおやつとして出てくる。何ならハロウィンパーティーに華を添えていると言えなくもないが、災魔は災魔だ。
 納得した様子を見せる猟兵たちに、アスターが説明を続ける。
「ハロウィンパーティーは、南棟の中庭で行われています。学生の皆さんが、パーティーに参加しています……まずは、仮装をして、パーティーを楽しんでください。仮装をしている人を、災魔は優先的に狙うので、ちゃんと仮装することを、おすすめします」
 いわく、パーティーに参加する学生たちは、学校の中での催しということもあってそこまで本格的に仮装をしておらず、いつもの制服やローブに動物のカチューシャやら帽子やら、という出で立ちなのだそう。本格的な仮装をして参加すれば、パーティーでも目立つし学生たちも喜ぶだろう。災魔の気を引けるというおまけ付きだ。
「パーティーをしていると、中庭に転移ゲートが開いて……ひよこーんたちが、なだれ込んできます。そうしたらお仕事です……ひよこーんたちは怒っていて、理性をなくしているので、いつもより戦いやすいかもしれません、ね」
 アスターいわく、パーティーを楽しみながら戦うことで、よりひよこーんたちを怒らせ、理性をなくさせることができるそうだ。料理を食べつつ戦ったり、踊りながら戦ったり、歌ったり。工夫のしようは色々あるだろう。
「これも、学生の皆さんの楽しみを、守るためです……皆さん、よろしくお願いします……」
 そう話して、再びペコリと頭を下げるアスター。そして腰の革袋に手を突っ込むと、中からルーンストーンを一つ取り出して言った。
「ウィン……喜びや、実りを表すルーン、ですね。学生の皆さんの、喜びや楽しみを、皆さんにも味わっていただければ……そういうことを、暗示していると思います。ぜひ、楽しんできてください、ね」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 今年もハロウィンがやって来ましたね。全世界を対象にハロウィンシナリオが出ています。
 アルダワ魔法学園の中で久しぶりにパーティー。おなじみの生徒さんも初めての生徒さんも、お気軽にどうぞ。

●目的
 ひよこーん×10体以上の撃破。

●特記事項
 このシナリオは二章構成です。
 第一章でハロウィンパーティーの会場を訪れてパーティーを盛り上げ、楽しんでいただくことで、災魔をおびき寄せることが叶います。
 災魔は「仮装した者を優先的に狙う」ので、仮装をしてご参加ください。仮装の内容はプレイングの一行目に記載してください。
 また、パーティを続けながら(肉を食べながら、踊りを踊りながら等)戦闘すれば、さらに災魔は冷静さを欠き隙だらけになります。

●舞台・戦場
(第1章)
 アルダワ魔法学園敷地内、南棟1階の中庭です。
 学生有志によってハロウィンパーティーの会場が用意され、パーティーが行われています。
 料理や飲物は学食からの提供を受けているので大体は揃っていますが、持ち込みも歓迎です。飲酒も可能ですが未成年のPCによる飲酒行動はマスタリング対象です。
 パーティーに参加している学生については、オープニング公開後に断章で記載します。

(第2章)
 第1章と同じく、南棟1階の中庭です。
 ハロウィンに怒り狂ったひよこーんの群れが、中庭に転移ゲートを開いてなだれ込んできます。
 猟兵が仮装していれば、一般のパーティ参加者である学生に被害が及ぶことはありません。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『ハロウィンを楽しみまくれ!』

POW   :    お菓子や料理を食べて楽しむ

SPD   :    イタズラ合戦に参加して楽しむ

WIZ   :    素敵な仮装を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Don’t judge a book by its cover.
 南棟の中庭に足を踏み入れると、既にパーティーの準備はすっかり完了していた。思い思いの帽子やらカチューシャやらを身に着けた生徒たちが、料理や飲物を楽しんでいる。
 と、猟兵たちに気がついた一人の生徒がこちらに歩み寄ってきた。パーティーの主催者、学生互助組織「バルテレミー班」の班長、ニコラ・バルテレミーである。
「ああ、転校生の皆。来てくれたのか、ハッピーハロウィーン!」
 転校生とも気安い関係の彼が、手に持ったジュースのグラスを軽く掲げる。と、彼の傍に歩み寄ってきた獣人姿の人狼の少女ことアニェーゼが、茜色の尻尾を振りながら笑う。
「トリックオアトリート! へへへ、どう、びっくりした? 今年も私たちが準備したのよ」
「トレッカーニ先輩、さすがに来たばかりの転校生にお菓子を要求するのはどうなんだ」
 彼女の足元では、魔女のような三角帽子を被ったケットシーの少年ことセヴェリ・ニクライネンが、批判的な視線を向けていた。先輩のそんな姿に、言いたいことも色々とあるのだろう。
 そんな一行の傍に、メガネを掛けてボディペイントを施した女性が歩み寄ってくる。ニコラたちよりもだいぶ年上のファイーナ・ジヤチェンコが口角を持ち上げながら言った。
「学生主導のハロウィンパーティーだから、見ての通り仮装はそれなりだけどぉ……でも、仮装の面で言ったら転校生の皆が盛り上げてくれるわよねぇ?」
「皆の仮装、あたしたち全員すっごく期待しているんだからね!」
 ファイーナの傍で、尻尾にリボンを巻いたケットシーの少女こと、チータ・カスティスが両手を持ち上げた。その表情には期待がありありと見て取れる。
 皆、猟兵の面々の仮装に期待をしているのだ。それがこのパーティーを盛り上げる、大きな要因だと分かっている。ニコラがはにかむようにしながら言った。
「まあ、そんな具合だ。皆、是非ともパーティーを楽しんでいってくれ……それが、必要なことなんだろう?」
 その言葉に猟兵たちも頷いて、中庭へと踏み込んでいく。いよいよ、楽しいハロウィンパーティーの始まりだ。

