11
ワルの巣窟『吐露比狩古兎釣高等学校』

#デビルキングワールド #魔界学校 #吐露比狩古兎釣高等学校

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#デビルキングワールド
🔒
#魔界学校
#吐露比狩古兎釣高等学校


0




●おまたせしましたワルいヤツ
 デビルキングワールド立『吐露比狩古兎釣高等学校』は、善悪が逆転した世界にあって世界有数の名門校である。
 読みは『とろぴかるふるうつ』だ。
 この世界は他世界とは一線を画する。善悪が逆転していることは言うに及ばず。デビルキングワールドに住まう悪魔たちは一般人でありながら全員が猟兵並の強さを誇る。
 そんな彼らが目指すのは『とびきいrのワル』である。
 真面目にワルの勉強をする『魔界学校』の一つが前述した『吐露比狩古兎釣高等学校』である。クソ長い。

 そんな『吐露比狩古兎釣高等学校』に転向してくるオブリビオンの姿があった。
「はい、今日はみんなに新しい仲間が加わります。転校生……挨拶して」
 教室の黒板の前には一人のJKがいた。
 可愛らしい制服に身を包み、にっこりスマイルで一礼してから黒板にチョークで己の名前を書き込んでいく。
「『双手・つなぎ』っていいます。みんなを下僕にしに来ました! 返事はいらないよ。もうとっくにみんな私の下僕なんだからね!」
 彼女の言葉が終わるよりも早く彼女の体から放たれた光輪がクラス中どころか、学校全体を包んでいく。
 それが彼女のユーベルコード。
 己の体から伸びる光輪に触れた者たち全てを強制的に友達という名の下僕に変えてしまうのだ。

 絆の悪徳『双手・つなぎ』は瞬く間に学校中の悪魔生徒たち所か教師陣すらも支配し、高らかに宣言するのだ。
「みんなと私はもう下僕とご主人さまの関係。これで私も『友達番長』! 戦いは数なのよ、結局のところね!」
「『友達番長』バンザーイ!」
「流石俺たちの番長! 俺たちに出来ないことを平気でやってのける! そこにシビれるあこがれるゥ!!」
 どんちゃっこ、どんちゃっこ。
 オブリビオン、絆の悪徳『双手・つなぎ』は光輪によって支配した悪魔生徒たちによって神輿として担がれ、優雅に扇がれたり飲み物やら食べ物を捧げられたりしながら、こう、なんかこうワルな人がやるアレを色々している。
 なんだか悪魔生徒たちには『双手・つなぎ』のユーベルコードが聞いている感じがしないのは何故なのか。
 むしろ、積極的に自分たちから大喜びで『双手・つむぎ』に尽くしているようにも思える。

 それもそのはずである。
 デビルキングワールドは悪徳こそが正しい。故に、友達を下僕扱いするなんてワルいことを平然と行うオブリビオンにあこがれてしまうし、大喜びで舎弟になってしまうのだ。
 純粋故に困ったものである。
 しかし、これもまた世界の一つの在り方。
「どんどん『D(デビル)』を持ってきなさい! カツアゲに銀行強盗、タカリにゆすり! なんでもいいからどんどんもってきなさい。私の下僕たち!」
 凄まじいワルのカリスマを発揮しながら、絆の悪徳『双手・つなぎ』は担がれた神輿の上で高らかに笑う。
 こうしてデビルキングワールド立『吐露比狩古兎釣高等学校』は、オブリビオンによって支配されてしまうのであった――。

●こうして悪魔生徒たちは『友達番長』の舎弟となってのであるッ!
「ばぁーん!」
 そう謎の効果音を口にしたのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
 謎のポーズもしている。なんだそのポーズ。
 耳が赤いのは、羞恥故である。恥ずかしいならしなければいいのに。きっとまたどこかで仕入れたサブカル的なあれに影響されてのことだろう。
 そういうとこやぞ。

「……お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はデビルキングワールド。とびきりのワルを目指して真面目にワルの勉強をする『魔界学校』の一つ、『吐露比狩古兎釣高等学校』が転向してきた『オブリビオン番長』、通称『友達番長』である絆の悪徳『双手・つむぎ』によって支配されてしまったのです」
 長い。そして早口である。
 というか、事件の荒唐無稽さを盾に先程の出来事をなかったことにしようとしている気配がぷんぷんしている。
 猟兵達は多分たじろいだだろう。慣れないことをしたナイアルテの耳は真っ赤だけど、顔は真面目である。誤魔化せていると思っているところが、なんていうか、こう……アレである。

「ご存知の通り、一般人……悪魔生徒の皆さんは善悪が逆転したデビルキングワールドにおいては、ワルに憧れる純粋な方々です。オブリビオンのワルに対する躊躇のなさは憧れに値するものなのです。すでに『双手・つむぎ』は他の学校や銀行などを下僕と化した悪魔生徒の皆さんに襲撃させ、『D(デビル)』を集めさせパワーアップを図ろうとしています」
 猟兵たちの耳が真っ赤なんですがナイアルテさんというツッコミを華麗にスルーしてナイアルテは言葉を続ける。

「『友達番長』であるオブリビオンはともかく、すでに取り巻きと化した悪魔生徒の皆さんの数は多く、皆さんであってもまともにやり合うのは危険です。そこで、皆さんも『吐露比狩古兎釣高等学校』に転向し、見事な『番長』の証である改造制服を身にまとい、新たな番長グループを作り上げ、『友達番長』の悪魔生徒シェアを削りつつ、喧嘩上等の勢力争いに引きずり込み、彼女を打倒しましょう」
 矢継ぎ早にやるべきことを告げるナイアルテ。
 一切のツッコミを許さぬ説明である。顔が真面目だからなおさらである。しかし、改造制服とは一体。
 そんな猟兵たちの前にナイアルテがいつも身につけているジャケットを脱いでクルッと長ランを羽織、背中に刺繍された『菜医愛流帝』の文字を見せるのだ。多分読み方は『ないあるて』である。

 ……なんで?

「ワルの美徳、それは形から入ることも時には必要でありましょう。皆さんが如何なる改造制服を身にまとい、華麗に喧嘩上等のスクール戦争を勝ち抜くことを祈っております」
 長ラン姿のナイアルテが猟兵たちの背中をぐいぐい押して転移させていく。
 今更ながらに番長文化に触れて、こうテンションがおかしくなっていたことに時間を経て気がついたのだろう。
 耳の赤さはもう顔全体に広がり、変な汗をダラダラ流している。
 今更だよなーって思わないでもないが、それでもナイアルテは大真面目に猟兵たちを番長ウォーズへと送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はデビルキングワールドにおいて『吐露比狩古兎釣高等学校』に番長として転校し、すでに学校を支配している『友達番長』オブリビオンを果てなき番長ウォーズという名の勢力争いに引きずり込み、ぶっとばすシナリオになります。
 魂の改造学ランに袖通し、喧嘩上等!

 シナリオに登場する悪魔たちは猟兵の皆さんに匹敵するユーベルコード使いで強いです。
 また一般悪魔たちはぶっとばされたり斬られたりする程度では死ぬことはないくらい頑丈です。派手にぶっとばされたり、コミカルな雰囲気にでやられる時はやられます。

●第一章
 日常です。
 オブリビオン番長『友達番長』こと、絆の悪徳『双手・つむぎ』が牛耳る『吐露比狩古兎釣高等学校』に転向し、皆さんの番長魂たる改造学ランを見せつけ、桁外れのワルの魂を見せつけて、『友達番長』に支配された悪魔生徒たちを支配下に置き、『友達番長』の勢力を削ぎ落としましょう。

●第二章
 集団戦です。
 前章の結果で出来上がった皆さんの『番長グループ』を率いて『友達番長』のグループと学内で大決戦を行います。
 全校生徒が入り乱れるものすごい数であり、また悪魔生徒たちは一人ひとりがそれなりに強いため、皆さんの傘下に収めた悪魔生徒さんたちにも頑張ってもらわないと勝てないでしょう。

 皆さんはうまく指示する、強力を仰いで合体技を繰り出すなどして味方の悪魔生徒たちを有効に活用しましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 あとはもう『友達番長』、絆の悪徳『双手・つむぎ』をぶっ飛ばすだけです。
『吐露比狩古兎釣高等学校』を元の平和なワル育成進学校、名門である姿に戻しましょう。ワルの名門とは一体。

 それでは、名門ワル育成学校『吐露比狩古兎釣高等学校』を巡る番長抗争を制し、オブリビオンをぶっ飛ばす皆さんのワルなる物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
273




第1章 日常 『ワルなコスチューム開発』

POW   :    悪魔たちの個性を活かす

SPD   :    異世界の素材を使う

WIZ   :    戦闘用のギミックを仕込む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 番長とは何か。
 それは言うまでもなくワルのリーダー格である。これは元々の語源となった『番長』が武芸に秀でた護衛の統率者という性格の役職であったがゆえである。
 無頼の輩の長たる彼らは時として伝説の学ランを身に着け、その性質をもって『〇〇番長』とか呼ばれることも多かった。
 故にワルの育成学校では、常に成績優秀の主席を示す名でもある。

 そして『スケ番』、『影番』、『裏番』、はては『ガキ大将』と呼ばれる存在はデビルキングワールドにおいては悪魔生徒たちのあこがれの的。
 そうしてオブリビオン、絆の悪徳『双手・つむぎ』は『友達番長』として君臨し、生徒たちを下僕として支配したのだ。
 これに対抗するのは猟兵たちもまた魅力的な出で立ち……すなわち、改造学ランを身に纏い、悪魔生徒たちに己のワルとしてのカリスマを見せつけねばならない。
 次々と転移……ではなく、転校していく猟兵達。
 諸君らはこれより『番長』である。
 その維持と、誇り、そして矜持を持って示すのだ。

 デビルキングワールドよ、見るがいい。これが『番長』の魂の権化たる改造学ランであると――!
菫宮・理緒
そうきましたか。
こんなところでナイアルテさんの萌え度がさらにアップするとは。
さすがです。(メモリ使い切るまで連写モード)

それはそれとして、今回はプロレスでもメイドでもないけど、
『菜医愛流帝』さんの番長魂は持っていかないとね!

改造学ランということなら、もちろん長ラン。
そして背中に入れる名前はもちろん刺繍で『御存知! 菫宮理緒』だよね!

なに? 知らない? そうかならば合宿だ。

いいか、今からここをキャンプ地とする!

つべこべいうな、ダメ人間ども。お前らはなにも知る必要はない。
ただ言われた通りに学ランを作ればいいんだ!

3日だ、3日やる。
自らをプロデュースしろ! 糸から学ランを織り上げ、ボタンを削り出せ!



「なるほどそうきましたか」
 訳知り顔でカメラの連射モードをタップしているのは、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)であった。
 なにがなるほどなのか。
 今まさに彼女はグリモア猟兵から語られるデビルキングワールド、魔界学校の一つにして名門『吐露比狩古兎釣高等学校』を支配し、『D(デビル)』をかき集めようとしているオブリビオン、絆の悪徳『双手・つむぎ』が引き起こした事件の概要を片手間に聞きながら、メモリを使い切るまでバシャバシャ画像を取り込みまくっていた。

 話の本筋とはだいぶ逸れている気がしないでもない。
 というか、理緒さんだいぶ萌えていらっしゃる。割とポンコツな気がしないでもないグリモア猟兵の姿が珍しかったのかも知れない。
「さすがです」
 何が? 物の見事に理緒のストレージは『菜医愛流帝』長ランの画像出いっぱいになってしまった。なんで?

 とは言え、転移もとい、転校した理緒を待っていたのは『友達番長』の支配する『吐露比狩古兎釣高等学校』の悪魔生徒たちである。
 彼らは皆、『友達番長』である『双手・つむぎ」に心酔しきっている。
 それは彼女の友達を友達とも思わず、下僕のように使い走りさせる極悪さ故。ならばこそ、そのシェアを削り取りながら、猟兵は自身の番長グループを造り出さなければならない。
「それはそれとして、今回はプロレスでもメイドでもないけど、番長魂はすでに託されているからね!」
 むん! と『菜医愛流帝』の番長魂を勝手に持ち出した理緒。
 何処か遠くで赤面している人がいることだけは忘れないでいただきたい。一時の気の迷い、テンションが上がっていろんなことをすっ飛ばしてしまった者の末路であることを。

「というわけでわたしだよー!」
 転校してきた理緒は、改造長ランを翻し、教室の中でその背に負った刺繍をクラスメイトたちに見せつけるのだ。
 そこにあったのは長ランの背中に刻まれた『御存知! 菫宮理緒』の荒々しくもピンクでビビットな刺繍であった。
 どういうことなの?
 クラスメイトの悪魔生徒たちの気持ちは一つだった。
 いきなり御存知と言われても、転校生である。いくらなんでも唐突が過ぎないだろうか?

 悪魔生徒たちがポカンとしているのをよそに理緒は黒板を、ばーん! と叩く。
「なに? 知らない? そうかならば合宿だ。いいか、今からここをキャンプ地とする!」
 いきなりである。
 展開がちょっと読めない番組的なあれである。
 ゴリ押しにも程があるが、基本良い子なのが悪魔生徒たちだ。理緒がキャンプ地とすると言ったのならば、その謎の迫力に圧されて従ってしまうのだ。

 でも、それでも流石に無理がある。
「で、でも、キャンプってことは色々準備……」
 しなきゃという言葉は再びぶっ叩かれた黒板の音にかき消される。理緒の瞳は揺らめいていた。
 なんか有無を言わさない雰囲気があった。とってもワルな雰囲気が漂いまくっている。いや、理不尽の権化みたいな。
「つべこべいうな、ダメ悪魔ども。お前らはなにも知る必要はない。ただ言われた通り学ランを作ればいいんだ!」
「え!?」
「キャンプじゃなかったの!?」
「学ランっていうけど、うちブレザー……」

 そんな喧々諤々なる悪魔生徒たちの叫びを理緒は無視して、さらに握りこぶしを叩く掲げる。
「3日だ、3日やる。自らをプロデュースしろ! 糸から学ランを織り上げ、ボタンを削り出せ!」
 いくらなんでも理不尽が過ぎる。
 けれど、悪魔生徒たちは理緒の理不尽な仕打ちに大喜びしてしまう。戸惑いと喜び。そのないまぜとなった感情のままに悪魔生徒たちは理緒という名の『制作番長』に従い、改造長ランをせっせとこさえ、ブレザーを脱ぎ捨てて彼女の『番長グループ』傘下に加わる。

 ノリと勢いでどうにかなるものなんだなぁと理緒は自らの『番長グループ』を前に、己の背に負った刺繍を見せつけ長ラン文化の飛躍に一助するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
いきなりオーバーロード

ナイアルテさん可愛い~♪(思わずスマホで連写)
はいはい♪私も行きますよ~と手を挙げて依頼参加。
が、現地で冷静になると恥ずかしさで💦が。

ノリで動くのは、だからやめろと…💡(ピコンと何か閃く)。
催眠術で自己催眠(10分後に改造制服で登校)。

強そうな生徒グループを見つけ、「貴方達は見込みがありますね。」と声掛け。
誰何されたら「私は魔界制覇を目指す番長皇帝『菜医愛流帝』様の配下、死威乗(しいの)。『菜医愛流帝』様の名の元にこの学園を征服します。」と宣言。

いきり立つ生徒達を念動力・捕縛・範囲攻撃で纏めて動けなくし、一番強い相手に喧嘩を挑み、手加減したギャラクティカ・●グナム(プラズマの属性攻撃を右拳に宿し、念動力にて電子スピンをコントロールして形成したプラズマスパイラルを衝撃波と共に打ち出す)で吹き飛ばし、「お怪我は有りませんか?」と優しく抱き起こして配下にする。

その後『菜医愛流帝』様の御真影を大きくプリントして皆に配布し、士気を高める。できれば女悪魔さん達も勧誘しますよ



 デビルキングワールド、名門魔界学校の一つ。『吐露比狩古兎釣高等学校』――猟兵達は転校生として転移していく。
 その少し前、事件を予知したグリモア猟兵が説明する事件の概要を聞きつつ、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)はスマートフォンのカメラ機能を使って連写する猟兵の一人であった。
「可愛い~♪ はいはい♪私も行きますよ~」
 手を挙げて『吐露比狩古兎釣高等学校』への転校を望んだ詩乃は割とノリノリで改造学ランに袖を通していた。

 詩乃のご機嫌がオーバーロードしている状態であった。
 この後自分がどんな状態になるかなどまるで頓着していない様子である。数分後には自分もグリモア猟兵のように正気に戻って、羞恥でもだもだしてしまうのであるが今はまだ彼女は知らないことだ。
「なるほど。これが改造学ラン。いわゆる長ランというやつなのですね」
 グリモア猟兵が着ているのを真似して袖に通してみたが、これは詩乃の心のなかにある何かが目覚めそう……で、特に目覚めることはない。

 何故ならば、転移して現地に向かった彼女は漸く正気に戻ったからである。
「……うぅ、ノリで動くのは、だからやめろと……」
 今更である。
 とても今更である。というか、もうだいぶ遅い。すでに『吐露比狩古兎釣高等学校』への転入手続きは済んでいる。
 どうあがいても詩乃は『女神番長』として、『友達番長』であるオブリビオン『双手・つむぎ』と悪魔生徒のシェアを奪い合って争わねばならぬ運命なのだ。

 しかし、彼女の羞恥もわかる。
 話を聞いた時は、なんとも心踊る事件であろうと思ったことだろう。テンションとノリだけで首を突っ込んでしまうのも無理なからぬことである。
 だが、冷静になってしまうと恥ずかしさの方が勝ってしまうのだ。
「……!」
 詩乃も一人の猟兵である。
 ぴこん! と頭の中で何かが閃いたようである。

 それはある意味で自己催眠とも言えるものであった。彼女は自分自身に催眠術で『あること』を思い込ませ、長ランをなびかせながら意気揚々と魔界学校へと登校する。
 校門をくぐった彼女が見たのは『友達番長』によって不良のるつぼと化した魔界学校であった。
「おうおう転校生だな。ここを通りたければ『D(デビル)』を全ておいていきな。ないんなら、そのまま通っていいぜ!」
 優しいんだか、優しくないんだかよくわからん悪魔生徒たちが数人、詩乃へと近づいてくる。
 いかにもガラの悪そうな、屈強な不良然とした悪魔生徒たちだ。
 だが、善悪が逆転した世界にあっては、彼らは優等生である。ワルさこそ最高。ワルいことこそクール。

 ならばこそ、詩乃は余裕たっぷりに黒髪をなびかせ言い放つのだ。
「貴方達は見込みがありますね」
「なにぃ!? なんのだ!」
「私は魔界制覇を目指す番長皇帝『菜医愛流帝』様の配下、『死威乗(しいの)』。『菜医愛流帝』様の名の元にこの学園を征服します」
 きっぱりと言い放つ詩乃こと『死威乗』。
 どこか遠くでやめてくださいー! と黒歴史をほじくり返されたかのようなグリモア猟兵の叫び声が聞こえてきそうであったが、まあ、気のせいである。

「『菜医愛流帝』!? 魔界制覇!? なにそれかっけー!? だが、それでも我らが主は『友達番長』! 友達イコール下僕という最高にワルな番長を、そいつが越えられるものか!」
「やっちまえ!」
 三下飛びで不良悪魔生徒たちが詩乃、じゃない、えっと『死威乗』へと襲いかかる。
「うろたえるな、です。こわっぱどもー! です!」
 いきりたつ悪魔生徒たちを一斉に念動力で捕縛し、まとめて動けなくした詩乃は、彼らを加減されたプラズマ属性の攻撃を右拳に宿し、念動力によって電子スピンをコントロールして形成したプラズマスパイラルを衝撃波と共に打ち出し、彼らを天高く吹き飛ばすのだ。

 ごっしゃぁ!

 うわ、頭から行った。俗に言うなんとか落ちってやつである。漫画的表現がよく似合う落ち方をした不良悪魔生徒たちが呻く中、詩乃は彼らに歩み寄る。
「お怪我は有りませんか?」
 優しく微笑む。
 だが、それは彼らにとってあまりに格好良くないことである。敗北者の頭は踏むものであって、手を差し伸べるものではない。
 けれど、詩乃は手を差し伸べたのではない。
 彼女の手には『菜医愛流帝』の御真影と称した大きくプリントしたものがあった。
 いやー! やめてくださいー! とまたどこかで悲鳴が聞こえた気がしたが、気がしただけである。

「こ、これは……」
「これが『菜医愛流帝』様の御姿。我が番長皇帝の威光の前にひれ伏すのです。敗者はこれを配る習わし。怪我がない程度には加減はしました。動けますよね?」
 つまり、詩乃は舐めプをしたわけである。
 少なくとも悪魔生徒たちはそう捉えたのである。舐めプといえば悪役がやるやつ! 後で主人公たちにぶっ飛ばされるムーブであるが、デビルキングワールドでは最もやりたいやつである。

 ならばこそ、不良悪魔生徒たちは詩乃、じゃない、えっと『死威乗』の番長のカリスマ、『神様番長』としてのオーラにすっかり心酔し、彼女と共に『菜医愛流帝』のブロマイドを悪魔学校の構内にばら撒き、『友達番長』の番長グループのシェアを削ぎ落としていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルル・マーナガルム
マンガやアニメでバンチョーが着てるのは
長ランと学生帽だっけ?
似たような服なら
ボク持ってるよ(詰襟の黒い軍服と軍帽)
背中に大きく
月狼(マーナガルムの和訳)の文字を足して羽織れば
見た目はいい感じじゃない?
あとは……
『話し方などを意識してみては?』
なるほど
(咳払い)
ウルル・マーナガルム少尉である!
私の使命は
ワルに徹せない良い子ちゃんを刈り取る事だ!
私の訓練に生き残れた者は
本物の悪魔(ワル)となるだろう
それまで貴様らは●●(規制音)以下だ!
口で●●を垂れる前と後に〝イエス、ボス〟と言え!
分かったか●●共!

『ちなみに参考元は?』
叔母ちゃま(軍の教官)だよ
どう? おっかないでしょ



 番長とは即ち己が我を貫き通し、矜持と誇りを以て世に胸を張る存在でもあることだろう。
 ウルル・マーナガルム(死神の後継者・f33219)はお嬢様育ちであるが所々スパルタ思考が見え隠れする猟兵である。
 そんな彼女が漫画やアニメでみた番長と言えば、長ランと学生帽を身に纏った人物であった。
 葉っぱも加えていたかもしれないし、オラオラする感じの人だったかもしれない。
 だが、此処はデビルキングワールドの名門魔界学校である。
 すでに転移という名の転校を終えたウルルは似たような服ならばと、詰め襟の黒い軍服を身にまとい、軍帽を目深にかぶって颯爽と校門をくぐるのだ。

 名門悪魔学校たる『吐露比狩古兎釣高等学校』はワルを極めるための高等教育機関である。
 そんな名門が今やオブリビオンである『友達番長』こと、絆の悪徳『双手・つむぐ』に支配され、悪魔生徒たちはすでに友達というか、舎弟、下僕となっているのである。
 身になれぬ転校生であるウルルを貫く鋭い視線。
「ふむ……ボクのことを見ているね。やっぱり見た目はいい感じじゃない?」
 ウルルはそう言って柴犬サイズの四脚機動型スポッターハウンド『ハティ』に話しかける。
 背中に大きく『月狼』の文字が刺繍されているのは、彼女の性である『マーナガルム』の和訳であろう。『魔亜那我流無』じゃないんだと思わないでもなかったが、そこは逆にそうするとセンスがあれになるので『月狼』で大正解である。

『後は話し方などを意識してみては?』
 相棒でもある『ハティ』の男声AIが告げる。
 確かに今のままでは詰め襟を身に纏った男装の麗人にしか見えないだろう。ならばこそ、言葉遣いで番長に近づけばいい。
 なるほど、とウルルはうなずいて咳払いを一つする。
「おうおう、おじょーちゃん。お遊戯会は此処じゃないぜ? ここは『友達番長』様のおさめ――」
 ウルルに近づいてきた不良悪魔生徒、この場合はワルの優等生悪魔生徒であるが。ややこしいな。

 彼の言葉は最後まで紡がれることはなかった。
「ウルル・マーナガルム少尉である!」
 よく通る一声が魔界学校の構内に響き渡る。ビリビリとウルルの声が大気中を走り抜け、悪魔生徒たちを一瞬で弛緩させる。
 それは凄まじい重圧を放つものであり、悪魔生徒たちの動きを止めさせる。まるで軍隊における鬼軍曹。
「私の使命は、ワルに徹せない良い子ちゃんを刈り取ることだ!」
 
 ――!?

「私の訓練に生き残れた者は、本物の悪魔(ワル)になるだろう」
 ウルルは可憐な見た目からはとても想像の出来ない言葉を以て、魔界学校を席巻する。悪魔生徒たちは見ただろう。
 目の前にはワルの教官がいるのだと。
 この教官に付いていけば、きっと自分たちも立派なワルになれると。格好いい、クールな札付きのワルになれるのだと。
 ウルルのカリスマは凄まじいものであった。教師たちもなんだか後方教官面をして、訳知り顔をしているが、別に特に何かウルルと打ち合わせしていたわけではない。アイツやるな……的な顔をしている悪魔教師ですら、よくわかんないけどノリと空気だけで後方教官面をしているのだ。

 そこからは凄まじいものであった。
「貴様らは●●(ぴ――ッ)以下だ! 口で●●(ぴ――ッ)を垂れる前と後に“イエス、ボス”と言え! わかったか●●(ぴ――ッ)共!」
 えげつない規制音であった。
 それはとてもじゃないが口では言えない、このご時勢ではちょっとあれな感じお過激発現であった。
「『イエス、ボス』!」
 悪魔生徒たちが復唱する。
 もはや軍隊である。不良グループだとか番長グループだとか生易しいまでの統制のとれたウルルを筆頭とする『軍曹番長』グループの爆誕の瞬間であった。

『ちなみに参考元は?』
『ハティ』の声が聞こえる。その言葉にウルルはこともなげに叔母ちゃまだよ、と首を傾げる。
 おっかなすぎる。
「こら、そこ! ●●(ぴ――ッ)――ッ!!」
「『イエス、ボス』!!!!」
 拝啓、叔母様。
 今日もウルルさんは元気です。そんな風に言うしか無い地獄の鬼軍曹ウルルのシゴキは魔界学校に猛烈なるワルの旋風を巻き起こすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
ナイアルテさんそういうとこやぞ(ごふっ)(萌え死)(前口上キャンセルするほどの出来事)
私の心のメモリにしっかり納めました(しあわせなしにがお)

いやまだ死ねない

ええ、もう言うまでも無く『クノイチ番長』を狙うしかありません
普段着の上から
足首まで隠れる長ランかつ前が全然守れていない改造学ランを着て
背中の刺繍は『女』だ!(ばぁーん)
え?クノイチじゃないのかって?
く・ノ・一で女です(無駄な学)
あまり好きじゃない着こなしですが不本意ながら前は開けておきましょう(たゆん)
ふっ私に勝てると思うものはかかってくるがいい!!
と言いながら挨拶が終わる前にアンブッシュだー!
きたないなさすがクノイチきたない、が大切です



 人はギャップに弱いものである。
 いや、グリモア猟兵の今回の事件の概要を説明する姿がそうであったとは言わないが。いや、まあ、そう。うん、確かに普段の様子からすれば、若干テンションがおかしい感じであったことは認めざるを得ないだろう。
「ナイアルテさんそういうとこやぞ」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、ごふっ、とあまりにことに吐血しそうな程の何かを感じて、いつもの前口上キャンセルが行われるほどに開幕からギャップによる打撃を受けていた。

 まさかの味方からの打撃。
 思いもかけないギャップ萌え。
 サージェの心のメモリに、その様子はしっかりと収められている。幸せな死に顔である。
 これが尊いということ。
 エモーショナルがばーんってやつである。
 しかしながら、事件を解決しなければならないのが猟兵の辛いところである。
 萌えるのとオブリビオン番長をぶっ飛ばす。その両方をやらないといけないのが猟兵の辛いところである。
「いやまだ死ねない。覚悟はできていますか。私はできています!」

 復活を遂げたサージェは名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』へと向かい、転校生として教室のドアを開け放つのだ。
 悪魔生徒たちの視線が彼女へと突き刺さる。
 すでにこの『吐露比狩古兎釣高等学校』はオブリビオン番長であり、『友達番長』である絆の悪徳『双手・つなぎ』は支配されている。
 友達という名の下僕、下僕という名の舎弟を多く獲得した彼女の力は侮れない。
「というわけで転校生です! 夜露死苦!」
 足首まで隠れる長ランかつ前が全然守られていない改造学ランを身に纏ったサージェが、クラスメイトたちの前で背中を見せつける。

 そこにあったのは『女』の一文字である。
 うん、わかる。
 だって見るからに女の人だし、前が開きまくっていると言うか、多分、豊かに実ったたゆんたゆんする、女性の象徴的なアレが収まらないんだろうなぁってわかる。
 悪魔生徒たちの半数がもじもじしてしまうのも無理なからぬことである。
 わかるよ、男子生徒。
 刺激が強すぎるもんな。
「でも、クノイチじゃなくって?」
 見るからにクノイチなサージェ。そうかな? って思わないでもないが、まあ、細かいことはいいのである。

 早速『女』一文字へのツッコミが入るが、サージェはどこからか取り出したメガネを掛けてふふんと鼻を鳴らす。
「く・ノ・一で『女』です」
 黒板に『女』という文字をばらして、クノイチであることを示すのだ。
 無駄な学である。いつものサージェさんじゃない! こいつ! 偽物だな! 神妙にお縄につけ! とやりたくなるが、悪魔生徒たちはとても関心している。
 だって、根は心優しいから。野暮なツッコミもしてはいけないってわかっているのである。
 まあ、だからこそ滅びかけたわけであるけれど。

 えへんとサージェが胸をはる度にたゆんたゆんする胸。
「か、勝てねぇ……!」
 男子はもちろん、女学生たちも同じである。
 なんだよあの揺れる凶器。どう考えても反則技だろう。だがしかし。ここは名門魔界学校である。
 そんな凶器はむしろ推奨されるものである。やばいな。
「ふっ私に勝てると思うものはかかってくるがいい!!」
 しゅば! と構えを取るサージェ。これが『吐露比狩古兎釣』流の習わしである。そんな習わしはない。

「しゃらくせぇ! 何が、たゆんだ! こっちがたゆたゆしてやるってんだよー!」
 悪徳こそが美徳の世界、デビルキングワールド。
 ならばこそ、こういうルパンダイブ的なジャンプで襲いかかってくる悪魔生徒こそ優等生である。
 学級委員長がいったー! と生徒たちがはしゃぐ手前、サージェは不敵に笑った。いや、それもまた残像である。
 挨拶が終わるよりも早く、素早く威風堂々(シノベテナイクノイチ)とアンブッシュ――背後に回って痛烈なる一撃を学級委員長のみならず、クラスメイト達全てに食らわすのだ。……ん? 威風堂々?

「ふっ、このたゆんたゆんしたのに触れるなど一万年と二千年早いのですよ」
 見事なアンブッシュをキメたサージェの前に次々と倒れていく悪魔生徒たち。
 きたないさすがクノイチきたない。
 こうしてサージェはクラスまるごと掌握し、『クノイチ番長』としてのデビューを決めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「友達番長とな!?
それは友達のいない我に対する挑戦と受け取った!」

いや、別に我、友達を作れないわけではないからな?
不老不死たる我は、別れが辛くならないように友達を作らないだけだからな?
そこのところ誤解しないように。

「さて、相手が友達番長を名乗るなら、我は美少女番長を名乗る以外にあるまい!」

丈を短く改造したミニスカートのブレザー制服を身にまとい、謎の美少女転校生として悪魔たちのハートをゲットしてやろう。

……制服とか着るの、不老不死になる前以来だから、何百年ぶりかなー(遠い目

「くくく、悪魔たちよ。美少女たる我とお近づきになりたければ、我の傘下に入るが良い。
そうすれば、パシリくらいにはしてやるぞ?」



 名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』。
 名前クソ長いな。まあ、ともかく、その名門魔界学校はすでにオブリビオンである絆の悪徳『双手・つなぐ』によって掌握され、支配されてしまっている。
 とは言え、魔界学校に通う悪魔生徒たちは、渋々従っているのではなく、むしろ嬉々として従っているのだ。
 何故ならば、悪徳こそが美徳の世界がデビルキングワールドである。
 彼らは皆、一様に『オブリビオン番長』にして『友達番長』である彼女のワルさに心酔している。

 友達といいながら、下僕扱い。
 その人を人とも思わない所業にしびれる憧れるのである。難儀な世界であると言わざるを得ないが、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)は違った。
「『友達番長』とな!? それは友達のいない我に対する挑戦と受け取った!」
 並々ならぬ闘志を燃やすフィア。
 なんだかいつも以上に対抗心というか、なんかこう燃えている気がしないでもないのだが、それは一体全体どうしたことか。

 それは悲しい彼女の過去に原因があった。
 いや別に彼女が友達作れないとかそういうわけではないのだ。
 彼女は悪魔と契約して不老不死となった猟兵である。不老不死ということは即ち、他の生命との歩みの速さが違うことを示している。
 友愛を育んでも、友達は皆彼女より早く死んでいく。別れが辛くなってしまうのであれば、最初から友達を作らないようにしていればいい。
 人は愛ゆえに苦しまねばならぬ。
 ならば愛などいらぬ! っていうやつである。
「そこのところ誤解しないように」
 いや、誰に突っ込んだのだろうか。もしかして、僕らっすか? と悪魔生徒たちがたじろいでいる。

 今のフィアは竹を短く改造したミニスカートのブレザー征服を身に纏った謎の美少女転校生としてふるまっている。
 ミニスカートから覗く白い足がまぶちい!
 いや、そこ以外見る所ないなーってぺったんなことを言っているわけではない。断じて。いや、本当に。いや、マジで!
「……制服とか着るの、不老不死になる前以来だから、何百年ぶりかなー」
 遠い目をしているフィアに悪魔生徒たちが遠巻きに見ている。

「え、何百年ぶりってことは……」
「そうとうなお年……?」
「うわキツ」
 散々な言われようである。
 だが、フィアは気にしない。そんな些細なことなど気にする美少女ではないのだ。年齢が以下に三桁行っていようが、見目麗し美少女であればよかろうなのだ。
 普通なら、ちょっとためらうような短さのミニスカートであろうと、颯爽登場銀河美少女であるフィアには関係ねーのである。

「くくく、悪魔たちよ」
 フィアは悪魔生徒たちが身を寄せ合って自分を見ているのを、うわキツとか言われているのではなく、圧倒的な美少女オーラにやられているとポジティヴに解釈して近づくのだ。
 仕方ない。
 これだけの美少女である。近づきがたいというのは理解できる。なにせ今フィアは高嶺の花フィアさんであるからだ。そうかな?

「美少女たる我とお近づきになりたければ、我の傘下に入るが良い。そうすれば、パシリくらいにしはしてやるぞ?」
 正直、ちょっといきなりすぎるかなーって思わないでもなかった悪魔生徒たち。
 だが、彼らは悪魔で在っても心根の優しい存在である。だからこそ、うわキツって言わしめてしまった自分たちに自己嫌悪しつつ、ワルならばとか、そういうの関係なく、すっ……と両手を合わせて差し伸べるのだ。いや、逮捕はしない。

「パシリでもなんでもします!」
「俺達にできる償いがあるのなら!」
「喜んでパシリになりまぁす!!」
 次々とフィアの威光(?)にひれ伏していく悪魔生徒たち。フィアは圧倒的な己の美少女オーラに次々とやられていく悪魔生徒たちを前にひとしきり高笑いをし、途中でむせながら、『美少女番長』ならぬ、『ぺったん番長』として魔界学校のシェアを獲得していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
迷子の犬猫の飼い主探しに両親への親孝行
困ります、生徒の悪の規範たる貴方達が善行を陰で行っていたなど…

悪魔は基本的に善良
生徒会と教師陣の弱み握り彼らと共に屋上へ
(妖精で情報収集)
巨悪が善を装うように
襟章やモール眩しき旧海軍制服の如き白学ラン纏い

皆様、おはようございます
この度、生徒会長 兼 副会長 兼 書記 兼 会計 兼 庶務に就任しましたトリテレイアと申します

もしくは『裏番』…強盗騎士団長とお見知りおきを

全ての部活動は私の指示に従って頂きます
さもなくば予算を凍結しますのでご注意を

そして帰宅部は全員私の強盗騎士クラブに書類上で強制入部
内申点の対象となります

横暴?
ええ、これがワルですとも!(ヤケクソ



 白色の衣纏うということは古来より特別なことを意味している。
 ホストクラブのNO1ホストが白スーツを許されるように、古より決まっているのである。
 そんな白き学ランを身に纏ったウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は屋上に座して目の前に集められた教師や悪魔生徒たちを見やる。
 襟章やモール眩しき旧海軍制服の如き白い学ランをきっちりと着こなした(?)トリテレイアがの周囲には、自律・遠隔制御選択式破壊工作用妖精型ロボ(スティールフェアリーズ・タイプ・グレムリン)が飛んでいる。
 妖精型ロボたちが持っているのは、なんらかの書類だろうか?
 その封書を切り、トリテレイアは中身を確認していく。

 その様子はさながら査問委員会そのものであったことだろう。
 トリテレイアのため息が聞こえる。
「迷い子の犬猫の飼い主探しに両親への親孝行……はては河川の清掃、ご老人の手をひいて横断歩道を渡り、あまつさえは目的地まで案内してあげる。さらには落ちていた金銭をネコババせずに交番に届ける」
 なんだいいことじゃん。
 と、普通なら思ったことだろう。そう、普通ならば。
「困ります、生徒の悪の規範たる貴方達が善行を陰で行っていたなど……」
 トリテレイアはため息を付いて教師陣を見やる。

 それはまるでやってはならぬことをした者たちを処罰する瞳のようでもあった。まあ、アイセンサーだけど。
「ち、ちが……! こ、これはなにかのまちがいであって!」
 教師たちが一斉に反論する。しかし、すでに証拠の画像は妖精型ロボに抑えられ、反論したとしてもそれが虚実であることは言うまでもない。
「し、しかし! 先生方は……!」
「巨悪とは善を装うものです。となればこそ、あなた方の行いは咎められるべきではないと私は考えますが……ですが、これだけを見ればあなた方の行いはとても良い子ちゃん。悪の美徳を教え、規範となる立場にあることを忘れているようにも思われます」
 トリテレイアの冷たいアイセンサーの輝きが増していく。

「な、なにをすれば……」
 その言葉を待っていたというようにトリテレイアは頷く。
 その日、名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』は、白き機械騎士の手に落ちたのであった――。

 そんでもって、トリテレイアは即座に行動を映すのだ。
 校内放送でもって己の姿をモニター、拡声器、アナウンス、あらゆる回線をジャックして言葉を届ける。
「皆様、おはようございます。この度、生徒会長兼副会長兼書紀兼会計兼庶務に就任いたしましたトリテレイアと申します」
 兼多いな!
 そんなツッコミなどつゆ知らず、トリテレイアは言葉を続ける。
「もしくは『裏番』……強盗騎士団長とお見知りおきを」
 いきなりの展開である。此のためにトリテレイアはあらゆる場所から妖精型ロボによって生徒会、教師陣の弱みをつかみ、彼らを脅迫して自身の魔界学校での位置を確率したのだ。

 手腕っていうか、まあ、悪魔たちのワキが甘すぎたせいでもあるのだが。
 まあ、ともかく簡単な仕事であったと言うまでもない。けれど、問題なのは其処ではない。トリテレイアは胃という臓器があったのならば、今まさにキリキリと痛むことであっただろう。
「全ての部活動は私の支持にしたがって頂きます。さもなくば予算を凍結しますのでご注意を。そして、帰宅部は全員私の強盗騎士クラブに書類上で強制入部。私の内申点の対象となります」
 つらつらとまあよくでてくるものである。
 此処まであけすけに悪事を為すトリテレイアを悪魔生徒たちはブーイングどころかシュプレヒコールすらも挙げず、拍手喝采である。

「すげーよ! 生徒会長兼副会長兼書紀兼会計兼庶務!!!」
「これが俺たちのトップ! 流石俺たちにできないことをさらっとやってくれるぜ!」
「トリテレイア生徒会長兼副会長兼書紀兼会計兼庶務ばんざーい!」
 悪魔生徒たちは大はしゃぎである。
 他の世界なら悪逆非道と謗られる行いである。人の弱みをつかみ、組織を己の意のままに操る。
 それを為したのがトリテレイアであるが、その拍手喝采を受けてトリテレイアは己の横暴さを好意的に受け入れられている現状に頭を抱えそうに為る。

 だが、これはもはや乗りかかった船。
 一歩を踏み出したのならばやり通さねばならぬ。横暴極まりないやり方であるのは言うまでもないが、トリテレイアはやけくそのように叫ぶのだ。
「ええ、これがワルですとも――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
…何て?いや学校名何て?
なんかそういう笑い話があった気がするけど読み辛い!
IQ下がって来たしまあいいや

改造学ランね、ふむ
いや…でも…これはアリかも…
よし決めた、ワイの答えはこれや!

ワルの一番大事なのはまずは挨拶
ガラっと教室の扉を開けて学ランをぶち投げる!
そしてスッと私も入って素早く投げた学ランを足蹴にして空中に放り投げて剣で斬り刻む!

最初の挨拶が肝心だ
学ランを改造して着るなんて普通の事、お前等やってるんじゃないよな?
悪なら学ランは雑巾に、着てくる学ランは自作かオーダーメイドに決まってるだろ??
まさかこの中に、改造何てみみっちい事してる奴はいないよな?と挨拶
よしこれで普段の服で活動できるな!



『吐露比狩古兎釣高等学校』。
 読み方は『とろぴかるふるうつこうとうがっこう』である。
 くっそ長い。なんでこんな名前に設定してしまったのか小一時間問い詰めたい。なんでこんなクソ打ちにくい名前にした! 言え!
「……なんて? いや学校名なんて?」
 同じ思いであったのだろう、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は彼女にしては珍しく困惑していた。
 なんかそういう笑い話っていうか、飲み物のコマーシャルでそんなのあった気がするけど、読み辛いことこのうえない。

 しかしながら『吐露比狩古兎釣高等学校』は魔界学校の中でも名門である。
 悪の美徳を為す為、その模範的な行いを学ぶ魔界学校にあって、成績優秀であり、自分の子供が『吐露比狩古兎釣高等学校』出身であると言えば、ママさんたちは鼻高々なのである。
 それほどまでにこの名門学校の名はデビルキングワールドでも知れ渡っており、この学校を支配するということは、『D(デビル)』を集めるにおいても重要な拠点となることは言うまでもなかった。
 オブリビオン番長である『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぎ』のやり口は確かに正しいものであたのだろう。
「IQ下がって来たしまあいいや」
 先程まで玲さんは学校名について、読みづらいなーとか、面倒くさいなーって思っていたが、IQが下がっていくにつれて、どうでもいいやと魔界学校に足を踏み入れる。

 改造学ランが悪の美徳、その権化であるというのならば、それに袖を通して『友達番長』の率いる『番長グループ』のシェアを削ぐことが必須である。
「改造学ランね、ふむ。いや……でも……これはアリかも……」
 ぶつぶつと玲さんが何かを考えている。
 改造学ランに袖を通すことなく、地面につきそうなほどの長さの長ランを片手に難し顔をしている。
 着ないのだろうか? 来て欲しいなという視線が遠くから感じるが気にしてはいけない。欲望ただ漏れの視線であるが、そういうのとは話は別なのである。

「よし決めた、ワイの答えはこれや!」
 大丈夫だろうか。IQがどんどん下がっていっている。
 ワルのいちばん大事なのはまず挨拶である。ガラッと教室のドアを勢いよく開き、玲は入室するのではなく、学ランをぶん投げるのだ。
 教室の空中を舞う学ラン。
 ひらりひらりとスローモーションになっているような気がするのは、演出であり、気のせいである。

 そこにすっと青い残光を伴って玲が入ってくる。
 なんか瞬獄殺みたいな動きしている。ゲーミング玲さんか? ゲージが溜まっていたのだろうか?
 空中を舞った学ランが地に落ちるか否かの瞬間に玲さんの長い足が蹴り上げ、再び空中に飛ぶ。
 それをキュイン! って謎のサウンドエフェクトと共に抜き払われる模造神器の刀身。あっ、これみたことある。超必殺技ってやつだ!
 放たれる剣閃。
 無数の剣閃が改造学ランを切り刻み、はらはらと舞う改造学ランであった布きれ。まるで花びらのように舞う中、玲さんは言い放つのだ。

「――学ランを改造して着るなんて普通の事、お前らやってるんじゃないよな?」
 ドスの利いた声であった。
 玲さんみたいな美人がいうと画風が変わるたぐいのセリフである。どこにもプリティ要素のないシンデレラ的なアレみたいになってる。
「悪なら学ランは雑巾に、着てくる学ランは自作かオーダーメイドに決まってるだろ??」

 ――!?

 クラスメイトたちに緊張が走る。
 いや、ていうかみんな頭上に『!?』が浮いている。それどういう理屈なのかな?
「まさかこの中に、改造なんてみみっちい事している奴はいないよな?」
 まさに一周回ってというやつである。
 改造学ランがワルくてサイコーって言うところに、いや、それ時代遅れだしって冷水ぶっかけるがごとき行い。
 最新のトレンドはこれですけど? と最先端を走っている雰囲気を出しつつ、ブームの先駆けを行っている体で玲さんは言うのだ。
「ま、まさか……! 玲さん……!」
 悪魔生徒たちが戦慄く。

 そう、今の玲さんは普段の格好である。お召し物である。
 改造学ランなんていう相手の土俵に立つことなんてしない型破りにして破天荒なる振る舞いによって玲さんは悪魔生徒たちの心をわしづかみにしたのだ。
「普段着ばんざーい!」
 悪魔生徒たちはワルを学んでいる。ならばこそ、彼女の勝手気まままな振る舞い、その行いに惹かれてしまうのだ!(ばあーん!)

「よしこれで普段の服で活動できるな!」
 ほどよくIQ下がった玲さんがにこやかに笑う。
 いや、そういうことなのか? 一周回ってワルというやつなのか?
 その疑問は着きねど、しかしながら悪魔生徒たちの盛り上がりこそが、真実なのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
ツッコミどころ満載な気はするけど
オブビリオンを放置する訳にもいかないし
番長やってみるとしようか

改造学ランかぁ
どんな風にしたものかな

私に任せて下さいですの
女神降臨を使い
ドレスを改造学ラン風にしますの

フリルつきの白いブラウスに黒いスカート
肩に羽織った学ランに刺繍されてるのは
…「紗衣鬼 鴉輝羅」

可愛さも大事ですの

ツッコミが追いつかないよ

ともあれセオリー通りなら
タイマンして友誼を結んでとかだろうけど
あまり悪そうな感じがしないね

他所を襲撃してデビルを集めてきた悪魔に
因縁をつけて上前をはねていこうか

卑怯上等で麻痺させ
動きを鈍らせたところを
攻撃して殴り倒すとしようか

デビルを回収するついでに
手下に誘ってみよう



「ツッコミどころ満載な気がするけど」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』の校門をくぐり、一言つぶやいた。
 オブリビオン番長によって支配された魔界学校。
 そこはすでに『友達番長』である絆の悪徳『双手・つなぐ』の支配によって、あちこちから『D(デビル)』を集めてきた悪魔生徒たちでごった返していた。
 改造学ランは忠誠の証。
 凄まじいシェアを誇る『番長グループ』となった『友達番長』の一派は、未だ牙城のごとく魔界学校で幅を利かせている。

 このシェアを切り崩すために猟兵は、とんでもないワルさを生徒たちに見せつけなければならないのだ。
「オブリビオンを放置する訳にもいかないし、番長をやるしかないのか……それにしても改造学ランかぁ……どんなふうにしたものかな」
 晶は首をひねる。
 一口に改造学ランと言ってもいろいろなものがある。短ラン長ラン刺繍に裏ボタン、襟カラーにボンタンやら、まあ組み合わせは自由自在。君だけの改造学ランを作ろう! ばりにいろいろな種類があるのだ。
 晶にとって、それはとても億劫なことであった。なぜならば。

「私に任せてくださいですの」
 目を輝かせる身に融合した邪神がいるからだ。こういう時を待っていたとばかりに、女神降臨(ドレスアップ・ガッデス)してしまう。
 宵闇の衣、そのドレスを改造学ラン風に一瞬でしてしまうのだ。
 それはフリル着きの白いブラウスに黒いスカート、方に羽織った学ランに刺繍されているのは――。

 ――『紗衣鬼 鴉輝羅』。

 多分読みは、『さえき あきら』だと思う。
 そんな改造学ランという名の『お嬢様番長』の爆誕である。
「可愛さも大事ですの」
 番長という厳しい言葉には似つかわしいフリル。伝統をぶち壊していくスタイルを見せつける邪神のセンス爆発である。
 どんなときでもkawaiiを忘れない。そんな思いを籠められた改造学ランを着こなす晶は、若干もうツッコミを入れることすら面倒くさいとばかりに着せられている。

「ともあれセオリー通りならタイマンして友誼を結んでとかだろうけど……」
 晶は周囲を見回す。
 悪魔生徒たちは晶の様子を遠巻きに見ている。だってあんな可愛い女の子が元男の子だなんて信じられない! ばりである。
 いや、それもそうであるが、そうじゃない。悪魔たちは基本的に皆、心根の優しい存在である。あまりに良い子すぎて絶滅仕掛けた過去により、ワルの美徳をもってワルさに磨きを掛けているのだが、まあ、うまく行かないよね。

 そんなわけで晶は銀行強盗を終えて『D(デビル)』をパンパンにした荷押し車を引く悪魔生徒たちを見つける。
「というわけで、卑怯に非常に上等。使い魔の麻痺攻撃でびりっとしびれてね」
 前置き無しに悪魔生徒たちを襲う晶。
 色々雑であるが、これくらいの雑さでいいのだ。強奪に特に理由はいらない。悪魔たちからすれば、理不尽極まりない。
 けれど、これがいいのだ。理不尽なワル。それこそが、彼らの求め、クールで格好いいと思えるワルなのだから。
「あー! ビリビリしてるー!? り、理不尽過ぎる! 俺たちが必死に銀行強盗してきた『D(デビル)』が不当に奪われる!?」

「はいだまろーね」
 ゴッ、と携行ガトリングガンの銃身で悪魔生徒を小突く晶。
 上前を跳ねるどころか、『D(デビル)』を持ってきた悪魔生徒たち毎奪っていく始末。
 それを数度校門で待ち伏せて晶は繰り返す。もう銀行強盗ホイホイどころではない。
『友達番長』の『D(デビル)』獲得を邪魔しつつ、彼女のシェア毎奪っていく手法に悪魔たちはメロメロである。
「姐さんにどこまでも付いていくっす!」
「そっす! 姐さんが元男だとかかんけーねーっす!」
「kawaiiは正義っす! どっちでもいーっす!」
 オッス! と次々と晶の『番長グループ』が膨れ上がっていく。なんだか微妙な気持ちになるのは気のせいだろうか。うん、気の所為だ。

 こんなのでいいのかなぁと晶は思いつつも、順調に己の『番長グループ』を拡大していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

廻屋・たろ
ばんちょーになるとワルくてカッコいいのか。すごいね

(思いっきり私服で登校)
たのもー!ばんちょーになりに来たぞ!
え、制服?なにそれ、俺この服しか持ってないよ

ふんふん、学校には制服で来ないと行けないのか
じゃあお前たちが着てるのが制服?いいじゃん、貸して

って言いながら答えは聞かずに手近な悪魔さんから制服を上から下までひっぺがして行こう
俺はお洒落さんだから、気にいるコーデになるまでどんどんチェンジしていくよ

なに?返せって?
うるせー!お前のものは俺の物、俺の物は俺の物ってたけしも言ってただろ!!
となんか言われたら威圧。それでもわからないならバディペットの猛獣ケルベロス(今考えた)をけしかけてやろう



 乏しい表情はダウナーの証。
 体はもう大人に近づいているかもしれないけれど、精神年齢は小学生とも言われる廻屋・たろ(黄昏の跡・f29873)はデビルキングワールドの名門、『吐露比狩古兎釣高等学校』の校門をくぐり、その中で行われているどんちゃん騒ぎを目の当たりにして、少しばかり心が踊る思いであったことだろう。
「ばんちょーになるとワルくてカッコいいのか。すごいね」
 思いっきり私服で投稿している。
 たろにとって、学校に通うという行い事態がなかったのかもしれない。学校には制服で、という概念すらなかったのかもしれないのは仕方のないことであったのかもしれない。

 ついでに言うと学校というものについて知っているのかも怪しいところであった。
「たのもー! ばんちょーになりにきたぞ!」
 道場破りみたいな雰囲気である。
 そんなたろの周りにワラワラと集まってくるのが『友達番長』ことオブリビオン、絆の悪徳『双手・つなぎ』の配下っていうか、舎弟っていうか、下僕の悪魔生徒たちである。
 見事に柄が悪い。
「あぁん? 番長になりにきただぁ?」
「あんまり舐めたことを言ってると、いてまうぞ?」
「おっ? おっ? おっ?」

 ――?!

 なんか画面外に『?!』が連発している柄の悪い悪魔生徒たち。しかしながら、悪徳こそが美徳の世界であるデビルキングワールドにおいては、これが素行優秀な生徒の規範であるのだ。
 よくわからん。
「それに制服も着ないで番長が務まるかよ!」
「まずは制服に袖を通そうぜ!」
「番長に為るには、まずはそれからだぜ!」

 ――?!

 優しい。なんかたろに優しい。いや、これが悪魔という者たちなのだ。根が良い子なので、たろが私服で学校に来たことを心配してくれているのだ。ましてや番長を目指すのならばなおさら学ランが必要なのだと親切にしてくれる。
 ほんとうに彼らがワルくならないといけないんですか? となるほどにお人好しばかりである。
「え、制服? なにそれ、俺この服しか持ってないよ」
「――えっ!」
 一斉に寄ってきていた悪魔生徒たちがどよめく。
 制服を、持っていない……?
 なんだその反応。まるで極貧生活を送っている恵まれない子供を見ているかのような目でたろを見ている。

 反応がなんか一々思ってんと違う。
「が、学校には、制服で、来ないと、行けないんだぜ……うっ!」
「そ、そうなんだぜ……ふぐぅっ!」
 なんか涙目になっている悪魔生徒たち。彼らはたろの境遇を勝手に想像して、勝手に涙し、勝手に同情しているのだ。
 えぇ……。
 しかし、たろはその上を行くのだ。
「じゃあお前たちが来ているのが制服? いいじゃん、貸して」
 そういってたろは答えを効かずに集まってきていた悪魔生徒の一人の制服を上から下まで引っ剥がす。

 あーれー! お殿様ー! っていうあれである。いや、そうじゃないけど、まあ、あんな感じで引っ剥がしたのだ。
「ふんふん。こんな感じか」
 奪った改造学ランの着こなしを確認するたろ。
 しかしながら、ちょっとばかり自分のイメージと違ったのだろう。即座に脱いで、次なる悪魔生徒の改造学ランを上から下まで引っ剥がす。あーれー! という悲鳴が魔界学校に木霊する。

「俺はお洒落さんだからな。 なに? 返せって?」
 流石に寒いからね。悪魔生徒でも着るものないのはきっついのだ。昨今、秋がふっとばされる気温状況である。
 寒くてガタガタ振るえている。可愛そうだね。
「うるせー! お前のものは俺の物、俺の物は俺の物ってたけしも言ってただろ!!」
 まさかのジャイアニズム。
 しかしながら、それはあれである。お前の物も俺の物と同じに大切なものだから、という侠気からでた言葉であるのはあんまり知られていない。
 まあ、別に今はどっちでもいいのだ。

 ここで必要なのは理不尽である。
 ワルなのだ。ジャイアニズムなどその際たるもの。
 知ったことかと威圧するたろ。そんでもってバディペットの猛獣たるケルベロスが威圧している。今考えたらしい。
「り、理不尽!」
「生まれ流れにしての悪の権化!」
「これが、悪のカリスマ!!」
 なんか理不尽な振る舞いをした、たろに悪魔生徒たちは心酔していく。はいつぎーとたろが改造学ランを引っ剥がし、気に入る学ランが手に入るまで、彼の背後には引っ剥がされたまま震える悪魔生徒たちが長蛇の列を為して、『番長グループ』を形成していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『悪そうなお兄さん』

POW   :    やっちまってください、アニキ!
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【子分】を召喚し、その【野次】によって敵全員の戦闘力を減らす。
SPD   :    ダチを可愛がってくれたじゃねえか
全身を【強そうなオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
WIZ   :    おいおい、俺たちと遊んでくれるってのか?
【見事なやられっぷり】を披露した指定の全対象に【『なんか、もうどうでもいいかな』っていう】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:くずもちルー

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ちょっとちょっとどーなってんの!? 私の『番長グループ』が減ってるんですけど!?」
 絆の悪徳『双手・つなぐ』は見る見る間に己の構内における『番長グループ』のシェアが減っている事に気がついた。
 魔界学校を支配し、これで『D(デビル)』をかき集め、次々と下僕を増やしていけば、左うちわで超強化されカタストロフを起こすことなど造作も無いと思っていたら、いつのまにかシェアを削られた上に集めていた『D(デビル)』さえ横取りされている始末。

「なに? 新しい番長グループが出来てる?」
「はい! なんかすげーワルい奴らがたくさん転校してきているみたいでして……もう構内は群雄割拠の三国志状態ってやつでさぁ!」
 下僕たちが一斉に報告する。
 もう収拾が付かないほどに乱立している『番長グループ』。
 彼らが皆、猟兵であることを『双手・つなぐ』は即座に看破していた。こんなことが出来るのはオブリビオンをおいて他に猟兵しかいないのである。

「なら、ぶっとばすまでよ! みんな、ついておいで! 連中をぶっ飛ばして、学内を統一するよ!」
『友達番長』の号令によって、『吐露比狩古兎釣高等学校』は、全高を巻き込んだ学内闘争へと発展する。
『番長グループ』が激突し、派手にぶっ飛ばされる悪魔たち。
 彼らは特殊な訓練と強靭な肉体でぶっ飛ばされても死なない。それはそれで驚異であるが、まあ、大丈夫である。

 猟兵達は己たちが率いる『番長グループ』傘下の舎弟たちと共に『友達番長』のグループを攻撃し、オブリビオンである『友達番長』へと迫る道を開かねばならない。

 今此処に始まる伝説の一幕。
 後に『吐露比狩古兎釣のミキサー』とまで呼ばれた、全生徒、全教師を巻き込んだ一大闘争が今、幕を開けたのであった――。
菫宮・理緒
『吐露比狩古兎釣』は、いまやミキサーに放り込まれ、
『古兎釣芭洲血斗』(ふるうつばすけっと)と化した。

全てが混乱と混沌の極みにあり、全てのものに機会がある。
ならば我らは? 我らは何をなすべきか?

そうだ、戦争だ。

相手に比べ、こちらはわずか。
だが我らには、自らの手で織り上げた魂の長ランがある。

魂の戦衣を纏いし我らに敵はない。
いや、いかなる敵とても我らの魂を砕くことは不可能。

だからただ進もう。
全ての障害は押し潰し、叩き潰し、粉砕して前へ進もう。

そして、数多ある『番長グループ』の中で、とびっきりの戦争をみせつけ、
伝説の『菜医愛流帝』を継ぐものが誰なのか、この戦いにおいてそれを奪い取ろうではないか!



 名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』の校内は今や戦場そのものであった。
 そう、言わばスクール戦争という名の『古兎釣芭洲血斗(ふるうつばすけっと)』と化したのだ。
 なんて?
 いや、確かに言い得て妙だなって思わないでもなかったし、ある意味そうだろうなぁって関心したものである。
 しかしながら、なんだろう。
 妙な空気が流れている。
 オブリビオン番長である『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぐ』の番長グループと猟兵たちが率いる『番長グループ』が激突し、『悪そうなお兄さん』たちじみた悪魔生徒たちが見事なやられっぷりを披露している。

 それを見れば、なんかもうどうでもいいかなーって気持ちになるはずであるが、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の率いる番長グループは一味違った。
「全てが混乱と混沌の極みにあり、全てのものに機会がある。ならば我らは? 我らは何をなすべきか?」
 うん?
 なんだか理緒さん、えっと、あのぉ、そのぉ。
 なんかキャラ違いません? 間違ってない? 大丈夫?

「そうだ、戦争だ」
 あれー!?
 間違ってない! 理緒はなんか妙なテンションのまま演説を打つのだ。画風が違う。いつもの可愛らしい雰囲気の理緒じゃない。
 こう、劇画タッチというか、雰囲気が暗い。そんな理緒の周囲にいる『番長グループ』こと、彼女が『友達番長』から削り取ったシェア、悪魔生徒たちがずらりと居並ぶ。
 彼らの目もちょっとやばかった。
 不良とかそういうあれじゃない。もっとこう、邪悪な感じのアレである。整然と並ぶ姿が不気味さに拍車を掛けている。

「相手に比べ、こちらは僅か。だが我らには、自らの手で織り上げた魂の長ランがある」
 理緒の演説の前に居並ぶ悪魔生徒たちは皆、一から全部織り上げた長ランを身にまとい、理緒の演説を聞き見事な整列でもって『悪そうなお兄さんたち』を前にしても一歩も退くことはなかった。
「魂の戦衣を纏いし我らに敵はない。いや、いかなる敵とて我らの魂を砕くことは不可能」
 言い切る理緒。
 さっきから続くこのノリは一体なんなのだろうか。
 芸風が違うとか、キャラが違うとか、そういうのを超越した恐ろしい何かが始まっている気がする。

 一体全体、自分たちは何を見せられているのであろうかと思うほどの光景。
 これがあの心根は優しかった悪魔達であろうか……?
「だからただ進もう。全ての障害は押し潰し、叩き潰し、粉砕して前へ進もう」
 理緒の言葉と共に悪魔生徒たちが前進する。
 彼らは此処に至って、少数なれど精鋭。
『友達番長』の率いる『番長グループ』の有象無象とはわけが違うのだ。そう、戦争! 戦争! 戦争である!

 彼らはもはや以前の心根が純朴であった悪魔生徒ではない。
 理緒によって徹底的に鍛え挙げられた兵士と言っても過言ではなかった。
「「そして、数ある『番長グループ』の中でとびっきりの戦争を見せつけ」
 理緒の手が天に掲げられる。
 無駄に荘厳である。無駄に優美である。その所作、その言葉、全てがこの『番長グループ』の大激突となった『古兎釣芭州血斗』の勝利のために捧げられている。
 
 隊列を組み、整然と突き進んで『友達番長』の『番長グループ』たちを吹き飛ばしていく悪魔生徒たち。
「伝説の『菜医愛流帝』を継ぐのが誰なのか、此の戦いにおいてそれを奪い取ろうではないか!」

 ――!?

 なにそれ初耳である。何処か遠くでグリモア猟兵の悲鳴が聞こえた気がしたが気の所為である。
 そんな悲鳴をかき消すように理緒の『番長グループ』の行進は軍靴の音を鳴らして、『友達番長』の『番長グループ』を蹴散らし、理緒の求める『菜医愛流帝』の名を継ぐ道を切り拓くのであった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルル・マーナガルム
連携アドリブ歓迎

戦闘前にちょこっと演説
士気の高さを見せつけて
相手を怖けさせたいな

貴様らは最早●●(規制音)では無くなった!
貴様らは正真正銘の悪魔だ!
これより貴様らは戦地へ行く
どうだ、楽しいか!
(鬨の声)
我らの特技は何だ!
「悪(ワル)!」「悪!」
我らの目的は何だ!
「悪を!」「一心不乱の悪を!」
よろしい!では出撃だ!

情け容赦のない戦闘マシン≒ワルの生き様
って感じに教えただけなのに
悪魔達の仕事っぷりがスゴい
『元より問題だったのは彼らの在り方だけでしたから』
最前線は彼らに任せて
ボクは狙撃と指揮に徹しようっと
ハティは全隊の通信の管理もよろしくね
あわよくば敵の
スマホのやり取りとかも傍受できたらいいな



 一大抗争の場となった学内、名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』の悪魔生徒たちは皆、一様に大はしゃぎであった。
 こんなワルの集大成とも言える学校戦争じみた大騒ぎを彼らは経験してこなかったのだ。
 あくまで彼らは心根が純朴なのだ。
 良い子過ぎるがゆえに絶滅仕掛けた過去を持つ彼らにとって、こんな大騒ぎは初めてであったし、最高のクールなのだ。これぞワル。不良の花道である。
 あちこちで猟兵たちが率いる『番長グループ』と『友達番長』の率いる『番長グループ』が激突している。
『友達番長』の『番長グループ』の悪魔生徒たちは、強そうなオーラを放っている。
 これは一筋縄では行かぬとウルル・マーナガルム(死神の後継者・f33219)は判断し、彼女に付き従う『番長グループ』……否、鬼軍曹ウルルに鍛え上げられ、ワルというよりは一人前の兵士へと育て挙げられた悪魔生徒たちを前にして演説を打つのだ。

「貴様らはもはや●●(規制音)ではな無くなった! 貴様らは正真正銘の悪魔だ! これより貴様らは戦地へ行く」
 規制音がすごい。
 一体全体どんなワルなことを言っているのか、現場からはお伝えできない。とてもじゃないけど、口にするのもはばかられるような言葉であることは間違いない。
 彼女の言葉に悪魔生徒たちは一斉に『イエス、ボス!』と返事をする。
「どうだ楽しいか!」
『イエス、ボス!』
「我らの特技はなんだ!」
『悪を!』
『一心不乱の悪を!』
 彼らはもう以前の何処か心根の優しい悪魔たちではなかった。

 あまりにも立派なワルであったし、同時に戦士でもあった。
 一糸乱れぬ隊列。鬼軍曹ウルルのシゴキに耐えてきたのだ。時に罵詈雑言。時に愛のムチという名の体罰。
 スパルタンすぎるウルルのシゴキに脱走者が出そうになった。けれど、みんなで助け合い、励まし合い、ワルになろうと必死で頑張ってきたのだ。
 その成果が今である。
 雄叫びが響き渡る。凄まじい咆哮。もはや獣のそれであった。
「よろしい! では出撃だ!」
 ウルルの号令と共に彼女の『番長グループ』は一斉に校内へと飛び出す。

 彼女が教えたのは情け容赦のない戦闘マシン、ニアリーイコール、ワルの生き様である。
 いや、まあ、ウルルもこの成長具合にはちょっと目をみはる者があった。
 他世界であれば、ウルルのシゴキに耐えられないものばかりであったことだろう。けれど、ここはデビルキングワールドである。基本生真面目な悪魔たちがウルル軍曹のシゴキを受けたらどうなるかなどわかりきっていたのかもしれない。
『ガンホーガンホー!』
『ゴー! ゴー!』
 ものすごい勢いで『友達番長』の『番長グループ』を蹴散らしていくウルルの『番長グループ』たち。

 その有様にウルル本人も若干己の教育の凄まじさにゴクリと生唾を飲み込むのだ。
『元より問題だったのは彼らの在り方でしたから』
 バディAIの『ハティ』の言う通りであった。
 悪魔生徒たちの資質は十分すぎるものであった。だからこそ、彼らはウルルのシゴキによって立派なワル……ていうか、まあ、戦闘マシンになったのだ。
「さて……スマホのやり取りの傍受はどうかな……?」
「『イエス、ボス!』完璧であります!!」
 悪魔生徒の一人が傍受した『友達番長』の混乱ぶりを伝えてくる。

 どうやら、猟兵たちの率いる『番長グループ』の戦いは、どんどん彼女のグループを削り取っているようである。
「なるほどね。『ハティ』は全隊の通信の管理もよろしく。それじゃあ、行こうか」
 これより響くは、狙撃のルーティン【ドルズの歌】(コマッテナクテモトナエテクダサイ)。
 情報解析結果に基づく弾道計算と視覚を共有したウルルが構える銃の銃口がうかつに飛び出してきた悪魔生徒をゴム弾丸でもって派手に吹き飛ばす。

 それはまさに歴戦のスナイパー。
 彼女の『番長グループ』の戦闘マシンの如き戦いぶりと、彼女の狙撃技術が合わされば、敵など赤子の手をひねるよりも簡単に打倒していくことができるのだ。
 もはや不良グループなどとは呼ぶことはできまい。
 そこにあったのは、ウルル軍曹麾下の精鋭部隊。その戦闘マシンの行軍は、何者にも止めることはできないのであった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、偽物なんかじゃないもんっ!!
ちゃんとサージェですから!

っていうか、なんで『菜医愛流帝』派そんなにいるの!?
くっ…私としたことが、ファンクラブの私としたことが!!
あ、私が継げばいいのか『菜医愛流帝』

よし、戦いましょう全力で戦いましょう
我が友(勝手に)『菜医愛流帝』のためにこの戦いを捧げましょう!!

そんなわけで【ちまっとかぐや隊!】招集です!
戦闘力の無いこの子たちをどう使うかというとそこら中で遊ばせます
ふっ、この子たちを攻撃できますか!?
と盾にしながらぺちぺち倒して…うんまぁ、どうでもいいかな
とりあえずここから『菜医愛流帝』道を突き進みましょう!



 学内を巻き込んだ一大闘争。
 それは番長グループの激突であり、『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぐ』を打倒せんとする猟兵たちの仕掛けた戦いでもあった。
 全校に広がる『友達番長』のグループは凄まじい数を誇り、到底猟兵達だけでは打倒できぬものであったが、猟兵たちが見せつけたワルの美徳。それをもってシェアを削り、グループの数を減らしてきたのだ。
 その甲斐もあって、『友達番長』の『番長グループ』は徐々に数を減らし始めていた。
 派手にぶっ飛ばされているが悪魔生徒たちは、猟兵にも比肩するユーベルコード使いでもある。どれだけぶっとばされようが、数刻の後には何事もなくむっくり立ち上がってくるだろう。

 というか、なんだろう。
 こう、あれである。『悪そうなお兄さん』たちである悪魔生徒たちの見事なやられっぷりを見ていると、細かいことはどうでもよくなってくる。
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、偽物なんかじゃないもんっ!! ちゃんとサージェですから!」
 そういって闘争の場と化した学内に降り立つは『クノイチ番長』である。
 いやまあ、たゆんたゆん見事に揺れておりますなぁとは解説の悪魔生徒さん。
 ええ、揺れておりますねとは実況の悪魔生徒さん。
 
 しかしながら、彼女の前口上を聞く悪魔生徒たちはいなかった。
 というか、あちらこちらから『番長グループ』とは名ばかりの『菜医愛流帝』一派のコールが轟いている。
 転移を維持しているグリモア猟兵にとっては悪夢であろう。
 ちょっとテンションが上がっただけであったのだが、こんな大事になるとは夢にも思わなかったのだ。
「っていうか、なんで『菜医愛流帝』派そんなにいるの!?」
 サージェは驚愕した。
 いつのまにか私の『菜医愛流帝』が! と謎のショックを受けている。ファンクラブまで設立している彼女にとって、それはイベントに乗り遅れた古参ファンの嘆きと似ていた。なんで?

「くっ……私としたことが、ファンクラブの私としたことが!!」
 後悔してもしきれない。
 サージェにとって、其処まで思い入れのあることだったのだろう。せやろか? 甚だ疑問であるが悪魔生徒たちは『クノイチ番長』の懊悩に理解をしめしていた。
 ワルの道を求めても、根は優しい悪魔たちである。困っていたり、サージェみたく嘆く者がいたら寄り添うのが彼らである。
 ぽむぽむと肩を叩く悪魔生徒たち。
 わかるよ……その気持ち、と言うようにサージェと悪魔生徒たちの間に気持ちが通じる何かがあった。

 瞬間、サージェはひらめいたのだ。
「あ、私が継げばいいのか『菜医愛流帝』」
 そうはならんやろ。
「そうっすよ! 姐さん! やってやりましょうぜ!」
「やって見る価値はありますぜ!」
 なんか一丸となった『クノイチ番長』のグループ。円陣を組んで一斉に叫ぶのだ。
「よし、戦いましょう全力で戦いましょう。我が友『菜医愛流帝』のためにこの戦いを捧げましょう!!」
 よっしゃー! と悪魔生徒たちは『友達番長』の『番長グループ』へと果敢に突撃していく。
 さらにサージェの瞳がユーベルコードに輝く。

「はーい、みんなせいれーつ! ちまっとかぐや隊!(ゲーミングカグヤヒメトアソボウ)」
 そこに召喚されたのはゲーミングカラーに光り輝くかぐや姫たちであった。
 数こそ凄まじいが、彼女たちに戦闘力はない。この暴力だけが正義の世界にあって彼女たちに何ができるというのだろうか。
 しかしかわいい。
「ふっ、この子たちを攻撃できますか? できませんよね? 汚い? ええ、クノイチとはきたない手段を選ばないもの! それは褒め言葉ですよ!」
 可愛いゲーミングカラーかぐや姫たちを盾にサージェと『番長グループ』の悪魔生徒たちはぺちぺち『友達番長』傘下の悪魔生徒たちをぺちぺち倒していく。

 可愛い子たちを盾にする非道。
 それはワルの花道である。でもまあ、あまりにも見事に悪魔生徒たちがやられていくのをみてサージェはなんかどうでもよくなってくるが、しかしながら彼女の心にあるのは『菜医愛流帝』道への求道心のみ。
 そう、あれこそがサージェの目指す道。
 ファンクラブ第一号会員としてアノ称号は欲しい。ほんとに? アレほしいの? と思わないでもない地の文でありましたが、欲しいなら、ねだるな勝ち取れさすれば与えられん! ってやつであると思ったり思わなかったり。

 そんなサージェは『友達番長』目指して悪魔生徒たちをぺちっていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
(自己催眠継続中でテンションアゲアゲ)
合言葉は「全ては『菜医愛流帝』様のために!」

『菜医愛流帝』様の御真影を胸に抱き、カリスマに対する忠誠で結びついた『神様番長』グループは、”魔界制覇”という悪ならば憧れずにいられない目標に向かって邁進するのであった。
「ばぁーん!」

合言葉を唱えながら一糸乱れぬ連携で、烏合の衆である『友達番長』グループを駆逐する『神様番長』グループ。
傷を受けたり、見事なやられっぷりを見て感情を揺さぶられたメンバーには賦活祈念ですかさず回復。

『死威乗』番長は後方より皆を回復し、合言葉で士気を盛り上げ、鼓舞する事で全体を指揮して戦い続けるのであった。

銀河の黒歴史がまた1ページ…。



「全ては『菜医愛流帝』様のために!」
 それは合言葉であった。
『神様番長』率いる悪魔生徒たちのグループ。彼らが咆哮するように高らかに声を上げる度にその言葉が『吐露比狩古兎釣高等学校』の学内に響き渡る。
 何処か遠くで悲鳴が聞こえているような、悶絶しているような声が聞こえた気がしたかもしれないが、気の所為である。

 時に人はテンションがおかしくなると、冷静ではいられなくなってしまうものである。
 どれだけ普段冷静に、そして羽目を外すことのない品行方正たる淑女であったとしても、テンションが上がっているとおかしな言動と行動をするものである。
 大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)がまさにそうであったのだ。
 彼女は普段はお淑やかな女性である。
 その身に宿した神性の通り、彼女の行いは全て正しい。あらゆる面において彼女のような淑女は規範となるべきものであったことだろう。
「全ては『菜医愛流帝』様のために!」

 ……。
 ちょっと書いていて不安になってきたが、まあ、詩乃という猟兵の本質はあくまで清く正しく美しいものである。それは間違いない。
 ただまあ、その。
 今は自己催眠でテンションアゲアゲで、こう……。
「全ては『菜医愛流帝』様のために!」
 やべーやつになっている。胸に『菜医愛流帝』の御真影(無許可)を抱き、カリスマに対する忠誠で結びついた『神様番長』グループは“魔界制覇”という悪ならば憧れずにはいられない目標に向かって邁進する。

 そう、詩乃は――いや、『神様番長』こと『死威乗』はこうして“魔界制覇”への道を突き進むテンションアゲアゲの黒歴史を製造する猟兵の一人となったのだッ!
「ばぁーん!」
 そこまで真似しなくてもいいんですよ詩乃さん。
 とまあ、そんな具合に詩乃のテンションもいい具合に混沌めいてきている。
 しかしながら、合言葉を唱えながら一糸乱れぬ連携で、烏合の衆である『友達番長』傘下の悪魔生徒たちを蹴散らし、駆逐していく『神様番長』グループ。
 凄まじい快進撃である。
 どれだけ見事なやられっぷりを披露する悪魔生徒たちがいようともまるで関係ない。その胸に抱く御真影のためにこそ己たちの忠誠はあるのだというように凄まじい勢いで校内を、『友達番長』のグループを両断していくのだ。

 その光景は一種の恐ろしさ、ワルを見せつけるものであった。
 どれだけ見事なやられっぷりを披露されて、心がぐだぐだになったのだとしても詩乃はそれを許さない。
「皆さんの苦しみと痛み、此処に霧散致します。全ては『菜医愛流帝』様のために!」
 あ、これやべーやつである。
 詩乃のユーベルコード、賦活祈念(フカツキネン)によって、ぐだぐだになった心を強制的に回復させるのだ。
 あらゆる呪い、狂気、病魔をも浄化する若草色の神気は今、『菜医愛流帝』のためだけにふるわれている。
 どれだけぐだっても関係ないのである。
 これこそが『神様番長』グループの原動力にして最大の力である。
 あらゆる負傷すらも回復させて強制的に戦いに赴く詩乃と悪魔生徒たち。

 それはもはや大義名分を掲げ、旗印の元にあるのならばどんなことをしてもいいというたぐいのあれに近づいているのを詩乃はテンションが上がりすぎていて気が付かない。
 願わくば、この戦いが終わるまで気が付かないで居て欲しい。
 どこかのグリモア猟兵みたく半端なところで気がついてしまって己のしでかしたことに羞恥で悶えることがないように願いたいものである。
「さあ、皆さん。行きますよ――合言葉は?」
「全ては『菜医愛流帝』様のために!」
 号令の如き合言葉が学内に木霊する。

『友達番長』傘下の悪魔生徒達は、それを聞いただけで震え上がることだろう。
 その言葉が響く度に誰かがやられてぶっとばされるのだ。
 そうなってしまえば、もう声を上げるだけで敵は蜘蛛の子を散らすように霧散していく。後はそこを詩乃は邁進するだけでいいのだ。

「全ては『菜医愛流帝』様のために!」
 詩乃はノリノリで合言葉を叫ぶ。面白いくらいに悪魔生徒たちが蹴散らされていくのも手伝って、もう行けるところまで行ってしまうつもりなのだ!
 だがしかし、あとのことを考えると不安でしかたない。何故ならば。
 ここに銀河の黒歴史がまた1ページ刻まれてしまうのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「ええい、なぜ我が『ぺったん番長』なのだ!」

あれか!?
たゆんな番長が巨乳派の悪魔たちを籠絡したとでもいうのか!?

「だが、逆に言えば、我に付き従う悪魔たちはぺったん派ということ!
お前達、ぺったんこそが至高であると学校中に示してやるのだ!
そして、ゆくゆくは我らぺったん派が魔界の覇権を握り、巨乳派の頂点に立つ菜医愛流帝を倒すのだ!」

そのためには、まず、目障りな友達番長などという者の舎弟共を倒さねばなるまい。

「友情などという脆い絆など、ぺったんの絆で打ち砕いてくれるわ!」

友達いない逆恨みの心を込めた【竜滅陣】を放ち、友達番長の舎弟たちと、ついでに巨乳派の悪魔たちを吹き飛ばしてくれるわ!



 ぺったん。
 それは別に何かこう物をスタンプしたときの音ってわけではない。
 サウンドエフェクトってやつでもない。
 擬音でもない。
 それはある特定の女性を示して言う言葉であり、まあ、あんまり良い意味じゃないけど、時にはそういう嗜好の人がいて、それはもうとてもじゃないが至高のものとして祭り上げられるほどのものであった。

 しかしながら、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)にとってはそうではなかったのだ。
「ええい、何故我が『ぺったん番長』なのだ!」
 叫ぶ。
 それは心からの慟哭であったことだろう。なんでや! おかしいやろ! よく見ればあるやろ! その節穴の目をかっぽじってよく見ろや! フィアさんの慎ましいのをよぉ!

 ――!?

 となるあれであるが。しかしながら、悲しいかな。
 どうあがいても『ぺったん番長』の名は覆ることはない。
「来たぞ!『ぺったん番長』グループのやつらだ! ここは通さないぜ!」
「『ぺったん番長』! 覚悟せいやー!」
「あ、そーれぺったん!」
 とまあ、『友達番長』傘下の悪魔生徒たちから言われたい放題である。
 あれであろうか、たゆんな番長が巨乳派の悪魔たちを籠絡したとしか思えぬ状況。しかしながら『友達番長』の姿を認めたフィアは、どちらかというあれもこっちがわだよなーって思わないでもなかった。

 ならば、この騒ぎの元凶、己をぺったんなどと呼ばわりする諸悪の根源は如何なる存在か。
 どうあがいても名前が覆らぬ。
 ならば、彼女に付き従う悪魔生徒たちはまさしく忠臣である。
「だが、逆に言えば我に付き従う悪魔たちはぺったん派ということ! お前達、ぺったんこそが至高であると学校中に示してやるのだ!」
 いや、そうじゃない。
 そうじゃないんだけど、悪魔生徒たちは口をつぐんだ。いらんこと言うと絶対後でめんどくせーことになるのが見えているからである。
 彼らは確かにワルに憧れる悪魔である。けれど、心根は優しい良い子たちなのだ。

 空気だってそりゃ読める。
「そして、ゆくゆくは我らぺったん派が魔界の覇権を握り、巨乳派の頂点にたつ『菜医愛流帝』を倒すのだ!」
 どこか遠くでまた悲鳴が聞こえた。
 なんでそういうことになっているんだろうかと思わずにはいられない。ていうか、いつ頂点にたったのだろうか。
 いやまあ、そういう話の流れであるし、フィアはまずは目障りな『友達番長』からぶっとばしていこうと決めたのだから結果オーライである。なにもよくはないが。

「友情などという脆い絆など、ぺったんの絆で打ち砕いてくれるわ!」
 それは逆恨みってやつであった。
 友達いない怨念の如き力を受けたユーベルコードの輝き。
 極大なる魔法の行使。その竜滅陣(ドラゴン・スレイヤー)の威力は言うまでもない。ドラゴンすらも消し飛ばす大規模破壊魔法である。
 フィアは激情にかられて気がついていないが、ここでそそんな大規模破壊魔法を使えば、校舎は吹き飛び、絶対あとで賠償請求される事態に発展してしまうのだ。

 しかしながら、巨乳派許すまじという彼女の怨念こもった瞳にはそんな未来など一切見えない。
 あるのは、全部ぶっ飛ばすという破壊の意志のみ。
 やべーやつである。端的に言って。
「漆黒の魔女の名に於いて、我が前に立ち塞がりし全てを消し去ろう。消し飛べ、友達番長の舎弟たちと、ついでに巨乳派の悪魔ども――!」
 ものすごい私利私欲である。
 これが強大な力を持つ者の責任を一切感じさせぬフィアの極大魔法の一撃である。

 輝くユーベルコードの光が名門魔界学校の校舎をぶっ飛ばしながら、ぺたん派の過激な闘争の幕開けを告げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
釈然としないけど
利用できるものは利用しよう
というかそうとでも思わないと
やってられない…

あら、似合ってますのに
とってもkawaiiですの

横取りしたデビルを悪魔達に渡し
友達番長の配下達を買収して
こちらに引き込むよう指示しよう

お金で友達を裏切るって悪い事だよね
そしてそれを唆すのも悪い奴だよね

デビルの強奪してた悪魔の中に
友達番長のデビル保管場所知ってるのがいれば
そこのデビルも強奪か番人買収かできれば
実弾が増えてありがたいんだけど

買収で相手の戦力を削りつつ
真面目に戦う悪魔達は
麻痺させたりガトリングで薙ぎ払ったりして
戦闘不能にしていこう

見事なやられっぷりついでに
銃口を突き付けて人質にして
仲間に降伏を促そう



 kawaiiは正義である。
 それはどんな世界にあっても変わらぬ事実であり、どんな事柄にも優先されることである。
 フリルは女の子の心をときめかせる力があるのだ。
 ゆえにフリルがふりふりで動く度に揺れる改造学ランを着込んだ佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は可愛い最強やったー! っていうやつである。
 いや、そうかな? と晶は首をひねるものであった。正直、釈然としないものを感じている。
 どうしてこうなったのかと思わないでもなかったが、ことデビルキングワールドという世界にあって一般人である悪魔たちを味方に付けるということは非常に重要であった。

 彼らは確かに一般人である。
 猟兵でもないし、オブリビオンでもない。
 けれど、彼らは一人ひとりが猟兵に勝るとも劣らないユーベルコード使いなのである。言ってしまえば、はちゃめちゃに強いのである。
 ゆえに数こそ力。パワーなのだ。
「利用できるものは利用しよう。というか、そうとでも思わないとやってられない……」
 いつも以上にフリフリな衣服に身を包んで落ち着かない様子の晶。
 そんな晶の身の内に存在する邪神がとっても似合っていますのに、とつぶやく。
 やはりkawaiiは全てを解決する。

 晶は横取りした『D(デビル)』を『友達番長』傘下の悪魔たちに手渡す。
「え、これは、なに、え?」
 彼らはなんで自分たちが『D(デビル)』を渡されたのか理解していないようであった。それもそのはずである。彼らは心根が良い子なのだ。 
 買収という概念すら思いつかなかったのかもしれない。だが、同時に悪徳こそ美徳のこの世界にあって裏切りほどクールで格好いいものはないのである。
「わかるよね? お金で友達を裏切るってことは、悪いことだって。そして、それを唆す奴は……?」
 晶が笑う。
 別に普通に笑っているだけなのだが、場の空気、そして『D(デビル)』が放つ光と相まって絶妙な影が顔に落ちるのだ。

 それはいうなれば、敵である『友達番長』の戦力をさらに削ぎ落とす行い。
 裏切りというスパイスを前に悪魔生徒たちが抗えるわけなどなかったのだ。
「わ、ワル……! 極上の……!」
 ごくりんこ。
 甘美な誘いに次々と悪魔生徒たちが晶に寝返っていく。やばい。ちょろすぎる。チョロQかよってなるほどちょろい。

 そんな彼らを次々と買収していけば自ずと『D(デビル)』を保管する場所も知っている者が出てくる。
「じゃあ、案内してもらおうかな?」
「へい! こっちでやんす! ここが『D(デビル)』貯蔵庫でやんす!」
 口調まで小悪党である。こういうのに憧れる年頃なのだろう。なんか変な気分になってしまうが、晶は案内された『D(デビル)』貯蔵庫から更に『D(デビル)』という名の実弾を手にして、さらなる買収を重ねていく。

 晶はそれでも裏切りを良しとしない悪魔生徒たちが存在するであろうと思っていたが、残念ながら誰もいなかった。
 みんな裏切りを示唆した時点でノリノリで裏切ってきた。
 だってワルいことだし。
 そんなワルなことをしないわけがない。だってここは、名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』なのだから!
「いいのかなぁ……こんなんで」
 晶は若干げんなりしている。
 ふりふり可愛い学ランを来て、お金で友達を裏切らせる買収行為の連続。
 マトモに戦わなくても、『友達番長』グループはどんどん裏切って此方側についていく。

 裏切りこそがワル。
 ワルこそ裏切り。
 その図式が成り立つ限り、晶が『D(デビル)』貯蔵庫を抑えたのは正解以上の効果を持つと言わざるを得ないだろう。
 銃弾でボコすよりも遥かに効率的に『友達番長』の戦力を落とし、こちらの戦力を比例して伸ばしていくやり方。
 それは今回の一大闘争において、ワルの教科書に記載されるほどの悪党として、不本意ながら晶の名前が連ねられることになるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
さて、『裏番』と名乗った以上、表立って動く訳にも参りません
(優雅にティータイムしつつ)

予算と悪の内申点の圧力に屈した生徒全員にバッチ状UC通信機渡し

私達、強盗騎士クラブのモットーは『悪こそ優雅であれ』
単純な力押しは低俗な悪…『蛮族』の所業です

そして『蛮族』たる『友達番長グループ』に騎士の礼儀作法など無用
あらゆる手を尽くし屈服させるのです

A班は逃げる振りをして誘い込みなさい
B班はチョーク粉での目潰しの準備
C班はワックス転倒トラップを敷設し分断の準備を
D班は私が握った弱みの情報元に寝返り工作を遂行

後は各個撃破で摺り潰すのです

…私は何をやっているのでしょう
あと、その生徒会長(略 はもういいですから!



 わー! わー! と遠くから闘争の声が聞こえる。
 それは名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』の学内で行われている『番長グループ』同士の激突、その抗争が響かせる鬨の声であった。
 激突する悪魔生徒たち。
 むくつけき生徒たちが激突しては、派手にぶっとばされていく。
 それは見た目こそ、血を血で洗う抗争であったが、まあ、ここはデビルキングワールドである。
 一般人である悪魔生徒たちは、派手にぶっとばされても数刻の後にはケロッと復帰してくるほど頑丈なのである。

 そんな抗争の音を優雅にティータイムに洒落込みながら遠くに聞いていたのは、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)であった。
 彼は『裏番』――即ち、学校の影の支配者である。
 悪魔たちの弱みを握って、暴力ではなく知略でもって権力を得た生徒会長兼副会長兼庶務兼会計兼書紀なのである。クソ長い役職であるが、トリテレイアが手に入れた権力を知らしめるには十分過ぎるものであったことだろう。

「『裏番』と名乗った以上、表立って動く訳にも参りません」
 ティータイムといいつつ、紅茶は特に飲まない。
 雰囲気だけである。スコーンとかティーセットとかもあるが、これもまた雰囲気だけである。何度でも言うが、雰囲気だけである。
 なぜなら彼はウォーマシンだから!
 紅茶とかよりオイルの方がいいだろうし、クッキーやスコーンよりは鋼材の方がいいだろう。
 しかしながら、彼は『裏番』なのである。白い詰め襟に身を包んだ彼はまごうことなき学校の影の支配者なのだから。

「私達、強盗騎士クラブのモットーは『悪こそ優雅であれ』。単純な力押しは低俗な悪……『蛮族』の所業です」
 トリテレイアは予算と悪の内申点という圧力に屈した『強盗騎士クラブ』の部員たちである生徒全員に手渡したバッチ状の小型通信機から呼びかける。
 それは、機械騎士の臨時前線指揮(マシンナイツ・コンダクター)とも言うべきユーベルコードであったが、しかしながら今は違う。
 騎士っていうか、こう暗躍する悪党のやつである。

 トリテレイアとしては、そういうことを言ってほしくないかもしれないが、まじで悪党のムーヴである。
 正直言ってえげつない感じのやつ。
 そんでもって『蛮族』とは即ち『友達番長グループ』のことである。そんな『蛮族』と激突するのはトリテレイアが指揮する『強盗騎士クラブ』の悪魔生徒たちである。
 彼は元々帰宅部であった。
 けれど、トリテレイアの圧政の如き所業によって無理矢理に組み込まれているのだ。そんな所業にトリテレイア自身は葛藤を抱えているが、当の本人はノリノリである。
「A班、作戦通り逃走開始」
「B班、チョーク粉塵準備整いました!」
「C班、ワックス店頭トラップにより敵『友達番長グループ』の分断に成功!」
「D班、寝返り交錯は60%まで進行中」

 そんな通信が次々とトリテレイアに届いてくる。
 もうなんていうか、トリテレイアが支持しなくてもよかったのではないかと思うほどのノリノリ具合である。
 こういうのやってみたかったんだーという悪魔たちの朗らかな声さえ聞こえてくるので、トリテレイアはどうしたものかと頭を抱えてしまいそうになるが、そこはそれである。
 ここでへこたれていては騎士としてやっていけないのである。
「『蛮族』に騎士の礼儀作法など無用。あらうる手を尽くし屈服させるのです。後は各個撃破ですり潰すのです」

 トリテレイアはあくまで威厳を保ったまま通信を終える。
 優雅たれ。
 まあよく言ったものである。言った本人は自分が今何をやっているのかと頭を抱えそうに成っているというのに。
「生徒会長兼副会長兼庶務兼書紀兼会計! 準備整いましてございます!」
 そんな通信機から聞こえてくる声。
 活き活きしていて、世界が違えばこうなるのかとトリテレイアは頭痛さえ覚えるようであった。
 もう、それはいいから! と叫びたく為るのを堪え、トリテレイアは彼の配下たちに指令を下すのだ。

 そう、『友達番長』ことオブリビオン、絆の悪徳『双手・つなぐ』を引きずり出し、打倒せしめる。
 そのためにトリテレイアは学校校舎の屋上で優雅な……優雅な……そう、優雅なティータイムを維持しながら己の中にある懊悩、葛藤と格闘し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

廻屋・たろ
あれ、なんかみんな寒そうな格好してるね
最近冷え込んできたんだしちゃんと着込まないと風邪引くんだぞ
…制服取られちゃったの?かわいそうだね(すっとぼけ)

でもお前たち、取られたままじゃ悪魔の名が廃るってもんだぜ
見ろよあいつらを、みんなが寒い思いしてるってのスカしたもふもふを見せつけやがって
許せるか?許せないよな?
なら奪ってやるしかないよね、制服を
俺が先陣を切って手本を見せてやる、行くぞ!

選抜した悪魔さんと騎馬戦みたいな陣形を取り突撃
相手の遥か頭上から服を掴んで引っ張り上げて制服を剥ぐ
構造的に無理だったらちょっとナイフで服をスパッとするよ
自分の服も守れねえ奴に強そうなオーラもなにもあるもんかよ



 生まれ流れにしての悪の権化。
 それはジャイアニズム。
『お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの!』
 有名な言葉である。その体現者たる廻屋・たろ(黄昏の跡・f29873)は、お気に入り、ジャストフィットする改造学ランを得た。
 それに至るまで惨憺たる状況を生み出したことはもう忘れていい。
 彼の背後にはひん剥かれて寒そうな格好をした悪魔生徒たちが連なっていた。有無を言わせぬジャイアニズムを発揮した、たろに心酔した悪魔生徒たちである。

 特に何かしようとしたわけではないが、たろはいつのまにか悪魔生徒たちを束ねるトップに君臨し、学内を巻き込んだ一大闘争の最中に足を踏み入れていたのだ。
「あれ、なんかみんな寒そうな格好しているね。最近冷え込んできたんだし、ちゃんと着込まないと風邪引くんだぞ」
 そんな風に気遣いをするたろ。
 いや、君が剥ぎ取ったんじゃが、というツッコミは誰もできなかった。
 なぜなら、たろの瞳は純粋無垢というかハイライトがどっか飛んで行方不明に成っている。
 あれは本気で言っている目である。異を唱えようものなら、次は何をされるのかわかったものではない。
「もしかして……制服取られたちゃったの? かわいそうだね」

 すっとぼけである。
 悪魔生徒たちに激震が走る。自分でやったのに、さも自分ではないみたいな顔をしている。マジで悪の権化。ワルすぎる! だからこそ、彼らはたろに連なるように付いてきたのだ。
 ワルすぎるということはかっこよすぎるということである。理不尽過ぎるワルにこそ彼らは引かれるのだから。
「でもお前達、取られたままじゃ悪魔の名が廃るってもんだぜ。見ろよあいつらを」
 そういって、たろが示すのは闘争に明け暮れる『友達番長グループ』の悪魔生徒たちである。
 彼らの改造学ランをたろは示すのだ。
「みんな寒い思いしているってのにスカしたもふもふを見せつけやがって」

 あ、もふもふって『悪そうなお兄さん』の毛皮的なあれのことを言っているんすね。悪魔生徒たちはうなずいた。
 まあ、それ言ったら自分たちもまあ、もふもふしているわけであるが。制服来てないだけだけど。
「許せるか? 許せないよな?」
 有無を言わさない雰囲気。返事は、はいかイエスしかないやつである。コクコクみんな首を縦に降るしかなかった。

「なら奪ってやるしか無いよね、制服を」
 そういって、たろが先陣を着るようにして闘争の坩堝へと飛び込んでいく。いや、違う。彼が選抜した悪魔生徒たちを騎馬代わりにして『友達番長グループ』へと突撃するのだ。
 それは言わば騎馬戦である。
 頭一つ飛び出た、たろが手にするのは【相棒】(ツカイステ)たる黒居ナイフとフォーク、そしてスプーンである。

 敵のはるか頭上から服を掴んで引っ剥がそうとしたが、流石は悪魔である。力任せでうまくいかない。ならばと登場するのが黒いナイフである。
 ずんばらりんと切り裂いて制服を奪うのだ。
 奪うっていうか、切り裂いているからもう使い物にならないけれど、それを、ぺいすっと配下の悪魔生徒たちに投げ放つのだ。
「自分の服も守れねえヤツに強そうなオーラもなにもあるもんかよ」
 そう、どれだけ『悪そうなお兄さん』たちがいようとも、たろには関係ない。

 目の前の敵の衣服を切り裂いてひっぺがす。
 ただそれだけなのだ。まさに暴君。やべーやつである。
「な、なんか一人だけ目にハイライトがないやつがおる! に、にげろー! ってあ――ッ!?」
 また一人黒いナイフの犠牲者が出る。
 たろの手繰る黒いナイフが次々と『友達番長』傘下の悪魔生徒たちの身ぐるみを剥いでいく。

 これが少年誌だったら、サービスシーンであるが、残念ながら此処はデビルキングワールドである。そんでもって相手は『悪そうなお兄さん達』である。
 そういうのはない。ないったらない。
「そのもこもこ毛皮まで剥がないことに感謝してほしいくらいだよ」
 あっ、これ剥げるなら毛皮まで剥ぐつもりのやつだったんだと、たろの躊躇いのない一言に悪魔生徒たちは戦慄するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ああん?
カチコミ??
言って無かったけどこちとら高等学校に編入してきた24歳だぞ?
悪魔に年齢あるかどうかは知らないけれど、24歳高校生だぞ
その悲しみが分かるかこの野郎共!!
何か悲しくなって来たな…
何留だよ…
良かった普段着着てて…まだ自分を保てる…

全部お前等が悪い!
もう完全にお前等がバカだから悪い!
だから当たり散らす!


【アームデバイス起動】
副腕を召喚してワル共を掴んでは他のワル共に投げて纏めて『吹き飛ばし』
掴んでは床に叩き付けてワル悪魔のタタキを作り
掴んでは上手く窓とか狙ってぶっ飛ばしてホールインワン!
…何に入ったんだろ今の悪魔?

喧嘩と言えばステゴロと決まってるだろ!
どう見てもステゴロだろう?



「大変っす、姐さん! カチコミっすよ!!」
 そんな風に慌てた様子で教室の中に飛び込んでくる悪魔生徒。
 血相変えた様子であるのは、学内中で巻き起こるスクール戦争の如き抗争を知らせるためであったのだろう。
 今や名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』は学内闘争の坩堝と化している。
 凄まじい数の悪魔生徒たちが激突し、あちこちで派手に吹っ飛びまくっているのだ。まさに地獄絵図。いやまあ、デビルキングワールドだからある意味日常と言えば日常であるのだが。

 そんな一大イベントが起こったのであれば参加しない手はない。
 こういうイベントたーのしー! ってなるのが悪魔たちである。そういうものなのだ。仕方ないのだ。根は心優しく、されど身体は猟兵並みに頑丈ときているのであれば、こういうワルそうなイベントは放ってはおけない。
 ならばこそ、自分たちのグループのトップである月夜・玲(頂の探究者・f01605)に、磯野ー野球しようぜー! 位のノリで呼びかけたのだ。

 だが、対する玲さんはご機嫌斜めであった。
「ああん? カチコミ??」
 あ。これは死んだなと悪魔生徒は後にそう思ったことを後述している。
 とんでもなくやさぐれていたんすよ、姐さん。
 わりとマジで。
 そうそう、言ってなかったみたいなんすけど、姐さんて高等学校編入してきた24歳だったんすよ。まあ、年齢不詳って悪魔生徒もいるぐらいなんで、機にしなくていいいかなーって思ってたんすけど、姐さんはそうじゃなかったみたいで。

「こちとら24歳高校生だぞ。その悲しみがわかるかこの野郎共!!」
 激高する玲さん。
 24歳高校生。字面がやばい。いかがわしさもないが、なんていうか世間の容赦も一切ない。むしろ、玲さん24歳てマ? ってなるレベルであるが、本人の認識はそうではない。
 むしろ、まだまだ行けるっしょ! って悪魔生徒の舎弟は思っていたけど、口に出したら模造神器飛んで来そうだったので黙ってた。

「何か悲しくなってきたな……」
 玲さんは思った。24歳高校生。冷静に考えて何回留年したことになるのだろうか。流石にキツい。
 ああ、でもよかったと彼女は思ったのだ。
「良かった普段着着てて……まだ自分を保てる」
 玲さんは窓ガラスにたそがれながら、眼下の闘争を見やる。元気いっぱいにぶっ飛ばされ、ぶっ飛ばしを繰り返す悪魔生徒たち。
 若い。若さが溢れてパッションである。何言ってるか全然わからん。
 あの眩しいまでの輝き。青春の汗。
 楽しそうな顔。何も怖いものはない。そんな感じの彼らを見て、沸々と怒りがワイてくる玲さん。

 正直に言おう。
 24歳高校生になってしまった玲さん。危うく24歳でJKの如き制服を着て戦うことになるかもしれなかったのをギリギリ力技で回避した玲さんはむかっ腹なのであった。
「全部お前等が悪い! もう完全にお前等がバカだからワルい!」
 後に舎弟の一人がインタビューに答えている。
 ああ、姐さんですか?
 そう叫んだ後はすごかったですよ。あれは当たり散らすっていうレベルじゃなかったですもん。

 アームデバイス起動(アームデバイスキドウ)――っていうんです? ユーベルコードがびかーってね。光ったんですよ。
 したら、ほら……あれって、何かを掴むためにあるわけじゃないですか? ええ、気がついたら……『掴まれて』ましてね。

「デバイス転送。動力直結。攻勢用外部ユニット、起動完了」
 玲さんは冷静に起こっていた。穏やかな心で怒りに目覚めたスーパー猟兵人みたいになっていた。別に金髪で逆だっていたわけじゃないけど、まあそんなオーラがあった気がする。多分。
 インタビューは続く。

 ええ、その後はもう自分がなんであるかなんてわからなかった。後から思い返してみれば、あれって『野球』じゃなくて『ゴルフ』だったのかなぁって……。
 そうです。自分ら『ボール』にされたんすよ。そう、こう……あ、死んだなって思いましたもん。

「というわけでホールインワン!」
 ぶん投げた悪魔たちが何か穴に入った。
 いや、何の穴? とは問うことはするまい。ノリである。そうして玲さんは修羅の如き活躍を見せたのだ。
 悪魔生徒たちをぶっ叩いては『ボール』にしてぶん投げていく。もう情け容赦のない残虐ファイト。
 その様子を悪魔生徒たちは語る。

 やべーっすよ、あの人。発想が常人のそれじゃねーっすもん。あれこそワルっすよ。俺ら『ボール』のつもりだったんすけど、あの人そんなこと考えてなかったんすもん。
 だって、最後に言った言葉覚えてます? あれ、あれこそ玲姐さんなんだなぁって思いましたもん。

「喧嘩と言えばステゴロとい決まってるだろ! どう見てもステゴロだろう?」
 玲さんは巨大なアームデバイスを振り上げ、本当にステゴロかなぁ? と思わずには居られず、されどツッコミを入れることすらはばかられるほどの活躍を見せつけ、悪魔たちを震え上がらせる修羅となる。
 これこそがダブリインパクトの力である――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『絆の悪徳『双手・つなぎ』』

POW   :    絶対友達宣言
対象の【記憶と精神】に【友情】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[記憶と精神]を自在に操作できる。
SPD   :    友達私物主義
【鞄】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、鞄から何度でも発動できる。
WIZ   :    全世界友達計画
【自分と対象をつなぐ光輪】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:ぬかを

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はオネスト・ファッションです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 あーもー滅茶苦茶だよー!
 と叫びたく為るほどの惨状が名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』の学内に広がっていた。
『友達番長』の率いる『番長グループ』は壊滅の憂き目にあっていた。
 寝返り交錯や『D(デビル)』による買収。
 はたまた単純な暴力やら、あらたな一派の誕生と合併。
 もう『友達番長』のグループは一大勢力であったころを思い出すことも難しいほどに壊滅的な打撃を受けていた。

「もー! なんでなんで! なんでこうなるのよ!」
『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぎ絆の悪徳『双手・つなぎ』』は地団駄を踏んでいた。
 事は順調に進んでいたのだ。
 学校は自分が掌握していたし、『D(デビル)』は順調に集まっていた。なのに、貯蔵庫は襲われて全部ばら撒かられてしまうし、下僕であった悪魔生徒たちは次々と裏切ってしまう。
 そんでもって、残っていた勢力も尽くが猟兵たちが率いるグループによってすり潰されてしまった。

 けれど、まだ逆転の目はあるのだ。
「でもでもまだ大丈夫だもの! 私の下僕が減ったのなら、また増やせばいいのよ! 簡単なこと!」
 そう、絆の悪徳『双手・つなぎ』のユーベルコードは、友達を作るユーベルコードばかりである。
 これを利用すれば、いくらでも再起は可能なのだ。

「なら、猟兵もみんなまとめて下僕にしてあげるんだから!」
 そう言って絆の悪徳『双手・つなぎ』はその瞳をユーベルコードに輝かせる。
『吐露比狩古兎釣高等学校』をめぐる一大抗争、その終演は近い。
 最後の力を振り絞って、猟兵よ、偽りの友情を結ばんとする『友達番長』をぶっとばせ――!
フィア・シュヴァルツ
「くくく、お前が『友達番長』とか名乗るふざけた者か。
『ぺったん番長』である我が引導を渡してくれるわ」

【隕石召喚】をおこなおうとしたところで……

む?
絶対友達宣言……?

我の中に双手つなぎに対する親近感(主に胸的な意味で)が湧いてきて……

「ま、まさか、これが友情というものなのか!?」

そう。骸の海から蘇ったオブリビオンならば寿命は永遠。
不老不死たる我とも永遠に一緒にいられるのである。
さらに永遠にぺったんという悩みも共有できる相手!

初めて生じる感情に戸惑いながら、思わずつなぎの手を握って友情を誓い合ってしまうのであった。(注:精神を操られています)

「つなぎよ、共に全ての元凶、『菜医愛流帝』を倒すのだ!」



『友達番長』、それはオブリビオンである絆の悪徳『双手・つなぎ』の異名である。
 異名とか二つ名って格好いいよね。わかる。
 いや、まあそれは今はおいておくとしよう。話の本筋とは異なるものであるからして。
 しかしながら、彼女のユーベルコードは強力無比なるものであった。
 誰でも彼でも友達にしてしまうユーベルコード。それはどこかの合気道の達人みたく、敵としてやってきた者と友だちになってしまう最強の自衛であったのかもしれない。
 友だちになってしまえば戦うこともない。
 争うこともないし、時には助けてくれることだってあるかもしれない。そういう意味では『双手・つなぎ』は強力なユーベルコードを持つ強敵であった。
「ふふーん! そうよね。どれだけ手駒を減らされたって下僕はいくらでも追加できる。言ってしまえば鉄砲玉みたいなものだもの、友達って!」
 中々に最低な発言である。
 しかし、ここはデビルキングワールド。悪徳こそが美徳の世界。ならばこそ、彼女の発言は最高にクールで格好いいセリフなのである。

 それもどうなのかなぁって思わないでもないが、立ちふさがる猟兵、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)は不敵な笑みを浮かべていた。
「くくく、お前が『友達番長』とか名乗るふざけた者か」
 彼女は友達がいない。
 それは敢えて友達を作らぬという哀愁漂う理由があったのかもしれない。今は語られぬことであるが、大抵のぼっちというのは、そういう悲しい過去があるものである。
 お約束とかそういうのはどうでもいいことだ。今、まさにフィアは『番長』として舎弟を引き連れてやってきていることが大事なのだ。
「『ぺったん番長』である我が引導を渡してくれるわ」
 あ、自分でぺったん言うのはいいんだ? と誰かが思った。
 でもまあ、自称するなら蔑称にはならないからいいのかなっていう程度のゆるゆるっとした概念のまま物語は進むのである。

「なによ! そんな変な異名名乗っちゃってさ! 貴方も私も存在しない記憶が溢れてしまいなさい!」
 そう、それこそが絶対友達宣言である。
 恐るべきユーベルコードの力。それは存在しない記憶をフィアの脳内に溢れさせる。
 お昼休み、誰とも関わらないようにしていたフィアに声をかけてきた朗らかな表情の『つなぎ』。
 ほら、いくよー! と手を引いて学校の帰り道に寄り道してクレープを食べたりスマホのSNSで自撮りをして画像をアップロードしてズッ友だよってやったり。

 なんか存在しない記憶が溢れてやまぬのだ。
「ま、まかさ、これが友情というものなのか!?」
 フィアは戸惑った。
 あまりにも戸惑いすぎて、これが敵のユーベルコードによる攻撃であることに気がつけなかったのだ。
 そう、骸の海から蘇ったオブリビオンならば寿命は永遠である。
 不老不死たる己と共に永遠に一緒にいられる。

 ならばこそ、友達。
 友達なら悩みも共有できる。己の悩みとは即ち『ぺったん』であるということ。小さいってことは良いことだって誰かが昔言っていたが、それは詭弁でしかない。
 豊かの象徴。
 あの二つの膨らみが人の心を苛むのであれば、かの暴君『菜医愛流帝』を打倒することこそが二人の絆!
「そうそう、『菜医愛流帝』を倒す……んんっ!?」
 あれ!? と『つなぎ』が戸惑う。絶対友達宣言でもってフィアを籠絡しているはずが、なんかフィアに引っ張られている。
「つなぎよ、共に全ての元凶を倒すのだ!」

 あ、これだめなパターンだと『つなぎ』は理解した。
 頭上に迫るは、隕石召喚(メテオストライク)の一撃。質量×速度×フィアのクソデカ魔力×旺盛な食欲による巨大隕石の一撃。
 それは『吐露比狩古兎釣高等学校』の空より落ちる鉄槌の一撃。
「いやいやちょっとまって!? あれなんかおかしくないかな!?」
 フィアの目の前でたゆんってゆれるJK制服の膨らみ。
 あれ、ぺたんじゃないねってフィアは気がついてしまったのだ。フィアの如き断崖絶壁ではない。

 そう、『つなぎ』には『ある』のだッ!
 フィアより『ある』! その事実がフィアと『つなぎ』の間に芽生えたっていうか、なんか生えてきた友情にヒビを入れる。
 まさしく、フィアの計算通り。そうかな? そうなのか?
 頭上より迫る隕石の一撃は、ヒビの入った友情に最後の一撃を加える。
「永遠にぺったんであるという悩みなぞ共有できぬではないか! この裏切りものー!」
 打倒『菜医愛流帝』を誓った端から即座にこれである。
 隕石の落下による凄まじい衝撃派がフィアごと『つなぎ』を吹き飛ばし、デビルキングワールドきっての名門魔界学校の校舎がぶっ飛ばされるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
(『友達番長』の下僕がいなくなった事がトリガーとなり自己催眠解除)













…穴があったら入りたい。
と、校舎がぶっ飛ばされても反応しないほどテンションダダ下がりの虚脱状態で、校庭の隅っこでしゃがみ込んで”の”の字を書く詩乃です。

ナイアルテさん怒ってるかなあ~。
私だけ回収されずに此処に放置されたらどうしよう💦

きちんとお仕事して謝れば許してくれるかな?
そうよねナイアルテさんも鬼じゃないし、”頑張り過ぎてしまいました~、ごめんね♪”って明るく謝ろう。

何とか立ち上がり、相手のUCを初発之回帰で相殺し、『つなぎ』さんの眼前に立つ。
そして今度は全力で『ギャラクティカ・マグナム』を放つのでした。



 名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』における一大抗争において、多くの悪魔生徒たちがぶっ飛ばされ、オブリビオン番長である『友達番長』の傘下にあった悪魔生徒たちの数が減少したことによって『番長グループ』同士による戦いは終盤へとひた走る。
 すでに戦いの趨勢は決した。
 けれど、猟兵とオブリビオンの戦いはここからが本番であり本題である。
 巨大隕石の一撃が校舎をぶっ飛ばし、まさに地獄のような絵図を描いてもなお、『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぎ』は未だ立っていた。
「もう! なんなのよ、隕石ってはちゃめちゃにも程があるでしょ!」
 それ以上に『つなぎ』が困惑していたのは、悪魔生徒たちである。
 これだけの被害をもたらされても尚、わーすっげー! 位の感じなのだ。むしろ喜んでいる節さえあるのは、彼らが悪魔故であろう。

 しかしながら、そんな惨状の最中にあって虚脱状態でのの字を書いている猟兵がいる。
 そう、大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)である。
 彼女はこれまで自己催眠によって『神様番長』として番長グループを率いてきた。
『菜医愛流帝』の旗印の元にだいぶこう、なんていうか、好き勝手にやりすぎた感が否めない。
 グリモア猟兵のブロマイドを撒き散らし、名前を高らかに叫んでノリノリであったのだ。今のの字を書いているのは、その反動なのだろう。
「……穴があったら入りたい」
 ぼそりとつぶやく詩乃。
 そこにはもはや『死威乗』と名乗っていた頃の名残はない。

 校舎が隕石でぶっ飛んでもまるで反応しないほどのテンションのだだ下がり状態。
 校舎の瓦礫の隅っこでハイライトが家出した瞳のままにのの字を書き続ける詩乃。
 わりと自分のやらかしをしっかり覚えているのだ。
「怒ってるかなあ~私だけ回収されずに此処に放置されたらどうしよう」
 その時は『神様番長』として『吐露比狩古兎釣高等学校』に居座ればいいのではないだろうかと思わないでもなかったが、そんなことはない。
 詩乃は詩乃なりに考えての行動だとみんなわかっているのだ。けれど、本人はそうはいかない。

 あれだけやりたい放題してしまったことは彼女の心の中に一つの棘として残っているのだ。
 心優しい彼女のことである。
 如何に戦いの場において必要なことであったとは言え、とても許されざる行いであったと思っているのだ。
「きちんとお仕事して謝れば許してくれるかな?」
 のの字はどんどん校舎の隅で増産されていく。しかしながらいつまでもこうしてはいられない。

「そうよね。鬼じゃないし、“頑張りすぎてしまいました~、ごめんね♪”って明るく謝れば許してもらえるはずです」
 まあ、本人は己の黒歴史をほじくり返されるだけなので、ダメージ来るだろうが、それでも詩乃ががんばってくれたことは理解している。
 だからこそ、戦いが終わった後許すも許さないもないと言ってくれるはずだ。
 そうだ、きっとそうなのだと詩乃は立ち上がる。

 その背に絆の悪徳『双手・つなぎ』の強制的に友達にしてしまう光輪が迫っている。
 だが、すでに自己解決した詩乃の瞳に輝くユーベルコード、初発之回帰(ハジメノカイキ)が、それらを発動前の状態に時間遡及する神力でもって相殺し、くるりと振り返るのだ。
「歪んだ世界をあるべき姿に戻しましょう」
 決め台詞である。
 しかしながら、黒歴史は黒く塗りつぶしてもなかったことにはならないのが現実である。
 それを詩乃は理解しているからこそ、己の神力を籠めた拳を握りしめるのだ。

「も、もしかして……」
「はい♪」
 にっこり笑顔の詩乃である。拳に煌めくプラズマ。その拳の名前は言ってはならないたぐいのあれなのであるが、まあいいだろう。
 ギャラクティックな大口径拳銃のあれのごときプラズマの拳が『つなぎ』へと放たれる。
「ぎゃらくてぃか・まぐなむ、です♪」
 詩乃は己の仕事振りを証明するように『つなぎ』を天高くまで吹き飛ばし、『神様番長』、『死威乗』としての実力をいかんなく発揮するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
悪魔達に相手させるのは向かない相手だから
敵の増援を警戒する体で離れていて貰おうか

番長らしくタイマンといこうか
と言いたいところだけど
お互いそんな柄じゃないよね
こっちは分霊を呼び出すよ

あらまあ、可愛らしい番長様ですの
思わず抱き着きますの

うん、適当に寝返りに驚くふりしておこうか

ああ、お友達が滅びるのを見過ごす事はできませんの
彫像にして永遠に致しますの

友好的だから無害とは限らないんだよね
大切に思う程永遠にしようとするんじゃないかな
友情を植え付けられたふりして
趣味に走ってる可能性もあるけど

後は分霊に任せるとして
景気よく買収させたけど
グループはどれくらい大きくなってるんだろう
もしかして後始末大変なんじゃ…



 プラズマの光、その集約された拳の一撃に絆の悪徳『双手・つなぎ』の身体が空中を舞って頭から地面にべしゃりと落ちる。
 見事な落ち方であった。
 うわってなる落ち方であったが、彼女は腐ってもオブリビオンである。顔面から行っても大丈夫なのだ。
「くうぅ~! かばんで受け残ったぁ! もうっ、華のJKの私の顔に傷が付いたらどうするっていうの!」
 ぷんすこ怒っている姿は実にデビルキングワールドらしいが、彼女は打倒しなければならない存在だ。

 放置しておけば『D(デビル)』をかき集められてカタストロフを引き起こされてしまう。そうなってしまえば、猟兵たちは愚か悪魔たちも危うい。
 だからこそ、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は悪魔生徒たちに相手をさせてはならないと彼らに告げる。
「敵の増援を警戒しなければならないから、君たちはあっちで待機しておいて。僕は敵を懐柔しにいくからさ」
 そう言って晶は悪魔生徒たちと離れ、『友達番長』にタイマンを申し込むのだ。
 ここが夕焼けの河川敷とかならとても絵になっただろう。
 だが、今のシチュエーションだって中々である。半壊した校舎。まさに世紀末のような様相となった学内で二人の番長が対峙する。

「番長らしくってわけ? でもお生憎様! 私はそんなことしないもの……って、タイマンじゃないの!?」
 あれ!? と『つなぎ』は晶の傍に邪神の恩返し(ガッデス・リペイメント)とばかりに邪神の分霊がいることに驚愕する。
 今の話の流れなら確実にタイマン勝負でケリをつけようぜってなるシーンなのではないだろうか。
「タイマンって柄じゃないのはお互い様だよね」
「あらまあ、可愛らしい番長様ですの」
 晶は息を吐き出す。
 こういうのってよく見た光景である。邪神の分霊が『つなぎ』に抱きつき、思わず寝返る可愛さに本当に寝返ってしまったのだ。

「ふふん! わかっているじゃない。私の友達力っていうのをさ!」
『つなぎ』は期せずして邪神の分霊が自分に付いたことを喜んでいるが、晶は心中複雑な思いであった。
 あれは確実にブラフってやつである。 
 抱きついたのも単純に邪神の分霊が抱きつきたかっただけだ。
「ええ、お友達が滅びるのを見過ごすことはできませんの」
 だから、と言うように邪神の分霊の神力が抱きついた『つなぎ』の体に注ぎ込まれていく。

「――彫像にして永遠にいたしますの」
 いつもどおりであった。
 びきびきと『つなぎ』の身体が石化していく。
「え、なんで!? 石化なんで!?」
 そりゃそうであろう。友好的だから無害とは限らないのが邪神である。というか、邪神である以上、大切に思うほどに永遠に保存しようとするんじゃないだろうかと晶は冷静であった。

「いやまあ、友情を植え付けられるふりをして趣味に走っている可能性もあるけど」
 いーやー! と『つなぎ』と邪神の分霊の追いかけっこが始まっているのをよそに晶はため息をまた一つつく。
 あれは当分終わらないなと思い、景気よく買収したグループがどれだけ成長しているのかを見に行く。
 あれだけ派手に『D(デビル)』で買収したのだ。
 ワルに憧れ、悪徳こそが美徳として生活に染み込んでいる悪魔たちである。晶の口車に乗ってあれよあれよという間に『番長グループ』は肥大化していった。

「……もしかして、後始末大変なんじゃ……」
 晶の予感は的中していた。
 買収によって大きくなった『番長グループ』は晶のkawaiiブロマイドを掲げ、旗印にして学内の一大派閥にまで発展していたのだ。
 晶はもう呆然とするしかなかっただろう。
 背後には邪神と『つなぎ』の追いかけっこ。目の前には晶のkawaiiブロマイドを掲げた『番長グループ』。

 言うなれば、そう。
「あーもー滅茶苦茶だよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
サージェさんと

友達を増やす……その案乗ったよ!
ただしわたしたちと『友』になるということは、
これ即ち『菜医愛流帝』の傘下に入るということ、それは解っているね?

なぜかって?
それはわたしたちが『菜医愛流帝』FCのNo.1とNo.2だからだ!

解ったらおとなしく『吐露比狩古兎釣高等学校』を『菜医愛流帝』に捧げなさい。

……わたしたちと『友』になったのに『友情』が足りないみたいだね。
ならば『友情』を深めよう!

長ランを脱ぎ捨てメイド服にチェンジ。
『全世界友達計画』そのオーダー確かに承りました。

サージェさんとアイコンタクトして、左右から肉弾戦を仕掛けるよ。
番長の友情は、こうして拳で語り合って深めるものだよね!


サージェ・ライト
理緒(f06437)さんと

ここで理緒さんと合流できたのは幸いでした
これで一気に『菜医愛流帝』派の勢力を
って理緒さんキャラ違くないです?!
大変洗脳強めな…ま、いっか
とりあえず【かげぶんしんの術】で増えて
友達番長勢力囲みますね(2〜3重の輪)

全世界友達計画
いいですねとても素敵です
つまり全世界菜医愛流帝FCと一緒
すなわち理緒さんのいう通りです!!
さあ、捧げるのです!この学校を菜医愛流帝に!

その覚悟が無くて何が友達か!
せめて応援するくらいは言ってください!
そんな番長、修正してやる!

理緒さんとアイコンタクトしつつ
左右からの同時攻撃
【威風堂々】と仕掛けましょう!
やっぱり友情イベントはバトルに限りますね!



 石化の力齎す邪神との追いかけっこを振り切った絆の悪徳『双手・つなぎ』は、思いっきり疲弊していた。
 それはもう見ているこっちが可愛そうなくらいに疲労困憊していたのだ。
 隕石は落ちてくるし、ギャラクティックなマグナムなパンチを見舞わされるし、果ては人を彫像化させるやべー邪神にまで追いかけられているのだ。
「ぜひー……ぜひー……え、えらいめにあったわ! もう、本当にむちゃくちゃしてくれちゃって!」
『つなぎ』はしかし諦めない。
 自分の力、友達という名の下僕を生み出す力があれば、どれだけ猟兵に追い詰められようと再起を図ることなど容易であると考えているからであろう。

「でもでも、友達を、下僕を増やすことなんて簡単なんだから!」
 彼女の光輪が広がっていく。これに触れた存在は如何なるものであっても彼女に友好的になってしまう。そういうユーベルコードなのだ。
 まさに脅威。
 けれど、そんな脅威を物ともせずに立ち向かう影があった。

「友達を増やす……その案乗ったよ!」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が、なんかどんでんどんでんと謎のサウンドエフェクトと共に仁王立ちで廃墟と化した校舎の瓦礫の上に立っている。
 無駄に格好いいのは何故だろうか。
「そのとおりです!」
 その隣に同じく立っているのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。彼女もまた理緒と合流し、協力してことに当たるつもりであったのだろう。
 これが幸いであるとサージェは感じていたが、いつもの理緒の様子と違うのが気にかかっていた。なんていうか、その大変に洗脳強めっていうか、脳筋っていうか。

「ただしわたしたちと『友』になるということは、これ即ち『菜医愛流帝』の傘下に入るということ、それは理解っているね?」
「どういう理屈!?」
『つなぎ』の叫びも尤もである。
 というか何処か遠くで悲鳴が聞こえている気がする。だが、理緒はそんなことお構いなしである。
「なぜかって? それはわたしたちが『菜医愛流帝』ファンクラブのNo.1とNo.2だからだ!」
 どっちがNo.1でNo.2だかはこの際言わないでおく。
 無駄に迫力のある集中線の効果と共に理緒節が炸裂する。そんな彼女を尻目にサージェは、やっぱりなんかいつもとキャラが違うなーって思っていたが、ま、いっかとその瞳をユーベルコードに輝かせる。
 いや、全然よくはない。

「というわけでかげぶんしんの術で囲っちゃいますね!」
 いっぱい増えるワカメみたく増えるサージェの分身たちが『つなぎ』を包囲する。
 その包囲網は凄まじく、なんかもうインフレここに極めりって感じがする。
「理解ったら大人しく『吐露比狩古兎釣高等学校』を『菜医愛流帝』に捧げなさい」
 理緒の言葉にサージェがうんうんと頷く。
「バカじゃないの!? そんなことするわけないじゃない! っていうか、なんで友だちになったらイコール『菜医愛流帝』の傘下に入ったってことなるのよ!? 私には全世界友達計画っていう壮大な計画があるの!」
『つなぎ』の言葉にサージェは関心したように一斉に分身たちと共に頷くのだ。

「全世界友達計画。いいですねとても素敵です。つまり全世界『菜医愛流帝』ファンクラブと一緒。すなわち理緒さんの言うとおりです!! さあ、捧げるのです! この学校を『菜医愛流帝』に!」
「いや、全然わかんない!?」
 もう理屈というより屁理屈を通り越して、無理を通して道理が引っ込む的なやつである。
 くわっと見開かれるサージェの瞳はユーベルコードに輝いていた。
「その覚悟が無くて何が友d地下! せめて応援するくらいは言ってください!」
 いや、流石に無理筋が過ぎるかなって思わないでもない。
 だいぶ無理くりである。マジで相対する『つなぎ』には同情を禁じえないほどの我の押し通し。

「……わたしたちと『友』になったのに『友情』が足りないみたいだね。ならば、『友情』を深めよう!」
 理緒は長ランを脱ぎ捨てメイド服にチェンジする。
 それこそが、マスターズ・オーダー。身に纏ったメイド服から炎のような靄が立ち上り、彼女の力が増幅していく。
 もはや彼女はただの番長ではない。そして、ただのメイドでもない。
「『全世界友達計画』そのオーダー確かに承りました」
 優雅に一礼する姿はまさしく『メイド番長』! サージェとアイコンタクトをして、一気に駆け出す二人。

 息のあったコンビネーション。
 事前に打ち合わせしていたかのような華麗なるステップでもって『つなぎ』へと迫る二人。
「ち、違う! そういんじゃないから?! っていうか、あなたたちの言ってる『全世界友達計画』って結局、『菜医愛流帝』なんちゃらの――」
「まだいいますか! そんな番長、修正してやる!」
 サージェの瞳がユーベルコードに輝く。
 威風堂々(シノベテナイクノイチ)とした立ち振舞はクノイチ的にどうなのかなーって思わないでもなかったが、それでも彼女の全然忍べていない立ち振舞は、彼女の力と成って拳に宿るのだ。

 メイドとクノイチが左右から迫るのを『つなぎ』は防ぐことができなかった。
「番長の友情はこうして拳で語り合って深めるものだよね!」
 ふるわれる裂帛の拳が左右から『つなぎ』を襲い、画風が変わる。やけに劇画タッチなのが気になるが、二人のツープラトン攻撃は見事に炸裂し、『つなぎ』を盛大に吹き飛ばす。
「ええ、やっぱり友情イベントはバトルに限りますね!」
 いや、そうはならんやろ、とは『つなぎ』の最後の言葉であった。
 派手にぶっ飛ばされた彼女は瓦礫の中に埋まるようにして、理緒とサージェの友情ツープラトン攻撃の前に敗れ去るしかなかったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

廻屋・たろ
友達番長か、無理やり友情結ばされるってなかなかにヤバいね(友情に屈する舎弟を横目に)
なんだこの輪っかは。あれっなんか俺も仲良くなれそうな気がして来た

お前の友達は俺の物って考えも共感できるし……
ん?待てよ…でもそれって……


キャラ被りじゃねーか!!!!!!!!(徐に【鉄箱】を取り出して『つなぎ』と舎弟を巻き込んで光輪を[焼却])


T(たけし)の意思を継ぐものは同じ場所に二人もいらない、どちらかが滅ぶまで戦うのみだよ
UC【傷嘆】を発動しキャラを被せられた怒りを力に変換、火力アップで焼き尽くしてやるぜ

せめてお前がボーンリバーだったら共存の道もあったかもしれないのに……
これもガキ大将番長の定めだ、悲しいね



『友達番長』――絆の悪徳『双手・つなぎ』の身体が猟兵によるツープラトン攻撃に寄って派手に吹き飛び、破壊された校舎の瓦礫の中にめり込む。
 その勢いは凄まじくこれで決まったかと思われたが、しかし周囲の瓦礫を吹き飛ばす光輪の輝きは周囲にあった悪魔生徒たちを強制的に友達という名の下僕に変え、瓦礫に埋まった彼女を救出させるのだ。
「うへえ~……もう、本当に嫌になっちゃう! どうして私ばっかりこんなに一方的にボコられているわけ!? こんあの納得行かないんですけど!」
 ユーベルコードによる光輪の輝きに寄って悪魔生徒たちを下僕にした『つなぎ』が救出される。
 やはり恐るべきは、そのユーベルコードである。
 どれだけ『つなぎ』が敵であるとわかっていても、あの光輪に触れてしまえば強制的に友達という名の下僕にされてしまうのだ。

「『友達番長』か。無理やり友情結ばされるってなかなかにヤバいね」
 廻屋・たろ(黄昏の跡・f29873)は己の舎弟がいつのまにか友情に屈っし、『友達番長』の救出に走る光景を見やり呻く。
 それは凄まじい力というほかない。
 あれだけの力であれば、猟兵と言えど抗う事は難しいだろう。
 その光輪の力が、たろに触れる。触れてしまえば、抗うことなど不可能。
「なんだこの輪っかは。あれっなんか俺も仲良くなれそうな気がしてきた。いや、むしろ仲良く慣れる。そう、そうだよな。簡単なことなんだ。友情って、友達って……」

 あ、なんか友情線とかそういうのに侵食されてるような雰囲気である。
「そうだよ! お前の友達は私の友達。みんなみんな私の友達になっちゃえばいいのよ! 簡単なことなのよ!」
『つなぎ』が笑っている。
 彼女のユーベルコードに触れて、存在しない記憶が溢れていく。
 そう、たろと『つなぎ』は友達。
 今までだって楽しく過ごしてきたのだ。
「そうだよな。お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの……共感できる……ん?」
 そこまで言って、たろが訝しげに首をかしげる。
 お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの。そのジャイアニズム、何処かで聞いたことがある。

 いや、違う。
「待てよ……でもそれって……」
 頭が痛む。気がした。
 いや、実際には別に頭痛いわけでもなんでもない。なんかこういうときってたいてい頭痛がするよね。そういう演出ってやつ。暗転した背景にぴしゃーん!って稲妻走るアレ。
 よくあるよね。
 よくはねーよというたろの頭に閃くもの。それを彼は叫ぶのだ。
「キャラ被りじゃねーか!!!!!!!」
 そう。ジャイアニズムは二人と存在してはならぬ。そんな法則があるのかどうかはわからないが、まあ、そういうことである。
 徐に火炎放射器を取り出して、『つなぎ』と舎弟を巻き込んで光輪を吹き出す炎で焼き払うのだ。

 舎弟を巻き込むのはいいのかなって思わないでもなかったが、まあ、悪魔だし大丈夫っしょ! という軽いノリで、たろはユーベルコードの源である光輪ごと吹き飛ばす。
「T(たけし)の意志を継ぐ者は同じ場所に二人もいらない。どちらかが滅ぶまで戦うのみだよ」
「ちょっとまって、Tってなに!? 私知らないんだけど!?」
 そんな『つなぎ』の言葉を無視して輝くは、たろのユーベルコード。
 その瞳に宿るは、【傷嘆】(コノショウドウトイキル)。
 彼の全身を覆うは、血の滲んだ包帯。
 己の心を揺さぶった光輪、そしてジャイアニズムは二人もいらぬという怒り。キャラかぶったという動揺が、たろのユーベルコードを増強していくのだ。

 構えた火炎放射器の口から炎が勢いよく噴出する。
「せめてお前がボーンリバーだったら共存の道もあったかもしれないのに……」 
 たろが涙する……いや、してない。
 別に涙する場面じゃないけど、なんかノリでそうなのかなって思ったけどそうじゃなかった。
 そう、確かにそうなのだ。『つなぎ』がジャイアニズムでなければ、たろもこんなことしなくてよかったのだ。

 悪いな、たろ。このジャイアニズムは一人用なんだ、とか言わなければよかったのだ。
「そんなこと言ってないんですけど――!?」
『つなぎ』の悲鳴が炎に巻き込まれて消えていく。
 なんか雑だなーって思ったかも知れないが、これもまたガキ大将番長の定めだ。
「悲しいね」
 なんかいい感じの切ないやつで締めようとしているが、これジャイアニズムの話である。

 そんなこんなでたろの噴出する悲しみは炎となって『つなぎ』を焼き尽くさんとデビルキングワールドに燃え盛るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
漸く追い詰めましたよ、『友達番長』
生徒会と強盗騎士クラブの後任人事も済ませた以上、最早後顧の憂い無し
元生徒会長兼副(略 として、そして騎士として討たせて頂きます

友達洗脳?
ええ、効いております
夕日が照らす帰り道
『君は頭が固すぎるよ!』と笑みと共に窘められた思い出は確かにこの胸に

ですが…例え友であろうと“洗脳”という悪に否やと剣を突き付けるのが騎士なのですよ

それに無二の親友が殺し合いという騎士道物語も儘ありますし

そして友として忠告を
そろそろ私のセキュリティに引っ掛かるのでお辞めになった方が
具体的に説明しますと脳細胞を焼き切られ、目と耳と鼻と口から血を垂れ流します

この剣と、どちらがよろしいですか?



 立ち上る炎。
 それは争いの悲しさを教えてくれる篝火であったのかもしれない。
 絆の悪徳『双手・つなぎ』。彼女は猟兵たちとの戦いによって、尽く雑にぶっ飛ばされてきた。
 まあ、姿はJKだし、そんなひどいことをさせるのは可愛そうだよねってメタな気持ちにならんでもない。
 とは言え、彼女のユーベルコードが脅威であることに変わりはないのだ。
 友情をもって、友達になり下僕として扱う彼女はその力によって悪魔生徒たちを下僕と化し、炎の中から救出されているのだ。
「ひぃ、ひぃ……ま、マジで死ぬかと思った。
 凄まじいまでの炎の中から脱出した『つなぎ』が這々の体で、校舎の崩れた瓦礫の間を走る。

 こんなところにはいられない! 私は帰らせてもらう! 的なこう、推理モノの第二の被害者みたいなあれなムーブをかます『つなぎ』の前に現れたのは『強盗騎士クラブ』の会長にして生徒会長兼副会長兼えっと後なんか諸々兼業しているトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)であった。
「漸く追い詰めましたよ、『友達番長』。生徒会と強盗騎士クラブの後任人事も済ませた以上、もはや後顧の憂いなし」
 いや、そのクラブは解散していたいいのではないかなって思わないでもないのだが、まあ、其処らへんは生真面目なトリテレイアの義務とかそういうので仕方のないことなのだろう。

「元生徒会兼副(略)として、そして騎士として討たせて頂きます」
「もう言う気全然ないじゃんね!? でも、そんなの関係ない! 私の友だちになっちゃえ!」
 炸裂する『つなぎ』のユーベルコード。
 存在しない記憶がトリテレイアの電脳域に溢れてくるのを感じたことだろう。

「君は頭が硬すぎるよ!」
 まあ、物理的にね。
 ウォーマシンだしね。夕日をバックに『つなぎ』が微笑む。
 あの日のことをトリテレイアは思い出していた。
 どうしても杓子定規でしか物事を測れぬ堅物であった自分を解きほぐし、生徒会長としての責務に押しつぶされそうに成っていたアノ頃の自分を救ってくれたかけがえのない友達。
 そう、親友と書いてマブダチと読むあれであった『つなぎ』。

 その記憶がトリテレイアの電脳にあふれているのだ。
 これが『つなぎ』のユーベルコードの恐ろしい所である。存在しない記憶を植え付け、友達という名の下僕にしてしまう。
 それはトリテレイアであっても例外ではないのだ。
「ふふん、これで猟兵の友達っていうか下僕の一丁上がりね!」
 勝った! 第三章完!

「ですが……例え友であろうと“洗脳”という悪に否やと剣を突きつけるのが騎士なのですよ」
 流れ変わった。
 あれ、これってもしかして。
 トリテレイアのアイセンサーがユーベルコードに揺らめく。
 そう、確かにトリテレイアの電脳には『つなぎ』を友だちと認めている。しかし、彼の炉心に燃える騎士道精神がそれを否と言わせるのだ。
「それに無二の親友が殺し合うという騎士道物語も儘ありますし」
 いやちょっとまって、そんな物騒なの知らないんだけど!? と『つなぎ』が慌てふためくがもう遅い。

「そして、友として忠告を。そろそろ私のセキュリティに引っかかるのでおやめになった方が」
 それが『つなぎ』の聞いたトリテレイアの最後の声であったことだろう。
 銀河帝国護衛用ウォーマシン・上級攻性防壁(ファイヤウォール)。それこそがトリテレイアの電脳に施された彼の電脳内に発生する炎。
 炎につくづく縁があるのが『つなぎ』である。
 今回彼女は燃やされたり、隕石落ちてきたり、ぶん殴られたりと色々あったが、燃やされることが結構多かった。

 また!?

 とまるで爆発オチみたいな感じで雑に処理される『つなぎ』の友達ユーベルコード。
「ど、どうなるのこれ!?」
「具体的に説明しますと、脳細胞を焼き切られ、目と耳と華と口から血を垂れ流します。この剣とどちらがよろしいですか?」
「怖っ! どっちも怖いんだけど!?」
 かなり物騒なスプラッタなアレである。
 こうなってはかなわぬと『つなぎ』がトリテレイアから逃げようと踵を返す前にトリテレイアが飛び込んできていた。

 あ、やばい。
 これってもしかして。
「そのとおりでございます。平たく言えば、お仕置きというやつです」
 剣の腹がまるで折檻のように『つなぎ』の臀部をぶっ叩く。
 悲鳴がほとばしり、天高くふっとばされる『つなぎ』。よかった。流血沙汰にはならなかったよ、トリテレイア――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
さあ、最後の一暴れ
王婆滝怒(オーバーロード)、真の姿解放
…って誰が婆じゃい!!!
言った奴誰だ!お前か!それともお前か!!
出てこい!ぶん殴ってやる!!

まあいいや出てこないならこっちから行ってやる!
友達番長と仲良く握手じゃい!


外装を全展開、模造神器を全抜刀して友達番長の所にカチコミ!
何?絶対友達宣言??
そうか…私と君は熱い友情で結ばれていたんだったね…
あの河川敷で殴り合って決着が付かずにうふふあははと友情を結んだのも今や懐かしい記憶…
だからこそ今また友情を確かめ合おうじゃないか!
あの知らない河川敷での決闘のように、また殴り合おう!
…さっすが友達番長快く快諾してくれるなんて友達甲斐があるー!
【偽書・焔神】起動
全ての剣に蒼炎を纏わせて、斬りかかろう
副腕で『なぎ払い』体制を崩させて『串刺し』!

あの日もこうやってやり合ったね
そう…なんかこう…多分夕日が眩しくてこう…何か良い感じの所で!
何かこう…何か適当な感じの理由で…
戦う事でしか分かり合えないとかそんな理由で…多分…
これがワイの友情や!



 ぶっとばされた絆の悪徳『双手・つなぎ』のお尻はお猿さんみたく真っ赤に腫れ上がっていた。
 どうしたことだろう。
 いやまあ、猟兵による打撃という名の折檻によってぶっ叩かれただけであるが、その痛みは尋常ではない。
 もう友達なんて懲り懲りだよー。
「とはならないのが私よ! 何よ何よ! さっきから炎ばっかりでひどくない!? なんか燃やすって強固な意志を感じるんですけど!?」
『つなぎ』の言葉も尤もであった。
 先程から焼けに炎でどうこうするユーベルコードとか攻撃が多いのである。
 まるで爆発オチをつけようとしている気配がプンプンしているのだが、そんなこと知ったことじゃねーと『超克』の輝きを宿すのは、我らが月夜・玲(頂の探究者・f01605)さんであった。

 やべーぞ! 王婆滝怒(オーバーロード)状態になった玲さんだ!
「……って誰が婆じゃい!!!」
 誰も言ってない。
 言ってないよ、玲さん。まだまだ玲さんは24歳高校生だよ。何年留年したんだよとか、そんなツッコミ誰もしてないよ。
 怒髪天を衝く勢いの玲さん。
 もはや、彼女を止める事ができるものなど誰も居なかった。今此処に地上最強の24歳高校生がデビルキングワールドを疾駆する。
 散々にこすっておいてなんであるが、凄いワードである。24歳高校生。

「言った奴誰だ! お前か!それともお前か!! 出てこい! ぶん殴ってやる!!」
 ものすごい形相である。
 鬼である。鬼が宿っておる。悪魔生徒たちはワルにあこがれているけど、あの怒り方はマジで尋常ではない。
 今の玲さんに人間言語は通用しない気がした。肉体言語でもちょっとあやしい。
「まあいいや出てこないならこっちから行ってやる!『友達番長』と仲良く握手じゃい!」
「ちょっと私名指しじゃない!? ――あっ」
「――あっ」

 みんな思った。
『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぎ』は思わずツッコミを入れてしまったのだ。せっかく隠れていたのに。
 オーバーロード状態に入った玲さんという地上最強の生物こと24歳高校生から隠れていたのに。
 思わず名指しになんでよ!? とツッコミを入れてしまったのだ。

 目と目が合う。
 ニィ~ってなるあれ。玲さんの外装が全展開され、模造神器を四振り全て抜刀して『友達番長』にカチコミを掛ける玲さん。マジで容赦ない。
「ひぇっ! あんたと私は友達でしょ!? そうでしょ!? 存在しない記憶が溢れてくるでしょ!?」
 ぴたっと止まる玲さん。
 流石に目の前の友達は玲さんでもぶん殴れないはずである。
「そうか……私と君は熱い友情で結ばれていたんだったね……」

 玲さんの目が遠くを見やる。
 遠きあの日。
 河川敷で殴り合って決着が付かずにうふふあははと友情を結んだのも今や懐かし記憶である。
 一体全体何年前の話なのだろうか。
 思わず悪魔生徒の一人が呟きそうに成ったのを周りの悪魔生徒が口をふさぐ。
 今そこで年齢の話をしてはならない。マジで鬼門にして地雷なのである。
「そ、そうよ! 私達友達でしょう!? だからこんなこと――」
「――だからこそ今また友情を確かめ合おうじゃないか! あの知らない河川敷での決闘のように、また殴り合おう!」
 わーお。
 これである。玲さんはこういうところがあるのである。とても頭脳派なのかなって思っていたら、いきなりゴリ押しが来るのである。
 クールな見た目にいきなりの脳筋節。戦士っていうか、ウォーリアーっていうか。

「さっすが『友達番長』快諾してくれるなんて友達甲斐あるー!」
 いや、玲さんには今何が見えているの?
 何も一言も発していない『友達番長』がたじろぐ。いやほんとに何が見えているんだ?
 輝く玲さんのユーベルコード。

 偽書・焔神(ギショ・ホムラカミ)。
 それは模造神器より噴出する浄化の蒼き炎である。あらゆる対象を燃やし尽くす蒼炎は模造神器の刀身にまとわりつき、斬撃として放たれるのだ。
「殴り合おうっていったのに、切りかかってくるのはなんでなの!?」
『つなぎ』の言葉ももっともである。
 殴り合いじゃなくて切り合いだよね!? けれど、そんなこと知ったことではないのが玲さんである。
 副腕の手にした模造神器が薙ぎ払われ、『つなぎ』の体勢を崩すのだ。

「あの日もこうやってやりあったね。そう……なんかこう……たぶん夕日が眩しくてこう……なんか良い感じのところで! なんかこう……適当な感じの理由で……」
 ぶっすー! と突き刺さる蒼炎纏う模造神器の刀身が『つなぎ』の身体を雑に貫く。ぐえー! ってやつである。
 やられ方も雑だなぁって玲さんはちょっと思った。
「戦うことでしか分かり合えないとかそんな理由で……たぶん……」
 遠くを見ている玲さん。
 このカットだけ見たら、すごく良いシーンなんだろうなぁって気がするけど、ちょっと何言っているのかよくわかんない。

「全部ふわっとしてるじゃない!?」
『つなぎ』がたまらずツッコむ。
 だってもう我慢できない。玲さんさっきから記憶ふわっふわなんだもの。ふわふわスフレだってもうちょっとしっかりしている。

「――これがワイの友情や!」
 あー! ぶった切った! 話の流れもなんもかんもぶった切って、王婆滝怒(オーバーロード)の彼方まで、玲さんは蒼炎と共に『つなぎ』を雑にぶっ飛ばす。
 友情ってなんだろう。
 そんなふうに『つなぎ』は理不尽な戦いの行く末へと叩き返されるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウルル・マーナガルム
連携アドリブ歓迎

まだ繰り返すつもり?
じゃ、そんな気も起こらないほど
徹底的にやらないとね

ムーンドッグ部隊、出撃!(UC発動)
ボクの姿のホログラムを纏った子機達に
ボクと彼女の間に割って入ってもらうよ
独自の無線通信で並列的に繋がった子機達なら
たとえ行動制限を受けても
他の子機とハティ本体からの干渉で
無理やり抵抗できる
ジリジリ近づいて
彼女を取り囲んだら
あの話し方で畳み掛けよう
終わりかこの●●(規制音)め!
さあ立て
貴様は●●にも劣った●●だ!
年寄りの●●みたいにひいひい言いやがって
みっともないと思わんのか
●●が!

泣いたり笑ったり出来なくなるか
最後にトドメをさすまで
続けるよ



「ぐ、ううう……こんなことで私は負けないわよ!『友達』はいくらでも増やせる! そうよ、増やせるのよ!」
 雑にぶっ飛ばされた『友達番長』こと絆の悪徳『双手・つなぎ』は、雑にぶすーってやられた身体を起こして立ち上がる。
 不屈の精神は褒められるべきことであったが、今回は相手がワルすぎた。
 いや、猟兵と相対して、こうなることを想像できなかったことが敗因であろう。
 しかしながら、彼女は何も諦めていなかった。
 今回の相手が悪かっただけ。
 次があったのならば、もっと上手にできるはずなのだ。反省を生かして、次に生かすことができる。

「まだ繰り返すつもり?」
 その声が頭上より降りかかる。
 そう、まだ戦いは終わっていない。見上げた『つなぎ』の前に居たのはウルル・マーナガルム(死神の後継者・f33219)であった。
『吐露比狩古兎釣高等学校』において、『軍曹番長』であった彼女は特に表情も変えずに言い放つのだ。

「じゃ、そんな気も起こらないほど徹底的にやらないとね」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは戦闘力のない相棒である『ハティ』と同じ性能と装備、AIを持った子機の召喚であった。
 ムーンドッグ部隊と呼ばれる子機たちが溢れ、ウルルの前面に一糸乱れぬ隊列でもって『つなぎ』を追い詰めていくのだ。
 ウルル自身の姿をホログラムにまとった子機たちは、まさに壮麗と呼ぶに相応しい行動で戦場となった瓦礫溢れる校内を疾駆する。

「ムーンドッグス・ア・ゴーゴー!(ムーンドッグ・シュツゲキジュンビカンリョウ)」
 ウルルの号令と共に走る子機たちに『つなぎ』のユーベルコードは確かに効果を発揮するだろう。
 有機物、無機物、生物問わずに彼女の友達にしてしまうユーベルコードは脅威であったが、独自の無線通信で並列的に繋がった子機達ならば、例え行動の制限を受けても他の子機と『ハティ』本体からの干渉で無理やり抵抗するのだ。
「なんで? なんでこんなに抵抗するのよ! 私逃げるんだってば! はーなーせー!」
『つなぎ』はあえなく圧倒する数の子機たちによって捉えられてしまう。

 しかし、彼女は知らなかったのだ。
 暴力とは即ち攻撃だけではないのだ。銃やら剣などでなくても、十分に機能するものがあるのだと知らなかったのだ。
 取り押さえられた『つなぎ』の前にウルルが立つ。
 見上げた姿は、下手な怪物より怖い雰囲気を醸し出していた。眼光だけが鋭く輝いている。
 何を、と思った瞬間、ウルルの胸が膨らむ。息を吸って肺に空気を取り込んでいるのだと、『つなぎ』はこの時理解できていなかった。

「終わりか、この●●(ぴ――ッ!!)め!」
 怒号の如き言葉。
 いや、半分は規制音で何言っているのか全然わかんない。わかんないってことにしてくれ頼む!
「さあ立て。貴様は●●(ぴ――ッ!!)にも劣った●●(ぴ――ッ!!)だ!」
 続く罵詈雑言的なやつ。
 鬼軍曹が言うやつである。それしか言えないほどに規制音がひどい。これはひどすぎる。
『つなぎ』の耳に届くのはもはや規制音だけである。

「年寄の●●(ぴ――ッ!!)みたいにひいひい言いやがって、みっともないと思わんのか●●(ぴ――ッ!!)が!」
 言葉責めである。
 全編通して、これである。流石鬼軍曹である。
 心を折るやり方をよく存じ上げている様子。そこから小一時間ウルル軍曹のお説教は続く。

 友達とかそんなこと言えない体にされてしまった『つなぎ』は真っ白に燃え尽きている。
 もう泣いたり笑ったり出来なくなるまで、ウルル軍曹は『つなぎ』の『友達=下僕』というオブリビオンとしての心の芯を散々に打ち砕く。
 元より、そうなるまでやめるつもりは彼女にはなかった。
「わかったか、この●●(ぴ――ッ!!)!!!」
「ご、ごべんなさい~!!!」
 最後の言葉はそれであった。

 悲しいかな。
 友達と下僕を履き違えた『つなぎ』は最後には、鬼軍曹の愛あるお説教によって破れたのである。
 こんな終わり方でいいのかなって思わないでもないが、すっかりウルル軍曹のお説教で真っ白に燃え尽きてサラサラって砂みたいに崩れていく彼女が不憫でならなかった。
 しかしながら、この後、ウルル軍曹のお説教CDなるものが名門魔界学校『吐露比狩古兎釣高等学校』で斉唱されることになるのだが、まあ、それは別の話である。

 そんなこんなで、なんだか雑に、それでいてふわっとデビルキングワールドにおける魔界学校をめぐる戦いは終止符を打たれたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月22日


挿絵イラスト