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チョコレイト・コーディネイト

#アリスラビリンス #お祭り2021 #ハロウィン

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#ハロウィン


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●チョコレートタイム
 此処は年がら年中、ずっとハロウィンの国。
 おしゃべりで愛らしい南瓜のランタン達や、仮装衣装が飛び出してくる森。
 とても長い南瓜行列を作るためだけに作られた森の道、食材が完備されたキッチンなどなど、いつも楽しいことに溢れている。
 けれども本当の季節が訪れた時。この国はもっと賑やかで綺羅びやかに彩られる。

 この国の今年のトレンドはチョコレート。
 ミルクにホワイト、ブラックにビターにルビー。抹茶に苺、ベリーやピスタチオ。
 たくさんのチョコレートが楽しみ放題。
 不思議なチョコの樹に成っている板チョコを摘み取ってもよし、木の実のようにまあるい形の粒チョコを積んで食べてもよし。
 森の中のキッチンで様々な菓子に加工してみてもいい。
 ケーキにクッキー、チョコフォンデュにガトーショコラ。チョコがけマシュマロをビスケットに挟んだり、ブラウニーやオランジェットにしてもきっと美味しい。ホットチョコレートや、チョコシェイクなどの飲み物も自由に作っていいらしい。
 それに――。
「よいしょ、よいしょ」
「みんなが遊びに来てくれるなら、もっといっぱいお茶会テーブルを用意するぞ!」
「重いけどがんばろーねー!」
「おおー! ランタンやランプもたくさん飾るぞー!」
 この国に住む、白い毛並みのウサギ達は茶会用の机や椅子を懸命に用意している。
 丸い切り株の机、キノコ型の椅子と机、猫脚のアイアンテーブル。
 真っ白なローテーブルや、シックな黒いソファの席がある場所等々。
 森の広場に設置されたテーブルはそれぞれにデザインが違い、何処に座って何を食べるかでも気分が変わってきそうだ。
 白ウサギ達はお客様の到来をわくわくしながら待っている。彼らと遊んだり、会話をしたりお茶を飲んだりと楽しい時間も期待できるはず。

 これから始まるのはチョコレート・ハロウィンパーティー。
 とっても甘くて、ときにはちょっぴり苦い、魅惑的な時間にようこそ!

●南瓜色コーディネイト
「その国は少し住人が少なくてさ、愉快な仲間の移住者を集めるために盛大なチョコレートパーティーを開きたいんだって!」
 メグメル・チェスナット(渡り兎鳥・f21572)はアリスラビリンスに存在する不思議の国のひとつ、或るハロウィンの国について語った。
 猟兵達が訪れてパーティーを楽しめば、この国もきっと賑やかになる。
 興味があるならぜひ向かって欲しい。
 そう語ったメグメルは明るい笑みを浮かべた。だが、猟兵にわざわざこうして頼むからには、もうひとつの理由がある。
「実はオウガの残党もこの国を狙っているんだ。けれどハロウィンの国の不思議な特性を使えば楽しく有利に戦えるぜ! 逆にオウガを迎え撃って撃退しちゃおう!」
 国の特性とは、戦闘になると仮装用の衣装が飛んでくること。
 どこからともなく現れた意志を持つ衣装は、着用した猟兵達をパワーアップさせてくれる。しかし、どの衣装がどの猟兵を選ぶかは分からない。
「着替えは魔法の力で一瞬で終わるから、もしかしたら自分の趣味じゃない衣装を着せられることになるかもしれないけど……衣装くん達に悪気はないんだ。みんなに似合うと思った衣装が飛んでくるから、もしイヤでも受け入れてくれ!」
 メグメルは覚悟を決めて欲しいと願った。
 しかし、あまりにも似合わなさすぎたり尊厳を壊すような衣装にはならないはず。イヤイヤでも喜んででも、とにかく自分に飛んできた衣装を着用すれば、オウガ達など怖いものではない。
「それから、オウガ達も着せ替えが好きみたいだ。自分で衣装を着替えて猟兵に対抗してきたり、無理やりに着替えさせようとしてくるから気をつけて!」
 敵はその性質の通り、『コーディネイター』フェイルと呼ばれているらしい。
 また、チョコレート菓子を頂戴というおねだりもしてくるので、渡すか渡さないかも猟兵の判断に委ねられる。
 ある意味でコーディネイト対決となるので、皆が思う全力で挑んで欲しい。そう語ったメグメルは魔鍵を掲げた。
「それじゃあ、不思議の国までの扉を開くぜ。――ゲート、アンロック!」
 そして、ハロウィンの国への道がひらかれる。
 チョコレイトとコーディネイト。甘くて愉快な時間と、戦いの幕が上がってゆく。


犬塚ひなこ
 今回の世界は『アリスラビリンス』!
 こちらはハロウィンの二章構成シナリオとなっています。

●第一章
 日常『チョコレートパーティー』
 戦闘は起こらないので警戒はしなくても大丈夫です。
 チョコレートそのものが実っている不思議な木からチョコを収穫したり、森のキッチンでお菓子に加工したり、森の広場でお茶会をしたりと自由にお過ごしください。

 国の住人の白ウサギ達は、ふわふわもこもこの獣人です。
 身長は普通の人間の半分以下で抱っこも出来ます。美味しいお茶を淹れるのが得意で、アリスや人が好きなようです。料理を手伝ってくれたりもします。
 お声掛けがなければ登場しませんが、交流を希望される方は遠慮なくどうぞ。

●第二章
 集団戦『『コーディネイター』フェイル』
 パーティーが終わりに近付くとオウガ達が現れます。
 同時にどこからか猟兵に向かって仮装の衣装が飛んできます。その衣装を着て戦うと、この戦い限定のものすごい不思議パワーが備わります。

 飛んでくる衣装は基本的にランダムです。
 衣装の内容がプレイングに書かれていなければおまかせと判断します。これがいい、というイメージがある場合はご指定ください。
 お任せの場合は無理な女装や男装、公序良俗に反するような衣装にはせず、似合いそうだと思う衣装をご用意しますのでご安心ください。
 ※屈強な男性にセクシーバニー衣装、性別を間違えられてしまっている、というようなハプニング的な展開がいい場合はプレイングにてご指定ください。ギャグ系もどんとこいです!

 白ウサギはテーブルの下に隠れてくれるので守る必要はないですが、ときどき応援をしてくれたり、衣装のお直しをしてくれたりします。
 それでは、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 日常 『チョコレートパーティー』

POW   :    ビター

SPD   :    スイート

WIZ   :    ミルク

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セフィリカ・ランブレイ
叶くん(f30497)と行動

少し羽を伸ばしに来たら偶然にも見知った顔が
や、叶くんもパーティに来たんだ?

叶くんも本業大変なんだ?
私も最近そんな感じでさ
息抜きは大事だって痛感するね

チョコが収穫できるとは凄い文明だ
ホワイトチョコやフルーツをチョココーティングしたのとか採れないかな

『私としては見てるだけで十分な世界ね』
シェル姉…相棒の魔剣はあまり好みではない様子
人の姿は取れても摂取した食事を魔力に変換する工程が面倒と飲食を共にするのは稀だ

ま、チョコ探して盛大にパーティのための飾り付けをしようか!
私お祭りの準備をするのって好きだしさ

どうせなら準備の段階から楽しめたほうがもっとお得、って、そう思わない?


白霧・叶
セフィリカ(f00633)と参加

サクラミラージュの世界で終わらない軍務から上手く逃げるようにやってきた所で奇遇にもセリカを見つけた
お、セフィリカじゃん。久しぶり、元気してた?

チョコ、甘すぎるのはちょいと苦手だけど俺も好きなんだこういうの。なんだっけ、ビター?とかいうやつとかさ。 
なんなら俺でよけりゃいつでも付き合うぜ飯くらい。つーか俺も軍務に追われる日々よりセフィリカと飯食いに行く方が楽しいし……し、仕事のことは気にすんなよ、うん

お、言えてる。そんじゃ、一緒に準備しようぜ。どうせなら沢山楽しんだほうがいいし楽しんじゃおう

アレンジなど歓迎



●楽しい日の始まり
 此処は不思議な不思議なハロウィンの国。
 毎日のように仮装衣装が作られ、ふわふわと舞って誰かの服になることを待っている。真っ直ぐな南瓜行列用の長い道や、お菓子を作るためのキッチンや食べるための広場まであって――そして、今年はなんと、国中にチョコレートが実っているという。

 時はまさに光陰矢の如し。
 そのような言葉があるように、忙しい日々はあっという間に過ぎていく。
 元の世界の終わらない軍務から上手く逃げるようにして、息抜きに訪れている叶はチョコレートの実が成る不思議な森の中を歩いていた。
「どこもかしこもチョコレートばかりだな。……ん?」
 緩やかに森の中を進んでいく中、叶は見知った人影を見つける。目を凝らしてみれば、その人がセフィリカだということが分かった。
「お、セフィリカじゃん。久しぶり、元気してた?」
「や、叶くんもパーティに来たんだ?」
 セフィリカも叶に気付き、ひらひらと片手を振る。どうやらセフィリカも丁度、ハロウィンの国に羽を伸ばしに来ていたところらしい。奇遇にも出会えたことで二人は共に行動することを決めた。
「この世界は休むのに丁度いいな」
「叶くんも本業が大変なんだ? 私も最近そんな感じでさ」
「不思議な国で何も難しいことを考えないで過ごすってのも悪くない」
「そう、息抜きは大事だって痛感するね」
 叶とセフィリカは世間話を交わしながら、アリスラビリンスの独特な空気を堪能していった。そんな中でやはり気になるのはチョコレートの樹。
 セフィリカは近くにあった樹を見上げ、楽しげに双眸を細めた。
「チョコが収穫できるとは凄い文明だ」
 ホワイトチョコレートやフルーツをコーティングしたチョコレートもあり、他の世界では考えられない不思議な光景が広がっている。
 すると、セフィリカと共にある魔剣シェルファが感想を零した。
『私としては見てるだけで十分な世界ね』
「シェル姉はチョコレートはあまり好みじゃないみたいだね」
『そうね、魔力に変換する工程が面倒だもの』
 魔剣シェルファは人の姿は取れても、セフィリカと飲食を共にするのは稀だ。そんな二人のやり取りを見守りながら、叶もチョコレートの樹をじっくりと眺めた。
「チョコ、甘すぎるのはちょいと苦手だけど俺も好きなんだこういうの」
「どういうのが好みなの?」
「なんだっけ、ビター? とかいうやつとかさ」
「ほろ苦いのが良いんだ。何だか叶くんらしいね」
「なんなら俺でよけりゃいつでも付き合うぜ飯くらい」
 シェルファはチョコレートを食さないらしいので、叶はセフィリカに自分が食事相手になると申し出た。
 笑みを浮かべたセフィリカは彼の言葉を嬉しく感じている様子。
「良いの? だったら今日は叶くんに付き合って貰おうかな」
「つーか俺も軍務に追われる日々よりセフィリカと飯食いに行く方が楽しいし……」
「そういえば仕事は終わらせてきたの?」
「し、仕事のことは気にすんなよ、うん」
 会話の最中、叶の仕事の進捗具合に少しばかり怪しい雰囲気もあったが、今は楽しい世界の最中。気にしないことを決めたセフィリカはホワイトチョコレートに苺が混ざっている実を手に取った。叶もビターチョコレートらしき実をひとつ収穫していく。
「よし、この調子でチョコ探して盛大にパーティのための飾り付けをしようか!」
「ああ、そうしようぜ」
「私お祭りの準備をするのって好きだしさ。それにどうせなら準備の段階から楽しめたほうがもっとお得、って、そう思わない?」
「お、言えてる。そんじゃ、一緒に準備しようぜ」
 意気投合した二人は、不思議の国のチョコレートパーティーへの思いを馳せる。
 少し先にはお茶会の準備をする白いウサギ達の姿が見えた。彼らと合流して細々とした手伝いをするのもいいだろう。
 セフィリカと叶はこれから始まる時間を思い、柔らかな視線を交わしあった。
 折角の不思議の国。
 たくさんのことを楽しんで、色々なチョコレートを味わって――満喫するのが何よりも一番の過ごし方なのだから。
 そして、二人は先に進む。色とりどりの森はこうして賑わいに包まれていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
ティエル(f01244)といっしょにハロウィーン♪
チョコの樹にずらりとなった板チョコ
こんなにチョコがいっぱいだと、食べ過ぎてねむれなくなっちゃう!

だけど今夜のハロウィンはオウガとのバトル。ねむれなくてもドンとこいだね!
でも板チョコのままはビターすぎるから、おいしくクッキングしちゃおう

さっそくキッチンにお邪魔して、美味しいスイーツ作っちゃうよ
チョコ集めはティエルにお願いして
材料いっぱい持ってきたからウサギさんたちにもおすそわけ!
クリームたっぷり甘くてふんわり
あとあじちょっぴりビターな味わい、チョコパンケーキの出来上がり!

仲良く他の猟兵さんたちとも、テーブル囲んでみんなでパーティー?


ティエル・ティエリエル
ミフェット(f09867)と一緒にハロウィンだ♪
おお、チョコレートがいっぱいだ!こんなにいっぱいならいっぱい食べても怒られないね!

ようし、チョコ集めをミフェットにお願いされたから頑張ってくるぞー☆
あまーい板チョコを狙って【フェアリーランド】の中に放り込んでいくね。
ふふーん、板チョコ鑑定レベルがこのままじゃあがっちゃうね!

どっさり板チョコを回収したらミフェットの元にお届け!
わわっ、ミフェットが作ってるのはチョコパンケーキなんだね♪
わーい、完成楽しみだ♪

焼きあがったら手伝ってくれたウサギさん達も誘って一緒にいただきまーす☆
うーん、ミフェットのパンケーキは絶品だね♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎



●ぱんぱかパンケーキパーティー
「ハッピーハロウィーン♪」
 ご機嫌に歌を紡ぎながらミフェットはティエルと一緒に不思議の国を歩く。森の中を進む二人の周囲には、ずらりと並んだチョコレートの樹が見えていた。
「おお、チョコレートがいっぱいだ!」
「すっごくたくさんだね。あれはミルクチョコ? あっちにはホワイトチョコもあるよ」
 楽しげに翅を羽ばたかせるティエルは樹の近くまで飛んでいく。その後を追っていくミフェットも周囲を見渡し、様々なチョコレートを眺めた。
 ティエルは自分の大きさほどもある板チョコレートの横に並び、両手を大きく広げてみせる。ビターチョコレートの前でひらひらと舞うティエルは実に愛らしく、ミフェットは微笑ましさを覚えた。
「これならいっぱい食べても怒られないね!
「こんなにチョコがあると、食べ過ぎてねむれなくなっちゃう!」
 ティエルは大いにはしゃいでおり、その傍に歩み寄ったミフェットもわくわくとそわそわが入り混じった気持ちを抱いている。
 けれど、とそっと掌を握ったミフェットはこの後のことを思う。
 今夜のハロウィンパーティーの続きはオウガとのバトル。きっと食べすぎて眠れなくなっても大丈夫。
「なんでもドンとこいだね!」
「おー! めいっぱいのチョコパーティーだー!」
 明るい笑顔を浮かべた二人はチョコレートクッキングの計画を立てていた。チョコの森の中にある不思議なキッチンに向かったミフェットとティエルは、調理器具や材料を確かめていく。
 その際、ティエルは先程の樹から持ってきた一枚の板チョコを味見してみた。
「さっき持ってきたのはほろ苦いチョコみたいだね」
「板チョコのままはビターすぎるから、おいしくお料理していこう!」
「あまーいのも持ってくる?」
「うん、チョコ集めはティエルにお願いしようかな」
「ようし、頑張ってくるぞー☆」
 そうして、ミフェットはキッチンへ。ティエルは別のチョコレートの樹を探すために飛び立っていった。
 ふわふわと森を飛び回るティエルは意気揚々と進む。
 ホワイトにベリー、ミルクにルビーとチョコレートの種類は様々。その中でも特に甘そうなものを狙って収穫していくティエルは、板チョコを次々とフェアリーランドの中に放り込んでいった。
「ふふーん、板チョコ鑑定レベルがこのままじゃあがっちゃうね!」
 ティエルは手際よく、どっさりとチョコレートを回収していく。
 ピスタチオやフルーツ入りのもの。他にもたくさんの味を集めたティエルは、ミフェットが待つ森のキッチンにチョコを届けに向かう。
「お待たせ!」
「わあ、ちょうど他の材料の準備ができたところだよ」
「わわっ、それなあに?」
「パンケーキの生地だよ。これにチョコレートを混ぜて、あとは焼くだけ!」
「チョコパンケーキなんだね♪ わーい、完成が楽しみだ♪」
 ミフェットがかき混ぜていた生地を覗き込み、ティエルは期待を抱く。チョコレートを湯煎で溶かしていく手伝いをしたいと申し出たティエルは、自分より大きな泡立て器を抱えてみせた。
 すると、その様子を心配した不思議の国の住人がキッチンに訪れる。
「僕たちも手伝うよ~」
「ウサギさん! じゃあティエルと一緒にまぜまぜしてくれる?」
「わかったよ!」
「ボクも頑張るー♪」
 白ウサギ達が手伝ってくれるなら、彼らにもお裾分け出来る分のパンケーキが焼けるだろう。ミフェットはとっても美味しいものを作ろうと意気込んだ。
 そして、暫し後。
「クリームたっぷり甘くてふんわり、あとあじちょっぴりビターな味わい、チョコパンケーキの出来上がり!」
「わー!」
「ぱちぱちぱちー!」
「ウサギさん達も一緒に食べよう。あったかいうちにいただきまーす☆」
 愉快な仲間とティエル、ミフェットは森のテーブルの方に移動していく。ふんわり積み上げられたパンケーキからは柔らかな湯気が立っている。
「みんなでパーティーだね」
「うーん、ミフェットのパンケーキは絶品だね♪」
「ティエル、もっと食べる?」
「うん!」
 くすりと笑ったミフェットは、ほっぺたにクリームをつけているティエルに指先を伸ばした。その隣では白ウサギ達も満足そうにパンケーキを頬張っている。
 広がっていくのは幸せの心地。
 仲良く楽しく、甘くてとろけるようなハロウィンパーティーが続いていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・ユェー
【月光】

チョコレートがなる木とは珍しいですね
一つとって食べる、甘くて美味しいです
ルーシーちゃんも食べますか?と口元に
おや?ありがとうねぇ
とぱくりと食べる

これは美味しいケーキが出来そうですね
一緒に作りましょう
では生クリームを混ぜてください
美味しそうチョコケーキが出来ましたね
おやおや、と彼女の顔を優しく拭いて微笑み
ふふっ、それは早く食べないといけませんね

白うさぎさんはもふもふしてて可愛らしいと抱っこしつつ
ルーシーちゃん撫でますか?
白うさぎさんもケーキ食べますか?
うさぎさんが淹れてくれた美味しい紅茶と共に
えぇ、とても幸せな時間ですね


ルーシー・ブルーベル
【月光】◎

ルーシー知らなかったわ
チョコレートって木になるのね
ゆぇパパを見て
ルーシーも!と、口を開けアピール
ん、おいしい!
お返しにパパもあーん!

ケーキ作りたい!
パパと一緒は何でも好きだけど料理は特に
チョコを砕けばいい?お粉をふる?
何でも言ってね
はあい、生クリームね
顔に飛び散ったりしつつ、完成!

ケーキが焼けるまでの間、白ウサギさんともふもふ!
パパが抱っこされてウサギさん嬉しそう
いいの?撫でる!
パパに抱っこされてて
ウサギさんが羨ましいなんて思ったのはナイショ

ケーキの焼ける良い香り!
ぐーってお腹が鳴って…聞こえた?パパ
良い香りの紅茶はウサギさんが?
ありがとう
皆で一緒に食べましょう
ステキなパーティーね!



