11
ドルム・ガンドラの興亡〜抗うものたち〜

#ブルーアルカディア #ドルム・ガンドラ帝国

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ブルーアルカディア
#ドルム・ガンドラ帝国


0




●白昼の惨劇
 コツリ、コツリと足音が響く。乾いた音を奏でるそれは、時折水たまりを踏むようにビシャリと音を変えた。
 むせ返るような血の匂い。倒れる死体はみな、武器を手に抗った形跡があった。
 しかしいずれも負けたのだろう――彼らの形相は無念や怒りに支配されていた。
「……何でだよ……」
 惨劇を目にしてなお、生き残った男が問う。
「何で、お前が――!」
 男は、斧を手に襲いかかった。『犯人』はそれを難なく剣で捌き、逆に男の胴体に刃を突き入れる。内臓と脊椎を破った金属が、彼の背中から抜けていく。
「……ごめんよ」
 『犯人』は男の耳元で囁くと、剣を引き抜き、彼を床に倒した。死体を見つめる瞳は、いかにも寂しそうに見える。
「あいつに会わなければならないんだ。絶対に。絶対に」
 その強い誓いは誰の耳に入ることもなく。
 ――ルクセル島のレジスタンスはその日、全滅した。

●帝国の支配
 グリモアベースにて。眠たげな目をした少女、ラピス・プレオネクシアは伸びをしながら猟兵の到着を待っていた。
「やぁ、お疲れー……今回もまた、ドルム・ガンドラ帝国に関する話だー……」
 ドルム・ガンドラ帝国はこれまでに二度猟兵たちの前に姿を表した屍人帝国の名だ。
 はじめはとある勇士たちの船を強襲し、次にかつて帝国と関わりがあったとされる小さな島を沈めようと暗躍した。いずれも猟兵たちの活躍で首魁が倒され、事なきを得ている。
「今回の任務地は一味違うー……キミらに向かってもらうのは、すでにドルム・ガンドラ帝国に支配された土地、ルクセル島……いわば植民地だ」
 ドルム・ガンドラ帝国による支配は突然で、そして苛烈だったという。
 突如飛来した部隊によって瞬く間に制圧されたルクセル島は、若い男手を奪われ、兵器の開発に従事させられている。
 さらに人質として、若い子供らは敵の拠点に監禁され、安否の確認も難しいそうだ。

 植民地ということは、これまでのように標的となったものを防衛するのとは話が違う。
 そこは既に敵の陣地であり、表立った支援は受けられない。島には大量の帝国兵がおり、彼らが戦うための準備も整えられている。
 単に力押しで解決しようとすれば、たちまち大量の敵に押し潰されてしまうことだろう。
「で、任務の内容だがー……キミらには、レジスタンスの救援を頼みたい……」
 レジスタンスは帝国の支配に抗い、小規模な集会や破壊活動を繰り返す集団だ。
 彼らの協力は微力だが、いずれ大きな帝国との戦いの助けとなる可能性がある。だがそんな彼らが、全滅してしまうというのだ。

「どうやらここのレジスタンスは、この島に築かれた敵の拠点――『ムセウム・モルス』の見取り図を掴んだらしい……しかし、その事が帝国の間者に知られ、皆殺しにされるようだ」
 レジスタンスを守り、その情報を猟兵たちで確保することができれば、その『ムセウム・モルス』をこちらから襲撃できる可能性もある。
 帝国の拠点を破壊できれば、彼らを撤退させ、島の人々に元の暮らしを取り戻させることも出来るだろう。
「そのためにまずは、レジスタンスと接触してもらうー……彼らは普段、帝国兵が利用しない寂れた酒場を根城としているはずだー……」
 レジスタンスの新入りとしてアジトに入り、帝国のスパイを見つけ出し、これを撃破する。そして敵の拠点の情報を得る――これが、今回の任務だった。
「それじゃ、問題ないかなー……」
 ラピスは集まった猟兵たちの転移を開始した。


玄野久三郎
 玄野久三郎です。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
 今回のシナリオでは帝国と戦うレジスタンスの救助と、帝国のスパイの撃破を行っていただきます。
 こちらのシナリオが成功すれば、敵拠点への攻撃シナリオも可能となるでしょう。

 第一章では、レジスタンスの拠点である酒場に赴き、彼らと交流を深めていただきます。
 彼らからは帝国の持つ武器や、彼らの文化、そしてこの島の元々の暮らしなどを聞くことができるでしょう。
 そして彼らと交流を深めることで、自ずと帝国からのスパイが炙り出されていきます。

 第二章では、発見したドルム・ガンドラのスパイとの戦闘になります。

 第三章の詳細は断章をお待ちください。

 プレイングの受け付けに関しましては、断章やタグなどで随時お知らせいたします。
 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
107




第1章 日常 『勇士の酒場』

POW   :    魔獣料理を注文してみる。

SPD   :    店主や客と交流。

WIZ   :    依頼の張り紙などを見て情報収集。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●抗う者たちの日常
「お……? いらっしゃい、見ない顔だね。注文は?」
 金髪の気さくな印象の青年が猟兵たちを出迎えた。酒場は随分と年季が入っていて、そうと知らなければ普通の民家に見えるほどだ。
 それでも、丸テーブルを囲んで数人の勇士たちが話に花を咲かせている。
「……帝国の人間じゃなさそうだね。ようこそ、魔剣亭へ。俺はバーテンダーのスカイ。で、あっちにいるのが……」
 スカイと名乗った青年は、奥でチェスに興じる老人を指差した。眉間にシワを寄せ、唸っている。
「彼がレジスタンスのリーダー、ブラウンだ。それから……」
 スカイはそのまま、レジスタンスの面々を紹介していく。
 かつて騎士だったという剣士のレッド。拳闘で右に出るものはいないゴルドー。島の収入現象に苦しんでいる召喚術師のホワイト。博打打ちのグリーン。
 いずれも疑おうとすれば疑えるし、ただのレジスタンスのようにも見える。
 まずは彼らと交流を深め、敵のスパイを見つけ出そう。

※プレイングの受付は、【10/14(木)8:31~10/17(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
ランケア・アマカ
帝国の植民地、ですか
あまり意識し過ぎないように、不自然に見られないようにしないとですね

レジスタンスの方々も気になりますけど、バーテンダーのスカイさんに色々伺いたいです
まずはこの酒場について、長く続いてそうなお店ですが帝国の支配下となってどんな影響があったのか
入店しているレジスタンスについて、帝国に気付かれる心配はないのか
他にも酒場の苦労話とか、印象に残ってるお客さんの話とか伺ってみたいです
私も何か尋ねられたら作戦に支障のない範囲でお答えします

スパイの方も、簡単には尻尾を掴ませてくれませんよね
会話の中から少しでも手掛かりを得られると良いのですが



●彼らの仲
 酒場に入るまでの道中、何人の帝国兵を見ただろうか。
 ランケア・アマカ(風精銃兵・f34057)は彼らを警戒しつつ、かつ意識しすぎないように歩き、酒場に辿り着く。
「……ふぅ」
 スパイの一人を除き、ここには帝国兵はいないはず。慣れない隠密任務に彼女は溜息を吐いた。
「だいぶ疲れているようだね?」
「あ、いえ……」
 そう彼女に声をかけたのはバーテンダーのスカイだ。ランケアはまず、彼に様々な情報を尋ねてみることにした。

「ここはかなり長いお店のようですが……帝国の指揮下に入ってから、何か影響はありましたか?」
 スカイはふむ、と口に手を当て何かを考えるそぶりを見せる。
「そうだなあ……最初の方こそ、帝国兵の士気向上のために酒類を提供しろって言われてたんだけど……なにぶんここ、狭いでしょ?」
 苦笑して辺りを見回す彼の視線に追従すると、確かにこの酒場はお世辞にも広いとは言えず、またとても古かった。
「ここで飲んでも気が晴れないって、帝国兵たちの方から足が遠のいてね」
「なるほど……」
 それなら確かに、兵がこちらに来ていないのも頷ける。利用したうえで興味がなかったのなら、最初から目を付けていない拠点よりもむしろバレづらいだろう。
「しかし、レジスタンスの皆さんが入店していると、さすがに気付かれてしまうのでは……?」
「……どうだろうね? ホラ、彼らパッと見ただの酔っ払いにも見えるからさ」
「聞こえてるぞスカイ!」
 レジスタンスの一人、グリーンが酒瓶を片手にテーブルにやってきた。既に酒が入っているらしく、顔がやや赤い。
「否定できないだろ、君は」
 彼らは和やかな様子で笑う。見る限りでは、スパイや間者には見えない明るさだ。付き合いも長いように思える。

「……他にも、酒場ならではの苦労話とか、印象に残ったお客さんのお話とか聞いてみたいです」
 ランケアは更なる雑談を試みるが、ここに来て初めて、スカイは彼女から目を逸らした。
「あー……そういう話は、ブラウンさんの方ができるかもね? ちょっと呼んでこようか」
 レジスタンスのリーダーであるというブラウンを呼びに行くスカイを見送りつつ、残ったグリーンは小声で彼女に話しかけた。
「アイツ、意外なことにここに来て短いんだよな。そういう思い出話はできないんだろうぜ」
「あんなに馴染んでいるのにですか?」
「あぁ。ま、そりゃ単にあいつの人柄によるもんだろうが」
「彼はいつからこの酒場に?」
「えーっと……帝国がこっちに来てからだったかな?」
 ……状況証拠的には、彼にも怪しいところはあるようだ。とはいえ、まだ断定できるほどの情報を掴めてはいない。
 簡単に尻尾を掴めるとは思っていない。少しずつ、スパイを特定していこう。ランケアはスカイから目を離さず、やってきたブラウンとも歓談に応じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
小さな紙片の式神達の召喚は酒場に入る前に済ませておく

バーカウンターがあればそこに陣取りスカイと会話
「甘いものを。酒でも料理でも構いません。なければ、ここで1番よく出るものを」
如才ない会話のふりをしつつ式神に酒場の裏手や倉庫、地下、あれば2階の部屋を探らせていく

「ここに参加したら、ねぐらはここになりますか?ブラウン氏への挨拶は必要ですか」
食事しながら世間話装う
外部接触が1番疑われないのは客よりも仕入れ担当だと思うので最初からスカイを最有力候補と考え話を進める

「それではあちらに挨拶してきましょう」
食べ終わりスカイに背を向けたら小声で式神に全員に服の見えない所にくっついて部屋までついていくよう命じる



●疑惑の目
「――式鬼神招来急急如律令」
 鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)はバーへの入店前に、とても小さな紙片に式神としての意識を宿らせ、召喚を済ませていた。
 彼の扱う術式に相当精通している存在でもなければ、それが式神であると見抜くことは難しい。
 視認も難しいうえ、見られたとしてただの紙の欠片としか思われないだろう。
 冬季はそれと共に入店し、テーブルに陣取る。慣れた様子でスカイがそれに接客した。
「いらっしゃい。何か頼むかい?」
「甘いものを。酒でも料理でも構いません。なければ、ここで1番よく出るものを」
「わかった。少し待っていてくれ」
 スカイは注文を聞くと、バーの裏に入っていった。その隙に、彼は式神を酒場の至る所に向かわせる。
 酒場の裏手や倉庫、地下……どうやら二階や天井裏などは存在しないようだ。あらゆる空間に式神を配置していく。
 式神の視界と冬季の視界は共有されていた。どこも魔術的な痕跡や怪しい装置などの存在は見受けられない。

(……連絡を取るための物などは置かれていませんか)
 冬季はスカイが消えていった調理場を睨む。彼が最も疑いの目を向けていたのは、誰あろうスカイだ。
 レジスタンスにおいて、外部の人間と接触して最も怪しまれないのは誰だろうか?
 それは仕入れも同時に担当することになるであろう、バーテンダーのスカイだ。酒や食糧を仕入れるにあたり、彼は何度か帝国兵と接触しているはずなのだ。
 しばらくして、彼は盆と共に帰ってきた。その上に載っていたのは、金色の蜜に塗れた丸い団子のようなもの。
「雲団子の蜂蜜漬けだよ。甘い食べ物でね、俺のおすすめだ」
「ほう……では、いただきます」
 一口それを食べてみると、まず蜂蜜の濃密な甘さが口に広がった。そして団子は、モチモチとした食感がしたと思うと、次の瞬間には綿菓子のように消えてしまった。
「これは……美味しいですね」
「この辺りでは見ない食事だな、それは。私にも頼む」
「はい、了解」
 冬季の横に腰掛けたブラウンがそう言った。スカイはにこやかに応じ、もう一度調理場へと向かう。

「あなたがブラウン氏ですか。初めまして、鳴上冬季と申します。……レジスタンスに参加したら、ねぐらはここになるのでしょうか?」
「あぁ、初めまして……レジスタンスのリーダー、ブラウンだ。ねぐらを移す必要はないよ。ここは暮らせるほど広くないのでね」
 ブラウンは葉巻に火を付け、煙を吐き出した。
「レジスタンスと言っても、老いぼればかりだ。君のような若い奴が来てくれると皆も喜ぶだろう。よければ、彼らに話しかけてやってくれ」
「ええ……それではあちらに挨拶してきましょう」
 冬季は席を立ちつつ、油断なく式神をブラウンの服に付けた。怪しいのはスカイだが、他の面々も疑いがないわけではない。
 彼は挨拶と同時に、レジスタンスの全員に式神を張り付けていった。彼らの動きを観察することで、何かの成果があることを祈りながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
【竜鬼】

ひかるさんの言葉にゴダイゴの曲は良かったですよね~と相槌。
普段通りほのぼのした感じで店内の方々と話して情報集めます。

(若い男手は奪われて兵器の開発に従事。
 若い子供らは人質として敵の拠点に監禁。
 レジスタンスになれるのは基本的に大人の女性と年配の男女。
 では若い男手のスカイさん、貴方を犯人です!
 と決め打ちして、人狼ゲームよろしくキュッと絞首刑して
 めでたしめでたし…は色々と危険なので)
きちんと証拠集めます。

こっそり式神具現を使って透明化した式神達でスカイさん(他に若い男手がいればその人も)を監視し、彼等が帝国に連絡を試みたら気付かれないよう、少し離れた場所で悉く妨害して証拠入手する。