●特記事項
 ・現時点でパーティーへの参加が確認されている在校生は下記の通りです。その他、屋守のシナリオで登場したことのある在校生はプレイングで呼ばれれば参加します。
  ニコラ・バルテレミー(竜騎士学科13年生・人間・男)
  アニェーゼ・トレッカーニ(マジックナイト学科13年生・人狼・女)
  ファイーナ・ジヤチェンコ(ガジェッティア学科12年生・人間・女)
  セヴェリ・ニクライネン(シンフォニア学科3年生・ケットシー・男)
  チータ・カスティス(マジックナイト学科3年生・ケットシー・女)
バロン・ゴウト
ひよこの着ぐるみでパーティーに参加するのにゃ!
ひよこにはひよこで対応、ひよこーんよりキュートなひよこを着こなして見せるのにゃ。
今日はは語尾も「にゃ」ではなく、「ピヨ」で過ごすのにゃ。

中庭に着いたら早速バルテレミー班の皆さんにご挨拶なのにゃ。
「皆さんハッピーハロウィーンだピヨ!」
ご挨拶の後、皆さんに卵ボーロをプレゼントするのにゃ。

ひよこーんが登場するまでははひよこっぽく歩いたり、クルクル踊ったり、疲れたらお料理を食べて一休みしながらパーティーを楽しむのにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●Too many cooks spoil the broth.
 南棟の中庭に、一匹の黄色いひよこがぽむぽむ跳ねながらやってくる。そのひよこの口からは、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)の真っ黒な中に白ヒゲ模様の顔が覗いていた。
「皆さんハッピーハロウィーンだピヨ!」
 びし、と翼を持ち上げながらご挨拶。左の翼にはかぼちゃのバスケットも持って準備万端だ。すっかりバロンと顔なじみになったニコラが、にこやかに声をかける。
「ああ、ハッピーハロウィーン!」
「バロンくん、その着ぐるみ、ヒヨコ? かわいいー!」
 アニェーゼも近寄ってきて、バロンの着ぐるみのもふもふした頭を撫でた。ケットシー、元々からしてふわもこだが、着ぐるみのもふもふ感は生身にはない良さがある。
 バロンもいつもと違って語尾をひよこらしくしつつ、大きく胸を張った。
「そうピヨ! ひよこにはひよこで対応、キュートなひよこを着こなして見せるのピヨ!」
 そう言いながらバロンはぽんぽんと跳ねる。その様子に微笑ましいものを感じながら、ニコラが優しく声をかけた。
「なるほど。じゃあお決まりの……トリックオアトリート!」
「はい、どうぞピヨ!」
 ハロウィンお決まりの文句に、バロンがバスケットから取り出した小袋を差し出す。もちろん、パーティーに同席しているバルテレミー班の面々全員分、一人ひとりに渡すのを忘れない。
 その小袋はたまごボーロの小分けになった袋だった。ひよこのまんまる感や黄色い色合いともマッチしている。
「たまごボーロ? 懐かしいー」
「幼少期によく食べたな」
 セヴェリとチータが小袋を手に持ちながら、懐かしそうに言葉を漏らした。
 お菓子を渡し終えたバロンはそのまま、パーティー会場の中庭を跳ねるように移動していく。道中でくるくると踊ったり、跳ねたり。その動きはまさしくひよこだ。
「ピヨッピヨッピヨ~♪」
「ふふっ、可愛いわねぇ」
 たまごボーロを口に放り込みながら、ファイーナがニコニコしつつバロンを見る。バロンのひよこを、なんだかんだ満喫しているようだ。
「事件が起こるまでは、全力でパーティーを楽しむのピヨ!」
 料理にも熱視線を向けながら、バロンはひよこーんが現れるその時まで、ハロウィンパーティーを楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パルピ・ペルポル
去年のだけど女郎蜘蛛(SD参照)でいくとするわ。

上空からついーっと蜘蛛よろしく降りてきましょうか。
うんまぁわたしのサイズ的に普通にばかでかい蜘蛛に見えるのは否定しないけど。

びっくりさせちゃった子(してなくても)にはお手製ドライフルーツをたっぷり入れたカップケーキをあげるわ。いっぱい作ってきたからみんなで食べてね。
ま、原材料が高級品であることは黙っておきましょ。

