2
PUMPKIN AS GOD

#ヒーローズアース #お祭り2021 #ハロウィン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ヒーローズアース
🔒
#お祭り2021
🔒
#ハロウィン


0




●何よ、私今回こういう役回りなの?
 ヒーハー! そんなこんなでやってきましたHALLOWEEEEN!
 ヒーローズアースは大都会、ここフィラデルフィアにもハロウィン来たる!
 ヒーローによって治安の守られたこの世界のこの街では、待ちに待ったハロウィンに備えて大人も子どもも準備の真っ最中!

 しかしなんというタイミングか、かつて神の用いた環境調整植物・ゴッドオブパンプキンズの種子がオブリビオンによって盗まれ地上にバラまかれていたのである!
「KABOOOM! PUMPKIIIILL!」
 巨大カボチャを被った量産型クライング・ジェネシス(擬音でしかしゃべれない)の叫び声もこころなしかハロウィン仕様、意気揚々とゴッドオブパンプキンズの種をばらまいていくぅ!
 地面から伸びるゴッドオブパン(長いので略)のつるはなんと黄金色、突如地表に現れたゴールデンッなカボチャに地上は大混乱!

 そしてそれら混乱の渦中、全てを見下ろす高台に立った今回の悪役はこのお方!
 クンッッと指先動かすだけで竜巻を生む、グレイト・スピリットでござーい!
「あら、イイ働きぶりじゃない。マメな男はポイント高いわよ?」
 知能が劣化したのをいい事にかつてのオブリビオン・フォーミュラの量産型を使い倒す巨漢の魔術師はゴッド(略)から成る黄金色の兜をすっぽり被って超絶パワーアップ!

 さあ来ましたスーパーボーナス悪事タイム、やーっておしまい!
「あら抜けないわねこれ」
 んがっぐっぐっ。お化粧崩れちゃう。

●目を閉じても耳を塞いでもカボチャはやってくる
 その日、グリモアベースにいたシュワルベ・ポストボーテは翼の先にバスケットを引っかけてハロウィン仕様。ご自慢のオレンジの喉元(のっとかぼちゃいろ)をくるると震わせ、通りがかったキミ達へと呼びかける。
「ハイ! 猟兵さん、おしごとなのですよっ」
 相変わらず何も考えてない配達ツバメは、集まった猟兵をぐるりと見回して曰く。
「ヒーローズアースの街で悪者さんをけちらして、おネエなおにーさんのカボチャをパッカンしてきてほしいのですっ!」
 うん。なるほどまったくわからん!

 たどたどしいシュワルベの説明を要約すると、こうである。
 まずヒーローズアースにオブリビオンが現れた。
 オブリビオンはゴッドオブパンプキンズという地球環境を変える植物の種を盗んでおり、この神の時代の遺産を使って地上に混乱を巻き起こそうとしている。
 オブリビオン自身もこのゴッドオブパンプキンズの恩恵を受けて強化されているが、倒せばばらまかれたゴッドオブパンプキンズの種子の影響もなくなり万事解決。
 そういう事であってるか――と居合わせた猟兵に聞かれ、シュワルベは「そうなのですっ!」とノータイムで頷いた。
 多分このツバメ、言うままに壺とか買わされるタイプである。

「念のため補足しておくとですねっ、部下さんのかぶってるカボチャは弱点で、攻撃するとパッカーンって割れるのですっ。でも弱点を守るように戦うので、なんとかうまい事やってほしいのですっ」
 なるほどそれはいい事を聞いた。相手も弱点は承知の上とは言え、いたぶりもとい攻略のしようがあるというもの。
「親玉のおにねーさんの方はですねっ、黄金色に輝くカボチャヘルムをかぶっててこっちは割れないのですっ。でもでもなんと、一度かぶったら脱げないらしいのですっ」
 それは……いろいろ困った事になりそうだ。主に生活上で。
「一応ヘルムなので目の穴や息するとことかは空いてるですけどねっ、いろいろやりようはあると思うですよっ。たとえばぐるんって兜を前後逆さまにするとかですねっ」
 ほうほう、脱げない割れないヘルムを前後逆さまとな。何とも愉快……もとい、効果的な戦略だ。

 説明をあらかた終えたシュワルベは、善は急げとグリモアの転送ゲートを開く。
 向こう側に開ける、大都会の街並み。東海岸の秩序だったコンクリートジャングルがキミ達の視界に飛び込んでくる。
 今回はどんな冒険が待ち受けているのだろう――思いを馳せていたキミ達の耳に、聞き捨てならぬ言葉が飛び込んでくる。
「ちなみにおにねーさんの攻撃は竜巻に雷とこーいきむさべつこーげき? らしいので超強いですけどファイトですよっ!」
 待って最後にそんな重要情報追加しないで――キミ達は抗議も空しく、転送の光に包まれていくのでした。南無三。


晴海悠
 お世話になっております晴海悠です。ハロウィンです!
 見たまんまのノリでシナリオをお送りいたします。
 ノリでいきましょう、ノリで。いきて。

『プレイングの受付』
 オープニング公開と共に受付開始します! 断章もプレイングに影響が出ないものとなりますので、いつ送って頂いても大丈夫です。
 採用数については完結優先で、少なめになると思われます。

『一章 集団戦』
 なぜか残ってた量産型クライング・ジェネシスが襲い掛かってきます。
 強化されてますがカボチャ頭が弱点当たれば一撃です。狙え。
 クライング・ジェネシス略してクラジェネたんも分かってるので頭守ってきますがなんせ身の丈ウンメートルの巨体です。的がでかいだろう、狙え。
 ちなみに守って逃げつつ器用に骸の海とか発射してきますので対策もしっかりね! 狙え。

『二章 ボス戦』
 おネエ口調の巨漢魔術師グレイト・スピリットがカボチャヘルム脱げなくてそのまま戦ってます。うっふん。
 割り切り上手なので平然としてますが割れない脱げないヘルムなのでいろいろ意地悪できそうです。
 でもいじりに対し堂々と「あなたやるじゃない」とか言いつつ広域竜巻魔法とか雷鳴の嵐で無差別攻撃してきます。こう見えて多分ノリはいい方です。
 カボチャ頭は弱点ではありませんが狙ってみてもいいです。楽しいので。狙え。

『シナリオ運営について』
 すぱーんとノリでいってノリで終わる高速直球配達便です。
 書ける! と思ったものから順に成功に必要な分だけプレイングを頂戴してさくっと終わると思われます。
 祭りってそんな感じでいいんです。楽しくいきましょう。いきて。

 それではリプレイでお会いしましょう! あさってにエイムを。
132




第1章 集団戦 『量産型クライング・ジェネシス』

POW   :    GAOOOOOH!
全身を【原初の炎に包まれた姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    BAOOOOOM!
【簡易型骸の海発射装置】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ   :    THEEEEEEND!
【簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『神々の時代』の火で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 コンクリートジャングルに響き渡る、助けを求める市民の声。
 バラまかれたゴ(略)の種子もにょきにょき伸びて、今に天にも届きそう。
 ちょっとハロウィンじゃない気配が混ざりつつあるが、それはそれ。
「HALLOOOOOM!」
 量産型クライングジェネシスの声も中途半端にハロウィン仕様。
 かぼちゃを被ってのっしのし、一度やられた過去も忘れているのか我が物顔である。

 さあヒーロー&ヴィランそして猟兵達よ、今こそ街の為に一致団結して戦う時だ!
「KABOOOON!?」
 あ、クラジェネたんがつるに足を取られた。
 蔓の這う畑って歩きにくいですよね(畑ではない)。
スピーリ・ウルプタス
あのカボチャを被れば、脳天を叩いていただける、と?
なんと羨ましい!
いえ流石に実践したらば、あの巨躯の皆様からでは私、本体ごと粉々にされてしまいそうなのでちゃんと自重致しますとも(未練の溜息)

UC発動
一本では弱いですが数が集まればなんとやら
という事で一体の敵様に複数の鎖(※アイテム)を振り下ろし割りに掛かりましょう!
こう、グルグル遠心力という勢いをつけて、ビュン!と
避けられるようなら、先に鎖で動きを封じてから振り下ろします

敵様のUC見て
ふん縛っていただけたり鎖の鞭を振るっていただけたり…大変です、ご褒美でしょうか(真顔)
自身の技での痛めつけ合いッ、もとい技の応酬、負けぬよう頑張ります!



 街の危機に颯爽と駆け付ける、一つの影。
 真っ先に訪れたのは穏やかな笑みの似合う紳士然としたこの男、えーと何々、スピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)……ちょっと待って称号の時点からアウトの予感が!
「なるほど。あのカボチャを被れば、脳天を叩いていただける、と? なんと羨ましい……っ!」
 ほーら一言目からこれだよパパン! 見悶えするたび手にしたダイモンデバイスからのたうつ蛇の幻影が見え隠れ、たぶんこの人二章で胸板ごついおネエさんにシバいてもらう魂胆とみた!
 しかし変態といえども彼も紳士、理性の欠片ぐらいは持ち合わせがあった。
「いえ、流石に実践したらばあの巨躯の皆様のこと。私では本体ごと粉々にされてしまいそうなので……今回は自重致しますとも」
 未練の深~いため息と共に、自身の願望を胸ポケットにナイナイ。そりゃそうだ、粉々になっちゃあお仕置きを味わう事なぞできやしない。
 眼前においでなすった量産型クラジェネさん、早速見つけたスピーリを追い回さんとカボチャの下から眼光ギラーン。
「TRICK OR DIEEEEE!」
「おお、なんと激しい……!」
 逃げるスピーリの真横をバスバス飛び交う骸の海弾、街の至るところが過去の澱みへと変えられていく。
「ふふ、自分のか弱さは自覚していますとも。私の本体を縛るこの鎖も一本では弱いですが……」
 走り、ついでにしゃべくりながら器用に本体である禁書の分身体を呼ぶスピーリは、あろうことかその鎖だけを取り外して束ね。
「数が集まればなんとやら、ですよ!」
 グルグル回して遠心力を高め、ひゅっと風切る音ともに投げ付ければ。
「GYAOOOOO!?」
 弱点のかぼちゃ頭に見事命中、あえなく爆散! こんなでも一応はビーストマスターの端くれ、鎖を操る手腕も鮮やかなものである。
 だが忘れちゃあいけない、敵は量産型。一体倒しても第二・第三の奴らが現れるのだ!
「APPEAAAAR!」
「ううむ、これはいけませんね。倒してもキリがなく窮地に追い詰められるのみ……おや?」
 心なしか息の荒くなるスピーリだったが、ここで先のクライング・ジェネシスの放った骸の海弾からむくりと立ち上がる一つの影。
 ハイカラな羽織物に身を包み鎖を握るのは、紛れもなくスピーリ自身の転写体。
「おお……これは……」
 わなわなと震える紳士の唇。しだいに上がる心拍数。まさかとは思いますがアナタ、変なコト期待してませんよね?
「ふん縛っていただけたり鎖の鞭を振るっていただけたり……大変です、ご褒美としても身に余る快楽ッ!」
 やっぱりそうだった――!
「自身の技での痛めつけ合いッ、もとい技の応酬! 負けぬよう頑張り、あっ、ちょっ!?」
 後ろ手に縛られ転がるスピーリを見下ろす、クライング・ジェネシスの言うには。
「ENGACHOOOO……」
「あっ、そんな縛って放置しないで……やだやだ置いてかないで……ああーっ」
 運命とは皮肉なもの。量産型オブリビオンにまでえんがちょされた事により、図らずも彼は新しい扉を開いてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
カボチャの種を使って世界征服しようなど、ハロウィンにはぴったりの計画ですね。
しかし、その計画も弱点も既に猟兵にはまるっとお見通しです。

夏のスイカ割りならぬ秋のカボチャ割りですが、いざお覚悟を。

敵の攻撃は【第六感】で回避です。

ヨーヨー『』エクリプスで戦います。
狙いはもちろん部下たちのかぶっているカボチャ!
UC【蒼鷹烈風】でヨーヨーの回転と距離を高めます。

スマートグラス『ガリレオ』で相手の動きを解析。
最適なヨーヨーの軌道を割り出して、【念動力】で誘導します。

トドメは【重量攻撃】こめて、ヒットです。


丑三・勘太郎
ハロウィンだからって、仮にもオブリビオン・フォーミュラが量産されるっていうのも、おかしな話だな……。
まぁ、たくさんいるなら、その分喧嘩のしがいがあるってもんだ。

現場に着いたら、さっそく【器物纏】を使用。
『未之刻八ツ時』に『鎌鼬』の能力を宿し『憑依形態』に変化させる。

敵のUCで無敵になるけど、頭の南瓜が弱点なのは変わらないし、動けないなら都合が良いな!
武器を手にしたまま、敵軍勢に踏み込んでから頭の方まで飛び上がり、南瓜に向かって無数の斬撃を飛ばす!

「西瓜割りならぬ、南瓜割りって奴だ! 丑三流奥義!! 『斬旋風』!!!」



 正義の灯火は決して潰えぬ。この世に悪が蔓延る限り。
 でははびこるのがカボチャなら? 実害がある以上戦いはするけど、やる気の火加減がちょっと下火になるぐらい、許されるんでなかろーか。
 しかし、ここに集う二人の猟兵にはサボリ魔の誘惑は届かない様子。
 ほうぼうで戦い抜いてきた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、猟兵としては歴戦の部類。混沌とした街の惨状を目にしても、動ずる事なく構えている。
「カボチャの種を使って世界征服しようなど、ハロウィンにはぴったりの計画ですね」
 紅縁がおしゃれな眼鏡型デバイスをきらーんと光らせ、敵の動きを一通り分析。
「しかしその計画も弱点も、私たちには既にまるっとお見通しです」
 敗れたり! と言わんばかりの余裕の動作で、射出される骸の海弾を海老ぞりに躱す。
 鼻唄まじりに回避していく、摩那の足さばき。その鮮やかさに「ほう」と関心を寄せた男は、あらためて敵の方へと向き直る。
 脱色したように混じり気のない、銀の髪。厳かな出で立ちの中で、黒曜の角、そして真紅の瞳だけが修羅たる彼の本性を表していた。
「ハロウィンだからって、仮にも元オブリビオン・フォーミュラが量産されるのもおかしな話だな……」
 彼の名は丑三・勘太郎(妖憑依を継ぐもの・f10108)。武の鍛錬以外には無頓着な勘太郎も、さすがにこの事態には違和感を拭えないらしい。
 だが、知性が劣化しても元・フォーミュラ。粗暴な力、あらゆる事物を過去で飲み込む骸の海弾、相手にとって不足はない。
「沢山いるならその分、喧嘩しがいがあるってもんだ」
 気を取り直して壁を蹴り、怪物の眼前に降り立った勘太郎は吸気を練り上げる。操る力は妖をその身に纏う化身忍術。憑依は肉体のみならず、携行する武具ですらも範疇に含む。
「丑三流憑依忍術、器物纏……受けてみやがれ!」
 印を切る手の先から漏れ出づる、煌めく灯火。対価として与えた命は打刀の冴え渡る刀身に宿り、魑魅魍魎を瞬く間に呼び寄せた。
 殴りかかるクライング・ジェネシスの拳を包む、見えざる大気の刃。空間ごと断ち切る真空波が、敵の拳から鮮血を撒く。
「GYAAAAA!?」
 暴れのたうち後退する敵へ、にらみを利かす勘太郎。刀を中心に渦巻く鎌鼬の刃が、獲物が飛び込んでくるのを今かと待ち受ける。
「ふふん、やりますね! 風を操るならば私も倣いましょう」
 負けじと摩那が呼ぶのは蒼の烈風。刃仕込みのヨーヨー・エクリプスを勢いよく下ろし、ウォーク・ザ・ドッグからアラウンド・ザ・ワールド、回転の上に更なる回転を加えていく。
「励起、昇圧……目標を確認。制圧、開始!」
 未知の合金でできたこれは玩具にあらず、敵を葬り去る鋼鉄の塊。乱れ飛ぶ手の内にある命は鷹の如く掠めとる、これぞ蒼鷹烈風の真骨頂なり。
「GYAAAAAAAAS!?」
 ぶたれるのを嫌ったクライング・ジェネシスは原初の炎で身を護るが、戦場においてこれ程致命的な行為はない。何故なら――。
「頭の南瓜が弱点なら、動けないのは都合が良いな!」
 代々伝わる打刀を大上段に振り上げ、勘太郎が躍り出る。お尻隠して頭隠さず、ホント今回彼らを呼んだのどこの誰なんでしょうね!!
 無数の斬撃を放とうと勘太郎が跳躍し、後ろにはヒュンヒュンとヨーヨーを回す摩那の姿。トドメの一撃を叩き込む準備は万端、さあ言っておやりなさい!
「食らいやがれ、丑三流奥義! 西瓜割りならぬ南瓜割りって奴――」
「夏のスイカ割りならぬ秋のカボチャ割りですが、いざお覚悟――」
 あっ、決め台詞かぶった。上空でわずか一瞬見つめ合う摩那と勘太郎。
 振り下ろされるヨーヨーと刀はカボチャの脳天を勢いよくかち割り「HOGEEEE!?」と醜い断末魔と共にクライング・ジェネシスは真っ二つに!
「「…………」」
 とすん、と地に降り立つ勘太郎に俯く摩那。そこはかとなく気まずそうな二人の間を空気読んだ葉っぱがビル風に乗って吹き抜ける。
 まあ……こういう時は便利なこの言葉を使おう。世の中そういう事もある。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソルドイラ・アイルー
むむむ、手始めに頭ぱっかんしたく思いますが、クライング・ジェネシス改めクラジェネたんは強化済でありますか
ならば強化には強化で対抗するものですよ! さあ防御特化の吾輩とクラジェネたんの炎、どちらが勝るか……、……お互い一歩も動けない中、防御姿勢を取って見つめ合い続けるこの状況は一体!? お先にどうぞ。あ、いえいえ遠慮なさらずに……ええ〜っ……

痺れを切らした方が負けますね……ここはナイスファイトしたくありませんかクラジェネたん。せーので一緒に動きません? せーの、で杖剣を槍投げの要領で投擲します。それと同時に足を踏み込んでロングソードを頭部目掛け振るいましょう。これも躱されたなら頭突きですねえ!!



 市街地に骸の海を不法投棄しつつ迫る、量産型クライング・ジェネシスの群れ。元々のカラーもあり、カボチャ被る姿は仮装っぽくはあるが、街を汚すパレードはどなた様であってもお呼びではない。
「むむむ、手始めに頭ぱっかんしたく思いますが……」
 立ちはだかるこちら悪の科学者、もといソルドイラ・アイルー(土塊怪獣・f19468)。「ドラゴンゾンビってカッコいいよね!」というノリでバイオモンスターと化したという彼の姿も、やっぱり仮装に見えなくもない。
「……クライング・ジェネシス改めクラジェネたんは強化済、でありますか」
 居合わせた子どもたちにぶら下がられ「おじちゃん何かぶってるのー?」「ぬーげ、ぬーげ!」と絡まれるのを「危ないからやめなさい!」と片手間に窘めつつ、威厳ある咳ばらいをした彼はあらためて敵へと向き直り。
「ふふ。ならば強化には強化で対抗するものですよ! あそーれ、無敵城塞ッ!」
 ぺっかーん。まぶしー! 子どもたちが再度目を開けた時には、鉄壁の守りとなって仁王立ちするソルドイラの姿が!
「GAOOOOH!」
 負けじとクラジェネたんも原初の炎を纏い、超絶防御態勢!
「さあ防御特化の吾輩とクラジェネたんの炎、どちらが勝るか……勝るかー……」
 ここで両者のユーベルコードの特徴を書いたカンペを読み上げてみよう。えー、なになに? 『あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない』……?

 呼吸を止めて一秒どころか、はや数分。
 付き合ってくれる敵も敵だが、飽きた子どもたちが「えるぼー! にー!」とか「千年殺しっ」とかやってきてるのが地味に辛い。ていうか解除しづらい。
「この状況はマズイですねぇ……吾輩紳士ですので、どうぞどうぞお先に」
「REFUUUUUSE……」
「えぇ~っ……そんな殺生な」
 痺れを切らした方が負けな上に、背中にまで非情なる敵を背負ってしまったソルドイラ。明日はどっちだ!
「ここはナイスファイトしたくありませんかクラジェネたん。せーので一緒に動きません?」
「THREE COOOUNT……」
「わかりましたわかりました、3・2・1で行きましょう!」
 息を整え、カウントダウンを始める。
「3……」
 お尻の辺りにどすどすと子どもたちの送る何らかの衝撃。
「TWOOOO……」
 クラジェネたんの声に滲む緊張。
「1……!」
 限界まで小突き続けた子どもたちが要領よくその場を離れ。
「そいやああっ」
 どう見ても杖に見えない特大仕込み杖をぶん投げ、ダッシュで同時に斬りかかる!
「NO FUUUUTUREEEE……!」
 発止! と受け止められた剣と杖、だが至近距離でなおもソルドイラは笑う。
「ふ……これも駄目なら頭突きですねえ!!」
 どかんと一発、石頭! 見事執念の一撃が剣をめり込ませ、かぼちゃ頭から割れて砕け散るクラジェネたんを見届けたソルドイラは。
「ふはは、悪は勝ーつ! しかし更なる悪には勝てないのであります……」
 がら空きになった背中から子どもたちの襲撃を受け、涙と共に倒れ伏すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェリー・クサナギ
「頭のカボチャはキュートだけれど、騒がしすぎるのは『美しくない』わね」
・グレイト・スピリットにかすかな対抗心を抱く
・おそらく敵も自分の弱点が狙われやすい事を知っているだろうから、ユーベルコード「叛逆の狼煙」を発動して骸の海と骸の海をぶつけ、攪乱を試みる。ダメ押しで「制圧射撃」を試みる
・どさくさに紛れて得物の自動小銃で攻撃。巨敵に対抗するべく「武器改造」で対応する弾のサイズを「限界突破」させ、その遮る腕さえ「貫通攻撃」してみせるだろう。反動の大きさは「怪力」でカバー
・アポカリプスヘル生まれゆえか、敵から収穫できるカボチャ(断片であろうとも)を『貴重な栄養源』にできないか目論んでいる



 パンキッシュな黒レザーのベストに身を包み、足元にはカツリとハイヒールの音。シェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)の容姿は性別すら越えた、一種の美貌を湛えていた。
 変わったファッションの理由は『美しさこそ文化』との考えから。アポカリプスヘルの人類再興を夢見るシェリーにとっては、美の探求もまた文化の『奪還』のうちなのだ。
「ふぅん、アナタがグレイト・スピリットの部下? 頭のカボチャはキュートだけれど、騒がしすぎるのは『美しくない』わね」
 ドスの利いた声には軽蔑の意味。シェリーに認められたくば、容姿だけでなく振る舞いも美しくあらねばならぬ。知性を欠いた叫び、そして何よりハロウィンを荒らすオブリビオンとあっては、到底お眼鏡に適う事はない。
「ま、いいわ。その頭のカボチャだけでも頂ければ。美には栄養が必要だもの」
 言うが早いか自動小銃を構えるシェリーに、クライング・ジェネシスはけたたましい叫び声で応じる。
「BAOOOOOM!」
 奇怪な声と共に骸の海を撃ち出すクライング・ジェネシス。飛び散る汚泥のような液体に顔をしかめながら、その飛沫が銃に付着した事にシェリーの口端が上がった。僅かたりとも自らの銃で受け止めたならば、それは能力発動のトリガーとなる。
「本当の美しさを見せてあげる」
 叛逆の狼煙――正確に写し取った敵の技で、シェリーは骸の海同士をぶつけ、相殺していく。それだけでは防戦一方だが、幸いにも敵の弾は無尽蔵ではないらしい。
 敵が弾切れした隙に、自動小銃の筒とカートリッジを改造済みのものに差し替え、本来装填不可能な大口径弾をバレルに流し込む。照準を合わせ引き金を引けば、勢いよく撃鉄に弾かれた弾はクライング・ジェネシスの剛腕を貫いてみせた。
「GAAAAA!?」
 身を伝う反動にも眉一つ動かさぬシェリー。続け様に何発も撃てば、そのうちの一発が腕に突き刺さった弾を押しやり頭のカボチャへと食い込ませた。
 倒れ伏すクライング・ジェネシスの頭部から、カボチャの破片が転げ落ちる。
 急ぎ拾い上げるシェリーだったが、神の種子から生まれたカボチャはぐずぐずと崩れてしまった。
「あら……栄養不十分だったのかしら」
 持ち帰れなかったのは残念だが、環境を変える程の力を持つ植物だ。安易に植えぬ方が良いのかもしれない。
 あらためてシェリーは市街地の中心部へと目を向ける。敵配下を倒し終えた猟兵たちが集結する広場には、バチバチと雷電を迸らせて降り立つ巨漢の魔術師の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『グレイト・スピリット』

POW   :    カミカゼ・トルネード
【クンッと突き上げた指先】から【広範囲を切り刻む竜巻】を放ち、【一定時間巻き込む事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ナルカミ・サンダーボルト
自身からレベルm半径内の無機物を【速く動く物体ほど激しく撃たれる雷鳴の嵐】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    「あなた、イイわね。私のところに来なさい?」
【自身の掌】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の掌から何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シュワルベ・ポストボーテです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雷電を纏い、地に降り立つ魔術師は自らを『グレイト・スピリット』と名乗った。
 スピリットヒーローの成れの果てを思わせる魔術師は、不格好なカボチャヘルムを被ってもなお悠然と構えている。

「あなた達、やるじゃない。私の配下に加えちゃいたいくらいよ」
 クンッ、と僅か指先を突き上げるだけで吹き荒れる竜巻、つむじ風。性格には癖があるが、敵幹部としての実力は侮れないらしい。
「近頃ハロウィンもすっかり仮装パーティだけど、収穫祭ってコト忘れてる人も多いじゃない? だから私が思い出させようとしてあげたワケ」
 いう間にも雷電、竜巻、自然由来の魔術を次々と行使する男は、唐突に攻撃をやめておちゃらけてみせる。
「ま、ウソだけど」
 先の言葉は体のいい方便だったらしい。食えない人物だが、言葉にはあまり翻弄されない方がいいだろう。

 実力者である上に攻撃の挙動も読みづらく、更にはゴッドオブパンプキンズの種子により強化された魔術師の男。
 だが彼の撃破なくして街に平和はない。ハロウィンを取り戻すためにも、ここは踏ん張りどころだろう。
「ところで抜けないのよ、これ。まあ見えるからいいけど」
 いいんかーい。なお特徴的なドレッドヘアはカボチャの下部分から飛び出てババババと風圧に暴れている。
 ちょっと、収まりきらなかったようである。
スピーリ・ウルプタス
地上に混乱さえ起きぬのならば、間もなくなハロウィンという儀式にもってこいな、輝く蔓やカボチャさんたちなのですが
他人様の心をかき乱すのはいけませんね!(※無自覚ブーメラン

常にカボチャヘルムからの死角に居るようにし
UC発動
茹でカボチャや焼きカボチャになるなら、後で皆様と美味しくいただきましょうか
敵のヘッド部分狙って、ジュウジュウ焼く、締め上げてもみる

今回コピー祭りでご褒美戦闘な私です!
とはいえ本体に熱はご法度
自身のUCをぶつけて直撃食らうのだけは回避しますっ
(本体は腰の後ろに巻き付けている)


※【NG】マイナスな言葉遣い、ネガティブな態度
(不利・苦境にも全力ポジティブで都合の良い変換する性格)


黒木・摩那
いよいよカボチャの親玉の登場ですね。
今度こそ、秋のカボチャ割りです!

ここはやはりカボチャ頭を狙わない手はないですね。

まずは前準備。
UC【墨花破蕾】を発動して、周囲の壁や道路を黒蟻に変換します。
そして、アリたちには秘伝?の唐辛子を持たせて、グレイトスピリットに向かわせます。

アリたちが向かう間、こちらに注意を引きつけるためにヨーヨー『エクリプス』で戦います。雷には【電撃耐性】あります。

アリがカボチャ頭に入ったら、唐辛子解放&カミカミしてもらいます。

相手が混乱したところで【リミッター解除】した【重量攻撃】【功夫】で決めます。



 地に満ちる、黄金色の蔓。うねうねのたうつ植物の上に降り立つ敵の姿は、まさに悪の幹部といった風であった。
「地上に混乱さえ起きぬのならば、間もなく迎えるハロウィンにもってこいなのですが……」
 先の放置プレイの余韻を僅かに引きずり、スピーリ・ウルプタスは口の端のよだれを拭う。輝く蔓も見た目だけなら不気味かわいいオーナメントになり得るのだが、実害があっては受け入れるわけにもいかない。
「他人様の心をかき乱すのはいけませんね!」
 ビシィッ。カッコよく言い放ったトコ申し訳ないのだが、あなたさっきご通行中の皆様に指差されてませんでしたっけ。人の心かき乱して「え、あの人猟兵?」「うーん……変態さんはちょっと」みたいにひそひそ言われてませんでしたっけ?
「いよいよカボチャの親玉の登場ですね」
 無自覚にスルースキルを発動した黒木・摩那、空気読んでいい感じにバッサリ具合。スマートグラスをきらーんと光らせ、したり顔で敵を見据える。
「さっきは思わぬかぶりで機を逃しましたが……今度こそ、秋のカボチャ割りです!」
 その手に握るは自慢のヨーヨー、幾何学模様の美しいエクリプス。ロングスリーパーからのブランコを揺らし、すわ、当てるぞ! とばかりに威嚇してみせる。
「あらん、歴戦の猟兵が来るかと思えば若いコばかりじゃない」
 対する自信満々のグレイト・スピリット、受けて立つわと手のひらを掲げ。
「イイわ、何人でもかかって来なさい。まとめてお相手してあげる」
 骨ばった指先を薄く纏う魔力のオーラ、あれこそは受けた技をそのまま返すグレイト・スピリットの必殺技。しかも一度きりではないというから性質が悪い。
「返し技。確かに厄介ですが……要は、返されて問題ない技ならいいんですよね?」
 真似して煽るように手をかざした摩那は、得意げな笑みを浮かべながらサイキックエナジーを手のひらに集めた。
 黒いエナジー塊を勢いよく握りつぶすと同時、滴る黒の雫が波紋のようにアスファルトをうねらせる。じわじわと染みを伸ばすように拡がる黒は、やがてさざめくように細やかに波立った。
 墨花破蕾――音もなく咲いた墨染めの花の、構成物は蟻の群れだ。壁や道路から這い出した蟻は、触れるものを貪り尽くす大群となってグレイト・スピリットへと押し寄せる。
「頼みましたよ」
 さりげなく蟻に何かを託し、摩那は自身が囮となるべく一直線に駆ける。敵は電撃こそ放ってこないが、得意のヨーヨーさばきで迫られたとあっては応戦せぬ訳にもいくまい。
「やるじゃない。掌じゃ受け止め切れないってワケね? ま、でもただやられるのはシュミじゃないの」
 意趣返しとばかり、掌で受けた蟻の一部をこちらへ返すグレイト・スピリット。共食いをしながら押し寄せる蟻、ところどころ拮抗が破られ小さな群れがこちらへと到達した。
「ああ、なんと無慈悲な行軍! こんなのに群がられては全身快感まみれになってしまいますっ」
 何でもご褒美変換するスピーリは、蟻にたかられながらも山を飛び越え敵の死角となる位置へ向かう。
「ですが、私ばかり愉しむのは紳士道に反します故。あなた様も熱く、強く! この腕に抱いてみせましょうっ!」
 じゃらりと引き抜いた禁書の鎖は、いつの間にか高熱を帯びていた。ゆらめく陽炎を纏い、不可思議な模様を描いて鉄鎖が宙を乱れ飛ぶ。
 自身にも返る鎖の呪詛でじわりと熱がこもるのを汗を拭って耐え、スピーリは敵の頭部に鎖を巻きつける。いかに神造植物といえど植物には違いなく、無敵に思われたカボチャヘルムの一部が焼き色をつけるように焦げついた。
「カボチャも茹でるなり焼くなりできたなら、後で美味しくいただきましょうか」
 お返しに飛んでくる鎖もご褒美とは思いつつ、本体にだけは当たらぬよう直撃を躱す。器物が燃えたヤドリガミは消える定め、それではスピーリは快楽を味わえぬ。
 一進一退の攻防の間にも、蟻の群れは次々と押し寄せる。やがて頭にまで達した黒蟻が兜の内部に侵入し、グレイト・スピリットの口から短く悲鳴が上がる。
「んまっ……あなた、やってくれたわね?」
 蟻が持ち込んだ物の正体は、小瓶に入った唐辛子ソース。脱げない兜の中で広がる激辛の汁、わが身に置き換えるとぞっとしない大惨事である。
 若干リアクションが薄いのを残念に感じつつも、摩那は一直線に敵の下へ駆ける。
「これにて」
 積み上げた功夫の威力、巌の如し。脳天に炸裂する肘鉄に、ソースで化粧のくずれたグレイト・スピリットの表情が痛々しげに歪んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソルドイラ・アイルー
っかーーー酷い目にあいましたよ。どこがとは言いませんがね、怪獣は英雄にぶっ倒されるものですから本望と言えばそうかもですが……こ、子供たちまだついてきてます!? 流石にあのオネエさんは容赦しないでしょうから遠くで見てなさい遠くで!!!

我が道を行く方は大変好ましいですが、少しばかり迷路に入って頂きたいですね……おっと! 上から攻略されるなんていけずな事はおよしになってほしいので、横にも上にも囲うように立体迷宮を築きましょうか
しかし受け止められると厄介ですねえ。どうしますこの繰り返し作られた大量の砂岩……
土屍龍オデエンアリヂの材料にしちゃいましょうか! オネエさんも呼んでる事ですし、行ってきなさい


丑三・勘太郎
ハロウィンだとしてもなんでどいつもカボチャを被ってるんだ……?
よく分からねぇが、ぶちのめしてやるぜ!

まずは『C.C.proto』の起動と【鬼神速】の使用を同時に行う。
寿命と血液を代償に、魔力と身体能力を《限界突破》だ!

自分の強化が完了したら、正面から突っ込む。
UCを使ってくるだろうが、雷鳴の嵐如きが俺についてこれるか?

敵の元までたどり着けたら、あえて見つかるように真正面に立つ。
相手がこっちを捉えたのが分かったら、その瞬間に相手の後ろに回り込む!
被り物してんなら、振り向きづらいだろ?
その隙にタコ殴りを叩き込んでやるぜ!

「ぶっ飛びな! 丑三流奥義!! 『鬼乱打』!!!」



 水飲み場で器用にソースを洗い流すグレイト・スピリットのカボチャの口から、鼻うがいの後の如く流水が溢れ出る。
 ひと悶着あっても男は平静そのもの、怒る事もなく堂々と猟兵を待ち受けていた。
「っかーーー、酷い目にあいましたよ。どこがとは言いませんがね」
 一方尻尾を引きずり現れたソルドイラ・アイルー、どうやら先の戦いで心に傷を負った様子。
「吾輩怪獣たちの宿命は英雄にぶっ倒されるものですから、本望と言えばそうかもですが……」
 若干涙目で見上げれば、自信満々の笑みを浮かべ浮遊する魔術師の姿があった。
「ハロウィンだとしても、なんでどいつもカボチャを被ってるんだ……もっと他にないのか?」
「他、といいますと?」
 太い蔓を飛び越えて隣に降り立つ丑三・勘太郎の言葉を聞けば、生臭紳士の頭に疑問符が浮かぶ。
「色々いるだろう。一反木綿やら絡新婦やら」
「それは……サムライエンパイアの妖ですなぁ」
 勘太郎の思い浮かべるのは遠く世界を隔てた妖怪ばかり。ヒーローズアースに東洋の概念があるとしても、如何せんまだ知名度はなさそうだ。
「何、今度はニンジャボーイに怪獣オタク? ヒーローの中じゃ三枚目か狂言回しポジションじゃない」
「失敬な! あと怪獣オタクでなくドラゴンゾンビでありますぞ!」
 これにはソルドイラもご立腹。土塊の象る姿は彼なりの憧れ、馬鹿にされたとあっては聞き捨てならぬ。
「よく分からねぇが、ガキどもの手前。ぶちのめしてやるぜ!」
「あえぇ、こ、子供たちまだついてきてます!? 流石にあのおネエさんは容赦しないでしょうから遠くで見てなさい、遠くで! シッ、シッ!」
 しかしそんな憤慨も、いつの間にか来ていた野次馬キッズの前ではどこへやら。慌てふためく怪獣紳士は敵よりもまず、子どもたちの対処に追われる事となった。

 我先にと駆け出す勘太郎の拳が、左胸に触れる。
 自らの身も顧みぬ青年は、力を願い刻印を宿した。どくん、と鼓動が大きく脈打ち、吸い上げた血の代わりに膨大な魔力を全身へ送る。
「飛ばしていくぜ……!」
 限界を越えて昂る気は、逢魔の紋を呼び覚ます。代々受け継ぐ丑三流秘儀、悪鬼羅刹の力を頼りに、勘太郎は鬼神の如き形相で敵へと迫る。
 グレイト・スピリットの呼ぶ、速く動く者ほど撃たれる雷鳴の領域。だがそれも撃たれればの話で、鬼神の速さを得た今の勘太郎には通用せぬ。
「雷鳴の嵐如きが、俺についてこれるか?」
 稲妻は何れも、彼の駆け抜ける後に落ちた。一度目の突進は躱されたものの、雷鳴を追い越せる事はこれで示せた。
「先ほどの誹りは土に流しましょう……我が道を行く方は大変好ましいですが、少しばかり迷路に入って頂きたいですねぇ」
 援護するべくソルドイラが手を突けば、地を覆う蔓の中から粉ふくように砂が舞い出る。
「――月明かりに誘われし逃げ水よ。脆き砂壁を越えていけ」
 唄うように吟じれば、瞬く間に随所より砂の壁の迷路が持ち上がる。
 砂上の楼閣と嗤うなかれ、砂岩でできた迷路は摂氏七十度に及ぶ。触れれば火傷、長居すれば蜃気楼にまかれ、罷り出る事も叶わぬ代物だ。
「ま……! やってくれるじゃない、私の雷とは相性悪いってワケ」
 砂の包囲を嫌って上空へ逃れる敵へ、追い縋るように砂竜の顎が持ち上がる。
「まあまあ、もちっとサウナでも味わっていきなさいな」
 抜けられる傍から砂の天蓋を造り、立体迷宮に閉じ込めんとするソルドイラ。しかし彼の呼ぶ砂にも限界があり、遂に魔術師は空へと抜けた。
「あら、打ち止め? いいコト思いついたわ。そんなに砂が欲しいなら足してあげる」
 火傷も厭わず手のひらを押し付け、砂岩迷宮を下方へと押し返す。秩序だった迷路は土石流に飲まれ、ソルドイラの姿は一瞬にしてかき消えた。
「纏めて二人、地下迷宮にご案内……とは、行かなかったみたいね?」
 迷宮を突き破ってきた姿を認め、グレイト・スピリットはあらためて勘太郎と対峙する。
(「砂迷宮が崩れてない……死んじゃいないだろう。なら」)
 注目を引くようあえて真正面に立ち、勘太郎は敵の下へと真一文字に駆ける。拳を握り、あたかも『是より殴る』と殺気を発して背後をとろうとしたが、回り込んだ先には変わらずこちらを見据える魔術師の姿。
「……被り物してんのに随分器用だな」
「ええ。見えないわ! なんておどけてもよかったんだけど。だって勿体ないでしょう?」
 再び雷鳴が辺りを満たし、勘太郎を出迎える。
「――あなたみたいな強いコ、楽しまなくちゃ」
 一度破られた雷鳴の技で、再び迎え撃つ魔術師の男。互いの力が無尽蔵なら男に勝機はないが、命を削るとあれば話は別だ。
 躱す事ばかりに専念する敵に、勘太郎の額にも汗がにじむ。このまま時間稼ぎに徹しようとする敵の企みは、しかし突如持ち上がる砂によって砕かれた。
 静謐を保っていた迷宮が再び牙を剥き、巨大なからくり人形へと姿を変える。
「いやはや、急に足場をかけはらって申し訳ないですねぇ! たんまり砂岩があったもので、時間かけて全部オデエンアリヂの材料にしちゃいました」
 地表で笑うソルドイラに言葉返す間もなく、身の丈四メートルもの砂岩の巨兵が魔術師を羽交い絞めにする。
「これで終いだ――ぶっ飛びな! 丑三流奥義、『鬼乱打』!!」
 勘太郎の振るう怒涛の拳が、魔術師の顔に焼け付く黒縄の痕を刻む。
「グ、グレェェイト! やってくれるじゃない、あなた達。ま、でも第二第三の私が……ああんちょっと待って、まだ言い終えて――」
 限界を迎えた砂の兵士は崩れ落ち、捨て台詞ごと魔術師を飲む。

 やがて消えゆく砂の下には魔術師はおろか、蔓の一本すらも見当たらぬ。
 街を満たしていた蔓と砂に代わり、沸き起こる喝采が猟兵たちを包む。
 ヒーローズアースを騒がせたオブリビオンの陰謀は、持ち込まれたゴッドオブパンプキンズの種子諸共、ここに潰えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月30日
宿敵 『グレイト・スピリット』 を撃破!


挿絵イラスト