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ホーライ・エフェクト・エンジョイメント

#キマイラフューチャー #【Q】 #戦後 #バーチャル遺跡


●秋山明浄にして粧うが如く
 キマイラフューチャーでは今ボディペインティングが大流行している。
 インクを使って直接自身の肌に描いたり、転写シートを使ってタトゥーっぽくしてみたり。
 バーチャル世界で溢れる色をスポイトして取り込んで、お気に入りの色を作る。
 好きな画像にシートをかざせば即座に転写されて、切り取ったシールが自身を彩る。

 今日はどんな色にしようかな? どんな柄にしようかな? どんな画像で『わたし』を飾ろうかな?
 そういえば、今は『秋』なんだっけ? 見かけた紅葉の映像に転写シートをかざせば『秋』が手元にやって来た。
 タトゥーシールみたいに貼ってみればわたしだけの秋。
 銀杏の黄金、夜空の三日月、パープルやオレンジの小さな花を爪先に散らすように貼ったり描いたり。
 あ、このイラストはお友達にぴったり。喜んでくれるかな?


「秋っぽいところに出かけてみませんか?」
 挨拶を終えた冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)が猟兵たちにそう言った。
 真っ白い毛並みのはずのイロハは、今、オレンジの斑模様となっていた。その手には綺麗な画像のシートや絵具セットらしきものを持っている。何か言いたげな周囲の視線にまぁまぁと手を振って斑模様のケットシーは話を続ける。
「本物の秋ではないのですけれど……行き先はキマイラフューチャー地下の古代バーチャル遺跡になります」
 夏頃、ドン・フリーダム(CG)が現われた遺跡である。
「広大なバーチャル遺跡の内部を探索して、キング・ブレインさんの配下に先んじてここを掌握することができれば、後々の戦いで役立つかもしれませんっていうあれです。皆さんにはこの遺跡を散策……じゃなくて、探索してもらいたいのです――軽い気持ちで、お散歩気分で、探索してくださると助かります」
 今回イロハが案内する古代バーチャル遺跡は、ちょうど秋景色な山らしい。
 錦秋。
 岩を降る清涼な沢の音。
 空は茜だったり、爽やかな青と鰯雲が見れたりと様々。
「行楽の秋っていいますものね。バーチャルですけど、美味しいお弁当を持っていったり、スケッチをしたり、紅葉狩りができるんじゃないかなと思うのです。バーチャルですけど」
 それでですね、とイロハは持っていたシートを猟兵たちに見せた。
「今、キマイラフューチャーではボディペインティングが流行り遊びのようなのですが、皆さんも遊んでみませんか? 私が持っているこれはバーチャルと相性のいい転写シートなんです」
 まっさらなシートをバーチャルにかざすと、即座に転写されるという物だ。切って貼ってタトゥーシールのようにして遊ぶらしい。
「こっちは絵具セットです。スポイトでバーチャルを吸うと色が取り込まれます。この色をまっさらな絵の具に浸すと、その色や模様が出来上がるんですね」
 ……成程、イロハは自身で試してオレンジに染まってしまったのだろう。斑なのは金木犀の模様だからだろうか? 彼女を知る猟兵は納得した。
「古代バーチャル遺跡でコンコンコンをすると何か出てくると思いますので、それを使って転写してみるのも良いかもですね」
 季節の花、可愛らしい食べ物、イラスト集などがあるかもしれない。
 で、ここからはお仕事のお話です。とイロハが言う。
「遺跡のなんらかの防衛機構が働いているようなので、遊び終わったらコンコンコンして、怪人軍団のCGを見つけにいきましょう。コンコンコンしたら雨が降ってくる場所があるのでそこが戦場となります」
 出てくる敵はイリディセントたち。
 猟兵の攻撃を吸収する雲を纏い、虹色にきらめく光の雨を降らせる。ひらひらと舞うきれいなリボンは時に猟兵の行動を制限するだろう。
「イリディセントたちはCGですがキマイラフューチャーの技術はすごいので、普通に攻撃してきますし、こちらの攻撃もばっちり当たります。景色の紅葉は少しずつイリディセントたちの色に染まっていくかと思いますが、バーチャルなので自然なことです。戦場の変化も楽しめるかもしれませんね」
 目的は探索した場所の掌握と、防衛機構である怪人軍団のCGを撃破すること。
 そして秋の満喫。
「最終的に目標を達成できればおっけーですので、あまり難しく考えず、バーチャル空間で遊んできてくださいね」
 そう言ってシートや絵具セットを渡しつつ、イロハは猟兵たちを送り出すのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 ピクニックしたいな、って思ってキマイラフューチャーを覗いたら何故かバーチャル遺跡にいた。

 はい。バーチャル遺跡です。
 やれることは、
 秋の行楽系・ボディペインティングで遊ぶなどなど。どっちか片方だけでもOKです。
 キマイラフューチャーらしいビビッドな空間にも行けますので、ご希望あればプレイングの方でよろしくお願いします。
 コンコンコンすれば要望のアイテムは大体出てくるかと……バーチャルだったりバーチャルじゃなかったり。
 絵の具もやりたいことあれば、挑戦してみると良いかと……。
 のんびりしたりなど、楽しく遊べばOKです。
 イリディセントたちもふわふわ(きらきら)しているので、ふわふわでいいのです。
 戦いでも塗料で遊べるかもですね。

 再送のお願いをしたり、サポートさんのお力を借りたりするかもしれません。
 締切日時などのお知らせはタグやマスターページ、Twitterなどでお知らせしていきます。
 では、プレイングお待ちしています。
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第1章 冒険 『固まるペインティングで大騒ぎ!』