料理を頂きつつ、時々気配消して他の人にそっと近づいて驚かせてみたり。頭に動物耳カチューシャ追加してあげたり。
トリックもトリートも両方楽しんでおけばいいわよね。



●Many hands make light work.
「上からお邪魔しまーす」
「えっ?」
 ふと上から声がして、中庭に居る生徒たちが上を見上げると。
 女郎蜘蛛の仮装をしたパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)が、蜘蛛よろしく上からつつーっと降りてきた。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
 セヴェリとチータが驚いて飛び退く。ケットシーの二人からしたら、自分の体格と同じくらいの蜘蛛が降りてくるのと同じこと。それは、驚きもするだろう。
 人の輪の中に、すたっとパルピが降り立って周りを見た。明らかに注目を集めている。
「あ、びっくりさせちゃったかしら? ごめんね」
「パルピ先輩の体格でその仮装をして上から来られると、本当にでっかい蜘蛛なんだよな」
 ニコラがため息をつきながら、パルピに苦笑を向けた。確かに、登場の仕方的にも蜘蛛そのものだ。
 パルピも肩をすくめながら、蜘蛛の身体の中にしまっていた袋を取り出す。
「それもそうよね。じゃ、お詫びの印に」
「わっ、カップケーキ!」
「ありがとう」
 袋の中から取り出すのは、お手製のドライフルーツを入れたカップケーキだ。カップケーキを受け取った生徒たちが口々にパルピにお礼を言って、ケーキを食べ始める。
 と、ケーキを一口食べたファイーナが、薄っすらと口角を持ち上げた。
「ふーん……」
「ファイーナさん?」
 アニェーゼが小さく首を傾げると、パルピの身体をファイーナのひじが軽く小突いた。
「なかなかやるじゃなぁい?」
 その言葉には何らかの裏が含まれているようにも見えて。よもや、ドライフルーツの原材料が財宝の実であることを見破られたとは思わないが。
 薄っすらと笑みを返しながら、パルピがついーっと移動し始める。
「何のことかしらー? あ、あれ美味しそう」
 料理の方に向かいながら、ふとアニェーゼの後ろを通った時に彼女の頭に犬耳カチューシャを装着。人狼のアニェーゼの頭にもう一組耳が生えた。
「アニェーゼ、耳が増えているぞ」
「えっ、えっ?」
 ニコラが指摘するや、自分の頭に両手を上げながら戸惑うアニェーゼ。イタズラ成功だ。
「ふふふ、トリックもトリートも両方楽しんでおけばいいわよね」
 くすくすと笑いながら、パルピが料理を取り皿にそっと取り分けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアン・エルフォード
【蜜檸檬】
呼称:もも
※仮装は揃いの黒猫の着ぐるみ

いいパーティーだね、楽しませてもらうよ
学生達へ挨拶を交わしてから

へえ…怖がりももにしては意外だけど
リアルじゃなければモチーフは確かに可愛いしな
こういうのも好き?
色彩が奇抜なカップケーキを手にして一口

ん、どれ?(ぱくり
これなら甘すぎなくて美味いな

血のように真っ赤な色だが…って、もも、唇が凄い色になってるぞ(親指で触れ
舌も出してみて?

その色はワイン味なのか
ちょっと興味がある
見つめれば差し出される飴を齧り
…なるほど、悪くないね
あ、俺も赤紫になってる?
自分の唇を軽く拭うようにして笑み

あはは、ハッピーハロウィン
悪戯をされてしまったな(言いつつ軽くキスを盗む


モモカ・エルフォード
【蜜檸檬】
※仮装は揃いの黒猫の着ぐるみ

班の皆さんへご挨拶!
ガイコツさんロリポップを差し入れ

もも、グッズ的にはハロウィンが1番好きかも!
うん、だって黒猫さんもいっぱいだし
まん丸コウモリさんも可愛い

えあんさんの食べてるカップケーキも
ちょびっと毒々しいとこが雰囲気たっぷり!
カッコいいの!(ぐっ)

えあんさん、このかぼちゃドーナッツも
なかなかよ?
(ひと口分をちぎって、あーんv)

こっちのリンゴ飴は…すごい色!
…リンゴ飴なのに、赤ワインの味がする!
え?そんなに?(舌をぺろっと見せて
えあんさんも食べてみる?
(視線を感じて差し出し)

…えあんさん、お口真っ赤…
せくちーなの(///)
これは悪戯せねば!(ちゅーっv)



