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銀河帝国攻略戦⑬~ガルベリオン攻略への道筋

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 銀河帝国との戦闘は徐々に解放軍が戦線を押し上げてきている。
 今は帝国軍の大要塞であるエンペラーズマインドの攻略が進められている所だ。
 だがまだまだ予断を許さない状況が続いている事も確かであり、プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)は何時になく真剣な面持ちで猟兵たちに切り出した。
「今回は、宙域探索をお願いしようと思います。」
 何故このタイミングで調査が必要になってくるのか、プルミエールはその疑問に答える為に即興で図を描き始める。
 一生懸命に描いている要塞の絵は、金平糖にしか見えないのは置いておこう。
 飛び回りながら図面を書き上げきったプルミエールは、恥ずかしさを誤魔化すのに軽くせき込んでから説明に入った。

「この様に、現在解放軍はエンペラーズマインドまで進軍しています。調べてもらいたいのは大要塞周りの宙域で、既に撃破済みである帝国軍の艦艇の残骸の周辺です。キーワードは『ドクター・オロチ。』」
 執政官兼科学技術総監であるドクター・オロチ、技術面において帝国に多大な貢献を果たしているとの噂だ。
 プルミエールが言うには、ドクター・オロチの乗艦である実験戦艦ガルベリオンの索敵出来ていないでいるのだという。
 他の艦にはない強力なジャミングが施されている様で、艦艇の位置が特定出来ていないのだ。
「そこで出てくるのが、奴がエンペラーズマインドに派遣してきた艦艇の残骸となります。残骸周辺に艦を隠す為のジャミング装置が発見されました、それも一つだけではなく何個も存在するのです。皆さんにはジャミング装置を破壊してもらうというのが、今回の任務といったところでしょうか。」

 更にプルミエールはジャミング装置の破壊方法について付け加える。
「このジャミング装置は機能しままですので、破壊しようとする際に装置の防衛機構が発動します。これは電撃等の物理的な妨害機能ではなく、精神的なモノなのがまたドクター・オロチらしいと言えましょうか。」
 精神攻撃を仕掛けてくる防衛機構とは、奇才の考える事は常軌を逸している。
 ジャミング装置の見た目も、無数のアンテナが人間の脳に突き刺さったモノなので趣味が良いとは決して言えないだろう。
「具体的な防衛機能は、阻害対象のトラウマとなる出来事などを再現させるというモノです。対抗出来ないとジャミング装置から遠ざけられてしまうという代物だとか。」
 トラウマの克服には強い精神力が必要だ、猟兵たちの心の強さが試されるという訳だ。

「目的はジャミング装置の破壊ですが、己との戦いに打ち勝つ必要が御座います。トラウマを払拭すれば、ジャミング装置を破壊する距離まで詰める事が可能です。皆さんであればやってくれると、私は自信を持って言えるでしょう。」
 小さい胸を目一杯に張りながら、プルミエールは宣言するのであった。


銖梨
 このシナリオでは、ドクター・オロチの精神攻撃を乗り越えて、ジャミング装置を破壊します。
 ⑪を制圧する前に、充分な数のジャミング装置を破壊できなかった場合、この戦争で『⑬⑱⑲㉒㉖』を制圧する事が不可能になります。
 プレイングでは『克服すべき過去』を説明した上で、それをどのように乗り越えるかを明記してください。
 『克服すべき過去』の内容が、ドクター・オロチの精神攻撃に相応しい詳細で悪辣な内容である程、採用されやすくなります。
 勿論、乗り越える事が出来なければ失敗判定になるので、バランス良く配分してください。

 このシナリオには連携要素は無く、個別のリプレイとして返却されます(1人につき、ジャミング装置を1つ破壊できます)。
 『克服すべき過去』が共通する(兄弟姉妹恋人その他)場合に関しては、プレイング次第で、同時解決も可能かもしれません。

 どうも、将軍タイプよりも参謀タイプにときめく銖梨です。
 ドクター・オロチをとっちめる準備として、ジャミング装置をぶっ壊していく依頼です。

 上記の通り、トラウマが記載されていないとリプレイを書く事が出来ないのでご注意ください。
 共通したトラウマを克服する場合には、プレイング上で指定をお願い致します。

