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茸筍、双界に競闘す

#封神武侠界

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#封神武侠界


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●総投票三十万百六十一
 封神武侠界には人界と仙界の二つの世界がある。この二つは完全に分かれているわけではなく、随所に存在する洞穴によって繋がれていた。
 両界はそこを使って交流を行っていたが、人通りがあるということはそこには必ず商機が転がっているということでもある。人がいれば必ず生まれる商売はいくつかあるが、この洞穴においては何が行われていたかというと。
「はい叉焼烤鴨! そっちは仙桃饅頭三つね!」
 元々広めであった洞穴を改装し、飲食店が開かれていた。両世界の通り道であるため人仙問わず様々な者が通り、旅立つ前に出先の味を知っておいたり、戻ってきて久しぶりの故郷の味に触れるなど様々な旅人の舌を楽しませる店。もちろん特別な理由のないただの食事としても十分楽しめる。商売の点からしても両方の世界から材料を仕入れやすく、双方の料理を適正価格で提供できるのが強みだ。
 洞窟で店を開くという少々無茶な行為による手間は仙界の秘術が解決してくれるし、多種多様な人物が訪れる故の面倒も人界の強かさで対応していける。
「筍乾を湯麺にだと? 何を考えている……? いや、俺の知る正道など狭く弱い、そう学んだばかりではないか……!」
「牛肝菌は野で取るしかなく石耳は発育が遅く……よくこれだけ集めてますね。それをこのお値段とは……もしや秘密の栽培法でも?」
 二つの世界に接するが故の、晋仙料理とも言うべき独特なメニューもあり、店は様々な客層を迎えて日々繁盛していた。
 だが、オブリビオンの跳梁が日々深刻化していく状況に置いては各界からのアクセスの良さは決して良い事ばかりではない。
「お友達いるかな、私いるかな、生きてちゃだめだから死なせなきゃだね」
「いる、いるよ、動いてるのがいっぱいさ! どんだけイキのいいのがいるんだろうね、あははははは!」
 両側の入口から、命なき集団が押し寄せていた。

●二党大連立
「あなたのメルでございます。本日もお疲れ様でございます」
 そう言ってメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が猟兵にチョコ菓子二種が入った袋詰めを渡す。小袋12袋入りだが一部の猟兵が何故か半分しかとらなかったりするのはそれはそれとして。
「少し前、二度ほど封神武侠界で仙人や武侠の手助けをお願いしたことがありましたね。今回も同種の依頼です」
 このところ封神武侠界各地では、オブリビオンの集団が若き英傑を襲撃するという事件が多発している。未だその原因は掴めていないが、またしても同じような事件が発生するということだ。
「現場となりますのは、人界と仙界を繋ぐ洞穴の中。ここは両界に近いという立地を活かした中華飯店が営業しているのですが、そこで食事中の英傑を狙いオブリビオンの集団が両側から攻めてくるのです」
 アクセスが良いということは招かれざる客にも都合が良い。ある種どんな状況でも変わらない話だ。
「ここにいるのは二人の英傑。蕈娘(シィンニャン)という仙人と笋弟(スンテイ)という宿星武侠。どちらも中々の実力者で、かつ猟兵とも面識があります」
 一度猟兵と関わった者は再度事件に巻き込まれることがある。この二人もその運命に絡めとられてしまったということか。
「どちらも猟兵には恩義を感じているので事情を話せば協力してくれるでしょう。二人はスタイルが全く違うので、自分と合う方と共闘したり、あるいは不得手な部分のサポートを任せたりという使い方もできるかと」
 片や仙界の秘術によって作られた仙丹にて驚異の力を体に齎す薬師、片や厳しい修行を積み若くして達人の域にまで至った武人と方向性はある種真逆なれど、どちらもその道に強いこだわりと研鑽はあるらしい。
「二人は特に面識はありませんがたまたま隣のテーブルで食事中なので、皆様も面通しや腹ごしらえ、作戦会議などなさってみてはいかがでしょう。可能なら他のお客さんや店の人を説得し、戦いやすいよう店のテーブルや椅子を並べ直してみるのも良いかと」
 敵襲までは少し時間がある一方、この場の全員を避難させている時間はない。この場でできること、伝えられることを考え実行するとよいと言う。
「まず人界側から『接尸娘々(チィエシィニャンニャン)』という様々な少女の体をつぎはぎにしたキョンシーが襲ってきます。部品となった体の能力を使える他、体を組み替えたり幻惑の香りを発してこちらの精神を乱してきたりします。組み替えた部品によっては真っ向勝負にも強くなるので、油断なさらず」
 正面突破もできる搦め手型。中々厄介な相手だが、敵の出方を見極めればきっと対処法が見つかるだろう。
「そして彼女たちを倒したら今度は仙界側から『混沌霊珠・詩歌』という女の子の集団が襲ってきます。彼女たちは『五逸』なる邪悪な仙人集団の一員であり、作成者さえ殺して仙人となった意志持つ宝貝だそうです。電撃を操ることを得意とし、動くものに見境なく襲い掛かる戦闘狂かつ保身も考えない性格なようなので、徹底した殲滅戦となるでしょう」
 集団で一つの意志を持っているような相手な上、同士討ちも厭わないというまさに狂える戦闘機械。手加減無用かつ油断禁物の相手と言えよう。
「敵を倒しきれなければ前途有望な英傑二人を失い、人界と仙界を繋ぐ洞穴もオブリビオンの手に落ち、美味しいお店も潰されるという大変まずい事態となってしまいます。どうかそのようなことのないよう、二人と共に事件を解決してきてくださいませ」
 そう言ってメルはグリモアを起動し、猟兵を封神武侠界へと送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。英傑救援三本目、まさかキマフューハロウィンとネタかぶりするとは。

 第一章では人界と仙界を繋ぐ洞穴に作られた中華飯店にて、英傑二人と交流しつつ作戦会議や食事をしてくださいませ。英傑たちは猟兵を知っているので細かい説明はいりません。食事を楽しむもよしガチの作戦会議をするもよし。相手のできることや力量の程を確認してもよいでしょう。ただし他のお客さんの迷惑にならない程度に。

 第二章では『接尸娘々』との集団戦です。複数の死体を継ぎ合わせたキョンシーで、パーツごとに宿された技能を切り替えて戦う他不思議な匂いでこちらの狙いを惑わせて来たりもします。相手をパーツとして見ているので、若い女性を優先的に襲う傾向があります。

 第三章では『混沌霊珠・詩歌』との集団戦です。電撃の扱いに長け、単体攻撃と全体攻撃を切り替えてくる他自分に電撃を流しダメージと引き換えに自己強化もしてきます。動く者全てを獲物と見なす戦闘狂で、良く動く相手程嬉々として襲い掛かります。

 戦闘では二人の英傑が手を貸してくれます。以下詳細。

 蕈娘(シィンニャン) 羽衣人の仙人×闇医者(外見年齢14歳)
 赤毛に白メッシュの入ったボブカット。仙丹の研究をする薬師で、肉体や気の強化をする薬を提供してくれる。千年分の修行の効果を一時に得られる薬の作成を目標としているが、猟兵との共闘から『安易な力の代償』について考えるようになり効果が安定し反動のほぼない薬も作成、携帯するようになった。(登場作https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=36653)

 笋弟(スンテイ) 人間の宿星武侠×ヴィジランテ(16歳)
 緑の短く立てた髪に180cmを超す長身。槍術や棍術を得意とし、細身だがしなやかな肉体を持ち鍛錬の果てに神仙すら超える力を得ることを目標としている。真っ向勝負ならかなり強いが、それが通じる戦いばかりではないことを猟兵によって教えられ今は己の新たな修行の道を模索中。(登場作https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=36781)

 両者の登場作は特に読む必要はなく、またどちらか片方だけに声をかけても構いません(どちらかの相手はしてください)。もちろん両者を上手く使ってもOK。

 それでは、超党派で立ち向かうプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『美食の饗宴 大食の盛宴』

POW   :    主菜を食べ尽くしてやる!

SPD   :    前菜から飛ばしまくるぜ!

WIZ   :    点心もしっかり味わおう!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人界と仙界を繋ぐ洞穴。そこを改造して作られた飯店は今日も賑わいを見せていた。各界の製法や食材、さらにはそれらを混ぜ合わせたもの、何処かも知れぬ場所から伝わった料理を中華食材で再現したものなど、混沌極まる料理はしかしいずれも絶品の味。その評判は、普段外に出ない仙人、新たな己の武の道を踏み出した武侠さえもをそこに引き寄せていた。
「なんと、まさか湯に豆醤を用いそこに筍乾を乗せるとは……どちらも塩気の強い味なのに潰し合うどころか並び立っている……何処の技術か? これほどの発想があるなら武術に置いても……しかし隣の奴、皿を睨んで何を考えているのか知らんが食ってからにすればよかろうに。飯が冷めてしまうぞ……?」
「牛肝菌を乳餅に乗せて、さらにそれを烙餅に乗せて焼く? 混ぜりゃいいってもんでは……ああでも焼くと香りが強くなるから、少量の材料で強い効果が得られるのですね。取れないからこそ効率を求める、理にかなっています。いっそ溶かせば上湯になる粉とか作れれば面白そうですね。まあそういうのは料理する人に任せて、私は薬で同じような時短を……ていうか隣の奴さっきからうるさいですね、飯くらい静かに食えないんですか……」
 その珍しい料理を自分の分野で解釈してしまおうとするのは己が道に邁進する英傑の性か。なお彼らの前にあるのはそれぞれメンマラーメンとキノコとチーズのピザ……のような何かである。
 こんな摩訶不思議な中華飯店が数刻先には戦場になろうとはこの場の誰が予測していよう。その事実を知るのは今はまだ猟兵のみである。
 最早戦いそのものを止めることは出来ない。なれどその時までまだ間はある。
 さあ、来るべき時に備え少々反りの合わなさそうな二人と誼を通じ、策を練り、上等な料理で英気を養おうではないか。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
おや、奇遇ですねぇ。
それでは、お邪魔させていただきますぅ。

近くのテーブルに着いて大量のお食事を注文しますねぇ。
通常では到底食べきれない量ですが、私であれば全く問題有りません。
そして、その『量』等で注目を集めれば、英傑のお二方も気づいて下さるでしょう。

気づいて頂けましたら、同席をお願いし事情を説明しますぅ。
その上で、蕈娘さんには『安易ではなく、人間が努力で身に着けた力を見る機会』、笋弟さんには『仙人としても珍しい技術を見る機会』にもなることを伝え、共闘を申し出ますねぇ。