●もふもふケーキタイム
「チョコレートがなる木とは珍しいですね」
 不思議の国の最中、ユェーは近くにあった粒チョコの樹に手を伸ばす。そのひとつを摘んで口に放り込んだ彼は、甘くて美味しいです、と素直な感想を零した。
 その様子を見ていたルーシーは瞳を輝かせ、無邪気に口をひらく。
「ルーシーも!」
「おや、ルーシーちゃんも食べたいんですね」
 ユェーは高い位置にあった粒チョコのピスタチオ味を摘み取り、少女の口元に運んでやった。ぱくりとチョコレートを頬張ったルーシーは味わいを確かめる。
「ん、おいしい!」
 そうしてルーシーは自分の手が届く位置にあるイチゴチョコを摘み取った。ゆぇパパにもお返し、と差し出されたチョコを見て、ユェーは双眸を細める。
「パパもあーん!」
「おや? ありがとうねぇ」
 甘い味が口いっぱいに広がるのは、きっと幸せの味だと言ってもいい。二人は微笑みあい、不思議な世界の甘い心地に浸った。
「それにしても、ルーシー知らなかったわ。チョコレートって木になるのね」
「いいえ、ルーシーちゃん。確かにチョコの原材料は木に実っていますが――」
 とても真面目にチョコレートの樹の存在を信じているルーシーに向け、ユェーはカカオの実というものがあると話していく。
 こんなふうにチョコレートそのものが生えているのは、きっと世界中どこを探しても不思議の国の中だけ。そうなのね、と興味深くユェーの話を聞くルーシーは、その間も小さな粒チョコをめいっぱいに味わっていた。
 それから暫し後。
 森のキッチンに到着したルーシー達は或る計画を実行することにした。
「さぁ、ケーキを作りましょう!」
「これは美味しいケーキが出来そうですね。ルーシーちゃん、一緒に作りましょう」
 それは道すがらに収穫してきたチョコレートを使ってのケーキ作り。細かな材料や調理器具は森のキッチンに揃っている。
「パパと一緒は何でも好き! だけど料理は特に楽しいわ」
「ふふ、僕もです」
 今回はユェーが主な指導をしていき、ルーシーが手伝うという形式だ。ルーシーはやる気いっぱいに泡立て器を握り締め、ユェーをそっと見上げる。
「ルーシーはチョコを砕けばいい? お粉をふる? 何でも言ってね」
「では生クリームを混ぜてください」
「はあい、生クリームね!」
 元気な返事が聞こえたことでユェーは微笑む。少しばかり難しい作業はユェーが受け持ち、ルーシーが仕上げをしていくことで手際よく作業が進んでいく。
 時折、少女の頬や髪に生クリームが飛び散ったりもしたが、なかなかに上々だ。
 おやおや、と笑ったユェーはルーシーの顔を優しく拭いてやり、ケーキ生地が焼き上がるのを待つ。
 ふんわりと香ってきた匂いにつられてきたのか、不思議の国の住人である白ウサギが顔を出した。二人は快く彼らを歓迎していき、もふもふタイムを満喫していく。
「白ウサギさん、もふもふしていい?」
「ああ、いいよ」
 ルーシーの申し出に白ウサギはこくりと頷いて答えた。ユェーもウサギに手を伸ばしてそっと抱き上げた。
「パパに抱っこされたウサギさん、嬉しそう!」
「ルーシーちゃん、撫でますか?」
「いいの? 撫でる!」
 もふもふしていて、とても可愛らしい白ウサギ達と戯れているうちにケーキが焼き上がったようだ。ユェーはオーブンの方に歩み寄り、そっと微笑む。
「出来ましたよ。飾りを準備していきましょうか」
「ケーキの焼けた良い香り! うん!」
「僕たちもお手伝いするね!」
 ルーシーと白ウサギたちはキッチン台の方に駆け寄っていく。
(パパに抱かれているウサギさんが羨ましいなんて思ったのは――ナイショ)
 静かに抱いていた思いは秘め、ルーシーはユェーの傍にちょこんと陣取った。
 そうして、時間が過ぎていき――。
「美味しそうなチョコケーキが出来ましたね」
「あっ……ぐーってお腹が鳴って……パパ、聞こえた?」
 恥ずかしがる少女を優しく見つめ、ユェーはくすりと笑った。
「ふふっ、それは早く食べないといけませんね。白うさぎさんもケーキ食べますか?」
「食べる~!」
「そう思って、じゃじゃーん。もう紅茶を淹れてきてたんだ」
「良い香りの紅茶はウサギさんが? ありがとう!」
「そーだよ! どういたしましてっ」
 ウサギたちが用意した紅茶とチョコレートを混ぜた美味しいケーキ。テーブルについたユェー達はこれから始まる甘い時間を思う。
「皆で一緒に食べましょう。ステキなパーティーの始まりね!」
「えぇ、とても幸せな時間の幕開けですね」
 そして、ハロウィンチョコレートパーティーは楽しく賑やかに巡っていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら

ご機嫌よう兎さん達
パーティーの準備
私もお手伝いするわ
仲間だもの、協力するのは当然なのよ

いばらはお喋り薔薇で
今はハロウィンの使いの魔女なのですと
自己紹介を忘れずに
*IC衣装参照

かわりに、ね
素敵な実りを少し分けて頂いても?
来る冬に向けて
いばらの大事な携行食なの
えへへ

重い物を運んだり
高い所を整えたり
不思議な薔薇の挿し木を伸ばし
怪力とグラップルでサポートを
花飾りも必要ならお任せあれ
広場にUCで細やか乍ら彩を
そのままこの地に根付きたいコがいたら
兎さんにお願いするね

パーティーが始ればそっと見守るの
いばらは笑顔を見るのが好きだから
この国がもっと不思議で素敵になりますように
私も、もう暫く手伝いを続けさせてね



●幸せの種
 いそげ、急げ。たいへんだ、たいへんだ。
 白い毛並みのウサギ達が机を運び、椅子を用意してクロスを敷いている。パーティーのお菓子を食べるティーテーブルの準備をしている愉快な仲間達は大忙し。
 いばらは彼らの姿に双眸を細め、ふわりとした笑みを湛えて話しかける。
「ご機嫌よう兎さん達」
「わあ、君はだあれ?」
「パーティーの準備、私もお手伝いするわ」
 兎達はいばらの声に振り向き、にっこりと笑顔を浮かべた。
「ほんとうに? やったあ!」
「仲間だもの、協力するのは当然なのよ」
「そうか、君はお花の子だね。どおりで良い香りがすると思ったよ!」
「そうなの、いばらは薔薇なの。わかってくださるのね」
 同じ不思議の国の住民だからか、ウサギ達もいばらを仲間だと認めてくれたらしいい。くるり、くるりと黒レースの日傘を回してみせたいばらは、やや得意気に白薔薇飾りを揺らしてみる。
「ふふ、いばらはお喋り薔薇だけれど今はハロウィンの使いの魔女なのです」
「わー! 可愛い魔女さんだね」
 この国に住まない? という勧誘もされたりするほど、ウサギは彼女を気に入ったようだ。こっちこっち、といばらの手を引っ張った彼らはお茶会場を示す。
 猫脚テーブルやレースのテーブルクロス、ふわふわのソファなどたくさんの調度品が並べられている。あれをこっちに、向こうにはこのクロスを、と告げるウサギ達は居心地の良い場所づくりを目指しているらしい。
「お手伝いが終わったら一緒にお茶しよう!」
「ええ、ぜひ。それからね、かわり素敵な実りを少し分けて頂いても?」
「もちろんだよ。何に使うの? お菓子作り?」
「来る冬に向けて、いばらの大事な携行食なの」
「それならいっぱい持っておいでよ。冬越えはお花さんにとって大事だものね!」
「えへへ、ありがとう」
 和やかな会話を交わしながら、いばらとウサギ達は会場を整えていく。
 重い物を運ぶのは皆でいっしょに。高い所を整えるのはウサギよりも身長と能力があるいばらのお仕事になった。薔薇の挿し木を伸ばしていくいばらは、実に手際よく調度品を配置していく。
「ねえねえ、いばらちゃん!」
「どうしたの?」
 あるとき、いばらに懐いたらしい女の子ウサギが話しかけてきた。
「あのね、テーブルにお花を飾りたいんだけど、どうしたらいいかなって!」
「花飾りね。それならいばらにお任せあれ」
 不思議な薔薇の挿し木から飛ばした種を広げたいばらは、広場に細やかな彩を宿していった。もしこのまま、この地に根付きたい種の子がいれば、きっとウサギ達が丁寧にお世話をしてくれるはず。
 瞬く間に芽吹き、咲き誇っていく薔薇の花はとても美しい。
「わわっ、ローズパーティーのはじまりだね!」
「皆が楽しんでくれますように」
 喜ぶウサギの隣で、いばらは集まり始めた人々や愉快な仲間をそっと見守っていく。
 笑顔を見るのが好きだから。
 どうか、この国がもっと不思議で素敵になりますように。
 願いを込めるいばらの横顔を見上げ、ふわふわウサギはきゅっと手を握った。
「いばらちゃん、もう少しここにいてくれる?」
「もちろん。私も、もう暫く手伝いを続けさせてね」
「やったあー!」
 ウサギと手を繋いだいばらは淡く微笑み、その瞳にパーティーの様子を映す。
 賑わいは楽しさを呼び、甘い香りが広がって――ハロウィンの魔女とウサギは、とても幸せそうに甘やかな光景を眺めていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

月居・蒼汰
ラナさん(f06644)と

ハロウィンの国って、何だか響きだけでわくわくしますよね
白ウサギさん達に挨拶して
もし大丈夫なら、ともふもふさせてもらいつつ
色とりどりののチョコレートにそわそわ
このまま食べても勿論美味しいと思うけど…
ラナさん、何か作るならお手伝いしますよ
南瓜とチョコのマフィン!美味しそうですね…!
力仕事なら任せてください!
味見は喜んでいただきますと頬緩め
見様見真似でウサギの絵を描いて
俺は牛乳でホットチョコレートでも作ろうかな
あたためて混ぜるだけならきっと出来るはず…!

白ウサギさん達も一緒にお茶会しましょう
彼らの紅茶も勿論美味しくいただきながら
ラナさんの淹れてくれる紅茶も美味しいんですよ


ラナ・スピラエア
蒼汰さん(f16730)と

はい、とびきり素敵な一日になる気がします
可愛らしい白兎さんには挨拶を

そうですね…折角ですから南瓜とチョコのマフィンを作りましょう
蒼汰さんは生地を混ぜて頂いても良いですか?
オレンジ色の生地にチョコチップを混ぜて焼けば
綺麗に出来ましたね!
その…おひとつ味見にいかがですか?
小さく割った欠片を差し出して

最後にハロウィンらしい絵をチョコで描けば完成です!
ふふ、一緒にお菓子作りは憧れていたので
夢が叶って嬉しいです

皆で一緒にお茶会にしましょう
白兎さんの紅茶の優しい味にほっと
私の紅茶はお口に合うでしょうか?
蒼汰さんが作ってくれたホットチョコレートで
指先を温めるのに幸せを感じながら



●甘い紅茶と幸福を
 毎日がハロウィンで、悪戯もお菓子もめいっぱい。
 そんな世界はとても魅惑的な場所。色とりどりのチョコレートが実る樹の傍を通ると、とても良い香りがした。
「ハロウィンの国って、何だか響きだけでわくわくしますよね」
「はい、とびきり素敵な一日になる気がします」
 蒼汰とラナは微笑みを交わし、賑わうハロウィンの国を眺める。忙しく動き回るウサギ達に手を振った蒼汰が「こんにちは」と声を掛けると、彼らは元気よくふわふわの手足を振り返してくれた。
「こーんにーちはー!」
「お客様だ! いっぱいいっぱい、この国を楽しんでいってね!」
「ふふ、こんにちは。たくさん楽しませて貰いますね」
 明るい歓迎の言葉を聞き、ラナは楽しそうに笑った。蒼汰はというとすぐ近くまで駆けてきた仔ウサギの子に目を奪われていた。
「おにいちゃん、どしたの?」
「あ、あの、もし大丈夫なら、もふもふさせてもらったりとか」
「いいよー!」
 蒼汰が言い切る前に仔ウサギは頭を差し出す。耳が楽しげに揺れているので、撫でて貰うのがとても好きな子らしい。
 ラナはもふもふを堪能する蒼汰をそっと見守り、穏やかな眼差しを向けていた。ひっそりと、自分がウサギだったら彼にあんなふうに撫でて貰えるのかも、なんてことを考えていたのはちょっとした秘密。
 そうして、準備に戻ったウサギ達を見送った二人は森のキッチンに向かう。
 ミルクにホワイト、ベリーにピスタチオ。様々なチョコレートにそわそわしている蒼汰の隣で、ラナは軽く首を傾げた。
「材料も道具もあるようですし、どうしましょうか」
「板チョコも粒チョコも、このまま食べても勿論美味しいと思うけど……ラナさん、何か作るならお手伝いしますよ」
 蒼汰は小粒のピスタチオチョコレートをひとつ頬張り、美味しい、と言葉にする。彼なりにハロウィンの国を楽しんでいる様が愛らしく思え、ラナの笑みも深まった。
 そして、材料を見渡したラナは作るお菓子を決める。
「そうですね……折角ですから南瓜とチョコのマフィンを作りましょう」
「マフィン! 美味しそうですね……!」
 蒼汰が大賛成だという意志を示してくれたので、ラナにも気合が入る。手伝うと言ってくれた彼にラナが割り振ったのは、意外に重労働になってしまう生地作り。
「蒼汰さんは生地を混ぜて頂いても良いですか?」
「力仕事なら任せてください!」
 とん、と自分の胸を拳で叩いてみせた蒼汰はやる気満々。暫し後、ラナ以上に気合いを入れすぎて痺れてしまった腕を擦る彼の姿が見られたのは、さておいて。
 混ぜた生地にカボチャを混れば鮮やかなオレンジ色になる。
 其処にチョコチップを混ぜて、オーブンへ投入して焼いていけば――。
 ラナ特製ハロウィンマフィンの出来上がり。
「綺麗に出来ましたね!」
「いい匂いですね。流石はラナさん」
 ラナは出来たて熱々のマフィンをひとつ手に取り、蒼汰にそっと差し出す。
「その……おひとつ味見にいかがですか?」
「喜んで!」
 味はまだわからないですから、と小さく割った欠片を差し出してくれるラナの表情はとても可愛い。蒼汰は頬を緩め、嬉しそうにマフィンを頬張った。
 カボチャとチョコレート、それぞれに違う甘さを宿したマフィンの味は上出来。
 何より蒼汰にとってラナのお手製だということが嬉しい。
「これで完成ですか?」
「いいえ、最後にハロウィンらしい絵をチョコで描けば完成です!」
 ラナはマフィンの粗熱を取り、蔦柄の装飾が美しい皿に乗せた。これだけで見栄えもばっちりだが、可愛らしい絵があればもっと素敵になるはず。
「わかりました!」
 蒼汰はラナの隣で、見様見真似で先程に会ったウサギを描いていく。これでこのマフィンは二人の合作ということになった。
「ふふ、一緒にお菓子作りは憧れていたので夢が叶って嬉しいです」
「ラナさん……俺も嬉しいです。そういえば、飲み物はどうしますか。牛乳もあるしホットチョコレートなんて出来そうです」
「素敵ですね。それと紅茶も淹れましょう。白兎さんにもお願いして飲み比べをしてみるのも良いかもしれません」
 あたためて混ぜるだけなら、きっと自分にだって出来る。そう語った蒼汰の提案が良いものだと感じたラナは、せっかくだからと贅沢をすることにした。
 それから暫し後。
 マフィンと紅茶とホットチョコレートを味わうお茶会が始まる。
「わああ、ボク達も食べていいの?」
「はい、もちろんです」
「ラナさんの淹れてくれる紅茶は美味しいんですよ」
「ふたりともありがとう! ボクの淹れたお茶もぜひぜひ!」
「ホットチョコレートやマフィンも皆さんの分があるので、遠慮なくどうぞ」
 賑わうテーブルでは甘くて楽しい時間が巡っていく。ウサギ達はラナと蒼汰の作ったものは全て美味しいと喜んでくれていた。
 ラナは嬉しさを感じながら、蒼汰が作ってくれたホットチョコレートのマグをそっと握った。指先が温まっていくことに幸せを感じながら、ラナは花のように咲う。
 そして――彼女の横顔を見つめる蒼汰もまた、幸福を抱いていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

そういやハロウィンの国1年ぶりだったわ
そもそもハロウィンが1年ぶりだけど
すごいなチョコの樹…
普通の板チョコもいでかじり
マジチョコだわ
瑠碧どれか採る?届く?
このピンクの粒何だろ
ルビーチョコって奴?
瑠碧ちょっと板チョコ多めに採ってさ
ミルクと混ぜたら簡単にホットチョコレートとかになる?
広場で白兎達と一緒に飲めるかな?
まぁお茶も淹れて欲しいなって思うんだけどさ
おーお返し出来ていいじゃん
喜んで貰えるといいな

うわぁ
すっげぇ
設営頑張ったな
兎達に礼言い

瑠碧どこに座る?
おお了解
目細め
二人で作業し白兎に声掛け
お勧めのお茶も淹れて欲しいな
チョコ甘いしお茶旨いな

瑠碧も兎も可愛い
俺も撫でさせて
瑠碧と兎交互に撫で


泉宮・瑠碧
【月風】

理玖は、訪れた事があるのですね
私は…白兎と逢えるのも、楽しみです

樹に成る実が、チョコなのですね
ピンクで丸いのは、果実みたいで…
はい、板チョコでも作れますが
…では
私達がホットチョコレートを作り
白兎達にはお茶を淹れて貰うのはどうですか

わ…
凄い、机も色々あって…
準備お疲れ様、ありがとうとウサギ達へ

えと…丸い切り株の机が良いです
一度机を撫でて、元の樹にお疲れ様と心の中で

兎達においでおいで
集まった子達のカップに刻んだチョコを入れ
運んだポットから温めたミルクを注ぎ…
ホットチョコレートを皆へ
一息ついたら、お茶をお願いしたいです

あと、その…
どなたか、抱っこしても良いですか?
抱えたら、幸せそうにもふもふ



●もふっとハロウィン
 お茶会の準備をする白ウサギ達と、甘やかなチョコレートの樹。
 賑わいに満ちたハロウィンの国は理玖にとって一年ぶりに訪問する場所だ。瑠碧がはぐれてしまわないように傍についている彼は、穏やかに目を細める。
「何か懐かしいな」
「理玖は、訪れた事があるのですね」
「そうそう、南瓜行列のための道とか、ご機嫌な衣装が飛び出してくる場所とか」
 そもそもハロウィンそのものが一年ぶりだからか、と納得したらしい理玖は周囲を見渡してみた。去年と少し違うのはチョコレートの樹が生えていること。
「すごいなチョコの樹。ウサギもいるんだっけ?」
「はい、そうみたいです……。私は……白兎と逢えるのも、楽しみです」
「早く会えるといいな」
 瑠碧がそわそわしていることを感じ取りながら、理玖は近くの樹に手を伸ばす。ちょうど目についたミルクの板チョコを手に取り、齧ってみると甘い味わいが広がった。
「マジでチョコだわ」
「樹に成る実が、チョコなのですね」
 瑠碧も興味津々に理玖の手の中にあるチョコレートを見つめた。よいしょ、と腕を伸ばした彼女も丸い方のチョコの実を取ろうとしている。
 しかし、瑠碧の身長ではぎりぎり届かない位置にあるようだ。
「瑠碧、どれか採る? 届く?」
「大丈夫……です。私でも届き……届くはず……届っ……きませんでした。あのピンクで丸いのを、お願いします……」
 暫しぴょんぴょんと跳ねていた瑠碧だったが、諦めて素直に理玖に願った。笑いを堪えていた理玖は再び手を伸ばし、瑠碧が示したチョコの実を摘んでやる。
「このピンクの粒って何だろ。ルビーチョコって奴?」
「果実みたいで可愛い、です」
 ほくほくとした様子の瑠碧は味見として一粒だけ口に入れてみた。ぱっと彼女の表情が輝いた瞬間を見た理玖は、やっぱ可愛い、と感嘆の言葉を零す。
 そんな中、理玖はふと思い立った。
「そうだ、瑠碧。ちょっと板チョコ多めに採ってさ、ミルクと混ぜたら簡単にホットチョコレートとかになる?」
「はい、板チョコでも作れますが」
「だったら広場で白兎達と一緒に飲めるかな? まぁお茶も淹れて欲しいなって思うんだけどさ。せっかくだろ」
「……では、私達がホットチョコレートを作って、お茶を淹れて貰うのはどうですか」
「おー、お返し出来ていいじゃん」
 瑠碧の提案が名案だと感じた理玖は楽しそうな笑みを浮かべた。喜んで貰えるといいな、と話した彼の笑顔を見て、瑠碧も静かに微笑む。
 そうして二人は森のキッチンを経由してから、白ウサギ達が用意しているというお茶会の広場に向かった。
 其処には可愛らしいテーブルや、自然を使った天然のお茶会机などが並べられており、とてもいい雰囲気になっていた。
「うわぁ、すっげぇ」
「わ……凄い、机も色々あって……」
「へへーん、すごいだろ!」
 理玖達が感心していると少年らしき白ウサギが胸を張っていた。頑張ったんだよ、と主張するウサギに頷き、理玖と瑠碧は礼を伝えた。
「準備お疲れ様でした、ありがとう……」
 ウサギ達にお辞儀をした瑠碧は心からの気持ちを抱いている。理玖は広場を眺め、何処に向かうべきかを考えた。
「瑠碧、どこに座る?」
「えと……丸い切り株の机が良いです」
「おお、了解」
 瑠碧は一度そっと机を撫で、元の樹に向けて「お疲れ様」と心の中で伝える。その様子に双眸を緩めた理玖は、ホットチョコレートを作る準備を整えていった。
「わあー! 何かつくるの?」
「そ、ホットチョコ。お前らのお勧めのお茶も淹れて欲しいんだけど、良いか?」
「もっちろん! 用意してくるねー!」
 理玖がウサギ達に紅茶を頼んだので後は完成を待つだけ。その間に切り株に腰掛けた瑠碧は、周囲のウサギ達をおいでおいでと誘う。
 なになに、と興味津々に寄ってくる仔ウサギは愛らしい。瑠碧は集まった子達のカップに刻んだチョコを入れていき、用意していたポットから温めたミルクを注いでいく。
「はい、どうぞ」
「遠慮なく飲むと良いぜ」
 瑠碧と理玖はホットチョコレートを皆に配り、ほっと一息をついた。その頃には大人ウサギ達が淹れた紅茶も運ばれてきていた。
「チョコ甘。それにお茶も旨いな」
「あまくてあったかい!」
「おいしー」
 喜ぶウサギ達は本当に可愛い。我慢ができなくなった瑠碧は、おずおずと願いを言葉にしはじめる。
「あと、その……どなたか、抱っこしても良いですか?」
「だったらボクを!」
「だめです、わたしが最初に抱っこしてもらいます」
「わ……あの……順番、を――」
 すると即決の返事と抱っこ争奪戦が始まってしまった。膝にわあっと集まるちいさな仔ウサギ達と、突然のことに驚く瑠碧。
 理玖はどちらも可愛いと感じながら、あぶれた仔ウサギをそっと抱き上げる。
「俺も撫でさせて」
「うんっ」
「えと……私、もですか?」
 理玖はウサギと瑠碧を交互に撫でて満足気だ。瑠碧は少しの照れを感じていたが、あたたかくて大きな掌に安心感を覚える。
 もふもふでふわふわで甘々。
 幸せそうに瞼を閉じた瑠碧は穏やかな心地を覚え、温もりをぎゅっと抱き締めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【暁】

きよしの言葉を右から左へ流し
よし、じゃあきよし登って取って来い
黙って行きゃあいいんだ
いちいちうるせーやつだな

おお、流石猿になっただけあるじゃん
いやだって猿になってたろ
猿語喋ってたじゃねーか

とりあえずきゃっち
きゃっち、きゃっち
おいちゃんと俺の上に正確に落とせよ

おわ(引き
ええ、何遊んでんだきよし
真面目にやれー
そうだそうだー(声変え
何やってんだー(声変え
ばーか(声変え
くさそー!(声変え

悪口?誰も言ってませんケド
空耳じゃねえ?

は?気絶何てしねーよ
だってお前はばけもんだからな

あー…仕方ねーな
おら(鍵刀を操り背に引っ掛けて操り下ろす
ありがたく思えよ

うまいとつまみ食いしつつ
肩にかけられた腕をそっと外す


砂羽風・きよ
【暁】

おーい、綾華!
こっちにめっちゃ旨そうなチョコあるぞ!