荒谷・ひかる
【竜鬼】

またドリル・ガンダーラ帝国ですか……ごだいご?
(実は:長い横文字単語に弱い)

リューさんと一緒にお店へ向かい、色々な方とお話してみます
お話する時は礼儀正しく丁寧に、なるべく好感触を得られるように
質問等する時は口が軽くなってくれることを期待し【満面笑顔の向日葵少女】も発動
「簡単なプロフィール」「このお店が拠点になった経緯」「(若い男性へ)何故兵器開発へ行かずに済んだのか」辺りを、適当な雑談に混ぜて聞いてみます
怪しい答えや態度に対しては深堀は避けつつ、目をつけておきましょう
リューさんの作戦が上手く行けばいいですが、ダメだった時にも手掛かりになるはずです



●深まる疑念
「またドリル・ガンダーラ帝国ですか……なんだかそんな歌があったような気がしますが」
「えぇ、まぁ……いい歌でしたよね。ちなみにドルム・ガンドラ帝国だったと思いますが」
 若さに反して実は長い横文字が苦手な荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)と、そんな彼女に苦笑しつつ相槌を打つリューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)。
 彼女らは猟兵としては若く、幼い印象を受ける二人組ではある。だがそれは、こういった聞き込みの任務においては有利に働くのだ。
 二人はひとまず酒場に入ると、彼らに目を配り、一人一人と話していく。

 酒場への進入前、リューインは自らの推理をひかるに話していた。
「若い男手は奪われて兵器の開発に従事しているそうです」
「はい」
「そして若い子供らは人質として敵の拠点に監禁されているそうです」
「はい」
「つまりレジスタンスになれるのは基本的に大人の女性と年配の男女になりますね」
「たしかに」
「では若い男手のスカイさん、貴方を犯人です! と、なりそうですよね」
「むむ……そうかも……」
 そう、確かに島の男手は労働に従事させられ、レジスタンスとして彼らの目を逃れての活動などできそうもない。
 しかしそれは、あくまで外部から得られた情報だけを元にした推理だ。
 決め打ちして、人狼ゲームよろしくキュッと絞首刑して終わりというわけにもいかない。それ自体はリューイン自身も気付いていた。
「……と、全部やってしまうと色々危ういので、まずはその辺りを突いていきましょう」
「わたしもそれがいいと思います。外堀から埋めるってやつですね! 探偵っぽいと思います」

 ――かくして、二人はレジスタンス内部に潜入し、まずはその顔ぶれをじっくり見てみることにした。
 リーダーのブラウンは老人で、見るからに労働力にはならなそうだ。
 かつて騎士だったというレッドは、確かに腕は立ちそうだが、おそらく40~50代ほどであり、かつ足を怪我しているようだ。
 召喚術師のホワイトと博打打ちのグリーンはやはり初老の男性であり、労働からは外されているのだと推測できる。
 残るレジスタンス内の若い顔ぶれはスカイとゴルドーのみだ。ひかるはまず、ゴルドーに話しかけてみる。
「こんにちは! レジスタンスのゴルドーさんですよね?」
「あぁ、そうだが……なんだ、嬢ちゃん」
 ゴルドーは短く刈り込んだ金髪に、鋭い目つきの男だ。労働力として申し分ないように見えるが……。
「これから同じレジスタンスになる、荒谷ひかるですっ。ゴルドーさんのこと、知っておきたくて」
 そういって彼女が笑みを向けると、ゴルドーもまた肩を竦めつつ笑った。
「構わないぜ。何が聞きたいんだ?」
「ゴルドーさん、若いしすごく強そうなのに、どうして男手として連れていかれなかったんですか?」
「あぁ、そのことか……いや、単純な話さ。帝国兵を殴り飛ばして逃げてやったんだよ」
 思ったよりもワイルドな解決方法に彼女は驚いた。さらにゴルドーは続ける。
「そういうワケなんで、俺だけはこの酒場から出られんのさ。追われてるからな。寝袋敷いて地下で寝てる」
 そういうパターンもあるのか、とひかるは苦笑した。
 だが彼が嘘を言っている可能性もまだある。ここで暮らすことでレジスタンスの動きに常時目を光らせているのかもしれない。まだ油断はできなかった。

 一方のリューインは前から目を付けていたスカイに直接話を聞いていた。話題はゴルドーと同じく、なぜ帝国に連れていかれなかったかだ。
「何故、か……それは恥ずかしながら、俺の体が弱かったからだね」
「体が……?」
「そう。小さいころから病気がちでね、激しい運動をすると呼吸が苦しくなってしまうんだ」
 彼はそう言って頬を掻いた。……しかし、その実リューインはその言葉に疑いを持っていた。
 その疑念はスカイ自身の体にあった。リューイン自身も剣術を修め、様々な戦いを経験してきた者。
 相手が強いのか弱いのか、武術家か否か、それは肉体や間合いの取り方、歩き方からわかる。
 その彼の見立てでは、スカイは間違いなく武芸者だ。それもかなりの使い手であるように見える。リューイン自身、単独で戦っては勝てるかどうか……?
「それは――」
 リューインはそのことについて追及しようとして、寸前でやめた。ひかるに言われた言葉を思い出していたからだ。
『リューさん。怪しい発言や振る舞いがあっても、一旦は深堀せず無視しておきましょう』
 それはなぜかと問うリューインに、ひかるはこう答えていた。
『あくまでも外堀です。まず他の人たちと十分仲良くなってからでないと、わたし達が弾き出されかねないですから』
 それは尤もだった。特にスカイは他のレジスタンスらと交流が深く、彼が怪しいと言っても他のレジスタンスに難色を示されるだろう。
「それは、大変ですね」
 リューインは微笑んで答え、かつ心の中で彼への疑念を深めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「斧って、薪割りに慣れたら誰でも使えそうな気がしますけど、それしか武器がないにせよ、ある程度膂力が必要ですよね?」

UC「蜜蜂の召喚」使用
「此の酒場の部屋を探ったら、レジスタンス全員に一匹ずつついていって下さい」

斧はブラウンとホワイトが使わなさそうで、剣は先の2人とゴルドーが使わなさそうなので、スカイ、レッド、グリーンの誰かが間者ではないかと目星をつけ質問する

軽機関銃出し
「私の得物は此ですけれど、皆さんは何を使われてます?」
「此処がレジスタンスの拠点という事は、皆さんこの酒場内で寝泊まりしているのですか?私達も今日から使わせて貰えますか」
「レジスタンス活動する前に、お手伝い出来る事はありますか」



●剣の使い手
 斧。そして剣。
 グリモア猟兵の見た予知によれば、スパイは剣で武装していたのだという。
 そして、それに抗っていたと思しきレジスタンスが使用していたのが斧だ。それらを特定することができれば、スパイの炙り出しにはなるだろう。
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)はレジスタンスの様子を見回した。剣や斧を使えそうなのは誰か……?
(斧って、薪割りに慣れたら誰でも使えそうな気がしますけど……ある程度膂力が必要ですよね?)
 その点で、おそらくブラウンは犯人でも抵抗していたレジスタンスでもないと彼女は考えた。
 彼は老体であり、特別肉体も強くはない。彼は戦闘になるレベルで武器を振るうことはできないだろう。
 同じく、召喚士のホワイトも武器は使わない。拳闘家であるというゴルドーも武器は使わないだろう。
 ならば必然的に、犯人は剣を使う可能性のあるレッド、スカイ、グリーンのいずれかということになる。

 そこで、桜花は自らの武器を取り出して見せた。近代的な機構によって作られた軽機関銃だ。
「私の得物は此ですけれど、皆さんは何を使われてます?」
「得物……それは銃かい?」
 反応を示したのはブラウンだった。ブルーアルカディアでは軽機関銃のようなタイプの銃は珍しいのだろう。そして続ける。
「私は生憎武器は持っていない。見ての通り老いぼれでね。戦う手段はないんだ」
「……それなのにレジスタンスを?」
「苦しい現状を変える権利は、力あるものだけが持つのではないよ」
 そういうものですか……と桜花はレッドに視線を送る。
「俺か? 俺は剣だ。昔から使い慣れてるんでな」
 レッドは特に何かを隠す様子もなく、すんなりと自らの剣を抜いた。確かに剣は使い込まれ、彼自身もなかなかの手練れのように見える。
「俺も爺さんと同じく戦いはできねぇな。ま、いざとなったら棒振り回すくらいはできるけどよ」
 グリーンはそう言って笑った。彼は確かに戦闘に慣れているようには見えないが、斧を振る程度はできるかもしれない。

「スカイさんは?」
「俺? 俺は……同じで、戦えないよ」
 彼はそう答えたが、桜花にとってそうは見えなかった。彼は肉体的には頑強で、戦いにも慣れているようにも見える。
(何より、私が銃を取り出した時……最速で身構えたのはあの人でしたね)
 自分に戦闘能力があると明かしたくない理由があるのか。あるとしたらそれは何なのか。桜花にとって、スカイはとても怪しい人物に見えた。
「……ところで、此処がレジスタンスの拠点という事は、皆さんこの酒場内で寝泊まりしているのですか?」
「いや? 使ってるのはゴルドーだけさ。こいつは帝国兵を殴って逃げてるからな」
 ゴルドーはそう言われると悪びれもせずに笑った。彼も、どうやらスパイではなさそうだ。
「レジスタンス活動する前に、お手伝い出来る事はありますか?」
 調査をあと少し進める必要がある。桜花は手伝いを名乗り出て、さらにレジスタンスと交流を深めることにした。
「あぁ……それなら、俺と一緒に接客をしないかい? 客が来た時に、料理を運んでやってほしいんだ」
「まぁ、得意分野です。お任せください」
 桜花は微笑んで、スカイの提案に応じた。それは彼をすぐ近くで見張ることができる絶好の役割でもあった。
(……彼を警戒しましょう)
 彼女は念のため、さらに小さな蜜蜂を召喚し、スカイに付かせた。彼の情報は、これでさらに筒抜けとなる。
(あなたの正体……必ず突き止めてみせます)

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ストラスマリス
「なんでも、帝国に抗わんとしているみたいですね。
 まずは先立つものが必要でしょう」

UCを発動し、可能な限り持ち運べるだけの金貨を
詰め込んだ革袋をブラウンさんに渡します。
最初は昨今の情勢から、そしてこの島の経済について話をしましょうか。
「働き手となる成人男性や未来を担う子供たちが拐われている現状、
 いずれこの島で食べていくこともままならなくなるのでは。
 そこで、資金的な援助だけではなく貴方たちへの実動的な面でも
 援助をさせていただきたいのです」

他のメンバーにもレジスタンス内や帝国の動きでおかしな所や目についたことを尋ねます。
……本命はその際の反応におかしな所がある者を観察するためですけど。



●その後の話
「――なんでも、帝国に抗わんとしているみたいですね」
 帝国に抗うレジスタンスと、その中に潜むスパイ。彼らを助けつつ、かつスパイを見つけ出す必要がある……オリヴィア・ストラスマリス(銀綾・f33253)の答えはシンプルかつ強力だった。
 彼女はおもむろに、中身の詰まった金貨袋を取り出して、リーダーのブラウンの眼前に置いた。周囲の様子を注意深く伺いながら話す。
「これは……」
「まずは先立つものが必要でしょう」
 彼は恐る恐ると言った様子でその中身を改めた。それは紛れもない金貨。偽物ではない、オリヴィアが集めたこの世界の金だった。
「……受け取れんよ。我々はまだ、レジスタンスとして何の成果も出しておらん。
 支援してもらえるのはありがたいが、今はまだ、これほどの金を賭けてもらうほどの組織ではないのだ」
 ブラウンは困った様子でそれを受け取ることを拒否した。そこにスカイが割って入る。
「今はまだ、とは?」
「あぁ、近々少しばかり作戦が実を結びそうでな。外部の反ドルム・ガンドラ帝国の組織と協力を取り付けた……この島での抵抗の役に立ちそうなものを手に入れられそうだ」
「へぇ、なるほど……」

 繕ったような笑みとともに下がるスカイを観察しつつ、オリヴィアは改めてブラウンの前に袋を突き出す。
「であれば、尚の事。いかに同じ目的のもとに団結しているといえど、金銭による契約がなければ協力など脆いものです。その組織への返礼にでもお使いください」
「いやぁ、しかし……」
「働き手となる成人男性や未来を担う子供たちが拐われている現状……いずれこの島で食べていくこともままならなくなるのでは?」
 オリヴィアのその推察は当たっていたようで、ブラウンは苦しげに俯く。
「……その通りだ。現状、島の飛空艇は帝国の管理下に置かれ、反抗のための武器は破壊された。産業も、奴らの強制労働のために滞っておる。
 食糧自給も失われ、若いものが口にするのは帝国からの少ない配給ばかり。このままでは、たとえ奴らを追い出したとて、飢え死ぬ者が出てもおかしくはない……」
 この島の置かれた苦境は想像よりもさらに重いものだった。だからこそ、とオリヴィアは三度金をブラウンに渡し直す。
「私は単なる好事家ではありません。
 資金的な援助だけではなく、貴方たちへの実動的な面でも援助をさせていただきたいのです。
 資金の援助は、あくまで先立つものの確保のためとお考え下さい」
 彼女の説得に、ブラウンは渋々金を受け取った。協力組織への礼金、そしてやがて来る復興のための資金として。

 オリヴィアの支援は本心からのものだ。本心から、彼らの抵抗が実を結ぶこととこの島が立ち直ることを求めている。
 だが同時に、本心として――この援助は呼び水であることも確かだ。
(効果は、ありましたね)
 資金の話から飛び出した協力組織の話題。そして、それに最も反応を示していたのは誰だったか?
 オリヴィアはどこか真剣そうな顔で遠くを見つめるスカイを睨んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オファニム・スローン
POW

レジスタンスか
何だか懐かしい響きだな
食事しながら話を振る

自分も仲間達と一緒に『帝国』と戦って、勝利したみたいなんです
って言うのも途中で随分と遠い土地に流されちゃって

嘘はついてない
『銀河帝国』は滅び
宇宙は平和を取り戻したらしいのだから

皆さんも一緒に戦っているんですよね?
大丈夫、きっと勝てますよ!
色んな事があった
自分の仲間は皆、空に散ってしまった
それでも、思いが集まれば必ず力になって
きっと道は切り拓かれます!

