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銀河帝国攻略戦⑪~立ち塞がる刃金の巨兵

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「集まってくれてありがとう!
 早速だけど、今回みんなにはエンペラーズマインドのコアを破壊してもらうわ!」
 グリモアベースの一角で、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)は集まった猟兵たちへ唐突な無茶振りを行った。
 流石に「説明がないと困る」という声が上がり、クリスティーヌはやれやれと首を振る。

「みんなの活躍で、防衛艦隊とエンペライダーズは排除されたわ。後顧の憂いを断ったスペースシップワールドの艦隊は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的な攻勢を開始。一度は大打撃を与えることができたの」
 画面内で、青い戦艦の形で表された艦隊が、エンペラーズマインドをつつくと、要塞の横の「戦力値」と書かれたゲージがみるみる減少していく。
「でも、流石は帝国大要塞と言われるだけあって、そのコア……『エンペラーズマインド・コア』は、要塞の防御装甲と対艦武装が無限修復できる能力を持ってたの」
 要塞の戦力値がフル回復し、爆発のエフェクトを受けた青い艦隊が後ろに下がる。
「壊した端から修復されて反撃されるものだから、撃破なんてできるわけがない。現在、戦況は膠着状態に入ってしまっているの」

「そこで、この膠着状況を打開する為に発令されたのが、今回お願いする、猟兵による『コア』への突入作戦ってわけ。エンペラーズマインドへの突入は、スペースシップワールドの艦隊が援護してくれるから、比較的安全に行えるわ。
 内部の巨大隔壁も先行して突入した猟兵が破壊してくれてるから、コアマシンルームへ至る侵攻ルートも確保されている……んだけど。問題があって」
 要塞内に突入した青い矢印が、赤いロボットに立ちふさがれて、止まってしまう。
「帝国は、この最重要拠点に、古代超兵器『デストロイ・ウォーマシン』を配置したの。こいつを撃破しないと、コアルームに向かうことは不可能と言っていいわ」
 戦闘のみに特化し、感情を持たない『デストロイ・ウォーマシン』は、かつての『解放軍』の英雄達を何人も殺害したとされる強敵である。
 生命体の埒外にあるとされる猟兵であっても、油断すれば簡単に敗北しかねない強敵だ。
 万全の状態で臨むべきだろう。

「あ、そうそう。コアマシンルーム内は、殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満してるわ。私達猟兵でも数秒程度しか……具体的に言うと、渾身のユーベルコード一発程度しか撃てないから注意して。その後は、こっちで強制帰還させるから」
 逆に言えば、その一撃でコアを破壊してしまえ、ということでもあるのだが。

「今回は、正直言って厳しい戦いよ。だけど、みんななら勝ってくれるって信じてる。
 だから、生きてここに帰ってきて。よろしくお願いするわ」
 そう言うと、クリスティーヌは頭を下げた。


西野都
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

というわけで、2本目のシナリオは戦争シナリオとなりました、西野都です。
強敵『デストロイ・ウォーマシン』との戦いとなります。
オープニングにもありますが、非常に厳しい戦いとなります。

その戦いの中で輝くプレイングを、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●紅の殲滅戦機
そこは、廊下と呼ぶには広大すぎる空間だった。
台形状の巨大空間が、遥か奥まで延々と続いている。古式建築の穹窿天井のようでもあるが、曲線などは一切なく、全てが詳細不明の金属板を隙間なく組み合わせることで成立していた。
その中央に屹立する、巨大な機械。
いや、それが単なる機械なわけがない。
全体のシルエットは人型。だが、それは人にしてはどこか歪んでいる。
紅に染められた重装甲の上部から、奇妙なまでに細い首の先にある頭部らしきユニットに備えられた、青く光る単眼は禍々しく光り。
腕の代わりに伸びるのは、巨大な砲にビームセイバーの発振器。それが複数。
更に、背中に相当する場所からは、六連ミサイルランチャーが何基も敵を睨みつける。
ただシンプルに、敵を蹂躙し、殲滅し、消去するための機械。
デストロイ・ウォーマシンである。

機械音を立て、小さな頭部が君たちを見ている。
「本機ニ設定サレタ攻撃圏内ニ、複数ノ生命反応ヲ確認。……条件除外こーどナシ。全武装、せーふてぃ解除。本機ハコレヨリ、全殲滅もーどニ移行シマス」
砲からは装填音が、ビームセイバーが展開し、ミサイルランチャーのサイロが開く。
意志なき破壊が、猟兵に向けられようとしていた。
暗黒騎士・アングラング
私の祖先は、帝国に仕えて彼らの悪事の片棒を担いだ。その罪の精算は私の役目でもある。
デストロイマシンとやらの力がどれほどのものか、見てやろう。

でかい図体をしているが、私のサイコキネシスの敵ではない。
暗黒の力場で握りつぶし、砲台をねじ曲げてやる。精密に狙いをつけられなくなった砲など、恐れるに足りん。
弾詰まりを起こせば完璧だ。

倒した暁には、このマシンをサイコキネシスで持ち上げ、コアマシンへとぶつけてやろう。
これだけの質量だ、私の武器として存分に活用してやる!