ちと高いとこになってるが
ほれ、あそこ!ウサギ達に持って行ったら喜ぶんじゃね?
スゲー、あれなんて言うチョコなんだろうな

え、俺が登んのかよ!いーけどよ!
慣れた感じにひょいと
うき?――ってちげーちげー!俺は猿じゃねー!

綾華ー!落とすぞー!!
ほい!ほい!ほほい!

俺はゴリラじゃねーぞ!うおおお?!
木から落ちそうになって枝にしがみつく

う、うるせー!誰だ?!俺の悪口言ってる奴!
流石にこの高さから落ちたら俺気絶しちまうだろ!

綾華ー!助けてくれ!
お茶会に間に合わなくなる!

や、優しくキャッチしてくれ!!
あぎゃ!

いやー、大量大量!
肩組もうとしながらキッチンへ



●チョコレートといつものふたり
「おーい、綾華!」
「……ん」
「すげーすげー! こっちにめっちゃ旨そうなチョコあるぞ!」
 はしゃぐきよ、その後を不服そうについていく綾華。これまで彼はきよの言葉を右から左へ受け流していたが、チョコと聞いてふと顔を上げた。
 きよの言う通り、頭上にはチョコレートが幾つも実っている。これは話に聞いていたチョコレートの樹というものだろう。
「ほれ、あそこ! あれなんて言うチョコなんだろうな」
「何か光ってるな」
「高いとこにあるからウサギ達も取れないだろうし、持って行ったら喜ぶんじゃね?」
 きよが見つけたチョコレートは黄金に光っていた。見ただけでは味が想像できないので、特別なものに違いない。
「よし、じゃあきよし登って取って来い」
「え、俺が登んのかよ! いーけどよ!」
「黙って行きゃあいいんだ、いちいちうるせーやつだな」
 綾華は立ち止まり、ほら、と視線で樹を示した。少し渋々ながらも慣れた足取りで樹に登っていくきよは見事に最初の枝まで辿り着く。綾華から見れば猿にも等しい、手際の良い動きだった。
「おお、流石猿になっただけあるじゃん」
「うき? ――ってちげーちげー!」
「いやだって猿になってたろ。実際に猿語喋ってたじゃねーか」
「俺は猿じゃねー!」
 褒められたのか貶されたのか。腑に落ちなかったきよだが、今はチョコレートを収穫するべき時だ。ひょいとゴールデンチョコレートを手に取った彼は綾華に向けてそれを放り投げていく。
「綾華ー! 落とすぞー!!」
「あいよ、きゃっち」
「ほい! ほい! ほほい!」
「おい、ちゃんと俺の上に正確に落とせよ」
「ははは! 土産なんだからちゃんと受け取れよー!」
 するときよは途中からわざとキャッチしづらいように軌道を変え始めた。おわ、と思わず声を出してしまった綾華は腕を伸ばして何とか受け止める。
「ええ、何遊んでんだきよし」
 真面目にやれ、と告げた綾華はそこから声を変えていく。「そうだそうだー」「何やってんだー」「ばーか」「ごりらー」などなど、ありとあらゆる罵詈雑言もオマケだ。
 きよはチョコレートを摘み取りながら眼下の綾華をキッと睨みつける。
「俺はゴリラじゃねーぞ! 誰だ、悪口いってんのは!」
「悪口? 誰も言ってませんケド。空耳じゃねえ?」
「何だと――って、うおおお?!」
 綾華が誤魔化そうとするので、身を乗り出したきよがバランスを崩した。落ちそうになった瞬間にとっさに足で枝を掴んだことで事なきを得たが、実に危ないところだ。
 綾華は然程の心配はしていなかったらしく悪口攻撃を続行した。
「やーい、ドジ」
「う、うるせー! 流石にこの高さから落ちたら流石の俺も気絶しちまうだろ!」
「は? 気絶なんてしねーよ」
 だってお前は、とゴリラ説を推そうとした綾華。だが、きよはそれどころではなくなっていた。逆さまにぶらさがった状態のきよの足が限界でピンチだ。
「綾華ー! 助けてくれ!」
「えー……どうしよっかな」
「お茶会に間に合わなくなる!」
「あー、仕方ねーな。おら」
 助けないという選択を選びかけた綾華だったが、お茶会と聞いて何もしないわけにはいかない。鍵刀を操った綾華はその切っ先をきよの背に引っ掛けていく。
「や、優しくキャッチしてくれ!!」
「誰が」
「あぎゃ!」
 きよは下ろされた自分を綾華が抱き留めてくれると思ったらしいが、そんなことは絶対にない。綾華の鍵刀はそのまま、すとんときよを地面に下ろした。
「ありがたく思えよ、きよし」
 綾華は手にしたチョコレート――金箔仕様のナッツチョコだったものを口に運びながら、森のキッチンやお茶会の広場がある方へ向かって歩いていく。
「ありがとな、綾華! いやー、大量大量!」
 きよはというと、これまでの扱いにめげることなどなく大量収穫を喜んでいた。そうしてきよは上機嫌に綾華の肩に腕を回そうとする。
 しかし、綾華によってそっと腕は外された。それでもきよは明るく笑い、これから作るチョコレート菓子や料理に思いを馳せる。
「ん、これうまい」
「マジか。俺も味見するぞ! うわ、旨い!」
 そして――この黄金ナッツチョコでまたひと騒動が起こることになるのだが、それはキッチンに向かった二人しか知らない、少し未来の出来事だ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻


チョコがなっている
不思議だ
丸いものを摘んで食べてみれば甘くて美味しい
リルとヨルはもう沢山収穫しているね

チョコのハロウィンとは良いものだ
サヨはしょこらてぃえである

チョコレート菓子を作ってもらおう
お城の様なケーキはどうかな?
とびきり驚くような
カラスのチョコ人形まで乗せてくれるなんて嬉しいね

カグラは砕くのを手伝うといい
カラス、よく見てておくれ…
兎とも遊んでいそうだから

サヨ、私はチョコを溶かしたりする
なんでも言ってくれ
成してみせる

私の巫女は美しくしかも料理上手で手際がいい
ついつい見蕩れてしまうが…
手も動かすよ!

立派な城が完成したね
宴の始まりだ
乾杯は、温かなチョコレートときみのとびきりの、笑顔で


リル・ルリ
🐟迎櫻


ちょこが生ってるよ!
ヨルと一緒に大喜びで収穫する!
みるくにびたぁ、るびぃ!
ヨルもたくさんとれたね

はろいんだもの
櫻のちょこは世界で一番おいしんだから!
僕はちょこのけぇきがいい!

カムイ!
それはいい案だね
皆でけぇきのお城をつくる
子ペンギンとカラスのちょこのお人形をのせよう

僕とヨルはちょこを砕く役をやるぞ!
ヨルの歌を歌って、たくさんのヨルにちょこを摘んだりしてもらう
あ!うさぎさんと遊んでサボってるヨルがいる!

カグラも一緒?頑張ろうね!
砕くのは得意だ

カムイは溶かすの上手だね
けぇきになるのが楽しみ!

完成したらほとしょこらで乾杯して
甘いとりくおあとりとを楽しむんだ
はろいんちょこぱてい!のはじまり!


誘名・櫻宵
🌸迎櫻


私はショコラティエ!
味見とばかりにチョコを摘んでは食べて
…でも折角だからチョコでとびきりトリートなお菓子を作りたい

リル達が沢山摘んで来てくれてるし、カムイも嬉しいことを言ってくれたもの!
そうね!お城のようなチョコケーキを作りましょ!
ヨルとカラスと……こっそり美珠のチョコ細工を飾るのよ

収穫と砕く係はリル達に任せるわ
カグラは…遊んででいいわよ!
おじいちゃん何で睨むの?!

カムイは溶かして、色んな型にいれて頂戴な
細かな細工は私が作るわ
ふふ!器用ね
真剣な表情もかぁいらし

できたわ!
エターナルラブトリニティ城ケーキ!

ホットショコラで乾杯して
あまーいチョコハロを楽しみましょ!
トリートオアトリートよ!



●スウィート・トリートタイム
「見て、ちょこが生ってるよ!」
「本当だ。チョコが実っているね」
 不思議な世界の不思議な国で、リルとカムイは其々に感心を示した。まあるいものや四角いもの、ときには三角形。白に黒、ピンクに緑など、味も色も形も様々なチョコレートの樹はとても興味深い。
 カムイはひとつ、丸い粒を摘んで食べてみた。櫻宵もその隣に寄り添い、天然のチョコを味わうカムイを覗き込む。
「お味は如何かしら」
「甘くて美味しいよ」
「私より?」
「それは……今日の巫女は悪戯っぽいね。ハロウィンだからかな」
「うふふ」
 櫻宵とカムイが戯れの言葉を交わしていく中、リルとヨルは樹々を巡ってたくさんのチョコレートを収穫していた。
「ヨル! ほら、こっちにもあるよ!」
「きゅー!」
「みるくにびたぁ、るびぃ! ヨルもたくさんとれたね」
「きゅきゅ!」
 ハロウィンの国を楽しむリル達を見守り、カムイと櫻宵はゆっくりと森を歩く。私も、と手を伸ばして近くのチョコの実を食べた櫻宵の口元が緩んだ。
「美味しい! でも折角だからチョコでとびきりトリートなお菓子を作りたいわ」
 櫻宵が新しい実を手に取ると、カムイと櫻宵が頷く。
「チョコのハロウィンとは良いものだ。サヨにチョコレート菓子を作ってもらおう」
「はろいんだもの。櫻のちょこは世界で一番おいしんだから! もっとおいしくしよ!」
「噫、サヨはしょこらてぃえであるからね」
「そう、私はショコラティエ!」
「僕はちょこのけぇきがいい!」
 そんなやり取りをした一行が次に向かうのは勿論、森の中にある不思議なキッチン。
 材料や道具が揃ったキッチンの前に立った皆はやる気も充分だ。
「さて、リルのリクエストのケーキだけどどんなものがいいかしら?」
「お城の様なケーキはどうかな?」
 櫻宵が考えを巡らせていると、カムイが出来るならとびきり驚くようなものがいいと提案した。ぱっと表情を輝かせたリルの隣でヨルがぴょんぴょんと喜んでいる。
「カムイ! それはいい案だね」
「そうね! 大きなチョコケーキを作りましょ!」
「きゅっきゅー!」
「子ペンギンとカラスのちょこのお人形をのせよう」
「カラスのチョコ人形まで乗せてくれるなんて嬉しいね」
「それじゃあ早速つくりましょうか」
 わいわいと賑やかになったキッチンでは皆が思い思いに動いていった。収穫したチョコレートはたくさんあるので加工も調理も大変だが、力を合わせればきっとすぐ。
「カムイは溶かして、色んな型にいれて頂戴な」
「なんでも言ってくれ、成してみせるよ」
 ボウルを手に取ったカムイは櫻宵に言いつけられた湯煎の作業を受け持った。
 集めてきた中にある、大きなチョコレートは溶かすよりも先に砕く必要もある。リルは意気揚々と肉叩き用のハンマーを取り出していた。
「僕とヨルはちょこを砕く役をやるぞ!」
 リルはヨルの歌を唄い、たくさんのヨルにお手伝いを願う。カムイはカグラとカラスを呼び、チョコ砕きに参戦するように伝えた。
「カグラは砕くのを手伝うといい。カラス、よく見てておくれ……カグラとヨルは兎とも遊んでいそうだからね」
「きゅ!」
「きゅー!」
「あ! うさぎさんと遊んでサボってるヨルがいる! カグラもだ!」
 カムイの予想通り、カグラを筆頭にしてウサギ達と遊び始めたヨルがたくさんいた。しかしそれもまた、この一行にとってはよくあること。
 くすくすと笑った櫻宵は細かな細工を担当していき、ほのぼのとした気持ちを抱く。
「ヨルとカラスの細工と……あと、この子ね」
 櫻宵はこっそり美珠のチョコ細工を用意しようと決め、作業に移っていった。その際、ふとカグラが様子を覗きに来たことに気付く。
「カグラは終わったら遊んででいいわよ! ……え、おじいちゃん何で睨むの?!」
 何だか理不尽な視線を受けた気がした櫻宵は戸惑う。
 するとカグラは白蛇のチョコ細工を何度か突いたあと、白ウサギとヨル集団の中に戻っていった。何なのかしら、と首を傾げた櫻宵の隣には代わりにカムイが訪れる。
「サヨ、どうかしたかい」
「いいえ、大丈夫よ。それよりも見て!」
「私の巫女は美しく、しかも料理上手で手際がいい。噫……素晴らしいね」
 チョコレート細工を見たカムイはついつい巫女にも見蕩れてしまう。だが、すぐにはっとしたカムイは途中だった湯煎の手も動かしていく。
 リルはとろりと蕩けていくチョコレートを眺め、嬉しそうに笑った。
「カムイは溶かすの上手だね。けぇきになるのが楽しみ!」
「ふふ! カムイは器用ね。真剣な表情もかぁいらしいわ」
 和気藹々と進むチョコレートケーキ作り。ヨル達の楽しげな声が響き、カラスがカグラを引っ張り、櫻宵がカムイの頬についたチョコレートを指先拭ったり、リルがこっそり味見をしていたりと時間は過ぎていって――。
「できたわ!」
 どん、と調理台に鎮座しているもの。
 それは皆の努力と協力の結晶。
「エターナルラブトリニティエンパイアキャッスルケーキよ!」
「立派な城が完成したね」
「ほとしょこらもできたよ!」
 出来上がったのはとても立派な天守閣がある御城型の四角いケーキだ。本丸にあたる土台には朱塗りの窓飾りや美麗な装飾が施してあり、屋根にはペンギンとカラス、蛇型のチョコレート細工がちょこんと乗っている。
 森のお茶会テーブルに運ばれたチョコレートケーキはとても鮮やかで映えていた。その見た目を珍しく感じた白ウサギ達もわいわいと集まってくる。
「宴の始まりだ」
「甘いとりくおあとりとを楽しむんだ。はろいんちょこぱてい! のはじまり!」
「きゅきゅ!」
「あまーいチョコハロを楽しみましょ! トリートオアトリートよ!」
 今日という日に乾杯。
 あたたかなチョコレートと、きみのとびきりの笑顔で。

 ――さあ、甘い心地に満ちたひとときを。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘭・七結
ともえさん/f02927

甘やかな香りが鼻尖を擽るよう
蕩けるような心地の世界ね、ともえさん
包み込む甘香に眦が緩んでしまう
愉しげなあなたに連られて微笑みが深まる

チョコレエトのフォンデュ……
噴水のようなチョコレエトの波に首を傾ぐ
嗚呼、そのようにしていただくのね
とりどりのチョコレエトに目移りしてしまいそう
ともえさんは、何方のものがお好き?

何時しかあなたの眸までも蕩けるようで
夢心地な姿に、つい笑みが溢れてしまう
……ふふ、とってもふうわりとしているわ
ぎゅうと抱いたのならば、とてもやわいのでしょうね

柔らかで温かな手触りが、何処か心地好い
ともえさんも、とても幸せそうね
安らぐようなひと時が、永らく続きますように


五条・巴
七結と(f00421)

見て、見て、七結、チョコたくさんだよ
あ、チョコフォンデュもあるよ!いこう!
マシュマロとフルーツにチョコをかけて食べるんだよ
僕は苺とかおすすめ
苺を指した串を手渡してチョコレートをかけて食べるよ

ふふ、美味しいね。
幸せいっぱいに頬張っていたけど、
ふと我に返って気づいた

ふわもこの白兎さんが僕らに給仕してくれている。
美味しいチョコレートケーキをサーブしてくれた白兎の手を不意に握ってしまった
あっふわふわ…ねえ、あの、お願いがあるんだ。
だ…抱きしめさせてくれないかな!?
わあ〜ふわふわ…幸せ…
七結もこのふわふわに触らせてもらおう。
チョコもふわふわの兎も、ふふ、七結とのお出かけも夢見心地だ



●ふうわり、ゆらり
 此処はハロウィンの国のチョコレートの森。
 甘やかな香りが漂ってきたことで七結は双眸を細めた。周囲には色とりどりのチョコレートが実った不思議な樹がある。
「蕩けるような心地の世界ね、ともえさん」
「見て、見て、七結、チョコたくさんだよ」
 七結の少し先を歩いていた巴が行く先を指差した。其処には白ウサギ達が用意してくれたお茶会場があるようだ。
 包み込む甘香は更に色濃くなる。眦を緩めた七結は愉しげな巴の姿を見つめた。彼に連られて到着したお茶会場はとても和やかで、微笑みも深まる。
「あ、チョコフォンデュもあるよ!いこう!」
「おいでませー!」
「いまさっき準備ができたばかりだよ!」
 巴が進んでいったところには、白ウサギによって作られたチョコレートフォンデュタワーが設置されていた。
 どうぞ、と招かれた巴と七結は森のテーブルに案内された。
「チョコレエトのフォンデュ……」
 七結は噴水のように動いているチョコレートの波を見て首を傾げる。巴はその様子に気付き、ピックに刺したマシュマロを手に取った。
「マシュマロとフルーツにこうやってチョコをかけて食べるんだよ」
 ほら、とピックをチョコレートの噴水に潜らせた巴は、ぱくりとそれを頬張る。
「嗚呼、そのようにしていただくのね」
 フォンデュのタワーはミルクだけではなく、ホワイトやブラック、ストロベリーなど様々な種類があった。色とりどりの甘やかな景色に目移りしてしまいそうで、七結は暫しくるくるとテーブルの周りを歩いてみる。
「ともえさんは、何方のものがお好き?」
「そうだね、僕としては苺がおすすめかな」
 そういって巴は苺を刺したピックを七結に手渡す。それから自分も苺に更にストロベリーチョコレートをかけてから食べた。
 苺とチョコレートの相性は抜群。七結も倣ってチョコレートをたっぷり苺にコーティングして、思い切って口に放り込む。
「まあ、おいしい」
「ふふ、美味しいね」
 巴は二個目に手を伸ばしており、大いにフォンデュを楽しんでいった。いつしか彼の眸までも蕩けていくようで、七結も夢心地な気分に浸る。
 いつもより少しばかり子供っぽく見えるような彼の仕草や笑顔、その姿につい笑みが溢れてしまうのもハロウィンの国が楽しさに満ちているから。
 巴は暫し、幸せいっぱいにフォンデュを味わっていた。何個目かのマシュマロを頬張り、甘さを堪能した彼はふと我に返って気付く。
 あのチョコレートやフルーツ、マシュマロのピックを用意してくれているのはふわふわで白い毛並みのウサギ達だ。
「そっか、ふわもこの白兎さんが僕らに給仕してくれているんだね」
「ええ、たくさんの美味しいを用意してくれているのね」
 感謝の気持ちを抱いた巴と七結は白ウサギ達に笑みを向けた。視線にはたとした白ウサギはきょとんとして、ぱたぱたと耳を動かす。
「あれ? まだ足りない?」
「大丈夫! おかわりもいっぱい持ってきたよ!」
 チョコレートケーキです、といって給餌してくれたウサギ。巴は丁寧にサーブしてくれたその手を不意に握ってしまった。
「あっ、ふわふわ」
「どうしたの?」
 小首を傾げた白ウサギはぱちぱちと赤い目を瞬く。巴はその手を離せず、少しおずおずとお願いを申し出た。
「ねえ、あの、お願いがあるんだ」
「なあに?」
「だ……抱きしめさせてくれないかな!?」
「いいよ~!」
 快い返事が戻ってきたことで巴は遠慮なく腕を伸ばした。するとその様子を見ていたもう一匹の白ウサギが七結の膝にちょこんと乗ってくる。
「ボクものせてっ」
「……ふふ、とってもふうわりとしているわ」
 ウサギを受け止めた七結はちいさな額をそっと撫でてやった。ぎゅう、と抱いてみれば、とってもやわらかなお日様の匂いがふんわりと香る。
「わあ~ふわふわ……幸せ……」
「ともえさんも、とても幸せそうね」
 巴も毛並みを満喫しており、七結に笑いかけた。
 あたたかな手触りと幸せな心地好さ。夢見心地の気分を抱く二人は甘くてやわいひとときを過ごしていった。
 安らぐようなひと時が、永らく続きますように――と、願って。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
友のナターシャ(f03983)と

甘やかないい香りだね
ナターシャ、チョコレートは好き?

オレは料理は出来ないから
チョコレートの実を収穫しようか
今日は色々なチョコを試してみたいかな
高い所が届かないならオレが取ろうか

チョコを収穫したら
広場でのんびりお茶会(席お任せ)
珈琲とチョコを楽しみつつ
ふと思いついて
ウサギさん、ちょっといい?
一言断ってから、ウサギをナターシャの隣へ
次は反対、そして膝へ
うさぎまみれのナターシャの出来上がり

いや、ウサギと戯れるナターシャって見たことないから
いつも使徒の役目で一生懸命だし
偶にはチョコを楽しんで、ウサギと遊んだっていいかと思って
ねえ、ウサギさん達
一緒にお茶会してくれる?


