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悪役遊宴

#サクラミラージュ #お祭り2021 #ハロウィン

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●悪役遊宴
 そこは水に愛された都だった。
 運河が張り巡らされた水の街はハロウィンの色に染まっている。
 ゴンドラに乗った煌びやかな紳士淑女はハロウィンの仮装を楽しんでいるのだ。
 船の飾りはカボチャやお化けモチーフなど様々。そして、それに乗る人々の姿は魔女や、狼男、吸血鬼。船頭も、今日は仮装姿でおもてなし。
 ほかにもさまざまな趣向を凝らして楽しんでいるのだ。けれどその中を、黒いゴンドラが静かに進んでいく。
 そのゴンドラも、カボチャやランプで彩られる。だが他のゴンドラとは違ってどこか、不気味さを増しているのだ。
 そして、それに乗る者達からはにじみ出る『悪』がある。
 そう、黒いゴンドラに乗った者達は『悪役』を興じているのだ。そして『悪役』だけを招く仮面舞踏会があるのだという。
「わぁ……かっこいい! 僕もパンプキンヘッドで……悪役の仲間入りができるかなぁ」
 運河の傍らを、とととと軽い足音で駆けて黒いゴンドラを追いかける子供がいる。
 いや、それは影朧だった。
 ハロウィンの賑わいにつられて現れたおさない子供の、影朧。
 影朧はゴンドラを追いかける。いいなぁ、そっちにいきたいなぁ、と。

●招待
「悪役になってきてくれんかな」
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、サクラミラージュへの招待じゃと笑う。
 とある水の都にて行われる『悪役』だけの、仮面舞踏会。その会場への案内は、黒いゴンドラの船頭に招待状見せれば連れて行ってくれるという。
「しばし優雅に、ゴンドラに乗って夜の水の街を楽しむと良いんじゃよ」
 町はハロウィンの彩を纏っている。ゆうるり進むゴンドラからその景色が楽しめるのだ。
 そしてきっと途中で、出会うだろうと嵐吾は言う。
 おさない子供の、影朧に。
「その影朧は一撃で倒せるくらいなんじゃけど……ハロウィンの気配に誘われてでてきたんじゃ」
 じゃからハロウィンを満喫すれば、そのまま転生に導くことができるだろう。
 ゴンドラに乗っているときにその子に会えば、『悪役』らしく声をかけてあげておくれと嵐吾は紡ぐ。
 気高くかっこよい『悪役』として。
 もし、ゴンドラでのおとないが遅くなるのであれば、その子をゴンドラに招いて――仮面舞踏会へ連れて言ってあげると良いとも。
「黒いゴンドラが案内する仮面舞踏会は、『悪役』だけの集いなんじゃよ」
 と言っても、仮面をつけて。楽しく踊ったり美味しいものを食べたりというものだ。
 しかしこの会場は毎年変わる。そして、素敵な『悪役』の装いでないと案内されないのだ。
「求められるのは品のある『悪役』じゃよ。『悪役』には美学が必要じゃ」
 とは言いつつ、皆なら遊び心もわかっておるし大丈夫じゃろうと嵐吾は言う。
 そして、まずは黒のゴンドラを楽しんでくると良いと猟兵たちを送りだした。


志羽
 お目通しありがとうございます、志羽です。
 プレイング締め切り、受付方法などはお手数ですがマスターページの【簡易連絡】をご確認ください。
 プレイング受付は冒頭公開後からとなります。

●シナリオについて
 第一章:日常『花水路の街』
 第二章:日常『回ル廻ル舞踏会』
 以上の流れとなっております。

 素敵な『悪役』コスをお楽しみください! という感じです。
 一章はゴンドラで会場までのみちのり。その途中で出会うかもしれない影朧へと『悪役』ロールを見せてあげてください。
 最終的に、影朧は最後に執筆する方のゴンドラに同乗します。

 二章は、仮面舞踏会です。
 どちらも、詳細は冒頭にて。

●お願い
 複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章参加の場合、IDについては必要ありません)
 ご協力よろしくお願いします。

 お声掛けあれば志羽のNPCもご一緒できます。
 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 日常 『花水路の街』

POW   :    街を見て回る

SPD   :    ゴンドラに乗る

WIZ   :    市や店を覗いてみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ハロウィンに染まる街はいつもよりおめかし気分。
 かぼちゃのランタン、紫と橙の布が張り巡らされ、陽気に笑う蝙蝠や月、かぼちゃにお化けのモチーフが町のいたるところに飾られていた。
 それはこの、水の町でも変わらぬこと。
 運河では大きな船の上ではパーティーが開かれている。
 ゴンドラひとつひとつにも、かぼちゃのランプがぶら下がっていたり、カンテラが置かれどこか不思議な様子。
 お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ、と船頭が言うと客はお菓子をひとつプレゼント、なんていうのもこの時期ならではのものだ。
 そして、ゴンドラで街を巡るのなら――橋の下にきたなら、ゴンドラに備え付けているランプを掲げると良い。
 その橋の下には絵が描かれている。ハロウィンにちなんだ絵が。
 そして幻想的な明かりが滲む、賑わう運河から少し外れた静かな場所を、すぃと音もなくゴンドラが往く。
 それは黒い色のゴンドラだった。そのゴンドラに乗っているものたちの仮装は派手で、華やかではあるのだが――そう、どこか。
『悪役』のようであった。
 己は悪い竜であるというように、頭にひねりあがる角をつけ、メイクは青白く、恐ろしく。服は豪奢でありつつ威厳があるもの。
 人好きする笑みを浮かべつつも、その手に美味しそうな林檎を――毒林檎を携えた美しい魔女。
 はては遠くの海からやってきた怪物や、異国からの旅人たる美しい狐の女。
 どこか『悪』の匂いをさせる者達だけが、その黒いゴンドラへと乗っていた。
 その様を――パンプキンヘッドのおさない子供が、影朧が追いかける。
 その影朧に出会えば、きっと問いかけるだろう。
「わぁ、かっこいい! あなたはどこからきたの?」
 通り抜ける橋の上から、並走する道から。心躍らせているのは、その声だけでわかる。
 小さな子供に夢を与えてあげるのも誇り高き『悪役』の仕事。
 意味ありげに笑ってみるのも、先達として声をかけるも良い。
 それが影朧を導く事となるのだから。
砂羽風・きよ
【箱蛸】

悪魔
(全身タイツではない)

やべー、雅が適役過ぎる(褒めてる)
い、いや!なんでもねーよ!似合ってるなと思っただけだ!

ってアックマンってなんだよ?!
きよしじゃねー!

つか俺に品のある役出来るのか?
うおお、んなこと言ってたら来ちまったわ!
く、ここは悪役ぶるしかない!

オイオイ、オマエそんなところにいたら
こわーい奴らに攫われるぜ?

ヒャッヒャッヒャ!
オマエもこのゴンドラに乗りたいのか?

雅――違う

魔王様!アイツも乗りてーみたいだぜ
どうするよ?(小悪党感満載)

どーしてもっていうんなら
可愛がってやってもいーかもしれねぇな!

ホラ、乗れよ!
これからオマエをわるーい所に連れてってやるよ

俺、結構イケてるんじゃね?


筧・清史郎
【箱蛸】

悪役になりきる、か
ふふ、初めての経験でわくわくするな(色々無自覚?

俺は(2020年の)魔王の仮装で参ろう
ん?似合っているか?
それはよかった(魔王すまいる

きよきよもとても似合っているぞ
アックマンきよしだな(勝手に命名

まずはアックマンきよしのワルなお手並みを拝見
おお、さすがはきよし、愉快度満点な悪だ(にこにこ

では、俺も合わせて
(なんかすごい魔王オーラ醸し出しつつ笑顔で)
この魔王のゴンドラを追いかけてくるとは
なかなか悪の見込みがあるな
魔王である俺とアックマンきよしと共に、世界征服しないか?
ふふ、ではまずは手始めに、わるーい所に一緒に行こう

ああ、さすがはきよし
イケてる愉快なアックマンだ(微笑み



●魔王せいしろうとアックマンきよし
 すぅ、と夜闇の中を真っ黒なゴンドラが一層、滑るように進んでいく。
 残念ながら全身タイツではなかった――砂羽風・きよ(漢の中の漢・f21482)の頭の上で悪魔の角、いや触覚がみょんとゆれた。
 そしてきよは、己の対面に座る筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の姿をまじまじと見つめていた。
「悪役になりきる、か――ふふ、初めての経験でわくわくするな」
 角にどこぞの高貴なるお方な服装。清史郎は魔王なのだ。その姿に思わずきよは零す。
「やべー、雅が適役過ぎる」
 それはきよからの褒め言葉。清史郎は何か言ったか、と笑み向けるのだがなんとなぁく、悪役み。
「い、いや! なんでもねーよ! 似合ってるなと思っただけだ!」
「ん? 似合っているか? それはよかった」
 そして清史郎はきよを見つめふわりと笑む。
「きよきよもとても似合っているぞ。アックマンきよしだな」
「ってアックマンってなんだよ?! きよしじゃねー!」
 勝手に命名。しかししっくりとくるその呼び名。
 つか俺に品のある役出来るのか? ときよは唸る。
 それはプレッシャー。え、どうすれば、と思っているとオレンジ色のパンプキンヘッドの子供が橋の上からゴンドラを見詰めている。
「うおお、んなこと言ってたら来ちまったわ! く、ここは悪役ぶるしかない!」
 すると、魔王は微笑んで――まずはアックマンきよしのワルなお手並みを拝見という。
 そこできよはゴンドラの上ですっと立ち上がり。
「オイオイ、オマエそんなところにいたら、こわーい奴らに攫われるぜ?」
「悪魔と魔王だ! かっこいい!!」
 と、その子は橋の上から、てててと走ってゴンドラに並んだ。
「ヒャッヒャッヒャ! オマエもこのゴンドラに乗りたいのか?」
「おお、さすがはきよし、愉快度満点な悪だ」
 では、俺も合わせてと清史郎もにこにこから一転、なんかすごい魔王オーラを醸し出す。悪――微笑を添えて仕様。
「この魔王のゴンドラを追いかけてくるとはなかなか悪の見込みがあるな」
 雅――違う。
 きよはふるふるふると首を横にふったが、それは箱に届かない。ここは俺がなんとかするしか!
「魔王様! アイツも乗りてーみたいだぜ。どうするよ?」
 子悪党感満載でちらっとしつつ方向修正と話をふる。しかし清史郎は魔王である。
「魔王である俺とアックマンきよしと共に、世界征服しないか?」
 魔王は、魔王と悪魔は世界征服だろうとふふと笑む。
 いや、逆にこの波には乗るしかない――きよは魔王に追随する小物感たっぷりに。
「どーしてもっていうんなら可愛がってやってもいーかもしれねぇな!」
 虎の威を借る――ならぬ、魔王の威を借るアックマンきよし。
 そして魔王は、パンプキンヘッドの幼子を誘う。
「ふふ、ではまずは手始めに、わるーい所に一緒に行こう」
「ホラ、乗れよ! これからオマエをわるーい所に連れてってやるよ」
 そしてアックマンきよしも早く来いよ! と手招く。
「俺、結構イケてるんじゃね?」
 ちら、と再びの視線。清史郎は笑って。
「ああ、さすがはきよし。イケてる愉快なアックマンだ」
「そうだろ! イケてる愉快なアックマ……」
 俺はアックマンきよしじゃねーし! と、きよの声が響きながらゴンドラはすすいと、離れていく。
 パンプキンヘッドの幼子はゴンドラに飛び乗ることはできなかったが、魔王とアックマン! とその存在にきらきらとした視線を向けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
コスプレ:アルと色違いの悪役海賊の船長服
あんまヒラヒラした服は動きづらくて好きじゃねぇけど
アルとお揃いなのは嬉しいっ♪
っと、ちゃんと悪役しないとだよなっ

子供に声かけるのはアルに任せる
オレがしゃべるとボロが出そうだからな
無言で子供に視線を送ったりアルの言葉に頷いたりしとくぜ
おとなしくしてるのも苦手だけどな…
でも後でアルがお菓子くれるって言ってたし頑張るぞ!

はぁ…なんか戦うより疲れた気がする
アルっ、お菓子ちょーだいっ!
(クッキーに目を輝かせて)
へへっ、アルもハッピーハロウィン♪


アルデルク・イドルド
ディル(f27280)
仮装:海賊(真の姿イラスト風)
水の近くと言えど運河と海原では違うもんだな。
俺達職業自体が『海賊』ではあるんだが。
悪役といえば悪役か…じゃあ、今日はそれらしく行こうじゃないか。なぁ、ディル!

