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恋とはどんなものかしら

#アックス&ウィザーズ #お祭り2021 #ハロウィン

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●遺跡都市ヴェルニスの女性神官長、かく語りき
 ――ええ、豊穣の秘薬。それを探してきてほしいと申しております。
 秋のこの月の終わりには我々は「収穫祭」を行います。そこで、秘薬が必要になるのです。
 豊穣の秘薬は、いわゆる「惚れ薬」ですね。世に言われるそれと似た作用をもたらしますが、収穫祭では本来とは変わった使い方を致します。
 ほんのいくらかを多種多様な薬草と混ぜ、水薬とするのです。それを収穫祭の夜に飲み、眠ると将来の恋人が夢に現れる……そんなおまじないを、若い男女がするイベントがあるのですよ。
 ですが、ですがです。今年はこの豊穣の秘薬がモンスター……オブリビオンと呼ぶのでしたか、の邪魔によって作ることが出来ませんでした。特殊な光る花を材料にしているのですが、この時期のモンスターは光るものを嫌います。よって畑を荒らされてしまったのでしょう。
 神殿に保管されていた秘薬があったはずなのですが、それも行方知れずで……あるいは盗まれたのかもしれません。
 皆様には、秘薬の材料を集めていただくか、盗まれた秘薬を探し出すかをしてほしいのです。
 材料ですか? まずは面影草の露を大樽三つ分、それから……。

●グリモアベース、十月のある寒い日
「こ、恋の薬、なんやて」
 ロス・ウェイスト(Jack the Threat・f17575)は、自らの呼びかけに応じて集まった猟兵たちに礼を述べると、たどたどしくそう言った。
「あ、アックス&ウィザーズ、の。こ、言葉の神様。シャルムーンの、神官長さんが、困っとってんな」
 ――豊穣の秘薬がなくなったのだ、と。
「こと、言葉の神様って、す、すごいなあ、おれもいっぱい喋れるようにしてもらえへんかなあ」
 などというロスの言葉を辛抱強く聞いて要約すると、まあ大体はこうだ。
 アックス&ウィザーズでは秋は収穫祭の季節。その収穫祭で使用される“豊穣の秘薬”の材料が、今年はモンスターに邪魔されて集められなかった。神殿に保管していた秘薬もどこかになくなってしまった。なので、秘薬の材料を集めてくるかなくなった秘薬を取り返すかしてほしい。
「材料を、い、今から集めるんは、す、すっごく難しい。たいへんやねん。せやけど、なくなった秘薬の在り処やったら、お、おれが予知できてん」
 神殿から奪われた豊穣の秘薬は、オブリビオンが持っているのだと、そうロスは言った。
「『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー、っちゅう、り、竜のゴーレムやねん。竜、きらきらしたもん、す、好きやから、きっと盗んでもうたんちゃう、かな」
 豊穣の秘薬はボゥ・バー・フーの住処にあり、住処にたどり着くまでには、ちょっとした冒険が必要になるのだと、ロスは言う。
「く、暗い森を通るねんけど……秋の、この季節になると、ふ、不思議な怪奇現象がおこるんやねんて。落ち葉の下から、足を引っ張られる。ご、ゴーストがおるんちゃうかて言われとるけど、正体をみたもんは、だ、誰もおらんのやって」
 その場所を調査し、突破して、ボゥ・バー・フーの住処にまでたどり着き、オブリビオンを倒してその住処のどこかにある豊穣の秘薬を入手する。それが今回のミッションだ。
「え、えとな、森までの道は、おれ、おれが繋ぐから。みんなは準備が出来たら、言って? ……んふふ、頑張ってきてな!」
 そう拙い言葉で言うロスに見送られ、猟兵たちは転移の門をくぐるのだった――。


遊津
 遊津です。ハロウィンシナリオ、アックス&ウィザーズよりお送りします。
 第一章冒険、第二章ボス戦の二章構成となっております。

 「第一章について」
 昼なお暗い深い森です。道を歩いていると、敷き詰められた落ち葉の下から足を引っ張ってくるナニモノカがいると言われています。
 樹々などを伝って(あるいは飛翔して)道を通らずに森を抜けること、森ごと消し飛ばしてしまうことも猟兵にとっては簡単ですが、今回はこの怪奇現象について探り、解決してください。
 怪奇現象のため、旅人などは通りません。森の中にいるのは猟兵たちだけとなります。

 「第二章について」
 オブリビオン『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フーの住処で、ボスとの戦いになります。
 詳しくは二章の追記にて説明いたします。

 当シナリオのプレイング受付開始は10/20(水)午前8:31~となります。
 時間帯によっては上記タグやマスターページに受付中の文字がないことがありますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださってかまいません。
 プレイング送信前にマスターページを一読くださるようお願いいたします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『幽霊の正体見たり……?』

POW   :    襲い来る怪奇現象から皆の心を奮い立たせたり物理的に突破したりする

SPD   :    怪奇現象の現場を調査し、潜む何かの正体の手掛かりを探る

WIZ   :    呪いや魔術によって、襲い掛かる怪奇現象に立ち向かったり、調査をする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木々水・サライ
え、えー……オカルト現象……え、やだ……。
えっ行かなきゃダメ? あ、そう……。
(生粋のオカルト嫌い)

ちくしょう、行ってやるよぉ……。
【願い叶えるチビサライ軍団】使ってチビ達呼び寄せて一緒に行くよぅ……。
ペンダントで人形作って抱きしめておく……怖い。

(足をつかまれる)
ぎゃあああーー!!?
足っ、足、誰か引っ張ったァーー!!
なに、なになになにー! もうやだぁーー!!
(ダッシュで駆け抜けようとするがチビサライが止める)

(チビサライが調べてくれた)
うちの子優秀すぎん!? 最高かな!?
調べ終わって事情理解したんでさっさと抜けるよ!!
ほらそこ!! 遊ばないの!! 遊ばn(引っ張られる)ぎゃあああーー!!!