 因みに、私のトラウマはシナモンロールの食べ過ぎでシナモン嫌いになった事です。
 ちょうど最近になって克服した所ですので、皆様も自分のトラウマと戦っていきましょう。
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第1章 冒険 『ジャミング装置を破壊せよ』

POW   :    強い意志で、精神攻撃に耐えきって、ジャミング装置を破壊する

SPD   :    精神攻撃から逃げきって脱出、ジャミング装置を破壊する

WIZ   :    精神攻撃に対する解決策を思いつき、ジャミング装置を破壊する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナハト・ダァト
克服すべき過去』
幾度も神隠しに会い
自らが何処から来て
どういう存在だったのかすら思い出せない事

何も無い、何も覚えていない事の恐怖

しかし、思い出す
六ノ叡智
それは希望を届ける力
自らに振るえば
助けた患者、今の周囲にいる仲間からが医者である自分にかける期待を思い出す

確かニ、何も覚えていないことは辛いヨ
でもネ、それが先へ進むことを諦めルどんな理由になるんだイ?
ならないサ

私ニ期待する者が居る限リ、
私は決して折れること無く医者である自らニ誇りを持とウ

それガ、今の私なのだかラ

※アドリブ歓迎



 急に目の前の視界が反転するかの様に揺らぐ。
 眼前に捉えていた筈の醜悪な見た目をしたジャミング装置が見当たらない。
 それどころか周りの船や要塞すら見えず、まるで宇宙の果ての様な空間。
 いや、星の煌めく光すら見えず何処にいるのかも分からない真っ暗闇。
 しかし自分の姿だけはハッキリと見えている。

「此れハ……。」
 ナハト・ダァト(聖泥・f01760)は自分の意識が無の世界へと引きずり込まれている感覚に気付く。
「如何したというのカ。」
 その問い掛けに答えは返ってくる事はない。
 自分が声を出して喋っているのかも曖昧に感じる。
「フム………………。」
 世界から途絶されたかの様な状況に、ナハトは己の思考を巡らせてゆく。
 此処は自分自身を表しているのではないか。
 自らの存在すらも無であるかの如き空間。
 生い立ちはおろか過去の一切を覚えていない自分。
 無の世界はそんな自分を体現している。
 そう考えるのがごく自然なのではないかと。

 だがナハトはふと気付く、自ら光輝くその腕に。
 ――六ノ叡智
 其れは希望を届ける為の力。
 生命の活力たる希望は、前進するに必要な原動力。
 今その力を己自身に振るおう。
 そう決心するやいなや、その腕を自らにかざす。

 脳裏に浮かぶは自分が助けた患者たちの温かい笑顔。
 医者としての自分にかけられている周囲からの期待。
 今の自分にはこんなにも必要としてくれる仲間がいる。
「確かニ、何も覚えていないことは辛いヨ。」
 過去の自分に語りかける。
 どういう存在かすらも記憶にないのは恐怖だろう。
 だが――
「でもネ、それが先へ進む事を諦めルどんな理由になるんだイ?」
 未来を掴むのは今の自分であると。
 ハッキリと言い放つ。
「ならないサ。」

 眩い光が心に広がるのを感じる。
 希望の力を自らに浴びせたナハトは無の世界を振り払った。
 ジャミング装置からはそう距離は離れていない。
 防衛機構を打ち払った今なら破壊する事は容易いであろう。
 ほんの短い時間であったが、己を見直す機会となった事は糧となり得るだろうか。
 固い信念により先を見据え前進するナハトは思う。
 ――自分を必要とシ、期待する者が居続ける限リ。
 ――自らハ決して折れる事は無ク、医者として生きていく事に対シ誇りを持ってゆこウ。
 ――そウ、それガ、今の私なのだかラ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弥久・銀花
私の克服するべき過去は、左目を抉り取られたあの時の苦い敗北ですね。

【POW】

もう既に吹っ切ってこの場に居ます、今更想起されようとも既に通った道です。 こんな物は通じませんよ。


ジャミング装置に近付いたらユーベルコードの人狼咆哮で粉砕します。



 懐かしき香りが鼻をくすぐる。
 慣れ親しんでいた景色が眼前に広がる。
 見間違える訳も無い、故郷の街ではないか。
 そして自分の横を通り過ぎるのは紛れもない自分自身だ。
「一体これはどの様な……。」
 弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)は突然の事に思案する。
 ワープ装置か何かで飛ばされたか。
 否、それでは自分が二人居る説明にはならない。
 だとすればそれは。