子供じみた楽観的な主張をして彼らの様子を探る
裏切者は真っ直ぐな話に弱いだろう
そうすれば馬脚を見せるかもしれない
誰が一番おかしな様子なのか見切るのが目的だ
様子を確認して他の猟兵と共有しよう



●その者の影
 レジスタンス――抵抗軍――反乱軍。
 呼び名は数あれど、それらが意味するところは同じだ。
 圧政を強いる強国に反旗を翻す者たち。自由を求めて戦う者たち。それが彼らだ。
「レジスタンス、か……何だか懐かしい響きだな」
 食事を摂りながらそう呟いたオファニム・スローン(堕ちた天使・f33924)の隣に、召喚術師のホワイトが座る。
「他のとこにも、俺らみたいなのがいるのかい?」
「ええ、色んなところに。自分も仲間達と一緒に『帝国』と戦って、勝利したみたいなんです」
「みたい? 話で聞いたみたいな口ぶりだが」
「って言うのも、途中で随分と遠い土地に流されちゃって……今はこうして、旅をする身です」
 彼が語る過去は、レジスタンスであるホワイトにとってどこか勇気づけられる話であっただろう。
 どこかで自分たちと同じように帝国と戦った者たちがいた。そして、それが勝利した過去があった。
 実際にはオファニムの戦った帝国とは銀河帝国であり、こことは違う世界の話ではあるのだが。

「皆さんも一緒に戦っているんですよね? 大丈夫、きっと勝てますよ!」
 オファニムはそう言って周囲のレジスタンスに呼びかけた。皆がそれにちらりと視線を向ける。
「自分も、色んな事があった。自分の仲間は皆、空に散ってしまった」
 彼は多くの仲間を失ってきた。スペースシップワールドで、ブルーアルカディアで。かつて自分に乗っていた乗員たちを。同胞を。
 宇宙に散った仲間も、空に散った仲間も、等しく同じ。次に進む者たちの礎となった。
「それでも、思いが集まれば必ず力になって――きっと道は切り拓かれます!」
 オファニムは自然と拳を作り、そう語った。……やがて、ブラウンが手を叩くと、釣られて他のレジスタンスらも拍手を始める。
「若いモンの言葉ってのはいいな。オッサンらと違って夢がある!」
「そうだな。辛気臭いツラしてたって酒も飯も旨くねぇや。勝てるさ、俺たちだって!」
 グリーンやゴルドーがそう囃し立てるのを見て、オファニムは兜の下で目を細めた。
 まさしく、レジスタンスだ。彼の仲間も皆こうして戦って、そして――。

「アル、ティ――」
 背後で震える声を聞いて、オファニムは振り向いた。
 そこには、一筋の涙を流しているスカイがいた。彼はオファニムの視線に気づくと、慌てて涙を拭い、厨房に去っていく。
(……?)
 この演説は元々、彼の言葉を聞いてレジスタンスがどう動くかを見るつもりのものだった。演説に対し、おかしな動きをする者がいないかを炙り出すためのもの。
 幼く楽観的な演説は、スパイなどという役職に就く冷笑家には覿面に不愉快だろう。そう思ってのことだったのだが――。
(今のリアクションは……? 誰かの名を呼んでいたのか……?)
 期待したような反応を得ることはできなかったが、その一方で、それよりも重要な何かを掴みかけたのかもしれない。
 オファニムは注意深く、スカイを観察することにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
《狐御縁》

■心情
この酒場にスパイが潜んでいるのかぁ。
焔はお酒は飲めないけど、皆から色々と話を聞くのは楽しそうだね。

■行動
焔はレッドさんから話を聞く事にするね。
「初めまして、焔だよ。レジスタンスさんの方々かな?」
「焔は……そうだね、飲み物はミルクを頂こうっと」

ゆっくりと帝国の武器や文化についての話を聞いてみたりしつつ
何かチェスのゲームを楽しんでおこうかな。
「焔は、チェスで言うならビショップみたいな存在かな」
「燦姉、焔もちゃんとチェス出来るよー♪」

話が盛り上がってきたら、四王神楽唄で皆に歌声を披露してあげるね。
「どうだったかな?焔の歌声」


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

貴方達がレジスタンスね
初めまして、私はルルチェリア
死霊術士よ
私はミルクを貰おうかしら
フフン、大人のレディに見えるでしょうけど
私と爛さんは未成年なのよ

召喚術師のホワイトさんとは術師同士だし仲良く出来るかも
お供の幽霊の子達を紹介して、どんな召喚術が使えるのか聞いてみましょう

この子達はメイ、マイ、タクロウ
私の呼びかけに応えて戦ってくれるのよ
悪戯好きだけど……コラ!人の食べ物を取らない!
シホが作ってくれたでしょっ!
……失礼、貴方はどんな子を召喚出来るのかしら?

私はチェスの駒に例えるならクイーンね!
強くてカッコいいのだわ!
あら、燦さんもう酔ってるの?
お酒は程々になのよー?(でもお酌はする)


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

植民地にされた島ですか…
帝国の全容は予想よりも大きそうね


注文はルクセル島オリジナルドリンクか
スカイさんお勧めのドリンク

旅の勇士を装い
基本聞き役でコミュ力と礼儀作法で失礼の無い様
レジスタンスの方々と交流しつつ
第六感と聞き耳による読心術で怪しい所は無いか情報収集

スパイがオブリビオンなら個人的な事を聞く事で
他の人と違和感があるかも


私の事を聞かれたら
旅で会ったノアさんとの思い出を話す

彼女は帝国の行いに心から賛同していませんでしたが
英雄と謳われた者との再会を願い加担していました
彼女が大勢の命を犠牲にしてまで再会を望んだ英雄とはどんな方か?
もし私が会えたら彼女の事を伝えたいです

皆さんに心当たりはありませんか?


チェスの駒は皆の申告を聞いて

なら私はルークで
防御力には自信があります


スカイさんから台所を借りられたら
油揚げと野菜のみそ炒めを料理し振舞う

今はこれで我慢してね
メイさん達もどうぞ

爛のイカサマは内心バレて揉めないかドキドキ


焔の歌声はいつ聞いてもステキね
ノアさんも…気に入ってくれていましたっけ


四王天・燦
《狐御縁》

SPD

戦隊?
スカイの紹介に意味不明なことを言うのでした

辛気臭えなー
ぱーっと酒場の皆に奢っちゃう
美味いものを喰って英気を養おうぜ!

騒いで帝国騎士に目ェ付けられると拙い?
壁に耳あり障子にメアリーってか
笑いながら(スカイも含め)揺さ振るよ

酒が入れば絡んで回るぜ
狐御縁の皆も例外ではない
ルル、お酌してー
爛も呑もうぜー(未成年NG)

爺さんチェスかい?
アタシらを駒に例えると何だろうね
アタシはナイトかな?
皆はクイーン、むしろプリンセスだよ!(≧◇≦)
焔はチェスできたっけ

ノアか
アタシも英雄に会ってみたいな
手合せしてみてえ

っと、酔ってシホに油揚げボルシチをおねだりしちゃうのでした
一章から酩酊ですが何か?


狐裘・爛
《狐御縁》
レジスタンスの皆さん、私は爛よ! 綺麗と褒めていいんだからね
お水をもらうわ
なぁに? 私たち未成年なのよ、大人のレディに見えるかもだけどね、ルル

グリーンさん? 博打勝負しましょ。勝ったら話聞かせてね♪ 小娘相手に逃げたりしないわよね
コインの裏表当てで勝負!
……まあコインを半分氷にして表裏どっちも私が勝つ面にするけど
スマートに! 綺麗に、勝ってあげるんだから

私はチェスに例えるならポーンね。シンプルな造形美よ
うっわ酔っ払い! もーお冷飲む? キンキンに冷やしてあげる



●暖かな交流
「レッド……ブラウン……ゴルドー……ホワイト……グリーン……スカイ」
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)はレジスタンスの面々を指さし確認しつつ、腕を組んだ。
「……戦隊?」
「たまたまよ、たまたま……」
 燦の言葉に、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は苦笑した。
「しかし辛気臭えなー。こんなんじゃ勝てる戦も勝てないぜ」
 と、燦はバーテンダーのスカイに金を渡す。店内のメニューを買いきらんばかりの金額だ。
「美味いものを喰って英気を養おうぜ! アタシからのお近づきの印と、奢りだ! 皆で呑もう!」
「調子のいいことするわね……あ、私は水で」
「私も水でお願いするわね。大人のレディに見えるでしょうけど、私と爛さんと焔さんは未成年なのよ」
「ねー♪」
「別にそうは見えな……いや何でもないです」
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)、ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)、狐裘・爛(榾火・f33271)は燦の不用意な発言に睨みを利かせつつ、各々レジスタンスの隊員に接近していった。

「初めまして、焔だよ。あなたもレジスタンスさんなんだよね?」
「あぁ……レッドだ。退役騎士だよ」
 冷えたミルクを手に、焔はレッドの対面の席に座った。その中心にはチェス盤が置かれている。
「レッドさんはチェスできるの?」
「ここの数少ない娯楽だからな。爺さんに仕込まれて覚えたよ。お前さんは?」
「焔もちゃんとチェス出来るよー♪」
 レッドはそれを聞くと僅かに微笑み、慣れた手つきでチェスの駒を盤上に並べた。手を進めながら、焔はそれとなしにレッドに話を振る。
「若い人たちが作ってる帝国の武器って、何なのか知ってる?」
「……奴らが作らせているのは空中用戦闘機だ。天使核なんぞをはめ込んだもので、すでに結構な数が作られているそうだぞ」
 天使核。この世界ではエンジンのように扱われつつも、その希少価値は未だ失われていない。
 帝国は、一体どのようにしてそれほど大量の天使核を手に入れているというのだろうか。焔は盤面とは別の箇所で頭を悩ませる。
「あぁ、それとな……最近だと、何やら『目に見えない兵器』を作ってるとか」
「『目に見えない兵器』……?」
「空中に撒かれるものすごく小さな生き物で、人間の血を吸い、毒を流しては死に至らしめる……そういうものがあるらしい」
 それは別の世界ならばウイルス、細菌兵器などと呼ばれる代物に違いなかった。直接今回の任務には関わらないかもしれないが、危険なものに違いはない。焔はこれを共有することにした。

「……へぇ、それじゃあなたの召喚術は何が出てくるのかわからないのね?」
「そうなんだよ。それに召喚石も高くてな、今のこの島の経済状況じゃ一個買うのにも一苦労さ。召喚術師上がったりだよ、まったく」
 ルルチェリアはシホに作ってもらった油揚げと野菜のみそ炒めを食べつつ、ホワイトと話をしていた。
「お嬢ちゃんの召喚術は違うのかい? ここいらじゃ、召喚石がメジャーだと思ったが」
「フフン、それじゃ見せてあげるわね。出てきなさい、メイ、マイ、タクロウ!」
 空中で白い煙が爆ぜ、そこから三体の子供の幽霊が現れる。彼らは思い思いに飛び回ると、おもむろにホワイトの食べていたナッツを横取りした。
「コラ! 人の食べ物を取らない! シホが作ってくれたでしょっ!」
 そうシホが彼らを叱ると、むしろ嬉しそうに逃げていく。その様子を見て、ホワイトは噴き出した。
「君は召喚獣ととても仲良しなんだな」
「う……ま、まぁ、それなりには……けど、すっごく手を焼くのよ! いつも悪戯ばっかりして……」
「遊びたいんだろうね。信頼している君と」
 そうかしら……とルルチェリアは釈然としない思いで呟く。彼らは頼りになる仲間ではあるが、なんというか……。

 一方の爛はグリーンと向き合い、コインを手に口角を吊り上げていた。
「あと一回、私が表裏を当てれば私の勝ちよ」
 二人が行っていたギャンブルは何のことはない、コインの表裏を当てるだけのものだ。それを10回先に当てた側の勝ち。
 爛は今までに9回、グリーンは今までに5回表裏を当てている。爛はリーチ状態だった。
(爛……なぜわざわざ危ない橋を……)
 それを見守っていたシホは内心気が気でなかった。それもそのはず。爛はイカサマをしていたのだ。
 彼女の氷を自在に操る能力。それを利用して、時折片方の面を凍り付かせ、その表面をコインの柄にすることでグリーンの目を欺いていたのだ。
(交流のためなのに……バレたら揉めるんじゃないかしら……)
 シホが恐れる中、コインが上に弾かれ、爛の手の甲に落ちる。
「……裏だ!」
「表!」
 両者の賭けが揃った後で、コインを覆っていた爛の手が開く。結果は――爛の賭けた、表だった。
「チーッ、負けたか! 勘が鈍ったもんだなァ、俺も……いいぜ、何でも聞きな」
「お言葉に甘えて♪ じゃあまず――」
「っと、その前にコインを返してくれ」
(えっ……!?)
 そのグリーンの言葉に、ほかならぬシホが青ざめた。爛が勝ったということは、そのコインにはイカサマの証拠が残っているはず。
 それがバレれば、揉めることは確実――!
「えぇ、どうぞ」
(……えっ)
 しかしあまりにあっさりと、爛はグリーンにコインを渡した。そしてグリーンもまた、違和感なくそれを受け取る。
 シホの困惑を汲み取るかのように、爛は彼女に向かって目配せした。二人の間にテレパシーが繋がる。
(最後の一回は相手も慎重だから、イカサマできないの。そのための十回勝負よ!)
(……で、結局イカサマまでする必要はあったのかしら……)