●特徴:おばけこわい
「えっ、えー……オカルト現象……え、やだ……」
 木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)はたじろいだ。
サライは二十七歳の成人男性である。でもこわいものはこわい。曰くヤクザの様な見た目をしている。でもこわいものはこわい。そう、木々水サライはオカルト関係がめちゃくちゃ怖かった。
「えっ行かなきゃダメ? あ、そう……」
 まあ……こうして来てもらったからには……行ってもらうことになるかな……?返してあげるってわけにもいかないしね……グリモア猟兵も頑張って門維持してるし……大丈夫大丈夫、ちゃちゃっと調査して帰れば終わるから!ね?
「ちくしょう、行ってやるよぉ……」
 半泣きのサライは仲間を増やす作戦に出た。仲間を呼ぶ――すなわち、自らの子供姿の複製義体を召喚する作戦――【願い叶えるチビサライ軍団(ウィッシュ・カム・トゥルー・モノクローム)】である。
「こい、チビ共!いや、来て下さいオネガイシマス!!何でもするからこの通り!!」
 ん? 今なんでもって。――それはともかく、サライの周りにごちゃーっとチビサライ軍団が現れた。その数99人。サライを入れてちょうど百人である。百人いれば怖くない。
「いいやまだだ!まだ俺は怖い!なので念を入れていくぜ!……チビ共ぉ!!」
 【願い叶えるチビサライ軍団】。それはチビサライたちを呼び出して、彼らに「噛んでいる間だけ効果の出る願いを叶えるペンダント」を作らせるユーベルコードである。決して怖いときに一緒にいてくれる社畜たちを呼び出すだけの効果ではない。とんてんかんてん、チビサライたちは一体の人形を作り出す。それはチビサライたちを一回り小さくしたような、その名も「チビサライ人形」。
「「「さっらー!」」」
「お、おう、これがあれば……これがあれば大丈夫……行くぞ……!」
 チビサライ人形をぎゅっと抱きしめ、サライはチビサライたちを引き連れて森をゆく。繰り返すが木々水サライ、二十七歳。十二月には二十八歳になります。四白眼と割れた腹筋を持つヤクザもかくやという悪そうな顔の男。そんな男が自分をミニマム化した人形を抱いてチビサライたち(×99)を引き連れているのである。でもしかたない。いくつになってもこわいものはこわい。
 さくさくさく、落ち葉を踏んで歩いてゆく。
「ええっと……何だっけ……確か……“森の落ち葉を踏んで歩いていくと……急に……足を……掴まれる……”だっけ……?」
 やっだー、まさにこのシチュエーションじゃーん。
そんなことを言う暇もなく、どん、ばさばさばさっ!サライの足元が抜けた。実際には五センチ程度下がっただけなのだが、恐怖心マシマシの今はそんな悠長な事気にしてる場合じゃない。
「ひぃ……っ!?」
 ガシィッ!!間髪を入れず、下から足首を掴まれる。サライは悲鳴を上げた。
「ぎゃあああああああああーーーーー!!? あっ足っ、誰か引っ張ったァーー!!」
 もう片方の足首も掴まれる。サライは更に甲高い悲鳴を上げた。
「なに、なになになにー! もうやだぁーー!!」
 ダッシュで駆け抜けようとするサライ……しかしその足は動かない。何故なら足を掴まれているから!しかし恐慌状態に陥ったサライはそんなことに思い至ることも出来ずパニックになって体を動かし続ける。悲鳴を上げ続ける。
「さぁー、っらぁー!!」 
 バッチーン!! サライの顎に飛び上がったチビサライの頭突きが決まる。そこまで飛べるのか、君芸術点高いな。
「はっ!」
 チビサライの渾身の頭突きにより、サライは正気(おちつき)を取り戻す。はっと気づけば周囲でくすくす、けらけら、と小さく笑いさざめく声が聞こえる。
「らい!らいらい!さっらー!」
「あ……お前らは……フェアリー……?」
 小さな小さな、子供のフェアリーたちがサライたちを見下ろしてくすくす笑っている。
『ああ楽しいわ、面白いわ、お兄さん私たちにそんなに怖がってくれたのね!』
「さっらー!らい!らいらいらーい!」
「つまり……この怪奇現象はお前らのいたずらだったのか……?」
 ――うちのこ優秀すぎん!? 最高かな!?
『うふふ、そうよ、私たち収穫祭に行けないの、だから収穫祭の準備期間中はここで遊んでいたのよ』
「収穫祭に行けない? そりゃまた何で」
『そりゃあおいら達は……』
『まあ、大人たちに参加させてもらえないってところかしら』
「そうか……まあ、お前ら子供だもんな。そういうこともあるか。……だけど悪戯は大概にしとけよ、おかげでこの森は怪奇現象が起こるって噂が立ってるんだ」
『まあ大変! そうね、ちょっとだけ遊びが過ぎちゃったかも?』
「お、おう、わかってくれたらいいんだよ」
『じゃあ私たちはもう行くわ!さよなら、おにーさん!』
 フェアリーたちが一斉に羽をはばたかせれば、一瞬の風が吹いて。たまらず目を閉じて、開いたときにはフェアリーたちはもうどこにもいない。
「何だ……子供のフェアリーのいたずらってやつかよ……はああ、怖かったァ……よし、ほら、調べ終わって事情も理解したし!さっさと抜けるぞ!ほらそこ!!遊ばないの!遊ばない!……」
「……さらー。らい? さら、らいらい……?」
「え……?“あの子たち、ちょっと透けてなかった”……?」
 つまり、今まで話していたのは……?
「子供の、フェアリーの、……幽霊……?」
 ふぅっ。生暖かい風が吹く。
『くすくすくすくす』
 きゃらきゃらとした笑い声がサライの耳元に吹き込まれた。
「ぎゃああああああああーーーー!!!」
 今度こそパニックを起こして、一目散に森の出口目指して駆けていくサライ。を、追いかけるチビサライたち。あとには、半透明の小さな小さな妖精たちが、きゃらきゃらと笑いながら彼らを見守っていたのだった……

大成功 🔵​🔵​🔵​

溟・哀上
アドリブ連携歓迎ですっ

暗いしこわい……おばけ、出ないといいなぁ……。
で、でもここも調べなきゃですし……うぅ。

ひとまずは森に住んでる【動物と話す】ことで情報を集めます。
怪奇現象が起こりやすい場所だったり、起こるときの共通点だったり……。
道なりに移動しながら尋ねていけば、怪奇現象に遭遇できるかもしれませんし。
……いえ、ほんとは遭遇したくないんですけどもっ。

なんて考えていたら足もとに気配を感じました!
情けない悲鳴をあげて、無我夢中で地面に盾をがんがん打ち付けちゃいます……!
おばけさんの正体が物理的な存在だったら、たまらず出てくるはず!
もしそうでなかったら……気絶しちゃうかもしれません。



●まっくらもりのぼうけん
「う、うぅぅ……」
 溟・哀上(🐢まいごの小ガメ🐍・f35080)は涙目で暗い森の中を進む。
「暗いしこわい……おばけ、出ないといいなぁ……で、でも、ここも調べなきゃですし……うぅ」
 森に入る前は真昼で、秋の日差しが燦燦と刺していた太陽も、この森の中では重なる大樹の影に阻まれてほとんど入ってこない。愛用の「玄武大盾」を構え、半泣きになりながらも、それでも哀上はこの森の怪奇現象の調査をするという目的を投げ出しはしなかった。
がさり、樹上で鳴った枝葉の音に背中を縮み上がらせる。
「ぴゃあ!……あ、リスさんだ……そ、そうです!リスさんリスさん!おしえてくださーい!」
 リスに話しかける哀上。幹をととと、と登ってきたリスが
『あらあら、どうしたのお嬢ちゃん。私に何かご用?』
「今、この森では怪奇現象が起きてるんです。それについて、教えてほしいと思いまして……」
『あら、そうなの? あたしにはさっぱりわからないけどねえ。……でもそうねえ、人間さんやエルフさんたちが最近やたらにきゃあきゃあ言っていた? ような気がするわねえ』
「き、きっとそれです!どこで起きたのか、どんな時に起きてるのか、心当たりはありませんか?」
『うーん、あたしは体が小さいからねえ。あんまりたくさん移動はできないから、その場所に行ったことがあるかどうかもわからないんだよねえ』
「そ、そうですかぁ……」
 がっくりと肩を落とす哀上をかわいそうに思ったのか、リスは小さな体をふんふんと哀上に寄せる。
『元気をお出し。……そうだ、鳥たちに聞いてみたらどうだい? あの子たちは長く移動するから、この広い森の事も知っているかもしれないよ』
「そ、そうですね!鳥さーん!小鳥さーん!この森について、教えてくださーい!!」
 哀上が呼びかけると、バサバサと羽音を立てながら数羽の小鳥が休んでいた樹上から降りてくる。
『どうしたの? どうしたの?』
『なんだかねぇ、この森で起きてるカイキゲンショウ? について調べてるらしいんだよ。ほら、最近人間さんたちがよくこの森できゃあきゃあ言ってただろう』
『そうね、そうね!』
『おっかしいわね!』
「小鳥さん、できればその……人たちが悲鳴を上げていた場所に連れて行ってくれませんか?」
『あら、いいわよぉ』
『ついてらっしゃいな!』
 リスと別れ、小鳥たちの道案内を受けて、哀上は森の中を歩いてゆく。もちろん、盾は相変わらず隙なく構えたままで。
(よかった……これなら怪奇現象に遭遇できるかもしれない……い、いえ、本当は遭遇したくないんですけどもっ……!)
『このへんよ、このへんよ!』
「は、はいっ。ありがとうございますっ!」
『それじゃあ、あたしたちはこのへんで!』
 小鳥たちはそうして哀上を置いて飛び立っていってしまう。押し寄せる不安に苛まれながらも、哀上はおっかなびっくり、辺りを歩き回る。
「ひ、ひぃ……うぅ……」
 するり。何かが哀上の脚を撫でた。それだけで哀上は悲鳴を上げてしまう。
「ぴゃああ!?」
 がしっ!!足を掴まれる。恐怖が限界に達した哀上は半泣きになりながら盾を振り上げた。
「ふぇぇぇぇ……!!」
 ガンガンガンガン、無我夢中で盾を地面に打ち付ける。既に哀上は半狂乱だった。
「このっ、このっ、このっ……うわあああん!!」
『きゃあ、きゃあ、きゃあ!タンマ、ちょっとタンマ!待って待って、待ってぇ!!』
「ふぇ……?」
『怖いわ怖いわ、やめてやめてぇ!』
「あ……あなたたちは……!」
 地面の下から顔を出したのはまだ小さな、幼い子供のフェアリーたちだった。それを見て、哀上の盾を持つ手も止まる。
『わぁん怖かった!もうイタズラはしないわ!ホントだってば!だからもうやめてぇ!』
「あ……あの、あなたたちがこの森の怪奇現象を起こしていたんですか……?」
『うぅ……そうよぉ……怖かったぁ……ねぇ、もうしない?』
「は、はいっ、しませんっ!」
 盾を後ろ手に隠す哀上。フェアリーたちは安堵のため息を漏らした。
「あの……それで……なんでこんなことを……」
『悪戯ごっこよ!あたしたち、収穫祭には行っちゃダメって言われてるの。だからみんなで集まって、収穫祭の悪戯ごっこをしていたの!』
「そう……なんですか……」
 なぜ収穫祭に行ってはいけないのか? 哀上にはわからない。けれどフェアリーたちの雰囲気からは、それを聞き出すのは憚られる空気があった。きっとまだ小さいから、親御さんたちに危ないと止められているのかもしれない……そんな想像で、哀上はそれ以上問いただすのをやめる。
「……でも、悪戯にしては度が過ぎています!森の外では怪奇現象と言われて恐れられているんですよ!もうこんなこと、しちゃダメですよっ」
『うう、わかったわよわかったわよぅ、もうしないわぁ!だってとっても怖かったんだもの!』
『そうよそうよ、約束するわ!』
「それなら良かったです!今度は、もっと平和な遊びをしてくださいね……!」
『うぅ……』
『かくれんぼもおにごっこも、もう飽きちゃったけど、しょうがないわ、仕方ないわ』
 説得を聞き入れてくれて良かった、そう思って安堵する哀上。そんな哀上の耳に、彼女の体を凍り付かせるような言葉が飛び込んできた。
『しょうがないから、収穫祭の夜に天国に行くのを大人しく待ちましょう、待ちましょう』
「え……てん……ごく……?」
『そうね、そうね、退屈だけどお迎えが来るのを待ちましょう、待ちましょう!』
「ま、待ってください、あなたたちは……まさか……?」
『うふふふ、それじゃあね、お姉さん!』
 そういった子供のフェアリーたちの姿が半透明になって、足元から消えていく――小さな光を点々と、蛍火のように残して。その姿は、まさしく――。
「ゆ、幽霊――……!!??」
 森をざわめかせるような大声が哀上の口から上がり、そのままふぅっ、と哀上の目の前が真っ暗になった。
がさがさがさっ!落ち葉を盛大に撒き散らして、哀上はひっくり返り――。
「きゅぅぅ……」
 目を回していた。そのまま彼女は、別の猟兵が彼女を見つけるまで、その場で気絶し続けていたのである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェリー・クサナギ
「『惚れ薬』と聞きつけるやいなや!」
・古今東西の『美しい』ものを探し求めるシェリーにとって、恋愛をモチーフとした美術作品は多く存在することから、恋とは人類の文化を育む大切な概念であると考えており、その動機を生み出す薬があるならば無視はできない
・アポカリプスヘルで美術品を収集・保存してまわるうちに養った「審美眼」は怪奇現象の調査に役立つかもしれない。意図的に仕掛けられたトラップなら奪還者仕込みの「戦闘知識」と「サバイバル」技術で対抗し、「解体」を試みる
・廃墟の物陰から急襲するレイダーともを何度も返り討ちにしてきたが、相手が幽霊ともなれば勝手が違う。甲高い声を上げて取り乱してしまうのはご愛敬