後は『予知』の範囲で敵方の情報を。
【豊饒宿霊】で[戦闘知識]を強化、地形等も踏まえ守り方を検討しますぅ。



 双界を繋ぐ洞穴内に作られた中華飯店。多種多様な料理を提供できることが売りの一つであるその店に、また一人の客が現れた。
「おや、奇遇ですねぇ。それでは、お邪魔させていただきますぅ」
 その客、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は自ら一つのテーブルに作と、メニューをほとんど見ることもなく注文した。
「えぇと、これとこれとこれ……以外を全部で」
「え?」
 突然のとんでもない注文。冷やかしか悪戯かと見返すが、そんな様子も見せないるこるに店員はやや挙動不審になりながら奥へと引っ込んでいった。
 そして待つことしばし。
「お、お待たせしました……」
 テーブルの上に乗せられたのは前菜だけでもその上を埋め尽くすほどの大量の料理。粥やスープ類など最初に出てくる者だけでも、周りのテーブルまで使わなければ置き切れないほどの大量料理に当然のように周囲からはどよめきが起きる。
 そしてそれは当然ごく近くの者にもはっきりと見えるわけで。
「な、なんだ……?」
「あわわ、これは……」
 近隣にいた英傑たちも流石にこの光景には絶句。るこるはその二人と目を合わせると、にこやかに手招きした。
「お二人とも、お久しぶりですぅ」
「はい、お久しぶりですねー。まああなたのサイズならこのくらいは……」
「ああ、一月ほどか。あの時は世話になった……」
 招かれるままるこるのテーブルに着く二人の英傑。だが彼女を挟むように座った所で、互いに『え、こいつも?』と言うような表情を浮かべる。
「はい。それで今日はお食事に来ただけなのではなくて、少々お二人にお話がありまして……」
 初対面の二人がここに揃っていたことはもちろん偶然である。だがその偶然が前回の邂逅より続いていた『運命』であることは、猟兵であるるこるには十分に分かっていた。その運命に従い、ここにまた敵襲が起こる。るこるは二人にそれを説明した。
 猟兵と言う超常の存在、そしてるこるの実力を知る二人はその話をすんなりとそれを受け入れる。だが、互いに猟兵の事は信用できても今日あったばかりの、それも僅かに悪い感情のあったもう一人の英傑の事は信用できない。
「まあ、あれだけのことを見せられたのだ、いまさら何を言われても驚かん。だが鍛えぬ細腕では……」
「戦闘用のお薬ならありますけど、あのくらいの化け物に対抗できる効能だと人間に耐えられるかどうか……」
 基本的な思考が真逆、かつ互いの種族に多少なり否定的な感情があることもあり、双方との共闘にはあまり乗り気ではなさそうな二人。だが二人がそれまでの道から新しい一歩を踏み出しつつあることを知っているるこるは、それを二人に伝える。
「蕈娘さん、こちらの方は僅か16歳で達人と呼ばれるに値する武芸を身に着けておられます。安易ではなく、人間が努力で身に着けた力を見る機会かと」
 禁呪による力を求め続けた果てに外道に落ちた者をみた蕈娘には、正道に置いて外法を越える力を持った人間がいることを。
「笋弟さん、こちらは従来の仙人の在り方に疑問を持ち、新たな力を得る技術を研究しています。仙人としても珍しい技術を見る機会があります」
 盲目的な努力の限界を知り新たな道を模索しはじめた笋弟には、長き時に甘えずそれを覆す技術を求める仙人がいることを。
「こいつが……? そうは見えんが……」
「なんか長いだけっぽいですけど、まああなたが言うなら……」
 るこるの紹介に疑問を持つように互いを見る二人だが、他ならぬ猟兵の言葉。実地で見てみる価値はあるだろうととりあえずの協力はすることとした。
「まあ、確かに物凄い人というのはいるですしね……」
「だな……」
 その二人の前で全く問題なく超大量の料理を平らげていくるこる。前菜はとうに片付き一品でも大盛の主菜を次々片付けていくその姿に、二人は『人は見た目に寄らない』という言葉の実例を見る。
「それでは、細かい作戦を考えていきましょうかぁ」
 茶でも飲むかのようにラーメンスープを飲み干し、次の皿を手にするるこる。こうして双界を飲み込む戦いの準備は始まったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風

ふむ、あの時の若者か。なれば、たしかにわしなのよなぁ…。一番、関わったのだし。

はは、久しぶりであるの、若者…笋弟よ。そして…隣の若人もよしなに。
ま、ようするにだ。ここに以前のような奴らが来るということよ。

で、先に言うておく。来る奴の特徴によっては笋弟すらも知らぬ『わし』が出てくるからの。
ほれ、以前やり合ったとき、攻め方違ったりしたろ?実はまだあるのじゃよ。
一つは間合いは似ておる(『不動なる者』は盾役武士)
もう一つは完全に間合いが違うしの(『静かなる者』は弓使いの武士)
うむ、驚かせぬために、伝えておくのよ。



 洞穴の中、飯店の入口の前で一人の男が顎に手を当て何かを考えていた。
「ふむ、あの時の若者か。なれば、たしかにわしなのよなぁ……一番、関わったのだし」
 男の名は馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。より正確に言えば、彼を構成する四人の悪霊のうちの一人、武の天才たる『侵す者』。彼はこの飯店の中にいるという若き英傑の一人がオブリビオンに狙われた時、それを助けまた教え導いたことがあった。
 その者が今また同じような危難に狙われていると知り、彼はここへとやってきたのだ。飯店の扉をくぐると、何故か複数の宅をくっつけた状態でその若き英傑が見知らぬ者と同席していた。
「はは、久しぶりであるの、若者……笋弟よ。そして……隣の若人もよしなに」
 見知った若き英傑笋弟、そして初対面となる蕈娘にも声をかける義透。その姿に、笋弟は立ち上がり拱手を作って答えた。
「これは久しく。あの時は世話になった。未だ貴殿のような境地に至れていなくて恥ずかしい限りで」
 笋弟が普段より殊勝な態度をとるのは彼が『侵す者』の武威を知っているからか。それにつられるように蕈娘も拱手をして軽く頭を下げる。
「さて、どうやら先客に多少話は聞いたようだが……ま、ようするにだ。ここに以前のような奴らが来るということよ」
 店と二人の様子からある程度の状況は伝わっていることは察した義透は、端的に要点だけを二人に告げる。明確に狙われた経験のある笋弟は然りと頷き、真剣な表情を崩さない。
「知らぬところで随分恨みを買ったものだ……いや、そんな小さい話ではないのか」
 隣にいる蕈娘。彼女の方は偶然行き会ったオブリビオンに襲われたという体であったが、果たして今回はどうか。
 義透も歴戦の猟兵であるし、笋弟の実力も知っている。蕈娘についても、ここに居合わせ予知にかかるということはつまり襲撃を受けるに足る英傑であるということだろう。その点に置いての心配はさほどないが、またもう一つ別の話を義透は伝えておかねばならぬと考えていた。
「で、先に言うておく。来る奴の特徴によっては笋弟すらも知らぬ『わし』が出てくるからの」
 自らの戦い方について事前の注意をしておくが、笋弟はどういうことか分からないのか少し首をかしげる。
「ほれ、以前やり合ったとき、攻め方違ったりしたろ? 実はまだあるのじゃよ」
「ああ、あの……あれ以外にもまだあるというのか……!」
 それに対し笋弟は驚いたように目を見開いた。かつて手合わせしたとき、義透は最初は正道を得意とする『侵す者』で彼と相対し、攻め込む瞬間に忍びである『疾き者』へと変わることで戦いの多様さ、嘘のない言葉に仕込まれた策の存在を彼に教えた。
 知り難き陰の如き戦い方を彼に教えたその型がさらに複数あると聞き笋弟は驚くとともに、義透のさらなる強さと底知れなさ、そしてそれを見て学べるということを期待してか目を輝かせているようにも見える。
「一つは間合いは似ておる」
 堅守を旨とする『不動なる者』。盾役の武士であり槍を持つ侵す者以上に近接戦に特化した山の如き堅将。
「もう一つは完全に間合いが違うしの」
 弓使いである『静かなる者』。林の葉擦れほどにも聞こえぬ静かなる一矢にて仕留める無音の射手。
 見ての楽しみ……あるいは場合によって出さぬことや味方さえ欺く策となるかもしれぬことを考えあまり細かくは伝えない。だが文字通り別人の動きを見せることでの混乱を避けるため、必要なだけは伝えておく。
「つまり物凄い攻め方を変えるから気を付けろと言うことで?」
「うむ、驚かせぬために、伝えておくのよ」
「確かに、あれは知らねば驚くことだろう。あるいは全てがあの意気となれば知っていても」
「ふふ、買い被りすぎるなよ」
 笑って言う『侵す者』。だがその裏で、その武を見せる時が着実に近づいてきていることを武の天才は感じ取っているのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月灘・うる
蕈娘さん、久しぶりー!
なんだか美味しそうなもの食べてるね!

ところでどう?どう? あれから『あのクスリ』完成した?
そろそろうーちゃんもひと儲けしたいんだけどな!

え? その前に一緒にこれ食べないかって? いいの?
うん、ありがと。それならお言葉に甘えちゃうよー♪

これからちょっと厄介なことになるから、ここはしっかり腹ごしらえしないとね!

なんだか面倒なキョンシーが来るみたいでね、それでわたし蕈娘さんを助けに来たんだよ。
……研究結果も知りたかったしね。(こっちが本命)

ところでこれ、なんとなく知ってる味するんだけど……。
ひょっとしてこれ『研究成果』だったりしない?

え?まだ研究中? 持続時間と感度をあげてみた?
誰も協力してくれないからちょうどよかったって、わたしこのまま戦うのー!?

出しちゃえばいいって、ちょ、ちょっと、蕈娘さん!?
洞窟の陰とかに連れてきてどうするの?

見えにくいところっていっても、ここ外だし……はぅっ!!??
ほ、ほんとに感度上がって……んぅぅぅぅー!!!(がくがくして目一杯だしちゃいます)



 笋弟が武人と話す間、どうしてもそちら方面にあまり興味のない蕈娘は暇をしていた。だが、そんな彼女にも声をかけるものが現れる。
「蕈娘さん、久しぶりー! なんだか美味しそうなもの食べてるね!」
 蕈娘を見つけて近寄ってきたのは、月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)。彼女は以前蕈娘がオブリビオンに襲われた際その場に現れ、色々な意味で彼女に協力した猟兵だ。
「あ、これはこれはお久しぶりです。あ、よければ食べます?」
 そう言って自分の前にあった皿を差し出す蕈娘。そのあまり見慣れない料理を見ながら、うるはその隣の席に座る。
「ところでどう?どう? あれから『あのクスリ』完成した? そろそろうーちゃんもひと儲けしたいんだけどな!」
 少し声を落とし、顔を近づけ尋ねるうる。その問いに、蕈娘は何でもないことのように笑って答える。
「あーはいはいそのお話ですね。まあ色々説明することもあるのですけど、ちょっとわかりづらいというか長くなるというか……とりあえずこれでも」
 再度皿を見せる蕈娘。どうやらキノコの料理のようだが、うるの知る中華料理の中には似たようなものが見つからない。中身は植物系のため、しいて言えば温野菜サラダとかだろうか。
「いいの? うん、ありがと。それならお言葉に甘えちゃうよー♪」
 とはいえ元々ここで食事も済まそうと思っていたためそれなりには空腹なこともあり、その皿をためらいなく受け取るうる。箸をとり、その中身を口に運ぶ。
「これからちょっと厄介なことになるから、ここはしっかり腹ごしらえしないとね!」
 彼女もまた猟兵、この先で何が起こるかを知ってここに来たのだ。他の猟兵の話からもそれなりに事情を聞いてはいたが、蕈娘も改めて話を聞こうとする。
「皆さんそんな感じの事言ってますけど、わざわざこんな人がたくさんいるところまで来るのですか」
「うん、なんだか面倒なキョンシーが来るみたいでね、それでわたし蕈娘さんを助けに来たんだよ……研究結果も知りたかったしね」
 こちらから相手の隅かに踏み込む形だった前回と違い、相手の方が攻めてくる故に準備は迅速に済ませねばならない。途中忙しくなることも考え、本命である結果の確認を事前に済ませたかったこともありうるは早めにここへとやってきたのだ。
 詳細を促してみるが、蕈娘は笑いながらうるの食べる姿を見ているだけである。何をしているのかと疑問に感じながら料理を味わっていると、よく分からない見た目の中から知ったような風味が抜けてきた。
「ところでこれ、なんとなく知ってる味するんだけど……ひょっとしてこれ『研究成果』だったりしない?」
「はい、その通りでー」
 恐る恐る聞き返してみると、にこやかに答える蕈娘。それと同時に、うるの体に剣剣士たことのある熱がこみ上げてきた。
「いえ、私の場合最終的には永続を目指していますのが人界で売る場合はもう少しその辺を下げた方が良いかなと思いまして、差し当たっては持続時間と感度を上げた感じで。いやー、私友達とかいないんで中々実験に付き合ってくれる人がいなくてー」
 うるが散々付き合ってくれた……半分はなし崩しであるが、を覚えているのだろう。向こうも最初からそのつもりであったということだ。
「ちょうどよかったって、わたしこのまま戦うのー!?」
「前もそんな感じでしたし、大丈夫でしょー?」
 確かに前回も薬の効果が残ったまま戦うことになったが、うるに関してはそれで無事に勝てたかというと所掌微妙なところで。
 そうこうしているうちにうるのスカートがゆっくりと内側から持ち上がり始めた。それとともに耐えがたい感覚がうるの下半身を支配する。
「あ、こ、これ、やっぱりぃ……」
 股間を抑え、テーブルに突っ伏すうる。その様子を見て、さすがに笋弟も声をかけてくる。
「おい、大丈夫か……」
「あー、大丈夫です大丈夫です。この辺は想定内の反応なので。ほら、すっきりしに行きますよー」
 笋弟をあしらいつつ、蕈娘が無理矢理うるを立ち上がらせて店の外へと連れだしていく。うるはそれに押され、前かがみのまま店の外へと出た。
 そうして連れてこられたのは仙界側の入口付近。
「ちょ、ちょっと、蕈娘さん!? 洞窟の陰とかに連れてきてどうするの?」
「はい、それじゃここで出してすっきりしちゃいましょー」
 スカートをめくりあげ、その中に顔を突っ込む蕈娘。そしてそのスカートを持ち上げていた者を引っ張り出し、おもむろに自分の口に含んだ。
「見えにくいところっていっても、ここ外だし……はぅっ!!??」
 そのまま思い切り吸い上げられると、以前とは比べ物にならない感覚がそこから走り抜ける。
「ほ、ほんとに感度上がって……んぅぅぅぅー!!!」
 外という羞恥心も手伝ってか、耐えることもできずにあっという間に決壊するうるのそれ。それは以前蕈娘が見た時よりもはるかに多く、さらに濃い。
「おぉぉ……これは凄い……薬の効果だけじゃないですね、あなたも何か進展でもあったので」
「あひ、ひ、ひぃぃ……」
 オーバーロードの事を説明することもできず、一度で以前の倍以上の量を蕈娘へと吐き出し続けるうる。
 そのまま一度落ち着くまで、前回の数倍の量をうるは吸い取られ、依頼した研究の進捗を体で理解させられるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

