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TRICK OR TREAT//降伏か死か

#クロムキャバリア #お祭り2021 #ハロウィン #ハロウィン・ドールズ

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#ハロウィン
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#ハロウィン・ドールズ


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●港町で賑わうハロウィンの影にて
 戦火の火種が絶えず闘争に満ち溢れた世界、クロムキャバリア。
 無数に点在する小国家のひとつである、海洋交易企業国家トリアイナ。戦火とは縁がなさそうな穏やかな港町であっても、海運によってもたらさられる海を隔てた国々で勃発し続けている戦火の話題は事尽きないものである。
 例え今は平和のひと時であったとしても薄氷のような平穏が破れてしまうのかを、国民である社員たちは心の内で密かに怖れていた。当然ながら、鬱積していけばいずれ何かの拍子にて爆発してしまうものである。そのため、きょうびはハロウィンと言うことで祝日となっており、人々は思い思いの仮装で日頃抱いている不安を払拭するかのように老若男女問わずにお祭りムードとなっていた。
 そして心地いい潮風が流れ込むトリアイナ港の一角では今、主なる交易国の商人や要人を招いてのハロウィンパーティーが催されている。各国特産の料理がおどろおどろしいハロイン料理として振る舞われ、異国情緒あふれる華やかな仮装姿のマスカレードによる社交場では、ひと時の平和の宴が繰り広げられていた。

「で、俺たちはその警備員ってわけか」
 仮初の静謐なる美酒に酔い痴れる人々の姿を、彼らと同じくハロウィンの仮装をしたキュクロプス隊の隊員であるルフスはため息に混じりに見やった。ドラキュラ姿の彼の隣でには、普段の仏頂面が妙に似合っているフランケンな仮装をしたウィリディス、狼男ならぬ狼女姿のカエルラも控えている。トリアイナの隣国であり同盟を結んでいる傭兵国家ヘキサより派遣され、トリアイナ籍の海兵隊として雇われた彼らは会場の警備を任されており、ウェイター若しくはウェイトレスとして他の隊員らも会場内に紛れている。

「そういや、隊長の姿を見かけないね」
「隊長は尉官待遇であるので、下士官待遇の俺らは無縁な将校クラブの警備担当さ。その代わりとして、この女が臨時の隊長だ」
 彼ら三人を纏めるアルブムの姿は何処にも居ないのに訝しむカエルラに対し、ウィリディスは顎である場所を指し示してみせる。その先には、紅いチャイナドレス姿の妖艶なる美女が某国より招かれた要人のひとりと歓談していた。彼女はウィリディスの視線に気づくと軽く会釈をして会話を終えると、中華扇子を広げて口元を隠すと手にしていた指輪型無線機で三人組が耳に取り付けているインカムへと通信を送った。

「何か異常があったのかい?」
「いえ、そちらで話された方は誰であるかの確認です」
「はっ、ただの成金上がりな色ボケ爺さ。この後予定は開いてるかってしつこく聞いてくるもんだったから、むしろ丁度いいタイミングだったよ」
 この女の名はアクィラ。先日の洋上プラントで発生した異常事態に対するミッションを達成し生還した彼女は、晴れてヘキサ傭兵部隊の一員として迎えられた。本来であれば彼女が指揮官を務める隊は他の任地へと派遣されるのであるが、まだ時間的に猶予があるということでキュクロプス隊同様に会場の警備に駆り出されている。表向きはヘキサより招かれた客人として振る舞っているが、その実はかつて身を置いていた裏社会に通じているのを買われての密偵として不穏分子が紛れていないかの監視役だ。彼女の部下もこの会場やバックヤードなどで監視の目を光らせている。

「おっと、ごめんよ」
「いえ、こちらこそ失礼を」
 指輪型無線機で会話をしながら歩いていたアクィラは、頭をすっぽりと覆うカボチャの被り物をした来客と肩をぶつけてしまった。お互いに会釈をしあって謝りあう中、アクィラはどこか聞き覚えのある声だったことに気づき、中華扇子で口元を隠しながら振り返った。先程のカボチャ頭の仮装は他の参加者もしているだけあって、どれが先程肩をぶつけた相手かは皆目検討にもつかなくなっている。

(これは、やぶ蛇だったかい?)
 徐々に記憶に蘇りつつあるとある男の顔を思い浮かべながら、彼女は再び指輪型無線機で連絡を送るのであった。


●グリモアベースにて
「今年もハロウィンの時期となってきましたが、戦乱が絶えないクロムキャバリアにおいて、それに因んだとある騒動が起きるのを予知致しました」
 集まった猟兵たちを前に、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)はいつも通りに深々と会釈をしたが、今回はどうも様子が違っている。それは普段彼が身につけている純白の甲冑姿ではなく、その対比である黒いマントとタキシード姿であって顔の半分を仮面で隠している、謂わばオペラ座の怪人めいたハロイン用の仮装をしているのだから尚更である。

「驚きでしょうが、これには深いわけがございます。『ハロウィン・ドールズ』と呼ばれるカボチャの仮面やマスクを被った謎のテロリスト集団が、オブリビオンマシンを駆って各国で同時多発テロを起こそうとしているのです」
 謎のベールに包まれたハロウィン・ドールズであるが、その主要メンバーはオブリビオンマシンに魅入られたキャバリア乗りであることは辛うじて判明している。だが、彼らのネットワークは多岐にわたり、日頃の活動も地下に潜伏していることが問題に拍車をかけていた。

「本来であればオブリビオンマシンを破壊し、悪魔のマシンに魅入られたパイロットを救出すれば事が収まるのですが、今回ばかしは勝手が少々異なってくるのです」
 何せ『カボチャ』で素顔を隠しているのだ。これが友好国の重要人物だと白日の元に晒されれば、良くて外交問題、悪ければ国家間の戦争に発展するのは火を見るより明らかである。

「そのため、介入する我々もキャバリアも仮装や偽装をし、所属不明の誰かと身分を偽って素性を隠さねばなりません。今回私がハロウィン・ドールズによるテロが発生すると予知しましたトリアイナは、ちょうどタイミング良く一足早いハロウィンが催されているようです。惨劇の舞台となる各国の要人らが招かれた会場では、度々お世話になりましたキュクロプス隊のメンバーが警備活動をおこなっております。事情を説明すれば潜入は簡単にできることでしょう」
 問題は彼らがキャバリアを展開した場合の措置であるが、その点についてはシグルドに妙案があるらしい。機体は会場近辺に隠し、まずは会場内に潜伏しているテロリストの確保に専念して欲しいとのことであった。

「それでは、これよりトリアイナの港へと皆様を送り出します。一足早いハロウィンの祭典ですが、くれぐれも羽目を外しすぎないようお気をつけください」
 シグルドは静かに念じてグリモアの光で猟兵らを包み込むと、トリアイナの港町へ彼らを送り出したのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 かぼちゃマスクのテロリストと聞くと、神経を苛立たせながら反省を促すダンスを踊るアレがすぐさま思い浮かぶところです。
 一風変わったクロムキャバリアシナリオとなりますが、戦乱の狭間の僅かな平穏と押し寄せる波乱をお楽しみ頂ければといったところであります。

●戦場の情報
 第一章目は日常フレームとなります。
 トリアイナ港で催されている各国の要人を招いたハロウィンパーティーに紛れ込んだ、カボチャ頭のテロリスト集団『ハロウィン・ドールズ』の企みを暴く内容となります。
 また、トリアイナ海軍の海兵隊に所属するキュクロプス隊とアクィラ隊のメンバーがウェイターやウェイトレス、招かれた要人に扮して会場の警備を行っています。彼らの協力を仰ぐことも可能ですので、特にプレイングボーナスが発生するわけでもありませんが、お声が掛かれば共にハロウィン・ドールズを追い詰めていくでしょう。

 第二章目は『集団戦』フレームとなります。
 猟兵らの活躍により、追い詰められたハロウィン・ドールズがキャバリア戦を仕掛けてきます。オブリビオンマシンと言えども勝利自体は難しくありませんが、諸々の都合でこちらの正体を隠しながら戦闘を行わなければなりません。
 正体がばれないように仮装の力も借り、『普段の自分なら絶対にしないような言動や戦法』で敵を倒していければプレイングボーナスが発生しますので、余裕があれば狙ってみてください。

 二章につきましては、状況が進展した際に逐次情報の開示を行いますので、こちらもご了承ください。


 それでは、ハロウィンの熱狂にも負けない皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『戦勝パーティに潜む悪』

POW   :    ダンスや音楽を楽しみながら情報収集

SPD   :    参加者と談笑で交流を深めながら情報収集

WIZ   :    宴会芸を披露しながら情報収集

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイン・トゥーガン
アドリブ歓迎

はん、この年齢の半分ぐらいのガキに見える姿も偶には使い道があるさね
ハロウィンの魔女の仮装でもして潜り込んどくよ
あ?今の声は……っと、帽子を目深に被って顔隠してやり過ごすよ
ったく、あんなカボチャを被ってなにやってんだか
さて、あの声はアイツだろ?なら、おそらくこの辺に細工していったはずだが