「私の祖先は、帝国に仕えて彼らの悪事の片棒を担いだ。その罪の精算は私の役目でもある」
暗黒騎士・アングラング(光と闇の剣を自在に操る暗黒宇宙騎士・f08676)は、フォースセイバーと黒剣を構えつつ、デストロイ・ウォーマシンと対峙する。
帝国が滅びてからも、フォースナイトとして研鑽を続けてきた一族。
たとえ家を出て猟兵となっても、その強い自負はアングラングの胸に宿っていた。
「デストロイマシンとやらの力がどれほどのものか、見てやろう」
だからこそ、相手を見定めよう、考えたのかもしれない。

「でかい図体をしているが、私のサイコキネシスの敵ではない」
黒い輪郭を持つ巨大な腕の形をした力場が、デストロイ・ウォーマシンから伸びるアームの先に据えられた、ロングバレルキャノンを握りしめる。
「第1れーるきゃのんニ攻撃行動ヲ確認。さいきっくえなじーニヨル攻撃と推定」
腕が掴んだキャノンから、金属の軋む音が聞こえる。
アクチュエーターがアームを動かそうと駆動するが、暗黒の腕は逃さない。
「暗黒の力場で握りつぶし、砲台をねじ曲げてやる」
不可視――黒い輪郭を持っているが――の腕に力を込める。
数秒のうちに、キャノンは折れ曲がり、精密な狙いなど不可能になる。
はずだった。
「ですとろいとりがー起動、本機ハ一切殲滅もーどニ移行」
宣言と同時に、単眼が赤く光り、金属の軋みが止まる。
同時に、腕に拘束されているはずの砲が、徐々に動き始めていた。
「な、なんだこの力は……!?」
アングラングは、「素」が出るのを押さえながらも驚愕する。
ユーベルコード【暗黒念力】は、本来不可視のはずの念力が、その強さ故に黒い輪郭を帯びたものだ。普通なら、振り解けるものではない。
そう、普通なら。
「全敵性体ヘノ攻撃ヲ開始シマス」
赤い残光を引いて、単眼がアングラングを見据える。
続いて、ロングバレルキャノンが。
ミサイルランチャーが。
更に、紅の装甲の随所が開き、機銃が、ブラスターが、固定型ビーム砲が、掴んだのとは別のロングバレルキャノンが、スカート部の装甲に隠されたビーム砲が。
全て、アングラングに向けられて。
「ふぁいあ」
全砲門の焦点と化したアングラングの視界が真っ白な光に覆われ、暗転した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
どのみち急ぐに越したこともないか

魔眼・掃滅で消去
軌道を見切り最速で仕留めに
見えず聞こえない攻撃は防ぐにも難かろう
防がれるリスク低減のため乱発はせず一撃で終わらせに
先手を取られたなら自身への攻撃も消し飛ばす

各種技能は最大限活用

仮に解析されたら魔眼・停滞で打ち消す

コアも魔眼・掃滅で消去
視界に収めうる範囲全てを全力で

万一危険な状態の味方があれば回廊で退避させる



●原理VS大理不尽
「攻撃圏内、再検索……圏内ニ1体ノ生命体ヲ確認。条件除外こーどナシ」
 奇妙なまでに小さな頭部を、アクチュエーターの駆動音を響かせながら回し、デストロイ・ウォーマシンは言葉を紡ぐ。誰かに意志を伝えるためのものではない、ただのシステム音声。
「全殲滅もーどヘ再度移行。圏内対象:1体。攻撃ヲ開始シマス」
 だが、聞く者には伝わる。それは告死の宣言。
 刃金の姿を取る大理不尽が、駆動する。

「どのみち急ぐに越したこともないか」
 相対するのはアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)。
 世界が構成される前のルール『原理』を扱うという異能の猟兵である。
 その干渉領域は物理のみならず時空や確率、概念にも及ぶと語るが、人の身の制約故、規模と精度には大きな制約が生じている、と言う。
 故に、彼は情熱のない冷静さで、速攻を選ぶ。
 原理の魔眼発動まで、25分の1秒。その僅かな隙に、紅の刃金は初撃を仕掛けた。
 ビームセイバー発振器が複数構えられ、光を放つ。
 だが、その光は刃を象ることはなく、ただ性質のままに疾る。それも複数。
 複数部位を狙い、檻のように包み、穿たんとする鋼の戦機。
 その僅かな隙間を、アルトリウスは刹那の中で見出した。斜め後方に跳躍。足先を光条が掠めるが、戦機の攻撃は見切ることができたようだ。
「足元は見えているか」
 跳躍の中で身を捩り、視線を合わせて、ユーベルコード【魔眼・掃滅】発動。
 視界に収めうる全て、すなわちデストロイ・ウォーマシンの全て。
 その全てを異空へ放逐せんとする……!
「現地点ニ力場異常ヲ感知。後退シ牽制射開始シマス」
 デストロイ・ウォーマシンが、流星のような光を曳いてバックダッシュ。
 腰部装甲が各部独立駆動し、裏面のスラスターを全力噴射。細動して姿勢制御を行いつつ、巨大かつ大重量の躯体を高速で移動させるのだ。
 同時に、先の射撃では撃たなかったロングバレルキャノンやミサイルランチャーといった、実弾系装備も全解放。弧を描き、曳光し、両断する光が疾る!
 一撃一撃が死を運ぶ一射。その全てが、歪む。
 光が、煙が、金属塊が、歪み、捻れ、どことも知れぬ異空へと放逐される。
 アルトリウスと、デストロイ・ウォーマシンの間の死は、消え去った。
 その現象を、即座に紅の刃金は解析し始める。
「原理不明、原理不明。シカシ、一切ノ物理的影響ヲ与テイナイコトカラ、前攻撃ハ一種ノわーむほーる発生攻撃ト……」
 「歪め」
 アルトリウスは、即座に事象初期化の力を持つという【魔眼・停滞】を発動。
 機械如きに『原理』が解明できるものかという意志をもって、その思考を阻む。
 だが。
「わーむほーる発生攻撃ト推測。発動条件、間隔トモニ解析完了。回避るーちん更新完了、殲滅行動ヲ継続」
 それは本来ユーベルコードの事象を初期化し、打ち消すもの。
 骸の海から還りしオブリビオンとは言え、その思考演算はユーベルコードに非ざる、躯体本来の性能、超常ならぬ性能である。
 故に、『原理』はアルトリウスの意に背く。
 原初以前の法則であっても、一つの誤りが過誤を産むこともあるのだ。
「チィ、抑え込めないか」
「移動及ビ飽和射撃開始。敵処理能力ヲ超越スルマデ全力射撃シマス」
 再び、デストロイ・ウォーマシンが浮き上がる。
 同時に、再びの一斉射撃。再び【魔眼・掃滅】で消える。
 側面から一斉射。【魔眼・掃滅】。
 上方。【魔眼・掃滅】。
 背後。【魔眼……。
 反射的に体が動く。致命的なものを回避すべく。
 数瞬後に足元で炸裂が起き、アルトリウスの身体が浮き上がる。
 同時に大量の金属片が彼の衣服を、肉体の表面を裂いていく。生命活動に致命的なものは、回避のせいで避けられていたが。
 そう、発動速度こそ早くとも、敵が自らを捉えきれなくなれば発動しない。
 デストロイ・ウォーマシンの結論はそれであった。
 眼前で無表情に見つめる紅の大理不尽を見据えるも、もはや魔眼を放つことは叶わず、彼の意識は刈り取られた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ダビング・レコーズ
戦闘に特化し、感情を持たない当機はデストロイウォーマシンに類似した兵器だったのかも知れません
しかしそれを確かめる手段は無く必要もありません
作戦行動を開始します