POW   :    ボディペインティングを試してみる

SPD   :    ペンキの出どころを足で探す

WIZ   :    ペンキに新たな魔力を加えてみる

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箒星・仄々
キマフューでの行楽の秋!
楽しそうですね

まずは銀杏並木を散策です
バーチャルなので緑色から黄色に
早送りのように変わっていくのが面白くて素敵です

そしてぎんなんの匂いもリアルに再現していますよ?
CGだから大丈夫とわかっていても
落ちている実を踏みつけないように
気をつけて歩いちゃいます

銀杏の葉をシートに転写して
竪琴にペタリ

今度は紅葉の森へ
緑黄赤と三色のコントラストがまた綺麗ですね
CGの紅葉の葉がくるくるくるりと
宙を舞い落ちていくのにもまた
見惚れちゃいます

スポイトで三色を取り込んで
イロハさんのように毛皮を三色紅葉で染めてみましょう

気の向くまま竪琴を爪弾きながら
秋の風情を堪能しながら遺跡を探索します



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が降り立ったのは緑鮮やかなイチョウ並木。
 ごつごつとした幹を辿り見上げれば、仄々と同じ、濃淡ある美しいエメラルド色の葉が風に揺れている。仄々の瞳に映った葉が少しずつ黄色へと変化していく、バーチャルの秋。
「すごいですね」
 移る彩に感嘆の息を零す仄々。
 若葉の色から承和色へ、黄金と変化した葉がまるで小鳥のようにひらひらと落ち始める。
 やがて滝のようになっていく落葉は、香ばしい匂いを立たせてリアルな秋を見せてくれた。
 葉に触れてみて、その滑らかな感触に摘み上げる。
 なぞればどこかつやつやとした葉脈。本物みたいなイチョウに仄々は微笑んだ。葉っぱの匂い。
「……! となれば、ぎんなんも?」
 そっとつま先で地面の葉を払ってみれば、ころころと出てくるぎんなん。
 踏んでしまうと独特な匂いを放つ実たち。
「え、ええと……これもCGですよね?」
 匂いがブーツの裏に付着することはないだろうが――敢えて試す勇気は出なかった。
 踏みつけないように気を付けて歩く仄々。ふわふわとした落葉の絨毯を楽しむ。
 見上げれば薄い青の空には鰯雲、額縁のように囲い飾るは鮮やかな黄色の葉たち。
 小さい葉もあれば、切れ込みが深い大きな葉もある。大きな葉を拾いかざしてみれば、仄々の顔ほどもあった。
「お化けのような葉っぱさんですね」
 驚いたもののその葉っぱとはサヨナラをして、次に程よい大きさの綺麗な葉っぱを見つけた仄々が転写シートをかざす。
「確か、イチョウの花言葉のひとつに『鎮魂』がありましたねぇ」
 転写された葉っぱを切り取って、カッツェンリートにぺたり。生き身に魂を落ち着かせる方の意味だろうけれども、鎮めには変わらず。数多の鎮魂を導き奏でてきた竪琴にぴったりだ。
 黄金の並木を歩いていくと景色は赤色が混じる森に変化していく。
 ひらりと落ちてきた一枚を手にしてみれば、葉の先端から若葉色、黄色、そして赤へと染まりゆくモミジ。
 すっかり赤へと色付いたモミジが舞い落ちていく佳景。
「紅葉に見惚れちゃいますね」
 先程のイチョウ並木と同じように空を見上げてみれば、雲一つなき青空に色付く紅葉。緑から黄色、赤へとグラデーションのかかるコントラスト。
 楕円の葉やモミジの掌状葉。木々によって違う紅葉。
 バーチャルの景色は奥行きがありそうでいて、けれども近い。
 スポイトを使って三色を取り込んで。透明絵の具に垂らせば綺麗な紅葉に染まる。
 それは雫に映った景色のようにも思えた。
「えっと、こうですかね?」
 筆に含ませた絵の具を試しに手の甲に塗ってみる。
 黒地の毛並みに、赤や茶、緑や黄色がペイントされていって楽しくなってくる。まるでデジタルの筆ブラシのようだ。
 紅葉に自身を染めれば、三毛猫ならぬ三毛っぽいケットシーな仄々の出来上がり。
「三毛ケットシー、ミケットシー?」
 新しい種族っぽい。
 ふふりと笑って、イチョウを飾るカッツェンリートの弦を爪弾いた。
 気の向くままに奏でるのは即興曲。
 詩は秋を愛でるもの。

 キマイラフューチャーの古代バーチャル遺跡。
 そこはきっと、絶えてしまったであろう時代を映す場所。
 人類滅亡前にあったであろう景色。楽しい暮らしに満ちる世界にほんの少しの郷愁。
 仄々の音色がさらなる秋を呼び起こす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
せっかくだしのんびりさせてもらおうかな?

大きな戦いも終わった後だし、行楽に出かけるつもりで参加してみよう
料理は出来るから弁当は持参で
紅葉を楽しみながら弁当を食べて、舞い落ちる紅葉を眺めながらのんびり昼寝とかも良さそうだ、まぁバーチャルみたいだけど

昼寝が終わったら秋の山の中を散策してみよう
秋の味覚の美味しい食べ物も沢山ありそうだ
バーチャルだから食べられないけど

大自然の中を目一杯満喫しよう
それにしても、これが本当にバーチャルなのか…凄い技術だな
本物と見間違えるくらいに凄くリアルだ
あぁ、お弁当食べたばかりなのに、またお腹が減ってきちゃった…
何かコンコンすれば食べ物出て来ないかなぁ…



 アポカリプスヘルで起こった大きな戦い。まだ見ぬ火種も、新たな火種もまだあちこちに燻っているが当面の危機は凌いだ。
 戦い続けてきた猟兵たち――鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)もまた一人。戦いの日々に身も心も削ってきた猟兵は、束の間の休息を過ごす。
 ひりょが降り立った場所は見晴らしの良い峠の一帯。
 秋に染まる湿原は紅葉と黄葉。落葉の香ばしい匂いが立っていた。
 大きなカツラの木の根元に座り、鞄をごそごそと。
「行楽といったらお弁当だよね」
 仕込んでおいた食材を朝早くに調理して詰めてきた。
 いただきます、と、ひりょが手を合わせる。
 弁当箱はご飯もおかずもたっぷり入るもの。四点ロックを外し蓋を開ければふんわりと美味しそうな匂いが漂った。
 程よく時間を置いた弁当ならではの香りはどこか懐かしい。卵焼きは落ち着いた色合いに。タコとカニのウィンナーはブロッコリーの緑に合わせて。アスパラの肉巻きときのこ炒めは味を濃くして秋の彩り。ご飯は栗と蕎麦の実を一緒に炊きこんだもの。
 飲み物は温かい紅茶。ほんの少しだけ、甘くした。
 ここは古代バーチャル遺跡ではあったが、キマイラフューチャーで絶えてしまったであろう時代も映す場所。
 リアルな秋風がそよそよと。
 秋を楽しみながら弁当を食べ終えたひりょが太い幹に背をもたせかけて、舞い落ちる葉を眺める。カツラの周囲にはモミジとイチョウ――赤と黄の葉がひらひらと落ちていく様は、まるで小鳥たちが遊んでいるかのようだ。
「長閑だなぁ」
 ぐっと伸びをして少しだけ目を瞑る。辺りの気配は自然そのもので。
 カツラの落葉が甘く香る森林浴。鳥の訪れや飛立ちに枝が揺れて葉擦れの音色。
 少しずつ力を抜いてリラックスしていく――。