警備してる海兵隊に接触して情報を流すよ
アタシの古巣、ズィガ帝国特務隊だった戦犯が紛れ込んでるってね
まぁ戦犯指定された連中はアタシ含めて半数は逃走したが、殆どは死んだか取っ捕まったと聞いてたんだがねぇ
元海兵隊のアタシらとは違って、あっちは工作員出身だったし共同することは少なかったが、それだけに面倒だねぇ



 おどろおどろしくも何処かコミカルさが漂うハロウィンらしい音楽が流れる祝賀会場。普段は港湾施設として、海の交易路を通して各国を行き交うコンテナ船から降ろされた積み荷は今日の祝いの席の為に撤去されており、物理的にも警備上でも風通しの良い空間となっていた。
 各国からのお得意様や要人を招いてのパーティーとなると当然ながらこの機を狙う不埒な輩に供えて警備を盤石にしてはいるものの、テロリストというものは僅かな綻びさえあれば危険な綱渡りをするものである。特に今回は祝宴の参加者らは『仮装』していれば尚更である。防犯上で会場内ではコンテナの類は撤去されているとは言え、それは港内の一部に過ぎない。考えようによっては招かれた客と招かざる客が入れ替わるタイミングはいくらでもあり、なおかつ暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』による災禍で広域通信網が失われて久しいクロムキャバリアにおいては、例え国交を結んでいても要人の顔や声の記憶は親しい人物でしか分からないのもそう珍しいことではない。
 とは言え、壁に耳あり、蛇の道は蛇。いくらに素性を偽ろうとも『こちらの世界』に通じている者がこちらにも居れば、これほど頼れるものはない。

「それで、何か分かりましたか?」
「今の所、口を割ったのは『ハロウィン・ドールズ』って名の組織だけさ」
 華やかなパーティー会場と空コンテナを利用したバックヤードを隔てる目隠し用の陣幕で、彼女の命を受けてそれらしき男を探しだしたウィリディスと素性を知る者として本人確認を終えて後の尋問諸々は手下に任せたアクィラの姿があった。答えは黒。カボチャマスクを剥ぎ取ると各国で指名手配されているテロリストの男と判明した後の取り調べは、防音処理が施された特殊なコンテナ内で今も行われている。時折苦痛にあえぐ叫び声がかすかに聞こえてくるが、会場内に流れるBGMがそれらをかき消し、また聞こえたとしてもハロウィンの演出として人々は気にも留めないであろう。

「で、ふたりは手筈通りにやってるかい?」
「はい。ルフスとカエルラ、両名は待機しています」
「そうかい、そうかい。なら結構。隠し持っていたチャカに小型爆薬、連中はこれだけで済ませるとは限らないからねぇ?」
 ウィリディスの報告を受けたアクィラは掌の上へ折り畳んだ中華扇子をパシパシと打ち付けながら、これから起きるであろう事態を思案していた。


「Trick or Treat! お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうよ?」
「これはこれは、可愛らしい魔女だこと。これはすぐ降伏して、お菓子をあげないと悪い魔法をかけられそうだ」
 一方その頃、パーティー会場内ではカボチャ色のワンピースと黒いマントと帽子というハロウィンの魔女に扮した銀髪ツインテールでどこか幼さを漂わせている十代半ばと思わしき少女が、恰幅のいい政府要人と思わしき男とハロウィンの社交辞令を交わしている。

「ありがとう、おじさま! ハッピーハロウィン♪」
 手渡された菓子を肩に掛けたカボチャを象ったお菓子入れへと入れると、丁寧にお辞儀をして御礼の言葉を述べた少女は足早に離れていく。その姿はハロウィンでは日常的なもので、招かれた賓客らの子女もTrick or Treatと会場内を賑わせていた。

(──はん、この年齢の半分ぐらいのガキに見える姿も偶には使い道があるさね)
 先程菓子を頂戴した少女、ルイン・トゥーガン(B級戦犯指定逃亡者・f29918)は偽りの笑顔という仮面の下でほくそ笑んでいた。実年齢は見た目の倍である三十代であるが、それも彼女が遺伝子操作されてそのように設計されたアンサーヒューマンにおいてならない。
 国によっては多少の僅差はあれど、標準規格では5メートルサイズと定義付けられているキャバリアだが、如何に設計を改めて効率化を図ろうとも乗る人間のスペースだけは狭めること自体が困難を要する永遠の課題である。単純にコクピットを狭めてもそれは乗り手の負担として影響を及ぼすこととなり、継戦力という面では意外と馬鹿にならない。その答えとして導き出されたのが、小柄なパイロットを起用することであった。
 とは言え、選別しようにも小柄な民族と体格の良い民族では前者が圧倒的に有利となるもので、基本的に消耗品であるパイロットの安定供給という面ではなお課題が残っていた。そこで打ち出されたのが、人為的に遺伝子操作したアンサーヒューマンをネオテニー化。即ち生物において性的に完全に成熟した個体でありながら、非生殖器官に未成熟な幼生や幼体の性質が残ること現象である幼形成熟を施して問題解決を図ろうとする、神をも恐れぬ生命倫理に反する行いである。
 また、彼女はかつて所属していたズィガ帝国内の特務隊において、その特異な身体を利用した任務も数多く熟してきた来歴がある。その際には自らの呪われた出自を恨んだりしたことがあったろうが、戦犯として追われる身となった今では逆にこの身体のお陰で助かった局面が多々あったのも事実だ。

 ──偶には遠い昔を忘れ、童心に帰ってハメを外してもいいかもしれないねぇ?
 猟兵として現地に赴いたルインに、グリモア猟兵を通じて事情を知らされた一部のトリアイナ関係者から存在していない架空国家の令嬢という偽造パスが与えられている。それを彼女は特務隊時代のように熟していたが、与えられた役を演じている内に次第にであるが人々の反応を楽しんでいると本当にそうであるという錯覚を覚えてしまう。
 仮に、もしもの話であるが、自分がアンサーヒューマンとして生を受けず、真っ当な人間として産まれていれば、運命を仕組まれたも同然に入隊していた特務隊には所属せず、かつて存在していた帝国において周りの子供たちと同じく純粋にハロウィンを楽しんでいたのではなかろうか。そんな屈折した気分を紛らわせようと貰った飴玉を頬張ろうとしたその時、聞き覚えのある声が彼女の耳に入ったのだった。

「……する。計画は……ぶか?」
「安心し……。まだ、修正は……だ」
 思わずつばが広めの魔女帽子を目深にかぶり直し、顔を隠しながら視線を声がした方に送ればハロウィンの仮装としてカボチャのマスクを被った二人組の男が小声で何かを話し合っている。

(ったく、あんなカボチャを被ってなにやってんだか……)
 反射的に顔を隠してしまったがそれもその筈で、彼らはルインが所属していた特務隊の隊員、つまり彼女と同じく戦犯として追われているかつての同僚の声に他ならない。工作員であった彼らであるが元は海兵隊であった彼女とは部署は異なれど、とても世間には口に出せない任務にあたったことで同じく戦犯となれば、親しい間柄でなくとも否応にも記憶に残ってしまうものである。暫くすると二人組はその場から離れていき、ルインは背丈や特徴的な装飾などを頭に叩き込みながら人混みの中でやり過ごすと、彼らが居たテーブルクロスが掛けられたテーブルへと近づいたのだった。

「さて、あの声はアイツだろ? なら、おそらくこの辺に細工していったはずだが……ビンゴ」
 周囲を確認しながらテーブルクロスをめくれば、そこには怪しげなトランクが置かれてある。施錠されていないロックを解除して開ければ、そこには無線起爆式の信管がケーキに差されたキャンドルさながらに差されたホールケーキ状にテーピングが施された爆薬が詰められている。幸いにもズィガ帝国特務隊が好んで使用していたものであって、少女と偽って似たような任務をやらされていた彼女も取り扱った経験があるもので、解除の手順は思い出す手間もなく身体に染み付いている。起爆装置を停止させて再びトランクをその場に戻した彼女は、近くを警護しているキュクロプス隊と思わしき仮装したウェイターに仔細を伝えた。ズィガ帝国特務隊だった戦犯が紛れ込んでる、と。

(まぁ戦犯指定された連中はアタシ含めて半数は逃走したが、殆どは死んだか取っ捕まったと聞いてたんだがねぇ)
 その通報を受けて慌ただしくインカムで伝えるのも無理はない。それだけ元ズィガ帝国特務隊の戦犯の悪名は知られているというものでもある。知らせを受けた警備を担う隊員の動きが慌ただしくなり、捕まるのも時間の問題だろう。思わぬ巻き添えを食らう前にルインはその場からひっそりと離れ、頬張り損ねていた飴玉の口の中で転がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル(サポート)
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」

「では、吉報をお待ちください」

竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません

戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操ります。それ以外の属性は使いません

侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
スシが大好きです

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


仇死原・アンナ(サポート)
普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します

鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物どれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

ぼんやりしつつ日常を楽しみます。一人で楽しむ事も苦じゃないみたいです
ダークセイヴァー出身なので複雑な機械の操作はかなり苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ(本職に比べたら劣る)
流行には疎いけどまぁそんなモノもあるんだと認識する感じです



「これは……ここに置けば良いのか?」
「はい。それはそこへお願いします」
 黒装束のペストマスク姿に扮した仇死原・アンナ(炎獄の執行人あるいは焔の魔女・f09978)が、よっこいしょと重々しい氷の彫刻を軽々と持ち上げた。その直ぐ側にはハロウィンの怪物をモチーフとした氷彫刻が所狭しに並べられ、快晴そのものである秋晴れの空の下で差し込む陽の光できらきらと乱反射していた。
 これらの氷彫刻を手掛けたのは、鎌首をもたげる無数の蛇の被り物でメデューサに扮しているチル・スケイル(氷鱗・f27327)によるものである。当然ながら季節は10月の末と冬の気配が近づく晩秋であるが、風に冷たさを感じるものの太陽がもたらす暖かさは氷を融かしてしまうのには十分なものだ。チルが作り出す氷彫刻が一向に融ける気配を見せないのは、彼女が得意とする氷の魔法によるものに他ならない。

「ふぅ、これで一段落か。それにしても……ギャラリーが増えてきたな」
 アンナが辺りを見回すと、ハロウィンモンスターを題材とした氷の芸術品に興味を抱いたギャラリーが次第に増え始めてきている。中でも人々の関心を集めているのは目と口が刻まれた巨大カボチャであるジャック・オー・ランタンの氷像で、氷の中でメラメラと蒼白い炎が煌めいているのだから無理もない。この炎はブレイズキャリバーであるアンナのもので、彼女の身体から噴き出させた物質化した地獄の炎は魔法で生み出された氷を融かすか融かさないかのギリギリなラインを維持させている。そんな氷の魔法を自在に操る氷竜と炎獄の執行人のコラボレーションとも言える不思議な氷彫刻が人気を博するのも無理はないものである。
 とは言え、彼女たちはハロウィンの催しとしてこれらを作った訳でもなく、このように人を集めることを目的として作ったのだ。仲間の猟兵によって新たにふたりのハロウィン・ドールズ構成員が警備を担当しているキュクロプス隊の隊員にバックヤードへと連行されたが、そこでとある共通点が発見された。ひとつはカボチャの被り物によって素顔を隠していること。ふたつめは同じ三日月と星を重ね合わせたようなピンバッチをしているということである。彼らはカボチャのマスクで素顔を隠しているが、他の客らも同様な仮装をしているので味方であるかどうかは分別がつきにくい。であれば、同胞であるという別の目印を用いるというもので、このピンバッチがその役割を担っているという現時点での憶測だ。

「もぐもぐ……もしかして、あの方でしょうか?」
 ひと仕事を終えて会場内で提供されている寿司が盛られた皿を手にしながら口に運んでいるチルが、カボチャマスクとピンバッチというふたつの共通点を持つ人物に視線を送る。それにつられてアンナも見やると、確かにハロウィン・ドールズのメンバーと思しき人物が人だかりに紛れている。だが、こうも人が多いとおいそれと連行もできず、事を荒らげれば他に潜伏しているテロリストに感づかれてしまう恐れがある。また。ピンバッチをしているからと彼がハロウィン・ドールズであるという確かな確証はまだ得られていないのも事実だ。なので、とある罠を彼女たちは仕掛けたのだ。

「……予想通り、あの置物に近づいたな」
 アンナの視線の先には、チルが作り出した派手な氷彫刻とは対象的に小さな氷の門が離れるように置かれてある。そして、そこには捕縛されたハロウィン・ドールズのメンバーが身につけていたピンバッチが突き刺されていた。彼は周囲の気にしながらそれに手を伸ばすと……パッと消えたのだった。

「もぐもぐ、ハロウィン・ドールズホイホイ作戦は成功ですね」
 仕掛けは簡単だ。あの小さな氷の門はチルのUCによるもので、それに触れれば氷の洞窟空間に吸い込まれてしまうというものだ。だが、それを行うためには氷細工に手を触れなければならなく、既に掴まっているテロリストから拝借したピンバッチを餌として仕掛けたのだ。念には念を押して『作品にはお手を触れないようお願いします』と掌とバツ印が描かれた注意書きがあれば、普通の人間なら触れば融けてしまう展示物に手を出さないものである。だが、それがテロリストで、尚且仲間たちが身に付けていた筈の物が添えられればどうであろうか?
 答えは先程示したとおりで、間抜けなテロリストはまんまとブービートラップに引っかかってしまったという結果である。因みに氷の洞窟には出口があり、そこはバックヤードにある鍵が掛けられた空きコンテナの中だ。凍えてしまいそうな氷の洞窟か、それとも暗闇が支配する息苦しい鉄の箱か。そのどちらかで、暫く頭を冷やせという次第である。

「こうも簡単に行くとはな……。ところで、スシ……という物だったな。美味しそうに食べているな?」
「はい、私の大好物ですので。おひとつどうですか?」
 どうぞとチルは寿司が盛られた皿をアンナへと差し出した。では、とアンナは素顔を隠しているペストマスクを外すと白蝋のように極端に白い肌を晒しだす。だが、周囲の人々はその姿も仮装なのだろうと気にも留めていない。酢飯に柿酢を用いたのか、ハロウィンらしく黄色みを帯びたシャリの上に宝石のように紅い切り身が乗った寿司を掴み上げる。アンナはそんな食の芸術品とも言える寿司を一通り目で楽しむと口へと運び、仄かにまろやかな甘みと芳醇な香りが薫る柿酢飯と冬に備えて脂が乗った魚の旨みを噛み締めながら秋の恵みを享受するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ジェネム2』

POW   :    全機一斉射撃
【部隊全機でビームライフル】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    突撃援護
【同型機による支援攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ビームサーベルでの攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    別動隊合流
【同型機で編成された別動隊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『……時間だ』
『会場制圧班、人質確保の連絡は?』
『ない。だが、この程度の狂いは僅差の内だ……いくぞ』
『戦乱に満ちた世に平穏を、革命による死と再生を。Trick or Treat』
『『『Trick or Treat』』』

 パーティー会場より少し離れた倉庫にて爆発音がした。ハロウィンの奇祭を楽しんでいた人々らの視線がそちらに向かうと、もうもうと立ち昇る煙の中から白と赤のツートンカラー。頭部にはゴーグル部分を大きく口に見立てさせ、カボチャを被っているかのようにペイントされたジェニムⅡが次々と姿を現した。手にした盾に描かれているのは、パーティー会場内で発見して拘束したハロウィン・ドールズメンバーが身につけていたピンバッチと同じ紋様である。となれば、あれがハロウィン・ドールズがキャバリア兵器によるテロを行うための物であるだろう。
 突如として現れたキャバリアを目前として、会場内では悲鳴や叫びなどが上がり始めようとしたとき、何時しか会場近辺に停められていたトレーラーのコンテナが開くと、そこから新たなキャバリアが姿を見せた。

「皆さん、お静かに! これはサプライズ・イベントです!」
 会場を取り仕切る道化師姿の司会進行役がメガホンを片手に説明を始め、混乱を鎮めようとした。もちろん、そんな物は当初に組み込まれていない。最初のハロウィン・ドールズ構成員を捕まえて尋問した後に急遽用意した、最悪な事態を避けるために一部のトリアイナ関係者と会場を警備するキュクロプス隊、そして猟兵が仕込んだ先手の一手である。

「ヒュウ♪ 奴さん、ぞろぞろとおいでなさったみたいだぜ」
 会場警備班と別行動をし、カウンター部隊としてこちらの回ったルフスが仮装した格好のままコクピット内で口笛を吹いてみせる。

「そうさね。どれ、いっちょ揉んでみるかい!」
 カエルラも同様に仮装をしたままであった。それもそうで、何せ急遽のことなのでパイロットスーツに着替える暇もなかったのだから仕方ない。彼らが乗っているのは、トリアイナ内でキャバリア同士を戦わせる闘技場、俗にバトリングと呼ばれる競技用にカスタムされたピースメーカーである。今日はハロウィン・マッチということで、これも胴体をカボチャに見立てさせたペイントが施されており、これらはパーティーの余興であるということに真実味を帯びさせるのには十分な働きをしていた。

「これは、サプライズとして企画しておりましたバトリングです! どうぞ、スリルに満ち溢れた臨場感ある闘いを心ゆくままお楽しみください!!」
 事情を知らぬ来客らの混乱は次第に落ち着いていき、悲鳴は何時しか歓声へと変わりつつある。後はテロリストのキャバリア部隊を鎮圧すれば良いだけだ。急遽として開催されたバトリングの野外ハロウィン・マッチにゴングが鳴らされた。


====================

●第二章補足
 二章目は集団戦で、ハロウィン・ドールズが駆るジェニムⅡとの戦闘となります。
 この章では、会場警備を担うキュクロプス隊が駆るピースメーカー・バトリングカスタムがNPCとして参戦しております。戦闘力は猟兵とは劣りますが、余程無茶なものでない限りプレイング内での指示に従ってくれますのでご活用ください。
 また、レンタルキャバリアとして、ピースメーカー・バトリングカスタムの利用は可能です。武装はマニピュレーターを保護するRX-Aブラストナックルのみとなりますが、競技用に装甲が増加されており重量が増した分、打撃力が向上しております。
 相手は当然のごとく射撃武器を使用しますが、うまく懐に入り込んでインファイトに持ち込めばこちらが有利となりますので、宜しければご検討下さい。
雫石・凛香(サポート)
アドリブ・MSの解釈による下記に沿わない動きも歓迎
貴方の書く雫石凛香が見たいです

オブリビオンへの恐怖で眠れなくなった姉のため戦う妹キャラ
性格はクール枠。冷静に物事を見て、必要そうな行動をとれます
敵への態度は苛烈。相手にどんな事情があろうと容赦はなし

魔剣【鞘】という凛香の意思に従い姿を変える剣を持っており、形状変化による攻め手の多さとスピードと手数で勝負するタイプ。逆に相手の攻撃を剣で受けるような行為は(子供なので)パワー不足、ほぼできないです

UCは基本的に妖剣解放のみ
高い機動力で相手をかく乱し、衝撃波でまとめて敵を薙いでいくのが主な動き方

動きを封じることで先の展開が有利になれば剣戟結界も使用


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



『なっ……バトリングだと!? ふざけるな! 平和的な交易と称し、世界に武器兵器をバラ撒く死の商人どもがッ!!』
 ハロウィン・ドールズの構成員が怒り満ちた声を、ジェネムⅡのコクピット内で張り上げるのも無理はない。彼らは闘争に満ちて戦乱が絶えない世界に平穏をもたらす崇高な理念の元、生まれや国境の垣根なしにこうしてカボチャマスクで素顔を隠しながら集った者たちである。果たしてそれは、闘争に満ちた世界に産まれた正義の鉄槌という名の狂気なのか、もしくはオブリビオンマシンが魅せた野望なのかは定かではないが、それをバトリングとして貶められたのが腹に据えかねかったのだ。
 彼らがトリアイナ、そしてその利に与る者たちを死の商人と憎しみ、罵り蔑むのは反論の余地がないが、極論として言えばそれは逆恨みにおいて他ならない。坊主が憎けりゃ袈裟まで憎いともいうが、ハロウィン・ドールズの怒りの矛先は迫り来るピースメーカー・バトリングカスタムへとビームライフルの銃口とともに向けられた。
 彼らを破壊しない限りこれは祭りの余興でしかない。これらを振り切り人の生き血で栄える商人の街を灰燼に帰しようとも、悪知恵が働く商人らによってせいぜいバトリング中に起きたオブリビオンマシンによる事故として報じられるだろう。怒りに震えながら力を込めてターゲッティングボタンを押し込むが、すぐさまキュクロプス隊が駆るピースメーカー・バトリングカスタムのコクピット内でロックオンされた事を知らせるアラームがけたたましく鳴り響いた。

「へへっ、まんまと挑発に乗りやがったようだな」
 ピースメーカー・バトリングカスタムは格闘武器による白兵戦をする為に装甲が増されてはいるが、その分反応性が高められて機体の追従性が相対的に向上されている。故に光の速度で放たれるビームライフルであったとしても、ロックオンシグナルを感知して即座に回避行動に移れば、理論上は直撃を回避できることは可能である。特に矢面に立たされて常に最前線で死線を潜り抜けてきたキュクロプス隊にとっては造作ないことで、ルフスが最小限の動きでビームライフルの射線から機体を捩らせた。光の軌跡はピースメーカーの装甲をかすめ、熱によって塗料が揮発して嫌な臭いをさせるが損傷はなきに等しい。勢いを緩めずにカボチャのペイントが施されたジェネムⅡの頭部へと、青白い電流を迸らせるRX-Aブラストナックルが叩き込められる。交戦地より離れたパーティー会場では、そんな曲芸まがいな操縦技術に人々は喝采の声を張り上げさせた。

「これでどっからどう見ても、バトリングだな。んじゃま、俺たちが大立ち回りを演じて客らの視線を集めておくから頼んだぜ、猟兵さんよ」
 キュクロプス隊の目的はふたつあり、ひとつはハロウィン・ドールズの凶行をバトリングと仕立てること。もうひとつは、猟兵への支援である。距離が離れているのもあるが、人々の視線は今や5メートルにも及ぶキャバリアに集まっている。となれば、その足元に居る仮装した猟兵に気づくものなどそうそう居ない。居たとしても、それは何かの演出だろうと人々は信じ込むであろう。

「ありがとうございます。皆様も、どうかお気をつけて」
 紅い瞳で傍に居たピースメーカーを見上げ、雫石・凛香(鞘の少女・f02364)は協力者である彼らの無事を願いながら軽くお辞儀をした。彼女は吸血鬼、即ちヴァンパイアの仮装をしているが、ヴァンパイアの気紛れでこの世に生を受けたダンピールとしてヴァンパイアを深く憎んでいる。だが、凛香が手にしている『鞘』と呼ばれている魔剣も、そのヴァンパイアが所有していたものであり、またその使い手として選ばれたことで彼女、そして双子の姉は死の運命から逃れたのも事実である。そんな複雑な葛藤の心中を表してなのか、凛香は自らの手で滅ぼすと誓った吸血鬼となった。血統覚醒によって彼女の身体に流れるヴァンパイアの血が覚醒し、今や半人半吸血鬼のダンピールとしてではなく、ひとりのヴァンパイアとして鞘の刃を展開させた。

「あいつら、ここの人たちを吸血鬼のように言ってるけど……それを力でねじ伏せてどうにかしようって発想こそが吸血鬼なのよ」
 瞳は血のように赫き、鞘もそれに呼応してか紅く輝く魔力による刃を迸らせる。目の前に対峙するキャバリアを前にしていたジェネムⅡのコクピットで、対人反応を知らせる警告音が鳴り響いた。ハロウィン・ドールズのパイロットがサブモニターに目を送ると、そこには跳んで迫りつつある凛香の姿があった。何が起きたのか狼狽えるハロウィン・ドールズのテロリストに対し、彼女は迷いのひとつも見せずに紅い刃を振るう。ビームライフルを手にしていた腕が切り落とされ、遠くから見ればキャバリアが赤く輝くビームサーベルを抜いて切り落としたかのように見えるであろう。

『このっ、バケモノがッ!!』
 他のジェネムⅡが人でありながらキャバリアの腕を切り落としてみせた凛香へと、ビームライフルの銃口を向けさせたが、突如モニターに桜の花びらによって埋め尽くされてしまう。

「ここもあそこも、大層賑やかな場所ですね」
 パーティ会場をみやりながら、姫神・咲夜(静桜・f24808)は、ぽつりと呟いた。いつも着ている桃色の着物ではなく、いわゆるハイカラとであろう山吹色の着物姿としてハロウィンめいた姿であり、異国情緒溢れるその姿は普段の彼女とはまた別の美しさを醸し出している。

「桜の花々よ、その華麗なる舞により敵を切り刻みなさい。そして、人々を魅せなさい」
 咲夜のUC『清浄なる桜吹雪』。普段であれば仄かにピンクがかった桜の花びらであるが、今日日はハロウィンであって黄桜の花びらである。キュクロプス隊のキャバリアでは隠しきれない生身で戦う猟兵の支援として、突然前触れもなく舞い起こった黄色い桜吹雪という演出だったが、会場に居る観客らはこれも何かの演出であろうと疑う様子を見せていない。
 そしてだが、この花弁はただの花びらではない。美しい花には棘がある。その言葉を体現するかのように、咲夜のUCで作り出された桜の花びらは刃の様に鋭く研ぎ澄まされており、それらがジェニムⅡのメインカメラを保護しているバイザーに無数の傷を刻み、また細かい関節部では配線などが切断され、それに伴いジェネムⅡの動きが衰えて来たところに再びピースメーカーの鉄拳が叩き込まれた。

『くそ、このっ! このっ!』
 視界が遮られる中、慌てふためくジェネムⅡがビームライフルを乱射する。だが、桜吹雪により照準は定め切られていない。その中から凛香が再び姿を見せ、ビームライフルの銃身を切り落とす。そして、入れ替わるようにピースメーカーのRX-Aブラストナックルが武器を喪ったジェネムⅡの装甲を砕いて、高圧電流を直に流し込む。あらゆる機器にショートしたジェネムⅡのバイザーから光が消え、バランスを失い膝から崩れ落ちると激しい音とともに倒れるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

次谷・定吉(サポート)
上州弁で喋ります。やりにくければ標準語の荒っぽい男性口調でも大丈夫です。

セリフの例
「はァ(もう)終わりか、大したことねえな!」
「ありゃなから強かんべぇ、よいじゃねぇな(あれはかなり強いだろう、大変だ)」

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
メインの武器は匕首です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 鋼と鋼が互いに激しく衝突する音が鳴り響き、それに負けずと賓客らの歓声も高まる。地上ではキュクロプス隊と猟兵、ハロウィン・ドールズらがバトリングを繰り広げている一方、その地下でも激しい戦闘が行われていた。市街地から港までに続く巨大な地下放水路であり、内部はキャバリアでも活動できるほどの空間を有している。彼らは地上で行われている各国から招かれた要人らが参加しているハロウィンパーティー会場周辺の制圧や港湾施設の破壊といった目立つ陽動を隠れ蓑として、ここからトリアイナ市街地へと抜け出す別働隊である。
 だが、彼らの目論見は崩れ、既にキュクロプス隊が駆るピースメーカーと猟兵らに立ちはだかれる結末となった。

「おったまげたンべぇ。かわりばんてんこ、たたんじまうぞッ!」
 そう訛りが強めな上州弁を叫びながら、次谷・定吉(きたないアリス・f22280)は着崩した着流し姿のままでピースメーカー・バトリングカスタムを疾走らせた。彼がキャバリアに乗るのは初めてであったが、これも未熟なパイロットをサポートするアシスト機能によって半ばオート操作で操作に応じて様々なモーションが繰り広げられる。始めは『いきなしいちかれっても、そんなん聞いてねえど!?』と戸惑いの色があったが、水の高さは場所によって胸にまで達するとの説明を受けて渋々と乗ることと相成った。とは言え、いざ乗ってみればキャバリアの操縦もそうそう難しくはない。一の実戦は百の訓練に勝るとも云うが、偏に定吉が持つ順応性の高さによるものであろう。
 そしてだが、数ではこちらよりもハロウィン・ドールズのジェネムⅡの方が圧倒的に有利であり、ほぼ一方通行の地下放水路では身を隠す場所はない。そこで、定吉は自らのUC『青き永久の幻』により、コンクリートに囲まれた息苦しい空間を迷宮の地下牢獄として作り変えた。複雑に入り組んだ迷宮はハロウィン・ドールズのジェネムⅡを分散させて、一対一の戦いへともつれ込ませ、曲がり角を利用した不意打ちなどを行う。そうすれば、彼のようにパイロットとしての経験がなくとも、地形を生かした戦い方で技量差を覆すことは容易なことだ。

「と見せかけての、つっと刺す!」
 定吉はRX-Aブラストナックルで殴ると見せかけ、それをシールドを構えて防御しようとしたジェネムⅡに対し、反対側の腕に装備している匕首状の高周波ナイフを突き入れる。機体を捻らせながら突き刺した高周波ナイフの刃先から激しく火花が飛び散り、装甲を突き破ると動力系統を配線をズタズタにしてジェネムⅡを無力化させた。

「はァ、もう終わりか。大したことねえな!」
 カメラゴーグルから光が消えたジェネムⅡが倒れ、足元に広がる水面に倒れ込むと水しぶきが舞い上がる。高周波ナイフを突き刺した跡からは、切り裂かれた動力パイプから吹き出したであろうオイルがじわじわと漏れ出してくる。あたかも本当の匕首で突き刺したような死体さながらなジェネムⅡの残骸を捨て置くと、暗闇が支配する地下牢獄の迷宮内にまだ残っている敵を探すかのように定吉はピースメーカーのモノアイを光らせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイン・トゥーガン
ジェネムⅡが出てくるのを見て、港の桟橋に用意しといたボートに乗り込むよ、まぁ用があるのはこのボートの下なんだがね
敵が海を背にして射撃でキュクロプス隊の接近を牽制・妨害してるところに、敵の一機が何者かに脚を掴まれて海に引きずり込まれる
いや何者もなにもアタシなんだがね、用意しといたスーパーウォッグで海からの奇襲だよ
キャラじゃないが卑怯な戦い方してる奴はデデーン、アウトー!ってことだよ
海に引きずり込めば、ビーム主体の陸戦機なんざどうとでも料理出来るさね
さぁどうする?敵のいない海を背にして接近を防いでたんだろうが、海にはおっかないのがいるよ?
んん?キュクロプス隊を半ば無視してアタシを狙う?
水流制御装置でウォッグ以上の隠密性のスーパーウォッグを陸上から狙うなんて、その機体の索敵能力じゃ無理だろうに
なに?このタイミングでコンテナ船が接近中だって?
あぁそういうことかい、キュクロプス隊には悪いがアタシは向こうの別動隊の上陸阻止に回らせてもらうよ
パーティーへの招待状が無い不審船への対処は荒っぽくなるよ


アンネリース・メスナー
アドリブ歓迎

あぁ、不愉快ですわ!
何時もの戦犯(ルイン)に加え、何時ぞやアマランサス・ラピートに乗っていた賊、そして他にも戦犯が!
わたくしのラピートは個人特定が容易と使用禁止なのも含めて、此処は不愉快なものが多すぎますわ!

待機していたコクピットでガザニアを起動させますわ
急遽用意した機体でガザニアは訓練校以来ですわね
チィ!仕方ないとはいえ、同じズィガ帝国製でも開戦時からの量産機ガザニアと戦争後期のエース用クロムキャバリアのアマランサスを比べると反応速度は違い過ぎますわ
元の新兵向けの調整では操作系の遊びも大きい上にモーションパターンも自動化され過ぎでしたから、そこは調整してモーションパターンもマニュアルにしましたが、それでもわたしくに付いて来れませんわね
まぁ、そこはわたくしの直感で反応が遅いならその分だけ先読みして対応しますわ
しかし、バトリングを演じろとは……ビームライフルは敵のライフルを破壊した後は投棄するしかないわね
ナイトソードとシールドでやってみせるわ
特に戦犯は、わたくしが裁いてみせるわ


エルマ・ハインツェル
アドリブOK

全身義体のパーツを換装しまくって最後に南瓜マスク被ればOK!
うん、敵の待機してた増援部隊の一人を気絶させて入れ替わったよ
ジェネムⅡは普段乗ってる機体だし、敵の機体でも問題なく乗れるよ
敵の機体が駄目なら、敵と同じペイントした自分のジェネムⅡだよ
まぁ敵のジェネムⅡはⅠの改修機で自分のはⅡでの新規生産機だから、自分の方が微妙に性能上なんだよね

ともあれ、敵の増援に紛れて出撃して、敵に味方と思わせて油断したところを背後からズドンといっちゃうよ
まぁそんなことしたら敵中に孤立するし、本来の味方側からしたら外見から区別付けにくいから連携も取りづらいだろうけど
そんな時は潜ませてたサブフライトシステム兼用無人戦闘機のキャバリア強化支援機Gフォーゲルを起動させてGフォーゲルと連携して戦って、更には合体してスーパージェネムになるよっ
サポートメカとの合体は観客受けいいよね?
Gフォーゲルにマウントしてたロングレールガンでの射撃や、接近戦ではビームサーベルとかウミヘビで電撃攻撃とかして無力化していくよ!



「あぁ、不愉快ですわ!」
 刻(とき)を遡ること少しほど前、アンネリース・メスナー(元エリート親衛隊・f32593)はコクピットの中で苛立ちを顕にしながらひとり憤っていた。
 敗戦を喫して国家解体された亡国ズィガ帝国第三皇女の娘でありながらも、武を司る将軍の実子として、高貴なる者の義務としてノブレス・オブリージュの精神のもとに親衛隊の首都防衛部隊に所属していた彼女であった……が、その後の転落劇は筆舌に尽くしがたい悲惨なものであった。自らの愛機とともに着の身着のままに脱出して以降、それまでの皇族としての人生からは想像もつかぬ酷く辛いものであり、追手を欺くために時には戦火で故郷を失った難民に扮し、今まで見たこともない平民以下の食事を摂らざるを得なかったことも幾度とあった。
 最初こそは自らの血筋とエリート意識により忌避していたが空腹に負けて口にするも、慣れない味に飲み込むこともままならず、何度も吐き出してしまったことか。そんな祖国と地位を失ったアンネリースを支えたのは、地図上からその名が消えてしまったズィガ帝国の誇りと輝かしい過去の記憶であった。それがあったからこそ、生まれながらにしてプライドの高かった彼女は自害という非情な現実からの逃避には走らず、泥をすすってでも生きようとする意思が生まれたのかもしれない。
 そしてハロウィン・ドールズの凶行を未然に防ぐためという方便で、アンネリースはズィガ帝国の華やかだった社交界を思い起こさせるトリアイナ主催のハロウィンパーティーを密かに楽しみにしていた。
 ──World Peace through Free Trade。自由貿易による世界の繁栄と平和の推進という思想で他国との海上交易により栄えるトリアイナのお得意様を招いたパーティーであるならば、占領統治政府やそれに連なる小国家の要人が招かれている可能性は拭えない。しかしながら、身分や名前を偽って仮装してしまえばどうということなどないのも事実だ。まさか相手方も亡命の姫君がパーティーに参加しているとは思いもよらないだろうという、サイキッカーならではの直感も働いてのことだった。

「何時もの戦犯(ルイン)に加え、何時ぞやアマランサス・ラピートに乗っていた賊、そして他にも戦犯が! わたくしのラピートは個人特定が容易と使用禁止なのも含めて、此処は不愉快なものが多すぎますわ!」
 だが、運命の歯車はアンネリースにひと時の安らぎを与えることはなかった。会場内で取り押さえられたハロウィン・ドールズ構成員の中に、ズィガ帝国の暗部を担ってきた特務隊の元隊員の姿があったのだ。
 占領統治政府はズィガ帝国を誅した大義名目のひとつに、この特務隊が今まで遂行してきた秘密作戦(ブラックオプス)の全容を内外に発信している。隊員らは総統や皇帝と同様に処刑され、運良く国外へと逃げおおせた者らは戦犯として多くの国々にその名と顔が知られ渡っている。当然ながら真っ当な再就職は望めず、ある者は野盗と成り下がり、ある者は裏社会の用心棒として特務隊の悪名は更に高まる一方だ。そうなるとアンネリースからすれば、自ずとして彼らの存在そのものがズィガ帝国の名を貶す咎人となろう。
 更にはその特務隊に在籍していたルインの気配、そして処刑されたと思われていたオブリビオンマシンのアマランサス・ラピートを駆っていた女海賊マリー・マシュヴァーがのうのうと生きていたことも彼女をより感情的にさせていた。と言っても、前者は何か文句のひとつでもぶつけてやろうと会場内を探し回ったが見つかることが叶わず、後者に至っては専用機であるが故に個人特定が容易な愛機が使えない鬱憤と闇市に流れた機体とは言え、ルイン同様にズィガ帝国の代名詞でもあったキャバリアを使用していることへの怒りそのものだ。

「ましてやバトリング!? あんなもの、パンと見世物の下賤な娯楽に過ぎませんわ!」
 ふたりの顔を思い出せば思い出すほどヒステリックな衝動に駆られ、コンソールを指でガチャガチャと音を鳴らしながら荒々しく叩いてしまう。最後に入力を完了するエンターキーをこれでもかと力いっぱいに叩き鳴らすと、アンネリースが今現在搭乗している量産型キャバリア『ガザニア』のモノアイに光が灯る。専用機のアマランサス・ラピートが使えないと判断して急遽調達してきた機体ではあるが、設計はズィガ帝国によるものであるので操作系統はラピートと同じ、かつ親衛隊訓練校時代では旧式化した本機は訓練機として回されて扱い慣れていた。
 しかし、直前にテロリストの襲撃をバトリングとして演出することが告げられ、今こうして白兵戦が主となる設定への調整を済ませたという次第である。

「……わかっていましたが、やはりモーションパターンをマニュアルにしましても、反応が鈍すぎてわたくしに付いて来れませんわね」
 射撃戦ならともかく白兵戦となれば反応速度が物を言う。普段乗り慣れた専用機の感覚で動かしてはいるが、通常であれば既に可動しているはずの関節部がワンテンポ遅れて反応してしまうという体たらくだ。久しぶりに乗ったガザニアの反応具合を確かめるべく一通りの可動を済ませたアンネリースだったが、深くため息をついて感情的になって頭に登った血を、これから始まる戦闘前に向けてクールダウンさせた。

「まぁ、いいですわ。反応が遅い分はわたくしの直感で前もって動かすことで対応致しましょう。それと、バトリングを演じるとなれば……ビームライフルは敵のライフルを破壊した後は投棄。その後はナイトソードとシールドでやってみせませんと」








『クソ! 別働隊の増援はまだか!?』
 戦闘は佳境を迎え、数では優勢を見せていたハロウィン・ドールズのジェネムⅡであったが、その数は着実に削がれつつあった。

「はっ! あたしらの契約内容は港の防衛も入っててね。お前らの考えてることなんざ、手に取るように分かるってェの!!」
 カエルラ機のブラストナックルが後退を余儀なくされるカボチャ頭のジェネムⅡへと叩きつけられる。だが既のところでシールドによって攻撃は防がれたが、加速した勢いで機体の重量を乗せた一撃は重く、描かれたシンボルマーク諸共に大きく凹ませていた。
 この拳をまともに喰らえばどうなるかは、前方に転がるジェネムⅡの残骸が雄弁に物語っている。ある機体はカボチャのように頭部が砕かれ、ある機体はオーバーフレームを大きく歪ませて変形している。元来増加された装甲同士で殴り合う前提でチューニングされたピースメーカー・バトリングカスタムにとって、汎用性を前提としたジェネムⅡの装甲は貧弱そのものであった。
 しかしながら、それは白兵戦を前提とした上である。如何に装甲を増そうともジェネムⅡのビームライフルを前にすればいとも容易く貫通されてしまう。先程は技量差で既のところで躱していたが、まともに食らっては侮れない兵装だ。しかし、残存するジェネムⅡの大半はビームライフルを消失している。

「これで撃ち納めですわ!」
 それもその筈で、ガザニアを駆りながらキュクロプス隊の援護を担っていたアンネリースが、サイキックセンスによって研ぎ澄まされたスナイピング・ショットによってジェネムⅡのビームライフルを無力化させていたからだ。未来予知染みた超直感による最適なタイミングと狙いの一撃もこれで最後で、モニターからは赤色の警告文とブザーがエネルギーパック切れをパイロットに表示させている。そんなのわかってますわよとばかりにアンネリースは無視をし、ガザニアのビームライフルを投棄するとシールドに格納していたナイトソードを即座に抜刀する。

(あの戦犯……ルインの気配は近くに居ると確かに感じますわ。ですが、海兵隊に紛れてこのピースメーカーに乗ってはいないとなれば、何処へ雲隠れしていますのやら)
 最初こそはアマランサス・ラピートとは異なる反応速度であるガザニアの動きに戸惑っていたものの、操作するにつれて訓練校時代に乗っていた感覚が呼び起こされ、ようやく機体に身体を合わせるようになりつつある。ビームライフルを失ったジェネムⅡが反撃に転じようとビームサーベルを抜刀しようとするも、その初期動作から動きを読んだアンネリースが機先を制してシールド先端部を腕に突き立てさせて制止させる。
 彼らは既に港の埠頭にまで追いやられている。彼女が肉薄しているジェネムⅡの脇も護岸となっており、うまくすれば相手を海へと追い落とせれる。しかし、それは相手も同じことで互いにシールドを突け合いながら、ガザニアのバランスを崩そうと出力を上げさせている。

 ──この勝負は一瞬の気の緩みが勝負を決する。
 逸る気持ちを抑えようとしつつ、ペダルやレバーの操作を微調整させる中、突然コクピット内に通信が入る。一体何処の誰がとサブモニターを横目で確認すると、表示されている周波数帯はズィガ帝国で使われていた共通チャンネルであったのに、彼女はもしやといった顔持ちで気を取られると、コクピットが大きく揺れ始める。勝負のイニシアチブはジェネムⅡへと傾き、ガザニアを逆に追いやろうとしつつあった。

「相変わらず脇が甘いねぇ、世間知らずの姫さん?」
「ルイン! やはり貴方でしたのね!?」
「はん。その様子じゃ、まだ余裕みたいさね? だけど、このままだと無様に落っこちまうのも時間の問題さ」
「貴方に言われずとも……。くっ、リミッターが働いて出力が上がりきりませんわ」
「そーら見たことか。プライドのお高い姫さんは認めたくないだろうが、コイツは貸しにしておいてやるよ?」
 ここで遂に因縁のふたりは再び相まみえ、噛み合うことのなかった運命の歯車が回り始める。ジェネムⅡの背後で勢いよくふたつの水柱が立ち上がった。それをガザニアのモノアイで捉えていたアンネリースは正体不明の新手かと一瞬身構えたが、その疑念はすぐに氷解した。
 その正体は長く伸びた蛇腹状の腕。先端には、獲物を目の前にして牙を剥かせた赤き竜の顎(アギト)を思わせる三本の鋭いアイアンネイルが雫を滴らせている。近接格闘用のほか簡易マニピュレーターとしての役割を果たしているその片腕が、ジェネムⅡの後頭部を捕らえて鷲掴みにする。痛々しくも鋼鉄の爪先が頭部に食い込み、海の中に潜む本体が伸ばした腕を収縮させたのか首を軋ませながら大きく仰け反り始める。その追い打ちにもう片方の爪先が脚部を掴むと、一気に重心を崩したジェネムⅡを海中へと引きずり込んだのであった。

「……間違いないですわ。あれは……」
「そうさね。水陸両用キャバリアのウォッグを再設計させたエース用高級機。スーパーウォッグさ!」
 ルインが持ち込んだスーパーウォッグは、彼女が港の桟橋に停泊させていた大型ボートの船底部分に設けられたキャバリア格納スペースに秘匿されていたものである。自身も戦犯という名のお尋ね者として賞金を掛けられ追われる身だけあって、いざという時の場合に備えていた国土の大半が海に面している海洋交易国家トリアイナならではの逃走手段でもあった。
 不意打ちを受けたハロウィン・ドールズの構成員は何が起きたのかパニックとなり、状況を掴めきれていない。ルインはその隙を見逃さず、反撃する暇を与える余地なくジェネムⅡの頭部を圧潰させ、念には念を入れて両腕の関節部も砕き潰す。こうなれば機体は海の底へと沈むのみで、パイロットも深度が深まるに連れて高まる水圧で脱出不能に陥る前に脱出するであろう。
 あとは海面に浮かんだ油だまりを目印に巡視艇かボートがテロリストの捕縛と回収に回るだろうと決め込むと、ルインは海上での様子を窺う目的に海面へ浮かばせた釣りに用いるようなウキサイズの収音ブイに無線チャンネルを同期させた。

『これはまさに前門の虎、後門の狼! 次第に埠頭へと追い詰めらているジェネムⅡですが、前に進まねばこうなる運命ッ!! 不用意に海側に近づけば、海中に潜んでいる水陸両用キャバリアが容赦なく引きずり込んでしまいます! バトリングで勝利の栄冠を勝ち取る勝者は戦い抜かねばならない。臆病風を吹かして戦わずに生き残ろうとする者も、海の中に引きずりこまれてしまう運命なのです!』
「即興のアドリブな割には調子良く言ってくれるじゃないかい、まったく。いや、その方があたしとしてはありがたい限りだけどさね?」
 調子よく捲し立てる司会者の実況に耳を傾けながら、ルインは焦りもせずに落ち着いた様子でハンと鼻で嗤った。
 ジェネムⅡが携行するビーム兵器は地上での使用を前提としたもので、如何なる装甲をも穿つ熱線も技術的な問題により大気中では気象条件に大きく影響を受けて減衰してしまう兵器である。ましてやこれで水中に潜む敵を撃とうとしても、特殊な技術で力場や形成させない限りは液体となって立ちはだかる水分子と熱エネルギーが衝突しあって攪乱し、せいぜい撃てば水蒸気爆発させる程度にまで無力化されてしまう。まさに地の利を生かした安全圏というわけであったが、その静寂を破るかのようにコクピットが揺れた。何が起きたのか司会者の実況を聞く限り、何を考えてかビームライフルを携行し続けているジェネムⅡらが海面に向けて一斉射撃を行い始めているのことだった。

「ここまで派手に撃たれると、爆雷を投げ込まれたような衝撃が伝わってくるもんだね」
 だが、彼らのターゲットはルインではない。恐らく司会者のデタラメを真に受けて他にもウォッグタイプが海中に潜んでいないかを疑い、水中へビーム兵器を撃つことによって生じる水蒸気爆発を簡易的な爆雷代わりに使ったのではといった趣きである。巻き添えを喰らわぬよう、スーパーウォッグに搭載されている水流制御装置で潜航によって生じる泡や波を抑えながら静かに沖へと進んでいく。ある程度離れればジェネムⅡの索敵力ではウォッグ以上の隠密性を有するスーパーウォッグを補足されないが、前面のキュクロプス隊ではなくウォッグを驚異と判断したのがルインには腑に落ちなかった。機体を海面近くまでに浮上させ、念には念をと流線型ボディの背後に装備しているサブモノアイ付き潜望鏡を展開させた。
 海面からニョキッと姿を見せた潜望鏡のレンズに相当するサブモノアイがレールに沿って左右に可動すると、彼らが必死になった理由はそこにあった。

「随分とデカい大型コンテナ船だねぇ……。喫水線の沈み具合からして、結構な量の貨物を積み込んでるってところさね」
 赤と黒の境界線が見えないまでに沈んでいるのであれば、甲板に積載しているコンテナの数もそれなりに積んでいるはずである。しかし、サブモノアイのレンズを絞ってモニターに表示される映像を見る限りでは数が少なすぎる。そして進む先は今ドンパチを繰り広げているパーティ会場近くの埠頭だ。真っ当な商用船であればパーティー会場近くのエリアで荷物を下ろすようなこと、または戦闘区域に近づくものであろうか?
 となれば、自ずと導き出されるこの状況下での答えはひとつである。

「はーん……。さては、アレが本命ってわけかい?」








『市街地制圧の地下道潜入隊からの連絡は途切れ、会場の先行制圧隊も苦戦に陥っています!』
『会場先行制圧隊から入電。ウォッグタイプの存在を確認せり、対潜警戒を厳とせよ!』
『クソ! 緻密に練った計画が全て丸つぶれだ!!』
 ルインが睨んだ通り、この大型コンテナ船は偽装されたハロウィン・ドールズの工作船であった。彼らの計画は、各ブロックごとに分解された状態のジェネムⅡが納められたコンテナ貨物を降ろし、現地のアジトで組み立てる。この時点では少数の部隊であるが、奇襲によって港を制圧した後には偽装コンテナ船をパーティー会場付近に接岸させて船内に控えさせている本隊展開、人質を船に収監させるという内容だった。
 だが、万全な準備で進められた計画も、キュクロプス隊のサポートを受けた猟兵たちの活躍によって瓦解しつつある。しかし、オブリビオンマシンによって狂わされているとは言え、カボチャマスクから覗かせる瞳には諦めの色などはない。何故ならば、彼らの正体はトリアイナが掲げる自由貿易によって齎される繁栄と平和による弊害によって損害を受けた者たちである。繁栄と平和のための自由貿易と聞くと誰もが得をするような話ではあるが、実のところはそうではない。
 例えばであるが、互いに生産能力が高く他国では安い商品の取引を行えば、お互いに利益を齎すWin-Winな交易となる。しかしながら、裏を返せば自国の商品は高いと見なされて、自国製品の購入力低下で産業が衰退するというデメリットもはらんでいるのだ。そのために自国の産業を保護しようと、輸入品には高額の関税を設けて貿易をコントロールしようという保護貿易という対抗手段もある。だが、各地で紛争が跋扈して絶えない戦火に喘ぐ世界、少国家群が乱立するクロムキャバリアという特異な背景がトリアイナへの追い風となった。各国は膨大な戦費の歳出に追われ、少ない領土で生産される食料の割当も軍部優先となり、民は国家に統制された配給を強いられるケースも珍しいものではない。そういった火の車の台所事情を鑑みれば、関税を原則撤廃させる自由貿易によって物資を可能な限り安く仕入れる流れとなるのは無理もない話であった。
 当然ながらではあるが、海運を主産業としている海洋交易国家のトリアイナは自国のプラントで生産される物資を幾つか輸出しているものの、その本質は各国の輸出品を回すトレーダーである。関税なき他国との交易で儲けた利益で条約を結んだ国から物資を買い上げて輸入することで、この繁栄を謳歌しているといっても過言でないだろう。
 それが今回の事の顛末であった。彼らの殆どは自由貿易の弊害で職を失った者だ。そしてだが、トリアイナは他国へのキャバリアや装備といった軍事物資の交易も盛んである。そのため『死の商人』という側面もあってか、一部ではそう蔑む者も少なくはない。
 このハロウィン・ドールズのターゲットは、自らが取り決めたルールによる交易を主導するトリアイナおよび自国の利益を優先して自分たちを弱者として見捨て切り捨てた売国奴の高官たちだったのだ。

『今日この為の万全な準備を無駄にしてたまるか! 予定通り船を接岸させる。ジェネムⅡと支援機を回せ!!』
 統括する指揮官と思わしき者の号令とともに、船は速度をさらに上げる。この様子では護岸に激突させる勢いだ。船内が慌ただしくなる中、ジェネムⅡがハンガーに掛けられてる格納庫で、ひとりのカボチャマスクがそれらをつぶさに眺めていた。

(へぇ。一見するとどれもジェネムⅡのように見えるけど、よく見れば殆どがジェネムⅠを現行仕様にアップデートした改修機ばかりみたいだね)
 彼……いや、彼女の名はエルマ・ハインツェル(ナニカサレマシタ・f33269)、猟兵である。会場の警備とは別行動を取る中、離れた倉庫街で怪しいカボチャマスクを見つけて尾行した結果、この偽装船を発見して潜入した次第である。
 そして、このカボチャマスクであるが、彼女が追ったハロウィン・ドールズ構成員より奪い取ったものだ。彼は現在気絶した状態でロッカーに押し込められており、その背丈に合わせて電脳化処理をされた脳髄を除けば全身を人工物に置き換えられた全身義体のパーツを換装してしまえば、構成員の成りすましも容易であるというわけであったのだ。
 出撃の準備に追われる中、エルマはカボチャマスクの持ち主が乗るはずだった機体を見て回り、ボディのカラーリングが赤色で大半を占めるジェネムⅡの中から緑色に塗られている機体の前で足を止めた。ハロウィン・ドールズのパイロットから奪い取ったキー代わりのIDカードと照らし合わせると、どうやら彼が乗るはずだったジェネムⅡはこれであるようだ。

(ラッキー! 改修機じゃなくて新規生産機じゃん。私がいつも乗ってるジェネムⅡと一緒だ!)
 クロムキャバリアにひしめき合う小国家の主力兵器とはいえ、キャバリアもそう安い買い物ではない。ましてやテロリストの懐事情など推して知るべしものであるので、数を取り揃えるために旧型機を現行機と同等に大規模近代化改修を施し、広く出回っているものを取り揃えたのであろう。そしてだが、この緑色のジェネムⅡは旧式の改修機ではなく新規に製造された機体である。カタログスペック上では同等だが、細かい点においては改修では賄いきれない箇所が改良されているので、こちらの方が微妙に性能上が上であったりする。

「もしかしたら、あの人は腕が立つエースだったのかな?」
 ハンガーに備わった昇降機からコクピット内に移ると、何とも間抜けなエースパイロットが居たものだと内心思いつつ、ようやく暑苦しくも息苦しく感じたカボチャマスクを脱ぎ捨てた。

『各機に伝達。出撃準備が整った者より順次、Gフォーゲルを装着して出撃せよ! 繰り返す……』
 格納庫の慌ただしさが高まり、整備服を纏ったカボチャマスクらが戦闘機と思わしきものが吊るされたハンガーの準備に追われている。これこそがGフォーゲル、ジェネムⅡと合体することで量産型キャバリア・ジェネムⅡの火力と装甲性の向上、機動性と飛行性能を兼ね備えた『スーパージェネム』となるのだ。
 エルマが奪い取ったジェネムⅡがいの一番に動き出し、誘導員の指示を受けて取り付け作業に取り掛かり始まった。

『流石はエース。スクランブル出撃にも慣れてるじゃないか』
 取り付け作業に追われている整備員からそんな言葉を投げられられるが、エルマは声色を真似て軽く相槌を打つように返答した。まさか乗っ取られているとは露知らず、ピットインしたF1マシンのタイヤ交換のような手際の良さで取り付け作業は完了する。並べられたキャバリアサイズのガンラックからビームライフルを掴み取り、甲板へと昇るためのエレベーターへと誘導されるが、ここでエルマは続くように動き出したジェネムⅡへとビームライフルの銃口を向けさせたのだった。








「ッ!? なんだい、急に爆発したじゃないかい!」
 サブモノアイの潜望鏡で偽装船の動向を観測し、スーパーウォッグとは言えども一機だけでは骨を折る巨大船に対しどう仕掛けるか思案している最中に、小規模の爆発が立て続けに起こる。積まれていたコンテナを吹き飛ばしながら大型コンテナ船は炎に包まれ、そこから脱出するように飛び上がるキャバリアの姿をルインは捉えた。

「背中に背負った独特な形状のサブフライトシステムは……どうやら、スーパージェネムみたいさね」
 支援機と合体したジェネムⅡ、スーパージェネム。無人支援機Gフォーゲルに備わっている兵装『ロングレールガン』に狙われれば、海中に潜るスーパーウォッグとは言えどもひとたまりもない。まさかの天敵出現に焦りの色を初めて見せたルインであったが、よく見るとどうやら様子がおかしい。スーパーウォッグの存在など本隊に知られていてもおかしくなく、そうであれば対潜哨戒としてこちらに向けて撃つはずである。だが、あの機体の狙いは工作船に向けられており、瞬時に超加速させた飛翔体の射出によって生じる耳をつんざくような破裂音を奏でるロングレールガンが連射されている。
 もしやと思い、ルインは猟兵間で連絡を取るための共通チャンネルに周波数帯を合わせて無線を飛ばすと、スーパージェネムに搭乗しているエルマは入電に応じた。

「安心してください! こちらは味方、味方です!!」
「ああ、それでありがたかったさね。こっちが済んだら、あっちで押し合いへし合いしてる残りの駆逐も頼むよ」
「お任せください!」
 止めに放った一発が工作船のスクリューシャフトを撃ち貫き、エルマはパーティー会場に向けて転進した。

「はぁー……それにしても、いやはや。徹底的にまで派手にやったもんさね」
 改めてサブモノアイを工作船だったものに向ければ、激しく炎上した船体は傾き始めて沈没しつつある。レンズを絞って映像をズームすると、乗員であるカボチャマスクの集団が這々の体で船外へと脱出しているのがよく分かる。これも後で巡視艇がお縄にかけるであろうと決め込むと、様子を窺うために海面に出していたサブモノアイの潜望鏡を静かに沈めたのであった。

『一体何が起きたのかと思いきや、新たな挑戦者が乱入です! 上空を御覧ください。鳥か? 飛行船か? いいえ、どちらも違います。頭部にカボチャペイントを施したスーパージェネムです!!』
 どう見ても突っ込みどころが多いが、熱狂した歓声を上げる招待客らにとって、もはや何でもありの展開と信じ込んでいるのであろう。ついに来た増援だったが、この一機を残して母船は沈没してしまい、またその生き残りも上空からこちらに向けてロングレールガンを指向している。

「残弾は残り一発、ですね。周辺環境計算完了、予測弾道計算完了、目標の予測行動パターン……計算完了。ファイア!」
 たった一発残された残弾で、如何に効率良く残存するハロウィン・ドールズのジェネムⅡへ決定的な一撃を与えることが出来るか。エルマはUCを発現させると、自らの電脳を超高速演算させて瞬時に計算を叩き出す。彼女が狙いを決めたのは埠頭だった。全体の強度や設計、更にはロングレールガンの破壊力を加味させて電脳内でシュミレートし、狙いを絞る。全てが終わるとエルマは引き金を静かに引き、ロングレールガンの砲口から激しく火花が迸った。
 巨大コンテナ船をも容易く貫く一撃が、コンクリート製の護岸を穿った。その衝撃により着弾地点からヒビが走り始め、その上に屹立しているジェネムⅡらの重みも加わり崩壊が始まった。頼みの綱であった増援を喪った彼らは既に戦意を喪失しており、成すすべもなく瓦礫とともにバランスを崩した機体が海へと転落していくのだった。

『何ということでしょう! たった一発、一発だけであれだけの居たジェネムⅡが場外となる海へと落とされてしまったではないでしょうか!? さぁ、一体どのキャバリアが生き残り、勝利の栄冠を勝ち取るのか!!』
「えっ……? ちょっと待ってくださいませ。これで終わりではないんですの?」
 ハロウィン・ドールズは既に壊滅した。だが、バトリング自体は未だ継続されており、共同戦線を張っていたキュクロプス隊が駆るピースメーカー・バトリングカスタムらが抗議の声を上げているアンネリースへとモノアイを向け始めた。

「そりゃあ、バトリングだし。なぁ、カエルラ?」
「ああ、そうさね。これだけ居れば、一機になるまで殴り合うのが常識だろ?」
 ルフスとカエルラはさも当然のように互いの意思を確かめると、互いに牽制しあって殴り始めたではないか。理解が追いつかないアンネリースのガザニアに向けてエルマのスーパージェネムが急降下し、捕縛した相手に対して高圧電流を流すことで無力化させるRRXウミヘビが襲いかかった。だが、持ち前の感の良さで瞬時に察知した彼女はシールドを構えることで難を逃れた。

「ああ、惜っしぃ! あともうちょっとだったのにぃ!」
 通信越しに聞こえるエルマの様子からして、どうやら彼女もやる気満々のようである。

「ルイン!」
 無意識に助けを求めるようにアンネリースは因縁あるルインへと通信を送るが、そんな彼女は笑いを必死に堪えている様子であった。

「あたしに助けを求めても無駄だよ、姫さん。あたしゃあ卑怯な戦い方してる奴をお仕置きする役柄でね? それに瓦礫に埋まったかもしれないやっこさんの救助もあるからね。ま、健闘は海の中で祈っているよ?」
「ちょっと待ちなさい! 逃亡は許しませんわよ、ルイン! ルイン!?」
 ルインはそう言い残すとブツンと無線チャンネルを切るが、アンネリースは勝ち逃げ同然に通信を切った彼女の名を何度も、何度も呼んでいた。
 こうして誰が勝者となるのか予想もつかない野外バトリング、ハロウィン・マッチの第二ラウンドを告げるゴングが鳴るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月05日


挿絵イラスト