パンプキンヘッドの幼子に問われれば
どこからきたかって?そりゃあもちろん海からさ!俺達は海賊だからな海賊船に乗ってな。

(喋らずにカッコいい悪役を演じたディルにクスリと笑って)
ん、お疲れさん。ちゃんとカッコいい海賊だったぜ?
ほら、ご褒美にクッキーだ。ハッピーハロウィン。



●海賊の宴
 海から――川へ。
 今宵、誘われた宴のために黒いゴンドラに揺られるのは、ディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)とアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)だ。
「水の近くと言えど運河と海原では違うもんだな」
 そう言って、頬杖ついてアルデルクはディルクへと笑いかける。
「俺達職業自体が『海賊』ではあるんだが」
 と、アルデルクは自分たちの職業を思う。
 その一般的なイメージは――良いものではないだろう。何せ、海の荒くれもの、船を襲ったりなんかをしている者達もいるのだから。
「悪役といえば悪役か……じゃあ、今日はそれらしく行こうじゃないか。なぁ、ディル!」
 今日はより悪役らしく、海賊らしく。
 豪奢に、格好良く。揃いの、色違いの船長服をアルデルクとディルクは纏う。
 ディルクは、ヒラヒラした服は動きづらくて好きではない。けれど、アルデルクとお揃いなのは嬉しくて、表情が緩んでいく。
 その表情の変化をアルデルクも笑って見詰めて――暗闇の中でもその瞳に映った自分の姿にぱっと、ディルクは思い出す。
 そう、今日は――悪役だ。悪役が嬉しさを、表情緩めて出してしまえば格好がつかない。きり、とディルクは表情引き締める。
「っと、ちゃんと悪役しないとだよなっ」
 悪役の海賊。ならどんな風にふるまえばいいだろうか。格好良くあればいいか、とディルクは考える。
 と、アルデルクの瞳に、オレンジ色のパンプキンヘッドの子供が映る。
 視線でディルクを促せば、彼もまたその姿を見つけた。とててと走ってくる姿は可愛らしい。
「オレがしゃべるとボロが出そうだからな……」
 アルに任せた、と深く船長帽をかぶってちょっと偉そうに座ってみる。
 ててて、とかわいらしい足音と共に、ゴンドラが近づくと並走してくる幼子。
 そして、その幼子の歩みに合わせてゴンドラもゆっくりとなる。
「わぁ! 海賊さんだ! どこからきたの?」
「どこからきたかって? そりゃあもちろん海からさ! 俺達は海賊だからな海賊船に乗ってな」
 大きく手を広げて、アルデルクは大仰にふるまって、なあとディルクへと声向ける。
 ディルクは深く被った帽子の下から視線向けて、そしてゆっくりとひとつ頷いて返した。
 大人しくしてるのも苦手――だけれども。
(「でも後でアルがお菓子くれるって言ってたし頑張るぞ!」)
 幼子のために、そしてお菓子のために――とディルクは耐える。
 そして幼子はどこにいくのと聞いてくる。
「海賊はこれから宴さ! 悪いやつらが集まる場所で」
 そう告げると、かっこいい!! と幼子は声を弾ませて僕もいきたいなぁなんて零す。
 その言葉に笑って、きっとお前も、そのうち来れる場所さ! とアルデルクはじゃあなとひらりと手を振る。
 それに合わせて、ディルクも帽子を取って一度振り、また被った。
 その様子に――クスリとアルデルクは笑う。それはもういいぞの合図でもあり、ディルクは肩から力を抜く。
「はぁ……なんか戦うより疲れた気がする」
「ん、お疲れさん。ちゃんとカッコいい海賊だったぜ?」
 なら、とディルクはきらりと瞳を光らせる。
「アルっ、お菓子ちょーだいっ!」
「ほら、ご褒美にクッキーだ。ハッピーハロウィン」
 クッキー! とディルクは瞳輝かせて嬉しそうに笑う。そのクッキーは、手渡されるのではなくてほら、と口の中に放り込まれる。
 サクリとした食感はナッツだろうか。美味いとディルクは眦緩めた。
「へへっ、アルもハッピーハロウィン♪」
 そう、ハロウィンの夜はまだ始まったばかり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【兎鯱】
仮装:黒のイブニングドレスに黒い羽モチーフのアクセサリー
ハロウィン飾りと黒猫ぬいを付けた箒を所持し魔女風に
背中の羽は収納

悪役といえば晃くんでしょうということでついてきてみました
デビルキングワールド行った時の参考になるかなと思って

うぇっ、あ、ごめん(顔逸らし

子供達に見られていない時にはワクワクと景色を楽しみ
…ところでこれ女らしく喋った方がいいのだろうか

晃君が悪戯に回収した物品は
蝙蝠仮装スタイルな【ハレン】に返却させます
トリックオアトリート
今宵は悪戯なお化けがいっぱいなのだから
油断は禁物よ

子供にも微笑で手を振り
ふふ、あまり虐めたら可哀そうよ
トリックオアトリート
貴方にも一夜限りの素敵な悪夢を


堺・晃
【兎鯱】
仮装:黒を基調に紫の差し色を入れた吸血鬼衣装

紳士的な振る舞いと優しげな微笑を浮かべながら
黒づくめ衣装で凛々しく立っておきましょう
澪君の視線には気づいていますが時折視線を向けては微笑で流し
そんなに熱い視線を向けられては照れてしまいますよ
と思ってもいない事をぽつりと

時折【指定UC】で操る人形に悪役ではない参加者達への悪戯を
といっても帽子を取ったり瓜二つの姿に変えて驚かす程度ですが
なに、細やかなお茶目だよ
トリックオアトリート
生き血の代わりに甘い菓子を頂こうか

折角ですから影朧の子供にも何か悪戯したいですね
ここから先は我らが支配する闇の時間
貴様の安全は保障出来ぬが
それでも立ち入る覚悟はあるか?



●吸血鬼と魔女の悪戯
 悪役と言えば――と、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)へと視線向ける。
 デビルキングワールド行った時の参考になるかなと思ってじぃと見つめる。
 黒を基調に紫の差し色を入れた吸血鬼衣装を纏う晃は、ゴンドラの上でもすっと、凛々しくたっている。
 黒づくめの衣装は闇に溶け込むようで、運河のきらめきも晃を映す水面は消えてしまうような気がする。
 その姿を見つめる澪は、黒のイブニングドレスに黒い羽モチーフのアクセサリーを。そしてその手には、ハロウィンの飾り、カボチャの蔦が巻き付き、黒猫のぬいぐるみが一緒の箒をきゅっと手に。
 澪は魔女風の姿で、背にいつもある羽は仕舞いこまれていた。
 そんな澪からの視線には、晃も気づいているのだ。時折、視線を向けては微笑みで流して――
「そんなに熱い視線を向けられては照れてしまいますよ」
 と、晃は表もいない事をぽつりと零した。
 その声を、澪の耳は拾い上げて。
「うぇっ、あ、ごめん」
 そっと顔を逸らす。
 その様子を今度は晃が目にしていて、小さく笑み零していた。
 すぅ、と進んでいくゴンドラ。大運河においては様々なゴンドラがいきかってハロウィンの夜を楽しんでいる。
 澪はその光景を楽しみながらふと、思う。
「……ところでこれ女らしく喋った方がいいのだろうか」
 今日は魔女の格好だから、と改めて自分を見る。
 近くを通るゴンドラには同じようにハロウィンの装いの人たち。並走しているのは、機械仕掛けの紳士と婦人。
 そのゴンドラへと向けて、晃は悪戯の糸を伸ばす。
 そっと伸びるのは、本物の人間のように精巧な人形であるMirror Dollの手だ。
 そうっと紳士の帽子を取って、被れば瓜二つ。
 驚く紳士と婦人をそのままにMirror Dollは晃のもとへ戻ってくる。
「なに、細やかなお茶目だよ。トリックオアトリート」
 その帽子を受け取って、優雅に礼をしてみせる。
 生き血の代わりに甘い菓子を頂こうか、なんて笑う晃。
 帽子をとられた紳士は苦笑して、ではと懐からお菓子の包みを取り出した。
 その様子を見ていた澪は、もう、と蝙蝠の仮装をした金蓮花の精霊、ハレンにその帽子を渡して運んでもらう。
「トリックオアトリート。今宵は悪戯なお化けがいっぱいなのだから油断は禁物よ」
 帽子を返してもらった紳士は気を付けるよと笑ってハレンへとそのお菓子を渡して離れていく。
 そして、ゴンドラは大運河から細い水路へと入っていった。
 すると――とてとてとかわいらしい足音が聞こえてきた。
「魔女さんと、吸血鬼さんだ!」
 わぁ、とその姿にパンプキンヘッドの幼子が楽しそうに寄って来る。
 少しスピード落としたゴンドラは幼子の歩みと同じ速度だ。
「おや、何者かバレてしまった」
 折角なのだから、この影朧の子供にも何か悪戯をと晃は考えて。
「ここから先は我らが支配する闇の時間、貴様の安全は保障出来ぬが――それでも立ち入る覚悟はあるか?」
 そう問いかけると、幼子は闇の時間……! とドキドキ興奮しているようだ。
「ふふ、あまり虐めたら可哀そうよ」
 トリックオアトリート、貴方にも一夜限りの素敵な悪夢をと、澪がひらりと手を振る。
 ハレンがすすいと幼子の傍によってくるりと頭上を回ればそれだけで幼子は嬉しいのだ。
 そしてゴンドラはまた進む速度を速めていく。
 幼子が手を振りながら追いかけてくるけれど、いつの間にか距離は離れて暗闇の中。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
【花面】

ゴシックな感じのスーツにマント。吸血鬼の装いでゴンドラ旅
折角だからよりそれらしく羽根も付けておこうか

影朧の子を見かけたら、にこりと微笑んで手を差し伸べて
君に勇気があるのなら、追って来てご覧
私を満足させる血を捧げたならば、君も私の眷属だ
それとも悪を屠る剣を取るかい?
さぁ、選びたまえ。君が揮う勇気は、どちらなのか!

ばさぁっとマントを広げて大仰な感じで演じよう
ふふ、シェルゥカがたまに悪役ムーブをするけれど、確かに楽しいものだね

…おや、シェルゥカ、内緒話かい
幼い子供を唆して、何を企んでいるのやら
ねぇ、南瓜の子。私にも教えてくれる?
…だめ?
それじゃぁ仕方がないね
この先の舞踏会で、白状させようか


シェルゥカ・ヨルナギ
【花面】

夜空色の衣とマント、豪奢なレースの藍色ジャボな装いで
顔には気に入りの面を
星月の装飾と羽飾り、左目部分は逆五芒星

どこからきたのと問われたら指先だけで天を示そう
俺は凶星の化生
涙を求め降ってきた
亡くした者との逢瀬を希う綺麗な雫は、魔女との取引で退屈凌ぎの玩具と変わる
吸血鬼の傍なら楽に手に入ると思ってね

…なんて
素敵な南瓜の君にだけこっそり教えてあげよう
本当の目当ては吸血鬼の彼
あまりに楽しそうだから俺だけの宮殿へ閉じ込めてみたい
どんな顔をするだろうね
寂しさで泣いてしまうかな
今も俺を疑いもせず可愛いものだね

彼には内緒だよ
悪事は秘めやかに企てるもの
知らせるというならまずは君から攫って閉じ込めようか



●先を往く者たち
 ひらりとマントの裾を翻す。上品なゴシック調のスーツを纏ったエンティ・シェア(欠片・f00526)は、今日は吸血鬼だ。
 折角だからそれらしくと突けた羽根はまだ少し動くのに慣れない。
 その隣、シェルゥカ・ヨルナギ(暁闇の星を見つめる・f20687)は夜空色の衣とマントを。そして豪奢なレースの、藍色ジャボ。
 顔には気に入りの面。それは星月の装飾と羽飾りがあり、左目部分は逆五芒星となっているものだ。
 ゴンドラに揺られての旅は、短いものと知っている。
 それでも、水の都の夜は二人を心地よく迎えてくれた。ゴンドラは音もなく進み――大河から、細い水路へと進んでいく。
 するとその色は、夜の闇の色の中でよく映えた。橙色のパンプキンヘッド。
 川べりを歩いている影朧の幼子だ。
「あ、黒いゴンドラだ!」
 その幼子も、ふたりに気付いてきゃっきゃと嬉しそうな声を上げる。
 ゆるりと進んでいくゴンドラは幼子にとっては少しだけ駆け足をしなければ並べぬ速さだ。
 エンティはにこりと微笑んで、手を差し伸べる。
「君に勇気があるのなら、追って来てご覧」
 私を満足させる血を捧げたならば、君も私の眷属だとエンティはマントをばさぁっと広げて、大きな動きで幼子を誘う。
 そして、招くように差し出された手は、ゆっくりと握られて。
「それとも悪を屠る剣を取るかい?」
 それは剣を掴むような、動き。
 幼子はどきどきしながら、見つめている。その視線には憧れが混じり、エンティはこれはと思って、小さな声で零す。
「ふふ、シェルゥカがたまに悪役ムーブをするけれど、確かに楽しいものだね」
 それはシェルゥカだけに聞こえるほどの声。そしてまた、幼子の心を躍らせてやるのだ。
「さぁ、選びたまえ。君が揮う勇気は、どちらなのか!」
「わぁ……僕は……追いかけていくよ! ねぇ、あなたたちはどこからきたの?」
 興奮気味で、駆け足も早くなる。
 さぁどこからだろうねとはぐらかしてしまうのも楽しいかもしれない。
 けれど、シェルゥカはすっと指先だけで天を示す。
「上? お空?」
 そう、とシェルゥカは頷く。
 俺は凶星の化生――涙を求め降ってきた、と。
「亡くした者との逢瀬を希う綺麗な雫は、魔女との取引で退屈凌ぎの玩具と変わる。吸血鬼の傍なら楽に手に入ると思ってね」
 そう言って、シェルゥカはエンティを示す。
 そしてふっと、声を小さく。
「……なんて素敵な南瓜の君にだけこっそり教えてあげよう」
 その続く言葉は、エンティにも聞こえているけれど聞こえていないふり。
「本当の目当ては吸血鬼の彼。あまりに楽しそうだから俺だけの宮殿へ閉じ込めてみたい」
 どんな顔をするだろうね、と。
 寂しさで泣いてしまうかな――なんて。
 今も俺を疑いもせず可愛いものだねと楽しげにするのは、悪の気配を幼子に感じさせて心ときめかせるのだ。
「……おや、シェルゥカ、内緒話かい。幼い子供を唆して、何を企んでいるのやら」
「彼には内緒だよ」
 ちらり、とシェルゥカは幼子からエンティへと視線だけを。幼子は悪の約束だね! と大きく頷いた。
「そう、悪事は秘めやかに企てるもの」
「ねぇ、南瓜の子。私にも教えてくれる?」
「だめだめ! 教えられないよ!」
 そう言いながらも、でも秘密を零すのは悪者もすると幼子は思う。
 そんな様子にシェルゥカは、小さく口端に笑み乗せて。
「知らせるというならまずは君から攫って閉じ込めようか」
「さらう? わあ! 悪者がさらわれちゃだめだ! 絶対言わないよ!」
 さらうのは悪者。僕はかっこいい悪者になりたいんだと幼子は言う。
 さらわれちゃったら悪者になれない! と幼子なりの美学があるらしい。
 だめ、と言い切った幼子に残念そうな表情を向けるエンティ。
「……だめ? それじゃぁ仕方がないね」
 けれど、残念そうなのはわずかの間で。
「この先の舞踏会で、白状させようか」
 待っているよ、と笑う。追いかけておいで、と。
 シェルゥカも、ひらりと手を振って待っていると伝えるのだ。
 幼子は――僕も絶対にいくね! と大きく手を振ってゴンドラを見送る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
クラウ(f03642)と

