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夢の欠片は橙色

#アポカリプスヘル #お祭り2021 #ハロウィン #スプラウト・パーク

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「集合お疲れ様。今日はアポカリプスヘルへ向かってもらえるか?」
 猟兵達へと顔を向け、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)が言葉を紡ぐ。心做しかその表情はいつもより柔らかかった。
「あの世界はまだまだ問題が山積みだけど、カタストロフの危機は去ったよな。だから、久々に季節の行事を楽しんだり出来るんじゃないかと思って。という訳で……せっかくだからハロウィンを祝いにいってくれないか?」
 そう言いつつ、ひびきはグリモアでとある拠点を映し出す。
 そこにあったのは――ボロボロの遊園地だ。
「ここは廃棄された遊園地を再利用した拠点でな。遊園地の従業員だった人と新しく加わった人が協力して生活しつつ、遊園地の再興も目指している場所なんだ。そういう場所でハロウィンを祝えれば、再興の手助けにもなると思ってさ」
 手一杯の日々の暮らしの中に、ほんの少しでも楽しい非日常の時間を。
 そういう心の潤いは、確かに未来に進むための活力になるだろう。

「必要なお菓子や仮装衣装なんかは皆に運んで貰えればと思う。ただ一度にいっぱい運ぶとオブリビオン・ストームを呼んじまうから、ある程度は手分けして……になるかな」
 持ち込むなら数着の衣装に数十人分のお菓子などだろうか。
 勿論現地で調達する分には問題ないため、材料や媒介などを持ち込んで作ることも可能だ。
「準備が出来たらハロウィンパレードなんてどうかな。昔はこの遊園地の恒例行事だったらしいからさ」
 嘗ての遊園地では、仮装したスタッフが園内を練り歩きお菓子を配ったりしていたらしい。
 当時のスタッフ達は声がけすれば力を貸してくれるだろうし、ハロウィンを知らない小さな子ども達は大喜びしてくれるはずだ。
「電飾も衣装もお菓子も当時の豪華さには及ばないだろうが……それでもお祭りを再現するっていうのが大切だと思うぜ。よかったら皆もパレードを手伝ってやってくれ」
 仮装して人々を励ますもよし、子供達にお菓子を配り回ったりするもよし。
 ハロウィンらしく楽しめば、きっと拠点の人々も喜ぶだろう。

「これで終われば良かったんだが……皆にはもう一つ仕事を頼みたいぜ。派手な祭りをした影響か、深夜になればレイダーの集団がやってくるみたいなんだ。拠点の人達に気付かれないうちにそいつらを迎撃して、皆の思い出を楽しかったままで終わらせてやって欲しい」
 もしお祭りの影響でレイダーが来たとなれば、拠点の人々はきっと萎縮してしまう。
 それを防ぐためにもこっそりと敵を倒し、そっと立ち去るのが一番だ。
「……大丈夫。今回の別れは永遠の別れじゃない。また別の日にふらっと遊びにいってもいいし、その時にハロウィンの思い出を語ってもいいんだ」
 楽しい想いさえ守れば、また未来に向かっていける。
 だからこそ、戦いまでが猟兵の仕事になるだろう。
「あの世界もまだまだこれから、だからな。そのための一歩、よろしく頼むぜ」
 ひびきはそう話を締めて、頭を下げた。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 まだまだ大変なアポヘルですが、今日は少し穏やかに。

●一章『猟兵サーカス団』
 廃遊園地の拠点に仮装衣装やお菓子を運び込み、ハロウィンパレードを開催しましょう。
 遊具はボロボロですが現地の人々は元気です。
 大人は積極的にパレードを手伝い、子供達はお菓子を片手に楽しむでしょう。
 皆で遊園地の内部を練り歩きましょう。

 猟兵達も仮装してパレードの列に加わるもよし、音楽やパフォーマンスで盛り上げるもよし、お菓子を配り回るのもよしです。
 どうにか取り付けた電飾や、ちょっと歪な南瓜ランタンもご愛嬌。
 遊園地にとって久々のハロウィンです。楽しんでいきましょう!

●二章『異端審問官』
 拠点の人々が寝静まった頃、レイダーの集団が襲撃してきます。
 久々のイベントを楽しんだ人々を起こさないように、静かに敵を迎撃しましょう。
 戦闘が終われば夜明けの時間です。猟兵達はこっそりと帰ることになります。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
 締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 日常 『猟兵サーカス団』

POW   :    人間離れした力技を披露して、人々をビックリさせる

SPD   :    楽器演奏やマジック、大道芸などで、人々を盛り上げる

WIZ   :    歌唱や演劇、詩の朗読などで、人々を感動させる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 それぞれの物資を持参して拠点を訪れれば、住民は快く猟兵達を出迎える。
「また猟兵さんが来てくれるなんて嬉しいな。それで今日は……え、ハロウィン?」
 猟兵達から説明を受けた住人は、最初こそ目を丸くしていた。
 けれど次の瞬間にはパァっと笑みを浮かべ、仲間の方へと走っていく。
「みんな、聞いてくれ! ハロウィンパレードを復活させようって!」
「わぁ、懐かしい! 大賛成!」
「ありがとう猟兵さん。早速始めよう!」
 気がつくと拠点中の住民が集まって、パレードの企画が始まった。

 錆びた柵や電灯には、小さな電飾やカボチャのランタンを。
 割れた窓には手作りの『ハロウィンパレード開催中』のポスターを。
 大人も子供も簡単な仮装をして、いつもと違った気分を味わって。
 嘗てのパレードほどの豪華さはないけれど……これもきっと、大切なひととき。