死絡・送
絡みOKアドリブOK
POW
私服で参加、仲間や知り合いと合えば挨拶。初見の人には軽く自己紹介。
食事は美味しく楽しく行儀は守る。
頼んだ料理は残さず食う。
席に着いたらまずは牛肉麺から始め、ご飯もので蟹チャーハン。
少し食休みしてからメインの羊肉の火鍋。
「来たぜ、カップ麺でしか食った事のない本物の火鍋」
これは激痛耐性と根性で、辛さに耐えながら美味しくいただき完食を
目指す。
デザートは杏仁豆腐で締める。
「火鍋の後にこの甘さが天国だ」
杏仁豆腐のお代わりをしつつ余裕があれば仲間と歓談。



 反転の扉が開き、また一人の男が入ってくる。男は軽く店内を見回すと、席についていた笋弟に目を止め軽く挨拶をした。
「久しぶりだな」
「ああ……そうだな、その節は世話になった」
 笋弟もその男、死絡・送(ノーブルバット・f00528)に挨拶を返す。そこに洗ったらしき手を拭きながら蕈娘が戻ってくると、そちらにも送は挨拶をする。
「そちらは初対面か、初めまして」
「え、ああどーも。なんです、お知り合い?」
「ああ、まあな」
 そんな二人を通り過ぎ、送は自分のための席へと突く。英傑への交流は他の猟兵が十分済ませたとして、ここでは戦闘用の装備を一切外した私服姿で食事をするつもりだ。
 メニューを見てそこから何貧家の注文をする送。程なくして運ばれてきたそれを、送は一つずつ食べ始めた。
 最初は牛肉麺。その名の通り牛肉の入った面だが、日本のラーメンとは違い小吃としての少量のもの。食事というよりはスープとしての感覚に近い。
 それと一緒に蟹チャーハンも食べて見れば、こちらはいわゆるぱらっと系のチャーハンでさらに蟹肉が炙られて香ばしい匂いも出ている。蟹自体の量もかなり多く、これはカニカマや安物で誤魔化したものでは出せない味だろう。
 それを食べ終えしばらく休んでいれば、運ばれてくるのは巨大な鍋。
「来たぜ、カップ麺でしか食った事のない本物の火鍋」
 羊肉の火鍋。それっぽいものはインスタントでも食べられるが、本格的なものは意識しないとなかなか食べる機会はない。
 火鍋というのは広義には中華の鍋料理全般を指すが、やはりここで日本人になじみ深いのは麻辣スープの激辛鍋だ。
 器に取り早速一口すすってみると、意外と見た目ほどの辛さはない。むしろニラやニンニクの香りも立ち、さらには胡麻の風味もあって食べやすいくらいだ。
 これならば……と大きめの肉を食べた途端、口全体に強烈な辛さが迸った。
「これは……!」
 辛いものによくある最初の一瞬だけは大したことなく、数秒遅れて本当の辛さが襲ってくるというパターン。見事にそれに嵌ってしまった送は、思わず咳込みそうになりながら顔を赤くした。別に羞恥で赤くなっているのではない。ただひたすらに辛いのだ。
 もう肌寒い時期のはずなのに汗が噴き出し、自分の意思とは関係なく涙があふれてくる。これはもう生理現象なので止めることはできない。
 だがそこは猟兵、備わった痛みへの耐性と持ち前の根性で抑え込み、さらに火鍋をかっくらっていく。唐辛子の辛さは基本的に痛みなので、そう思えば耐えることもそれなりには可能だ。そして何より、味自体はいいのだ。辛さに参りつつもやめられずついつい食べ続けてしまう、そんな魔力が激辛料理にはある。その魔力に導かれるように、送は体制を総動員しつつ一口、また一口と鍋を口に運んでいく。
 そしてしばらくして。
「ふう、結局全部食べてしまった」
 汁すらも残さずに完食。もとより残すつもりはなかったが、あの辛さを全て食べきれたとは自分でも驚きだ。
 そして最後に運ばれてくるのは杏仁豆腐。
「火鍋の後にこの甘さが天国だ」
 甘く冷たいその味が火鍋で昂った体を落ち着かせていく。極限までのヒートアップからの優しいクールダウン。最早サウナと水風呂かと思えるほどの急な落差に、食事後の体はある種『ととのった』状態にも近くなっていた。
 食事が終われば他の猟兵とも話してみようかとも思ったが、その間もなく店の外から大量の足音が聞こえてきた……

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『接尸娘々』

POW   :    道士の記憶
いま戦っている対象に有効な【特徴を持つ肉体パーツ】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD   :    拳士の記憶
技能名「【功夫】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    寵姫の記憶
自身の【肉体が、蠱惑的な甘い香りを発する状態】になり、【香りを嗅いだ者の思考を乱す】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人界方向から突如聞こえた騒々しい足音。それが店の近くまで来たところで、乱暴に扉がぶち破られ大量の少女がなだれ込んできた。
「ああ、いっぱい、いっぱいだよ。私になれる子いるよ。なれない子は食べちゃおうね」
 そう言いながら店内を見回す少女達。その体は肩掛けと帽子以外はほとんど裸だが、その裸体はつぎはぎだらけな上部分ごとに色が違う。さらに良く見れば大きさも微妙にあっておらず、明らかに元は一つの体であったようには見えなかった。
「どうしようね、こっちがいいかもね、捕まえてちぎっちゃうよ」
 一人の少女が自分の片腕を掴んで縫合部から引きちぎり、代わりにどこから取り出したか別の太い腕をそこに当て符を巻き付ける。それはまるで元からそこにあったかのように自在に動き、力強く拳を握った。
 他の少女もある者は足をもぎ、ある者は腹を抉り別の体に付け替える。ほとんど服を着ていないのはこれをやりやすくするためだろう。そのあまりに人外の所作に笋弟は顔をしかめる。
「僵尸とはいえこれは外道が過ぎる……」
 だが一方で蕈娘はいくつかの薬を手に前へ出た。
「あーはいはい、つまるところ体変えて手っ取り早く強くなるわけですね。んでそれを符でくっつけて無理やり自分の気流してると。僵尸にも尸気とかありますからね。だいじょーぶ、ああいうのは結局借りものだから慣れるまで時間かかります。それにズルして強くなろうとして失敗しちゃった人の相手は初めてじゃないですからね」
 仙術、秘術を用いての肉体改造は自分の分野というのか、蕈娘は相手を見通しそう言う。その話に、笋弟も改めて槍を構え少女達と向き合った。
「難しいことは分からんが……つまり奴らは借り物の武を振り回すだけということか。ならば遅れるわけにはいかん」
 自らを鍛える武人たる彼にとって、人から奪った体で強くなるなど到底許容は出来ない。
 無論彼女たちはオブリビオン、たとえ原理を見通したとてそれだけで勝てる相手ではない。現にその動きは功夫の達人とも言えるレベルの者だし、全身からは嗅いでいるだけで頭が痛くなる香りを放っている。
 猟兵よ、無数の少女達の屍をより合わせ作られたこの『接尸娘々』の群れを、若き英傑と共に土に返してやれ!
月灘・うる
うー、もう。ちょっと落ち着いたけど結局取れてないし……。
こうなったら蕈娘さんに絶対クスリを完成させてもらわないとだね!

と、射撃系のUCで攻撃しようとしたけど、腰に力が入らなくて狙いが定まらなくて、『接尸娘々』に接近されてしまいます。

そして、普通の女の子にないモノを見つけられ、少し収まっていたものを弄り回され、また大きく反り返らせ、
刺激に耐えられずイってしまい、白いモノを大量に吐き出してしまうと、
『接尸娘々』は「これをもらってみよう」と、さらに激しく嬲り回し、
股間のモノも、それに応えるようにどんどん大きく、感度も高くなっていきます。

モノをもごうとした荒々しい動きにまた絶頂してしまうと、思考が蕩け、
なぜかもげないモノをなんとかしようと弄られまくると、射精に歯止めが聞かなくなってしまい出し続けちゃいますね。

このままでは危険と思い、こうなったら最終手段。
射精に【ホエール・スプラッシュ】を乗せて、やっつけちゃうよ……!