●冷たき過去の風
 燦が振舞った酒に酔って、酒場はいつにないほどの熱気を持っていた。
「あの、あんまり騒ぐと帝国軍に……」
「なんだよ、騒いで帝国騎士に目ェ付けられると拙い? 壁に耳あり障子にメアリーってか! アハハハハハ!」
 苦言を呈したスカイを燦がガクガクと揺さぶった。すっかり出来上がった彼女は千鳥足でブラウンの元に向かう。
 そこではブラウンと焔によるチェスが行われていた。なかなかに手ごわいようで、焔も唸っている。
「爺さんチェスかい? そういや、アタシらを駒に例えると何だろうね。アタシはナイトかな?」
「うっわ酔っ払い! もーお冷飲む? キンキンに冷やしてあげる」
「ありがとー爛ー♪ ルルー、お酌してー! シホー、ボルシチ作ってー!」
「お酒は程々になのよー?」
 すっかり出来上がった燦を介抱するルルチェリアと爛。いつの間にやらその喧騒に惹かれて、皆がそこに集まってきていた。
「焔は、チェスで言うならビショップみたいな存在かな」
「私はチェスの駒に例えるならクイーンね! 強くてカッコいいのだわ!」
「私はチェスに例えるならポーンね。シンプルな造形美よ」
「……なら私はルークで。防御力には自信があります」

 口々に自分のチェス駒の印象を述べる一同。ブラウンはその様子に口元を緩める。
「随分と仲がよろしいようだ。あなた方は……この島の者ではなさそうだが」
「えぇ……旅をしている勇士で。帝国兵に追われて困っていたんです」
「旅、ですか……」
 ブラウンの目は、チェスを打ちながらもシホたちのことを見極めようとしているように見えた。さらなる後押しが必要なようだ。
「……以前の島で、ノアさんというガレオノイドと出会ったんです。この帝国――ドルム・ガンドラ帝国に所縁のある人物のようでした」
「……!」
 その言葉に誰かが息を呑んだ。それが誰であったのかはわからないまま、シホは続ける。
「彼女は帝国の行いに心から賛同していませんでしたが……英雄と謳われた者との再会を願い、破壊活動に加担していました。
 彼女が大勢の命を犠牲にしてまで再会を望んだ英雄とはどんな方か……? もし私が会えたら、彼女の事を伝えたいんです」
「英雄……ねぇ……」
「皆さんに……心当たりはありませんか?」
 レジスタンスの面々はどうやら英雄というものに聞き覚えはないらしく、頭をひねる。
 唯一それと違う反応を示したのは――バーテンダーのスカイだ。
「ノア……?」
「なにか心当たりが?」
「……いいや、何も」
 スカイはそれだけ言うと、その場から立ち去った。しかしその心が激しく乱れていたことを、シホは見抜いていた。

「それじゃ、宴もたけなわですが、歌を歌いますっ!」
 宴の熱が冷め始めたころ、焔は一同に歌を披露していた。それは彼女の純粋な心を籠めた歌声。
 怒りや憎しみといった邪な心を鎮め、希望と慈しみをその心に取り戻させる。いわば、悪を改心させる歌だった。
「焔の歌声はいつ聞いてもステキね。ノアさんも……気に入ってくれていましたっけ」
 いつか空へと送られた、かつての敵の姿を思い出す。それは燦にとっても同じだった。
「ノアか……アタシも英雄に会ってみたいな。噂じゃすごい強いらしいし、手合せしてみてえ」
「あッ……グゥッ……!」
 と、その時酒場の外から苦しげな呻き声が聞こえ、シホはそちらに急行した。
 そこには頭を抱えて呻くスカイの姿があった。鬼気迫る様子に、声をかけることができない。
「ちガう……俺は……ボクは……」
 そして彼は、その場に駆け付けたシホに気付いていない様子でふらふらと歩きだした。
「行かな……クては……報告……アルフレッド……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『堕天使『クリムゾン・スカイ』』

POW   :    武神流・武神一閃
【氷を纏った大剣及び大剣から発する衝撃波】が命中した対象を切断する。
SPD   :    武神流・疾空波
【大剣に緑色の闘気を纏わせる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【大剣より放たれた鎌鼬】で攻撃する。
WIZ   :    武神流・武神閃光烈破
【白く輝く大剣より全方位に向けた衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鳳凰院・ひりょです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その正体
 猟兵たちは情報を共有し、そして照らし合わせた。
 レジスタンスに潜り込んだ帝国のスパイは、スカイである。
 そのスカイは現在、何かを報告するために帝国の駐屯地の方へと向かっているようだ。
 レジスタンスを護るため、彼に報告をさせるわけにはいかない。猟兵たちは彼を追い、やがて人気のない広場で彼に追いついた。
「……あぁ、やはり。キミたちがノアをやった奴らだな」
 ゆらり、と揺れた彼の背から純白の翼が広がった。同時にその気配が膨れ上がり、人間への擬態からオブリビオンへと変貌していく。
 指を鳴らせば、その傍らに身の丈ほどもある巨大な剣を召喚した。その柄を掴み、一息に振るう。

「キミらの疑いは正しい。ボクの本当の名は『クリムゾン・スカイ』――ドルム・ガンドラ帝国、防衛隊長が一翼!」
 剣を持ったと同時、彼が放つ圧力は並のそれではなくなった。全身から溢れんばかりの殺気を放ち、剣を構える。
「キミたちの狙いはボクの命だろう。だがあいつに会うまで、ボクは負けない。……他の誰にも、決して!」
 剣が、魔力を纏う。風が、氷が吹き荒れた。

※プレイングの受付は、【10/21(木)8:31~10/24(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
ランケア・アマカ
堂々とした名乗り、潔いスパイですね
こちらも負けるつもりはありませんよ

剣士なら接近戦が主体かと思いましたが、長射程の攻撃も出来るんですか
MF-L1に乗って飛び、敵の攻撃を回避しつつ反撃の隙を窺います
あちらの能力も侮れませんが、大剣を振るっての攻撃なら発射間隔にも限界があるはずです
通常の射撃で応射しつつ回避するのが精一杯、と見せかけて余力を残し、敵の連続攻撃を誘ってみましょう
こちらを仕留めようと狙って来たところを最大出力で回避し接近、【疾風塵】を撃ち込みます
防いだり回避するなら、こちらも連続で撃てるだけ撃ちます

色々気になりますし尋問したいですが、抵抗するならできなくなるまで撃つしかないですね



●暴風、激突
「……随分堂々とした名乗りですね」
 スパイにしてはあまりに潔い。その振る舞いに違和感を覚えつつも、ランケアは銃を構える。
 相手は剣士だ。彼女がその剣の射程外にいる限り、一方的に攻撃できる。――そのはずだった。
「武神流――疾空波!」
 しかし、その剣を纏った翠の風は、スカイが剣を振るうと同時に空を走り、ランケアに迫った。
「な……っ」
 ランケアは咄嗟に自らの銃で風を撃ち出し、敵の鎌鼬を相殺する。爆風が双方を襲い、その身体を後退させた。
「……長射程の攻撃も出来るんですか」
 であれば、取るべき戦略もまた変わってくる。彼女はセイルフローターのMF-LIに乗り込み、飛翔する。
「逃がさない!」
 飛行したランケアめがけて、さらに二発の鎌鼬が飛来する。それを二発の弾丸で相殺し、彼女は高速での移動を開始した。
 その高速機動を前にしてなお、スカイが怯む様子はない。なおも鎌鼬を大量に飛ばし、彼女を撃墜しようとする。
 迫り来る鎌鼬を躱し、或いは相殺しながら、ランケアはその攻撃を観察した。
(相手は剣に纏わせた魔力を、単純な腕力で撃ち出している)
 すなわち、一つ発射するにも大きく剣を振る必要があるわけだ。付け入る隙があるとすれば、そこだ。

「いつまで逃げていられるかな……!」
 スカイがその眼を光らせた。その眼からランケアは、彼が自分を仕留めに来たと感じ取った。
 一呼吸の間に、四発もの鎌鼬が彼女に向かって飛んできた。その射出速度はもはや彼女の想定外。このまま避けていては、いずれ撃墜される。
 ならば、と彼女はセイルフローターを翻し、スカイめがけて全速力で突撃する!
「何ッ……」
 スカイはランケアの思わぬ突撃に面食らい、構えを乱した。だが即座に思い直し、彼女を睨む。
(ならば……真正面から切り裂いてやるッ!)
 大剣は未だ彼の手にある。あと一撃、再び振り抜きさえすれば、この距離で躱すことはできない。
 無論、そのリスクはランケアも承知済みだ。すぐさまM3シルフィードに手を伸ばし、引き金に指をかける。
「届け……!」
 二つの風が吹き荒れる。――その発射を、僅かにランケアが先んじた。リボルバーから放たれた風はスカイを叩き伏せる!
「ぐあっ……!」
 その身体を吹き飛ばした。ランケアは油断なく銃口を向け追撃を図るが、スカイは大剣を地面に突き刺し、風の影響を最低限に留めていた。
 その眼は未だ殺意と敵意に満ちている。不用意は追撃は危険だ――ランケアは銃をしまい、彼と距離を離した。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳴上・冬季
「屍人も譲れぬ願いを持つ。それも友人絡みで。美しい話ではありませんか」
嗤う

「それを踏みにじる私達は、貴方にとっての悪なのでしょうねえ…望むところです」
「出でよ、黄巾力士火行軍」
「鏖殺せよ、黄巾力士」
9体1小隊として黄巾力士12小隊召喚
砲頭からの制圧射撃1隊
砲頭からの鎧無視・無差別攻撃1隊
上記2隊をオーラ防御で庇う1隊
の3小隊を1隊として4隊で波状攻撃
自分は竜脈使い黄巾力士の継戦能力強化
自分への攻撃は普段から連れている黄巾力士にオーラ防御で庇わせる

「貴方の友人が嘆かずにすむよう、塵も残さず滅して差し上げる。感謝してくれても良いのですよ」
嗤う

「さて、あのレジスタンス達にねぐらを変えるよう伝えねば」


オリヴィア・ストラスマリス
『他猟兵との連携歓迎』

なるほど、貴方が帝国の間者という訳ですか……
ノアというと、あのガレオノイドですね。
ええ、私たちもまた帝国へ立ち向かう者。
何はどうあれ、貴方たちの所業を放ってはおけない者です。
一つは猟兵として、そしてもう一つは──安全な商売のために。

UC発動、障壁展開と同時に周辺他猟兵にコミュニケーターで
【戦闘知識】をもとにスカイの動きを注視、行動予測。
【集団行動】で攻撃チャンスを見定めて伝達します。



●戦場にて
「なるほど、貴方が帝国の間者という訳ですか……」
 オリヴィアは改めてスカイという男を検分する。油断ない剣の構え、その呼吸の落ち着き。それは単に悪逆なオブリビオンというより、相応の信念をその身に宿しているように思えた。
「屍人も譲れぬ願いを持つ。それも友人絡みで。美しい話ではありませんか」
 しかし、それを揶揄して冬季は嗤う。相手がオブリビオンである以上、それはむしろ普通の感覚であったのかもしれない。
 屍人帝国として蘇ったオブリビオンの多くは、その意識を生前のものと大きく変えている。
 正々堂々とした戦いを好んでいた騎士が、手段を選ばぬ卑劣漢に成り下がって蘇ったことも少なくない。
 事実、彼はスパイという行いに手を染め、無力なレジスタンスたちを皆殺しにするところだったのだ。
「それを踏みにじる私達は、貴方にとっての悪なのでしょうねえ……」
 冬季は金色の光を放つロボット、黄巾力士をその場に呼び降ろした。その数は百を優に超える。
「望むところです。出でよ、黄巾力士火行軍」
 射撃2編成、防御1編成を主体とした隊の集合体。統制の取れた隊列と編成に、さらに単体でも強力な黄巾力士。
 それは並大抵のオブリビオンであれば、そのまま圧倒的な力で轢き潰してしまえる火力であっただろう。
 ――だが。
「武神流――武神一閃」
 冷風と共に、嵐の如き衝撃が通り抜ける。オーラを展開しそれを防ごうとした黄巾力士の一小隊が、その動きを止めた。
 しばらくして、その力士らの胴が真っ二つにずれた。オーラの防御を以てしてもなお、その斬撃を防ぎぎれなかったのだ。
「……なるほど。流石に隊長を名乗るだけはある」
 薄い笑みは絶やさずに、冬季は自軍の損害を冷静な目で確認した。
 防御用の一小隊は全滅。それに守られていた砲撃部隊二つは中破程度で、まだ攻撃はできる……。
 とはいえ、あの一撃。恐らく何度でも放つことができるだろう。現状では防御能力が追い付いていないのは事実だ。

「防御隊を前にお願いします。今はとにかく、攻撃を防がなければなりません」
 オリヴィアの指令に、冬季は咄嗟に他部隊に展開させていた防御小隊を集結させ、大破した力士らを後方に下げた。
「無駄だ。そんな意思も持たない人形を何体並べたところで!」
 再びスカイの大剣が冷気を纏う。今一度、防御部隊がオーラ防御を狙うが、あの一撃を耐えるビジョンはいまだ見えない。
「オーバー・チェイン・システム起動。コード:ウォール」
 そこに、さらなる防壁が加わった。オリヴィアのユーベルコードによる援護だ。受けて立つと言わんばかりに、スカイは再び同じ技を放つ。
「武神一閃!」
「障壁展開……開始します」
 黄巾力士が張り巡らすオーラによる防壁に、オリヴィアのリダクション・ウォールが重なる。大剣より放たれた破壊的なエネルギーが、彼女の障壁に罅を入れた。
「……くっ……」
 修復は追いつかない。二度三度破壊音が鳴り響き、やがてそのバリアは破られた。
 だが、彼女のバリアによってその斬撃の威力は大きく削られていた。次なる黄巾力士の防壁によって、ついにその斬撃は消え、防ぎきられる。
「……やるね。だが次はどうだ?」
 再びスカイが剣を構える。見立て通り、その一閃は何度でも放つことができる代物だ。……だが、二人の猟兵はそれを許さない。
「三度目はありません――」
「放て、黄巾力士!」
 剣を構える彼に、まったくの意識外から砲撃が飛んできた。咄嗟に彼はそれを切り払う。
「なに……!?」
 その先にいたのは、やはり黄巾力士。だが、今の今までスカイにはそれが見えていなかった。
 スカイを取り囲むように、薄い金色の霧のようなものがかかっている。オリヴィアの展開した結界である。それが彼の視界を阻んでいたのだ。

「その一撃は確かに強力ですが……それを放つには、十分な時間が必要なようですね」
「そしてその時間は、戦場においては到底確保できないほどの時間。もう一度たりとも、構えさせはしません」
 黄巾力士群による連携攻撃は、スカイに攻撃準備の間を与えない。防御を捨て、全ての力士を制圧射撃モードへと切り替えた。
 それらが放つ弾幕を前に、スカイは反撃ができず歯噛みした。剣を防御に構えつつ、叫ぶ。
「おのれ、卑怯な……!」
「……何と言われようと構いません。私たちもまた帝国へ立ち向かう者。何はどうあれ、貴方たちの所業を放ってはおけない者です。どんな手段でも使いましょう」
 猟兵として、オブリビオンを見逃すことはできない。そして商人として、空を脅かす者を野放しにはできない。
 オリヴィアにとって、彼と対等な条件で戦う選択肢には、到底価値は無かった。
「貴方の友人が嘆かずにすむよう、塵も残さず滅して差し上げる。感謝してくれても良いのですよ」
「う、おお……おおおおおおお!!」
 剣が弾かれ、彼は黄巾力士たちの弾丸をモロにその身に浴びた。堕天使の羽が血に染まり、周囲に散らばった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒谷・ひかる
【竜鬼】
(へたれそうなリューインに「仕方ないですね……」と軽く溜息つきつつ、一歩前に出て)
負けられないのはこちらとて同じです。
この島の解放に繋ぐため、討ち取らせていただきます!
(毅然とした態度で啖呵を切り、彼を「鼓舞」する)

【本気の風の精霊さん】発動
味方へは状況に応じ、風の精霊さんの加護による機動性強化か治癒を付与
敵本体に対しては「空気遮断」による窒息攻撃を仕掛けます
敵の攻撃の衝撃波は空気を伝わってくるもの
敵周辺の空気を真空近くまで薄めることで、完全とは言わずとも防ぐことは可能なはず
加えて牽制に精霊銃で閃光弾やレーザー弾を撃ち、リューさんを援護します


リューイン・ランサード
【竜鬼】

(本性表したスカイを見て)うわぁ、やっぱり強いんだなあ。
一瞬ヘタレの虫が頭をもたげるが、背後のひかるさんの言葉や仕草で勇気が出て、「あなたに譲れない思いがあるように僕にも譲れないものがあります。だからここであなたを倒します。」と啖呵を切る。

相手のUCはひかるさんが防ぎます。
そうなると相手は接近してくるでしょうから、第六感でタイミング読んでの結界術・高速詠唱による防御壁・左手に装着したビームシールド盾受け・オーラ防御で大剣を防ぐ。

右手のエーテルソードに光の属性攻撃を宿して斬り結びつつ、左手でビームシールドを構え直す仕草を装って次元刀使用。
首か大剣を持つ右手か、斬り落としやすい方を斬る。



●空と宙の狭間
 スカイが只者ではないということは、潜入段階からすでにわかっていた。
 わかってはいたが、いざ実際にその力、その魔力。全て解放された姿を見ると、リューインは足が竦まずにいられなかった。
「仕方ないですね……」
 その様子に軽く溜息を吐いたのはひかるだ。
 本気になれば誰より強いはずなのに、誰にも負けたりなんてしないのに、肝心なところで弱気になってしまう。
 そういう時に彼を鼓舞するのは、いつも彼女の役目だ。
「負けられないのはこちらとて同じです。この島の解放に繋ぐため、討ち取らせていただきます!」
「……!」
 そしてリューインもまた、そんなひかるが自分を鼓舞しようとしていることを理解していた。その眼に闘志が宿る。
「……あなたに譲れない思いがあるように、僕にも譲れないものがあります。だからここで……あなたを倒します」
 彼の決意を籠めた言葉に、スカイは満足げに口角を吊り上げた。大剣を振り上げ、風を巻き起こす。
「来るがいい! この時代の勇士たちよ!」

 スカイが剣を構えると、その刀身が強く光り輝いた。破壊的な魔力が込められていることは間違いない。
「武神流! 武神閃光烈破!」
「精霊さん!」
 空気を走り迫る光の斬撃。しかしそれは、ひかるたちに届く前にその勢いを殺された。彼女らの元に辿り着く頃には、それは難なくリューインのシールドで防がれる。
「なに……?」
 同時にスカイは強烈な息苦しさを覚え、即座に上空高くへと離脱した。ひかるがそれを視線で追う。
「この一瞬でこちらの攻撃を把握したみたいですね……」
 ひかるが彼に仕掛けた攻撃、そして防御。その正体は空気であった。
 彼女に手を貸す風の精霊は、空気を操る力を持つ。敵の周囲の酸素を薄めて真空状態とすることで、呼吸を奪い、空気中を走る光を霧散させたのだ。
 それは一見無敵の攻撃にも思えるが、協力無比な一方、弱点も確かに存在した。
 周囲にはリューインを含め、仲間がいる。辺り一帯全てを真空状態にしてしまえば、彼らやひかる自身が危険だ。
 故に、真空の範囲はスカイのごく近辺に留めなければならないが、彼が高速で移動すればそれも難しくなる。
(……とはいえ、あの技を撃つにはしばらく一箇所に留まる必要があるはず)
 ユーベルコードは封じたも同然。あと一手を詰めるには――やはり、頼れるもう一人の騎士が必要なのだ。

「――そこだッ!」
 風の精霊の影響範囲の射程外。遥か上空より、スカイは弾丸の如き速度でひかるへと迫った。
 その予感が、リューインの脳を叩いた。弾かれるように動いたのは彼も同時だ。ひかるの前で、スカイの大剣と、リューインの盾とがぶつかり合う。
「……っ!」
「そうはさせません……!」
「やるな。優秀な騎士だ……!」
 盾を払えば、スカイは空中で距離を取る。すかさずひかるがその翼に弾丸を撃ち込むが、彼は軽やかに大剣を振るい、それらを弾き落とした。
 その防御を見逃すことなく、リューインはビームサーベルで彼の心臓を狙った。だがそれも、スカイは剣の柄でサーベルを弾き防ぐ。
 風の精霊が真空を生み出せばスカイはすぐさま離脱し、遠距離から光の斬撃を放った。リューインがこれを受け止める。
「思った通り、相当な強さですよ……!」
 単独で戦っては勝てるかどうか、というリューインの予測は正しかった。
 どれだけの研鑽を積んできたのかは不明だが……帝国の防衛隊長を任されるだけの実力は十分にあるようだ。
「……でも、今までだってそう言って、勝ってきたじゃないですか」
 リューインのすぐ近くで、そうひかるが微笑む。
 敵わないな、と思いつつ、彼は再び盾を構えた。間もなく、再びスカイが飛来し斬撃を叩き込む。
「うぅっ!」
「護りは見事だ。だが護ってばかりでは勝てはしない……!」
 リューインは弾かれた盾を構えなおしながら、サーベルでスカイと斬り結んだ。そして――
「そうですね」
 一瞬の隙を突き、盾を持つその手に魔力を籠める。その手刀が次元を切り裂き、小さな黒い断絶が現れた。
「確かに、護ってばかりでは勝てません……だから」
「これは……ッ!?」
「『護ってばかりいるように見せて』いたんです!」
 次元の断裂はスカイを強烈に吸引し、その身を次元の狭間へと送ろうとした。
 それを阻むべく、彼は右腕をその断裂に挟み込んだ。いかなる力によってか、その腕は砕かれ、迸る血が狭間へ消えていく。
「チィッ……!」
 スカイは右腕を引き千切ると、再び高速で距離を離す。即座の敗北は免れたものの、油断から負ったそれは深手に違いなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「他の方のコードネームが色なのに、どうして貴方だけ事象なのかと思っていましたけれど…本名、だったのですね」

「貴方の望みは帝国を守り友人に会う事。其の為に彼等の命を奪うというなら…私達の望みは相容れません。貴方を滅して彼等を守ります」
UC「精霊覚醒・桜」
高速で接敵
高速・多重詠唱で桜鋼扇に破魔と炎の属性攻撃付与しガンガン殴り掛かる
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
マッハ9越えの高速で敵の後ろに回り込んで羽を叩き折って地上に叩き落とす
移動時の進路は第六感で選択
武人であろう事に敬意を表し敵が消滅するまで最前線で殴り合う

「貴方が最期まで勇敢に戦ったと、それだけ御友人には伝えましょう…お休みなさい」
鎮魂歌歌う


オファニム・スローン
矢張り、あなたが……
事情は分かりません
ノアさんと同じ様に何かあるのでしょう
でも、だからと言って野放しには出来ません!

衝撃波を推力移動で回避して敵のパターンを見切り
デストロイアームズで威嚇射撃を続けながら接敵し
フォースレイピアをドリルランス状の捕食形態に変形
氷の大剣を狙って距離を詰め喰らい付く!
これで敵の情報を得られれば――反撃開始だ!

見せてやるよ、銀河帝国の遺産をね
エーテルエンジン出力最大
デストロイアームズ全ロック解除
強襲装甲、殲滅形態へ移行
裏コード666――船長、力を借りるぞ!

漆黒のマシンに変貌し再び接敵
威嚇射撃で衝撃波の射線をずらし
対空戦闘で敵を追い詰め
今度こそ鎧無視攻撃――突撃槍で貫く!



●天空の決戦
「矢張り、あなたが……」
 先の戦いで相対したノア・アルクリウスと同様、ドルム・ガンドラ帝国に所属する者は何かしらの事情を抱えているように思える。
 だが、だからといってそれを汲むことはできない。彼らの願いがなんであれ、帝国は今を生きる人々を傷つけ、命を奪うのだ。
「……貴方の望みは帝国を守り、友人に会う事。しかし其の為に彼等の命を奪うというなら……私達の望みは相容れません」
 桜花が下した結論もまた、オファニムと同じだった。生ある者とオブリビオンが相容れないように、帝国と彼らもまた、敵でしかないのだ。
「いいだろう。ボクはどんな手を使ってでも、あいつに会わねばならない。その邪魔をするならば……!」
 隻腕となったスカイが大剣を構え、振るう。冷気を纏った衝撃波が空を走り、彼らを切り裂こうとする。
 しかし、それが二人に命中することはなかった。桜花は桜の残像を残し、オファニムは推力による移動で斬撃を回避する。
 オファニムは飛びずさりながら、デストロイアームによる牽制射撃を行った。スカイはそれを大剣で受け、視線を右に向ける。
「貴方を滅して、彼等を守ります」
 そこには、桜の残像と共に高速で移動しつつ回り込んだ桜花がいた。
 炎を纏った桜鋼扇による打撃。それを或いは避け、刀身で受け、柄で弾き、スカイは対応していく。
 手負いとは思えぬその実力。桜花もまた全速力で応じるが、その鉄壁の防御を崩せずにいた。

「そこだ……ッ!」
 激戦を繰り広げる両者に、オファニムが割り入る。ドリル状に変形したレイピアを持って、スカイへと吶喊した。
 しかし彼は、オファニムへの警戒も緩めてはいなかった。桜花の扇を剣の柄でいなし、オファニムの一撃を大剣で受ける。
 隙を突き、攻撃を加えることはできなかった。スカイはニヤリと笑い――オファニムもまた、兜の下で口角を上げていた。
 彼の狙いはそもそも、スカイへの直接攻撃にはなかった。元より、彼の大剣にレイピアをぶつけることが目的だったのだ。
「解析完了……見せてやるよ、銀河帝国の遺産をね」
「なに……?」
 彼のレイピアは捕食形態へと変形し、刀身の激突によって敵の情報を得ていた。
 オブリビオンの力を解析し、オファニムの全身が漆黒に染まっていく。背部のエーテルエンジンが翼のように光り輝く。
「裏コード666――船長、力を借りるぞ!」
 高速機動力を得たオファニムを迎え撃つべく、スカイもまた翼を広げ空中へと離脱した。それを、桜の花弁と共に桜花が追う。

 彼らは高速で飛行しながら、時折激突しては火花を散らした。
 その空での戦いにおいて、最高速はいずれも音速を超える。ただぶつかるだけでも互いに受ける衝撃は尋常ではない。
「武神流……武神一閃!」
 距離を離せば、冷気を纏う斬撃が飛来する。桜花がそれを躱して接近すれば、スカイもまた大剣で迎え撃つ。
「この実力……さぞ、名のある武人だったのでしょうね、貴方は」
 桜花は彼の強さ、そして武人めいた戦いに敬意を表し接近戦に臨んでいた。
 しかし、戦いに決定打がない。このままでは埒が明かないと踏んだ彼女は賭けに出た。
 彼女は敵の攻撃の回避を五感でなく、第六感で行った。不規則な動きに、スカイが彼女を見失う。
「消え――」
「堕ちなさい」
 スカイの背後に回った桜花は、扇によって彼の翼を打ち据えた。羽が折れ、空中でバランスを崩す。
 オファニムはそれを見逃さない。全てのエンジン、全てのエーテルを駆動させ、突撃槍と共に落下するスカイへと突撃した。
「くらえ――!」
 先端に高熱を持ったその槍は、スカイの胸を貫いた。その血肉を灼き、彼を地面に叩き落としていく。
「ぐ……ッ!」
 地面に落下したスカイに両者は追撃を狙うが、彼はすぐさま立ち上がり、剣と共に距離を離す。
 額から血を流しつつも、その奥の瞳の炎は消えていない。スカイは剣を地面に突き刺し、吼えた。
「まだだ……! ボクはまだ……負けていない……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

ふ、フフン、私もスカイさんが怪しいと思っていたのよ?本当よ?
もし操られてるなら、ちょっと手荒に正気に戻すだけなのよ!

UC【お子様幽霊たちのお遊戯】で幽霊の子たちを放って妨害
早速働いて貰うわよ!めいっぱい邪魔して来なさい!
スカイさんが燦さん、焔さんと打ち合っている内に背後に回って纏わりつくのよ
フフフ……動きが鈍れば攻撃も正気に戻す隙も出来る筈なのだわ

スカイさんの放つ鎌鼬はアイテムの【憑装盾】で【盾受け】して防ぐわ
そ、そんな攻撃効かないのよー!


四王天・焔
《狐御縁》

アドリブ歓迎

■心情
無事にスパイが見つかって良かった。
でも、様子が変だね、洗脳されているのかな?
できれば正気に戻してあげたいな。

■行動
白狐召還符(UC)を使用。
白狐様に騎乗して、敵に向かって突撃していくね。

「燦姉、酔っ払っているのなら、無茶はしないでね」

焔は、敵の疾空波を【見切り】で避けたり
【盾受け】や【受け流し】で直撃を受けない様にし
敵に接近していくよ。

攻撃は、白狐様の【属性攻撃】で強化した【ブレス攻撃】や
焔の『フローレ』での【ランスチャージ】で攻撃していくね。

また、燦姉から渡された破魔の媒体の稲荷符を使い
【精神攻撃】で敵の心を攻撃して、正気に戻すのを試みるね。


狐裘・爛
《狐御縁》

それっぽい事情を並べ立てたところで、仲間を裏切ってたなんて許せないわ。そういうのはご法度なの
だから赦すのはシホの仕事、私は時間稼ぎのサポートさせてもらうね

狐火手裏剣を食らいなさい!
さっき借りた大量のコインに切断属性の狐火を纏わせて投げつけてやるわ。焔の突進に合わせてサポートするよ、友達は傷つけさせない!

……どんどん斬り払われるわね。衝撃波のせいで届かないし。くやしいいい! でも私はチェスでいえばポーンだもの。退けない相手にはガンガン行くんだから

なーんて悔しがるフリして、本命は燦の得物なの。刀身を延焼、強化する! 決めてちょうだい!


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

スパイの正体は驚きませんが
ノアさんへの反応は驚きました

アルティがアルクリアスの愛称なら…
彼がノアさんの再会を望んだ人かしら?

是なら
彼女の最期の願いを伝える


ええ焔
私も抗っている様に見えました


力を貸してくれませんか?

ありがとう


味方が敵を誘き寄せている隙に
『聖笄』で目立たず狙われ難くし
衝撃波は第六感と聞き耳で見切り
光学迷彩のオーラ防御結界を籠めた『聖札』を念動力で浮かせて盾にしつつ
空中浮遊と忍び足で敵の死角に移動

切れた聖札は目潰し効果で消え何も残らない


ルルが幽霊の子達を放ったら
敵に【祓符】

例え敵でも在り方や志を歪められたままなのは見過ごせません
せめて最期は本来の自分を取り戻させたい



本当に洗脳されていて解除できたら
彼の会いたい人について提案

私達は帝国と戦い続けます
その先に貴方の会いたい人がいるなら
会う迄私達と一緒にいませんか?

力は貸さなくても良いです
帝国と遭遇する時だけ召喚します
去るのは何時でもOKです

望んでくれたら【終癒】で彼の霊魂を吸収

これで私が燦の艇に乗ればノアさんも喜ぶかしら


四王天・燦
《狐御縁》

酩酊しても頭は働いてる
シホの解呪の意図を察し、焔にも破魔の媒体たる稲荷符を預けるよ

兄ちゃん、『あいつ』への想いを聞かせな
ノアとの関係も問う
彼女が空を駆けたいと願った英雄がアンタなら遺品はノアの天使核の傍らに置くよ

慈悲はあれど剣を向けられ闘争心が疼く
推して参る

早業による居合いで神鳴一閃
二回攻撃による燕返し等で斬り合うよ
大剣は受け流しで捌き、盗みの剣を完成させるぜ

アークウィンドを振るい風の衝撃波で疾空波を防ぐ
鎌鼬や衝撃波ばかり…武神流は手品か!
酔っ払いと思えぬ殺気で威圧するよ
シホを隠す為にもね

爛、神鳴に炎を頂戴
魂魄突流を纏い大剣を切断してやるぜ
神火斬熔剣と名付けよう

後は任す
酩酊の限界だー



●真なる英雄
「……ふ、フフン、私もスカイさんが怪しいと思っていたのよ? 本当よ?」
 そんなルルチェリアの言葉に、スカイは微笑みも返さない。
 片腕を失い、腹を貫かれ、翼を折られ――それでも尚、眼光と殺意に衰えはない。
 彼の眼光に、参加者Aは闘争心を刺激される。だがそれを抑え、シホをちらりと見た。
「あなたがスパイであることは想定の範囲内でしたが……ノアさんへの反応は驚きました」
 彼が口にした『アルティ――』という言葉。そして、過去にノアが探し求めていた存在がいたということ。
「アルティがアルクリアスの愛称なら……あなたがノアさんの再会を望んだ人――つまり、英雄なのかしら?」
 それを聞くと、彼は剣を構えたままでフッと笑った。表情にはどこか自嘲が浮かぶ。
「光栄だな。そう見えたか?」
「違うの?」
「違うな。……ボクが憧れて、真似はしたがね。戦い方も――生き方も」
 その眼がどこか遠くに向けられたのを見て、参加者Aは目を細めた。
「兄ちゃん、『あいつ』とやらへの想いを聞かせな。それが……『英雄』なんだろ」
 ノアを知る面々と、そして事件に関わってきた一同が目を見開く。答え合わせをするように、スカイが微笑んだ。
「そうだ。ボクが憧れた……ノアが夢見た……それが、ドルム・ガンドラの英雄……」
 言葉を紡ぐ彼はどこか悲しげであり、そして決意に満ちている。
「――アルティナ・グリーヴァー。それが我らの英雄の名だ」

 スカイは頭を抑え、苦しげに呻いた。そして再び、その眼に殺意が満ちる。
「……様子が変だね。洗脳されているのかな?」
 焔は先ほどの潜入時から引っかかっている点があった。
 彼は時折、苦しげに頭を抑える瞬間がある。そして、その前後に思考の操作があるように感じるのだ。
「ええ、焔。私も抗っている様に見えました」
 シホも同じように考えていた。事情がどうあれ、彼がオブリビオンで、彼女らが猟兵である以上、倒す以外の決着はあり得ない。だが……。
「例え敵でも、在り方や志を歪められたままなのは見過ごせません。……皆。力を貸してくれませんか?」
「もちろん。シホのしたい通りにしな」
「そうね。もし操られてるなら、ちょっと手荒に正気に戻すだけなのよ!」
「焔も手伝う!」
 シホの呼びかけによって、彼女たちの方針は統一された。それは単に倒すだけよりもよほど難しいことではあるが、彼女らの決意は固かった。

「炎戯! 魂魄突流!」
 参加者Bは大量のコインに炎を纏わせ、狐火で手裏剣を作り投擲した。
 その炎を縫って、焔が白狐と共に進む。参加者Bの手裏剣と共に、狐が吐く炎がスカイへと殺到する。
「武神流……武神一閃!」
 だが、それらの炎はスカイへと到達するよりも前に空中で凍り付き、叩き落とされた。
 冷気に斬撃を乗せて放つ、武神一閃。それは彼女らが得意とする狐火に対して、非常に相性が悪かった。
「くっ……」
 あれやこれやと事情を並べ立てたところで、スカイのしたことは裏切りで、殺人だ。
 そういうことは、妖狐たる参加者Bにとってご法度だった。赦すのはシホの仕事で、灸を据えるのは彼女の役割に違いない。
 しかし、届かない。焔の炎も参加者Bの炎も、いずれも氷の斬撃に阻まれてしまう。
「くやしいいい!」
 ……そう叫んでみるが、参加者Bの脳内はあくまで静かだった。彼女の狙いは時間稼ぎ。チェスで言うならばポーン。本命ではない。
 彼女の本当の狙いはその背後にあった。参加者Aの刀に炎を灯していたのだ。時間稼ぎは終わり、参加者Aが前に出る。

「――推して参る」
 炎を纏った居合が、スカイの大剣とぶつかった。その一撃を受け、彼の目の色が変わるとともに、口角がつり上がる。
 手数で攻める参加者Aに対し、スカイは最小限の動きで大剣を操り、その攻撃を退ける。
 だが参加者Aも、打ち合いと共にスカイの剣筋を学習し、盗んでいく。斬撃が速度を増し、防ぎきれない一撃が増え始める。
「くっ……!」
 スカイが飛び退けば、それを妨害する影が飛来した。ルルチェリアが使役する、半透明な子供の幽霊である。
「邪魔だ!」
 苛立たしげに振るわれた剣も、幽霊が相手では空を切るばかり。その隙に、焔が槍と共に突撃する。
 その突撃を大剣で受けたスカイは、焔を蹴り飛ばし、風の魔力を斬撃に乗せて彼女を両断しようとした。
「武神流、疾空波!」
「っ……!」
「危ない!」
 参加者Aは咄嗟に短剣アークウィンドを振るい、その風の力を霧散させる。
 だが足りない。未だその斬撃は、少女の命を奪うに十分な威力を維持し――。
「させないわ!」
 そこに、盾を構えたルルチェリアが割って入る。風船のような見た目のそれは、疾空波を辛うじて受け止めきった。ルルチェリア本人も、焔も無事だ。
「そ……そ、そんな攻撃効かないのよー!」
「ありがと、ルルさん……!」
 焔の安全を確認し、参加者Aは思わず深く息を吐いた。……そして、殺気を籠めた眼光をスカイへと向ける。
「……鎌鼬や衝撃波ばかり……武神流は手品か」
「手品で命を奪われてみるかい?」
「やってみろ」
 挑発的なスカイに対し、参加者Aは静かに刀を構えた。その心を示すように、炎が揺れる。

 ――風に煽られた葉が落ちる。参加者Aは刀と共に瞬時に突撃し、スカイの大剣に己の居合をぶつけた。燃え盛る炎が彼の大剣を焼く。
「炎が……剣を!?」
 彼は自らの剣に起きた異変に気付いていた。剣が溶け、両断され始めているのだ。
「……ッ、そうはいくか!」
 スカイが剣に氷の魔力を通すと、剣の修復が始まった。参加者Aの炎を呑み込むように、氷が広がっていく。
「くそっ……! 炎を強化するわ!」
「焔の火も使って!」
 参加者Bと焔が、参加者Aの刀にさらなる火を灯した。天を焼くような炎が盛り、再びスカイの剣を押し返していく。
「馬鹿な……!」
 やがて、ついにその時が訪れる。氷は消え去り、鉄は焼かれ、スカイの大剣は真っ二つにへし折れた!
「――神火斬熔剣」
 炎の消えた刀を、参加者Aが納めた。ここから先は、恋人の仕事だ。

「あなたに、解放の祝福を」
 剣の折れた隙を見計らい、潜伏していたシホが現れた。そして、破邪の護符より光を放つ。
「ぐああああああァァッ!?」
 その光の中で、スカイは悶えた。さらに焔が稲荷符を掲げれば、その身体から黒いオーラが抜けていく。
 ――光の奔流が収まるとき、彼はその場に倒れ込んだ。シホが、その近くに歩み寄る。
「……目は覚めましたか?」
「どう……だろう、ね。大して変わらないよ。夢を見ている気分だ。あいつが死んで……ボクだけが蘇ってから、ずっと……」
 スカイはそう言うが、彼女の見通しでは、邪心のようなものは消えているように思えた。焔もまた、彼に歩み寄る。
「誰かに洗脳、されていたの?」
「あぁ……アルフレッドだろうな。ボクはスパイなんて器用なことができるタマじゃない……部分的に、記憶や行動を操っていたんだろう……」
 スカイは、頭に手を置いた。痛みの消えたそれに、呆れたような笑みを浮かべる。
「あの野郎は性格が悪いからな……それくらいのことはするだろうと思っていた……」
 だが、勘違いするな。と彼は拳を握る。
「……レジスタンスの彼らと一緒にいて、少し楽しかったのも。アルティナに会うために戦っていたのも、どちらもボクの本心だ」

「……スカイさん。私達は帝国と戦い続けます」
 シホは彼のすぐ近くに座り込み、彼の手を握る。
「その先に貴方の会いたい人がいるなら……会う迄私達と一緒にいませんか?」
「何……?」
「アルティナさん、という方でしたか。私たちが戦いを続ける中で、その人と出会うこともあるかもしれません。
 力は貸さなくても良いのです。帝国と遭遇する時だけ、現れてくれればいいのです。去りたければ去っても構いません」
 それを聞いていたスカイは、目を閉じ、シホから顔を逸らした。
「……好きにしろ」
 彼はその言葉を最後に、消えていく。光となった彼の霊魂は、シホの体の中へと消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『乱流空域』

POW   :    覚悟を決めて一直線に突っ込み、突破する

SPD   :    気流の穏やかな場所を探して進む

WIZ   :    ロスを抑えつつ迂回する方法を模索する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●彼の見たもの
『くっそー! なんで勝てないんだよー!』
 ある昼下がり。場内訓練場で、スカイは大の字に倒れこんだ。
 その傍らには、身の丈ほどもある木剣が置かれている。対戦相手は、穏やかな笑みを浮かべるばかりだ。
『アンタ以外には負けたことなんてなかったんだ、ボク。どうやったらそんなに強くなれるんだ?』
 そう尋ねる彼に対し、『英雄』はこう答えた。
 ――私が強いのは、守るべきものがあるからだ。
 ――君にも守るべき人ができれば、きっとわかるようになる。
『守るべき……ねぇ』
 スカイは腑に落ちないと言った表情で、『英雄』の言葉を聞いていた。そして、
『じゃあ、アンタの国の防衛隊に入る! それで強くなれるんだろ?』
 『英雄』はそれを聞いて笑った。そして、きっと強くなれるはずだと首肯する。
『そうか。じゃあ待っていてくれ! アンタはいずれボクが倒す。それまでボクは誰にも負けない……!』

『……あぁ、クソ』

『見てくれよ。ボクはこんなにも強くなった。強くなった、のに』

『挑むアンタがこの世にいないんじゃ、しょうがないじゃないか……』

●抗う者たちの追悼
 スカイとの戦闘を終え、猟兵たちはレジスタンスと合流した。ブラウンによれば、じきに協力組織から、帝国の拠点「ムセウム・モルス」の見取り図が届くそうだ。
「む、噂をすれば……」
 交易船に扮し、協力組織が島に訪れた。いずれも帽子を目深に被った男たちだ。
 ブラウンらレジスタンスが、彼らの元に向かう――だが、その交易船を帝国兵が取り囲んでいた。
「お前たちが、この島のレジスタンスと接触していた組織だな」
「全員捕らえろ! こいつらを連行する!」
 いかなる理由によってか、帝国兵は彼らが協力組織であることを見抜いていた。更に一人が、遠巻きに見ていたブラウンたちのことを発見する。
「レジスタンスの疑いがある者たちを発見! こちらも拘束する!」
「なっ……!」
 帝国兵は次々に集まってきた。もはや逃げるしか方法はない。猟兵たちは数名の兵を片付けると、レジスタンスたちと共に協力組織の船に乗り込む。
「待ってくれ、スカイがいない! アイツを置いていくわけには……!」
 ホワイトのそんな言葉に、一人の猟兵が事情を説明した。スカイは裏切り者であり、もう既に倒されたと。
「……そうか……そうか……」
 やり切れない、といった表情で彼は呻いた。交易船が、離陸する。

●魔の手からの脱出
 ルクセル島のレジスタンスに協力する組織の者たちは、自らを「リスキー&ラック社」と名乗った。
 それはかつて、製品発表の場をドルム・ガンドラ帝国の襲撃で潰された商会である。帝国との敵対も道理であった。
「ひとまず、安全な島までお連れします。勇士の皆様もご一緒に……ッ!?」
 その時、船が大きく揺れた。何らかの砲撃を受けたのだ。
 見れば、数艦の飛空艇が、猟兵とレジスタンスを乗せた船を背後から追ってきていた。
 それだけではない。進行方向にも数隻。飛空艇の進路は完全に予測され、包囲されていたのだ。
『帝国の正義に抗う愚か者の皆様。あなた方の動きは、この奇策のアルフレッドが全て把握しました』
 一際大きな船から、そんな声が聞こえてきた。
『乗っているのが実力者揃いであることもわかっています。しかしながら、その貧相な船で我らを倒すことはできますまい? 大人しく雲海の藻屑となるのです!』
「くっ……こ、こうなったら……!」
 リスキー&ラック社の船員は、進路を大きく変えた。船体が風に煽られ、進む先の天気がみるみるうちに悪化する。
「皆様、申し訳ありません! これより当機は乱流空域へと突入します! 奴らを撒くには、これしか……!」
 ブルーアルカディアにおける乱流空域は、多くの船にとって避けるべきものであり、自らそこに突入することは自殺行為だとされている。
 しかしだからこそ、帝国の船もそこには入らない。確かに、脱出するには良い手かもしれない。
 だが、雷が降り注ぎ、不規則な突風が吹き荒れる乱流空域を無事に抜け出すには、猟兵による協力は必須だ。
 荒ぶる空の道から、全員無事に脱出せよ!

※プレイングの受付は、【10/28(木)8:31~10/31(日)20:00】とさせて頂きます。
 〆切時点で章の達成数に届いていなかった場合、改めて期間を延長いたします。
ランケア・アマカ
…奇策のアルフレッド、次は必ず撃ちます
今は全員で生還することだけ考えましょう

MF-L1に乗り味方の船を護衛、先導して空域を突破します
乱流空域を飛ぶのは正直怖いですが、不可能ではないはずです
気流の読み難い箇所は【疾風塵】を撃って確認し、船体が耐えられそうにない気流を避けて進みましょう
逆風だけではなく順風だってあるはずです、上手く流れを掴んで早々に突破してしまいたいですね
被害は可能な限り抑えたいですし、念のため帝国の追撃も警戒しながら進みます

厳しい状況ですが、こんなところで墜ちるわけにはいきません
追い詰められるばかりでは、気が済まないじゃないですか


オリヴィア・ストラスマリス
『他猟兵との連携歓迎』

「では、露払いは私が行いましょう」

[ストラスマリス]に搭乗、UC発動。
先導するように艦の進行方向よりやや前に位置しながら、
【戦闘知識】などから地形の知識を応用して
比較的穏やかな気流の場所を推測し、空域を前進します。

また、道中は艦砲で帝国の艦や障害物を【援護射撃】で退けながら、
いざという時は艦体を盾にして商会の艦を護ります。

もちろん、後方でしんがりを努める猟兵の皆様にも可能な限り
【集団戦術】で推定される帝国の動きをコミュニケーターで伝達しますね。
このあたりは運用を艦のAIに任せながら、
自身でも思考出来るこの艦の強みですから。

「毎度ありがとうございます。良い旅を」



●乱流空域の脅威
 ランケアはMF-LIに乗り込み、船と併走していた。
 後方から迫るのは帝国の巨大な船。それを睨みながら、彼女はハンドルを操る。
「……奇策のアルフレッド」
 片手にリボルバーのM3シルフィードを抜き、一際巨大な船にその銃口を向ける。だが、射程距離外だ。
 それに、疾風塵は強大な力だが、あの巨大な船を撃ち落とすにはさすがに火力不足である。
「次は必ず撃ちます」
 リボルバーを下げ、前を向く。今は攻撃よりも逃げるべき時だ。彼女はセイルフローターを加速させ、商業船の前に出る。
「先導は私が行います。皆さんは後から私の通った道を移動してください」
 風を操る魔女たる彼女にとって、風向きを読むことなどそう難しいものではない。
 とはいえ、生身のまま乗り込むセイルフローターだ。一たび風に煽られれば、ハンドルを取られることも考えられる。恐怖心がハンドルを握る手に滲む。
「ではその露払い、私も参加させていただきます」
 そう言って船から飛び降りたのはオリヴィアだ。彼女の体が雲海に沈む前に、その周囲をホログラムの船のパーツが覆う。
 それらは実体化して組み上がり、彼女の飛行船――ストラトマリスとなって浮上した。
「私は右舷を。ランケアさんは左舷の警戒をお願いいたします」
「……! わかりました」
 一人でこの暴風を御することは難しくとも、二人の猟兵が協力すれば。
 ランケアは深呼吸し、MF-LIを商業船の左舷側に寄せた。全身の神経を集中し、吹き付ける風の向きを読む――。

 一方のオリヴィアは、艦内のレーダーを用いて風向きを把握していた。その他熱源、動体センサーを駆使し、索敵も怠らない。
(動体、感知)
 どこかの島から風で流れてきたのだろう、大きな岩が船に向かって飛んできていた。ストラトマリスの艦砲が唸り、岩を破壊する。
 船に岩が届く頃にはそれらは細かな小石となって、大した損害にはならなかった。だが、乱流空域の恐怖はまだ続く。
 ストラトマリスのセンサーが赤く光り、警報を鳴らした。嵐の先に熱源を捉えたのだ。袖ボタン型の通信機、コミュニケーターにオリヴィアが声を通す。
「熱源補足。ランケアさん、帝国の船です」
 それは敵の軍師によって先回りしていた帝国船だ。万一乱流空域に逃れた場合のために兵を配置していたとでも言うのだろうか?
 とにかく、敵がいる以上は仕方がない。艦の操作はAIに任せつつ、敵の武装を分析する。
「ランケアさん。敵はまだあなたに気付いていません。側面に回り込んでください」
「了解」
 オリヴィアの指令に応じ、ランケアはMF-LIを加速させつつ大きく迂回する。確かに、オリヴィアの探知した通り、一隻のガレオン船がそこにいた。
 ガレオン船は商業船を捕捉したらしく、大砲を傾け、そこから火を噴いた。その射線上にストラトマリスが割って入る。
 砲弾が炸裂し、空気を揺らした。ストラトマリスの船壁が黒く焦げる。
「オリヴィアさん……!」
「問題ありません。今です、攻撃を」
 ランケアはM3シルフィードを構え、ガレオン船の横腹に向けた。引き金を引けば、暴風が吹き荒れ、ガレオン船を弾き飛ばす。
「なにッ!?」
 帝国兵は予想だにしていなかった攻撃に船のコントロールを奪われる。一度乱流空域において操舵を奪われれば、その船の末路は――。
「う、うわああああああ!!」
 ガレオン船は流されていく。そして吹き荒れる突風に揉まれ、帆を破られ、砕かれていった。
 それを見送りながら、ランケアは改めて背筋に冷たいものを感じるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狐裘・爛
《狐御縁》
なるほど? つまり天候操作を所望ってわけね。荒技な神楽舞、せいぜい見ていきなさい
舞いながら段々と体の一部を柔らかい風雪に変えて、暴風を同化して取り込むわ
本職の天候操作じゃないから、あくまでその場凌ぎだけどね。焔の見よう見まねよ

コースはなるべく飛ぶのが困難なところがいいのかな
乱流空域を突破する際も警戒するよ。追手が怖いしね

体の一部がダメなら全身を使って!
全身が炎と氷に変じる姿! 褒めて褒めて、綺麗でしょ?

燦には穏やかな暖炉の火……に近い暖かさをプレゼント!
本当は膝枕してあげたいけどね、そこはシホの出番よね! ともあれみんな、お疲れ様!


シホ・エーデルワイス
《狐御縁》

終癒での吸収時にスカイさんと英雄のやり取りを幻視

アルティナさんは私の師匠とどこか似ています


乱流空域ですか
私達が居る事を知っての判断ならナイスです


船の航路は最も危険な進路を取るよう提案

帝国は私達の動きを読んで先回りしています
船が乱流空域に逃げ込む事も予想の範疇でしょう
私が敵将なら乱流空域を突破し出てこられそうな所を予測し部隊を配置します
大丈夫
私達猟兵がこの船を守ります

ルル
敵が先回りしている可能性の考慮もお願いできるかしら?


私は船尾最後方で船首に背を向け【翼域】展開
船と進行方向の空域ごと各種耐性の結界で包み守る

ただ継戦能力と気合いで嵐の間中ずっと維持し続けるのは困難故
皆と連携しここぞという時に使い
その間に皆には船の修理や休養を取ってもらえればと思う

爛はまた芸術的なUCを編み出しましたね
まるでファイヤーレインボー現象の様に綺麗です


ありがとう
焔も気を付けてね


スカイさんが何か話したいなら【守霊】の一員として召喚


爛と倒れた燦を膝枕と医術魔法を籠めた『聖札』で看病
爛少し代わってくれるかしら?


四王天・焔
《狐御縁》

アドリブ歓迎

■心情
乱気流の中を通るのは危ないね。
このままだと墜落してしまうだろうから、
そうならない様に焔達もサポートするよ。

■行動
フォックス・アシスト(UC)を使用して
白狐のぬいぐるみに、船員たちを守らせたり無事を確保させるね。

後は、燦姉と爛と一緒に舞を踊りながら【天候操作】を行うね。
【祈り】を捧げて航路の天気が安定するようにしておくね。
「お天気様よ、焔達をどうか無事に通して下さいな」

UCのぬいぐるみが船員達の全員無事を確保できたら
ルルさんに協力して、ぬいぐるみに船の修理を手伝わせるね。

乱流空域突破後も敵襲を警戒。

シホ姉も、無理はしない様にね、船から振り落とされない様に
注意してね。


四王天・燦
《狐御縁》

あの会社か…今回も酷い目にあったので後で焼肉奢ってください
死亡フラグにするつもりはねーぜ

甲板にあがって船尾でメガリス・電光の羽衣と天候操作によって後方に更なる嵐を巻き起こし、追手を撒くぜ
あばよアルフレッドのおっさん!

追手が撒けたら道を拓かないとね
ルル、あっちだね…あの嵐を斬れば良いんだな
嵐で飛ばされんよう誰かアタシを支えてくれ
精神統一し極限まで力溜めして…断理の剣で嵐さえも両断する!

どうよスカイ君、これが四王活殺剣の極意…の未完成版だぜ?
まー手品かもしれねーけどな
シホ越し笑いかけるけど、過労でぶっ倒れるのでした
看病してくださいましー

嵐を抜けたら皆で手ェ繋いでしばらく青空眺めていたいぜ


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫

乱流空域で船が壊れちゃったら大変だわ
UC【生ける者全てが孫】で召喚したお婆ちゃんの霊と一緒に
船の壁をしっかり修理よ
焔さんの白狐のぬいぐるみが手伝ってくれるわ
有難う、これならきっと間に合うわ

皆みたいに天候操作は出来ないけど
予測なら私だって出来るのよ!

霊的な【野生の勘】と【第六感】で
気流の比較的穏やかな場所をなんとなく感じ取り
船を安全な航路へ導くわ
むむむ……こっちが安全!で、あっちが危険なのよ!

シホの言う通りね
敵の待ち伏せを考えるならあえて嵐が激しい所を通り抜ける方が良さそうね

嵐が斬れるの!?すごいのよ
私も燦さんを支えるのよ
ドカーン!とやってほしいのよ

乱流空域突破後も待ち伏せが無いか警戒



●空を斬る
「――……」
 敵のオブリビオン、クリムゾン・スカイ。その過去の光景を、シホは幻視していた。
 暖かな日差しと、平和な空。繰り広げられた英雄との模擬戦。その英雄の矜持は、彼女の師匠にどこか似ているところがあった。
「うわ!?」
 その時船を襲った激しい揺れに、焔が体勢を崩した。燦が彼女の手を取ってそれを支える。
「大丈夫か、焔。すごい揺れだな……」
「す、すみません勇士殿。できる限り安全な道を通っているのですが……」
「――いいえ、むしろもっと飛ぶのが困難なコースを通るべきよ」
 爛のそんな提案は、彼らにとっては予想外のものだった。シホもそれに頷く。
「ええ……敵はこちらの通るルートを想定して先回りしてきます。であれば、敵が想像できないような道を通るべきです」
「しかし、それでは機体が……、ッ!?」
 再び船が大きく揺れる。その衝撃は先程の風の比ではない。直撃ではないが、敵の大砲が掠ったのだ。
 敵の首領、『奇策のアルフレッド』。彼が乗り込んだ巨大な戦艦は、彼女らの乗る商業船とは出力が大きく違う。
 その上、その巨大な戦艦であれば、乱流空域における危険な突風なども防げてしまうだろう。まずは、戦艦と距離を離さなければ。
「まずはアイツから離れる! みんな、しっかり掴まってな!」
 燦は船尾へと駆けると、その身に雷を纏う。それはかつてオブリビオンより奪い取ったメガリス。
 その名は『電光の羽衣』。猟兵たちの前に嵐と共に立ちはだかった少女のもの。それが今、猟兵を、人々を助けるために――嵐を巻き起こす!
 羽衣により操られた嵐は後方の戦艦を叩きつけながら、商業船に著しい加速をもたらした。激しい揺れと共に、船が遠くに離れていく。
「あばよ、アルフレッドのおっさん!」
『……チッ。そう簡単に逃がしはしませんよ』

 帝国の巨大戦艦が見えなくなったころ、商業船の加速も止んで、通常の飛行に戻りつつあった。
 ルルチェリアはしがみ付いていた手すりを離し、先ほどまでの戦闘で使役した子供の霊とは真逆、老婆の霊を召喚する。
「もー、燦さんたら無茶して。船があちこち壊れかけだわ。お婆ちゃん、手伝って!」
「ごめんごめん……でも、結果オーライだったろ?」
「焔も直すの手伝うね! 狐さん、お婆ちゃんたちを手伝ってあげて!」
 ルルチェリアの幽霊と焔の狐が手を組み、壊れかけた船の外壁や機構の修理を開始した。
 損害率はおおよそ三割程度。通常の空域を飛行するには問題ない範囲だが、ここは危険極まる乱流空域だ。ふとした隙間に嵐が入り込み、船をバラバラにされる可能性もある。
「ひとまず……修復が終わるまでは私が船を護ります。ずっとは保たないけど、とりあえず応急処置が終わるまでは……」
「サンキューシホ! よろしくな!」
「シホ姉も、無理はしない様にね! 船から振り落とされない様に注意してね!」
 燦と焔の見送りを受けつつ、シホは船尾へと向かい、船に背を向けて跪く。両手を握り祈れば、その背に巨大な光の翼が現れた。
 それは自らの後ろで待つ者たちを護る絶対の障壁。嵐であれ、風に流された瓦礫であれ、船を傷つけることはできない。
「今のうちに急いで直すのよー!」
 欠けた板を繋ぎ留め、千切れたワイヤーを結び直す。
 乗組員と狐のぬいぐるみ、そしてお婆ちゃんの幽霊。一風変わった面々による修理が続く。シホの翼により、風一つない平和な空の中、修復は滞りなく進んでいった。

「……できたー! これで元通りよ! いいえ、元よりもっと強くなったに違いないわ!」
「シホ姉、もういいよ! 大丈夫!?」
 やがて修理が終わり、船は本来の耐久力を取り戻した。今ならば、ある程度の風に煽られても一気に破損することはない。
 それを確認したシホは深く息を吐き、翼による保護を解除する。疲労からか、その息は荒い。
「えぇ、なんとか……二人の修理が早かったおかげです」
 とはいえ、未だ危険は去っていない。t亜安く壊れることはなくなっても、嵐の中を飛んでいることに変わりはないのだ。
「ここからは私の出番ね! 荒技な神楽舞、せいぜい見ていきなさい!」
 爛は自信満々に甲板に立ち、進む先にある嵐を見つめた。太陽なき雲の中で、その身体が徐々に透き通り始める。
 彼女の体は少しずつ氷や炎の粒となって空に混じっていく。しかし空へと混じっても、それは未だ爛の体そのもの。
 故に、自分の手を握り、足を曲げられるのと同じように……今の爛は、天候をも操ることができた。
「本職の焔ほどじゃないけど、風を静かにすることくらいはできるわよ!」
 その言葉通り、周囲は少しずつ風が鎮まり始めていた。ルルチェリアの先導がそこに合わされば、船は安全に乱流空域を通り抜けていく。
「綺麗ね、爛。ファイヤーレインボーみたい……」
「ふふん! もっと褒めていいのよ! 嵐の中でもこれなら――」
「……って、ちょっと待って!? あれ見て、皆!」
 先導していたルルチェリアが慌てて指を指す。その先には、旋風状の大きな竜巻が発生していた。
 決して彼女が油断していたわけではない。ルルチェリアだけでなく、幽霊の助けも受けながら十分に風に目を配っていた。
 しかし、旋風は突如船の眼前に現れた。その犯人は、飛び去っていくドラゴンだった。
「なんだアイツ!? アタシらの前に嵐置いていきやがった!?」
「……帝国の、手の者でしょうね」
「それより、このでっかい嵐……これじゃ船が……!」
 今から針路を変えることは難しい。そして、アレに触れればこの船は破壊される。八方塞がりだ。

「……あの嵐を斬れば良いんだな」
 そこに、燦は鞘に納めた刀と共に前に進み出た。
 それは確かに、燦にとっても危機であった。だが、所詮は風。打ち倒せる敵に過ぎない。
「誰かアタシを支えといてくれ。……あいつを斬るぞ!」
「わかったわ! ドカーンとやっちゃって!」
「ええ……燦、任せるわ」
 ルルチェリアとシホが彼女の足を支える。そして燦は、刀を構えた。船は空を進み続け、嵐に帆がはためき始める。
 燦は未だ目を閉じたまま風を読む。斬り伏せる敵の強大さを感じながら、柄を握る手に力を籠める。
「――そこだ」
 燦は開眼し、一息に刀を振り抜いた。その斬撃は空を斬り、嵐を斬り、道理を斬る。
 風を斬ることなどできないというこの世の理さえも切り裂く、その斬撃は――『断理の剣』。
 その刃の前に、嵐は消え去った。風は止み、船を脅かす災害が去る。
「……どうよスカイ君、これが四王活殺剣の極意……の、未完成版だぜ?」
 燦はシホの中に溶けたスカイに向かって悪戯のように笑う。
 彼女が投げかけた言葉――お前の武術は手品か、という言葉が返ってくるような心地もあるが、と燦はその場に倒れ込んだ。
「だぁー、疲れたー! 嵐一個でこれじゃまだまだだな。今回も酷い目に遭ったからまた焼き肉奢ってよー、あのハゲに伝えてさー」
「お疲れ様、燦。本当は膝枕してあげたいけど……」
 そこはシホの出番よね、と爛は一歩下がり、自分の体を変化させた炎の粒を燦に纏わせた。
 それは勝者を祝う祝福のように、暖かな暖炉の火のように、燦を癒す。
「あったかーい! シホー、看病してー」
「……はいはい」
 倒れたまま両手を広げる燦に、シホはクスリと笑い、彼女に膝を貸した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
【竜鬼】

乱流空域対策で飛空艇の前部でUC使用。
左手をブラックホールに変換し、雷を吸い込み対象に指定。
あと結界術で飛空艇周辺に防御結界形成。

無事脱出できたら、ひかるさん・猟兵達・船員達に下記推理を伝えます。
「敵は帝国を名乗る以上、皇帝がいます。それとは別に英雄として絶大な人望を誇る人も。
トップ以外にカリスマがいる組織は必ず揉めます。
気さくなアルフレッド(超テキトーに名前憶えた)とか名乗ってた人は、僕達に英雄や彼に親しい仲間を倒させ、その間に自分の目的達成を目論んでいそうです。
なので今後はアルフレッドが嫌がりそうな事をするとレジスタンス活動に効果的と思われますよ(スパイから情報漏れてもOK)。」と


荒谷・ひかる
【竜鬼】
乱流空域ですか……なるほど。
それじゃあ、ちょっと風の精霊さんにお話をつけてきましょう。
リューさん、お手伝いお願いします!

飛空艇前部にて【本気の風の精霊さん】発動
今回は味方……飛空艇への加護にリソースを全振り
風の力を逆に生かした機動力強化と治癒効果で乗り切ります
雷の対処はリューさんにお願いしますね

落ち着いたらリューさんの見解を聞きます
「なるほど、つまり気楽なアルファベットさん(めっちゃうろ覚え)は漁夫の利を狙ってる訳ですね!
戦力差があるとはいえ、仲間内で脚を引っ張り合うだなんてその名の通りお気楽な人なんですねぇ」
(敵将をあたかも「大したことない」と扱き下ろすことで勇士達を「鼓舞」する)



●風と雷を抜けて
「あと少しです、皆さん! あと少しで乱流空域から抜けられますよ!」
 ひかるは明るい声で乗組員たちを鼓舞しつつ、同時に風の精霊にも声援を送っていた。
 乱流空域は暴力的な風と雷が支配する領域。しかし、同じ風を司る精霊であれば、その中に船一つを潜らせるくらいの穴を作ることはできる。
 とはいえ、全力の風の精霊の力をもってしてもそこまでが限度だ。もう一つの属性――荒々しい雷は、別の手段で防がねばならない。
「リューさん、そっちはどうですか?」
「順調です。側面からの雷もないですし、敵ももういないみたいです!」
 雷を防ぐのはリューインの役割だ。彼の左手が変化したブラックホールは、任意の対象のみを吸い込むために絶大な重力を発揮する。
 光をも吸い込むブラックホールを前にすれば、雷であってもそこから逃れることはできない。
 数分ほど前から、二人は徐々に風や雷の勢いが弱まりつつあるのを感じていた。しかし、それだけではまだ油断はできない。
(乱流空域を抜けても、その先に敵がいたら……)
 リューインはそんな自分の悪い想像を振り払うように頭を振った。
 ここまでの飛行で、到底普通の船では耐えきれないほど長い間の移動をしてきた。
 そしてその経路も非常に複雑。例え相手がいかなる軍師であっても、読み切れるはずがない。
(……そのはずです!)
 ひかるもまた、希望をこめて頷いた。逃げきれたはずだ。間違いなく。

 ――そして、厚い雲を破り、ついに視界の先が青色の空に染まる。
 空には太陽が輝き、そしてその下には、異物となる帝国の船は何処にもなかった。
「や……やった! やったぞ!」
「逃げきれた……! これで希望は繋がった!」
 それはルクセル島の解放という希望への一手であり、またドルム・ガンドラ帝国への反逆の一手でもあった。

●英雄と皇帝
 リューインとひかるをはじめとする猟兵たちは、乱流空域からの脱出後、リスキー&ラック社の支部に当たる建物にて休んでいた。
 命からがらの脱出に成功したレジスタンスの面々も同じくそこにいる。
 そして、本来の目的である、『ムセウム・モルスの見取り図』の受け渡しが行われた。
「これが……我々の島に作られた拠点の……」
「はい。その建設に関わった者から渡された、設計図のようなものです。これを見れば、どこの警備が手薄で、どこが脆いのかわかるはずです」
 彼らはその地図を睨みながら唸っていた。その脳裏にあるのは、今まで行われていた追跡劇だろう。
 敵がどれだけの戦力を保有しているのか、彼らは嫌というほど理解した。
 果たして挑んだところで勝つことができるのか。そういう考えが浮かんでも何も不思議ではない。生還したというのに、空気は重いままだった。

「……少しいいですか?」
 そんな中、リューインは静かに挙手した。
「敵は帝国を名乗る以上、皇帝がいます。それとは別に英雄として絶大な人望を誇る人も。
 ――トップ以外にカリスマがいる組織は、必ず揉めます」
 それは組織であれば必ず起こり得る世の常であり、地上であろうと空の世界であろうと変わりはしない。
 皇帝と英雄。そのどちらを行動理念とするか。恐らく、それは帝国においても一枚岩ではないのだ。
「気さくなアルフレッド? とか名乗ってた人は、前のサルヴィオレ島の作戦にも関わっているようです。
 前回と今回に共通しているのは……僕達に、英雄に親しい仲間を倒させたこと」
「奇策のアルフレッドな」
 それはつまり、英雄派の力を削ぐ行いだ。その間に、何か自らの目的の達成を目論んでいてもおかしくはない。
「なので今後は、アルフレッドが嫌がりそうな事をするとレジスタンス活動に効果的と思われますよ」
「ふむ、なるほど……内政への攻撃か。それならば確かに、少数であっても……」
 レジスタンスに僅かに光明が見え、彼らの表情が和らぐ。そこに、さらにひかるが続ける。
「なるほど、つまり気楽なアルファベットさんは漁夫の利を狙ってる訳ですね!」
「奇策のアルフレッドな」
「しかし戦力差があるとはいえ、仲間内で脚を引っ張り合うだなんてその名の通りお気楽な人なんですねぇ……」
 しみじみと呟くひかるに、召喚士のホワイトが思わず笑う。
 当然、そう簡単な相手ではない。しかし彼女の言葉を聞いていると、本当に大したことのない存在のように思えてくるのだ。
 それは勇気となって、レジスタンスを大いに鼓舞したに違いない。
「戦い方はいくらでもある。私たちの手で何としても、島を解放するのだ!」
「「おう!!」」
 彼らの心はまだ折れていない。そうである限り、猟兵たちの前に再びドルム・ガンドラとの戦いが来たることだろう。
 ――今はただ、束の間の休息を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●飛空戦艦にて
「……レジスタンスの乗っていた船を見失いました。追跡できません!」
 部下の報告を受け、アルフレッドは苛立たしげに机を指で叩く。
「そうですか……他の部隊からは?」
「一部隊からは通信が途絶えております。また、他の待機中の部隊も出てきていないと……」
「ふん……」
 なおも苛立ちを隠さないアルフレッドに、部下は機嫌取りの笑みを浮かべる。
「大方、逃げるのに必死になりすぎて乱流空域でバラバラにでもなったのでしょう。今頃雲海の藻屑ですよ」
 アルフレッドはそんな部下を睨みつけると、面倒そうに彼を手で払った。
「下がりなさい。もう結構です。ムセウム・モルスまで帰還しますよ」
「しょ……承知しました!」
 彼は深く息を吐きながら椅子に座り直した。爪を噛みながら思考を回す。
(乗っていたのは単なる勇士ではない。スカイを倒した以上、猟兵と考えるのが妥当だ……)
 であれば、逃げ延びている。協力組織が渡したかったとかいう代物も、レジスタンスに渡ったと考えるのが良い。
(あの島の連中が欲しがる情報で、かつ漏洩が考えられるもの……ムセウム・モルスの設計図か……?)
 『建設に利用した奴らは全員殺してやった』とはいえ、最期の執念で設計図だけでも誰かに渡ったのか。
 アルフレッドの思考は高速化し、最悪の、そのさらに最悪のケースまで想像の手が伸びていく。
(……よろしい。設計図を手に入れたとするなら、むしろ侵入地点も絞れるというもの)
 彼はほくそ笑み、指で机を叩く手を止めた。次なる策を考えるために――。

最終結果:成功

完成日:2021年11月04日


挿絵イラスト