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まるで降って湧いたような

#UDCアース

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#UDCアース


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●狂騒狂乱
 ──それらは何の脈絡もなく、兆候もなく訪れた。
 秋晴れも美しい今日この頃、UDCアースのとある交差点にて。
 その異変の始まりは、ほんの小さな足音からだった。足元をちょこまかと、ちょろちょろと、楽しそうに嬉しそうに、あるいは大変忙しなく走り抜けていく。
 誰にも気づかれぬまま異変は進行していく。

 ぱたぱたぱたり。
 ぱたぱたぱたり。
 ぱたぱたぱたり。

 信号が青に切り替わった途端。
 それらはスクランブルの中心で爆発的な増殖を起こした。
 例えるならば退屈な授業の隙間時間、ノートの端に走り描いたような、取るに足らないデザインで。愛嬌のある何とも言えないコミカルチックな顔にちっとも似つかわしくはない武器をそれぞれ手に取って。楽しさいっぱいの表情で、交差点を縦横無尽に駆け巡っていく。

「わーい! にんげんぶっころすぞー!」
「ころすころすー!」
「うおおー! たくさんころすぞぉ!」

 人々はその言葉に、悲鳴を上げて右往左往と蜘蛛の子を散らすようにあちこちに逃げ出した。しかし悲しいかな、如何せん彼らは弱かったのである。ポカン、と棍棒で殴る者、剣で斬り付ける者、魔法の杖でなんやかんやする者はあれど。どれも弱めのデコピンか爪楊枝でつついた程度か、あるいはそれ以下の威力しか無かった。
 やがて異変に逃げ惑っていた人々も足を止めて、足元でわちゃわちゃモチャモチャと跳ねまわるこの不思議な生物に対して疑問と鬱陶しさを覚え始める。
 まず何なのだろう、このフォルムは。漫画の世界の住人と言われても頷いてしまいそうだ。敵意を持った生物のようではあるが、あまりにも弱い。弱すぎる。ウサギ一匹と彼らを戦わせてもウサギが完勝してしまいそうだ。
 そのくせうるさいし、くすぐったい攻撃はしてくるし、その、つまるところ。

「これなんなんだ……?」

●大殲滅作戦
「というわけで、ドタバタでピーピーのワーワーなんだよね」
「なにも分からん」
「意味が分からん」
「どういうこと?」

 擬音だらけの説明に猟兵が揃って首を傾げた。
 グリモアベースに集まった猟兵達は要領を得ない違法論・メグル(f04142)の会話に頭をひねらせ情報を繋ぎ合わせ、知恵を絞って話の要点を解釈し、噛み砕き、咀嚼し、ようやっと現状の理解に至る。
 UDCアースの交差点にドカンと膨れ上がった真っ白な物体。それらは瞬く間に下から崩壊していく。よくよく目を凝らせばUDC怪物の群れであった。ということらしい。

「最近ねえ、なんの脈絡もなくUDC怪物が街中でドバーッて溢れ出す現象が起きてるんだよねぇ。たぶん何かしら原因はあるハズなんだけど。でも今は……」
「原因追究よりも事態収拾しないとって事?」
「おっ話が早くて助かるぅ。お掃除よろしく。皆の事守ってあげてね」
「あれ、こんなに弱いのに避難の必要が?」
「あるんだなぁコレが。この量産型の……棒人間ソルジャーズくん達、曲がりなりにもUDC怪物だから。個々の力はクッソ弱いんだけども。このソルジャーズくんに誘発されたのかな、この後もっと強力なUDCが出現しちゃうんだ。困っちゃったね」

 ソルジャーズを撃破した辺りで、かなり強力なUDCが出現する。それは見た人間を即座に発狂させ、場合によっては見た人間をUDC怪物に変えてしまうほどの狂気を孕んでいる。ソルジャーズ撃破までに可能な限り人々を避難させ、かつ強力なUDCを人目に触れさせないようにする必要があるのだ。
 一般人を守りつつ、怪物の群れを叩きながら可能な限りの人除けを行う。人目を避けて強力なUDCを撃破する。既に怪物を目にしてしまった人々には適切なアフターケアを行う、というのが今回の一連の依頼内容になる。

●事後処理
「そういえば適切なアフターケアって?」
「おっと言い忘れてた。簡単に言うとストレス除去かなあ。一般人の皆を誘って楽しい事をするのが良いかもねぇ」

 UDCの秘密を極力守るため、人々の頭から忌まわしい記憶ごと除去を行わねばならない。スポーツや大食い、ショッピングやゲーム、読書や映画鑑賞。やり方は様々だが、楽しく過ごせば嫌な記憶は自ずと薄れていく。とは言え、既に見てしまった人間に対してはどうしても難しい場合もあるだろう。強烈に刻み付けられた記憶はそれらだけでは拭えず、また人の口に戸は立てられぬもの。
 さてどうしたものかと猟兵が思案していると、メグルはレインコートのポケットから大変ファンシーなデザインの銃を取り出した。ニコニコ😊じるしのシール付きである。

「オモチャ……?」
「失敬な。UDC組織から貸与された記憶消去銃だよ。これでバーンと一発眉間をブチ抜けばあら不思議、イヤな記憶はたちまちポカンだ!」
「その言い方どうかと思うなァ」

 怪しいキャッチコピーに少々引きつつも猟兵達はカワイイ記憶消去銃を懐に忍ばせた。もとい、無理矢理持たされた。デザインに不本意ながら、不承不承ながらの者もいるに違いない。うぇえ、と何人かに至っては顔を歪ませている。ピンク色のビームが銃口から出ない事を祈るばかりだ。

「というわけでユーベルコードでブワーッて薙ぎ払って、朝飯前にドガーンって倒して、ズババーンって撃つなり皆と遊ぶなりでパパパーッとやって上手い事処理してきてね。期待してるよ猟兵諸君!」


山田
●マスター挨拶
 山田と申します。お久しぶりです。
 今回はUDCアースでの一幕になります。気軽に楽しんで頂けたら幸いです。ドタバタ。

●場所・プレイングに関して
 場所はUDCアースの都内某所、とある交差点にて。
 第一章は集団戦です。この戦闘の際、同時に人払いをしておくと第二章のUDCの被害に遭う一般人が減ります。ソルジャーズは数が多いですが、猟兵の一撃で数千やら数万やらが一気に吹き飛びます。かわいいですね。
 第二章はソルジャーズにつられて出てきた強力なUDC一体を撃破して下さい。一般人の退避が終わっていない場合はやや戦闘が不利になります。
 第三章は一般人のアフターケアになります。疲弊している一般人達はUDCに少なからず関わってしまった記憶があるのでオープニングの方法で記憶除去を目指しましょう。

●同行者に関して
 共に行動される方がいる場合は、お互いの呼び方やIDを各位ご記載下さい。

●グリモア猟兵
 違法論・メグル(f04142)
 ブラックタールの大変やかましい青年です。
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第1章 集団戦 『棒人間ソルジャーズ』

POW   :    棒人間デリバリー
【貧弱な武器】で武装した【これまで倒された棒人間ソルジャーズ】の幽霊をレベル×5体乗せた【ダンボール箱】を召喚する。
SPD   :    棒人間ブレード
【武器による貧弱な一撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    棒人間あるある
【棒人間あるある】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お祭り騒ぎ
 あちこちでウワーだの、キャーだの、ヒェーだの、人々の逃げ惑う声がする。
 グリモアベースから転送されて来た猟兵達は交差点の真ん中を見つめる。膨れ上がった巨大な──否、一つ一つは非常に小さなUDC達の群れに対して、どこから手を付けようか決めあぐねていた。
 東へ西へ木の赴くままに好き勝手走り回る彼ら。ユーベルコードの一撃で削るにしても、その数は未だ増加の一途をたどっている。強敵ではないとはいえ、これは少々骨が折れる仕事になりそうだ。
シャルファ・ルイエ
交差点に降りる前に、スムーズに誘導できるよう高い所から避難経路だけ先に確認しておこうと思います。
それにしてもいっぱいいますね……?

下に降りたら、まずは一般の人を確認した避難経路に誘導を。
「あの小さい人が車に張り付いて事故でも起きたら巻き込まれてしまうかもしれませんし、よくわからなくても何か害があるといけないですから」って説得して交差点から離れて貰えないかお願いしてみます。
幸い、声を通すのは得意ですもの。
……あと、ちょっと気になるので誘導している合間で棒人間あるあるにも耳を傾けてみます。

ある程度避難が出来たらなるべく小さい人達がたくさん集まっている場所へ行って、【燈花】でぶわーってしますね。



●降り立つ御使い
 丁度交差点を真上から見下ろせる高層ビルの位置で、白い翼が羽ばたいた。ビル風に攫われてカスミ草の白く小さな花が揺れる。
 逃げ惑う人々もここから見ると小さな点のようになってしまう。オラトリオのシャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)は淡い色の瞳を細め、改めて交差点を端から端まで観察した。人人人に、重ねてさらに人。沢山の人があちこちに。

「それにしてもいっぱいいますね……?」

 シャルファが先んじて取った行動は避難経路確保のための地形把握だった。上空の高い位置に陣取って、まずはこれから動かねばならない場所を洗い出す。混乱、パニックに陥ってしまった現場に置いて冷静な判断の為の情報は欠かせない。
 シャルファが呟いた言葉通り、交差点には老若男女問わず様々な人々が所狭しと点在している。会社終わりのサラリーマンや買い物帰りの主婦、登下校中の子供達。交通網も多いのか人の波は想像以上に大きいものだ。
 これだけの大人数を避難させるのに適した場所はあるだろうか、とポイントを絞って彼女は目星をつけていった。

「……あの大きな裏通りに続く道ならば、上手くいきそうですね」

 丁度交差点の脇、道幅もそれなりにある大きな道にシャルファはあたりをつける。裏通りに面したその道はそこから数多に分かれており、都心内部へと続いていた。避難経路にはうってつけだろう。

「さて、それでは参りましょう!」

 ばさり、と翼がはためく。混乱する人々の渦へと一直線に降り立った彼女には目もくれず、人々は大声を上げるのを止めて訝しみ始めていた。これは何だあれは何だと指さしてUDC怪物に距離を取りつつ、しかし不思議そうに首をかしげている。何人かは興味本位からか近づく者すらいた。

「ここは危険です、離れて下さい!」
「いや、あんまり危険には見えないんだけど……」

 ざわつく民衆に呼びかけるが、シャルファの言葉は戸惑う声に搔き消される。それもそのはず、行う攻撃はもちろん、見た目からしてもあまり脅威には見えない。これはシャルファも想定内だった。ならばと透き通るような声でさらに続ける。

「あの小さい人が車に張り付いて事故でも起きたら巻き込まれてしまうかもしれませんし、よくわからなくても何か害があるといけないですから」
「言われてみれば確かにそうかも」
「なるほど? 本体に実害はなくとも二次被害はあるかもしれない、か。お嬢ちゃんの言う通りだねえ」
「見慣れないものには近づかないのがセオリーだもんな。一応避難しとかなきゃ」

 理由付きの説得、それも筋の通った理論であれば尚更のこと。シャルファの説いた内容は納得できるものであり、パニックから収まりつつある民衆にしっかりとシャルファの説得は届いたようだ。
 ただしこの交差点は幅が広く、どんなに叫んだところで端から端まで声は届けられない。そう危惧するのが普通だが、彼女は幸いなことにシンフォニアだった。美しい歌声で魔法の根源を直接制御する、神秘の歌い手の力を持っている。多くの人々の耳に届く凛とした声は交差点の端から端、避難対象区域にいる大部分の人へと届く。ぞろぞろと歩く人々が思い思いに感想を言い合いながら移動を始めた。

「何かの突発系イベントだったのかなあ」
「でもあの子の言う通りこのままじゃ事故になっちゃうよ。交通規制なんかやってないし、明らかにイベントの類じゃないよね」
「あれはなんだか知ってるか?」
「いいや見たことない……似たようなの描いた事はあるけど」
「学生時代に棒人間が走るパラパラ漫画描いたわ」
「うわー分かる! 分厚い辞典の端っこでやった!」
「剣持たせて100人切りアクション動画作った」
「誰もが通る道なんだなあ」

 UDCの能力の一つ、棒人間あるあるを聞いて共感した対象全てを治療する能力が図らずも整った。怪我人は今のところ見受けられないが、これ自体は猟兵達にとって大きなアドバンテージになるだろう。この後の戦闘に効果が残留していれば追い風になりそうだ。
 
(よかった、これなら何とかなりそうです。幸い、声を通すのは得意ですもの)

 この調子で避難誘導をつづけていきましょう、とシャルファは意気込んだ。相変わらず足元でUDC怪物達は思い思いに暴れているが、威力が小さい為か気にもならない。大衆の波が避難経路として見ていた裏通り方向へ流れ始めたのを確認すると、シャルファは棒人間ソルジャーズに向き直る。
 人は捌けた。ここならば誰も巻き込まない。準備は万端。
 ぱぁ、と光で出来た無数の花びらが風に舞った瞬間、ソルジャーズで出来た塊の一画が大きく崩れた。彼らの命は大変儚いのである。吹けば飛んでしまうほどの軽さ、脆弱さ。猟兵の一撃でそれらは数百が消し飛んでしまう。

「──さあ、あなたが還る行き先を。と、結構数は減らせましたが母数があるせいか流石に一筋縄では行きませんね」

 交差点に花畑が広がったかの如く、花びらが覆っていく。相手が大して強く無いので辛くは無いが、如何せん数が多いのが厄介だ。シャルファは改めて避難誘導を行いつつ、棒人間ソルジャーズの密集箇所目掛けて花びらを放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
WIZ
攻撃は弱いようですが、集団で襲いかかられては慌てて予期せぬ事が起こるかもしれません(……赤ん坊が間違って食べてしまうとか)
怖がらせないようにこの場から退避させましょう

「あのっお騒がせしてます、これは撮影です。むこうで……ええと、有名なあの人が撮影やってます。そうですあの人です、あちらがメインです」
TVの撮影という事にして自分の後ろの方へ人々を移動させます
……UDCのTV番組や有名人の名前が分からないのでこれが背一杯です。

人々が移動した後で【巫覡載霊の舞】発動
衝撃波で吹き飛ばしながら棒人間達を倒していきます。
これ以上先へは行かせませんよ。


ライゼ・ジルベスター
「数が多いね。道を埋め尽くしちゃってるよ。」
とりあえず交差点に降りる前に状況を俯瞰、少しでも小さい棒人間の数が少ない道を確認してから下に降りて。
まずは一般の人の避難誘導をしよう。
「よくわからない物だからこそ、どんな害があるかもわからないから」
等と、それっぽい理由を付けて。

避難が済んだら、此方がやられる様子も無さそうな相手なので、目算でなるべく小さい棒人間が多く集まっているところに走りこんで行く。
「これは纏めて数を減らさないと、キリが無いね。」
数が増えるスピードより速く減らしていかなければ増える一方。
数を一気に減らすことを狙ってUC【ダークフレイムブレス】で一気に焼き払うことにしよう。


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

……えー、と。…どーしたもんかしらねぇ、コレ…
なんかみょーなのがわちゃわちゃ出てきてしかもめちゃくそ弱いんじゃ、そりゃ緊張感も危機感もあったもんじゃないわよねぇ…
この後出てくるやつのこと考えればある意味理想の尖兵ってのがホントタチ悪いわぁ…

…しょうがない、後の事は後で考えるとして――徹底的に大事にしちゃいましょうか。まずは●圧殺起動してグレネードぽい。(ヒーロー世界製。音と光と爆風は凄いが威力はない。主に演出用の小道具)
目の前でド派手にどっかんどっかんやれば○精神攻撃や恫喝には十分でしょ。
あとは空いたスペースに本物〇投擲して纏めて○なぎ払うだけねぇ。


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
わわっ、凄い数のUDC怪物ですね。
確かに可愛らしい気もしますけど、
キュートと言うよりは面白い感じの……いたたっ。

まずは、一般の方の避難誘導ですね。
声を張るのは苦手ですが、出来る限りやってみます。
交差点中央に進み出て、《魔女の奴僕》に【恐怖を与える】よう命じます。
巨体から発散される不吉な気配に、この場を立ち去って頂きましょう。

一般人に当たらない事を確かめたらUCを発動。
属性は「雷」。自然現象は音が凄そうな「稲妻」。
状態異常は「感電」を付与します。

足を止めて味方が狙い易いようにしつつ、
感電で敵の口を封じたり、音で会話を邪魔したりして、
敵UCを共感まで持って行かせないのが目的です。



●協力して強力に
 一人の猟兵が下りて行ったのを皮切りに続々とグリモアベースから猟兵が駆けつける。
 猟兵達はビルの屋上に集い、眼下に広がる交差点を見遣る。その中央付近で膨れ上がったUDCを観察していた。

「わわっ、凄い数のUDC怪物ですね」
「本当に数が多いね。道を埋め尽くしちゃってるよ」

 クララ・リンドヴァル(f17817)の言葉にライゼ・ジルベスター(f35081)は同意の返事を寄越した。相当数のUDCが道を覆い尽くさんばかりに蔓延っている。集合恐怖症の人など一目でひっくり返ってしまいそうな数多のUDC達。それらをどう捌くかはここにいる猟兵達の手腕に任されている。この数相手にどう出るかお手並み拝見だ。

「これは確かに大量発生と形容するのが相応しい数ですね……」
「……えー、と。……どーしたもんかしらねぇ、コレ……」

 思わず戸惑ってしまうのも無理はない。桜雨・カイ(f05712)のつぶやきにティオレンシア・シーディア(f04145)を始めとした猟兵は揃って思案顔になってしまった。彼女の言う通りまさしくどうしたものか。とりあえずで手を出しても削る速度に増殖が追い付いていかない。なにか根本的な解決策を見出さねばならないだろう。
 猟兵達の実力自体はかなり高く、棒人間ソルジャーズをいくら束ねても敵わない程にある。しかし戦いの場に於いてはどうしても数で負けていた。このまま何も対策を講じないまま向かっても押し負けてしまうだろう。戦局を左右する上で、敵数というものはそこそこ重要なウェイトを占めているのだ。

「うぅ、困りましたね……対策を講じなくはなりません」
「そーねぇ、何か考えないと」

 クララとティオレンシアはどうすればこの状況を打開できるか考えを巡らせる。向こうは増え続ける一方だが、ここに居るのは四人だけだ。此処に今居る四人で出来ることを考えなければならない。

「あっちが数で挑んでくるならあたし達も数で応戦できればよかったんだけどねぇ。あたし達の他にグリモアベースから援軍を呼んでいる暇は無いし。今ここに居るだけの人数でなんとかしなくちゃいけないわねぇ」
「そう、ですね……猟兵の増援はこれ以上望めそうにないですし……」

 言いながらクララとティオレンシアは交差点の様子を観察する。人々は次第に落ち着きを取り戻し、訝し気にUDCを眺めて不思議がっていた。避難が遅れてしまえば一般人が残ったまま狂気を宿したUDCがやってきてしまう。あまりこの思案にも時間はかけていられないようだ。

「どうしましょう。手当たり次第に体力の尽きる限り倒し続けても限界はある。一人頭の討伐数はどうしても上限があります。無策で挑んでは敵の波に呑まれるのが関の山です」
「そうだね。これは纏めて数を減らさないと、キリが無いね」

 ライゼの纏めて、という言葉にはっとしてカイが顔を上げた。
 そうだ、纏めて倒せばいい。一人一人の攻撃は強力なのだ。それらをさらに束ねれば。向こうだって束になって掛かってくるのだから、こちらも束に成ればよい。一人一人ではなく、皆で。協力して強力になれれば。

「ライゼさん。その案、有りかもしれません」
「同時に連携をとって攻撃すれば……!」
「一撃は重なり合って束になり、さらに強烈な一撃に──って事ねぇ。いいんじゃないかしら。試す価値あると思うわよ」

 ライゼのふとした思いつきを糸口にして、柔らかいままだった解決策が初めて形を取り始める。全員の意志は固まった。当意即妙、臨機応変。依頼先で出会った猟兵達と即興の連携力を問われるのも依頼でよくある話だ。ならば応えてみせましょう、この場限りの速攻チームワーク。幸いにしてここに集った四人は腕の立つ猟兵ばかりだ。気弱そうであったり、ぽんやりとしていたり、無表情で口数が少なかったり、穏やかで温厚だったり、その様相は様々で一見噛み合わないように見えていても。他人と呼吸を合わせることは難なくできる。

「さて、戦い方が決まったところで避難誘導の方にも力を入れないと」
「あらら。先に行ってくれた子が避難誘導してくれたけどやっぱり何人かは残っちゃってるわねぇ」

 素直に移動してくれた一般人も居はするものの、やはり何人かはそれでも好奇心が残ってしまったらしい。女子高生のグループがスマートフォンを取り出して撮影を始めてしまった。これ絶対なんかドラマの撮影だってー、ヤバーい、カワイイー、などの言葉が飛んでくる。それもそのはず、敵のフォルムはあまりにも危険性を削いだ見た目だからだ。

「確かに可愛らしい気もしますけど、キュートと言うよりは面白い感じがしません?」
「うん。何だろう、こう……見ているだけで緊張感が削がれるね……。やりにくいなぁ」
「確かにどことなく力が抜けてしまうような妙な見た目ですからね……警戒より好奇心の方が疼いてしまうのも頷けます」
「なんかみょーなのがわちゃわちゃ出てきてしかもめちゃくそ弱いんじゃ、そりゃ緊張感も危機感もあったもんじゃないわよねぇ」

 この後出てくるやつのこと考えればある意味理想の尖兵ってのが、尚更ホントタチ悪いわぁ。とはティオレンシアの言葉だ。他の三人も思わずうんうんと頷きを返した。

「しょうがない、後の事は後で考えるとして――徹底的に大事にしちゃいましょうか」
「ああ、乗った。派手にやろうか」
「皆さんそれぞれ避難誘導の仕方は練られているようですし、人が捌け次第手筈通りに集合しましょうか」
「はい! ──……では、皆さん。いきましょう!」

 クララの言葉を合図に、猟兵達は一斉にビルから交差点へと降りていった。

●各々の避難方法
 さて降り立ったところでUDC達の攻撃がどのようなものなのかも四人の目に入ってきた。ポコンポコン、ポカスカ、ポコポコ、そんな擬音が聞こえてくるような気さえする。音が軽い。

「わ、わぁ……」
「あらら……」
「ちょっと想定より弱すぎないかな」
「仰る通りで……攻撃は事前に聞いていた通り大変弱いようです」

 なんなら避難誘導の邪魔にすらならなかった。あわれ棒人間ソルジャーズ、彼らの攻撃は彼らの持つ四肢や胴体ほどに細く薄っぺらい。見ていて悲しくなるほどだ。

「ですが、集団で襲いかかられては慌てて予期せぬ事が起こるかもしれません。油断せずいきましょう」
「は、はい! 頑張ります。えっと、それじゃ私は中央付近の人達の誘導へ行って来ますね。皆さん、また後でお会いしましょう……!」
「まかせた。北は別の猟兵が行ってくれたみたいだから、僕は南に」
「では東に向かいます。どうか皆さんお気をつけて」
「それならあたしは西にしようかしらねぇ」

 各位一斉に一般人が残ってしまったエリアに駆け出していく。声を張るのは苦手なのだと少し自信なさげにこぼしていたクララだが、自分で出来うる限りの声を張った。そのまま後ろ手で《魔女の奴僕》に指示を与える。彼女の忠実なしもべ、常に術者の側に付き従い八つ足で近接戦闘を補助する者。巨躯を持つ不可視のそれ。

「ええと、あ、危ないので、離れてください!」
「危ないってお嬢ちゃん、こんな棒人間がどこが危ないんだ。危ないワケないじゃ──え?」

 茶化すようにしていた男性がぞうっと総毛立つ。目に見えずとも確かに居るなにかに、生き物として直感的な恐怖を感じ取り、彼はそのまま走り去って逃げてしまった。好奇心など蜘蛛に食わせよ。面白半分で避難しなかった一般人は一斉に、それこそ蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「よかった……。何とかなりそうです」

 あちらの様子は、とクララが目を向けると、丁度カイの避難準備が整ったところだった。
 カイの向かった方はグリモアベースからビルに降り立った際に見かけていた、女子高生達が比較的多いエリアだ。誰も彼も何となく恐怖心よりも好奇心が勝ってしまっている。
 
「絶対撮影だって! 最近CGとかじゃなくてこういうヌイグルミ使うんだって!」
「えーっでもカメラとか無いしぃ」
「あ、あのっ! お騒がせしてます、これは撮影です。むこうで……ええと」
 
 女子高生達の会話を遮るようにして、カイが割り込んでくると明後日の方向を指さす。同時に「あ、」という顔を浮かべた。誤魔化しながら指を避難方向にさすことで誘導を促すための所作だったのだ。カイ自身は誰も指さすつもりは無かったのだが、運悪くライゼがその方向に居てしまった。彼は気にすることもなく、上手く利用するようにと目配せすると、顔をそらして棒人間ソルジャーズの影に隠れていく。
 ここまで来たら一芝居打たねば。カイはぐっと一度下唇を噛むと方便をまくし立てた。

「あの、有名なあの人が撮影やってます。そうですあの人です、あちらがメインです」
「マジ!? 今の人なんかスゴくなかった!?」
「見たい見たい!」
「どこでやってるの!?」
「あちらの裏通りに面したところで本撮影しておりますので──」

 UDCのTV番組や有名人の名前が分からないのでこれが精一杯です。どうかお許しを。カイは心中で呟いた。
 ライゼの思わぬファインプレーに乗ってカイが放った言葉に、上手く女子高生が乗ってくれた。そのまま誘導に従って彼女達は交差点を離れていく。ふぅ、と額を拭うようにしてカイはライゼの方に思わず一礼する。さてそのライゼはと言えば──。

「本当に? 危なくない? こんなのが危ないとは思えないんだけど。見た目よくわかんないし」
「よくわからない物だからこそ、どんな害があるかもわからないからね」
「確かにそれもそうかあ」

 避難を渋っていた一般人に上手く諭して捌けさせている。こちらもちゃっかりカイをだしにして避難をさせたり撮影だという彼の言葉に乗ったりとあの手この手で説得を行っていた。容姿端麗、こういう時に使わなければいつ使うのだ。なんて、どこかのお偉方が言っていたような。言っていなかったような。とかくカイとライゼは互いに見えないところで程よく間接的に連携を取り合っていた。
 これで大部分の一般人は捌けたはずだ。残るはティオレンシアの居る方向。
 クララも加わって三人は合流するために一点を目指した。各々の持つ一撃を束ねる為に。

●決着
「わかるわよ、だってこんなにヘンテコなんだから。見たくなっちゃうわよねぇ。でもそれがもとで事故になったらイヤでしょう? ハイ、お姉さんと約束ね」
「うー、分かったよお。僕も怪我したくないし。面白いお姉さん、またねぇ!」
「またねぇ」

 ひらひらと手を振りながらティオレンシアが丁度一般人の男の子が走って裏通りを抜けていくのを見送ったところに、丁度三人が駆け付けた。全員首尾よく避難を終えたようだ。

「よかった……そちらも終わったようで何よりです。ええと、これで全員撤収完了しました。準備万端ですね。……いたたっ」
「あら大丈夫? 一丁前に闘争心は持ってるみたいだから困っちゃうわねぇ」

 しっし、とティオレンシアがクララの足の小指を槍の先でつつこうとする棒人間ソルジャーズを払いのける。
 何はともあれクララの言う通り準備は整った。あとは。

「数が増えるスピードより速く減らしていかなければ増える一方だ。早めに決着をつけよう」
「了解です。これ以上先へは行かせませんよ」

 ライゼとカイがお互いに構えるのに倣って、ティオレンシアとクララも交差点の真ん中へ武器を向ける。膨れ上がったUDCの群れに遠慮情けは必要ない。ただ効率よく、全員のフルパワーを順次撃ち込めばいい。連中は所詮烏合の衆。取るに足らない有象無象だ。

「上手く合わせますので、どうぞ良き折に」
「あ、はい! えっと、私も頑張って上手く合わせられるように集中します……」
「そんなに肩肘張らなくても平気だよ」
「やることは単純だもの、上手くいくわ」

 ティオレンシアは一拍早く炸裂させるためにグレネードのピンを抜き、クララはすぅ、と息を吸うと稲妻を呼び起こした。
 二人の準備が整う間にライゼは広範囲を焼くために口元に炎を宿し、カイは神霊体へと徐々に変化していく。
 はくり、とクララの吐き出した小さい祈るような言葉に、ティオレンシアの楽しそうな声が加わった。

「――私と一緒に、明けない夜を迎えましょう」
「安心していいわよぉ、よっぽど運が悪くなければたぶん死にはしないから。……死には、ね?」

 最初は二人による攪乱からだ。ティオレンシアの放ったグレネードが光と音の洪水を起こし、棒人間ソルジャーズ達は目がくらみ一斉に逃げようとあたふたし始める。そこを逃すまいとクララの巻き起こした雷が炸裂した。凄まじい稲光が交差点を直撃し、身体は麻痺してもう動けない。大きな塊が出来上がったところでカイがライゼよりも一足先に飛び出した。なぎなたが放った衝撃波は動けない棒人間ソルジャーズの足元を掬い取り、細切れにして。寿命を削ってしまうほどの猛攻を終えて、カイは叫んだ。

「今です!」
「っ!」

 ライゼが大きく口を開けて、灼熱の焔が交差点を逆巻く。黒色が美しく映える炎が塊をすっぽりと覆い尽くした。最早塵も残らない。それぞれがほんの数拍でもずれてしまえば成立しない完璧な連携攻撃だった。

「で、できました! 殲滅終了です……!」
「綺麗に片付いちゃったわねぇ。こんなに上手くいくとは思わなかったわ」
「ああ、皆のおかげでとりあえず綺麗さっぱりだ。さて、お次は──。」
「そうですね、ここからが本番です」

 四人は改めて目を向ける。
 棒人間ソルジャーズが捌けたその先、避難も終わって猟兵以外に佇む者は誰もいない交差点の真ん中。
 ──黒々と渦巻く、水たまりのようなそれに。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チカラ』

POW   :    ネガイ
自身の【大事なもの】を捨て【望みを叶えられる姿】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD   :    サダメ
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【負の感情(効率は悪いが他人のでも可)】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ   :    クモツ
【耐え難い悪夢を喚起する精神波動】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠自動・販売機です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴力
 ぽこ、と小さな水泡が弾けた。ぐらぐら煮立つ鍋のように黒い水溜まりが沸騰したかと思えば、予告されていた通り強力なUDCが中から姿を表した。
 周囲に一般人の姿はない。
 UDCは言葉を発することはなく、ただじっと猟兵達を見つめている。見つめている、と言ってもその瞳が顔のどこに埋まっているのか猟兵には分からなかった。ひしひしと肌で感じる強者の空気に、一気に場が冷えていく。
 一触即発、はたして先に動き出したのはどちらだったのだろう。
 
ライゼ・ジルベスター
「弱い棒人間の方を片付けて。…真打登場って感じだね。」
先ほど殲滅した棒人間とは明らかに違う雰囲気、一体だけとは言え倒すのは容易ではないだろう。

「影みたいと言うか、幽霊みたいと言うか…実体のはっきりしてないような見た目をしてるね。…物理的な攻撃が通じれば良いんだけど。」
とにかく、攻撃を仕掛けないことには始まらない。
幸いにも残っている一般人は居ないので、戦闘に巻き込む心配は無い。
UC【ブレイズフレイム】で出せるだけの火力をUDCに一点集中。
これだけですぐには倒しきれないとしても、燃やし続ければ持続的なダメージは狙えるだろう。


シャルファ・ルイエ
避難が間に合って良かったです。
他の方達も居ますから、協力して動きますね。

前衛は得意な方に任せてなるべく敵からは距離を取って、周囲を見渡せる位置で戦います。
あと、箒のシリウスを呼んで、敵の攻撃の範囲外の空中に待機して貰っておきますね。
呪詛や狂気に対する耐性はありますけど、もしもわたしが眠ってしまったら起こしてくれるようにと、誰か近づいて来たら知らせて貰えるように頼んでおきます。

流石に星や雨が降ると人を呼んでしまうかもしれませんから、攻撃は【統べる虹翼】で。
一般の人が近づいて来る様なら鳥を何匹か飛ばして怪我をさせないように遠ざけて、それでも近寄って来る人が居るなら、【白花の海】で足止めします。



●真打登場
「やあ、避難誘導お疲れ様」
「避難が間に合って良かったです。そちらもお疲れ様でした」
「弱い棒人間の方を片付けて、さてと……真打登場って感じだね」

 棒人間ソルジャーズを片付けて、ようやく本題のお出ましだ。シャルファ・ルイエ(f04245)が避難誘導を粗方終えたところに他の猟兵達も集まってくる。
 ライゼ・ジルベスター(f35081)はそんなシャルファに労わりの言葉をかけて、しかし視線は彼女に向けずにずっと中央付近でゆらりと佇むUDCを見つめていた。
 背丈は猟兵達と然程変わらないというのに、そのUDCはただならぬ気配を漂わせている。先ほど殲滅した棒人間ソルジャーズとは明らかに違う、異様な雰囲気を醸し出しているのをライゼとシャルファは感じていた。

「一体だけとは言え、倒すのは容易ではないだろうね」
「はい。多人数で相手をしてようやく五分といったところでしょうか」

 少なくとも一人二人で仕掛けたところで押し返されるのは目に見えていた。場数を踏んだ猟兵は、戦わずして相手の力量を見極められる目が経験により培われている。
 どちらも手を出さないまま膠着状態が続く。不気味なほどUDCは動かなかった。ただ、宵闇に揺れる蝋燭の炎のように、時折不安定に輪郭が揺らめくのだ。

「影みたいと言うか、幽霊みたいと言うか……実体のはっきりしてないような見た目をしてるね。……物理的な攻撃が通じれば良いんだけど」
「ご心配には及びません、幸いこちらには他の方達も居ますから。協力して様々な攻撃タイプを仕掛けていきましょう」

 猟兵の攻撃は多種多様だとシャルファは囁いた。ここに集まった猟兵達だけでその攻撃の多彩さは目を見張る。さまざまな種類と様相を備えているのだ、どこかに必ず突破口はある。その言葉を聞いたライゼはそれならばと前を向いた。

「そうだね。とにかく、攻撃を仕掛けないことには始まらない。先鋒は僕に任せてくれ」
「承りました。ではわたしはなるべく敵からは距離を取って、周囲を見渡せる位置で戦いますね」

 二手に分かれて、まずは様子見も兼ねて一撃を。二人は位置取りを決めると各々戦闘態勢になる。幸いにも残っている一般人は居ないので、戦闘に巻き込む心配は無い。前もって行っていた避難誘導が功を奏している。
 ライゼが自傷行為の如く、自身の身体に爪を突き立てた。表面は裂け、ドラゴニアンの持つ堅い鱗の隙間から血肉が覗く。そこから瞬く間に燃え盛る炎が生まれた。交差点は煌々と照らしだされ、しかしどこか恐ろしさのある灼熱を纏う。地獄の業火だ、とそれを誰かが形容した。
 炎は一気に広がって、UDCを包み込み、焼き尽くして──。

「いいや、これだけだと倒しきれないな」

 あまり手応えがないのが分かったのだろう、ライゼが意図的に手を下ろす。炎が弱まっていく。燃える炎の中から、あまり傷を負った風でもないUDCがまたゆらりゆらりと揺らめいた。
 しかし手応えが完全に無かったというわけではない。よく見れば手足の端々に火傷のような痕が広がっている。燃やし続ければ持続的なダメージは狙えるだろう、とライゼがもう一度炎を操ろうとすると、今度はUDC側が反撃に打って出た。
 それは耐え難い悪夢を喚起する精神波動。浴びればたちまち最悪の夢の中へ引きずり込まれてしまう。この戦場で昏倒するのはすなわち死だ。

「!」
「っ、来ます! シリウス!」

 意思を持って動く魔法の箒、シリウスが主の言葉に反応して、物陰から飛び出して来た。事前にシャルファが待機させておいたのだろう、UDCの放った攻撃から一拍遅れる形でシリウスは現れ、星のように飛んでいく。飛べば軌跡はきらきらとまばゆい星屑を零し、この場には不釣り合いなほど美しく幻想的で。
 くるりと宙で一回転をしたかと思えば、攻撃の合間を縫うようにしてシャルファの元へと駆け付けた。
 ぐらりと曲がる視界と猛烈な眠気にシャルファが片膝をつき、それでも彼女を寝かすまいとシリウスが穂先でシャルファを軽く小突く。それに促されるまま、シャルファはシリウスに跨って飛び立った。精神波動から逃れる際、眠りかけていたライゼの辺りに飛び立った反動から風を起こして。ふわりと撒かれる形で波動は徐々に収束し、ライゼも悪夢に呑まれることなく体勢を立て直した。

「助かったよ。さすがにあの場で寝るのは不味いからね」
「無事でなによりです。ほっとしました。しかし一筋縄では行かせてくれませんね……」
「効いてはいるけれど効きがどうにも弱い。これは長期戦になりそうだ」

 シャルファが労わる様にシリウスの柄を撫でれば、呼応するように星の飾りが揺れた。時間が経てばまた別の攻撃が放たれる。ぐずぐずはしていられなさそうだ。シャルファは上空からUDCを観察すると、動きの無かったUDCに初めて移動の意志が見て取れた。

「……! 人々が避難した方向に移動しようとしています!」
「まずいな。獲物にする一般人を嗅ぎつけられたかもしれない」
「ここから先は通しません、ここで食い止めます」

 シリウスから降り立つと、シャルファは杖を掲げて祈るように目を閉じる。魔力を練り上げ、キンと澄んだ空気が彼女の持つ杖──ウィルベルから解き放たれた。

「さあいってらっしゃい、わたしの鳥。その翼で、何処へだって飛べるから」
 
 カラン、カラン、リン。しゃらり。まるでいくつもの鈴を転がしたような音がウィルベルから転がり落ちて来る。魔力は小鳥の形となって、UDCの行く手を阻むように飛び立つとその嘴で啄んだ。
 僅かに怯んだUDCがまた動きを止める。非常にゆっくりとした動きだがそれ以上進む気は今のところないようだ。

「やっぱり、効きは弱いけれど効いてはいるみたいだ」
「ではこのまま削り続けるのが得策でしょうか」
「ああ、一気に畳みかけよう。効果は薄くとも、それが重なれば少しずつでも削れる」

 塵も積もればいずれは山となる。活路は見いだせた。ならばあとは続けるだけだ。二人は一般人の避難していった裏通りを守る形で、改めてもう一度UDCと対峙した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
一般の方は無事に逃げて頂けたようで、良かったです。
……さぁ、後は敵の首魁のみ。
持てる火力を総動員して、一気に倒してしまいましょう。

さっきの子達は表情が読めたのですが……このUDC怪物は相手し辛いですね。
距離を取って、後衛から味方の支援を行いましょう。
雷の杖を使って、味方の傷を癒したり、防壁を張ったりします。
手が空いたらUCを使い攻撃を行います。

少しだけ呪詛に対する耐性があるので、敵UCの精神はこれで耐えます。
UCや防壁の使用時に、派手に稲妻が爆ぜる音を響かせたり、治療に電気ショックを用いるなどして、
少しでも自分や味方の眠気を解消するように努めます。


桜雨・カイ
先ほどとは違い簡単には倒せそうにないですね。一般人がいなくなったのが幸いです

守りと再生で攻撃がなかなか通りませんね…それでもどこかにつけいる隙があるはずです。諦めずに攻撃をつづけます。
表情が読めない分、動きなどから分かることがあるかもしれません

…嫌がる反応をみせてる、何に対して?
分かりました、あなたは陽の光に弱いんですね。
確かめる為に攻撃を繰り返し、陽のさす方へ移動させてみましょう

道理が分かれば封じられます。【鬼閉陣】発動
これでみんなの攻撃が届くはずです


ティオレンシア・シーディア
さぁてと、本番ねぇ。
…また厄介な手合いねぇ…幸い避難は終わらせられたけれど。

防御力十倍に再生能力持ちとか、たぶんあたしじゃまともにダメージ通せないわねぇ。…いっそ火力捨てちゃっていいかしらねぇ、コレ。見たところ、幸いしばらく天気は良いみたいだし。
●圧殺起動、イサ(静止)・ソーン(阻害)・ニイド(束縛)の遅延ルーン三種による○足止めと捕縛を軸に洗い浚いのデバフバラ撒くわぁ。○目潰し焼却継続ダメージ、マヒ攻撃に吹き飛ばし…あたし地力はそんなに高くないもの、手札と小技はいろいろあるわよぉ?
継戦能力がどれだけ保つかわからないし、○逃亡阻止しつつ徹底的に〇時間稼ぎしてハメ殺しちゃいましょ。



●集光

 桜雨・カイ(f05712)は一度だけ青い瞳の向こうに避難経路を見遣って、そしてすぐに目の前の敵へと視線を戻した。強敵、相手にとって不足なし、どころかややこちらの実力を上回っている。それはあくまでもたった一人で戦えば、の話だが。
 戦闘準備はとうの昔に整えた。巻き込んでしまうおそれのある一般人はここにはいない。先程投げた視線は心配というよりも避難できた事への安心から来るものだった。

「先ほどとは違い簡単には倒せそうにないですね。一般人がいなくなったのが幸いです」
「はい。一般の方は無事に逃げて頂けたようで、良かったです……さぁ、後は敵の首魁のみ」

 クララ・リンドヴァル(f17817)がカイの言葉に同意を返しつつ、静かに前を見据える。先鋒の猟兵が大技で削っているためか幾分消耗は見られるが、依然としてUDCはそこに立っていた。

「さぁてと、ここからが本番ねぇ。相手は何を考えてるのかさっぱりだけれど」
「人型は保っているのですが、輪郭が朧というか──あくまでも模しているのは四肢だけのようです。表情が読めませんね」
「はい、さっきの子達は表情が読めたのですが……。このUDC怪物は相手し辛いですね」
「そうですね……ただ、表情が読めない分、動きなどから分かることがあるかもしれません」

 顔は無く、人の形をしているにもかかわらず、それはどこか人間味に欠けている。人ではない人らしい何か。相手取るのはかなり厄介そうだ。ただし表情が読めないからこそ、カイの言う通りそこを逆手に取れる可能性はある。今一度気を引き締めなければならない。

「また厄介な手合いねぇ……」

 二人の言う通り避難が先に終わらせられて良かったわぁ、とティオレンシア・シーディア(f04145)が誰に言うでもなく呟いた。注意深く観察を続ける三人は、先の猟兵の戦闘結果から照らし合わせて活路を見出そうとする。
 ゆらゆらと蠢く、立ち上るオーラのようなそれが蜃気楼を思わせる。猟兵達が斬って燃やして撃ち落としても、それらはすぐさま元の形状へ戻ってしまっていた。

「防御力十倍に再生能力持ちとか、たぶんあたしじゃまともにダメージ通せないわねぇ」
「そうですね、守りと再生で攻撃がなかなか通り辛そうで……それでもどこかにつけいる隙があるはずです。諦めずに攻撃をつづけましょう。目に見える結果が無くとも、確実に少しずつ削れているはずですから」

 いっそ火力捨てちゃっていいかしらねぇ、と言うティオレンシアにクララは一つ提案をした。高火力でも削るにはまだ足りない、しかし逆転の発想でいけばあるいは、と考えたのだ。

「ならば逆に、持てる火力を総動員して一気に倒してしまいましょう。先の戦法の応用ができるかと」
「集中攻撃ですね、行けるかもしれません」
「なるほどねぇ、同じ方法で行ってみましょうか」

 カイとティオレンシアの言葉にクララがこくりと一度首を縦に振る。それならば、とティオレンシアは軽く指先で虚空に何か見えぬ紋様を書いて見せた。無論そこには何も浮かばず、魔法が弾けることは無い。けれど確かに魔力を宿した弾丸は彼女の持つ武器の中に潜んでいる。

「あたし地力はそんなに高くないもの、手札と小技はいろいろあるわよぉ?」

 絡め手ならばお任せあれ、目潰しや焼却、麻痺に吹き飛ばし。なんでもござれのデバッファー要員としてこれほど頼もしいものはない。くるりと一度人差し指を回して、ティオレンシアはちょっぴり得意気に笑ってみせた。

「なるほど、それならば是非に。お願いしますね」
「勿論。継戦能力がどれだけ保つかわからないし、逃亡阻止しつつ徹底的に時間稼ぎしてハメ殺しちゃいましょ。……とはいえ攻撃に振りすぎても防御が手薄になるのが厄介よねぇ」
「承りました。では私は距離を取って、後衛から味方の支援を行いましょう。手隙の時に攻撃に転じる形で対応します」

 これならば攻防一体で心置きなく、拘束から防御を気にすることなく攻撃に転じることができる。クララがぎゅう、と一度杖を握り直したのを見て、全員心が決まった。

「じゃあ早速アタシから仕掛けるわ。折を見てよろしく頼むわねぇ」
「はい……!」

 言うや否やティオレンシアの手から──正確には握ったリボルバーから、目にも止まらぬ速さで弾丸が撃ちだされた。ただの弾ではない、表面にはある紋様が刻まれている。刻印されているのは特殊効果を持つルーンだ。音速を越えて飛んでいくそれらは確かにUDCに命中し、しかし目の前のUDCはそれに堪える様子もなく、動じる様子もなく未だ佇んでいる。言葉なくとも、UDCはこんなもので終わりかとまるで嘲るように悠然と立っていた。

「まだよ」

 ティオレンシアの攻撃を心配する者はこの場に誰もいなかった。
 ティオレンシアの言葉とほぼ同時に。ぱちん、と弾丸が埋没した位置から火花が散った。ぱち、ぱち、と泡が弾けるような、静電気の起こる様な小さな音がぷつぷつと断続的にそこから聞こえてくる。
 ぱちぱちはバチバチと煩い音に徐々に変化していく。表面上は分かりにくいが、体内にめり込んだ弾丸のルーンが効果を発揮しているのだ。事実、ティオレンシアが確認の為に一歩、二歩と踏み出しても相手は動かない。否、動けない。
 三歩、四歩と来て。とうとう目と鼻の先の至近距離、ゼロ距離発射の位置まで彼女が来てもUDCは一歩も動けやしなかった。

「いいわねぇ、効果は十全。それじゃここからは一方的な蹂躙と行きましょうか」

 ティオレンシアが続けざまに様々な弾丸を撃ち込む。ただ当初の見通しのままやはり削れる限界があるのかすぐさま再生を繰り返してしまった。そうこうするうちにUDCは耐え難い悪夢を喚起する精神波動を、拘束が掛かったまま無理矢理放ってくる。

「あら、見た目に寄らずガッツあるのねぇ。その動けない状態で攻撃してくるなんて」
「っ! 防ぎます……!」
「ありがとうございます、助かりました」

 UDCが放ったその精神波動は障壁と相殺された。クララがあらかじめ張っておいた障壁にさらに呪詛耐性のコーティングを施した事で、障壁の内側に居るカイとティオレンシアにその悪夢は襲い来ることなく消失していく。
 まさに攻防一体、防御特化に拘束特化とそれぞれが役割を果たしていたからこそ防げた攻撃だった。

「良かった……」
「ありがとね。しかしこうも長期戦になると埒が明かなくて困っちゃうわね。どうしようかしらぁ」
「何か突破口さえ開けられれば……、っ?」

 カイの言葉が途中で止まる。今の今までその場から動けないからと動く様子すら見せなかったUDCが、ぐにゃりと曲がって強く揺らいだ。先程と明確に変わった点は特段見当たらないというのに、一体何が違うのだろうか。
 カイが注意深くあたりを見回すと、今の精神波動の呪詛に耐えきれなかったのか、オレンジ色のカーブミラーがひしゃげているのが目に入った。
 表面がうっすらと湾曲した道路反射鏡──それは、秋晴れの美しい太陽光を反射していた。今UDCが経っている場所に陽光を注いでいる。嫌がる反応を見せている。それが何に対して、と問われれば。

 たいようの、ひかり。

「……分かりました、あなたは陽の光に弱いんですね。すみません、特大の攻撃を空へ!」
「! 行きますっ」

 カイの言葉にクララがすぐさま雷を纏った魔法の矢を空へと撃ちだした。晴天に撃ちだされたそれはまばゆく輝きながら、空気中に残っていた塵を焼いていく。少なかった雲さえも跡形なく振り払い、一点の白すらそこにはない。空は青々とした美しさに支配された。

「あら、良いお天気ねぇ」
「太陽光が弱点……」

 あまりの眩しさに目を覆ってしまいそうだ。その瞬間。
 UDCが目に見えてぐにゃぐにゃと捻じ曲がる。折れる。激しく明滅する。カイは確かに弱点を導きだしていた。恐ろしいことにティオレンシアのルーンの刻まれた弾丸による拘束を受けてもなお、UDCは激しく動き、拘束を解除しようともがいている。

「やぁねぇ、逃げちゃだめよ。それでも動くっていうなら……」
「逃がさない……荒ぶる力も道理が分かれば止められます! その力──閉じます!」

 ティオレンシアがダメ押しで撃ち込んだ弾丸に、カイが畳みかけるように鬼閉陣を展開する。念糸が蜘蛛の巣のようにUDCを中心に四方八方から絡みつき、その場に押しとどめた。
 虫眼鏡で集光されて、黒い点が燃え盛るように。やがてどこからともなくUDCの身体に火が付くと、出現した黒い水たまりのようなそれとともに、UDCは消滅していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ストレス発散で狂気を拭い去る』

POW   :    スポーツや大食いなどで、ストレス発散

SPD   :    ショッピングやゲームなどで、ストレス発散

WIZ   :    読書や映画鑑賞などで、ストレス発散

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シェリフ
 猟兵達の戦いが終わると同時に、裏通りから人々が戻ってきた。
 
「結局何の撮影だったんだ?」
「よくわかんなかったねー」
「急にドーンとかガーッて音も聞こえてきたし」
「というかあの小っちゃくて白い奴は一体……」
「なんだろ、ちょっと気分悪いかも……車酔いみたいな感じ……」

 事後処理、適切なアフターケア、ストレス除去。
 グリモアベースで聞いた単語がつぎつぎに猟兵達の脳裏をよぎる。猟兵達の誰かの懐から、記憶消去銃がカチャリと安っぽい音を立てた。
 目に見えずとも呪詛は蓄積する。そもそも秘匿の観点から言えば、一般人からは極力UDCの記憶は除去が望ましい。しかしこれを向けるのは流石に倫理的観点からいかがなものだろうかと己の中のもう一人の自分が問いかけてくるのだ。
 それと同時に悪魔が囁く。
 撃っちゃってもいいじゃん。一発だけなら誤差だよ。みんな撃ってるよ。これでバーンと一発眉間をブチ抜けばあら不思議、イヤな記憶はたちまちポカン。
 ……誰かが生唾を飲む音が聞こえた。
 
 ストレス除去の方法は様々だが、それを決めるのは貴方達次第だ。
 
ティオレンシア・シーディア
ふぅ…とりあえず、なんとかなったワケだけど。…どーしたもんかしらねぇ。
あたし個人としては記憶消去銃ぶっぱに忌避感とかそーゆーのは別にカケラもないけど…なぁんか負けた気分よねぇ。

んー、と。なんかの撮影、ってことにしたんだっけ?んじゃ、○宴会しちゃいましょうか。御迷惑かけたぶんとかも兼ねた打ち上げとかなんとかで名目立たなくもないでしょ。記憶の脈絡なくなるくらいぐっだぐだでへべれけの前後不覚に酔わせればまー多分ある程度なんとかなるんじゃないかしらぁ?

あ、そーそー。飲み食いのお代はちゃーんとUDC組織に請求するからねぇ?
あたしもそれなりに楽しませてもらうけれど…そのくらいは、役得と必要経費でしょぉ?


ライゼ・ジルベスター
「記憶消去銃を使えば手っ取り早いけど。…いきなり銃を向けるのもどうかって感じだよね。」
事情を知らない人に銃を向けるのはどうか、そもそも本体のデザインが…などと考えて記憶消去銃を取り出す事は一旦辞めておく事にする。
効果はあるのだろうが、使うとしてもあくまで最終手段、重症に見える人が居る時だけに使う事に留める事にする。

「人数も結構多そうだし、人数不問で多くの人が参加出来るゲームなんかが良いかもしれないね。」
何が良いかな、と考えて。
「ビンゴゲームとか良いかもしれないね。大人数で遊べるし。」
道具は現地でも揃えられるはず、道具を揃えたらゲームの告知をしてビンゴカードを配ることにしよう。



●戦いの終息

「ふぅ……とりあえず、なんとかなったワケだけど」

 どーしたもんかしらねぇ。ティオレンシア・シーディア(f04145)が手元の記憶消去銃の引き金に指を置いてくるりと回して見せた。当然安全装置はかかっている。彼女のつぶやきに同意するようにライゼ・ジルベスター(f35081)もまた懐に入っている──もとい無理矢理持たされたそれを取り出してしげしげと眺めた。

「本当にどうしたものか。記憶消去銃を使えば手っ取り早いけど……」

 かちゃ、かちゃ、と彼が手に取ったそれからはどうにもプラスチック製のおもちゃを思わせる音がした。よく言えば軽量型、悪く言えば大変安っぽい。

「……いきなり銃を向けるのもどうかって感じだよね」
「そうそう。そこなのよねぇ。あたし個人としては記憶消去銃ぶっぱに忌避感とかそーゆーのは別にカケラもないけど……なぁんか負けた気分よねぇ」

 確かに撃てば解決はするだろうが、いやしかし。二人の脳裏にはそんな言葉が渦巻いている。事情を知らない人に銃を向けるのはいかがなものだろうか。猟兵としての良心が咎めないでもない。というか倫理的にもよろしくない。臭い物に蓋をする気がする。
 出来としても叩き落とせば壊れてしまいそうな軽さにティオレンシアは眉根を寄せた。

「効果あるのかしらぁ、これ」
「効果はある──とは思う、ただ使うとしてもあくまで最終手段として。重症に見える人が居る時だけに使う事に留める事にしよう」
「そうねぇ。今回は出番がない事を祈っておきましょ」

 ティオレンシアが慣れた手つきで記憶消去銃を仕舞ったのを横目にライゼもまた右に倣った。
 さて、仕舞ったとなれば銃は使わない方向になるだろう。二人は戻ってきてしまった一般人を観察した。老若男女問わず、子供から大人まで。幅広い年齢層の男女が不思議そうに今の現象について会話を重ねている。

「改めてどうしましょ。んー、と。なんかの撮影、ってことにしたんだっけ?」
「そう。撮影ってことにしていたね。実際は方便だったけれど」
「んじゃ、大人組と子供組でざっくり分けちゃいましょ。大人組はこっちが受け持つわ。こういう時はねぇ、宴会しちゃいましょうか」
「宴会?」

 ライゼの疑問を投げかける言葉に、ティオレンシアがニコリと笑顔で頷いた。結んだ瞳が糸のように細くなる。

「御迷惑かけたぶんとかも兼ねた打ち上げとかなんとかで、名目立たなくもないでしょ。記憶の脈絡なくなるくらいぐっだぐだでへべれけの前後不覚に酔わせれば、まー多分ある程度なんとかなるんじゃないかしらぁ?」
「なるほど、一理あるかもしれないね。大人組はこれでいいとして子供組は──ええと」

 ティオレンシアの提案は確かに簡単に流されてくれない大人組に効果的そうだ。では対して子供組には何が良いかな、と考えて。ライゼはひとつ閃いた。

「子供組は人数も結構多そうだし、人数不問で多くの人が参加出来るゲームなんかが良いかもしれないね。大人数ならビンゴゲームとかが主流かな」
「いいわねぇ、面白そう! もちろん鋭い子だって沢山いるでしょう、でも楽しい事があればきっと興味を向かせてくれるはずだもの。あたしも一枚貰っちゃおうかしら」
「もちろん。それじゃ早速準備に取り掛かるよ」
「はぁい。そっちも首尾よくねぇ」

 ティオレンシアが駆け出そうとして、しかし二歩ほど進んだところで思い出したように「あ、」と声を上げた。踵を返してくるりと身体を反転させるとライゼの元まで戻ってくる。

「そーそー。かかった経費はちゃーんとUDC組織に請求するからレシート忘れちゃだめよぉ。あたしも飲み食いのお代は控えておくからねぇ」
「む、これくらいは自費でも構わないかなと思っていたんだけれど……」
「ふふ。こなした仕事には対等な対価よ。あたしもそれなりに楽しませてもらうけれど……そのくらいは、役得と必要経費でしょぉ?」

 人生経験のある彼女だからこその含蓄ある言葉だ。あなたもいつか分かるわよ、なんてぱちりとウィンクされては十三歳のライゼも頷くほかない。

「わかった。覚えておくよ」
「良いお返事。それじゃまたあとでね」

 ティオレンシアは鼻歌混じりに揚々と酒屋に足を運んで行った。

●宴会と数字当て

「はいはーい。どんどん飲んじゃってねぇ、まだまだお酒いっぱいあるからねぇ」
「嬢ちゃん本当に気前がいいねえ。これ全部おごりかい?」
「もちろん。休日昼間の突発撮影でしか撮れなかったとは言え、道路を塞いじゃったご迷惑だもの。スポンサーからガッツリ貰ってるから遠慮せずに飲んじゃっていいのよぉ」
「太っ腹だなァ! TV放送の暁にはちゃんとリアルタイム視聴するよォ!」
「ありがとうねぇ」

 プラスチックカップに注がれた酒類に皆が乾杯の声を重ねている。落ち着いたバーとは少し離れるが、アルコールに楽し気に酔うのは場所が変わっても見慣れたものでティオレンシアは思わず自分も微笑んだ。口を付けたワインは仕事上がりの格別の一杯である。あちらはどうだろうか、と薄く開いた目には皆の前に立って番号を読み上げているライゼの姿が映った。

「それじゃあ九番。さあ、リーチの子はビンゴになった?」
「あ、揃った! ビンゴだー!」
「それじゃあ景品を選ぶために前に出て来てくれるかな」
「わーい!」

 最初は子供たちにあの白いのって何だったのー、撮影だけどカメラはどこなのー、などと子供たちに質問攻めにされそうになっていたライゼだが、上手く舵を切ってビンゴゲーム大会へと誘導できたようだ。十三歳のライゼはちょっぴりお兄さんとして、彼らの前に立っている。子供達はすっかりビンゴに夢中になり、UDCのことなど記憶の彼方になっているようだ。
 助け船を出そうかとも思っていたティオレンシアだったが、どうやら杞憂で済みそうだった。

「ふふ、やるじゃない。──ってあら。九番ならあたしもビンゴじゃないの」

 ねぎらうついでにちょっと顔でも出してこようかしらねぇ、なんて。ティオレンシアは縦一列に穴の開いたカードを手に、ゆっくりとライゼに向かって歩いていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
あの、本当に大丈夫ですよね?
バーンとやって頭ごとバーンしないですよねっ?(念押しで確認)
一般人を打つのは抵抗がありますが呪詛を除去するためにはやるしかありません
驚かせたくはないのですが、さてどうすれば…そうだ

【花嵐】発動
ただし今回は攻撃ではなく花びらを舞い散らすために発動。
周囲の人が空からふる桜の花びらを見上げて、こちらから気が逸れた隙に銃を使います
(【ダッシュ】【先制攻撃】使用)
怖い思いはさせたくないので頑張ります

周囲に他の猟兵の方もいますので、連携していきましょう


シャルファ・ルイエ
戦闘は無事に終わりましたけど……。
ええと、

……う、歌いましょう!
ひとりひとり撃つよりはたくさん対処できますし、【白花の海】でふんわりした気分になって貰って、夢だったと思って頂きましょう。
急いでいたりこれから予定がある人も居るでしょうから、あまり長い時間や強い効果で拘束してしまわない様には調整しますね。
ふんわり夢見心地になって貰って、ふんわり忘れて貰うのが理想です。
大丈夫です、霞草も小さくて白いです。たぶんちょっと似ています。
呪詛に中てられた人のために、歌に《破魔》や《浄化》の魔力も乗せておきます。

歌で注意を惹いて居れば、もし他の皆さんが撃つ場合も演出の一環だと思って貰えるかもしれませんもの。


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
記憶消去銃……便利ですね。
ただ、『私が』撃つ事は、これまでと同じく、これからも無さそうです。

近くの書店で詩集を購入。
内容は……常ならざる存在を忘れさせてくれる、明るく健康なものが良いでしょうか。
自然や四季の移ろいを題材にしたものなど、ですね。

書店を出たらUC発動。
あの場にいた一般人を対象にして、癒しの眠りに誘います。

……記憶を消せば、解決する訳ではありません。
呪詛は心をも蝕むもの。ふとした切欠で表出化する可能性があります。
念には念を。施術前に安心させる事で、精神面の回復を早めます。

……それに、眠ってしまえば、万に一つも外しませんし。
UDC職員さん、記憶消去、お願いします、ね。



●方針

「戦闘は無事に終わりましたけど……。ええと、」
「そう、ですね……」

 シャルファ・ルイエ(f04245)の戸惑いも尤もだ。目の前に居る人達に向かって撃つ、これはなかなかどうして、彼らの為の行いと言われようと即座に実行できるかと問われれば首を横に振らざるを得ない。
 桜雨・カイ(f05712)はシャルファの言葉に濁すようなニュアンスの返事をする。困ったような、やや引いたような、ほんのり形容しづらい顔でカイは苦笑いを浮かべた。対してクララ・リンドヴァル(f17817)は少し興味を惹かれたのか、僅かに普段よりぼんやりとした目を開いて、ぼうっと銃を眺めている。

「記憶消去銃……便利ですね。」

 彼女のつぶやきにぎょっとした顔で二人が向き直る。まさか撃つのか。撃ってしまうのか。否、止める理由は無い。しっかりとした道理はこの場に無い。確かに銃を撃てば記憶消去という面での問題はクリアするからだ。なんならグリモアベースで勧められすらした。撃っちゃえばいいじゃんなんて背中を押されてしまった。はらはらする二人にようやく気付いたのかクララは手元の銃を下ろした。

「あ、いえ、私が撃つというわけでは……」
「そっ、そうですよね! すみません早とちりを……」

 わたわたとカイが軽く頭を下げ、そしてはっとして念押しするかのように再度二人に問う。

「あの、本当に大丈夫ですよね? 正面からいきなりバーンとやって頭ごとバーンしないですよねっ?」
「し、しませんしません!」
「はい。私が撃つ事は、これまでと同じく、これからも無さそうです」

 シャルファがその問いかけにぶんぶんと手を振ってとんでもないと所作で示す。クララもまた、自身は撃つ気が無いことをアピールするために銃を懐へと丁寧に仕舞った。真正面から一般人を撃ち抜く猟兵の姿はあまり想像したくない。

「よかったです……。一般人を打つのはやっぱり抵抗がありますから」
「わたしも真正面からはちょっと……」
「さすがに……」

 ふう、と三人で溜息を吐きながら認識を合わせる。内容が内容だけになんだかどっと疲れる会話だ。戦闘の時とはまた違ったベクトルの疲労がたまる。主に精神面である。
 カイはただ、と前置きして真面目な顔付になった。

「ただ、かといって記憶消去をしないのもまた違います。UDCによる呪詛の影響を受けてしまうのは好ましくありません」
「はい……記憶を消せば、解決する訳ではありません。呪詛は心をも蝕むもの。ふとした切欠で表出化する可能性があります」

 呪詛を除去するためにはやるしかありません、とカイは言う。クララもまた呪いの根深さを知っている身だ。それぞれの意見に全員が同意を示した。このまま放って帰ってしまえば徐々に呪詛は一般人の身を蝕んでいってしまうだろう。対処はやはり必要だ。グリモアベースで言われた通り、適切なアフターケアなるものがどうしても必要になる。簡単に言うとストレス除去。一般人の皆を誘って楽しい事をする。
 しかしそれにもまた限度はあるだろう。UDCの記憶を完全に消し去るにはやはり銃の登場が免れ無さそうだ。どうにも懐疑的な反応を示している疑い深い一般人には記憶消去の手段に出るしかあるまい。

「驚かせたくはないのですが、さてどうすれば……」
「……う、歌いましょう!」
「歌ですか?」
「はいっ! ユーベルコードを使って、ふんわりした気分になって貰って、夢だったと思って頂くのはどうでしょうか? ひとりひとり撃つよりはたくさん対処できますし。それに私が歌で注意を惹いて居れば、もし他の皆さんが撃つ場合も演出の一環だと思って貰えるかもしれませんもの」

 シャルファの提案はあくまでも一般人を驚かせないよう、己の歌を聞かせることで夢見心地な気分に浸らせたりどこかに視線を逸らすなどして、撃たれた気分を味わわせない配慮をもとに編み出されたものだった。
 クララもカイもそれに賛同し、それぞれが使えそうな案を共有していく。
 クララは己の持ちうる数多の技の中でも攻撃性のない、夢の世界へと旅立つものを。
 カイはもともと銃を撃つことになるならばと、あらかじめ考えていた案を言葉にした。己の持つユーベルコードを攻撃ではなく演出のために駆使することで使えないかどうかと提案する。

「なるほど、良い案かもしれません。それならば、私にも……有用なものが一つ。睡眠を振りまくのに適したものに、心当たりが」
「でしたら……無数の花びらに変える──本来はこれで敵を惑わせて斬り刻むような技なんですが、こちらを応用して花吹雪のように使ってみます。注目は集められるかと」
「どれも有効な気がします。それぞれやってみましょうか」
「お二人が何も言わず装填し始めたらどうしようかと思いました……」

 カイが照れくさそうに頬を掻くのに、二人はそれぞれ頷きと微笑を以て返す。カイはほっと胸をなでおろしたが、心のどこかに引っ掛かりを感じた。はて、誰かが妙な言い回しをしていたような。一体誰だっただろう。

●彼女は撃たない

「ではさっそく。まだ交差点で悩んでしまっている人を中心に行きますね」
「はい、お願いします!」

 カイの武器の一振りで、春めいた突風とともに無数の花びらが風に巻かれて舞い上がる。ビルの間を通り抜けていくそれに誰かが感嘆の溜息をついた。その隙を突くように、あくまでも驚かせないために。カイは素早く記憶消去銃のトリガーを引く。
 ぱぁん、とまるでクラッカーを弾けさせたかのような、小型の花火のような可愛らしい破裂音がした。先の棒人間ソルジャーズを彷彿とさせるようなコミカルチックな音はそのままとびぬけて、気難しい顔をしていたサラリーマンに次々と命中していく。
 一瞬びくりと身体を跳ねさせて、次の瞬間にサラリーマンは不思議そうに首をかしげながら交差点をあとにした。
 
「効果ありそうですね、よかった」
「ではこちらも続きますっ」

 すう、とシャルファが大きく息を吸う。戦った時の勇気づける様な声とは違う、眠りに誘う優しい囁き声。まどろみにおちていくのを導いてくれる子守歌。やがてゆらゆらと瞼を落とした通行人達は、あわてて被りを振った瞬間に今見てきた記憶ごと振り払ってしまったのだろう、ぽかんとした顔を浮かべている。
 この調子でやっていこう、とカイとシャルファは手際よく一般人に気づかれないように銃を使っていった。

「お二人に負けないよう、こちらも尽力せねばなりません、ね……」

 近くの書店で手にした児童向けの読み聞かせの絵本。そして春に咲きほころぶ花の図書。大きな其れをちいさな細い手で開いて、彼女はゆっくりと朗読を始めた。
 これはむかしむかしの、はるかむかしのおはなしです。ふかいきりのむこう、いばらのもりのむこうがわ。だれもしらないねむりひめと、そのおひめさまにかけられてしまったのろいのおはなしです。
 季節は巡り、冬の向こうに土の下から陽の光を浴びる為、力強く芽を出す花々達──。
 常ならざる存在を忘れさせてくれる、明るく健康なもの。自然や四季の移ろいを題材にしたものなど、彼女の選んだ本にはリラックスを促すための心遣いが散りばめられていた。
 引き込まれるように話に聞き入っていた彼らが眠りに落ちたのを確認すると、クララは振り向かないままにビルの人影に声をかけた。

「眠ってしまえば、万に一つも外しません。UDC職員さん、記憶消去、お願いします、ね」
「よくわかりましたね……すみません、どうしても秘匿観点から一般人には忘れて頂くほかないんです」

 ぞろ、と控えていたUDC職員達が一斉に記憶消去銃を構える。UDCアースにおける日常茶飯事とはいえ、本来ならばこれが特段カバーされることのないまま連続発砲で済まされていたのだろうから、この場に気配りのできる猟兵がいて良かったのかもしれない。
 なんなら彼ら彼女らのカバーが無ければ、記憶を消されてもUDCの恐怖とは別に撃たれる恐怖が魂に刻まれてしまいそうだ。
 ぱん、ぱん、ばーん。どん。どん。ぱらららら。なんだか花火のような音を立てながら次々と彼らの持つ銃はUDCの記憶を取り除いていった。

「眠らせたり、目を逸らしておいてよかった……」
「いえ本当に……」

 仕事は完遂だ。『私が』撃つ事は、これまでと同じく、これからも無さそうです。
 そう、彼女が言った通りに。

 なにはともあれ、これにて無事に依頼完了。UDCの脅威にさらされることなく平和は取り戻されたのである。
 誰かの記憶消去銃から剥がれたニコニコ😊じるしのシールが、ビル風にさらわれてひらひらと舞い落ちて。交差点の真ん中にぺたりと貼りついた。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月02日


挿絵イラスト