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大乱舞!きのこたけのこブラザーズすぺしゃる

#キマイラフューチャー #お祭り2021 #ハロウィン #模擬戦シナリオ

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【猟兵同士の模擬戦シナリオです。勝敗はサイコロで決まるので、負けるのが嫌な人は参加しないでください】

●永遠戦争
「今年もやるぞ!!! きのこが勝つぞ!!!」
「うるせぇ!!! たけのこの圧勝だ!!!」
 2021年10月、キマイラフューチャーは荒れていた。
 ハロウィンの近い日だけに現れるという極上スイーツ『きのこドーナツ』と『たけのこクレープ』。果たしてどちらが美味いのか。この時期になると、キマイラフューチャーの民の間で突如二つの派閥が誕生し、そして争う。
 最初はただの言い争いに過ぎなかった。しかし現在、それは『武闘会』という重大なイベントへと姿を変えていた。殴り、殴られ、最後には兄弟の如くお互いを称え……合ったり合わなかったりする、要するに理由を付けて楽しんでいるお祭りの一つである。

 多くのキマイラ達が観戦しようと集うのは大きなスタジアム。空中に浮かぶ大きな島と、その上に浮かぶ三つの足場。シンプルながらも不思議なステージがスタジアムの中央に設置されていた。
「今年は重大発表があるって噂だけど、何だろうね?」
「重大発表かぁ、オラわくわくすっぞ! ……お、始まった!」
 武闘会のステージに現れた一人の主催者、サクラ・イーサン。大拍手に囲まれ一礼すれば、きのこたけのこ武闘会の開催を高らかに宣言すると共に。

『猟兵参戦!!』

 そんな巨大な文字がスタジアムのビジョンに投影される。予想外の参戦にキマイラ達は大いに叫ぶ。それは驚きと歓喜、そしてむせび泣く声が混ざる、まさにカオスな轟きであった。

●3分タイム制、ストック1の戦い
「貴方達、きのこドーナツとたけのこクレープって食べた?」
 知念・ダニエル(壊れた流浪者・f00007)の女性人格が集まった猟兵達に話し掛ける。
「どっちもキマイラフューチャーのものなんだけど、きのこドーナツはきのこの形をしたふわふわドーナツで、たけのこクレープはたけのこの可愛いマークが入ったサクサククレープなの。どっちも期間限定モノで、キマイラ達に大人気なのよ!」
 どちらも素敵なものである事に変わりはない。しかし、だからこそ相容れぬ存在同士なのだ。
「これに関しては『どっちも好き!』なんて言う人は何処にもいなくて、二つの派閥に分かれて争い合うんだって。あ、別に大事じゃないの! ただの楽しい喧嘩なのよ! たぶん……」
 今回に限ってはオブリビオン絡みではない為、その争いは気にしなくていいらしい。というより、寧ろそれに『参加』する事が今回の目的のようだ。
「血気盛んになっちゃうこの時期を利用して、『きのこたけのこ武闘会』っていうのが開催されるの。二つの派閥に分かれて、一対一で戦い合うんですって! それでね、主催者に『猟兵部門』を用意したから是非参加して欲しいってお誘いを貰ったの!」
 ダニエルが見せたのは手紙風の招待状。世界を救った猟兵同士が戦い合う珍しい姿を見せれば、きのこ派もたけのこ派も熱狂する事だろうと考えたのかもしれない。
「模擬戦とか闘技場ってあるじゃない? あの感じで戦えばいいと思うわ! 終われば怪我が治っちゃう不思議な会場らしいから、大舞台でタイマン勝負、やってみない?」
 面白い経験になるかもよ? とダニエルは楽しそうに言った。

 きのこ派か、たけのこ派か。キマイラフューチャーで争われているスイーツで決めても良いし、それとは関係なく選んでも構わない。
 大きな浮遊島に浮かぶ足場が三つ。時間は三分間、ステージから相手を落とすか、相手が戦闘不能となれば勝利だ。ステージから落とす事を優先的に考えても良いし、そんなの知らんと真正面から殴り合っても良い。
 その為、戦闘を長引かせるよりはシンプルに戦い、すぐに勝敗を決めた方が良いのかもしれない。派手な戦いであれば観客達も大いに盛り上がる事だろう。
「そうねぇ……戦法パターンを多く考えておくよりも、これ! っていう必殺ワザを用意しておくといいかも? 一撃必殺でキメる! とか、カウンターを狙う! とか……やっつける事より『ぶっ飛ばす』戦い方を考えてみるといいんじゃないかしら!」

 武闘会は予選、そして決勝の二戦ある。しかし予選で負けてもリベンジ枠という事ですんなり参加は可能だ。逆転勝ちという事も大いにあり得る為、負けてもチャンスはある。
「それじゃあ、戦いたい人このグリモアとーまれ! ……きのことたけのこ、貴方はどっち?」
 第三の派閥は許されない、永遠に続く大戦場。その戦いに、すぺしゃるな挑戦者達が足を踏み入れる。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 2章構成のハロウィンシナリオです。
 キマイラフューチャーで1:1の猟兵同士の戦いを行います。

 冒頭にもあります通り、勝敗描写にご注意ください。
 勝っても負けても楽しんだもの勝ち! という精神でお願いします。
 お相手(お友達など)を指定しての参加OKです。お一人参加の場合はその中からランダムで組み合わせます。
 ちなみにグリモア猟兵の知念・ダニエル(f00007)は参戦しません。

 ●戦いについて
 あなたのキャラはパワータイプ? スピードタイプ? 遠距離タイプ? どんな感じのタイプか教えてね!
 そして使えるのは必殺ワザ、ジャンプ、緊急回避!
 必殺ワザは最高でも4つくらい。そのうちの一つはユーベルコード。残りの三つは技能等でご自由に組み合わせてね!
(盛り込み過ぎるとチートになっちゃうぞ!)

 下記、公式からのルールがございますので必読をお願いいたします。

 ★ルール★
 (1)「きのこ派かたけのこ派か」と「対戦相手の猟兵と、一対一で戦うプレイング」を書いてください。合わせプレイングで対戦希望してもOK。
 (2)マスターがきのこ派とたけのこ派のプレイングをひとつづつ選びます。ただし、「負けた相手を貶める内容」が書かれたプレイングは採用しません。
 (3)きのこ派を10の位、たけのこ派を1の位として、d100して出目の大きい方を勝者と決め、リプレイを執筆します(同値なら引き分け)。プレイング内容はリプレイの描写にのみ影響し、勝敗には全く影響しません。
 (4)最終的に、リプレイ執筆終了時点で勝利数の多かった派閥の勝ちです。

 ●プレイングについて
 受付は公開後~『#プレイング受付中』のタグがある間まで。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒(対戦)する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 ユーベルコードは【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『きのこたけのこ武闘会(予選)』

POW   :    パワーと体力で押しまくる

SPD   :    スピードとテクニックで翻弄する

WIZ   :    賢く策を弄して立ち回る

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「きのこ!! きのこ!! きのこ!!」
「たけのこ!! たけのこ!! たけのこ!!」
 綺麗に分かれた軍勢が観客席からエールを送る。
 武闘会に参加した戦士達は己の強い信念をぶつけ合う。
 決して分かり合える事はないと知りつつも殴り合うその姿は、もはや腐れ縁とでも言うべきか。

「――とでも言うと思ったか! このたけのこ野郎!!」
「あ゛ぁぁ!? どう考えてもきのこよりたけのこだろ!!」
 昨日の友は今日の宿敵。この時期だけはどうしてもそうなる。その理由は……まぁ分かるでしょう?

「次が猟兵部門か……どんな戦いをするんだろうなぁ」
「たけのこ選ぶ猟兵さんならきっとセンス良いぞぉ」
「いやいや、きのこの方が美味いから。絶対強いから」
 スタジアムも、テレビの前も、ラジオの前も、今や世界中が注目している。――猟兵同士のきのこたけのこ大決戦を。
四壱六・豆花
参加は、口にすることの多い「きのこ」派ですかね。

SDPタイプのカウンター型
使用技
1;UCで天候を豪雨に変化させ、無数の落雷をステージ全体に落とす。
制御不可のため自爆の可能性アリ。
2;特殊警棒を構え見切り、相手に合わせ受け流し・カウンターを狙う。
3;服を護符に分解して結界術で前面に結界を張る。
4;護符を式神使いで前方に飛ばす。

足場の一つに陣取って、相手の動きを待ちましょう。
護符を操って、牽制と防御を行います。
相手の近接攻撃に回避と防御・カウンターを組合わせ、場外へ押し出しを狙いましょうか。
膠着になるか、時間切れが近いなら UCでの博打ですね、どうなるか判りませんけど。


栗花落・澪
どっちも好きです
でも…しいて選ぶならたけのこクレープかなぁ

【必殺技?】
作戦に応じて属性変更自由な魔法を用いた【属性攻撃】による遠距離攻撃
【催眠術】や【誘惑】を乗せた【歌唱】による撹乱
追尾式の【指定UC】

接近戦や物理攻撃は非力さゆえに大の苦手で
近づかれたら緊急措置的に杖を伸縮させて一時的な物理で牽制
ダンス経験によるバランス感覚で多少のフラつきは耐える
普段飛行頼りで体力無いので動き回ると疲れやすいかも

UCは追尾式である以外は普通に綺麗な花弁群による斬攻撃兼目眩しなので
敢えて回避するよう仕向けたりして
油断禁物ブーメラン式に死角から追撃がいつものスタイル

その他詳細お任せ
お手合わせありがとうございました



「ただいまより、『第一回きのこたけのこ武闘会~猟兵部門~』の予選を開始いたします」
 開始宣言と共に熱気が最高潮と化す会場。テレビの視聴率もうなぎ登りだ。猟兵とはそれほどの有名人なのだろう。……この武闘会に限っての話なのかもしれないけど。
 浮かぶ中央のステージに最初に降り立ったのはきのこ派の四壱六・豆花(朽ちた人形の集合体・f34750)と、たけのこ派の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。スリーカウントで始まる事を伝えられれば、互いに戦闘の準備を行う。
「どっちも好きだったけど……強いて選ぶならたけのこクレープかなぁって」
「いいぞー! たけのこ最高だよな! 頑張れー!!」
「ぼくは、口にする事の多いきのこという事で……」
「そうだそうだ! きのこ最高! 勝てよー!!」
 双方にエールを送る観客達。勝敗も大事だが、生で猟兵同士の戦いが見られるというワクワクした気持ちも高まっていく。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 ぺこ、と澪と豆花がお辞儀をすれば、カウントダウンが始まり――。
「――Go!!」
 姿勢を崩さぬまま、同時に地面を蹴り上げた。

 体の強さに自信のない澪にとって、肉弾戦は最も避けたい戦い方だ。だからこそある程度の距離を取りながら戦いたい。豆花の方も足場の一つに乗り上げると、相手の戦法を知る為に身を屈め相手を真っ直ぐ見つめる。
「まずはこれで……どうかな?」
 先に攻撃を仕掛けたのは澪。杖から大きな炎の弾を投げ付ける。弧を描きながら豆花の元へ向かうと、彼が着ていた服がばらりと分解し宙を舞う。護符の群れは豆花を守るように結界を張り、炎の弾を弾き飛ばした。
「なるほど、ではこちらも」
 指を動かせば、護符は魚の群れのように泳ぎ、澪へ特攻を仕掛ける。
「こっちも、そう簡単にはいかないんだから」
 澪は再び炎の弾を発射する。同じ弾だと思えばそれは大間違い。炎の弾は花開くように爆散し、火の粉と護符が相殺し合った。
 爆風と煙がステージを包み込む。攻撃を防いだと一安心したのも束の間。煙の中から黒い人影が見え、それは急接近する豆花へと姿を変えた。
「う、早い……!」
 ――なんてね。

 スピードを生かして連続的に攻撃を仕掛けようと企てた豆花。護符の群れという目くらましを使い、その間に懐を狙い剣で押し出そうと計画していたのだが。
「……ッ」
 振るった剣の軌道はよろりと揺れ、乱れてしまった。精神に響く澪の誘惑の歌声を耳にしてしまったからだ。ぼやける視界に思わずバランスを崩しそうになったが、自身に迫り来る『何か』を察知し、ごろりと前転しそれを何とか回避してみせた。
 『何か』とは澪が振るった杖であったが、力の弱さ故に当てる事はできなかった。しかし確実に距離は大きく開けた。それだけでこちらのものだ。
「近くで戦うのは苦手でも、されるのは慣れてるもんね」
 相手が接近して来る事など想定済み。だからこそ対抗策は考えてある。相手の隙を作った所で流れを一気にこちらのものに変えてやるのだ。
「行くよ。……香り高く舞い遊べ」
 指先を相手へ向ければ、ふわりと浮かぶ無数の花びらが襲い掛かる。豆花もぼやける視界を治そうと後退しつつ花びらから逃れようとした――その時。

「……え?」
 澪が手のひらを上へ向け、空を仰ぐ。冷たい。そして肌寒い。空が――真っ暗だ。
「……御覧なさい。『怨嗟ノ雷雨ハ哭キ止マズ』。あれは剣の呪詛が呼び起こしたものです」
 豆花自身も制御できない剣の呪詛。それは天災。ぽつりと降り注ぐ粒はあっという間に豪雨となり、ステージに無数の雷を落とす。
 轟く落雷の音。引き裂かれる澪の花びら。魔力を帯びて豪雨と落雷から逃れるものがあっても、やはりその威力は大きく変わってしまった。
 雨による冷たさで正常な意識を取り戻した豆花。自身を狙う花びらを睨めば警棒や剣を大きく振るい冷静に対処する。浮かぶ足場を天井代わりに蹴り上げれば、護符を盾代わりにし、澪に向かって体当たりを繰り出した。
「わっ!!」
 体当たりを受け止める力など澪にはなく、護符と共に大きく後ろへ押し出される。ステージから落ちそうになる体を耐え抜こうとしたが、濡れた足場にぐらりと足は滑り、澪の体はステージの底へ落ちていく。

「っと」
 澪の体はぶらりと浮かんでいた。それは翼で飛んだからではない。豆花によって腕を掴まれたからだ。
「すみません、予想よりも吹っ飛んでしまいました。軽いのですね」
 ステージに引き上げられる澪。雨は嘘のように止んでいた。驚いた表情を一瞬見せた後、えへへ、と澪は苦笑いを見せた。
「うぅ、そっか……お手合わせありがとうございました。勉強になったよ」
 礼を言われれば、こちらこそ、と豆花も静かに頭を下げた。

「まずはきのこ一勝! てかマジですげぇ戦いだったな……何だよ天候を操るとか神かよ」
「ひゃー惜しかったなー、ナイスファイト! でも可愛いから優勝!」
 どちらが勝つのか分からない猟兵同士の戦い。それを間近で見た観客達はまだ一戦目であるにも関わらず、双方に盛大な拍手を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラム・クリッパー
クレープがおいしかったから「たけのこ」派で参加させてもらうっすね。 

武器はフーリガンツールを持ち込むっす。
アタシはゴリ押しのパワータイプっすから、戦闘開始と共に相手に突撃っす。
多少の攻撃は気合いと激痛耐性で受け止めて前進あるのみっす。
とにかく相手との近接戦闘に持ち込むっす、打撃で勝負!

ワザ
○ フーリガンツールを怪力でぶん回す重量攻撃。
○ 相手の武器・防具の部位破壊&こじ開け。
○ UCで相手をがっちり掴んでステージ外へ放り投げる。
または暴れる相手を掴んだまま一緒にリングアウト。


ミスト・ペルメオス
・SPD

ふうむ、なかなか面白い状況になっているようで。
どちらも美味しいと思いますが……ぼくはきのこ派に加勢しましょう!

※キャラとしては遠距離型
※必殺ワザ
1(N):アナイアレイター射撃(直線射撃、タメ撃ち可)
2(上):【シュラウド・ジャンプドライブ】(2連続まで出せる瞬間移動)
3(横):サイキックエナジー投射(タメで射程が変わる射撃)
4(下):カウンター

きびきび動いて間合いを保ちながら戦いましょう。
アナイアレイターやサイキックエナジーの遠距離攻撃、カイアス・ブレイカーでのリーチの長い接近戦。
隙あらばカウンターも狙いますが……特に【シュラウド・ジャンプドライブ】での攪乱、回避、急襲などを積極的に!



 猟兵部門が盛り上がりを見せる中、予選最後に現れたのはきのこ派のミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)、たけのこ派のラム・クリッパー(力自慢の少女解体屋・f34847)の二人。
「きのこ頑張れー!!」
「たけのこファイトー!!」
 これだけ声援に囲まれた中で戦うのも新鮮だと、慣れない空気にミストは少々戸惑い気味。反対にラムは楽しそうに観客へ手を振った。
「アタシはこれで行くっす」
 ラムが手に握ったフーリガンツールをぐるりと回し見せ付ける。ミストは頷き、光線銃を構える。
(「真逆の戦法同士、といった所だろうか」)
 相手が魔法などを使わない限り、相手は接近戦を持ち込んでくると見た。相性は両極端だ。攻撃を多く仕掛けた方が有利となるだろう。
(「時間は短い。いかに距離を保ちつつ攻めるかがポイントかな」)
 ミストが何パターンかの動きを計算する間にも、スリーカウントは終わりを告げる。
「――Go!!」

 遠距離が得意であるミストが初手で取った行動は後退。遠くから連続的に銃撃を行う為だ。相手の足元を狙い、銃弾を撃ち込む。
 対してラムは元気に前へ踏み込んだ。歩幅の大きい一歩一歩がまるで跳んでいるかのように見える。雨の如く降る銃弾の中を兎のように跳び、進行方向を変えて回避していく。
 彼女の足が止まる事はなかった。弾丸が自身を目掛けて飛んで来るのを見れば、フーリガンツールを振るい次々と吹き飛ばしてしまうのだ。腕に掠った所で、そんな『ちょっとした傷』などでは怯まない。
「こっちはガンガン突っ込ませて貰うっす!」
 攻撃の範囲内まで接近できれば、次はラムの番だ。巨体とも言わない鈍器を力任せに振るえば、まさにそのスピードは圧巻。シンプルに殺傷能力の高い近接攻撃にミストは銃撃をする隙もなく避ける事に集中する。ただ、これでは時間だけが過ぎてしまう。
「そこっす!」
 ラムがミストの腹部を突こうと腕を押し出す。しかし。
「そうすぐには終わらせません!」
 ミスト自ら後方へ体を蹴り上げると、背部に現れたのはサイキックエナジーのゲート。吸い込まれた彼の姿はゲートと共に一瞬にして消え去った。
「わっ、とと……!」
 空振りに終わった攻撃に体勢を崩すラム。その大きな隙を見せた彼女に、すかさず襲い掛かったのは巨大なエネルギー弾。ラムは飛び込むように転がり慌てて回避を行った。
「いたた……ワープなんてずるいっす」
 これでは届くはずの攻撃も届かない。気合いで気にしてはいないものの、自分の方がダメージが多いのは確かだ。むすー、と頬を膨らますラム。
 ミストは畳み掛けるように止めどなく連射する。瞬間移動を行い相手の死角へ移動し、徐々にステージの端へとラムを追い込む。
 ラムの武器の振り上げと共に、ミストは瞬間移動を行う。最後の一撃だ。銃に力を溜め、相手の側面へ移動する。

「――見つけたっす!」
 ラムの動きが突然変わる。体の方向をぐるりと変えれば、そこに居たのは移動をしたミストだ。武器を振るう『フリ』をやめれば、その手でがしりとミストの腕を掴んだ。
「なッ」
「捕まえたっす! もうこっちのものっす!」
 にっこりとラムが笑えば、掴まれたミストの体が雲のように軽々と持ち上げられる。その力強い腕力で投げ落とされるのかと思いきや。
「おりゃーっ!」
 なんと、自身諸共ステージの外へと飛び込む。その行動に驚いたミストは掴まれた腕から逃れられる事もできず、共にステージの底へと落ちていくのだった。

「な、ナンダッテー!!?」
 観客がどよめく。まさか双方同時にリングアウトするとは予想もしていなかったからだ。
「か、カメラ! カメラ判定!!」
 慌てるスタッフの様子をステージの底で呆然と眺めるミストと、苦笑いを見せながら頭を掻くラム。ステージの底はハンモックのようにふわふわとしており、二人に怪我はない。
「まさか自ら飛び込むとは……」
「やっつけなくても、場外にさえ出せばオッケーっすからね」
 確かにそうだ、と目を瞑るミスト。そこへ判定結果のアナウンスが響く。

「ええと……ただいまの試合はカメラ判定の結果、ミスト選手が先にアウトとなりました。よって今回の勝者、たけのこ派のラム選手!!」
 ビジョンに映し出されるカメラ判定。ステージの底へ微かに触れていたのは確かにミストであった。
「やったっす!」
 喜ぶラム。ミストも立ち上がると、彼女へ向かって腕を伸ばす。
「ありがとうございました。惜しかったですが結果は結果。次は負けませんよ」
「アタシこそ、次も打撃で勝負するっす!」
 がっしりとした握手が交わされる様子が映し出されれば、どちらの派閥の観客も盛大な拍手を送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『きのこたけのこ武闘会(決勝戦)』

POW   :    パワーで相手をねじ伏せる!

SPD   :    スピードで相手を突破する!

WIZ   :    賢さで相手の裏をかく!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵部門も後半戦。それでも未だきのことたけのこは双方睨み合っていた。
 ポイントは五分五分。かなり良い勝負となっており観客達の熱気もオーバーヒートしそうだ。
「きのことたけのこ、どっちが勝つんだ!?」
「次も楽しみになってきたな……!」
「ほぉ奇遇だな、たけのこと考えが被るだなんて」
「たまにはいいじゃないか、猟兵さんのお陰よ」
 何より、派閥の勝敗よりも猟兵の戦いに興奮と感動を覚え、それを何よりの楽しみにしているようにも見える。

「次にて決勝戦といたしますが、特別ルールとしてリベンジ枠がございます。予選が惜しかった方は是非こちらへどうぞ! 更には下剋上チャンスとして飛び入り参加枠もございます。是非ともこちらもお待ちしております!」
 二連勝となる猟兵は現れるのか。それともリベンジ成功となる猟兵が現れるのか。それは誰にも予想はできない。
 猟兵達は各々、闘いの準備に入っていく。

「ちなみに決勝戦で勝った方には……なんと10000ポイントが加算されます!!」
「今までのポイントは何だったんだよ!!(ズコーッ)」
 そんなお約束の展開にはしっかりと乗ってあげる観客達であった。
四壱六・豆花
引き続き「きのこ派」で頑張らせてもらいますね。

使用技
・UCでステージの天候を変化させ、豪雨と無数の落雷を無差別に落とす。制御不可、自爆の可能性アリ。
・特殊警棒を使用。相手の攻撃に合わせ、見切り・受け流し・カウンターを使い分ける。
・服を分解した護符での防御結界術。式神使いで護符を飛ばして攻撃。

戦闘スタイルは変えず、カウンター狙いのSPDタイプでいきます。
相手の動きに合わせ、護符での牽制・防御をしつつ、反撃での有効打を狙う方針です。
中遠距離は決め手に欠けるので、飛び道具の撃ち合いは避けつつ、相手へ接近を試みます。
UCは博打ですからギリギリまで使わず、攻めたいですね。

対戦よろしくお願いします。


ラム・クリッパー
「たけのこ派」の勝利を目指すっすよ! 

愛用のフーリガンツールだけ持ち込むっす。
開始の合図で全力の突撃っす。アタシのやることは前回と変えないっす。
気合いと激痛耐性で攻撃を受け止めて、耐えて、とにかく前進っす。
飛び道具を使うのは苦手っすから、相手との近接戦闘に持ち込んでから一撃を叩き込むっす!

ワザ
○怪力で振り回すフーリガンツールの重量攻撃。
○岩や鉄骨等のステージオブジェクト(あれば)を怪力で持ち上げ、投擲。
(相手への命中は期待していない)
○UCで相手をがっちり掴んでステージ外へ放り投げる。
または暴れる相手を掴んだまま一緒にリングアウト。

正々堂々でよろしくお願いするっすよ!



 休憩タイムも終わり、きのことたけのこの決勝戦が始まる。
 ステージに登場した猟兵、四壱六・豆花(朽ちた人形の集合体・f34750)とラム・クリッパー(力自慢の少女解体屋・f34847)の姿が見えれば、会場は再び盛り上がりを見せる。
「引き続き、きのこ派で頑張らせて貰いますね。対戦よろしくお願いします」
「正々堂々でよろしくお願いするっすよ! たけのこ派で、目指せ二連勝っす!」
 互いの意気込みは上々。予選と同じ武器をそれぞれ握り締めれば、スリーカウントはあっという間に過ぎ。
「――Go!!」
 戦いは幕を開けた。

「お先っす!」
 そんな宣言通り先手を取ったのはラム。愛用のフーリガンツールを大きく振り上げながら豆花へ急接近。単純かつ重々しい一撃ほど驚異的な攻撃はないだろう。
 しかし豆花の戦法も忘れてはならない。彼の特技は『カウンター』である。
「真っ直ぐな攻撃ですね。ですが、その対処法は心得ているつもりです」
 相手が武器を振り下ろす瞬間と合わせるように特殊警棒を振るい、斬撃の軌道を狂わせる。受け流した武器に空を斬らすと同時にぐるりと身体を回転させ、特殊警棒でラムの背部を襲った。
「うぐっ! 痛いっす!!」
 鉄の鞭で叩かれたような痛みを覚えながら一度後退するラム。寧ろ「痛い」だけで済んでいる彼女の頑丈さに観客は驚くばかりだ。
(「この感じですと、やはり戦法は予選の時と同じですかね」)
 ラムがガンガンと攻めてくるパワータイプである事は分かっている。であれば、こちらがカウンターの狙いやすい動きへ誘導すればいいだろう。豆花は離れたラムへ向かって護符を飛ばす。
「もー、邪魔っすね!」
 目の前に纏わりつく護符へ、ラムが払い除けるように武器を振り回す。キリのない護符の群れに、そのまま全身を回転させながら豆花へ突っ込む事にした。力強い回転に、流石の豆花も弾くように受け流す事だけで精一杯だ。思惑通りにはうまくいかない。

 押しつつ押されつつ。どちらも武器も弾き合う。互角に見える戦いに観客もどちらが勝利するのか予測がつかない。だからこそ心の中で二人を応援しつつ、自身の愛する派閥を応援する。
「やはり隙を作るには……これしかないみたいですね」
 豆花の額に汗が伝う。『あれ』を使うにはあまりにも博打ではあるが、制限時間も残り少なく、互いに体力も消費されている。援護として飛ばしていた護符も既にボロボロだ。であれば頼るのは、己の呪詛。
「その剣、曲げてやるっす!」
 ラムの武器が豆花の持つ雨群雲剣に向かって真っすぐ振り下ろされる。剣を横に構えてそれを受け止めるが、やはり力はラムの方が上らしい。ぐっと押されていく体。それを勢いよく振り払い攻撃を退ければ、剣に宿った呪詛が周囲に飛び交う。
「あ! それって!」
 ラムが気付いた時には既に遅く、空は暗くなり、雨が降り出した。予選でも使っていた豆花のユーベルコードだ。
 敵味方問わず襲い狂う雷がステージ上に降り注ぐ。再び距離を空けざるを得ない状況となったラム。しかし近付いて攻撃しても、防がれて反撃されてしまうのだ。こうなったら、どうにか掴んで放り投げてしまいたい所だが……。

「あ!」
 またまた飛び出す声。すると、雷を回避しつつ攻撃の隙を伺う豆花に向かって――悪戯っぽい笑顔を見せた。
 豆花の予想ではこうだ。雷に意識を取られ過ぎて上手く動けない所を護符と共に攻撃や反撃を行う。それでステージへ落とせばいい、と。
 しかしラムは笑顔を見せるなり、『こちらへ接近してこなかった』のだ。今までの戦いぶりで彼女が更に離れる事など、計算に組み込まれていなかったのだ。
 一方、ラムが向かった場所とは、浮遊する足場の下だった。雷は足場を貫通したが、いくらかその威力は削られている。ちょっとした屋根になっているようだ。
「ふんっ」
 そんな足場を彼女は両手で掴み、腕に力を込めた。いやいや、浮かぶ足場は動かな――。
「うぉりゃぁーっ!!」
 ――何という事か。足場が動いた。観客全員が口を大きく開いた。持ち上げられた足場は巨大な分厚い板と化し、それを豆花へぶん投げた。
「ッ!?」
 真正面から巨大な壁が迫って来る。豆花の足ではそれを避ける事は容易い事ではあったが、足場が地面へと突き刺さると同時に砂埃が辺り一面を覆った。地響きに足を取られ、一瞬体勢を崩しかけたその時。
「次はアンタっすよ!」
 そう、ラムは当てる気などなかった。びっくりさせられれば、それで良かったのだ。
 飛び込んで来たラムに腕を掴まれた豆花。しまった、と脳内に巡らせた時には、既に自分の体は遠くへと投げ飛ばされていた。

「よいしょ、っす」
 ステージから自ら落ちてきたのはラム。既に落下していた豆花に手を差し伸べる。勿論、それは相手をふっ飛ばす為のものではない。
「勝ったっす! ありがとうっす!」
 まだ驚いていた豆花も、そんなラムの姿にやっと気付き。
「……ありがとうございました」
 そっと握手を交わす。

「何だよ何だよ今の試合!! すっげ!!」
「たけのこ、きのこ、どっちもヤバい……!!」
 観客達の大興奮は止まる事を知らない。たけのこ派の勝利が決まったと同時に、互いの派閥の中に、何か別の気持ちが生まれつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
映えそうな戦法思いついたので
盛り上げ担当つゆりんでーす
リベンジするからには頑張るけどね

派閥お任せ

【技】
①属性変更自由な魔法を用いた【属性攻撃】
②【催眠術】や【誘惑】を乗せた【歌唱】による撹乱
③【指定UC】(②との併用可)
④伸縮自在な杖による殴打※非力なため牽制用

基本は②や①を用いて攻撃
相手が接近してきた時
または避けにくい攻撃を仕掛けてきた際に不意打ちで③使用
発した文字を具現化し
文字一つ一つを自在に操る技
声だからノーモーションで即発動できるし
攻撃にも防御にも目晦ましにも、避雷針としても使える
メロディだけ奏でれば五線譜の捕縛縄も生成可能

放っておけば無限に増えるよ
僕の音、楽しんでね(文字を突撃


エリル・メアリアル
あらあら、とっても面白そうな試みですわね!
ふふ、わたくしこのドーナツが気に入りましたわ!
ということで、ドーナツ派で戦わせていただきますわよ!

念動力で身体を浮かして、リングに優雅に降り立ちますわ
装備を広げて一礼
「あなたのお相手は、わたくしでしてよ」

UCを使用、身に着けたFlapsの数々を念動力で操って、手数で戦いますわよ!
基本的には武装での打撃攻撃、不意に分離してビームを発射する等で翻弄しますわ
危なくなったら武器を盾に、わたくしはあまり動かず操作に集中ですわ

「ふふふ、それではわたくしに触れることは出来ませんわよ?」

勝っても負けても握手を求めますわ
けれど、負けた場合は内心かなり悔しがりますわよ



 浮かぶステージに上がる栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。対する相手はエリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)。自慢のサイキックでふわりと浮いた体をゆっくり着地させると、澪に向かってお辞儀をする。
「あなたのお相手は、わたくしでしてよ」
 よろしくお願い致しますわ、と。優雅にも見えるその挨拶とは裏腹に、小さな少女の背後には巨大なクリスタルビットが己を主張するかのように浮遊していた。圧巻的なその様子に澪は一瞬驚くものの、そういった相手にすら『一瞬驚く』だけで済んでしまうのは今までの経験故か。
「こちらこそ。今回は派手に盛り上げていくからね」
 礼を返す澪。にっこり笑うその笑顔からは『次も頑張るぞ』という気合が感じられる。
「まぁ、わたくしも派手な催しは好きですの!」
 女王の高笑いが響くと同時に、試合開始の合図は鳴った。

 先手を取ったのはエリルのクリスタルビットだった。ビットの群れが空に向かって散り散りとなり、澪に向かって照準を合わせる。
「ふふ、どちらも美味しかったけれど、わたくしこのドーナツが気に入りましたの! ドーナツの為に思いっきり戦いますわよ!」
 指先一つで質量のある巨大な武器を操るその姿から、強い力の持ち主である事が窺える。飛び交うビットを見上げると、澪も強気な笑みを見せ付けた。
「へへ、言ったでしょ。今回は派手に盛り上げていくって!」
 マイクを構えれば、すぅ、とたくさんの息を吸って。
「教えてあげる。世界に溢れる鮮やかな音!」
 透き通った声がスタジアム中に響き、澪の不思議なライブショーが始まった。ビットから射出されたビームを防いだのは――『歌』だ。
「まぁ!」
 観客と共にエリルも思わず声を漏らす。歌う澪の声が鮮やかな五線譜となって具現化し、ビームから彼を守ったのだ。どの方向から狙われても、踊る澪の周囲を囲むように五線譜が揺れ動き盾となる。
「守るだけじゃないんだよ、歌は」
 マイクに向かって強く声を発すれば、声に出した言葉がそのまま具現化する。真っ直ぐとエリルの元へと飛ぶ魔法の言葉。このままでは直撃するだろう。しかしそんな軌道であるにも関わらず、エリルはその場から一歩も動く気配を見せない。
 ――そう、彼女は女王。その場から退く事など決してない。
「素敵な声をお持ちですのね! とっても興味が湧きましたわ!」
 彼女の前へ立ち塞がったのは集結したクリスタルビット。彼らもまた巨大な武器でもあり、巨大な盾でもあった。誰であろうと女王には指一つ触れさせる事も許さない、屈強な近衛兵が魔法の言葉を弾き飛ばす。
「……でも、それではわたくしに触れることは出来ませんわよ?」
 盾となったクリスタルビットをそのまま力強く前進させる。地面を抉りながら迫り来る壁に、澪は俯いてしまった。
 もはや避けられないと、がっくり諦めてしまったのか。いや、猟兵がそう簡単に諦める訳がない。

「わーーーーーっ!!」
 突如大声で叫び出した澪。顔を下に向けて発したその言葉は、文字通りの具現化をして。
「『わーーーーーっ』!!??」
 観客は再び驚いた。しかしそれは感動による驚きではなく、動揺した驚きだ。
 戦場に現れた巨大な縦長の『わーーーーーっ』が澪の体を空高く押し出した。ぽーん、と飛び上がった澪の身代わりとなった魔法の言葉がクリスタルビットの突進を喰らい、崩れ去っていく。
「ッ!!」
 見上げるエリルの視線の先は輝く太陽。歌姫が眩しくて目がくらむ。
「何してますの、照準ッ!」
 咄嗟にクリスタルビットを傾け複数のビームを発射する。その判断は決して遅くはなかったのだが。
「これで終演、だよ!」
 向けた指先から放たれる炎の魔弾。音符にも似たそれはビームの嵐を掻い潜り、エリルに向かって降り注いだ。
 戦いが始まってから一歩も動く事のなかった女王の足が地面から離れる。サイキックによって空中へ回避しようと試みたようだ(彼女にとっては不本意な行動であっただろう)。しかし、魔弾の着弾による爆風に巻き込まれてしまい、結果的に大きく吹き飛んでしまった。
「きゃあっ!!」
 クリスタルビットが助けようとすぐさま駆け付ける。しかし、既にエリルはステージの下へと落ちていたのだった。

「もう、わたくしとした事が……」
 ドレスの埃を払いながら立ち上がるエリル。悔しそうにむすっとした表情を浮かべながら顔を上へと向ける。勝者の姿を眺めようとしたのだが。

「……あら?」

 太陽の中にいたはずの影が見当たらない。不思議そうに辺りを見渡すエリル。すると。
「え、えへへ……」
 やっと発見した澪の姿。彼は――同じステージの下で尻もちをついて苦笑いを見せていた。
「ビーム、当たっちゃった……」
 魔弾にこそ当たらなかったが、クリスタルビットのビームは澪の背中を貫いたらしい。不意を突かれた澪はそのまま撃ち落とされてしまったのだ。
「まぁ! 相打ちという事かしら。結果はどうなりますの?」
 二人はスタジアムの巨大ビジョンに目を向ける。そこには判定映像が映し出されていた。
 ステージの外へと吹き飛ぶ二つの影。先に下へと落ちたのは……エリルだ。
「……って事は、これは僕の勝ちだね? わ、嬉しいなー」
 ほっとするように肩を下ろす澪。再び頬を膨らませるエリルだったが、澪の方へ顔を向ければ、その表情はどこか清々しい笑顔だった。
「悔しいけれど、わたくしの負けですのね。確かに……『その場から動いてしまった』わたくしの力不足も確かな事。気付けて良かったですわ。お手合わせ、感謝致しますわ」
 手を伸ばすエリルに、澪も頷きながら握手を交わす。
「ううん、僕も同じだよ。こちらこそありがとうございました。楽しかったよ」
 そんな二人へ送られた観客席からの盛大な拍手は、暫く鳴り止む事はなかった。

 猟兵部門が幕を閉じても、今までにない戦いを間近で見たキマイラフューチャーの住民達の興奮が収まる事はなかった。
 きのこたけのこ武闘会の結果はたけのこの優勝という事にはなったが、観客達は互いを称え合い、新たな絆を深め合ったという。
「結果は出たけど今はそんなのどうでもいい! きのこもたけのこも、どっちもいいよな!!」
「これに気付けたのも猟兵様のお陰だ!!」
 猟兵達には一生分のクレープとドーナツが贈呈され、武闘会の終わったその夜、街は一時の平和なお祭り騒ぎを楽しんだという。

 ……そう、あくまでも『一時の平和』だ。どうせ来年もまた争い合うのだろう。
 きのこたけのこの戦争に、終わりなどないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月28日


挿絵イラスト