●Don’t cross the bridge until you come to it.
 他方。エアン・エルフォード(Windermere・f34543)とモモカ・エルフォード(お昼ね羽根まくら・f34544)の夫婦は揃いの黒猫着ぐるみを身にまとって、中庭にいる生徒たちに挨拶をしていた。
「「ハッピーハロウィーン!」」
 手にはジャック・オー・ランタン。首元にはマント。すっかりハロウィンの出で立ちだ。ニコラとアニェーゼがにこやかに応対する。
「いらっしゃい、ようこそ!」
「楽しんでいってね!」
 笑顔を見せる生徒たちに、エアンは柔らかく微笑みを返した。こうした場を設けてもらったのは、純粋にありがたい。
「いいパーティーだね、楽しませてもらうよ」
「はい、ガイコツさんロリポップをどうぞ!」
 モモカがジャック・オー・ランタンの中からガイコツを象ったロリポップを差し出す。もちろん、この場の生徒たち全員に渡せるだけの数は用意してきた。
 ロリポップを渡したら、後はパーティーを楽しむ時間だ。テーブルに並ぶ料理を見ながら、モモカが話す。
「もも、グッズ的にはハロウィンが一番好きかも!」
 嬉しそうにそう話すモモカに、エアンが意外そうな視線を向けた。
「へえ……怖がりももにしては意外だけど、リアルじゃなければモチーフは確かに可愛いしな」
「うん、だって黒猫さんもいっぱいだし、まん丸コウモリさんも可愛い」
 エアンに言葉を返すモモカが、テーブルに飾り付けられたコウモリの飾りをつつきながら言った。
 確かにハロウィンの飾りに使われるモチーフは、デフォルメされて可愛らしいものになっていることが多い。狼男もドラキュラもフランケンシュタインも、可愛らしい見た目になれば恐ろしさは半減するというものだ。
 ふと、エアンの手がテーブルの上に並んだカップケーキに伸びる。
「じゃ、こういうのも好き?」
 特別奇抜な色合いをしたカップケーキを手にとって頬張れば、その姿を見たモモカが嬉しそうに着ぐるみの尻尾を揺らした。
「ちょびっと毒々しいとこが雰囲気たっぷり! カッコいいの!」
 こうして変わった色の料理を食べていると、本当にモンスターか何かのようだ。とてもかっこいい。
 そうしてモモカもテーブルの上のドーナツを手に取った。カボチャが使われているのだろう、優しい甘さが口の中に広がる。
「えあんさん、このかぼちゃドーナッツもなかなかよ?」
「ん、どれ?」
 一口分ちぎってエアンに差し出すと、彼の口が開かれてドーナツを頬張る。二度三度と口を動かすと、彼の口元が笑みを作った。
「……これなら甘すぎなくて美味いな」
「でしょ、でしょ?」
 嬉しそうに笑いながら、モモカは次のお菓子を探していった。と、目に留まるのは鮮血のように真っ赤に染まったリンゴ飴だ。
「あ、こっちのリンゴ飴は……すごい色!」
 リンゴ飴を手に取り、一口かじる。カリッとした表面の飴の奥には、甘酸っぱくて味の染みたリンゴがいる。不思議と渋味も感じて、まるで赤ワインを飲んでいるかのようだった。
「ねえねええあんさん、リンゴ飴なのに、赤ワインの味がする!」
「へえ、血のように真っ赤な色だが……って、もも、唇が凄い色になってるぞ」
「えっ? そんなに?」
 リンゴ飴を差し出すモモカだが、その唇は赤というか、赤紫に染まっていた。表面をコーティングする飴のせいだろうか。口を開いて舌を差し出せば、その舌もなかなか派手な色になっていた。
「えあんさんも食べてみる?」
「んっ」
 もう一度モモカがリンゴ飴を差し出すと、エアンが一口それをかじる。彼女の言う通り、確かに赤ワインの味がした。これはこれで、新鮮だ。
「なるほど、悪くないね」
「ふふっ、えあんさん、唇」
 リンゴ飴から口を離したエアンの唇も、赤く染まっている。それを見たモモカがくすりと笑った。
「あ、俺も赤紫になってる?」
「えあんさん、お口真っ赤……せくちーなの」
 自分の唇を拭うようにするエアンに、モモカが瞳を輝かせた。イタズラチャンス。そのまま唇を奪いにかかる。
「んっ」
「ん……」
 エアンもそれを受け入れて、吐息を交わしあうと。唇を離したところでエアンが笑った。
「あはは、ハッピーハロウィン。悪戯をされてしまったな」
「うっ」
 そのままこちらもいたずらっぽく笑い、もう一度唇を寄せる。キスを盗まれたモモカは目を白黒させていた。
 そして愛を確かめ合う二人を、少し遠巻きにしながら眺めるニコラとアニェーゼである。こんな二人の空気に、入っていけるはずなど無い。
「ねえニコラ、どうしようあそこの二人」
「下手に声をかけるなよ……ムードを壊すわけにはいかないからな」
 肩をすくめながら、アニェーゼの問いかけに答えるニコラだ。と、制服のズボンが引っ張られるのを感じる。下を見たらチータが、中庭の隅を指差しながらニコラの制服を引いていた。
「ねえ、ニコラ先輩、あれ」
「ん……なんだ、あれは?」
 そうして視線を向けた先にあったのは、一つのフライパン。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ひよこーん』

POW   :    ひよひよあたっく
【弾けたひよこーん】が命中した対象を燃やす。放たれた【不可視】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ひよー、ひよひよー!
【鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ぱちぱちぽんぽん
【体内の熱】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Strike while the iron is hot.
「ひよー!!」
「わっ!?」
 けたたましい鳴き声が中庭に響く。落ちていたフライパンがアツアツに熱されて、そこからひよこーんがポンポンと爆ぜながら飛び出してきた。
「ひよっ、ひよっ!」
「ひよよー!」
 次から次へと、たくさん。焼き立て爆ぜ立てのひよこーんたちが出てきたことで、パーティー会場は香ばしい香りに包まれていた。
「ひよこーんだ……」
「うわっ、いい香り」
 セヴェリとチータが思わず口を開いてはぽかんとした表情をしていた。危機感と言うよりも、驚きのほうが大きい様子。何しろ食べれてしまう災魔の代表格だ。
「なんでここに来たんだ、こいつら……」
 ニコラも困ったように見ながら、他の生徒たちをかばいに動く。パーティーの最中だから武器らしい武器など、杖くらいしか携帯していないのだ。
「ひよーっ!!」
 ニコラに向かって大きく鳴くひよこーん。その声色には明らかに怒りの色が見て取れた。ハロウィンということもあって、本能的に敵対心を見せているのだろう。
「なんか怒ってるな……転校生、すまないが対処を頼む。俺たちは中庭を封鎖しないとならないからな」
 そう言って、ニコラたちは中庭の出口の方へと走っていく。学園内に災魔がなだれ込まないようにするためにも、ここでひよこーんを退治することが必要だ。