行動方針:POW

デストロイウォーマシンと交戦
中距離からの援護射撃を開始

メガ・ガトリングカノンによる飽和射撃で反撃を阻止
近接戦闘を敢行する友軍を援護します
敵機が損傷増加により動作が不安定になった場合はプラズマ・バスターの直撃を狙います

敵の攻撃はデストロイトリガーを警戒し回避運動は抑えバリアシールド・ジェネレーターによる盾受けで対処

コアマシンルームの突入に成功後は速やかに全方位強攻破壊砲撃を発動
該当目標への直接攻撃後、作戦内容に基き離脱します


風間・敬人
はいはい、エンペラーズマインドへと乗り込んだ虎さんですよ。

とりあえず、コアマシンルームを守る、
デストロイ・ウォーマシンを破壊しろって言われて来たんだけども……。
あ、あれガチやばい奴だ。
俺の野生の勘がそう言ってる。
……ふう、落ち着け俺。
ステイクールだ。
何も正面からやらなきゃならない訳じゃない。
正面からやり合うんじゃなきゃ、いくらでもやりようはあるってもんさ。

まずは相手をよく見て……って、ガタイに比べて脚が凄い細いな。
なら攻めるは足元だ。
レプリカクラフトで、ごく浅い落とし穴と粘着剤の罠だ。
奴が足を踏み出すその場所に作ってやるぜ。
どんなに強かろうが、動けなきゃ良い的ってな。
後は他の奴らに任せるぜ。


エムピースリー・シャローム
最後の帝国時代のウォーマシン、ですか
同胞よ、己が本分を果たしなさい
己が望むことを為しなさい

それが自らの機能によるものなら――私がお相手いたしましょう

過去は道のり、現在は過去を通り過ぎ未だ来ぬ世界へ向かうのです

シールドを構え(盾受け)、前に進みヒートソードを振るいましょう(属性攻撃、二回攻撃)
直接戦闘能力では特殊機能に割かれた私より、あなたの方が上でしょう
兵装も最新、私の武装とは比べるべくもない――

ですが、旧式なりに特徴はあるのですよ

重い代わりに厚い装甲、重量はこちらが上です
戦闘経験もまた(歴戦兵)

長く稼働しているというのはそういうことです

さぁ、過去の戦では我々が勝利しました
此度はいかに!


ミスタリア・ミスタニア
ハハッ!こいつは流石に厳しいな!だが、それでオレが逃げる理由にはならないな!

敵の攻撃は『見切り、第六感』で極力避けたいが、無理でもビームシールドの『盾受け』で致命傷は避けたいな。
アームドビットとダガービットは『援護射撃』に回して敵の気を逸らしたいが、無理ならいっそ『かばう、武器受け』でビットごと盾にして『時間稼ぎ』に使うか。
『捨て身の一撃、ダッシュ』で懐に潜り込んでパイルバンカーで『鎧砕き』だ!装甲の亀裂に『2回攻撃、零距離射撃』の大型熱線砲(ブラスター・ランチャー)をぶっ放す!仮に懐潜り込んだところを攻撃されても致命傷だけ避けて『カウンター』だ!

コアにも同じく【グリュンシュトゥルム】だ!



●激戦の陥穽
 戦闘が始まって数刻。
 未だ、紅の戦機は戦場の王者として君臨していた。
 ロングバレルキャノンは、初速は光学兵器に劣りながらも圧倒的貫徹力を発揮し。
 ビームセイバー発振器は、近接戦闘のみならず、ビーム砲としても機能し。
 ミサイルランチャーは、数と炸裂による広い攻撃範囲、そしてどういったテクノロジーなのか、弾丸の生成による再装填を可能としていた。
 それが、意志なき機械仕掛けの知性により制御されている。
 まさに、かつて解放軍の英雄たちを数多屠った悪夢の再来である。

「戦闘に特化し、感情を持たない当機は、あれに類似した兵器だったのかも知れません」
 そう述懐するのはダビング・レコーズ(RS‐01・f12341)だ。
 かつて大破漂流していた所を回収され、再起動したダビングは、それ以前の記憶情報が欠落している。かろうじてサルベージできたのは、個体識別名称及び、銀河帝国の排除という命令履歴のみ。
 今は銀河帝国のみならず、オブリビオンそのものの排除を目的としているが、そこに感情はなく、課された使命(オーダー)を果たすのみ。
 ならば、あの紅い刃金、デストロイ・ウォーマシンと何の違いがあるだろうか。
 彼は、容量の0.05%を0.5秒だけ割いて演算した。その結論は。
「しかしそれを確かめる手段は無く必要もありません」
 あの戦機はオブリビオンであり、自らはそれを討つ使命を負った猟兵である。
 ダビングは、自らの定義のアップデートは必要なしと判断した。

