●天高く親分縮む秋
竜神親分「碎輝」は、持て余していた。自分の伸びしろを。
それも、小学生の姿で。
「くそーっ、強くなりすぎるのはダメだってわかってるのに、戦いたくてうずうずするぜ……!」
てこてこ、カクリヨを気ままに散歩していた碎輝の眼に、ある景色が映る。
「山、か」
山だ。
綺麗に紅葉している。木々の生命力が織りなす、天然のグラデーション。
ひとたび分け入れば、秋の幸がわんさか実り、川では魚がぴちぴちしている事だろう。
もっとも、カクリヨの山だ。ちょっと普通じゃないものも実っているかもしれない。謎キノコとか。
「よし、トレーニング……じゃない、暇つぶしに山登りしてみるか」
にぃ、と破顔して、秋山へと足を向ける碎輝。
そんな彼の動向を、ひっそりうかがう影があった。
影の正体は、炎灰を操る、一体の剣士。
穏やかに吹いていたはずの秋風に、血の匂いが混じろうとしていた……。
●見た目は不変なウォーマシン
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、カクリヨファンタズムでの異変を報せた。
「畏れ多くも竜神親分『碎輝』様の命を狙うオブリビオンの動向を予知致しました」
骸魂に飲み込まれ、オブリビオンと化した妖怪。もちろん、碎輝の実力をもってすれば、決して脅威ではない。
だが、最近の碎輝は、猟兵によって、定期的に『小学生形態』に変化する事により、無限の成長能力を停滞させている状態だ。
「小学生形態の戦闘力ではかないませんので、このままでは殺されます。急速成長してパワーアップすればどうとでもなりますが、それはそれで小学生になった意味がありません」
そこでヴェルタールは、碎輝の代わりにオブリビオンを退治して欲しいと、猟兵達に依頼したのである。
「碎輝様は、秋の山を散策しに向かうご様子。そこで皆様も現地で合流、共に秋山を楽しんでくださいませ」
秋の山なので、栗やブドウなど、秋の果物がたくさん生っている。
また、辺りには様々なキノコが生え、川では川魚が泳いでいる。
「私のセンサーによれば、通常の果実のみならず、カクリヨファンタズムにしか存在しない不思議なものも多数確認されております」
たとえば、木にケーキが生っていたり、すすきの先に綿あめが生っていたり。
キノコにも、スイーツのようなものや、激辛味も混じっているという。
「魚も、川には収まらないスケールのものもいるとかいないとか。タコやサメに似た形状のものすら」
そんなこんなで秋の味覚を堪能したら、ヴェルタールの予知通り、オブリビオンが襲来する。
「碎輝様はうっかり成長して、敵を自分で撃退しようとしてしまいます。そこで皆様は、碎輝様を思いとどまらせて、敵と戦ってくださいませ」
たとえば、「ここは俺に任せて先に行け……!」とか「親分が出るまでもない。親分は柿でもかじって見物してな」などと場を盛り上げ、ヒーロー大好き小学生が燃えるようなシチュエーションを作り上げるのだ。
「小学生碎輝様と秋の遠足、という訳でございますね。秋の恵みを堪能しつつ、面倒ごとの元凶であるオブリビオンを、ドゴーン!と撃退してくださいませ」
七尾マサムネ
碎輝様、ちっちゃくなっちゃった!
でもメンタルはあんまり変わってないみたいです。
なお、今回は全二章構成です。
●一章
小学生形態の碎輝と一緒に、山を散策して、山の幸をいただきます。
素直に美味しい物を探してもいいですし、あえておかしなものを探してみてもいいかもしれません。
●二章
碎輝のお命を頂戴しようとするオブリビオンを撃退します。
放っておくと碎輝が参戦しようとしますので、良い感じの台詞を言って代わりに戦ってください。
それでは、皆様のご参加、お待ちしております~。
第1章 日常
『山の恵みをいただきましょう』
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POW : 釣り竿片手に、生きのいい川魚を釣ろう!
SPD : 高い木に登って、たわわに実った果実を取ろう!
WIZ : 毒を持つものに気を付けて、山菜やキノコを採ろう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シャラク・エスペラント
碎輝さま、といいますの?
同じくらいの年ごろでせうか?
…ちがいますの?
(よく話を聞いてない)
よくわかりませぬが
お外でいっしょにご飯を食べたらお友だちです、わんっ☆
川遊びしながらお魚をとりませう♪
碎輝さまやお山にいらした皆々様と
誰が大モノを釣れるかの勝負も楽しみですの☆
第六感でお魚のいそうな場所を感じて
ダッシュとジャンプで釣り場を確保
あとはエサをまいておびき寄せ。
…なかなか釣れなくても自分を鼓舞しませう。
大モノはきゅうてぃ☆あっぷで力まかせに釣り上げませう!
きゃいんっ☆
シャランラ釣りましたの〜♪
串に刺して焼きませう♪
味付けはお塩にて☆
とってもとってもおいしいですの☆
みんなでいただきませう☆
御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
さんぽ さんぽ
物の屍に休息…奇貨故に
竜神様やみんなとてこてこ進む
よさそうな人と手など繋いだり
見切りをつけた川べりに腰掛けて
小さく歪な銀貨(すてぜに)をルアー代わりに
念動怪力UCで念動糸の釣り開始
時折小刻みに動かしたりして陽動誘き寄せ
落ち着いて待って、かかったら咄嗟に引き上げる
念動力で引き上げないのか?の問いに
つかみどりじゃない
飽くまでも釣り故に
釣果
やまめ:数尾
いわな:数尾
泳ぐブーツ(塩焼きが美味しい):一足
?なまず:一尾
サーモン:一尾
焚火で焼いて皆と一緒に食べる
物の屍に飲食は不要…なれど
こういうの いいかも
どこかほんわかと楽しそう
空気が美味しい、というのは、正に今の事だろう。
シャラク・エスペラント(羅刹っ娘純情・f08009)は、山道を歩いていた竜神親分へと、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)と並んで、手を振った。
「おう、猟兵か! 一緒に行くか?」
「もちろんですの! 碎輝さま、といいますの?」
間近で見る親分は、まさに小学生。元気いっぱいの少年といった趣だ。
シャラクは、その幼い姿をじっと見て、
「同じくらいの年ごろでせうか? ……ちがいますの?」
「お前達よりは長生きだな! 親分だし、竜神だし」
えへん!
誇らしげに胸を張って見せる碎輝に、思わず首を傾げるシャラク。
「よくはわかりませぬが」
シャラクは、首の角度を元に戻すと、
「お外でいっしょにご飯を食べたらお友だちです、わんっ☆」
「ご飯! そうだな、いっぱい食べるのが一番だ!」
シャラクが碎輝と打ち解けるのは早かった。
秋のカクリヨ、遠足日和。
「さんぽ さんぽ」
親分達とともに、山をてこてこ散策する伽藍。
自然と、碎輝と手をつないでいる。さすがに伽藍の方が背が低いので、こうしていると、きょうだいのようにも見えた。
「物の屍に休息……奇貨故に」
「なんだ面白い事言うじゃないか! かっこいいな!」
伽藍の呟きの言葉選びが、碎輝の琴線に触れたらしい。
基準がカッコいいかどうかである辺りが、竜神親分らしい、と伽藍は思う。
やがて、木々の間から、きらきら光る水面……すなわち川が見えてくる。
いの壱番に川遊びを提案したのは、シャラクである。
「いいな! せっかくこんな立派な川があるんだしな」
「ですの。誰が大モノを釣れるか、勝負ですの☆」
シャラクの提案に、伽藍や碎輝も、大賛成なのである。
やるからには、しっかり釣果を得たいところ。
自身の眼鏡に叶った川べりに、ゆるりと腰かける伽藍。
「釣り竿はどうするんだ?」
小首をかしげる碎輝の前で、伽藍は小さく歪な銀貨を見せた。そして念動糸をしゅるりと出すと、銀貨をルアー代わりに釣りを始めた。
「なるほど! 猟兵の力は戦う以外でも便利だものな」
興味津々。伽藍の釣りにじっと見入る碎輝。好奇心に満ちた表情は、本当に小学生だ。
時折、小刻みに動かして、魚を誘き寄せる。
また何か口を開こうとする碎輝に、しっ、と人差し指を立てる伽藍。むぐっ、とこらえる姿も実に子供らしい。
獲物がかかるのを、落ち着いて、ただ待つ。
さわさわと、しばし、川のせせらぎや風に揺れる紅葉の音が、伽藍を包む。
ぴくん。
「かかった! ……あ」
思わず声が出て、口を手で押さえる碎輝。それ同時に、咄嗟に引き上げる伽藍。
「その糸、念動力で引き上げないのか?」
「つかみどりじゃない。此れは飽くまでも釣り故に」
「なるほどな、勝負はルールが大事だ!」
うんうん、と伽藍に納得する碎輝は、自分も、と釣りに挑戦し始めるのであった。
一方、シャラクは、というと。
1人、感覚を研ぎ澄ます。魚のいそうな場所を、第六感で探し当てて。
「こっちの方な気がしますの!」
ぴょんこ、と川に点在する石を足場に、釣り場に向かう。そして確保。
カクリヨの魚が、どんなものを好むのかはわからない。
一応、碎輝にも尋ねてみたが「初めて来た山だからどんなのがいるかわからないな!」といい笑顔で答えられたので、シャラクは準備してきた餌をまいてみることにした。
うまくおびき寄せられてくれればいいのだが。
じっ、と我慢の子。魚がやって来るのを待つのみ……。
「まだかなまだかな」
いつの間にか傍に来ていた碎輝が、とっても楽しそうにシャラクの横でわくわくしている。
「親分さんは釣りしなくていいんですの?」
「あ、そっか。でもみんなが何釣るかも楽しみなんだよな~」
悩ましいぜ、と、碎輝が笑っていると。
「かかりましたの!」
引きが尋常ではない。これは本気を出さないと!
ぶんぶんと元気に腕を振って、応援してくれるようシャラクはアピールすると、増したパワーで一気に釣り上げた!
ひとしきり釣りに興じたところで。皆は再び集まった。
釣果を披露する伽藍。碎輝と一緒に確認だ。
「俺が数えるぞ! やまめが数尾、いわなも数尾。それとサーモンが一尾。で、こっちは……泳ぐブーツだな。塩焼きが美味しいぞ!」
美味しいらしい。……どういう事?
そして、大物枠として、なまずめいた大魚が一尾。妖怪ではないようだが、碎輝も興奮する形と大きさである。
「きゃいんっ☆ シャランラ釣りましたの〜♪」
シャラクの獲物は、これまた大きかった。
ビッグ・サーモンだ。お化けサーモン、と言った方がカクリヨらしいか。
どちらも拮抗、甲乙つけがたい。残るは碎輝だ。
2人の視線を受けて、にっ、と笑う。
「ボウズ、って奴だな!」
一匹も釣れなかったらしい。
小さくとも親分。その発する気配に、カクリヨ魚達も恐れを為したのだろうか?
……そういう事にしておこう、親分の名誉のためにも。
伽藍が焚火を熾して、シャラク達が串に刺して焼く。
普通の串ではどうにもならなかったので、大きな木の枝をよきように使ってみた。そして、味付けはシンプルに塩。
焼き上がった魚を、みんなでいただきます!
「とってもとってもおいしいですの☆」
シャラクも笑顔。
「ん、美味しいな! お前もそうだろう?」
「物の屍に飲食は不要……なれど」
碎輝に、伽藍はそう答える。
「こういうの いいかも」
「だよな!」
どこかほんわかと楽しそうな伽藍に、碎輝も実に満足げ。
秋の空の下、みんなでいただくお魚は、実に美味なのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『燻ぶる灰の『火我美』』
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POW : 焦がし尽くす刃
【触れた者を灰にする呪炎纏う刀】が命中した対象を切断する。
SPD : 零れ落ちた炎
【狛犬の妖『朱虎』】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 縋りつく呪灰
攻撃が命中した対象に【纏わりつく呪いの灰】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【焦熱】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:Rio*β
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「御鏡・十兵衛」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「はーっ! 満腹だ!」
秋の恵みを満喫した碎輝が、川辺で大の字になっていた。
猟兵達との対決、そして焼き魚を堪能して、色々と満足したらしい。
「お前達のお陰で楽しめたぜ! ……で、そろそろ出て来たらどうだ?」
碎輝の目が、急に殺気を帯びる。
「はん、餓鬼の姿になっても、妖怪親分の肩書は伊達じゃねえってわけかい」
すっ……。
木々の間から歩み出たのは、1人の剣士だった。羅刹にも似た、和装の男。
だが、飄々とした雰囲気の隙間からは、邪悪な剣気がこぼれ落ちている。刀を抜けば、妖気が周囲の木々を腐食させ、川のせせらぎを淀ませる。
妖剣士は、人斬りめいた妖しげな眼差しで、碎輝を見遣る。
「気づいていたなら話は早い。その命、貰い受けるが……構わんよな?」
「ふん! 世界の為ならともかく、オブリビオンの道楽で落とす程、俺の命は軽くない」
よいしょっ、と立ち上がる碎輝。その気配が膨れ上がる。急速成長の兆しだ。
このままでは、勝敗に関わらず、碎輝にとってよろしくない事になるだろう。
ならば、代わりに猟兵がこの相手を引き受けるしかあるまい。それも、碎輝が納得してくれる、かっこよさげな台詞で。
さて……小学生親分を、どう丸め込もうか?
シャラク・エスペラント
ほんとはとってもとっても
碎輝さまの強いとこを見たいですが……
ここはシャランラがお相手いたしますの!
碎輝さまはさがってくださいませ。
なぜなら
碎輝さまにシャランラが強いところを見てほしいゆえ!
(まっすぐ目を見て
拳をつきだす
拳を合わせてくれたら嬉しい)
ではでは♪
ただ傷つけあうより
たがいに高めあい
お友だちになりませう☆
(闘い方はルチャよりのプロレス風
鎧無視攻撃、鎧砕きでダメージを重ね
相手の技は基本的にプロレス的に受ける
オーラ防御、気合い、激痛耐性で耐える
ふれんどり〜コンボ→なっくるボンバー→お〜がにっくバスター)
きゅうてぃ☆あっぷで応援を受け強化
きゃいんっ☆
シャランラの勝ちです、わんっ!
ぽきぽきと指を鳴らす碎輝の前に、シャラク・エスペラント(羅刹っ娘純情・f08009)が進み出た。
そして挙手。
「ハイ! ほんとはとってもとっても碎輝さまの強いとこを見たいですが……ここはシャランラがお相手いたしますの! 碎輝さまはさがってくださいませ」
えー、と不満げな顔になる碎輝。
「なんでだよ! こんな雑魚、一ひねりだぜ!」
「なぜなら、碎輝さまにシャランラが強いところを見てほしいゆえ!」
きらんっ☆
碎輝の目を真っ直ぐ見て、拳を突き出すシャラク。
碎輝が実力を測るようにシャラクを見つめていたのは、わずかな時間。
「確かにお前は、何だか面白そうな戦い方をしそうだしな! お前の技、見せてくれよ!」
碎輝は、にいっ、と笑って、シャラクと拳を合わせた。
「茶番は終わったかい?」
刺客……『火我美』が、刀の切っ先を向ける。
わざわざ待っていてくれた辺り、幾らか礼儀をわきまえているのか。それとも、単に余裕の表れか。
そんな火我美に、シャラクは向き合い。笑った。
「ではでは♪ ただ傷つけあうより、たがいに高めあい、お友だちになりませう☆」
「生憎と、こっちは殺しに来てるんでねェ!」
ためらいなく、殺人剣を繰り出す火我美。
その初撃をあえて受けるシャラクを見て、碎輝が思わず身を乗り出した。
だが、シャラクの笑みは消えぬまま。
「へえ。小手調べとは言え、今のを受けるとはねェ」
命断ち切る斬撃も、一種の凶器攻撃と考えれば、我慢する事は難しくはない。シャラク的には、むしろ好みのファイトスタイルと言えるかもしれない。
「なら次は、少し火力を上げていくぜェ」
火我美の刀が、呪いの炎を吐き出す。
刃による斬撃と炎による焼滅が、同時に肉体をいたぶって来る。だが、気合と激痛耐性で、堪えるシャラク。
ルチャ……プロレス的なその動きは、受け方の1つ1つすら敵を翻弄し、碎輝を感嘆させる……『魅せる』ものになっていた。
「頑張れ! お前の実力はそんなものじゃないだろ!?」
碎輝の声援に背中を押され、踏み出すシャラク。
火の粉をこぼす敵の刀を払いのけ、猫の手にした拳で、火我美のみぞおちをえぐる!
「ぐ……!」
体がくの字に折れたことで、火我美の頭の位置が下がる。そこへ、愛を込めたガチンコヘッドバット!
「がはっ!?」
流れるように次々技をつなげ、火我美をリング……もとい、地面に沈める。
「きゃいんっ☆ シャランラの勝ちです、わんっ!」
「やったぜ!」
碎輝とシャラクのハイタッチが、秋の山に響いた。
大成功
🔵🔵🔵
フィリリアンナ・フェアリーガーデン(サポート)
『ボクに不可能なんて字はないのですよっ!』
僕の天才的な頭脳があれば大体のことはちゃちゃっと解決できるのですよ!
便利な魔法の数々をご覧あれです!
戦闘では味方を巻き込まないように注意しつつ強力な魔法で殲滅です!
基本的に詠唱は必要なので気を付けて下さいね。
まぁ足を引っ張るような真似はしないので平気でしょう!
あ、それとA&Wワールド以外はあんまり行ったことないので、ちょっと興味深々になるくらいですかね?
やはり見たことのない景色や知らない知識というのは尊いものですからね。
他の方との絡みとか、連携などはお任せします。よろしくお願いするのですよ!
幾度か訪れたカクリヨの、秋の空気を感じながら。
フィリリアンナ・フェアリーガーデン(超ド級天才魔導妖精・f00685)は、竜神親分「碎輝」の代わりに刺客の撃退に乗り出した。
「今度はお前が戦うのか? いいな……」
小学生形態の碎輝が、外見通りの幼さを発揮して、すねている。
とは言え今回は、碎輝を戦わせないようにする、というのがグリモア猟兵からの依頼だ。
フィリリアンナの頭脳を以てすれば、碎輝を丸め込む事も容易い。はずだ。
得意げに胸を張ると、フィリリアンナは、碎輝にこう告げた。
「親分さんは、強く、成長するのが趣味だと聞きました。そのためには、自分で戦うのもいいですが、他の人の戦い方を見て勉強するのも大事だと思うのですよ!」
「確かにその通りだ!」
フィリリアンナがあまりにも自信たっぷりだったので、碎輝はあっという間に丸め込まれた。
フィリリアンナの小さな体を吹き飛ばすくらいの声で、応援する。
「よし、さっそくお前の戦い方を見せてくれ! 負けるなよ!」
「こんな奴、ちょちょいのちょいですよ!」
あまりにも自分を無視したフィリリアンナ達のやりとりに、オブリビオンは、ややご立腹の様子。
「こちとら妖怪親分の命を頂戴しようってんだ。そこらの有象無象と一緒にしてもらっちゃ困るねェ」
そう告げるオブリビオン……火我美の笑みは、若干、引きつっていた。
「別に舐めてなんかいませんよ。ただ、相手としては不足ってだけですとも!」
「それが舐めてるってことじゃねェのかい?」
火我美が、斬撃を放つ。
フィリリアンナのかすめた箇所が、赤熱化する。呪いの灰の妖力によるものだ。
だが、フィリリアンナは、火に耐える。
続く刃を妖精の羽でかわしつつ、詠唱を完成させる。
「親分さんにいいところ見せないといけませんね! 約定に基き我が許に参じよ。自然を司りし汝の力を貸し与え給え。我が名はフィリリアンナ!」
火には水。
水の魔力を司る大精霊が、フィリリアンナの背後にそそり立った。
「おおっ、かっけー!」
碎輝の目が輝く。
大精霊の操る、竜の如き水流が、火我美のもたらす炎を祓う。ことごとく。
「ちっ、後だしでこっちの弱点を狙って来るとは、厄介な手をつかいやがって」
火我美の舌打ちと、炎が爆ぜる音が重なった。
「さあ親分さん、ご覧あれ!」
大精霊の精霊力をこめたパンチが、火我美を殴り飛ばす。
大精霊を従えるフィリリアンナの勇姿に、碎輝の目は釘付けであった。
成功
🔵🔵🔴
蔵場・瞳子(サポート)
基本的には人間の各種身体機能を強化して戦います。
不老不死の魔女である事を自覚しているので、誰かのために傷つくことを厭いません。
単純な正義感、それに従って正義として振る舞うことは「趣味」であって、そんな遊んでいる自分より、日々を真面目に生きる普通の人達は偉いと思ってます。
得意分野は耐えれば解決すること、第六感に委ねれば解ること、殴ったら死ぬ敵等ですが、難しいと思ったら万能技の「マジカル★人助け」を使って過去と現在の自分を抹消しようとします。(死ねるわけではありません)
別に誰かに覚えていてほしいわけではないし、助かった人は幸せに暮らしててくれと淡く祈って満足しています。
竜神親分「碎輝」は、うずうずしていた。
せっかく小学生形態になって、強くなりすぎるのを防いでいたというのに。
猟兵の戦いを見るうち、やはり自分でも戦いたいという欲求が鎌首をもたげて来たのだ。
オブリビオン『火我美』に対し、自力で立ち向かおうとする碎輝を止めたのは、蔵場・瞳子(歩きはじめた正義の味方・f32844)だった。
「ここは私に任せてくれよ」
「猟兵! けどな、自分の身は自分で守らないと、だろ?」
それはあくまで建前。
本当は、ただ自分が力を振いたいだけというのを、瞳子は見破っている。
「いや何、あんたがうっかり成長しちまう体質なのと同じで、私も人助けをしないと死んじゃう体質なもんでね。ここは私を助けると思って、1つ、見せ場を譲ってくれよ」
冗談めかして告げる瞳子。もちろん冗談なのだが。
そんな飄々とした口ぶりが、碎輝の少年魂に響いたらしい。
「命がかかってるんじゃあ、譲らないわけにはいかないな。正義の味方のお手並み拝見といこうか!」
ばん、と碎輝に背中を叩かれ、敵の前に進み出る瞳子。
碎輝も瞳子も、人の為に戦うという目的を持ちながら、信念には少々癖のある者同士。相通じるものがあったのかもしれない。
火我美は、肩をすくめて、代打である瞳子を見つめた。
「用があるのはお嬢ちゃんじゃないんだが。邪魔するなら命は保証できねェぜ?」
「望むところだぜ、こっちの『趣味』に付き合ってくれよな?」
ばちり、瞳子と火我美の視線が、火花を散らす。
碎輝をうまい事丸めこんだので、後は単純。火我美を殴って倒すだけなら、瞳子の得意分野だ。
先に仕掛けたのは、火我美の方だ。
「親分とやり合う予定なんでね、ぱぱっと始末させてもらうぜ?」
構えた刀が、炎を噴き出す。ただの炎ではない。触れたものを灰燼に帰す、呪いの炎だ。
もっとも、不老不死の魔女を以て任ずる瞳子にとっては、臆する理由にはなりえない。
妖の剣術が、瞳子を狙う。
自身が傷付く事は厭わない。だが、それは積極的に死にに行くという事と同義ではない。
刀がかすめた髪の毛が、瞬く間に消失することこそあれど、致命傷を喰らう事は無く、火我美の技をかわしていく。
接近戦は、瞳子も得意とするところだ。
「やるな! すごい身体能力だ!」
碎輝の声援が飛んでくる。
「魔女だからな」
魔女とは。
「過去を削るまでもない。あんたはこの拳で十分だ」
魔女の鉄拳……シンプル極まりない打撃が、火我美を吹き飛ばす。
衝撃波をまき散らしながら、刺客の体が、秋の山にめり込んだ。
成功
🔵🔵🔴
ロザリア・ムーンドロップ(サポート)
グリモア猟兵として猟書家事件を追っていることもあり、自身も何か手伝いができないかと考えています。
「この事件を解決すれば、また一歩世界の平和に近づきますね!」
「せっかく取り戻した平和を脅かすなんて許せません!」
UCは全て設定しています。
技能・装備はご自由に。
基本的に頑張り屋。戦闘スタイルは魔法をメインに使いますが「困った時は殴ればOK」とも思ってます。
なので接近戦も案外こなすオールラウンダー。
ぷるぷるしたもの(スライムとか)はとても興味を示します。
葛藤しながらも事件解決のために我慢して攻撃するでしょう。
ただしエロ・グロ系はNGで。
戦後依頼でも書けると思ったら書いていいです。
ぽむ、と。
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が、碎輝の肩に手を置いた。
「親分さん、力が溢れ出してますよ」
「おっ、いつの間に!?」
慌てて、竜の気を引っ込める碎輝。
戦ってはいけない、無闇に成長してはいけない……頭では理解できているはずなのだが、身体の方は、猟兵達と刺客との戦いに刺激されていたらしい。
葛藤する竜神親分に、ロザリアが力説してみせる。
「ここは私が相手をしますね。軽々しく力を見せちゃうと、親分さんの格が下がってしまいますよ? 安心してください、親分の名前に傷をつけたりしませんから」
「べ、別に格なんて気にしないが……そう言うなら、譲ってやらないこともないぞ!」
丸め込まれたらしい。
「こっちとしちゃァ、ほいほい出てきてくれて構わんのだけどなァ」
刺客たるオブリビオン・火我美が、ち、と舌打ちする。
軽薄な笑みこそ浮かべてはいるが、苛立ちの気配がそこかしこからこぼれて出ているのを、ロザリアも気づいていた。
「せっかく大きな戦いが終わったのに……取り戻した平和を、そして親分さんの命を脅かすなんて許せません!」
「骸魂は不滅さ。此の世に無念がある限りなァ」
火我美の妖刀が、呪いの炎を噴き出す。
断ち切られれば、単なる刀傷のみならず、魂までも焼き焦がされそうだ。
「見た所、接近戦は不得手のようだが、容赦はしないぜ」
ロザリアの、魔法使い風のいでたちから戦種を読み取った火我美が、先に仕掛けた。
遠距離からの魔法攻撃を受ける前に接近し、一太刀でロザリアを仕留めようという算段であろう。
だが。
秋山に反響する金属音。
火我美の刀を、ロザリアのクレセントブレイカーが受け止めた音だ。
「見た目で相手の戦い方を決めるなんて、うっかりさんですね」
「何ィ」
狼狽する火我美。
ロザリアの背後では、碎輝が、意外な展開に興奮している。
『困った時は殴ればOK』……魔法使いらしからぬ脳筋的発想が、意外性を発揮したのだ。
そう、ロザリアにとって、遠近など、その実力を封じる枷にはなりえないのだ。
そして、相手が不用意に飛び込んできた今こそ、好機。
クレセントブレイカーに、月の魔力を収束させる。
「魔力全開です!」
「なッ……!」
とっさに土を蹴って後退する火我美を、ロザリアは逃がさない。
溢れる閃光。魔砲の奔流が妖剣士を飲み込み、爆発させる。
「かっけー!」
ロザリアの勇姿に、手を叩いて感激する碎輝。
爆風に、髪をかき乱されながら。
成功
🔵🔵🔴
御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
だめ
おやぶんは どっしりゆったり
本陣奥に堂々座するが「大将」故に
先制UC発動
火、空、光、風属性を
攻撃力、防御力、状態異常力に付与
自らの姿を陽炎に包む
残像忍び足でゆるゆると接敵
射程に入り次第念動怪力四属性UCを込めた三つの「しん」にて範囲ごと攻撃…陽動フェイント
二回攻撃念動怪力四属性UCのすてぜにで範囲ごと目潰し
金貨やサンストーンを撒き光らせて目くらまし
敵の攻撃は落ち着いて見切り残像忍び足陽動で回避
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
さざんか さざんか
焚火だ 焚火だ
あたろうか あたらない
北風来ようか 来るまいか?
おかえり
お帰り
みなそこへ
水底へ
「うう、ちょっとくらいなら殴りに行ってもいいよな? な?」
「だめ」
いてもたってもいられなくなった碎輝の手を、御堂・伽藍(がらんどう・f33020)が引っ張った。
「なんでだよー。って、理由はわかってるけどさー」
ぶすっ、と不機嫌を露わにする碎輝に、伽藍は、首を横に振っていさめる。
「おやぶんは どっしりゆったり。本陣奥に堂々座するが『大将』故に」
「大将か! 確かにな、強い奴がほいほい前線に出てったらありがたみもないしな!」
伽藍の説得を、良い感じに解釈してくれたようだ。
碎輝は、手近な切株に腰かけ、腕組みすると、伽藍を送り出した。
「いやはや、大将が出るまでもないとは、見くびられたものだぜ」
抜き身の刀を引きずりながら、火我美が、肩をすくめた。
標的たる親分から、伽藍へと視線を移すと、
「大将の首はいただくぜ。お前の首は、燃やして消し炭にしてやるけどなァ」
火我美の刀が、炎を放つより早く。
伽藍の輪郭が、揺らめいた。火と空と光、そして風のエレメントが、その身に宿ったのだ。
「小細工は通じねェよ!」
呪炎を熾した刀が、伽藍を断つ。
否、それは複合属性によって編まれた幻に過ぎぬ。
「気配を伴った残像だと? 凄い!」
碎輝の歓声が、伽藍の耳を打つ。
わざわざ振り返って確かめずとも、碎輝の笑顔が浮かんでくるような声だ。
決して速くはない、だが、相手の感覚を歪ませるような歩法でもって、火我美に近づく伽藍。
火我美に向かわせたのは、三つの『しん』。いずれも何処か欠落した針が、複合属性をまとって、一斉に命を狙った。
だが、相手もさるもの。剣士たるその眼力で針の軌道を見切り、弾き、かわす。
しかし、針達の織りなす猛攻すらも、陽動に過ぎなかった。既に伽藍は、次の手を打っている。
「何ッ!?」
火我美の視界中に、煌めきが散らばる。
突如戦場にばら撒かれた、金貨やサンストーンが、火我美の目をくらませる。
足が止まったところに、すてぜに達が殺到。
「クソ! 目が!」
「さざんか さざんか 焚火だ 焚火だ」
火我美自身がこぼした呪炎は、むしろ宝石群を輝かせ、己の視界を奪う。
「あたろうか あたらない 北風来ようか 来るまいか?」
火に、風に翻弄され、反撃するままならぬ火我美の全身が、炎の柱に包まれる。
「畜生、標的が目の前にいるのに、一太刀すら浴びせられねぇなんざ……ッ!」
「おかえり お帰り みなそこへ 水底へ」
伽藍の鎮魂歌に誘われ、沈みゆく、火我美の魂。
断末魔すら呑みこんで。
「さすがだな、猟兵!」
碎輝が、ぱちぱちと手を叩く。
「自分じゃ戦えなかったが、面白いもんを見せてもらったぜ。次戦う時は俺も応用させてもらおうかな……って、いや、当分は大人しくしてるさ!」
あっはっは、と、秋晴れのように笑う碎輝。
これなら心配無用……だろうか?
大成功
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