●豊穣の秘薬を求めて
「ふっふっふっ……『惚れ薬』と、聞きつけるや否や!」
 シェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)は、森の中を歩きながら目を煌めかせる。
古今東西の「美しいモノ」たちを探し求めてきたシェリーにとっては、恋愛をモチーフとした美術作品もまた愛でるべき花であった。そして、それらが多く存在することから、恋とは人類の文化を育む大切な概念であると認識している。そんなシェリーの耳に飛び込んできた、豊穣の秘薬……「恋」を生み出す薬の存在たるや!無視できない魅力の塊だ。
「独り占め……はできないし、神殿に返さなきゃいけないものだけど、やっぱり一度は拝んでみたいものよねぇ」
 限りなく足音を小さくし、草木がこすれあう音もたてぬように森の中を歩き回る。アポカリプスヘルの荒野と森林はまた違うが、培った隠密の術まったく役に立たないとは言えない。シェリーはそうっとそうっと、音をたてぬように行動することに成功していた。
 ――そんなシェリーの足首を、何かがぎゅっと締め付ける。
「キャッ!?」
 すわ怪奇現象か、と身を縮み上がらせるもつかの間。些細な違和感に感づいて、シェリーは冷静さを取り戻す。
「あらやだ、これ……ロープじゃないの」
 朽ちかけてはいるが、シェリーの足首に絡みついているのはロープ。輪の中に足を踏み入れると輪が縮まって足を括るという、簡単なトラップだ。
「やだぁ、なぁに? ……ゴーストなら、トラップは使わないわよねえ?」
 ワタシってば、「アタリ」引いちゃったぁ? ううん、この場合は「ハズレ」かしらぁ……そういうシェリーの目に、悪戯めいた光がともる。それはけれど悪戯と呼ぶには、少々危険なもので――。
 その場に伏せて一切の音を消し、待つこと数十分。
「チッ、外したかぁ? 何にもかかってやがらねえぜ」
「おいおい、どうすんだよ、今日のシノギはゼロってか?」
 いかにも野盗然とした装いの男が二人、発動を察知したロープのトラップを確認しに来ていた。彼らがトラップを仕掛けた犯人で間違いないだろう。
「森の怪奇現象の噂にかこつけて、稼げるって言ったのはどこのどいつだ? あぁん?」
「そう言ったってよぉ!酒場じゃ怪奇現象の噂で持ちきりじゃねえか!」
「まぁ、そいつは確かなんだがなあ……獲物に逃げられちまうんじゃ、世話ぁねえ」
(なるほどなるほど……こいつらは便乗犯ってところね。オブリビオンでもなさそう。ただの野盗崩れか)
 ――噂が大きくなると、こんな奴らも出てくるのねえ。
胸中でそう考えながら、シェリーは伏したまま時を待つ。野盗二人が完全に油断し、シェリーに背後を見せた瞬間、彼は二人に飛び掛かった。
「うわぁッ!? 何だ何だぁ!?」
「はぁい、確保。逃げようだなんんて思わないでね? ワタシ、これでもとっても強いんだから」
 黙示録の地獄の世界でならした捕縛の腕は、例え世界が変わろうとも同じ。ましてやオブリビオンでもない野盗二人相手など、シェリーにとっては赤子の手をひねるよりも簡単だ。たちまちのうちに野盗たちを捕縛し動けないようにして、その場に転がしてしまう。
「全く、これから竜のゴーレムと戦うっていうのに、野盗の相手なんて……まあ、コイツらの処分は帰りでいいかしら……」
『ありがとう、ありがとう!』
『ニィさんはおいらたちの英雄だぁ!』
「あら?」
 シェリーたちの前に現れたのは小さな体をしたフェアリーたち。まだ幼い子供たちなのだろう、その体は普段見かける者よりも幾分と小さい。
『このおじさんたちが来てから、私たちここで遊べなかったのだわ!退治してくれたのね!とっても嬉しいわ!』
『イヤッホイ、おいらたちの遊び場が返ってきたぞ!』
「そう、あなたたちも被害を受けてたのね……こいつらは神殿に引き渡しておくから、そうしたらもう来ないわよ。安心して遊ぶといいわ」
『ええ、ええ、そうさせてもらうわ!うふふ、嬉しい!』
「ええそうね、たくさん遊ぶといいわ……そうよねぇ、アナタたち!……あら? アナタたち、どうしたの……」
 野盗たちを振り返れば、彼らは何かよほど恐ろしいものでも見たのか、白目をむいて涎を垂らし失神している。……一体、どんな恐ろしいものを、この場で、見たというのだろう?
『くすくすくすくす』
『このオジサンたちが来てから、悪戯ごっこも出来なかったからなぁ』
『たくさん、たくさん遊びましょう!くすくすくす』
「え……待って、まさか、まさかアナタたち……ひぃぃっ!?」」
 細く小さな透けた腕が、シェリーの背後から伸びてくる。廃墟の物陰から強襲してくる略奪者(レイダー)どもを幾度も返り討ちにしてきたシェリーであったが、相手がこの世のものでないとくれば勝手が違う。
『くすくすくすくすくす』
「きゃ、キャアアーーーー!!」
 甲高い声を上げて取り乱し、その場から逃げ出すシェリー。彼が逃げ去った後には、半分透けたフェアリーの幽霊たちがくすくすと笑い続けていた。
『さあ、また収穫祭の夜まで、たくさんたくさん遊びましょうね!』

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー』

POW   :    超無敵・竜神モード!(デウスエクスマキナ)
【内なる竜の魂を完全に開放した状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ドラゴンアタック!動いちゃダメだからね!
単純で重い【竜の膂力を込めた体当たり】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    ドラゴンロア!大声出すの楽しーっ!
【物さえ破壊する、竜に似た咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マックス・アーキボルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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暗い森を潜り抜けて、走り抜けて、辿り着いたのは大きな洞穴。
「来たな、来たな!ボクの宝物を奪いに来たな、冒険者たち!」
 その奥で待ち受けていたのは、『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー。
「たっくさんたくさん苦労して集めた宝物だぞ!ぜーったい、渡さないんだからな!」
 子供の姿と侮るなかれ、竜の魂を宿したこのゴーレムがドラゴンと呼ばれるに相応しい力を持っているのは、猟兵の目にははっきりと見て取れた。
「全員生かして返さないんだからなー!!ボクの強さ、思い知れー!!」
 そういって、ボゥ・バー・フーは猟兵たちに襲い掛かってくる。
洞窟の巣穴の中にあるだろう「豊穣の秘薬」を無事持ち帰るためにも……
この戦いは、避けられない!
========================================
第二章 『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー が現れました

 おめでとうございます。猟兵たちの冒険の結果、暗い森を抜け、ボス「『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー」が住む洞穴の中までたどり着くことが出来ました。
 以下に詳細を記します。

 「戦場について」
 洞穴の中あり、空中戦には向きません。猟兵は狭い場所で戦う術にも長けているため問題はありませんが、巨大な乗騎などで乗り込むには適していません。
 洞穴にはオブリビオンと猟兵だけがおり、一般人は一切存在しません。
 種族体格差は、種族体格差を利用するユーベルコードなどを利用しない限り関係ありません。巨人などでも問題なく戦闘が行えます。
 灯りを気にする必要はありません。
 ボゥ・バー・フーが集めた宝物があるため、それを利用して戦うことも可能です。その場合は、「使えるものは何でも使う」などという曖昧なものではなく、「何を」「どうやって」使うかを明記してください。
 豊穣の秘薬はどこかそのへんに転がっています。リプレイでは最初のひとりだけが手に入れることが可能ですが、誰もプレイングに書かなかったとしても最後に見つかるのでプレイングに明記する必要はありません。誰かが既に見つけてしまっていた場合、二人目以降の秘薬についてのプレイングは適用されません。ご了承ください。
 
 「ボゥ・バー・フーについて」
 子供の姿をした、竜の魂を宿すゴーレムです。
 指定したユーベルコード以外にも、宿した竜の力で強化された体術や竜の咆哮でもって戦います。

 第二章のプレイング受付開始日時は10/27(水)朝8:31~となっております。
 時間帯によっては上記タグやマスターページに受付中の文字がないことがありますが、時間を過ぎていればプレイングを送ってくださってかまいません。
 マスターページの注意書き、不採用とさせていただくプレイングについて更新しております。プレイング送信前にマスターページを一読ください。
 
 それでは収穫祭までに「豊穣の秘薬」を手に入れるため、竜の魂を宿すゴーレムとの戦いを開始してください。
========================================
溟・哀上
アドリブ・連携歓迎です。

むむ、見た目はかわいいのにとっても強い……!
通常攻撃はなんとか【盾受け】しますが、これだけじゃ防戦一方です。
反撃に移るためにも、隙のある大技を引き出さないと……そうだ!

ゴーレムさんの集めた宝物にじりじり近付き、(ちょっと申し訳ないですけど)そのいくつかを盾でつぶして壊しちゃいます!
王冠やアクセサリーなんかのキラキラ度が強いものがいいですね。
怒ったり焦ったりで勝負を付けようとUCを使ってきたなら、こちらもそれに合わせてUCを発動。
咆哮の衝撃を倍返しでお見舞いしちゃいますっ……!
しっかりと【シールドバッシュ】での追撃も忘れません。
盗んだもの、ちゃんと返してもらいますからね!