 銀花の思考を中断させるのに十分な破壊音が街に響き渡る。
 目の前に居る自分は足を止め、音がした方向へ一目散駆け出す。
 その姿を追いかける彼女は、何が起きているかを思い出した。
 それもその筈、彼女の心にある記憶を投影している様なモノなのだから。
「全く、趣味が悪すぎませんか。」
 実に嫌らしい防衛機構をしているではないか、彼女はため息交じりに呟く。
 その先では既に過去の自分とオブリビオンの戦闘が開始されていた。

 戦いの結果は身をもって知っている。
 自らの剣術に驕った訳ではない、だが敗北した事は事実。
 左目に残る傷は、初陣となったこの戦闘で負ったモノなのだ。
 目の前で繰り広げられる戦いは、決して美しい思い出なんかではない。
「ですが、もう既に吹っ切ったからこそ、今この場に私は居ます。」
 凛とした顔で銀花は声を張る。
 オブリビオンの斬撃が届く前に、記憶の中の自分の姿が霧散した。
「今更想起されようとも既に通った道です、こんな物は通じませんよ。」
 そう言い放つや否や、記憶の中の敵を街の情景もろとも一閃する。

 目の前の景色が元の宙域に戻る、ジャミング装置からはそう離されていない様だ。
 悪い夢を見せた邪悪な装置を睨みつけ、渾身の咆哮を叩きつける。
 ジャミング装置の消失を確認した銀花は、軽く深呼吸を挟んでからその場を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィ・ハンブルビー
ボクは生まれつき、周りのフェアリーと違っていた
故郷の里で唯一蝶のような羽を持っていて
尋常じゃない怪力で
動き回ると体が恐ろしい高熱を放って
穏やかな性格ばかりの里人の中で一人だけ腕白で…
だから
「お前は拾ってきた子供だ」とか
「里のフェアリーじゃない」とか
「出てけ」とか「怖い」とか「気持ち悪い」とか
言われたらどうしようって、少し思ってた

でも、実際言われてみてはっきりわかったよ
ボクの父さんや母さんが…
穏やかでいつもニコニコしてた里長が!
一緒に森を駆け回って遊んだ友達が!
そんな酷い言い草するわけないだろ!
この幻影を作った敵も、自分の心の弱さも凄くムカつく!
オロチだかなんだか知らないけど、後で絶対ぶん殴る!



 此処は何処だろう。
 木漏れ日の光が差す事に気付き、ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)は目を開ける。
 ついさっきまでの自分の戦いが夢だったかと錯覚する様な光景。
 肌で感じる風の匂い、眩い日の光、生い茂る樹々。
 紛れもなく故郷の里近くにある森の入り口だ。

「あれれ、ボク寝ぼけちゃったんだっけ。」
 大樹の幹を背にしながら、自分の周囲をふと見回してみる。
 明らかに故郷の里以外に思い当たる場所は無かった。
 ニィが困惑していると、里のある方角から複数の影が現れる。
 振り向いてみると、それは故郷で暮らす両親やフェアリーの仲間たちだった。

 突然の身内の登場に身体が先に反応してしまうニィ。
 近くに飛び込もうとする彼女だったが、向けられる視線の冷たさに踏みとどまる。
 見た覚えも無い表情を目の当たりにしてしまい、思わず問い掛けようとする。
「えっ、どうしちゃったのみん……」
「黙らんか、騒々しいよそ者が。」
 里長である年長のフェアリーに一喝され、思わず身がすくむニィ。
 笑顔でニコニコしている記憶しかない里長が、まるで別人の様な顔をしている。
「知らなかっただろうが、そもそもお前は里のフェアリーではない。」
 更には彼女の両親が、蔑んだ表情で見つめてくる。
「お前は拾ってきた子供なんだ、自分でも気付いているんじゃないか。」
 その後ろでは、一緒に遊んでいた友達たちが『出てけ』コールの大合唱だ。