●特記事項
 ・舞台は変わらず南棟の中庭です。料理やお菓子、飲物はそのままあります。
 ・在校生たちは会場内にいますが、ひよこーんたちが校舎の中に入っていかないように封鎖しています。
バロン・ゴウト
ハロウィンパーティーの何が気に入らないのか知らないけど、イヤならここに来なければいいだけじゃないのかピヨ?
パーティー会場を台無しにされる前に、わがままひよこーんにはご退場願うのピヨ。

ひよこーんへ【大声】で名乗りを上げ、中庭から出ないようにひよこーんの気を惹くのにゃ。
「ボクはひよこ剣士のバロンだピヨ!どちらが最強のひよこに相応しいか、いざ尋常に勝負だピヨ!」

パーティー会場を壊さないように気を付けながら立ち回り、ひよこーんが鳴き声を上げようとした瞬間、【金色の一閃】で攻撃、そのままレイピアで【串刺し】にするのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



●Where there’s a will, there’s a way.
 中庭に次々出てくるひよこーん。そのひよこーんの前に立ちはだかりながら、バロンは小さく首を傾げた。
「ハロウィンパーティーの何が気に入らないのか知らないけど、イヤならここに来なければいいだけじゃないのかピヨ?」
 その言葉に、一瞬だけ動きが留まるひよこーんたち。しかしすぐさまぴょんぴょんと飛び上がって何かを主張し始めた。
 ぴよぴよと言い始めるひよこーんたちに、バロンは黄金のレイピアの切っ先を向ける。
「パーティー会場を台無しにされる前に、わがままひよこーんにはご退場願うのピヨ」
 きりりと表情を引き締めるバロンに、ひよこーんがぷくーっと身体を膨らませながら鳴き始めた。
「ひよっ!」
「ひよー!」
「ボクはひよこ剣士のバロンだピヨ! どちらが最強のひよこに相応しいか、いざ尋常に勝負だピヨ!」
 声を上げるひよこーんに向き合って声を上げるバロン。そして一気に地面を蹴って、ひよこーんの群れに突っ込んでいった。
 ぽんぽん跳ねながら鳴き声を上げて、戦闘力を高めながらバロンに飛びかかるひよこーん。その攻撃を避けながら、バロンは中庭を飛び回る。
「ひよーっ!」
「くっ、なんのっ……ピヨ」
 どんどんと突っ込んでくるひよこーんを避けながら、バロンはレイピアを操っていく。そして一気に地面を蹴って、ひよこーんに突っ込んだ。
「この一撃は閃光の如くなのにゃ!」
 矢のように飛び出したバロンを、ひよこーんは避けられない。串刺しにされたひよこーんが、そのまま吹き飛ばされる。
「ぴよ……!」
「よしっ、どんどん来いピヨ!」
 見事にひよこーんを吹き飛ばしたバロンが、再び地面に着地する。そうして再び、レイピアの切っ先をひよこーんへと向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹(サポート)
オルタナティブ・ダブル発動!

それじゃ行ってみよー!
分身は僕ことベスト
ルーンソードやカルテを使って精霊属性の連携技で戦うのが好きだよ
僕が先に水属性で戦場をずぶ濡れにしていくから
続けて氷属性でガッチリ固めて動けなくしちゃうってのはどうかな?
愉快な敵だともっと楽しいよね
遊んでるように見える?
僕が一番本気が出せるのは、楽しくて夢中な時だよ!

足ひっぱんなよ!
本体はオレことサーベル
まぁ悪かねぇな
それでも逃げるやっかいなヤツは、ハサミ撃ちで即ぶった斬ってやろうぜ
んくらい根性あるヤツがいなきゃ、オレも楽しめねぇからな