「最後の帝国時代のウォーマシン、ですか。
 同胞よ、己が本分を果たしなさい。己が望むことを為しなさい。
 それが自らの機能によるものなら――私がお相手いたしましょう」
 デストロイ・ウォーマシンに問いかけるが如く呟くのは、エムピースリー・シャローム(ウォーマシンのシンフォニア・f01012)。かつて音によって幾多の戦場を静寂の支配下に置いたという、ダビングとほぼ同サイズながら、遥かに古いウォーマシンである。
 彼には記憶(メモリー)がある。
 幾多の戦場の記憶。廃棄され、瓦落多の中で朽ちるのをただ待った記憶。
 機械技師と歌手の夫妻に救われ、家族として迎えられた日の記憶。
 そして、夫人に、初めて静寂をもたらす以外の『歌』を教えられた日の記憶。
 その時の、思考ノイズの感触の記憶。
 それは時にエムピースリーを縛る呪いであり、また戦う力でもある。
 彼にとって、それは譲れぬものであり、紅の戦機と自らを分ける境界線でもあった。
 そうした記憶が幾多の者に数多あると知るが故に、彼なりの方法で戦うのだ。

「あ、あれガチやばい奴だ。俺の野生の勘がそう言ってる」
 体毛を立てて、デストロイ・ウォーマシンの危険性に心震わせるのは、風間・敬人(軽トラ・f04208)。虎としての本能が脳裏で鳴らす危険信号に、彼は正直だった。
「ハハッ!こいつは流石に厳しいな!だが、それでオレが逃げる理由にはならないな!」
 危険を感じつつも笑い飛ばすのは、ミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)。帝国との最前線育ちの彼女にとって、危険は乗り越えるものだ。
「いや、どう考えてもやばすぎるだろ?猟兵でなきゃ回れ右だろ?」
 ミスタリアの無謀とも思える言動に危機感を感じ、思わず口を出す敬人。
 ……と言いつつ、ミスタリアの女性鎧装騎兵用フィルムスーツで丸見えの、見事なボディラインと、豊かな胸の谷間をちらちらと見ている辺り、微妙に説得力があるとは言い難いのだが。
 その視線を知ってか知らずか、ミスタリアはため息をつく。
「ガタイでかいのに、意外と小心なのな、お前」
「いや、そういうわけじゃねぇんだが、こう、野生の勘って奴が」
 彼のこっそり向ける視線の先の胸は大きい。
「そりゃ、正面から行きゃ大抵のもんは怖えよ。けどな、横とか後ろとか上とか……大抵は何かしら意識の薄い所があるもんだ。そういう所をガツンってやるんだよ!」
 胸が大きく揺れ、拳がぶんと振るわれる。
 鼻先スレスレを全く減速無しで飛んでいく拳は、割と怖い。胸見てる場合じゃない。
 だが、肝が冷えたせいか、敬人は後頭部が妙に冷えて冷静になった、気がした。
「……ふう、落ち着け俺。ステイクールだ。
 何も正面からやらなきゃならない訳じゃない。
 正面からやり合うんじゃなきゃ、いくらでもやりようはあるってもんさ。
 まずは相手をよく見て……」
 敬人の軽口が止まる。視線も、ある一点で止まる。
 いきなり視線を外した敬人に、ミスタリアは彼の目の前で手を振る。
「おーい、ついに現実逃避か?」
「いや、もしかしたら行けるかもしれねえ!
 おーい、ウォーマシンの兄さんたち、ちと相談があるんだが!」
 敬人は手を振って、ダビングとエムピースリーを呼びに行った。

「作戦行動を開始します」
 ダビングの宣言とともに、ドラムマガジンを装備した、大型の中口径機関砲、メガ・ガトリングカノンが回転し、連続で重金属被覆弾を吐き出す。
「敵うぉーましんA、中距離ニテ射撃攻撃ヲ開始。本機ノ行動ヲ制限スル意図ト推測。反撃開始」
 ロングバレルキャノンが、射線の先で腰だめにメガ・ガトリングカノンを構えているダビングに向けられようとする。跳弾しきれず、紅の装甲のあちこちに凹みができるが、損失としては許容範囲と判断する。
 だが、その思考は放棄された。
「『翠の疾風』ミスタリアっ、いっくぜぇぇぇぇぇっ!」
 ミスタリアが、パイルバンカーを構え、人間で言えば右脇腹側へ懐深く突っ込んだ。
 デストロイ・ウォーマシンとは言え、無視できる速度ではない。
「脅威度更新、近接攻撃しーくえんす、発動」
 装甲の隙間から、何本ものビームセイバー発振器が現れ、力場展開。
 青い残光を従え、ミスタリアの両腕を、両足を、首を刎ねるべく光の刃が振るわれる。
 だが、それらの間に飛び込んでいく、幾つもの飛行体。
 優先順位が変更される。。
「やっぱ、盾にしかならねぇか!くっそ!」
 頭上で振るわれるデストロイ・ウォーマシンのビームセイバーを仰ぎながら、ミスタリアはぼやく。
 飛来したのは、彼女の持つ小型飛行兵装群。アームドビットとダガービット。
 援護射撃に回したかったのだが、攻撃が予想以上に厳しく、盾にせざるを得なかった。
 だが、そのお陰で距離は稼げた。
「バンカー、捉えた!」
 ミスタリアの構えたパイルバンカーの杭が、ついにデストロイ・ウォーマシンの装甲を捉えたのだ。薬莢が何発も吹き飛び、その度に超硬度の杭が装甲を突き破っていく。
 金属の砕ける音が、回廊に響く。
 そして、それだけで済ませる気は更々なかった。
「ゼロ距離、これで!いっちまえよやぁぁぁぁ!」
 パイルバンカーに仕込まれた、大型熱線砲が、装甲内部へと突き刺さる。
「装甲ノ8%、内部構造9%ヲ損傷。脅威度ヲ大ニ更新シマス」
 自らの手傷を冷静に分析し、アクチュエーターの音とともに、青い単眼がミスタリアを見下ろす。ミスタリアは手傷覚悟でカウンター攻撃をしようと身構えるが。
「私のことをお忘れではありませんか?」
 反対側、左脇腹方面から、エムピースリーのヒートソードの二連撃。
 紅い装甲が更に赤く赤熱し、切り裂かれ、食い込む。
 その隙に、ミスタリアは後方へと飛び退いた。
「すぺーすのいど、離脱。続イテうぉーましんB、近接攻撃デ本機ニだめーじ。反撃しーくえんすヲ起動」
眼下のエムピースリーに、何本ものビームセイバーが振りかぶられる。
だが、そのほとんどは、彼の構えた盾によって、火花を散らして跳ね返された。
その中のいくつかが、エムピースリーの装甲を焼灼する。
灰色の金属に、幾つもの溶解痕が刻まれる。手数の差が大きい。
「直接戦闘能力では特殊機能に割かれた私より、あなたの方が上でしょう
兵装も最新、私の武装とは比べるべくもない――」
 エムピースリーの言う通り、彼の武装はシールドと、赤熱して対象を溶断するヒートソード一本のみ。建造年代の差は、容易に見て取れる。
「ですが、旧式なりに特徴はあるのですよ」
 ヒートソードを、デストロイ・ウォーマシンの装甲に突き刺していく。
 ケーキに入刀するように、容易く刀身は装甲へと埋まっていく。
「うぉーましんB、脅威度大ニ更新。反撃」
 デストロイ・ウォーマシンが再びの多重斬撃。
 再びシールドを削り、また本体の装甲が焼灼されるが、エムピースリーは揺らがない。柄まで突き刺す。
 紅の戦機から一瞬ビープ音が上がる。
「重い代わりに厚い装甲、重量はこちらが上です」
幾度斬られても、静かに語り続けるエムピースリー。
「離脱シ、遠距離攻撃デノ撃破ニしーくえんす切替……切替……」
 デストロイ・ウォーマシンは腰の装甲裏スラスターを稼働させ、逃れようとする。だが、エムピースリーの重量は、その行動を許さない。紅の戦機の推力をもってしても、逃れられない。
 デストロイ・ウォーマシンはついに決断した。
「くりむぞんばーすとヲ使用。うぉーましんBヲ周囲ゴト消去シマス。本機モ10%程度ノ損失ヲ予想、シカシ許容範囲内デス」
何基ものビームセイバー発振器、ロングバレルキャノンが、エムピースリーに向けられる。ミサイルランチャーのサイロも開く。
「エムピースリーの兄さん!無茶だぜそれ以上は!」
 敬人がユーベルコードの準備をしながら叫ぶ。もう少しなのだが、それどころではない攻撃が来ようとしているのが、背筋の毛が逆立つので分かる。
「大丈夫ですよ」
「何がだよ!?」
「戦闘経験もまた、こちらが上です」
 エムピースリーは瞬時にヒートソードを引き抜き、一閃。二閃。三閃。
 同時に、一斉射撃による発光がデストロイ・ウォーマシンとエムピースリーを包み込んだ。
「馬鹿野郎!何やってんだ……!」
 後方に下がっていたミスタリアは思わず叫ぶ。
 こんな、自爆同然の行動を取るなんて……。
「いえ、熱源を確認。エムピースリー様は健在です」
 冷静なダビングの指摘と同時に、視界が晴れていく。
 回廊のあちこちは弾痕や溶解孔があちこちに発生し、ひどい有様になっていた。
 だが、エムピースリーは立っていた。同時に、その周囲は回廊の損傷とも無縁だった。
 そこだけが、ぽっかりと損害を免れていたのだ。
「エムピースリー様は、自機への照準を定めていた装備のみを破壊していました。そのため、機体が健在であったと推測します」
「長く稼働しているというのはそういうことです。が、限界はそう遠くありません。そろそろお願いします」
 そう言うエムピースリーの装甲は、各所に輻射熱による溶解や割れが見られた。
 装甲の劣化は想像に難くない。
 そして、デストロイ・ウォーマシンはというと。
「理解不能。本機デ出力デ破壊デキズ。理解不能……」
 威容は健在。しかし、システム音声とは言い難い発言を繰り返している。
「理解不能、シカシうぉーましんBハ脅威、脅威、破壊スベシ……」
 譫言のようなデストロイ・ウォーマシンの言葉。飛び退くエムピースリー。
 そして、デストロイ・ウォーマシンがエムピースリーの前に一歩踏み出した時。
 その紅の刃金が、大きく揺らいだ。

(ガタイに比べて脚が凄い細い。なら攻めるは足元だ)
 デストロイ・ウォーマシンの片足が、突如要塞の床に空いた穴にはまり込んでいた。
 その重量に比し、あまりに細い足は穴にはまり、完全に移動不可の状態に陥っていた。
(【レプリカクラフト】で、ごく浅い落とし穴と粘着剤の罠だ。奴が足を踏み出すその場所に作ってやるぜ)
 穴から脱出しようとデストロイ・ウォーマシンはもがく。
 しかし、足以外の支持肢を持たない構造と、穴の中の粘着剤に絡まれていることもあり、うまくいかない。
 これが、敬人の策であった。
 【レプリカクラフト】。仕掛け罠のみ極めて精巧に作れるユーベルコードである。
「どんなに強かろうが、動けなきゃ良い的ってな」
 敬人は鮫のように笑った。虎が鮫のように嗤うにはどうするか分からなかったが。
「じゃ、後は任せるぜ!」
 手をすっと上げて、彼はダビングの後方へと後退する。
 どの道、あの刃金に通用しそうな武器がないので、仕方ないのだ。
 代わりに飛び出したのが、
「さぁ、散々暴れた気もするが、ペイバックタイムだ!」
 パイルバンカーを振りかざしたミスタリアだ。転んだデストロイ・ウォーマシンの横を駆け抜けていく。
「自己診断……びーむせいばー発振器53%破損、ろんぐばれるきゃのん1門大破、1門ハ機械異常修復ニ30秒を要ス。みさいるらんちゃーハ発射範囲外……攻撃密度低下……」
 申し訳程度のビームが飛んでくるが、その密度はもはや先までとは比べ物にならない。転ぶことで、機体前面の装備が使用不可になっているのも効いていた。
「敵機の動作不安定を確認。プラズマ・バスターを使用します」
 ダビングは大口径固定兵装である、プラズマ・バスターを構える。
 エネルギー充填開始。
 粒子加速器、回転数規定数突破。
 バレル内プラズマ力場、安定。
 照準、敵脚部周辺。
「プラズマ・バスター、発射」
 帯電し、稲妻を纏った光が、デストロイ・ウォーマシンを襲う。
 紅色の装甲が、瞬時に沸騰し、泡を吹きながら融解していく。
 デストロイ・ウォーマシンのステータスが、一気に赤色に染まる。
「あとは貴女の役目です、ミスタリア様」
「よっしゃぁぁぁぁぁっ、いっちまえよやぁぁぁぁぁぁ!」
 緑のポニーテールを翻し、豊満な肉体をバネに、デストロイ・ウォーマシンの足へと飛びかかったミスタリアは、脆くなった装甲に全力でパイルバンカーを突き立て、内蔵式の大型熱線砲を撃ち込んだ。
 すぐさま飛び退く。
 直後に大きな爆発が起き、内部フレームが歪み、折れ、吹き飛ぶのが見えた。

「やったぜ! っても、ここまでか」
 視線の先には、満身創痍のエムピースリー。ここまではうまく行ったが、この先まで踏み込んだ時、彼が無事に帰れる保証はない。
「まぁ、ここは戻ろうや。後は他の奴らに任せてよ」
「本機も賛成します。この先の戦いに参加するために」
 敬人もダビングも異存はない。
「申し訳ありません。では、ご厚意に甘えさせていただきます」
エムピースリーも賛成し、彼らは撤退を選択したのだった。
(さぁ、過去の戦では我々が勝利しました。此度はいかに!)
そんな一人の機兵の想いを残して。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

キリエ・ニール
初手より、吶喊。
全力をぶつける。
他参加者との連携、絡み歓迎。

WIZで勝負
コード生まれながらの光で辻斬りよろしく味方を回復。

僕が最も優先すべきは護衛であるデストロイ・ウォーマシンの撃破。
やつの撃破に全てを賭ける。
「アナライザー…防御すればってことはさ、君に対して効果ないものはどう対処してくれるんだい?」

数打…無数の刀剣を取り出し適武装へ鎧砕き、鎧無視を乗せた連続刺突。
突き刺し、それを伝って無色の衝撃波を敵機体内に流し込む。
届くならば、その衝撃波をコアにまで打ち込む。
まぁ僕も無事じゃすまないけど…
それが、なに?(捨て身の一撃)


武装の狙い目は、他の猟兵の戦闘からの学習と…第六感による直感で判断。


パル・オールドシェル
ミハエラ・ジェシンスカ(f13828)と協働

全力で援護します、戦友



ヒューマンカウルに可能な限りの大型対艦/巡航ミサイルを搭載した対艦爆装で突入

対艦ミサイルであれば敵にも有効な打撃を与えうるはずです

もし難しくとも、高速で飛翔する弾頭は敵の注意を引く筈!



撃って身軽になれば、高機動で回避もできます。シールドで攻撃を防ぐことも可能でしょう

僚機に向かう攻撃を僅かなりと誘引する、これが僕の勝利条件です

それで僕が撃墜されようとも、彼女ならば攻撃の機会を掴んでくれるはずですから



コアマシンルームに突入成功の場合は、温存した巡航ミサイルを全弾発射して即時離脱します。負傷者があれば回収してクリスティーヌさんに合流を


ミハエラ・ジェシンスカ
パル・オールドシェル(f10995)と共闘
ああ、派手にやってくれ

パルの援護射撃……射撃? を頼みに接敵する
この状況なら目くらましには困るまい
あとはただ、我が二刀を以って斬り伏せるまで

無論ここまで近付けば迎撃されるだろう
その迎撃をフォースシールド(斥力障壁)で防御する
防御し切れなくとも致命的な一撃さえ貰わなければ構わん
迎撃の瞬間に必ず隙はできる
そこにカウンターで捨て身の一撃を叩き込む

瞬時に隠し腕を展開
さらにその一瞬……その一撃の間「だけ」悪心回路を起動
浮かぶ禍々しい笑みと湧きあがる暴力的な衝動に身を任せ
我が四刀を以って斬り伏せる!