 ニィの身体には、他のフェアリーと違う事が幾つもあった。
 ――羽の見た目は自分だけ蝶の様な形状。
 ――運動神経が抜群という言葉では片付けられない程の怪力。
 ――動き回るだけで身体が高熱を纏う体質。
 ――わんぱくな性格で、温厚な性格である周りの里人たちを振り回す。
 負い目が一切無かったと言えば嘘になる、だがしかし。

「うん、実際言われてハッキリ分かったよ。お前たちはボクが知ってるみんなじゃないっ。父さんや母さんに里のみんなが、そんなに酷い言い草をする様な悪い人たちな訳ないだろ!」
 怒りのままに飛び回り、大樹の幹へと渾身の熱い一撃をぶちかます。
 大樹が真っ二つに割れたかと思うと、周りの風景が歪み元の場所に戻っていく。
 ジャミング装置を直接攻撃していたみたいで、脳にぽっかりと大穴が空いている。
「ボクの大事な里のみんなを汚す様な事をするなんて……絶対に許さないんだよ!」
 装置を作ったドクター・オロチに対しても、自分の心の弱さに対しても憤るニィ。
 彼女の強い決意は、この戦いに対する大きな糧になるに違いないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レド・ダークライト
···くだらんな。
かつて故郷を襲った宿敵、そして後悔との対峙になるだろう。
だが、それはもう過去のもの。
ジャミング装置の精神攻撃など乗り越えてみせよう。

じゅうぶんに「気合い」を入れ、トラウマと対峙する。
悪いが俺はもう1人ではない。
多くの戦場を共にした義兄弟が教えてくれたんだ。
過去よりも俺は未来を変える。とうに「覚悟」はできているぞ!
さあ【盟約の鉄血】を使い、自身のトラウマを斬り伏せ、ジャミング装置を破壊させてもらおうか!



「ふん…………くだらんな。」
 苦虫を噛みつぶした様な顔でレド・ダークライト(紅き閃光・f01284)は吐き捨てる。
 眼前に広がるは、もう見る事も叶わぬ故郷の都。
 立派で佇まいであった家も、大通りの喧騒も滑稽に映る。
 彼が明らかに不機嫌であるのは、今は亡き故郷が踏みにじられる事が容易に想像出来るからだ。

 程無くして彼にとって最も忌々しい存在がその姿を現す。
 雄々しき海の神と謳われた者にまつわるモノが合わさって生まれた怪人とでも呼べばよいのか。
 滑らかな海豚の様な身体に蛸の足、背ビレを囲うかの様に蟹の手足が生えている。
 邪悪な色をした目が、ギラリとレドを睨みつけてくる。
「……悪いが俺はもう1人ではない、過去の様にはいかん。」
 気合十分の眼差しで己の宿敵を睨み返すレド、その手には鮮血の黒剣が握られている。
 過去の自分では打ち勝てなかった相手であるが、言葉通り今のレドは1人ではない。
 多くの戦場を共にしてきた義兄弟の存在が、彼を成長させていたのだ。

 己の血を捧げる事により、鮮血の黒剣の力を解放させるレド。
「確かに過去の傷は重いだろうが、俺は未来を斬り開く事を選ばせてもらうぞ!」
 強い覚悟が込められた咆哮と共に、宿敵の存在が真っ二つに裂かれる。
 それと共に防衛機能が解除され、景色が元に戻ってゆく。
 もう迷う事は無いだろうと、彼はジャミング装置に向かって黒剣を振りかぶるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キリカ・リクサール
POW

私は常に守られていた
家族に、仲間に、友に
UDCが私の家族を殺し
UDCが私の仲間達を、親友を殺した
私はUDCを許すことは出来ない
だが、一番許せないのは私自身だ
ただ震えるだけだった私、ただ守られるだけだった私
彼らは私を許してくれるだろうか?
彼らが許しても、私は私を許せるだろうか?
彼らを犠牲にして生き延びることが私の運命だったのだろうか?
彼らが私を蔑む目で見ている
彼らが私を責める声が聞こえる

けど、私はその声を聴いても前に進まなければ行けない
運命という言葉に逃げる場所はない
私は歩き続ける
過去に足を付けている時間はない
それでも
また逢えたことは嬉しかった

過去の亡霊を振り切り、ジャミング装置を破壊する



 誰かが呼ぶ声がする、誰の声だろうか。
 暗く長い廊下が続いている場所に、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は佇んでいた。
 廊下の床の両端にエメラルド色の誘導灯が、一定間隔で伸びている。
 少なくとも宇宙空間や戦艦の中ではない、どちらかと言えば地元に近い感じであろう。
「こんな何もない場所に意味はあるのか……?」
 問い掛けには答えが返ってくる様子は無い、キリカは慎重に歩を進めてゆく。

 どうやら廊下の途中には幾つかの電子扉が存在しているらしい。
 扉はすりガラスとなっている為に、中の様子を覗く事は出来ない様だ。
 キリカが最初の扉の近くまで来ると、懐かしい声が聞こえてくる。
 それは特務機関時代の同僚たち、過去に同じ時を過ごした仲間。
 談笑でもしているのだろうか、なんとも楽しそうな声が聴こえてくる。

 しかしキリカが扉の横まで進むと、部屋から明かりが消えて音もしなくなる。
 彼女のいる場所の先には同じ様な扉が何組か存在していた。
 聴こえてくる声はどれも懐かしいものばかり、自分の家族の声がする扉も存在した。
 だが近付く事で反応が消失する、拒絶されているのではないかと錯覚してしまう。

 そうして暫く歩いた先に、廊下の突き当りが見えてくる。
 同じ様に扉が存在するみたいだが、最初から明かりが灯っていない。
 扉の前に人影が見えてくるのが分かる、もしやと思った彼女は足早に近付いていく。
 顔の輪郭が確りと見えてきた辺りで自然と立ち止まる、突き当りの大体5m手前だろうか。
「お前、どうして此処に……っ。」
 思わず声が詰まってしまう、今は亡き親友の姿が目の前にあるのだから。
 話したかった事は幾らでもある、しかしキリカは言葉を紡ぐ事が出来ない。
 彼女を見詰める親友の目が、氷の様に冷たく感じてしまったのだ。
 一歩後ずさりそうになった所で、背後から気配を感じふと振り返る。
 其処には彼女の家族や仲間たちが集まっていた。
 親友と同じ様な表情を浮かべながら……。

 ――守られる存在であった自分。
 ――誰も守る事が出来なかった自分。
 ――無力な存在だった自分を皆は許してくれるのか。
 ――そもそも自分で自分を許せるのだろうか。
 ――自分が生き延びる事で皆は犠牲になったのではないか。
 頭の中に様々な声が響いてくる、それは彼女を責める声。
 声の数は徐々に増え重なってゆき、聞き取れない位になってしまう。
 彼女は瞳をぐっと閉じ、利き手を強く握りしめる。

 それはほんの数秒であったが、決意を固める長い長い時間だった。
 キリカは目を見開き、同時に突き当りの扉に向かい歩き始める。
 どんなに辛い過去であったとしても、やり直す事は出来ない。
 前を向いて自分の足で歩き続けるしかないのだ。
「こんな形でも、また逢えた事は嬉しかった。」
 独り言の様に呟きながら、親友の脇を過ぎて外に出ようとする。
『ああ、お達者で……』
 そんな声が聞こえた気がした。

 扉から出たと思った所で、目前にジャミング装置が現れる。
 どうやら防衛機構の突破に成功したらしい。
 不思議な体験ではあったが、今後の自分の糧になるであろう。
 過去と決別する訳では無い、自分は逃げずに先へと進もう。
 そう決心するキリカは、ジャミング装置を撃ち抜くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チトセ・シロガネ
【WIZ】
攻撃してくるユーはボクの駆体の過去みたいだネ。
光が強ければ自身の後ろの影も強くなるとは誰の言葉か忘れたケレド、
闇を纏ったボク、ただの兵器として破壊する機械だったんだネ。
オマエには戦しか生きる意味は無い、破壊を楽しめ。
あの血に飢えた瞳とそのアタックがそう訴えてるようだヨ……。
ディフェンスで手一杯ネ。

だけど、今のボクは戦い以外に楽しい文化、いっぱい見たよ。
これを守るのが今の生きる意味ネ。
だからこそその言葉は断ち切るよ。

同じ姿なら同じスキが持つはずヨ。
【見切り】で見つけて逆に利用するネ。

斬りかかるその一瞬、その一拍に【早業】で踏み込む【勇気】、
【鎧無視攻撃】の一閃でフィニッシュヨ!