使う精霊属性は敵に合わせて変更可
使うアイテム技能も好きに選んで下さい



●The early bird catches the worm.
 ゆったりと中庭に入ってきたのは、鎖でぐるぐる巻きにされたボロボロの貴族らしい衣装に身を包んだ仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)だ。その背後から、するりと姿を見せるのは、同じ衣装に身を包んだもう一人の衣吹。
 多重人格者らしいオルタナティブ・ダブルだ。分身の方を担当するベストが、パーティー会場を見ながらにこやかに笑う。
「楽しいパーティーを邪魔するのはよくないね。それじゃ行ってみよー!」
「足ひっぱんなよ、ベスト!」
 対して、本体の方を担当するサーベルが剣呑に笑った。その手に握るダガーをちらつかせながら、彼は戦場となったハロウィンパーティーの会場に踏み込んでいく。
 その姿に、ひよこーんの視線が一斉に向けられた。これだけ力の入った仮装、彼らからしたら目に留まらないはずはない。
 我先にと飛びかかってくるひよこーんを避けながら、ベストがルーンカルテを手に握りながら笑う。
「ひよこーんがアッツアツだっていうなら、氷属性で冷やしちゃうのはどうかな? あ、水属性でしぼませるのもいいかもしれないね! そーれっ!」
 カルテを掲げれば、中庭全体に雨が降り注いだ。雨に濡れてしぼみかかったひよこーんに、今度は冷たい吹雪が襲いかかる。
 そうして固まって動けなくなったひよこーんを見ながら、サーベルが口角を吊り上げる。
「まぁ悪かねぇな。それでも逃げる厄介なやつは……こうだ!」
 そのままダガーを投じれば、刃を突き立てられたひよこーんが粉々に砕け散った。一瞬で仲間が砕かれたことに、ひよこーんがわずかに躊躇を見せる。
「ひよっ……!?」
「ひ、ひよーっ!」
 しかしすぐに、気を取り直して衣吹二人に向かっていった。氷も振り払い、体内から熱を発生させながら二人に飛びかかる。それを軽い調子で避けたベストが、視線を向けるのはお菓子の並んだテーブルの上だ。
「ははは、愉快愉快。愉快な敵だともっと楽しいよね! あ、このロリポップ可愛い、貰っちゃお!」
「おい、戦闘中だ! 遊んでんじゃねぇぞ!」
 毒々しい色合いのロリポップをつまみ上げて口に運ぶ。と、ダガーを投じてひよこーんを次々対峙していたサーベルが批判的な視線を向けた。
 ともすれば巫山戯ているようにも見えるが、これも立派な作戦だ。現に、チータが何かに気付いて声を上げる。
「あっ、でも、ひよこーんが片方の衣吹先輩の方に……!」
「楽しんでるから、引き寄せられてる?」
 ファイーナも目を見開きながら言葉をこぼした。
 実際、パーティーを楽しみながら戦っているベストの方へと、次々にひよこーんが向かっていっている。その背中に、フリーに動けるサーベルがダガーを投げつけるという状況だ。
 パーティーを楽しむほど、災魔は怒って我を忘れる。ベストの動きが、非常に状況を有利に運んでいた。
「ははっ、遊んでるように見える? 僕が一番本気が出せるのは、楽しくて夢中な時だよ!」
「ひよーっ!」
 ますます楽しそうに中庭を踊るベスト。それを追いかけるひよこーんはもう脇目も振らずといった有様だ。サーベルとしても、この状況のひよこーんはいい的だ。
「よしいいぞ、そこだっ!」
 一気にダガーを複数投じれば、その全てがひよこーんに突き立てられる。そのまま一気に消えていくひよこーんを見て、チータがもう一度声を上げた。
「す、すごい……」
 在校生が感心した声を上げる中、ベストはさらに踊る。ひよこーんは確実に、着実に数を減らされていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

岩倉・鈴音(サポート)
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●Look before you leap.
 ティアラを頭に装着し、ちょっと丈の短いドレスに身を包んだ岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)が、意気揚々と中庭に足を踏み入れた。パーティーの様相をぐるりと見回して、嬉しそうに語る。
「パーティー! いいね、JKとしては見過ごせないね」
 楽しそうに離しながら中庭の中を進む鈴音。そして彼女はさっと手を掲げながら告げた。
「さあて、それじゃあ一仕事させてもらおうか。カモン、ブルマ遊撃隊!」
「「ふぉっふぉっふぉー♪」」
 現れたのは体操服に身を包んだ、鈴音と似た体格をした少女たちだ。下半身にはブルマを装着して、両手でピースサインを作りながらその手を動かしている。
 一気に窮屈になり始めた中庭で、鈴音が少女たちに宣言する。
「さあ乙女たちよ! 私と一緒に歌い、食べ、パーティーを満喫するのですンッフッフ♪」
「「わーい!」」
 宣言を受けて、少女たちがすぐさまテーブルのお菓子や料理に手を付け始めた。テーブルの傍にいない面々は肩を組み、アカペラで歌を歌い始める。踊りだすものもいた。
 にぎやかになった中庭。ぷるぷると身を震わせていたひよこーんが、次々に鳴き始める。
「ひ、ひよーっ!」
「ひよっ、ひよーっ!」
 鳴くと同時に、内部に蓄えられていた熱が周囲に放出され始めた。むっとした暑さが中庭を包み込むが、しかしここは屋外。ちょっと気温が上がった程度で済んでいる中、鈴音が腰の剣を抜く。
「むっ熱い、えぇい邪魔くさいポップコーンだね」
「びっ」
 そのまま手近なひよこーんに一撃。攻撃をまともに食らったひよこーんが両断されて消えていく。
 その次に彼女が向かったのは、歌う少女たちに向かって鳴いているひよこーんだ。
「ひよーっ!」
「そこのもうるさいなぁ、歌のジャマになるじゃないか」
 こちらも剣を一閃、身体を真っ二つにしていく。そうして鈴音は、パーティーの邪魔をするひよこーんを次々に叩き切っていった。その最中に、さっと手を上げて言う。
「乙女たちよ、食べてるかーい!?」
「「はーい♪」」
 鈴音の言葉に少女たちが返事をする。パーティーはしっかり満喫しているようだ。これならひよこーんも黙ってはいないだろう。
「よしよし、そのまま楽しもうじゃないか!」
 そう言って再び鈴音は剣を振るう。切っ先に捉えられたひよこーんが、砕け散るようにその身体を散らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル
招かれざるお客はわたしたちがたっぷりおもてなししてあげなきゃね?

今日のわたしは女郎蜘蛛なので。
こっそり念動力で雨紡ぎの風糸を蜘蛛の巣のごとく張り巡らせておいたわ。校舎方面には特に念入りにね。
ちゃんと糸にはとりもち塗っておいたから。キャラメル味の。下手に暴れると余計に絡みつくわよ。まぁ自分でも積極的に絡めにいくけども。
ひよひよ鳴いてるのはちょっと強めに締め上げて静かにしてもらいましょ。
で、ちょっと冷めたひよこーんは美味しくいただくとしましょう。赤ワイン飲みつつ。
って誰かしら完全に蜘蛛だとか言ったの。まぁ否定は出来ないけれどねっ。
あ、塩も用意しておけばよかったかしら。



●Two wrongs don’t make a right.
 中庭でぽんぽん跳ねるひよこーんたちを前に、女郎蜘蛛の仮装をしたパルピが糸を繰って宙に浮かびながら微笑んだ。
「招かれざるお客はわたしたちがたっぷりおもてなししてあげなきゃね?」
 猟兵として、楽しい場面に乱入してきたオブリビオンは放置していられない。地下迷宮の外だと言うならなおさらだ。
 そんなパルピに向かって、アツアツのひよこーんがポーンと跳ねて飛びかかる。
「ひよーっ!」
「あー、あんまり暴れまわらないほうがいいわよ?」
 その攻撃をひょいと避けたパルピが、雨紡ぎの風糸を繰った。彼女の周囲だけではない、このパーティー会場にまるで蜘蛛の巣のように張り巡らせている。
 結果としてその糸の中に飛び込んだひよこーんは、全く身動きが取れなくなってしまった。もがけどもがけど糸は離れない。
「ひよっ!?」
「ひ、ひよ……!」
 苦しそうな声を上げるひよこーんに、パルピは呆れ顔で言いながら近づいていった。
「ほら、だから言ったのに」
「あれは……糸?」
 ニコラが目を見開きながら言う。いつの間にか、こんなにたくさんの糸が張られていたのか。おまけに糸には何かが塗られているようで、太陽の光を浴びててらてらと光っている。
 パルピが胸を張りながら答えた。
「ちゃんと糸にはとりもち塗っておいたから。キャラメル味の。下手に暴れると余計に絡みつくわよ。えいっ」
「ぴ……!」
 ぐいと糸を引き絞れば、動けないひよこーんがさらに糸に巻き付かれて縛られる。そのひよこーんが冷めた頃を見計らって糸から引き剥がし、口に含むパルピだ。
「うん、美味しい。食べれるとりもち使って正解だったわね」
 ひよこーんを赤ワイン片手に美味しくいただく彼女を見て、呆気に取られたようにチータがこぼす。
「糸で絡め取って、動けなくして、食べるって、完全に蜘蛛じゃ……」
「チータ、しーっ」
 隣に立つアニェーゼが、彼女の肩をパシリと叩いた。なかなかの暴言である。そちらにちらと目を向けながら、パルピはもう一度ワイングラスを傾ける。
「まぁ否定は出来ないけれどねっ。あ、塩も用意しておけばよかったかしら」
 そう言って笑いながら、もう一度パルピはひよこーんに手を伸ばして糸から引き剥がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアン・エルフォード
【蜜檸檬】
呼称:もも
※仮装は揃いの黒猫の着ぐるみ

本当だ、いい香りが辺りに漂っているな
バターやキャラメルを絡めたら美味くなりそうな…
食べられる厄災というのは…初めてだよ
とはいえ、せっかくのパーティーを台無しにされても困るしね
片付けてしまおうか、もも

あれ、ももはポップコーンが好きだったのか
…味見をしてみる?
気が引けるけど…興味はあったんだよね(摘まんでみる
なるほど、こういう味か
ももの感想は?

…っと、ますます怒らせてしまったかな
俺が引き付けるので、その隙にももが仕上げの焼きを入れてくれ

Rosa Albaの薔薇の花弁で視界を遮りつつ攻撃
いい感じに焼き上がったね

周囲が落ち着いたら続きを楽しませてもらおう


モモカ・エルフォード
【蜜檸檬】
※仮装は揃いの黒猫の着ぐるみ

くんくんくん…この芳ばしい香りは…!
バター&キャラメルは間違いがないの映画館ではマストです
あ、えあんさんにはチーズ&ハニーもオススメよ?
美味しい厄災…ハロウィン・パーティーにはむしろもってこい…?
ううん、もちろんやっつけないとよね!(こくっと頷き)

…その前に…もも、実は大好きなの♪(はしっ!とひとつ捕まえて)
ひよこの形のポップコーンだと思えば…
(もぐっv)うーん、なかなかv

でもこんなにたくさんは食べられないし
ぽんぽん跳ね回って危ないの

えあんさん、一箇所に纏めてくれてありがとです!
エレメンタル・ファンタジア!
炎の竜巻で跡形残らず…こんがりお片付けするわね!



●Don't bite off more than you can chew.
「はっ」
「ん?」
 モモカが鼻をひくつかせ、ハッとした表情を見せるのをエアンは不思議そうな顔をして見ていた。
 そうする間にもモモカは、あたり一面でぽんぽん跳ねるひよこーんを見ながら、瞳を輝かせていた。
「くんくんくん……この芳ばしい香りは……!」
「本当だ、いい香りが辺りに漂っているな」
 ひよこーんが出てくれば出てくるほど、香ばしくて軽やかないい香りが広がる。今もまた、新しいひよこーんがフライパンから飛び出していた。
「ひよっ!」
「ひよー!」
 ひよひよ鳴くひよこーんを見て、エアンがぽつりとこぼす。
「……バターやキャラメルを絡めたら美味くなりそうな」
「バター&キャラメルは間違いがないの。映画館ではマストです。あ、えあんさんにはチーズ&ハニーもオススメよ?」
 映画館で買えるポップコーンの話をしながら、さっとモモカが手を上げた。そのまま視線を、中庭の出口を塞ぐニコラに向ける。
「ニコラさん、確認! この子たちは、食べれ……?」
「る。なんなら俺たちも地下迷宮でよくおやつにしてるよ」
 そう言って、槍で串刺しにしたひよこーんを、切っ先から外して口に放り込んでみせるニコラだ。アルダワ地下迷宮には食べれたり食べれるものを生み出したりする災魔は何種類かいるが、ひよこーんもその例に漏れず食べれる災魔である。
 はーっと息を吐きながら、モモカが目を見開きながらこぼした。
「美味しい厄災……ハロウィン・パーティーにはむしろもってこい……?」
「食べられる厄災というのは……初めてだよ。とはいえ、せっかくのパーティーを台無しにされても困るしね」
 エアンも驚きに目を見開きながら言う。確かに、他の世界ではなかなか見られないケースだろう。そしてポップコーン、パーティーにもってこいという意見は非常にご尤も。
 とはいえ、こんなにたくさん溢れ出して暴れまわられたら大変なのだ。エアンもモモカもそれぞれの武器を握る。
「片付けてしまおうか、もも」
「うん、もちろんやっつけないとよね!」
 そうして戦いを始めようとした二人だったのだが、モモカの視線はちょうどこちらに飛んできたひよこーんに向いている。
「……でも、その前に……」
「ひよっ!?」
 跳んできたひよこーんを両手で捕まえる。ほかほかと温かい。捕まえられたひよこーんがジタバタもがくが、手からは抜け出せなさそうだ。
 そのひよこーんへと、モモカが口を近づける。大きく開いて。
「もも、実は大好きなの♪ ひよこの形のポップコーンだと思えば……はむっ」
「ひよーっ!!」
 口の中に収まるひよこーん。悲鳴が口の中からくぐもって聞こえた。そのままもちゃもちゃとひよこーんを咀嚼するモモカに、エアンが意外そうな表情を見せた。
「あれ、ももはポップコーンが好きだったのか」
「うんっ! えあんさん、なかなかのお味よ」
 対してモモカはぐっとサムズアップ。ほんのり塩味、満足の行く味であったらしい。
 その言葉に興味を惹かれたか、エアンもちょうど自分の所に跳んできたひよこーんをつまみ上げた。
「気が引けるけど……興味はあったんだよね」
「ひ、ひよ……」
 自分の未来が垣間見えて、ひよこーんが震えている。そのまま震えるひよこーんを口の中に放り込んで、エアンもこくりと頷いた。
「なるほど、こういう味か。ももの感想は?」
「美味しい! でもこんなにたくさんは食べられないし、ぽんぽん跳ね回って危ないの」
 笑みを見せるモモカ。しかし彼女の言う通り、こんなにたくさんのひよこーんを二人で食べるのは大変だ。
「ひよー!!」
「ひよっ、ひよーっ!!」
 そして仲間をぱくりといただかれたことに、ひよこーんも憤慨している様子。ぷんぷんと怒って飛び跳ねるひよこーんを見て、エアンが剣を眼前に構えた。
「……っと、ますます怒らせてしまったかな。俺が引き付けるので、その隙にももが仕上げの焼きを入れてくれ」
「わかったです!」
 そうして頷いたモモカが魔法の詠唱に入る中、エアンは自分の手の中の西洋剣を高く掲げた。
「もう終わりにしよう」
 その言葉とともに剣が解け、白薔薇の花びらとなってパーティー会場を舞う。渦を巻くように舞い踊る花びらは、ひよこーんの身体を切り裂きながらその身体を一箇所に集めていた。
「ひ……」
「ひよっ……!?」
 白薔薇の渦の中で、身動きが取れずに身を寄せ合うひよこーんたち。その様子に笑みを見せながらモモカがさっと手をかざした。
「えあんさん、一箇所に纏めてくれてありがとです! いきます、エレメンタル・ファンタジア!」
 彼女が声を張るや、白薔薇の渦の中に炎の竜巻が巻き起こった。ごうと燃え上がり舞い上がる炎が、ひよこーんをこんがりと焼き上げ、塵に返していく。
「「ひよーっ!!」」
 たくさんのひよこーんの悲鳴が響く。そして竜巻が消え、白薔薇の渦が収まった時、地面の焼け焦げを残してひよこーんは一匹残らず燃え尽きていた。
「こんがりお片付け、完了です!」
「いい感じに焼き上がったね。これで、全部片付いたかな」
 それぞれの武器を下ろすエアンとモモカ。在校生たちも安堵の息を漏らしながら、中庭の封鎖を解いていく。
「ああ、新たなひよこーんの出現もないようだ。アニェーゼ、フライパンは?」
 ニコラが中庭の隅を確認するアニェーゼに声をかければ、アニェーゼが尻尾を振りながら頷いた。
「うん、一緒に消えてる。大丈夫よ」
 どうやらひよこーんの殲滅と一緒に、フライパンも消えていったらしい。これで、新しくひよこーんが出てくることもないだろう。
 となれば。エアンが笑みを浮かべて頷いた。
「よし、それじゃあ……」
「ハロウィンパーティーの続き、ね?」
 モモカも一緒に頷きながら、パーティー料理の並んだテーブルに向かう。アルダワ魔法学園のハロウィンパーティーは、まだまだ終わりそうにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月06日


挿絵イラスト