「それじゃあそろそろ行進を始めようか。よければ猟兵さんも一緒にどうぞ!」
 遊園地のスタッフだった男性がハキハキとアナウンスを始めれば、楽しいハロウィンパレードの始まりだ。
 猟兵達も列に加わったり、パレードを盛り上げたり。
 お菓子を配ったり、ちょっとのんびりするのもいいだろう。
 夜が更けるまで、楽しい時間は続くのだから。


 このシナリオは「夢の欠片を集めて(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=35786)」と同じ舞台です。
 お話として繋がりはありませんので、読まずに参加されても大丈夫です。
 舞台となる拠点の雰囲気把握などに役立てていただければと思います。
 気軽にパレードを楽しみましょう!
城野・いばら
夢を想うみんなのお手伝い
すてき!ぜひ力になりたいわ

今日のいばら…私は、ハロウィンの使いの魔女なのです
普段着だけど、紺色のフードマント姿(全身絵参照)は
アリスには雰囲気ある装いでしょう?

魔女の役割はねパレードの裏方
会場の飾り付けの手伝い
他世界からの持込みが難しくても【UC】ならと
魔力の糸で紡いだぬいぐるみ達でもっと盛り上げちゃおう
パレードが終わるまでの一時の魔法だけれど
楽しい時間に彩を添えられたら

南瓜さんは勿論、動物さんやお花達
ハンプティダンプティにパン蝶…不思議の国のコ達も
ね、お祭りに参加させてくださいな

衣装にお困りなら
被り物や着ぐるみさんもご用意できるの
小さなアリス達にもアイデア募って
お礼は、ポシェットに詰めたビスケットやチョコ達で

行進中は皆の仮装を楽しませてもらうね
ハッピーハロウィン!




 遊園地を彩る橙色の灯りは、小さくても確かに煌めいて。
 賑わい始めたパレードを前にして、城野・いばら(茨姫・f20406)はぱぁっと笑顔を咲かせていた。
「夢を想うみんなのお手伝い……すてき! ぜひ力になりたいわ」
 紺のフードと細い蔓をゆるりと揺らめかせつつ、いばらは遊園地の拠点を進んでいく。
 そんな彼女の姿を見れば、子供達は「魔女のお姉さんだ!」とはしゃぐ声を響かせていた。
 いばらが着てきたフードマントは普段着だけれど、それでもハロウィンの魔女としてはピッタリの装いだ。
 子供(アリス)達に笑顔で手を振替しつつ、いばらが目指すのは――遊園地の更に奥、まだまだ設営を進めている場所だ。
 いばらは準備に勤しむ人々の元へ歩み寄り、明るく声をかけていく。
「ごきげんよう。よろしければ、飾り付けを手伝わせてもらえないかしら?」
「わぁ、素敵な魔女さん。是非お願いしたいけど……実は、物資があんまり足りてなくて」
 住民が苦笑しつつ近くのダンボールを指差す。中には幾つかの電飾が置かれているが、確かにこれだけでは物足りない。
 けれどいばらの表情に不安の色はなかった。懐から白薔薇の裁縫箱を取り出し中身を広げれば――必要なものは作り出せるのだから。
「大丈夫よ、任せて。パレードが終わるまでの一時の魔法だけれど……それでも、楽しい時間に彩を添えられたら」
 裁縫箱から針を取り出し、魔法の糸を舞い踊らせて。
 いばらがささっと手元を動かせば、紡がれるのは不思議な光景だ。
「紡いで、結んで、おおきな縁になぁれ」
 おまじないのような言葉と共に針が動いて、生み出されるのは愛らしいぬいぐるみ達。
 王道の南瓜さんに、可愛らしい動物さんに、ぬいぐるみの花もたくさん咲かせて。
 その光景に住民達もわぁっと歓声を上げていた。
「すごい! これ、飾り付けに使ってもいいのかい?」
「勿論よ。それから……」
 更に生み出されるのはころころ愛らしいハンプティダンプティにふかふかのパン蝶さん。
 不思議の国の住民達も、ハロウィンを盛り上げる役を担ってくれるだろう。
「ね、この子達もお祭りに参加させてくださいな」
「大歓迎だよ。メルヘンチックなのも可愛いね!」
 小首を傾げて仲間たちと微笑むいばらを、住民達は喜んで迎えてくれた。
 その賑やかな声を聞きつけて、子供達も集まってきているようだ。

 子供達も楽しそうにはしゃいでいるけれど、彼らの格好は普段着らしき衣服ばかり。
 資材などで簡単な仮装は作っているようだが、それではきっと物足りないだろう。
「小さなアリス達。被り物や着ぐるみさんもご用意できるの。何かリクエストはあるかしら?」
「ほんと? それなら僕、ライオンさんがいいな!」
「私はオオカミさんがいい!」
 次々投げかけられるリクエストにも笑顔を返し、いばらは再び糸を紡ぐ。
「アリス達、ありがとう。おかげでどんどんイメージが湧いてくるわ。お礼も一緒にどうぞ!」
 頼まれた品が出来上がれば、ポシェットから取り出したお菓子と一緒に手渡して。
 可愛らしい被り物と共にビスケットやチョコレートを渡せば、子供達はもっと大喜びだ。
「ふわふわで可愛い……魔女さん、ありがとう!」
「お菓子も大事に食べるね!」
 はしゃぐ声に咲く笑顔。目の前に楽しい光景に、思わずいばらの心も弾む。
 園内は可愛らしいぬいぐるみで彩られ、子供達もふかふかの仮装を片手に走り回る。
 糸の魔法はたった一夜きりだけれど――それでも、まるでこの場所が不思議の国になったようで。

 一通りの準備が終わったところで、いばらはベンチに腰掛ける。
 目の前の道を仮装した子供達が、彼らを導く大人達が歩く様が嬉しいのだ。
 微かな橙色に包まれる遊園地も――今日だけは廃墟じゃなくて、素敵な夢の国に変わるのだ。
「ふふ、ハッピーハロウィン!」
 こちらに手を振る子供達に手を振り返しつつ、いばらはパレードの光景を堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。

遊園地のお祭り、お手伝いします!
アポカリプスヘル、実は初めて来ました。すずちゃん来た事ある?

準備としてお菓子を持ち込みます。UDCアースで用意したクッキーです。
アイシングで可愛い服を着たジャーマンクッキーと、南瓜型にくり抜いたパンプキンクッキー。
2種2枚ずつを透明な小袋に入れて。沢山の小袋をバスケットに入れて向かいます。

すずちゃん、仮装するのね。
私は今日は準備に時間割いちゃったから、衣装はこのまま参加するよ。
肌寒い季節だから、オレンジのポンチョを持ってきたの。
パレードの一団と一緒に歩きながら、子供たちにお菓子を配っていきます。
私が役立つのは、中央広場に到着してから。

中央についたら、すずちゃんとウインクをしあって。
片手を上空に向け、BANG!
「祝祭に咲け、満天の星宙!」
同名のUCを発動。すずちゃんの紙片を絡めて、上空全体を彩ります。
オレンジの花火を多めに、色鮮やかに盛り上げていきましょう!
何発だって連発しちゃう。重ねて、賑やかに、楽しく。


コイスル・スズリズム
仲良しのオーナーさん(f03848)と一緒に!

いつもと違う光景、空気、いつもと少し違う街
そんなことができるアース世界のハロウィンをすずは大好き
この世界の人たちともあの楽しいハロウィンをすごしたい!

拠点の遊園地、活気があってすっごく素敵な場所!
ハロウィン以外のときにもきたいかも

すずとオーナーさんは、パレードに参加
すずはかぼちゃ色の妖精の衣装に着替えるよ
かぼちゃの妖精をモチーフだね
ハロウィンといえば、お菓子がつきもの
かぼちゃの形をした、いろんな味のお菓子をたくさん用意して
人に配りながらパレードを歩く

お菓子をくばるかぼちゃの妖精だよ!

配ってるときに、かぼちゃのランタンを見かけたら
このかぼちゃすっごいカワイイ!とその土地に新鮮な感動。

パレードもおおづめ、盛り上がってきたら
オーナーさんとお互いにウインク
オーナーさんのUC発動の合図に合わせて、すずもUCを起動する。
UCでは、たくさんのハロウィンカラーや、かぼちゃの形をした紙片を、盛大に出すよ
パレードには花火だよね。なんちゃって花火のエフェクトだよ!




 ハロウィンといえば楽しい思い出がいっぱいだ。
 いつもと違う光景、空気、いつもと少し違う街。そんなことが出来るハロウィンはとっても素敵で、大好きで。
 だからこの世界の人とも楽しいハロウィンを過ごしたい!
 そんな想いを抱きつつ、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)は廃遊園地に降り立つ。
 隣に立つ小宮・あき(人間の聖者・f03848)も乾いた風を身体で受けつつ、微かに灯る橙色の光を見上げていた。
「アポカリプスヘル、実は初めて来ました。すずちゃん来た事ある?」
「すずも初めてだよ。怖いとこかなって思ってたけど……この遊園地、活気があってすっごく素敵な場所! ハロウィン以外のときにもきたいかも」
 コイスルが少し先を指差せば、そこにはパレードを始めようとする人々の姿が。
 彼らは皆笑顔で、とても楽しそうで。苦しい生活の中に芽生えたその楽しさを、是非とも支えたいと二人は思う。
「遊園地のお祭り、頑張ってお手伝いしましょうね!」
「うん! すずね、色々準備してきたよ!」
 そう言いつつ笑うコイスルは、カボチャ色の妖精の衣装を着込んでいた。
 手元には愛らしくデコレーションされた小さな籠が用意され、中にはたくさんのお菓子が詰まっている。
 そのどれもがカボチャを模しており、キャンディにクッキー、マフィンなど種類も多種多様だ。
「すずちゃん、仮装するのね。私は今日は準備に時間割いちゃったから、衣装はこのままだけど……」
 あきの方は服装こそ普段着だが、その上にはオレンジ色のポンチョを羽織っている。
 寒さ対策として持ってきたポンチョだったけれど、上品な衣服と合わさればまるでカボチャの魔女のようで。
 そしてあきの手元にも、小袋が詰まったバスケットが用意されていた。
 袋の中には可愛く着込んだジャーマンクッキーと南瓜型のパンプキンクッキーがセットで入れられ、小さなリボンで纏められている。
「オーナーさんのクッキー可愛い! これですず達、お菓子をくばるかぼちゃの妖精とかぼちゃの魔女だね!」
「すずちゃんのお菓子もとっても可愛いです。それじゃあ、早速パレードに向かいましょうか!」
 二人は弾む足取りで住民の元へ向かい、元気に声をかけた。
 住民達も可愛らしい参加者に大喜びだ。パレードの開始まではあと少し、猟兵達もその輪に加わり、楽しい時間を過ごしていく。

 パレードは遊園地の内部をぐるりと一周し、最後に中央の広場へと向かうようだ。
 その一団に加わりつつ、コイスルとあきは住民達へと手を振り歩く。
 楽しげな様子に惹かれてか、何人もの子供が彼女達へと手を振り返していた。
「ハッピーハロウィン! これは妖精からのプレゼントだよ!」
「わ、キャンディだ。妖精さん、ありがとう!」
 コイスルが跳ねるような足取りで子供に近づき、元気いっぱいにお菓子を手渡せば笑顔が咲いて。
 あきも別の子供の側へと歩み寄ると、次々にクッキーを配っていく。
「おめかししているジンジャークッキーとカボチャのクッキーです。さあ、どうぞ」
「魔女さん、ありがとう。可愛いクッキー……大事にするね」
 少し照れくさそうに笑う子供にも、そっと優しく笑顔を向けて。
 幸せを振りまきながら、カボチャの妖精と魔女は進んでいく。その間、自分達が楽しむことだって忘れはしない。
「あ、オーナーさん! このかぼちゃすっごいカワイイ!」
「お手製のランタン、でしょうか。良いですね、ああいうの」
 コイスルが指差したのは廃材で作られたカボチャのランタンだ。
 豪華絢爛とは言い難いが、限られた素材でも素敵な飾りは作ることが出来る。あのランタンは、この世界の強さを示しているかのようだった。
 素敵な飾りと暖かなやり取りを楽しみつつパレードは進んでいき――ゴールの広間も見えてきた。
「……そろそろ広場でしょうか。すずちゃん、私はいつでもオッケーですよ」
「すずも大丈夫! おおづめ、盛り上げちゃおう!」
 いたずらっぽい笑みを向け合い、二人でこっそり作戦会議。
 とっておきのフィナーレだ、盛大に盛り上げなくては!

 拠点の人々もパレードの終わりを感じてか、次々広場に集まってきているようだ。
 奏でられる音楽もクライマックスに差し掛かり、楽しい時間もそろそろお終い。
 とっておきの魔法をかけるべく、コイスルとあきは広場の中心へと躍り出た。
 人々はその様子に驚きはするけれど止めはしない。むしろ誰もが期待に目を輝かせ、何が起きるか待ち侘びているようだ。
 二人は互いにウインクしあい、片手を空へと突き上げる。
「祝祭に咲け、満天の星宙!」
「誰かに恋する時のよに誰かを待つよに深く甘く続いてく」
 次の瞬間、広間の様子は一変した。
 あきの側には天筒花火が呼び出され、『have a nice day 』の付箋が火を灯す。
 そのまま打ち上がるのは色とりどりの流星や紙吹雪。そして飛び上がった打ち上げ花火が上空で咲いたのだ。
 紙吹雪はそのまま舞い落ちることもなく、コイスルの手から生み出されたハロウィンカラーの紙片と共にまだまだ美しい光景を作り上げる。
「パレードには花火だよね。なんちゃって花火のエフェクトだよ!」
 次に放たれたのはカボチャ型の紙片だ。それらはひらひらと舞い散って、観客の元へふわふわと飛んでいく。
 それを受け取った子供達は大喜びだ。その様子にコイスルもニッコリと笑みを浮かべる。
「それじゃあ私も……色鮮やかに盛り上げていきましょう!」
 あきが負けじと放つのはオレンジ色の花火だ。淡いランタンの色合いと合わさって、まるで太陽のように――だけど優しく橙色が遊園地を包み込む。
 それに合わせて降り注ぐ流星の欠片を、大人達も楽しそうに拾っていた。
「何発だって連発しちゃいましょう。重ねて、賑やかに、楽しく」
「この遊園地みたいだね! どんどんやっちゃおう!」
「はい、いつまでも、どこまでも!」
 ハロウィンの魔女と妖精は、力の限り空を鮮やかに彩っていく。

 太陽は沈み、夜の闇が世界を覆い始めても――これだけ皆で盛り上がれば、恐れることは何もない。
 拠点の人々は今日の想いを胸に、これからも苦しい夜を超えていくだろう。
 その支えになったのは、間違いなく猟兵達だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『異端審問官』

POW   :    邪教徒は祝福の爪で切り裂きます
【強化筋肉化した右手に装備した超合金製の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪教徒は聖なる炎で燃やします
【機械化した左手に内蔵の火炎放射器の炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    邪教徒に相応しい末路でしょう?
自身が【邪教徒に対する狂った憎しみ】を感じると、レベル×1体の【今まで殺した戦闘能力の高い異教徒】が召喚される。今まで殺した戦闘能力の高い異教徒は邪教徒に対する狂った憎しみを与えた対象を追跡し、攻撃する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 楽しいパレードの時間は終わり、夜も更けてきた。
 住民は猟兵達へ感謝を告げて、それぞれの寝床へ戻ったようだ。
 久々に楽しい疲労を感じた人々は深い眠りに就くだろう。
 それは喜ばしいことだが――けれどこの世界は、それほど甘いものではない。

 拠点から少し離れた荒野に立つのはレイダーの集団だ。
「随分盛り上がっていたようですが……ハロウィンなどと異教徒の行事にうつつを抜かすとは」
「愚かな邪教徒は殺さなければなりません。寝静まった今が好機でしょう」
 祭りの様子を聞きつけたレイダー達は、住民を惨殺しようとチャンスを窺っている。
 今すぐ彼らを迎撃すれば、住民達が敵襲に気付くことはないだろう。

 楽しい夢を守るためにも、こっそりと悪しきレイダー達を倒さなくては。
大宝寺・朱毘
「仮装しながらお菓子食べてはしゃぐだけのことで抹殺だ何だって騒ぐかよ。ケツの穴の小せぇ神様もいたもんだな、おい」

いつも通りギターを鳴らして戦ったのでは人々の眠りを妨げる。広範囲に衝撃波を放つのもやかましい音が響くだろうからNG。
というわけで、【ハグ・ロック】でなるべく音を抑えつつ高速飛翔し、肉弾戦を挑む。手足に威力を絞った衝撃波を纏わり付かせつつ、スピード任せに殴る、蹴る。
数を頼みに包囲されそうになったらスピードを利して離脱、再び接近して殴打……と繰り返して数を減らしていく。

「どんなご大層な教義掲げてんのか知らんけど、人の安寧を蹂躙する真似を是とするようなクソ神の居場所なんざ、ここにはねえよ」




 口々に好き勝手な言葉を零しつつレイダー達は拠点を目指す。
 そんな彼らの前に、不意に姿を晒したのは大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)だ。彼女の視線は鋭く、ただただ真っ直ぐにレイダーを睨む。
「仮装しながらお菓子食べてはしゃぐだけのことで抹殺だ何だって騒ぐかよ。ケツの穴の小せぇ神様もいたもんだな、おい」
 挑発の意味もあるけれど、それ以上に強く憤怒を籠めて。
 放たれた言葉に対し、レイダーが示したのも当然怒りの感情だ。
「我らの神を侮辱するのですか? 邪教徒共より先に殺さなければなりませんね」
「やれるもんならな。お前達は誰一人、この先には進ませないぜ」
 ちらり、朱毘は少しだけ後方へと視線を向ける。見えたのは夜空に浮かぶ遊園地のシルエットだ。
 先程までは暖かな光に包まれていたあの拠点も、今は安らぎの中にある。住民達のためにも戦い方はきちんと選ばなければ。
 いつも通りのギターの演奏はきっと皆の眠りを妨げてしまう。同じ理由で衝撃波を放つ攻撃だってNGだ。
 これではロッカーらしい戦いが出来ない? いいや、そんなことはない。
 目の前の敵を倒したい。人々を守りたい。そんな魂の衝動があれば、朱毘なりのロックは示せるのだから。
「あたしの魂を包む、この力……降臨しろ、羽黒の山の烏天狗! ハグ・ロック!」
 朱毘の言葉が、戦意が力に変わり、無数の烏羽として彼女の身体を覆っていく。
 手足に衝撃波を纏わせ飛び立てば――静かに敵を倒す烏天狗のお出ましだ。

 レイダー達の主力武装は恐らく右手に装着した爪だろう。
 そう判断し、朱毘は敢えて敵の懐へと堂々と突っ込んでいく。
「何!?」
「それだけ立派な爪だと、下手に振るうと自分も巻き込みそうだろ? それより先に……あたしの番だ」
 挨拶代わりに腹を蹴飛ばしてやれば、レイダーは後方の仲間も巻き込み大きく吹き飛ぶ。
 すかさず別の敵が此方に迫っているが、烏羽を纏う朱毘のスピードには追いつけやしない。
 振るわれた爪をひらりと回避し、朱毘は右腕に力を籠める。
「どんなご大層な教義掲げてんのか知らんけど、人の安寧を蹂躙する真似を是とするようなクソ神の居場所なんざ、ここにはねえよ」
 怒りと戦意を籠めて放たれた拳は、レイダーを容易く吹き飛ばし骸の海へと送り返した。
 更に敵が迫るなら、もっと早く動いて蹴りと拳を。目まぐるしく荒野を駆けつつ、朱毘は戦いを続けていく。
「せっかくのお祝いの日なんだぜ。お前達みたいなしかめっ面がいたら、パーティも台無しだ」
 だから、お前達もさっさと立ち去れ。
 こうしてロックガールの静かな羽ばたきは、人知れず悪を挫き、罪なき人々を守るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
この地に俺はいなかった
この地にお前達もいなかった
いいね?

奴らが来るのは聞いている
一方奴らは俺達の存在に気付いていない
密かに接近してはくるだろうけれど、こちらが発見に手間取るほどの隠密行動はとらないだろう
暗視の技能があるし奴らを目視するのも可能なはず
見つけたら即座にUC解放・夜陰を発動
奴らに思うことはただひとつ、何にも気付かず消えてくれ

まあ、全員片付けられないことくらいはわかってるさ
あちらも数で攻めてくるようだけれど関係ない
襲ってくる連中は黒剣と水晶を用いた最低限の牽制で済ませ、狙うはオブリビオン
さあ、黒水晶よ喰らいつくせ
邪教徒に喰われるなんて屈辱だろう?
いいね、その顔が見たかったんだ




 先程の戦地から少し離れた地点にて、別のレイダーの集団が姿を現す。
 どうやら彼らは別働隊らしく、別方角から拠点を目指しているようだ。
 拠点を背に立つサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は、迫る集団を見遣り静かに笑みを浮かべる。
「この地に俺はいなかった、この地にお前達もいなかった。いいね?」
 いつもの柔和な雰囲気と違い、今のサンディは悪意を隠すことなく晒している。
 それは誰にも見られていないからであり、そして相手がそれだけ悪辣であるから。
 誰かの幸せを身勝手な理由で潰す輩など、生かしておいていいことは何もないのだ。
 荒野にある光源は月明かりに、敵が持った小さな灯りだけ。それでもサンディの青い瞳は、しっかりと彼らの姿を捉えている。
 だから決して――逃しやしない。
「お前らに思うことはただひとつ、何にも気付かず消えてくれ」
 悪意を漆黒の推奨へと変化させ、サンディは埒外の力を発揮していく。
 次の瞬間、荒野に黒い光が降り注いだ。

 最初に倒れたのは、集団の中程にいた異端審問官だ。
 彼は音もなく光に胸を貫かれ、そのまま荒野に倒れ伏す。
「敵襲ですか? 一体どこに……」
 他の仲間が急いで敵の姿を探すが、その間にも光は降り注ぎ続けた。
 一体、また一体と敵が倒れ――かなりの数が削れた後に、ようやく彼らはサンディの姿を捉えることになる。
「おのれ邪教徒……異教徒により嬲り殺されてしまいなさい!」
 レイダー達は異教徒の霊を呼び出し、一気にサンディの方へとけしかけてきた。けれどこのくらいの事態も想定済みだ。
「あぁ、見えちゃったんだ? 気付かず“俺”に染まっていれば幸せだったのにねぇ」
 迫る霊達を暗夜の剣で迎撃しつつ、サンディは更に漆黒の水晶を手元に生み出す。
 そしてそれを異教徒の霊の霊に埋め込んでやれば――蔓延る悪意が、その身体を瞬く間に侵していった。
「さあ、黒水晶よ喰らいつくせ」
 サンディの悪意に応じるように、異教徒達は獰猛な表情を浮かべて動きを変える。
 彼らはレイダーの方へと一気に殺到し、そちらの方を襲い始めたのだ。
 サンディを襲った時はまだ理知的だった霊達も、今はより動物敵に――そして悪意たっぷりにレイダー達を血祭りにあげていく。
 血に塗れ蠢くレイダー達の顔に滲むのは、怒りと絶望、それらが混ざりあった醜い表情で。
 それらを見下ろし、サンディは妖しく笑みを浮かべていた。
「邪教徒に喰われるなんて屈辱だろう? いいね、その顔が見たかったんだ」
 楽しい一時を壊そうとする教信者には、こんな末路が相応しい。
 彼らを一通り蹂躙すれば、サンディはあっさりと姿を隠すだろう。
 朝日が顔を出す頃には――最初に言った通り、きっと誰も残らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小宮・あき
すずちゃん(f02317)と。

お祭りの最後に冷や水を掛けるだなんて、なんと無粋な事でしょう。
狂信者というだけで心象マイナスなのに、慈悲の心がどんどん擦り減ってしまいますねぇ。

「異教徒、邪教徒、ですか。あなた方の神は、他宗教の作法や祭りも偶像崇拝として考えるのかしら」
私は聖者。
UDCアースアメリカに住む、熱心なカトリック教徒。

ハロウィンは世俗のイベントです。肯定も否定もしません。
ならば楽しい方を選びたい。私は、人々が笑顔になる良い祭りだと思っています。

だから最後まで、ハロウィンで。
すずちゃんのハロウィンが、迷路に魔法を掛けたなら。
私はファンタジーの魔法をかけちゃおう。

「助けて、うさぎさん!」
敵に向けて放つ、小型のうさぎ。
総勢560匹!
上乗せする技能、鎧砕き、鎧無視攻撃、動物使い!

敵が放つ異教徒の数が何体かは判らないけど、私の兎と合わせると、迷路はミチミチかな。
いいの、そのまま、押しつぶして!

「信仰は自分自身の自由意思によって選ばれるべきものですよ。来世は他宗教にも寛容になりましょうね。」


コイスル・スズリズム
オーナーさん(f03848)と引き続き同行だよ!

南瓜のお祭りをひとしきり楽しんだら
このお祭りがこの先もずっと続くように、もう一仕事だね。

敵の姿を発見したら
そういわずに、南瓜のお祭りもなかなかいいものだわ
とウインクを飛ばして
初手は魔力を込めたUCを起動するよ。
UCでは、「魔法で作った、ハロウィンの街」の迷路へ、レイダーさんをご招待。

まだまだ盛り上がろうね、一緒に遊ぼう!
このハロウィンの街の、出口を探してみて?
でも、ちょっと複雑かも。

オーナーさんの大量のうさぎさんたち
これだけいるとハロウィン行列にピッタリ。
一匹ずつにかぼちゃを持たせたいけど、この数だとそうもいってられないね。
うさぎさんの勢いに笑っちゃうよ。

迷路の魔法にうさぎさんの魔法!
すずはとっても楽しいんだけど
レイダーさん、このハロウィンは楽しんでくれてるかな?

この迷路の出口も、正解ルートを知っているのも、すずとオーナーさんだけ。
地形の有利を活かして、うさぎさんたちの後ろから
すずはドラゴンランスに全力魔法を込めた槍投げで遠距離攻撃するよ。




「おのれ、邪教徒め……!」
 猟兵達の活躍でレイダーの数はどんどん減るが、彼らの勢いはなかなか衰えない。
 それも歪んだ信仰故だろうか。彼らは顔を歪め、怒りと嫌悪を顕にしている。
 そんなレイダー達の前に、ふわりと姿を現したのは小宮・あきとコイスル・スズリズムだった。
 普段は朗らかなあきだけれど、今回のレイダーに向けるのは厳しく真剣な眼差しだ。
「異教徒、邪教徒、ですか。あなた方の神は、他宗教の作法や祭りも偶像崇拝として考えるのかしら」
 あきはUDCアースのアメリカに住む、敬虔なカトリック教徒。それは彼女自身の聖者というジョブにも強く出て、彼女の在り方を示している。
 そんなあきから見れば、お祭りの最後に冷や水を掛ける無粋な狂信者というのはとても心象が悪いものだ。
 それこそ、いつも抱いている慈悲の心がどんどんすり減るくらいには。
「ハロウィンは世俗のイベントです。肯定も否定もしません。ならば楽しい方を選びたい。私は、人々が笑顔になる良い祭りだと思っています」
「そうそう、ハロウィンは楽しいものなんだよ。レイダーさん達もそういわずに、南瓜のお祭りもなかなかいいものだわ」
 あきの隣ではコイスルがパチンとウインク一つ。
 彼女の胸にあるのは先程までのお祭りの楽しさだ。このお祭りがこの先もずっと続くように、そのためにもレイダー達をきちんと止めよう。
 そんな決心と弾む想いがコイスルの身体を支えていた。
 しかし、敵は狂った信仰を糧に動く相手だ。あきの真剣な言葉も、コイスルの明るい声もその心には響かないだろう。
「その様な言葉には惑わされません。あの拠点を潰す前に、あなた達を……邪教徒を潰しましょう」
 レイダー達は嘗て殺した者達の霊を従え、猟兵の元へと駆け出していく。
 お話はお終いだ。ここから先は真剣な戦いだけれど、それでもお祭りの楽しさは忘れずに!
 まずはコイスルが両手を掲げ、不思議な魔法を発動していく。
「いつもよりいつもっぽい街で少し違っている。ハロウィンの街の迷路へご招待だよ!」
 次の瞬間、どこまでも広がる夜空と荒野が――可愛らしいお祭りの景色へと様変わりした。
 猟兵達とレイダーを取り囲むのは絵本のようなハロウィンの街並み。けれど此処は可愛いだけじゃない、出口はたった一つだけの広大な迷路なのだ。
「まだまだ盛り上がろうね、一緒に遊ぼう! このハロウィンの街の、出口を探してみて?」
 でも、ちょっと複雑かも、なんてクスリと笑って、コイスルは迷路を駆けるレイダー達へと声をかける。
 そしてあきもふわりと腕を掲げ、同じく不思議な力を発揮しだした。
「すずちゃんの言う通り、だから最後まで、ハロウィンで。私はファンタジーの魔法をかけちゃおう――助けて、うさぎさん!」
 あきの呼び声に応じて現れたのは――たっくさんの小型うさぎ達だ!
 その数総勢560匹。彼らはあきの意思に従い、自由自在にレイダー達を追いかけていく。

「わあ、迷路の魔法にうさぎさんの魔法! 勢いがすごいよオーナーさん!」
「すずちゃんの迷路もとっても可愛いです。このまま楽しく戦っちゃいましょう!」
「うん、せっかくだから大量のうさぎさんたちにかぼちゃを持たせたいけど……この数だとそうもいってられないね」
 二人の言葉通り、可愛らしい街はどこまでも広大だし、うさぎも凄い勢いで駆け回っている。
 その光景が面白くて思わずくすくす笑みが溢れるが、此処は決して楽しく甘いだけの迷路ではない。
 ふわふわうさぎ達は愛くるしいけれどとっても狂暴だ。彼らはレイダーを見つけ次第、脚で蹴ったり噛み付いたりとどんどん攻撃を加えていくだろう。
 一方、レイダーの方もたくさんの霊を従えている訳で――それらが合わされば迷路はミチミチ。新しいパレードが始まったかのようだ。
「せっかくだから、レイダーさん達のところに行こう! すず達もばーんって頑張っちゃお!」
「ええ、うさぎさん達の様子も気になりますし、行きましょう!」
 猟兵達も手を取り合って、迷路の中を駆け出していく。
 道順は複雑だけれど大丈夫。道順はコイスルが知っているし、あきにもこっそり耳打ち済みだ。
 うさぎ達の足音や戦闘音で周囲の様子を確認し――二人はこっそり、レイダー達の後方へ。
「なんなんですかこのうさぎは! ええい、鬱陶しい!」
 レイダー達は大量のうさぎに囲まれて大変苦労している様子。
 そこに飛び込んだのは、ドラゴンランスを構えたコイスルだ。
「すずはとっても楽しいんだけど、レイダーさん、このハロウィンは楽しんでくれてるかな?」
 ランスに魔力を籠めて投げ込んでやれば、クラッカーのような爆発が周囲を包み込む!
 その攻撃は勿論、巻き上がる紙吹雪や光もレイダー達の動きを止めるには十分だった。
 うさぎ達もちょっとビックリしているが、そこにすかさず声をかけるのはあきだ。
「いいの、そのまま、押しつぶして!」
 主人の命令を受けてうさぎたちは目をパチクリ。すぐに気を取り直し、再びレイダー達を取り囲む!
 コイスルの魔法とあきのうさぎ達、その双方の勢いは決して止まらない。

 楽しく可愛いハロウィンとメルヘンの魔法は、着実にレイダー達の力を削いでいっているようだ。
 使役された人々の霊も不思議な魔法で浄化され、無事にあるべきところへ帰っていく。
 これだけの出来事が起これば、レイダー達の顔にも焦りの色が滲み出した。
「おのれ……このような邪教の魔法で、我々を苦しめるとは……!」
 その言葉にあきは頭を振り、そして静かに言葉を紡ぐ。
「信仰は自分自身の自由意思によって選ばれるべきものですよ。来世は他宗教にも寛容になりましょうね」
 レイダー達も生前は寛容な存在だったかもしれない。けれど今の彼らは、過去に歪められているのだ。
 だとしたら、その悲しみもこれでお終い。
 あきの強い想いに応えるように、うさぎ達は更に大暴れしていく。
 ふわふわ、もふもふ。身勝手な狂信を押しつぶして、少しでも楽しい来世を。そんな想いを、うさぎ達が体現していった。
 コイスルも再びランスを構え、とびっきりの笑顔を浮かべた。
「お祭りだってまだまだ終わらないもんね。レイダーさんも楽しめたら良かったんだけど……それはまたいつか、だね」
 願わくば、遠い未来でもいいから――拠点の人々と同じように、彼らもお祭りを楽しめるよう。
 祈りを籠めて放つのは、魔法を帯びたランスの一投だ。
 再び巻き上がる魔法の一撃は迷路を鮮やかに覆い、そしてレイダー達を骸の海へ還していく。

 そしてレイダーが消え去れば、ハロウィンの迷路も終わりを見せる。
 でも楽しみはきっとこれからも。夜が明けても、拠点の人々は今日のことを忘れないだろう。
 それは猟兵達にとっても同じことで。
「楽しかったね、オーナーさん!」
「はい、とっても楽しかったです、すずちゃん」
 猟兵達が浮かべるのは、思い出を噛みしめる優しい笑みだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
アナタ達の神さんは仮装がお嫌い?
それともお菓子が?
異教徒?と首を傾げるけれど
痩せた大地を見れば、過酷な現実には理解できて
きっと、選ばなければ成らない事も在るのだと

教えを否定はしないの
でもね
未来を紡ごうと頑張っているアリス達を、希望の芽を
摘んだりさせない

魔女の格好は異教に映るかしら
機動力に欠ける私には好都合と
小さなうたごえ、開いて
もっと注目、いらっしゃいとお誘いを
黒薔薇咲かせたら
沢山の花弁と香りでお迎えしましょう【UC】

攻撃には不思議な薔薇の挿し木を伸ばした蔓で武器受け、耐えて
機を見て捕縛も狙って
魔法が届くよう時間稼ぎを

夜はおやすみの時間なのよ
お花もヒトも、動物さんも
怒りも、かなしみも
皆、みーんな…ね?
トロイメライで魔法の風を紡いで
花弁をもっと広げ、範囲攻撃と眠り速度を加速させ
蔓がアナタを捉えたなら生命力吸収を
茨に抱かれて、おやすみなさい

憂う事のない明日が、いつかアナタ達にも来ますよう
少しずつでも、歩み出したこの世界でまた

*普段の姿のまま。アドリブ等も歓迎です




 残った異端審問官の数はあと僅か。
 彼らは死物狂いで拠点を目指し、夜襲を行うつもりのようだ。
 そんなレイダー達の前に、ゆるりと――けれど確りとした様子で立ち塞がったのは城野・いばらだった。
「ねえ、アナタ達の神さんは仮装がお嫌い? それともお菓子が?」
「そんな些細なものには我らも我が神も興味はありません。ただ彼らが歪んだ信仰を抱く異教徒だから殺すのです」
「異教徒?」
 こてんと首を傾げるいばらだけれど、それでもレイダー達の主張が理解出来ない訳ではなかった。
 どこまでも広がる夜空の下にあるのは、同じくらいどこまでも続く痩せた大地。
 あのレイダー達も過酷な世界を生きるべく、その生き方を選んできたのだろう。
 けれどいばらは小さく首を振って、レイダー達の方を確りと見つめた。
「アナタ達の教えを否定はしないの。でもね、未来を紡ごうと頑張っているアリス達を、希望の芽を――摘んだりさせない」
「ふん……よく見れば魔女のような格好をしていますし、貴女も邪教徒なのでしょう。ならば先に貴女を殺す!」
 レイダー達は爪を構え、今まで殺してきた者の霊と共に駆け出してきたようだ。
 いばらもまた不思議な薔薇の挿し木を握り、戦う姿勢を取る。
 目の前の敵を倒すため。そして何よりも、後ろに控える拠点を護るために。

 レイダー達はいばらに強い怒りを抱いているのか、彼女を殺さない限りは拠点を目指さないようだ。
 それはむしろ好都合だ。唇を小さく開いて小さなうたごえを響かせて、いばらは誘うように敵を見据える。
「もっと注目、いらっしゃい。おやすみのキスを、アナタに」
 次の瞬間、乾いた大地は一瞬にして黒薔薇咲き誇る庭へと変わる。
 いばらの握る薔薇の挿し木から沢山の花弁と蔓が伸び、周囲を覆いだしたのだ。
 花弁と甘い香りに囚われた者はその場で眠り、そうでない者も伸びる蔓が次々に捕縛していく。
 使役された霊達は優しい眠りに誘われ、還るべき場所へと還るだろう。
 レイダー達が爪を振るおうと、つやつやとした蔓は決して切り裂かれたりしない。それだけ強い決意がいばらの力を湧き起こしているからだ。
「チッ、何なのですかこの呪術は……!」
 露骨に怒りを示すレイダーへ向け、いばらが向けたのは優しい笑みだった。
「夜はおやすみの時間なのよ。お花もヒトも、動物さんも。怒りも、かなしみも。皆、みーんな……ね?」
 宥めるような、そして歌うような声に合わせ取り出したのは魔法の紡錘『トロイメライ』。
 いばらがそっと紡錘を振れば、柔らかなそよ風が周囲を包み込んだ。

 風は優しく、それでいてしっかりと黒薔薇の花弁を運び、大地を更に彩る。
 すると――先程まで怒りを示していたレイダー達も、更に眠りに誘われぱたりと倒れ伏していく。
 彼らの身体を受け止めたのは薔薇の蔓だ。
「茨に抱かれて、おやすみなさい」
 蔓は少しずつレイダー達の力を奪い、彼らを眠りの中に落としたまま骸の海へと還していく。
 きっと今も拠点の中は、こんな風に寝息と風の音だけが響いているのだろう。
 いばらが還るレイダー達へ向けるのは、小さな祈りだ。
「憂う事のない明日が、いつかアナタ達にも来ますよう。少しずつでも、歩み出したこの世界でまた」
 その時は、アナタ達も一緒にハロウィンを楽しんだり、穏やかに眠ったり出来ますように。
 こうして戦いは静かに終わり――地平線からは、朝日が顔を出そうとしている。
 大好きなお日様が世界を包みだしたのを見遣り、いばらもまた穏やかな笑みを浮かべていた。


 戦いが終われば、猟兵達はそれぞれの帰路につく。
 ハロウィンのお祭りは一夜限り、これでおしまい。
 だけれど猟兵達の胸にも、拠点の人々の胸にも、今日の思い出は確かに刻まれていったはずだ。
 そしてその思い出の欠片を守り抜いたのは――間違いなく猟兵達だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月07日


挿絵イラスト