【サポート優先】君の手で竜花は咲く
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)
●先触れ
黒焔がうねり、炎が地面を舐める。
焼き尽くし、呪い尽くしてやると。
嗤うような吠え声が轟いた。
遠き過去より現れたのは、殺戮の魔竜。
不吉の影が、ドラゴン達へ喰らいつこうとしている。
●グリモアベース
「アルダワにある竜神山脈へ向かってもらえないか」
地図を広げてみせながらクック・ルウは話を始めた。
ツツツ、と黒い指先が魔法学園のある場所から西へと移動して止まる。
「このアルダワの地図にある⑨の場所だ。ここへ『黒焔魔竜・ヴェログルス』というドラゴンが災魔として蘇ることを予知した」
それはかつて魔王の元で殺戮を繰り返し、あらゆる者を焼いた災厄の権化。
残忍かつ狡猾な、禍々しい黒焔のドラゴン。
「凶悪な相手だ。退治せねば、多くの犠牲が出るだろう」
おそらく激しい戦いなるはずだ。
けれどこの地には心強い味方もいる。
竜神山脈に暮らすドラゴンは昔から猟兵や学生に力を貸し、災魔との戦いを続けているという。
事の次第を知れば、彼らは喜んで猟兵に協力してくれるだろう。
「転送先はドラゴンの集落の一つ、巨大な岩屋に巣窟をつくるドラゴン達が暮らしている場所だ」
ヴェログルスが現れるのはその深い洞窟の奥である。
洞窟内部は入り組んだ構造をしており、慣れぬものが入れば迷ってしまうだろう。
けれどドラゴン達の案内があれば、そこへたどり着くのは容易いはずだ。
「そうそう。ドラゴンから石を差し出された者がいたら、ぜひ受け取ってあげるとよい」
洞窟の中には不思議な魔法石がある。
人が触れると花の形に変化し、そのまま石像になるのだ。
ドラゴンはこれを『竜花』と呼び、気に入った者に友情の証として差し出すのだという。
魔法の竜花は触れる者によって様々な花となると言われている。
「あなた達なら、きっと素敵な花を咲かせるのだろうな」
グリモアが閃いて、あたりの景色に変化が始まれば。
遠くからドラゴンの鳴き声が聞こえてくるだろう。
鍵森
舞台はアルダワ竜神山脈。
ドラゴンがいっぱいの冒険です。
●構成
1章:日常。
洞窟に暮らすドラゴン達と交流します。
彼らが差し出す石に触れると花の像に変化するようです。
人それぞれ違う花になることでしょう。
2章:ボス戦。
『黒焔魔竜・ヴェログルス』との戦いです。
禍々しい炎を操る恐ろしい敵となります。
この地のドラゴン達も戦いに協力してくれることでしょう。
新しい形式を試験的に試してみたくなりました。
サポートさん優先ですが、通常プレイングの方も歓迎です。
よろしくお願いします。
第1章 日常
『散らずの花』
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POW : 迷わず触れる
SPD : そっと触れる
WIZ : 優しく触れる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ドラゴンの巣穴がある洞窟は、まるで巨大な迷宮のようだった。
周りは石ばかりでもなく苔や樹といった地下植物のようなものが生え、水が流れている様子もある。
洞窟はドラゴンが暮らすだけあって内部は広々として、光源があってもまったく先が見えないほどに入り組んでいるようだ。
猟兵たちはまず天井高い広場のような場所に案内された。そこには見渡す限りにドラゴンが集まっている。
巨大な生き物が動く度に、そのなめらかな鱗があわく輝き、宝石のような瞳がいくつも瞬いた。
空を飛ぶもの、水を泳ぐもの、氷を息吹をさせるもの、小さな子竜まで。
さまざまな種類のドラゴン達が猟兵たちを歓迎している。
『よくぞ参られた、猟兵たちよ』
『戦いの地まで、我らが案内をしましょう』
『この洞窟は慣れていないと迷いやすいからな』
好奇心が旺盛なのか親しげに話しかけくるものが多い。
どうやら昔から人と交流があるだけあって、人語を話せるものも珍しくはないようだ。
『ぐごるるるぅ』
『背に乗るカ? わたし、お前を運ぶヨ!』
鳴き声や片言の言葉でも、声には親しげな響きがこもる。
彼らは頼もしい味方となるだろう。あるいは、素晴らしい友となるかもしれない。
ヴェルンド・ラスリス(サポート)
ダンピールのブレイズキャリバー×死霊術士、30歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、機嫌が良いと「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
その動作はとても静かで、足音すらも微かにするだけ。
ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)の所作は闇の中でもなめらかで隙がない。
(ドラゴンの巣窟か)
異世界にはこんな場所もあるのだと、あたりに注意を向ければ。
ひしめく生き物の気配、広く、深い穴に、足音や鳴き声がしている。
洞窟を移動するドラゴンと猟兵の集団から付かず離れずの距離をヴェルンドは歩いた。
次から次へと戦いの場を渡り続ける男にとって、此処は数ある戦場の一つにしか過ぎない。
遥かな旅路を往く流れ者の心得が体に染み付いている、そういった風体である。
『君は暗闇が怖くないのかい』
ドラゴンの声だ。
シュウシュウと煙を吐くような声音だったが、ヴェルンドは特に驚きもしなかった。
洞窟の影の中を瑠璃色の鱗がヌゥッと横を行くのを目の端で認める。
『道を見失わないかと、心配にならないか』
「いいや」
ヴェルンドは首を横に振った。
「夜には慣れているんだ」
まぶしい処よりも、ずっと。
故郷を思い出して細まるヴェルンドの銀瞳に月光と似た輝きが過る。
「どうして俺に声を掛けてきたんだ」
もっと愛想のいい奴がいるだろう。とヴェルンドはドラゴンに尋ねた。
含みもなく、ただ素朴な疑問が口をついたのだ。
『君が何処へ向かうのだろうと思ったんだ。とても遠くを目指しているような、そんな気がしたから』
「ドラゴンってやつは率直な物言いをするんだな」
『気に触ったのなら謝るよ』
「別に、いいさ」
腹の中を探り合うよりも気が楽だ。喉を震わせるように笑うと、鴉羽の外套がゆれた。
そういう仕草をする時のヴェルンドの姿は一際大きなカラスめいている。
「探しものがある。俺はそれを見つけるまで、立ち止まれないんだ」
『どうして?』
「そうすべき理由があるからだよ」
素早く答えながら、身体中の血が騒ぐのをヴェルンドは感じた。
洞窟の奥へと進むにつれ、冷たく湿った空気にうっすらと異様な気配が混じり始める。
この向こうにいる黒焔魔竜は自分の存在を誇示し、隠れるつもりもないようだ。
ヴェルンドは自分の隣りにいるドラゴンが少し震えたのを感じた。
「怖いのか」
『勿論、恐ろしいよ』
「引き返すなら今だぜ」
『うん。そうだね』
頷いてはみせたが、引き返す気はないようで、ドラゴンはそのまま一緒に道を進む。
此処まで来たからには、それ相応の覚悟はしているのだろうとヴェルンドもその意志を汲んだ。
ぐらぐらと燃え立つような気配が強くなっていく。
邪悪な炎だと、炎を身に宿すからか、ヴェルンドは自然とそう感じ取っていた。
現世への復讐に燃える過去の残滓。
蘇ってまで世界を滅ぼしたいというのだ、さぞかし凄まじい執念だろう。
けれど自分が持つ炎はこんなにぬるくはない。そんな風にも思い、苦い笑みを口端に浮かべる。
『ねえ、これを貰ってくれるかい』
不意に瑠璃色のドラゴンが、ヴェルンドの目の前にとがった爪先を近づけた。
なにか小さな石を持っている。
『竜花という石だよ。知っているかい』
「どうして俺に渡すんだ。それは、大事なものなんだろう」
その言葉にドラゴンは微笑んだようだった。
『恐れずに進み続ける、そんな君が咲かせる花を見たいと思ったんだよ』
「そんな理由で渡していいものなのか」
受け取る理由もない、無雑作に伸ばしたぼさぼさの髪を掻きながらヴェルンドは暫し逡巡した。
ここで断って、共闘相手と妙なわだかまりをつくるのは得策じゃない。
だが戦いの前にこうした心を交わすような遣り取りをするのもあまり気が進まない。
まあいい、たかが石の一つを受け取るぐらい。
ヴェルンドは迷ったが、やがて手を差し出した。
『どうぞ』
うやうやしい仕草でドラゴンは石を渡した。
黒くすべすべとした細長い石は、ヴェルンドの手のひらに置かれるとパチリと弾けるように形を変え始める。
固く閉じられていた蕾が花開くような動きだ。そうして、ぽつぽつと花びらを広げた姿はこんもりと丸い。
『たんぽぽだ』
「黒いたんぽぽだな……」
なんとも言えない可愛らしい花姿にヴェルンドは静かに嘆息した。
ドラゴンは満足したようだった。
「気を引き締めろよ、敵は近い」
たんぽぽの石像を懐にしまい、歩き出す。
ドラゴンもやはりその動きに倣うように後を付いた。
そういえば。
たんぽぽの種子は、風に乗ってどこまでも飛んでいくのだったな。
ヴェルンドは一度肩をすくめると、洞窟の影がいっそう深いところへと踏み入った。
成功
🔵🔵🔴
レスティア・ヴァーユ
【アドリブ大歓迎】
『ドラゴン』というものは。実は一度も野生種を目にした事はなく。あるドラゴンには鱗が生え、あるドラゴンにはもふもふの毛が生えているという。更には、竜は龍と似ていても別物であるとデータで閲覧すれば、密やかな興味は広がるばかりで…と、自身に少し浮かれた心を抑えながら。
転送先にて洞窟の奥を目視する。いくら戦い慣れているとはいえ、凶悪な存在が奥深く、同じ洞窟内に蘇るというものは気が気ではないであろう。
ドラゴンには、人語を解するものはいるだろうか。
いるのであれば、事前にヴェログルスの特徴、戦闘スタイル等の情報収集をしておきたいところではある。
しかし――災魔と戦い通しであれば、必要事項とはいえ、問い掛け続ければ息をつく間もないであろうと思えば……災魔復活の少しの時間に、ドラゴンたちの息抜きとなるように何か出来る事があればと思案し、ふと己の歌を思い起こす。
それならば、歌を一曲披露をしよう。出来る限り、優しく花開くような心安らぐ柔らかなものを
もし、石をいただけるのならばそれは心に喜んで。
数多の異世界にドラゴンと呼ばれる存在がある。
ある時は幻想として、ある時は凶暴な敵として、そしてある時は神として……。
伝承を綴る書物や記録されたデータを調べることは容易いが、しかしこうしてゆっくり触れ合う機会なぞはそうそうないものだ。
信ずるに足ると認められた者でなければ、野生の生き物が自らの巣に人を招き入れることはしないだろう。そしてまた、巣に踏み入る自分たちもドラゴンへの信頼がなければ来られまい。
(これが、野生のドラゴンか……)
レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)の胸に不思議な感慨が湧いた。
幻想的な生き物を目の当たりして、レスティアも思わず少年のような無邪気な眼差しを向けた。それはほんの一瞬のことだったが、自分の心が浮き立ったことにレスティアは驚く。
(データによればあるドラゴンには鱗が生え、あるドラゴンにはもふもふの毛が生えているという)
その姿は千差万別。
金に銀に輝く鱗。体表に氷をまとうものや、炎の熱を走らせるもの。
長い体毛をもち猫のように靭やかな体を持つもの。
大きな翼に太ましい尾、鋭い爪や牙を持ち、身体に力強さをみなぎらせたドラゴン達。
彼らは皆、この地の危機を救うために現れた猟兵を頼もしげに見詰めている。
(獣とも違う、思慮深き生き物なのだろう)
レスティアの唇に微笑みが漂った。
『異界を渡る者達よ、そなた達と戦える事を我らは心強く思う』低く轟くドラゴンの声。
「ああ、私も力を貸そう」
浮き立つ心を抑えた涼やかな声が凛と響く。
レスティアの誠実な佇まいに、ドラゴン達は頭を垂れて感謝を現すのだった。
ドラゴンの群れと共に出発した猟兵達は洞窟の奥へと進む。
『天井や壁は広いからぶつかることはないでしょう。けれど足元には気をつけて、石や地割れがある』
騒々しくはないが。時折、そのような声が飛び交った。
光源はいくつかあったが、広い洞窟内を完全に目視するのは難しい。
「目的地まではどれぐらいある」
『この進み具合であれば、さほどは掛かりますまい――二十分ほどで着くでしょう』
レスティアの問に答えたのは鬣を持つ金色のドラゴンである。
先程の挨拶で、はじめに自分に頭を垂れたのもこの竜だった事にレスティアは気がついた。
「では、その間にいくつか聞きたいことがある」
『なんなりと、答えましょう』
「まず……ヴェログルスというドラゴンについて知りたい」
『かのドラゴンは災魔となる前――つまり生きていた頃から魔王の配下として猛威を奮っていたと聞いております。黒焔魔竜という呼び名もその頃についたものでしょう』
「ということは、相手は炎を使うと思っていいか」
『いいえ。唯の炎ではない……我らが祖先はこう伝えております』
金色のドラゴンは警戒音のようなシュゥーという細い息を吐いた。
『 彼がもたらすのは 黒き呪いの炎 残忍な蛇 』
『 終りを迎えて尚 生を貪る為に蘇る 殺戮のヴェログルス 』
シュル、シュル。蒸気を吹くような声でドラゴンが語るのをレスティアは静かに聞いた。
レスティアの繊細な感性は、鼓膜を震わせる音の響きの中に、黄金のドラゴンが胸に潜めた苦渋を拾い上げる。
「――同じドラゴンだからこそ、許せないか。何故そうなってしまったのだと思わずにいられないか」
やがて、レスティアはそう言った。
「お前は優しいのだろう。忌まわしい敵相手にも、どこかで救いはないのかと思うのだから」
ドラゴンの瞳が驚きに大きく見開かれる。
『あなたは、その輝く蒼穹のような瞳で、すべてを見通しておられるのか』
「そんなことはない、すべてなどわかるものか」
『では、なぜ?』
「さあ、なぜだろうな」
はっきりと答えられものではないのだと、ゆるり首を傾ぐ。
その時、洞窟の奥から風が吹き抜けていった。
わずかに熱のこもるような不吉な息吹にレスティアは柳眉をひそめる。
ヴェログルスは自らの存在を隠そうという気もないのだろう、尊大なものだ。
「気が気ではないだろうな……自分達の住処に凶悪な存在が蘇るというものは」
この世界のドラゴンは災魔との大戦で絶滅寸前まで追い込まれたのだと、資料に載っていた。下調べをしたレスティアだからこそ知っていたことだ。
ひとたび災魔が現れれば、この巣窟一つを根絶やしにするのは容易い。ドラゴンが戦い慣れているとはいえ、今ここに猟兵達が来なければどれほどの命が奪われていただろうか。
ドラゴンにとって災魔とは脅威なのである。
けれどこのような戦いに終わりはない、今日を勝利しても、また次が起こるのだ。それでも戦いをやめることはできない。戦わなければ死ぬだけなのだから。
戦いを前にして、ドラゴン達にも緊張した様子が見え始めていた。
そんな彼等のためになにが出来るだろうかと、レスティアは思わずにいられなかった。
ドラゴンが唯の戦いを好むケダモノであったなら、話は別だったかもしれない。けれど、その姿を見て心に触れてしまえば……。
「ああ。自分が出来ることは、これぐらいか――・・・」
白い翼を広げて、レスティアは歌い始めた。
洞窟に優しい歌声が反響して響き渡っていく。
まるで透明な波紋が広がっていくようだ。
歌はドラゴン達の心に寄り添い、彼らの大切なものを思い出させた。
それは確かな鼓舞ともなり、安らぎと共に闘志を高める。
歌声は温かで純粋さに溢れていた。レスティアの眼差しに、ドラゴン達への憧憬が浮かんでいただろうか。ともすれば淡々とした態度にも見える彼の内に隠された心情が声に乗る。
歌が終わる頃には、ドラゴン達の様子もすっかり平静さを取り戻していた。ヴェログルスの威嚇にも怯まないだろう。レスティアと共に戦えることが、彼等の心を支える。
『歌をありがとう。この石を、どうぞあなたに』
「……喜んで」
屈んだ黄金のドラゴンのふっさりとした鬣を撫でながらレスティアは竜花の石を受け取った。金色の石が、固く閉じた蕾が花開くように手の中で形を変え始める。
その可憐な花びらを広げた優雅な花姿を見て、レスティアは瞬いた。
「アイリス、か」
様々な意味合いを含んだ花だけれど、その名の語源は虹であるという。雨上がりの空に架かる虹が人の心に希望をもたらすように、レスティアもドラゴン達の希望を与えたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
ドラゴンの住む地を守るためなら喜んで働こう
竜神山脈に着いたら災魔の復活があることを知らせる
その後どうするかは彼ら次第、無理に一緒に行こうとは言わない
力ある彼らならきっと俺の中の邪悪な力もわかるから、それを持つ俺に誘われたってきっと困らせてしまうもの
それでもと協力してくれる子がいるならそれは、とても嬉しい
竜が好きなんだ
俺の真の姿、魔力と融合して変異した姿が竜人だからかもしれない
ヒトのように身勝手なこともない(人は身勝手と邪悪な力に思い込まされている)から安心できる
話せる者は凄いし、鳴く者だって態度で考えがわかる気がする
どの子も愛おしい
魔法石を差し出されたら嬉しくて微笑みながら受け取るよ(形お任せ
「ここが竜神山脈……」
グリモアベースからの転移を終えたサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)を迎えたのは洞窟に暮らす無数の竜達だった。
霊山である竜神山脈には、人類が暮らしていないのだという。
その理由は明らかにされてはいないが、竜たちが人類を拒んでいるという様子はないようだ。
(単純に人類が暮らすのには環境が適していないのかもしれない)どこか厳かな空気を感じ取り、サンディは心が落ち着くような心地よさを感じた。ここが竜の為の地だというのなら、心や身体がなにかしらの反応を示すのも無理はないかもしれない。
『貴方はどなた?』不意に現れたサンディへ、竜が人の言葉で尋ねた。
「はじめまして、俺はサンディ……この地に現れる災魔を退けに来たんだ」
『災魔……おお、それでは貴方は異界を渡る戦士でいらっしゃるのですね』
「猟兵のことを知っているんだね」
『ええ存じております。魔法学園での活躍も、よく』
そうであれば話は早い。
この洞窟の奥にもうすぐ凶悪な災魔が現れることをサンディは竜達に告げた。
動揺を与えるかとも思ったが、竜達はじっと話を最後まで聞いてから動き始める。
サンディは竜が好きだった。
それは魔力と融合して変異した自分の真の姿が、竜人であるからだろうか。
紅の角に翼や長い尾を持ち、欄と輝く黄金の瞳はヒトならざるものの表徴となる。
サンディは竜が好きだった。ヒトのように身勝手ではない彼等には、安堵を感じられるから。
竜達は災魔と戦うことを選んだようだった。
この事態にどう動くのかは彼等次第だと必要以上に口は挟まない。
けれど自分の言葉を信頼してくれたことを、サンディはこっそり嬉しく思う。
『この洞窟は私達の巣です。守らねば、雛や卵も殺されるでしょう』
「別の場所へ避難させることは出来ないかい?」
『やってはいますが……間に合わない』
あらゆる可能性を考慮しての判断なのだろう。
サンディは今話している竜が雌であり、子供を持っていることを悟っていた。どのような思いで今の言葉を言ったのだろうか。水晶のような瞳が沈痛に揺れている。
希望的観測など無い。
彼等はごまかしのない率直な考えをするのだ。
「大丈夫、卵や雛の元へ戦火を届かせたりしない」
安心させるようにサンディは言った。
『ありがとう。貴方が来てくれたことを、嬉しく思います』
巣を守るために集まった竜達は、猟兵達に道案内を申し出た。
広大な洞窟の中を迷わぬように進むには、彼等の協力が必要だろう。
けれど、共に戦うというのならそこには命の危険が伴う。
「……君も行くんだね」
移動を始めた竜の群れの中に、サンディは先程の雌竜を見つけた。
彼等の意志を尊重し、余計なことを言うつもりはない。
それでもこの竜が傷つく姿を見ることがないようにと思わずにはいられなかった。
サンディの心情を悟ったのだろうか、
『帰りを待つのは性に合わぬものですから』
雌竜がはっきりとした口調で言う。
ごろごろと石を擦るような声が近くからした。どうやら別の竜が笑ったらしい。馬鹿にしている感じはなく、なにか同意するような調子のようだ。
クカカ。キッキッ。とそのような鳴き声がしばらく飛び交い、サンディは一歩離れたところからそれを興味深そうに聞いていたのだが。
『あなた、ここへくる。離れる。はぐれる。あぶない』
ぐい、と鼻先で背中を押されて竜の群れへと加えられてしまった。
「ええと、俺は……」
『だめよ。はなれるの。迷子なるよ』
まるで子供を諌めるような言い方をしながら、小柄な竜が横に寄り添ってくる。
悪気がないのは明らかなので、なんと言えばいいのかサンディは一度言葉を詰まらせ。
「うん……、迷子にならないよう、気をつけるよ」
そう言って、困ったように微笑んだ。
人の言葉で話す者も、そうではないものも、態度を見れば考えていることが解るような気がする。
……身勝手な人と違って……。
ふっと過ぎった思考に、サンディの心は染められる。
サンディは今すぐ竜の群れから離れたところへ行きたくなった。
力ある竜達は俺の中の邪悪な力も見抜いてしまうだろう。彼等を困らせたくない。
『大丈夫ですよ』
表情を曇らせたサンディの頬を、鱗に覆われた竜の尾が撫でる。
『貴方は独りにならない』
水晶のような瞳がサンディを見詰めている。心の奥を見透かされるのではないかと思うほどに澄んだ輝き。全身を写してしまうほどに大きな、竜の瞳。
サンディはゆっくりと背筋を伸ばした。
洞窟のひんやりとした空気がどこか神秘的な重みを帯びて漂う。
『手を出してください……サンディ』
そっと差し出したてのひらに、透明な石が乗せられた。
「これは、魔法石?」
『竜花という石です。それは人の手で咲く花なのですよ』
石が姿を変えていく。
種から芽吹いてスラリと茎を伸ばし、蕾を付けたかと思うと花びらを開いた。
そして見る間にプリズムがきらりと煌めく透明な一輪の石像となる。
魔法を感じながら、サンディは花の像を手に首を傾げた。
「コスモスの花……?」
『可憐な花ですね。貴方によく似合う』
「それは、どうかな」
花が似合うと言われては、さすがに面映い。
けれど自分の手で咲いた花が美しいものであったことには安心する。もしも恐ろしい花が生まれていたら、彼等には見られたくはなかった。
『私達からの友情を込めて、勇敢なるサンディへ贈りました』
ごろごろ、キッキ、と同意の鳴き声が飛び交う。
「ありがとう」
竜に認められたことが、嬉しくて堪らなかった。
どの子も愛おしいと心の底から思う。
サンディは竜達に微笑みかけて、歩きだす。
「さあ行こう……一緒に」
囁くようにそっと言ってから、口元を手で覆う。
もちろん異を唱えるものは一匹もいなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『黒焔魔竜・ヴェログルス』
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POW : 禍ツ黒焔ノ息吹
【広範囲高威力の禍々しい黒焔の息吹】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を黒き焔が燃やし尽くし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 生ヲ貪リ喰ラウ黒キ焔蛇
レベル×5本の【命中したら徐々に体を蝕んでいく、炎/闇】属性の【高い追尾性を誇る禍々しい黒焔の蛇】を放つ。
WIZ : 憤怒スル黒竜ノ纏焔
全身を【怒り】に応じて大きく燃え上がる【漆黒の炎】で覆い、自身が敵から受けた【負傷と火炎】と【自身の怒りの度合】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「龍ヶ崎・紅音」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
禍々しい気配が漂っている。
臓腑に染み入ってくるようなどす黒い殺気の先に一頭のドラゴンがいる。
向こうもこちらを見ていた。
邪悪に満ちた視線が猟兵たちをなぞり……ドラゴンの群れを見て侮蔑の笑みを投げる。
『戦イニ矮小ナル人間ノ手ヲ借リルカ、愚カ者共』
傲慢な誇り高さでもって、彼は人とドラゴンの絆を軽蔑し嘲笑する。
『我ハ黒焔魔竜・ヴェログルス』
吐息にまじり空気に広がる炎は闇よりも昏い色をしていた。
焦土を思わせる匂いが辺りに立ち込めていく。
『サア来ルガイイ――一匹残ラズ灼キ尽クシテヤル!!!』
サンディ・ノックス
絶対に洞窟へ戦闘の影響は出さない
約束だもの
俺を仲間の輪に入れてくれた竜達
共に戦う選択をした竜達
彼らも傷つけないようにもしたいけど俺は万能じゃない
それに彼らを傷つけないようになんて傲慢だ
俺が精一杯戦うように彼らも精一杯戦う
信じて災魔を共に討つ
皆への想いと共にUC解放・月蝕を発動
暗夜の剣を抜き長剣に変形させて敵の懐へ飛び込む
動き回り目障りと思わせ
傷をつけては再度そこを攻撃し傷口を抉って怒りを買い
攻撃を受け倒れて動かない演技をして止めを刺しに来たところを騙し討ち、脚に深く剣を突き刺してやり――
洞窟から離れるように誘導していく
万が一洞窟方面に攻撃が行くときはその身で庇う
竜達の為ならこれくらい耐えられる
炎の塊かと思うような熱気と共に、呪いに満ちた咆哮があがった。
しかしその瞬間、全てのドラゴンたちがそれを掻き消さんばかりの反応を示した。翼を打ち鳴らして舞い上がるもの、牙を爪を尖らせるもの、地響きを立てて足を踏み鳴らす者たち。それは滅ぶはずだった運命を変えようと戦う猟兵たちと共に未来を勝ち取るための叫びだった。
サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)もまた、その光景を前にして思わず呼吸を忘れた。
相手は曲がりなりにもオブリビオンこのドラゴン全てを屠る力を持つ邪竜との命がけの戦いが始まる。
共に戦う選択をしてくれた竜達、彼らが傷つかずに戦い終えることは難しいだろう。
全てを守り、救えるほど、俺は万能じゃない。
彼らを傷つけないようになんて、そんな風に思うのは傲慢だ。
俺が精一杯戦うように、彼らも精一杯戦う。
それだけだ。ここが戦場である以上、それだけの気持ちでここに立っている。
俺がすべきは――共に戦う者達を信じるのみ。
『骨モ残サズ燃エ尽キロ!! 我ガ呪イト怒リニヲ浴ビテ滅ビヨ腑抜ケ共!!!』
「滅びるのはそっちだよ」
呪いの炎に怯むことなくサンディが駆けた。灼熱の息吹が吹き荒れようとも、それが己を殺すことはないと確信しているかのように躊躇わず飛び込んでいく。
そしてその背後には――。
『私達は負けません。始祖よ、遥かなる過去の残響よ』
サンディと交流を持った雌竜達が凛として佇んでいる。彼女らが見つめるのはサンディの背だ。
竜の瞳にはその背が昏い炎を裂くような一筋の光として映った。
小さな人の身に宿されたその力は今、怒りに狂う竜を穿たんと迸ろうとしている。
『私達は未来を望み、共に戦う彼らを信じています』
サンディはドラゴン達の想いを感じ取るように柄に手をかけた。
暗夜の剣が抜かれ、それは長剣となる。
「この洞窟には絶対にお前の呪いを残さない――約束だもの」
『ナニィ!?』
ヴェログルスは瞳を見開いた。炎を超えて迫りくる剣の刃は黒く禍々しく、それでいて清廉な気配を放っている。
『貴様ァッ……我ガ炎ヲ恐レヌト言ウノカアアァァァ!』
咄嵯に身を翻したヴェログルスだがもう遅い。振り下ろされる一撃を避けきることは出来ず、剣は左目を切り裂いた。
鋭くも重い一撃に、痛みと怒りに任せて吐き出そうとした呪いの息吹さえ途切れる。
『オオオォォ……オノレオノレオノレェェ! 人如キガアァ!!』
ヴェログルスが身を捩って暴れだす。その動きに合わせる様にしてドラゴン達の援護も一層激しさを増した。
サンディは剣を構え直しながら一歩前へ踏み出す。
「お前はこの先へ進むことを許さない」
『黙レッ……人間風情ガァ!!』
「人間だからなんだっていうんだ!」
翼を広げ、羽ばたかせて突風の渦を起こす。サンディはその中を突っ切るようにしてさらに前へと進んだ。
怒りに目を眩ませたヴェログルスの反撃がサンディを襲う。しかしそれさえもサンディは軽々と避けてみせた。
自分を仲間の輪に入れてくれた竜達の心が彼に力を与える
「人間だろうと何者だろうと関係ない! お前はここで何も為さずに過去へ還る。それだけだ!!」
『小賢シイ人間メ……ナラバコレハドウダアッ!』
禍々しい炎の息吹が地面へ向かって放たれた。まるで爆発でも起きたかのような衝撃と爆風が押し寄せてくる。
「っ……!」
サンディの身体が大きく飛ばされて壁に叩きつけられた。
「ぐっ……」
それでもサンディはすぐに起き上がろうとした。
まだ倒れるわけにはいかない。――それに、こいつを引き付けるのも作戦の内だ。
『ソノママ這イツクバッテ死ネエエエェェ!!!!』
倒れたサンデイを踏み潰さんとヴェログルスが迫った。その時、サンディの握る長剣が閃く。
瞬時に起き上がり体が翻る。次の瞬間には深々と突き刺さった剣がヴェログルスの脚を貫いた。
『ガアアアァァアアッッッッ!!!』
ヴェログルスの絶叫が木霊した。
見下していた人間相手に騙されたことに、痛みよりも屈辱が勝る。それはそういう声だった。
演技でも痛みは確かにあったが、サンディにはどうということもないのだろう。
大丈夫かと心配する竜達へ、涼しげに目元を細めてひらりと手を振る。
どんな傷を受けようと、竜達の為ならこれくらい耐えられる。そういう覚悟だった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴェルンド・ラスリス
凄まじい怒りを感じる。
だが、俺の炎に比べればぬるすぎる!
とはいえあの巨体、どう攻略するべきか…
先程竜花を貰ったドラゴンの背に乗り、大上段からUC『穿ち狂う獄炎の刃』をぶち込む。
「友たる正義の竜に跨り、邪龍を倒す英雄か…そんな柄じゃないが…まぁたまには悪くないな…」
※アドリブ共闘歓迎です
そして―――この戦場にはもう一人、運命を変えるために戦う者がいた。
(あれが……ヴェログルスか)
彼の視線の先には黒い炎を纏うドラゴンの姿がある。
呪いの炎を撒き散らし戦い続けるその姿を、彼は静かな表情で眺めていた。
ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)がここにいる理由はただ一つ。この戦いを終わらせるためだ。
とはいえあの巨体、どう攻略すべきか。
「お前、俺を乗せて行けるか」
先程自分に竜花を渡した竜に尋ねれば『もちろん』と返ってくる。ヴェルンドはニヤリと口角を上げた。
「よし、行くぞ」
竜は小さく首を下げて応えると、ゆっくりと飛び上がった。その背に跨りながら背中の大剣に触れる。
ヴェルンドの瞳は真っ直ぐに黒き魔竜を捉えたままだ。
「あれもまた復讐の燃えるものか」
その呟きは誰にも聞こえないほど小さなものだった。
『アアアアア!! 矮小ナル分際ガ我ヲ侮辱スルカアァァッ!!』
ヴェログルスが激昂して巨大な尻尾を振り回す。
怒り狂いながらその身体は黒い炎を纏って近くにある生き物たちから生命力を奪っていく。
負傷を回復させるための能力か、あるいは呪いによる力なのか。どちらにせよ迂闊に触れてはいけないことは明白だった。
「無理に近づくな。俺がお前の盾と剣になるから、飛ぶことにだけ集中してくれ」
『わかった。……フフフ、不謹慎だけどさ。オレ今ちょっと嬉しいよ』
「なに?」
『人を乗せて一緒に戦うのってさ、ちょっと憧れてたんだ』
竜の言葉にヴェルンドは少しだけ面食らうような顔をしたが、すぐに表情を引き締めた。
「……そうか。じゃあしっかりやってくれ」
『うん!』
ヴェルンドを乗せた竜は大きく翼を広げると一気に上へと舞い上がる。
しっかりその背に掴まったヴェルンドの乱れのない姿勢に竜は『上手!』と称賛をする。
戯れている場合ではないのだが、竜としては真面目なのだろう。
――猟兵が来ていなければ、この竜の生命もまた奪われていたのかもしれない。
ふと頭をよぎった考えにヴェルンドは鼻を鳴らす。
「そんなことを考える暇があったらさっさと仕留めないとな」
ヴェログルスの間合いを外れたところまで高く飛び上がる。その動きに何を感じたか、気配の違う一騎を魔竜が睨んだ。
『人ニ慣ラサレ誇リヲ失ッタ竜ナド滅ビテシマエッ!!』
大きく開いた口から黒い炎が吐き出される。
しかしヴェルンドは慌てる様子もなく竜に合図を出した。
竜は更に高く飛翔すると勢いをつけて急降下する。そのままヴェログルスの顔に向かって一直線に飛びかかった。
『グオオォオッ!?』
突然目の前に現れた竜に驚いたのか、それとも先程左目を斬られた為か、ヴェログルスは反応が遅れる。
ヴェルンドは手にした大剣をヴェログルスの首目掛けて振り下ろした。
『ギャオオオッッ!!!』
気合と共に叩き込まれた一撃は見事に命中する。だが急所を守る鱗は硬く刃は通らない。
それでもヴェルンドは何度も大剣を叩きつけ続けた。
『調子ニ乗ルナヨ人間メエェッ!!』
振り払うようにヴェログルスがヴェルンドを爪で引き裂こうとした時。
『させない!』
竜が身体を翻す。ヴェルンドの呼吸に合わせて振り下ろされた爪を掻い潜り、大剣による一撃がすれ違い様に放たれた。
再び鱗に阻まれるが、先程よりも深く斬り込むことができたようだ。
「――、一度距離を取れ! 大技が来る!」
『うん!』
空気の変化に逸早く気づいたヴェルンドの合図で一度距離を離すと今度は炎の息吹を放ってくる。
それを巧みに避けながら竜は飛び上がり、ヴェルンドは再びヴェログルスの真上に位置を取った。
『チョコマカト、小賢シイ!』
『オレにはタンポポがついているからね』と竜が得意げに言った。
だから綿毛のようにどこまでも自由に飛べるんだと、そういう意味のようだった。
『ギイィィィィィィイイイイイイイ!!!』
黒焔魔竜ヴェログルスの纏う漆黒の炎が燃え盛る。それは徐々に強くなっていき、やがておぞましい輝きを放つ。熱気が立ち込めて、世界を全て呪うのだと憎しみが溢れかえり、息苦しい気配があたりを覆う。
ヴェルンドはその光景を見ても眉一つ動かさない。静かに剣を構え直していた。
「行くぞ」
明日を掴むために飛べと竜に言う。
シャッと短い鳴き声が答え、そしてそのまま勢いをつけてヴェログルスへと向かって滑空する。
『死ネエェッ!!』
吐き出されたのは憤怒を込めた闇の炎。渦巻く呪いの力が全てを奪おうとする炎の渦となって襲いかかってくる。
「ふんっ!!」
ヴェルンドはそれを正面から迎え撃った。
両手に握った武器を思い切り振り下ろすと、その勢いに乗せて己の獄炎を解放する。
ヴェログルス――奴からは凄まじい怒りを感じる。
だが、俺の炎に比べればぬるすぎる!
その身を焦がす炎ごとヴェルンドの穿ち狂う獄炎の刃がヴェログルスにぶちこまれ臓腑を煮やす遺恨ごと断ち斬った!!
ヴェログルスが血反吐を吐きながら猛り叫ぶが、その傷は致命的なものだろう。
「友たる正義の竜に跨り、邪龍を倒す英雄か……そんな柄じゃないが……まぁたまには悪くないな……」
ぼそっとつぶやいた言葉を耳ざとく聞きつけた竜は嬉しそうに笑った。
大成功
🔵🔵🔵
マリーノフカ・キス(サポート)
「やあ、待たせたね、お姫様」
気取った台詞を平然と吐く爽やかな騎士志望
女性に甘く、美女にはもっと甘い
男には普通に親切程度
「やれやれ、どうせならレディの盾になりたかったな」位は言う
戦闘外も涼やかな態度だが、必要なら汗を流すことは厭わない
いかにもな格好で魔法学園に通うが、生まれ育ちは現代日本
現在はアルダワ世界を中心に冒険しており、特に諸王国連合で顔を広げたいと考えている
◆能力
基本スタイルは魔法剣による居合い
刀身に過剰に込めた魔力を推進力にし、一息に切り伏せる
その他、炎や雷の魔法も使う
種族特徴は竜っぽい力(飛んだり火を噴いたり)を使うときにだけ出す感じ
◆NG
残虐な行為
誘惑に負ける
向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
荒事以外のことならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。折角なら美味しそうなものとかあると嬉しいですよねぇ~。
情報収集なら【道術】や【呪詛】関連ならお役に立てますよぉ~。
※アドリブ・連携歓迎
黒焔魔竜ヴェログルスの憤怒に満ちた絶叫が大気を震わせる。
しかしその声はもはや死に際に放つ断末魔の叫びだった。
猟兵達によってつけられた致命傷は、黒焔魔竜の命を確実に削っていたのだ。
『オノレ、矮小ナ存在風情ガァアアッ……!!』
それでも最後の力を振り絞って放たれた黒い炎はとどめを刺そうとする猟兵達を焼き尽くさんと迫り来る。
『あれだけの傷を受けてまだ動けるなんて……ッ』
死を目前にしてもまだこれだけの力を振るえるのかと、ドラゴン達もその姿に戦慄を覚えていた。
触れたものの生命力を奪わんとする呪いの炎が激しく燃え盛りながらドラゴン達に向かう。
しかし、そこに割って入る一つの影があった。
「させないよ」
黒い炎の前に立ちふさがるのは、いつの間にか現れた一人の青年だ。
金色の髪を揺らして、手にした剣を一閃させる。すると炎が真っ二つに裂けて、左右に分かれたそれがそのまま霧散していく。
「竜神山脈か……こんなところにまで災魔が現れるとはね」
『あなたは……?』
「僕はただの通りすがりさ」
にこりと笑うのはマリーノフカ・キス(竜星のコメットグリッター・f01547)。
青い瞳が荒れ狂うヴェログルスを捉えると、彼は静かに言った。
「ドラゴンの巣窟ともなると中々入る機会もないけれど。あんなものがいては落ち着いて探索もできないね――すぐ終わらせよう」
トンッ、と軽い足音を立てて駆け出せば、その動きに合わせて彼の身体に赤銅の翼と尾が現れる。
その姿はまさに半人半竜。そのまま跳び上がったマリーノフカは翼を広げて飛び、ヴェログルスに向かっていく。
それを見送るようにして、ひょっこりと現れた少女がいた。
「わたしはぁ、呪いの方をなんとかしましょうかぁ~」
周囲に立ち込める呪いの気配を物ともせず、勝手知ったる様子で近づいてくるのは向・存(葭萌の幽鬼・f34837)である。長い包帯を靡かせて、呪いの炎に焼かれた地面を素早く調べる。彼女は呪詛を見抜き、そしてそれを利用する術を探ることができた。
「あ~……これなら大丈夫かなぁ?」
おっとりと呟きながら、炎の熱が残る土塊を掴んで持ち上げる。
普通の人間なら触れただけで倒れてしまうような禍々しい代物だが、彼女は平然としている。
「生命力吸収する炎を出してぇ、そして焼かれた大地はぁ、その上に居る黒焔魔竜の戦闘能力を増加させるんですねぇ」
向存は幽鬼である。故にその身に害をなす呪いへの耐性が強いのだろう。
「んー……竜神山脈の竜はすごいんですねぇ。ここの竜は皆、生命力が強い……から、この程度で済んでいるんでしょう~」
感心しながら、周囲を確認する。
無数のドラゴンが戦う戦場は激しい攻撃が飛び交い、手傷を負ったものも見られたが、未だ命を落としたドラゴンはいないようだ。
生命力の強さだけではない。猟兵達の積み重ねた行動が、この最良なる結果を生んでいるのだろう。
この呪いがまともに発動すればどうなっていたか――向存には恐ろしさが理解できていた。
「炎の燃え広がり方はぁ……思ったより広範囲ですねぇ……まぁでもぉ、なんとかなりますかねぇ~」
にへらっと笑いながら、彼女は両手を掲げる。すると彼女の腕に巻き付いていた包帯が伸びていく。それはまるで意思を持つかのように動き、焼け爛れた大地に張り付いていった。
ず、ず、ず。と包帯が徐々に色を変えていった。煤を吸ったように黒くなり、暗くなっていく。呪いが侵食していく。
そして同時に呪いを帯びていた地面からその力が薄らいでいく。
「呪詛返しですぅ。恐ろしい呪いには、もっと酷い呪いを掛けて返してしまいましょうねぇ」
『オォオオオッ!!』
眼前に迫ったマリーノフカに、黒焔魔竜の口から放たれたのは先ほどと同じ黒い業火。しかしマリーノフカは華麗に飛翔しそれを避け、怯むことなく突き進み、剣を振るう。
「はっ!」
裂帛の気合いと共に振るわれた一閃。
剣の軌跡に沿って生まれた光が、黒い炎を切り払った。
さらにもう一振り。二閃。三閃。次々と繰り出される光輝く斬撃が、次々にヴェログルスの放った炎を切り裂いていく。
『ッ!? ――貴様ハ、ドラゴニアンカ!!』
「キミと話すつもりはないんだ。ごめんね?」
マリーノフカの息もつかせぬ猛攻。これには流石に驚いたのか、ヴェログルスが目を見開く。同時に動きが鈍り、そこにすかさず追い打ちを仕掛ける。鋭い爪を掻い潜り、懐に飛び込んだマリーノフカはそのまま剣を振り抜いた。
その一撃は鱗に覆われた腹部を容易く斬り裂いた。血飛沫が上がり、痛みに悲鳴を上げるヴェログルス。
次いで、自身の身体に起こった変化に慄く。
『――ナン、ダ?』
マリーノフカに気を取られている間に、向存が仕掛けた包帯がヴェログルスの脚に絡みついていいた。
しかもそれだけでは終わらない。包帯は鋭く刃のようになって既に開いていた傷口をさらにえぐりだしている。
「竜の生命力を吸い取るならぁ、それ以上に奪ってしまえばいいんですよぅ」
包帯を操りながら、向存は不敵に笑っていた。
呪いを込められた攻撃は、ヴェログルスを蝕んでいく。癒えぬ傷跡を残し、連鎖する不幸を生み出す。
「さあ――自分が呪われる気分はどうですかぁ~?」
『黒焔魔竜デアル、コノ我ヲ呪ウダトオオオォォオオオオオ!!』
何たる屈辱。何たる侮辱。何たる恥辱。
呪いの力を操るものにとって、これ以上の報復はない。
怒り狂った叫び声が轟き、その衝撃で大気が震える。怒り狂った黒焔魔竜は、再びブレスを放った。
向かってくる炎に対し、マリーノフカは正面から突っ込む。
迫る炎は彼に届かない。"不運"なことにヴェログルスの攻撃は敵に当たらずに終わる。
引き起こされる不慮の事故の数々、崩れた瓦礫が視界を遮り、避ければ足元がゆらぎ、狙いは逸れてあてもない方向へ飛んだ。
「……ふう」
大きく息をつく。そして、マリーノフカは笑っていた。
炎の勢いが弱まったところで、翼を大きく羽ばたき一気に加速する。
『オノレェエエエッ! 忌々シイ猟兵共ガアァアッ!』
「運が悪いね、キミ」
すれ違いざまに横薙ぎの一閃を放たれて、その一撃はヴェログルスの肩口に命中し、鱗を引き裂いた。
その光景を目にしながら瞳を細めた向存も呟く。
「逃がさないですしぃ、逃げられないですよぉ……己の生んだ呪いが、自身に返る時が来たのです~」
手繰る包帯がうねうねと揺らめく。
まるでダンスでも踊っているかのように包帯を操りながら向存は戦場をヒョイと跳ねた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レスティア・ヴァーユ
――何処かに救いはないのか
その思いを抱いた黄金のドラゴンがいた
「…だが、その手段が沈黙でしかないのであれば
骸の海に沈めるまでだ。何度でも」
ここまで一目で邪悪だと分かるものならば、心境的には単純に打ち倒せばと、そこまで思い
他の猟兵が誘導した場の死角
敵があれだけ喚いていれば、掻き消えそうなまでの小さな歌声と共に、シンフォニックソードをマスケット銃へと変えて射撃での奇襲を狙った時
――何処かに救いはないのか
あのドラゴンの祈りに近い想いは、確かに心に響いた。
ならば…その声に、自分も少しでも応えられるように、と
その様を、あの黄金のドラゴンが見られるようにと。
敵の正面へ回る
敵に応えるべき言葉はない。己の歌声は響き渡るほどにはっきりと
銃を構え、敵の燃え盛る炎はオーラ防御で凌ぐ。髪や服など多少焦げても死にはしない
狙うは、敵がその息吹を吐く瞬間。開かれた口内を狙い澄まして、歌声で強化した銃に、指定UCを乗せて弾丸として頭部を撃ち抜く
これが救いになるとは限らない
だが、せめてこれで少しでも、敵が鎮まる事を祈り。
――何処かに救いはないのか。
その思いを抱いた黄金のドラゴンがいた。
「……だが、その手段が沈黙でしかないのであれば、骸の海に沈めるまでだ」
何度でも。
レスティア・ヴァーユ(約束に瞑目する歌声・f16853)は決意を新たにして、目の前に立つ巨大な存在を睨みつける。
眼前に聳える黒焔魔竜ヴェログルスは死物狂いだった。
自身を蝕む呪いと猟兵達からの攻撃から逃れようとするかのように暴れ回り、周囲にある全てを無差別に攻撃している。
だが明らかにその命は風前の灯。攻撃を迎え撃つのに精一杯で、レスティアにまで注意が回っていない。
『コノタワケモノドモメ!! コンナコトガ許サレルノカ!?』
咆哮が轟く。血反吐を吐くようなその言葉には、しかし確かに理性があった。
だからこそレスティアは思うのだ。
(許されぬ、か)
ならばお前は何をした。
お前は何を望み、この場に立った。
此処に生きるもの達に、破滅と絶望をもたらし、その黒き焔で呪い尽くそうとしたのではないのか。
(……愚かなことだ。苦しみを他者に与え、悦に浸る。その行いはただの暴虐だ)
ひと目で分かるほど、ここまで邪悪な存在ならば一思いに打ち倒せば良い。
それだけの単純な事。他の猟兵達が作り出したヴェログルスの死角へと飛び込むと、レスティアは歌を紡ぐ。小さな歌声が、凛とした旋律を奏でた。
歌声に呼応して蒼に透き通る剣が形を変えてマスケット銃へと変わる。狙撃による奇襲を狙いレスティアは息を潜め、引き金に指を掛けた。
『オォオオオオオッ!!』
ヴェログルスが黒焔を吐き出すと、洞窟内に爆音が響く。
咄嵯に伏せたものの、それでもなお吹き飛ばされそうなほどの衝撃。
しかしレスティアは怯まない。身を低くしたまま、狙撃のタイミングを逃さぬように集中を研ぎ澄ます。
このまま弾丸を撃ち込めばいい――そう思った瞬間。
金色のドラゴンが見せた眼差しがレスティアの脳裏をかすめた。どこかに救いはないのかと、胸の内に秘めた心を浮かべた輝く瞳。
あのドラゴンの祈りにも似た想いは、確かに心に響いていた。
――だから、応えようと思った。あの声に、気持に、報いるために。
息を吐く。身体中の力を抜き、意識を極限まで高める。
――そして、その時は来た。
黒焔が途切れ、一瞬だけ隙が生まれる。
レスティアは相手の死角から飛び出すと、ヴェログルスの正面へと躍り出た。熱気が肌を焼く。けれど臆することなくレスティアは銃を構えた。
長い金髪を振り乱し、凛然とした佇まいで構える姿は、戦うドラゴン達ですら見惚れてしまうほどに気高く美しいものだった。
怒り狂うヴェログルスですら一瞬目を奪われ、動きを乱した。己を討つ者が見せた堂々たる振る舞いに圧倒されたかのように。
『貴様は何者ダ!! 我ニ牙ヲ向ク愚カナ者ヨ!』
その言葉に答える素振りも見せず、レスティアは歌い始めた。清らかな調べが戦場に響き渡ってゆく。高らかに、力強く。
彼の姿を戦場のどこかかで黄金のドラゴンは確かに見ただろう。その歌声を聞いただろう。
自分の為に示されたその勇姿を、忘れないだろう。
『アア……気ニ障ル歌声ダ……ヤメロ……ソノ歌をヤメロオオオォォオオオオ!!」
邪悪なる存在にその歌は苦悶を与えるようだった。頭を振り、ヴェログルスが恐れるように身を捩らせる。
『ギイイィィイイッ――――アアアアアアアァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』
堪らず上がった悲鳴。それはまるで断末魔の叫びのようで、それと共にヴェログルスが口を開けた。
燃え盛る黒焔が吐き出され、レスティアに向かって飛んでくる。
「……ッ!」
レスティアは迫り来る炎を睨みつけ、しかし動じることなく歌い続けた。蒼く輝く光がその身を守るオーラが盾のように広がり、全身を包み込んでゆく。
しかしいくら防いでいてもヴェログルスが決死の思いで放った黒焔は、レステイアの守りを突破しようとしていた。
だが迫る黒焔を前にしても、レスティアは決して怯えなかった。その瞳に宿る輝きが消えることはない。
『何故ダ! 何故、オ前達ハ未来ヲ変エテ抗ウノダッ!? 何故コノ黒焔ヲ恐レズニ立チ向カウノダ!!』
黒焔の中で、レスティアの口元に淡い笑みが浮かぶ。言葉は交わさず静かな表情のまま、歌を紡ぐ。
髪の先が焔に焼ける。構うものか、それぐらいでは死にはしない。
この先に待つ未来など知らない。ただ今は目の前にあるもののために、レスティアは声を上げた。
黒焔が弾ける。蒼い光の壁を突き破り、その全てがレスティアを飲み込む。
『馬鹿ナ……』
ヴェログルスは呆然と呟いた。
黒焔はレスティアを焼き尽くす事無く消え去り、そして――レスティアは銃身をヴェログルスに向け、狙いを定めていた。
狙うは、敵がその息吹を吐く瞬間。開かれた口内を狙えば、必ず当たる。歌により銃口に集まるのは、聖なる力。邪悪を打ち払う希望の光。
「終わりだ、黒焔の災厄よ!」
叫び、そして引き金を弾いた。
撃ち出された銃弾は一直線に飛び、寸分の狂いもなく、すかさず息吹を吐こうとしたヴェログルスの口内に吸い込まれるようにして正確に撃ち抜く。
『ガッ……グゥオォオオッ!?』
銃弾による傷はない、ただその邪悪な心だけが砕かれる。ヴェログルスは、苦痛に喘いだ。
『オォオオッ…………!!』
巨体が倒れると同時に、辺りを支配していた禍々しい気配が消えた。
――今度こそ、終わったのだ。
レスティアは銃を構えながら安堵するように肩の力を抜き、崩れ落ちたドラゴンを見詰めた。
『……オノレッ……我ガ精神ヲ砕イタナ……! ア、ァ……黒焔魔竜タル我ガ心変ワリナドスルモノカ、ソンナ事ハ許サレナイ……! 貴様等ガ憎イ……コノ世界ガ憎イ……滅ベ……皆、滅ンデシマエ……ッ!』
憎悪の言葉が洞窟内に木霊する。しかしもうそれに答えるものは誰もいない。
レスティアはゆっくりと銃を下げ、そして――瞑目した。
死に際の声は確かに憎悪に満ちてはいたが、微かに迷いが滲んでいた。それが何故か、レスティアには分かってしまった。
これが救いになるとは限らない。
だが、せめて少しでもあの魔竜の心が鎮まればいいと願う。
●
こうして、黒焔魔竜との戦いは幕を閉じた。
ドラゴンの巣は守られ、死んだものもいない。傷を負ったものは手当を受け、戦場の後始末に奔走するものもいるかもしれない。
竜神山脈のその場所で、ドラゴン達の未来はこれからも続いていく。
そしてまた人が訪れた時――彼らの手の中で煌めく石は花開き新たな竜花が咲く。
大成功
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