●大奮戦!
「てやーっ!!ボクのお宝はぜったいぜったい渡さないぞー!」
 『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フーは竜の力を宿した四肢でもって洞窟の地面を蹴り、高く飛び上がって哀上へと拳を繰り出してくる。
「そらそらそらー!!」
「わっ、ふわっ、ととと……!」
 二撃三撃と続けて放たれる拳のラッシュを、手にした「玄武大盾」で防ぐ哀上。しかしボゥ・バー・フーは息もつかせぬ勢いで襲い掛かってきた。
(むむ、見た目はかわいらしいのに……とっても強い……!)
「ていっ、とう、たぁー!!」
 元がゴーレムであるからなのか、それとも宿した竜の力が強いのか、ボゥ・バー・フーの攻撃には限りがない。無限無尽蔵、疲れるという言葉を知らないかのようなペースで攻撃を叩き込んでくる。
「もひとつおまけにー、どーんっ!!」
 戦いそのものを子供の遊びのように楽しんでいる無邪気な声で、ボゥ・バー・フーの体が弾丸のように飛び込んでくる。
「うぅ……!」
 大盾で攻撃を受け止めた哀上だったが、強烈な衝撃にびりびりと指がしびれてしまう。
(このままじゃ防戦一方です……!反撃に移るためにも、隙のある大技を引き出さないと……)
 息つく間もない連続攻撃を大盾で受け止めながら、けれどじりじりと洞穴の奥へと追い込まれてしまう哀上。しかしその時、彼女はとあるものを目にする。
(――そうだ!「アレ」が、あれば……!)
「やぁっ!とうっ!どうだ、まいったかー!!参ったって言えー!!」
「い、言いませんっ……!」
「むー!」
 ボゥ・バー・フーの拳を盾で受け止めながら、じりじりと後ろに下がっていくいく哀上。押されているふりをしながら、追い詰められながら、しかし活路を見出している彼女は「それ」へと少しずつ近づいていく――そうして哀上は、ぐるりと身を翻す!
「これ……あなたが集めてきた宝物ですよね……!」
「ふえ?……ああっ!それに、さわるな!!」
 哀上の足元には、ボゥ・バー・フーの宝物――黄金の王冠と、きらきらと輝く宝石細工ののアクセサリーが転がっている。途端に慌てた色を見せるボゥ・バー・フーを前にして、哀上は――盾を、思い切り宝物へと振り下ろす!
 がしゃん、がしゃん、ばりん。ぱりん、がん、ガンガンガン!!玄武大盾を全力で叩きつけられた王冠はひしゃげ、どう身に着けるのかもよくわからないような繊細な細工物のアクセサリーはばらばらに砕け散った。
「あ、あ、あああ……!!お前、お前ぇぇ~~!!」
 懸命に集めた宝物がぐしゃぐしゃに壊されたのを目の前で見せつけられたボゥ・バー・フーは、わなわなと肩を震わせて怒る。
「ボクの宝物だぞ!きれいなきんいろだったんだぞ!!ぜったい、ぜったい、ぜーったい許さないんだからなぁぁー!!」
 竜のゴーレムがすぅー、と息を吸い込む。それに合わせて、哀上はがっしりと盾を掴む。万が一、億が一にでも放さないように落とさないように。
「うわあああああーーーーーーーーーーんっ!!」
 泣き声に似たそれは竜の咆哮、ドラゴンロアー。破壊力を持った咆哮が洞穴の壁をガリガリとひっかきながら、一直線に哀上へと向かってくる。四肢をバラバラに引き裂かれるような衝撃を大盾で受け止める哀上、そして、そこで、すべての用意は整った!
「“いっ……因果覿面、です!”」
「ふあっ!?」
 【斥罰必当(バチアタリ)】。大盾で受け止めたユーベルコードを、威力を倍増して反射させる哀上のユーベルコード。人間の四肢など軽くばらばらに引き裂くような竜の咆哮(ドラゴンロアー)が、そのまま威力を倍加させてボゥ・バー・フーに跳ね返ってくる!!
「わああああ!!」
 ころころとしたボゥ・バー・フーの体はたちまちのうちに吹き飛ばされ、洞穴の中を飛んだ。自らの咆哮でズタボロになりながら、それでも竜のゴーレムを完全に倒すにはまだ足りない、ボゥ・バー・フーは起き上がる。
「うぅ……ぐすっ……よくもやったな……おこったぞ……もうおこったんだからな……!」
 ひぐひぐと泣き声を漏らしながら、けれど突き刺さる眼光は鋭く刺し貫かれるようだ。
(もう少し……もう少し、頑張らなきゃ……!!)
 哀上はごくりと唾を飲み込むと、盾を掴む手を握りなおし、きっとボゥ・バー・フーを睨みつけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木々水・サライ
【灰色】
おう、砕牙。なんだ、俺が心配だったってか?
安心しな、オカルトがなければなんてことはない。
……後でお前にもさっきの道通らせてやるからな。

UC【チビサライ軍団出動!】でチビ共を召喚。
50人ぐらいは砕牙の護衛、残りは俺と共に突撃してもらう。
電磁力で浮かせてる十二刀流でぶん殴りに行くぜ。
チビ共にはちまこい黒鉄刀も持たせる。

できるだけ砕牙が相手の動きを見れるように、敵を砕牙の視界に入れる形で動き回る。
敵が意図に気づいた場合はチビ達で取り囲んで逃しはしねぇよ。
相手の体当たりは、まあ根性で受け切る。地形破壊は砕牙とチビがちょいまずい。

……おい砕牙、ちゃんと集中してっか?
いやしてねぇじゃねえか!


霧水・砕牙
【灰色】
よっ、サライ。泣き喚いてねーか?
わかる。オカルト無いなら俺も最強なんで。
えっ、なんで?! 俺が巻き込まれる理由がわからないんだが!?

ちっちゃいのを借りたら、絵筆を取り出してキャンバスを用意。
ちっちゃいサライが守ってくれてる間に、UC【白の稲妻】発動。
キャンバスに描いた稲妻で敵を攻撃しつつ、EXねこロープで敵の動きを阻害するぜ。
紐って当たると地味に痛いし、動きが阻害されるんだよね。

サライの立ち回りに気づいたら、俺は雷を連発するだけだ。
敵の動きをしっかり見切って、敵と距離を取りながら雷で攻撃!
なるべく俺はサライの後ろにいるぜー。

ん? 集中してるしてる。
ただちょっとネタをひらめいちゃって。



●十二の刃と輝ける妄想力
「よっ、サライ。泣き喚いてねーか?」
 そういってサライの肩をぽんと叩いたのは、霧水・砕牙(《黒の風》[プレート・ヴェント]・f28721)。
「おう、砕牙。なんだ、俺が心配だったってか? ……安心しな、オカルトがなければなんてことはねぇからよ」
「わかる。オカルト無いなら俺も最強なんで」
「……後でお前にもさっきの森通らせてやるからな」
「えっ、なんで?! 俺が巻き込まれる理由がわからないんだが!?」
「うるせぇ、お前も恐怖を味わえ!!」
 二人がコントを繰り広げている間に、別の猟兵と交戦して傷を負っていた『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フーはぷるぷると震えていた。
「ボクを……ボクをムシするなぁー!!うわああん!!」
「「おおぅっ!?」」
 声を揃えてボゥ・バー・フーの突進攻撃を避けるサライと砕牙。サライはすぐに臨戦態勢となり、ユーベルコード【チビサライ軍団出動!(ミニマムズ・モノクローム)】を発動させる。
「チビ共、出動だ!」
「「さっらー!」「らーい!」「らいらーい!」「また酷使するぅ」」
 おいなんだ最後の。マジ喋りする奴がいたぞ。
「ち……ちっちゃいの喋った……!? おいサライ、何だ今の!? ねぇなに!?」
「いや……俺もわからん……怖……」
「お前のちっちゃいのだろ!? 管理しとけよ!!」
「ああ……怖いな……特に後で社畜手帳見るのが……」
 もこもこもこっ!と99体ほど湧いて出たのはサライとおそろいのシースルーコートに「1」と刻印された5分の1サイズの複製義体・チビサライ。さっき森を通り抜ける時にも頑張ってくれた超いい子たち。なんなら本体よりも頑張った。
「気を取り直して――よぉしチビ共!とりあえず50体ぐらいは砕牙の護衛な!残りは俺と一緒に行動してもらうぞ!」
「「「さっらー!!」」」
 ちまこい黒鉄刀を手にしたチビサライ(約49体)がボゥ・バー・フーへを取り囲み、棒(ちまこい黒鉄刀)で叩いて袋叩きにする。
「わぁーん!やめろー!やめろよぉー!」
 いじめられっ子から反撃されたいじめっ子のようになくボゥ・バー・フーだったが、子供のような姿でもオブリビオン。油断はできない。サライは黒鉄刀をはじめとした十二振りの刃を電磁力でもって宙に浮かせ、一気にボゥ・バー・フーを滅多刺しにする!
「わぁん!痛い、痛い痛いー!!」
 泣き叫ぶボゥ・バー・フー。それをちまこい黒鉄刀で囲んで叩くチビサライたち。それを、砕牙はじっと見ていた――観察していた。チビサライたち(50体)に囲まれ、防御を鉄壁にしながら。何故なら彼の攻撃手段は、自らの身を危険に晒すものであったので――。
「さあ、芸術(アート)の時間だぜ!?」
 洞穴内におもむろにイーゼル・キャンバス・椅子を置き、キャンバスをイーゼルにセットして絵筆を握る。白色の絵の具を筆にべったりとつけ、描き出すは白い雷――
「サライ、うまいこと避けろよっ!」
「おう!!」
「ちっちゃいのも!!」
「「「らーい!!!」」」
「【逃がすな、白の稲妻(ヴァイス・ブリッツ)】――さぁて、二百回は避けてもらおうかぁ!!」
 バリバリバリバリバリ――洞穴の中で白色の雷が暴れまわり、ボゥ・バー・フーを打ち据える。
「がああああああっ!!」
 雷が命中した側から、次の雷がボゥ・バー・フーを襲う。一度身体能力と動き方を覚えた雷は、自動追尾するように次々とボゥ・バー・フーに命中し、その体を焦がしていった。
サライとチビサライたちは雷を避けながら、砕牙の視界にボゥ・バー・フーが入るように動く。隙あらば囲んでちまこい黒鉄刀で叩くチビサライ軍団たちからは、ボゥ・バー・フーは逃れられない。
「うぅ、やめろよぅやめろよぅ!……ふー、ふーっ……もう……おこったんだぞ……!!」
 半泣きのボゥ・バー・フーが雷に焦がされながら駆けてくる。竜の膂力を籠めた体当たりの一撃が、砕牙を狙う――動いたのは、サライだった。
「ぅおぉぉ……っらぁあ……!」
 黒鉄刀と白銀刀を交差させ、ダンプカーが弾丸の速度でぶち当たってきたような体当たりを根性で受けきる。彼の後ろには99体の複製義体と砕牙がいる。避けられない理由が、サライにはあった。
(砕牙はまともに動けねえ……チビ共も、地形が破壊されて洞穴が崩れたらマズい!ここは俺が、何とかしねぇと……!)
「ぐ、ぅぅぅっ……」
「むぅぅぅぅ……ふぁっ!?」
 突如、ボゥ・バー・フーの体勢が崩れ、その場にべしゃりと崩れ落ちる。ボゥ・バー・フーの足には、砕牙が放ったEXねこロープが絡みついていた。
「紐って当たると地味に痛いし、動きが阻害されるんだよね」
「……って、おい砕牙、お前ちゃんと集中してんのか!? 誰の為に俺が前線で体張ってると思ってやがる!」
「ん? してるしてる。ただ、ちょっと……次の同人誌のネタをひらめいちゃってさぁ?」
 電撃と束縛って、なんかこう……良くない?
「いや良くないじゃねぇよ良くねえよ一ナノミリとも良くねぇよ!してねぇじゃねぇか、集中!!」
「あははー」
「お前なぁ……!!」
 へらへらと笑う砕牙に青筋を立てるサライ。その向こうで、ゆらりと起き上がる影。
「うぅぅ~……おまえらぁ……ボクをのけものにするなっていってるだろぉ……」
「おや、起き上がってきなさった」
「まあ、ロープで転ばせただけだからな!続けていくぞ!いいか、今はちゃんと!こっちに!集中してろよ!」
「はいはーい」
 再び絵筆を握る砕牙。彼を守るようにしてチビサライが陣形を組み、サライは十二の刃をもう一度ボゥ・バー・フーへと降り注がせた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エーミール・アーベントロート
惚れ薬と聞いて!!(ボンバーインセイン号に乗って入場)
それがあれば私にも春が来ますね!!
兄さんにも弟達にも笑われなくなります!!
よっしゃぁ!! 全部ぶっ壊す!!!

UC【【豹変】爆発する狂気】で敵に突撃します。相手の体当たりに合わせ、こちらも突撃。
前輪タイヤで踏み潰すように叩きつけますよ!
相手の攻撃で周辺の地形が破壊されても、UC効果で地形からの激突ダメージは特に問題なし!! ちょっと痛い程度!!

兄さんは顔が良くてかっこ良いからモテるのに、弟である私は全くモテていない!!
この恨みを!! 兄さんがいない今!! こうして!! 晴らす!!
ああーー楽しいーー!! めちゃくちゃたーのしーい!!



●誰でもいいから付き合いたい
「惚ーーれ薬とっ、聞いてぇーー!!」
 ドルンドルンドルン、エンジン室で爆発する炎。このアックス&ウィザーズには存在しない乗り物・真っ黒な機体に真っ赤な爆発が描かれたオフロードバイク「ボンバーインセイン号」を爆進させて洞穴の中に乗り込んできたのはエーミール・アーベントロート(《夕焼けに立つもう一人の殺人鬼》・f33551)、またの名を春が無いと書く男。
「それが!!あれば!!私にも!!春が!!来ますよね!? ……兄さんにも、弟たちにも、笑われなくなります!!よっしゃー!!」
 いま一度繰り返す。エーミールが求める惚れ薬こと「豊穣の秘薬」は、言葉の神シャルムーンの神殿から盗まれたもので、女神官長がぜひとも取り戻してほしいと依頼してきたものだ。そしてグリモア猟兵が依頼を受ける形となっている。なので、取得者に権利があったりするものではない。神殿に返さなければならない。だが、そんなことはエーミールの頭からはスッポーン!と風呂場で石鹸踏んだ時のように吹っ飛んでいる。モテたい。彼女欲しい。誰でもいいから付き合いたい!!その一心で彼はまさに「爆発する狂気」を駆ってこの洞穴までやってきたのだ。
「おまえもボクのお宝をうばいにきたのかー!!」
「Exactly(そのとおりでございます)ィィィ!! 全部ぶっ壊す!!!」
 えっ壊すの? 惚れ薬も壊しちゃうの? 欲しいんじゃなかったの? ていうか今回の君のユーベルコードは理性吹っ飛ばすタイプのものじゃなかったよね!? そんなに彼女欲しいの!?
エーミールはボンバーインセイン号を駆ると、突撃してきたボゥ・バー・フーの拳を躱す。そしてそのまま、ころころとした丸い体に体当たりをブチかました。
「“ヒャッハァー!! 合法的な轢殺タイムの始まりだァーー!!”」
 今の君お兄さんにそっくりだよ。バイクのスピード分も相俟って思い切りぶっ飛ばされたボゥ・バー・フーは洞穴の壁に激突する。そこからよろよろと立ち上がり、涙目でエーミールを睨みつける。
「わたさないぞ、わたさないぞ!ボクのお宝だぞ!たっくさんたくさん、がんばって集めたんだぞ……!!」
「おや、来ますか? ではこちらも参りますよ……!!」
 ボゥ・バー・フーが力を溜め、駆けだすのと同時、エーミールもまたボンバーインセイン号のアクセルを踏む。馬が嘶くようにエンジン音が鳴り、ボンバーインセイン号もまた疾走し始める。
「……兄さんはっ……兄さんは!!顔がよくてカッコイイからモテるのに、弟である私は全くモテていない!!この恨みを!!兄さんがいない今ッ!!こうして!!晴らすッ!!!!!」
 竜の膂力を籠めてぶち当たってきた体当たりも何のその、正面からボンバーインセイン号をぶつけるエーミール。ボゥ・バー・フーの丸っこい体を、前輪タイヤで踏み潰すように叩きつける。ぎゅるぎゅるぎゅるぎゅるぎゅる、ボゥ・バー・フーの体がタイヤに巻き込まれる嫌な音がした。ボゥ・バー・フーによって洞穴の床が破壊されるも、ユーベルコード【【豹変】爆発する狂気(エクスプロザオ・ロゥクーラ)】の影響下にあるエーミールは地形からのダメージを無効化している。お互いに繰り出したユーベルコードとしては、ボゥ・バー・フーのそれはエーミールのそれに対して相性が悪かった。
「ああーー楽しいーー!!めちゃくちゃたーのしーい!!」
 彼女が出来ない鬱憤を晴らすようにボゥ・バー・フーを轢き殺していくエーミール。御覧の通りボゥ・バー・フーはまるっこい体をした子供の姿である。勿論その外見に惑わされてはいけないオブリビオンであるのだが、外見小さな子供を「モテない」の鬱憤晴らしに轢きまくる成人男性の図、とても絵面がよろしくない。猟兵だから外見の違和感をその世界の住人に与えることはないが、同じ猟兵の目があったなら人によっては色々とドン引きされていたかもしれない。とりあえずここにやってきた動機からしてドン引きものなのだが。
 ……結論から言おう。ボゥ・バー・フーは、エーミールに轢き殺された。最期の言葉は「ボクのあつかい……ひどい……ひどくない……?」だったことを此処に記しておく。竜の魂を宿したゴーレムは落ち葉と同化するように消え果て、そしてエーミールのもとにはボゥ・バー・フーが残したお宝の山が残された。
「こ、この中に……この中に惚れ薬が……!」
 ハァハァハァ、ちょっと危ない感じに息を荒げてお宝の山を漁り、煌めく金銀財宝には目もくれずに豊穣の秘薬だけを求めるエーミールの姿はどこからどう見てもFUSHINSHAのそれだった。春が無いって……人をこんなにも哀しい姿にさせるんだね……。
「あった、ありました……!これが、惚れ薬……!」
 豊穣の秘薬。きらきらした液体を内にたたえてコルクで蓋をされた、この世界ではまだぜいたく品であろうガラスと思しき瓶。それを掲げるようにしてエーミールは感激に打ち震える。なんなら涙まで流している。待って、そこまで?
「これを……これは……でも……神殿に返さねばならないもの……なんですよねぇ……」
 おっと、さすがのこの状態のエーミールでもその逃れられない現実から目を逸らしきれはしなかったようだ。というか持ち逃げしたら依頼を受けたグリモア猟兵の面子丸潰れなので、というかオブリビオンは倒したけど依頼的には失敗じゃね? って感じがするので、マジでここで全部持っていたらグリモア猟兵が奪い返しに来る。これは戦場で得たものではなく、正式に受けた奪還依頼の対象なので。ナイフ両手ににこにこしながら奪い返しに来るよ。
「あっ……でもこの量……どう見ても一回分じゃあないですよね……だったら……ほんのちょっとくらい……一割くらい……「最初からなくなっていた」ことにしてしまっても……よいのでは……?」
 悪魔が囁いた。きらめく薬液を湛えたガラス瓶を両手に抱きながら、長い長い間考え込むエーミール。
 
 ――この後。神殿に無事「豊穣の秘薬」は返還された。収穫祭を迎える準備も無事に始めることが出来そうだ。ついでに道中で捕まえられた野盗だとか、どこから盗んできたかわからない財宝たちもとりあえずは神殿が押収する形となった。
 しかし、変換された「豊穣の秘薬」が、盗まれた時からほんのちょびっと減っていたのか、それとも盗まれた時と寸分違わぬ量を保っていたかは、語られない物語である――。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年10月30日


挿絵イラスト