ひときわ大きく濃く射精して攻撃するけど、快感もすごくて気絶してしまいます。



 店になだれ込んできた接尸娘々たち。その名の通り死体を継ぎ合わせて作られた彼女たちは、自身と同じ若い女性の死体ならばパーツとして自分の体と付け替えることができる。
「うん、いるね、私になれる子いるね。貰っちゃおうね、私になって友達になろうね」
 接尸娘々はまるで自分と他人の境も分かっていないかのような言葉を吐きつつ、品定めをするように店内を見回してまずは一人の女性に目を止めた。
「うー、もう。ちょっと落ち着いたけど結局取れてないし……こうなったら蕈娘さんに絶対クスリを完成させてもらわないとだね!」
 その女性猟兵、月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)は敵が自分に目を付けたことを察し、他の女性から目を逸らさせるためにも敵を相手取ろうとする……が、その動きはぎこちなく、姿勢も何やら前屈みだ。
 それでも射撃戦にて戦おうとユーベルコードを使用しようとするが、射撃技だけでも複数持っているのが仇になったかどれを使おうか迷った一瞬を突き、接尸娘々たちは即座に間合いの中へ入ってきてしまう。その素早い動きは功夫の達人の如くで、どうやら主に足をそう言った武術を修めた者の足に換装して速さを確保しているらしい。
 仕方なくブランダーバス『オックスブラッド』を撃って迎え撃とうとするも、結局狙いも定まらず適当な方向に乱れ撃つばかり。そのまま接尸娘々たちに詰め寄られ、中を取り上げられて瞬く間に組み伏せられてしまった。
「何かのにおいするよ。どこかな? ここかな?」
 そのままスカートをめくりあげられると、そこには蕈娘の薬によって生えたままの『もの』が。
「なんだろねこれ、なんなんだろね」
 その女性にないはずの部位を乱暴につかんで引っ張り回すと、瞬く間に限界を迎えてしまうそれ。大量に吐き出された白いものが接尸娘々たちの顔を汚すが、彼女たちは何かわからないのか躊躇なくそれを舐めとった。
「わかんないね、生きてるにおいするね。でもどうなのかな? とりあえず、これ貰ってみちゃうからね」
 死体でできている彼女たちに生命の匂いのするものは理解が及び難いのか、とりあえず程度の感覚で乱暴につかんで引き抜こうとする。
「ひ、や、やめてぇ……」
 その乱暴さにどんどん感度と大きさが増していくが、それでも興味をそそられるばかりなのか弄り回す手は止まらない。
「丈夫だね、ぬけないよ。皆手伝って」
「ヌけてる、ヌけてるからぁ!」
 仲間の手も借りて思い切り掴んでは引っ張り上げるが、なぜか抜けないそれ。うる自身が出したもので手が滑り何度も手だけが扱くように持ち上がっては握り直し手を繰り返し、その都度なんども痙攣と発射を繰り返しているそれ。
「なんかあとちょっとな気がするよ。多分」
「あへ、へ、へぇぇ……」
 思い切りスパートをかける接尸娘々と、すっかり蕩け顔のうる。このままでは本当に引っこ抜かれてしまう、そう思われた瞬間に。
「こうなったら……最後の手段!」
 己の危機を感じたうるの、朦朧とした意識の中での反撃。【ホエール・スプラッシュ】が接尸娘々へ向けて放たれた。
 戦闘用にまで強化された鯨の潮吹きが迸り、接尸娘々へ炸裂する。至近距離から顔面に向けて殺傷能力を持つレベルまで強化された潮吹きを受け、接尸娘々たちは功夫の動きを発揮する間もなくそれが直撃、顔どころか上半身全てを吹き飛ばされ、残った下半身だけがその場に倒れ込んだ。
 どうにか乾坤一擲の技にて窮地を脱したうる。これもまたオーバーロードの力か。だがそれで強化された『潮吹き』の元が何なのかは言うまでもなく。
「お、おおぉぉ……」
 完全に頭を快感に焼き切られ、その場に倒れ気絶するうる。それを遠くから見ていた蕈娘は、薬効と猟兵の力の相乗効果に満足げに頷くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
うーむ、さっそく別のを見せることになるか。

交代
第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着
武器:白雪林

笋弟殿は隣にいて、もし近づかれたらなぎ払いをお願いします。
そして蕈娘殿は後ろに。おそらく、優先的に狙われるのは蕈娘殿ですので。

さて、私が『全く間合いの違う者』でして。弓なのですよね。
一方向からくる相手…ということは、狙いやすいものです。例え、建物の中だとしても。

功夫の達人とて、無数の矢ならば避けづらく、叩き落とすしかなし。
であれば、必ず『当たる』んですよね…天敵になるであろう破魔属性が。
そして、一方向からだと私の視界から逃れるのは難しいのですよ。ええ、隣に、と願ったのもそれですよ。



 まさかまさかの手段での反撃を受けた接尸娘々たち。だが後続の者たちは舌を長く伸ばして店の汚れを舐めとって己の力に変えてしまっている。跡形もなく消えているあたりどうやら精気吸収を試みてはいるようだが、結局大した力にはならなかったのか掃除されるだけに終わってしまった。
「やっぱりこんなの食べても駄目だね。ちゃんと取ってくっつけてから残り食べなきゃね」
 舌をもぎ取り適度な長さに戻して、両手を一回り太いものに変える接尸娘々たち。今度は遊びなしに本気で功夫を用いてくるつもりだろう。
 それを見て取った馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、早速先に己が英傑に伝えたことを実行するときが来たと察する。
「うーむ、さっそく別のを見せることになるか」
 そう呟くと同時に、義透の纏う雰囲気が変わった。それまでの猛々しき空気が鳴りを潜め、まるでそこにいないかの如き静謐さを纏う。
「笋弟殿は隣にいて、もし近づかれたらなぎ払いをお願いします」
 静かに若き宿星武侠笋弟に告げるその声は、声紋こそ同じながら口調は別人の如く違った。
 それもそのはず、今の彼は『静かなる者』。第二の席に着く冷静沈着な霊力使いの武士だ。
 事前にその変化を知らされていた笋弟は、驚くことなく頷いて彼の傍についた。そして義透は蕈娘に対しても同じ静けさで告げる。
「そして蕈娘殿は後ろに。おそらく、優先的に狙われるのは蕈娘殿ですので」
 事前に聞いた話によれば、接尸娘々たちは自身のパーツを奪うため若い女性を優先的に襲うという。そうなれば今この場で真っ先に狙われるのは彼女をおいて他にいない。蕈娘は予想以上の義透の変化に戸惑いながらも、言われるがままに二人の後ろへと下がった。
 そうして布陣を整えている間にも、接尸娘々たちはゆらりと動いて迫りくる。その動き方は一見ふらついているように見えるが、店内に置かれた椅子やテーブルを上手く躱しながら滑るように近づいてくる功夫の足さばきだ。
 しかしその進軍にも『静かなる者』は慌てない。
「さて、私が『全く間合いの違う者』でして。弓なのですよね」
 言うと同時に、白い雪のような長弓を抜き打ちに放つ義透。その矢は隣にいる笋弟にすら聞こえるかどうかという僅かな風切り音と共に、一瞬にして一体の接尸娘々の頭を射抜いた。
「なんと……!」
 その技量に笋弟が驚きの表情になる。だが接尸娘々たちは仲間が倒れたことで警戒したか、下半身は物に隠しながら手で上半身を守る構えをとり進みはじめた。それに対し義透はもう一度矢を放つが、今度は接尸娘々の方も素早く反応しその矢を掌で叩き落とす。
「はやいよ、でもまっすぐだよ。見てれば見えるよ」
「なるほど、確かに達人の動き。ですが」
 構わずに連続で矢を射る義透。狙い過たぬそれも接尸娘々たちは次々打ち払っていくが、それでも義透は射撃を止めない。
「一方向からくる相手……ということは、狙いやすいものです。例え、建物の中だとしても」
 さらに放たれた一矢。それも接尸娘々は打ち落とそうとするが、ついに手の動きが間に合わずその眉間を穿たれた。
「なんで、なんで?」
「腕が重いよ、動かないよ、腐ってるの?」
 結合部を巻いていた符がほどけ、両腕が取れて床に落ちる。慌てて屈んで拾おうとするが、両手が無くては拾いようもない。
「我が梓奥武の力よ、ここに」
 そして静かに義透が唱える。それと共に放たれた矢は、弓を離れた瞬間無数に分裂し一斉に接尸娘々たちの体を穿った。
 義透はただ闇雲に矢を射っていたのではない。そも、相手が矢を打ち払うことすら彼は計算していたのだ。
「功夫の達人とて、無数の矢ならば避けづらく、叩き落とすしかなし。であれば、必ず『当たる』んですよね……天敵になるであろう破魔属性が」
 白雪林の矢には元より破魔の力が込められている。尸気を持って動く接尸娘々にとって、それは体を破壊する猛毒にも等しい。無論刺さったわけではない故に一撃で倒されるわけではないが、肉体を持って触れればそれだけで頼みとする手は破壊されていく。
 そうして動きが鈍った所に、とどめとなる【四更・林】による無数の矢。
「そして、一方向からだと私の視界から逃れるのは難しいのですよ。ええ、隣に、と願ったのもそれですよ」
 いかに早く、正確な射撃だろうと弓である以上射程は『前』。義透自身も同程度とはいえ、長身である笋弟が前に立っては射線、そして視界は遮られる。味方を邪魔にならぬ所へ、そして万一に備え自らの弱点とも言える場所のカバーへ。さらには長身二人が並ぶことで、敵の最初の狙いとなる蕈娘をその視界から隠すこともできる。静かなる者の言葉少なな指示は、それだけで敵味方含め戦場の全てを支配していたのだ。
「言葉が見つからない……ただ、見事……!」
 今度こそ本当によろけながらどうにか迫って来た接尸娘々一体、それを指示通りに槍をなぎ払って打ち倒しながら、笋弟が義透を称える。
 それに言葉で返すことはなく、静かなる者はただ一度頷いてばらばらの骸となった接尸娘々を見下ろすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

げ、いつぞやの堅物(笋弟)
私の邪魔はしないでよね

守護霊の憑依【ドーピング】の効力と
【気合い】を『永遠の愛』で高め
身も心も超強化

結構な数の体を繋ぎ合わせたようだけど
私に宿るオブリビオンの魂は約560種よ。
勿論フルパワーで戦う気は無いから安心してね

【第六感・戦闘知識】で相手の攻撃を【見切り・受け流し】
媚毒の【呪詛】を纏った手で
彼女達の胸・お尻・局部を【慰め・カウンター】

パーツ交換で呪詛を取り除く?
本当に交換しちゃうの?
これからもっと気持ちよくなるのに♥

巨乳と【化術】で生やした肉棒を揺らし
【誘惑・催眠術】のフェロモン放出。
我先にと乳や肉棒にしゃぶりつく彼女達を可愛がり【生命力吸収】



 倒されて散らばった仲間の骸すら拾い上げ、自身に継ぎ足しパーツとする接尸娘々。まさに不死の軍勢とも言える彼女たちに槍を向ける笋弟に、両者に割り込むような位置から声がかかった。
「げ、いつぞやの堅物。私の邪魔はしないでよね」
 そう言いながら現れたのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。まるで自身を排除するかのような言葉に、しかし笋弟は大人しく槍を引く。
「いいだろう。化生の相手はやはり化生が相応しかろう」
 言葉そのものは人を誇る彼の意識が悪く出たかの如きもの。だがその口調は穏やかで、口の端には笑いすら浮かべている。
 以前笋弟がドゥルールと出会った時には、彼女の方から彼を嘲るような言葉が出た。だがその時既に成長の萌芽を見せていた笋弟は、その言葉に込められた本当の意図を受け己を奮い立たせ槍を振るうことができた。そして今はその意趣返しを。これが一月分の成長だという念は果たして伝わったか、それは彼女のみが知るところである。
「あなたそういうこと言えたんですね」
「お前、俺を何だと思っている……?」
 こっちは割と本気で言い合っているっぽい蕈娘との会話を尻目に、ドゥルールは下がった笋弟に変わって接尸娘々へと向かい合った。
「新しい私だね。どれ取ろうかな。どこ食べようかな」
 ドゥルールもまた若い女性。接尸娘々にとっては恰好のパーツ候補である。そのような目で自分を見る接尸娘々に、ドゥルールはより『増やす』ことで答えた。
「今、私に宿る全ての魂の鼓動が一つになっている」
 得意とする死霊術によるドーピング強化を【永遠の愛】でさらにブースト、さらに相手に向かい合う己自身の気合いをも高め、力を増した己を見せつけるドゥルール。
「結構な数の体を繋ぎ合わせたようだけど私に宿るオブリビオンの魂は約560種よ。勿論フルパワーで戦う気は無いから安心してね」
「いっぱい、いっぱい? でも体がないから取れないよ、意味ないからいらないよ」
 あくまで肉に宿った記憶を引き出し使う接尸娘々にとって、魂の方を使う死霊術は専門外。パーツとしてのドゥルールに見切りをつけたか、足から腰、尻にかけての筋肉を取り換え下半身のバネを強化してしなやかに迫る接尸娘々たち。
 一瞬沈みこんでからの自信を跳ね飛ばしたかのような動きに、ドゥルールも拳法家の霊の力を宿し、借りることでカウンターを取った。
「なによこれ、変なの混ざるよ、動けないよ」
 相手の突きを受け流し、胸や股間にカウンターの突きを入れる。この封神武侠界を初め、オブリビオンの中にも拳法、武術に通じるものは数多くいる。その技術を借りてのカウンターは接尸娘々たちの功夫にも劣らないもの。そして打ち込んだ手には空いての肉を昂らせる呪詛も宿されている。
「なんかお肉が変だよ。捨てちゃった方が良いよ」
 平然と自分の胸部に指をさし、その肉を引きちぎろうとする接尸娘々。
「パーツ交換で呪詛を取り除く? 本当に交換しちゃうの? これからもっと気持ちよくなるのに♥」
 その言葉も無視し肉を抉ろうとするが、そうなる前にドゥルールは自身の胸を揺らし、相手に誘惑をかけた。
「何か出るんだね、ちょうどいいね。じゃあその胸を貰うね」
 やはりパーツとしての魅力ではあるが、その誘惑に惑い一瞬動きが止まった所で誤飲に組み伏せその手を胸から外させる。そして自身の体に化術を持って備えさせた槍で接尸娘々を貫き、そこから彼女の尸気を吸い尽くさんとした。
「あなたもこれもってるのね、これなんなの? とりあえず貰うね」
「じゃあこっちは私貰うね」
 刺さった『槍』を奪おうとすれば、別の接尸娘々が胸の方に飛びついていく。ドゥルールはそれを受け入れつつ、決して肉は奪われぬよう回避と攻撃を繰り返しつつ、相手の尸気を我がものとしていく。
 まさに化生の奪い合い。なれど、そこにあるのは己すら定かでなくなった屍肉と、己を核としながら数多の魂を宿したもの。その差は大きく、やがて尸気は魂の一つとして吸収されていく。
「あれも道か。俺には真似できん……いや、学ぶところはあるか」
「しないでください、誰も喜びません」
 吸収はすれど曲げはせぬ、それを改めて考える笋弟だが、蕈娘の彼を見る冷たい目は恐らく別の光景を想像してのもの。そのような英傑たちのすれ違いなど関係ないとばかりに、ドゥルールは接尸娘々も己の道に加えるべく気と肉の奪い合いを続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
どうやら、御出での様ですねぇ。

『FMS』のバリアを僵尸さん達と一般の方々を隔てる『壁』として配置、私自身は『FAS』の障壁で防御しますねぇ。
そして【酷郭】を発動し『裁域』を形成、戦場全体に『律』を流し込みましょう。
『裁域』内の行動は『律』の入り方で把握可能ですし、どの様なパーツであれ変更にはタイムラグが有りますので、変更直前に[カウンター]の[爆撃]や『FBS』による[切断]で該当部位を[部位破壊]するか、仕留めてしまえば良いですぅ。

配置等の関係で内側に入り込んだ個体はお二方に。
蕈娘さんが支援主体に、笋弟さんが前線で相対すれば対処可能でしょうが、緊急時のみ援護しますぅ。



「あぁぁ、だめだよ、腕とお腹なくなっちゃった……」
「ダイジョブだよ、頭だけ壊れたこれ使えばいいね。足は私がもらうよ」
 例え倒れても、接尸娘々たちは仲間のパーツを自分に継ぎ足すことで復活できる。頭を潰せばその個体はさすがに死ぬようだが、残った体が予備パーツとして使い回されてしまう。そうして数こそ減ったが無傷の接尸娘々の群れがまたしても英傑たち、そして新たなパーツを求めて進み始めた。
「どうやら、御出での様ですねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその一団を迎え撃つ。
 まず最初にすることは、周囲の客の安全確保。接尸娘々たちがパーツとして狙うのは優れた女性……つまりは最大の目的はるこる自身になろうが、ここは武の都封神武侠界。蕈娘がまさにそうであるように、その辺りの一般人にも優秀な武人が紛れていてもおかしくはないのだ。円盤『FMS』を周囲に展開し、自分と客たちを隔てる壁とするるこる。
 これにて周囲の隔離はなった。だが代わりにFMSを自分の守りとすることはもうできない。代わりに『FAS』を障壁として自身の前に配置し守りとする。これで自身の守りも問題ない。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
 さらに【豊乳女神の加護・酷郭】を発動、戦場全体を『律』によって把握、爆破することで一気に殲滅を計った。
「あやぁっ!?」
 その爆破によって一部の接尸娘々の体が吹き飛び、その場に倒れる。だがその倒れた骸は他の接尸娘々によって拾われ、同様に失った部位の補填に回されていく。
 数こそは減るが、残った相手は実質無傷。一気に詰め寄ってくるその相手にさらなる爆破をかけるが、接尸娘々も合わせて対策を取る。
「氣功波? よくあるやつね。それじゃこっちでいくね」
 自分の皮を剥ぎ、別の皮をそこに張る接尸娘々。途端にその皮膚が硬化し、岩の如く盛り上がった。爆破に耐えるため硬化したのだろう。実際にその部位は効きが悪くなっているように見えた。
「それでしたら……」
 ならばと『律』のもう一つの効果である操作にて、相手の動きを阻害する。もちろん抵抗は可能だが、岩の如く硬化した体の重さと相まって相手の動きはかなり鈍くなった。
「しょうがないね、じゃあこうだよ」
 ならばと腕を付け替え、外した腕を投げつけようとする。ただの投げやりではない投擲術だが、その投げる動作にカウンターを取っての爆破でそれを阻害、結合の緩い部位を浮遊戦輪で切断しつつ爆破していった。
「むずかしいよ、どうするのよ」
「あっち、あっちもらうよ。頭取り換えるよ」
「じゃ、お先だね」
 攻めあぐねる接尸娘々たち。だが一体の接尸娘々が、仲間の爆発を背中で受けて吹き飛び一気に跳躍した。その狙いは、傍らにいる蕈娘の方。
「……笋弟さん!」
「承知!」
 だがその飛来を、笋弟が槍を振り下ろして叩きつけた。
 FASは自分を守る障壁だが、複数人を守るほどは広げられない。だが二人の英傑は完全に守護する必要はない。彼らとて戦えるのだ。
「笋弟さんは前で攻撃を。蕈娘さんは彼を支援してください」
「分かった」
「はいはい!」
 二人が今一つ気が合わなさそうなことは分かっている。だがそれ以上に両者は優秀な英傑であり、同時に猟兵には信を置いているのだ。双方と関わったことのあるるこるはそれをよく分かっているし、彼女の指示があれば互いの力を的確に活かしあう行動をためらいなく取れる。
「生気充填、陽気活性、これ粉にするの難しかったんですよー」
 蕈娘が粉末を辺りにばらまくと、それを吸った笋弟の体に力が漲る。
「なるほど……気が巡る、俺にも見える程だ」
 その強くなった力で槍を突けば、たった一撃で接尸娘々の体は神の様に貫かれた。さらにはそこから何がしかの気が槍を伝って流れ込むのか、そのまま接尸娘々の縫合が緩み、ほどけていく。
「生きてる気と死んでる気は違いますからね。そのままぶちこんでっちゃってくださいねー」
 恐らく生あるものの気、陽気の類を活性化する薬を撒いたのだろう。【ギタギタ血まみれ外科手術】薬物版と言ったところか。
 るこるは二人の連携を加速させるためあえてそちらに放り込むような爆破を交えつつ、耐える接尸娘々たちを的確にパーツ交換を阻害しつつ爆破の嵐で鎮めていった。
「緊急時には助ける必要もあると思いましたがぁ」
 意外とそんな必要もなさそうだ。以前は守り切ることを主眼に置いたが、存外この方が良いのかもしれない。るこるはそう考えつつ爆破の嵐を巻き続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『混沌霊珠・詩歌』

POW   :    電撃翔
全身を【自他ともに傷つける電撃 】で覆い、自身の【殺意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    指雷矢
【指先 】を向けた対象に、【電撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    放天雷掌
【掲げた手のひら 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【電撃】」を放ち、ダメージと【電撃による麻痺と火傷】の状態異常を与える。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 激戦の果て、ついに接尸娘々たちは替えのパーツも尽きたか、全てがばらばらとなり動かなくなった。
「あ、これ何かの材料になりますかねー」
 蕈娘がその死体を拾おうと手を伸ばす。笋弟はそれを理解できないという風に見つめていたが、突如槍を投げ、彼女の眼前にそれを突き立たせた。
 何を、蕈娘がそう言おうとした瞬間、店の壁が粉々に吹き飛んだ。その爆発はすさまじく接尸娘々たちの骸は纏めて吹き飛び、まるでそこが境の如く刺さった槍の寸前まで届いていた。
「あははは、入口回るのめんどくさいから壁ぶち破ってきちゃったよ」
 大穴の開いた壁から現れたのは金髪の少女の集団。扉が壊れた入口にすら回らず来た彼女たちの周囲には、壁を破るのに使ったと思しき雷球がいくつも浮かんでいる。
「お前たちが首魁か? そうは見えんが」
 刺さった槍を抜きながら笋弟が尋ねるが、少女達は馬鹿にするように笑う。
「誰かに言われたっけ? 自分で見つけたんだっけな? あはは、どうだろね、忘れちゃったよ! 謡い、踊れればそれでいいからさ!」
 バチバチと音を立てながら雷球を飛び回らせる少女達。彼女たちの言う歌と踊りとはこれのことなのだろう。
「よく気づきましたね……」
「お前の薬のお陰か、うるさい気が聞こえたのでな。それに、動いて喋る宝貝なら相手取ったこともある」
 気を高める薬を服用したためかそう言った察知能力が一時的に上がっていたのだろう。相手の正体を看破し槍を構える笋弟。
「あははは、そこまでわかるんだ。そうだよ、あたしたちは『五逸』が一、『混沌霊珠・詩歌』! クソ弱い仙人様をぶっ殺して成り代わってやった宝貝さ! あんたもいい踊り手みたいじゃないか! 一緒に謡い、踊ろうよ! 全部全部全部丸焦げになるまでさぁ!」
 興奮しながら電撃を迸らせる詩歌たち。一部は自分さえ焦がしているが、まるで気にした様子はない。
 猟兵よ、この狂った宝貝の踊りを終わらせて……


「素晴らしい!」
 その時、店の最奥から地を響かせるが如き太い声が響いた。無視することを許さぬ威厳に満ちたその声に敵味方が一斉にそちらを向くと、そこでは客の一人らしき壮年の男が席から立ち上がっていた。
「人か仙かなど些細なことよ。若者よ、そなたらの武は賞賛に値する!」
 若き英傑二人に向けてそう言う髭の男。年齢は50を過ぎたほどであろうが、その肉体は若者にも劣らぬほどに逞しく覇気に満ちている。
 その姿をしばし見て、笋弟は弾かれたように拱手を作り、そして膝さえもその場についた。
「何やって……」
「いいから早くしろ! このお方は……」
「余は司馬炎、晋の皇帝司馬炎なり。これより義によって助太刀致す!」
 その名乗りに場が一斉にざわつき、そしてその場のほとんどが頭を垂れた。晋の皇帝司馬炎。人界の主であり、あの三国時代を終わらせた英雄である。
「陛下、助太刀とは……」
「この中華を脅かす悪は到底余一人で抗し得るものではない。故に余は共に中華を守る英傑を探しておる。種族や氏素性、門派は問題ではない。重要なのは共にこの国を、民を守れることのみであるよ。この店はそれを探すに正にうってつけ。現にそなたらのような者とであえたしの。この様な場を失うわけにはいかぬ。それになにより」
 そう言ってから皿にあった料理を一つまみし。
「飯が美味い」
 そう言って司馬炎はかかと笑う。曲がりなりにも戦場に置いてこの豪放さを失わぬのは、それだけで彼の胆力の証明ともなっていた。
 そして司馬炎は猟兵の方へと顔を向ける。
「ほほう、汝らは強いな? 一目見れば分かるぞ、我が国でこれまで余が出会ってきたどの英傑よりも強い!」
 最初に食事をしていた時から見抜き、そして戦いを見て確信したそれを司馬炎は猟兵たちに伝える。そして言われた猟兵たちもまた気づく。彼が一廉の……若き英傑をも上回るほどの武人であると。
「どれ、余も一差し舞わせてもらおうか。詩歌とやらよ、まさか踊り手に不自由とは言うまい」
 敵に対しても臆せず言う司馬炎。それに対して詩歌たちは雷をうならせ応える。
「あはははは、皇帝だか何だか知らないけど、踊ってくれるなら大歓迎だよ!」
 相手が誰だろうと戦えればそれでいい。詩歌たちの唯一の行動理念は皇帝を前にして何も揺らぐことはなかった。
「良かろう! 我が気炎は万丈なり! 司馬炎、参る!」
 言葉通りに司馬炎の体から炎が上がり、英傑たちも彼の意に従い槍と薬を取る。
 猟兵よ、新たなる仲間と共にこの中華を守る力を見せつけよ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 断章が長くなりましたが、上述の通りこの章では晋の皇帝『司馬炎』が味方として参戦します。
 彼は二人の英傑よりさらに強く、『シバの炎』というユーベルコードを用いて戦えます。
 猟兵には好意的で頼み事もある程度きいてくれますが、指揮下に入るわけではないので独自に動くこともあります。戦略上利用したい場合はそれを伝えれば大体は承知してくれます。
 二人の英傑も前章同様に利用できます。誰とどのくらい共闘するかは参加者様しだいです。

ユーベルコード:シバの炎
自身が装備する【黄金と玉で飾られた屠龍刀】から【砂漠に燃え盛る太陽の如き「シバの炎」】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【消えざるシバの炎】の状態異常を与える。
馬県・義透
人格交代『疾き者』
武器:漆黒風

おやまあ、皇帝陛下はお久しぶりにございましてー(『双仙遊戯』にて邂逅済)
ええ、まあ、あの時とはちょっと違ってましたからねー。

お三方は普通に戦ってくださいなー。
あ、蕈娘殿。素早さあげる薬ってあります?欲しいんですよー。

陰海月、霹靂。出て来て撹乱するように動きなさいなー。
私も天候操作による風にて素早さ足して動きますからねー。

あの三人より素早く良く動いて撹乱するように。よく動く相手だと嬉々としてくるんですし?
四天流星を投擲。錯誤呪詛で位置を確実に間違えるように。
指先向けるにも、位置を正しく認識せねばねー?


陰海月と霹靂、『あ、司馬炎さんだ』なぷきゅぷきゅクエクエ鳴き。



 予想だにせぬ援軍に俄かに緊張の高まる店内。だがそこに全く調子を乱さぬ者が一人いた。
「おやまあ、皇帝陛下はお久しぶりにございましてー」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はまるで気負う様子もなく、のほほんとした口調で皇帝司馬炎へと声をかけた。
「汝は……おお、彼の乱の時に見えた者だな。その折は始末のみを浚わせて貰ったが、此度はここより舞わせて貰うぞ。しかし汝、弓も使えたのだな」
 義透は以前にも英傑を探す司馬炎と出会ったことがあった。その時の威厳、そして武威を知る義透は彼の参戦事態を快く受け入れ、そしてその疑問にも当然のことと答える。
「ええ、まあ、あの時とはちょっと違ってましたからねー」
 司馬炎と直接邂逅したのは今顕現している『疾き者』のみ。先の戦いで出た『静かなる者』や他二人は彼にはまだ見せていない存在であった。
「全く、底知れぬ男よ」
「お褒めにあずかり光栄で。お三方は普通に戦ってくださいなー。あ、蕈娘殿。素早さあげる薬ってあります? 欲しいんですよー」
 彼らに過度の手助けは不要と判断し、余計な指示は出さぬことにする義透。ただ、他者に力添えをしてこそ本領となる蕈娘にだけは一つ依頼をする。
「あ、はいはい、ありますよー。これは神気が脊柱より四肢に流れるのを早め受ける側の肉を……」
 つまるところ神経伝達の速さを早め反射力を強化し、それを受ける肉体も一時的に増強する薬らしい。忍びである『疾き者』ならば特殊な薬にも多少なりとも通じている故、それを理解しつつ受け取り、服用する。
「陰海月、霹靂。出て来て撹乱するように動きなさいなー。私も天候操作による風にて素早さ足して動きますからねー」
 義透の声にこたえ現れる小さな海月とヒポグリフ。愛らしく小さなそのものたちは司馬炎を見つけると『あ、司馬炎さんだ』と言わんばかりにぷきゅぷきゅクエクエ鳴く。
「ほっほう、汝らも息災であったか」
「陛下、言っていることが分かるので?」
「いや、わからん」
 がははと笑う司馬炎に、流石の笋弟も反応に困り気味だ。その笑い声に押されるように陰海月と霹靂が強い形の周りを飛び回り、そしてその間を突くように義透が高速で突っ込んでいった。
「あははは、早いじゃん、でも雷より早く動けるかな?」
 詩歌は義透に指先を向け、電撃を放つ。その動きは素早く一直線に義透に向かうが、義透は棒手裏剣『漆黒風』を投げて避雷針とした。
「なるほど、早い。ではこちらに」
 さらに詩歌の直前で軌道を変え横に回り、さらに連続で方向を変えて詩歌たちの間を素早く回り続ける義透。それに詩歌たちは一斉に指をさし、多方から電撃を放った。
「あはははは、どんだけよけられげぇっ!?」
「あはは、間違えちゃったよ、あはははは!」
 直線の電撃を躱せばそれは対面にいる詩歌に当たるが、それにも構わず彼女たちは電撃を放ち味方を撃ち抜いてでも義透を捕らえようとする。その姿に、義透は事前に聞いた情報が確かであることを確信した。
「よく動く相手だと嬉々としてくるんですし? 自滅を気にしないのも本当みたいですね」
 動く相手ほど嬉々として襲い掛かり、同士討ちや自滅も厭わない。つまりは敵中で激しく動くほどに相手の攻撃を誘い、そして共倒れも誘えるということだ。
「余も負けておられぬな。滾れ、シバの炎よ!」
 競うように司馬炎が黄金と玉で飾られた屠龍刀を振り上げ、辺りを太陽の如き炎で包む。炎は詩歌たちを飲み込んでいくが、その中にいる義透だけは一切移ることなく燃え盛った。
「見事……俺も遅れられぬ!」
 その炎の中、まだ動く詩歌に笋弟が一突き。力強き突きが炎をかき分け詩歌の体の中心を貫き、そのまま横倒しにして床に叩きつけ破壊する。
 だがそれでも、詩歌たちは彼らよりも義透を追って電撃を撒き散らしている。三人より早く動き続ける限り、彼女らの狙いは義透に集中するのだ。その中で、義透は鏢『四天流星』をただ、静かに構える。
 そして瞬き一つにすら満たぬ間で、それを全方位に投げ詩歌に突き刺した。だが、それらは皇帝や英傑の技に比べれば軽く、倒すには至らない。
「あははははは、早いけど軽すぎ! 殺せないんじゃただの曲芸だよ!」
 詩歌が嘲るように笑って電撃を乱れ撃つ。だが、それはやはり後ろの詩歌に当たり味方を一人減らすだけに留まっていた。
「指先向けるにも、位置を正しく認識せねばねー?」
 その言葉の真意も分からず、ただただ電撃を撒き散らし続ける詩歌。義透は相手を倒すために四天流星を放ったのではない。目的はそこに込められた呪詛。狙いを乱すようなそれを撒くことで、より確実に誤射を招き同士討ちを誘うよう仕向けたのだ。
 相手の悪しき特徴を最大限利用すれば、後は己の得意に任せひたすら動き回るだけで良い。心がけるべきはただ一つ、三人の英傑より疾き者であればよいだけ。
「なるほど、あの娘どもを一番の舞い手に仕立て上げたか」
 その戦法を見抜き、司馬炎は称えるように炎をあげた。しかしそこにあえて遅くあろうという意図はない。
 彼の者なら手を抜かずともどうせ己たちより早い。その期待に応えるように、義透は陰と雷と共に敵の中をただ早く駆け、手を出さぬまま敵を滅していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

豪快なおじ様ね。
でも、私の舞台では踊り子へのお触りは禁止。
イイモノ見せてあげるから下がってなさい

『欲望解放』で私の最高速度は11500km/h
詩歌達の動きを【見切り】
まとめて【念動力】で引き寄せ【捕縛】の抱擁。
胸や股間を押し当て【電撃耐性】で全身に快感♥

あ"ぁ~~っ♥♥ しゅごいっ♥ ぎも"ち"イイ~~っ♥♥

愛欲という名の【気合い】が漲り
爆発的に戦闘力増強!
胸の先端や股間から媚毒の【呪詛】体液が噴出し
詩歌達の体を濡らして電撃ダメージを増加させるけど
媚毒で淫らになった体には快感でしょ♥

【怪力・盗み】で服を剝ぎ取り
敏感な所を感電させ合いながらの
濃厚なキスで【慰め・生命力吸収】よ♥



 まさに傑物という言葉を形にしたかのような皇帝司馬炎。戦場に置いて微塵も乱れぬその態度を前に、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)もまた彼に対して一歩も引く様子はない。
「豪快なおじ様ね。でも、私の舞台では踊り子へのお触りは禁止。イイモノ見せてあげるから下がってなさい」
 そう言って彼を遮るかのように前に立ち、一人詩歌の群れへ向かっていく。
「ほう、余の手助けはいらぬと。なればとくと見せて貰おう」
 それに対し純粋に面白そうと言いたげに髭を撫でる司馬炎。だが彼の隣で、笋弟の方が困惑した表情を浮かべていた。
「陛下、あの者の戦い方は陛下のお目に触れさせるには……」
「先の戦いとて見ておったわ。汝は随分と初心よのう」
 意味ありげに……あるいは少々意地悪く笑う司馬炎にそれ以上何も言えず下を向く笋弟。
 そしてその前でドゥルールは彼の懸念を的中させるかのように、自らの服に手をかけた。
「ありのままの私を見せてあげる!」
 そのまま服を脱ぎ去り、【欲望解放】の花弁を纏って超高速で宙を舞うドゥルール。ほとんど視認できないレベルのその速さに、詩歌は満面の笑みで答えた。
「あはははは! こんな狭いところで飛ぶとか馬鹿じゃないこいつ! 強い馬鹿は大好きだよ!」
 笑いながら自分の周りに電撃を走らせ、それをエネルギーにして詩歌たちも舞い上がる。電撃は自分たちの体さえ焦がしていくが、それに構わず詩歌たちは高速で飛び回ってドゥルールに追いすがる。
「ほう、よくぞあそこまで精密に舞えるものよ。汝は出来るか?」
「無茶言わないでください無風の室内でとか飛べるわけないでしょう」
 羽衣人である蕈娘も飛翔能力はあるはずだが、流石にここまで無茶な飛び方は出来ない。それを聞いた司馬炎は、改めて感心するように空中戦を見上げる。
「あははは、逃げてばっかり?」
「そんな気はないわよ」
 高速での交差の中詩歌の電撃がドゥルールの肌を焼くが、ドゥルールはそれをあえて受けつつも相手の動きを見切ることに専念する。
 そして正面から向き合ったその一瞬、相手が軌道を変える前に念動力を叩きつけ、その体を自分の側へ引き寄せた。
 全身に電撃を纏っている詩歌をそのまま抱き寄せ、自分の裸体に押し付けるドゥルール。
「あ"ぁ~~っ♥♥ しゅごいっ♥ ぎも"ち"イイ~~っ♥♥」
 当然その電撃はドゥルールに伝わりその体を痺れさせるが、自身に備わった体制でそれを刺激程度のものまで抑え込み自分の体を滾らせる。
「あはははは、それじゃもっと痺れさせてやるよ!」
 囚われている詩歌が自身に纏う電撃をさらに強化、自分ごとでもドゥルールを感電させようとするが、予想以上の強烈なスパークが詩歌の体を焦がした。
「媚毒で淫らになった体には快感でしょ♥」
 自分の体から呪詛交じりの体液を垂らし、それで詩歌の体を濡らして電撃を促進させたドゥルール。もちろんそれは自分の側にも着きダメージは増すが、媚毒によって自他ともに快楽に変えんとする。
「あははは、どきなよ役立たず!」
 別の詩歌が囚われている詩歌ごと破壊しようと電撃を纏って突っ込んでくるが、それを相手を抱きしめたまま飛んで避けるドゥルール。そのまま詩歌の服を裂き、人型人形のような体を露出させる。
「このままどっちが先に逝くか比べましょ」
 あえて自分の敏感な個所を詩歌の纏う雷球に寄せ感電させ、その刺激で体液を巻いては相手にもそれを返していくドゥルール。そしてそのまま詩歌に口づけ、作成者から奪ったという仙人としての生命力を吸収していく。
 感電と吸収のダメージが重なり、捕まっていた詩歌は元の物言わぬ人形のような宝貝となり、砕け散った。そして次の獲物を求め、詩歌の群れの中を高速で飛び回る。
 下方では、その戦い方に笋弟が額を抑えているが当の司馬炎は平然とした表情。
「苦肉計の一種と見れば問題なかろう。房術を転化させる流派も暗殺術に在っては珍しくなし」
 流派は問わぬという言葉通り、それが効果的ならば戦い方も問わぬのだろう。文献によっては好色家と書かれることもある司馬炎だが、少なくとも今上を見上げるその目は色よりも武に沸く者のそれだ。その前で、ドゥルールはお墨付きを得たとばかりに次なる詩歌を捕らえ、その服を剥いでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
おや、少々驚きましたねぇ。

少々危険な能力を使いますので、お二方は陛下の指揮下に入り、陛下共々その範囲から脱出した相手に対処して頂けましたら。

『FMS』による一般の方々の保護は継続、【翳華】を発動し全身を『ブラックホール』に変換、敵全員を対象に吸収を始めますねぇ。
詩歌さんの速度でも、重力圏に捉えてしまえばまず脱出出来ません。
更に[結界術]により『金行』の性質を持つ膜を形成、『金剋木』の性質を加えた結界で、『ブラックホール』相手でも有効になり得る超自然の能力を防げば、雷自体も問題無く吸収可能ですぅ。
後は『FBS』の斬撃や『FMS』のレーザーも重ね、確実に叩いて参りましょう。



 言わずと知れた晋の皇帝であり人界の長である司馬炎。彼がオブリビオンに抗する英傑を探し人界仙界問わず各地を自ら巡っているという話は猟兵が封神武侠界に来た時から聞かれていたが、その実物が突如目の前に現れたとあっては大抵の者は驚きを隠せないだろう。
「おや、少々驚きましたねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も普段のふわふわした調子は崩さないながらに彼の存在には驚いた様子を見せる。
「意外か? よもや余が毎日満漢全席を食っているとか思うておるのではあるまいな?」
 フランス人が毎日フランス料理のフルコースを食べている、というジョークにも通じるようなことを言いながら笑う司馬炎。
「陛下、そういう意味ではなく……」
「いや分かっていってるでしょ。皇帝さんにツッコミ待ちされても困りますけど……」
 もちろん冗談で言っているのだろうが、どうしたって彼が冗談を言ったところで大抵の者は愛想笑いか苦笑いで返すことしかできないだろう。あるいは猟兵は気兼ねなく下らない話を言えるという意味でも、彼にとっては好ましい存在なのかもしれない。
「少々危険な能力を使いますので、お二方は陛下の指揮下に入り、陛下共々その範囲から脱出した相手に対処して頂けましたら」
 るこるは完全スルーという猟兵にしかできない対応で返しつつ、司馬炎に英傑二人を込みにした戦闘を依頼する。
「ほう、危険とな。それは見ものだが、願わくば店を潰さぬよう頼むぞ」
 そう言いながら二人を連れ一歩距離を取る司馬炎。三人が離れたのを確認し、るこるは【豊乳女神の加護・翳華】を用いた。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 詠唱と共に、黒い渦へと変じるるこるの体。それは強力な吸引力を持って周囲にあるものその中へ吸い込み始めた。
「な、なんだこれは!?」
「道術……いやこんなの知りませんよ!?」
「知らずともどうすればよいかは分かろう」
 るこるが変じたのはブラックホールだが、3世紀である封神武侠界に当然その概念などない。だが全てを吸い込む虚無の穴、そう考えれば対処法は簡単である。司馬炎はその逞しい脚で堂々とふんばり、さらには英傑二人の肩を掴み自らに引き寄せさえした。
「あははは、あたしを飲み込むつもり? そんなんさっさとおさらばだよ!」
 自分の周囲に電撃を走らせ、飛翔能力を強化する詩歌たち。それによって脱出を図りもするが、ブラックホールの吸引力と重力の前ではその移動力も十全には活かせない。
「体が重いね……踊れないのは楽しくないよ!」
「そんなところでくるくる回ってないでさ、踊ってよ!」
 ふんばりながら電撃をるこるに向けて放つ詩歌。通常の電撃ならばブラックホールには通じないが、宝貝である彼女たちがその本分として放ったものなら魔法や超能力と同じ非物理の特性を備えていてもおかしくない。
 それに対し、るこるはブラックホールの周囲に輝く結界を重ねることで盾とした。
「そんな薄い膜であたしたちの電撃が防げるわけ……!?」
 自信たっぷりに電撃を放つ詩歌。だが、その電撃は輝く壁に当たり、弾かれる。
「ほう、金行か!」
 それを見た司馬炎が面白げに言う。五行に置いては雷は木に含まれ、金には弱いものとされる。それを踏まえての結界で詩歌の雷を弱め、非物理の力への守りとしたのだ。
「ああ、一個ずつじゃダメってことだね……じゃあこれならどうだい!」
 詩歌は地から足を離し、ブラックホールに吸い込まれるかのように一気にるこるの方へと突進していった。結界の壁に体からぶち当たり、身に纏う雷を弱められながらも突進力で強引にそれを乗り越えて進む。相性の差を強引に力で押しのけられた形の突進だが、元々雷に特化した宝貝である彼女たちならそれが何とか能うたのだろう。
「消え失せな!」
 そのまま残る雷を纏い、ブラックホールへ飛び込んでいく詩歌たち。自滅も厭わぬ電撃を纏う彼女たちの事、捨て身の手を用いることにも一切のためらいがない。るこるは最後の守りとして戦輪とレーザー兵器もそこに加え迎撃を試み、相手の残る電撃と交差させた。
 光さえ飲み込む闇にスパークが轟き、店をブラックホールからはみ出した轟音と閃光が包む。
「槍を突けい!」
 その轟音の中、それを上回らんばかりに響く司馬炎の怒号。そして音と光が収まった時。
「お見事ですねぇ」
 ブラックホールから戻ったるこるがそこに座り込んでいた。力そのものは削ぎきった故、相手の捨て身の特攻を喰らいきることができたのだろう。
 そして司馬炎の方は。
「何、たった一体、汝に及ぶべくもなし」
 号令通りに突き出された笋弟の槍に、一体の詩歌が貫かれていた。全身にひびが入り、すぐに砕け散る詩歌。
「良く見えましたね……」
「俺は陛下の命令通り突いただけだ。ここで見えていたは陛下のみ」
「見るに注力したまでよ。ところで薬師よ、眼と耳の薬など持っておらぬか? あれを真っ直ぐ見聞きしては眼も耳も痛くてかなわんわ」
 やや目を顰めながら言う司馬炎。それは言外に、至近でさらに大量の閃光と轟音を受け平然としているるこるへの賛辞でもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイク・リー
アドリブ・絡みOK

鞘に収めた黒銀の滅牙を持ち、息を整える。
「空、これ無色なりて有色を得ん。流転の理、これ即ち色即是空空即是色」
龍脈使いの技能に滑空とダッシュを融合させた縮地による残像を残した高速移動で動き、相手の攻撃を誘発させる。
「落葉、落ち行く葉は流れ流れて逆らわぬ」
受け流しや見切りによる回避、そこから流れる動きでカウンターを繰り出す護の型。
「舞えよ修羅、神仏一切絶つ剣舞」
刀身が血のように赤くなりジヴァ・アラスの覇気で形成した無数の覇気の剣と共に猛撃を繰り出す。
「斬鬼帰人、あるべき場所へと還れ」
人へと戻す首切りの一閃を繰り出す。


死絡・送
アドリブOK共闘絡みOK
「食休みは終わり、運動と行くか」
と言いノーブルバットに変身して参加。
仲間達と協力して戦う。
電撃耐性とオーラ防御で自分いバリヤーを張って防御しつつ
仲間達の動きに合わせて、かばうで援護防御やアンカーで捕縛する支援などを行う。
英傑達には好きに動いてもらう。
店には被害を出さないように功夫とグララップリングを組み合わせて
打撃からの関節技などの格闘をして攻撃する。
敵を倒し終えたら
「さて、店を綺麗に再建するか」と言い死絡忍軍土遁衆招来を使い
壊れた店を綺麗に修復させる。



 暴れ回る詩歌達は自爆特効のような戦法まで躊躇なく用いては数を減らしていくが、次々と表れてはまた大暴れを繰り返す。その彼女たちの前に次に表れた男を見て、皇帝司馬炎は興味深そうに髭を撫でる。
「ほう? 汝らについてはまだよくわからぬな」
 それもそのはず、今表れた二人は直前の接尸娘々との戦いには参加していなかった。それ故司馬炎にとっては彼らの実力は未知数。強き者を求める彼にの興味がそそられるのも致し方なしという話であった。
「食休みは終わり、運動と行くか」
 まず一人、死絡・送(ノーブルバット・f00528)は英傑たちとも最低限の挨拶のみで、後はしっかりと食事をしたばかり。司馬炎も彼をただの客の一人だと思っていたが、一瞬にして蝙蝠を模したスーツを纏ったその姿を見て考えを改める。
 そしてもう一人、今この場に表れ大きく息を整えるジェイク・リー(終極の竜器使い・f24231)に到ってはどれ程のものか全くの未知数。とかく見てみないことには何も判断は着かない。
 そしてそれは、詩歌達にとっても同じこと。
「あはははは、むさ苦しいのが出てきたじゃん、踊れないノロマだったらいらないよ!」
 まずは小手調べとばかりに送に向けて電撃を放つが、その一撃を避けることもなくただオーラを壁のように張ってそれを防御した。
 電撃が散ると同時に、それに合わせるようにジェイクが滑るような動きで後ろから飛び出す。
「空、これ無色なりて有色を得ん。流転の理、これ即ち色即是空空即是色」
 念仏のように唱えながら、しかし乗せる力は龍脈の力を借りる風水術。宙を掛けるがごとき動きで一瞬にして迫り来たジェイクに、半ば反射的に詩歌たちが反応する。
「あははは、ちゃんと動けるんだ、でもあたしたちの方がもっと速いよ!」
 自らをも焦がすほどの電撃を纏い宙に舞う詩歌たち。まさに雷のごときその突進はジェイクの高速移動に真っ向からぶつかり合い激しい閃光を巻き起こし、そしてすぐに離れる。
 そして転回し、再度の接触。ユーベルコードを用いた突進故何度もぶつかり合えば詩歌の方が有利。それを分かっての繰り返しかは不明だが、次の接触がなされようとしたとき。
「動くな!」
 高速で動く詩歌を、長い鎖が絡めとった。『ノーブルアンカー』の鎖で宙を舞う詩歌を捕まえ、強引にその突進を弱めたのだ。
 そして見切り能う速度まで落ちた詩歌を、黒銀の刃が襲う。
「落葉、落ち行く葉は流れ流れて逆らわぬ」
 【黒死鳥】、護の型。流れる動きで繰り出されるカウンターがまず詩歌の一体を切り裂いた。
「あははは、ナメた真似してくれるじゃん!」
 なればと複数が多方から襲うことで捕らえづらく動く詩歌の群れ。それに対しジェイクはカウンターを取り自身に来た一体を切り裂くが、相手の高速移動のためもう一体にはどうしても手が回りそうにない。
「ふんっ!」
 その一体を再度送が鎖で絡めとる。だが今度は減速のみならず、自分野本まで相手を強引に引きずり下ろした。
 さらにそのまま相手に組み付き、寝技によるグラップリングからの関節技で攻撃を試みる。
「こんな地味な踊り……趣味じゃないんだよね!」
 組み伏せられたまま、全身を覆う自他ともに焦がす電流の出力をあげる詩歌。極められた関節がめきめきと音を立てるがそれを気にする様子は一切ない。
 元が宝貝故痛覚がないのかあってもまるで気にしないのか、ならばと今度はマウントをとっての殴りに切り替えるが全身を襲う電流がどうしても動きを鈍らせる。
「あはははは、我慢比べ? それならあたしの負けでいいよ! 我慢なんて嫌いだからさぁ!」
 自分ごとでも相手を焼き尽くせればそれでいい。殺意に比例する電流が送の体を焼いていく。
「舞えよ修羅、神仏一切絶つ剣舞」
 その死のレースを、赤き刃が強制的に終わらせた。ジヴァ・アラスの覇気で形成した無数の覇気の剣と共に猛撃を繰り出し、送に釘付けとなっていた詩歌を後ろからジェイクが滅多斬りにする。
「無事か」
「すまん、少し甘く見た」
 ジェイクが手を貸し送を助け起こす。
「どうやら終わった後のことを気にかけている場合ではなさそうだ……土遁衆、工事を開始せよ!」
 送が【死絡忍軍土遁衆招来】で配下の土遁衆を召喚する。本来すべてが終わった後店の修復に当たらせるつもりだったが、集団型とは言え殺意に満ちたオブリビオン相手にユーベルコード抜きで戦おうとはさすがに無謀が過ぎたというものだろう。
「土の体で奴らを捕らえろ。英傑たちよ、好きに料理してくれ」
 電撃を通しがたい土属性の集団と共に、再度詩歌たちを捕らえにかかる。高速移動でも一度纏わり付いてしまえば鈍らせることはできるし、そこを英傑の槍や皇帝の炎が焼き穿ち、そして傷ついた体は隙を見て薬が塗られていく。
 だがその中でも、やはり最も鋭く、多く敵を討つはこの男。
「斬鬼帰人、あるべき場所へと還れ」
 鎖に捕われ振り上げられた詩歌。その眼前に、赤となった刃が振り上げられる。その刃は勢いよく振り抜かれ、何の抵抗もなく詩歌の首をはねた。
 人へと戻す首切りの一閃。だが元より特異な出自を持つ詩歌は、壊れた宝貝、単なる『モノ』になってそこに転がる。
 やがて二人を相手取った詩歌は全て破壊され、その場に静寂が戻る。
「見事よ。汝ら示し合わせておったのか?」
 司馬炎の問いに二人は首を横に振る。偶然居合わせた者同士でも即座に連携がとれる、それもまた猟兵の強さなのだと、その姿は司馬炎に教えていた。
「さて、店を綺麗に再建するか」
 残った土遁衆を予定通り店の再建に向かわせ、ジェイクも少なくとも自分が壊した詩歌の骸くらいは片付ける。
 偶然の連携は戦いだけに留まらぬ。これもまた猟兵の姿と、司馬炎はそう見るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月灘・うる
え? あの人皇帝さんなんだ!
これは、ここでいいところを見せておけば、
蕈娘さんもうーちゃんもクスリでウハウハかも!?

だいぶスッキリしてきたし、よーし、うーちゃん頑張っちゃうよー!

相手の数が多いし、近づかれると危なそうだから、
ここは【サルベージロープ】で遠距離からいっぺんに行こう!

ロープで捕獲したら、蕈娘さんに好きなものを見繕ってもらって、
研究材料&パーツにしてもらっちゃおうかな。
これはまだまだ大きな商いになる予感がするからね!

蕈娘さんの吟味が終わったら、皇帝さんにお願い。

皇帝さん、【シバの炎】だっけ? お願いしていいかな。
司馬炎さんの炎で、残りの『詩歌』を一気に焼き払ってもらっちゃおう!



 皇帝司馬炎、その威厳ある出で立ちは誰もを平伏させる。無頼の気のある宿星武侠笋弟すらもその前では畏まり、また直接の統治下にはない仙人蕈娘も勝手気ままな態度は鳴りを潜める。
 だが、それに縮こまらぬ者がいた。
「え? あの人皇帝さんなんだ! これは、ここでいいところを見せておけば、蕈娘さんもうーちゃんもクスリでウハウハかも!?」
 月灘・うる(salvage of a treasure・f26690)は目の前の男が皇帝であると知って驚きはするもののそれに萎縮することはなく、かといってその力を理解せず阿るわけでもなく、ただ舞い込んできた商機としてそのチャンスに目を輝かせるのみであった。
 司馬炎はその不遜な態度を好ましげに見、蕈娘もビジネスパートナーであり戦いをくぐり抜けてきた仲間であるうるに沿うようにその近くにつく。
「だいぶスッキリしてきたし、よーし、うーちゃん頑張っちゃうよー!」
 薬に振り回された状態も回復、万全に迎え撃って一儲けしてくれようと詩歌たちに向かい合う。
「あはは、あたしたちを取っ捕まえて売り飛ばすつもり?」
 そういいながら片手をあげると、詩歌を取り巻く雷球がそこに集まり周囲に電撃を撒き散らした。
「くっ!」
 その雷撃を槍を着き立たせ避雷針のようにすることで笋弟がかわし、蕈娘もその影に隠れるよううずくまる。司馬炎とうるもそれをかわすが、焼け焦げた槍を執拗に焼く電撃を見てそれがただの雷ではないことを悟る。
 延焼を伴う電撃放射自体は詩歌が何度も用いた得意技だが、一つ決定的に違うのはその電撃は詩歌たち自身を焼いていない。自分や仲間を巻き込むことを厭わない彼女たちがそういった技を使うというのはもちろん理由があり。
「奴らにとってもここが正念場ということらしい」
 次々表れてきた詩歌の集団もこれで最後。ここに到って自分や仲間を惜しむ必要が彼女たちにも出てきたと言うことだ。
 追い詰められた相手は自然必死になる。だが同時に、自分の身すら省みぬ捨て身の猛攻を持ち味とする詩歌たちがなれぬ戦法をとらざるを得ないと言うこと。勝機、そして商機はそこにありとうるは見極めた。
「相手の数が多いし、近づかれると危なそうだから、ここは【サルベージロープ】で遠距離からいっぺんに行こう!」
 全身が発電器官のような詩歌には近づくだけでも危険が伴う。それを封じるため、485本のロープを一気に放ち詩歌たちを遠くから絡めとった。
「最後の踊りまで邪魔するとか、ずいぶん趣味悪いね!」
 戒められたままでいるつもりはない。そう電撃を放とうとするが、うるはロープを操り強引にその両手を下に下げさせていく。
「蕈娘さん、これ何かの研究材料かパーツにならない? 生きてる宝貝だって!」
 掲げた手を発射口とする電撃を押さえ込みながら、うるは蕈娘を呼び寄せる。
「これはまだまだ大きな商いになる予感がするからね!」
 強がりや冗談などではない、本気での言葉。その頼もしさ、図太さに本来の己を思い出さされたか、蕈娘も改めて前に出る。
「どこに気の核があるかわかりませんが……電気出してるのは腕ですね。それから確かこの人霊珠とか名乗ってましたね? 体の中に何もないなら、目とかその辺りが怪しいですね。丸いですし」
 相手の力の源がどこにあるかを見立てる蕈娘。詩歌たちは宝貝ではあるが、すでに仙人となり生物の一種とも言える存在にもなっている。気脈で動くのなら仙丹使いの領分と、蕈娘はかつて他のオブリビオンを共に相手取ったときと同じ調子で見聞する。
「人を勝手に見透かして……趣味悪いね!」
 詩歌がその気脈をたぎらせロープを伝ってうるを感電させようとする。だが、それはロープに触れたところで行き場なく消えていった。
 このロープはただの紐ではない。対オブリビオンようの属性を纏ったユーベルコード製のもの。さしずめ電気を通しがたい草属性、あるいは絶縁体のゴム属性とでもいったところであろうか。
 そして捕らえることに専念したら、後は他人に任せればいい。
「皇帝さん、【シバの炎】だっけ? お願いしていいかな。目と腕は残してね!」
 うるからの依頼に司馬炎は快く答える。
「承知した。燃え上がれシバの炎よ、中華を蝕む悪を浄化せよ!」
 文字通りに気炎を吐くシバの炎が、詩歌たちを包み込んだ。ロープは電気に強くとも熱には弱いのか焼け落ちていくがどうせユーベルコード製、自分の懐が痛むわけではない。
「あはははは……あたしたちを殺したって何も終わらないよ……人も! 仙も! オブリビオンも! 謡い、踊れ! 沈んで、なくなるまで! あはははは、あはははははははは!!」
 狂ったように笑いながら、炎の中詩歌達は全て焼け落ちて行った。後には依頼通り、雷気纏う金属の腕と眼球となっていたらしき宝珠が残されていた。
「キルマークは譲ってあげたしこれはもらってくね?」
 攻撃を任せたのではなく手柄を譲ったと主張しつつ、それを当然のように蕈娘に回収させるうる。
 それを笑って快諾し、司馬炎は改めて猟兵と英傑たちを見る。
「良い……実に良いものを見せてもらった! 皇帝司馬炎、改めて頼もう! 若き英傑よ、双界に跨がるこの中華を守るため、汝らの力を貸してほしい!」
 覇と威、そして義を込めたその意に、英傑二人は拱手をもって答える。
「うむ、実にめでたい! このよき日と中華の未来、そして汝らとの出会いを祝し、宴と行こう! 多少壁が壊れておるが、厨房は無事であろう。気にすることはない。支払いは余に任せよ!」
「え、ほんと? じゃあ一番高い料理もらっちゃお!」
 うるが便乗するように言うが、高い食材は得てしてやたらと精のつくものが多かったりするのだがそれはそれ。
 人と仙、二つの世界に響けとばかりに宴の声が響く。その中で二人の英傑は共に思っていた。己が模索し、邁進すべき道、それが封神武侠界の未来という大きすぎる道に乗ったこと、もはや一人の満足で終わらぬ世界となったことを。そして隣にいる重ならねど交わり並ぶ道があることを。
 中華を飲み込む大きな渦の全容は、未だ誰にも見えない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月04日


挿絵イラスト