ナターシャ・フォーサイス
ディフさん(f05200)と共に。

甘い香りに賑やかな空気。
隣にディフさんもいるとなれば、つい頬が緩んでしまうと言うもの。
チョコレートも、とても好きですしね。

使徒として料理の心得も多少はありますが、折角です。
ディフさんと実を収穫しましょう。
しかし悔しいかな、あまり背は高くないのですよね…飛ぶ事も出来ませんし。
…ディフさん、お願いします。

お茶会でホットチョコと種々のチョコレートを楽しむんですが…
あの、ディフさん?
こうもウサギまみれとは、どう言う…
いや、ふわふわもこもこでとっても癒されるんですけどね?
これはその、どうすればいいのか…

…ふと気づけば、頬も緩んでいるのでしょうね。
お心遣い、感謝します。



●ふわふわティータイム
 チョコレートが実る不思議なふしぎなハロウィンの国。
 様々な薫りが広がる森の中で、ディフは隣を歩くナターシャにそっと視線を向けた。
「甘やかないい香りだね」
「はい、甘い香りに賑やかな空気が満ちていて楽しそうです」
 不思議の国の住民は今、ハロウィンパーティーの準備をしている。きっとナターシャ達が広場に到着する頃には賑わいが更に溢れていることになるのだろう。
 それにナターシャにとっては、隣にディフがいることが嬉しい。つい頬が緩んでしまうのも当然というものだ。
 ディフは楽しげな彼女の様子を見つめ、双眸を細めて微笑む。
「ナターシャ、チョコレートは好き?」
「チョコレートはとても好きです。ディフさんもお好きですか?」
「珈琲と一緒に頂くのが好きだよ」
 会話を交わしながら、二人はのんびりと森の道を進んでいった。途中には森のキッチンもあったが、残念ながらディフに料理の心得はないらしい。ナターシャは使徒として料理は出来るのだが、今日は折角なので彼に合わせたかった。
「この辺のチョコレートの実を収穫しようか」
「あの丸い実はどうでしょうか」
 ナターシャは淡いピンク色の丸い粒チョコレートが生る樹を指差す。どうやら他にもベリーが入ったものや、ピスタチオらしきチョコレートが実っているらしい。
「今日は色々なチョコを試してみたいかな」
「それでは……あれ、手が……」
 ナターシャは懸命に腕を伸ばしたが、悲しいかな身長が足りない。飛ぶことも出来ない彼女にはお手上げ状態だった。それを察したディフがナターシャの隣に立ち、さっと手を伸ばしてやる。
「届かないならオレが取ろうか」
「……ディフさん、お願いします」
「これでいい?」
 ルビーチョコレートを手に取ったディフに対し、ナターシャはそっと頷いた。
 ディフ自身もミルク味の板チョコや、ストロベリー味らしきものを丁寧に摘み取っていくことで食べたいものを集めていく。
「こんなものでしょうか」
「それじゃ早速、森の広場の方で食べてみよう」
 ナターシャとディフは連れ立ってお茶会場へ向かう。すると其処にはお茶会テーブルの準備を終えた白ウサギ達が集まっていた。
「わあ、お客様だ!」
「こっちにどうぞ。お茶も淹れますよー!」
 元気いっぱいの白ウサギ達がディフとナターシャを誘ったのは、猫脚のアイアンテーブルと椅子が愛らしい一席。
 机の上には薔薇が飾られており、落ち着いた雰囲気だ。
「珈琲はある?」
「私はホットチョコレートを入れて頂きたいです」
「はい、今持ってきますねえ」
 ディフとナターシャは飲み物を頼み、収穫したチョコレートをテーブルに並べる。ウサギが持ってきてくれた花模様の皿に乗せれば、とびっきりのお茶菓子に見えた。
 運ばれてきた飲み物を楽しみながら、ひとつずつの味わいや口溶けの違いを確かめていくナターシャは楽しそうだ。白ウサギ達も給仕ができて楽しいらしい。
 その様子を穏やかに眺めていたディフはふと思い立つ。
「ウサギさん、ちょっといい?」
「はーい!」
 ディフは彼らにちゃんと断ってから、ウサギ達をナターシャの隣に座らせていく。次は反対、そして最後の子は膝へ。
「うさぎまみれのナターシャの出来上がり」
「あの、ディフさん? こうもウサギまみれとは、どういう……?」
「まみれですー!」
「さあ、もふもふするといいですよ!」
 ナターシャはあっというまにウサギに囲まれた。彼らも楽しげにはしゃいでおり、撫でて欲しいと待っている。
「あの、ええと……ふわふわもこもこでとっても癒されるんですけどね? これはその、どうすればいいのか……」
「いや、ウサギと戯れるナターシャって見たことないから」
 ぎこちなくふわふわの毛並みを撫でるナターシャを眺め、ディフは満足気に笑いう。
 いつも使徒の役目で一生懸命な彼女に本当に休める時間をあげたかった。偶には甘味を楽しんで、ウサギと遊んだっていいかと思って。そう語ったディフは珈琲のカップを持ち上げ、一緒にチョコの味わいを楽しんだ。
「ねえ、ウサギさん達。一緒にお茶会してくれる?」
「はぁい、ぜひぜひ!」
「じゃあボク達のお茶も淹れてこなきゃ。わあーい!」
 ディフの誘いを受け、一時的に席を立ったウサギ達がぱたぱたと駆けていく。その後ろ姿を見送ったナターシャはいつの間にか自分の頬が緩んでいたことに気付く。
「お心遣い、感謝します」
「どういたしまして」
 礼を告げたナターシャに視線を返し、ディフはやわらかに微笑む。
 次はこっちの膝にも乗ってもらおうかな、なんてことを考えながら――これから巡っていく穏やかな時間を思えば、快い心地が宿った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トティア・ルルティア
セト(f16751)と

夢のような樹ね?
世界を探せば他にも色々あるのかしら
チョコの香り胸いっぱい吸い込んで

鼻歌まじりチョコを摘み
もう少しで手が届きそうな粒チョコ見上げ
あれが欲しいのだけれど
……(ぱちくり)……ありがとう

(むぅ)

セト、セト、
あれは取れる?
さっきより高い位置にあるチョコを指すのは
ちょっとした挑戦のつもり
だった、けれど
…………ありがとう

(むぅ)

前歩く背がいつの間にか
また大きくなっていた事に気付いて
頼もしいと同時に何処か置いてかれたような気持ち

……可愛くないわ?
わたしのセトが紳士だわ?
次はわたしがエスコートするもの
覚悟なさい?

そんな勇ましい気持ちも
チョコの甘さに蕩けてしまうのかしら


セト・ボールドウィン
トティア(f18450)と

チョコが樹に生ってる…
さすが不思議の国、なんて
物珍しさにきょろきょろ

トティアはどれが欲しいの
あれ?うん、いいよ
手を伸ばして枝を掴むと、折らないようにそっと撓め
これで届くかな…どう?

えっ、あれも?
チョコ好きなんだな。そっか、来てよかったな
そんなことを考えつつ
少し背伸びして、示された枝からチョコを摘み取る

座ったほうがゆっくりできるかな
丸い木のテーブルを挟んで一人用のソファがふたつ
向かい合わせの席。ここにしよう

――トティア?
振り向けば、何だかトティアの顔がむーっとしてるみたい
え…何か機嫌悪くない?何で?

今日のトティアはちょっと変
だから俺、折角のチョコの味も全然わかんないよ



●変わりゆく世界
 丸い実に縦長の板、三角の形に正方形。
 樹々に生っている不思議な実はすべて味の違うチョコレートだという。セトは物珍しそうにきょろきょろと辺りを眺め、そのひとつを手に取ってみた。
「チョコが樹に生ってる……。さすが不思議の国!」
 セトが瞳を輝かせる隣では、トティアがじっと樹々を見上げている。
「夢のような樹ね?」
 へんてこでめちゃくちゃなことが当たり前な不思議な世界。この国や他の国を探せば他にも色々とあるのだろうか。そんなことを考えながら、トティアは深呼吸してみる。
 途端にチョコレートの香りが胸いっぱいに広がった。
 セトがミルクチョコらしきものを口に放り込んだことに倣い、トティアも鼻歌まじりにちいさなビターチョコを摘んで食べてみる。
「うん、甘い!」
「こっちは少しほろ苦いけれど甘くて美味しい」
「あっちにもあるよ、トティア!」
「じゃあ、次はそれを……」
 隣の樹を示したセトに続き、トティアは手を伸ばした。
 しかし、微妙に手が届かないようだ。もう少しで手が届きそうな粒チョコを見上げたトティアは瞳をぱちくりと瞬かせた。
「トティアはどれが欲しいの?」
「あれが欲しいのだけれど」
「その枝に生ってるのだね。うん、いいよ」
 セトはひょいっと腕を伸ばして枝を掴み、折ってしまわないように撓めてみせる。そして、トティアに粒チョコレートの枝を近付けてやった。
「これで届くかな。どう?」
「取れたわ。……ありがとう」
 トティアは無事にルビーチョコレートの粒を手に入れたが、その表情は微妙に曇っている。むぅ、と彼女にしか聞こえない声が零れ落ちてもいた。
 そうしてチョコレートをぱくりと食べたトティアは、別の高い樹を指差す。
「セト、セト、あれは取れる?」
「えっ、あれも?」
 わざと先程よりも高い位置にあるチョコを指したのは、セトに対してのちょっとした挑戦のつもりだった。
 けれどもセトは同様に腕を高く伸ばし、こともなげに同じことをした。
「はい、トティア」
「…………ありがとう」
 ホワイトチョコレートを手に取ったトティアは二度目の礼を告げる。その表情は枝の影に隠れて見えなかったが、無事に実が取れたことが喜ばしい。
「じゃあ、次はあれ」
「わかった!」
 するとトティアがまた別の枝を見上げた。セトは少し背伸びして、示された枝からチョコを摘み取る。
(トティアってチョコが好きなんだな。そっか、来てよかったな)
 そんなことを考えつつ、セトは快くトティアの要望に応えていった。その影でトティアは、むぅ、とまた唸っている。
 次の声はセトにも聞こえたが、彼はトティアがもっとチョコレートを求めているのだと勘違いしていた。
「他に欲しいチョコはある?」
「それなら……そっちはどうかしら」
 何処の枝からでも取れるよ、と両手を広げたセトに対してトティアは幾つかの高い枝を示していった。結果は勿論、セトがすべて取ってくれたというもので――。
 むむむ、と唇を尖らせたトティアはセトの背を見つめていた。
 前を歩く背がいつの間にかこんなに、また大きくなっていたことに改めて気付いてしまった。その背も気持ちも心は頼もしい。それと同時に、何処か置いていかれるような気持ちがトティアの裡に生まれていた。
 暫し森の道を歩いてチョコレートを摘んでいった二人は、広場に辿り着く。
「見て、テーブルだ! 座ったほうがゆっくりできるかな」
 セトは少し先に駆けていき、丸い木のテーブルの前に向かった。其処には机を挟む形で一人用のソファがふたつ置かれている向かい合わせの席だ。
「ここにしよ――トティア?」
 セトが振り向くと、後ろについて来ていた彼女がむっとしているように見えた。
「……可愛くないわ?」
「このテーブル、嫌だったかな」
 ぽつりと落とされた言葉を聞き、セトは他のテーブルを探して辺りを見回す。だが、「違うの」というトティアの声で視線が引き戻された。
「わたしのセトが紳士だわ?」
「……?」
「次はわたしがエスコートするもの。覚悟なさい?」
 びし、と指先を突き付けたトティアはふかふかのソファの席に腰を下ろす。セトはというと何だかよく分かっていない様子。
「何か機嫌悪くない? 何で?」
「悪くはないわ。ただ……まぁ、セト。このチョコレート、とても味わい深いわ」
「え、うん。俺も食べてみるよ」
 トティアにとってこれは宣言のつもりだった。しかし、そんな勇ましい気持ちもチョコの甘さに蕩けてしまう。
(今日のトティアはちょっと変だ。どうしてだろう)
 セトは首を傾げながらチョコレートを摘む。折角の味も分からなくて、何かしてしまったかという思いがぐるぐると巡る。
 自分が少しずつ大人になって、頼り甲斐があるからだということは知らずに――。
 少年と魔女の書の関係は、少しずつ変わっていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝日奈・祈里
🌸⭐️

志桜と一緒に

パーティーだって!なあ、何を作る?!
ぼくさまは……でっかいケーキがいいなー
派手で目立って楽しくて、みんなで食べれるだろ?
志桜は何がいいと思う?

ガトーショコラのぷろだ!
うん、一緒にやるぞー
わくわく、一緒に作るぞっ

作ってる最中に、チョコをペロッとつまみ食い!
ち、ちがうよ?味見だよ?
もっと美味しくなる?そんな魔法知らない
魔力の流れは見えないけど、これが魔法……?

でーきた!
うん、なかなかいい感じ!
持っていって、みんなで食べよう
ふわもこ達もおいでよ

んむ、美味しいからほっぺも食べたかったみたい
楽しくて優しい時間が愛おしい
……うん、おかわり!


荻原・志桜
🌸⭐️

わあ、どのチョコも美味しそう
祈里ちゃんは何味が好きかな

んー。フォンダンショコラやブラウニー?
でっかいケーキ? あははっ楽しそう!
ガトーショコラを極めたわたしに不可能はないっ
それじゃあ一緒に作ろう
そのほうがとびっきり美味しくなるんだよ

ねえ、祈里ちゃ――あ、つまみ食いみーちゃった
にひひ。おいしい?
もっと美味しくなるように魔法をかけよう
キミの笑顔が溢れる姿を心に浮かべて

やった、かんせーい!
向こうの猫足のテーブルで食べよっか
ウサギさんたちも一緒にどう?

お茶も美味しいし、ケーキも大成功!
祈里ちゃんと一緒に作ったんだから間違いないねっ
あ、ほっぺにチョコ付いてるよと優しく拭って
穏やかな時間を楽しむ



●煌めきショコラ
 ハロウィン、ハロウィン、ハッピーハロウィン。
 白ウサギ達が歌うように響かせる声を聞き、祈里と志桜はチョコレートが実る森を歩いていく。何処からか甘い香りが漂ってくるのは森のキッチンで誰かがお菓子を作っているからなのだろう。
「わあ、どのチョコも美味しそう」
「パーティーだって! なあ、何を作る?!」
 道すがら、低い木に生っている粒チョコレートを摘みながら少女達はこれからのことを考えていく。どうしようか、と軽く考え込む志桜の口の中には小粒のルビーチョコレートが収まっていた。
「祈里ちゃんは何が好きかな」
「ぼくさまは……でっかいケーキがいいなー」
「でっかいケーキ?」
「派手で目立って楽しくて、みんなで食べられるだろ?」
「あははっ楽しそう!」
 話しているうちに二人は森のキッチン前に到着した。何でも揃っている不思議な調理台の前に立った祈里は、手に取った泡立て器をくるくると回す。
「志桜は何がいいと思う?」
「んー。フォンダンショコラやブラウニー? あとはガトーショコラ! これまでショコラを極めたわたしに不可能はないっ」
「ガトーショコラのぷろだ! だったらそれで決まりだな」
「それじゃあ一緒に作ろう」
 志桜はぐっと片手を握り、ボウルや木ベラを用意していく。祈里もやる気いっぱいに調理台を見つめて気合いを入れた。
「うん、一緒にやるぞー」
「そのほうがとびっきり美味しくなるんだよ」
「わくわくするな!」
 そうして、二人のチョコレートクッキングが始まる。
 まずは志桜が担当する生地作り。祈里は板チョコレートを刻んで湯煎していく役を任された。くるくると優しくボウルの中身をかき混ぜながら、祈里は縁についたチョコを指先で拭い、ぺろっと舐めてみる。
「ねえ、祈里ちゃ――あ、つまみ食いみーちゃった」
「ち、ちがうよ? 味見だよ?」
「にひひ。おいしい?」
 くすりと笑った志桜はある案を思いついた。
 それは、もっと美味しくなるように魔法をかけること。見ていてね、と祈里に告げた志桜は魔法の呪文を唱えていく。
「おいしくなあれ」
 ――キミの笑顔が溢れる姿を心に浮かべて。
 その様子をきょとんとした様子で見ていた祈里は首を傾げた。
「そんな魔法知らないな。魔力の流れは見えないけど、これが魔法……?」
「そう! あとは出来上がりを待つだけ!」
 とっておきの魔法なのだと話した志桜は最後の仕上げをしてから、オーブンに生地を入れた。そして――。
「やった、かんせーい!」
「でーきた!」
 無事に出来上がったガトーショコラを皿に並べた二人は笑みを交わす。
「よしっ、向こうのテーブルで食べよっか」
「うん、なかなかいい感じ! 持っていって、みんなで食べよう」
「けーき?」
「ガトーショコラだ。おいしそう!」
 すると匂いにつられて出てきた白ウサギがひょこりと顔を見せた。
「ウサギさんたちも一緒にどう?」
「ふわもこ達もおいでよ」
 志桜と祈里はウサギ達を誘い、お茶会広場を示す。わあ、と嬉しそうな声をあげた白ウサギ達はお礼に紅茶を淹れたいと申し出てくれた。
「お皿も運ぶよ。お手伝いするっ!」
「はわわ。あったかいうちに食べたいですから、いそごー!」
 ぴょんぴょんと跳ねていくふわもこウサギ達は、志桜と祈里を猫脚のアイアンテーブルとチェアが並ぶ席に案内した。薔薇の装飾が美しいカップやうさみみ付きのフォークがカトラリーとして添えられ、甘いお茶会の準備は万端。
 いただきます、と言葉にした二人は出来たてのガトーショコラを口に運ぶ。
「お茶も美味しいし、ケーキも大成功!」
「大成功だ!」
「わあい、おいしー!」
「しあわせですねぇ」
 少女達と一緒にウサギもほくほくと甘い味を楽しんでいる。志桜は紅茶のカップを傾け、ふわりとした快さを抱いた。
「ほら、魔法が効いたでしょ。頑張って祈里ちゃんと一緒に作ったんだから、美味しさは間違いないねっ」
「これが、おいしいの魔法……?」
 志桜が満開の笑みを咲かせると、祈里は不思議そうにショコラを眺める。
 きっといつか、この子にも魔法の意味がわかるはず。志桜は彼女を優しく見守り、もぐもぐとケーキを頬張る姿を見つめた。
「あ、ほっぺにチョコ付いてるよ」
「んむ。美味しいからほっぺも食べたかったみたい」
 志桜から伸ばされた指先が頬をくすぐる感覚が心地いい。祈里は今此処にある楽しくて優しい時間が愛おしいと感じながら、フォークを置いた。
「どうしたの?」
「……うん、おかわり!」
「ボクもボクも!」
「あっ、わたしもほしいです!」
 志桜が問いかけると、祈里がお皿を差し出した。それに続いたウサギ達も志桜にきらきらした瞳を向けていて――。
 明るく笑った志桜は、ちょっと待ってね、と残りのガトーショコラを切り分けていく。
 とても賑やかで穏やかな時間。
 こんなひとときがずっと続いて欲しいと願い、少女達は楽しさに身を委ねた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鎹・たから
【たかとわ】

甘い香りでいっぱいです
これは大変な国ですよ(そわそわ
杜環子はチョコはすきですか?
たからは苦いのより、甘いのがいいです
なるほど、では楽しみ尽くしましょう

白ウサギ達とお茶会を楽しみましょう
紅茶を淹れてくれてありがとうございます(紅茶ふぅふぅ
かわいいテーブルや椅子ですね

ところで皆さん、膝はいかがですか
…杜環子、ふあふあです
どの子もやわやわのぬくぬくです(真剣

ケーキは南瓜型を半分こ
マシュマロのチョコフォンデュはあちあち(ふぅふぅ
あ、このホワイトチョコのクッキー、甘いです
チョコクッキーにチョコを挟む…杜環子、天才では?

こんな国なら、きっと住みたい人も増えますね
ウサギの皆さんも寂しくありません


壽春・杜環子
【たかとわ】

ふふ、呼吸するだけで甘さが喉に
ふむ……わたくし、チョコは少々馴染みが薄いやも
でもわたくし、甘味には人になるずーっと前から憧れておりまして!

うさぎ……もふふわ
大変です、たから様!かわいい!
まあ!ありがとうございます、兎さん
温かくて良い香り……でもさっぱり飲みやすい、素敵な紅茶ですのね

お膝は良ければぜひどう(お膝ぴょんからのちょこん座りに尊い気持ちで悶える)
えへへぇ

沢山あって迷ってしまうから、ぜひ
黒兎のチョコケーキ、中に苺が!
わあ、温かいチョコというのも乙なものですこと
このチョコは抹茶……なんとピスタチオ!
たから様、クッキーにチョコを挟んだら……!

確かに甘味好きにとても良い国かと



●白兎との約束
 チョコレートで満たされたハロウィンの国。
 不思議で魅惑的な世界に足を踏み入れた、たからと杜環子はわくわくとそわそわ、ときめきが入り混じった気持ちを抱いていた。
「甘い香りでいっぱいです」
「ふふ、呼吸するだけで甘さが喉から胸いっぱいに広がりますね」
「これは大変な国ですよ」
 たからはチョコレートの樹を見上げ、両掌を握り締める。杜環子はたからが語る大変の意味を深く理解しており、頷きを重ねた。
「杜環子はチョコはすきですか? たからは苦いのより、甘いのがいいです」
「ふむ……わたくし、チョコは少々馴染みが薄いやも。でもわたくし、甘味には人になるずーっと前から憧れておりまして!」
「なるほど、では楽しみ尽くしましょう」
 そうして、チョコレートの森を進んだ二人が向かったのはお茶会広場。
 森の中に用意されたソファやテーブルは愛らしく、机や椅子には他の猟兵が施した薔薇が咲いている。二人に気付いた白ウサギはぱたぱたと手を振って駆けてきた。
 こんにちは、ようこそ、と快く向かえてくれる愉快な仲間は、たからと杜環子を切り株で出来たテーブルに案内した。
 白ウサギは懸命に給仕してくれている。
 テーブルに届けられた紅茶のカップを手に取り、たから達は礼を告げた。
「ありとうございます、かわいいテーブルや椅子ですね」
「まあ! ありがとうございます、兎さん。温かくて良い香り……」
 さっぱりとして飲みやすい紅茶はチョコレートによく合う。素敵な紅茶ですのね、と杜環子が褒めるとウサギ達は嬉しそうに笑った。
「えへへー、みんなでがんばりました!」
 紅茶をふぅふぅと冷ましながら、たからは白ウサギ達を見渡す。切り株の周りの椅子に座っている彼らは長い耳をぴこっと動かしている。
「うさぎ……もふふわ」
 杜環子も紅茶をいただきながら、ふんわり白ウサギ達の可愛さを堪能していた。すると其処へ、たからがある提案を投げかける。
「ところで皆さん、膝はいかがですか」
「抱っこ?」
「わー、だっこだー!」
 たからの言葉を聞いた瞬間、ウサギ達の中でも幼い子らが跳び跳ねた。そのままの勢いで二匹が同時にたからの膝に乗る。
「……杜環子、ふあふあです。どの子もやわやわのぬくぬくです」
 真剣な様子で、ふわっふわのウサチャンについて語るたからの心はとろけていた。杜環子はたからとウサギの様子に心を掴まれている。
「大変です、たから様! かわいい! かわいすぎます!」
 ふと羨ましくなった杜環子は、まだ椅子に座っている白ウサギをそっと呼んでみた。
「こちらのお膝も良ければ、ぜひ――」
「わぁい!」
 どうぞ、という前に仔ウサギが遠慮なく杜環子の膝にぴょこんと乗った。それだけではなく、其処からのちょこん座りが愛らしくて堪らない。
 尊い気持ちに悶えてしまいそうになったが、そうなっては仔ウサギちゃんが杜環子の膝から落ちてしまうかもしれない。
「えへへぇ」
「しあわせですね」
 ふわりとした笑みを湛える杜環子と、今の幸福を言葉にするたから。その膝の上でゆったりと寛ぐ仔ウサギ達。
 幸せなひとときはそれだけでは終わらない。
 二人の前に運ばれてきた今日のおやつはたくさん。
 まずは南瓜型と黒兎のチョコケーキ。
 たからはケーキを半分こにしながら、マシュマロのチョコフォンデュはあちあちと楽しんだり、小皿に盛られたクッキーを摘んだりと色々なものを味わう。
「このホワイトチョコのクッキー、甘いです」
「こちらのケーキ、中に苺が! 温かいチョコというのも乙なものですこと」
 杜環子もたからと一緒に甘い味わいを満喫していき、フォンデュの温かさやチョコレートの甘やかさに舌鼓を打った。
「このチョコは抹茶……ではなくて、なんとピスタチオ! たから様、いいことを考えました。クッキーにチョコを挟んだら……!」
「杜環子、天才では?」
 今日ばかりは甘いものは無限大に食べられるはず。
 乙女達は白ウサギと過ごすお茶会をゆるりと楽しんでいった。パーティーは盛り上がっており、猟兵の他にも愉快な仲間が遊びに来ているようだ。
「こんな国なら、きっと住みたい人も増えますね」
 ウサギの皆さんも寂しくありませんよ、とたからが話し、確かに甘味好きにとても良い国だと思うと杜環子が語ると、仔ウサギがきらきらした瞳で見上げてきた。
「じゃあボクたちの国に住んでくれる?」
「たからには、帰る場所と待ってくれているひとがいますから、残念ながら……」
「ごめんなさい、わたくしもすぐに移住はできませんの」
「そっかあ……」
 問い掛けに二人が素直に応えると、ウサギの耳がしょんぼりと下がった。仕方ないと納得してくれているようだが、やはり寂しそうだ。
 しかし、たからも杜環子も無下に断りたいわけではない。
「ですが、今のように遊びに来ることはできます」
「はい! 道が繋がっているなら、いつだって会いに来れますもの」
「ほんと? やったー!」
「ぜったいゼッタイ、ハロウィンが終わっても遊びに来てね!」
 仔ウサギ達はぴょこぴょことはしゃぎ、杜環子とたからは静かに微笑んだ。
 そして、楽しい時間は流れてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【彼岸花】◎

すごいですねぇ、本当に甘い匂い
あれ、住人なんですかね
ふわもこしたぬいぐるみみたいですけど
……動物でもあるまいし、初対面の方をもふるのはちょっと
帰ったらカフカの翼をもふるので良いです

作って交換するんです?構いませんよ
さて、何を作りましょう
ドライフルーツを刻んでチョコに混ぜて、成形しましょうかね
チョコバー型で幾つか
林檎と苺の二種類作ったら個包装して、南瓜のバスケットに入れて完成

去年の今頃は確か、お社のみんなでオムライス作ってましたっけ
くふふ、お似合いでしたよ
あら、私が似合うのは知ってますもの
だって、この外見年齢でしょう?
甘い物で機嫌の治る様が愛らしく、くすりと笑う
ほんに愛い子ですこと


神狩・カフカ
【彼岸花】◎

どこもかしこも甘味だらけで天国みてェな国だなァ
へェ、あの兎たちが住人か
ひらり手を振って
お前さん、もふもふ好きだろ
抱かせてもらったらどうだ?
…おれに拒否権なさそうだな?いいけどよ

おれたち二人とも料理得意だからなァ
折角だから作ったもン交換しねェか?
おれァチョコを使ったクッキーにするかな
チョコチップにアイスボックスに型抜きに…
焼き上がればラッピングして完成
…随分可愛らしいもンが出来ちまったな

おい…去年の悪夢を思い出させてくれるなよ
なんだってメイド服なんてもンをおれが…
お前さんだって着てたくせによォ
なんも言い返せなくて悔しくぐぬぬ

口直しにはふりのチョコをぱくっ
…うん、美味い
少し機嫌が治った



●甘やかに交わす想い
 ビターにミルク、ホワイトにルビー。
 様々なチョコレートが木々に実っている不思議な光景の最中。祝とカフカは、ゆっくりと森の小径を歩いていた。
「すごいですねぇ、本当に甘い匂い」
「どこもかしこも甘味だらけで天国みてェな国だなァ」
 一見は普通の森に見えても、此処は南瓜行列をするだけの何処までも続く長い道。その中にチョコレートの板や実が生っている風景はとてもメルヘンだ。
 更にそのメルヘンさに拍車をかけているのは、道の先をぴょんぴょんと跳ねていく白いウサギの存在。
「あれ、住人なんですかね」
「へェ、あの兎たちが住人か」
「ふわもこしたぬいぐるみみたいですけど……あ、振り向きましたね」
 祝が白いウサギを示すと、カフカはひらりと手を振った。すると向こうも此方に気が付いたらしく、ぱたぱたと両手を振ってくれる。
「こんにちはー!」
「キミたちは外の国のヒト?」
 何匹かのウサギがカフカと祝の周りをぴょこっと跳ね回る。そして二人を見た一匹がきらきらと瞳を輝かせた。
「神様とアヤカシさんだ! かっこいい!」
「わかるのか?」
 カフカが問いかけると、不思議の国の住人達はもちろんだと答えた。きっと魂の色のようなものを見る力があるのだろう。とても友好的な白ウサギ達はにこにこと二人を見つめ、構って欲しそうにしていた。
「お前さん、もふもふ好きだろ」
「確かに好きですよ」
「抱かせてもらったらどうだ?」
「……動物でもあるまいし、初対面の方をもふるのはちょっと」
 カフカは良かれと思って提案してみたが、祝は白ウサギ達に人見知りめいた気持ちを抱いているらしい。言葉が喋れるうえに正体を見抜かれた気がしているからだ。
 少し俯いた祝は、ちらりとカフカの背を見遣る。
「帰ったらカフカの翼をもふるので良いです」
「……おれに拒否権なさそうだな?」
 いいけどよ、と笑ったカフカは近くにいた撫でられ待ちの白ウサギの頭をくしゃりと撫でてやる。嬉しそうに赤い瞳を細めたウサギは祝とカフカに笑みを向け、キッチンや広場に案内すると申し出てくれた。
 そうして暫し後。
 森の中の不思議なキッチンに訪れた二人は調理を始めていた。
「折角だから作ったもン交換しねェか?」
「作って交換するんです? 構いませんよ」
 カフカも祝も料理の心得はあるので、調理用具や材料が揃っているならば大抵のものは作ることができる。
 何を作りましょうか、と暫し悩んだ祝はドライフルーツを刻んでいく。まずはそれをチョコに混ぜて成形して、チョコバーを幾つか作っていく予定だ。
 種類は林檎と苺の二種類。
 冷やし固めたらそれらを個包装していき、南瓜のバスケットに入れて完成。
 一方、隣のキッチンにて。
 カフカはチョコクッキー作りに取り掛かっていた。
 慣れた手付きでチョコチップを混ぜた生地を作り、アイスボックス型に様々な型に抜いて天板に並べる。そうして、オーブンに入れて焼き上がりを待てば――。
 祝がラッピングを始めた頃にクッキーが焼き上がった。
「随分可愛らしいもンが出来ちまったな」
「包装が上手になりましたね。幼い頃はリボン結びの練習をしていましたっけ」
「それは……流石に思い出が古過ぎンだろ」
 とても昔のことを指摘されたのでカフカは軽くそっぽを向く。そうして、祝はふと去年の今頃を思い返す。
「以前は確か、お社のみんなでオムライスを作りましたね」
「おい、去年の悪夢を思い出させてくれるなよ」
「くふふ、お似合いでしたよ」
 楽しそうに笑った祝と、恥ずかしそうに目を伏せたカフカが思い出しているのはふりふりミニスカメイド服を着せられた以前のハロウィンのこと。
 なんだってメイド服なんてもンをおれが、と去年以来のクソデカ溜息をついたカフカは祝の過去も突いてやろうと思い立った。
「お前さんだって着てたくせによォ」
「あら、私が似合うのは知ってますもの」
「そりゃあ……まァ」
 だって、この見た目だからと当然のように返す祝に対し、カフカは何も言い返せないでいた。照れと懐かしさ、恥ずかしさや悔しさと様々な感情を見せてくれる彼を眺め、祝は上機嫌に目を細める。
「さぁ、チョコレートバーをどうぞ」
「……うん、美味い」
 手渡されたチョコを齧ったカフカの機嫌が少し治った。甘い物で解決できるという彼の愛らしさを感じながら、祝はくすりと笑う。
「ほんに愛い子ですこと」
「次はこっちのクッキーな。ほら、早く」
 祝がしみじみとしていると、カフカからチョコチップクッキーが差し出される。そのまま口を開けてクッキーを食む祝は、心地良さを抱いていた。
「わあ、さっきのお兄さんたちだ!」
「お茶会しよう。ね、ね、こっちにきて! 美味しい紅茶を淹れるからさ!」
「……とのことですよ」
「仕方ねェ、相伴に預かるとするか」
 そうして、また白ウサギに見つかった二人は森のお茶会広場へ連れて行かれて――其処からまた暫し、賑やかながらも穏やかな時間が流れていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メルト・プティング

大好きなベアータさん(f05212)とっ
お菓子作りはバレンタイン以来ずーっとサボ…やってませんでしたが、一度は(大量の失敗作の果てに)ハートチョコを作ったのできっと大丈夫!

では早速板チョコを…あれ、どうやって溶かすんでしたっけ
まぁ熱を加えればイケそう、ということでてきとーに細かくして鍋に入れ直火で
あれ?ボクなにかやっちゃいました?てん…ぱ?

その後もやらかしては指摘され、ちょっとずつ思い…出した!って感じで感覚を取り戻し
なんとか形にはなりました!…なってますー、ハート型ですー、ちょーっぴり歪で角ばってますけどっ
え?なんでハートか?そ、それはほら!料理は愛情、と前ベアータさんが言ってたじゃないですか
愛情といえばハートです!
(まぁ、それだけじゃないですけど…きっと気づかないんだろうな、恋愛興味ないって言ってましたし…)

それにしても、お菓子作り…やってないとこんなにもできなくなるものなんですね
これからはもうちょっと定期的に色々作ってみなきゃ、ですね
その時はまた教えて下さいね、ベアータせんせっ♪


ベアータ・ベルトット

大好きなメルト(f00394)と、バレンタインの予行練習も兼ねて
自分から進んでやりたいなんて良い心がけね
(…今更だけど。前貰ったハートチョコってまさか、愛…いや、んなワケないか)
成ってる板チョコも、なるべく新鮮?で良質なのを使いたい。じっくり吟味して選び抜くわ(主婦の如く)

さ、お手並み拝見するわよ
…なんか切り方雑…ってぇーッ!!何やってんのよ!せっかくの厳選チョコが焦げちゃうでしょーが!
チョコはデリケートなのよ?テンパリングはどうしたのっ!

アンタ…全ッ然覚えてないじゃない!
間違う度に指摘して、指摘して。まったく。結局一から教えるようなものだったわ

だいぶ個性的ではあるけど…まぁ、見えなくもないか。形は及第点ってトコね
というか何でまたハート型?…ぁいや、ちょっと気になっただけよっ!
…なるほど。「適切な調理法の実践と、まごころの両立」ってアレね。覚えてくれてたんだ(そりゃそうよね)

先生って…(照れくさそうに)
料理は何度も繰り返して、体で覚えるものだからね。またいつでもビシバシ鍛えてあげるわよ



●ハートの在り処
 ハロウィンの国のチョコレートの森はとても賑やかだ。
 南瓜行列をするための道では不思議の国の住人である白ウサギ達が行き交い、ぴょんぴょんと跳ねている。
 彼らの愛らしい姿を見つめ、ベアータとメルトは森の道をゆく。
 森の木々に実っているチョコレートからは甘やかな香りが漂ってきていて、それを摘んで食べたり、料理の為に収穫している人々の姿も見える。
 森の広場ではお茶会テーブルが設置されており、可憐で美しい花が飾られていた。猫脚テーブルに硝子机、ソファにチェア。様々な席が用意されている広場を抜け、二人が向かうのは森のキッチンの方角。
 調理器具や材料、食器。何でも揃っている不思議なキッチンにも、たくさんの猟兵や他の国から訪れた愉快な仲間が集っていた。
 その中のひとつの調理台に向かった二人は、こくりと頷きあう。
 今日の目的はチョコレートを使ったお菓子作り。
「さあ、始めるわよ」
「少し早いですが、来年のバレンタインのために!」
 ベアータが腕まくりの仕草をしてみせる隣で、メルトが意気込む。彼女にとってお菓子作りは以前のバレンタイン以来。
「予行練習も兼ねて自分から進んでやりたいなんて良い心がけね」
「ずーっとサボっ……じゃなくてやってませんでしたが、一度はハートチョコを作れたのできっと大丈夫!」
 ベアータに心意気を褒められたことでメルトは嬉しそうに笑む。
 言葉を聞く限りはうまく成功したようで、実際にベアータにハート型のチョコレートを贈った事実もあるのだが――件の完成品は、大量の失敗作の果ての犠牲、もとい努力の結晶のような一品でもあった。
 ベアータは以前のバレンタインを思い返しながら、ふと思い立つ。
(……今更だけど。貰ったハートチョコってまさか――)
 あれはメルトからのメッセージであり、愛の証なのだろうか。
 試行錯誤と苦労を重ねたチョコレートにメルトが想い込めてくれたとしたら。ベアータの胸の奥で、鼓動が跳ねたかのような感覚が巡った。
(いや、んなワケないか)
 しかし、すぐに想像を振り払ったベアータはキッチンに視線を向ける。
 まずは先程に森の中で収穫してきた板チョコレートを台の上に並べてみた。実っていたチョコレートも、なるべく新鮮かつ良質なものを使いたい。
 さながら歴戦の主婦、或いは職人の如く。この中からもじっくり吟味して選び抜くのがベアータの拘りだ。
 メルトのために厳選に厳選を重ねたチョコレートを選び、ベアータは調理道具を準備していく。お湯を沸かすポットやチョコを刻むためのナイフ、湯煎のためのボウル、木ベラ、熱を確かめる温度計など準備は万端。
「さ、お手並み拝見するわよ」
「では早速板チョコを……あれ、どうやって溶かすんでしたっけ」
 ベアータの目の前でメルトは首を傾げる。
 最初からあれこれと口を出してしまってはメルトのためにならない。ベアータは暫し見守ることを決め、メルトの作業を眺める。
「まぁ熱を加えればイケそう、ということで!」
「……なんか切り方が雑」
 チョコレートをざくざくと刻み始めたメルトの手付きは割と適当だ。思わず口を挟みかけたベアータだったが、何とか我慢する。
 だが、メルトは次に予想外の行動に出た。
「お鍋、お鍋っと」
 なんと細かくしたチョコレートをそのまま鍋に投入し、最高火力かつ直火で熱し始めたではないか。炎が燃え上がり、鍋の中身が見る間に溶けはじめる。
「ってぇーッ!! 何やってんのよ!」
「あれ? ボクなにかやっちゃいました?」
 慌てて火を消し、鍋を取り上げたベアータはチョコレートを保護した。
「せっかくの厳選チョコが焦げちゃうでしょーが! チョコはデリケートなのよ? テンパリングはどうしたのっ!」
「てん……ぱ?」
 ベアータが語る単語の意味が理解できていない様子のメルトは疑問符を浮かべる。ベアータさんはテンパっているけれど、という思いはそっと胸に閉まっておく。
 溜息と共に、まだ無事な部分や溶けていないチョコブロックを取り出したベアータはメルトを見守ることを止めた。
「アンタ……全ッ然覚えてないじゃない!」
 ここからは鬼教官ベアータの出番だ。
 まずはチョコレートの刻み方から。溶けやすいように細かく、できるだけ均一になっていくように切っていくのがコツだ。
「完璧じゃなくても構わないけど、こうすれば作業が楽になるの」
「こうですか?」
「まだ大きすぎるわ!」
「はいっ!」
 次はあたためて溶かすためのお湯の用意。五十度ほどが理想であり、湯気や水蒸気が入ってしまわないように気を付けることが大事だ。
「ここからは湯煎ね」
「確かこれは前にもやったことが――思い……出した!」
 久しぶりなのですっかり忘れていたが、ベアータが教えてくれることを聞いていくメルトは徐々に記憶を取り戻していく。
「急がないでいいから丁寧に混ぜ……ってお湯が! お湯がボウルに!」
「え? 大変です!」
 お湯入りチョコレートになってしまいそうだったところを既のところでベアータが阻止した。それからも間違う度に指摘して、指摘して、指摘しまくることで何とか湯煎からの調温は整っていく。
 後は形にして冷やし固めるだけ。
 失敗すると斑にくすんだようなものになるが、今回のチョコレートはちゃんと艶が見える綺麗な仕上がりになっている。
「なんとか形にはなりました!」
「まったく。結局、一から教えるようなものだったわ」
 実際の作業を行ったメルト以上に疲れているベアータは、チョコレートが形成されていく様子を見つめる。
 何故かメルトの頬にチョコがついていたが、それは大目に見ることにした。
 そうして、暫し後。
「なってますー、ハート型ですー。ちょーっぴり歪で角ばってますけどっ」
「だいぶ個性的ではあるけど……まぁ、見えなくもないか。形は及第点ってトコね」
「やりました!」
 完成したハートチョコレートを手にしたメルトはご機嫌だ。ベアータからほぼ合格のような言葉を貰ったことでメルトは軽く胸を張る。
 味の方はベアータが頑張って厳選したものなので問題はないだろう。
「というか何でまたハート型?」
「なんでハートかというと……そ、それはほら! 料理は愛情、と前にベアータさんが言ってたじゃないですか。それがどうかしましたか?」
 ふとした問いかけに対して、メルトがわたわたと理由を答えた。逆に問い掛け返されたことでベアータも少し慌ててしまう。
「……ぁいや、ちょっと気になっただけよっ!」
「愛情といえばハートです!」
 ふい、とそっぽを向いたベアータ。その横顔を見つめたメルトは何とか誤魔化すことが出来たと感じていた。
(まぁ、それだけじゃないですけど……)
 きっと彼女は気付かないはず。以前に恋愛には興味がないと言っていたからだ。そのことがメルトの胸をちくりと刺す。
 それでも、こうして一緒に居られる時間がとても愛おしい。
 ベアータはすぐに視線をメルトに戻し、そりゃそうよね、と頷いた。
「でも……なるほど。『適切な調理法の実践と、まごころの両立』ってアレね。覚えてくれてたんだ」
 少し嬉しくなったベアータはメルト見つめ返す。
 ふわりと笑ったメルトは出来上がったチョコレートに満足しているようだ。
「それにしても、お菓子作り……やってないとこんなにもできなくなるものなんですね」
「今日も思い出すまでに時間がかかってたわね」
「はい! これからはもうちょっと定期的に色々作ってみなきゃ、ですね」
「そうね、料理は何度も繰り返して、体で覚えるものだからね」
 綺麗な箱にハート型のチョコレートが入れられていく様を見守り、ベアータは双眸を細めた。するとメルトがぱっと顔を上げる。
「だからその時はまた教えて下さいね、ベアータせんせっ♪」
「先生って……」
 照れくさそうな様子のベアータはもう一度だけ、僅かに視線を逸らした。されどメルトに頼って貰えていることに悪い気はしない。
「ダメですか?」
「そんなことはないわ。またいつでもビシバシ鍛えてあげるわよ」
「よろしくお願いします!」
 メルトとベアータの声と眼差しが重なり、明るい笑みが交わされた。
 二人がそれぞれに秘めてしまった思いや互いの感情に気が付くのは、まだもう少し先のことなのかもしれない。

 心を込めたハートのチョコレート。
 それは――とびっきり甘くて優しい、想いの証。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『『コーディネイター』フェイル』

POW   :    ドレスアップ🌹
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【ドレスやメイク用品など着飾る為のもの】を作った場合のみ極めて精巧になる。
SPD   :    キメポーズ❤️
【ハートのポーズ】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【全身が映る大きな姿見】で囲まれた内部に【猟兵を勝手に着飾らせる愉快な仲間達】を落とし、極大ダメージを与える。
WIZ   :    おねだり🍓
【悪気のない無邪気なお願い】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●コーディネイトバトラー!
 チョコレートの森は賑わい、楽しいハロウィンパーティーの時間が流れていく。
 時刻はあっという間に宵を迎え、空には星が煌めき始めた。南瓜のランタンに照らされた不思議の森は明るく、夜が巡っても楽しいパーティーが続いていく。
 しかし其処へ、歓迎されない者達が訪れた。
「わぁ、チョコレート!」
「いいな、いいな。あたし達にも何か分けてよ!」
「その前にお着替えさせましょ。全部、私達の好みに染めなきゃ始まらないわ!」
 きゃあきゃあとはしゃぎながらパーティーに乱入したのは、コーディネーター・フェイルと呼ばれている着せ替え好きのオウガ達。
 見た目は愛らしい少女の姿をしているが、アリスや不思議の国の住人を無理矢理に着替えさせ、問答無用で傷付けてしまう悪い娘達だ。そのことを知っている白ウサギ達は「ひっ!」と声をあげてお茶会テーブルの下に隠れていく。
「ウサギさんの着せ替えはもう飽きたから、そっちの人達に遊んでもらおっかな?」
「それがいいね!」
 コーディネーター達は猟兵達を見遣り、ハート型の魔鍵を振り上げた。
 だが、そのとき。

 森の何処からか、皆の危機を察した空飛ぶ仮装衣装達が現れた。きらきらと光る星を纏って飛ぶ衣装達は言葉を喋らないが、確かな意志を持っている。
 真紅と黒のマントの吸血鬼や、とんがり帽子の魔女、被り物のジャック・オー・ランタンやメイド服、執事服にウサギ耳にネコ耳をなどなど、衣装は様々だ。
 そして、衣装達は猟兵の力になりたいと願っている。
 これが説明されていた衣装に違いない。きっとそれらを着ると一時的に普段以上の力が与えられるのだろう。
 目映い光が迸ったかと思うと、衣装を受け入れた猟兵達の装いが変わっていく。
「何よあれ!」
「もう、折角あたし達がカワイイ衣装を着せてあげようとしてたのに!」
「こっちだってお着替えしなきゃね。みんな可愛くなーれっ!」
「そんなことよりチョコちょーだい」
 コーディネーター達は衣装替えをした猟兵達に対抗心を燃やしはじめた。
 もしかすれば、無理矢理に仮装を魔法で変えられてしまうかもしれない。周囲の様子など構わずにお菓子をねだっているコーディネーターもいる。すると、テーブルの下から白ウサギ達の声が聞こえてきた。
「この国のために戦ってくれるんだ……。がんばれみんな!」
「もし衣装が脱がされても、ボクたちが元の衣装に戻すお手伝いをするからね!」
「こ、こわいけど負けないからっ」
 白ウサギも少しだけ戦いの補助に入ってくれるようだ。
 彼らを守りながら、オウガの集団を撃退する。それが今の猟兵達に与えられた使命であり、乗り越えるべき場面だ。
 どの相手に、どのように対抗するかはそれぞれの猟兵次第。
 こうして不思議の国のコーデバトル――もとい、国を守るための戦いが始まる。
 
壽春・杜環子
【たかとわ】◎
※衣装は色違いアリス(アクセ系お任せ

ふわもふに手を出そうなんて千年、いえ万年億年早いというものです
まった、く!?…お、お揃いに!(あわわ

わあ、ありがとうございます
お揃いなんて初めてですねえ…ふふふ

って、流されません!流されませんわ!

たから様に狙いを集中させるのなら
幾重にも鏡組んだ万華鏡を折り上げましょう【多重詠唱
たから様の護衛に酣春折った魚を【式神使い、時間稼ぎ
万華鏡には覗き込みたくなる呪いを【呪詛、祈り

おいで

おいで

ほぅら、のぞいて
ぐるぐる廻る世界は貴女の毒に
ぐらぐら廻した世界はもう戻れない

おかわいそうに、と囁いて

はぁいたからさ、ま…
決めポーズ、ですか…むむ、ええとええと、!


鎹・たから
【たかとわ】◎
※衣裳は色違いアリス(アクセ系お任せ

無理矢理はよくありません
ちゃんとお互いの了承を得て…おや(衣装ばびゅん
一瞬眩しくなりました…おや(瞬き

かわいいですよ、杜環子
とっても似合っています
おそろいはうれしいですね

ふあふあの皆さんを守りましょう
たからはこっちですよ

あえて敵の攻撃をたからに惹きつけ
味方への意識を逸らし
杜環子とタイミング合わせ手裏剣を飛ばします【誘惑、2回攻撃

攻撃は跳ねて避け【空中戦
折角のアリスが別の服になっても
白ウサギさんが助けてくれますからね
ダッシュして、更にセイバーで斬りかかりましょう【暗殺、早業

杜環子、杜環子
決めポーズは必要でしょうか
不要でしょうか(ぴょんこぴょんこ



●ふわふわピースフル
 不思議の国の森は混乱の渦中。
 テーブルの下に逃げる白ウサギや、無理矢理に着せかえをしようとするオウガ、危機を察して飛んでくる不思議な仮装達で大わらわ。
 杜環子とたからはコーディネイター・フェイルの前に立ち塞がり、怯えて隠れている白ウサギを背にした。
「ふわもふに手を出そうなんて千年、いえ万年億年早いというものです」
「無理矢理はよくありません。ちゃんとお互いの了承を得て……おや」
「まった、く!?」
 そのとき、二人の頭上で何かの影が揺れる。
 お気に召さなかったらごめんね、という何かの意思が流れ込んできたかと思うと、眩い光がたからと杜環子を包み込んだ。
 それが不思議の国の衣装だと気付いたときには、二人は仮装姿になっていた。
「一瞬だけ眩しくなりましたが……」
「あれ? たから様と……お、お揃いのお洋服に!」
 首を傾げるたからと、あわわと慌てている杜環子。彼女達の服装は大きなリボンを頭に結び、エプロンドレスを着たアリス風のものになっている。
 杜環子が身に纏うのはパステルピンクを基調としているふんわりドレス。片手にはいつのまにか花装飾の大きなフォークが握られていた。
 ぱちぱちと瞼を瞬かせるたから。
 その衣装もミントグリーンを基調とした同じ形のドレスだ。
 エプロンドレスの型は同じでも、たからの方は腕や足首には可愛らしい葉っぱと花を咲かせた蔦が巻き付いている違いがあった。片手には、緑の植物が絡みついた大きなナイフが携えられている。
 まるで色違いの双子アリスのようだと想い、たからは目を細めた。
「かわいいですよ、杜環子。とっても似合っています」
「わあ、ありがとうございます。お揃いなんて初めてですねえ……ふふふ」
「おそろいはうれしいですね」
 不思議な衣装を受け入れた二人は視線を重ねる。
 内から今まで以上の力が溢れてくる感覚が巡っているうえ、お揃いパワーが満ち満ちているので、気分もとてもいい。
 対するコーディネイター達はくすくすと笑い、たから達を見つめている。きっとまだ余裕だと思っているのだろう。
「ふあふあの皆さんを守りましょう」
「はい!」
 たからの声に頷きを反し、杜環子はフェイル達を見つめた。すると相手は全身が映る大きな姿見を展開していく。
「そっちよりも、もーっと素敵な衣装をあげるわ」
「もっと素敵な……って、流されません! 流されませんわ!」
 はっとした杜環子は鏡から目を逸らす。疾く駆けることで姿見から逃れたたからは、そのまま敵の狙いを自分に集中させるつもりだ。
「たからはこっちですよ」
「前は暫しお願いします、たから様!」
 杜環子は敵に対抗するべく、幾重にも鏡を組んだ万華鏡を折り上げていく。たからが敵を引き付けてくれている今が好機だ。
 たからの護衛として酣春で折った魚を式神として放った杜環子は万華鏡を敵の周囲に広げていった。
 ――おいで、おいで。
 呪詛を込めて敵に語りかける杜環子は双眸をゆっくりと細める。
「ほぅら、のぞいて」
 ぐるぐる廻る世界は貴女の毒に。ぐらぐら廻した世界はもう戻れない。
 おかわいそうに、と囁いた杜環子の声はフェイル達を惑わせた。たからは隙を見て手裏剣を投げつけ、オウガの靴を地面に縫い付ける。
「いたいっ!」
「何だかこの子達、強いわ!?」
「アリスみたいだからって油断しちゃってたわ」
 フェイル達はアリス姿の二人に警戒を抱いた。しかし、何もかもが遅い。既に杜環子とたからは彼女らを葬る準備を整えていた。
 激しく巡る攻防の中、机の下に隠れていた白ウサギ達がはたとする。
「たいへんだ、せっかくのカワイイ衣装が破られてる!」
「なおさなきゃ!」
「お裁縫部隊、いっけー!」
 たからのドレスが大きく破けていることを知ったウサギは、裁縫が得意な部隊を結成して走ってきた。優しく撫でられるような感覚をおぼえたたから、は一瞬でドレスが直っていることに気が付いた。
「これは皆さんの力ですか?」
「そうだよ! ボクたちは直すのが大得意なのさ」
「まぁ、それは素敵ですね……!」
 たからが問い、杜環子がウサギ達の力に感心する。これならば負ける気はしない。たからは戦場を駆け抜け、ナイフを剣代わりにしてフェイルを穿った。杜環子の万華鏡に惑わされ、殴られている者もいたので攻撃は見事に命中する。
「きゃあ!」
「悔しいけど私達の負け……!」
 オウガ達は次々と倒れ込み、ふわりと消えていった。あっという間に自分達の周囲に居た敵を蹴散らしたたからは、杜環子の方に振り返る。
「杜環子、杜環子。決めポーズは必要でしょうか」
「はぁいたからさ、ま……決めポーズ、ですか」
「不要でしょうか」
 ぴょんこぴょんこと返答を待つたからに悲しい思いはさせたくない。杜環子は一生懸命に考えを巡らせていって――。
「むむ、ええとええと……勝利のポーズ、です!」
 たからに駆け寄った杜環子は掌でピースサインを作り、腕をびしっと突き出した。たからも合わせて腕を掲げたことでふたつのピースが隣り合わせで重なる。
「ぴーすぴーすです」
「ぴ、ピースです!」
 ナイフとフォークを地面に立てて、ポーズを取る花と緑のアリス達。
 その姿を見つめる白ウサギは、ふあふあの両手でぱちぱちと拍手をしていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・ユェー
【月光】◎

んー、可愛らしい服装は僕には似合わないと思いますのでご遠慮させて頂きますね
おや?可愛のも似合いますか?

衣装が飛んで来て
これは素敵な衣装ですね
カッコ良いですか?ありがとうねぇ
ルーシーちゃんも素敵で可愛らしいですよ
ふふっ、普段着ない服装をするのは気になりますね
気になりますが、戦闘ですよ。ルーシーちゃん
後で記念に写真を撮りますから

白うさぎさんを護りましょう
応援ありがとうねぇ
とても心強いです

えぇ、ルーシーちゃんの衣装は脱がせませんし、僕のもです

大喰
可愛らしいコーディネートごと君達を食べてしまいましょうか?

皆さん仲良くチョコを食べるのが一番ですね


ルーシー・ブルーベル
【月光】◎

ゆぇパパならどんなご衣装もカッコいいよ?(大真面目)
ピカッと光ると大変身!
これが衣装さん達が選んで下さった仮装?
えへ、どうかしらパパ!

パパやっぱり、かっこいいわ!
空飛ぶ仮装衣装さんたち、ステキなセンスをお持ちね
思わずじぃっと見つめてしまうけれど……はーい
いけない、戦闘中だった
本当?やったあ

白うさぎさんは前にでてはダメよ
ルーシー達がお守りするわ
花菱草色の怪火をうさぎさん達に纏わせてお守り……大丈夫、熱くないわ!

蒼芥子色の怪火をコーディネーターさん達に放つ
わ、ルーシーの衣装脱がしちゃダメ
パパのはもっとダメ!
そのおねだりは聞けません

ええ、みんなで仲良くするなら
チョコをあげても良かったのにな



●みんなに笑顔を
 オウガが現れ、パーティーを滅茶苦茶にする勢いで振る舞い始める。
 其処に出現したのは不思議な国に住まう、これまた不思議な衣装達。ユェーとルーシーの周囲にも仮装衣装がふわりと飛んできて、着て欲しそうに揺れていた。
「ゆぇパパ、衣装が!」
「可愛らしいのと格好いいのがありますね」
「ほんと、いっぱいね。パパならどんなご衣装もカッコいいよ?」
「おや? 可愛いのも似合いますか?」
 ルーシーが瞳を輝かせる中、ユェーは衣装を見上げていた。二着飛んできているうちのどちらかがユェーの衣装になり、残りがルーシーが着るものとなるのだろう。
「これは素敵な衣装ですね」
 そして、次の瞬間。
 ぴかぴかと目映い光が瞬いたかと思うと、二人の衣装が瞬く間に変化した。
「これが衣装さん達が選んで下さった仮装?」
 不思議そうに自分の格好を見下ろしたルーシーが着ていたのは、二股に別れた大きな帽子と、片頬だけに飾られたハートのシール。ふんわりとしたシルエットのカボチャパンツに縞々ニーソックスと革のブーツという、愛らしい少女ピエロ服だ。
 対するユェーは、鞭を手にしてスーツを着込んだ調教師スタイル。凛々しいシルエットの中で、首元に首輪のように結ばれたシックなリボンが目立っている。
「えへ、どうかしらパパ!」
「サーカスの仮装でしょうか。ルーシーちゃん、素敵で可愛らしいですよ」
「パパもやっぱり、かっこいいわ!」
「カッコ良いですか? ありがとうねぇ」
 可愛いピエロと凛々しい調教師のコンビ。その仮装を受け入れた二人は不思議な衣装を快く思っていた。
「空飛ぶ仮装衣装さんたち、ステキなセンスをお持ちね」
「ふふっ、普段着ない服装をするのは気になりますね。気になりますが、戦闘ですよ。ルーシーちゃん」
 ルーシーは思わずじぃっと見つめてしまったが、其処にユェーが優しく告げる。まだ二人に敵は向かってきていないが、本格的な戦闘になるのも時間の問題だ。
「いけない、戦闘中だったわ。……はーい」
「後で記念に写真を撮りますから、ね?」
「本当? やったあ」
 二人が笑みを交わしていると、予想通りにコーディネイター達が訪れた。彼女たちはハートの魔鍵を構え、ルーシーとユェーを品定めするような視線を向ける。
「あらあら、楽しそうね」
「そんな衣装よりも、あたしたちが選んだ囚人の仮装はどう?」
「し、囚人?」
「それは遠慮しておきます。貴方達を調教する方が良いに決まっていますから」
 驚くルーシーを守護するようにしてユェーが前に出た。
 白ウサギさんを護りましょう、とそっと話したユェーは、彼等が隠れているテーブルを背にして陣取る。
 ルーシーもしっかりと身構え、白ウサギ達に声を掛けた。
「白うさぎさんは前にでてはダメよ。ルーシー達がお守りするわ」
「ありがとう、ふたりとも!」
「がんばれっ、がんばれっ」
「応援ありがとうねぇ。とても心強いです」
 後方から聞こえる声に応え、ユェーは鞭を撓らせた。ルーシーは花菱草色の怪火を白ウサギ達に纏わせ、熱くはないから大丈夫、と伝える。
 対するコーディネイター達はくすくすと笑いながら力を振るってきた。
「ふふ、そのウサギも牢獄に入れてあげる!」
「そんな衣装、脱いじゃえ!」
 途端に周囲に不可思議な姿見が現れ、ユェー達を取り囲み始める。其処に現れたへんてこな愉快な仲間達がルーシーのブーツをぐいぐいと引っ張った。
「わ、ルーシーの衣装脱がしちゃダメよ」
「えぇ、絶対にルーシーちゃんの衣装は脱がせませんし、僕のもです」
「そうよ、パパのはもっとダメ!」
 ルーシーは蒼芥子色の怪火をコーディネイター・フェイル達に解き放った。中にはチョコレートが欲しいと強請るものもいたが、ルーシーは首を横に振る。
「そのおねだりは聞けません」
「可愛らしいコーディネイトごと君達を食べてしまいましょうか?」
 ――大喰。
 ユェーは宣言通りに暴食グールを解放していき、その勢いのままにコーディネイター達を食らっていった。
 元の彼らの強さに加え、身に纏った衣装が更なる力を与えてくれている。
 怪火は激しく迸り、無数の口や手は更に勢いを増してコーディネイターを包囲していった。そうして、一瞬後。
 幻の愉快な仲間達は消え、姿見も消滅する。
 コーディネイター達も跡形もなくいなくなっており、二人は勝利を確信した。
「争わず、皆さん仲良くチョコを食べるのが一番ですね」
「……ええ。みんなで仲良くするなら、チョコをあげても良かったのにな」
 もし、彼女達がオウガではなければ。
 ありえないと分かっていても、そんな可能性を想像してしまったルーシーは少しだけ俯いた。ユェーが声をかけようとすると少女はぱっと顔を上げる。
「なんて、ダメね。ピエロさんは笑顔をみんなにあげなきゃ、だもの!」
「ルーシーちゃん……。はい、そうですね」
 少女が懸命に笑顔を浮かべている様を優しく見つめ、ユェーも微笑んだ。そんな二人の元に、勝利を喜んだ白ウサギ達がわあっと駆けてくるのは、あと数秒後のこと。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
ミフェット(f09867)と一緒にオウガを追い返しちゃうぞ☆
ようし、飛んでくるハロウィンの仮装とドッキングだ♪
れっつ、はーろうぃん!(何か空中で軸を合わせて合体ごっことかしてるらしい))

ふふーん、ハロウィン衣装でパワーアップ完了だ!
衣装に合わせた映える仕草をしながら、背中の翅で飛び回ってレイピアでぷすぷすと刺していっちゃうぞ☆
それで、チョコをおねだりしてくる子には森で見つけたとっても苦いチョコレートをプレゼントだよ♪
最後は【お姫様ビーム】でどかーんと吹き飛ばしちゃえ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


ミフェット・マザーグース
やってきたオウガを、ティエル(f01244)といっしょに迎え撃つね!
ハロウィンの仮装はなにがとんでくるのかな?
今年は頼むの忘れちゃったから、実はちょっぴり嬉しいかも。

着てもらう衣装くんたちだって着こなしてほしいはず
どんな衣装がとんできても、なりきりノリノリでコーディネイト対決に挑むよ!

敵はふわりとドレスがかわいいお姫様オウガ
コーディネイト対決でやっつけたら、おとなしく帰ってくれるのかな?
チョコレートのおねだりなら、ミフェットのパンケーキをあげる!

UC【一人ぼっちの影あそびの歌】
でも、ハロウィンの国をおねだりするのはダメ!
そんな時には、ミフェットはあきらめるように、おねだり仕返しちゃうよ



●Prince×Princess×Halloween
「でたな、オウガ!」
「無理矢理に着替えさせちゃうなんて、いけないことなんだよ!」
 ハロウィンパーティーの最中、ティエルとミフェットは乱入したオウガ達を迎え撃つ。その頭上には危機を察した不思議な衣装が飛んできており、臨戦態勢もといお着替え体勢を取っていた。
 あのコーディネイター達とは違って、この仮装達は優しい存在だ。
「ようし、一緒にオウガを追い返しちゃうぞ☆」
「がんばろうね、ティエル」
 ティエルは衣装を呼び、自分からそちらに飛んでいく。ミフェットも少しどきどきしながら不思議な仮装を受け入れるつもりだ。
「れっつ、はーろうぃん!」
 ひらりと飛んだティエルは空中で軸を合わせ、さながら合体シーンが始まるが如く両手を大きく広げた。
 ミフェットもぎゅっと掌を握り、いつでもどうぞと衣装を呼ぶ。
 その瞬間、眩い光が二人を包み込んだ。
「じゃじゃーん☆」
「が、合体完了……? って、わわっ! ティエルが王子様になってる」
「ミフェットはお姫様みたいなドレスだ! プリンセスの仮装なんだね」
 二人は対になるような仮装に身を包んでいた。
 ティエルは白を基調とした凛々しい王子様風の上着とズボンの洋装。背には翅を邪魔しない魔法製のマントがなびいている。
 ミフェットの姿はふわふわ素材のお姫様風ドレスだ。足元には硝子の靴があり、きらきらと煌めいていた。
 二人とも、頭には小さな王冠とティアラが飾られていてとても可愛らしい。
「ふふーん、ハロウィン衣装でパワーアップ完了だ!」
 ティエルはレイピアをびしっと構え、王子様らしい凛としたポーズを取る。
 背中の翅を大きく広げたティエルはそのまま、オウガ達の周囲を飛び回りながらレイピアでぷすぷすと刺していた。
「きゃあ! 何よ、この小さい王子様は」
「邪魔だから飛べない衣装に変えてあげる!」
 オウガはまずティエルを排除しようと狙い始める。だが、そのことに気付いたミフェットがそうはさせない。
「だめだよ……じゃなくて、いけませんわ。何もさせないよ!」
 少しだけお姫様になりきったミフェットは影あそびの歌を謳い上げていく。
 それは敵のおねだりや動きを相殺する歌。
 ミフェットはでいる限りお姫様らしく振る舞い、ふわりとドレスを揺らめかせた。きっと衣装くん達も着こなして欲しいはず。そういった思いから、ミフェットは全力で敵に挑むつもりだ。
 そして敵もまた、ふわりとしたドレスがかわいらしいオウガだ。
「コーディネイト対決でやっつけたら、おとなしく帰ってくれるのかな?」
「だったら今はボク達の勝ちだよ!」
 ミフェットが疑問を抱くと、ティエルがふふんと胸を張った。対するコーディネイター達はくすくすと笑っている。
「そんなことより、この森のチョコレートを全部もいじゃおうかしら」
「それがいいわ!」
 敵がよからぬことを考えていることに気付き、ミフェットは首を横に振る。
「でも、ハロウィンの国をおねだりするのはダメ! チョコレートのおねだりなら、ミフェットのパンケーキをあげる!」
「それか、このにがーいチョコレートをプレゼントだよ!」
 ティエルも森で見つけていた苦すぎる粒をさっと取り出した。甘いのがいいわ、と我儘を言うオウガはむっとした表情をしている。
 きっと彼女達は早く骸の海に還してやった方がいい。そう判断したティエルとミフェットは視線を交わし、一気に勝負をつけることにした。
「やろう、ミフェット。プリンセス連携だよ!」
「えっと……ミフェットもおひめさましていいの?」
 ティエルがプリンセス・ビームを紡ごうとしていることを知り、ミフェットは静かに身構えていた。こくりと頷いたティエルの準備は万端だ。
 何せ今、二人はプリンスとプリンセスなのだから最強に違いない。
 合わせてね、と告げて翅を羽ばたかせたティエルは今のテンションに任せ、勢いよくレイピアを敵に差し向けた。
「もっちろん! さぁ、いくよ。お姫様ビーム!」
「ぷ、ぷりんせすふぁいあー!」
 ティエルが解き放った光に歌声を重ね、ミフェットも決め台詞を声にする。
 そして――光が収束したとき、其処にはもうオウガの姿はなかった。はっとしたミフェットはドレスの両裾を摘んでお姫様らしいお辞儀をする。ティエルも片腕を胸の前に添え、王子様らしく一礼した。
「これで楽しいハロウィンをとりもどせたね!」
「うん! ありがとう、かっこいい王子様」
「こちらこそ、お姫様♪」
 そうして二人は少しだけ仮装の役になりきり、仲良く笑いあった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セト・ボールドウィン
トティア(f18450)と

怯えて隠れてしまった兎達
このオウガに何度も酷いコトされてきたんだろうか

さっきまであんなに笑ってたのに
…守らなきゃ。トティアと顔を見合わせ、頷く

敵の攻撃が兎に届かないよう
青嵐で往なして警戒

鏡…って閉じ込められた!?
あっ、こら
せっかく俺を選んでくれた衣装なのに、勝手に飾らないでよ
って言うか、俺は可愛くなくていいの!

敵の愉快な仲間達を千里眼射ちで散らし、そのままオウガ達も同様に
大丈夫。後はトティアが何とかしてくれるから

着付け直してくれたウサギ達には、ありがとってお礼を言って
ねえ、俺ちゃんとカッコいい?

戦闘に集中してて気づかなかったけど…
トティア!その恰好すっごく可愛いね


トティア・ルルティア
セト(f16751)と

いやね
この雰囲気は可愛くないわ
先程まで拗ねていたわたしのよう

セトと目を合わせ頷く
守りは任せ
鋏携え攻勢を

如何なる衣装に変えられたとて
堂々真顔の立ち振る舞い
反応が楽しくなくて御免なさい?

慌てる友の声にそわり
あたふたセトは絶対に可愛い
わたしも見たいわずるいわ
鏡を蹴倒し脱出試み
ああ、セト
とっても可愛いわ?(サムズアップ

あら兎
衣装を戻してくれたのね
わたしこの服好きよ?
力が湧いてくる
良い子ね、お前たち

さぁ、そろそろ飽いてくれたかしら?
お仕置きの時間だわ?

舞え舞え魔導書
我が本体
セトが散らしてくれた敵に狙いを定め
せぇのっ
本の角アタックー

(きょとん)
……ありがとう
小さく笑んで今度は素直に



●ありのままの心で
 オウガの到来と共に、白ウサギ達はテーブルの下に隠れてしまった。
 あの反応から見るに彼らはこれまでに何度も酷いことをされてきたに違いない。もしかすれば、仲間がオウガに食べられたなんてことも――。
「さっきまであんなに笑ってたのに」
「いやね、この雰囲気は可愛くないわ」
 セトが白ウサギ達を心配する中、トティアはコーディネイターを見つめていた。辺りに満ちていた雰囲気はまるで先程まで拗ねていた自分のよう。
 感じてしまった思いに対しても首を振り、トティアは戦闘態勢を整えた。
「……守らなきゃ」
「そうね、黙ってみてるだけなんて出来ないもの」
 セトとトティアは目を合わせて頷きを交わす。その瞬間、危機を察知して飛んできた不思議な仮装衣装が二人を包み込んだ。
 光が迸った刹那、トティアの姿は薄い海色のヴェールを被った人魚の仮装に。セトは青いスカーフリボンが印象的なセーラー服と膝丈ズボンの水兵の格好になった。
「これが力をくれる衣装なのね」
「何だかいつもより強くなれた気がする!」
 そして、トティアは鋏を構えた。それと同時にセトが青嵐に刃を抜く。彼は敵の攻撃が万が一にでも白ウサギに届かぬよう、守りに入った。
 守護をセトに任せたトティアは仮装の尾鰭を揺らし、魔導書を複製していく。
 セトは青嵐で敵の攻撃を往なすべく警戒していたが、オウガ達はくすりと笑って腕を振り上げた。
「そんな衣装より、こっちの方がいいわ」
「これは鏡……って閉じ込められた!?」
 途端にセト達を姿見が取り囲み、内部にへんてこな小人達が現れた。水兵の衣装は瞬く間に着せ替えられていく。
「あっ、こら。せっかく俺を選んでくれた衣装なのに、勝手に飾らないでよ」
 セトは水兵ではなく悪い海賊の衣装にされてしまった。
 別の鏡に囚われたトティアはというと、真っ黒なタコの足を装着させられた海の魔女になっている。
 慌てるセトとは反対にトティアは何も動じていない。
「あら? そっちの女の子、反応がないわ」
「楽しくなくて御免なさい?」
 つまらなさそうにしているオウガに対して、トティアは堂々とした真顔で答えた。
「わーっ!? なにこれ!」
 その途中でセトが慌てている声が聞こえたのでトティアはぴくりと反応する。
 どんな衣装であれ、あたふたしているセトは絶対に可愛い。格好いいよりも可愛い姿を見たいと感じたトティアは一気に鏡を蹴り倒した。
「わたしも見たいわずるいわ」
「えっ、トティア?」
 その頃のセトは先程の海賊衣装から更に着替えさせられ、可愛いカモメのきぐるみ姿にされていた。
「ああ、セト。とっても可愛いわ?」
「って言うか、俺は可愛くなくていいの!」
 サムズアップするトティアにぶんぶんと首を振るセト。そうしていると、後方から白ウサギの声が聞こえてきた。
「みんな、あのヒトたちがピンチだって!」
「お着替え隊、しゅつどうだー!」
 先程の人魚と水兵の衣装がウサギ達の方に知らせに行ったのだろう。白ウサギ隊は勇気を振り絞り、セトとトティアの元に衣装を持って駆けてきた。
「着付け直してくれるの?」
「あら、兎。お願いするわ」
「ボクらに任せて。こわいけど、キミたちがやられる方がもっとこわいから……!」
 そうして、再び光がぴかっと瞬く。
 次の瞬間に衣装は元に戻り、セト達に力が巡っていく。
 セトは敵が齎した愉快な仲間達を鋭い一閃で蹴散らし、そのままオウガにも攻撃を向けた。こうすれば後はきっとトティアが何とかしてくれる。
 ウサギ達にありがとうと告げたセトは明るく笑み、そっと問いかけた。
「ねえ、俺ちゃんとカッコいい?」
「かっこいー!」
「おねえさんも綺麗で可愛いよ」
「良い子ね、お前たち。わたしもこの服好きよ?」
 力が湧いてくると感じたトティアはお仕置きの時間を始めていく。オウガ達が好き勝手したのだから、次は自分達の番だと言わんばかりの視線が差し向けられた。
 ――舞え舞え魔導書。
 セトが散らしてくれた敵に狙いを定めたトティアは、せぇの、と声を掛けた。
「本の角アタックー」
 その掛け声と同時にすごく硬い角がオウガ達に振り下ろされる。きゃあ、という声があがったかと思うと敵は次々と倒れていって――。
 自分達の周囲のオウガが蹴散らされたことを知り、セトは大きく胸を張る。ウサギも無事で衣装も喜んでいるような気がした。
 そして、セトはふと気付く。
「あれ……トティア! その恰好すっごく可愛いね」
 人魚姫な様相の彼女の姿を初めてしっかりと見たセトは満面の笑みを浮かべた。トティアは一瞬だけきょとんとしたが、すぐにこくりと頷く。
「……ありがとう」
 セトに告げた言葉は素直な気持ちの証。
 綻びかけていた心が繋がっていくかのようで、トティアは小さく微笑んだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

ああ…
助けてくれる気満々なんだよな…去年もそうだったし
飛んで来る衣装眺め
まぁ変身して戦うのと一緒だと思えば…
そんじゃ手伝ってくれ

えっおいでおいで?
頷き隣りで吸血鬼風呼び
あっ瑠碧の妖精さん見たかったんだ
変じゃねぇ?
瑠碧は…
うわっやべぇ
めっちゃ可愛い
衣装さんグッジョブ
てか見んな
瑠碧が減る
敵を衝撃波で追い払い

白兎達も迷惑してるし
さっさと倒してお茶会の続きと行こうぜ
ダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴りUC起動
うーんマントが翻って…
あっいや大丈夫
段々慣れてきたし
服もあいつらの動きにもな
ポーズに気付き残像纏い
って勝手に着替えさせんな
いつの間に仕掛けたか知らねぇけど
鏡ごと纏めてぶっ壊す
拳の乱れ撃ち


泉宮・瑠碧
【月風】

つまり…
衣装の子達は、優しい子達なんですね
白兎達も、安心して過ごせる様にしたいです

理玖をじっと見て
吸血鬼衣装の子をおいでおいでしましょう
私は…妖精な衣装の子を呼びますね

…そこまで変では無いと、思うのですが…
理玖の様子で、大丈夫そうとほっとします
理玖の衣装もよくお似合いで…
衣装の子達、ありがとう
…見ただけで減るとはいったい…

私は弓で消去水矢
相手のお願いに関しては
衣装の子に頑張ってと伝えつつ向こうへ射って
お願いへの集中や意識を阻害しての効力低下を狙います
鏡に対しても同じく射かけて消滅を

理玖が動き難そうなので少し心配しますが
チョコが欲しい相手には採っていたチョコを渡し
どなたも、どうか安らかに



●フェアリーとヴァンパイア
 現れたオウガに対して、ふわりと舞う不思議な衣装。
 白ウサギ達は怯えているが、ピンチの猟兵を助けに行っている子達もいた。理玖は勇気ある不思議の国の住人達を見つめて深く頷く。
「ああ……助けてくれる気満々なんだよな」
 去年もそうだったと思い返す理玖の隣では、瑠碧も衣装を眺めていた。
「つまり……衣装の子達は、優しい子達なんですね」
 自分達の周囲を巡っている仮装を受け入れないという選択はない。理玖は拳を握り、瑠碧は祈るように両手を重ねた。
 恐ろしいオウガに怯える国などあってはいけない。白ウサギ達が安心して過ごせるようにしたいと願い、瑠碧は衣装を手招く。
「まぁ変身して戦うのと一緒だと思えば……そんじゃ手伝ってくれ」
「おいで、おいで」
 理玖が衣装に手を伸ばすと、瑠碧がかれらを呼んだ。その瞬間、二人の周りに眩しい光が迸ることで瞬く間に着替えは終わる。
 理玖は黒のシックなスーツと、裏面が赤で彩られたマントが印象的な吸血鬼の衣装。
 瑠碧は透き通った硝子のような翅を持つ森の妖精風の仮装姿となった。
 自分の姿を見下ろして、背を確認した瑠碧はこの衣装を着るのが自分で良かったのか、少しだけ心配になる。
「……そこまで変では無いと、思うのですが……」
「うわっやべぇ、めっちゃ可愛い瑠碧」
 しかし、理玖の様子を見るに大丈夫なようだ。理玖も自分が羽織っているマントをみやってから、襟元や胸元に触れてみる。
「俺の変じゃねぇ?」
「理玖の衣装もよくお似合いで……」
 瑠碧から褒められたことで理玖の口元に笑みが浮かぶ。彼にとっては瑠碧の妖精は最高に可愛くて素晴らしいものなので、むしろ衣装に感謝したかった。
「衣装さんグッジョブ」
「衣装の子達、ありがとう」
 瑠碧も素直に感謝を抱いている。衣装の能力によって、二人の身体には普段よりも強い力が宿っていた。
 されど、それをオウガが放っておくわけがない。
「あらあら、そっちの衣装よりも私達の方が素晴らしいわよ!」
「見なさい!」
 コーディネイター達は対抗するように妖精風の衣装に着替えている。だが、理玖は彼女達を一瞥するだけに留め、瑠碧の前に立ち塞がった。
「見るかよ。てかこっち見んな。瑠碧が減る」
「えっ!?」
 オウガ達は驚き、理玖が間髪いれずに放った衝撃波で吹き飛ばされた。
「……見ただけで減るとはいったい……」
 瑠碧はとても不思議そうな顔をして自分の頬をぺたぺたと触る。あの子達が何かを減らすのでしょうか、と大真面目に考えている瑠碧もまた可愛い。
 思考が横に逸れそうになっていると気付き、理玖は気を引き締めた。
「白兎達も迷惑してるし、さっさと倒してお茶会の続きと行こうぜ」
 地を蹴った理玖は素早く駆け、吹き飛ばしたオウガ達に拳を向ける。それと同時に瑠碧が魔法の水の弓矢を打ち放った。
 矢が敵の力を貫いていく最中、理玖はオウガを鋭く穿つ。
「うーん、マントが翻ってやり辛ぇ」
「理玖……」
「あっ、いや大丈夫。段々慣れてきたしな」
 後方から心配そうな瑠碧の声が聞こえたので、理玖は佇まいを直した。マントは確かにやり辛いが、重心さえ気を付ければいけそうだ。
 それに――あいつらの動きにも、と付け加えた理玖は一気に拳を突き放つ。
 衣装のおかげで力は増している。瑠碧も的確な援護を行ってくれているので、オウガの撃退は容易だろう。
 瑠碧も、自分が纏う衣装の子の力を引き出しながら、矢を射っていく。理玖に姿見が展開されそうになれば、瑠碧が鏡に対しても矢を射かけて消滅を狙っていった。
 理玖自身も残像を纏うことでオウガを惑わせ、姿見を解除しようとする。
「ふふっ、そいつを着替えさせてあげて!」
「って勝手に着替えさせんな。いつの間に仕掛けたか知らねぇけど」
 せっかくの衣装を台無しにされては困る。やられる前にやれの精神で疾く駆けた理玖は、鏡ごとすべてを壊す勢いで蹴り撃を叩き込んだ。
「そんな、私達の姿見が――!」
「骸の海に還してやる」
 理玖は一瞬でコーディネイターの懐に潜り込み、拳の乱れ撃ちを放つ。それによって理玖と瑠碧を取り囲んでいた敵は全て倒れた。
 地に伏したオウガは力を失い、静かに消えていく。
「チョコレート、欲しかった……なぁ……」
 最後にぽつりと呟いたオウガがいることに気付き、瑠碧はそうっと歩み寄った。そして、其処に摘んでいたチョコレートの実を添えてやった瑠碧は瞼を閉じる。
「どなたも、どうか安らかに」
「……瑠碧はやっぱ優しいな」
 誰にも慈しみを持って接する彼女を見て、理玖は口許を静かに緩めた。
 そんな二人の元に、戦いが去ったことを知った白ウサギ達がわあわあと歓声をあげながら駆けてきて――。
 どうやらまだまだ、ハロウィンの時間は終わらないようだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
【暁】

ぎゃあぎゃあ騒ぐきよしを横目にすーん顔
まあなんかやる気みたいだからとりあえず見守る

お、丁度いいじゃん
さっきゴリラだったんだから

おかしくねと言いつつも鳴くお前何と思っていると
――俺は着ねぇ
ニワトリが嫌って言うよりはお前とお揃いが嫌だ

とりあえず飛んできた仮装を着る
嫌な奴だったらきよしに渡す、完璧

お揃い来るな!
お揃いじゃない様子をみてふと笑う

心で…きよしの心は男前だっていうのか…?
今までの所業をを思い出す
…どこが??
どこか言ってみろ
は?

じゃねえ。あんたらの仮装は着ねーっての

ほら、ニワトリパワーでいけきよし
いつもより力出るっしょ
いやきよしではあるだろ

しょうがねえから一緒にやってやる
ほら、やるぞ


砂羽風・きよ
【暁】

うおお、綾華!衣装がこっちに飛んできたぞ!
これに着替えろってことか!任せろ!

(デフォルメゴリラ)
――ってゴリラじゃねーか!
俺はゴリラじゃねー!もっと違うやつくれ!(ワガママ)

よし、今度こそ!(ニワトリ衣装)
俺だけおかしくね?!コケッコー!
せめて綾華にもニワトリ着させろよ!お揃い!

そんなこと言うなよ!嬉しいだろ!お揃い!
ラスト!ラストいいやつ着させてくれ!
綾華とお揃い!来い!

ちげー!なんでだよ!別にいーけどな!

男は外見じゃない!心で勝負だ!な、綾華!
もちろん、全部に決まってるだろ!

くそ、やってやる!綾華も戦おうぜ!
きよしでもニワトリでもねー!

金ぴかナッツチョコやるから大人しくやられてくれ!



●騎士とTシャツ
 オウガの到来と共に不思議な衣装が飛んでくる。
 戦うための更なる力を与えてくれる仮装は、綾華ときよの元にも訪れた。
「うおお、綾華! 衣装がこっちに飛んできたぞ!」
「お、ホントだ」
「とにかくこれに着替えろってことか! 任せろ!」
 ふわりと飛んできた衣装は二人の周囲をくるくると回る。どうやら綾華には真っ白な洋服。きよには少し艶のある黒い服が近付いているようだ。
 そして、二人は衣装を受け入れる。
 光が周囲を包んだかと思うと、彼らの服装は一瞬で変化した。
「――ってゴリラじゃねーか!」
「俺のは普通に騎士だ。きよしは丁度いいじゃん。さっきゴリラだったんだから」
「俺はゴリラじゃねー! もっと違うやつくれ!」
 綾華は純白の騎士服にアクセントにトランプスート型の鎖が飾られている服。そしてきよはなんと、デフォルメ感が強いゴリラのきぐるみだった。
「うるせ……」
 ぎゃあぎゃあと騒いでいるきよを横目に、綾華はすんとした顔をしている。するとオウガ達がきよに気付き、くすくすと妖しく笑った。
「あらあら、気に入らないなら私達が着替えさせてあげる!」
「そうね、アレがいいわ!」
 コーディネイター・フェイル達はハートのポーズを取った。途端に全身が映る大きな姿見にきよが囲まれ、内部に幻の愉快な仲間達が現れる。
「今度こそ……って、うおお!?」
「まぁ着替えさせられるくらいなら大丈夫だろ」
 愉快な仲間達にもみくちゃにされているきよへの助けは入らない。とりあえず見守る姿勢の綾華はきよの悲鳴を聞きながら、肩を竦めた。
 そして、敵側の着せ替えが終わる。
「コケッコー! じゃねぇ、またきぐるみかよ! 俺だけおかしくね!?」
 きよはあっという間にニワトリに変えられてしまった。きよしうるさい、と再び口にした綾華はジト目で彼を見ている。
「突っ込む前に鳴くのおかしくね」
「せめて綾華にもニワトリ着させろよ! お揃い!」
「俺は着ねぇ」
「そうよ、そっちのお兄さんは白騎士姿が似合ってるもの」
「変えるとしたら勲章とかマントをお着替えさせるくらいかしら?」
 いつの間にかオウガも加わって仮装論争になっている。両手に装着された羽をぱたぱたと動かしているきよを一瞥した綾華は、大きな溜息をついた。
「ニワトリが嫌って言うよりはお前とお揃いが嫌だ」
「そんなこと言うなよ! 嬉しいだろ! お揃い! ラスト! ラストいいやつ着させてくれ! 綾華とお揃い! 来い!」
「お揃いだけは止めてくれ」
 綾華が念じた強い意思が作用したのか、そうではないのかは定かではないが、机に隠れていた白ウサギが急いで走ってきた。
「あの、これどうぞ……!」
 そう言ってきよに新しい衣装を渡したウサギは、脱兎の如く隠れに戻る。その瞬間、またまたぴかっと光が瞬いた。
「お? これはTシャツ……ってゴリラとニワトリの柄じゃねーか! 何で合わせ技の服なんだ! そもそも仮装なのか? ちげーよ! なんでだよ! 別にいーけどな!」
「気が済んだかきよし」
「あのひとり漫才、面白いわね」
「ね、全部似合ってたし」
 綾華とオウガ達は騒がしいきよを見守るモードに入っている。はっとしたきよは今が戦闘中だったことを思い返し、拳を握った。
「男は外見じゃない! 心で勝負だ! な、綾華!」
「心で……きよしの心は男前だっていうのか……?」
 綾華は冷静に今までの所業を思い出す。そして、至極真面目に問い掛けた。
「……どこが??」
「もちろん、全部に決まってるだろ!」
「は?」
「見て、二人漫才になったわ」
「ちょっと飽きてきたからそろそろ終わらせる?」
 きよと綾華のやりとりを見ていたオウガは害意を抱き始めた。その様子に気付いた綾華は表情を引き締め、鍵刀を構える。
「――じゃねえ。あんたらの仮装は着ねーっての」
「くそ、やってやる! 綾華も戦おうぜ!」
「ほら、ニワトリゴリラパワーでいけきよし。いつもより力出るっしょ」
「きよしでもニワトリでもゴリラでもねー!」
「いやきよしではあるだろ。けど、しょうがねえから一緒にやってやる」
 身構えた綾華の横できよは屋台を引き、二人はコーディネイター達に反撃の意思を見せた。対するオウガもハートの魔鍵を構え、本気の臨戦体勢を取る。
「ふふ、戦いましょうか」
「わたし達だってかなり強いんだから!」
「金ぴかナッツチョコやるから大人しくやられてくれ!」
「ほら、やるぞ」
 そして――屋台飯を給仕するニワトリ&ゴリラTシャツ姿のきよと、黒鍵刀を操る白騎士綾華はオウガを骸の海に返すべく、割と真面目に戦っていった。
 其処からまた別のドタバタが始まるのだが、それはそれとして。結果的に衣装の力と二人の協力によってオウガは無事に還される。
 こうして、なんやかんやで不思議の国の平和は守られたのであった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【彼岸花】◎
少年姿で仮装はお任せ

んふふ、カフカったら随分愛らしい格好にされましたねぇ
揶揄ってなんかいませんよ、君が愛らしくて私は嬉しいですし
恥ずかしそうな表情で余計に愛らしさを増すなんて、この子は気付きもしない
千年過ぎようが照れ屋は治りませんねぇ
まあ、カフカの照れた顔を見るのは好きなので、このままで良いんですけど

チョコを寄越せ?嫌ですよ
何でカフカがくれた物を有象無象に差し出さなきゃならないんです?
私のチョコは元からあの子の分しか作ってませんし

兎の子らは危ないですから下がってなさいな
私たちはあまり守りに適しませんからねぇ
【誘惑、おびき寄せ】で惹き付け、【カウンター、呪詛、生命力吸収】+UC


神狩・カフカ
【彼岸花】◎
仮装お任せ

去年の悪夢がまた蘇る
まァ、さすがにああいうことは二回も起きねェんじゃ…
おいおいおいマジか…
もういいだろこのパターンは!?
なンだってこんな格好…
お前さんはなんで嬉しそうな顔してンだよ
そっちはいいよな普通に似合ってる服でよ…
仕方ねェ
さっさと終わらせるぞ

ああ、おれの作ったチョコクッキーでよければやるよ
さっきラッピングしたしな
…と、あげようと思ったが
はふりの対応を見たら途端に惜しくなって
…やっぱりやめた
これははふりにやる
本当に欲しい奴に食ってもらったほうがいいしな
悪ィな

この衣装なら脱がしてくれたほうが嬉しいが…
兎達もありがとな
招かれざる客はご退場願おうか
煙管を蒸して燃やしちまおう



●愛しきものは
 ふわりと訪れた不思議な仮装。
 瞬く間に祝とカフカを包み込んだ光は二人を新たな衣装に変えていく。光が満ちていく最中、カフカは嫌な予感を覚えていた。
 去年の悪夢がまた蘇りそうな気がしたからだ。しかし、あくまで予感に過ぎない。
(まァ、さすがにああいうことは二回も起きねェんじゃ……)
 一縷の希望に縋ったカフカは瞼をひらいた。
 だが――。
「……おいおいおいマジか」
「んふふ、カフカったら随分愛らしい格好にされましたねぇ」
「もういいだろこのパターンは!?」
 祝が喜び、カフカが絶望しているこの状況は――あの予感通り、カフカだけがふりふりゴージャスふわふわプリンセス姿になっていたからだ。
 対する祝の様相は金の王冠と肩章をあしらった軍服風上着。少年らしさを強調するショートパンツに白いマントを羽織った王子様スタイル。
「なンだってこんな格好……お前さんはなんで嬉しそうな顔してンだよ」
 両手を顔を押さえたカフカは煌めいている。何故なら、ドレスに真珠などの宝石の装飾が多く飾られているからだ。顔を上げたカフカは笑っている祝を見て、からかっているのかと悪態をついてしまう。
「揶揄ってなんかいませんよ、君が愛らしくて私は嬉しいですし」
 その恥ずかしそうな表情が余計に愛らしさを増している。敢えて語らなかった祝は、カフカにそのことを気付かせない狙いだ。
「そっちはいいよな、普通に似合ってる服でよ……」
「千年過ぎようが照れ屋は治りませんねぇ」
 祝としてはカフカの照れた顔を見るのは好きなので、このままで良いのだが――きっと彼が納得しないだろう。
「仕方ねェ、さっさと終わらせるぞ」
「やりましょうか、お姫様」
「お前っ……う、ぐ……分かった、王子様」
 戯れに呼び掛けられたことで赤面したカフカだが、下手に反応するとまた何かを言われる可能性があるとして素直に頷いた。
 その様子を眺めていたコーディネイター・フェイル達は面白いものを見るように笑っている。そして、そのひとりが片手を差し出してきた。
「ねぇねぇ、お菓子をちょうだい!」
「ああ、おれの作ったチョコクッキーでよければやるよ」
 カフカは先程にラッピングしたものをオウガに渡そうとした。その様子は心優しきプリンセスらしき振る舞いだ。
 しかし、祝が隣で首を横に振っている。
「チョコを寄越せ? 嫌ですよ。何でカフカがくれた物を有象無象に差し出さなきゃならないんです?」
 自分のチョコレートは元からこの子の分しか作っていない。
 そのように主張した祝の言葉を聞き、カフカは差し出そうとしていた腕を引っ込めた。
「……やっぱりやめた」
「むぅ、なんでくれないの?」
 祝の対応を見て途端に惜しくなってしまったカフカは、悪ィな、と敵に告げた。
「これははふりにやる。本当に欲しい奴に食ってもらったほうがいいしな」
「くふふ、そうではなくては」
 カフカの判断を嬉しく感じた祝は口元に手を添えて笑う。対するオウガは頬を膨らませ、それならいいもん、とそっぽを向いた。
 可愛らしい見た目ではるあるが、オウガは悪事を働く存在だ。
 もし見逃してしまえばこの国の白ウサギが大変な目に遭ってしまうだろう。
「いいわ、それなら変な衣装に着替えさせてあげる!」
 怒りを抱いたらしいコーディネイターはハートの魔鍵を掲げた。それを合図にして周囲に大きな姿見が出現する。
「この衣装なら脱がしてくれたほうが嬉しいが……」
 曲がりなりにも不思議な国の力が宿った衣装だ。カフカは暫し堪えることを決め、煙管を取り出した。鏡が展開される前に武器を振るい、彼岸花へと変えた彼は一気に攻勢に入っていく。
 その後ろでは、白ウサギ達が心配そうに見守ってくれている。
「がんばれー!」
「負けるな、王子様とお姫様!」
「お姫様は余計なンだが……兎達もありがとな」
 応援してくれるウサギに礼を告げ、カフカは更なる力を紡いでいった。衣装のおかげなのか普段よりも火炎花の広がり方が烈しい。
「さて、兎の子らは危ないですから下がってなさいな」
 自分達の戦い方はあまり守りに適していない。そのように語った祝もカフカに合わせ、巨狼の大神を呼び出した。
 瘴気の闇で動く屍の従獣はオウガ達を狙い、素早く駆けていく。
「喰らうなら綺麗になさいな」
 祝の声を受けた大神は低い唸り声をあげながらコーディネイターを穿っていった。その余波を受けた祝のマントが華麗に翻る。
 カフカは祝の姿を片眼に映し、時にはあんな姿も良いかもしれない、と考えた。尤も、自分のこの衣装は戦いが終わったと同時に丁重に脱ぐだろうが――。
「招かれざる客はご退場願おうか」
「ええ、お帰りくださいな」
 燃やしちまおう、と祝に呼び掛けたカフカは煙管を蒸し、彼岸花を広げた。紅く染まりゆく視界と広がる焔。
 その光景はまるで、オウガ達を葬送するための花束のようにも見えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月居・蒼汰
ラナさん(f06644)と
衣装はかっこいい…のが良いけど
似合うと思うなら可愛いのだって着こなしてみせます!

ラナさんの装いについ見入ったりもしつつ
あの、とても良く似合ってます!と忘れず
お茶会の続きを楽しむ前に
オウガの皆さんにはお帰り頂きましょう
ラナさんの攻撃に合わせて煌天の標で攻撃を
無邪気なお願いにはラナさんの手前
鋼のこころで耐え抜いてみせます
なるべく衣装を破かないように立ち回りたいけど
もしもの時は白ウサギさん達にお願いを

そうですね、折角のハロウィンなので、俺からも…
…トリック・オア・トリート、ラナさん?
俺はとびきり甘くて素敵な悪戯がほしいです、なんて?
可愛い悪戯に笑って抱き締め
額にキスの悪戯を


ラナ・スピラエア
蒼汰さん(f16730)と

飛び出た装いに気付けば一瞬で早変わり
わあ、すごいですね!
その場でくるりと回った後
慣れない服装に少し戸惑って

蒼汰さんも、お似合いですよ
見慣れない姿に胸が高鳴るけど
今は戦闘中ですから!
息を整え、星降ノ光輝で攻撃を
別の衣装に着せ替えられてしまったら
白兎さんにお手伝いをお願いします

戦いが終われば彼のほうを向いて
その、蒼汰さん
折角のハロウィンですから…トリック・オア・トリート、です
顔を赤くして紡げば、彼からのお願いに驚いて

えと、えっと…!
悩んだ末、距離を詰め――そのまま私からぎゅっと抱き着いて
あの、…私もですね
悪戯を、お願いしても良いですか?
額に触れた熱には
幸せそうに微笑んで



●素敵な悪戯
 戦いと危機を察し、颯爽と現れた不思議な衣装が目映い光を放つ。
 淡くて優しい光に包まれた蒼汰とラナ。二人の様相は瞬く間に、色違いでお揃いのトランプ兵の軍服衣装になっていた。
「わあ、すごいですね!」
 ラナがその場でくるりと回ってみると、フリルがたっぷりあしらわれた白いスカートが揺れる。其処にはハートとダイヤのスート刺繍が刻まれていた。反対に蒼汰はテーパードタイプのパンツにスペードとクラブが刺繍された男性用の黒い軍服姿だ。
 二人とも頭にはそれぞれの色の軍帽が添えられていて、同じトランプ軍の隊長同士のような雰囲気にも見える。
「わ、すごくかっこいい。ラナさんも……」
 蒼汰はラナの装いについ見惚れてしまったので、少し言い淀む。軽く首を傾げたラナは自分だけが浮かれてしまってはいないかと気になってしまう。
「ええと、似合っていませんか?」
「あの、とても良く似合ってます!」
「良かったです。蒼汰さんも、お似合いですよ」
 ふわりと微笑んだラナがとても楽しそうなので蒼汰の心も弾む。
 最初こそ慣れない服装に少しの戸惑いや、見慣れない姿に胸が高鳴っていたりしたが、今はお揃いだという嬉しさが満ちていた。
 そして、蒼汰とラナはオウガ達に向き直る。
「お茶会の続きを楽しむ前に、オウガの皆さんにはお帰り頂きましょう」
「はい、早々に骸の海に還してしまいましょう」
 楽しいハロウィンの国に悪いオウガは似合わない。蒼汰とラナはコーディネイター・フェイル達を見つめ、合わせて攻勢に入っていく。
 ラナは呼吸を整え、薬瓶の中身をきらきらと振り撒いた。其処から降り注ぐ星明かりが辺りを照らし出す。タイミングを合わせて動いた蒼汰は、オウガに向けて月と星の加護を宿す矢を解き放った。
「ふふん、そんなものどうってこと……あれ? どうってことある!?」
「痛いわ! 待って、あの子達すごく強い!」
 オウガ達はあまりの威力に驚き、及び腰になっている。きっと二人が身に纏っているトランプ兵の衣装がいつも以上の力を引き出してくれているのだろう。
「悪戯が過ぎるならお仕置きですよ」
「うう……お着替えさせる隙がないわ」
「じゃあチョコレートとかお菓子だけでもちょーだい!」
 ラナが強く言い放つと、コーディネイター達は蒼汰に向けてトリートを強請る。その願いは無邪気だが、今はラナの手前。蒼汰は鋼のこころを抱く気概で耐え、おねだりには決して屈しなかった。
「……だ、駄目ですからね」
「猟兵くんたち、がんばれー! ふれふれー!」
「そのままオウガなんて追っ払っちゃって……!」
 蒼汰の背後にあるテーブルの下からは、白ウサギ達による応援の声が聞こえている。彼らを護るためにも負けられない。
 ラナと蒼汰はもう一度視線を重ね、其々の力を振るっていく。
 やがて、悪いオウガ達は猟兵の活躍によって骸の海に還された。白ウサギ達がぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ中、二人もほっとした気持ちを覚える。
「無事に終わりましたね」
「その、蒼汰さん」
「何かありましたか?」
 蒼汰の隣に歩み寄ったラナは少し顔を赤くして、そっと紡ぐ。周囲ではぴかぴかと煌めくカボチャのランタンが光っていた。
「折角のハロウィンですから……トリック・オア・トリート、です」
「そうですね、でしたら俺からもトリック・オア・トリート、ラナさん?」
「ふふ、ありがとうございます」
 ラナは同じ呪文を返してくれた蒼汰に向け、嬉しそうに微笑む。しかし蒼汰の言葉はまだ終わっていなかった。
「俺はとびきり甘くて素敵な悪戯がほしいです、なんて?」
「えと、えっと……! それじゃあ……」
 彼からのお願いに驚いたラナは暫し悩んだ末、彼と距離を詰める。ラナはそのまま腕を伸ばしてぎゅっと蒼汰に抱きついた。
「よく出来ました」
「あの、……私もですね。悪戯を、お願いしても――」
 可愛い悪戯だと感じた蒼汰は、ラナがお願いを返す前にその身体を抱き締め返した。そして、彼女の額にちいさなキスが落とされる。
 額に触れた熱はとても優しくて、ラナの口元に笑みが咲いた。
 幸せそうに微笑んだラナは彼の温もりに身を預ける。ふわりと揺れたトランプ兵の衣装が彼の服に重なる。
 連なったスートの柄は、二人一緒が一番良いと示しているかのよう。
 そうして二人は平穏が戻ったハロウィンの国を見渡す。明るいランタンの輝きと揺れる森の木々は、今日という日をお祝いするかのように優しく揺れていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メルト・プティング

飛んでくる衣装は今年の南瓜SDの首輪つきミニスカメイド
犬耳と尻尾は肉体の形状変化による自前

引き続きベアータさん(f05212)とっ
戦闘になるとお洋服が飛んでくると聞きましたけど、どんなのが…わわ、メイド服っ
やったーかわいー♪…って、ベアータさんっ!逃げちゃダメですよ!?
念動力で拘束して彼女の着替えを(強引に)お手伝い
たとえあとで怒られても、ボクはベアータさんのメイド服が見たいのです
っていうか似合ってますしカワイイんですけど!!はー、この依頼うけてよかったー!!

そして慣れない衣装に戸惑うベアータさん…これはチャンス?
メイド服には隠された力があって、両手でハートマークを作ってカワイイポーズをとれば凄い力が発揮される(という嘘で)説得
信じて…くれないのです?と涙目上目遣いでおねだりも追加しちゃいましょう
たとえあとで怒られても、ボクはベアータさんの萌え萌えキュンが以下略

って。え?あれ…なんかほんとにビーム出た…なにそれそんなの知らない…
ま、まぁ依頼も無事解決しそうだし、おっけー…です?


ベアータ・ベルトット

引き続きメルト(f00394)と

仮装対決、か。メルトはテンション爆アガってるけど…どーもイヤな予感がするのよね

あれが私の衣装…って、ミニスカメイド…猫耳…首輪っ…!?(南瓜行列SD参照)
じょっ、冗談じゃないわ!あんな萌え萌えなの着てたまるもんですか!悪いけど逃げ…
!?体が動かない…メルト!アンタの仕業ねっ。あとで覚えてなさいよっ!

うぅ…何で私がこんな格好…に、似合うハズないでしょ!
(それに引き換えメルトの仮装…可愛すぎるわ。ぷるぷるの犬耳しっぽ触りたい…!)

さっさと敵を倒して着替えるわよ…はぁ!?何よカワイイポーズって。そんなバカなハナシあるワケないでしょーが!
着てるだけでも恥ずかしいのに、なんで恥の上塗りしなきゃならないのよっ…う゛っ。…その顔は反則よ(ぼそっ)
…仕方ない、一回だけだからね。……萌え萌えキュン(棒)
はぁ。こんな事したって何も起きるワケ…(UCの効果で悩殺光線発射)

……え?えぇー!?ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!今のは何かの間違いで…(二発目発射)
ち、違うーっ!?



●Cute×Cute=Destroy
 隠れるウサギ達、楽しげに笑い声をあげるオウガ。
 そして、何処からか飛んでくる不思議な衣装達。ハロウィンの森は今、たくさんの混乱と喧騒に満ちていた。
 メルトとベアータのところにも例外なく、衣装がふわふわと舞い降りてきている。
「見てください、ベアータさん。お洋服が飛んできていますよっ!」
「仮装対決、か。メルトはテンション爆アガってるけど……」
 メルトは衣装を見て、とてもわくわくしている様子。しかし、ベアータはいまいち乗り気ではないようだ。何故なら――。
「どーもイヤな予感がするのよね」
 ベアータの呟きは誰にも聞かれることなく戦いの喧騒の中に消えていく。そして、はたとしたメルトは自分達の頭上で仮装がくるりと回っていることに気が付いた。
「一体どんなのが……わわ、メイド服っ」
「あれが私達の衣装……って、ミニスカメイド……猫耳……首輪っ……!?」
 ベアータも近付いてくる仮装がとんでもないものだということを知る。二人が察している通り、飛んできたのは首輪つきミニスカートメイド服という、可愛らしいが少しばかりマニアックな部分もあるという逸品だ。
「やったーかわいー♪」
「じょっ、冗談じゃないわ! あんな萌え萌えなの着てたまるもんですか!」
 刹那、ひとつの光が瞬いた。
 すぐに衣装の変化を受け入れ、犬耳と尻尾を自身の形状変化で出現させたメルト。彼女に対してベアータは仮装が近付いてくる軌道から逸れようとしている。
「悪いけど逃げ……」
「って、ベアータさんっ! 逃げちゃダメですよ!?」
「!? 体が動かない……!」
 ベアータの動きを察知したメルトは即座に念動力を発動させた。ふわりと浮いたベアータは一瞬、何が起こったのか分からずに片目を見開いた。メルトに拘束されたと気付いたときには何もかもが遅かった。
「メルト! アンタの仕業ねっ!」
「そのとおりです! ボクはベアータさんのメイド服が見たいのです」
 ベアータからの呼び掛けには嘘をつかず、真正面から認めたメルトはかなり本気だ。彼女はとても怒っているが、今だけはそんなことは二の次。
「あとで覚えてなさいよっ!」
「ボクは感じたままの信念を貫きますっ!」
「信念っていうか、それって欲望とか願望じゃない!?」
「さぁ、今です衣装さん!」
 メルトの掛け声と共にひらりと不思議な衣装が舞う。
 ベアータの抵抗も虚しく、一瞬後にはお着替えが完了してしまっていた。俯いた状態でメイド服を身に纏っているベアータは羞恥に震えている。
「うぅ……何で私がこんな格好……」
 しかし、メルトは満足そうだ。
「っていうか似合ってますし最高にカワイイんですけど!! はー、この不思議の国に来てよかったー!!」
「に、似合うハズないでしょ!」
 思わず本音を言葉にしたメルトに向け、ベアータはぶんぶんと首を横に振る。その最中、ベアータは改めてじっくりとメルトの姿を眺める機会を得た。
(それに引き換えメルトの仮装……可愛すぎるわ。ぷるぷるの犬耳としっぽがいつもと違って愛らしくて、触りたい……!)
 メルトとは違ってベアータは本心を裡に秘めたまま。
 その様子に気が付いたオウガ達は、喜劇でも見るようにくすくすと笑っていた。
「その衣装が嫌なら変えてあげましょうか?」
「ふふ、それがいいわ! そうねえ、鞭を持った女王様スタイルなんてどう?」
「鞭……!?」
「ダメです、ベアータさんは今の格好がとっても可愛いんですから!」
 オウガ達の言葉に驚くベアータを庇うようにしてメルトが前に出る。両手を広げたメルトはコーディネイターに強い敵意を向けていた。
 何せ、お揃いで愛らしい衣装を脱がされることになるのだ。まだじっくりと堪能もできていない現状で着替えさせられてしまうのは避けたい。
 ベアータもそんなことはされたくないと考え、メルトの横に立つ。
「さっさと敵を倒して着替えるわよ」
「はっ……でも、これはチャンス?」
「何がチャンスなのよ?」
 そのとき、メルトはあることを思いついた。慣れない衣装に戸惑うベアータを見て、少しばかりよからぬこと――とはいっても健全だが、とにかく名案が浮かんだのだ。
「ベアータさん、実はですねっ」
 このままでは敵の力によって自分達は為す術なく着替えさせられてしまう。
 それを避けるためには、メイド服に隠された秘密の力を発動するべきだ。そのように話したメルトは真剣な瞳を向ける。
「こうやって、両手でハートマークを作ってカワイイポーズをとれば凄い力が発揮されるんですっ!」
「……はぁ!? 何よカワイイポーズって。一人でやってればいいじゃない!」
「二人一緒じゃないとダメなんです」
「そんなバカなハナシあるワケないでしょーが!」
「でも、でも――」
 抵抗するベアータに対してメルトは説得を続けていく。可愛いポーズの彼女が見たいがために頑張るメルトは懸命だ。
「着てるだけでも恥ずかしいのに、なんで恥の上塗りしなきゃならないのよっ!」
「信じて……くれないのです?」
 ついにメルトは、涙ぐんだ上目遣いでベアータを見つめた。その眼差しを受けたベアータの胸がきゅっと痛む。
「……う゛っ。……その顔は反則よ」
 後半はぽそりと呟いたベアータはこうしてメルトに屈した。オウガとの戦いには勝利できるだろうが、心の勝負で負けた気分だ。
 そう、たとえあとで怒られたとしても構わない。メルトはベアータの萌え萌えキュンが見たいのだ。何としても見たくて堪らないがゆえにひそかに妨害念波を張り巡らせながら頑張っていたのである。
「仕方ない、一回だけだからね」
「ありがとうございますっ!」
 はぁ、と大きな溜息をついたベアータは観念した。それにこれほど嬉しそうにメルトが笑ってくれているのならば萌えポーズの一回や二回――否、二回以上は心が死んでしまうのでさておいて。
「……萌え萌えキュン」
「きゅーんです!」
 それぞれの手でハートマークを作った二人の、棒読みの台詞と嬉しげな声が重なった。
「こんなことしたって何も起きるワケ……」
 ぱしゅん。
 その瞬間、ベアータから放たれた悩殺光線が目にも留まらぬ速さでオウガを貫く。一体のコーディネイターが音もなく倒れ、戦う力を失った。
「!!??」
 何が起こったか分からずに恐れ慄くオウガ達。
 メルトも思わず後ろに下がり、ベアータと自分とオウガを順繰りに見つめる。まさか本当に凄いメイドパワーが発動するとはメルトも予想していなかったらしい。
「え? あれ……なんかほんとにビーム出た……なにそれそんなの知らない……」
「……え? えぇー!? ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」
 はっとしたメルトはぎゅっとベアータに近付く。そうした理由はオウガが自分達の方に攻撃を仕掛けようとしてきたからだ。
「ベアータさん、次はボクとハートを作ってみてください」
「今のは何かの間違いで……えっ、二人で?」
 片手でハートの片割れを作ったメルトに合わせ、ベアータもハートの半分を形作っってみた。勢いでやってしまったことに一瞬の後悔が浮かんだ。しかし、その感情を整理する前に二発目の魅惑の光線、即ちレオパルデス・マグナムが発動した。
「きゃああ、恐怖のメイドビームよー!?」
「こんなのに負けちゃうなんてーっ!!!」
「ち、違うーっ!?」
 倒れ伏していくオウガの悲鳴に重なるようにして、ベアータの声が響き渡っていく。メルトはコーディネイター達の冥福をひそかに祈りながら、隣で狼狽えるベアータの様子をそっと見守っていた。
「ま、まぁこれでオウガも全て倒して無事に解決しそうだし、おっけー……です?」
「いいけど、よくなーいっ!!」
 首を傾げたメルトの横でベアータが恥ずかしさに満ちた声をあげる。まさかあのようなビームですべての決着がつくとは思ってもみなかったらしく、彼女の頬は林檎のような可愛らしい色に染まっていた。
 メルトはベアータのメイド姿をじっくりと眺められてご満悦。
 果たして正しき着替えとは、という疑問が少しばかり残ったりもしたが――そんなこんなで猟兵の活躍によってハロウィンの国を襲うオウガは退治された。
 後にメルトとベアータの戦いを見守っていた白ウサギ達の間で、もえもえきゅんごっこが流行りはじめたのは、また別のお話。

●Chocolate Halloween
 そうして、ハロウィンの国の平穏が取り戻される。
 甘い香りに誘われて、他の不思議の国からの移住者もたくさん訪れた。これからこの国はもっともっと賑やかになっていくだろう。
 毎日、毎月、毎年ハロウィンが続くとっても不思議な世界。
 明日も明後日も、そのまた次の日もきっと――此処には楽しい幸福が溢れている。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月10日


挿絵イラスト