 穏やかな時の流れにまどろみ、十分に休息をとったひりょが秋色に染まる峠を散策する。
 木道を歩いていけば真っ赤な実のナナカマド、紫色の花を咲かすリンドウと心和むものと出会った。 
「実があるってことは、秋の実りがあったりもするんだろうか」
 そう思って周囲を見回せば、蔓の絡む木からはアケビの甘い香り、山ぶどう、そしていがぐりが落ちている一帯を見つけたり。濃茶の栗皮がのぞいている。
「それにしても、これが本当にバーチャルなのか……凄い技術だなぁ。あ、ちゃんと痛い」
 いがぐりをつつけばやっぱり痛かった。
 バーチャル遺跡に出てくる怪人も攻撃したり、攻撃できるくらいなのだから、ほぼ実物といってもいいぐらいのリアルさ。
「とはいえ、ここもキマイラフューチャー。コンコンコンすれば何か出てくるのかな――食べ物とか」
 昼寝をしたらちょっと小腹も空いてきた気がする。否、それどころではない。言葉にしてしまえば自覚しはじめる。
「あぁ、お弁当食べたばかりなのに、またお腹が減ってきちゃった……」
 自身の腹(胃)と話し合って改めた認識を呟く。
 たくさん食べるひりょは、今回持ち運びやすいように弁当箱も一つだけだった。
「……重箱にするべきだったかな……」
 そう言いながら大きな木の幹をコンコンコンしてみる。
 ぱかりと幹の一部が扉のように開き、からくり時計みたいにグンと何かが出てきた。
 ほかほかした包み紙。
「こ、これは! 肉まん!」
 あとお茶。
「しかもコンビニのやつだ……!!」
 バーチャルリアルな怪人もたまにはコンビニの肉まんも食べたくなる。
 ちょっと肌寒い秋の夕方の帰り道、ふらっと寄ったコンビニ肉まんはとてつもなく美味しく、幸せを感じる。
 自然の中で味わう都会(?)の味。
「キマイラフューチャーって本当に不思議な場所だよね」
 コンコンコン。他には何が出てくるんだろう?
 怪しいところをコンコンコンしながら、ひりょは秋の散策を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
【かんにき】
秋山は黄と赤に染まって鮮やか
夏から秋に変わる空気は澄んだ感じがして
ガーネット、イガイガ栗落ちてる
こっちにはキノコ
ふふ、秋の味覚
わたしの橙色のリュックの中にも、沢山の味覚(お弁当)が詰まってる
水筒にはお茶もご用意してる
後で一緒に食べよう

んむ、鳥の声
バードウォッチング?わたし初めてやも
いつもたまこを見るのとは少し違う?
わくわくしながら双眼鏡で空を見て
ん、こっち?あっち?
いた、木の枝
顔がパステルカラーの可愛い子
種類は…ふふ♪(可愛いしかわからない顔

お昼を食べたら木をコンコン♪
ん、絵の具セット
空や花の色を吸い取り絵の具に浸し、あちこちにペインティング!
ガーネットには、銀杏の黄♪


ガーネット・グレイローズ
【かんにき】

バーチャル古代遺跡か。ステラマリアにもVRマシンはあるけど、
技術力ならこちらが上かもしれない。さあ、何をして遊ぼうか?

ひんやり澄んだ空気、草木の匂いはまさに秋の山だね。
おっと足元注意…栗やきのこを踏まないように。
山道の傾斜、足元の土の感触を確かめながら、
紅葉狩りとバードウォッチングを楽しむよ。
杏、鳥の種類がわかるかな?

昼食を摂ったら、コンコンコン装置を探しに行こう。
私は一度、あの機械を操作してみたかったんだ。
ペイントブキを使って、メカたまこEXをカラフルに
塗って遊んでみよう。バーチャル鳥の羽毛や花の色を
スポイトして、杏には紅葉の赤をプレゼント!
転写シートで花模様のシールも作りたいね



 秋。木々の葉が色付く実りの季節。
 キマイラフューチャーの古代バーチャル遺跡が四季を構築する。失われた時代の、今もある季節。
 緑葉から変じた承和色。鮮やかな黄イチョウがひらひらと舞い落ちる様は、小鳥たちが遊んでいるかのよう。
 紅葉した葉が落ちれば薫り立つ。
 すい、と斜に舞うモミジを見つけたガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が手の平を上向ければ、羽休めのように落ちてきた。彼女と同じ赤。
 モミジに触れたガーネットは僅かに目を瞠った。
「ステラマリアにもVRマシンはあるけど、技術力はこちらが上だね」
「ガーネットの宇宙船にも秋がくる?」
 彼女を見上げた木元・杏(焼肉処・杏・f16565)の瞳は好奇心が宿っている。気心知れた少女を相手にガーネットの表情が緩んだ。
「うん。艦内の手入れされた植物園は、今は秋の花が咲いている。それにVRマシンでいつでも春夏秋冬の風景を楽しめるようになっているよ」
「ん。季節を感じる――みんなきっと懐かしく思ってる」
 スペースシップワールドにとってはもう失われた四季。けれども自然ある風景は人々の心に郷愁を呼び、地の根付きという切望を宿す。広大な宇宙で旅を続ける活力となる。
 峠の木道を歩きながら二人は秋を楽しんでいく。木道を逸れれば落ち葉の絨毯。
 カサカサカサリと音が鳴ったり、しっとりとしていたり。
 見上げれば薄青の空に鰯雲、縁取る紅葉に一際鮮やかなナナカマドの赤い実。
 秋山は黄と赤に染まって鮮やかだ。
 夏の鬱蒼としたものから秋へ変わった山の空気は澄んでいる。杏は夏から秋への変化をあちこちに見つけていく。
 山の空気は少しひんやりとしていて肌寒かったけれども、歩いていると体がぽかぽか温まってくる。それが心地良い。
「ガーネット、イガイガ栗落ちてる」
「おっと」
「こっちにはキノコ」
「足元注意だね――栗やきのこを踏まないようにしないと」
 イガイガはやっぱり痛い。それに守られている栗の実がつややかだ。
 その栗に似たクリタケ、鮮やかな赤のタマゴタケ、よくよく見れば秋の実りがそこら中にある。
 木の階段のようになっているムキタケ。
「ふふ、アケビもある。秋の味覚がたくさん」
 杏も、お弁当という形でたくさんの秋の味覚を橙色のリュックに詰めてきた。自然と歩みが弾んでくれば、さらなる弾みの声に気が付いた。
「んむ、鳥の声」
「バードウォッチングが出来そうだ。杏、鳥の種類がわかるかな?」
「バードウォッチング?」
 わたし初めてやも――楽しそう、と杏がいそいそと双眼鏡を取り出した。いつもたまこを見るのとは少し違うのかな、なんて思いながら。
 声を辿って木々の間を探鳥する。
「ガーネット、今どこ?」
「杏、こっちこっち」
「ん、こっち? ――あっち?」
 あ、空に出ちゃった。角度を戻してガーネットにくっつくようにして杏が辿る。
 小枝で頭をカキカキしていたメジロが枝を伝っていく。
 ゆらゆらゆりかごのように揺れる枝の間にヤマガラ。
「ガーネット、ふんわりした子がいる」
「んー? あ、いた」
 杏の指差す先を辿ればパステルカラーのフジイロムシクイ。
 気儘に枝を伝って遊んだり、餌を探したりしている鳥たちの微笑ましい様子に二人の表情も和やかなものに。

 水筒からお茶を注いでほっと一息。
 広げたレジャーシートの上には杏が作ってきたお弁当。
 お弁当はそばの実と栗ご飯のおにぎり。チンゲン菜と舞茸のソテー、さんまの竜田揚げ。秋アレンジした卵焼きなどなど。
 美味しいね、なんて会話も長閑な風景に馴染むのんびりとした声。
 秋の味覚をたっぷり味わったあとは、食後の散策がてらコンコンコン。
 まず杏が挑戦してみると、出てきたのは琥珀糖。
「この辺が怪しいかな?」
 コンコンコン初挑戦(?)となるガーネットが少し緊張して、けれども好奇心いっぱいの目でコンコンコン。
 からくり時計のように木の根元が開き、グンッと押し出されるように出てきたのは絵の具セット。バーチャル空間を楽しむための道具だ。
「やった、ガーネット、絵具セットゲット♪」
「さっそく遊んでみよう、杏」
 ガーネットから渡された透明絵の具とスポイトを交互に見て、杏はまず空の色をスポイトしてみた。
 薄らとした雲が滲む、青。リンドウの紫、爽やかな色のルリマツリ。パレットに広がる彩。
 先ほど見つけた鳥をイメージして手の甲に描く杏。まるで小鳥が降りてきたかのようでわくわくする。
 一方、ガーネットはにわとり型ドローン・メカたまこEXをカラフルにしていく。
 先程の鳥、フジイロムシクイを見つければスポイトして藤色のグラデーション羽毛。ふわふわとしてそうな質感ペイントだ。
「カラフルたまこ……」
 仕上がりを見て、ごくりと杏が息をのんだ。なんだろうこのカラフルひよこが大きくなってしまった感。
 いろんな秋をスポイトしていく二人。紫式部の明るい色、モミジの赤。
「杏」
 ガーネットが杏の腕に筆を滑らせると紅葉の乱舞。
 おかえし、と杏がガーネットにペイントしたのは黄金色のイチョウたち。
 色を見つける散策も楽しいもので。
 鮮やかなピンクの花――ゲンノショウコを見つけたガーネットが転写シートに取り込んだ。集めてきた花は多彩な色のホトトギス、菊のようなツワブキと花を少しずつ揃えていくシート。
「すてき。お花のブーケみたい」
「ブーケか、良いね。もっと集めていこう」
 様々な錦秋の声。
 眺めて耳を澄ましてと、飽きることなく、二人で佳景を集めていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

ボディペイントってことはソヨゴの体に僕が描くとか?
色々想像してしまう
でも実際はデジタルすぎて
「全然えっちじゃない!」
おっと本音が漏れた
ソヨゴのつれない反応に頬を膨らませ
ちぇー

ソヨゴのタトゥーは時代劇みたいだネ
僕はゲーミンクアヤネってことで七色に輝いてみる

幸せの青い鳥って…
僕のイメージよりだいぶ大柄だネ
青色が嫌なら虹色にしてあげようかってそんな全力で逃げなくても

準備ができたら行楽にレッツゴー!
何を見に行こうか?
この世界なりの紅葉とか眺めようか
コンコンコンで二人乗りの何かを呼び出して乗って行こう
ソヨゴの作ってくれたお弁当楽しみ!
天むすって食べたことないネ


城島・冬青
【橙翠】

裸になって素肌に直接塗るかと思ってたんですが
さすがキマイラフューチャー!これなら恥ずかしい思いをしなくて済みますね
アヤネさん…エッチなのはちょっと…

タトゥー!リアルじゃ絶対できないのでやってみたいですね
背中に桜吹雪とか描いちゃおうかな?
ゲーミングアヤネさん…?!
なんかめっちゃチカチカしてる

面白そうなのでバディペットのカラスくんをペイントで青い鳥にする
アヤネさん!幸せの青い鳥ですよ
カラスくんに抗議されてる気がするけど無視
後で魚肉ソーセージあげるから

いいですね
キマイラの紅葉はどんなのか気になります
やはり派手なのかな?
さぁレッツゴー!

あ、お弁当作ってきたので後で食べましょうね
今日は天むすです



(「ボディペイントってことはソヨゴの体に僕が描くとか?」)
 正真正銘、一番にアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)が思ったことはそれだった。施術者がいなければ一緒に訪れた者がそれを行う事になるだろう。
 ペイントするために筆でくすぐったりとか、それやっちゃった時の彼女の反応とかを想像して、さらに思考があらぬ方向へといくアヤネ。
 たぶんアヤネは出発前の話もふんわりとしか聞いてない。
 そんな彼女をよそに城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)はふむふむと頷き、シートの裏の説明書を読んでいた。
「裸になって素肌に直接塗るのかなと思ってたんですが」
「うん」
 冬青の言葉にアヤネらしからぬ空返事。冬青は続ける。
「さすがキマイラフューチャー! これなら恥ずかしい思いをしなくて済みますね」
「う……え???」
「ほら、アヤネさん、ネイルシールとか、タトゥーシールみたいなものですよ!」
 と、あっけらかんに言う冬青に相変わらずアヤネは「???」状態だ。
 わけわからぬままにキマイラフューチャーへと出発することになる。行き着いた先は素材豊富な春のバーチャル遺跡。
 満開の桜と菜の花の黄色、青の空。春の薫り満ちる世界。
 菜の花をシートに転写して、冬青が手の甲にぺたりと貼ってみれば、鮮やかな黄色の花ペイント。
「わ、すごーい!」
 冬青の笑顔に、アヤネはハッと我に返った。
「全然えっちじゃない!」
「え?」
「すごくデジタルだ!」
「ええ? デジタルですよ~。アヤネさん……どういったものを想像していたんですか……?」
 思わずじとっとした目で見てしまう冬青。そのつれない反応にアヤネは頬を膨らませて「ちぇー」と呟いた。

 まず素材となる色集め。
 菜の花の黄色、桜のほのかなピンク色、白色。
 秋のバーチャル遺跡へと入ればいっそう鮮やかな景色が二人の前に広がった。
 イチョウの落ち着きのある黄色、モミジの赤、リンドウの紫、ショッキングピンクなゲンノショウコ。
 それぞれの姿を少しずつシートに転写して、アヤネが肌にのせてみれば陽射しもまじった色たちが虹色に輝く。
「はは、すごい。ゲーミングだ。ソヨゴは何にしてみたの?」
「あ、私はこれです」
 手の甲には菜の花、腕や背中に桜吹雪の洋服染め、肩には満開の桜。
「アヤネさんはめっちゃチカチカしてますね!?」
「うん、ゲーミングアヤネ☆だよ」
 チェキのポーズをしてみれば冬青もチェキ返し。スマートフォンで写真を撮っていく。
 ほっぺには紅葉の赤でハートだったり、星だったりをぺたり。
「面白いからカラスくんにもペイントしちゃおう」
 転写した青をカラスくんに色付け。カラスくんはじっとしていたが、じいいっと冬青の方を見ていた。
「カラスくん翼あげて~」
「…………」
 大人しく翼を上げるカラスくん。青に染まっていく。
 終われば冬青の腕に乗り、肩へとちょんちょん跳ねていった。
「アヤネさん! 幸せの青い鳥ですよ」
「ウワ、スゴ。幸せの青い鳥って……僕のイメージよりだいぶ大柄だネ」
 カラスくんは冬青の髪をついばみはじめている。
「ソヨゴ、カラスくん、嫌がってない?」
「ええ? 似合ってるのに~~」
「青色が嫌なら虹色にしてあげようか――って! そんな全力で逃げなくても!」
 アヤネの言葉に、カラスくんは即座に全力で飛び立った。遠い木の上で「カー」と鳴く。
「カラスくーん! 後で魚肉ソーセージあげるからー」
 冬青の声掛けにも動くことなく、その位置で「カー」とカラスくんは返した。
「拗ねちゃった気がするネ」
「まあ、カラスくんも遊びたい年頃だとは思うので、しばらく自由にさせときます。――さあ、アヤネさん、準備も出来ましたしっ、秋の行楽しましょう!」
 改めて秋の行楽。
 古代バーチャル遺跡で再現された秋は、時の流れを表現した場所もあった。
 青々としたイチョウ並木が黄葉し、小鳥が舞うようにひらひらと落葉していく。やがて滝のように落ちていき、香ばしい落葉独特な薫りが場に満ちる。
 ぎんなんを踏まないように注意して、イチョウ並木を進めば木道。
 湿原の峠道となっていて、近くの木や遠くの山が紅葉していく様を眺めることが出来た。
 怪しい場所を見つけては、コンコンコン。木の根や岩場が開いて『何か』が出てくるのはキマイラフューチャーの文化だ。
 アヤネが手に入れたのはオフロードバイク。エンジンもかかるし、後部座席もちゃんとある。
「ソヨゴ、タンデムしよう」
「ええっ。山道でですか?」
「安全に、ちゃんと道を走って行くよ」
 冬青にヘルメットを渡しながら、アヤネはウインクした。
 頷きヘルメットを被る冬青が「あ」と声を上げる。
「アヤネさん、良い場所を見つけたらそこでお昼ご飯にしましょう。お弁当作ってきたので。今日は天むすですよ」
「へえ、天むす? 天むすって食べたことないネ」
 三角おむすびに海老の天ぷらとその塩気が美味しい。醤油ベースの味付けや、かき揚げを具にしたりも。
 お弁当楽しみだなぁとアヤネが言う。
「湿原みたいだし、どこか見晴らしの良い場所もありそうだ。行こう、ソヨゴ」
 アヤネが騎乗すればその背にくっつくようにして冬青も後部座席に乗る。ぎゅっと腕を回して身体固定。
「はい! 準備は万端です、レッツゴー!」

 大きな峠道へと出て、紅葉のトンネル。
 整備されたように見える道はきっとまだキマイラフューチャーに人類がいた時代のもの。
 猟兵が見慣れた景色もキマイラフューチャーにとっては古代となるのかもしれない。

 鮮やかで様々な秋をのんびりと楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『イリディセント』

POW   :    ふわふわ
全身を【相手の攻撃を吸収する雲】で覆い、自身の【身軽な動き】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    きらきら
【虹色にきらめく光の雨】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ひらひら
【きれいなリボン】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:pico

👑11
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 秋をそれぞれに満喫したあとは、コンコンコン。
 コンコンコンした岩場や木の根が開き出てくるのは食べ物が多かったけれども、何らかの端末や工具が出てくる場所もあった。

 コンコンコン。

 ある場所では、木が一斉に移動していって虹色の霧が発生した。
 ある場所では、湿原の湖が虹色に染まった。

『これ以上、ここでのコンコンコンは出来ません~』
『退去願います~』
『排除します~』
 ゆるゆる~っとした声を渡らせ現れたのはイリディセント。
 綿菓子のような雲を纏い、地から少し足が離れふわふわと浮いている。
 ぱたり、ぱたりと甘やかな小雨が降り出して、紅葉の一葉、きのこの笠、落ち葉が少しずつ淡い虹色へと変化していった。
 ゲーミング化していく秋景色。
 それぞれの場所にいる猟兵たちを、イリディセントたちが排除しようと攻撃を仕掛けてくる――。
鳳凰院・ひりょ
アドリブ歓迎
WIZ

Σこれ以上はコンコンコン出来ないのかぁ、残念
もうちょっと楽しみたいんだけどなぁ…
という事で強制排除しようとしてくる相手に対抗する

手元の飴を取り出しUCの媒体とする
命無き物(無機物)を媒体に、風の疑似精霊よ力を貸してくれ!
固有結界・黄昏の間を発動させ、風の疑似精霊を召喚
自身の周囲に風の防御壁を形成

相手のリボンを風の防御壁で遮断し、自身への命中を阻止する
相手の攻撃を阻止できれば、もう少しこの景色を楽しむ事も出来るだろう
まぁ、相手もふわふらきらきらしていて、見ている分には楽しいのだけどなぁ…うぅん
目一杯その場を楽しんだ後はしっかりトドメをさしておこう
【破魔】付与の鎌鼬で敵を切り裂く



『この領域から退出願います~』
 イリディセントがリボンを舞わせながら鳳凰院・ひりょを取り囲んでいく。
「うわっ」
 コンコンコンを楽しんでいたひりょが飛び退いた。ひらりひらり、時に鋭く弧を描き舞うリボンは明らかにひりょを追ってくる。
『いえ、排除しましょう~』
『殺しましょう~』
 古代バーチャル遺跡の防衛機構が働き、猟兵を害さんとしていた。
「これ以上はコンコンコン出来ないのかぁ、残念だ。もうちょっと楽しみたかったんだけどなぁ」
 キマイラフューチャーの流行りのスイーツ、ビビッドカラーのジャンクフード、ゲーミングタピオカミルクティーなどこの世界ならではの食べ物は見た目も楽しませてくれる。
 次はどんな食べ物が出てくるのか、コンコンコンは宝箱みたいだった。
 残念そうに呟き、懐から飴を取り出したひりょが数個を放る。
「風の疑似精霊よ、力を貸してくれ!」
 飴たちが揺らぎ、場に顕現するは風を象る擬似精霊。
 風が繭を形成するように吹き、それはひりょを守る防御壁となった――風に弾かれ、煽られ、容易に追えなくなったリボンたち。
『あら~?』
『近付けませんね~』
 困ったわ、という風にイリディセントたちが頭部となる大きなふわふわの雲をもこもこと動かした。
 敵の感情や言葉に応じて仄かに虹色を宿した雲が動く様はどこか癒し系。言動自体は殺意あるものであったが。
『染めてしまいましょう~』
『侵食すればこちらのものかと~』
 雨が降る――否、それはノイズだった。秋のバーチャル空間を裂くように虹色のノイズひと筋ひと筋が紅葉の景色を侵食していく。
 風の防御壁に触れたノイズは風に巻き込まれ、一瞬ひりょの周囲を巡ったかと思うと弾かれたように飛んでいった。
 青々とした山が秋に色付くように、今や景色は虹の色に染まっていこうとしている。
「不思議な光景だな」
 ふんわり淡いパステルカラーの七色模様。多色な彩ではあったが、全てがそれに染まってしまうと大地も木々も、空も見分けがつかなくなってくる。
「変わっていく様は見ていて楽しかったけれど、すべてが同じ色になってしまうとこんなにも味気ないものなんだね」
 呟きながらひりょは十人十色という言葉を思い出した。
 同じ木であれども葉は少しずつ違う紅葉。同じようであって個性がある。
 それらがなくなった世界はなんと味気ないものか。
「終いにしよう」
 ひりょがそう告げた瞬間、風繭が解かれた。加速した一陣の風は刃の如き鋭さを持ってイリディセントたちを斬り裂く鎌鼬に。
『!』
 ふわふわとしたイリディセントを斬り刻んだ風刃が虹色の残滓をさらった。
 破魔の力がこめられた一閃は虹色に染められたバーチャル空間を秋の景色へと戻していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
ゆるゆるさんですが
オブリビオンさんなのですよね
過去がいるべき場所へと送って差し上げましょう

虹色に染まっていく秋景色!
文字通り幻想的で美しいです

色鮮やかな世界に合わせてカラフルに行きましょう
ミケットシーですしね

散策中に閃いた即興曲を奏で
音を光り輝く♪や譜面のエネルギーとして具現化

風に舞う紅葉のように雲を切り裂いたり
空を流れる鰯雲のようにイリディセントさんを巻き込んで
緑や赤や黄色の魔力の輝きで
虹色の粒子へ分解していきます

虹色の欠片のシャワーを浴びて
スポイトで毛皮を染めながら
演奏を続けて鎮魂の調べとします

お疲れ様でした
海で静かにお休み下さいね

帰還前に
今度は虹色の世界を散策していきましょう



 ぽつり。
 落ちた雨滴が秋色の葉を一枚染める。
 大地に落ちれば少しずつ、まるで水溜りの群生のように虹色が広がっていく。
「これはこれは――幻想的な美しさですね」
 秋のバーチャル空間が虹の色に染まっていく様に感嘆の息を零した箒星・仄々は、ひとときの景色を楽しんでスポイトで色を採取する。
 同じ虹色とはいえども赤の強い部分、青の強い部分と様々だ。
 ミケットシーとなっていた自身の毛に新たな色を乗せていく。
 だが不思議な風景の色で遊ぶ仄々にも例外なく、古代バーチャル遺跡の防衛機構は近付いてくる。
『いのち、あるもの、排除します~』
 雲をあちこちへゆるゆると飛ばしながら集まってくるイリディセントたち。
 ゆるゆる~っとした言動は優しそうではあったが、敵意はビシバシ。
「ええっと、ゆるゆるさんですがオブリビオンさんなのですよね?」
 ならば『過去』がいるべき場所へと還さなければ。
 カッツェンリートを構え、自身を強化した仄々が奏でるは世界に響かせる音楽。
 先程の散策中に閃いた即興曲を再び。
 各色属性を込めた音色の攻撃が場を彩り力を紡いでいく。
 紅葉のように舞う赤がイリディセントのふわふわとした雲を灼き消して。
『あら~?』
 風の属性の緑もイリディセントを裂くように吹き上げて雲のように散らしていった。
 仄々を覆うように雲を放つイリディセントたちだったが、音速の魔力が掻き消していく。
 音属性の黄色の魔力は虹色に染まっていく景色の中、飛行機雲のように譜面を描いていった。渡らせればイリディセントたちを攻撃していく音色たち。
 紅葉と虹の色。
 秋の場で奏でられる、秋にふさわしい曲。
 仄々の魔力が辺りを巡ってイリディセントたちを一掃するのに、時間はそうかからなかった。

 虹色に染まっていこうとした秋景色も半ば。
「すべてが虹色になっていたら、空も、木々も、地面も見分けがつかなくなるんですね」
 境界線無き虹の色。
 けれどもこの場の秋景色はまだ残っていて、一度きりの、よりいっそうの幻想的な光景を魅せてくれた。
 上空から降ってきていた雨滴はノイズのようにまっすぐな虹色で大地と空を繋ぎ残った。
 確かにイリディセントたちがいたあかし。
 仄々が弦を爪弾けば鎮魂の調べ。虹色に染まった彼がゆっくりと歌うように告げる。
「お疲れ様でした。海で静かにお休み下さいね」
 ポロン、ポロロン、と凪のように穏やかな音色。
 ゆるやかに過行く時間がいずれ行き着く先は帰還の時。
 仄々は二度はないであろう佳景を堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
【かんにき】

む。あれは遺跡の防衛システムだな。せっかく楽しんでいたのに…
よし。杏、協力してやっつけよう!

《仙術》を応用して【グラビティマスター】を発動し、空へと
浮かび上がる。そのままクロスグレイブを構え、
リボン攻撃を避けながら《空中戦》の開始。敵の頭上から
《レーザー射撃》を撃ちまくって撃破していこう。
むっ、杏。大丈夫か?スラッシュストリングを
《念動力》で操り、リボンを切って彼女を救助したら一緒に反撃する。
む、敵のグラフィックにノイズが入って、揺らいでいくぞ。
寿命が近いのかもな…よし、一気に決めよう!
空中から急降下し、杏と呼吸を合わせて《功夫》による
コンビネーションを。…よし、手ごたえは十分だ!


木元・杏
【かんにき】

!!コンコンしてたら綿菓子出てきた!
……んむ?防衛システム?
景色も何やら変になってきた
ん、秋を取り戻す!

ぐ、と気合い入れ見上げると
ガーネットが空に浮かぶ姿が
ふふ、今日もかっこいい
知り合いの勇姿に思わずドヤ顔

はっ
油断していたら絡まるリボン
くっ…
などというのは計算の内
ふふ、寿命がりがり削ってあげる

しかし少し締め付け苦しい
はっ!もしやわたし太っ…
いらぬ現実から目を逸らしガーネットに救援お願い

ふふ、乙女の秘密は守られるべきもの
【華雲領域】
花の光を飛ばすと同時に、ガーネットと共に一気に近接
息を合わせて振り上げる拳に女子力(※怪力)のせて
ん、コンビネーション・パーンチ!!

よし、決まったね



 コンコンコンはちょっとした宝探しのよう。
「他にも何か出てくるかな?」
 そう言って木元・杏が木の根元をコンコンコンすれば、ぱっかりと開いた根っこの間からふわふわとしたものが杏の顔にぶつかってきた。
「もふ……わたがし?」
 もふっとしたのは一瞬ですぐに杏をすり抜けていく、それは虹色の雲だった。
 浮上していく雲からにょきっと脚が生えて次はスカートがひらり。
『いのち、みつけました、排除します~』
 イリディセントたちが薄く力を渡らせて、秋の景色に雨粒を落とし始めていく。ひとすじの虹色雫はノイズのように場を裂き、葉や草を染めていき、大地に水溜りの群生を作っていく。
「む。あれは遺跡の防衛システムだな」
「……んむ? 防衛システム?」
「ああ、ドン・フリーダムが仕込んだか、遺跡の一部がバグったか――どちらかは分からないが」
 ガーネット・グレイローズが説明をしながらイリディセントの雲霞や雨によって少しずつ虹色へと変化していく景色を見回した。全てが虹色になる、それは空も木々も地面も、境界がなくなっていくということ。杏も気付いて眉を顰めた。
 せっかく楽しんでいたのに……と呟いて変わりゆく紅葉からイリディセントたちへ視線を移すガーネット。
「よし。杏、協力してやっつけよう!」
「ん、秋を取り戻す!」
 ぐっと拳を作って応じる杏。
 そんな少女にガーネットは微笑みをひとつ落とし、例えバーチャル空間であろうとも自身を支配し続けている重力へと意識を向けた。
 ユーベルコード・グラビティマスターを発動し、シーソーの如く傾ければ跳ね上がる力に。次の瞬間、ガーネットの体は空中に――重力を制御した彼女は仙人並の飛翔力を得ていた。
「ガーネット。ふふ、今日もかっこいい」
 紅葉にも負けぬ鮮やかに燃えるような赤。勇壮な姿は生命の輝きと比例しているみたいで、その活力につられたように杏もドヤっとした微笑み。
『お覚悟~』
 ふわっとしたイリディセントたちがガーネットを追うようにリボンを放つ。
 時にゆるりとした弧を描きながらも直線を描くリボンの伸縮は速い。高度を取ることでリボンの軌道を絞ったガーネットが構えるはクロスグレイブ。十字架の先端から撃ち出すレーザーがイリディセントを貫き霧散させる。
「がんばれ、ガーネット!」
 彼女の勇姿を応援しながら自身も白熱してきたのだろう、杏がブンッと拳を振り上げた。
 その時仰いだ腕にリボンが巻き付く。
「む?」
『拘束します~』
 ゆるゆるながらもイリディセントの行動は素早い。四方から伸びてきた虹色のリボンがあっという間に杏を絡めとった。
「くっ……」
 杏が呻き声を上げてちょっとだけ体を「く」の字にした。首、胸、お腹とリボンがぎゅっと絞め付けてくる。
『チャンスです~、絞殺しちゃいます~』
 油断しきったイリディセントたちの声。
 安易に解けない状態となったリボンを身に感じ、杏は口端を上げた。
(「ん。わたし、いい演技。あかでみー女優助演賞。……あ、でも」)
 このままイリディセントたちが寿命を削ってしまえばいいという意図。
 けれどもリボンが思ってた以上に要所要所に喰いこむな? という感じ。具体的にいえば腰回り――くびれが無いのか何なのか。
「…………」
(「……はっ! もしやわたし太っ……」)
「ガ、ガーネット……わたし、……しい……ッ」
「! 杏、いま助ける」
 苦しいと呻く杏――実際のところは「悲しい」であった――に呼ばれ気付いたガーネットが片腕を振るえば袖口から放たれるスラッシュストリング。
 杏を絞めあげていたリボンが切られ、イリディセントたちが反動で姿勢を崩す。
「大丈夫かい、杏」
「あんまり」
 ガーネットが声を掛ければ杏はとても傷付いた顔をしていた。ちょっと影が差している。
(「……ふふ、乙女の秘密は守られるべきもの」)
 さながらリボンは巻き尺であった。サイズを知られたかもしれない。杏がイリディセントたちを見遣る。彼女らは細い体をしていた。
 杏の向けた迫力に一瞬後退の姿勢をみせる敵陣。急激な動きにブレを見つけたガーネットが杏を呼ぶ。
「寿命が近いかもしれない、一気に決めよう!」
 空で鳶の如き旋回を見せたガーネットが続け様に鷹の如き急降下。
 同時に薙がれるスラッシュストリングが敵頭部の雲を裂き散らした。
 杏が華雲領域を展開すれば、梅や桜、椿や薔薇、たくさんの白銀の花弁が吹雪く。
 虹の輝きを光が渡り染めイリディセントたちを貫き撃破していった。
 紛れて作り上げた光の道を駆け接近する杏。その到達点には一体のイリディセント。
 杏が拳を振るうのと、鍛錬を極めたガーネットの降下の蹴撃。
「決まった」
「よし、手ごたえは十分だ!」
 叩きこまれたコンビネーションが螺旋の挟撃となれば、虹色のノイズが勢いよく弾けて散った。
 途端に止まる虹色の雨と景色の侵食。

 現れた周囲の防衛機構を倒し、着地したガーネットとそのまま光の道から駆け寄った杏がハイタッチ。
「「お疲れさま!」」
 戦闘を終えた二人の明るい声が秋晴れの景色にこだました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

カラフルな綿菓子みないなのが現れましたね
あんな感じのチカチカする綿菓子が原宿に売ってるのを見たことありますよ
今度食べにいきましょう!

綿菓子だろうがカラフルな雲だろうが私達の走りを止めることはできないぜー!ってことでバイクに乗りながら戦います
UC発動なう!なのでバランスを崩してバイクから落ちません
だって食べますから!!
命綱ならぬ命触手も完備です

シートから立ち上がり刀を抜く
さぁアヤネさん爆裂!爆走!です
パラリラパラリラ〜♪(謎の効果音を口遊む)
まずは衝撃波で軽くジャブ
アヤネさんの華麗なバイクテクで攻撃を避けつつ
隙あらば斬りつける
騎乗したままアヤネさんと攻撃を繰り出して戦っていきます


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】

あれはゲーミング綿菓子?
まさかこんなことで張り合う羽目になるとは思いもしなかったけど
僕の方がきれいに光っていると証明しなくてはネ!

え?アレ売ってるの?ホントに?
うん行こう!

オフロードバイクでタンデムしながら戦闘と行こう
単純な操縦は触手に任せてライフルを構えるよ

うわソヨゴは立ち上がって大丈夫?
思わず触手でサポートしようとするけど
なるほど飛べるなら
じゃあ命綱っていうことで
多少無茶な動きをしてもいいよ

まずはまっすぐ突撃!
細かい動作は僕の腕で操縦しよう
敵の攻撃を交わしつつ
ソヨゴと呼吸を合わせるよ



 秋の風景にひと筋の光が落ちてくる。
「……雨?」
 走行していたバイクを一旦停車して、アヤネ・ラグランジェが目を凝らしてみるとそれは虹色のノイズだった。
 落ちたひと筋の色はそのままに。
 ぱらぱらと落ちてくる雨滴のような虹色は紅葉を少しずつ染めていった。
『これ以上の滞在はご遠慮願います~』
『排除します~』
 遠く、ふわふわ雲を纏ったイリディセントたちが現われ始める。
「? あれはゲーミング綿菓子?」
「本当だ、綿菓子っぽいですね。あんな感じのカラフルな、チカチカする綿菓子が原宿に売ってるのを見たことありますよ」
 アヤネの呟きを後ろに座る城島・冬青が拾い上げて言ったことは、UDCアースっ子らしい情報だった。
「え? アレ売ってるの? ホントに?」
「はい、ゆめかわなわたあめで、ハート模様とか出来るみたいです。今度食べにいきましょう!」
「うん行こう! 行きたい!」
 SNS映えしそうな綿菓子なので楽しく食べることができそうだ。
 楽しみな約束をしていると、少しずつイリディセントたちが集まってくる。光を弾くようにキラキラと。淡く虹彩を放つ彼女たちを見てアヤネがアクセルを回した。
 囲まれる前に抜けなければ。
「それにしても、まさかこんなことで張り合う羽目になるとは思いもしなかったけど、僕の方がきれいに光っていると証明しなくてはネ!」
 アヤネの快活な笑顔のきらめき。
「綿菓子だろうがカラフルな雲だろうが私達の走りを止めることはできないぜー!」
 ハキッとした冬青の声が高らかに渡った。
 なにせ二人は青春真っ盛り! 存在が既に煌きの時だ。二人で作ってきた思い出は色褪せずいつまでも輝いていて、きっとこれからも強く魂に焼きつけられていく。
 その時、バイクに乗ったまま冬青がシートから立ち上がったことに気付いたアヤネがひやっとした。
「うわ、ソヨゴ! 立ち上がって大丈夫?」
 反射的に影から異界の触手を伸ばして支える。
「大丈夫です、だって飛べますから! でもありがとうございます」
 戦闘力も増強されて冬青の体幹も優れたようだ。彼女の纏う滑らかな黒蘭の花弁が華やかな軌道を描く。
 バイクの走行に影響を出すことなくしっかりと立つ冬青に、なるほどとアヤネは頷いた。
「飛べるなら、じゃあ命綱っていうことで! 多少無茶な動きをしてもいいよ」
「はい! ――さぁアヤネさん爆裂! 爆走! です!」
 パラリラパラリラ~♪
 と、いつぞやのアルダワ魔法学園の戦争時にも聞いた、軽快なテンポのリズムを冬青が口遊んでアヤネが笑った。
 山ロードを爆走する二人をイリディセントたちが追う。
 最初は二人を囲みそうな敵陣であったが、場を走り抜けて敵を追わせる立場に落とし、方向を定めてしまえば戦闘も容易となった。
「アヤネさん、リボンが来ます!」
「ん」
 捕縛しようと伸びてきたリボンをひらりと華麗に避け一気に速度を落とすアヤネ。
 速さの変化によって一気に後方の敵が近付いてきた瞬間を狙い、冬青が抜刀した花髑髏を振るう。下段からの斬り上げに放たれた衝撃波が先頭のイリディセントを斬り飛ばし、後続の敵を巻き込んだ。
 後方の敵が高く飛翔して前方へとあっという間に回りこみ、急降下の襲撃。
 真っ直ぐに進むようハンドルをウロボロスの触手で拘束固定したアヤネが片腕でPhantom Painを取り回した。前方の敵頭部を霧散させるように連射し、銃口は次なる敵へと向けられた。
 右方向へ撃てばイリディセントが旋回して左手に回り突撃してくる。
 それを迎え撃つのは冬青だ。
 バイクの速度に合わせた斬撃を叩きこむ。早業に敵の身体が真っ二つになるまで結構なタイムラグがあった。花髑髏と敵を結ぶのは黒蘭の花弁。
 息の合ったコンビネーションでイリディセントたちを誘導し、翻弄し、撃破していく二人であった。



 古代バーチャル遺跡の防衛機構である一つの怪人CG軍団が猟兵たちによって壊された。
 排除する怪人軍団の姿が消えた場のバーチャル空間。
 遥かに映し、過去素材から構築していった遺跡の四季はこれからも巡っていく。
 鮮やかな秋から静かな冬、萌えいづる春から燦々とした夏。
 過ぎた季節を懐かしく思う時、再訪してみるのも良いかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年10月27日


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🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#【Q】
🔒
#戦後
🔒
#バーチャル遺跡


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト