4
銀河帝国攻略戦⑪~そのコアを守護する者

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




 防衛艦隊とエンペライダーズを排除したことで、スペースシップワールドの艦隊は、帝国大要塞『エンペラーズマインド』に対して本格的な攻撃を開始した。
 この攻撃により、帝大要塞『エンペラーズマインド』に一度は大打撃を与えることに成功したのだ。
 しかし、帝国大要塞『エンペラーズマインド』の防御装甲と対艦武装は、規格外の『コアマシン』である『エンペラーズマインド・コア』によって修復され続けるため、撃破するには至らず、戦いは膠着状態に入ってしまったのだ。

「皆、次の作戦を説明するね。」

 戦場に出向くべく集まる猟兵たちに統率を取っているのは、レオウ・ヴァナターク(天真爛漫な不思議少年・f01149)。いつも明るい彼が神妙な顔をしているのは、次の作戦が危険を伴うことであることを悟っていた。

「聞いている通り、『エンペラーズマインド』を攻略するには、『エンペラーズマインド・コア』の破壊は必要不可欠。みんなにはそのコアを破壊するために突入してもらうのだ。」

 この膠着状態を打開するには、猟兵による『コア』の破壊が必要不可欠。以前の作戦でコアまでの道は開かれており、コアマシンのへの侵入経路は確保されている状態だった。
 しかし、問題が発生が一つ。コアマシンルームに到達するには、古代平気『デストロイ・ウォーマシン』を排除する必要があるのだ。

「戦闘に特化したそのマシンは、圧倒的な力でこれまでの『解放軍』の英雄達を何人も殺害してきたらしいのだ…ここにいるみんなでも、苦戦を強いられるかも…。」

 彼は集まった猟兵たちの身を案じているようで、少し苦い顔をしながら『デストロイ・ウォーマシン』の説明を終える。

「あと、肝心の『エンペラーズマインド・コア』なんだけれど…。」

 まだ何か問題があるらしく、彼は更に言いづらそうな顔をして説明を続ける。
 どうやら彼の説明によれば、コアマシンルーム内には殺人ウイルス『オロチウイルス』が充満しており、いくら猟兵でも数秒程度しか行動ができないらしい。

「だから…その、コアマシンにはほぼ一回しか攻撃することが出来なさそうなのだ…。」

 要はこうだ。凄まじい戦闘力を持つ『デストロイ・ウォーマシン』を倒した上で、殺人ウイルスが充満するコアマシンルームに入りつつ、一撃でコアを壊して来いという無茶な作戦。

「皆なら奇跡を起こせるって信じているのだ。だから、無事に帰ってきて。」

 そんな作戦をお願いするレオウは、唇を噛みながら頭を下げるのであった。


闇猫鍋
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 こんにちは、闇猫鍋です。

 今回のシナリオの目的は、殺人マシンである『デストロイ・ウォーマシン』を倒した上で、その先にある『エンペラーズマインド・コア』を破壊することが目的です。
『デストロイ・ウォーマシン』は強大な力を誇っており、猟兵であっても困難を極めるほどです。
 また、『エンペラーズマインド・コア』のあるコアルームはオープニングの通り殺人ウイルスが充満しているため、ほとんど居ることが出来ません。
 つまり、今回のシナリオは『デストロイ・ウォーマシン』を倒した上で、どうやってコアを壊すかが最大の成功条件になります。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
16




第1章 ボス戦 『デストロイウォーマシン』

POW   :    デストロイトリガー
【一切殺戮モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    クリムゾンバースト
【全武装から全力砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ユーベルアナライザー
対象のユーベルコードを防御すると、それを【自身の戦闘プログラムで高速解析し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

空見・彼方
ウォーマシンかぁー
まともにやって勝てる気しねぇー
つまりまともじゃなければ良いだな!空白!

空白が前衛戦いで敵の注意を、
俺は衝撃波の威力を上げて釘一発の威力をあげる!スナイパー発動!
できるだけ間接部を狙う。

ついでにかばうでもわざとでもとりあえず一発もらう。
UC使用。血液を放ち拘束!このUCは失血死するかもなぁー!
その血は、俺の、武器だぁーッ!!!
拘束した血液から衝撃波を放ち続け、べっこべっこに潰す。

コアルームへの攻撃
覚悟をキメてコア目掛けて突っ込む。
そして手榴弾で自分事爆散攻撃

UC彼岸花、発動。爆散時にまき散らした血をバラにし、
コア全体を衝撃波で攻撃!

俺はUC死ではなく、夢でもなくで復活する。


ベルベナ・ラウンドディー
…まったく奇跡的な性能です
死ぬ気で付きあいますよ、猟兵殿


【念動力・空中戦】
…念動力で宙に浮いての空中戦も視野に包囲陣を展開
他猟兵の支援を期待しつつ攻撃対象の分散を狙う




【鎧破壊・串刺し・吹き飛ばし・情報収集】…で攻撃
狙いは部位破損
装甲や砲塔など体のパーツを吹き飛ばし
盾に利用可能な遮蔽物として奪います
交戦状況から装甲の薄い部分の判別が可能ならなおベター
ユーベルコードはコアマシンおよびPOW対策
動き回らずとも放てる攻撃なら負担も減るでしょう
…見えませんか?もう斬りましたよ!


【見切り・勇気・武器受け・地形の利用・カウンター】
回避は勿論ですが
あれば遮蔽物、武器受けで攻撃を逃れて反撃の機を伺います


リア・ファル
共闘連携/アドリブ歓迎

*心情
コアを叩かないと、ジリ貧…
ボクは最後まで撤退しないつもりだよ

*行動
過去の兵器なら情報は残る物さ
事前に使用AIや使用言語など。【情報収集】は入念に

基本は【騎乗】した制宙高速戦闘機『イルダーナ』の【操縦】テクニックで敵を攪乱しつつ、
多元干渉デバイス『ヌアザ』で切りつけ【ハッキング】!

「キミのプロトコル、解析済みさ! その脆弱性を突かせてもらう!」
何体かは、敵性認識を狂わせて、同士討ちに持ち込んだり出来ると良いな

*コア戦
「神速の一撃離脱…全力全開で行くよ! イルダーナ!」
相棒に声を掛けて、フルスロットル。
UC「五光の神速疾走」を使い、コアに突撃した勢いのまま脱出!


佐之上・権左衛門
【POW/アドリブ・絡み歓迎】まぁウチラが奇跡を起こせるかなんてのは判らないけどやれるだけはやってるさ。
目標を確認できたら「先制攻撃・早業・力溜め」を使って速攻に仕留めにかかる。
接近戦の間合いをとり、愛用の斧で「鎧砕き・鎧無視攻撃・2回攻撃・怪力・衝撃波・吹き飛ばし・気合い・破壊工作」を使ってフルスイング。
「流石に硬ぇな。UCも使えないし、こりゃ一筋縄ではいきそうもないな」
と悪態をつきながらも楽しそうな笑みを浮かべてあくまで近接戦で戦いを挑む。
回避は「残像・第六感・武器受け・盾受け」で。
コアにはUC 【揺らめく人型の何か】で活動限界ギリギリまでひたすら殴らせる。
「ちっ、流石に頑丈だな」 


張・小龍
「単独で突撃するのは無理がありますね。他の方と協力して動かねばなりません!」

いずれは一人で圧倒出来るようになりたいものですが、今回は協力プレイと参りましょう
今回は盾となりつつ動きたいと思います

ボクの専門はゼロレンジなので、こういった広域殲滅型に近付くのは苦手なのですよね
なのであの堅牢そうな装甲を抜ける火力を持った猟兵さんを探し、そこへの攻撃を迎撃して行こうと思います

竜化した爪牙で飛んでくる弾やミサイルを叩き落し、爆風等のダメージは持ち前の耐性技能で耐えます
ボクが狙われている間は残像の技能でやり過ごして行きましょう

コアを壊すための火力は必要ですから、最後の一撃分だけの体力は温存しておきますよ!


レイ・アイオライト
随分といかつい見た目の機械じゃない。騙し討ちなんて通用する相手じゃないみたいだし……ここは【ワンダレイ】の仲間たちの支援を優先するわ。 【影ノ傷跡漏出:暗黒領域】で影の壁を形成、ウォーマシンの攻撃を遮断するように連続で配置していくわ。影の壁に隠れながら前衛が接近できるようにね。 『オーラ防御』『見切り』『残像』『目立たない』『第六感』で攻撃の回避を優先。機械なら電撃は有効な筈。隙を見つけて雷竜真銀鋼糸で電撃の『マヒ攻撃』をするわ。 撃破後は、【変幻ナル闇ノ曙光】で闇と同化しながらヒカルが見つけたコアの弱点を影の刃で攻撃、殺人ウイルス充満してる部屋なんてさっさとおさらばよ。


須藤・莉亜
【ワンダレイ】の皆と参加。
「デカイやつはバラし甲斐があるよねぇ」

UCでデュラハンに変身、さらに首なし馬を召喚して騎乗して戦う。

レイの壁に隠れて敵さんの攻撃を避けつつ接近。近づけたら敵さんを衝撃波や大鎌で攻撃して行く。
危なそうならすぐ離脱、からの再接近してまた攻撃する。とにかく足を止めずに動き回って行こう。

撃破後は、眷属の腐蝕竜さんにヒカルが見つけた弱点に向けて、ブレス攻撃を頼む。

「後は腐蝕竜さん、頼んだよ」
仕事が済んだら、さっさと帰ろうか。艦に戻って飲むぞー。


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】で参加。
英雄殺し…何処まで本当なのか判らないけど…確かに、強敵。
…まずは攪乱…【面影映す虚構の宴】を使い、高速移動する須藤やレイの幻影を作って囮に……
その隙にウォーマシンの各種センサーを介してウォーマシンにハッキング……操れはせずとも…処理能力に負荷をかけて動きを鈍らせる……
●ユーベルアナライザーで誰かのUCをコピーされたら【崩壊せし邪悪なる符号】でを打ち消す…『一度見ている』ものを…使わせはしない…
…コアルームには【尽きる事なき暴食の大火】を拡散して叩き込む…延焼設定は『コアルームにあるもの全部(含むオロチウィルス)』
ウィルスに晒されたときの自分の症状は記録しておいて脱出…


尾守・夜野
【ワンダレイ】の皆と行動

ウォーマシンには可及的速やかに消えて貰う

ウイルスのある部屋から離して戦いてぇが…無理だろうな
攻撃がいって、こっちに漏れてきちまったら厄介だな
気をつけて行動するぞ

オルタナティブダブル使って分身を呼び出す
…消されてもすぐに別の人格を再度召喚し、レイの用意した壁の向こうを常に動き回らせて囮とする

俺は気配を殺し可能な限りゆっくりと力を貯めながら進みぶちかます

…後は殺人ウイルスのある部屋だけか…Nagelを構えて打つ!特別製だ!

喰らいやがれ!
弱点に限界まで火薬の量を増やした貫通力に特化させた弾丸を放つぜ

後、すぐには効果出ねぇだろうが戻った時の薬を作る為に刻印でウイルス解析はしとく


星群・ヒカル
おうおう、なんかゴツいののお出ましじゃねぇか!
だが!この超宇宙番長と【ワンダレイ】の仲間たちの前で、今まで通りに戦えるとは思うなよッ!
「視力」で、戦場に着いたらまず敵を観察
撃ってくるなら撃てないようにすりゃいい話だ
超宇宙・強襲流星撃で、遠くから敵の装備している武器や砲塔を一つづつ壊していくぜ!
ふふふ、宇宙船の中で流星群が見られるとは思っていなかっただろう?
攻撃されそうになってる仲間がいたら、援護射撃で危機を脱する隙を与えるぜ

敵の撃破後はコア破壊へ!
コアだって弱点があるはずだ
「視力」「第六感」でよく観察し 弱そうな場所を目掛けて「超宇宙・強襲流星撃」だッ!


ユナ・アンダーソン
全力で行きます!
でも私は非力だから……
誰かを長く戦えるようにした方が良いかもしれない

優しさ11、手をつなぐ11、激痛耐性6、鼓舞12を用いて傷奪う星痕を使用
あなたの傷を私にちょうだい?

ユーベルアナライザーを使われたら
私のユーベルコードを使う?
でもね、それは自分を癒やすことは出来ないの
自分の傷を奪っても意味はないから……ごめんね?

火炎耐性3、電撃耐性2、武器受け3、第六感5で敵の攻撃を予測し防御

毒耐性3だから少しは保つはず

アドリブで他の方との絡み歓迎



●心無き殺戮マシン
長く広い通路が続く。照明で明るく照らされた、『エンペラーズマインド・コア』へと続くロードからは、強大な存在の気配と途轍もない殺気で包まれていた。
 左右には頑丈そうな壁、そして地面には瓦礫が沢山散らかっている。この瓦礫は恐らく、コアへ続く道を塞いでいた防壁の一部だろう。先行してきた猟兵が跡形もなく吹っ飛ばした残骸である。
「殺戮マシンに殺人ウイルスねぇ。ったく、無茶なこと言いやがる。」
 警戒を怠らずに通路を歩く十人程の猟兵。その先頭を歩く佐之上・権左衛門(見た目はおっさん、中身もおっさん・f00239)は、タバコに火を付けながらそう呟く。
 彼がそうである通り、後ろに続く猟兵たちもまた、これまでよりも明らかに難易度の高い作戦に緊張感を覚えていた。
「おめぇら、気を付けろ。既に警戒域に入っている。どこから来るか分からねぇ以上、決して———」
 後ろに注意を呼び掛ける権左衛門の声が、途中でぴたりと止まる。何かの気配を察知したのだろうか?
後ろに続く猟兵たちを手で制したまま数秒の沈黙が流れる。しかし、敵の姿はなく、張り詰めたまま一秒一秒と時間が進む。
そして、誰かが声を上げようとしたその時だった。
「上だぁ!!」
 血相を変えたように権左衛門が叫ぶと、はっとなって他の猟兵も、釣られるように上を見上げる。
 大きな通路の天井に、それは悠々と張り付いていた。
 あれが古代兵器…?
 全長は5mを優に超えるだろうか?朱色の分厚い装甲に、沢山の銃口。まさしく殺戮マシンを思わせるその巨体は、恐らく目だと思われる赤い光と緑の光をこちらに向けていた。
 足だと思われる部分を天井に器用にひっかけながらこちらを凝視していたその巨体は、その場にいる猟兵らがあっけにとられて見ている中、不意に引っ掛けていた足を天井から放し、猟兵たちの真上に落下してきた。
「おめぇら!!散れ!!散れぇ!!!」
 権左衛門の鋭い叫び声が、凍り付いた空気を切り裂いた。猟兵たちは我に返ったように皆動き出す。権左衛門もそれを見て、デストロイ・ウォーマシンの落下地点から退こうと…。
 だが、一人、逃げ遅れた猟兵が居た。ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)は、デストロイ・ウォーマシンの真下に運悪く居たのだ。逃げる方向に迷ってしまった彼女はウォーマシンの標的になってしまい、彼女にその巨体が迫る。
「ちぃっ…。」
 権左衛門はまだ吸っている途中のタバコをギリッと噛み締めると、渾身の力でユナの身体を突き飛ばした。ユナは数m飛ばされて地面に転がったものの、大した怪我はないだろう。
 問題は突き飛ばした権左衛門である。彼は、落ちてくるウォーマシンの巨体を愛用の斧で受けようとする。しかし、鉄の塊はそれを無情にも簡単に押し返した。
 権左衛門は何とか踏み潰されることだけは回避したものの、通路の壁まで吹っ飛ばされ、その壁に跡を付ける程に叩きつけられる。
「侵入者…排除スル…。」
その銃口は、真っ先に壁に叩きつけられた権左衛門に向けられる。この殺戮マシンは、早くも猟兵一人を殺そうとしているのだ。
 身体が動かない権左衛門は、咥えていたタバコを食いしばりながら、ウォーマシンを見る。
 誰もそれを止める術がなかった。あまりに突然のことで誰かがそれを防御することも叶わなかった。無残にも放たれたそれは確実に権左衛門に命中し、大きな爆発音と黒煙を上げる。
 その煙が収まる頃、そこには倒れる権左衛門の姿があった。

●対殺戮マシン戦『ヴァンガードサイド』
「………!!!」
 誰しもがその光景に目を見開いた。先程まで皆を統率し、リーダー格でもあった権左衛門がたったの二撃で戦闘不能にまで追い込まれてしまったから。
「レイ!!手筈通りに行くぞ!!」
 止まっていた時間を動かしたのは、尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)だった。彼は武器を構えてレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)に叫ぶ。
「わかったわ!」
 それに応えるように、レイは地面に手をついてユーベルコードを発動。【影ノ傷跡漏出:暗黒領域】の能力により、ウォーマシンを囲むように黒い壁が並ぶ。
 これにより、ウォーマシンの射線はカットされ、射撃による攻撃は大幅に防ぎやすくなるだろう。
 猟兵たちはその壁の後ろに4方向に散り散りになるように隠れると、ウォーマシンを倒すべく動き始めた。
「私と小龍くんが前に出て砲撃を抑えます。皆さんは側面から攻撃を…!」
 壁の前に出たのはベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)と張・小龍(飛竜子・f03926)の二人。ドラゴニアンの二人はそれぞれの位置からデストロイ・ウォーマシンと向き合った。
 二人はわざとウォーマシンに狙われるよう、挑発しながら動き回る。
ウォーマシンは恐らく目の前の敵を殲滅するようにプログラムされているのだろう。動き回る二人に反応を示すと、全武装を二人に向けてやたらめったの弾幕を浴びせかけてくる。
常人であれば蜂の巣にされているであろうその攻撃。ベルベナは素早く動きながら念動力を用いて浮遊、ウォーマシンを軽く翻弄する。
一方で小龍は弾を避けつつも、避けきれない弾は竜化した爪牙で防御。残像を利用し、混乱を誘う。
「そのまま…そのまま持ちこたえておいてくれよ…?」
 そんなウォーマシンを狙う銃口。空見・彼方(ゾンビアタッカー・f13603)は二人が翻弄している間、壁の内側に身を潜めてずっと狙いを定めている。
 狙うは間接の部分、フルバーストを終えてリロードをしようと一瞬止まったのを彼は見逃さない。衝撃波により威力が強化された釘を、ウォーマシンに向けて撃ち出す。
空間が歪んで見える程の衝撃波を生んだそれは、ウォーマシンの関節を打ち砕く………筈だった。読まれていたのか、弾丸は僅かに逸れて朱色の装甲に阻まれた。有り得ない程に強固過ぎる装甲。強力な弾丸ですら、傷はつけれど貫くことは叶わない。
「嘘だろ…??」
 その光景を見た彼方は驚いたように目を開くと、絶句した。外したのもそうだったが、驚いたのはその装甲の硬さだ。自分の放った渾身の弾丸が、装甲に穴すらあけられないなんて…。
 あっけにとられている彼方をロックオンするウォーマシンの銃口。慌てたベルベナは、その銃に飛び込んでそれを切り落とそうとする。
「…見えませんか?もう切りましたよ!」
 強烈な殺気と共に、超高速の刃がウォーマシンの銃につながる関節を通過する。そして数秒後に訪れる斬撃の音…。
 確実に斬れたとベルベナは確信した。しかし、その確信はすぐに疑問に変わった。
 斬れた銃が落下した音がいつまでたっても聞こえない。
 彼はウォーマシンの方に振り返り、唖然とした。確実に斬り落としたと確信した関節は、傷すら付いていないのだ。流れるように向けられた銃口に、咄嗟に足が動かない。
 その銃口をわずかに弾いたのは、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
彼は伝承顕現【首なし騎士】によりデュラハンの姿に変身すると、首なし馬に乗ったまま持っていた鎌で銃を一閃する。それでも傷が付かないウォーマシンだが、僅かにベルベナへの射線が逸れ、発射された銃弾は地面を貫くだけで済む。
「莉亜!…一度ベルベナ達を連れて退け!」
 星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は、望遠鏡ガントバスと神経融合し、ウォーマシンの関節部を捕捉。愛用の宇宙バイク『銀翼号』に搭載されたガトリング砲を構えたまま莉亜に叫ぶ。
 莉亜がベルベナと小龍を回収して壁の中に逃げたことを確認すると、ヒカルはそれをトリガーハッピーのようにぶっ放した。

●勝利への方程式『ハッキングサイド』
 戦闘は困難を極めていた。既に対敵してから30分以上経過している。前衛がデストロイ・ウォーマシンの足止めを行っている間、後衛は壁の内側で何かを話していた。
 このままではジリ貧で負けてしまう。倒すためには何か新しい案を出さなければならない。
「なるほどね!つまりボクとキミで、あのマシンのハッキングをしようって魂胆であってる?」
 リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)の言葉に、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はコクコクと頷く。
 恐らく、あの強固な装甲を抜くことは不可能だろう。二人が話していたのは、内部の破壊。つまり、あれがプログラムで動いているということを利用して、ハッキングをしてしまおうということだった。
 しかし、言うのは簡単。実行に移すのは大きなリスクを伴う。恐らくはアレにもあるだろう、管理用バックドアの入手。侵入後のプログラムの書き換え。それらは一瞬でできるものでもなく、遠くからできるものでもなかった。
 要するに、アレをしばらく行動不能に陥れなければならず、それもしばらく…少なくとも数分は必要だ。
「それで?…どうやってあのマシンの足を止める訳??」
 リアの言葉にメンカルはこくりと頷くと、持っていたチョークで地面に作戦を書き始めた。

●決死の治療と覚悟の作戦
「お願い…起きて……。」
倒れている権左衛門の傍ら、ユナは必死に彼の介抱をしていた。デストロイ・ウォーマシンの強烈な一撃を喰らい、権左衛門は重傷を負っていた。一撃目は武器で何とか大ダメージは防げたものの、その反動で壁に叩きつけられた時のダメージ、追撃の砲撃によるダメージで生きていることが不思議なほどである。
必死に傷奪う星痕(ペインテイカースティグマ)を権左衛門にかけ続ける。もうしばらくの間彼の傷を奪っている。それなのに、彼は起きない。
「っ……。」
 勿論、奪う側のユナにも段々と『奪った傷』が蓄積していく。激痛に耐性のある彼女でもそれは息を乱すほどで、何とか自分を奮い立たせながらもその作業を続ける。
 お願い……お願い……。
「げほっ……げほっ……。」
「!!……良かった……。」
 彼女の思いが届いたのか、権左衛門は激しく咳き込みながら意識を取り戻す。彼女のユーベルコードの賜物か、はたまた彼の生命力の強さか。
「寝ちまってたか…げほっ…嬢ちゃん、戦況は?」
 権左衛門は煙草を咥えて火を付けながら、身体をゆっくりと起こす。
 ユナはそれを支えるように起こしてあげると、何とかギリギリ、デストロイ・ウォーマシンを抑えている猟兵たちを見て、今の戦況を簡潔に説明した。
「そうか……苦戦しちまってるか……。俺も、行かねぇとな。」
「無茶よ!…その体で戦ったら、死んじゃうわ?」
 ユナの静止を聞かずに、権左衛門は何とか身体を起こす。
 すると、そこに…。
「お取込み中失礼するわ。」
 そこに現れたのは、ウォーマシンの周りに壁を張った後、好機を伺っていたレイ。彼女は、影に潜みながらいろんな人に伝達を行っていた。
彼女の説明を聞いて、権左衛門はため息交じりに煙草の煙を吐き出す。隣で聞いていたユナも、耳を疑うかのようにレイに聞く。
「これが作戦…?本気で言ってるの?」
「ええ、アンタも見て分かる通り、アレを倒すにはもうこれしかないのよ。」
 作戦とは言い難いそれは、成功する確率なんて考えたくないものだったが、確かに現状これしか方法は見つからない。
 ユナは諦めたかのようにレイに頷くと、彼女ら三人はウォーマシンと戦っている皆の方へ、加勢しに行くのだった。

●猟兵たちのレクイエム
「全く……出来ればコア破壊の為に力は温存していたかったんだがな…。」
 壁の内側で武器を構え直す夜野は、ちょっと苦笑しながら呟く。先程まで、ユーベルコード、オルタナティブダブルによる自身の分身を囮に、ウォーマシンにちょっかいをかけていたが、ここまでの流れを見てそれが全て無駄であることを悟る。
「デカイやつはばらし甲斐があるけどねぇ…ちょっとデカすぎない?」
 莉亜も、呆れるように目の前の殺戮マシンを見ながら呟く。首なし馬はまだ動くが、これ以上変身しているのは少し危ない。
「仕方ねぇだろ、物理的な弱点が見つからねぇ以上、何とかしてあいつの動きを止めなきゃいけねぇわけだし。」
 ぶつぶつと文句を言う二人を宥めるのはヒカルである。彼らワンダレイ組は、夜野の分身をいとも簡単に倒したウォーマシンを見据える。既にそのターゲットは自分たちにあり、銃口もこちらを覗いていた。
「この一撃をお前に使うことになるとはな。特別製だ、喰らいやがれ!」
 夜野は渋々といったかのように、『Nagel』を構える。限界まで火薬の量を増やし、貫通力に特化した弾丸をウォーマシンの片足にぶち込んだ。
 勿論、あれがこの程度で倒れるとは思っていない。しかし、火薬で爆発的な威力を備えた貫通弾は、ウォーマシンの片足を弾き、一瞬体勢を崩す。
「首……落とさないようにしないと……。」
 そう呟きながら変身したままウォーマシンに詰め寄る莉亜。彼は浮いた足を素早く鎌で狩り上げる。
「援護します!このまま奴の体勢を…!!」
その動作と同時に飛び込んできたのは、小龍だ。彼は竜化した爪牙で、強烈な一撃をウォーマシンの胴体に叩きこみ地面に叩きつけた。
 5mを超える巨体は、想定外の事に足をジタバタと動かす。銃器という銃器は暴発を起こし、他の猟兵を近付かせない。莉亜が乗っていた首なし馬と小龍もそれに驚くと、慌ててウォーマシンと距離を取った。
「これでどう?」
 ウォーマシンが体勢を崩したことを確認したレイは、展開していた黒い壁を狭め、その中に閉じ込めた。多分、閉じ込めて置ける時間は短いが、少しの時間を稼ぐことが出来れば十分だ。
 壁の上に移動していたヒカルと彼方は、持っていた銃をウォーマシンに向けて撃ち続ける。巻き上がる煙。普通の敵であればこれで蜂の巣になっているだろう。普通の敵であれば……。
 煙が収まった壁の中を覗けば、ウォーマシンの銃口の数々がこちらを向けている。二人が慌てて顔を引っ込めた時、その一斉射撃は天井に直撃する。
「馬鹿な奴め!そこで一生倒れてな!」
 一斉射撃により崩れた天井は、次々と瓦礫になってウォーマシンを襲い掛かり、それを下敷きにする。
 ここまでは計画通りだ。
「あとは『蓋』…ですね?」
 ベルベナは頑固そうな壁を一瞬のうちに寸分たがわず四角に刳り貫くと、それを串刺しにしてウォーマシンの居る壁の内側に投げつける。
流石のウォーマシンも、横になった状態でこれを動けば身動きが取れなくなるだろう。
そんなウォーマシンの近くに行くのは、リアとメンカル。彼女たちは端末を持ってウォーマシンにバックドアを仕掛ける。
「三分……いえ、二分で終わらせて見せるわ?」
 リアはそう言いながらメンカルと高速演算、プログラムを構築していく。ロボットがこの防壁を破る前に、作業を終わらせなければならない。
 静けさが続く。先程の戦闘が嘘のように。このまま無事に作戦が成功すれば、どんなに平和な事か。
 一分三十秒程度経ったところで、瓦礫がガラッと音を立てる。黒い壁にピキッとヒビが入る。一分四十秒……。
「…!!!」
 あと少し…あと少しのところで防壁が吹き飛び、ウォーマシンが姿を現す。先程よりも多くの武装を露出しており、物騒な銃口をリアとメンカルに向けて今にもぶっ放そうとしていた。
 思わず目を見開く。ハッキングする手が止まりそうになるが、彼女たちは仲間を信じて、その手を止めない。動かない。
「おめぇら!!気張れぇ!!」
 権左衛門が合図を送る。すると、構えていた猟兵たちが、一斉にウォーマシンにとびかかる。銃口という銃口にとびかかり、暴発するその射線を決死で逸らした。
 殺戮モードに入ったウォーマシンのパワーはさっきまでの比ではなく、全員まとめて弾き飛ばされてしまった。
 しかし、その数秒でハッキングしていた二人が作っていたプログラム、『自爆プログラム』が完成した。
「これで終わり……。」
 ひときわ大きな銃口を向けられたメンカルは、無表情のままデストロイ・ウォーマシンを見据えると、その『自爆プログラム』を作動させた。

●コア破壊作戦
「やれやれだぜ、とんだ強敵だった。」
 本日三本目の煙草に火を付けながら、権左衛門はくたびれたようにつぶやいた。
 自爆プログラムが作動したデストロイ・ウォーマシンは、跡形もなく木っ端みじんに吹っ飛び、やっと動かなくなった。長時間の戦闘の末、やっと倒すことに成功したのだ。
 しかし、これで終わりでは無い。コアの破壊が残っている。むしろ、今回の作戦はそれが本命なのだ。
 皆疲労している中、何とかコア部屋の手前まで辿り着く。
「ボクはまだ余力が残っています。いかせてください。」
誰がコアを破壊しに行くか。その論議が始まる前に立候補したのは、小龍だった。
「馬鹿野郎!…死ぬかもしれねぇんだ。お前みたいな子供に行かせるわけにはいかねぇ!行くなら俺が…。」
 そして、それを止める権左衛門。扉の先にはオロチウイルスが充満していて、いくら猟兵と言え十秒ともたないと言われている。
「そんなボロボロの身体で何が出禁だよ。ちょっとは休んどけって、おっさん。」
「誰がおっさんじゃワレ!」
 彼方が懐から手榴弾を取り出しながら隣のおっさん呼びかけると、おっさんは彼方に食って掛かる。
 しかし、彼の言うことも一理ある。確かに権左衛門はボロボロで、コア破壊に入れるほどの体力が残っていなかったからだ。
「あの…それなら私も……。」
 ユナが静かに手を挙げて皆を見る。そんな彼女も、先程まで皆の傷を癒すために傷奪う星痕を利用していたが為に、疲労と身代わりになった傷が大きい。
「ええ……、では私が。」
「んじゃボクが!」
「ん?オレが行こうか?」
 次々と上がって聞く手の数々。そして、最後まで残っていたのはヒカルである。
「え………じゃあおれも?」
「「「「「どうぞどうぞ!!」」」」」

 最終的にコアルームに突入し破壊を行うのは、小龍、彼方、ヒカルの三人と、莉亜の召喚した腐蝕竜に決まった。
 莉亜本人は、変身のし過ぎで消耗が激しいためお留守番。彼は自分の可愛い腐蝕竜を撫でてから見送る。
 二重に密閉された部屋。オロチウイルスが外に漏れださないように設計された扉であり、三人は一枚目の扉の向こう側へ入る。
「………。」
「安心しろって、絶対何とかなるさ。」
 不安そうな顔をする小龍。そんな彼に、彼方が陽気に元気付ける。不安なのは皆同じだ。
「救出班はすぐに入れる準備をしておけよ?」
 権左衛門が煙草を吸いながら指示を出す。
 作戦概要は、三人が突入し渾身のユーベルコードをぶち込む。そして、恐らくオロチウイルスにより行動不能になってしまった彼らを、ベルベナ、リアが回収して即戻ってくるというものだった。
「それじゃ、行くぜ?」
 ヒカルがそう言いながら、銃器を構えて二枚目の扉のロックを解除する。
 ゆっくりと開く扉。その中に、彼らは勢いよく飛び込んだ。

●エピローグ『束の間の休息』
「何とか間に合いましたね。時間的に少しギリギリに感じましたが…。」
「ホント、どうなるかと思ったよ。」
 ベルベナとリアが、意識を失った小龍とヒカル、彼方を肩に抱えながら、コアルームと通路の間の狭い部屋で滅菌を終えて通路に出てくる。
 コアの破壊は成功した。ヒカルと彼方のコアへの集中攻撃。そして、コアに飛び込んだ小龍の放った如竜得翼の一撃が、全てを終わらせることになる。
 真っ二つに割られたコアは、その効力を失う。同時に三人はウイルスにより意識が飛んでしまったものの。その後突入したベルベナとリアに無事救出された。莉亜の腐蝕竜は、ユーベルコードの効果切れと共に離脱し、結果的に誰も犠牲者を出すことなくコアの破壊に至ることが出来た。
 ユナが三人を介抱する中で、ようやく猟兵たちの張り詰めていた緊張の糸が切れる。
 正直色々ありすぎて、身体の力が抜けてしまう者もいた。
「ま、上出来だろ。」
 恒例の如く権左衛門が四本目の煙草に火をつけようと…。
「煙草の吸い過ぎは身体に悪いですよ。」
 流石に四本目はユナに止められ、火をつけることが出来なかった。
「それじゃあ僕たちは先帰ってるねぇ…。」
 莉亜は倒れているヒカルの足を掴み、引き摺りながらワンダレイのみんなと一足早く帰っていく。きっと早く帰って皆と飲み交わしたいのだろう。
「うーん…ボクも少し休憩!」
 全ての作戦が終了した後の静かな廊下。それぞれがそれぞれの思惑を呟く中、猟兵たちは束の間の休息を過ごすのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト