神獣の番人の片方が、その身を血に染めて倒れた。
「ムーニ!」
もう一人の番人が悲痛な声で兄弟の名を呼ぶも返事は聞こえない。
返答の代わりに――強大なる魔狼の力が、不死の怪物の力が浸みだしていく。その力を狂気の科学者たるその女は、傍らに並ぶ大型犬の顔を持つ配下に注ぎ込んでいく。
『ガ、ガガ……』
『ふぅん、スナーク化のシンクロ率は思った通り良さそう。あとは実践ね』
犬の顔が狼の銀色に染まり、その四肢も獣のそれと化していくのを、女科学者はただただデータ収集の為に観察するかの様に見つめていた。
『そろそろ異常事態に他の連中も来る事でしょう。まずはそこの残ったのから試しに血祭りに上げてご覧なさい』
「――ッ!!」
兄弟神の命奪われ、兄のフーニは目を拭いながら武器を取る。
悲しみに暮れる暇はまだ訪れないのだ、と。
●
「その兄弟神の片割れを救うには間に合いマセン、けど」
ルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は神妙とは程遠い笑みを浮かべたまま、集まる猟兵達に告げる。
「ヒーローズアースのアンダーグラウンド――センターオブジアースで事は起きマス」
太古の昔、神々は不死の怪物達を世界の中心に燻べ、その力を生命創造の礎としたと言う。そして神獣の番人と呼ばれる神々は今も尚、この不死の怪物が目覚めぬ様に見張り続けているのだ――が。
猟書家『アズマ』の遺志を継いだオブリビオンがその力を奪い、配下のオブリビオンに植え付ける事で不死の怪物を再現しようとしているのだ。
「スナーク化、とネーミングした上で……デスよ。そもそも猟書家の目的は、超生物スナークの創造なのデスから。恐怖の象徴としてゴッドの皆さんにインパクトを与えるつもりなのデショウ」
実際、不死の怪物の力を得たオブリビオンの集団はとてつもなく強化されており、無策で立ち向かった所で一体も倒せない可能性だってある。
すべき事は二つ、とルキヴァは二本の指を立てて笑いながら告げる。
「現地のゴッド達の協力を仰ぐべきデス。彼らはベリー強く、そして不死の怪物――シルバーウルフ達のウィークポイントを知ってマス」
そしてもう一つは、スナークと言う言葉の持つ恐怖を取り除く事。
「ある種のイメージ戦略とでも申し上げマスか。スナークとは元々意味を持ちマセン。人々がその言葉に意味を感じた時、初めて意味を有するのデス」
故に。恐ろしい魔物では無く、正義の猟兵組織の名として名乗れば、そう認知されるのだと。ある意味言霊の魔力だと、この鴉は面白がりながら告げるのだ。
銀狼の怪物を倒せば、残るは今回の黒幕たるオブリビオンのみ。
「マッドサイエンティストなレディが相手デス。好奇心で色々やっちゃう気持ち、まぁ解らない事はありマセンが……」
楽しそうに告げながら、このクソ怪しい妖魔はグリモアの転移の光を呼び出すと、ひらひらと手を振って猟兵達を見送るのだった。
「グッドラック――無事にお戻りを」
天宮朱那
天宮です。
立ち絵はヴィランっぽいけど猟兵ですヨ、一応。
猟書家シナリオです。正確にはその遺志を継いだオブリビオンの起こす事件。
プレイングボーナスは二つ。
「神々と共に戦う」
神々は強い上に不死の怪物の弱点や習性を知っています。協力体勢を築いて戦うと良し。オープニングに登場した神以外も駆けつけます。
「猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る」
敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害する事となります。
一章は集団戦。銀色の狼の力を注がれ、スナーク化と敵が呼ぶ超強化が施されてます。不死の怪物の力で簡単には倒せませんが、神々に聞けば弱点は解ります。
「フーニ&ムーニ」は鴉の神力持つ兄弟神。弟は死亡済。
二章はボス戦。真理の探究を求めて色々やらかすマッドサイエンティスト。本人は不振怪物の力を用いる事が出来ないんでレッツ袋叩き。
複数合わせは迷子防止に相手の名前(ID)かグループ名記載を。最大3人組まで。
技能の『』【】等のカッコ書きは不要。技能名のみ羅列は描写がシンプルになります。
公開と同時にプレイングは受付開始。
マスターページやタグ、Twitter(@Amamiya_syuna)などでも随時告知をしますので確認頂けますと幸い。
適度に人数集まったら〆切目安の告知予定。
使えそうだったらサポートもお願いするかもです。
11月満月目指して進行したいところで。
ご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『ダーティーポリス』
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POW : 動くな、止まれ
【銃弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【手錠】で繋ぐ。
SPD : 命をかけて全うする
【仲間と共鳴する咆哮により暴走状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : 我々には覚悟があるのだ
【絶対的な忠誠心】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大豪傑・麗刃
ちょっと待ったぁ!
何人かは知らぬが、きさまらの狼藉を見過ごすわけにはいかぬ。
なぜなら我々は秘密結社スナーク。間違いなく秘密結社なのだ。なにせこの
フォーティーナイナーズ
たるこのわたしがそう宣言してるのだからな!間違いない。
いや本当よ?
ということで偶然通りかかった善意の乱入者を装いつつ、フーニくんとやらにそれとなく助太刀を申し出る。
んで自然な形で相手の弱点を聞き出し、今日のわたしはガチ剣士モードで右手にサムライブレイド、左手にフライングシャドウの二刀流構えて相手が撃ってくる銃弾を斬り、ついでに弱点も斬って捨てる流れで。
それにしてもシリアスオンリーは頭痛が痛いのだ(強調表現としての二重表現肯定派)
不死の怪物。かつてこのヒーローズアースに存在し、神々によって地球の中心に今も尚封印され続けていた存在。
その力を注ぎ込まれたダーティーポリス達は二足歩行の犬警官の姿を銀色の狼に変えつつあった。
『グルルル……』
『グルァァッ!!』
他の神々も現場に集いつつある中。銀狼達は牙も爪も鋭く輝かせ、前傾姿勢にて神獣の番人たる神に襲いかからんとした――その時であった。
「ちょっと待ったぁ!!」
どこからともかく響く制止の声。銀狼達も思わず動きを止め、神々共々その声の主を探して視線を彷徨わせると。
ザッ……颯爽と彼らの前に姿を見せたのは先程の声の主――大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)その人であった。
「何人かは知らぬが、きさまらの狼藉を見過ごすわけにはいかぬ」
いつもの数倍増しのシリアスフェイスとシリアスボイスによる超絶シリアスオーラを放ちながら、愛用の刀を抜き放ち彼は更に続ける。
「なぜなら……我々は秘密結社スナーク!」
「スナーク……?」
「秘密結社、だと……?」
怪訝な声で聞き返す神々を前に、麗刃は胸を張って大きく頷いた。
「間違いなく秘密結社なのだ。なにせこの――」
> フォーティーナイナーズ <
「たるこのわたしがそう宣言してるのだからな! 間違いない」
「……ええと」
「失礼だとは思うが、本当かそれは」
首を傾げる神々。地上の映画やコミックに疎いとかいう問題でも無さそうな表情。
「いや本当よ?」
一応最終ランキング13位と言う素敵に不吉な数字でランクインした時の記録を見せながら麗刃が告げれば神々も納得したっぽい、多分。
『グルルル……』
「ってことで。フーニくんとやら」
銀の狼達が再び警戒し、身構えたのを見て麗刃もまた身構えて告げる。
「わたしは偶然通りがかっただけだが、助太刀してもよろしいか」
「何だか良くわからんが、お前が正義であるのならば」
マントを翻しながらフーニは返す。肯定の意味だろう。
「ところであれに弱点はあるのかね」
「――あの銀の毛は鎧の如く。そなたのその刀でも斬れぬだろう。だが」
フーニは目配せ一つし、銀狼の一体に向かう。その手にした槍で口の中目掛けて突きを入れて見せると、内側から穂先が銀毛を突き破った。
「なるへそ。口の中は弱いのだな」
なれば、と右手のサムライブレイドのみならず、左手にフライングシャドウを構え。颯爽と敵陣に向けて麗刃は身を投じる。
『グオォォン!!』
銀狼より放たれる銃弾すら、彼の二刀流を以てすれば恐るるに足らず。宙にて両断された鉛玉を尻目に、二刀の切っ先は銀狼の口内を捉え、内側より真っ二つに両断して開きにしてしまった。
「おおっ!」
「秘密結社スナーク……! 何と心強い!」
神々が彼の剣技を、戦いを褒め称える中。
(「それにしても……」)
シリアスオンリーはキツいにも程がある。
(「頭痛が痛いのだ――!」)
果たしてこの調子でどこまで持たせる事が出来るのだろうか。
目の前の敵群を斬り伏せながらも麗刃は苦悩に顔を歪めているのであった。
大成功
🔵🔵🔵
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
家族や仲間が殺された直後なのに戦う決意、オレの心に響いたぜ!
神々が愛してくれた地球と人々を守る為の力になりたいぞ!
まだ敵達と交戦していない神々と合流して協力体勢を持ちかけるぜ
生命の創造から現在までの永劫で守ってきた役割に敬い、
その上でオレも力になれる事をアピールするぜ
「オレが先陣を切る、敵達の銃への対処なら任せてくれ」
敵の発砲のタイミングを先の先で見切ったり弾丸を動体視力で捉えて、
命中されない為に『アースマスコット』で発砲の中の狭い安全圏に入れるように
極小の大地の小人に全身を変異させながら敵達に接近するぞ
敵達がオレに意識を向けさせすぎた隙に神々も攻撃に加わって貰って
一緒に敵達を撃破していくぜ!
小柄な身体に似遣わぬ程の巨大な斧を携え、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は神々の大地に立つ。
「家族や仲間が殺された直後なのに戦うその決意……オレの心に響いたぜ!」
神獣の番人たる兄弟神も残る片割れも。集まってきた多くの神々も。
同朋を失って尚、使命を果たすべく見せた意思はまごう事無く正義。不死の怪物の力を得て銀狼と化した犬警官の群れを前に、恐れる素振りすら見えぬのだ。
駆けつけてきた神々が戦闘態勢を取る中、グァーネッツォは躊躇う事無く声を掛け、呼びかける。
「オレも、神々が愛してくれた地球と人々を守る為の力になりたい! 助太刀するぜ!」
「其方は子供――いや、地上の戦士なのか?」
「ドワーフ族にして猟兵のグァーネッツォってモンだ!」
1mに満たない彼女は子供に見えなくも無い。だが神々は感じ取ったのだ。彼女が立派な戦士であり勇士である事を。
「オレが先陣を切る、敵達の銃への対処なら任せてくれ」
「あの飛び道具だな……! 其方、どう動くつもりか」
「ま、見ててくれ。銃口がオレの方を向いてる間に別方面から頼む」
力になるとアピールするのは言葉だけでは無い。生命の創造から現在まで、不死の怪物を封じながら永劫の時の中で守護し続けた番人達への敬意の元、グァーネッツォは躊躇う事無く銀狼の群れに向けて身を躍らせる。
『グアァォォッ!!!』
銀の狼達が銃口を一斉にグァーネッツォに向け、引き金を絞る。
ガガガ!と重なる銃声。だがその瞬間、彼女はその軌道を読みながら己の身を変異させる――。
「うりゃっ!!」
それは極小サイズの大地の小人。ただでさえ小さく捉えにくい的が更に小さく目視不能になり、銀狼達は見失って視線を泳がせた。
「今だな!!」
「うおぉぉっっ!!」
そのタイミングで神々が攻勢に出る。一気に横から距離を詰め、その弱点たる口の中に武器を突き刺し、次の攻撃をさせる隙も与えずに仕留めていく。
「この調子で撃破していくぜ!!」
グァーネッツォは元の姿に戻りながら愛用の斧を振り回しながら、神々との共闘に胸躍らせているのであった。
大成功
🔵🔵🔵
樹・さらさ
間に合わないにしても、出来る限りの事はしたいと思う。
神獣の番人であるなら彼らを守らねば、更なる被害が広がりそうだ。
猟兵組織「秘密結社スナーク」である、と宣言すれば良いのだね。
自身の光を利用して注目を集め、堂々と名乗ろうではないか。
正義の秘密結社である我々が、フーニ殿へと味方する。
弟君ごと守り抜いて見せるさ。
あの銀の毛並みは鋭く硬質な気配がするな…フーニ殿は何かご存じだろうか?
弱点が分かれば対処のしようもあるだろう。
Gabbia di smeraldo
翠玉の刃を小さめに構成して自身の剣を抜くとそれで指揮を執る様に動きを操り、口の中を狙う。
神々の…そして、私の舞台から降りて貰おうか!
喩え、その命失われる運命は避けられぬとしても。
間に合わないとしても、出来る限りの事は為したい。
「それに……神獣の番人であるなら彼らを守らねば」
樹・さらさ(Dea della guerra verde・f23156)は神域にて既に交戦が始まっているその場に颯爽と現れる。男装の麗人という言葉を体現した彼女は輝きを身に纏い、戦場と言う名の舞台に立つのだ。
「猟兵組織『秘密結社スナーク』、これ以上の被害を食い止める為に馳せ参じた!」
実際の舞台にて鍛えられた張りのある声の名乗りに、神々も魔獣も思わずさらさに視線を集中させる。堂々とした佇まいに掲げた細身の剣は騎士然として見えた事だろう。
「そなたも秘密結社スナークの者か……!」
「何と心強い……!」
先に戦う猟兵の名乗りもあったお陰で、更なる援軍の登場に神々もその表情を明るくする。――ただ一人を除いて。
「フーニ殿」
片割れを失いし番人たる神へ声を掛ける。目の前に広がる不死の怪物と化した銀狼達を睨み付け、捨て身とも無謀とも思える戦いっぷりにて傷付き続ける彼に、さらさは軽く息を吐いて続けた。
「助太刀する。弟君ごと守り抜いて見せるさ」
「――頼む」
そう、床に倒れたまま見えるは彼と同じ顔したムーニ神。彼の亡骸がこれ以上傷付かぬ前に――彼が死ぬまで守ったこの世界が壊れてしまわぬように……。
神々は各々武器を手に銀狼達と対峙する。封印された怪物の力注がれ強化された犬頭の警官達は、もはや只の獣の様に唸りを上げ、目に付く全てに噛み付かんと襲ってくる。
「あの銀の毛並み……鋭く硬質的な気配がするな……?」
「ああ、ご明察だ」
「……フーニ殿は何かご存じだろうか?」
長い事、封印を守って来たのだ。不死たる怪物もかつて倒された上で封印されたのであれば、その要素を持った相手の弱点くらいは知るだろう。そしてそれが解れば対処のしようがあるだろう、と。
「口の中はあの金属の毛並みに鎧われてない、と言えば後は解るな?」
「成る程、ね」
回りくどい言い方に苦笑いを浮かべながらも、さらさは手にした剣を指揮棒の如く掲げ、そして謡う様に唇に言葉を乗せる。
「Gabbia di smeraldo――」
周囲に生み出された翠玉の刃は常よりも小さく。水晶の如き剣の先で拍を刻む様に動かせば、幾何学模様を描きながら宙を駆け、翠玉が様々な角度より魔獣の口の中に斬り込み、貫き、内より抉り削る。
『『うがあぁぁぁっっ!?!?』』
「神々の……そして」
細身剣を思い切り振り切れば、飛び交う刃が一点――銀狼達の口内に集中し、その力ごと引き裂き霧散させる。
「私の舞台から降りて貰おうか!!」
本来の実力を見せる事が出来ぬまま、不死の怪物と化した魔獣達は骸の海へと送られていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
神獣の番人の守護を突破され、奪われし不死の怪物の力は犬の姿をしたオブリビオンに注がれた。
銀色の狼の恐るべき力を与えられたそれに対し、事態を収めるべく集まる神々、そして猟兵達は交戦を開始――既に多くの獣が地に伏せていた。
「けれどもまだ全ては倒され尽くしてはないのですね」
ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は残念そうに首を横に振る。
目の前で半ば捨て身にて戦うのは片割れ失いし神。何でも神獣の番人たる彼――フーニは弟のムーニの命を奪われたのだと。愛する家族を失った彼のその心を思えば、ソフィアは胸に痛みを覚えるよりなかった。
「届きなさい」
手を伸ばす。その先に示すは在ってはならぬ不死の獣。
「穿ちなさい」
放たれるは青玉髄。輝きを帯びたそれと、彼女の言葉は零度より遙かに冷たく。
「貫きなさい」
氷の力が狂犬達の四肢を捉える。超強化された銀色の毛皮は貫くまではさせてくれないものの、隙を作るには充分だった。
「今だ……!」
「行け、フーニ!!」
神々はソフィアの放った氷矢の弾幕にて敵に動きが鈍った瞬間を見逃さない。
各々手にした武器にて、その弱点たる口の中目掛けて攻撃を繰り出していく。
『グギャアァァォォォッ!!?』
銀狼と化した官憲の姿せし魔犬の悲鳴に眉を寄せながらもソフィアは神々に確認する様に問うた。
「まぁ、そこを狙えば良かったのですわね?」
「ああ、毛皮は鋼よりも硬いが口の中までは及ばぬ故に」
そうと知れば今度は狙いを定める。躊躇など無い。この世界に仇なす存在は、愛すべき命を奪いし存在は、骸の海に還してやるのが相応しい。
「わたくしの力が、仇討ちの一助となるのであれば」
それで少しでもこの兄弟神の心が晴れるのであれば、と。
煌矢を銀狼達の口の中目掛け穿つ。神々と共に貫く。
それはこの世界を愛し、そして護ると言う矜持なのだから。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『狂智のリースフェスト』
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POW : 残骸の再利用
全身を【繋ぎ合わせた蠢く死体 】で覆い、自身の【犠牲にした命の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 簡単な処方
【強力な催眠ガス 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ : 命への冒涜
自身の創造物に生命を与える。身長・繁殖力・硬度・寿命・筋力・知性のどれか一種を「人間以上」にできる。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ヴィヴ・クロックロック」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『……スナーク化した所で雑魚は雑魚ってことかしら』
かつての科学者であった女は実に軽く、そう告げた。
『まぁデータは取れたし上々って所かしら?』
「貴様、よくも……!」
飄々と曰う女科学者を前に、神獣の番人たるフーニは叫ぶ。
しかし彼の怒りなぞ気にも留めず。狂智のリースフェストは微笑んで返す。
『あら、光栄だと思いなさい。真理の探究には犠牲が付き物。今回はたまたま貴方の弟だった――それだけの事よ』
それが自分の命であっても彼女は笑ってそれを受け入れる。狂気の科学者は命を研究の触媒にしか思っていないのだから。
『さ、どいて。私は研究の途中なの』
「逃がすものか……!」
神々は怒りを胸に狂智の科学者を取り囲む。
彼女自体は怪物の力を取り込んではいないようだが、オブリビオンとしての力を得ている以上は簡単に倒せる相手ではあるまい。
不死の怪物の力を再度封印する為、猟兵達は神々と共に戦うのであった。
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
引き続き神々と共闘するぜ
聞けば聞くほど酷い戯言だが、力を得たのに敵達が裏切れてないから強敵で間違いなさそうだ、気を付けるぞ!
犠牲が好きという台詞からの嫌な第六感で、敵よりも先制して『茨竜の戯れ』で竜骨ナチュラルアックスの封印を解いて、オレが茨で幾らでも巻かれて良いからムーニさんの遺体を茨のドームで覆ったり、さっき倒した集団敵の骸をなるべく多く茨に吸収して、敵の死体悪用を防ぐぞ
ムーニさんも、敵だけどこいつらも、お前の為に死んだんじゃないんだぞ!
敵が覆う死体の数が少ない内に茨を伸ばし更に覆う死体を剥がし、隙を見て茨で動きを止めて神々の攻撃の隙を何としても作るぞ
これがお前では出来ない助け合いだ!
「聞けば聞くほど酷い戯れ言だな……!」
「うむ、まさに反吐が出るとは斯様な事を言うのだな……!」
グァーネッツォ・リトゥルスムィスと神々は、目の前のオブリビオンたる狂科学者――リースフェストの放った言葉に苛立ちを隠せずにいた。
同時にグァーネッツォは冷静にこれまでの敵の行動を分析していた。
(「さっきの銀狼達……力を得たのにあの女を裏切ったりしてないって事は……」)
つまりはあれらを従える手段を持つ、それなりの強敵と言う事は間違いなさそうだ――そう認識し、警戒を怠らずに身構える。
『どうやらどけてくれる気はなさそうね』
リースフェストは肩を竦めると、その手に三節棍を構えて一歩二歩と近付いてくる。見目は普通の女だが、妙な威圧感を与えてくるのはオブリビオン故か。
『折角犠牲になってくれたんだし、もっと役に立って貰っとこうかしら』
女科学者はふと周囲に散る銀狼の亡骸に目をやる。その中には神獣の門番の片割れ――のものも含まれていた。
「――っ!!」
嫌な予感しかしなかった。グァーネッツォは女の先程の言葉……犠牲を好む発言を思い出すと、咄嗟に竜骨ナチュラルアックスの封印を解きながら足を踏み出した。
「行け、茨竜の蔦よ!」
己の身を斧から溢れる茨に巻かれ、棘が皮膚に食い込みながらも彼女は蔦を思い切り伸ばす。その先にはムーニの遺体。伸びる蔦があっという間に神の亡骸を覆う茨のドームを作り上げる。
『あら、気付かれたかしらね』
そう言うリースフェストの周囲には銀狼の死体が轟く様に集まり、不気味なリビングアーマーとでも呼ぶべき形で彼女の身を覆っていた。
『残骸の再利用よ。ただ犠牲になるだけじゃ勿体無いじゃない」
「貴様という奴は……!」
フーニが怒りの声を上げた。危うく大事な弟の亡骸まであの女に再利用されてしまう所だったのだ。その憤怒は当然と言える。
「これ以上させるか……!」
更に死体が科学者の元に蠢くのをグァーネッツォは茨を放ち、捉え吸収して阻止する。
『あら、あなたも欲しかったのかしら?』
「ふざけるな……!!」
唇を噛み締めながら、怒りを声に籠めてグァーネッツォは叫ぶ。
「ムーニさんも、敵だったけどコイツらも、お前の為に死んだんじゃないんだぞ!!」
己の身を蝕む棘の痛みが増す。だが、神々の――殊にフーニの胸の痛みはこんな程度じゃ済まない筈だ。
「引っ剥がしてやる!!」
リースフェストが飛翔を始める前に、更に強化される前に。茨をこれでもかと伸ばし、覆う死体を剥がしていけば、その奥に女科学者の地肌の色が垣間見えた。
「神々は隙を見て……頼む!!」
「「応!!」」
蔦が振るわれ、その先にあるリースフェストの手足を掴み、動きを止めたその一瞬。
「「うおぉぉぉっ!!!」」
神々がその力を放ち、女科学者に向けて幾重もの攻撃を仕掛けた!
『うっ、ぐうぅっっ!?』
「どうだ……これが……」
斧から溢れる茨に覆われながらも、グァーネッツォは不敵な笑みを向けてこう告げた。
「これがお前では出来ない助け合いだ!」
堂々としたその言葉に、共闘する神々もまた大きく頷くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
樹・怜惺
さらさちゃん(f23156)とー
なーんか黙って聞いてりゃ無茶苦茶言ってんなァ
使うんならテメェの命だけ使ってろよ、感じ悪ィ
軽く目で合図して、こっちは目立つように堂々と前に出とくか、挑発しといて意識を向けさせる
モノになって無ェ研究にどんだけ手間かけたって無駄にしかならねェよ、どーせココで終わりだ
戦闘力増強だろうが何だろうか好きにしやがれ、倒せんなら多少の怪我くらいどーでもイイ
さらさちゃんの攻撃が当たったら、そのまま全力疾走で突撃
ナーイス、後はオレに任せといて☆
繋ぎ合わせた死体には一寸ごめん、って言っといて、後は纏めて全力でぶん殴る
文字通りの一撃必殺、あの世でテメェがヤってきた事の報いを受けな!
樹・さらさ
怜惺(f31737)と
何とも気に入らないね、尊厳を侮辱する言い方は人として有り得ない
万が一の可能性も無いがこの先役に立つものだったとしても、研究とやらはここで終わりとさせてもらおう
怜惺に先に出てもらい、気付かれないように物陰を移動し、攻撃が通せる位置へ
緑薔薇のスローイングダガーに翠光を纏う衝撃波を纏わせて足元辺りを攻撃する
ついでに催眠ガスも掃えるなら良いけれど、無理そうならそのままダガーの後を追う様に動いて剣閃の衝撃波で吹き飛ばすとしよう
この攻撃がメインではない、相手がバランスさえ崩してくれればそれで良い
私の攻撃は軽くて、止めを刺すのには向いてないからね
後は怜惺に任せるさ、行け!
「さらさちゃんお待たせ-」
樹・怜惺(Guardiano della Dea Verde・f31737)の聞き慣れたその声に、樹・さらさは振り返ると思わずその口元を緩めた。
「助かるよ。人手は幾ら有っても困らないからね」
「それにしても、到着してすぐに嫌でも聞こえたんだけどさ-」
怜惺はへらっとした笑みから一転、険呑な表情を浮かべて敵の……狂科学者の方に視線を向けて呟く。
「なーんか黙って聞いてりゃ無茶苦茶言ってんなァ」
「ああ、何とも気に入らないね。尊厳を侮辱する言い方は人として有り得ない」
「文字通りヒトデナシって言うヤツ?だよね」
流石に姉弟の会話は当のリースフェストにも聞こえた様で。先程まで身を覆っていた屍が崩れ落ちるその向こうでギリッと奥歯を噛み締めながら女は告げる。
『凡人には解らないでしょうね、この天才の糧になれる素晴らしさなど――』
「使うんならテメェの命だけ使ってろよ、感じ悪ィ」
ぺっと唾を吐き捨て、怜惺は女科学者の言葉を遮った。聞いているだけで耳が腐る。同時に軽く姉に目配せしつつ彼は前に出ると、挑発の如き言葉を重ね続けた。
「大体、モノになって無ェ研究にどんだけ手間かけたって無駄にしかならねェよ、どーせココで終わりだ」
『モノになってないかどうか、貴方自身のその身体で試して差し上げるわよ?』
リースフェストはパチンと指を鳴らす。其処ら中に散る銀狼の屍が彼女の周囲に蠢き身を覆う。醜悪なるリビングアーマーを前にしても怜惺は恐れるどころかふてぶてしく笑っていた。。
「戦闘力増強だろうが何だろうか好きにしやがれ。テメェを倒せんなら多少の怪我くらいどーでもイイし気にもしねェよ」
『その減らず口、後悔するなら今のうちよ?』
死体鎧が動き出す。その見目に反し、動作は速い。怜惺が身構えるよりも早く、その攻撃が届かんと言うその時だった。
緑薔薇が――いや、翠光を纏ったダガーが死体鎧の足元を砕いた。動きを止められた瞬間、リースフェストは気が付いた。さっきまでいた筈の、金髪の姉弟の片割れの姿が見えない殊に。
『まさか、減らず口は陽動……!』
「気付くの遅ェよバーカ!」
全力で敵に向け駆けた怜惺。軽く地を踏み込み、鎧のアゴに当たる部分に思い切り両足で蹴り付けた。
更にダガーが狂科学者を襲う。その身に轟く死体を吹き飛ばす衝撃波。さらさのその投擲は百発百中。
『どこに隠れても無駄よ……!』
狂科学者が催眠ガスを放つ。だがそれもさらさの放ったダガーの翠閃が消し飛ばし、吸い込む事は免れる。――だが、同時に斬り裂いた煙の軌跡より彼女の居場所は相手に知れる事となる。
『そこね……!!』
崩れかけた死体をどうにか寄せ集めながらリースフェストはさらさが身を隠す木々の隙間に身を向ける。だが対するさらさもダガーを放ち、それを追う様に身を晒し駆け出した。
『見えていれば、どうってことないわね!』
「残念ながら、この攻撃がメインだと誰が言ったかな?」
手にした剣がしなり、衝撃波が敵を襲う。狙った箇所に当たらずとも充分。
「私の攻撃は軽くて、止めを刺すのには向いてないからね」
だから、敵を翻弄する。そのバランスを崩し、咄嗟に動けなくするのが姉の役割。
ぐら、と屍で作られた足が砕けた。執拗に狙った足元から切り崩せば――
「行け、怜惺!!」
「後はオレに任せといて!!」
――ぶちのめすのは、弟の役割。怜惺は一気に距離を詰め、その握った拳に己の力の全てを籠め、振りかぶった!
「文字通りの一撃必殺、あの世でテメェがヤってきた事の報いを受けな!」
『なっっ!!??』
繋ぎ合わせられた死体には一寸ごめん、と心の中で詫び一つ。全力でぶん殴った死体の鎧は完全に吹き飛び、その中にいた女科学者も遙か彼方にぶっ飛んで消えた。
「万が一の可能性も無いが、この先役に立つものだったとしても――」
見事に決めた弟の一撃に感嘆の息を漏らしながら、ぶっ飛ばされた女科学者に向けて、さらさは告げる。
「研究とやらはここで終わりとさせてもらおう」
「さらさちゃん、聞こえてないと思うよアイツには」
――決め台詞を茶化して台無しにする弟。
「…………」
ぺちん。
「あいてッ」
そんな彼の額を軽く叩き、制裁を加える姉なのでありましたとさ。
大成功
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大豪傑・麗刃
時として思う。こういう時でもネタを入れたいと思う私は、実はサイコパスというやつなのではないだろうかと。
実際、目の前の相手に対する怒りはまったく湧いてこない。ただ怒りがあるとすれば、このわたしにシリアスを強いてくる事なのだ……え?ならこんな冒険に入るな?それ言っちゃあいけないよ。志村けんがだいじょうぶだぁでガチシリアスやるようなもので……
以上モノローグ。
ともあれ、だ。
真理ノ探究ノタメニ犠牲ハツキモノデース、と。まあ、そういう考え方もあるだろうね。
ならばわたしの剣のためにきみを犠牲にしても恨むまいな。わたしもまた探究を行うものなのだ。
なんか字数足りなくなったのであとは二刀流で全部斬って解決とする
大豪傑・麗刃(23さい)は時として思う。
こういう時――すなわち『シリアス』と言う状況下においてもネタを入れたいと思う己は、実はサイコパスというヤツなのではないだろうか――と。
神獣の番人たる兄弟神の片方が殺められ、不死の怪物の力を奪われた。その力注ぎ込まれたオブリビオンすら実験台=道具としか見ていない狂科学者に、神々は怒り心頭なのは理解はしている。しているのだが。
麗刃自身はと言うと。実際目の前にぶっ飛んできたこの相手に対する怒りは全く以て湧いてこないのだ。
ただ怒りがあるとすれば……。
「このわたしにシリアスを強いてくる事なのだ」
「じゃあ、何で行って来たんデスかユーは」
「それ言っちゃあいけないよ」
帰還後、出迎えた鴉の妖魔ですら呆れる始末であった。有名なコメディアンですらお笑い番組でガチのシリアスをやるんだし、と麗刃は言うが。
「まァ、主義主張はどうでも良いんデスよ。結果オーライなのデスから」
時を戻そう。女科学者を前に、麗刃は両手に愛用の刀を構えて立つ。
『あなたも、私の研究に……真理への探究にケチをつけようって言うの?』
「まあ、そういう考え方もあるのだろうね」
特に怒りも悲しみも見せる様子も無い麗刃の回答に、リースフェストは驚いた表情を見せた。
『否定しないのね? 探求の為には犠牲が付き物――凡人には理解出来ないのよ』
「ならば。わたしの剣の為にきみを犠牲にしても恨むまいな」
『――え゛』
表情を変えぬまま言い放った麗刃の言葉に、女科学者は思わず固まった。
同時に察した。この猟兵の男、決して凡人では無いのだと言う事に。
「わたしもまた探究を行うものなのだ」
天才? いや違う――鬼神……もとい、奇人なのだ。色んな意味で――!!
二振りの剣が女の身を一刀両断に処した。ここまでボコボコにやられ続けてきた上に、このヒトデナシたる己以上の思考を以て対峙された以上、既にリースフェストに為す術は無かったのだ。
センター・オブ・ジアースに再びの平穏が戻る。
今回の事件に携わった神々は後に語る事であろう。
狂気(スナーク)を制したのは狂気(へんじん)であった、と。
大成功
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