丸眼鏡は仕舞い込み
梟の仮面に翼な外套
悪魔として舟に乗ろう

悪役は綴ることもなくて
演じるのは難しそうだが
心強い死神も居ることだし
張り切ろうと、片目瞑り

――僕も嬉しいですとも
華美な場何て、何時振りか
貴方の導く世界だって
僕は好きですがね、ククク
翼袖で歪む口許を押さえ

これは美味しそうな、否
可愛らしい南瓜頭ですこと
好奇心があるのは宜しいが
夜の恐ろしさを知らないよう

死神の答で満足しないのならば
梟が秘密を教えてさしあげよう
そう、僕達がやってきたのは
夜より恐ろしい、死の世界!

外套を大きく広げれば
手品で宵色の花飛ばし
爪先揺らげば貴方の出番
手を引く様に笑みを深め

御案内しますとも
――涯まで、ね


クラウン・メリー
ライラ(f01246)と

骸骨の仮面で笑顔を隠し
大きなローブを羽織り鎌を持つ

悪役になりきるなんてとってもわくわくするな!
よーし、死神さん頑張っちゃう!

――梟の君といっしょに舞踏会へ行けて嬉しいよ
案内される側もたまには悪くないね
ケタケタお道化てみせて

おやおや、小さなパンプキンさんがやって来た
こんな所にいては危ないよ
誰かに連れ去れてしまう

ヒヒヒ、何処から来たのかは秘密
此処より遠い遠い場所さ

わ――
思わず拍手したくなっちゃったけれど
首を横に振り

梟の君はいつも素敵な驚きを見せてくれる
小さい君が驚いて川に落ちそうになったら手を引こう
もちろん私だってやる時はやるさ

さぁ、おいで
私達がいっしょに連れて行ってあげる



●梟と死神の招き
 水面は静かだ。
 運河から、細い水路へ――暗い方へと進んでいく。
 それは暗闇に溶け込んでいくようだった。
 いつもの丸眼鏡は仕舞いこみ、今日は代わりに梟の仮面。
 そしてその裾が翼たる外套を纏って悪魔となったライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)。今日は作家の顔は潜ませて、悪魔なのだ。
 その傍らでクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は骸骨の仮面で顔を隠して、大きなローブを羽織り鎌を持つ。これからは道化の時間ではなく死神の時間なのだ。
「悪役になりきるなんてとってもわくわくするな! よーし、死神さん頑張っちゃう!」
 と、鎌を持ち上げいつもの様に笑って、はっとする。悪役悪役と今日の演技を始めるクラウン。
 ライラックは、悪役は綴ることもなくて演じるのも難しそう。けれど、クラウンが隣にいれば心強く、張り切ろうと片目瞑ってみせる。
 互いに、今日は何時もの自分とは違う心地。
「――梟の君といっしょに舞踏会へ行けて嬉しいよ」
「――僕も嬉しいですとも」
 案内される側もたまには悪くないね、とケタケタお道化てみせるクラウン。
 華美な場何て、何時振りか、とそうっとマントの端もって翼の如く動かして。
「貴方の導く世界だって僕は好きですがね、ククク」
 翼袖で歪む口許を押さえライラックは笑い零す。
 ゆるりと進むゴンドラ。その上からクラウンはその姿を見つけた。
 オレンジ色のパンプキンヘッド。シーツを被ったようなその姿はすぐにわかる。
「おやおや、小さなパンプキンさんがやって来た」
 とてててとかわいらしい足音だ。ゴンドラの近くまでやってきて、悪い人たちだ! と大喜び。
 ゆるりと動くゴンドラの傍を一生懸命に駆けてくる。
「これは美味しそうな、否――可愛らしい南瓜頭ですこと」
 梟は喉鳴らすように笑って、死神は鎌を肩にとんと。
「こんな所にいては危ないよ。誰かに連れ去れてしまう」
 悪役のふるまいは、幼子の心を擽っていく。
「ねぇねぇ、黒いゴンドラにのってる二人はどこからきたの?」
「好奇心があるのは宜しいが、夜の恐ろしさを知らないよう」
 ライラックが口許隠したままに紡げば、マネするように幼子は自分の手で口元隠して、教えて教えてという。
「ヒヒヒ、何処から来たのかは秘密。此処より遠い遠い場所さ」
「遠い遠い場所? そこはどんなとこか教えて!」
 知りたがりさんだとクラウンが笑う。
 死神の答えで満足しないのならば梟が秘密を教えてさしあげようと、ライラックは大仰に。
「そう、僕達がやってきたのは――夜より恐ろしい、死の世界!」
 外套をばっと、大きく広げれば宵色の花が飛ぶ。
「わ――」
 と、クラウンは思わず拍手したくなったけれど首を横にふる。だって今日は死神だ。驚くのは、パンプキンヘッドの幼子が一番に。
 幼子はわぁ! とそれ掴もうと手を伸ばして――爪先がよろり。
 ライラックは貴方の出番、と笑み深める。
 梟の君はいつも素敵な驚きを見せてくれる、と笑って。
 もちろん私だってやる時はやるさとクラウンは手を伸ばす。
「さぁ、おいで。私達がいっしょに連れて行ってあげる」
「御案内しますとも――涯まで、ね」
 幼子はよろけたけれど、どうにか踏みとどまって。
 でも連れて行ってくれるなら――きっとこの先にあるのはあこがれの世界。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アオイ・フジミヤ
のんびり揺れるゴンドラは花筏

私はブルー
クジラが謳う南の国
ペンギンが哂う北の国
日が昇らない国
さて、何処から来たかな

踝丈の黒いタキシードに12センチのピンヒール
瞳を隠すマスクを月のモチーフで彩って
私は自由と我儘を賛美する怪盗
予算は有り余ってる人から拝借するの、それくらいカワイイもんでしょ

私は世界が見たい、そこでしか見れない彩と空気が欲しい
夜の果てまで旅をする
どこでも行くよ

明日の私はもうここにはいない

ねえパンプキンヘッド
君はどこに行きたい?どこへでも行けるよ
決めたなら、どんな我儘も貫き通すことが美しい
(パンプキン顔の栗マカロンを渡した)

うん、恥ずかしげもなくかっこつけられるからひとりもたまにはいいな



●怪盗の流儀
 のんびり揺れるゴンドラは花筏――そこでアオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)は格好良く、真っすぐに立っていた。
 踝丈の黒いタキシードに12センチのピンヒール。瞳を隠すマスクは月のモチーフで彩られていた。
 アオイが興じているのは怪盗。
 その姿を見つけたパンプキンヘッドの幼子は、わるものだ! と喜んでついてくる。
「あなたはだあれ? どこからきたの?」
 教えて教えてと、子供の興味がきらきらとアオイへと向けられる。
 アオイはふ、と口端に笑みを乗せる。
「私はブルー」
 どこからきたのという声にそうねと少し考える。
「クジラが謳う南の国、ペンギンが哂う北の国」
 そんな国があるの? と幼子ははしゃいでみせる。その様子にアオイは微笑んで。
「日が昇らない国――さて、何処から来たかな」
 そしてはぐらかして、幼子の想像を掻き立てるのだ。
 マスクに隠れる瞳は幼子の自由な様に細められる。
 そして幼子は、あなたは何者なの? と問い掛けた。
 その問いに、アオイは己の胸元に手を添えて。
「私は自由と我儘を賛美する怪盗。予算は有り余ってる人から拝借するの、それくらいカワイイもんでしょ」
 怪盗さん! と幼子ははしゃぐ。
 そのきらきらとした憧れの視線にアオイは微笑んで。
「私は世界が見たい、そこでしか見れない彩と空気が欲しい。夜の果てまで旅をする、どこでも行くよ」
 明日の私はもうここにはいない――そう言ってアオイは、ねえパンプキンヘッドと幼子に言葉向ける。
「君はどこに行きたい? どこへでも行けるよ」
 決めたなら、どんな我儘も貫き通すことが美しい。
 君もそんな美しさをと願うように。アオイはそうだと、パンプキン顔の栗マカロンを幼子の手へと残す。
 するとすぃ、とゴンドラはスピードを上げて、幼子から離れていくのだ。
 その姿が見えなくなってアオイはふーと息を吐く。
 少しくすぐったいような、そんな心地だ。
「うん、恥ずかしげもなくかっこつけられるからひとりもたまにはいいな」
 笑み零して――向かうは、絢爛の宴。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
【華禱】
盾誓を使用
真の姿で古式ゆかしき吸血鬼の仮装

礼装もロングマントも黒
目元だけを覆うヴェネチアンマスク
これは黒に銀糸の刺繍が美しいもの

同じく真の姿の夜彦に笑い
折角なだから、悪役らしく楽しもうと思ってな
あんたも魅力的で素敵だぞ?
なるほど……この羽根はそれを暗示してるのか

影朧の子供に出会えば

さて、どこから来たと思う?

そう意味ありげに笑ってから
そっとしーっと人差し指を口許に当てて

ここでは言えないな
『奴ら』に知られてしまう
知りたければおいで
黒いゴンドラはその案内を務める

そこに辿り着けたなら
俺達が何処から来たのか、何処へ行くのか
教えてやろう

寄り添う夜彦をマントで包み込んで
誑かすように笑い掛けて誘う


月舘・夜彦
【華禱】
祷誓を使用
真の姿、黒いローブを纏った魔女の仮装
髪は普段のポニーテールに、一部は編み込み
そして本体である簪を左耳の上辺りに飾る

紫の差し色に黒のローブ、鴉の羽のマントを羽織り
手には刀ではなく箒を持って、悪い魔女のような装いに

倫太郎、とても似合っていますよ
貴方の姿に負けないように悪役の格好をしてみたのですが
マントを使えば鴉に変身出来る……みたいな感じです

影朧の子供に出会えば同じく秘密と言いたげに微笑んで
明かすのは簡単……ですが、それでは面白くないでしょう
辿り着いた時に答えますよ
それまで考えてみて、答え合わせをするのはどうでしょう?

彼に抱き込まれながら、優しく微笑んで手招き



●吸血鬼と魔女の招き
 今日は黒を身にまとう。己の真なる姿になって、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)はロングマントの裾を翻した。礼装も黒、その色がよく似合う。
 目元だけを覆うヴェネチアンマスクも黒だが、銀糸で施された刺繍が美しく、彩られていた。
 そして月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、今日は真の姿でもって。
 黒いローブを纏った魔女の姿。長く美しい髪は頭の高い位置でくくりあげ、一部は編み込まれていた。そして、己の本体である簪を左耳の上辺りに飾る。
 黒のローブは、紫色の気配を僅かにまとって。鴉の羽のマントを。
 そしていつもと一番違うのは、今日は手に刀ではなく箒を持っていることだろうか。
 今日は、倫太郎は吸血鬼で、夜彦は悪い魔女なのだ。
「倫太郎、とても似合っていますよ」
「折角なだから、悪役らしく楽しもうと思ってな」
 同じように真の姿である夜彦に笑って、倫太郎は紡ぐ。
「あんたも魅力的で素敵だぞ?」
「貴方の姿に負けないように悪役の格好をしてみたのですが」
 そう言って、鴉の羽のマントの端をそっと持って、夜彦は拡げて見せる。
「マントを使えば鴉に変身出来る……みたいな感じです」
「なるほど……この羽根はそれを暗示してるのか」
 倫太郎は夜彦に笑いかけて、ともに水の都の夜を楽しむ。
 黒いゴンドラはゆるりと運河を巡って、そして細い水路へと入っていくのだ。
 傍らの道とは手を伸ばせば届く距離だろうか。
 そんな二人の乗ったゴンドラの前に橋が一つ。それを潜り抜ける――けれど、その橋の上に橙色の、パンプキンヘッドが見えた。
「こんばんは! 吸血鬼さんと魔女さんかな? ねぇ、どこからきたの?」
「さて、どこから来たと思う?」
 意味ありげに笑ってから、倫太郎は周囲を見回してそっと、しーっと人差し指を口許にあてる。
 夜彦も、秘密と言いたげに柔く微笑んでいた。
「ここでは言えないな」
「ええ、どうして?」
 橋の下に差し掛かる。幼子は、ゴンドラが橋の下を通り始めたら急いでその反対側に。
 ふたたび見えたなら、倫太郎は幼子に聞こえるほどの声でそうっと告げる。
「『奴ら』に知られてしまう」
「明かすのは簡単……ですが、それでは面白くないでしょう」
 辿り着いた時に答えますよ、と魔女は提案をするのだ。
「知りたければおいで。黒いゴンドラはその案内を務める」
 追いかけて、それとも誰かに乗せてもらって――集う場所へとくると良い、と。
「それまで考えてみて、答え合わせをするのはどうでしょう?」
「そこに辿り着けたなら――俺達が何処から来たのか、何処へ行くのか」
 教えてやろう、と笑って倫太郎は笑って傍らの夜彦へと手を伸ばす。
 マントをひろげて、包み込んで、抱き込むのだ。
 誑かすように笑い掛けて誘う倫太郎と、夜彦は包まれたマントの中からそっと手を伸ばし、優しく微笑んで手招きする。
 この先で待っているというように。
 幼子はぴょんと橋の上で跳ねる。
「行くよ! 僕も絶対、そこに行くんだ!!」
 あこがれの、その場所へと――先往くゴンドラを見送って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

黒騎士に仕える悪の竜の仮装を
顔に鱗のペイント、黒の鱗の様なスケイルアーマーを着用し竜の角に翼をつけ宵と共に祭りを楽しもう
皆明々に楽しんでおるのだなと街並みを眺めつつも楽しそうな宵を見ればそうかと笑みを
子供達が来たら宵の言葉に意味ありげに頷き見つめてみよう
主人の隣に在れるならばどの国にあっても同じだがな
その後はお前達も大事な者の元に帰るといいと子供達を見送れればと思う

本当に…なんだ。俺が悪を演じるとは…
まあ、昔の俺ならば躊躇したやもしれんが…今はなんだ。宵が俺の正義ゆえに
宵が悪と呼ばれる道を歩くのならば俺も共に行こうとそう笑ってみようか
さあ、俺の導きの星よ
次はどこに向かうのだ?


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

悪の竜を従える黒騎士の仮装を
つや消しの黒色の鎧を着込み、闇夜に溶け込むマントを羽織り
半面のみ隠す兜を被り、槍を手に歩きましょう

傍らを歩く竜の仮装をしたかれを見上げつつ
ええ、ハロウィンとなるとやはりワクワクしますからね
年に一度のお祭に、心は浮き足立たずにはいられないものです

子どもたちがやってきたらば意味ありげなかれの笑みに、合わせるようににこりと笑んで
きみたちが知らないくらい、山と海を越えた遠い国からさ

そしてかれの言葉には、くすぐったそうに笑ってから
きみは僕の道しるべ
きみの照らす道だけが僕の歩む道です
愛しい愛しい僕だけの天狼星、次なる道をお示しください



●悪の竜と黒騎士
 今宵は、悪の竜と、悪の竜を従える黒騎士に。
 つや消しの黒色の鎧を着込み、闇夜に溶け込むマントを羽織る。
 半面のみ隠す兜をかぶり、槍を手にしているのは逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)だ。
 その隣のザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)はその黒騎士に仕える悪の竜。
 顔に鱗のペイントを施し、黒の、鱗の様なスケイルアーマーを、そして竜の角と翼をつけていた。
 共に歩く水の都の街並みは美しい。ゴンドラに乗る前にその街を二人で進む。
 宵は傍らを歩く竜の仮装したザッフィーロを見上げる。
 すると、皆明々に楽しんでおるのだなと周囲を見回していたザッフィーロも同じタイミングで宵へと視線を向けていた。
 楽しそうだな、と宵へ笑み向ければ。
「ええ、ハロウィンとなるとやはりワクワクしますからね」
 宵はふふと笑みと共にその心を零す。
「年に一度のお祭に、心は浮き足立たずにはいられないものです」
 そうか、とザッフィーロは笑みを向け――遠くから聞こえてきた足音に、守るように宵の前に立つ。
 けれど、その近づく足音は何も構えるものではないと知って警戒を解く。
 それは橙色の、パンプキンヘッドの幼子なのだから。
 今日、楽しんで、そして導いてあげるべき存在。
「わぁ、騎士様だ! 騎士様と……竜だ!」
 こんばんは! と幼子は寄って来る。そして、何処から来たの? と興味のままに尋ねてきたのだ。
 その問いかけに意味ありげに笑って見せたのはザッフィーロ。
 そして宵が、その笑みに合わせにこりと笑み、答えを紡ぐ。
「きみたちが知らないくらい、山と海を越えた遠い国からさ」
「主人の隣に在れるならばどの国にあっても同じだがな」
 とっても仲良しで、どこでもいっしょなんだね! と憧れの視線を幼子は向けてくる。
 そんな幼子たちへとザッフィーロは告げる。
「お前達も大事な者の元に帰るといい」
 細められた瞳は優しさを微かににじませる。幼子は、大事な……と零して、走り始める。
 さて、あの幼子はどこへいくのだろうか――その姿をふたり、見送っていく。
 そしてその姿が見えなくなると、ザッフィーロはひとつ、息吐いた。
「本当に……なんだ。俺が悪を演じるとは……」
 なんともいえぬ声色を零すザッフィーロ。
「まあ、昔の俺ならば躊躇したやもしれんが……今はなんだ。宵が俺の正義ゆえに」
 その心は変化している。昔の己と、今の己と――今だからこそ、という事もある。
 だから、このハロウィンの夜に悪戯も仕掛けられるのだ。
「宵が悪と呼ばれる道を歩くのならば俺も共に行こう」
 竜は黒騎士に、ついていくのだからと笑みを。
「さあ、俺の導きの星よ、次はどこに向かうのだ?」
 それは竜としてか、それともザッフィーロ自身の言葉としてか。
 すると宵はくすぐったそうに笑って。
「きみは僕の道しるべ。きみの照らす道だけが僕の歩む道です」
 その言葉にザッフィーロは瞬いて、表情を柔らかに。宵はその表情にまた笑み深くして、紡ぐのだ。
「愛しい愛しい僕だけの天狼星、次なる道をお示しください」
 宵の言葉に、では――あちらはどうだと示す。そこにいるのは黒いゴンドラ。次の場所へ送るもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【nyx】

悪役、ね
噫、闇に乗じて演じて魅せるとも
俺は海賊船長の仮装で
漆黒の海賊帽とマントを翻し
サーベルは腰に
水上とゴンドラ…船上ならば其れっぽく映るだろ

二人は、桜女狐に、妖しいカンテラの魔女さん、かな
菫の狐さんは何処か親近感湧いてしまうな
俺のとこの狐が喜びそうな
千織は、目許に傷もある…!
本格的だし雰囲気在るね

『さあ、行こうぜ。美しく妖しい船旅の始まりだ!』
なんて船長らしく号令なんてしてみて
影朧の少年を見掛けたら
なあ、少年。宝の地図は識っているか
豪奢で貴重な財宝は凡て俺のもの
……なあ、奪われてみる?お前も俺に
カンテラの灯りに桜が舞う魅惑の演出
ゴンドラから手を差し伸べて、悪の甘美な御誘いを


橙樹・千織
【nyx】

ふふ、悪役の装いは少しソワソワしてしまいますねぇ
お嬢さんを眠らせてしまう魔女にしてみました
糸車風の杖と緑に光るカンテラが怪しげで面白いでしょう?
ちょっとお化粧で傷も付けてみました
目を縦に通る傷を見せるようウィンクぱちり

千鶴さんの海賊姿は格好いいですねぇ
悪いことでも協力してしまうかも
菫さんの妖狐姿は可愛らしくも妖しげで
魅せられてしまうかもしれませんねぇ

『ふふ、お魅せしましょう。夢の世界を』
千鶴さんのかけ声にそっと笑み
コツリ杖を音立てればカンテラの灯りがともる

そうね、あなたの宝を、夢を私にも魅せて?
船長に続いてカンテラを掲げ、足元を照らしましょう
ほら、桜もあなた乗船をまってるみたい


君影・菫
【nyx】
ふふ、悪役なんてなあ
うちは白い桜狐の妖
もふりとしたふわふわの尻尾と耳
肌の見える着物に扇子をひらり
馨る妖艶な雰囲気で
…な、どない?

男前で前行く海賊船長はえろうカッコええなあ
糸紡ぎの杖と緑の灯りを持つ魔女は疵も含め本格的やね
ふたりともよう似合っとうよ

『もふもふの夢、さくらの夢。ふふ、キミが魅たいのはどっち?』
ちぃの号令にはふわっと桜の花びらを風に乗せたら
出航の演出にもなるやろか?

なあなあ、うちにもキミを教えて?
ふわり尻尾を揺らし蠱惑の響きを添え
触ってみる?なんて、
桜のはなびらを舞い散らし
船長と魔女に続いて
おねだりと、遊ぼ?の誘い
ゆびさきで誘う先は――何処やろね?
くすり妖しく咲ってひらり



●出航の時
 ハロウィンの賑わい。それは夜になると輝きを増していくようだった。
 この夜だからこそ、装いはそれにふさわしく。
 悪役、ね――と、宵鍔・千鶴(赫雨徨花・f00683)は笑って見せる。
「噫、闇に乗じて演じて魅せるとも」
 ひらりと、夜に溶けるように漆黒のマント翻し、頭の上には海賊帽子。サーベルと腰にし、ゴンドラの先に立てば――その姿は海賊に間違いない。
「桜女狐に、妖しいカンテラの魔女さん、かな」
「ふふ、悪役の装いは少しソワソワしてしまいますねぇ」
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)は魔女の装い。でも、ただの魔女ではなく。
「お嬢さんを眠らせてしまう魔女にしてみました。糸車風の杖と緑に光るカンテラが怪しげで面白いでしょう?」
 杖とカンテラ掲げて見せる千織。そして、顔を指さして。
「ちょっとお化粧で傷も付けてみました」
 目を縦に通る傷。それを見せるように千織はウィンクをひとつ。
 千鶴はどれどれとよくよく見詰める。
「目許に傷もある……! 本格的だし雰囲気在るね」
「千鶴さんの海賊姿は格好いいですねぇ。悪いことでも協力してしまうかも」
「ふふ、悪役なんてなあ」
 うちは白い桜狐の妖、と君影・菫(ゆびさき・f14101)はもふりとしたふわふわの尻尾と耳を。
 肌の見える着物に扇子をひらりと躍らせて馨るは妖艶さ。
「……な、どない?」
 笑み零しそうっと視線を流す様に。
「菫さんの妖狐姿は可愛らしくも妖しげで、魅せられてしまうかもしれませんねぇ」
 菫の狐さんは何処か親近感湧いてしまうなと千鶴は笑む。
「俺のとこの狐が喜びそうな」
 その声にそうやろかと菫は笑って返して。
「男前で前行く海賊船長はえろうカッコええなあ」
 そして千織にも視線向けて、糸紡ぎの杖と緑の灯りを持つ魔女は疵も含め本格的やねと。
「ふたりともよう似合っとうよ」
 けれど、いつまでもゴンドラを留めておくわけにはいかないから。
「さあ、行こうぜ。美しく妖しい船旅の始まりだ!」
 なんて、船長らしく千鶴は号令をかける。
 その声にそっと笑み、千織はコツリ。杖を音立てればカンテラの灯りがともる。
「ふふ、お魅せしましょう。夢の世界を」
 ちょっと気恥ずかしい気もするけれど、今日はハロウィンの夜だから。
 その声にゴンドラはすぃと動き始める。
 夜の、水の都。進は海原ではないけれど、頬を撫でる風は心地よい。
 煌めく街並みを楽しんでいるとゴンドラは細い水路へと入っていく。
 すると――黒いゴンドラだ! と楽しそうにパンプキンヘッドの幼子がついてくる。
「なあ、少年。宝の地図は識っているか」
「宝の地図?」
 豪奢で貴重な財宝は凡て俺のものと千鶴は笑って、そして誘いをかけるのだ。
「……なあ、奪われてみる? お前も俺に」
「そうね、あなたの宝を、夢を私にも魅せて?」
 千鶴に続いて、カンテラを千織も掲げて足元を照らしていく。すると幼子は、驚いて、けれど楽しそうにはしゃぐ。
 そしてふわり――カンテラの灯りに桜が舞う。
 誘うようにゆうらり、ふわり。
「ほら、桜もあなた乗船をまってるみたい」
 そしてもうひとつ。菫もふうわり尾を揺らして。
「もふもふの夢、さくらの夢。ふふ、キミが魅たいのはどっち?」
 ふわっと桜の花びらを風にのせて舞わせていたのは菫だ。出航の演出にもなるやろか? と菫は笑む。
 どうする? と千鶴は手を差し出した。
「なあなあ、うちにもキミを教えて?」
 ふわりと尻尾を揺らして、蠱惑の響きを添える。触ってみる? なんて、桜のはなびらを舞い散らす。
 おねだりと、遊ぼ? の誘いをかけて、菫はゆびさきで誘う。
 その先は――何処やろね? と。
 差し出された手がある。招かれる言葉、誘い。
 千鶴を、千歳を、菫を見て幼子はぴょんと跳ねた。
 ゴンドラへと跳ねて、その手を捕まえる。幼子が飛び乗ってゴンドラは揺れるけれどすぐに落ち着いて。
 幼子はゴンドラへと招かれた。さぁ行こうと――ゴンドラはゆるり、目的の場所へと進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーシー・ブルーベル
【月光】

悪々親子ふたたびね!
悪々よ、ゆぇパパ。絶対よ!
むう、今回のパパも悪かっこいい
それにしても
いつそんなお洋服持ってたのかしら
わ、くちゃってしないでー!

ドクロのマスクを被って
黒と白の骨ホネ模様の服を着て
ぬいぐるみのララも太い釘が刺さった風に飾り付け

前に見たお芝居の怪物さんがこんな格好だったの
怖くて少しだけしか見てないけど

ふふーん、どうどう?ゆぇパパ!
今度こそ悪い人に見える?
裾をくいくい、(マスクの下で)ドヤっと見上げるも

わわっ(マスクをポイされ)
わわわっ(瞬く間に髪型やお洋服が悪カワイイ感じに!)
パパって本当にコーディネイトがお上手ねえ……!
くるりと回って
んふふー、パパありがとう!

ゴンドラにえいやと飛び乗って……と、と、あぶない
ふふ、掴んで下さってありがとう、パパ
パパの席はルーシーのおとなりよ!と隣をぽんぽん
さあ出発!
水面に灯りがうつって、なんてきれいなの
見てみて!あんな所にも南瓜のランプがあるわ

あら?あの方は
ごきげんよう、南瓜頭さん
どこから?ふふ
とてもステキな、月が輝く常夜の館からよ


朧・ユェー
【月光】

悪役?
そもそも…何で俺が仮装しなきゃいけないんだ?
面倒くさいと思いつつも
悪役じゃないとダメよ絶対よと言われて
昔暗殺する時に着ていた
全身黒く包まれ、口を隠すチャックツキ黒マスク
シンプルだがそう見ればいいだろう
ん?俺の服装に気になるようです気にするなと頭をくちゃくちゃとする

俺の服をくいくいとする
見慣れた小さな娘
ドヤァとしているのがわかる
普段の俺ならそのままで良いじゃないかと興味無く応えるのだが
何故かモヤとした後
ドクロマスクを外してポイ
黙って彼女の髪型をお団子など可愛く結び髑髏の飾り
服装も縫いぐるみも可愛くアレンジ
……身体が勝手に
はいはい、似合ってるな

ゴンドラに乗ろうとする娘が落ちそうになり
そのまま両手で掴んでポンと乗ってける
ぽんぽんとする動作に仕方なく俺も同じゴンドラに乗り

楽しそうに対応する娘に
黙って見つめるだけ
まぁ、これはこれで良いかもな



●悪々親子の、距離
 悪々親子ふたたびね! とルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)はステップ踏んでくるりと回って、朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)を見上げる。
「悪役? そもそも……何で俺が仮装しなきゃいけないんだ?」
「悪々よ、ゆぇパパ。絶対よ!」
 はぁ、と何よりも重いため息交じりを弾き飛ばす様にルーシーは言う。
 面倒くさいと思いつつ、その気持ちがちょっとばかり表情に出つつも――ルーシーからの視線と、絶対よと言われたので纏うのは黒だ。
 昔、暗殺する時に来ていたもの。
 全身黒く包まれ、口隠すチャック付の黒マスク。
 装いはシンプルではあるが、そう見えればいいだろうとユェーは思うのだ。
 そしてその姿の周囲をくるりとルーシーは回って、じぃと見上げる。
「むう、今回のパパも悪かっこいい」
 それにしても、とルーシーはぱちりと瞬く。
「いつそんなお洋服持ってたのかしら」
「ん?」
 俺の服装に気になるようだが、気にするなとユェーは手を伸ばし、頭をくちゃくちゃとかき混ぜる。
 それはルーシーが知らなくていいことだから。
「わ、くちゃってしないでー!」
 その手から逃げるようにするけれど、ちょっとくすぐったくて嬉しい心地。
 そしてルーシーは、今度は自分の番! とドクロのマスクを被る。
 纏うのは黒と白の骨ホネ模様の服。抱きかかえるぬいぐるみのララは太い釘が刺さった風におめかしだ。
「前に見たお芝居の怪物さんがこんな格好だったの」
 そのお芝居は怖くて少ししか見ていないのだけれども。
 ちょっと視界の狭いマスクの中からユェーを見上げて。
「ふふーん、どうどう? ゆぇパパ!」
 今度こそ悪い人に見える? とくるっと回ってみせる。
 そして袖をくいくい、引っ張ってドヤっと見上げるルーシー。
 その表情は見えないのだけれども、ドヤァしているのがユェーにはわかった。
 普段なら、普段の己ならばそのままで良いじゃないかと興味無く応えるのだけれども――モヤ、と。
 なんだろうか、何故かモヤとした後、手を伸ばしてドクロのマスクを外してポイッと投げ捨てる。
「わわっ」
 マスクを突然はずされた顔はびっくり。けれど黙ってユェーがくるっと回れ右させる。
「わわわっ」
 そして黙ってマスク被ってくしゃりとなった髪を綺麗に梳かし、お団子にして可愛く結んでドクロの飾りを。
 それに服装も、悪カワイイ感じにあっという間に変わっていく。
「パパって本当にコーディネイトがお上手ねえ……!」
 もちろん、ララもお揃いで可愛く。
「……身体が勝手に」
 そう、ぽつりと呟き落としていると、くるくるっと。もっと可愛くなった装いにルーシーは楽し気に回って、ぴたっと止まるとユェーを見上げる。
「んふふー、パパありがとう!」
「はいはい、似合ってるな」
 嬉しそうな表情におざなりに返しつつも、ユェーの心には満ちるものがあった。
 仮装の準備ができた所へ、黒いゴンドラがやってくる。招待状見せれば、すぅとそのゴンドラはやってきて二人の前へ。
「えいや……と、と、あぶない」
 ゴンドラに乗ろうとジャンプして、落ちかけるルーシーにさっと手を伸ばして、そのままユェーは両手で掴んでポンと乗せる。
「ふふ、掴んで下さってありがとう、パパ」
 そしてルーシーは座った隣の席をぽんぽんと叩く。
「パパの席はルーシーのおとなりよ!」
 はやく、はやくというようにルーシーはぽんぽん。仕方ないというようにユェーもゴンドラにのってその隣に腰を下ろした。
 ゆっくりと、ゴンドラは進み始める。
 さあ出発! とルーシーの楽しそうな声響く。
 夜の中、行交うゴンドラは明かりをともしてきらきら輝きを放っていた。
 水面にそれが映り――ルーシーはそれを見て、なんてきれいなのと笑み零す。
「見てみて! あんな所にも南瓜のランプがあるわ」
 あっちも、こっちもと指差す。その示す先をゆるり、ユェーは視線だけで追いかける。
 と――ルーシーは運河の傍を駆ける橙色を見つけた。
「あら? あの方は」
 楽しそうに跳ねているパンプキンヘッドの幼子。その子の方へとゴンドラはすぃと近づいていく。
「ごきげんよう、南瓜頭さん」
「わ、こんばんは! 黒いゴンドラのってどこからきたの?」
「どこから? ふふ」
 それはね、と口元に指一本たててルーシーは意味ありげに笑み向ける。
 もしかして内緒? なんて幼子が問うといいえと首を横に。
「とてもステキな、月が輝く常夜の館からよ」
 そんなところがあるの? と幼子がぴょんと跳ねる。
 楽しそうにしているルーシーと幼子。
 その様子をユェーは黙って見詰めるだけだ。
 まぁ、これはこれで――良いかもなと思う。その心は僅かに表情に零れでていたかもしれないけれど、それにルーシーが気づくことはない。
 ねぇあなたもいらっしゃいと、幼子を誘っていたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『回ル廻ル舞踏会』

POW   :    豪華な料理を食べまくる。

SPD   :    華麗にダンスを楽しむ。

WIZ   :    優雅に誰かと語り合ったり、建物を見て回る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黒いゴンドラは細く暗い水路を往く。
 トンネルに入りますと船頭は告げ、真っ暗な中へ。
 けれどその暗闇が終わった先――ひっそりと、扉が一つある場所へと導かれた。
 招待状を、と言われそれを見せると扉が開かれる。
 その先には階段があり、それを上へと進んでいくと眩しくなり、煌びやかな世界が待っていた。
 楽し気な笑い声、美しい音楽。
 そこは客人を迎え入れる場所であり、ダンスホールの入り口だった。
 ここはきっと、どこかの迎賓館なのだろう。あの水路は地下に通じている内緒の入り口のようだ。
 入口必要あればどうぞ仮面を、と差し出される。
 だって今日は仮面舞踏会なのだから――悪役だけの。
 どのような悪事を働いているか、それをそうっと、嘘と本当を交えて語るのも良い。
 はたまた、そういうものはすべて秘密とはぐらかしても良い。
 ダンスの間にかわす言葉は遊びに満ちているのだろう。
 優雅なワルツの時もあれば、激しいアップテンポの曲の時も。それもまた、主催者の悪役の遊び心なのだろう。
 ダンスに疲れたなら休憩できる場所に行くのも良い。
 其処にはハロウィンをなぞらえた軽食や飲み物も用意されている。
 軽食は黒糖パンのサンドイッチ。マッシュした南瓜挟んだサンドや、ぶあついハムと野菜、ローストビーフを挟んだものと色々とある。どれも一口サイズでぱくりと楽しめるものだ。
 一口サイズのピンチョスなども、サーモンやエビ、野菜やハムなど色々な種類のものが並ぶ。
 もっとしっかり食べたければ、会場を巡る給仕に依頼すればハロウィン仕様のパスタなども作って運んできてくれるようだ。
 そしてデザートも色々とある。
 南瓜のタルト、紫芋のパイ、ドーナツにはカワイイコウモリの羽根がついていたり。そして目を引くのはチョコレートファウンテン。それも、ビターとストロベリー、ホワイトとある。
 それにくぐらせるのは星型やハート型にしたフルーツやカステラ。
 今日は蝙蝠の形や南瓜の形もあるようだ。それにトッピングとしてナッツやカラースプレー、アラザンなどもある。
 その三つ、どれもくぐらせたりするのは罪深い。
 でも今日は悪役なのだから、悪いこともできてしまうので思う存分、お楽しみあれ。
篝・倫太郎
【華禱】
引き続き盾誓で真の姿
仮面は自前のものをそのまま

Shall we Dance?

手を差し伸べて一曲踊れば
曲が終わるころには南瓜の彼も会場に紛れていて……

夜彦の問いに答える子供を片手で抱き上げてやれば
視点が高くなったことにはしゃぐ影朧
その様子に夜彦と顔を見合わせて小さく笑いあって

さて、折角だから一曲踊ろう
南瓜の王様……いや、王子様か?
答え合わせはその後でな?

影朧の左右の手を夜彦とそれぞれに片手ずつで握って
ステップもターンも適当で出鱈目なダンスを楽しむ

曲が終わる頃には握った手もあやふやで曖昧な王子様に笑んで

孤独という闇から生まれて
幸福という光に還る――

さて、あの子にこの回答は届いただろうか?


月舘・夜彦
【華禱】
引き続き祷誓で真の姿
仮面は差し出されたもの
黒に紫の縁のシンプルな仮面

差し伸べられた手をそのまま重ねて、そして一曲
以前、サクラミラージュの舞踏会で学んだ経験が活かせて良かったです
まだ慣れないながらも倫太郎の動きについていき、一曲を終える

子供を見つければ倫太郎の方を一度見た後に近付く
さて……そろそろ私達が何をしているかの答えを頂きましょうか
まだ決まっていないのならば、踊りながらでも構いませんよ?

倫太郎が抱き上げる様子を微笑ましく眺めながら
再びダンスホールの中央へと向かって行く
影朧を倫太郎と挟むようにして片手を繋ぎ、先程よりも簡単で楽しめるものを

踊る合間も質問は当たり障りのないものを



●幸福
 華やかできらびやかなホールは、日常から切り離された世界だ。
 そこにいる者達も、今日は――悪役。
「Shall we Dance?」
 手を差し伸べて、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)へと笑いかける。
 夜彦はその手をとって、仮面の下で笑み浮かべる。
 以前、サクラミラージュの舞踏会で学んだ経験――それが活かせそうだ。
 ゆるやかな音楽。
 ホールで踊るのは性別関係なく、男女でも、男同士、女同士。はたまた複数で踊ったりと自由だ。
 そんな他の者たちの姿を目に、夜彦もステップを踏む。
 まだ慣れないながらも、倫太郎の動きについていく夜彦。
 そして曲の終わりに、倫太郎はその視界に南瓜の幼子の姿を見つけていた。
 その視線を夜彦も追って気が付く。そして倫太郎を一度見て、その足は幼子の方へと向いていた。
 すると幼子も、さっきの! と夜彦と倫太郎に気付く。
「さて……そろそろ私達が何をしているかの答えを頂きましょうか」
「ええと……まだわかってないんだ」
「まだ決まっていないのならば、踊りながらでも構いませんよ?」
 夜彦の問に答える子供を倫太郎は片手で抱え上げる。
 視線が高くなったとその子供ははしゃいで楽しそうだ。
 その様子を夜彦と倫太郎は見詰めて、笑い合う。楽しそうであるのが、何よりなのだから。
 そしてホールに流れる曲が楽し気な軽やかなものに変わっていく。
「さて、折角だから一曲踊ろう。南瓜の王様……いや、王子様か?」
 答え合わせはその後でな? と倫太郎が紡げば幼子がこくりと大きく頷いた。
 じゃあ、と二人で向かう。
 幼子の左右の手を夜彦と倫太郎はそれぞれに片手ずつで握って、ダンスホールの中央へと向かっていく。。
 楽しければそれでいいのだ。ステップもターンも適当で出鱈目だ。難しいことなんてなにもない。
 幼子はきゃっきゃと楽しそうな声あげて笑って、踊って。二人の手が強く引かれるような瞬間さえあるのだ。
 楽しい、楽しいと笑ってはしゃいで。倫太郎は曲が終わる頃には握った手もあやふやで曖昧な王子様に笑む。
 孤独という闇から生まれて。
 幸福という光に還る――それが、答えなのだ。
 この回答は届いただろうか? と倫太郎は思う。
 それを理解したかどうかは分からないが、もうすでに知っているだろう。
 言葉にできなくても、きっと。
 そうでなければこんな風に楽しそうには、なれないだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
【箱蛸】

目元が隠れる仮面を着用

仮面舞踏会って聞くと
悪寒を感じるのは俺だけか?

い、いやいや!俺はもう――
ってデビルメンきよしってなんだよ!
アックマンじゃねーのかよ!

つか、魔王様見ろよ!
旨そうなもんが一杯あるぜ!
なんか食ってから踊るか!

あれから練習したからな!
転ぶことはしないはず!

チョコファウンテンなんてシャレてるな
南瓜形のカステラをビターにくぐらせ
トッピング、3つも付けていいのかよ!

うま!魔王様これ――ってめっちゃ食ってた?!
あ、この黒糖パンもいいな
魔王の胃はどうなってるんだ…?

腹も膨れたし踊るか?

お、おいおい!なんだこのアップテンポの曲は?!
こんなの練習してねーぞ!

待て待て!魔王様ご勘弁を!!


筧・清史郎
【箱蛸】

ラスボス的な仮面渡され着用

きよきよは金髪の男前だからな、またモテモテでは?
流石は、デビルメンきよし(勝手に変えた
ん?アックマンの方がよかったか?

おお、まずは腹拵えをしようか

わくそわ料理眺めていれば
悪の風格ばりばりだからか、何かお持ちしますと声掛けられ
では甘味全種類をと笑顔で

それをにこにこ食しつつ
ちょこふぁうんてんも良いな
黒糖パンも美味しそうだ
では、全部一通り頂こう(雅に食べまくり

そうだな、腹八分目というからな(綺麗に完食し

ふふ、では踊ろう
お手をどうぞ(雅に
おお、賑やかな曲だな
きよしを全力で振り回…もとい、リードするように舞おう
魔王オーラ放ちつつ、激しく情熱的な悪っぽいステップを(微笑み



●魔王せいしろう(ラスボス)とデビルメンきよし(進化)
 会場に付けば、どうぞと渡された仮面筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)をすちゃと装着する。
 角がついて禍々しい――ラスボス的な仮面。
 似合うだろうか、とつけた様に砂羽風・きよ(漢の中の漢・f21482)は妙な納得感と共に似合うと頷いた。
「仮面舞踏会って聞くと悪寒を感じるのは俺だけか?」
 何かがきよの心を揺らす。その様にふふと清史郎は笑み零し。
「きよきよは金髪の男前だからな、またモテモテでは?」
「い、いやいや! 俺はもう――」
「流石は、デビルメンきよし」
「ってデビルメンきよしってなんだよ! アックマンじゃねーのかよ!」
「ん? アックマンの方がよかったか?」
 にこにこ、しれっと清史郎は言う。デビルメンの方が強そうな感じもすると思うのだが、と真面目な顔で。
 しかし、そんな二人を引き付ける魅惑のものがそこにはあった。
「つか、魔王様見ろよ! 旨そうなもんが一杯あるぜ!」
 なんか食ってから踊るか! ときよの目は新たに運ばれていく料理を追っている。
「あれから練習したからな!」
 転ぶことはしないはず! ときよは胸を張る。それもまた楽しみだと思いながら清史郎も並ぶ甘味を見詰め、
「おお、まずは腹拵えをしようか」
 わくそわ、どれからいこうか――と、思っていると。
「閣下、何かお持ちしましょうか」
 どうぞあちらのゴージャスで悪々な席へと示される。
 では甘味全種類をと、笑顔でマントの裾を翻し優雅に席へ着く。
 一方その頃、きよはそれを見上げていた。
「チョコファウンテンなんてシャレてるな」
 南瓜の形をしたカステラをビターにくぐらせ、お次はトッピングと見れば三つも並んでいる。
「トッピング、3つも付けていいのかよ!」
 さすが悪役だぜ、と思いながらたっぷりのトッピング。そして口へ運ぶ。
「うま! 魔王様これ――ってめっちゃ食ってた?!」
 この美味さを魔王にもともう一つ作っていたのを渡すべく振り返れば、もりもりと運ばれてくる甘味を食している魔王がいる。
 そして魔王は、それも貰おうと手を差し出し、きよは恭しく差し出した。
「ちょこふぁうんてんも良いな」
「あ、この黒糖パンもいいな」
「黒糖パンも美味しそうだ。では、全部一通り頂こう」
 うむ、というように頷いて運ばれてくる料理もぺろりと雅に平らげていく。
 次から次へと消えていく――
「魔王の胃はどうなってるんだ……?」
 きよも運ばれてくるものを口に運びつつも、己と雅な許容量の差を知るのだ。
 そしてお腹も、きよはいっぱいに。そろそろこのお食事タイムも終わりを迎えるはず。
「腹も膨れたし踊るか?」
 きよが声かけると、ぱくりと最後の皿の一口を食べて。
「そうだな、腹八分目というからな」
「腹八分目??」
 えっ、という顔をするきよ。積み重なった皿を見て、それで八分と思うがきっとそれは考えてはならぬことなのだ。
「ふふ、では踊ろう。お手をどうぞ」
 雅に手を差し出して、八分目? と考えていたきよは何も考えずに手を重ねた。
 そしてダンスホールに入った途端、緩やかな音楽は終わりをつげ。
「おお、賑やかな曲だな」
「お、おいおい! なんだこのアップテンポの曲は?!」
 こんなの練習してねーぞ! ときよは慌てる。踊れるわけがないと周囲を見ればステップ激早で踊っているものたちもいる。
「ではいくぞ、デビルメンきよし」
「待て待て! 魔王様ご勘弁を!!」
 魔王様はご勘弁してくれない。
 全力で振り回――もとい、リードできよを躍らせる清史郎。足が絡みそうで絡まないレベルで魔王オーラを放ちつつ激しく情熱的な、わるわるの舞踏を微笑みと共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

交友の場は以前の主人に連れられたことはありますが
仮面舞踏会なるものはなかったですねとエンパイアにはないその文化に目を輝かせつつ進み
ふと動きが止まったかに思えたかれのその手に手をとって
指を絡ませたなら微笑んで見上げましょう

それから仮面を受け取って
会場の隅で軽食をいただきます
為す悪事を尋ねられたなら、悪戯っぽく微笑んでから
そうですね、秘密です
ですが為すことが悪事かどうかは、通過点を過ぎた時に過去を振り返りて判断すること……
正しきことも見ようによっては悪事なのです、そうは思いませんかと

それからはかれの手を取って踊りましょう
きみと踊るのはいつだって胸が高鳴りますね


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

会場につけばまだ肉を得ておらぬ時に…そう、指の上から眺めたそれににた空間に思わず瞳を細めてしまう
懐かしさなのかよく分からぬ感情に動きを止めかけるも、宵の手の感触に表情を緩めれば、宵の笑みにつられるよう笑みを返しつつ差し出された仮面を受け取ろうか

その後はまずは宵と共に軽食を楽しみつつ踊る者達を眺めようとそう思う
途中悪事を聞かれたならば、俺は主人の望みのままに動くだけだと
それが世の悪と呼ばれるものやもしれんが俺にとっては正義ゆえ…悪と言われてもわからぬなとそう愛おしい主人をみつつ答えよう

その後は宵を誘いダンスを出来ればと
本当に、お前と踊るダンスは何時も心が踊る、な



●みちゆき
 どうぞと差し出された仮面を、前を行く者達が受け取っていく。彼らもまたこの場に導かれた悪役たちだ。
 賑やかで煌びやかな空気に満たされた、仮面舞踏会。重なる楽し気な声ははてさて内に何を秘めているのか。
 宵もまた、こんな交友の場は以前の主人に連れられたことはある。
 けれど、と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は人々が笑って付けていく仮面へと目を向ける。
「仮面舞踏会なるものはなかったですね」
 それはサムライエンパイアにはない文化だ。仮面も様々なデザインで手が込んでいると目を輝かせ、傍らへと視線を向けた。
 これは、とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は目にした世界に思わず瞳細める。
 まだ肉を得て折らぬ時――そう、主の指の上から眺めた世界ににた空間。
 この空気も、賑わいも。その全てが似ているけれど、違うものだとわかっているけれど、ザッフィーロの心にそれらは働きかける。
 懐かしさなのか、よく分からぬ感情に動きを止めかけるも、そっと触れた温かさに表情は緩む。
 宵が、ザッフィーロだけに向ける笑みが此処にあることがすべてだ。
 ザッフィーロに触れ、その手に手をとって指を絡ませ、微笑んで見上げる。
 柔らかな笑みが降り注ぐように向けられて。
 そして二人で仮面を受け取って会場へ。賑わいの中心はダンスホールだろう。
 けれどそこへ行く前に、軽食を。
 どれもこれもハロウィンの趣向を凝らしたものだ。美味しいと舌鼓うっていると戯れを向けられる。
「まぁ、名高き騎士と竜のお方、あなた方は何故こちらに?」
 悪事働かねば招かれぬでしょう? と豪奢なドレスの女が問いかける。
「俺は主人の望みのままに動くだけだ」
 ザッフィーロはそう答えて、視線を宵へと向ける。
「それが世の悪と呼ばれるものやもしれんが俺にとっては正義ゆえ……悪と言われてもわからぬな」
 愛おしい主人を見詰めるその視線。
 では、主のあなたはと女が問えば、宵は悪戯っぽく微笑んで。
「そうですね、秘密です」
「あら、教えてくださらないの?」
「ですが為すことが悪事かどうかは、通過点を過ぎた時に過去を振り返りて判断すること……」
 正しきことも見ようによっては悪事なのです、そうは思いませんかと問えばそういう事もありますわねと彼女はひらりと扇で口元隠して笑う。
「佳い夜を、素敵な騎士と竜の方」
 彼女は一礼をして、そうそうと振り返る。もうすぐ素敵な曲が流れ始めますよ、とホールを示して。
 先程まで賑やかでアップテンポな曲が流れていた。
 けれど曲調が緩やかに変わり、踊る人々の雰囲気も変わっていく。
 今までは賑やかで、大人数で作法も何もなく楽しめればという雰囲気からしっとりと。
 その曲と雰囲気を見て、何方ともなく視線が合う。
「先ほどのご婦人の言う通りでしたね」
「そうだな。では、我が主――宵」
 ザッフィーロは手を差し出して、宵へと誘いをかける。
 それをくすぐったそうに宵は受けとって、その手を取る。
 緩やかな曲にステップ踏んでくるりと回って――二人は周囲からの注目を集めるのも気にせず踊る。
 誰がいたとしても、目の前にいるのはお互いだけなのだから。
「きみと踊るのはいつだって胸が高鳴りますね」
「本当に、お前と踊るダンスは何時も心が踊る、な」
 そんな言葉が重なって、瞬いて笑いあうのもまた同じ。
 どこまでも重なるように、二人で同じ方向へと向いて踊る。そのステップの軌跡はふたりのこれからを辿るように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
クラウ(f03642)と

貴方が教えてくれた通り
舞踏会は素敵な様相で
華美なる場と鳴る音楽
美味の予感に胸が躍る
仮面があって良かった
緩い表情が隠せるもの

――然し笑む口は隠れないか
悪役面が剥がれる前に、ンッ
咳払いで声作り、羽袖向け
南瓜頭を更に惹きつけるべく
死神よ、躍って頂けますかな?

型に嵌まらず楽しみましょう
何処までも自由にね、クック!
手繋ぎ回れば楽しくて
フハハと高笑いで誤魔化し
貴方の踊りは実に素晴らしい
梟も魅せられてしまいそうだ!

踊り尽くせば腹も減るもので
チョコ――死の山は、如何?
きっと、沼に沈む心地ですよ

南瓜頭は後回しにしましょう
影朧は食い出がないのでね
死神と梟が見逃すうちに
御往きなさい、南瓜頭よ


クラウン・メリー
ライラ(f01246)と

嗚呼、嗚呼
梟の君と来れるなんて
ふわふわと浮いた気分になってしまう

口元に袖を当てて綻びを隠し
彼も同じ気持ちなのだと思うと表情が緩んでしまう

――仮面で隠せて良かった

もちろんだとも
ヒヒヒ、私を退屈させないでおくれよ?
胸に手を当てゆるりとお辞儀

私達の踊りは型だけじゃ収まり切れない
優雅に楽しく踊ってみせよう
南瓜の君に魅せるようくるりとターン

布を翻せば
梟の君だけに笑顔を見せる
フフ、どうやら私も心臓が弾んでいるようだ

そろそろ、死の山を巡ろうか
きっと美味いフル――魂があるに違いない
沼の底まで付き合っておくれ

嗚呼、あの南瓜の君よりも興味が惹かれる
――さぁ、早く私達の前から居なくなると良い



●やさしい悪役
 その足取りは軽いものだ。
 クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)はくるりと回ってそのよろこびを胸に抱く。
 嗚呼、嗚呼――梟の君と来れるなんて。
 ふわふわと浮いた気分になってしまうと、口元に袖を当てて綻びを隠す。
 そして梟の君――ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は目にする世界にとらわれる。
 貴方が教えてくれた通り、舞踏会は素敵な様相で。
 華美なる場と鳴る音楽、そして美味の予感に胸が躍ると己の頬が緩むのを感じる。
 そして仮面があって良かったと思うのだ。
 だって今まさに、緩んだ表情を隠してくれているのだから。
 そしてそう思っているのは、クラウンも同じ。きっと彼もそう思っていると、表情は隠されていてもわかってしまう。
 クラウンもまたもうひとつ、同じように――仮面で隠せて良かったと思うのだ。
 けれど、仮面で口元は隠れていない。
 悪役面が剥がれる前に、ンッと咳払いで声作り、ライラックは羽袖向ける。
 そう、この場を楽しむことも大事だけれど、もうひとつ。
 あの南瓜頭の幼子をまた惹きつけるべく。
「死神よ、躍って頂けますかな?」
「もちろんだとも。ヒヒヒ、私を退屈させないでおくれよ?」
 広がる羽袖の優雅さに、胸に手を当てゆるりとお辞儀を返す。
 そして死神と梟は華やかなダンスホールへと遊びにいくように、軽やかに。
 ダンスの作法なんてふんわりとしかわからない。
 でも、周囲を見ればそんなの気にしないでいいようだ。
 私達の踊りは型だけじゃ収まり切れないと死神は笑って、型に嵌らず楽しみましょうと梟が返す。
 優雅に楽しく、ステップは自由に。右へ左へ、くるっとターンして楽しさが滲めば、見える顔の半分にいつもの君が見えるよう。
「何処までも自由にね、クック!」
 手繋ぎ回れば楽しくて、思わずこぼれた言葉にフハハと梟は高笑いで誤魔化すのだ。
「貴方の踊りは実に素晴らしい、梟も魅せられてしまいそうだ!」
 ふわり、裾翻し梟の君だけに笑顔を見せる死神。
「フフ、どうやら私も心臓が弾んでいるようだ」
 タンタンとホールで楽しくステップ踏んで、二人の距離が少し空いたらお互いに一礼を。
 楽しく踊り尽くせば――お腹も空いてくる。
「チョコ――死の山は、如何?」
 今日はきっとこういうのが楽しいと、流れる山を梟の君は指さして。死神はそれを見て頷く。
「そろそろ、死の山を巡ろうか。きっと美味いフル――魂があるに違いない」
 沼の底まで付き合っておくれ、と紡げばおかしそうに梟は笑む。
「きっと、沼に沈む心地ですよ」
 だってどこまでも、甘くておいしそう。
 そんな死の山と魂の美味しさを堪能していると、先ほどであった南瓜頭の幼子が見つけてわぁ! と飛び上がってやってくる。
 そんな幼子へと――二人は悪役らしく。
「南瓜頭は後回しにしましょう」
 影朧は食い出がないのでね、と梟は紡ぐ。
「嗚呼、あの南瓜の君よりも興味が惹かれる」
 だからほら、死神と梟が見逃すうちに。
「――さぁ、早く私達の前から居なくなると良い」
「御往きなさい、南瓜頭よ」
 悪役から見逃されて、とてとてと走っていくその後ろ姿を二人で見つめる。
 この甘くて美味しいものを楽しんでいる内は、追いかけないからと。
 その視線は――どこか、優しく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
【花面】

入り口で仮面を受け取ろう
なかなか格好良いね
舞踏会の雰囲気を眺めつつ、軽く小腹を満たしたりして
ゆるりと過ごそう

…うん、折角だからダンスもしたいな
見よう見真似で良ければ教えられる
おいでよシェルゥカ。一緒に踊ろう

ところでさ
南瓜の子に話してた悪巧み
普段から悪役ごっこを楽しむ君の事だ
演技もしやすい分野だったのだろう
それとも、本当に企んでいるのかな
捕まえて閉じ込めるのは、同居人をそうした私の専売特許なのに
はは、冗談だよ。怒らないで、二人とも

…あれ?
仮面を外した君の顔が、思ったより近く感じて
待ってシェルゥカ
そ、そんな風に笑うのはずるい
知っているくせに…
私は、君のそうやって笑う顔が
大好き、なんだって


シェルゥカ・ヨルナギ
【花面】

自分の仮面は付けてきたものをそのままに
食事はできないけれど他の人達の仮面を見て楽しむよ
エンティのはよく似合ってるね
ねぇあそこで踊ってる人達の仮面も素敵だよ
エンティ、踊りたいの?
なら俺に教えてほしいな

悪巧みが気になるんだね
悪役ごっこは楽しいけれど
今宵この身は凶星の化生
いつもの俺のままだと思う?
専売特許なんて気にしないよ
悪役は自由なんだ

さてそろそろ君を攫おうか
けど無理に連れ去りはしない
君から来るよう仕向けるだけ
…黒幕っぽいでしょ

ダンス中特に近付いたら仮面を外し君に笑いかけよう
そうすればほら
君はもうこの手を離せない

…フィルオール、君の笑顔も見たいな
誰もいない星空の元で、その仮面を俺に外させて



●悪巧みのかんばせ
 差し出された仮面をエンティ・シェア(欠片・f00526)は受け取る。
 シェルゥカ・ヨルナギ(暁闇の星を見つめる・f20687)にそれは必要ないさそうですねと差し出された仮面はひっこめられた。
「なかなか格好良いね」
 どうだい? とエンティは仮面つけてシェルゥカへと顔向ける。
「エンティのはよく似合ってるね」
 ふふと笑い零して、ゆるりと過ごそうとエンティはシェルゥカの一歩前を。
 食事はできないけれど他の人達の仮面を見て楽しむよとシェルゥカは返して――ほら、と示す。
「ねぇあそこで踊ってる人達の仮面も素敵だよ」
 ダンスホールで踊る者達の仮面はどれも凝ったものだ。
 そのステップ踏む様をエンティは僅かに瞳細めて見詰め、シェルゥカは仮面の下からそのわずかな機微を捉える。
「エンティ、踊りたいの?」
「……うん、折角だからダンスもしたいな」
 なら俺に教えてほしいなとシェルゥカはターンはこうでいいの? なんて言って回って見せる。
 エンティは、見よう見真似で良ければ教えられるとその手を差し出した。
「おいでよシェルゥカ。一緒に踊ろう」
 手を繋いで、くるりと回って。それだけでもダンスになる。
 格式ばったものだけでなく今日はそんなダンスも正しくしてしまうのは悪役だから。
「ところでさ、南瓜の子に話してた悪巧み」
 思いのままにステップ踏みながら、エンティは向き合うシェルゥカへと笑って。
 普段から悪役ごっこを楽しむ君の事――演技もしやすい分野だったのだろうと知っている。
 それとも、本当に企んでいるのかなとエンティは瞳をのぞき込む。
「悪巧みが気になるんだね。悪役ごっこは楽しいけれど」
 今宵この身は凶星の化生とシェルゥカは僅かに口端に笑み乗せて。
「いつもの俺のままだと思う?」
 それは悪戯する心地、されている心地。
 エンティはそんな擽ったさに苦笑を乗せて。
「捕まえて閉じ込めるのは、同居人をそうした私の専売特許なのに」
「専売特許なんて気にしないよ」
 なんて、二人のやりとりに――エンティの内から響くものがある。
「はは、冗談だよ。怒らないで、二人とも」
 と、宥めている間にシェルゥカは、悪役は自由なんだと笑っていた。
 だから、そろそろ――君を攫おうか、と繋いだ手を僅かに指先でひっかいて。
 けど、無理に連れ去りはしないのだ。
 連れ去るよりも、君から来るように仕向けるだけ。
 その方が――黒幕っぽいでしょ、と南瓜の幼子が居たらきっと笑いかける。
 ダンスの合間、一歩引くところを一歩詰めて、シェルゥカの指先は仮面を取り払ってしまう。
「……あれ?」
 向けられた笑み。シェルゥカの顔が思ったより近く感じられて、エンティはたじろぐ。
「待ってシェルゥカ。そ、そんな風に笑うのはずるい」
 その言葉を聞こえないフリなのは、悪役だから。
 君はもうこの手を離せない、と絡め取る言葉を仕掛けてもう行って。
「……フィルオール、君の笑顔も見たいな」
 誰もいない星空の元で、その仮面を俺に外させてと囁いて。
 ううんとエンティは、『私』は何とも言えない声を零す。
「知っているくせに……」
 私は、君のそうやって笑う顔が――大好き、なんだって。
 小さく返せば、一層の笑みが向けられる。それがこの、悪巧みの一番のスパイス。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディルク・ドライツェーン
アル(f26179)と
コスプレ:アルと色違いの悪役海賊の船長服
おおおっ!!
美味しそうな料理やお菓子がいっぱいだな
(目をキラキラさせながら料理を頬張り)
アル、これ美味しいぞっ
こっちのドーナツは羽がついてる!
チョコレートファウンテン?!
すごいな、チョコレートの山がある!

ん?なんかみんな踊ってる…(じーっ)
へぇ~、楽しそうだなっ!
オレたちも踊ろう♪
(アルデルクの手を引っ張ってダンスの方へ)

たしか教わった時はこんな感じで…
(普段の行動に似合わずアルデルクをリードして)
へへ~っ、昔ちょっと教わったからな
なかなか上手いだろ?


アルデルク・イドルド
ディル(f27280)
仮装:海賊船長衣装

舞踏会なぁ…商売柄呼ばれたりはするが海賊上がり商人だからなぁまだまだ慣れない事が多い。
今日はディルも居るしゆっくり食事にするか…。
チョコレートファウンテンなんかディルも気にいるんじゃないか?

(急に踊ろうと手を引かれ驚きながら)
ってディル。お前ダンスなんて踊れ…
踊れるのか。
しかも俺より上手い。
ディルはたまに予想外のことが上手いからな…びっくりする。
(そんなふうに考えているとステップが乱れるがディルクがしっかりとリードして)
くっ、こりゃ帰ってから特訓しないとだな。
ディルに負けてらんねぇ。



●二人のステップ
 きらきら輝くばかりの空間。贅を凝らした仮面舞踏会は招待状を持って訪れた者を快く迎えいれていく。
 艶やかなドレスに身を包んだ貴婦人も、流行りの衣装を誂えた紳士も、誰も彼も仮面をつけての一時。
 海賊二人だって、浮いたりはしない。ここには魔王も悪魔も、死神も獣も――もっと別の姿をしたものだっているのだから。
 そして豊かな音楽に、楽しい会話。美味しそうな料理が運ばれていく。
 その料理を自然と目で追ってしまうのはしょうがない。
「おおおっ!! 美味しそうな料理やお菓子がいっぱいだな」
 な! とディルク・ドライツェーン(琥珀の鬼神・f27280)はアルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)へと瞳キラキラさせながら、さっそくと通りすがりの給仕から一皿。
 南瓜のキッシュは焼き立てで一口頬張れば幸せの心地。
「舞踏会なぁ……」
 この雰囲気にすでに溶け込み気味のディルクと違って、アルデルクはまだ居心地の悪さがある。
 商売柄呼ばれたりはするが、海賊上がりの商人。まだまだ慣れない事が多いのだ。
 けれど、今日はと傍らに視線を向けるアルデルク。どうした、という視線に何でもないと笑って、ゆっくり食事にするか……と零した。
 するともうディルクは甘いものを見つけていた。
「アル、これ美味しいぞっ」
 こっちのドーナツは羽がついてる! と瞳の輝きは増していく。その様子にアルデルクは――視界の端に捉えたものをディルクへと教えた。
「チョコレートファウンテンなんかディルも気にいるんじゃないか?」
「チョコレートファウンテン?!」
 それは上から下へと流れ落ちていくチョコレート。
 カステラやフルーツをくぐらせ食べるという楽しさましましのものだ。
「すごいな、チョコレートの山がある!」
 早速とそのディルクはカステラとって、チョコレートにくぐらせて。さらにトッピングはどれでもと気付けば瞳輝かせる。
 そんな風に楽しくお腹を満たしていけば、ディルクの興味も移っていく。
「ん? なんかみんな踊ってる……」
 ダンスホールからの楽しそうな雰囲気。そちらをじーっと見詰めているのに気づいてアルデルクもその先を追い、ダンスか、と零した。
「へぇ~、楽しそうだなっ! オレたちも踊ろう♪」
 ぱっとアルデルクの手をとって、引っ張ってそちらへ向かうディルク。アルデルクは急な事で引っ張られるままに。
「ってディル。お前ダンスなんて踊れ……」
「たしか教わった時はこんな感じで……」
 右、左。こうだったな~とディルクは記憶を手繰る様に。
 普段の行動に似合わず、アルデルクをリードしていく。とんとんと軽やかに、けれどしっかりと踏まれているステップ。
 そしてされるがまま、導かれるままのアルデルクは状況を理解する。
「……踊れるのか。しかも」
 俺より上手い、というのは飲み込んで。
(「ディルはたまに予想外のことが上手いからな……びっくりする」)
 と、考えているとステップが乱れる。けれどそれをディルクがしっかりリードして笑いかけた。
「へへ~っ、昔ちょっと教わったからな。なかなか上手いだろ?」
「くっ、こりゃ帰ってから特訓しないとだな。ディルに負けてらんねぇ」
 じゃあその練習も、また付き合う! なんてディルクは言う。
 それはありがたいけれど、上達は内緒にしていたい気持ちもあるので悩みどころだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【兎鯱】
可愛いお菓子がいっぱい…!

甘いもの大好きで瞳を輝かせ
あれもこれもと食べたいけど小食だから晃君を見上げ

…晃君って、甘いもの大丈夫だっけ
いいの!? ありがとう!
あ…こほん
高貴な吸血鬼様と分け合えるなんて光栄ですわ
…なに笑ってんの
僕だって恥ずかしいんだからねー!?

デザートを食べてご満悦
えへへ、美味しいー♪

晃君に手を引かれたらほえぇとついて行き
た、確かにそういう話はしたけど…

恋人と踊るのに比べたら全然緊張しないけど
晃君はかっこいい部類なんだろうし
仕草もスマートだし
物語の王子様ってこういう人の事言うんだろうなと思う
今は王子じゃないけど
…様になってるのちょっと腹立つぅ(でもダンスは楽しい悔しみ


堺・晃
【兎鯱】
甘いものを見かければチラと澪君を横目で見て

半分こ、しますか?
ええ、勿論

答えつつもその後の澪君の取り繕い方に思わず軽く吹き出し
い、いえ…すみません、つい

別に魔女だからといって口調まで女らしくする必要はないだろうとは思いつつも、澪君が面白いので黙っておきます

澪君とは違うデザートを手に取り
澪君の望むままに半分こ
あーんしてあげるのもいつもの事

ただ、ワルツがかかったら一度デザートを置き
澪君の手を引き踊りへ

恋人のために練習、しておきたいのでしょう?
今宵の僕は王子でこそありませんが
このくらいはお付き合いいたしますよ

優雅に、スムーズに
優しい笑顔で澪君をリードして
僕の顔、しっかり見ていてくださいね



●吸血鬼と魔女のワルツ
 きらきら輝く舞踏会。けれど踊りだけではなく、人々をもてなすための心遣いもあるのだ。
「可愛いお菓子がいっぱい……!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は並ぶハロウィンのお菓子に瞳輝かせていた。
 甘いものは大好きな澪。あれもこれもと食べたいけれど――全部食べられるとは思わない。小食なのは自分が一番よくわかっているのだ。
 だから澪は、傍らの堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)をチラと見上げる。
「……晃君って、甘いもの大丈夫だっけ」
 そして晃も、チラと澪へと視線を向けた。
「半分こ、しますか?」
「いいの!? ありがとう!」
「ええ、勿論」
 ぱっと表情輝かせて、けれどはっと澪は気付く。
「あ……こほん。高貴な吸血鬼様と分け合えるなんて光栄ですわ」
 と、思いだしたように取り繕う。その様に思わず、軽く晃は噴き出した。
「……なに笑ってんの、僕だって恥ずかしいんだからねー!?」
「い、いえ……すみません、つい」
 ふふ、と笑い零しながらさぁさぁ。どれからにしますかと晃は言う。
 別に魔女だからといって口調まで女らしくする必要はないだろうとは思いつつも、澪の様子が面白いのでそのことを晃は黙ったままに。
 澪が手に取ったのはチョコレートケーキ。少しばかり切って掬えば、中には綺麗な赤。ラズベリームースをチョコレートムースで包み、さらにコーティングしたケーキの様だ。
「えへへ、美味しいー♪」
 程よい甘酸っぱさに甘さも重なって澪は幸せと笑み零す。
 その様子を見つつ、晃が手に取ったのは別のケーキ。
 ふわふわのシフォンケーキには蜘蛛の巣のようなデコレーションが施されていた。
 そしてそれを一口とって、晃は澪の口へと運んでいく。
 あーんしてあげるのも、いつもの事なのだから。
 どれもこれも、美味しいと澪は晃からもらいつつ頬を緩める。
 と――晃の耳にワルツの音楽が届いた。
 ダンスホールを見て、晃は傍にデザートを置く。そして澪の手からも皿を取り傍に置いて、手を引いてホールへ。
 澪は、ほえぇと連れていかれるままに。
 そして踊りましょうと笑いかけられた。
「恋人のために練習、しておきたいのでしょう?」
「た、確かにそういう話はしたけど……」
 澪はううと唸りながら、晃に導かれるままにダンスの一歩目を。
「今宵の僕は王子でこそありませんが、このくらいはお付き合いいたしますよ」
 そう言って微笑む晃。
 恋人と踊るのに比べたら全然緊張しないけど――と、澪は晃を見つめる。
 晃君はかっこいい部類なんだろうし。
 仕草もスマートだし――今も、優雅にスムーズにステップを、優しい笑顔と共にリードしてくれる。
 物語の王子様ってこういう人の事言うんだろうなと澪は思うのだけれども、今日はそんな装いじゃなくて。
 今は王子じゃないけれど――
「僕の顔、しっかり見ていてくださいね」
「……様になってるのちょっと腹立つぅ」
 その言葉にもにこりと微笑んで、晃が少し難しいステップを教えるように踏んで。
 でもダンスは楽しくて、悔しみと澪はちょっとだけ頬膨らまして。けれど踊る楽しさに、すぐ笑顔。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朧・ユェー
【月光】

ここが会場のダンスホールか
あちらこちらとダンスをしたり食事をしたりする姿を見るが
仮面をつけて
興味なさげに壁に寄りかかる
引っ張り押したりしている
楽しいか?いや、壁になったわけじゃなく

俺はいいから小さい娘に好きな様に遊べと言ったら拗ねた
泣きそう顔に溜息をつき
わかったわかった
仕方なく一曲踊る
暫く普通に踊ったが
小さい手を取ってそのままくるくるくると回しくくっと笑う

なんか食べるか?
そういえば人参が苦手だったな
ほらと小さく刻んでるが人参入りのサンドイッチを口へ入れる
こちらの視線にくすっと笑いつつ頑張って呑み込んだのを見て
ご褒美と甘いチョコでコーティングされたお菓子を口に入れた

ブルーベリーチーズケーキ?
はいはい、わかったよ
と頭をぽんぽんとして


ルーシー・ブルーベル
【月光】

仮面をつけて
悪々な舞踏会を楽しみましょう

ゆぇパパ、ダンスホールに行かない?
……って、もう
どうしてそんな隅にいるの?
引っ張っても動かない
押しても動かない
楽しくない!パパは壁になってしまったの?

好きな様にって言われても
好きな様にしたいからお誘いしてるのに
名前も、相変わらず読んで下さらないし
……なんだか哀しくなってきて
笑い声も音楽も遠ざかっていくようで

諦めたような声にパッと顔をあげ
いいの?
気が変わってしまう前に手を引きホールへ!
クルクルとダンスを……クルクルと……
ちょ、ちょっとパパ
回転多すぎよ?

視界までクルクルしたまま
差し出されたサンドイッチをパクリ
……う。「アレ」がいる
小さいケド間違いないわ
けれど、残すのはルーシーのルールに反する
じぃっと睨んだまま食べ切ってやるわ
ごちそうさま!

口を開いた瞬間、今度は……あまいお菓子
でも、ふんだ!
こんなご褒美でごまかされませんからね
悪々イジワルなパパには
帰ったらブルーベリーのチーズケーキをヨウキュウします!
本当に分かってる~?
手は優しくて
されるままに



●やさしい手
 一緒にやってきた南瓜頭の幼子は、すごぉい! と声あげて、連れてきてくれてありがとうと礼を言うと会場の中へと駆けて行く。
 ルーシー・ブルーベル(ミオソティス・f11656)はその姿を見送って、そして差し出された仮面をすちゃっと装着し朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)を見上げる。
「悪々な舞踏会を楽しみましょう!」
 と、はやる気持ちとともに軽やかにホールへ。その後ろを受け取った仮面をつけユェーはゆったりと歩いてついていく。
 きらびやかなダンスホール。談笑をしている者達、見た目も楽しめるような食事をとっている者達。そしてダンスをしている者達――それぞれが、今この場の空気を楽しんでいるようだ。
 ユェーはそんな様子を視線でひと撫でした後に、興味なさげに壁に寄り掛かる。
「ゆぇパパ、ダンスホールに行かない?」
 と、そのホールの様子を瞳輝かせてみていたルーシーはぱっと後ろを振り返るけれど、ユェーはおらず。
 けれど、探せばすぐに見つかる場所で壁に背を預けているのを見つけてそちらへ。
「……って、もう。どうしてそんな隅にいるの?」
 パパ、と引っ張っても動かない。押しても動くことはなくルーシーはむ~と唸る。
 その様子を涼しげにユェーは見つめて。
「楽しいか?」
「楽しくない! パパは壁になってしまったの?」
「いや、壁になったわけじゃなく」
 俺はいいから好きなように遊べと、ユェーはその背中を押す。
 けれど、ルーシーがほしいのはその言葉ではなくて。
 好きな様にと言われても――そうでは、なくて。
「好きな様にしたいからお誘いしてるのに」
 名前も、相変わらず読んで下さらないしと、そう思うとなんだか哀しくなってきて。
 笑い声も音楽も遠ざかっていくよう。じんわり、涙がこみ上げそうになってくる。
 ユェーはその表情に溜息をつき、わかったわかったと壁より背を離す。
 ほら、と差し出された手とその諦めたような声にルーシーはパッと顔をあげて。
「いいの?」
 差し出された手を、気が変わってしまう前に捕まえて、ホールへと引っ張っていく。
 しっとりとした曲から、踊りやすそうな楽しげな曲。
 手を繋いでくるくると回るだけでも楽しくてルーシーの表情は花咲くように綻ぶ。
 ステップも踏んで、そしてふとユェーは繋いだ手の片方をほどく。
 そして小さな手を取ってそのままくるくると、その場で回して。
「ちょ、ちょっとパパ、回転多すぎよ?」
 最初は楽しそうで、けれど慌てた声にくくっと喉ならしてユェーは笑う。
 そしてその回転の終わりが、ちょうど曲の終わりだった。
 視界ガクルクルする……と零しながら手を引かれていくルーシー。ユェーはふと目に入った軽食から、ルーシーへと視線を移す。
「なんか食べるか?」
 そういえば人参が苦手だったな、と思いつつ目をとめたのは紫と橙、黄色そして緑のグラデーションのサンドイッチ。
 紫キャベツ、ニンジン、たまごサラダときゅうりのサンドのようだ。
「ほら」
 それを一つ手に取って、口元へ。
 パクリ、と差し出されるままにルーシーは一口食べて。
「……う。『アレ』がいる」
 人参は小さく刻まれているが、その存在感は見逃せない。
 小さいケド間違いないわ、とルーシーはユェーをじぃっとにらむ。
 けれど、残るのはルーシーのルールに反する。
 もぐもぐと口を動かして、ごくんと飲み込むまでじぃっと見上げて――その視線にユェーはくすっと笑いつつ。
「ごちそうさま!」
 頑張って飲み込んだのを見て、ご褒美と甘いチョコを纏う一口をその口へ。
 ルーシーはぱちりと瞬いて、その甘さを堪能する。
 口を開いた瞬間のあまいお菓子。それは嬉しいけれど。
 でも。
「ふんだ! こんなご褒美でごまかされませんからね」
 ほだされてあげないわと小さくそっぽを向く。甘さに頬が緩むのを耐えながら。
 そしてちらりと、ユェーを見上げて。
「悪々イジワルなパパには、帰ったらブルーベリーのチーズケーキをヨウキュウします!」
「ブルーベリーチーズケーキ?」
 はいはい、わかったよとユェーはルーシーの頭をぽんぽんと軽く撫でる。
「本当に分かってる~?」
 じぃと見上げる視線にわかってるわかってると応えるのはちょっとなげやりなようにも感じるけれど。
 相変わらず、頭を撫でるその手は優しくてルーシーはされるままに、笑み零すのだった。



 そうしてそれぞれ楽しい時間を過ごせば――南瓜頭の幼子も満足して、次の生へと歩み出す。
 楽しい一夜は、その心を満たして。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月15日


挿絵イラスト