……後の事は余力が残っている者に任せる
悪いな、できれば回収してくれ



●刃金は朽ちて骸となる
 巨大な回廊を、黒鉄の鳥が飛ぶ。
 鳥? いや、それにしては異形に過ぎる。
 中心にあるのは、黒き金属でできたヒトガタだ。全長はおおよそ5メートル。女性的な曲線を持つ素体に、エッジの尖った装甲を施したような姿をしている。
 その正中線や側面には、青く光るラインが流れて、背には小さな片翼がある。
 増加装甲も装備されている。
 サイズを除けば、機動力重視で建造されたウォーマシンである。
 だが、真に異形なのは、そこではない。
 増加装甲に付いたハードポイントには残らず、ウォーマシンと同じく黒と青いラインの大型ミサイルが取り付けられ、残らずその後部から火を吹いていたからだ。
 両の前腕と脛、腿に一発ずつ、更に両肩に二発ずつ。
 実に、合計十発ものミサイルの推力で、「それ」は飛んでいた。

「現在の速度なら、あと15秒でデストロイ・ウォーマシンと接敵します。準備はよろしいですか、戦友?」
 黒いウォーマシンことパル・オールドシェル(古き戦友・f10995)は、超高速の中で、傍らの戦友に問いかける。
 傍ら? そう、傍らである。
「もちろんだ。派手にやってくれ」
 ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)は、パルの前腕のミサイルに掴まりながら応える。プライベート回線で接続されているため、この状況であっても意思疎通に齟齬はない。
「僕も構わないけどさ、正直、声がすごく聞こえにくいんだけど!」
 こちらは銀髪赤目の少年、キリエ・ニール(勘頼りの放浪者・f00824)。残念ながら彼はウォーマシンではないため、猛烈な風圧で声がかき消えそうになる中、怒鳴るような大声で答えざるを得ない。
「敵は強大無比な古のウォーマシンです。ですから、敵の反応前に仕留めるのが理想と考えます。そして僕の手持ちの手段で、最良なのがこの手段でした。……多少の不便はご寛恕願います」
「いやまぁ、別にいいけど!」
 そんなやり取りをする間にも、音速に近い速度で彼女たちは進んでいる。
 音速に近い速度で飛行する対艦ミサイルをブースターとして利用し、電撃的な速度で速攻を仕掛ける、というのが作戦であった。
 しかし、ミサイルを装備したパルはともかく、ミハエラとキリエは高速移動手段を持たない。故に、ミサイルに掴まって同行という形になったわけである。
 それは、古代の戦いにおける戦車跨乗、タンク・デサントと似た発想であった。
 生命体の埒外である猟兵だからこそ、可能な戦法ではあるが。
「目標、デストロイ・ウォーマシンを確認しました。カウントダウン開始します。3」
 パルのバイザー内のディスプレイには、光学ズームで既に目標のデストロイ・ウォーマシンが大写しになっており、ロックオンは済んでいる。
「2」
 画面端の倍率がどんどん下がる。
「1」
 ミハエラとキリエの身体に力が入る。
「SSM-84及びLSSM-109対艦誘導弾、撃ちます」
 ハードポイントから金属音を立て、ミサイルが全て離脱。
 ミハエラとキリエから、パルが急激に遠ざかっていく。相対速度が違いすぎるのだ。
 前を見据えると、逆に急激に近づくデストロイ・ウォーマシン。
 これが戦闘の始まりであった。

 勿論、デストロイ・ウォーマシンも無策であったわけではない。
「自動追尾装置カラト思ワレル電波照射ヲ確認。れーだーニ飛来物ノ反応複数。本機ハろっくおんヲ受ケテイルモノト判断。対空迎撃ヲ開始シマス」
 ビームセイバー発振器をビーム砲として使用し、対艦ミサイルを迎撃する。
 だが、ここまでの戦いで、発振器の大部分が破壊されていたため、その対空砲火の密度はほぼ無きに等しい、と言わざるを得ない状況であった。
 更に、片足や腰部スラスターの大部分を失っていたため、機動性も皆無に等しい。
 それでも、キリエの掴まっていたミサイルに光が走る。
「うわっと!危ない!」
 慌てて別のミサイルに飛び移ると同時に、そのミサイルが爆散する。
その光景を目にし、キリエの赤目が細められる。声が冷たくなる。
「なら、行くよ」
 腕の力でミサイルの上方に飛び上がる。別のミサイルに掴まり、また飛ぶ。
 更に別のミサイルに掴まり、また飛び……。
 全てのミサイルを飛び越えた時、キリエの眼下で複数の爆発がデストロイ・ウォーマシンを包み込んだ。
「ソ、装甲損傷率65%、内部損傷率47%……。全兵装ノ8割以上ガ破壊、モシクハ故障……ザ、ザザザッ……」
 デストロイ・ウォーマシンのシステム音声に、ノイズが混ざり始める。
 発声機構にも障害が及び始めているのは明らかだ。
 ならば。
「全力をぶつける」
 冷たい声のキリエは、手に簡略化された拵えの両刃の剣を握っていた。
 隙は他の猟兵が作っている。それに付け込むのみと、既にひび割れていた紅の装甲へと、突き刺す。
 同時に無色の衝撃波が剣を伝わり、内部機械を侵し、破壊していく。
 剣はそれに耐えきれず砕け散るが、キリエは即座に次の無銘の剣を召喚する。
「ギギッ……敵せい体、反撃シまス……」
 自らの崩壊を感じながらも、デストロイ・ウォーマシンは残存したビームセイバーを振るう。今の状態で、キリエに振るえるのは、わずか二振り。
 それでも、キリエはそれを迎撃せざるを得ない。空いていた手にも無銘の剣を握り、二刀流で打ち合う。何合か打ち合うと無銘の剣は粉々に砕けるが、その度に新たな剣を喚び、打ち合いを続ける。
「これで、どうかな」
 ビームセイバーの一本が、アームごと断ち切られる。残り一振り。
 キリエは一気に距離を詰める。ビームセイバーの一撃が疾るが後頭部の髪を幾本か炭化させるのみ。
 目がけるは、紅の装甲の割れ目。最初に剣を突き刺した場所。
 剣を喚び、刺す。砕く。刺す。砕く。サイクルの度に砕ける剣、崩壊の進む敵躯体。
 キリエの身体にも、反動で傷が生じ始めていたが、全く意に介さなかった。
「理解不能、何故しょう利ノかく信ナシニ自傷こう為ガ……」
 キリエの攻撃はデストロイ・ウォーマシンにとって理解できないものだった。彼も、自分の損傷覚悟の攻撃はする。しかし、それは必殺、必滅の確証あってこそ。
 ダメージの蓄積は確実にある。しかし、倒す確証もないのにそうする行為を、彼は理解できなかった。
 いや。
 理解しようとしてしまった。
 その隙をキリエは見逃さなかった。やはり無銘の、両手持ちの剣を召喚し。
「それが、なに?」
 突き刺した剣から巻き起こる衝撃波は、大きくデストロイ・ウォーマシンを切り裂き、またキリエの身体も大きく吹き飛ばした。