 刀と刀が当たる音が連続で響き渡る。
 それも金属音ではなく、何らかの駆動音に近いだろうか。
「いきなり攻撃してくるナンテ、せっかち過ぎだヨ。」
 突如現れた敵に文句を言うチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)。
 しかし相手は聞く耳を持たず、鋭い斬撃を次々と繰り出してきている。

 相手の攻撃が重く、防戦一方になるチトセ。
 だが彼女は既に勘付いている、攻撃してくる相手が己の過去である事を。
 容姿が同じだけであれば、他にも可能性はあるであろう。
 それでもその答えとなる理由、其れは斬撃を通じて彼女に伝わっているのだ。
「闇を纏ったボク、瞳が血に飢えてて怖すぎるヨ。ただの兵器として活動するだけの、破壊の為に存在する機械だったんだネ。」
 のらりくらりと生きていく事はせず、純粋に破壊のみを楽しめと。
 戦以外には生きる意味も価値も無い存在であると、力で示そうと攻め立ててくる。

 それでもチトセは今の自分が間違っていないと言う自信があるのだ。
 色んな世界へ触れていく中で、戦以外にも楽しめる文化を沢山体験した。
 滞在先の酒屋で掘り出し物に巡り合えた日には、夜通し最高な気分だった。
 そんな今の生活を守っていく事、彼女が今を生きる意味として充分な価値がある。
「ボクの楽しみを伝えれないのは残念だけド、ユーからのお誘いもお断りさせてもらうヨ。」
 ここまでの攻撃において、斬撃の癖が自分と同じであると見切ったチトセ。
 相手が上段切りから刀を切り返す折を見て、次の一撃が最も遠くなる位置へと滑り込む。
 そして相手が次の一手に移るまでの刹那の間に、チトセは胴を一閃。

 二人は時間が止まったかの如く微動だにしなかったが、先に過去の幻影が崩れ落ちる。
 消失した幻影を見届けたチトセはふと思う。
 過去の自分からは今の自分がどう映っていたのであろうかと。
 だが今は分からずとも、将来の自分が保証してくれるに違いない。
 そう思う事にしたチトセは、防衛機構を失ったジャミング装置を破壊するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュセフィーヌ・オールセン
心情
「精神に影響を及ぼすジャミング装置ですか……そんな物、廃棄させて頂きます!!」

克服すべき過去
「森にいた時、ハチの巣をうっかり踏んでしまってハチに襲われた事があるんですよね。その時以来ハチが苦手で…」

ジャミング装置が私にハチの幻覚を見せていると、ユーベルコード「スカイステッパー」でジャミング装置を蹴ってしまい、ジャミング装置が爆発してしまいます。

ジャミング装置を壊した後我に返り、こう呟きます。
「久しぶりに嫌な物を見てしまいました…」



 どうしてこうなった。
 リュセフィーヌ・オールセン(オラトリオのビーストマスター・f10236)は駆ける。
 それは偶発的な過ちとでも言えば良いのか。
 何かを考える余裕も無く駆ける。いや、駆けないといけなくなっている。
 涙目になる彼女を追いかけるのは…………。

 さぁさぁ、やってくるは小さき命の集まり。
 侵略者から住処を守る為、皆で外敵へと突撃するのだ。
 その数たるや正確には分からぬが、ざっと百は居るのではないか。
 全てが我先にと追ってくるのであれば、逃げてしまう気持ちも分かる。
「もお、いい加減諦めてくださいよー。」
 リュセフィーヌは大勢の蜂から必死に逃げている。
 森で生きてきた彼女だが、蜂が大の苦手なのだ。
 過去にうっかり巣を踏み抜いてしまい、激怒した蜂の大群にお世話になった事がある。
 その時の感触は、今思い出しても鳥肌になりそうな位だ。

 全力で蜂から逃げるリュセフィーヌは、そこら中を跳ね回る。
 スカイステッパーで上下に蜂の大群を揺さぶってやり過ごす作戦だ。
 だが幾ら振り切ろうとしても、旋回しては戻ってきてしまう。
 必死になるリュセフィーヌの膝の辺りに、なんとも不可解な感触が襲う。
 非常に柔らかくもねっとりしている、何かにぶつかってしまった様な感じ。
「えっ、えっと……。」
 気が付くと背中から聴こえていた、大量の羽音が消失しているではないか。
 実は蜂は彼女をジャミング装置から引き離そうとしていたのだが、直線的ではない動きをされて為に誘導に失敗していたのだ。
 周囲で暴れられれば、見えていずともいずれは被害がでてしまうという事だった。
 落ち着く事が出来て漸く我に返ったリュセフィーヌは深く息をつく。
「久し振りに嫌な物を見てしまいました……。」

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
私が記憶を失った核心に近づいている…


●過去

その女性は夫から毎日酷い暴力を振るわれていた
その女性に悪魔が囁き夫を殺させようとした

私は女性も夫も死なせず
悪魔だけを倒したかった
それには女性を説得して思い留まらせる必要があった

別れて暮らせばいいと説得したけれど
女性は夫が探しに来る事を恐れて悪魔と契約
大勢が死んだ…私のせいで…

同情だけでは人を助ける事は出来ない
私は誰も助ける事ができないのかもしれない
そう思うと不安で何もできなくなりそう…

●抵抗

だから私は相手の立場に立って
その苦しみを引き受ける事で
少しでも安心させたい

私が自分の身を捧げる事で
少しでも相手の苦しみを取り除けるのなら
この身が傷つく事を恐れません



 最初は映画を見せられている様に感じていた。
 でも何故だろう、見た事が無い映画の筈なのに先の展開が予想出来てしまう。
 それに酷く胸が苦しくなる、この痛みを私は体感した事があるのではないか。
「これは一体、でもこのお方は……」
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は両手を胸に当てて思案にふける。

 すると目の前を閃光が走った気がした。
 気付くと先程まで画面の先に見ていた洋室にシホは佇んでいた。
 結構広めな寝室であり、掃除が行き渡っていて清潔感が保たれている部屋だ。
 そして彼女の目の前には一人の女性がベッドに腰かけている。
 直接対峙する事によって彼女は気付いてしまう。
 この女性は、自分が救う事が叶わなかった人であると。

 ――女性は夫から毎日の様に酷い暴力を振るわれ困っていた。
 ――精神的に参っていた女性に、悪魔が目を付け魂の救済を騙ってきた。
 ――夫を殺してしまえば楽になれるのだと。
 私は選択を間違った、悪魔の企みを阻止する事ばかり意識していた。
 女性の事を軽んじたつもりは一切無い、でも私の説得は届かなかった。
 相手を思いやる慈悲の心だけでは助けれない命がある。
 それでは私は誰も助けられていないのではないか。
 不安な気持ちに心を支配されて圧し潰されそうになる……けれど。

 シホは女性を抱きしめる、全てを包み込む様に。
「もう大丈夫です、私に任せてください。」
 必要なのは説得なんかではない、彼女の苦しみを受け止める事だ。
 彼女の立場を理解してあげて、彼女を安心させてあげたい。
 相手の苦しみを和らげる為であれば、自らが傷付く事を厭わない、
 そんな献身の心が、ほんの少しではあるが彼女を笑顔にした。

 一瞬にして彼女の姿が部屋ごと消え失せる。
 確固たる信念を見せる事により、防衛機構を突破したのだろう。
 後は眼前に見えるジャミング装置を破壊するだけだ。
 シホは自らが志す道に対し、強い意志をもって進んで行こうと心に決めるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リズ・ルシーズ
【トラウマ】
虚ろな瞳の少女がいる。四肢は無く、黒い眼窩にはあるべきものがない。狂った笑みを浮かべる白衣の者達が輝くメスで少女の身体を切り裂いてゆく。声帯すら切除された少女は叫び声の1つもあげることは許されていない

【今】
(頭が割れるように痛い)気持ち悪い、ボクにはそんな記憶は無いよ!

絞り出すような声、そして、意識は突然途切れる。

虚ろな瞳、そして不機嫌な表情、自動起動した【Re-A】がリズの身体を操っている

精神攻撃で私が自動起動するなんて、珍しいことですね。この子は全てを知らない只の子供。余計な入れ知恵はご遠慮させていただきます。

【擬似刻印】による、【零距離射撃】からの光【属性攻撃】で装置を攻撃



 頭がもの凄くイタイ。
 本当に割れるのではないかという位にイタイ。
 いや、既に割れているからイタイのではないか。
 リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は錯乱状態に陥っていた。

 やや薄暗い実験室みたいに見える部屋を、丁度見下ろせる位置にリズは浮いていた。
 部屋の中央には手術台があり、白衣の人影がずらりと囲っている。
 手術台には少女が横になっており微動だにしていない。
 少女が手術を受けている様にはまるで見えなかった。
 何故ならば、見当たらないのだ。
 本来であれば存在する筈の手足が。
 綺麗な顔からも既に片目が失われている。

 そんな状態の少女の身体に群がる白衣の者たち。
 手に持った鋭利に輝くメスで、少女の身体は次々と切り刻まれてゆく。
 声帯は予め切除されているのか、少女は叫び声もあげられず身動きも取れない。
 濁った虚ろな瞳は、リズの顔を捉えている。
 だが今のリズは、少女に見られている事すら気付く事が出来ない。
「うぅ……こんなの知らない。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い、ボクにはそんな記憶なんて無いよ!」
 必死に声を絞り出した所で、突如リズの意識は暗転する。

 力の抜けたリズの身体が起こされる。
 先程までと打って変わって、虚ろな瞳で不機嫌な表情を浮かべている。
 彼女の生命維持システムであるRe-Aが自動起動したのだ。
「精神攻撃で私が自動起動するなんて、珍しい事ですね。ですが、この子は何も知らないただの子供に過ぎません。余計な入れ知恵はご遠慮させて頂いております。」
 そう言い放つとほぼ同時に、擬似刻印からレーザーが容赦無くあびせられる。
 視界が光に呑まれる程の零距離射撃は、ジャミング装置本体ごと防衛機構を破壊する。
 リズが未だ覚醒してこない事を認識したRe-Aは、速やかに宙域を離れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・エイド
【WIZ】
トラウマねェ…
師匠に置いてかれたこと?
いや、それよりもその理由を聞くのが嫌だ!

アンタはあの時オレがいないと思って言ったんだろうが、
師匠から何でも知ってるアンタから、
オレの寿命が長くねェってのを聞いちまったのはこたえたんだ…。

…待てよ?
師匠がオレの気配に気づけねェわけない!
分かってて聞かせたはずだ!
アンタはクッソだらしねェが、
大事な時に無意味な行動はしねェたちだ!
猟兵として生きることで何らかの意味があんだな!!

よっし!生き抜いてみせるぜ!
つかコレ、ジャミングの幻影ってヤツか!?
うっわ腹立つ師匠ん顔してんなァ!!
双気弾銃で撃ち抜く!

じゃーな、師匠。
本物に会えたら
ただじゃおかねぇからなァ…



 爽やかな風が流れる草原にアイ・エイド(腐れ人狼・f10621)は居た。
 彼の正面には懐かしくも憎たらしい師匠の姿が遠くに見える。
 見捨てられる様にして別れた師匠が、今更どんな面で戻ってきたというのか。
「勝手に置いてったのはそっちだってぇのによォ!」
 悪態をつくアイだが、気になっている事がある。

 別れの少し前だっただろうか、偶然にも師匠が誰かと話してるのに遭遇した際の話。
 なんとなく聞き耳を傾けたのだが、耳を疑うような言葉が師匠から飛び出す。
 アイの寿命が長くないであろう事を確かに話していたのだ。
 何でもお見通しにされているのは腑に落ちないが、正直その時にはかなり堪えた。
 それで自分を置いて行ってしまったのかと。

 しかし、改めて師匠の顔を見たアイはハッとする。
 そもそも抜け目のない師匠が、自分の気配に気付けない訳がない。
 わざと自分に聞かせる事で、別れの挨拶代わりにしていたと。
 超が付く程のだらしない師匠であったが、全ての行動に意味を持っていたと。
 自分が猟兵として生きていく事を良しとしたのだと。
「よっし!そんなら生き抜いてみせるぜ!そうと分かりゃ……」
 師匠の目の前までやってきたアイは、その顔に双気弾銃を叩きこむ。
 明るい空が宇宙空間に戻り、ジャミング装置が破壊された事を確認する。
 偽物ではあったが久々の師匠の姿は懐かしく感じた。
 だが同時に本当の師匠に会って、一発ぶん殴りたい気持ちになるアイであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト