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🎃南瓜ONかぼちゃ🎃

作者：小風

『Happy Halloween!! 本日も良い Witching hourですね Mrs.パンプキン！』
『Boo!! Trick or treat! まさにワタクシ達が輝く季節ですわ Mr.パンプキン！』

　広い芝生の庭を持つ一軒家が悠々と立ち並ぶ住宅街。
　暗い地上の夜を導くように灯される、ジャックオーランタンの光。

　それらを丸ごと飲み込みながら縦横無尽に伸びるは、不気味な黄金のカボチャの蔓。
　楽しげに踊る二体の異形の頭部もまた、赤く揺らめく瞳を宿すカボチャだ。

　絵本の世界か、悪夢の再現か。
　怪しくきらびやかなカボチャの実が、人々の営みを侵食する毎に膨らんでゆく。

『さあ、大きく育った Babyパンプキン！　今こそ Godな Powerを見せる時です！』
『It's show time! 出でよ新たなる恐怖……キューティーゴースト！！』

●
「――あら、別にアタシを呼んだわけじゃありませんわよ？」
　薄ピンクのシーツを頭から被り、妙に馴染んだ出で立ちで語り出すのはグリモア猟兵、納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）
　ベースに映る画の中とこちら、どちらもハロウィン感ハンパない組み合わせである。

「ヒーローズアースから事件ですわ。センターオブジアースに保管されていた太古の植物"ゴッドオブパンプキンズ"の種子が盗まれ悪用されています。このままでは楽しいハロウィンが恐怖のカボチャ百鬼夜行になってしまいますわ。キッチリ止めに行きましょ！」

　神が地上の環境を整える際に使われた黄金に輝く環境調整植物。
　どうやら畑を荒らすものを排除する為の、防衛能力を持っているらしい。

「最初に立ちふさがるのは、黄金のカボチャから生まれる"パンプキンオブリビオン"……あぁ、とってもややこしいけど、あの二体じゃございませんわ。中身をくりぬいたカボチャを頭に被った『海を統べる者の従者アクア・ガールズ』がたくさん現れます」

　非常にハロウィナイズされたオブリビオンらしく、扱う水が全部カボチャジュースに置き換わっているという。
「しかも指定すれば、アツアツのカボチャポタージュと変更もできます。寒い日にもピッタリで中身も無駄にしないなんて、フードロス対策もバッチリですわね！」
　まあ結局、攻撃の際には全部ぶちまけてしまうのだが。
「そんなに強敵じゃないので、頭部のカボチャを割っていただければ即消滅します。……でもちょっと、もったいない気もしますわね？　せっかくのジュースとポタージュ、いただいてはいかがかしら」

　それらを潜り抜けた先、黄金のカボチャ畑の中心に、犯人のオブリビオンは踊る。

「ミセス、ミスターと呼び合っている二体でひとつのオブリビオン『ナイトメア・パレード』こちらは元からカボチャ頭のようですわ」
　彼らの足元には、先程のパンプキンオブリビオンが生まれ出て来たものよりも、更に大きく輝く金色のカボチャが二つ実っている。

「これこそがゴッドオブパンプキンズから採れるパワーアップアイテム"ゴッドパンプキンヘルム"ですわ。これは被ると、とっても硬くって、決して割れませんの！」
　誰がどう見ても弱点の部位が、攻められなくなってしまった！
　攻防隙のなくなった相手にどう立ち向かえば良いのか。

「けれど、欠点はあります。なんとこちら、一度着けたが最後、絶対に脱げません！」
　しかもカボチャ頭が上から被れるほどのカボチャである。相当な大きさと重量であるのだろう、両手は常に頭部を支えるために塞がるのだという。
「しかも、ミセスもミスターも相当のハロウィン好き！　ハロウィンにまつわる楽しい思い出や、仮装のこだわり、更に美味しいカボチャ料理のお話なんかをされると、つい気を取られて手を放し、重たい頭から地面にめり込む未来が見えますわ！」

　……弱点、めちゃくちゃ多くなってるよね？

　しかし、ヒーローズアースの人々では手に余る相手であるのは事実。
　悪霊を追い払う日に悪いオブリビオンも退治して、爽快な活躍を世界に届けよう！

「ほな、スカッと景気のいいニュース、お待ちしてますわ！」
　切り裂かれた空間から、怪しく楽しい不気味な夜がのぞき込んでいる。

第1章 集団戦 『『海を統べる者の従者』アクア・ガールズ』

POW   :    アクア・リヴェンジャー 全身を【倒れた仲間の体で構成する水のオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【戦闘不能者数】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。 SPD   :    アクア・ウェポン 装備中のアイテム「【アクア・ウェポン】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。 WIZ   :    アクア・ボール 【周囲の水を集めて作ったアクアボール】を降らせる事で、戦場全体が【水中】と同じ環境に変化する。［水中］に適応した者の行動成功率が上昇する。 イラスト：麻宮アイラ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

「それでは、よろしくお願いします」
　一面に広がる"ゴッドオブパンプキンズ"の畑に向かってお辞儀をするのは、見目も涼し気な白いドラゴニアン、チル・スケイル（氷鱗・f27327）
　無人――ではない。
　チルが降り立った瞬間からツルを次々と伸ばし、その実を膨らませる神々の果実。
　軽快な音と共に割れ、中から"パンプキンオブリビオン"こと、カボチャを被った『アクア・ガールズ』が大量に飛び出して来た。

「……」
　カボチャの中からカボチャ頭。しかもハロウィン仕様でカボチャ色。
　ハロウィンの夜の珍妙な光景に驚いていることと思いきや。
「(……カボチャ……スシになるでしょうか……アボカド代わりに……ロールスシ)」
　グリモア猟兵は"食ってよし"と言った。
　ならば、食材を一番美味しく食べられる――スシにするのが最高であろう！！
　静かな食気の籠った眼で見つめながら、氷のウィザードは拳銃型の魔法杖を構える。

『パン！』
『プ！』
『キーン！！』

　飛び交うカボチャ色のジュース水砲と、青く輝く透明な氷の弾丸砲。
　パンプキンオブリビオンは強力だが、頭さえ割ってしまえば脆くも消滅してゆく。
　時にカボチャ畑に飲み込まれゆく民家やポストに隠れながら、追いかけて来るカボチャ頭、目の前で生まれたばかりのカボチャ頭を確実に打ち抜き進むチル。
　飛び散り葉の上へ溜まる水から漂うは、臭み消しによく使われるシナモンの香りだ。

『パンプ・キーン！』
「！？」
　それらが一体のアクアガールの指揮のもと、一斉に空へと舞い上がる。
　低空に集まり作られた巨大な水の球。

　刹那、それが崩れ、叩きつけるように降り注ぐ。

　まるで大きなカボチャ色のアクアリウムが落ちて来るようだ。
　まともに喰らえば、どれほどの水圧になるだろう。
　――いや、狙いはこの場の水中化か。
　元々は水を操るオブリビオン。
　地に流さず、その場に水槽のように留めてしまえば――溺れるのはチルだけだ。

　真っ白な猟兵が、カボチャ色に圧し潰される。

「――――(凍れ)」

　無音の命令。
　途端、吹き荒ぶ凍気の嵐に聴覚を塗り潰される。
　次いで従い響くは、まるで氷山が剥がれ落ち地を鳴らす轟音。
　カボチャを称賛するかのような鳴き声はその衝撃に、ことごとく砕け散ね。

　ユーベルコード、氷術・凍（アイスフリーズ）

　白濁したカボチャ色の、見上げるほど大きな氷の山。
　林立するそれらから凍気を纏い、神々しくも再び地に降り立つは氷竜・チル。
　辺り一面は暫し、冬の夜の静けさを取り戻した。

　供物のように転がる、綿と種がキレイに取り除かれた神代のカボチャの数々。
　その中から一番完熟したものを選び、満足そうに頷くと。

　氷の女神は、ヒーローの世界を後にした。

成功 🔵​🔵​🔴​

　――――シャンシャンシャンシャンシャン！

　先行した猟兵が残した戦いの名残、凍り付いたカボチャ畑が鈴のように鳴る。
　拓かれたボスへの道が掻き消される前にと、黒い疾風のように葉を揺らし駆け抜けるは黒衣のエルフ、ラムダ・ツァオ（影・f00001）
　少々目立ってしまうが、受け躱しには自信がある。
　パンプキンオブリビオンの放つ熱々カボチャポタージュの砲撃を、くぐり、飛び越え、蛇行しながら、速度を落とすことなく走ってゆく。
『パン！』
『プ！』
『キーン！！』
　……何よりこのオブリビオン、攻撃する前に一々掛け声を上げる。
　タイミングは、とても把握し易かった。

　冷静に敵を観察できる中、気付いたこともある。
「(集団敵とはいえ……射手の交代が早すぎるわね？)」
　そう、このカボチャ頭達。撃ち出すポタージュは頭部をくりぬいた中身を使っているという、無駄に無駄のない余計な仕様。
　技の三倍効果で誤魔化しているとはいえ、一体一体の攻撃回数には限界があるのだ。
「後方に下がった敵なら、一気に叩ける！」

　刹那、眼前に放たれたカボチャポタージュが、芳ばしい香りと共に蒸発した。

「――ふぅ、なんとか追いつきました。ここからは、私たちのハロウィンですよ」
　畑から闇が、二体の人型となって立ち上がる。
　涼やかに声を掛けたのは漆黒の外套を纏った、レイン・ファリエル（クールビューティー・f17014）
　その後ろに控えているのはユーベルコード、エレメンタル・ファントムによって召喚された魔術師の霊だ。
　ゆらりと霧のように透けるローブの袖を持ち上げると、一帯から撃ち込まれていたアツアツポタージュの砲撃がピタリと止む。
　その姿が今宵の祭にピッタリ過ぎるお陰か、反撃されるよりも早く呪いがカボチャ頭を侵食し、次いで注がれる魔力が実を内側から焼いてゆく。
『パパン！？』
『プ？』
『キィー－－ン！！！？』

　パッカン。コロリ。
　次々割れて落ちてゆく、おしゃべりなジャックオーランタン。
　残るは食欲をそそる芳香を放つ、カボチャの器だけだ。
「礼儀として、まずはトリックオアトリートと訊かなければ。オモテナシの押しつけには、イタズラが返ってくるかもしれませんよ？」

　レインが視線を向けて頷けば、ラムダという夜風が再び吹き起こる。

　直後、舞い上がるは脱ぎ捨てた黒いコート。
　現れた四肢と腹部を露わにした素肌もまた、艶やかな黒色だ。
　ユーベルコード、危肌一髪（ダイ・ハード）
　幸運をそのしなやかな身に宿し、振るわれる白刃は黒猫の鋭い爪のよう。

　転がり逃げるカボチャ達を次々と遊ぶように叩けば、ほらまたひとつ。
　調子はずれの旋律が鳴り響いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「環境調整植物って凄いわねー。今の世界なら畑を荒らす鳥とか猪とか熊とかも撃退したりするのかしら」
　害を成す虫も少なく、冬に実る貴重な果菜であるカボチャ。
　ゴッドオブパンプキンズの防衛機能も、易々と食われてなるものかと、太古の生存競争を戦い抜いた名残なのかもしれない。

　今でも不死の怪物が元気いっぱいに闊歩する、地球の中心より来たるそれ。
　きっと現代のバイオモンスターなぞも、小動物に分類されるのだろう。

　身長は、教室の天井に鼻を伸ばさないと届かないくらい。
　高校を卒業して、今年花々しく女子大生デビューをした華のJD、祓戸・多喜（白象の射手・f21878）
　象牙色のお肌が目を引く、ちょっと象獣人っぽい見た目がとってもチャーミング。
　そう、誰が何と言おうと、まさにハナのジョシダイセイである。

　この先のボス戦を見据え、南瓜行列の仮装に着替えて登場。
　奇しくも本年は、カボチャの意匠を凝らしたスカル・アンド・ボーンズを掲げる海賊の出で立ち。
　此度の戦いにピッタリな衣装であった。
「さーまずは蹴散らしちゃうわよ！」

『パパン！』
『ププン！！』
『キキーン！！』

　どう見ても略奪者である多喜の姿に、初戦よりも随分と数を減らした黄金カボチャを割り、パンプキンオブリビオンが躍り出る。
　これ以上ゴッドな実に近付けてなるものかと、三倍射程の遠距離攻撃を以って包囲するように展開する。

　しかし、対する多喜も射撃の名手。
　常人では弦を引くことも出来ない巨大な"剛弓ハラダヌ"。そこから射られる槍にしか見えない大きな"矢"。これらに速射や乱撃を織り交ぜて放つのだから、たまったもんじゃない。
　まさに、攻撃は最大の防御なりである。

　鋭い大砲のような連射の中、それでも搔い潜って放たれるカボチャポタージュは、勘を頼りに躱しつつ、大きな椀型の食器で受け止めた。

　…………弓を引きながら、どうやってお椀を持つのかだって？
　多喜には立派で器用な、像の鼻があるのだ！！

「んー……やるわね！　いい感じにブームになりそう！　ポタージュも温まって中々……おっといけない、倒さなきゃ！」
『――パンプキン？』

　ふいに、カボチャ頭からの砲撃がピタリと止む。
　様子がおかしいと、弦を引いたまま身構える多喜へ、今度は一筋の放物線を描くポタージュが放たれる。
　そう、丁度お椀に一杯分くらい。
　警戒しつつ、避けるほどでもないと判断した白象が、こちらも滑るように食器で受ける取ると、ひとくち。

「……あら？　こっちはオレンジの香りがするのね！　これもなかなかイケるわ！」
『パンプキン！！』

　寸刻前まで撃ち合ってたはずのパンプキンオブリビオン達が、何故だか嬉しそうに、わらわらと姿を現し出した。
　互いと多喜の椀の具合を見やり、一杯、また一杯と、遠くからゆるく受け止め易いポタージュ砲を、注ぐように放つカボチャ頭。

「これはサラサラでタマネギ風味！　こっちのこのコクは……お味噌をかしら？」
『パンプキン♪』

　なんとこの攻撃に使われていたカボチャポタージュ、全部味が違っていた！
　ちゃんと飲まれたのは初めてなのだろう。
　多喜の感想といい飲みっぷりに、我も我もと軽い足取りで、パンプキンオブリビオンが集まってきた。
　嬉しそうに跳ねるカボチャ頭の中、しばしわんこポタージュ状態が続く白象の射手。

「ふーー……まさかこんなに、神様の南瓜を堪能できるとは思わなかったわ。ごちそうさまでした。――と、それはさておきハロウィン滅茶苦茶にされるのなんて許せないしさっさと元凶倒すわよ！」
　まだまだ注がれそうなお椀を口に添えて蓋をしながら、多喜が夜空に向かって放つは巨大な光の矢。
　ユーベルコード・白き百億の星（ソラヨリイタルハヒカリノアメ）

　天頂を突き、落下を始めた光が、ひとつ、ふたつ……。
　白い枝を伸ばすように分かれていった大きな光が、いま一面にきらめく流れ星の豪雨となって帰って来る！

　避けられると、誰が思うだろう。
　光の恵雨が、畑に巣食う悪霊達を圧し包んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「――見えた。あれですね」
　進む先の遥か向こう。神代のカボチャ畑の中心に、踊るボス達の影を捉えたのは、大空・彼方（眠れる神の巫女・f33087）
　若干遠いが、こちらには気付いていない様子。
　一撃入れられるかと構えた、その瞬間。

『パン、プッ、キーン！！』
　黄金のカボチャを頭に被った護衛のパンプキンオブリビオン、最後の一体が現れた。
　どうやらボスを守る為に待機していた、慎重な個体らしい。

「ハロウィンの亡霊――悪鬼羅刹ならば、舞姫たる私が相手になりましょう」
『パパンププキン、パンプキン！』
　話が通じているのか、いないのか。
　気の抜けるような返答の後に、異変は起きた。

　鳴り響く、小刻みな地鳴り。
　と同時に、畑のそこかしこに散らばる敗北した仲間の残骸――割れた黄金カボチャから、カボチャ色のジュースが一斉に吹き上がる。
　意志持つように空中を流れたそれらが、唯一の生き残りたるパンプキンオブリビオンへオーラのようにまとわり付く。
　――仲間全員分の力で受けて立つ、とのことらしい。

「なるほど、終盤に使われると厄介な技です。……なんて面倒くさい」
　ハッキリ言えばピンチな展開に、どこかマイペースな感想をこぼす彼方。
　息つく間もなく放たれるカボチャジュース弾の嵐の中を、ジグザグと鋭く素早く、それでもどこか舞のように躍る。

　一見して優雅。
　そんな気質だから、見つけられたのだろう。
　魑魅魍魎跋扈する、この地を見下ろす、赤い凶星を。

　するりと天に伸ばした指先が、その光を掬い取る。
　朱は印を描くように振るわれ、唇は謡う。

「光すら飲まれる深海。破滅を唄う人魚。赤く輝く凶星は、封じられし水神を呼び起こす――喰らえ、インビジブルテンタクル」
　暗い夜空を海原に見立て、放つはユーベルコード、魔術･水神の先触れ。

　星座の怪物が、ズルリと重たく落ちて来たかのよう。
　かのモノには見えない触手が、金色ジュースの砲撃を不規則に弾き返し、そこに"何かが現れた"ことを示す。

　遺志継ぎ暴れるカボチャ頭が目の前の禍に気付くとき、細い細い"それ"の先は、既にオブリビオンに触れていた。
　生物の正気を奪う、その魔術。では、狂える悪霊から、奪われるものは。

『パンプ……ワタ……ハ…………わタし、は……！！』

　最後のジャックオーランタンが、割れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 ボス戦 『ナイトメア・パレード』

POW   :    ナイトメア・ナインス 自身の【瞳】が輝く間、【南瓜頭】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。 SPD   :    アーユーレディ？ 無敵の【燕尾服】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。 WIZ   :    トリック・オア・トリート 戦闘力のない、レベル×1体の【小さな可愛いオバケ】を召喚する。応援や助言、技能「【料理】」を使った支援をしてくれる。 イラスト：つばき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

『Foo!! 今宵は良い Pumpkin day だと思いませんか Peach girl?』
『夜が最も長い日。ゴーストパレードも More and more 盛り上がりますわ！』

　太陽の力が最も弱く"死に最も近い"とも云われる"冬至"。北欧では"ユール"の祭りとして伝わっている。
　この日に南瓜を食べる国もあると知ってか知らずか、我らが主役だとばかりにビシリとポーズをキメる『ナイトメア・パレード』
　二体の頭部には当然のように鎮座する、巨大な黄金カボチャこと"ゴッドパンプキンヘルム"。

　そんなに背中を反らさないでくれ。
　今にも首が折れそうで、見ているこちらが大変怖い。

「まずは間合いをとりましょう」
　思いの外大胆に動くオブリビオンから、ゆっくりと距離を取りながら白球を握りしめるのは白・桃（桃の乙女・f33419）
　カボチャ頭がくるくると踊る端から召喚されるオバケ達が、すかさず主らの危ない頭部を支えてゆく。
　滑稽な光景にしか見えないが、もう戦闘は始まっているのだ。

「ハロウィンといえば子供の頃はお菓子をたくさん貰えるのがとても嬉しかったですね」
　カワイ子ちゃんと呼ばれた桃が、寵姫らしく美しい笑みを湛え、ゆるりと謡うように、懐かしい情景を描くように語り始める。

「キャンディやチョコレートが多い中、近所の老夫婦はいつもウエハースをくれるのでそれが特に楽しみでした」
『Oh! 敢えて甘さ控えめの Sweet を Choice するところ！　Halloween の子供側のことをよくご存じですね！』
　Mr.パンプキンが食いついた！

「今はお菓子をあげる側として楽しんでます」
『Oh well! 連綿と繋がる Trick or treat! なんて素晴らしいんでしょう！』
　Mrs.パンプキンも食いついた！

　このカボチャ頭達、ハロウィンの話題にすさまじくチョロイ！！
　瞬く間も無く堕ちた二体を、呼び出されたオバケらが心配そうに見ている！

　ふわりと腕を伸ばし、手の中の白い球を愛おしそうに転がす桃。
「ちょうどこのくらい――今年はカボチャのカップケーキを用意してますよ。サツマイモを混ぜて作るのが我が家流です。カボチャの甘味とサツマイモの食感がマッチして無限に食べられると評判です」
『Brava!! 大容量の菓子袋から小分けして出すこともできる昨今ですが！』
『Awesome!! ひとつひとつに飛び切りの美味しさを込めてくれるなんて！　Clap する手が足りませんわ！！』

　ヘルムの穴から溢れ出るほど感涙しながら激しく頷き、惜しみない拍手を送るナイトメア・パレード。

　――そう、拍手してしまったのだ。
　巨大ヘルムを支える手を、両方放して！！

『Arghhhhh!!?』
『Ow! it hurt!!』
　ズズーンと鉛玉でも落としたのかと思わせる音を響かせ、カボチャ畑の地面にめり込むカボチャ頭×2！
　必死に支えようと踏ん張っていた小さなオバケも何体か巻き込まれた！　カワイソウッ！！

「せめて美しく散りなさい！」
　醜態を晒すそれらに桃が投げつけるはカボチャのカップケーキ……否、白球型魔法手投げ弾！
　強い肩から放たれたそれが突然、空中で霧散する！
　これが噂の消える魔球！！？　いや、ユーベルコード、桃花乱舞だ！！

　美しく舞い踊る無数の桃の花弁へと姿を変えたそれらが千本ノックの如く、カボチャ頭が柔らかい食材となるまで、念入りに叩き潰してゆく！

大成功 🔵​🔵​🔵​

　超硬度のヘルムのおかげで頭部は守られたが、全身打撲でボコボコになった『ナイトメア・パレード』がなんとかヨロヨロと立ち上がる。
　好機、とばかりに真夜中のカボチャ畑から一斉に飛び出す猟兵は四人。

　……相手は二体でひとつ、という厄介な相手だ。
　連携される前に、こちらが連携で叩き潰す。

　視線でその意を疎通したイェーガー達が、幽鬼よりも恐ろしく襲い掛かる！

●
「それじゃあ、まずは分断させてもらうよー！」
　間延びした掛け声と共に、この世ならざる紫の炎で敵を包むのは、四王天・焔（妖の薔薇・f04438）
　ユーベルコード、火園の紫（フォックスファイア・ヴァイオレット）が『ナイトメア・パレード』の間を走り、一歩逃げ遅れたカボチャ頭、Mr.パンプキンを包み込む。

『Oops! フランベは勘弁さ。Camon! キューティーゴースト！　蓋をしておくれ』
　ミスターカボチャ頭の呼び掛けに、小さく白いシーツオバケ達が次々と集まりその身を寄せ合って炎の鎮火を試みる。
　その身はやはり冷たいのか、妙に頭部の大きなオバケとなったミスターを焼く炎の勢いが、若干衰える。

「ぬいぐるみになったみたいで、ちょっとファンシーだねー」
『HAHAHA! Cuteで Ableな自慢の Babyなのさ！』

　オバケまみれで顔の塞がったミスターを見やり、焔はこっそりとほくそ笑む。
「でも、そんなにオバケが鈴なりじゃ、素早い反応はできないよねー」

●
「そういうことです。お覚悟！」
『Auchi!!!?』
　死角から飛び出し、鋭いレイピアの一撃を打ち込むのは、ハロ・シエラ（ソード&ダガー・f13966）
　途端に蜘蛛の子を散らすように逃げてゆく小さなオバケ達の向こうから、鋭い殺意を宿す赤い光と目が合う。

『Bad Girl!! どうやらお仕置きが必要なようだね！』
　巨大なヘルムを支える為に手が使えないようだが、それでも長い脚と鋭いヒールの足技を目にもとまらぬ速さで繰り出すMr.パンプキン。

　しかしハロも9連撃が来るのは想定済み。
　猛攻を紙一重で躱しながら、その身を深く沈めて見せた。

「その頭が被り物なら、必ず隙間があるはずです」
『!!?』

　ユーベルコード、ユナイテッド。
　下半身は蛇、腰に小さな翼を携えた水魔に姿を変えて見せたハロ。
　刹那、その身は水のようにほどけて飛び散り、露わになったミスターカボチャ頭の首を狙う。

『――Ahhhhhhhh!!!!!!』

　決して壊れない硬度を誇る、金色の"ゴッドパンプキンヘルム"。
　内側から攻撃されてはその利点も生かせない。

　バシャリ、とジュースのこぼれる音の後、神代のヘルムだけが重たげに転がった。

●
『Aiiieee!!!? Mr.パンプキン!!?』
　片割れが居なくなり思わず悲鳴を上げるMrs.パンプキン。

「大丈夫、君の首も落としてあげるからね」
「うん、ドーンと行くのよ」
　気を取られている隙に挟み撃ちの陣を展開した猟兵、海石榴・鮫（椿の花の落つるが如く・f34944）、ヴィヴィ・ジーヴ（いつも誰かのお手伝い・f22502）
　表裏一体のオブリビオンだというのなら、残った片割れの力も減じているはずだ。ここで一気に畳みかける。

『Tut-tut. そう Easyにやられるゴーストなんて、いなくってよ！』
　軽やかなフィンガースナップの音と同時に、可愛らしいスイーツを持ったオバケが無数に表れた！

「……ビビ、食べるの好き」
「あれは罠だから食べられないんじゃないかなぁ」
　色とりどりで甘い香りを放つ、カップケーキにキャンディーにチョコレート。思わず目を奪われるヴィヴィに柔らかく忠告する鮫。
　ミセスへの攻撃を邪魔するオバケを減らそうと、空中をひらひらと飛び回り躱そうと試みるキマイラの少女。
　だがオバケ達が、盾にするのだ。折角のスイーツの数々を。

「食べちゃダメ。食べちゃダメ。でもお菓子が…………もー！」
『Wow!?』
『きゃー！』
　とってもうっとおしいけれどスイーツを台無しにするのも嫌だ。
　だから目を瞑って思いっきり放つ、エレメンタル・ファンタジアの突風！
　もうどっか、見えないところに行っちゃって！

　白ーいオバケと甘ーいスイーツがきりもみで飛び交う中、ただ一人真っすぐ進む鮫。
　彼が育ての親から譲り受けた龍の銀眼。
　その視る力を以ってすれば。
　風を読み、障害物を避け、カボチャ頭へ肉薄する道を見定めるなど、造作もない。

「力を貸して……！」
『What!?』
　トドメとばかりに開放するはユーベルコード、天駆（アマカケ）。
　龍神の爪より研ぎ出だされし神刀・天削の威力を引き出し、自身の中に流れる血を励起させたその姿は、まるで龍の化身。
　彼は突然の嵐すら、その支配下に置く！

　ザンッ！

　神なる天龍の裁きにより、神代に至る最後のカボチャが割れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2021年12月25日