「致命的な隙だな、今のは!」
 二刀の紅いフォースセイバーを携え、今度はミハエラが飛び込んできた。
 飛び上がると、胸の前で腕を交差させ、X字に振り下ろす。
 取った、はずだった。
「びーむせいばー発しん器、3基、応急しゅう理完了……げい撃、カイ、し」
 満身創痍のデストロイ・ウォーマシン。
 だが、それを感じさせない素早さで、二刀を受け止めてのけた。
 三刀を振り抜き、ミハエラを弾き飛ばす。
「くっ、まだやるのか……!」
 デストロイ・ウォーマシンは、3基の発振器をビーム砲にし、連続発射。
 二発を斬り払う。
 一発は、斥力障壁が弾き飛ばした。
 そして、ミハエラは見た。
 デストロイ・ウォーマシンが、ロングバレルキャノンを構えているのを。
「せん、滅シマス」
 フォースセイバーは二刀とも斬り払ったモーションで、まだ戻せない。
 障壁は、エネルギーの再充填が間に合わない。
 結論として、ミハエラの部分的に女性型外装を被せた躯体が、胴体から砕ける。
 だが。
「まだ終わりません、戦友!」
 黒い機体が、ミハエラとデストロイ・ウォーマシンの間に割って入る。
 透明な強化樹脂製のシールドが、高初速の金属弾を受け止める。5メートル強の大きさのヒューマン・カウルが、衝撃で軋む。
「僚機に向かう攻撃を僅かなりと誘引する、これが僕の勝利条件です」
 盾で金属弾を受け止めるパルが、ミハエラを振り返る。
 パルはミハエラに頷いてみせると、尖った足に展開された斥力場発生装置の出力を全開にし、一気に弾丸自体を押し返し、弾いた。
 そのまま、ロングバレルキャノンを盾で殴り、抑え込む。
「今です戦友、攻撃を」
 パルの行動を無駄にしては、勝機は0%となる。
 ミハエラは攻撃の止んだ一瞬を勝機として切り込んだ。
 その装甲から、2本のアームが現れ、先にフォースセイバーの紅い力場が発生する。
 奇しくも、デストロイ・ウォーマシンのビームセイバーと同じ構造であった。
 これで、四刀。
 更に、ミハエラは切り札を切ることを決断する。
「悪心回路、凍結の一時解除を承認。――起動(イグニッション)」
 ミハエラの顔に、邪悪な笑みが浮かぶ。
 壊したい、壊したい、壊したい、という衝動に塗りつぶされる思考回路。
 それは、かつて彼女に施された「堕ちたフォースナイトの再現」。邪悪なる心を機械的・人為的に再現し、戦闘力を爆発的に高めようという試みの産物。
 ……その結末はどうだったか?
 それは、此処に。
「理かい不ノウ、リ解ふ能、理解……シタ、かッタ……?」
 意志のないデストロイ・ウォーマシンが戦いの中で芽生えさせかけていた『何か』。
 それもろとも、ミハエラは叩き潰し、切り刻んでいた。
 かくして、意志なき刃金は、再び物言わぬ鋼鉄の骸となったのである。

 ヒューマン・カウルを纏ったパルは、コアマシンルームの扉に立つ。
「僕が最後に残ることになるとは思いませんでした」
 それは偽らざる感想だ。パル自身は、撃墜を覚悟していたのだから。
 だが、ミハエラはデストロイ・ウォーマシンを斬り伏せた直後に
「……後の事は任せる」
と後事を託し。
 キリエはというと、
「僕も動けそうにないから、代わりに頼むよ」
と、ユーベルコード【生まれながらの光】をパルにかけ、その損傷を癒やした。
 実際、躯体への負荷は大きく、あれがなければ、機能低下は避けられず、攻撃する間もなく、この中のオロチウイルスによって機能停止していた可能性もあった。
「……ロック解除。隔壁を5秒後に解放。コア視認と同時に、残存していた巡航ミサイルでの攻撃を行います」
 背中に背負われていた巡航ミサイルが、アームによって脇下にセットされる。
 高エネルギー体追尾設定、セット。遅延信管発動。
 二重隔壁が開いていく。開く隔壁の隙間に、コアが見え……。
「巡航ミサイル、撃ちます。目標、エンペラーズマインド・コア」
 発射と同時に小さな安定翼を広げた巡航ミサイルは扉の向こうに吸い込まれ……。

 かくして、エンペラーズマインド・コアは砕かれ、要塞は無限の再生機能を失った。
 一つの戦いが終わり、戦いは新たな段階へと進む……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト